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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】タービンハウジング
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
F02B39/00 D
F02B39/00 S
F02B39/00 T
F02B39/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020075203
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021173175
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上村 章仁
(72)【発明者】
【氏名】加藤 稔也
(72)【発明者】
【氏名】樹杉 剛
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0252775(US,A1)
【文献】国際公開第2019/044776(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0120132(US,A1)
【文献】特開2013-170504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00- 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンから排出される排ガスが流れる排気通路の一部であるとともにタービンホイールを囲繞するように形成される渦巻状のスクロール流路の内壁を少なくとも形成する内装部材と、
前記内装部材を空隙部を介して収容する外装部材と、により形成されたタービンハウジングであって、
前記内装部材は、前記空隙部と前記排気通路とを連通させる連通部を有し、
前記連通部は、前記内装部材における水平方向に延びる前記タービンホイールの軸線よりも鉛直方向下側にのみ形成され、
前記外装部材は、
板状の底壁と、前記底壁の外周部から筒状に立設される周壁と、を有する有底筒状のハウジング本体部と、
前記ハウジング本体部の前記周壁の開口を閉塞する閉塞部材と、を有し、
前記内装部材は、
前記スクロール流路における前記ハウジング本体部側の内壁を形成するスクロール流路形成プレートを有し、
前記空隙部は、前記ハウジング本体部と前記スクロール流路形成プレートとの間に形成されるスクロール空隙部を含み、
前記連通部は、前記スクロール空隙部と前記スクロール流路とを連通させるスクロール連通部を含むことを特徴とするタービンハウジング。
【請求項2】
前記スクロール連通部は、前記スクロール流路形成プレートにおける最下部に形成されていることを特徴とする請求項に記載のタービンハウジング。
【請求項3】
エンジンから排出される排ガスが流れる排気通路の一部であるとともにタービンホイールを囲繞するように形成される渦巻状のスクロール流路の内壁を少なくとも形成する内装部材と、
前記内装部材を空隙部を介して収容する外装部材と、により形成されたタービンハウジングであって、
前記内装部材は、前記空隙部と前記排気通路とを連通させる連通部を有し、
前記外装部材は、
板状の底壁と、前記底壁の外周部から筒状に立設される周壁と、を有する有底筒状のハウジング本体部と、
前記ハウジング本体部の前記周壁の開口を閉塞する閉塞部材と、を有し、
前記内装部材は、
前記スクロール流路における前記ハウジング本体部側の内壁を形成するスクロール流路形成プレートを有し、
前記空隙部は、前記ハウジング本体部と前記スクロール流路形成プレートとの間に形成されるスクロール空隙部を含み、
前記連通部は、前記スクロール空隙部と前記スクロール流路とを連通させるスクロール連通部を含み、
前記スクロール連通部は、前記スクロール流路形成プレートにおける最下部に形成されており、
前記スクロール空隙部は、前記ハウジング本体部の内周面と前記スクロール流路形成プレートの外周面との間の距離が前記スクロール連通部に近づくにつれて徐々に短くなっていく空隙縮小部を有していることを特徴とするタービンハウジング。
【請求項4】
前記内装部材は、前記スクロール流路における前記閉塞部材側の内壁を形成する環状プレートをさらに有し、
前記空隙部は、前記閉塞部材と前記環状プレートとの間に形成される環状空隙部を含み、
