(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】赤外線検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
H01L31/10 D
(21)【出願番号】P 2019207921
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 一男
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-323744(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108831879(CN,A)
【文献】特開2009-206304(JP,A)
【文献】特開2008-135534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0125472(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019269(US,A1)
【文献】特開2019-046974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/0392,31/08-31/119
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型の半導体により形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層の上に形成された第1の波長の赤外線を吸収する第1の吸収層と、
前記第1の吸収層の上に形成された第2の導電型の半導体により形成された第2の電極層と、
前記第2の電極層の上に形成された第2の波長の赤外線を吸収する第2の吸収層と、
前記第2の吸収層の上に形成された第1の導電型の半導体により形成された第3の電極層と、
前記第1の吸収層、前記第2の電極層、前記第2の吸収層、前記第3の電極層を分離する画素分離溝と、
前記画素分離溝の側面に形成された絶縁膜と、
を有し、
前記赤外線は、前記第1の電極層の側より入射するものであって、
前記第1の電極層は、前記赤外線が入射する入射面を有し、
前
記入射面に対する前記画素分離溝の側面のテーパー角が、前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面よりも、前記第3の電極層の側面
において小さいことを特徴とする赤外線検出器。
【請求項2】
前
記入射面に対する前記画素分離溝の側面のテーパー角が、前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面よりも、前記第2の電極層の側面
において小さいことを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出器。
【請求項3】
前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面におけるテーパー角は、80°以上、90°以下であり、
前記第3の電極層の側面におけるテーパー角は、70°以上、80°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線検出器。
【請求項4】
前記第2の電極層の側面におけるテーパー角は、70°以上、80°以下であることを特徴とする請求項3に記載の赤外線検出器。
【請求項5】
前記第1の波長は、前記第2の波長よりも短いことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の赤外線検出器。
【請求項6】
前記第1の吸収層及び前記第2の吸収層は、半導体材料により形成された超格子吸収層であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の赤外線検出器。
【請求項7】
前記第1の吸収層及び前記第2の吸収層は、InAsとGaAsとによる超格子により形成されていることを特徴とする請求項6に記載の赤外線検出器。
【請求項8】
前記第2の吸収層の側面に形成される前記絶縁膜の厚さは、前記第1の吸収層の側面に形成される前記絶縁膜の厚さよりも、厚いことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の赤外線検出器。
【請求項9】
前記第1の吸収層と前記第2の電極層との界面近傍、前記第2の電極層と前記第2の吸収層との界面近傍、前記第2の吸収層と前記第3の電極層との界面近傍のいずれかには、前記第1の電極層、前記第1の吸収層、前記第2の電極層、前記第2の吸収層、前記第3の電極層に含まれる元素とは異なる原子を含む半導体のモニタ層が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の赤外線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外線検出器として、GaSbを用いた超格子構造であるT2SL(Type II Super-Lattice:タイプII超格子)構造を有する赤外線検出器の開発が進められている。T2SL構造を有する赤外線検出器は、HgCdTe(MCT)を用いた赤外線フォトダイオードに迫る感度が期待できる上、MCTを用いた場合よりも、大きなウェハが得られることや、MCTよりも進んだGaAs系のプロセス技術が適用可能である。これにより、MCTを用いた赤外線フォトダイオードよりも大規模化(多画素化)が可能であり、更には、異なる2つの波長帯に感度を有する2波長検出の赤外線検出器の製作が可能になるため、将来的にはMCTに代わる材料として注目されている。
【0003】
