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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20230808BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20230808BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20230808BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20230808BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20230808BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20230808BHJP
【FI】
C08J9/12 CEP
C08J9/12 CES
C08J9/04 101
B29C44/00 F
B29C44/36
B29K23:00
B29K105:04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019558282
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2018044936
(87)【国際公開番号】W WO2019112011
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2017234423
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017234424
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017234425
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】清水 基久
(72)【発明者】
【氏名】和田 幸周
(72)【発明者】
【氏名】萩原 昌彦
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213966(JP,A)
【文献】国際公開第2014/084165(WO,A1)
【文献】特開2014-005416(JP,A)
【文献】特公昭47-019629(JP,B1)
【文献】特開2007-056176(JP,A)
【文献】特開2008-297479(JP,A)
【文献】特開2017-088730(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136881(WO,A1)
【文献】特開2016-089071(JP,A)
【文献】特開2015-124307(JP,A)
【文献】特開2012-116905(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104725690(CN,A)
【文献】米国特許第05866641(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08J 9/00 - 9/42
B29C 44/00 - 44/60
B29C 67/20
B29C 48/00 - 48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維とポリプロピレンとからなる発泡体であって、
前記セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあって、
密度が80kg/m以下であることを特徴とする発泡体。
【請求項2】
セルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤とからなる発泡体であって、
前記セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあって、
密度が80kg/m以下であり、
前記樹脂添加剤が、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂およびエチレン-α-オレフィンコポリマー樹脂(ただし、エチレン・プロピレン共重合体を除く)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記樹脂添加剤の含有量が0.1質量%以上30質量%以下であり、
前記ポリプロピレンの含有量が5質量%以上であることを特徴とする発泡体。
【請求項3】
セルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤とその他の成分とからなる発泡体であって、
前記セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあって、
密度が80kg/m以下であり、
前記樹脂添加剤が、ビニル系樹脂(ポリプロピレンを除く)、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エラストマー系樹脂(ポリプロピレンを除く)、含イオウ系樹脂、フェノール系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記樹脂添加剤の含有量が0.1質量%以上30質量%以下であり、
前記その他の成分が、難燃剤、繊維系強化材(セルロース繊維を除く)および発泡助剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記ポリプロピレンの含有量が5質量%以上であることを特徴とする発泡体。
【請求項4】
密度が70kg/m以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項5】
セルロース繊維とポリプロピレンとポリウレタンとからなる発泡体であって、
前記セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあって、
密度が80kg/m以下であり、
前記ポリウレタンの含有量が1質量%以上20質量%未満の範囲内にあって、
前記ポリプロピレンの含有量が15質量%以上89質量%以下の範囲内であることを特徴とする発泡体。
【請求項6】
複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した形状もしくはストランド状である請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維とポリプロピレンとを含む発泡体に関する。
本願は、2017年12月6日に、日本に出願された特願2017-234423号、特願2017-234424号および特願2017-234425号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
発泡体は、物理的な衝撃に対する緩衝性と断熱性とに優れるため、断熱材、緩衝材、包装材などの様々な用途に用いられている。近年、発泡体の材料として、セルロース繊維とポリプロピレンとを含む組成物が注目されている。
例えば、特許文献1には、紙成分と熱可塑性樹脂と水とを押出機に供給し、押出機内で加熱混練し、水の蒸気圧で発泡して得られた発泡体が記載されている。また、特許文献1には、古紙を破砕機で破砕した1辺の長さが約3mmから5mmの破砕物を紙成分として用い、熱可塑性樹脂としてパウダー状のポリプロピレンホモポリマーを用いて製造した密度0.085g/cm(85kg/m)の発泡体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-273800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のセルロース繊維を含む発泡体は、断熱材として用いた場合に十分な断熱性が得られず、断熱性を向上させることが要求されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、セルロース繊維を含み、断熱材として使用した場合に十分な断熱性が得られる発泡体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
[1]セルロース繊維とポリプロピレンとを含み、前記セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあって、密度が80kg/m以下であることを特徴とする発泡体。
[2]複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した形状もしくはストランド状である前記[1]に記載の発泡体。
【0006】
[3]前記セルロース繊維と前記ポリプロピレンとからなり、密度が70kg/m以下である上記[1]に記載の発泡体。
【0007】
[4]さらに、樹脂添加剤を含み、前記樹脂添加剤が、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エラストマー系樹脂、含イオウ系樹脂、フェノール系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記樹脂添加剤の含有量が0.1質量%以上30質量%以下の範囲内にあり、前記ポリプロピレンの含有量が5質量%以上である前記[1]に記載の発泡体。
[5]密度が70kg/m以下である前記[4]に記載の発泡体。
【0008】
[6]さらに、ポリウレタンを含み、前記ポリウレタンの含有量が1質量%以上20質量%未満の範囲内にあって、前記ポリプロピレンの含有量が15質量%以上89質量%以下の範囲内にある前記[1]に記載の発泡体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セルロース繊維を含み、断熱材として使用した場合に十分な断熱性が得られる発泡体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の発泡体の実施形態について説明する。
本実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリプロピレンとを含む。セルロース繊維の含有量は、10質量%以上65質量%以下の範囲内にある。
【0011】
(セルロース繊維)
本実施形態の発泡体に含まれるセルロース繊維の材料としては、針葉樹、広葉樹等の木本系の繊維、非木本系の繊維、ジン皮繊維、バクテリア由来の繊維などから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。具体的には、例えば、上記材料の機械パルプ(MP;機械パルプ、GP;砕木パルプ、RGP;リファイナーグランドパルプ、TMP;サーモメカニカルパルプ、CTMP;ケミサーモメカニカルパルプ等)、化学パルプ(KP;クラフトパルプ、SP;サルファイドパルプ、AP;アルカリパルプ等)、リサイクルパルプ(古紙や端材等のリサイクル紙、段ボール)などを用いることができる。
【0012】
セルロース繊維の材料として用いられる針葉樹の例としては、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、カラマツ、ラーチ、ラジアータパイン、ロングリーフパイン、ショートリーフパイン、スラッシュパイン、ロブロリーパイン、ホワイトスプルース、ブラックスプルース、モミ、ダグラスファー、バルサムファー、スギ、ヒノキ等が挙げられる。広葉樹の例としては、ブナ、ナラ、カシ、ユーカリ、ポプラ等が挙げられる。非木本系の繊維の例としては、リンター、綿、稲わら、麦わら、アブラヤシ空果房(EFB)、竹、サトウキビバガス、麻、大麻、マニラ麻、亜麻、葦等が挙げられる。ジン皮繊維の例としては、楮、三椏等が挙げられる。バクテリア由来の繊維の例としては、バクテリアセルロース等が挙げられる。
【0013】
本実施形態の発泡体に含まれるセルロース繊維は、紙を解繊および/または粉砕したものを用いることが好ましく、古紙を解繊したものを用いることが好ましい。紙を解繊する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、石臼式摩砕機、叩解機、シュレッダー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル、自生粉砕機、スタンプミル、乳鉢、らいかい機、ローラーミル、リングミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、回転ミル、振動ミル、遊星ミル、ビーズミル、アトライターなどの粉砕機を用いることができる。粉砕機としては、例えば、増幸産業株式会社製の石臼式摩砕機(商品名:マスコロイダー)、相川鉄工株式会社製の叩解機(商品名:RFシングルリファイナー)、サンワサプライ株式会社製のハンドシュレッダー(商品名:PSD-12)などが挙げられる。
【0014】
発泡体の材料として使用するセルロース繊維としては、後述する測定方法により測定した平均粒径が10μm~5mmであるものを用いることが好ましく、20μm~3mmであるものを用いることがより好ましい。セルロース繊維の平均粒径が10μm以上であると、破砕に必要なエネルギーが少なくて済むため、環境への負荷が少なく、製造コストも少なくて済み、好ましい。セルロース繊維の平均粒径が5mm以下であると、高倍率発泡が可能となり、低密度の発泡体が得られるため、好ましい。