前記連通部は、前記環状空隙部と前記スクロール流路とを連通させる環状プレート連通部を含むことを特徴とする請求項~請求項のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ターボチャージャのタービンハウジングとしては、二重構造のタービンハウジングが知られている。例えば、特許文献1に開示されているようなタービンハウジングは、内装部材と、内装部材を空隙部を介して収容する外装部材と、により形成されている。内装部材は、エンジンから排出される排ガスが流れる排気通路の一部であるとともにタービンホイールを囲繞するように形成される渦巻状のスクロール流路の内壁を少なくとも形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-108974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンから排出される排ガスには、水蒸気が含まれている。ここで、内装部材は、排ガスの熱によって暖められるが、内装部材と外装部材との間に空隙部が形成されているため、内装部材から外装部材への熱の伝達が行われ難くなっている。したがって、外装部材と内装部材とは温度差が生じており、外装部材は、内装部材よりも温度が低くなっている。このとき、例えば、外装部材と内装部材との間の空隙部に排ガスが流入すると、空隙部に流入した排ガスと外装部材との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して空隙部に凝縮水が生じる場合がある。こうして生じた凝縮水が空隙部に溜まると、外装部材及び内装部材の腐食の原因となる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外装部材と内装部材との間の空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制できるタービンハウジングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するタービンハウジングは、エンジンから排出される排ガスが流れる排気通路の一部であるとともにタービンホイールを囲繞するように形成される渦巻状のスクロール流路の内壁を少なくとも形成する内装部材と、前記内装部材を空隙部を介して収容する外装部材と、により形成されたタービンハウジングであって、前記内装部材は、前記空隙部と前記排気通路とを連通させる連通部を有する。
【0007】
これによれば、例えば、外装部材と内装部材との間の空隙部に排ガスが流入して、空隙部に流入した排ガスと外装部材との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して空隙部に凝縮水が生じても、凝縮水を空隙部から連通部を介して排気通路へ排出することができる。そして、空隙部から連通部を介して排気通路へ排出された凝縮水は、排気通路を流れる排ガスと共に排気通路を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりするため、外装部材と内装部材との間の空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制できる。
【0008】
上記タービンハウジングにおいて、前記連通部は、前記内装部材における水平方向に延びる前記タービンホイールの軸線よりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されているとよい。
【0009】
空隙部で凝縮水が生じた場合、空隙部に生じた凝縮水は、自重によって空隙部を鉛直方向下側に流れていく。このとき、連通部が、内装部材における水平方向に延びるタービンホイールの軸線よりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されているため、自重によって空隙部を鉛直方向下側に流れていく凝縮水が空隙部から連通部を介して排気通路へ排出され易い。したがって、空隙部で生じた凝縮水を空隙部から連通部を介して排気通路へ効率良く排出することができ、空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0010】
上記タービンハウジングにおいて、前記外装部材は、板状の底壁と、前記底壁の外周部から筒状に立設される周壁と、を有する有底筒状のハウジング本体部と、前記ハウジング本体部の前記周壁の開口を閉塞する閉塞部材と、を有し、前記内装部材は、前記スクロール流路における前記ハウジング本体部側の内壁を形成するスクロール流路形成プレートを有し、前記空隙部は、前記ハウジング本体部と前記スクロール流路形成プレートとの間に形成されるスクロール空隙部を含み、前記連通部は、前記スクロール空隙部と前記スクロール流路とを連通させるスクロール連通部を含むとよい。
【0011】