このような赤外線検出器においては、画素分離溝により分離された複数の画素を形成した赤外線検出アレイがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-170645号公報
【文献】特開2007-318115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
T2SL構造を有する2波長検出の赤外線検出器では、2つの光吸収層が積層されているため、1波長検出の赤外線検出器と比べて、厚さが厚くなることから、形成される画素分離溝の深さは深くなり、非常にアスペクト比の高い形状となる。
【0006】
しかしながら、アスペクト比が高いと、画素分離溝の側面に、十分な膜厚の絶縁膜を形成することができず、パッシベーションとしての機能が十分ではなく、表面リーク電流の発生の原因となる。
【0007】
このため、T2SL構造を有する2波長検出の赤外線検出器において、画素分離溝の側面における表面リーク電流が抑制された赤外線検出器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態の一観点によれば、赤外線検出器は、第1の導電型の半導体により形成された第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された第1の波長の赤外線を吸収する第1の吸収層と、前記第1の吸収層の上に形成された第2の導電型の半導体により形成された第2の電極層と、前記第2の電極層の上に形成された第2の波長の赤外線を吸収する第2の吸収層と、前記第2の吸収層の上に形成された第1の導電型の半導体により形成された第3の電極層と、前記第1の吸収層、前記第2の電極層、前記第2の吸収層、前記第3の電極層を分離する画素分離溝と、前記画素分離溝の側面に形成された絶縁膜と、を有し、前記赤外線は、前記第1の電極層の側より入射するものであって、前記第1の電極層は、前記赤外線が入射する入射面を有し、前記入射面に対する前記画素分離溝の側面のテーパー角が、前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面よりも、前記第3の電極層の側面において小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の赤外線検出器によれば、T2SL構造を有する2波長検出の赤外線検出器において、画素分離溝の側面における表面リーク電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】第1の実施の形態における赤外線検出器の構造図
【
図4】第1の実施の形態における赤外線検出器の画素分離溝の形成方法の説明図(1)
【
図5】第1の実施の形態における赤外線検出器の画素分離溝の形成方法の説明図(2)
【
図6】第1の実施の形態における赤外線検出器の製造方法の工程図(1)
【
図7】第1の実施の形態における赤外線検出器の製造方法の工程図(2)
【
図8】第1の実施の形態における赤外線検出器の製造方法の工程図(3)
【
図9】第1の実施の形態における赤外線検出器の製造方法の工程図(4)
【
図10】第1の実施の形態における赤外線検出器の製造方法の工程図(5)
【
図11】第1の実施の形態における赤外線検出器の製造方法の工程図(6)
【
図12】第1の実施の形態における赤外線検出器の変形例の構造図
【
図13】第2の実施の形態における半導体装置の構造図
【
図14】第3の実施の形態における半導体装置の構造図
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、説明の便宜上、図面における縦横の縮尺等は実際と異なる場合がある。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
最初に、T2SL構造を有する2波長検出の赤外線検出器について、
図1に基づき説明する。この赤外線検出器は、n-コンタクト層11、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52を有している。n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51は、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシー)により形成されている。
【0013】
この赤外線検出器では、破線矢印に示されるように、赤外線がn-コンタクト層11の表面となる入射面11aより入射する。このように、n-コンタクト層11の入射面11aより入射した赤外線のうち、第1の超格子吸収層20において、波長が3μm~5μmのMW(Middle Wave)帯の赤外線が吸収され、検出される。また、第2の超格子吸収層40において、波長が8μm~10μmのLW(Long wave)帯の赤外線が吸収され、検出される。本願においては、波長が3μm~5μmのMW帯の赤外線を第1の波長の赤外線と記載し、波長が8μm~10μmのLW帯の赤外線を第2の波長の赤外線と記載する場合がある。
【0014】
n-コンタクト層11は、膜厚が100nmのInAsSbにより形成されており、n型となる不純物元素としてSiがドープされている。
【0015】
n-超格子層12は、厚さが4.0nmのn-InAs層と、厚さが4.0nmのGaSb層とを交互に50層積層することにより形成された超格子層であり、膜厚は400nmである。n-InAs層には、n型となる不純物元素としてSiがドープされている。
【0016】
第1の超格子吸収層20は、厚さが4.0nmのInAs層と、厚さが4.0nmのGaSb層とを交互に400層積層することにより形成された超格子層であり、膜厚は3200nmである。
