(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】産業車両のバッテリ自動補水装置
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20230808BHJP
H01M 50/60 20210101ALI20230808BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/60
(21)【出願番号】P 2020068302
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】山田 和俊
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-302738(JP,A)
【文献】特開2003-272711(JP,A)
【文献】特開2001-210312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0000578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両の車体に搭載され、バッテリ精製水を貯留するバッテリ精製水貯留部と、
前記バッテリ精製水貯留部のバッテリ精製水をバッテリへ注水する注水機構と、
前記注水機構と前記バッテリを接続する給水路と、
前記バッテリの充電を制御する充電制御部と、
前記充電制御部による前記バッテリの充電後に前記注水機構を作動させる注水制御部と、
前記給水路に設けられ、前記給水路における水圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの検出圧に基づいて前記バッテリの満水を判別する満水判別部と、を備え、
前記注水制御部は、バッテリ精製水の前記バッテリへの注水時に前記満水判別部が満水であると判別すると注水を終了する産業車両のバッテリ自動補水装置において、
満水を予定する満水補水モードおよび非満水を予定する通常補水モードのいずれか一方の補水モードを選択する補水モード選択部と、
前記満水判別部が前記注水時に満水であると判別するとき、満水時の補正処理を行う満水時補正処理部と、
前記満水判別部が前記注水時に満水でないと判別するとき、非満水時の補正処理を行う非満水補正処理部と、を備え、
前記満水時補正処理部は、注水が2回連続して満水補水であるとき、満水補水後の充電による減水量と減水後に行った実際の注水時間である実績注水時間による補水量を一致させる補正を行い、
前記注水制御部は、前記満水時補正処理後および前記非満水時補正処理後に注水を終了することを特徴とする産業車両のバッテリ自動補水装置。
【請求項2】
前記バッテリを充電する毎に発生する過充電量を積算した積算過充電量が閾値である補水開始過充電量以上であるか否かを判別する過充電量判別部を備え、
前記補水モード選択部は、前記積算過充電量が前記補水開始過充電量以上であると判別されるとき、前回の充電時に設定された補正フラグの有無に応じて前記満水補水モードおよび前記通常補水モードのいずれか一方を選択し、
前記満水時補正処理部は、前回の注水が満水補水であることを示す満水フラグの有無を判別し、満水フラグ有のときに補正フラグ無に設定するとともに、満水フラグ有に設定し、満水フラグ無のとき補正フラグ有に設定するとともに、満水フラグ有に設定し、
前記非満水補正処理部は、前記補水モードを判別し、前記補水モードが前記通常補水モードのとき補正フラグ無とするとともに満水フラグを無とし、前記補水モードが前記満水補水モードのとき補正フラグ有とするとともに、満水フラグを無とし、
前記満水時補正処理後および前記非満水時補正処理後の注水終了後に前記積算過充電量をリセットするとともに前記補水開始過充電量を更新し、充電完了後に前記積算過充電量に今回の過充電量を加算することを特徴とする請求項1記載の産業車両のバッテリ自動補水装置。
【請求項3】
前記補水モード選択部により選択された前記補水モードの目標注水時間を前記積算過充電量に基づいて設定する目標注水時間設定部を備え、
前記目標注水時間設定部は、前記積算過充電量と変換係数と補正係数に基づいて減水分注水時間を算出し、
前記補水モード毎の補水モード係数として前記満水補水モードの満水補水モード用係数および通常補水モードの通常補水モード用係数を予め設定しておき、
前記減水分注水時間および前記補水モードに対応する前記補水モード係数に基づき前記目標注水時間を算出することを特徴とする請求項2記載の産業車両のバッテリ自動補水装置。
【請求項4】
前記満水時補正処理部は、
前記満水フラグ無と判別するとき前記補水モードを判別し、
前記補水モードが前記満水補水モードであると判別すると、前記実績注水時間が閾値を超えないか否かを判別し、
前記実績注水時間が閾値を超えないと判別されるとき、補正係数を補正せず、
前記補水モードが前記満水補水モードであると判別し、又は、前記実績注水時間が閾値を越えていると判別すると、補正係数を補正することを特徴とする請求項
2又は3記載の産業車両のバッテリ自動補水装置。
【請求項5】
前記非満水補正処理部は、前記補水モードが前記満水補水モードのとき、前記補正係数に予め設定した定数を加算して前記補正係数を補正することを特徴とする請求項3記載の産業車両のバッテリ自動補水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業車両の車体に搭載されたバッテリにバッテリ精製水を自動的に補給することが可能な産業車両のバッテリ自動補水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両のバッテリ自動補水装置の従来技術として、例えば、特許文献1に開示されたバッテリ液補水装置が知られている。特許文献1に開示されたバッテリ液補水装置では、バッテリの充電時間のうち、バッテリ内で電気分解によるガスの発生が検出されてからバッテリの充電が終了するまでの時間を計測する。そして、その計測時間の積算結果が予め設定された第1の設定時間に到達した場合に、バッテリ液の補水を行うようにしている。このように、充電時間のうち、電気分解によりガスが発生してから充電が終了するまでの時間を計測しているので、バッテリ内におけるバッテリ液の減少量を正確に把握できるとしている。このため、バッテリ内のバッテリ液があまり減っていないのに、バッテリに対してバッテリ液の補水が行われてしまうことを防止することができ、バッテリに対するバッテリ液の補水が必要以上に補水が行われてしまうことを防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたバッテリ液補水装置は、充電時にバッテリからガスが発生し始める転極電圧に達したときに、その後の充電時間を計測するが、転極電圧以降の充電では、満充電に達するための充電量と電気分解に使用される充電量が必要となる。転極電圧に達した以降の充電量から減水量を推定すると、減水を伴わない満充電のための充電量も減水量推定に含まれ、結果的に減水量の推定が不正確となる。このため、バッテリ液減水量の推定精度が低下するという問題がある。推定するバッテリ液減水量が著しく少ないと推定されると、バッテリ液に必要な量の補水がされず、バッテリの劣化を促進するおそれがある。