ハウジング本体部とスクロール流路形成プレートとの間に形成されるスクロール空隙部に排ガスが流入して、スクロール空隙部に流入した排ガスとハウジング本体部との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮してスクロール空隙部に凝縮水が生じる場合がある。この場合であっても、凝縮水をスクロール空隙部からスクロール連通部を介してスクロール流路へ排出することができる。そして、スクロール空隙部からスクロール連通部を介してスクロール流路へ排出された凝縮水は、スクロール流路を流れる排ガスと共にスクロール流路を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりするため、ハウジング本体部とスクロール流路形成プレートとの間のスクロール空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制できる。
【0012】
上記タービンハウジングにおいて、前記スクロール連通部は、前記スクロール流路形成プレートにおける最下部に形成されているとよい。
スクロール空隙部で生じた凝縮水は、自重によってスクロール空隙部を鉛直方向下側に流れていくため、スクロース空隙部で生じた凝縮水はスクロール空隙部の最下部に溜まり易い。このとき、スクロール連通部が、スクロール流路形成プレートにおける最下部に形成されているため、スクロール空隙部の最下部に溜まった凝縮水がスクロール空隙部からスクロール連通部を介してスクロール流路へ排出され易い。したがって、スクロール空隙部で生じた凝縮水をスクロール空隙部からスクロール連通部を介してスクロール流路へ効率良く排出することができ、スクロール空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0013】
上記タービンハウジングにおいて、前記スクロール空隙部は、前記ハウジング本体部の内周面と前記スクロール流路形成プレートの外周面との間の距離が前記スクロール連通部に近づくにつれて徐々に短くなっていく空隙縮小部を有しているとよい。
【0014】
これによれば、スクロース空隙部が空隙縮小部を有していない構成と比べて、スクロール空隙部におけるスクロール連通部よりも鉛直方向下側の部分の容積が小さくなる。よって、スクロール空隙部の最下部に溜まった凝縮水がスクロール空隙部からスクロール連通部を介してスクロール流路へさらに排出され易くなる。したがって、スクロール空隙部で生じた凝縮水をスクロール空隙部からスクロール連通部を介してスクロール流路へさらに効率良く排出することができ、スクロール空隙部に凝縮水が溜まってしまうことをさらに抑制し易くできる。
【0015】
上記タービンハウジングにおいて、前記内装部材は、前記排気通路の一部であるとともに前記スクロール流路に前記排ガスを導入する導入流路の内壁を形成する筒状の導入流路形成プレートを有し、前記外装部材は、前記導入流路形成プレートを収容する筒状の導入部形成部を有し、前記空隙部は、前記導入部形成部と前記導入流路形成プレートとの間に形成される導入部空隙部を含み、前記連通部は、前記導入部空隙部と前記排気通路とを連通させる導入部連通部を含むとよい。
【0016】
導入部形成部と導入流路形成プレートとの間に形成される導入部空隙部に排ガスが流入して、導入部空隙部に流入した排ガスと導入部形成部との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して導入部空隙部に凝縮水が生じる場合がある。この場合であっても、凝縮水を導入部空隙部から導入部連通部を介して排気通路へ排出することができる。そして、導入部空隙部から導入部連通部を介して排気通路へ排出された凝縮水は、排気通路を流れる排ガスと共に排気通路を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりするため、導入部形成部と導入流路形成プレートとの間の導入部空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制できる。
【0017】
上記タービンハウジングにおいて、前記導入部連通部は、前記導入流路形成プレートにおける最下部に形成されているとよい。
導入部空隙部で生じた凝縮水は、自重によって導入部空隙部を鉛直方向下側に流れていくため、導入部空隙部で生じた凝縮水は導入部空隙部の最下部に溜まり易い。このとき、導入部連通部が、導入流路形成プレートにおける最下部に形成されているため、導入部空隙部の最下部に溜まった凝縮水が導入部空隙部から導入部連通部を介して排気通路へ排出され易い。したがって、導入部空隙部で生じた凝縮水を導入部空隙部から導入部連通部を介して排気通路へ効率良く排出することができ、導入部空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0018】
上記タービンハウジングにおいて、前記内装部材は、前記スクロール流路における前記閉塞部材側の内壁を形成する環状プレートをさらに有し、前記空隙部は、前記閉塞部材と前記環状プレートとの間に形成される環状空隙部を含み、前記連通部は、前記環状空隙部と前記スクロール流路とを連通させる環状プレート連通部を含むとよい。
【0019】