【0017】
p-超格子層31は、厚さが4.0nmのInAs層と、厚さが4.0nmのp-GaSb層とを交互に50層積層することにより形成された超格子層であり、膜厚は400nmである。p-GaSb層には、p型となる不純物元素としてBeがドープされている。
【0018】
p-コンタクト層32は、膜厚が100nmのInAsSbにより形成されており、p型となる不純物元素としてBeがドープされている。
【0019】
p-超格子層33は、厚さが5.1nmのInAs層と、厚さが4.0nmのp-GaSb層とを交互に50層積層することにより形成された超格子層であり、膜厚は455nmである。p-GaSb層には、p型となる不純物元素としてBeがドープされている。
【0020】
第2の超格子吸収層40は、厚さが5.1nmのInAs層と、厚さが4.0nmのGaSb層とを交互に400層積層することにより形成された超格子層であり、膜厚は3640nmである。
【0021】
n-超格子層51は、厚さが5.1nmのn-InAs層と、厚さが4.0nmのGaSb層とを交互に50層積層することにより形成された超格子層であり、膜厚が455nmである。n-InAs層には、n型となる不純物元素としてSiがドープされている。
【0022】
n-コンタクト層52は、膜厚が50nmのInAsにより形成されており、n型となる不純物元素としてSiがドープされている。
【0023】
このように形成されたn-コンタクト層11~n-コンタクト層52の半導体層の厚さは、約8.8μmである。また、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52を除去することにより、画素分離溝70が形成されている。
【0024】
画素分離溝70は、塩素系ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)等によるドライエッチングにより形成されており、赤外線が入射するn-コンタクト層11の入射面11aに対し略垂直となる側面70aを有している。このように形成される画素分離溝70は、深さDが約8.7μm、開口部の幅W1は約2μmであり、アスペクト比が高い。
【0025】
図1に示される赤外線検出器では、画素分離溝70の側面70a及び底面70b、n-コンタクト層52の上に、パッシベーション膜として絶縁膜60が形成されている。絶縁膜60は、プラズマCVD(chemical vapor deposition)により成膜された酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成されている。
【0026】
絶縁膜60をプラズマCVDにより形成した場合、n-コンタクト層52の上の絶縁膜60の膜厚が、300nm~500nmとなるように成膜しても、画素分離溝70の側面70aでは、絶縁膜60の膜厚は、100nm以下しか成膜されない。これは、画素分離溝70のアスペクト比が高いため、画素分離溝70の奥まで、絶縁膜60を成膜する成膜粒子が入りにくいからである。このように、画素分離溝70の側面70aの絶縁膜60の膜厚が薄いと、パッシベーション膜としての機能を十分に果たすことができず、画素分離溝70の側面70aにおいて、表面リーク電流が大きくなるため、好ましくない。
【0027】
尚、プラズマCVDにより絶縁膜60を成膜した場合、画素分離溝70の開口の入口部分では、絶縁膜60は画素分離溝70の入口が狭くなるように成長するため、特に、成膜粒子が入りにくくなり、画素分離溝70の側面70aの絶縁膜60の膜厚は薄くなる。よって、絶縁膜60を長時間成膜しても、画素分離溝70の側面70aの絶縁膜60の膜厚を十分に厚くすることは困難である。
【0028】
このため、
図2に示されるように、T2SL構造を有する2波長検出の赤外線検出器において、
図1に示される赤外線検出器よりも、テーパー角θの小さい側面71aを有する画素分離溝71を形成する。尚、本願においては、テーパー角θとは、赤外線が入射するn-コンタクト層11の表面、即ち、入射面11aに対する角度を意味する。n-コンタクト層11及びn-超格子層12等は、MBEにより形成されるため、n-コンタクト層11の表面と、n-コンタクト層11とn-超格子層12との界面は略平行である。よって、n-コンタクト層11とn-超格子層12との界面に対する画素分離溝71の側面71aの角度はテーパー角θとして考えることができる。
【0029】
図1に示される赤外線検出器における画素分離溝70のテーパー角が略垂直であるのに対し、
図2に示される赤外線検出器における画素分離溝71のテーパー角θは約70°であり、テーパー角θが小さい。
図2に示されるように、テーパー角θの小さい画素分離溝71を形成することにより、画素分離溝71の入口部分が広くなるため、
図1に示す場合よりも、画素分離溝71の内部に成膜粒子が入りやすくなる。これにより、画素分離溝71の側面71aにおける絶縁膜60の膜厚を、
図1に示される赤外線検出器よりも、厚くすることができる。
【0030】
しかしながら、
図2に示される赤外線検出器の場合、画素分離溝71の開口部の幅W2は6μm~7μmとなり、この分、第1の超格子吸収層20及び第2の超格子吸収層40における赤外線の受光面積が狭くなり、感度が低下する。例えば、各々の画素における画素ピッチを20μm以下となることを想定した場合、画素分離溝71の開口部の幅W2が6μm~7μmになると、所望の特性を得ることができなくなる。
【0031】
このため、画素分離溝の開口部の幅をあまり広げることなく、画素分離溝の側面における表面リーク電流が抑制された構造の赤外線検出器が求められている。
【0032】
(赤外線検出器)
次に、第1の実施の形態における赤外線検出器について、