【0015】
「セルロース繊維の平均粒径の測定方法」
本実施形態において発泡体の材料として使用するセルロース繊維の平均粒径は、以下に示す方法1または方法2を用いて測定した値であることを意味する。本実施形態では、セルロース繊維の平均粒径に応じて方法1または方法2を用いる。測定したセルロース繊維の平均粒径が、方法1と方法2の両方の範囲内である場合、2つの方法のうち1以上の方法を用いればよい。
【0016】
(方法1:粒径が0.01μm~3000μmの範囲内にあるセルロース繊維)
分散媒としてのイオン交換水に試料のセルロース繊維を分散させた分散液を調製する。次に、分散液に対し、前処理として超音波浴槽中で30分間超音波を照射する。その後、分散液中の試料について、以下に示す測定装置を用いて以下に示す測定条件で粒径測定を行う。
粒径測定は、分散液を測定装置のセルに入れ、測定装置内で1分間超音波を照射した後に行う。また、予め分散媒を単独で測定装置のセルに入れ、ブランクとして粒径測定を行う。
各分散液について2回測定を行って平均値を算出し、これを試料の平均粒径とする。
【0017】
測定装置;レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:LA-950V2)
測定条件;測定ユニット:湿式
測定モード:マニュアルフロー式セル測定
粒子径基準:体積基準
屈折率:1.50-0.00i(試料屈折率)/1.33-0.00i(分散媒屈折率)
【0018】
(方法2:粒径が3000μm以上の長尺繊維を含むセルロース繊維)
試料のセルロース繊維を縦60mm、横80mmの紙面上に均一分散させ、任意の3ヶ所の画像を撮影する。次いで、それぞれの画像について100個以上のセルロース繊維の長さを、それぞれ顕微鏡用デジタルカメラシステム(GOKOインター株式会社製、Macromax)、計測ソフト(GOKOインター株式会社製、GOKO Measure)にて計測する。セルロース繊維の長さは、繊維の形状に沿って計測する。ただし、セルロース繊維が集合した形状のものは、最も長い部分を計測する。このようにして計測したセルロース繊維の長さを円相当径として粒度分布(ヒストグラム)を求め、体積平均径(MV)を算出する。体積平均径(MV)は、株式会社堀場製作所製の商品名:LA-950V2の付属ソフト(HORIBA NEXTGEN Project LA-950 for Windows Ver7.02)によって算出する。体積平均径(MV)は、次式で表される。
MV=Σ(vd)/Σv
(式中のdは、粒度分布のヒストグラムの区間代表値を示し、vは各区間に含まれる粒子全体に対する体積(繊維長を円相当径とした場合の球の体積)の頻度を示す。区間代表値は、区間下限値と区間上限値の積の平方根を示す。)
【0019】
本実施形態の発泡体は、セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にある。セルロース繊維の含有量が10質量%以上であると、密度が低い発泡体が得られやすい。また、セルロース繊維の含有量が65質量%以下であると、ポリプロピレンの含有量を十分に確保することができ、発泡体の強度が不足することがない。
なお、発泡体中のセルロース繊維およびポリプロピレンの含有量は、発泡体の材料として使用したセルロース繊維およびポリプロピレンの含有量の割合と同じとみなすことができる。
【0020】
(ポリプロピレン)
発泡体の材料として使用するポリプロピレンとしては、例えば、MFR(メルトフローレート、温度:230℃、荷重:2.16kg)が0.1g/10分以上100g/10分以下の範囲内にあるものを用いることが好ましい。ポリプロピレンは1種を単独で使用してもよいし、MRFなどの特性が異なる2種以上のポリプロピレンを併用してもよい。例えば、MFR(温度:230℃、荷重:2.16kg)が0.1g/10分以上20g/10分以下の範囲にある低MFRのポリプロピレンと、その低MFRのポリプロピレンよりもMFR(温度:230℃、荷重:2.16kg)が高い高MFRのポリプロピレンの2種を併用してもよい。特性の異なる2種以上のポリプロピレンを組合せて用いることによって、発泡体の密度および熱伝導率が所望の範囲となるように調整できる。
【0021】
材料として用いるポリプロピレンの形状は、ペレット状もしくは粉末状であることが好ましい。ペレット状のポリプロピレンは、例えば、球状、半球状、アーモンド状、円柱状、角柱状、板状、フレーク状などの定形性を有するものである。粉末状のポリプロピレンは、上記のペレット状のポリプロピレンを粉砕して、粉状にしたものである。粉末状のポリプロピレンは、粒子径が2mm以下であることが好ましい。
【0022】
本実施形態の発泡体の形状は、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した形状もしくはストランド状であることが好ましい。数珠状の発泡体を構成する粒状発泡体粒子は、球状であることが好ましい。ただし、粒状発泡体粒子は真球である必要はなく、楕円球状であってもよいし、表面に凹凸を有していてもよい。本実施形態の発泡体は種々のサイズに切断、加工して利用することができる。例えば、数珠状の発泡体の場合は、個々の粒状発泡体粒子に分割して利用してもよい。また、ストランド状の発泡体の場合は、切断して粒状の粒状発泡体粒子として利用してもよいし、複数個のストランド状の発泡体を一つに束ねた状態で融着させて一体化させて利用してもよい。
【0023】
本実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリプロピレンの2成分の組成物から構成されていてもよいし、セルロース繊維やポリプロピレン以外のその他の成分を含む組成物から構成されていてもよい。その他の成分としては、難燃剤、繊維系強化材、発泡助材などが挙げられる。以下、本実施形態の発泡体の組成について説明する。
【0024】
[第1実施形態]
第1実施形態の発泡体は、前記のセルロース繊維と前記のポリプロピレンとからなる。すなわち、第1実施形態の発泡体は、セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあり、残部がポリプロピレンである。セルロース繊維の含有量は15質量%以上60質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
【0025】
第1実施形態の発泡体は、10質量%以上65質量%以下のセルロース繊維と35質量%以上90質量%以下のポリプロピレンとからなる密度70kg/m以下の発泡体とすることにより、断熱材として使用した場合に十分な断熱性が得られるとの知見に基づいて完成されたものである。
【0026】
第1実施形態の発泡体は、密度が70kg/m以下であり、66kg/m以下であることが好ましい。発泡体の密度が70kg/mを超えると、断熱材として用いた場合に十分な断熱性が得られない場合がある。一方、発泡体の密度が低くなりすぎると、発泡体の強度が不足して、用途が限定されてしまう場合がある。このため、発泡体の密度は10kg/m以上であることが好ましく、15kg/m以上であることがより好ましい。
【0027】
次に、第1実施形態の発泡体の製造方法について説明する。
第1実施形態の発泡体の製造方法は、セルロース繊維とポリプロピレンとを混練して、セルロース繊維を10質量%以上65質量%以下の範囲内で含有する第1混練物を生成させる工程(第1混練物生成工程)と、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させる工程(第2混練物生成工程)と、前記第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる工程(発泡体生成工程)と、を含む。
【0028】
第1混練物生成工程において、セルロース繊維とポリプロピレンとを混練する混練装置としては、連続式混練機及びバッチ式混練機を用いることができる。連続式混練機の例としては、単軸混練機、二軸混練機が挙げられる。バッチ式混練機の例としては、バンバリーミキサー、加圧式ニーダーが挙げられる。
【0029】
第1混練物生成工程において混練するセルロース繊維とポリプロピレンとは密度が大きく異なるため、混練装置に投入する前に、予めセルロース繊維とポリプロピレンとを混合して混合物とすることが好ましい。セルロース繊維とポリプロピレンの混合物として混練装置に投入することによって、短時間で均一な組成を有する第1混練物が得られる。
【0030】
第2混練物生成工程において、第1混練物と水とを混練する混練装置としては、連続式混練機を用いることが好ましい。連続式混練機の例としては、単軸混練機、二軸混練機が挙げられる。連続式混練機は、シリンダー部の途中に水を導入するための水導入手段を有することが好ましい。
【0031】
連続式混練機のシリンダー部の温度およびダイ部の温度、スクリュー回転数、連続式混練機への水の供給速度などの混練条件は、セルロース繊維とポリプロピレンの含有量、材質および形状、目的とする発泡体の密度範囲などに応じて適宜決定できる。
【0032】
第1混練物生成工程と第2混練物生成工程は、連続的に行ってもよい。例えば、混練装置として連続式混練機を用い、連続式混練機にポリプロピレンとセルロース繊維とを投入して第1混練物を生成させ、次いで、連続式混練機に水を供給して、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させてもよい。このように第1混練物生成工程と第2混練物生成工程とを連続的に行うことによって、比較的短時間で組成の均一な第2混練物が得られる。
【0033】
発泡体生成工程では、連続混練機のダイ部から押し出された第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる。第2混練物の水分の蒸発は大気下で行うことができる。通常は、連続混練機のダイ部から押し出されるとともに第2混練物の水分が蒸発し、第1実施形態の発泡体が生成する。生成した発泡体は、必要に応じて、使用用途に応じた長さに切断してもよい。
【0034】
以上に述べた第1実施形態の発泡体は、10質量%以上65質量%以下のセルロース繊維と35質量%以上のポリプロピレンとからなる密度70kg/m以下の発泡体である。このため、熱伝導率が低く、断熱材として使用した場合に十分な断熱性が得られる。
また、本実施形態の発泡体の製造方法によれば、セルロース繊維を10質量%以上65質量%以下の範囲内で含有する第1混練物と水とを混練して得た第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させるので、発泡量の大きい発泡体が得られる。
【0035】
[第2実施形態]
第2実施形態の発泡体は、前記のセルロース繊維と前記のポリプロピレンと樹脂添加剤とを含む。
【0036】
第2実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリプロピレンと特定の樹脂添加剤とを、特定の含有量で含む発泡体とすることにより、密度が低く、断熱材として使用した場合に十分な断熱性が得られるとの知見に基づいて完成されたものである。
【0037】
樹脂添加剤は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エラストマー系樹脂、含イオウ系樹脂、フェノール系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0038】
樹脂添加剤として用いられるビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、式(1)で表される重合単位を有する樹脂であり、重量平均分子量が10,000~200,000,000であることが好ましい。なお、式(1)における繰り返し単位である[CR(R)-CR(R)]と[CR(R)-CR(R)]の配列順序には、特に制限はない。したがって、式(1)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれを含むものであってもよい。
【0039】
【化1】
【0040】
式(1)中、R、R、R、R4、、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基(-OH)、アセチルオキシ基(-OCOCH)、トリフルオロメチル基(-CF)、トリフルオロメトキシ基(-OCF)、炭素数1~10の直鎖または環状のアルキル基から選ばれるいずれか1つの基である。R、R、R、R、R、R、R、およびRは、全て異なる基であってもよいし、一部または全部が同じ基であってもよい。lは、40~100モル%である。mは、0~60モル%である。
【0041】
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(PS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(ABS)等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂は、式(2)で表される重合単位を有する樹脂であり、重量平均分子量が2,000~4,000,000であることが好ましい。なお、式(2)における繰り返し単位の配列順序には、特に制限はない。したがって、式(2)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれを含むものであってもよい。