閉塞部材と環状プレートとの間に形成される環状空隙部に排ガスが流入して、環状空隙部に流入した排ガスと閉塞部材との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して環状空隙部に凝縮水が生じる場合がある。この場合であっても、凝縮水を環状空隙部から環状プレート連通部を介してスクロール流路へ排出することができる。そして、環状空隙部から環状プレート連通部を介してスクロール流路へ排出された凝縮水は、スクロール流路を流れる排ガスと共にスクロール流路を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりする。したがって、ハウジング本体部とスクロール流路形成プレートとの間のスクロール空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制することに加えて、閉塞部材と環状プレートとの間の環状空隙部に凝縮水が溜まってしまうことも抑制できる。
【0020】
上記タービンハウジングにおいて、前記外装部材は、板状の底壁と、前記底壁の外周部から筒状に立設される周壁と、を有する有底筒状のハウジング本体部と、前記ハウジング本体部の前記周壁の開口を閉塞する閉塞部材と、を有し、前記内装部材は、前記スクロール流路における前記ハウジング本体部側の内壁を形成するスクロール流路形成プレートと、前記スクロール流路における前記閉塞部材側の内壁を形成する環状プレートと、を有し、前記空隙部は、前記閉塞部材と前記環状プレートとの間に形成される環状空隙部を含み、前記連通部は、前記環状空隙部と前記スクロール流路とを連通させる環状プレート連通部を含むとよい。
【0021】
閉塞部材と環状プレートとの間に形成される環状空隙部に排ガスが流入して、環状空隙部に流入した排ガスと閉塞部材との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して環状空隙部に凝縮水が生じる場合がある。この場合であっても、凝縮水を環状空隙部から環状プレート連通部を介してスクロール流路へ排出することができる。そして、環状空隙部から環状プレート連通部を介してスクロール流路へ排出された凝縮水は、スクロール流路を流れる排ガスと共にスクロール流路を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりするため、閉塞部材と環状プレートとの間の環状空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、外装部材と内装部材との間の空隙部に凝縮水が溜まってしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態におけるターボチャージャの側断面図。
図2】ターボチャージャの一部を拡大して示す側断面図。
図3】ターボチャージャの縦断面図。
図4】タービンハウジングの一部を拡大して示す断面図。
図5】第2の実施形態におけるタービンハウジングの一部を拡大して示す断面図。
図6】別の実施形態におけるターボチャージャの一部を拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、ターボチャージャに用いられるタービンハウジングを具体化した第1の実施形態を図1図4にしたがって説明する。本実施形態のターボチャージャは、車両に搭載されている。ターボチャージャは、車両のエンジンへの吸気の過給を行う。
【0025】
図1に示すように、ターボチャージャ10のハウジング11は、ベアリングハウジング20、タービンハウジング30、及びコンプレッサハウジング40を有している。ベアリングハウジング20及びコンプレッサハウジング40は、鋳造製である。タービンハウジング30の内部には、エンジンEから排出された排ガスが流れる。コンプレッサハウジング40の内部には、エンジンEへ導かれる吸気が流れる。
【0026】
ベアリングハウジング20は、インペラシャフト12を回転可能に支持する。インペラシャフト12の回転軸線方向の一端には、タービンホイール13が連結されている。インペラシャフト12の回転軸線方向の他端には、コンプレッサインペラ14が連結されている。タービンハウジング30は、ベアリングハウジング20におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の一端に連結されている。コンプレッサハウジング40は、ベアリングハウジング20におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の他端に連結されている。
【0027】
ベアリングハウジング20は、インペラシャフト12が挿通される挿通孔21hが形成された筒状の本体部21を有している。本体部21は、挿通孔21hに挿通されたインペラシャフト12を、ラジアル軸受15を介して回転可能に支持している。本体部21の軸線方向は、インペラシャフト12の回転軸線方向に一致する。