図3に基づき説明する。本実施の形態における赤外線検出器は、n-コンタクト層11、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52を有している。
【0033】
本実施の形態における赤外線検出器は、n-コンタクト層11の入射面11aから入射した赤外線のうち、第1の超格子吸収層20において、波長が3μm~5μmのMW帯の赤外線が吸収されて、検出される。また、第2の超格子吸収層40において、波長が8μm~10μmのLW帯の赤外線が吸収され、検出される。
【0034】
また、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52を除去することにより、画素分離溝170が形成されている。
【0035】
画素分離溝170の側面は、各々の層に対応した側面170a~側面170hにより形成されている。即ち、画素分離溝170の側面は、n-超格子層12の側面170a、第1の超格子吸収層20の側面170b、p-超格子層31の側面170c、p-コンタクト層32の側面170d、p-超格子層33の側面170e、第2の超格子吸収層40の側面170f、n-超格子層51の側面170g、n-コンタクト層52の側面170hにより形成されている。
【0036】
また、画素分離溝170の側面170a~170h及び底面、n-コンタクト層52の上には、パッシベーション膜として絶縁膜160が形成されている。絶縁膜160は、プラズマCVDにより成膜された酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成されている。
【0037】
本実施の形態においては、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θhは、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θb及び第2の超格子吸収層40の側面170fのテーパー角θfよりも小さい角度で形成されている。
【0038】
このように、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θhを小さくすることにより、側面170hは傾斜を有し、画素分離溝170は、入口部分に向かって徐々に広がるように形成される。画素分離溝170の入口部分が広がることにより、画素分離溝170に入り込む成膜粒子が増えるため、第1の超格子吸収層20の側面170b及び第2の超格子吸収層40の側面170fに成膜される絶縁膜160b及び160fを厚くすることができる。
【0039】
同様に、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θdは、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θbよりも小さい角度で形成されている。
【0040】
このように、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θdを小さくすることにより、側面170dは傾斜を有し、画素分離溝170は、入口部分に向かって徐々に広がるように形成される。これにより、p-コンタクト層32よりも奥の画素分離溝170に入り込む成膜粒子が増えるため、p-コンタクト層32よりも奥の第1の超格子吸収層20の側面170bに成膜される絶縁膜160bを厚くすることができる。
【0041】
即ち、第2の超格子吸収層40の側面170fのテーパー角θfは垂直に近い角度であるが、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θhを小さくすることにより、第2の超格子吸収層40の側面170fの近傍に到達する成膜粒子が増える。これにより、第2の超格子吸収層40の側面170fの絶縁膜160fの厚さを厚くすることができる。
【0042】
また、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θbは垂直に近い角度であるが、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θd等を小さくすることにより第1の超格子吸収層20の側面170bの近傍に到達する成膜粒子が増える。これにより、第1の超格子吸収層20の側面170bの絶縁膜160bの厚さを厚くすることができる。尚、画素分離溝170において、第1の超格子吸収層20の側面170bは、第2の超格子吸収層40の側面170fよりも奥に存在しており、画素分離溝170の奥に入り込む成膜粒子は徐々に減少する。このため、第2の超格子吸収層40の側面170fに成膜される絶縁膜160fは、第1の超格子吸収層20の側面170bに成膜される絶縁膜160bよりも厚くなる。
【0043】
本実施の形態においては、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θd、及び、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θhは、70°以上、80°以下が好ましく、更には、70°以上、75°以下が好ましい。
【0044】
また、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θb、及び、第2の超格子吸収層40の側面170fのテーパー角θfは、80°以上、90°以下が好ましく、更には、85°以上、90°以下が好ましい。
【0045】
更に、n-超格子層12の側面170aのテーパー角θaは、70°以上、80°以下が好ましく、更には、70°以上、75°以下が好ましい。これは、画素分離溝170の底面近傍は、画素分離溝170の入口から最も離れており、成膜粒子が進入しにくい。このため、n-超格子層12の側面170aのテーパー角θaを小さくして傾斜を設けることにより、成膜される絶縁膜160aの厚さが厚くなるようにしている。
