IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

<>
  • 特許-飛散防止装置及び飛散防止方法 図1
  • 特許-飛散防止装置及び飛散防止方法 図2
  • 特許-飛散防止装置及び飛散防止方法 図3
  • 特許-飛散防止装置及び飛散防止方法 図4
  • 特許-飛散防止装置及び飛散防止方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】飛散防止装置及び飛散防止方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20230808BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20230808BHJP
   E04G 5/00 20060101ALN20230808BHJP
【FI】
E04G23/08 Z
E04G21/32 B
E04G5/00 301E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019157075
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021032051
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕二
(72)【発明者】
【氏名】武藤 鉄坪
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-074956(JP,A)
【文献】特開2019-127809(JP,A)
【文献】特開2011-017230(JP,A)
【文献】実開昭63-135668(JP,U)
【文献】特開2014-1523(JP,A)
【文献】特開2012-225036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
21/32
23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物から外部への物の飛散を防止する飛散防止装置であって、
前記建物の周囲に立設された複数の支柱と、
前記支柱の上部に配置された第1、第2滑車と、
前記複数の支柱のうち対向する支柱の上部の間に、前記第1滑車を介して、架設された第1ワイヤと、
前記第1ワイヤに支持されて展開される防護ネットと、
前記防護ネットに対して対向する支柱の上部の間で、前記第2滑車を介して、前記防護ネットの下面に当接するように架設された第2ワイヤと、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの張力を調整する張力調整装置とを備え
前記複数の第2ワイヤを交差させて前記防護ネットに当接させることを特徴とする飛散防止装置。
【請求項2】
建物から外部への物の飛散を防止する飛散防止装置を用いた飛散防止方法であって、
前記飛散防止装置は、
前記建物の周囲に立設された複数の支柱と、
前記支柱の上部に配置された第1、第2滑車と、
前記複数の支柱のうち対向する支柱の上部の間に、前記第1滑車を介して、架設された第1ワイヤと、
前記第1ワイヤに支持されて展開される防護ネットと、
前記防護ネットに対して対向する支柱の上部の間で、前記第2滑車を介して、前記防護ネットの下面に当接するように架設された第2ワイヤと、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの張力を調整する張力調整装置とを備え、
前記張力調整装置を用いて、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを緩めた後、前記支柱を移動させ、
すべての支柱を移動させた後、前記複数の第2ワイヤを交差させて前記防護ネットに当接させるように、前記張力調整装置を用いて、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを緊張させることを特徴とする飛散防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を解体する場合の破砕物等、建物外部への物の飛散を防止する飛散防止装置及び飛散防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存建物を解体する場合、解体時に発生する破砕物等が建物外部に飛散することがある。そこで、建物外部への飛散を抑制するために、既存建物の上方に防護ネットを配置することがある(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の飛散防止装置は、建物の構造部分に支持され建物の側面に沿って建物よりも上方に突出して配置され、互いに独立して伸縮可能な4体のネット用支柱と、4体のネット用支柱に保持され建物の上面を覆う防護ネットとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-74956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物は、上層階から順番に解体する場合、上層階の解体が終了すると、防護ネットも下層階に移動させる。