【0042】
【化2】
【0043】
式(2)中、Phはフェニル基を示す。xは、0~95モル%である。yは、0~95モル%である。zは、5~100モル%である。
【0044】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、式(3)で表される樹脂であることが好ましく、重量平均分子量が1,000~1,000,000であることが好ましい。
【0045】
【化3】
【0046】
式(3)中、pは、1または2である。rは、2~10,000である。
【0047】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、式(4)または式(5)で表される樹脂であることが好ましく、重量平均分子量が500~5,000,000であることが好ましい。
【0048】
【化4】
【0049】
式(4)中、qは、4~10である。sは、2~30,000である。
【0050】
【化5】
【0051】
式(5)中、gは、2~5である。hは、2~10である。tは、2~30,000である。
【0052】
アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS)等が挙げられる。
アクリル系樹脂は、式(6)で表される重合単位を有する樹脂であり、重量平均分子量が1,000~3,000,000であることが好ましい。なお、式(6)における繰り返し単位の配列順序には、特に制限はない。したがって、式(6)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれを含むものであってもよい。
【0053】
【化6】
【0054】
式(6)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基から選ばれるいずれか1つの基である。Phは、フェニル基を示す。iは、5~100モル%である。uは、0~95モル%である。
【0055】
ポリエーテル系樹脂としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)等が挙げられる。
ポリエーテル系樹脂としては、式(7)で表される重合単位を有する樹脂であることが好ましく、重量平均分子量が500~2,000,000であることが好ましい。
式(7)で表される重合単位において、置換基としては、カルボニルフェニル基、フェニル基、スルホニルフェニル基などが挙げられる。
【0056】
【化7】
【0057】
式(7)中、Aは、-CH-、または1つ以上の置換基を有してもよいフェニレン基(-C-)である。
【0058】
ポリイミド系樹脂としては、式(8)で表される樹脂であることが好ましく、重量平均分子量が1,000~9,000,000であることが好ましい。
【0059】
【化8】
【0060】
式(8)中、Arは下記式(9)または下記式(10)で示される基である。R10は下記式(11)~下記式(15)で示されるいずれかの基である。wは、1~30,000である。
【0061】
【化9】
【0062】
エラストマー系樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
含イオウ系樹脂としては、例えば、ポリサルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂やレゾール樹脂などが挙げられる。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの共重合体などが挙げられる。
【0063】
本実施形態の発泡体に含まれる樹脂添加剤は、上記樹脂を複数混合したポリマーアロイ、ポリマーブレンドでもよい。
樹脂添加剤としては、上記の中でも、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS)から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0064】
特に、樹脂添加剤として、ポリスチレン(PS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(ABS)から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。樹脂添加剤として、これらの樹脂を用いることで、より密度の低い発泡体が得られる。
【0065】
第2実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤のみで形成されていてもよいし、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、難燃剤、繊維系強化材、発泡助材などが挙げられる。
その他の成分の含有量は、発泡体全体量に対する含有量として、例えば、0.1質量%以上30質量%以下の範囲内とすることができる。
【0066】
第2実施形態の発泡体は、セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下であり、樹脂添加剤の含有量が0.1質量%以上30質量%以下であり、ポリプロピレンの含有量が5質量%以上である。
【0067】
セルロース繊維の含有量は、10質量%以上65質量%以下であり、30質量%以上60質量%以下であることが好ましい。セルロース繊維の含有量が10質量%以上であると、密度の低い発泡体得られる。また、セルロース繊維の含有量が65質量%以下であると、樹脂添加剤およびポリプロピレンの含有量を十分に確保することができ、発泡体の強度が不足することがない。
【0068】
樹脂添加剤の含有量は、0.1質量%以上30質量%以下であり、1質量%以上4質量%以下であることが好ましい。樹脂添加剤の含有量が0.1質量%以上であると、樹脂添加剤を含有することによる発泡倍率の向上効果が十分に得られる。また、樹脂添加剤の含有量が30質量%以下であると、セルロース繊維およびポリプロピレンの含有量を十分に確保でき、樹脂添加剤の含有量が多すぎることによる悪影響が生じない。
【0069】
ポリプロピレンの含有量は、5質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましい。ポリプロピレンの含有量が5質量%以上であると、十分な強度を有する発泡体が得られる。
なお、発泡体中のセルロース繊維、樹脂添加剤およびポリプロピレンの含有量は、発泡体の材料として使用したセルロース繊維、樹脂添加剤およびポリプロピレンの含有量の割合と同じとみなすことができる。
【0070】
第2実施形態の発泡体は、密度が70kg/m以下であることが好ましく、66kg/m以下であることがより好ましい。発泡体の密度が70kg/m以下であると、断熱材として好適である。一方、発泡体の密度が低くなりすぎると、発泡体の強度が不足して、用途が限定されてしまう場合がある。このため、発泡体の密度は10kg/m以上であることが好ましく、15kg/m以上であることがより好ましい。
【0071】
<発泡体の製造方法>
次に、本実施形態の発泡体の製造方法について説明する。
本実施形態の発泡体の製造方法は、セルロース繊維と樹脂添加剤とポリプロピレンとを混練して、セルロース繊維を10質量%以上65質量%以下、樹脂添加剤を0.1質量%以上30質量%以下、ポリプロピレンを5質量%以上含有する第1混練物を生成させる工程(第1混練物生成工程)と、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させる工程(第2混練物生成工程)と、前記第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる工程(発泡体生成工程)と、を含む。
【0072】
(第1混練物生成工程)
第1混練物生成工程において、セルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤とを混練する混練装置としては、連続式混練機及びバッチ式混練機を用いることができる。連続式混練機の例としては、単軸混練機、二軸混練機が挙げられる。バッチ式混練機の例としては、バンバリーミキサー、加圧式ニーダーが挙げられる。
【0073】
第1混練物生成工程において混練するセルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤とは密度が大きく異なるため、混練装置に投入する前に、予めセルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤とを混合して混合物とすることが好ましい。セルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤の混合物として混練装置に投入することによって、短時間で均一な組成を有する第1混練物が得られる。
本実施形態の発泡体として、その他の成分を含有するものを製造する場合、第1混練物生成工程において、セルロース繊維とポリプロピレンと樹脂添加剤とともに、その他の成分を混練装置に投入し、その他の成分を含む第1混練物を製造する。
【0074】
(第2混練物生成工程)
第2混練物生成工程において、第1混練物と水とを混練する混練装置としては、連続式混練機を用いることが好ましい。連続式混練機の例、シリンダー部の温度およびダイ部の温度、スクリュー回転数、連続式混練機への水の供給速度などの混練条件は、上述の第1実施形態の発泡体の製造方法の場合と同じである。また、上述の第1実施形態の発泡体の製造方法の場合と同様に、第1混練物生成工程と第2混練物生成工程は、連続的に行ってもよい。例えば、混練装置として連続式混練機を用い、連続式混練機にポリプロピレンとセルロース繊維と樹脂添加剤と、必要に応じて含有されるその他の成分とを投入して第1混練物を生成させ、次いで、連続式混練機に水を供給して、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させてもよい。
【0075】
(発泡体生成工程)
発泡体生成工程では、連続混練機のダイ部から押し出された第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる。第2混練物の水分の蒸発は大気下で行うことができる。通常は、連続混練機のダイ部から押し出されるとともに第2混練物の水分が蒸発し、第2実施形態の発泡体が生成する。生成した発泡体は、必要に応じて、使用用途に応じた長さに切断してもよい。
【0076】
以上に述べた第2実施形態の発泡体は、10質量%以上65質量%以下のセルロース繊維と、0.1質量%以上30質量%以下の樹脂添加剤と、5質量%以上のポリプロピレンを含み、樹脂添加剤が、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エラストマー系樹脂、含イオウ系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂から選ばれる少なくとも1種である。このため、熱伝導率が低く、断熱材として使用した場合に十分な断熱性が得られる。
また、本実施形態の発泡体の製造方法によれば、セルロース繊維とポリプロピレンと特定の樹脂添加剤とを特定の含有量で含む第1混練物と水とを混練して得た第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させるので、発泡量の大きい発泡体が得られる。
【0077】
[第3実施形態]
第3実施形態の発泡体は、前記のセルロース繊維と前記のポリプロピレンとポリウレタンとを含む。セルロース繊維の含有量は10質量%以上65質量%以下の範囲内、ポリウレタンの含有量は1質量%以上20質量%未満の範囲内、ポリプロピレンの含有量は15質量%以上89質量%以下の範囲内とされている。さらに、本実施形態の発泡体の形状は、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した形状もしくはストランド状とされている。
【0078】
第3実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリウレタンとポリプロピレンとを所定の量で含む混練物に、水を加えて発泡させることによって、低密度でありながらも、高い強度を有する発泡体を得ることが可能となるとの知見に基づいて完成されたものである。
【0079】
ポリウレタンは、発泡体の強度を向上させるとともに、発泡体の発泡量を向上させる機能を有する。ポリウレタンとしては、ポリエステル系ウレタン、ポリエーテル系ウレタン、ポリカーボネート系ウレタンなどのウレタン樹脂を用いることができる。
【0080】
ポリウレタンは、水溶性あるいは水に対する親和性が高いものあることが好ましい。水に対する親和性が高いポリウレタンは、発泡体の製造時に、発泡剤である水と共に発泡体の材料全体に分散されるので、発泡体の強度が均一になりやすくなる。発泡体の製造時に用いるポリウレタンは、ポリウレタン溶液あるいはポリウレタンの水性分散体(水性ポリウレタンディスパージョン)であることが好ましい。また、ポリウレタンは、分解温度が190℃以上であることが好ましい。分解温度が190℃以上であると、発泡体の製造時に、ポリウレタンが分解、揮発しにくくなる。
【0081】
ポリウレタンの含有量が少なくなりすぎると、ポリウレタンによる上記の効果を得ることが困難となるおそれがある。一方、ポリウレタンの含有量が多くなりすぎると、相対的にセルロース繊維やポリプロピレンの含有量が少なくなり、却って発泡量が低下し、物理的な衝撃に対する緩衝性や断熱性が低下するおそれがある。