【0046】
尚、
図3に示される赤外線検出器では、n-超格子層51の側面170gのテーパー角θgは、70°以上、80°以下、より好ましくは、70°以上、75°以下となるように形成されている。また、p-超格子層31の側面170cテーパー角θc、及び、p-超格子層33の側面170eのテーパー角θeは、80°以上、90°以下、より好ましくは、85°以上、90°以下となるように形成されている。
【0047】
本実施の形態における赤外線検出器においては、画素分離溝170の側面の全体が傾斜しているのではなく、一部が傾斜しているだけであるため、入口部分の幅W3は、2μm~3μmとなり、あまり広くはならない。即ち、膜厚の厚い第2の超格子吸収層40の側面170fのテーパー角θf及び第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θbは、垂直に近いため、画素分離溝170の幅があまり広くはならない。よって、第1の超格子吸収層20及び第2の超格子吸収層40の面積もあまり狭くはならず、感度の低下も微小であり、特性には殆ど影響がない。
【0048】
本実施の形態における赤外線検出器において、絶縁膜160は、n-コンタクト層52の上の膜厚が300nm~500nmとなるようにプラズマCVDにより成膜されている。このように成膜された絶縁膜160は、第2の超格子吸収層40の側面170fにおける絶縁膜160fの厚さは、150nm~200nmとなり、第1の超格子吸収層20の側面170bにおける絶縁膜160bの厚さは、100nm~150nmとなる。よって、
図1に示される赤外線検出器よりも厚くなる。このように、絶縁膜160b、160fの厚さを厚くすることにより、パッシベーション膜としての機能を十分に果たすことができ、画素分離溝170の側面における表面リーク電流を低減させることができる。
【0049】
(赤外線検出器の製造方法)
次に、本実施の形態における赤外線検出器の製造方法について説明する。最初に、半導体層にRIE等のドライエッチングにより形成される溝について説明する。半導体層にドライエッチングにより溝を形成する際、
図4及び
図5に示されるように、半導体層110の表面にマスク120を形成して、RIE等のドライエッチングを行う。ドライエッチングの際の基板温度が70℃等の比較的低い温度の場合には、
図4に示されるように、半導体層110に形成される溝111の側面111aのテーパー角θは小さくなり、例えば、約70°になる。また、ドライエッチングの際の基板温度が200℃等の比較的高い温度の場合には、
図5に示されるように、半導体層110に形成される溝111の側面111aのテーパー角θは広くなり、例えば、垂直となる90°に近くなる。従って、RIE等のドライエッチングにおける基板温度を変えることにより、溝111の側面111aのテーパー角を変化させることができる。尚、マスク120は、ドライエッチングの際に温度を上げるため、酸化シリコン等により形成されている。
【0050】
本実施の形態における赤外線検出器の製造方法は、上記の技術に基づくものである。次に、本実施の形態における赤外線検出器の製造方法について、
図6から
図11に基づき説明する。
【0051】
最初に、
図6に示されるように、GaSb基板10の上に、MBEによるエピタキシャル成長により半導体層を形成する。具体的には、GaSb基板10の上に、n-コンタクト層11、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52を順に形成する。
【0052】
次に、
図7に示されるように、半導体層に共通コンタクト溝180を形成する。共通コンタクト溝180は、外周部に沿って形成され、共通コンタクト溝180の内側に、各々の画素が形成される。具体的には、n-コンタクト層52の上にフォトレジストを塗布し、露光装置により露光、現像を行うことにより、共通コンタクト溝180が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンの開口部におけるn-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52を除去する。これにより、共通コンタクト溝180を形成する。共通コンタクト溝180は、ウェットエッチングにより形成してもよい。
【0053】
次に、
図8に示されるように、共通コンタクト溝180の側面及び底面、共通コンタクト溝180の外側の近傍のn-コンタクト層52の上に、引出電極181を形成し、n-コンタクト層52の上に表面電極182を形成する。具体的には、n-コンタクト層52等の上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、引出電極181及び表面電極182が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、スパッタリングにより、Ti/Pt(Ptが表面側)の金属積層膜を成膜し、有機溶剤に浸漬させることにより、不図示のレジストパターンとともに、レジストパターンの上の金属積層膜をリフトオフにより除去する。これにより、残存する金属積層膜により、引出電極181及び表面電極182を形成する。
【0054】
次に、