この場合、支柱から防護ネットを取り外して、下層階で、再度、ワイヤに取り付けた防護ネットを展開すると、作業負担が大きく、時間も掛かっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する飛散防止装置は、建物から外部への物の飛散を防止する飛散防止装置であって、前記建物の周囲に立設された複数の支柱と、前記支柱の上部に配置された第1、第2滑車と、前記複数の支柱のうち対向する支柱の上部の間に、前記第1滑車を介して、架設された第1ワイヤと、前記第1ワイヤに支持されて展開される防護ネットと、前記防護ネットに対して対向する支柱の上部の間で、前記第2滑車を介して、前記防護ネットの下面に当接するように架設された第2ワイヤと、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの張力を調整する張力調整装置とを備える。
【0006】
上記課題を解決する飛散防止方法は、建物から外部への物の飛散を防止する飛散防止装置を用いた飛散防止方法であって、前記飛散防止装置は、前記建物の周囲に立設された複数の支柱と、前記支柱の上部に配置された第1、第2滑車と、前記複数の支柱のうち対向する支柱の上部の間に、前記第1滑車を介して、架設された第1ワイヤと、前記第1ワイヤに支持されて展開される防護ネットと、前記防護ネットに対して対向する支柱の上部の間で、前記第2滑車を介して、前記防護ネットの下面に当接するように架設された第2ワイヤと、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの張力を調整する張力調整装置とを備え、前記張力調整装置を用いて、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを緩めた後、前記支柱を移動させ、すべての支柱を移動させた後、前記張力調整装置を用いて、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを緊張させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数階層の建物の解体時等において、外部への物の飛散を効率的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における飛散防止装置を配置した建物の上部の正面断面図。
図2】実施形態における飛散防止装置を配置した建物の要部の上面図。
図3】実施形態における飛散防止装置の要部の部分を拡大した上面図。
図4】実施形態における飛散防止装置のネットとワイヤの位置関係を説明する模式図。
図5】実施形態における飛散防止装置の説明図であって、(a)は支柱の左側面図、(b)は(a)の支柱の正面図、(c)は(a)の支柱と対向する支柱の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図5を用いて、複数階層の建物の解体時に用いる飛散防止装置及び飛散防止方法の一実施形態を説明する。本実施形態の飛散防止装置は、複数の支柱と、対向する支柱に架設される2種類の複数のワイヤと、複数の長方形状の防護ネットとを備える。
【0010】
図1は、解体する建物の上部の正面断面図、図2は、建物の要部の上面図であり、図3は、図2の支柱の近傍を拡大した図、図4は、防護ネットとワイヤとの位置関係の説明図である。
図1に示すように、解体する建物50の周囲には、複数の足場60が配置される。そして、建物50と足場60との間に、複数の支柱10,20,30,40が配置される。これら支柱10,20,30,40は、防護ネットN1,N2を支持する。
図4に示すように、防護ネットN1,N2は、上下にずれて配置された同じネットである。
本実施形態では、図2に示すように、略直方体の建物の上部を複数の防護ネットN1,N2で覆う。
【0011】
図3に示す支柱10,20,30,40は、第1ワイヤW1u,W1d及び第2ワイヤW2u,W2dの掛け方が異なる。対向する支柱10(30)と支柱20(40)とは、防護ネットN1,N2に対して線対称となる形状を有する。また、隣接する支柱10(20)と支柱30(40)は、支柱(10,20,30,40)の中心軸に対して線対称となる形状を有する。
【0012】
図2に示すように、複数の防護ネットN1,N2を、短手方向に配置することにより、建物の上部を覆う。
この場合、図4に示すように、隣接する防護ネットN1,N2の端部領域が重畳するように、防護ネットN1を防護ネットN2の上方に配置する。各防護ネットN1,N2の端部にはループが構成され、このループに第1ワイヤW1u,W1dを通すことにより、防護ネットN1,N2を第1ワイヤW1u,W1dに沿って移動させて展開できる。