以上の理由から、第3実施形態の発泡体は、ポリウレタンの含有量を1質量%以上20質量%未満の範囲内と設定している。ポリウレタンの含有量は、3質量%以上15質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
【0082】
また、発泡体の密度が高くなりすぎると、発泡体の気孔量が相対的に少なくなり、物理的な衝撃に対する緩衝性や断熱性が低下するおそれがある。このため、第3実施形態の発泡体の密度は80kg/m以下にあり、70kg/m以下にあることがより好ましい。一方、発泡体の密度が低くなりすぎると、発泡体の強度が低下するおそれがある。このため、発泡体の密度は10kg/m以上であることが好ましく、15kg/m以上であることがより好ましい。
【0083】
第3実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリプロピレンとポリウレタンのみで形成されていてもよいし、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、有機系難燃剤、無機系難燃剤、酸化防止剤、発泡助剤などが挙げられる。その他の成分の含有量は、発泡体全体量に対する含有量として、例えば、0.1質量%以上30質量%以下の範囲内とすることができる。なお、その他の成分を含む場合、発泡体全体量に対するポリウレタンとポリポロピレンの合計含有量は35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
【0084】
次に、第3実施形態の発泡体の製造方法について説明する。
本実施形態の発泡体の製造方法は、セルロース繊維(例えば、古紙セルロース繊維)と、ポリプロピレン(例えば、ペレット状もしくは粉末状のポリプロピレン)と、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン溶液あるいはポリウレタンの水性分散体)とを混練して、第1混練物を生成させる工程(第1混練物生成工程)と、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させる工程(第2混練物生成工程)と、前記第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる工程(発泡体生成工程)と、を含む。第1混練物は、セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内、ポリウレタンの含有量が1質量%以上20質量%未満の範囲内、ポリプロピレンの含有量が15質量%以上89質量%以下の範囲内にあることが好ましい。なお、第1混練物のポリウレタンの含有量が1質量%以上10質量%以下の範囲内にあると、発泡体生成工程において、数珠状の発泡体が生成しやすくなる。
【0085】
(第1混練物生成工程)
第1混練物生成工程において、セルロース繊維とポリウレタンとポリプロピレンとを混練する混練装置としては、連続式混練機及びバッチ式混練機を用いることができる。連続式混練機の例としては、単軸混練機、二軸混練機が挙げられる。バッチ式混練機の例としては、バンバリーミキサー、加圧式ニーダーが挙げられる。
【0086】
第1混練物生成工程において混練するセルロース繊維とポリプロピレンとポリウレタンとは密度が大きく異なるため、混練装置に投入する前に、予めセルロース繊維とポリウレタンとポリプロピレンとを混合して混合物とすることが好ましい。セルロース繊維とポリウレタンとポリプロピレンの混合物として混練装置に投入することによって、短時間で均一な組成を有する第1混練物が得られる。
本実施形態の発泡体として、その他の成分を含有するものを製造する場合、第1混練物生成工程において、セルロース繊維とポリウレタンとポリプロピレンと共に、その他の成分を混練装置に投入し、その他の成分を含む第1混練物を製造する。
【0087】
(第2混練物生成工程)
第2混練物生成工程において、第1混練物と水とを混練する混練装置としては、連続式混練機を用いることが好ましい。連続式混練機の例、シリンダー部の温度およびダイ部の温度、スクリュー回転数、連続式混練機への水の供給速度などの混練条件は、上述の第1実施形態の発泡体の製造方法の場合と同じである。また、上述の第1実施形態の発泡体の製造方法の場合と同様に、第1混練物生成工程と第2混練物生成工程は、連続的に行ってもよい。例えば、混練装置として連続式混練機を用い、連続式混練機にポリプロピレンとセルロース繊維とポリウレタンと、必要に応じて含有されるその他の成分とを投入して第1混練物を生成させ、次いで、連続式混練機に水を供給して、第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させてもよい。
【0088】
(発泡体生成工程)
発泡体生成工程では、連続混練機のダイ部から押し出された第2混練物の水分を蒸発させて発泡体を生成させる。第2混練物の水分の蒸発は大気下で行うことができる。通常は、連続混練機のダイ部から押し出されるとともに第2混練物の水分が蒸発し、第3実施形態の発泡体が生成する。生成した発泡体は、自然冷却等の冷却によって硬化した後、使用用途に応じた長さに切断され、断熱材、緩衝材、包装材などに利用される。
【0089】
以上のような構成とされた第3実施形態の発泡体は、セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内、ポリウレタンの含有量が1質量%以上20質量%未満の範囲内、ポリプロピレンの含有量が15質量%以上89質量%以下の範囲内にあるので、低密度でありながらも、高い強度を有する。また、第3実施形態の発泡体は、密度を80kg/m以下と低密度であるので、物理的な衝撃に対する緩衝性や断熱性が向上する。
【0090】
以上に述べた本実施形態の発泡体は、セルロース繊維とポリプロピレンとを含み、セルロース繊維の含有量が10質量%以上65質量%以下の範囲内にあって、密度が80kg/m以下と低密度であるので気孔量が多い。このため、十分な断熱性が得ることができ、断熱材、緩衝材、包装材として有利に利用することができる。
また、本実施形態の発泡体の形状は、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した形状(数珠状)もしくはストランド状とすることによって、種々の形状に切断、加工して利用することができる。
【実施例
【0091】
(ポリプロピレン)
A1(ペレット状ポリプロピレン):日本ポリプロ株式会社製、ウェイマックス(登録商標)MFX6、MFR(温度:230℃、荷重:2.16kg):2.5g/10分
A2(ペレット状ポリプロピレン):日本ポリプロ株式会社製、ノバテック(登録商標)、MG03BD、MFR(温度:230℃、荷重:2.16kg):30g/10分
A3(ペレット状ポリプロピレン):株式会社プライムポリマー社製、プライムポリプロ(登録商標)、J106G、MFR(メルトフローレート、温度:230℃、荷重:2.16kg)15g/10分
A4(ペレット状ポリプロピレン):日本ポリプロ社製、ウェイマックス(登録商標)MFX8、MFR(メルトフローレート、温度:230℃、荷重:2.16kg)1.1g/10分
【0092】
B1a(粉末状ポリプロピレン):A1(ペレット状ポリプロピレン)を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
B1b(粉末状ポリプロピレン):A1(ペレット状ポリプロピレン)を、中型カッターミル型粉砕機を用いて粉砕して得たもの。
B2(粉末状ポリプロピレン):A2(ペレット状ポリプロピレン)を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
B3(粉末状ポリプロピレン):A3(ペレット状ポリプロピレン)を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
B4a(粉末状ポリプロピレン):A4(ペレット状ポリプロピレン)を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
B4b(粉末状ポリプロピレン):A4(ペレット状ポリプロピレン)を、中型カッターミル型粉砕機を用いて粉砕して得たもの。
【0093】
(セルロース繊維)
C1(古紙セルロース繊維粒子):古紙を粉砕機(株式会社増幸産業製、マスコロイダー(石臼式摩砕機))を用いて解繊して得たもの。平均粒径:160μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子):セルロースファイバー(株式会社兼久製、商品名:comfibe(添加剤なし))平均粒径:6.3mm(上記方法2により測定)
【0094】
C3(古紙破砕物):古紙を下記方法3により切断して得たもの。平均粒径:3mm~5mm
(方法3)
シュレッダー(サンワサプライ株式会社製(商品名:PSD-12))を用いて、古紙を幅4mmの長紙片とし、得られた長紙片を長さ方向に略直交する方向に切断して略正方形とした。目標とする正方形(縦4mm、横4mm)の±1mmを平均粒径の範囲とした。
【0095】
C4(古紙セルロース繊維粒子):古紙を粉砕機(株式会社増幸産業製、マスコロイダー(石臼式摩砕機))を用いて解繊して得たもの。平均粒径:81μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
C5(結晶性セルロース粒子):Avicel PH101 Cat NO.14204
C6(アブラヤシ空果房(EFB)セルロース繊維粒子):クラフトパルプ化したアブラヤシ空果房セルロース(EFB)を粉砕機(株式会社増幸産業製、マスコロイダー(石臼式摩砕機))を用いて解繊して得たもの。平均粒径:123μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
C7(古紙セルロース繊維粒子):古紙を粉砕機(カッティング式小型粉砕機)を用いて解繊して得たもの。平均粒径:79μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
C8(古紙セルロース繊維粒子):C7(古紙セルロース繊維粒子)のうち目開き40μmの篩いを通過したもの。平均粒径:39μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
【0096】
C9(古紙セルロース繊維粒子):C7(古紙セルロース繊維粒子)のうち目開き100μmの篩いを通過して、目開き40μmの篩上に残ったもの。平均粒径:77μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
C10(古紙セルロース繊維粒子):C7(古紙セルロース繊維粒子)のうち目開き150μmの篩いを通過して、目開き100μmの篩上に残ったもの。平均粒径:108μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
C11(古紙セルロース繊維粒子):無印刷古紙を粉砕機(カッティング式小型粉砕機)を用いて解繊して得たもの。平均粒径:84μm(上記方法1を用いて分散液を2回測定した結果の平均値)
【0097】
(樹脂添加剤)
D1(ABS樹脂):アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重樹脂(電気化学工業社製、DENKA(登録商標)、GR-2000)をブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
D2(PE):ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名:UM8510)
【0098】
D3(PC樹脂):ペレット状ポリカーボネート樹脂(台北出光株式会社製、商品名:タフロン IR2200)をブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き710μm、線径0.35mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収したもの。
D4(PMMA樹脂):ペレット状ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成株式会社製、商品名:デルペット 60N99140)をブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き850μm、線径0.50mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収したもの。
【0099】
D5(PS樹脂):ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製 SGP10)をブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
D6(エチレン-α-オレフィン コポリマー樹脂):エチレン-α-オレフィン コポリマー樹脂(株式会社プライムポリマー製 エボリュー(登録商標)SP1022)をブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕し、篩(目開き1.4mm、線径0.7mm)を用いて分級し、篩下の粒子を回収して得たもの。