逆に、推定するバッテリ液減水量が著しく多いと推定されると、バッテリ液に過度に補水されて補水配管内の給水圧が高くなり、配管系の耐久性を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、充電時のバッテリ液の減水量を精度良く推測でき、適切な補水量をバッテリに注水することが可能な補水産業車両のバッテリ自動補水装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、産業車両の車体に搭載され、バッテリ精製水を貯留するバッテリ精製水貯留部と、前記バッテリ精製水貯留部のバッテリ精製水をバッテリへ注水する注水機構と、前記注水機構と前記バッテリを接続する給水路と、前記バッテリの充電を制御する充電制御部と、前記充電制御部による前記バッテリの充電後に前記注水機構を作動させる注水制御部と、前記給水路に設けられ、前記給水路における水圧を検出する圧力センサと、前記圧力センサの検出圧に基づいて前記バッテリの満水を判別する満水判別部と、を備え、前記注水制御部は、バッテリ精製水の前記バッテリへの注水時に前記満水判別部が満水であると判別すると注水を終了する産業車両のバッテリ自動補水装置において、満水を予定する満水補水モードおよび非満水を予定する通常補水モードのいずれか一方の補水モードを選択する補水モード選択部と、前記満水判別部が前記注水時に満水であると判別するとき、満水時の補正処理を行う満水時補正処理部と、前記満水判別部が前記注水時に満水でないと判別するとき、非満水時の補正処理を行う非満水補正処理部と、を備え、前記満水時補正処理部は、注水が2回連続して満水補水であるとき、満水補水後の充電による減水量と減水後に行った実際の注水時間である実績注水時間による補水量を一致させる補正を行い、前記注水制御部は、前記満水時補正処理後および前記非満水時補正処理後に注水を終了することを特徴とする。
【0007】
本発明では、バッテリの充電が開始され、通常補水モードおよび満水補水モードのいずれかの補水モードが選択されると注水が行われる。満水判別部が圧力センサの検出による満水を判別すると、満水時の補正処理が行われる。満水時の補正処理では、注水が2回連続して満水補水であるとき、満水補水後の充電による減水量と減水後に行った実際の注水時間である実績注水時間による補水量を一致させる補正を行う。本発明によれば、充電時に補正の要否の判定、注水および補正を自動的に行うことができ、充電時のバッテリ液の減水量を精度良く推測でき、適切な補水量をバッテリに注水することが可能である。
【0008】
また、上記の産業車両のバッテリ自動補水装置において、前記バッテリを充電する毎に発生する過充電量を積算した積算過充電量が閾値である補水開始過充電量以上であるか否かを判別する過充電量判別部を備え、前記補水モード選択部は、前記積算過充電量が前記補水開始過充電量以上であると判別されるとき、前回の充電時に設定された補正フラグの有無に応じて前記満水補水モードおよび前記通常補水モードのいずれか一方を選択し、前記満水時補正処理部は、前回の注水が満水補水であることを示す満水フラグの有無を判別し、満水フラグ有のときに補正フラグ無に設定するとともに、満水フラグ有に設定し、満水フラグ無のとき補正フラグ有に設定するとともに、満水フラグ有に設定し、前記非満水補正処理部は、前記補水モードを判別し、前記補水モードが前記通常補水モードのとき補正フラグ無とするとともに満水フラグを無とし、前記補水モードが前記満水補水モードのとき補正フラグ有とするとともに、満水フラグを無とし、前記満水時補正処理後および前記非満水時補正処理後の注水終了後に前記積算過充電量をリセットするとともに前記補水開始過充電量を更新し、充電完了後に前記積算過充電量に今回の過充電量を加算する構成としてもよい。
【0009】
この場合、バッテリの充電が開始されると、積算過充電量が補水開始過充電量以上であるか否かを判別し、積算過充電量が補水開始過充電量以上であると判別されると補正フラグの有無を判別する。補正フラグの有無が判別されると、補正フラグの有無に応じて通常補水モードおよび満水補水モードのいずれかの補水モードが選択される。注水は行われるが、満水判別部が圧力センサの検出による満水を判別すると、満水時の補正処理が行われる。満水時の補正処理では、前回の充電時の注水が満水補水であることを示す満水フラグの有無を判別し、満水フラグ有のときに補正フラグ無に設定するとともに、満水フラグ有に設定する。満水フラグ無のときには補正フラグ有に設定するとともに、満水フラグ有に設定する。注水時に圧力センサによって満水が検出されないとき、満水判別部が注水時に満水でないと判別し、非満水時の補正処理が行われる。非満水時の補正処理では、前回の充電時の注水が満水補水であることを示す満水フラグの有無を判別し、満水フラグ有のときに補正フラグ無に設定するとともに、満水フラグ有に設定し、満水フラグ無のとき補正フラグ有に設定するとともに、満水フラグ有に設定する。これにより、充電時に補正の要否の判定、注水および補正を自動的に行うことができ、充電時のバッテリ液の減水量を精度良く推測でき、適切な補水量をバッテリに注水することが可能である。
【0010】
上記の産業車両のバッテリ自動補水装置において、前記補水モード選択部により選択された前記補水モードの目標注水時間を前記積算過充電量に基づいて設定する目標注水時間設定部を備え、前記目標注水時間設定部は、前記積算過充電量と変換係数と補正係数に基づいて減水分注水時間を算出し、前記補水モード毎の補水モード係数として前記満水補水モードの満水補水モード用係数および通常補水モードの通常補水モード用係数を予め設定しておき、前記減水分注水時間および前記補水モードに対応する前記補水モード係数に基づき前記目標注水時間を算出する構成としてもよい。
この場合、目標注水時間設定部は補水モード選択部により選択された補水モードの目標注水時間を積算過充電量に基づいて設定する。目標注水時間設定部は積算過充電量と変換係数と補正係数に基づいて減水分注水時間を算出するが、補水モードに対応する補水モード係数を用いて、補水モード毎の減水注水時間を算出することができる。したがって、満水補水モードの場合には、満水補水モード用係数を用いて満水補水モードの減水注水時間を算出し、通常補水モードの場合には、通常補水モード用係数を用いて通常補水モードの減水分注水時間を精度よく算出することができる。
【0011】
上記の産業車両のバッテリ自動補水装置において、前記満水時補正処理部は、前記満水フラグ無と判別するとき前記補水モードを判別し、前記補水モードが前記満水補水モードであると判別すると、前記実績注水時間が閾値を超えないか否かを判別し、前記実績注水時間が閾値を超えないと判別されるとき、補正係数を補正せず、前記補水モードが前記満水補水モードであると判別し、又は、前記実績注水時間が閾値を越えていると判別すると、補正係数を補正する構成としてもよい。
この場合、満水時補正処理部は、実際の注水時間である実績注水時間が閾値を超えないか否かを判別し、実績注水時間が閾値を超えないと判別されるとき、補正係数を補正しない。満水時補正処理部は、実績注水時間が閾値を越えていると判別すると、補正係数を補正する。したがって、実績注水時間に応じて補正の必要性の有無を判別することができる。
【0012】
上記の産業車両のバッテリ自動補水装置において、前記非満水補正処理部は、前記補水モードが前記満水補水モードのとき、前記補正係数に予め設定した定数を加算して前記補正係数を補正する構成としてもよい。
この場合、非満水補正処理部は、補水モードが満水補水モードであって非満水で補水が終了する場合、推定した減水分注水時間が実際に必要な減水分注水時間よりも過小である。補正係数に予め設定した定数を加算して補正係数を補正することにより、次回の減水分注水時間の推定精度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、充電時のバッテリ液の減水量を精度良く推測でき、適切な補水量をバッテリに注水することが可能な産業車両のバッテリ自動補水装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るバッテリ自動補水装置を搭載する産業車両としてのフォークリフトの側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るフォークリフトのバッテリ自動補水装置の概略構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るフォークリフトのバッテリ自動補水装置による注水の手順を示すフロー図である。