【0013】
本実施形態では、図1において、解体する建物の対向する辺の脇に、防護ネットN1,N2を支持させる支柱10,30(20,40)を、同じ間隔で設置する。図1では、左側に支柱10,30、右側に支柱20,40を、それぞれ対向するように配置する。
【0014】
本実施形態の支柱10,20,30,40は、滑車が設けられる位置とワイヤの配置が異なるだけであり、その他の構成は同じである。このため、同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
そして、支柱10,20(30,40)間に、第1ワイヤW1u,W1dを吊り下げる。各第1ワイヤW1u,W1dには、対向する1対の防護ネットN1,N2の端部を展開する。
【0015】
図5(a)は、支柱10の左側面図、図5(b)は、支柱10の正面図、図5(c)は、支柱20の左側面図である。なお、図5(b)において、滑車は図示を省略している。
図5(a)に示すように、支柱10は、柱部11、取付柱12、取付部材15を備える。取付柱12は、柱部11の下方で柱部11に固定され、建物の2階半程度の長さを有する。
【0016】
図1に示すように、取付柱12は、ブラケットB1によって建物50に固定される。なお、本実施形態では、建物50の2階層(2カ所)で固定するが、図1では1カ所のみを示している。
【0017】
図3に示すように、柱部11は、H形鋼で構成される。
図5(a)に示すように、支柱10,30の柱部11の下部には、第1ワイヤW1d、第2ワイヤW2dの端部を固定するワイヤ固定部13が形成されている。また、支柱20、40の柱部11の下部には、第1ワイヤW1u、第2ワイヤW2uの端部を固定するワイヤ固定部13が形成されている。
更に、柱部11において、このワイヤ固定部13より上方には、張力調整装置14が設けられている。この張力調整装置14は、ワイヤ緊張器やレバーブロック(登録商標)等であって、各ワイヤ(W1d,W1u、W2d,W2u)の巻込状態を変更することにより、それぞれのワイヤ(W1d,W1u、W2d,W2u)の張力を調整する。
【0018】
柱部11の上部には、取付部材15が設けられる。
図3に示すように、取付部材15は、取付板部15fと、平行に並んだリブ部15a,15b,15c,15dとを備える。取付板部15fは、柱部11に取り付けられる。リブ部15a,15dは、取付板部15fの端部に設けられる。リブ部15b,15cは、それぞれリブ部15a,15dの近傍で中心側に配置される。
【0019】
更に、図5(b)に示すように、リブ部15a~15dには、シャックル17,18がそれぞれ取り付けられている。シャックル17,18は、異なる高さで配置される。具体的には、シャックル17は、リブ部15b,15dの上部領域に取り付けられ、上側に配置される防護ネットN1の第1ワイヤW1u及び第2ワイヤW2uを架け渡す。また、シャックル18は、リブ部15a,15cの下部領域に取り付けられ、下側に配置される防護ネットN2の第1ワイヤW1d及び第2ワイヤW2dを架け渡す。
【0020】
図3及び図5(a)に示すように、支柱10,30のシャックル17には、第1ワイヤW1u及び第2ワイヤW2uの端部が固定される。支柱10,30のシャックル18には、滑車18a,18bが取り付けられている。滑車18aは、第1滑車であって、支柱10,30の上部において、ワイヤ固定部13からの第1ワイヤW1dを、対向する支柱20,40に向かうように支持する。更に、滑車18bは、第2滑車であって、支柱10,30の上部において、ワイヤ固定部13からの第2ワイヤW2dを、対向して隣接する支柱40,20に向かうように支持する。
【0021】
図3及び図5(c)に示すように、支柱20,40のシャックル17には、滑車17a,17bが取り付けられている。滑車17aは、第1滑車であって、支柱20,40の上部において、ワイヤ固定部13からの第1ワイヤW1uを、対向する支柱10,30に向かうように支持する。更に、滑車17bは、第2滑車であって、支柱20,40の上部において、ワイヤ固定部13からの第2ワイヤW2uを、対向して隣接する支柱10,30に向かうように支持する。
【0022】
図2に示すように、2本の第2ワイヤW2u(W2d)は、防護ネットN1(N2)の下方で交差されるように、支柱10,20,30,40に取り付けられる。具体的には、第2ワイヤW2u(W2d)の一端を支柱10,20,30,40に固定し、他端を、対向した隣接する支柱(40,30,20,10)に固定する。
【0023】
(飛散防止装置の設置方法)
次に、以上のように構成した飛散防止装置の設置方法について説明する。