【0100】
(ポリウレタン)
E1(水性ポリウレタンディスパージョン):宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)UW-1005E、ポリウレタン濃度30質量%の水分散体。
【0101】
(その他)
F1:リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業株式会社製、SR2550)
F2:ホウ酸(シグマアルドリッチ社製、03-2900-5-500G-J)を粉砕機(株式会社増幸産業製、マスコロイダー(石臼式摩砕機))を用いて解繊して得たもの。平均粒径:128μm(平均粒径は、下記の方法を用いて測定した。)
F3:四ホウ酸ナトリウム(シグマアルドリッチ社製、28-2010-5-500G-J)を粉砕機(株式会社増幸産業製、マスコロイダー(石臼式摩砕機))を用いて解繊して得たもの。平均粒径:412μm(平均粒径は、下記の方法を用いて測定した。)
【0102】
(ホウ酸及び四ホウ酸ナトリウムの平均粒径の測定方法)
ホウ酸及び四ホウ酸ナトリウムは、イオン交換水に溶解する可能性があるため、下記測定装置を用いて以下に示す乾式測定条件で粒径測定を行う。粒径測定は2回測定を行って平均値を算出し、これを試料の平均粒径とする。
【0103】
測定装置;レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:LA-950V2)
測定条件;測定ユニット:乾式
測定モード:ワンショットモード
圧縮空気:0.3MPa
粒子径基準:体積基準
屈折率:1.50-0.00i(試料屈折率)
【0104】
[実施例I-1]
A1(ペレット状ポリプロピレン)105gとC1(古紙セルロース繊維粒子)45gを秤量した。秤量したA1とC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したA1とC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、A1含有量が70質量%、C1含有量が30質量%である。
【0105】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:180℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:180℃/180℃/180℃/180℃(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数90rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0106】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0107】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-1で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX4部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0108】
[実施例I-2]
B1a(粉末状ポリプロピレン)105gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)45gを秤量した。秤量したB1aとC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が70質量%、C1含有量が30質量%である。
【0109】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-1で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X3部の間で生成した第1混練物を、シリンダーのX4部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0110】
[実施例I-3]
B1a(粉末状ポリプロピレン)101gと、B2(粉末状ポリプロピレン)4.5gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)45gを秤量した。秤量したB1aとB2とC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとB2とC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が67質量%、B2含有量が3質量%、C1含有量が30質量%である。
【0111】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-2で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X3部の間で生成した第1混練物を、シリンダーのX4部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0112】
[実施例I-4]
C1(古紙セルロース繊維粒子)に代えて、C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子)を用いたこと以外は実施例I-3と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0113】
[実施例I-5]
B1a(粉末状ポリプロピレン)67.5gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)82.5gを秤量した。秤量したB1aとC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が45質量%、C1含有量が55質量%である。
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、実施例I-1と同様にして紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0114】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き850μm、線径500μm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0115】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-3で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX4部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0116】
[実施例I-6]
B1a(粉末状ポリプロピレン)105gと、C4(古紙セルロース繊維粒子)45gを秤量した。秤量したB1aとC4とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC4とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が70質量%、C4含有量が30質量%である。
【0117】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-1で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X3部の間で生成した第一混練物を、シリンダーのX4部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0118】
[実施例I-7]
B4a(粉末状ポリプロピレン)140gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)60gを秤量した。秤量したB4aとC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4aとC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4a含有量が70質量%、C1含有量が30質量%である。
【0119】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-5で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X3部の間で生成した第一混練物を、シリンダーのX4部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0120】
[実施例I-8]
B1a(粉末状ポリプロピレン)140gと、C5(結晶性セルロース粒子)60gを秤量した。秤量したB1aとC5とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC5とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が70質量%、C5含有量が30質量%である。
【0121】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:165℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:165℃/165℃/165℃/165℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0122】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0123】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-3で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0124】
[実施例I-9]
B1a(粉末状ポリプロピレン)140gと、C6(古紙セルロース繊維粒子)60gを秤量した。秤量したB1aとC6とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC6とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が70質量%、C6含有量が30質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-8と同様にして、粒状第1混練物を得た。
【0125】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-5で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX4部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0126】
[実施例I-10]
B1a(粉末状ポリプロピレン)50gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)50gを秤量した。秤量したB1aとC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が50質量%、C1含有量が50質量%である。
【0127】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0128】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0129】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-1で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0130】
[実施例I-11]
B1a(粉末状ポリプロピレン)47gと、B2(粉末状ポリプロピレン)3gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)50gを秤量した。秤量したB1aとB2とC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとB2とC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が47質量%、B2含有量が3質量%、C1含有量が50質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-10と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0131】
[実施例I-12]
B1a(粉末状ポリプロピレン)268gと、B2(粉末状ポリプロピレン)12gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)120gを秤量した。秤量したB1aとB2とC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとB2とC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が67質量%、B2含有量が3質量%、C1含有量が30質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-10と同様にして、粒状第1混練物を得た。