【0028】
本体部21は、大径部211と、大径部211におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の一端に連続するとともに、大径部211よりも外径が小径の小径部212とを有している。本体部21は、小径部212におけるインペラシャフト12の回転軸線方向に位置する一端面21aから突出する筒状の突出部22を有している。突出部22は、インペラシャフト12の回転軸線方向において小径部212から離れるほど外径が徐々に縮径する形状である。挿通孔21hは、突出部22の先端面22aに開口している。突出部22の先端面22aにおける挿通孔21hの周囲には、突出部22の先端面22aから突出する環状の凸部22bが形成されている。
【0029】
大径部211におけるインペラシャフト12の回転軸線方向においてコンプレッサハウジング40側に位置する大径側端面21bには、収容凹部23が形成されている。挿通孔21hは、収容凹部23の底面に開口している。収容凹部23の孔径は、挿通孔21hの孔径よりも大きい。収容凹部23の軸心は、挿通孔21hの軸心に一致している。収容凹部23内には、スラスト軸受16が収容されている。スラスト軸受16は、収容凹部23の底面に接した状態で収容凹部23内に収容されている。
【0030】
ベアリングハウジング20は、小径部212の外周面からインペラシャフト12の径方向外側に突出する小径側フランジ部24と、大径部211の外周面における小径部212とは反対側の端部からインペラシャフト12の径方向外側に突出する大径側フランジ部25とを有している。小径側フランジ部24及び大径側フランジ部25はそれぞれ、円環状である。
【0031】
コンプレッサハウジング40は、有底筒状のコンプレッサ本体部41を有している。コンプレッサ本体部41は、略円板状の底壁41aと、底壁41aの周縁からインペラシャフト12の回転軸線方向に立設される筒状の周壁41bと、を有している。周壁41bにおける底壁41aとは反対側の一面は開口している。コンプレッサハウジング40は、周壁41bにおける開口側の端部と大径側フランジ部25とが図示しない螺子により取り付けられることにより、ベアリングハウジング20におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の他端に連結されている。周壁41bの開口は、本体部21の大径側端面21b及び大径側フランジ部25における小径側フランジ部24とは反対側の端面によって閉塞されている。つまり、周壁41bの開口は、ベアリングハウジング20におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の他端に位置する端面によって閉塞されている。
【0032】
また、コンプレッサハウジング40は、底壁41aから周壁41bとは反対側に突出するコンプレッサ筒状部42を有している。コンプレッサ筒状部42は、吸気口42aを有している。吸気口42aは、インペラシャフト12の回転軸線方向に延びている。吸気口42aの軸心は、インペラシャフト12の回転軸線に一致している。
【0033】
コンプレッサハウジング40内には、コンプレッサインペラ室43、ディフューザ流路44、及びコンプレッサスクロール流路45が形成されている。コンプレッサインペラ室43は、吸気口42aに連通するとともにコンプレッサインペラ14を収容する。コンプレッサスクロール流路45は、コンプレッサインペラ室43の外周を渦巻状に周回している。ディフューザ流路44は、コンプレッサインペラ室43の周囲で環状に延びるとともに、コンプレッサインペラ室43とコンプレッサスクロール流路45とを連通する。
【0034】
コンプレッサハウジング40内には、筒状のシュラウド部材46が設けられている。シュラウド部材46は、コンプレッサ筒状部42の内周面に沿って延びる筒部46aと、筒部46aに連続するとともに底壁41aの内底面に沿って環状に延びる環状部46bと、を有している。コンプレッサインペラ室43は、シュラウド部材46の筒部46aとベアリングハウジング20の収容凹部23とで囲まれた空間である。
【0035】
コンプレッサインペラ14は、インペラシャフト12の回転軸線方向に延び、且つ、インペラシャフト12が挿通可能なシャフト挿通孔14hを有している。インペラシャフト12の回転軸線方向の他端部は、コンプレッサインペラ室43に突出している。そして、コンプレッサインペラ14は、インペラシャフト12におけるコンプレッサインペラ室43に突出している部分がシャフト挿通孔14hに挿通された状態で、インペラシャフト12と一体的に回転可能となるように、ナットなどを介してインペラシャフト12に取り付けられている。コンプレッサインペラ14におけるベアリングハウジング20側の端部は、図示しないシールリングカラーやスラストカラーなどを介してスラスト軸受16により支持されている。スラスト軸受16は、コンプレッサインペラ14に作用するスラスト方向の荷重を受ける。