【
図4】補水モード別の目標注水時間を設定する手順を示すフロー図である。
【
図5】満水時の補正処理の手順を示すフロー図である。
【
図6】非満水時の補正処理の手順を示すフロー図である。
【
図7】工場出荷後のフォークリフトの補水事例を説明する説明図である。
【
図8】前回の補水結果と今回の補水モードおよび補水結果とによる補正処理の有無を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る産業車両のバッテリ自動補水装置について図面を参照して説明する。本実施形態の産業車両はバッテリ式フォークリフトである。本実施形態ではバッテリ式フォークリフトのバッテリ自動補水装置について例示して説明する。
【0016】
まず、バッテリ式フォークリフト(以下、単に「フォークリフト」と表記する。)について説明する。
図1に示すフォークリフト10は、車体11の前部に荷役装置12を備えている。車体11の中央付近には運転席13が設けられている。車体11の前部には前輪としての駆動輪14が設けられ、車体11の後部には後輪としての操舵輪15が設けられている。車体11の後部にはカウンタウエイト16が備えられており、カウンタウエイト16は車両重量の調整と車体11における重量バランスを図るためのものである。
【0017】
車体11における運転席13の下方にはバッテリ17が収容されている。バッテリ17は多数のバッテリセル(図示せず)を備えた鉛蓄電池である。バッテリ17の電力により駆動する走行モータ18が車体11に備えられている。走行モータ18と駆動輪14との間には、走行モータ18の走行駆動力を駆動輪14へ伝達する動力伝達機構(図示せず)が設けられている。
【0018】
車体11における運転席13には、オペレータが着座可能な運転シート19が設けられている。運転シート19は、車体11に開閉可能に設けられたシートスタンド20上に配置されている。運転シート19の前方には、操舵のためのステアリングホイール21が設けられている。運転席13の床にはアクセルペダル22が設けられており、アクセルペダル22はフォークリフト10の車速を調整するためのものである。フォークリフト10は、オペレータによるアクセルペダル22の踏み込み量に応じた車速となるように走行モータ18の駆動を制御する。
【0019】
車体11には、フォークリフト10の各部の電気的制御を行うメインコントローラ23が搭載している。メインコントローラ23は、カウンタウエイト16の前方に位置し、シートスタンド20により覆われている。また、次に説明するフォークリフト10のバッテリ自動補水装置(以下、単に「バッテリ自動補水装置」)25が備えるバッテリ精製水タンク26が車体11の内部に収容されるバッテリ17と車体11の上部に備えられる運転シート19との間に設置されている。
【0020】
次に、バッテリ自動補水装置25について説明する。バッテリ自動補水装置25は、予め設定された作動条件を満たすとき、バッテリ精製水をバッテリ17へ自動的に補給する装置である。
図2に示すように、バッテリ自動補水装置25は、メインコントローラ23と、バッテリ精製水タンク26と、給水管27と、給水ポンプ28と、ポンプモータ29と、圧力センサ30と、一括補水機構31と、を備えている。また、バッテリ自動補水装置25は、充電システム32と、充電コントローラ33と、充電ソケット34と、充電操作パネル35と、を備えている。
【0021】
バッテリ精製水タンク26は、バッテリ精製水を貯留するためのタンクであり、車体11の内部に収容されている。本実施形態では、バッテリ精製水タンク26は、バッテリ17に対するバッテリ精製水の補水を数回程度行える容量を有している。バッテリ精製水タンク26に貯留されるバッテリ精製水は純水である。バッテリ精製水をバッテリ精製水タンク26に補充する場合は、シートスタンド20を起立させることで、バッテリ精製水タンク26にバッテリ精製水を補充できる。バッテリ精製水タンク26はバッテリ精製水を貯留するバッテリ精製水貯留部に相当する。
【0022】
バッテリ精製水タンク26とバッテリ17とは、給水管27および一括補水機構31を介して接続されている。給水管27は、バッテリ精製水タンク26と一括補水機構31とを接続する配管である。一括補水機構31は給水管27より供給されるバッテリ精製水をバッテリ17の各セルに供給する機構であり、バッテリ17の各セルにバッテリ精製水を供給するための分岐管(図示せず)を備えている。分岐管の数はバッテリ17のセル数に対応する。給水管27および一括補水機構31は給水路に相当する。バッテリ17の各セルには一括補水機構31の分岐管と接続される止水弁(図示せず)が備えられている。止水弁は補水によってバッテリ液が満水になると補水を遮断する。
【0023】
給水ポンプ28は、バッテリ精製水タンク26に貯留されているバッテリ精製水をバッテリ17へ供給するためのポンプである。給水ポンプ28は、例えば、インペラの回転によってバッテリ精製水を圧送する渦巻ポンプであり、インペラを含む回転部(図示せず)を有する。ポンプモータ29は、給水ポンプ28の回転部を回転させるための電動モータである。ポンプモータ29は、メインコントローラ23と配線36により電気的に接続されており、ポンプモータ29の駆動制御は配線36を介してメインコントローラ23により行われる。配線36は信号線に相当する。給水ポンプ28およびポンプモータ29は、バッテリ精製水タンク26のバッテリ精製水をバッテリ17へ注水する注水機構に相当する。メインコントローラ23は注水機構を作動させる注水制御部に相当する。
【0024】
給水管27には圧力センサ30が設けられており、圧力センサ30は給水管27における水圧を検出する。圧力センサ30は配線37を介してメインコントローラ23と接続されている。したがって、圧力センサ30の検出圧はメインコントローラ23へ伝達される。メインコントローラ23はバッテリ17の満水を検出する満水判別部に相当する。
【0025】
本実施形態のメインコントローラ23は、ポンプモータ29を駆動制御するため、メインコントローラ23と配線36により電気的に接続されているほか、通信バス38を介して充電システム32および充電コントローラ33と接続されている。メインコントローラ23は、図示されないが、各種プログラムを実行して処理する中央処理部、各種プログラムや各種データを格納する記憶部および各部との通信の行うための通信部を有している。
【0026】
充電システム32はバッテリ17の充電を行うシステムであり、充電コントローラ33により制御される。充電システム32はバッテリ17および充電ソケット34と電力線39を介して接続されており、充電時には、外部電源(図示せず)と接続された充電プラグ(図示せず)が充電ソケット34に接続され、充電ソケット34および充電システム32を通じてバッテリ17は充電される。
【0027】
充電コントローラ33は配線40を介して充電ソケット34と接続されており、充電時の情報は配線40を通じて充電コントローラ33へ伝達される。充電操作パネル35は充電時にオペレータが操作する操作部に相当し、配線41を介して充電コントローラ33と接続されている。オペレータが充電操作パネル35を操作すると操作信号が配線41を通じて充電コントローラ33に伝達され、充電コントローラ33は操作信号に応じて充電システム32を制御する。充電コントローラ33は充電制御部に相当する。