図9に示されるように、半導体層に画素分離溝170を形成する。具体的には、引出電極181、表面電極182及びn-コンタクト層52の上に、不図示の酸化シリコン膜を成膜し、酸化シリコン膜の上にフォトレジストを塗布し、露光装置により露光、現像を行う。これにより、画素分離溝170が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンの開口部における酸化シリコン膜を除去することにより、残存する酸化シリコン膜により不図示のハードマスクを形成する。この後、レジストパターンを有機溶剤等により除去し、ハードマスクの開口部における半導体層をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、画素分離溝170を形成する。
【0055】
具体的には、最初に、基板温度を約70℃にして、n-コンタクト層52及びn-超格子層51をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、n-コンタクト層52の側面170h、及び、n-超格子層51の側面170gを形成する。これにより、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θh、及び、n-超格子層51の側面170gのテーパー角θgは、小さい角度、例えば、70°となるように形成される。この後、RIE等のドライエッチングを一旦停止する。
【0056】
次に、基板温度を約200℃にして、第2の超格子吸収層40及びp-超格子層33をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、第2の超格子吸収層40の側面170f、及び、p-超格子層33の側面170eを形成する。これにより、第2の超格子吸収層40の側面170fのテーパー角θf、及び、p-超格子層33の側面170eのテーパー角θeは、垂直に近い角度、例えば、85°となるように形成される。この後、RIE等のドライエッチングを一旦停止する。
【0057】
次に、基板温度を約70℃にして、p-コンタクト層32をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、p-コンタクト層32の側面170dを形成する。これにより、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θdは、小さい角度、例えば、70°となるように形成される。この後、RIE等のドライエッチングを一旦停止する。
【0058】
次に、基板温度を約200℃にして、p-超格子層31及び第1の超格子吸収層20をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、p-超格子層31の側面170c、及び、第1の超格子吸収層20の側面170bを形成する。これにより、p-超格子層31の側面170cのテーパー角θc、及び、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θbは、垂直に近い角度、例えば、85°となるように形成される。この後、RIE等のドライエッチングを一旦停止する。
【0059】
次に、基板温度を約70℃にして、n-コンタクト層11をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、n-コンタクト層11の側面170aを形成する。これにより、n-コンタクト層11の側面170aのテーパー角θaは、小さい角度、例えば、70°となるように形成される。
【0060】
以上の工程により、画素分離溝170を形成する。この後、酸化シリコンにより形成されたハードマスクは、必要に応じてエッチング等により除去する。
【0061】
次に、
図10に示されるように、画素分離溝170の側面及び底面、引出電極181及び表面電極182等の上に、パッシベーション膜となる絶縁膜160を形成する。絶縁膜160は、酸化シリコンをプラズマCVDで成膜することにより形成し、n-コンタクト層52の上の膜厚が、300nm~500nmとなるように形成する。この後、絶縁膜160の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、コンタクトホール161a、及び、161bが形成される領域に開口を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE等のドライエッチングにより、レジストパターンの開口部における絶縁膜160を除去し、引出電極181及び表面電極182の表面を露出させることにより、コンタクトホール161a、及び、161bを形成する。この後、レジストパターンは、有機溶剤等により除去する。
【0062】
次に、
図11に示されるように、コンタクトホール161aにおいて露出している引出電極181の上、コンタクトホール161bにおいて露出している表面電極182の上に、外部回路チップと接続するための接続用電極となるバンプ183を形成する。具体的には、絶縁膜160、引出電極181及び表面電極182の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置により露光、現像を行うことにより、バンプ183が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着によりIn膜を成膜し、有機溶剤に浸漬させることにより、レジストパターンの上のIn膜をレジストパターンとともにリフトオフにより除去する。これにより残存するIn膜によりバンプ183を形成する。尚、GaSb基板10は、この後、研磨等により除去される。
【0063】
以上により、本実施の形態における赤外線検出器を製造することができる。
【0064】
(変形例)
また、本実施の形態は、
図12に示されるように、p-超格子層31の側面170cのテーパー角θc、及び、p-超格子層33の側面170eのテーパー角θeが、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θdと同じ角度となるように形成してもよい。即ち、p-超格子層31の側面170cのテーパー角θc、及び、p-超格子層33の側面170eのテーパー角θeは、70°以上、80°以下、より好ましくは、70°以上、75°以下となるように形成してもよい。