【0036】
シュラウド部材46の環状部46bにおけるベアリングハウジング20と対向する面46cは、インペラシャフト12の径方向に延びる平坦面状である。そして、ディフューザ流路44は、環状部46bの面46cと、ベアリングハウジング20におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の他端に位置する端面であって、且つ環状部46bの面46cとインペラシャフト12の回転軸線方向で対向する部分との間に形成されている。
【0037】
コンプレッサハウジング40内には、環状のコンプレッサスクロール部材47が設けられている。コンプレッサスクロール部材47は、シュラウド部材46の周囲に延びている。コンプレッサスクロール流路45は、シュラウド部材46の環状部46bの外周面、コンプレッサ本体部41の底壁41aの内底面、及びコンプレッサスクロール部材47の内周面によって形成されている。なお、コンプレッサスクロール部材47及びシュラウド部材46が、コンプレッサハウジング40と別部材ではなく、コンプレッサハウジング40に一体形成されている構成であってもよい。
【0038】
図2及び図3に示すように、タービンハウジング30は、鋳造製である外装部材30aと、外装部材30a内に収容される板金製の内装部材30bと、により形成されている。外装部材30aは、内装部材30bを空隙部Gを介して収容する。
【0039】
外装部材30aは、有底筒状のハウジング本体部31と、閉塞部材38と、を有している。ハウジング本体部31は、略円板状の底壁31aと、底壁31aの外周部からインペラシャフト12の回転軸線方向に筒状に立設される周壁31bと、を有している。周壁31bにおける底壁31aとは反対側の一面は開口している。
【0040】
図2に示すように、周壁31bの外周面における開口側の端部には、インペラシャフト12の径方向外側に突出する環状のフランジ部31fが形成されている。フランジ部31fにおける底壁31aとは反対側の端面31cは、周壁31bにおける開口側の端面31dよりもベアリングハウジング20寄りに位置している。フランジ部31fの端面31c及び周壁31bの端面31dは、インペラシャフト12の径方向に延びる平坦面状である。
【0041】
図1及び図2に示すように、閉塞部材38は、ハウジング本体部31の周壁31bの開口を閉塞している。閉塞部材38は、略円板状の底壁38aと、底壁38aの外周部から筒状に立設される周壁38bと、を有する有底筒状である。底壁38aの中央部には、貫通孔38hが形成されている。貫通孔38hの軸心が延びる方向は、周壁38bの軸線方向に一致している。また、閉塞部材38は、周壁38bの外周面における底壁38aとは反対側の端部からインペラシャフト12の径方向外側に向かって延びる環状のフランジ部38cを有している。周壁38bの開口端部は、フランジ部38cにおける底壁38aとは反対側の端面381よりも突出する突出部38dになっている。さらに、閉塞部材38は、底壁38aの外面における貫通孔38hの周囲からインペラシャフト12の回転軸線方向に向かって延びる筒状の延在部38eを有している。また、閉塞部材38は、延在部38eの外周面における底壁38aとは反対側の端部からインペラシャフト12の径方向外側に向けて突出する環状の突起部38fを有している。
【0042】
閉塞部材38は、クランプ部材39の締結力によって、ベアリングハウジング20の本体部21の小径側フランジ部24と突起部38fとが挟み込まれることにより、本体部21に連結されている。本体部21の突出部22は、閉塞部材38の貫通孔38hに挿入されている。そして、閉塞部材38が本体部21に連結された状態において、閉塞部材38は、本体部21の突出部22の周囲を取り囲むように位置している。
【0043】
タービンハウジング30は、フランジ部31fの端面31cと閉塞部材38のフランジ部38cの端面381とが接触した状態で、フランジ部31fとフランジ部38cとが螺子17により取り付けられることにより、タービンハウジング30におけるインペラシャフト12の回転軸線方向の一端に連結されている。
【0044】
フランジ部31fの端面31cと閉塞部材38の端面381との間には、シール部材18が設けられている。シール部材18は、フランジ部31fの端面31cと閉塞部材38の端面381との間をシールする。
【0045】
外装部材30aは、底壁31aから周壁31bとは反対側に突出するタービン筒状部32を有している。タービン筒状部32内には、吐出口32aが形成されている。吐出口32aは、インペラシャフト12の回転軸線方向に延びている。吐出口32aの軸心は、インペラシャフト12の回転軸線に一致している。タービン筒状部32の開口端面32eは、インペラシャフト12の径方向に延びる平坦面状である。