【0028】
本実施形態のバッテリ自動補水装置25は、充電時のバッテリ液の減少量の推定により算出されるバッテリ精製水の注水量に対して実際に注水した実績の注水量との乖離があると判別できる場合、判別時における補水を含めて2回の満水補水を行うようにする。そして、バッテリ自動補水装置25は、バッテリ17への満水補水後の充電によるバッテリ液減少量に対して次回の満水補水量が一致するように補正する。充電時のバッテリ液の減少量の推定により算出されるバッテリ精製水の注水量に対して実績の注水量との乖離がある場合としては、満水とならないように時間補水(通常補水)を行ったが、満水となる場合、あるいは、満水となるような補水(満水補水)を行ったが満水にならかった場合である。
【0029】
バッテリ自動補水装置25は、
図3に示すフロー図の手順によって、補水が必要であるか否かの判別を行う。バッテリ自動補水装置25は、補水を行う必要があると判別するとき、バッテリ精製水の注水量を算出し、前回の補水の実績と今回の補水の条件によって必要となるバッテリ精製水の注水量の補正と、次回の補水に必要な補正フラグの設定を行う。
【0030】
まず、作業者は充電操作パネル35を操作してバッテリ17の充電を開始すると、充電システム32によって充電開始処理が行われる(ステップS01)。バッテリ17の充電によってバッテリ17の各セルではバッテリ液が減少する。次に、メインコントローラ23は積算過充電量Qが補水開始過充電量Qs以上であるか否かを判別する(ステップS02)。
【0031】
積算過充電量Qは、バッテリ17を充電する毎に発生する過充電量を積算した量であり、充電によって減少したバッテリ液の減水分を注水する場合の減水分注水時間Tsと比例する(Q∝Ts)。つまり、積算過充電量Qは、ポンプモータ29の駆動時間を累積した累積駆動時間Tpと比例する(Q∝Tp)。積算過充電量Qは、満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnの2種類に区別される。満水間積算過充電量Qmは、満水になるまで補水する満水補水と満水補水との間の過充電量を積算することにより求められる。補水間積算過充電量Qnは、満水補水だけでなく満水まで注水しない通常補水を含む補水間の過充電量を積算することにより求められる。通常補水は予め設定された時間の経過後に注水を終了する補水である。
【0032】
補水開始過充電量Qsは、補水が必要であるか否かを判別する閾値である。補水開始過充電量Qsは予めメインコントローラ23に設定されている。ステップS02では、積算過充電量Qとしては、補水間積算過充電量Qnを用い、満水間積算過充電量Qmは用いられない。メインコントローラ23は積算過充電量Qが補水開始過充電量Qs以上であるか否かを判別する過充電量判別部に相当する。
【0033】
積算過充電量Qが補水開始過充電量以上であると判別すると、メインコントローラ23は補正フラグの有無を判別する(ステップS03)。補正フラグは、補水モードを決定する際に用いるフラグであり、後述する満水時補正処理および非満水時補正処理において設定される。したがって、補正フラグは前回の補水時に設定されているフラグである。メインコントローラ23により補正フラグ有と判別されると、補水モードを満水補水モードに設定する(ステップS04)。メインコントローラ23により補正フラグ無と判別されると、補水モードを通常補水モードに設定する(ステップS05)。したがって、メインコントローラ23は、前回の充電時に設定された補正フラグの有無に応じて通常補水モードおよび満水補水モードのいずれか一方の補水モードを選択する補水モード選択部に相当する。
【0034】
満水補水モードは、バッテリ17が満水となるまでバッテリ精製水を注水する補水モードである。つまり、満水補水モードは満水を予定する補水モードである。通常補水モードは、後述する目標注水時間Tに基づいてバッテリ17へバッテリ精製水を注水する補水モードである。つまり、通常補水モードは非満水を予定する補水モードである。メインコントローラ23が補水モードを設定すると補水モード別の目標注水時間Tを設定する補水モード別目標注水時間設定に進む(ステップS06)。補水モード別目標注水時間設定の手順については後述する。
【0035】
補水モード別目標注水時間設定が完了すると、設定された目標注水時間Tに基づいてバッテリ17への注水が行われ、メインコントローラ23は、圧力センサ30が検出する水圧に基づいてバッテリ17の満水の有無を判別する(ステップS07)。メインコントローラ23により圧力センサ30がバッテリ17の満水を検出していないと判別されると、メインコントローラ23は実績注水時間Trが目標注水時間以上であるか否かを判別する(ステップS08)。実績注水時間Trは実際に注水に要した時間である。メインコントローラ23により実績注水時間Trが目標注水時間T以上ではないと判別されると、メインコントローラ23は注水を継続する(ステップS09)。そして、実績注水時間Trを更新する(ステップS10)。実績注水時間Trの更新後はステップS07へ戻る。
【0036】
ところで、ステップS07では、メインコントローラ23が、圧力センサ30がバッテリ17の満水を検出したと判別すると、満水時補正処理に進む(ステップS11)。満水時補正処理は、満水を検出した場合に行う処理であり、満水時補正処理の手順については後述する。また、ステップS08では、メインコントローラ23により実績注水時間Trが目標注水時間T以上であると判別されると、メインコントローラ23は、非満水時補正処理に進む(ステップS12)。非満水時補正処理は、実績注水時間Trが目標注水時間Tに達した場合に行う処理であり、非満水時補正処理の手順については後述する。満水時補正処理および非満水時補正処理が完了すると注水を終了する(ステップS13)。注水が終了すると、メインコントローラ23は積算過充電量Qをリセットする(ステップS14)。
【0037】
次に、メインコントローラ23は補水開始過充電量Qsを更新する(ステップS15)。補水開始過充電量Qsが更新されると、メインコントローラ23はバッテリ17が充電完了状態であるか否かを判別する(ステップS16)。ステップS16において、バッテリ17が充電完了状態であると判別されると、メインコントローラ23は積算過充電量Qに今回の過充電量を加算する(ステップS17)。ステップS16において、バッテリ17が充電完了状態でないと判別されるとループする。なお、ステップS02において、積算過充電量Qが補水開始過充電量Qs以上でないと判別されると、ステップS16に進む。つまり、ステップS02からステップS16へ進むことで充電の際の補水は行われない。
【0038】
積算過充電量Qに今回の過充電量を加算されると、充電システム32は充電終了処理を行う(ステップS18)。充電終了処理が完了することにより一連のステップ(S01~S18)が完了する。
【0039】
(補水モード別目標注水時間設定について)
ここで、補水モード別目標注水時間設定について説明する。補水モード別目標注水時間設定は、
図4に示すフロー図の手順に従い行われる。まず、メインコントローラ23は減水分注水時間Tsを算出する(ステップS101)。減水分注水時間Tsは、充電によって減少するバッテリ液をバッテリ精製水により補充するために必要な注水時間である。減水分注水時間Tsは、積算過充電量Qに変換係数Gおよび補正係数Hを乗じることで算出可能である(Ts=Q×G×H)。変換係数Gは積算過充電量Qから減水分注水時間Tsを算出するために予め設定される係数である。補正係数Hは積算過充電量Qと変換係数Gとの積を補正するための係数であり、後述する満水時補正処理および非満水時補正処理において算出される係数である。
【0040】
