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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/36 20060101AFI20230808BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20230808BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
F01N3/36 C
F01N3/24 N
F01N3/24 F
F01N3/025 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020011688
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021116762
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】福田 晶
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 好二
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-43621(JP,U)
【文献】特表2013-540225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/36
F01N 3/24
F01N 3/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気浄化装置において、
前記内燃機関と接続され、前記排気ガスが流れる排気通路を形成する排気管と、
前記排気通路に向けて燃料を噴射する燃料添加弁と、
前記排気通路と連通すると共に前記燃料添加弁から噴射される燃料が通過する噴射通路を形成する円筒状の内壁部と、
前記内壁部の径方向外側に配置され、前記内壁部と協働して前記排気通路を流れる前記排気ガスを前記噴射通路における前記燃料添加弁側の領域に導入する導入流路を形成する外壁部とを備え、
前記内壁部及び前記外壁部は、前記排気管から前記燃料添加弁側に突出するように前記排気管に固定されており、
前記導入流路は、前記排気通路と連通するように前記排気管の外側に配置されていると共に、前記内壁部の円周方向に延在している排気浄化装置。
【請求項2】
前記内壁部の前記燃料添加弁側には、前記内壁部の内部を覆う庇部が設けられており、
前記庇部は、前記燃料添加弁から噴射される燃料を貫通させる開口部を有する請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記外壁部は、前記内壁部の全周にわたって前記内壁部を取り囲むように配置されており、
前記導入流路は、前記内壁部の円周方向に全周にわたって延在している請求項1または2記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記外壁部には、前記外壁部の円周方向に延在するように前記外壁部の径方向内側に突出した突出部が設けられており、
前記突出部の先端面には、雌ネジが切られており、
前記内壁部の外周面には、前記雌ネジと螺合する雄ネジが切られている請求項3記載の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気浄化装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の排気浄化装置は、エンジンの過給機の排気下流側に接続された排気管と、この排気管内に設けられた酸化触媒、NOx吸蔵触媒及びDPFと、排気管の分岐部に支持部材を介して配設され、酸化触媒へ添加剤としての燃料を供給する燃料添加インジェクタ(燃料添加弁)とを備えている。支持部材の内部には、燃料添加インジェクタから噴射される燃料が通過する噴射通路が形成されている。また、排気浄化装置は、支持部材と排気管とを連結するガス流入管を備えている。ガス流入管の一端は、噴射通路の燃料添加インジェクタ側に穿設されたガス流入孔に接続されている。ガス流入管の他端は、排気管の分岐部に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-115057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、排気管内からガス流入管を通って噴射通路へと排気ガスが流れることで、噴射通路の壁面に燃料が付着することを防止している。しかし、ガス流入管から噴射通路に排気ガスが導入されるときに、排気ガスの流れの偏りが生じることで、燃料添加インジェクタから噴射される燃料噴霧の流れが乱れることがある。