【0046】
タービン筒状部32の外周面における開口側端部には、環状の連結フランジ32fが突出している。また、吐出口32aには、下流側排気管19が接続されている。下流側排気管19は、下流側排気管19の連結フランジ19fとタービン筒状部32の連結フランジ32fとがクランプ部材19cによって挟み込まれた状態で互いに連結されることにより、タービン筒状部32に連結されている。下流側排気管19におけるタービン筒状部32側の端面19eは、タービン筒状部32の開口端面32eと平行に延びる平坦面状である。
【0047】
下流側排気管19は、ターボチャージャ10と、タービンハウジング30よりも排ガスの流れ方向の下流に設けられる触媒C1とを接続する。触媒C1は、排ガスを浄化する。触媒C1は、活性化温度以上に温度が上昇することで、排ガスの浄化能力を発揮する。
【0048】
タービンハウジング30内には、タービン室33、連通流路34、及びタービンスクロール流路35が形成されている。タービンスクロール流路35は、エンジンEから排出される排ガスが流れるスクロール流路である。タービンホイール13は、タービン室33に収容されている。タービンスクロール流路35は、タービン室33の外周を渦巻状に周回している。よって、タービンスクロール流路35は、タービン室33の周囲を取り囲むとともにタービンホイール13を囲繞するように形成されている。タービンスクロール流路35は、タービンハウジング30に流入した排ガスをタービン室33に導く流路の一部である。連通流路34は、タービン室33の周囲で環状に延びるとともに、タービンスクロール流路35とタービン室33とを連通する。
【0049】
ターボチャージャ10は、複数のノズルベーン50、第1プレート51、及び第2プレート52を備えている。複数のノズルベーン50は、連通流路34の流路面積を可変とし、タービン室33に導かれる排ガスの流速を調整する。複数のノズルベーン50は、連通流路34の周方向において互いに間隔を置いてそれぞれ配置されている。
【0050】
第1プレート51は、閉塞部材38の周壁38bの内側に配置されるとともに、ベアリングハウジング20の突出部22の周囲で環状に延びている。第1プレート51は、複数のノズルベーン50を回動可能に支持するとともに連通流路34におけるベアリングハウジング20側の壁面を形成している。第1プレート51は、第1プレート51の内周面からインペラシャフト12の径方向内側に突出する環状の凸部51fを有している。凸部51fは、突出部22に対してインペラシャフト12の回転軸線方向で対向している。
【0051】
第2プレート52は、タービン筒状部32の内周面に沿って延びる筒部52aと、筒部52aに連続するとともに底壁31aの内底面31eに沿って延びる環状部52bと、を有している。タービン室33は、第2プレート52の筒部52a、第1プレート51の凸部51f、及びベアリングハウジング20の突出部22の先端面22aにより囲まれた空間である。タービン室33は、吐出口32aに連通している。吐出口32aは、タービン室33を通過した排ガスが導かれる。
【0052】
第2プレート52の環状部52bは、インペラシャフト12の回転軸線方向で第1プレート51と対向配置され、第1プレート51と協働して複数のノズルベーン50を回動可能に支持する。環状部52bは、連通流路34におけるベアリングハウジング20とは反対側の壁面を形成している。インペラシャフト12の回転軸線方向での第1プレート51と第2プレート52の環状部52bとの間隔は、柱状の複数のスペーサ53により保持されている。複数のスペーサ53は、連通流路34の周方向において互いに間隔を置いてそれぞれ配置されている。なお、複数のノズルベーン50は、図示しないリンク部材によって駆動する。
【0053】
タービンホイール13は、挿通孔21hに向けて突出する嵌合凸部13fを有している。インペラシャフト12における回転軸線方向の一端面には、嵌合凸部13fが嵌合可能な嵌合凹部12fが形成されている。そして、タービンホイール13は、嵌合凸部13fがインペラシャフト12の嵌合凹部12fに嵌合された状態で、インペラシャフト12と一体的に回転可能となるように、溶接などによりインペラシャフト12に取り付けられている。タービンホイール13は、タービン室33に導入された排ガスによって回転し、このタービンホイール13の回転に伴ってインペラシャフト12が一体的に回転する。
【0054】
突出部22の凸部22bには、円環状の板ばね55が装着されている。板ばね55の外周縁は、第1プレート51の凸部51fにおけるベアリングハウジング20側の端面に当接している。板ばね55は、第1プレート51をベアリングハウジング20とは反対側に向けて付勢する。これにより、第1プレート51、複数のスペーサ53、及び第2プレート52は、ハウジング本体部31の底壁31aに押圧された状態で底壁31aに支持されている。