【0065】
尚、本願においては、n-コンタクト層11を第1のコンタクト層と記載し、p-コンタクト層32を第2のコンタクト層と記載し、n-コンタクト層52を第3のコンタクト層と記載する場合がある。第1のコンタクト層は、n-コンタクト層11及びn-超格子層12により形成される場合がある。第2のコンタクト層は、p-コンタクト層32と、p-超格子層31若しくはp-超格子層33のうちのいずれか、または、p-コンタクト層32と、p-超格子層31及びp-超格子層33により形成されている場合がある。第3のコンタクト層は、n-超格子層51及びn-コンタクト層52により形成されている場合がある。
【0066】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における赤外線検出器について説明する。本実施の形態は、
図13に示されるように、画素分離溝170の側面におけるテーパー角が変化する部分の界面の近傍に、AlSb層211~214が設けられている構造のものである。
【0067】
具体的には、本実施の形態における赤外線検出器は、n-超格子層12と第1の超格子吸収層20との界面より、第1の超格子吸収層20の側に数nmの部分に、膜厚が数nmのAlSb層211が設けられている。また、p-超格子層31とp-コンタクト層32との界面より、p-コンタクト層32の側に数nmの部分に、膜厚が数nmのAlSb層212が設けられている。また、p-コンタクト層32とp-超格子層33との界面より、p-超格子層33の側に数nmの部分に、膜厚が数nmのAlSb層213が設けられている。また、第2の超格子吸収層40とn-超格子層51との界面より、n-超格子層51の側に数nmの部分に、膜厚が数nmのAlSb層214が設けられている。
【0068】
RIE等のドライエッチングにより画素分離溝170を形成する際には、プラズマ発光モニタを用いてエッチング状況を観察しながら、ドライエッチングを行うことができる。n-コンタクト層11、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52にはAlは含まれていない。これに対し、AlSb層211、212、213、214には、Alが含まれている。よって、Alのプラズマ発光を検出した場合には、一旦、ドライエッチングを中止し、基板温度を変え、所定の基板温度に到達したら、再びドライエッチングを再開する。
【0069】
本願においては、AlSb層211、212、213、214をモニタ層と記載する場合がある。モニタ層は、n-コンタクト層11、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-超格子層31、p-コンタクト層32、p-超格子層33、第2の超格子吸収層40、n-超格子層51、n-コンタクト層52に含まれる元素とは異なる元素を含んでいる。
【0070】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0071】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について、
図14に基づき説明する。本実施の形態における赤外線検出器は、n-コンタクト層11、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-コンタクト層32、第2の超格子吸収層40、n-コンタクト層52を有している。また、n-超格子層12、第1の超格子吸収層20、p-コンタクト層32、第2の超格子吸収層40、n-コンタクト層52を除去することにより、画素分離溝170が形成されている。本実施の形態においては、n-コンタクト層11とn-超格子層12とにより第1のコンタクト層が形成されているものとする。
【0072】
即ち、本実施の形態における赤外線検出器は、第1の実施の形態における赤外線検出器において、p-超格子層31、p-超格子層33、n-超格子層51を除いた構造のものである。このような構造であっても、2波長の赤外線を検出することが可能である。
【0073】
画素分離溝170の側面は、n-超格子層12の側面170a、第1の超格子吸収層20の側面170b、p-コンタクト層32の側面170d、第2の超格子吸収層40の側面170f、n-コンタクト層52の側面170hにより形成されている。
【0074】
また、画素分離溝170の側面及び底面、n-コンタクト層52の上には、パッシベーション膜として絶縁膜160が形成されている。絶縁膜160は、プラズマCVDにより成膜された酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成することができる。
【0075】
本実施の形態においては、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θhは、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θb及び第2の超格子吸収層40の側面170fのテーパー角θfよりも小さい角度で形成されている。
【0076】
このように、n-コンタクト層52の側面170hのテーパー角θhを小さくすることにより、側面170hは傾斜を有し、画素分離溝170は、入口部分に向かって徐々に広がるように形成される。画素分離溝170の入口部分を広くすることにより、画素分離溝170に入り込む成膜粒子が増えるため、第1の超格子吸収層20の側面170b及び第2の超格子吸収層40の側面170fに成膜される絶縁膜160b及び160fを厚くすることができる。