この場合には、燃料噴霧の巻き返りによって燃料添加インジェクタの噴射口に燃料噴霧が付着し、デポジットの要因となるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、燃料添加弁に付着する燃料噴霧を低減することができる排気浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気浄化装置において、内燃機関と接続された排気通路と、排気通路に向けて燃料を噴射する燃料添加弁と、排気通路と連通すると共に燃料添加弁から噴射される燃料が通過する噴射通路を形成する円筒状の内壁部と、内壁部の径方向外側に配置され、内壁部と協働して排気通路を流れる排気ガスを噴射通路における燃料添加弁側の領域に導入する導入流路を形成する外壁部とを備え、導入流路は、内壁部の円周方向に延在している。
【0007】
このような排気浄化装置において、燃料添加弁から排気通路に向けて燃料が噴射されているときには、内燃機関からの排気ガスが導入流路を流れて噴射通路における燃料添加弁側の領域に導入されるため、噴射通路において燃料添加弁側に向かう排気ガスの流れが抑制される。ここで、導入流路は、内壁部の円周方向に延在している。つまり、導入流路は、内壁部の円周方向に広がっている。従って、排気ガスが導入流路から噴射通路における燃料添加弁側の領域に導入される際に、内壁部の円周方向に対する排気ガスの流れの偏りが少なくなるため、燃料添加弁から噴射される燃料噴霧の流れが乱れにくくなる。このため、燃料噴霧自体の流れによる燃料噴霧の巻き返りが低減される。これにより、燃料添加弁に付着する燃料噴霧が低減される。
【0008】
内壁部の燃料添加弁側には、内壁部の内部を覆う庇部が設けられており、庇部は、燃料添加弁から噴射される燃料を貫通させる開口部を有してもよい。このような構成では、燃料添加弁から排気通路に向けて燃料が噴射されていないときには、排気ガスが噴射通路を燃料添加弁側に向かって流れても、排気ガスが庇部に当たるため、排気ガスが燃料添加弁に到達することが抑制される。一方、燃料添加弁から排気通路に向かって燃料が噴射されているときには、噴射通路において燃料添加弁側に向かう若干の排気ガスの流れによって、燃料噴霧が燃料添加弁に向かって飛んでも、燃料噴霧が庇部に当たる。従って、燃料添加弁に付着する燃料噴霧が更に低減される。
【0009】
外壁部は、内壁部の全周にわたって内壁部を取り囲むように配置されており、導入流路は、内壁部の円周方向に全周にわたって延在していてもよい。このような構成では、排気ガスが導入流路を内壁部の円周方向に全周にわたって流れる。従って、排気ガスが導入流路から噴射通路における燃料添加弁側の領域に導入される際に、内壁部の円周方向に対する排気ガスの流れの偏りが更に少なくなるため、燃料添加弁から噴射される燃料噴霧の流れが更に乱れにくくなる。これにより、燃料添加弁に付着する燃料噴霧が一層低減される。
【0010】
外壁部には、外壁部の円周方向に延在するように外壁部の径方向内側に突出した突出部が設けられており、突出部の先端面には、雌ネジが切られており、内壁部の外周面には、雌ネジと螺合する雄ネジが切られていてもよい。このような構成では、内壁部を外壁部の張出部に対してねじ込むことにより、内壁部と外壁部とが容易に組み付けられる。従って、排気浄化装置の製造工程の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、燃料添加弁に付着する燃料噴霧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る排気浄化装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る排気浄化装置の主要部を示す断面図である。
図3図2のIII-III線断面図を排気ガスの流れと共に示す図である。
図4図2に示された燃料添加弁から燃料が噴射されたときの排気ガスの流れを示す断面図である。
図5】比較例としての排気浄化装置の主要部を示す断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る排気浄化装置の主要部を示す断面図である。
図7図6のVII-VII線断面図を排気ガスの流れと共に示す図である。
図8図6に示された燃料添加弁から燃料が噴射されたときの排気ガスの流れを示す断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る排気浄化装置の主要部を示す断面図である。
図10図9に示された内壁部及び外壁部を組み付ける様子を示す断面図である。
図11図9のXI-XI線断面図を排気ガスの流れと共に示す図である。