【0132】
得られた粒状第1混練物を、先端ダイスを直径3mm1つ孔から直径2mm10孔に変更した2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-5で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を8mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径2mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体10本を得た。
【0133】
[実施例I-13]
B1b(粉末状ポリプロピレン)47gと、B2(粉末状ポリプロピレン)3gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)50gを秤量した。秤量したB1bとB2とC7とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1bとB2とC7とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1b含有量が47質量%、B2含有量が3質量%、C7含有量が50質量%である。
【0134】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/170℃/170℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0135】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-1で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0136】
[実施例I-14]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、B2(粉末状ポリプロピレン)4.5gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)75gを秤量した。秤量したB4bとB2とC7とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとB2とC7とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、B2含有量が3質量%、C7含有量が50質量%である。
【0137】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/175℃/175℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0138】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0139】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-6で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0140】
[実施例I-15]
B1b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、B2(粉末状ポリプロピレン)4.5gと、C11(古紙セルロース繊維粒子)75gを秤量した。秤量したB1bとB2とC11とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1bとB2とC11とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1b含有量が47質量%、B2含有量が3質量%、C11含有量が50質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-13と同様にして、粒状第1混練物を得た。
【0141】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-7で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0142】
[実施例I-16]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、B2(粉末状ポリプロピレン)4.5gと、C11(古紙セルロース繊維粒子)75gを秤量した。秤量したB4bとB2とC11とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとB2とC11とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、B2含有量が3質量%、C11含有量が50質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-14と同様にして、粒状第1混練物を得た。
【0143】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-6で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0144】
[実施例I-17]
B4b(粉末状ポリプロピレン)90gと、C11(古紙セルロース繊維粒子)45gと、F1(リン酸エステル系難燃剤)15gを秤量した。秤量したB4bとC11とF1を30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC11とF1を混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が60質量%、C11含有量が30質量%、F1含有量が10質量%である。
【0145】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-8で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X2部の間で生成した第一混練物を、シリンダーのX3部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0146】
[実施例I-18]
B4b(粉末状ポリプロピレン)50gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)50gを秤量した。秤量したB4bとC7とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC7とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が50質量%、C7含有量が50質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-10と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0147】
[比較例I-1]
C1(古紙セルロース繊維粒子)に代えて、C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子)を用い、混練条件I-1に代えて、下記の混練条件I-5で混練したこと以外は実施例I-2と同様にして、発泡体を得た。
【0148】
[比較例I-2]
B1a(粉末状ポリプロピレン)67.5gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)82.5gを秤量した。秤量したB1aとC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が45質量%、C1含有量が55質量%である。
【0149】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件I-3で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X3部の間で生成した第1混練物を、シリンダーのX4部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて発泡体を得た。
【0150】
[比較例I-3]
混練条件I-3に代えて、下記の混練条件I-4で混練し、冷水(5℃)を1mL/minの速度で供給したこと以外は、比較例I-2と同様にして発泡体を製造しようとしたが、混練中にスクリューが停止し、発泡体が得られなかった。
【0151】
[比較例I-4]
C1(古紙セルロース繊維粒子)に代えて、C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子)を用いたこと以外は比較例I-2と同様にして発泡体を得た。
【0152】
[比較例I-5]
C1(古紙セルロース繊維粒子)に代えて、C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子)を用いたこと以外は比較例I-3と同様にして、発泡体を得た。
【0153】
[比較例I-6]
C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子)に代えて、C3(古紙破砕物)を用い、混練条件I-1に代えて、下記の混練条件I-5で混練したこと以外は実施例I-2と同様にして、発泡体を得た。
【0154】
[比較例I-7]
B1a(粉末状ポリプロピレン)に代えて、B3(粉末状ポリプロピレン)を用いたこと以外は実施例I-2と同様にして、発泡体を得た。
【0155】
[比較例I-8]
B1a(粉末状ポリプロピレン)45gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)105gを秤量した。秤量したB1aとC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が30質量%、C1含有量が70質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-1と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0156】
[比較例I-9]
B1a(粉末状ポリプロピレン)143gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)7.5gとを用いて、B1a含有量が95質量%、C1含有量が5質量%である原料混合物を得たこと以外は、比較例I-8と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0157】
[比較例I-10]
B1a(粉末状ポリプロピレン)10gと、B2(粉末状ポリプロピレン)40gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)50gを秤量した。秤量したB1aとB2とC1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとB2とC1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が10質量%、B2含有量が40質量%、C1含有量が50質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例I-10と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0158】
(混練条件I-1)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数60rpm
(混練条件I-2)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数350rpm
(混練条件I-3)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数90rpm
(混練条件I-4)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/160℃/140℃、スクリュー回転数30rpm
(混練条件I-5)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数250rpm
(混練条件I-6)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/175℃/175℃/170℃、スクリュー回転数60rpm
(混練条件I-7)
ダイ部温度Y1:163℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/170℃/170℃/166℃、スクリュー回転数60rpm
(混練条件I-8)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/170℃/170℃/170℃、スクリュー回転数150rpm
【0159】
[評価]
得られた発泡体の密度と熱伝導率を、下記の方法により測定した。その結果を、原料混合物の組成と共に表1に示す。
【0160】
(発泡体の密度の測定方法)