図2に示すように、建物の周囲において、建物50と足場60との間に支柱10,20,30,40を対向するように配置する。この場合、支柱10,20,30,40の取付柱12を、ブラケットB1を介して、建物の最上階及びその直下階に固定する。そして、支柱10,30のシャックル17に取り付けた第1ワイヤW1uを、緩めた状態で、支柱20,40の滑車17a及び張力調整装置14を介して、支柱20,40のワイヤ固定部13に固定する。この場合、防護ネットN1を取り付けた複数の第1ワイヤW1uを、順次、配置する。
【0024】
そして、支柱10,20,30,40のシャックル17に端部を取り付けた複数の第2ワイヤW2uを、緩めた状態で、支柱20,40の滑車17b及び張力調整装置14を介して、順次、ワイヤ固定部13に固定する。
その後、支柱20,40の張力調整装置14を操作して、第1ワイヤW1uを緊張させる。更に、第1ワイヤW1uに沿って防護ネットN1を展開する。次に、支柱20,40の張力調整装置14を操作して、第2ワイヤW2uを緊張させる。これにより、交差した第2ワイヤW2uが、防護ネットN1の中心付近に当接して、防護ネットN1を押し上げる。
【0025】
次に、上述した上側の第1ワイヤW1u、第2ワイヤW2u及び防護ネットN1と同様にして、下側の第1ワイヤW1d、第2ワイヤW2d及び防護ネットN2を取り付ける。これにより、第1ワイヤW1dに沿って防護ネットN2が展開され、交差した第2ワイヤW2dが、防護ネットN2の中心付近に当接して、防護ネットN2を押し上げる。この場合、防護ネットN1,N2の端部は重なって配置されるので、隙間なく防護ネットN1,N2を設けることができる。
この状態で、防護ネットN1,N2の下で、重機(ショベルカーやクレーン等)を動作して建物50の解体をする。
【0026】
そして、建物50の上部の解体をして、重機を下の階に降ろした後、飛散防止装置の盛替えを行なう。
この場合、支柱10,20,30,40の張力調整装置14を操作して、第2ワイヤW2u,W2d、第1ワイヤW1u,W1dを緩める。次に、1本ずつ、支柱10,20,30,40の取付柱12の固定を解除する。そして、第1ワイヤW1u,W1dに沿って展開している防護ネットN1,N2を、支柱(10,20,30,40)側に寄せて隙間を生成する。この隙間から、防護ネットN1,N2の下にある1台のクレーンのブームを突出させ、このクレーンにより、支柱10,20,30,40のうちの1つを吊って降下させ、1階下の階に、取付柱12を固定する。そして、すべての支柱10,20,30,40について、取付柱12の固定解除から取付柱12の1階下の階への取付までの一連の動作を、順次、繰り返す。
【0027】
すべての支柱10,20,30,40を1階下の階に固定した後、支柱10,20,30,40の張力調整装置14を操作して、第1ワイヤW1u,W1dを緊張させて防護ネットN1,N2を展開させ、その後、第2ワイヤW2u,W2dを緊張させる。これにより、第2ワイヤW2u,W2dが、再び防護ネットN1,N2を押し上げる。その後、この階層での解体作業を行なう。
【0028】
(作用)
上記構成の飛散防止装置によれば、第2ワイヤW2u,W2dを防護ネットN1,N2の下面に当接するように配置する。第2ワイヤW2u,W2dによって防護ネットN1,N2の下面が押し上げられることにより、防護ネットN1,N2の垂れを抑制することができる。
【0029】
更に、上記構成の飛散防止方法によれば、第1ワイヤW1u,W1d及び第2ワイヤW2u,W2dを緩めることにより、柱部11から防護ネットN1,N2を取り外すことなく、上層階から下層階に飛散防止装置を移動させることができる。
【0030】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の飛散防止装置は、防護ネットN1,N2の下面に当接する第2ワイヤW2u,W2dを備えるので、第2ワイヤW2u,W2dが防護ネットN1,N2を下方から押し上げる。これにより、防護ネットN1,N2の垂れを抑制して、防護ネットN1,N2内の空間を大きく区画して、効率的に解体作業を行なうことができる。
【0031】
更に、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)の張力を調整する張力調整装置14を、支柱10,20,30,40に設ける。これにより、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)を緩めた後、支柱10,20,30,40を降下させ、下層階で固定して、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)を緊張させる。これにより、防護ネットN1,N2を取り外すことなく、上層階から下層階に移動させることができる。
【0032】
(2)本実施形態では、2本の第2ワイヤW2u(W2d)が交差するように、第2ワイヤW2u(W2d)を支柱10,20,30,40に取り付ける。これにより、防護ネットN1(N2)の中心近傍に、第2ワイヤW2u(W2d)の交差点が位置するので、防護ネットN1(N2)を押し上げて、防護ネットN1(N2)の垂れを抑制することができる。