【0077】
同様に、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θdは、第1の超格子吸収層20の側面170bのテーパー角θbよりも小さい角度で形成されている。
【0078】
このように、p-コンタクト層32の側面170dのテーパー角θdを小さくすることにより、側面170dは傾斜を有し、画素分離溝170は、入口部分に向かって徐々に広がるように形成される。これにより、p-コンタクト層32よりも奥の画素分離溝170に入り込む成膜粒子が増えるため、p-コンタクト層32よりも奥の第1の超格子吸収層20の側面170bに成膜される絶縁膜160bを厚くすることができる。
【0079】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0080】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0081】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1の導電型の半導体により形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層の上に形成された第1の波長の赤外線を吸収する第1の吸収層と、
前記第1の吸収層の上に形成された第2の導電型の半導体により形成された第2の電極層と、
前記第2の電極層の上に形成された第2の波長の赤外線を吸収する第2の吸収層と、
前記第2の吸収層の上に形成された第1の導電型の半導体により形成された第3の電極層と、
前記第1の吸収層、前記第2の電極層、前記第2の吸収層、前記第3の電極層を分離する画素分離溝と、
前記画素分離溝の側面に形成された絶縁膜と、
を有し、
前記赤外線は、前記第1の電極層の側より入射するものであって、
前記第1の電極層の前記赤外線の入射面に対する前記画素分離溝の側面のテーパー角が、前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面よりも、前記第3の電極層の側面が小さいことを特徴とする赤外線検出器。
(付記2)
前記第1の電極層の前記赤外線の入射面に対する前記画素分離溝の側面のテーパー角が、前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面よりも、前記第2の電極層の側面が小さいことを特徴とする付記1に記載の赤外線検出器。
(付記3)
前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面におけるテーパー角は、80°以上、90°以下であり、
前記第3の電極層の側面におけるテーパー角は、70°以上、80°以下であることを特徴とする付記1または2に記載の赤外線検出器。
(付記4)
前記第1の吸収層の側面、及び、前記第2の吸収層の側面におけるテーパー角は、85°以上、90°以下であり、
前記第3の電極層の側面におけるテーパー角は、70°以上、75°以下であることを特徴とする付記1または2に記載の赤外線検出器。
(付記5)
前記第2の電極層の側面におけるテーパー角は、70°以上、80°以下であることを特徴とする付記3または4に記載の赤外線検出器。
(付記6)
前記第2の電極層の側面におけるテーパー角は、70°以上、75°以下であることを特徴とする付記3または4に記載の赤外線検出器。
(付記7)
前記第1の波長は、前記第2の波長よりも短いことを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の赤外線検出器。
(付記8)
前記第1の吸収層及び前記第2の吸収層は、半導体材料により形成された超格子吸収層であることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の赤外線検出器。
(付記9)
前記第1の吸収層及び前記第2の吸収層は、InAsとGaAsとによる超格子により形成されていることを特徴とする付記8に記載の赤外線検出器。
(付記10)
前記第2の吸収層の側面に形成される前記絶縁膜の厚さは、前記第1の吸収層の側面に形成される前記絶縁膜の厚さよりも、厚いことを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の赤外線検出器。
(付記11)
前記第1の吸収層と前記第2の電極層との界面近傍、前記第2の電極層と前記第2の吸収層との界面近傍、前記第2の吸収層と前記第3の電極層との界面近傍のいずれかには、前記第1の電極層、前記第1の吸収層、前記第2の電極層、前記第2の吸収層、前記第3の電極層に含まれる元素とは異なる原子を含む半導体のモニタ層が設けられていることを特徴とする付記1から10のいずれかに記載の赤外線検出器。
(付記12)
前記モニタ層は、AlSbを含む材料により形成されていることを特徴とする付記11に記載の赤外線検出器。
(付記13)
前記絶縁膜は、酸化シリコンまたは窒化シリコンを含む材料により形成されていることを特徴とする付記1から12のいずれかに記載の赤外線検出器。
(付記14)
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型がp型であることを特徴とする付記1から13のいずれかに記載の赤外線検出器。
【符号の説明】
【0082】
11 n-コンタクト層
11a 入射面
12 n-超格子層
20 第1の超格子吸収層
31 p-超格子層
32 p-コンタクト層
33 p-超格子層
40 第2の超格子吸収層
51 n-超格子層
52 n-コンタクト層
160 絶縁膜
160b、160f 絶縁膜
170 画素分離溝
170a~170h 側面
θ、θa~θh テーパー角