減水分注水時間Tsが算出されると、メインコントローラ23は、補水モードが満水補水モードであるか通常補水モードであるかを判別する(ステップS102)。補水モードは、既にステップS04、S05においていずれかの補水モードに設定されている。補水モードが満水補水モードのとき、メインコントローラ23は、補水モード係数Jを満水補水モード用係数Jmに設定する(ステップS103)。補水モードが通常補水モードのとき、メインコントローラ23は、補水モード係数Jを通常補水モード用係数Jnに設定する(ステップS104)。補水モード係数Jは補水モードに応じて用意された係数であり、減水分注水時間Tsに基づいて目標注水時間Tを算出する場合に用いる係数である。満水補水モード用係数Jmは、注水によって満水を実現し易くするため1よりも大きい値である。通常補水モード用係数Jnは、注水が満水によって終了しないようにし易くするため1未満の値である。通常補水モード用係数Jnおよび満水補水モード用係数Jmは、ポンプモータ29の能力等の補水条件を考慮して予めメインコントローラ23に設定される。
【0041】
補水モード係数Jが設定されると、メインコントローラ23は、補水モード係数Jを用いて目標注水時間Tを算出する(ステップS105)。目標注水時間Tは、ステップS101において算出された減水分注水時間Tsに補水モード係数Jを乗じることにより算出される。満水補水モードの場合には、減水分注水時間Tsに満水補水モード用係数Jmを乗じることにより、満水補水モードの目標注水時間Tmが算出される(Tm=Ts×Jm)。通常補水モードの場合には、減水分注水時間Tsに通常補水モード用係数Jnを乗じることにより、通常補水モードの目標注水時間Tnが算出される(Tn=Ts×Jn)。目標注水時間Tの算出により、補水モード別目標注水時間設定が完了し、補水モードに応じて設定された目標注水時間Tに基づいてバッテリ精製水の補水が行われる。本実施形態では、メインコントローラ23は、補水モード選択部により選択された補水モードの目標注水時間Tを積算過充電量Qに基づいて設定する目標注水時間設定部に相当する。
【0042】
(満水時補正処理について)
次に、満水時補正処理について説明する。
図3では、ステップS07にてメインコントローラ23が、圧力センサ30がバッテリ17の満水を検出したと判別すると、満水時補正処理を行う(ステップS11)。満水時補正処理は、
図5に示すフロー図の手順に従い行われる。まず、メインコントローラ23は、前回の補水時は満水フラグ有であったか否かを判別する(ステップS201)。前回が満水フラグ有であったとき、メインコントローラ23はマッチングによる補正係数Hを算出する(ステップS202)。マッチングによる補正係数Hは、積算過充電量Qに変換係数Gを乗じた値に満水までの実績注水時間Trを除することで算出可能である(H=Q×G×1/T
r)。マッチングによる補正とは、満水補水後の充電による減水量と今回の補水の実績注水時間Trによる補水量を一致させる補正である。このように、満水時補正処理では、注水が2回連続して満水補水であるとき、2回目の満水補水後の充電による減水量と減水後に行った実際の注水時間である実績注水時間Trによる補水量を一致させる補正を行う。
【0043】
メインコントローラ23は、マッチングによる補正係数Hを算出後、補正フラグ無に設定する(ステップS203)。補正フラグは、次回の補水時における補水モードを決定する際に用いるフラグである。ステップS202ではマッチングによる補正係数Hを求めているので、メインコントローラ23は補正フラグ無と設定する。補正フラグ無が設定されると、メインコントローラ23は、満水補水されたこと示す前回満水フラグ有に設定する(ステップS204)。前回満水フラグ有は、次回の補水時に前回の補水が満水であったこと示すために「前回」を付しているだけであり、メインコントローラ23は、今回の補水が満水補水であったことを示すように前回満水フラグ有と設定することで、次回の補水時のときに前回満水フラグ有と認識する。前回満水フラグ有に設定されると満水時補正処理は完了する。
【0044】
ところで、ステップS201において、前回が満水フラグ有でないとき、メインコントローラ23は、補水モードを判別する(ステップS205)。補水モードは、ステップS04、S05において設定されているので、補水モードが通常補水モードである場合には、メインコントローラ23は、現時点で設定されている補正係数Hから定数Kを減じて新たな補正係数Hm=(H-K)を算出する(ステップS206)。これは、今回の補水が通常補水モードで補水したにも関わらず満水となったため、補正係数Hの補正が必要となるためである。定数Kはポンプモータ29の能力等の補水条件を考慮して予めメインコントローラ23に設定される。
【0045】
新たな補正係数Hmが算出されると、メインコントローラ23は補正フラグ有に設定する(ステップS207)。補正フラグ有が設定される理由は、ステップS206において補正係数Hを新たな補正係数Hmに補正しているためである。補正フラグ有と設定されると、ステップS204へ進み、メインコントローラ23は、満水補水されたこと示す前回満水フラグ有に設定する。
【0046】
ステップS205において、補水モードが満水補水モードである場合には、メインコントローラ23は、実績注水時間Trが規定範囲Tx内か否かを判別する(ステップS208)。規定範囲である時間Txは、減水分注水時間Tsに通常補水モード用係数Jnを乗じた時間である(Tx=Ts×Jn)。メインコントローラ23は、実績注水時間Trが規定範囲内である(Tr<Tx)と判別すると補正フラグ無に設定する(ステップS209)。補正フラグ無が設定される理由は、満水補水モードによって満水となったが実績注水時間Trが規定範囲Tx内であることにより、補正係数Hを補正する必要がないためである。補正フラグ無と設定されると、ステップS204へ進み、メインコントローラ23は、満水補水されたこと示す前回満水フラグ有に設定する。
【0047】
ステップS208において、メインコントローラ23が、実績注水時間Trが規定範囲Tx内でない(Tr≧Tx)と判別すると、ステップS206へ進み、現時点で設定されている補正係数Hから定数Kを減じて新たな補正係数Hmを算出する。満水補水モードによって満水となったが実績注水時間Trが規定範囲Tx以上であるから、補正係数Hの補正が必要である。このように、満水時補正処理では、補正係数Hの補正によって補正フラグ有と設定するか、マッチングによる補正係数Hの算出又は補正係数Hを補正しないことによって補正フラグ無と設定し、前回満水フラグ有と設定する。補正フラグの有無および前回満水フラグ有については、次回の補水時に使用される。本実施形態では、メインコントローラ23は、満水判別部が注水時に満水であると判別するとき、満水時の補正処理を行う満水時補正処理部に相当する。
【0048】
(非満水時処理について)
次に、非満水時補正処理について説明する。
図3では、ステップS08にてメインコントローラ23が、実績注水時間Trが目標注水時間T以上であると判別すると、非満水時補正処理を行う(ステップS12)。非満水時補正処理は、
図6に示すフロー図の手順に従い行われる。まず、メインコントローラ23は、補水モードを判別する(ステップS301)。補水モードは、ステップS04、S05において設定されているので、補水モードが満水補水モードである場合には、メインコントローラ23は、現時点で設定されている補正係数Hに定数Kを加えて新たな補正係数Hn
=(H+K)を算出する(ステップS302)。これは、今回の補水が満水補水モードで補水したにも関わらず満水とならなかったことから、補正係数Hの補正が必要となるためである。
【0049】