図12図9に示された燃料添加弁から燃料が噴射されたときの排気ガスの流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る排気浄化装置を示す概略構成図である。図1において、本実施形態の排気浄化装置1は、車両に搭載されている。排気浄化装置1は、内燃機関であるディーゼルエンジン2から排出される排気ガスを浄化する。ディーゼルエンジン2は、特に図示はしないが、複数の気筒にそれぞれ燃料を噴射する複数のインジェクタを有している。
【0015】
排気浄化装置1は、ディーゼルエンジン2に接続された排気管3を備えている。排気管3は、排気ガスが流れる排気通路4を形成している。従って、排気通路4は、ディーゼルエンジン2に接続されている。
【0016】
また、排気浄化装置1は、排気通路4に上流側から下流側に向けて順に配設されたDOC5(ディーゼル酸化触媒)及びDPF6(ディーゼル排気微粒子除去フィルタ)を備えている。DOC5は、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を酸化して除去する。DPF6は、排気ガスに含まれるPMを捕集する。
【0017】
また、排気浄化装置1は、排気通路4におけるディーゼルエンジン2とDOC5との間に配設された燃料添加弁7を備えている。燃料添加弁7は、排気通路4に向けて燃料を噴射して添加する。燃料添加弁7の下端部には、排気通路4に向けて燃料を円錐状に噴射する噴射口7aが設けられている(図2参照)。燃料添加弁7により添加される燃料は、主としてDPF6の再生を行う際に還元剤として使用される。
【0018】
図2は、本発明の第1実施形態に係る排気浄化装置の主要部を示す断面図である。図2において、排気浄化装置1は、円筒状の内壁部8と、この内壁部8の径方向外側に配置された外壁部9とを備えている。内壁部8及び外壁部9の下端部は、排気管3に固定されている。外壁部9の上端位置は、内壁部8の上端位置よりも高い。
【0019】
内壁部8は、排気管3から燃料添加弁7側に突出するように設けられている。内壁部8は、燃料添加弁7から噴射される燃料が通過する噴射通路10を形成している(図4参照)。噴射通路10は、排気通路4と連通している。
【0020】
外壁部9は、内壁部8の径方向外側における排気通路4の上流側(ディーゼルエンジン2側)に配置されている。外壁部9は、図3に示されるように、略弓状を呈している。外壁部9の上端部には、内壁部8側に張り出した張出部分11が設けられている。
【0021】
外壁部9は、内壁部8と協働して排気通路4を流れる排気ガスを噴射通路10における燃料添加弁7側の領域に導入する導入流路12を形成している。導入流路12は、排気通路4と連通している。導入流路12は、内壁部8の円周方向に延在している。内壁部8の上側における外壁部9側の領域には、噴射通路10と導入流路12とを連通させる連通口13が形成されている。
【0022】
内壁部8の上側における外壁部9の反対側の領域には、半円環状の接続壁部14が設けられている。接続壁部14の上端の高さ位置は、外壁部9の上端の高さ位置と一致している。接続壁部14及び外壁部9の上端部には、上記の燃料添加弁7が取り付けられている。なお、外壁部9、内壁部8及び接続壁部14は、例えば鋳造により排気管3と一体的に形成されている。
【0023】
燃料添加弁7から燃料が噴射されている状態では、図4に示されるように、燃料の噴射に伴う流れによって噴射通路10の上側領域(図中の領域X)の圧力が低下するため、噴射通路10を上方に向かう排気ガスの流れ(図4中のA参照)と導入流路12を上方に向かう排気ガスの流れ(図4中のB参照)とが発生する。
【0024】
このとき、導入流路12の幅寸法は、導入流路12を上方に向かう排気ガスの流れが噴射通路10を上方に向かう排気ガスの流れに打ち勝つような寸法に設定されている。なお、導入流路12の幅寸法は、内壁部8の径方向に沿った導入流路12の最大長さ寸法である。従って、導入流路12を上方に向かう排気ガスの流れによって、噴射通路10を上方に向かう排気ガスの流れが抑制される。
【0025】
このとき、図3に示されるように、導入流路12の周方向中央側に存在する排気ガスは、噴射通路10の径方向中心側に向かって直接流れる。導入流路12の周方向端側に存在する排気ガスは、内壁部8に沿うように噴射通路10の径方向中心側に向かって回り込んで流れる。このように排気ガスが噴射通路10を内壁部8の円周方向に均一性良く流れ、内壁部8の円周方向に対する排気ガスの流れの偏りが比較的少ない。従って、燃料添加弁7から噴射される燃料噴霧Fが流れる方向に与える影響が少ない。
【0026】
図5は、比較例としての排気浄化装置の主要部を示す断面図である。図5において、本比較例の排気浄化装置50は、排気管3に固定された円筒状の壁部51を備えている。壁部51は、燃料添加弁7から噴射される燃料が通過する噴射通路52を形成している。