ストランド状の発泡体を押出方向に対して垂直に、剃刀(GEM、62-0167)を用いて切断し、長さ7~8cmの略円柱状の密度測定用の試験サンプルを、各発泡体毎にそれぞれ3本作製した。3本の試験サンプルの重量及び体積をそれぞれ測定し、下記式(1)によって各試験サンプルの密度ρ(kg/m)を求めた。得られた3本の試験サンプルの密度の平均値を算出し、発泡体の密度とした。試験サンプルの質量M(kg)は大気下で測定し、試験サンプルの体積V(m)は水中置換法によって測定した。
ρ=M/V ・・・(1)
M:試験サンプルの質量(kg)、V:試験サンプルの体積(m
【0161】
(発泡体の熱伝導率の測定方法)
発泡体の熱伝導率は、迅速熱伝導率計(京都電子工業社製、QTM-500)を用いて測定した。迅速熱伝導率計のプローブには、ニードル型プローブ(京都電子工業社製、PD-N0)を使用した。
ストランド状の発泡体を押出方向に対して垂直に、剃刀(GEM、62-0167)を用いて切断して、長さ7~8cmの略円柱状の試験サンプルを、各発泡体毎にそれぞれ3本作製した。試験サンプルを、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿環境下で12時間静置した。その後、その恒温恒湿環境下で、試験サンプルの切断面の中心からニードル型プローブを略35mm挿入し、熱伝導率を測定した。また、ポリスチレンからなるリファレンスサンプルについて、試験サンプルと同様に熱伝導率を測定した。
【0162】
そして、発泡体の熱伝導率λ(W/mK)を、下記式(2)よって算出した。
λ=λS-(λR1-λR0)・・・(2)
λS:試験サンプルの熱伝導率の測定値(W/mK)、λR0:リファレンスサンプルの熱伝導率の既定値(W/mK)、λR1:リファレンスサンプルの熱伝導率の測定値(W/mK)
表1に、3つの試験サンプルを作製して測定した熱伝導率の平均値を示す。
【0163】
【表1】
【0164】
なお、比較例I-2、I-4、I-5の発泡体の形状は、ストランド状ではなく、長さの短いものであった。このため、比較例I-2、I-4、I-5の発泡体からは、熱伝導率を測定するための測定サンプルを採取できなかった。また、比較例I-2、I-4、I-5の発泡体に直接、ニードル型プローブを所定の長さ分(約35mm)挿入することもできなかった。このため、比較例I-2、I-4、I-5の発泡体の熱伝導率は、測定できなかった。また、比較例I-2、I-4、I-5の発泡体から採取した密度を測定するための測定サンプルは、長さが短く形がいびつであったが、密度の測定は可能であった。
また、比較例I-7、I-10の発泡体は、発泡量が少なく、乾燥スパゲティーのような細く硬い状態であった。このため、比較例I-7、I-10の発泡体にニードル型プローブを挿入することができず、熱伝導率を測定できなかった。
【0165】
表1に示すように、実施例I-1~I-18の発泡体は、密度が80kg/m以下で、熱伝導率が40×10-3W/mK以下であり、低いものであった。特に、実施例I-1~I-17の発泡体は、密度が70kg/m以下で、密度低いものであった。
これに対し、比較例I-1、I-2、I-4~I-10の発泡体は、密度が80kg/m超であった。
セルロース繊維としてセルロース繊維粒子(C1)を用いた実施例I-2では、セルロース繊維の含有量が同じであり、セルロース繊維として古紙破砕物(C3)を用いた比較例I-6と比較して、密度が低かった。
【0166】
[実施例II-1]
B1a(粉末状ポリプロピレン)101gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)45g、D1(ABS樹脂)4.5gとを秤量した。秤量したB1aとC1とD1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とD1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が67質量%、C1含有量が30量%、D1含有量が3質量%である。
【0167】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-1で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX1部~X3部の間で生成した第1混練物を、シリンダーのX4部で水と混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0168】
[実施例II-2]
C1(古紙セルロース繊維粒子)に代えて、C2(粗粉砕古紙セルロース繊維粒子)を用い、混練条件II-1に代えて、下記の混練条件II-2で混練したこと以外は実施例II-1と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0169】
[実施例II-3]
D1(ABS樹脂)に代えて、D2(PE)を用いたこと以外は実施例II-1と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0170】
[実施例II-4]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)75gと、D3(PC樹脂)4.5gとを秤量した。秤量したB4bとC7とD3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC7とD3とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C7含有量が50質量%、D3含有量が3質量%である。
【0171】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0172】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0173】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-3で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0174】
[実施例II-5]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)75gと、D4(PMMA樹脂)4.5gとを秤量した。秤量したB4bとC7とD4とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC7とD4とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C7含有量が50質量%、D4含有量が3質量%である。
【0175】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:170℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0176】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0177】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-3で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0178】
[実施例II-6]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、C8(古紙セルロース繊維粒子)75gと、D3(ポリカーボネート樹脂)4.5gとを秤量した。秤量したB4bとC8とD3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC8とD3とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C8含有量が50質量%、D3含有量が3質量%である。
【0179】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:172℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/172℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0180】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0181】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-4で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0182】
[実施例II-7]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、C9(古紙セルロース繊維粒子)75gと、D3(ポリカーボネート樹脂)4.5gとを秤量した。秤量したB4bとC9とD3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC9とD3とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C9含有量が50質量%、D3含有量が3質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例II-6と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0183】
[実施例II-8]
B4b(粉末状ポリプロピレン)70.5gと、C10(古紙セルロース繊維粒子)75gと、D3(ポリカーボネート樹脂)4.5gとを秤量した。秤量したB4bとC10とD3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC10とD3とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C10含有量が50質量%、D3含有量が3質量%である。
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例II-6と同様にして、断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0184】
[実施例II-9]
B4b(粉末状ポリプロピレン)188gと、C11(古紙セルロース繊維粒子)200gと、D3(ポリカーボネート樹脂)12gとを秤量した。秤量したB4bとC11とD3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC11とD3とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C11含有量が50質量%、D3含有量が3質量%である。
【0185】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:172℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/172℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径2mm7孔のダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0186】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0187】
得られた粒状第1混練物を、直径2mm7孔の先端ダイスを備えた2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-5で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を6mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径2mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体7本を得た。
【0188】
[実施例II-10]
B4b(粉末状ポリプロピレン)212gと、C6(古紙セルロース繊維粒子)225gと、D3(ポリカーボネート樹脂)13.5gとを秤量した。秤量したB4bとC6とD3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC6とD3とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C6含有量が50質量%、D3含有量が3質量%である。
【0189】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:166℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:175℃/175℃/175℃/168℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数250rpmの条件で混練した後、直径2mm7孔のダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0190】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き2.0mm、線径0.9mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0191】