新たな補正係数Hnが算出されると、メインコントローラ23は補正フラグ有に設定する(ステップS303)。補正フラグ有が設定される理由は、ステップS302において補正係数Hを新たな補正係数Hnに補正しているためである。補正フラグ有と設定されると、メインコントローラ23は、満水補水されなかったこと示す前回満水フラグ無に設定する(ステップS304)。前回満水フラグ無が設定されると、非満水時補正処理は終了する。非満水時補正処理が終了すると、ステップS13へ進み注水終了となる。
【0050】
ステップS301にて、補水モードが通常補水モードである場合には、メインコントローラ23は、補正フラグ無に設定する(ステップS305)。補水モードが通常補水モードである場合に補正フラグ無とする理由は、通常補水モードによる補水が、満水ではなく実績注水時間Trが目標注水時間Tとなって補水が終了するので、補正係数Hの補正が必要ないためである。補正フラグ無に設定されると、ステップS304へ進み、満水補水されなかったこと示す前回満水フラグ無に設定する。非満水時補正処理が終了すると、ステップS13へ進み注水終了となる。本実施形態では、メインコントローラ23は、注水時間判別部が実績注水時間Trは目標注水時間T以上であると判別するとき、非満水時の補正処理を行う非満水補正処理部に相当する。
【0051】
(工場出荷後充電と1回目の補水)
次に、本実施形態に係るバッテリ自動補水装置25による充電毎の補水について説明する。まず、工場出荷後の最初のバッテリ17の充電について説明すると、
図7に示すように、最初の充電はバッテリ17の各バッテリセルのバッテリ液の比重や電圧を均等化させる均等充電により充電を行う。バッテリ自動補水装置25は、均等充電では満水補水を行うが、均等充電による過充電が生じているので均等充電後のバッテリ17では減水は生じている。満水補水後には満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnをリセットする。均等充電での過充電量が満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnの初期値となる。
【0052】
(工場出荷後の2回目の補水、変換係数Gの設定のための補水)
この状態からバッテリ17の放電が行われ、2回目の充電では、
図7に示すように、放電された分を最適に充電する普通充電によりバッテリ17を充電する。普通充電では、満充電前には減水を抑制する定電圧充電を行いつつ満充電後に減水を伴う過充電を行う。その後、普通充電と放電を繰り返すがこの間は補水されない。補水されない理由は、補水間積算過充電量Qnが補水開始過充電量Qs未満であるためである(ステップS02を参照)。
図7に示すように、充電が繰り返され補水されない期間ではバッテリ液の減水は増大し、補水間積算過充電量Qnおよび満水間積算過充電量Qmは増大する。補水間積算過充電量Qnを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が、例えば、50%以上になったとき、バッテリ自動補水装置25は補水を行い、補水間積算過充電量Qnと減水分注水時間Tsとの変換係数Gを調整するため満水補水を行う。満水補水に要した実績注水時間Trは、補水間積算過充電量Qnと比例することから、メインコントローラ23は実績注水時間Trと補水間積算過充電量Qnに基づいて変換係数Gを決定する。満水補水での普通充電では過充電が生じているので、減水は生じており、満水補水後には満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnをリセットする。満水補水での普通充電での過充電量が満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnの初期値となる。
【0053】
(3回目の補水、満水後の補水)
次の3回目の補水は、前回の満水補水の場合と同様に、補水間積算過充電量Qnを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が、例えば、50%以上になったときである。補水間積算過充電量Qnの減水率換算で減水率が50%以上になる前では、充電を繰り返すがこの間は補水されない。変換係数Gが決定された満水補水後の補水は満水補水を行う必要がないので、補水モードは通常補水を行う通常補水モードに設定される(ステップS04)。通常補水モードの場合、補水モード別目標注水時間設定処理(ステップS06)において、補水モード用係数が通常補水モード用係数Jn(1未満)に設定される(ステップS104)。そして、通常補水モードの目標注水時間Tnは、減水分注水時間Tsに通常補水モード用係数Jnを乗じることにより算出される(ステップS105)。減水分注水時間Tsは、補水間積算過充電量Qnに変換係数Gおよび補正係数Hを乗じることで算出可能である(ステップS101)。
【0054】
通常補水モードの場合、減水分注水時間Tsに1未満の通常補水モード用係数Jnが乗じることから、目標注水時間Tnは、減水分注水時間Tsよりも短縮された時間となる。このため、目標注水時間Tnで通常補水を行うと、各セルは満水にならない。通常補水モードの目標注水時間Tnが、例えば、満水注水モードの場合の目標注水時間Tmの96%となるように、通常補水モード用係数Jnは設定されている。通常補水モードによる通常補水により実績注水時間Trが目標注水時間Tnに達してバッテリ17が満水にならないとき、非満水処理(ステップS12)が行われる。通常補水モードであるため、非満水処理では、補正フラグ無および前回満水フラグ無と設定される(ステップS304、S305)。補水後には補水間積算過充電量Qnをリセットし、満水間積算過充電量Qmはリセットせず積算を継続する。通常補水での普通充電での過充電量は、補水間積算過充電量Qnの初期値となるほか、満水間積算過充電量Qmに積算される。
【0055】
(4回目の補水、通常補水後の補水)
次の4回目の補水は、前回の通常補水の場合と同様に、補水間積算過充電量Qnを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が、例えば、50%以上になったときである。補水間積算過充電量Qnを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が50%以上になる前では、充電を繰り返すがこの間は補水されない。通常補水後の補水では満水補水を行う必要がないので、補水モードは通常補水を行う通常補水モードに設定される(ステップS04)。通常補水モードの場合、補水モード別目標注水時間設定処理(ステップS06)において、補水モード係数Jが通常補水モード用係数Jn(1未満)に設定される(ステップS104)。そして、目標注水時間Tnは、減水分注水時間Tsに補水モード係数Jを乗じることにより算出される(ステップS105)。減水分注水時間Tsは、補水間積算過充電量Qnに変換係数Gおよび補正係数Hを乗じることで算出可能である(ステップS101)。
【0056】
前回の3回目の通常補水では、満水になっていないので、補水間積算過充電量Qnに対応する減水分を注水してもバッテリセルは満水にならない。通常補水モードの目標注水時間Tnは、例えば、補水間積算過充電量Qnから算出される減水分注水時間Tsの100%となるように設定されている。通常補水モードによる通常補水により実績注水時間Trが目標注水時間Tnに達してバッテリ17が満水にならないとき、非満水時補正処理(ステップS12)が行われる。通常補水モードであるため、非満水時補正処理では、補正フラグ無および前回満水フラグ無と設定される(ステップS304、S305)。補水後には補水間積算過充電量Qnをリセットし、満水間積算過充電量Qmはリセットせず積算を継続する。通常補水での普通充電での過充電量は補水間積算過充電量Qnの初期値となるほか、満水間積算過充電量Qmに積算される。