【0027】
このような排気浄化装置50では、噴射通路52において燃料添加弁7側に向かう排気ガスの流れによって、燃料添加弁7の噴射口7aから噴射される燃料噴霧Fの巻き返りが起こり、燃料噴霧Fの周辺部の燃料液滴Pが燃料添加弁7の噴射口7aに付着し、噴射口7aの詰まりの原因となるデポジットが生成されるおそれがある。
【0028】
そのような不具合に対し、本実施形態では、燃料添加弁7から排気通路4に向けて燃料が噴射されているときには、ディーゼルエンジン2からの排気ガスが導入流路12を流れて噴射通路10における燃料添加弁7側の領域に導入されるため、噴射通路10において燃料添加弁7側に向かう排気ガスの流れが抑制される。ここで、導入流路12は、内壁部8の円周方向に延在している。つまり、導入流路12は、内壁部8の円周方向に広がっている。従って、排気ガスが導入流路12から噴射通路10における燃料添加弁7側の領域に導入される際に、内壁部8の円周方向に対する排気ガスの流れの偏りが少なくなるため、燃料添加弁7から噴射される燃料噴霧Fの流れが乱れにくくなる。このため、燃料噴霧F自体の流れによる燃料噴霧Fの巻き返りが低減される。これにより、燃料添加弁7に付着する燃料噴霧Fが低減される。その結果、燃料添加弁7へのデポジットの生成を抑制し、燃料添加弁7の噴射口7aの詰まりを抑制することが可能となる。
【0029】
なお、本実施形態では、外壁部9は、内壁部8の径方向外側における排気通路4の上流側に配置されているが、特にそのような形態には限られない。外壁部9は、例えば内壁部8の径方向外側における排気通路4の下流側に配置されていてもよい。
【0030】
図6は、本発明の第2実施形態に係る排気浄化装置の主要部を示す断面図である。図6において、本実施形態の排気浄化装置1は、円筒状の内壁部20と、この内壁部20の径方向外側に配置された上記の外壁部9とを備えている。
【0031】
内壁部20は、図6及び図7に示されるように、上記の第1実施形態における内壁部8と同じ構造を呈する壁本体21と、この壁本体21の上端部に設けられ、内壁部20の内部を覆う円形状の庇部22とを有している。庇部22は、内壁部20の上側(燃料添加弁7側)に設けられている。庇部22は、燃料添加弁7から噴射される燃料を貫通させる円形状の開口部22aを有している。開口部22aは、上記の連通口13と協働して噴射通路10と導入流路12とを連通させる連通口を形成している。
【0032】
このような排気浄化装置1において、燃料添加弁7から燃料が噴射されていない状態(図6参照)では、排気通路4を流れる排気ガスが噴射通路10を燃料添加弁7側に向かって流れても、当該排気ガスが庇部22に当たる。従って、排気ガスが燃料添加弁7に到達しにくい。
【0033】
一方、燃料添加弁7から燃料が噴射されている状態では、図8に示されるように、噴射通路10に若干存在している排気ガスの流れによって、燃料添加弁7から噴射される燃料噴霧Fが巻き返り、燃料噴霧Fの周辺部の燃料液滴Pが燃料添加弁7に向かって飛んでも、燃料液滴Pが庇部22に当たる。従って、燃料噴霧Fの周辺部の燃料液滴Pが燃料添加弁7に到達しにくい。
【0034】
このように本実施形態では、燃料添加弁7から排気通路4に向けて燃料が噴射されていないときには、排気ガスが噴射通路10を燃料添加弁7側に向かって流れても、排気ガスが庇部22に当たるため、排気ガスが燃料添加弁7に到達することが抑制される。一方、燃料添加弁7から排気通路4に向けて燃料が噴射されているときには、噴射通路10において燃料添加弁7側に向かう若干の排気ガスの流れによって、燃料噴霧Fが燃料添加弁7に向かって飛んでも、燃料噴霧Fが庇部22に当たる。従って、燃料添加弁7に付着する燃料噴霧Fが更に低減される。
【0035】
図9は、本発明の第3実施形態に係る排気浄化装置の主要部を示す断面図である。図9において、本実施形態の排気浄化装置1は、円筒状の内壁部30と、この内壁部30の径方向外側に配置された円筒状の外壁部31とを備えている。外壁部31は、排気管3と一体化されている。外壁部31の上端位置は、内壁部30の上端位置よりも高い。
【0036】
内壁部30は、燃料添加弁7から噴射される燃料が通過する噴射通路32を形成している。噴射通路32は、排気通路4と連通している。内壁部30は、壁本体33と、この壁本体33の上端部に設けられ、内壁部30の内部を覆う円形状の庇部34とを有している。庇部34は、燃料添加弁7から噴射される燃料を貫通させる円形状の開口部34aを有している。
【0037】