得られた粒状第1混練物を、直径2mm7孔の先端ダイスを備えた2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-5で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を6mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径2mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体7本を得た。
【0192】
[実施例II-11]
B1a(粉末状ポリプロピレン)64gと、C1(古紙セルロース繊維粒子)102gと、D3(ポリカーボネート樹脂)6gとF2(ホウ酸)14gと、F3(四ホウ酸ナトリウム)14gとを秤量した。秤量したB1aとC1とD3とF2とF3とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とD3とF2とF3を混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B1a含有量が32質量%、C1含有量が51質量%、D3含有量が3質量%、F2含有量が7質量%、F3含有量が7質量%である。
【0193】
得られた原料混合物を用いたこと以外は、実施例II-6と同様にして、粒状第1混練物を得た。
【0194】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-6で混練した。このとき、シリンダーのX3部とX4部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を3mL/minの速度で供給して、シリンダーのX4部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0195】
[実施例II-12]
B4b(粉末状ポリプロピレン)94.0gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)100gと、D5(PS樹脂)6.0gとを秤量した。秤量したB4bとC7とD5とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC7とD5とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C7含有量が50質量%、D5含有量が3質量%である。
【0196】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数60rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0197】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き1.4mm、線径0.7mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0198】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-3で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0199】
[実施例II-13]
B4b(粉末状ポリプロピレン)94.0gと、C7(古紙セルロース繊維粒子)100gと、D6(エチレン-α-オレフィン コポリマー樹脂)6.0gとを秤量した。秤量したB4bとC7とD6とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB4bとC7とD6とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物は、B4b含有量が47質量%、C7含有量が50質量%、D6含有量が3質量%である。
【0200】
上記の原料混合物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃/(X1~X4は、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までの各部の温度である)、スクリュー回転数60rpmの条件で混練した後、直径3mmのダイ先端部より押出し、紐状前駆混練体(第1混練物)を得た。
【0201】
得られた第1混練体を適切な長さに切断した。得られた切断物を、ブレンダー(ワーリング社製、エクストリームミル MX-1200XTS)を用いて粉砕した。得られた粉砕物から、篩(目開き1.4mm、線径0.7mm)を用いて分級し、篩下の粒状第1混練物を回収した。
【0202】
得られた粒状第1混練物を、2軸混練押出機(テクノベル社製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件II-3で混練した。このとき、シリンダーのX2部とX3部の間からシリンダー内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダーのX3部で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて断面が円形のストランド状の発泡体を得た。
【0203】
(混練条件II-1)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数250rpm
(混練条件II-2)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数150rpm
(混練条件II-3)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数60rpm
(混練条件II-4)
ダイ部温度Y1:172℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/172℃、スクリュー回転数60rpm
(混練条件II-5)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:175℃/175℃/175℃/168℃、スクリュー回転数150rpm
(混練条件II-6)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数90rpm
【0204】
[評価]
得られた発泡体の密度と熱伝導率を、前記の方法により測定した。その結果を、原料混合物の組成と共に表2に示す。
【0205】
【表2】
【0206】
表2に示すように、樹脂添加剤を含む実施例II-1~II-13の発泡体は、密度が70kg/m以下であり、熱伝導率が40×10-3W/mK以下であり、低いものであった。
【0207】
[実施例III-1]
B1a(粉末状ポリプロピレン)103.5gと、C1(古紙セルロース繊維)45gと、E1(水性ポリウレタンディスパージョン)5.0g(ポリウレタンとして1.5g)を秤量した。秤量したB1aとC1とE1とを30個の容器に分取し、各容器ごとに分取したB1aとC1とE1とを混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物の組成は、B1a含有量が69質量%、C1含有量が30質量%、E1含有量が1質量%である。
【0208】
得られた原料混合物を、シリンダー部の原料混合物の導入部からダイ部までがX1~X4の4つのエリアに分割されている2軸混練押出機(株式会社テクノベル製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件III-1で混練した。このとき、シリンダー部のX3とX4の間からシリンダー部内に、冷水(5℃)を2mL/minの速度で供給して、シリンダー部のX1~X3の間で第1混練物を生成させ、シリンダー部のX4で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて発泡体を得た。得られた発泡体は、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した数珠状であった。
【0209】
[実施例III-2]
原料混合物として、B1a(粉末状ポリプロピレン)90gと、C1(古紙セルロース繊維)45gと、E1(水性ポリウレタンディスパージョン)50g(ポリウレタンとして15g)を秤量したこと以外は、実施例III-1と同様にして発泡体を製造した。得られた発泡体は、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した数珠状であった。なお、原料混合物の組成は、B1a含有量が60質量%、C1含有量が30質量%、E1含有量が10質量%である。
【0210】
[実施例III-3]
原料混合物として、B1a(粉末状ポリプロピレン)82.5gと、C1(古紙セルロース繊維)45gと、E1(水性ポリウレタンディスパージョン)75g(ポリウレタンとして22.5g)を秤量したこと以外は、実施例III-1と同様にして発泡体を製造した。得られた発泡体は、断面が円形のストランド状であった。なお、原料混合物の組成は、B1a含有量が55質量%、C1含有量が30質量%、E1含有量が15質量%である。
【0211】
[実施例III-4]
B1a(粉末状ポリプロピレン)85.5gと、B2(粉末状ポリプロピレン)4.5gと、C1(古紙セルロース繊維)45gと、E1(水性ポリウレタンディスパージョン)50g(ポリウレタンとして15g)を秤量し、実施例III-1と同様に混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物の組成は、B1a含有量が57質量%、B2含有量が3重量%、C1含有量が30質量%、E1含有量が10質量%である。
【0212】
得られた原料混合物を、2軸混練押出機(株式会社テクノベル製、KZW15-30MG)に投入し、下記の混練条件III-2で混練した。このとき、シリンダー部のX3とX4の間からシリンダー部内に、冷水(5℃)を5mL/minの速度で供給して、シリンダー部のX1~X3の間で第1混練物を生成させ、シリンダー部のX4で第1混練物と水とを混練して第2混練物を生成させた。生成した第2混練物を、直径3mmのダイ先端部より押出し、第2混練物から水分を蒸発させて発泡体を得た。得られた発泡体は、複数個の粒状発泡体粒子が紐状に連結した数珠状であった。
【0213】
[比較例III-1]
原料混合物として、B1a(粉末状ポリプロピレン)75gと、C1(古紙セルロース繊維)45gと、E1(水性ポリウレタンディスパージョン)100g(ポリウレタンとして30g)を秤量し、実施例III-1と同様に混合して得た混合物を用いたこと以外は、実施例III-1と同様にして発泡体を製造した。得られた発泡体は、瘤状に膨れた凸部を複数有する不定形状であった。なお、原料混合物の組成は、B1a含有量が50質量%、C1含有量が30質量%、E1含有量が20質量%である。
【0214】
(混練条件III-1)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数60rpm
(混練条件III-2)
ダイ部温度Y1:168℃、シリンダー部温度X1/X2/X3/X4:170℃/180℃/180℃/170℃、スクリュー回転数350rpm
【0215】
[評価]
得られた発泡体の密度と引張破断比エネルギーを測定した。発泡体の密度は前記の方法により測定した。発泡体の引張破断比エネルギーは下記の方法により測定した。その結果を、原料混合物の組成と共に表3に示す。また、実施例I-2で作成した発泡体についても引張破断比エネルギーを測定した。その結果を表3に示す。
【0216】
(発泡体の引張破断比エネルギーの測定方法)
発泡体の引張破断エネルギーは、万能試験機(株式会社島津製作所製、EZ-LX)を用いて測定した。ストランド状の試験サンプルは円柱状に、数珠状の試験サンプルは粒状発泡体粒子の連結部をそれぞれ長さ8cmに切断して、試験サンプルを各3本作製した。試験サンプルを、万能試験機の治具の間(治具間距離5cm)に取り付けて引張試験を行って、応力―ひずみ曲線を作成した。得られた応力―ひずみ曲線下の面積値から万能試験機付属の解析ソフト(Trapezium X Ver 1.4.0)を用いて、引張破断エネルギーU(Nm)を求めた。
引張破断比エネルギーUs(Nm/g)は、下記式(3)によって算出した。なお、表3には、3つの試験サンプルを作製して測定した引張破断比エネルギーの平均値を記載した。
Us=U/Mi・・・(3)
Mi:治具の間(治具間距離5cm)に取り付けられた試験サンプル質量(g)、U:引張破断エネルギー(Nm)
【0217】
【表3】
【0218】
ポリウレタンを本発明の範囲で含む実施例III-1~III-4の発泡体は、ポリウレタンを含まない実施例I-2の発泡体と比較して、引張破断比エネルギーが高くなることが確認された。また、ポリウレタンを本発明の範囲よりも多く含む比較例III-1の発泡体は、引張破断比エネルギーが大きく低下した。これは、ポリウレタンを大きく含むことによって発泡体の密度が高くなりすぎたためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明の発泡体は、断熱材、緩衝材、包装材として有利に利用することができる。