【0033】
(3)本実施形態では、支柱10,30のシャックル18に、下側に配置する防護ネットN2に関連するワイヤ(W1d,W2d)を係止させる滑車18a,18bを設け、支柱20,40のシャックル17に、上側に配置する防護ネットN1に関連するワイヤ(W1u,W2u)を係止する滑車17a,17bを設ける。これにより、シャックル17,18に設けた滑車17a,17b,18a,18bの干渉を抑制できる。
【0034】
(4)本実施形態では、支柱10,20,30,40の取付部材15は、異なる防護ネットN1,N2を保持する2本の第1ワイヤW1u,W1dを保持し、防護ネットN1,N2が一部重なるように第1ワイヤW1u,W1dを配置する。これにより、隣接する防護ネットN1,N2を隙間なく取り付けることができる。
【0035】
(5)本実施形態では、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)は、滑車17a,17b,18a,18b及びシャックル17,18によって、支柱10,20,30,40の上部に保持される。これにより、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)を緩ませても、滑車17a,17b,18a,18bにワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)が保持されるので、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)の緩み時の垂れ下がりを抑制することができる。
【0036】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、支柱10,20,30,40に取り付けた滑車17a,17b,18a,18bに、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)を取り付けた。柱部11の上部にワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)を保持する保持部材は、滑車17a,17b,18a,18bに限らず、例えば、ワイヤを挿通するリング形状の部材等であってもよい。
【0037】
・上記実施形態では、2つの第2ワイヤW2u,W2dが、防護ネットN1,N2の中心近傍で交差するように、第2ワイヤW2u,W2dを支柱10,20,30,40に取り付けた。第2ワイヤW2u,W2dの配置は、これに限定されず、例えば、1つの第2ワイヤW2u,W2dを、防護ネットN1,N2の下方に当接させてもよい。
【0038】
・上記実施形態の各支柱10,20,30,40は、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)を取り付けるリブ部15a~15dを設けた取付部材15を取り付けた柱部11を備える。各支柱10,20,30,40の構成は、ワイヤ(W1u,W1d,W2u,W2d)が柱部11の上部に係止できれば、リブ部15a~15dを設けた取付部材15を備える構成に限定されない。例えば、第1ワイヤW1u,W1dを取り付ける取付部材と、第2ワイヤW2u,W2dを取り付ける取付部材とを分けて支柱10,20,30,40に設けてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、図2の右側に並んだ支柱20,40の取付部材15のシャックル17には、滑車17a,17bを設け、図2の左側に並んだ支柱10,30の取付部材のシャックル18には、滑車18a,18bを設けた。取付部材15における滑車17a,17b,18a,18bの取付の配置は、これらに限られず、防護ネットN1,N2の配置状況等に応じて変更してもよい。
【0040】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)各支柱の上部には、取付部材が設けられており、
前記取付部材は、2本の前記第1ワイヤを保持し、
前記2本の第1ワイヤは、異なる防護ネットを保持し、
前記取付部材には、前記異なる防護ネットの一部が重なるように、前記第1ワイヤを取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の飛散防止装置。
従って、この(a)に記載の発明によれば、隣接する防護ネットを隙間なく配置することができる。
【符号の説明】
【0041】
B1…ブラケット、N1,N2…防護ネット、W1u,W1d…第1ワイヤ、W2u,W2d…第2ワイヤ、10,20,30,40…支柱、11…柱部、12…取付柱、13…ワイヤ固定部、14…張力調整装置、15…取付部材、15a,15b,15c,15d…リブ部、15f…取付板部、17,18…シャックル、17a,18a…第1滑車としての滑車、17b,18b…第2滑車としての滑車、50…建物、60…足場。
図1
図2
図3
図4
図5