【0057】
(5回目の補水、通常補水後の補水、偏り解消の満水補水)
次の5回目の補水は、満水間積算過充電量Qmを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が、150%以上になったときである。満水間積算過充電量Qmを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が150%以上になる前では、充電を繰り返すがこの間は補水されない。満水間積算過充電量Qmが減水率換算で150%以上になると、最も液面が低いバッテリセルと他のバッテリセルとの乖離発生の可能性が高い。このため、バッテリ自動補水装置25は強制的に満水補水を行う。満水補水を行うので、補水モードは満水補水を行う満水補水モードに設定される(ステップS04)。満水補水モードの場合、補水モード別目標注水時間設定処理(ステップS06)において、補水モード係数Jが満水補水モード用係数Jm(1超)に設定される(ステップS103)。なお、
図3~
図6の各フローでは示されないが、満水間積算過充電量Qmが閾値(150%)となった時も、メインコントローラ23は満水フラグを有に変更する。この場合、満水フラグ有に変更されることで、満水間積算過充電量Qmが閾値(150%)となった5回目の補水後に、補正フラグ有となっても満水補水がさらに2回繰り返されることがない。
【0058】
満水補水モードの目標注水時間Tmで補水され、各バッテリセルのバッテリ液が満水となる。満水補水での普通充電では過充電が生じているので、減水は生じており、満水補水後には満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnをリセットする。満水補水での普通充電での過充電量が満水間積算過充電量Qmおよび補水間積算過充電量Qnの初期値となる。この満水補水後は、放電と充電が繰り返され、この間は補水が行われない。この満水補水後の補水は、補水間積算過充電量Qnを減水率に換算した減水率(補水開始過充電量Qs)が、例えば、50%以上になったときである。そして、満水補水後の次回の補水は通常補水が予定される。
【0059】
ところで、補水では、減水分注水時間Tsの推定精度が規定範囲Tx内にある場合、満水補水モードによる補水は満水補水となり、通常補水モードによる補水は満水とならずに終了する。しかし、減水分注水時間Tsの推定精度が許容範囲にない場合、すなわち、満水補水モードによる補水であるのに満水にならない場合や、通常補水モードによる補水であるのに満水になる。減水分注水時間Tsの推定精度が許容範囲にない場合、以下の手順で減水分注水時間Tsの推定精度を許容範囲となるように補正する。
【0060】
(満水補水モードによる補水で満水にならない場合)
満水補水モードによる補水で満水にならない場合は、満水補水モードの目標注水時間Tmで補水しても、ステップS07で満水を検出せず、ステップS08で実績注水時間Trが目標注水時間Tm以上となった場合である。この場合の目標注水時間Tmは実績注水時間Trよりも過小である。この場合、ステップS12の非満水処理におけるステップS302で、現時点で設定されている補正係数Hに定数Kを加えて新たな補正係数Hn
=(H+K)を算出し、ステップS303で補正フラグ有となる(
図8のパターン3、8を参照)。そして、ステップS304で前回満水フラグ無となる。この場合、前回の補水結果が満水であるか非満水であるかは関係ない。
【0061】
このため、次回の補水では、ステップS03、S04、S06を通る。ステップS06の補水モード別目標注水時間設定では、ステップS101において減水分注水時間Tsが算出されるが、新たな補正係数Hnが反映されるため、減水分注水時間Tsの推定精度が向上する。減水分注水時間Tsの推定精度が向上することにより、ステップS105で算出される目標注水時間Tnが実績注水時間Trにより近づく。
【0062】
(前回の補水が非満水で通常補水モードによる補水で満水となる場合)
前回の補水が非満水であって通常補水モードによる補水であるのに満水になる場合は、通常補水モードの目標注水時間Tnで補水しても、ステップS07で満水を検出する場合である。この場合の目標注水時間Tnは実績注水時間Trよりも過大である。この場合、ステップS11の満水時補正処理におけるステップS206で、現時点で設定されている補正係数Hに定数Kを差し引き新たな補正係数Hm
=(H-K)を算出する。そして、ステップS207で補正フラグ有となり、ステップS204で前回満水フラグ有となる(
図8のパターン6を参照)。
【0063】
このため、次回の補水では、ステップS03、S04、S06を通る。ステップS06の補水モード別目標注水時間設定では、ステップS101において減水分注水時間Tsが算出されるが、新たな補正係数Hmが反映されるため、減水分注水時間Tsの推定精度が向上する。減水分注水時間Tsの推定精度が向上することにより、ステップS105で算出される目標注水時間Tmが実績注水時間Trにより近づく。
【0064】
(前回の補水が満水で通常補水モードによる補水で満水となる場合)
前回の補水が満水であって通常補水モードによる補水であるのに満水になる場合は、通常補水モードの目標注水時間Tnで補水しても、ステップS07で満水を検出する場合である。この場合の目標注水時間Tnは実績注水時間Trよりも過大である。この場合、ステップS11の満水時補正処理におけるステップS202で、マッチングによる補正係数Hを算出する。マッチングによる補正係数Hは、積算過充電量Qに変換係数Gを乗じた値に満水までの実績注水時間Trを除することで算出可能である(H=Q×G×1/T
r)。そして、ステップS203で補正フラグ無となり、ステップS204で前回満水フラグ有となる(
図8のパターン1を参照)。
【0065】
このため、次回の補水では、ステップS03、S05、S06を通る。ステップS06の補水モード別目標注水時間設定では、ステップS101において減水分注水時間Tsが算出されるが、マッチングによる補正係数Hが反映されるため、減水分注水時間Tsの推定精度が向上する。減水分注水時間Tsの推定精度が向上することにより、ステップS105で算出される目標注水時間Tmが実績注水時間Trにより近づく。
【0066】
ところで、満水補水モードで補水結果が満水となっても、実績注水時間Trが減水分注水時間Tsよりも著しく小さい場合(Tr<<Ts)が考えられる。この場合、前回の補水が満水の場合にはステップS11の満水処理におけるステップS202で、マッチングによる補正係数Hを算出する(
図8のパターン2を参照)。一方、前回の補水が非満水の場合にはこの場合、ステップS11の満水処理におけるステップS206で、現時点で設定されている補正係数Hに定数Kを差し引き新たな補正係数Hm
=(H-K)を算出する(
図8のパターン7を参照)。
【0067】
図8において、減水分注水時間Tsの推定精度が規定範囲Tx内であるパターン5、10では、前回の補水結果に関わらず、補水モードが通常補水モードで今回の補水結果が非満水となる場合であり、非満水時補正処理において補正を行わないS301、S305を通る。
【0068】
図8において、減水分注水時間Tsの推定精度が規定範囲Tx内であるパターン9では、前回の補水は非満水であり、そして、補水モードが満水モード(実績注水時間Trが減水分注水時間Tsよりも著しく小さくない)であって今回の補水結果が満水となる場合である。この場合、満水時補正処理において補正を行わないS208、S209を通る。
【0069】
なお、