外壁部31は、内壁部30の円周方向の全周にわたって内壁部30を取り囲むように配置されている。外壁部31は、内壁部30と協働して排気通路4を流れる排気ガスを噴射通路32における燃料添加弁7側の領域に導入する導入流路35を形成している。導入流路35は、内壁部30の円周方向に全周にわたって延在している。庇部34の開口部34aは、噴射通路32と導入流路35とを連通させる連通口を形成している。
【0038】
外壁部31は、壁本体36と、この壁本体36の上端部に設けられ、外壁部31の径方向内側に張り出した円環状の張出部分37とを有している。張出部分37の径方向内側の領域は、図10に示されるように、円形状の開口部37aとなっている。開口部37aの径は、外壁部31の外径よりも大きい。張出部分37には、上記の燃料添加弁7が取り付けられている。
【0039】
外壁部31の下端部には、外壁部31の径方向内側に突出した突出部38が設けられている。突出部38は、図10及び図11に示されるように、外壁部31の円周方向全周の1/2よりも長くなるように形成されている。外壁部31の円周方向に沿った突出部38の長さは、例えば外壁部31の円周方向全周の3/4程度である。
【0040】
突出部38の先端面38aには、雌ネジ39が切られている。内壁部30の壁本体33の外周面33aの下側部分には、雌ネジ39と螺合する雄ネジ40が切られている。雄ネジ40は、壁本体33の外周面33aの全周にわたって設けられている。
【0041】
このような内壁部30及び外壁部31を組み付けるときは、図10に示されるように、内壁部30を外壁部31の開口部37aから外壁部31の内部に挿入し、内壁部30の雄ネジ40が外壁部31の雌ネジ39と螺合するように、内壁部30を外壁部31の突出部38に対してねじ込んで締め付ける。これにより、図9に示されるように、内壁部30が外壁部31の突出部38に固定される。
【0042】
以上のような排気浄化装置1において、導入流路35は、内壁部30の円周方向に全周にわたって延在している。このため、排気通路4からの排気ガスは、図11及び図12に示されるように、導入流路35を内壁部30の円周方向の全周にわたって流れるようになる。従って、導入流路35を流れる排気ガスは、内壁部30の円周方向の全周から噴射通路32に導入される。
【0043】
このように本実施形態によれば、排気ガスが導入流路35を内壁部30の円周方向に全周にわたって流れる。従って、排気ガスが導入流路35から噴射通路32における燃料添加弁7側の領域に導入される際に、内壁部30の円周方向に対する排気ガスの流れの偏りが更に少なくなるため、燃料添加弁7から噴射される燃料噴霧Fの流れが更に乱れにくくなる。これにより、燃料添加弁7に付着する燃料噴霧Fが一層低減される。
【0044】
また、本実施形態では、内壁部30を外壁部31の突出部38に対してねじ込むことにより、内壁部30と外壁部31とが容易に組み付けられる。従って、排気浄化装置1の製造工程の簡素化を図ることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、内壁部30の燃料添加弁7側に円形状の庇部34が設けられているが、特にその形態には限られず、庇部34は無くてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、外壁部31が排気管3と一体化されているが、特にその形態には限られず、内壁部30が排気管3と一体化されていてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、内壁部30と外壁部31とがネジ止めされているが、特にその形態には限られず、外壁部31が内壁部30の全周にわたって内壁部30を取り囲むように配置されているのであれば、例えば内壁部30と外壁部31とが複数箇所でビス止めされていてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば、上記実施形態の排気浄化装置1は、DPF6を備えているが、本発明は、例えばフィルタとしてディーゼルPM,NOx同時低減触媒(DPNR)等を備えた排気浄化装置にも適用可能である。
【0049】
また、本発明は、特にディーゼルエンジンには限られず、ガソリンエンジンから排出される排気ガスを浄化する排気浄化装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…排気浄化装置、2…ディーゼルエンジン(内燃機関)、4…排気通路、7…燃料添加弁、8…内壁部、9…外壁部、10…噴射通路、12…導入流路、20…内壁部、22…庇部、22a…開口部、30…内壁部、31…外壁部、32…噴射通路、33a…外周面、34…庇部、34a…開口部、35…導入流路、38…突出部、38a…先端面、39…雌ネジ、40…雄ネジ、F…燃料噴霧。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12