図8において、減水分注水時間Tsの推定精度が規定範囲Tx内であるパターン4では、前回の補水は満水であって、補水モードが満水補水モードで今回の補水結果が満水となる場合であり、ステップS11の満水時補正処理におけるステップS202で、マッチングによる補正係数Hを算出する。これは前回の補水と今回の補水とが満水で2回連続となるためである。
【0070】
本実施形態に係るバッテリ自動補水装置25は以下の作用効果を奏する。
(1)バッテリ17の充電が開始され、通常補水モードおよび満水補水モードのいずれかの補水モードが選択されると注水が行われる。満水判別部としてのメインコントローラ23が圧力センサ30の検出による満水を判別すると、満水時の補正処理が行われる。満水時の補正処理では、注水が2回連続して満水補水であるとき、メインコントローラ23は満水補水後の充電による減水量と減水後に行った実際の注水時間である実績注水時間による補水量を一致させる補正を行う。これにより、充電時に補正の要否の判定、注水および補正を自動的に行うことができ、充電時のバッテリ液の減水量を精度良く推測でき、適切な補水量をバッテリ17に注水することが可能である。
【0071】
(2)メインコントローラ23は、バッテリ17の充電が開始されると、積算過充電量Qが補水開始過充電量Qs以上であるか否かを判別し、積算過充電量Qが補水開始過充電量Qs以上であると判別されると補正フラグの有無を判別する。補正フラグの有無が判別されると、補正フラグの有無に応じて通常補水モードおよび満水補水モードのいずれかの補水モードが選択され、補水モードに応じた目標注水時間Tが設定される。注水は設定された目標注水時間Tに基づいて行われるが、メインコントローラ23が圧力センサ30の検出による満水を判別すると、満水時の補正処理が行われる。満水時の補正処理では、前回の充電時の注水が満水補水であることを示す満水フラグの有無を判別し、満水フラグ有のときに補正フラグ無に設定するとともに、満水フラグ有に設定する。メインコントローラ23は、満水フラグ無のときには補正フラグ有に設定するとともに、満水フラグ有に設定する。充電の注水時に圧力センサ30によって満水が検出されないとき、メインコントローラ23は、注水時に満水でないと判別し、実際の注水時間である実績注水時間Trが目標注水時間T以上であると判別するとき、非満水時の補正処理が行われる。メインコントローラ23は、非満水時の補正処理では、補正モードを判別し、補水モードが通常補水モードのとき補正フラグ無とするとともに満水フラグを無とし、補水モードが満水補水モードのとき補正フラグ有とするとともに満水フラグを無とする。したがって、バッテリ自動補水装置25によれば、給水ポンプ28およびポンプモータ29の効率変動等が発生しても、充電時に補正の要否の判定、注水および補正を自動的に行うことができる。そして、充電時のバッテリ液の減水量を精度良く推測でき、適切な補水量をバッテリ17に注水することが可能である。
【0072】
(3)メインコントローラ23は、積算過充電量Qと変換係数Gと補正係数Hに基づいて減水分注水時間Tsを算出するが、補水モードに対応する補水モード係数Jを用いて、補水モード毎の減水分注水時間Tsを算出することができる。したがって、満水補水モードの場合には、満水補水モード用係数Jmを用いて満水補水モードの減水分注水時間Tsを算出し、通常補水モードの場合には、通常補水モード用係数Jnを用いて通常補水モードの減水分注水時間Tsを精度よく算出することができる。
【0073】
(4)メインコントローラ23は、実際の注水時間である実績注水時間Trが閾値である規定範囲Txを超えないか否かを判別し、実績注水時間Trが規定範囲Txを超えないと判別されるとき、補正係数Hを補正しない。メインコントローラ23は、実績注水時間Trが規定範囲Tx以上であると判別すると、補正係数Hを補正する。したがって、実績注水時間Trに応じて補正の必要性の有無を判別することができる。
【0074】
(5)メインコントローラ23は、補水モードが満水補水モードであって非満水で補水が終了する場合、推定した減水分注水時間Tsが実際に必要な減水分注水時間Tsよりも過小である。補正係数Hに予め設定した定数Kを加算して補正係数Hnに補正することにより、次回の減水分注水時間Tsの推定精度を高くすることができる。
【0075】
(6)前回の補水と今回の補水が満水である場合、今回の補水モードが満水補水モード、通常補水モードに関わらず、今回の補水の実績注水時間Trを用いたマッチングによる補正係数Hの補正を行う。このため、減水分注水時間Tsに対して実績注水時間Trとの乖離が大きいと判別できるとき、満水となる補水を2回連続させることで、1回目の満水補水後の充電による液減水量に対して次回の満水補水の補水量が一致する関係に補正することができる。
【0076】
(7)補水が繰り返される中で、満水による補水を低減する一方で、減水分注水時間Tsの補正が必要な場合には満水による補水を2回連続させることにより、減水分注水時間Tsの推定がより正確となり、継続的に精度の高さを維持することができる。また、メインコントローラ23が自動的に補正の要否を判別して補水および補正を行うので、フォークリフト10のオペレータは補水および補正に対して特別な操作を行ったり、意識したりする必要がない。
【0077】
(8)バッテリ17の満充電前には減水を抑制する定電圧充電を行いつつ満充電後に減水を伴う過充電を行うことから、バッテリ液減水の要因としてほぼ特定される過充電量からの減水量を推定するため、減水量の推定の精度を向上させることができる。
【0078】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0079】
○ 上記の実施形態では、減水分注水時間を推定して目標注水時間を算出し、目標注水時間をモータの通電時間として補水するとしたが、この限りではない。例えば、モータ通電時間に代えてモータ回転数や補水量を計測する流量センサ等を直接計測するようにしてもよい。
○ 過充電量は、上記の実施形態の場合だけでなく、例えば、充電システムに設けられる電流センサの検出に基づく放電量と充電量の差としてもよい。
○ タンク水位計等を設けることにより実際に補水した補水量を計測し、補水量および減水分注水時間に基づき推定される減水量を個別に補正してもよい。
○ 上記の実施形態では、なお、
図3における一連の処理は、主にメインコントローラ23が行うとしたが、例えば、メインコントローラ23に代えて充電コントローラ33が処理を行うようにしてもよい。この場合、充電コントローラ33は、充電制御部のほか、注水制御部、満水判別部、過充電量判別部、補水モード選択部、満水時補正処理部、非満水補正処理部に相当する。
○ 上記の実施形態では、産業車両としてのフォークリフトについて例示したがこれに限らない。産業車両は、牽引車や建設車両等、バッテリ自動補水装置を搭載可能な産業車両であれば特に限定されない。
【符号の説明】
【0080】
10 フォークリフト
12 荷役装置
17 バッテリ
18 走行モータ
23 メインコントローラ(注水制御部/満水判別部/過充電量判別部/満水時補正処理部/非満水補正処理部)
25 バッテリ自動補水装置
26 バッテリ精製水タンク
27 給水管(給水路)
28 給水ポンプ(注水機構)
29 ポンプモータ(注水機構)
30 圧力センサ
31 一括補水機構(給水路)
33 充電コントローラ(充電制御部)
35 充電操作パネル
Q 積算過充電量
Qm 満水間積算過充電量
Qn 補水間積算過充電量
Qs 補水開始過充電量(閾値)
T 目標注水時間
Tn 目標注水時間(通常補水モード)
Tm 目標注水時間(満水補水モード)
Tr 実績注水時間
Ts 減水分注水時間
Tx 規定範囲
G 変換係数
H 補正係数
Hm 新たな補正係数
Hn 新たな補正係数
J 補水モード係数
Jn 通常補水モード用係数
Jm 満水補水モード用係数
K 定数