【0055】
外装部材30aは、ハウジング本体部31の底壁31aの外周部において、ベアリングハウジング20とは反対側に向けて膨出するとともにタービン筒状部32の周囲を取り囲む膨出壁36を有している。膨出壁36は、膨出外周壁36a、膨出内周壁36b、及び膨出連繋壁36cを有している。膨出外周壁36aは、ハウジング本体部31の周壁31bにおける開口側とは反対側の端部に連続するとともにインペラシャフト12の回転軸線方向に延びている。膨出内周壁36bは、膨出外周壁36aの内側に位置するとともに底壁31aにおける膨出壁36よりもインペラシャフト12の径方向内側の部位に連続している。膨出連繋壁36cは、ベアリングハウジング20とは反対側に向けて凸となる弧状に湾曲した形状であり、膨出外周壁36aにおけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁と膨出内周壁36bにおけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁とを繋いでいる。
【0056】
内装部材30bは、板金製のスクロール流路形成プレート60を有している。スクロール流路形成プレート60の厚みは、第1プレート51及び第2プレート52の厚みよりも薄い。スクロール流路形成プレート60は、タービン室33の外周を渦巻状に周回している。スクロール流路形成プレート60は、外周壁61、内周壁62、連繋壁63、及び内周縁64を有している。
【0057】
外周壁61は、第2プレート52よりもインペラシャフト12の径方向外側でタービン室33の外周を取り囲むとともに、タービンスクロール流路35の外周側内面35aを形成する。外周壁61は、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310及び膨出外周壁36aの内周面に沿って延びている。外周壁61の外周面61aは、周壁31bの内周面310及び膨出外周壁36aの内周面から離れている。
【0058】
内周壁62は、外周壁61の内側に位置してタービンスクロール流路35の内周側内面35bを形成する。内周壁62は、膨出内周壁36bの内周面に沿って延びている。内周壁62の外周面62aは、膨出内周壁36bの内周面から離れている。タービンスクロール流路35の内周側内面35bを形成する内周壁62の内周面は、第2プレート52の環状部52bの外周縁とインペラシャフト12の径方向においてほぼ同じ位置にある。
【0059】
連繋壁63は、外周壁61におけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁と内周壁62におけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁とを繋ぐ。連繋壁63は、膨出連繋壁36cの内周面に沿って延びており、ベアリングハウジング20とは反対側に向けて凸となる弧状に湾曲した形状である。連繋壁63の外周面63aは、膨出連繋壁36cの内周面から離れている。
【0060】
内周縁64は、内周壁62におけるベアリングハウジング20側の端縁からインペラシャフト12の径方向内側に向けて延びている。内周縁64は、インペラシャフト12の回転軸線方向においてハウジング本体部31の底壁31aと第2プレート52の環状部52bとの間に延びている。そして、内周縁64は、板ばね55の付勢力によって、底壁31aと環状部52bとで挟み込まれている。つまり、スクロール流路形成プレート60の内周縁64は、タービンハウジング30と第2プレート52とで挟み込まれている。
【0061】
タービンハウジング30は、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60との間に形成されるスクロール空隙部65を備えている。よって、スクロール空隙部65は、外装部材30aと内装部材30bとの間に形成される空隙部Gである。したがって、空隙部Gは、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60との間に形成されるスクロール空隙部65を含む。スクロール空隙部65は、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60との間に形成されるスクロール断熱層である。スクロール空隙部65は、スクロール流路形成プレート60からハウジング本体部31への熱の伝達を遮断する。
【0062】
外周壁61の外周面61aにおける連繋壁63とは反対側の端部とハウジング本体部31との間には、スクロール弾性部材66が介在されている。スクロール弾性部材66は、スクロール空隙部65内に位置している。スクロール弾性部材66は、外周壁61の外周面61aに取り付けられる環状のワイヤーメッシュである。スクロール弾性部材66は、外周壁61の外周面61aとハウジング本体部31の周壁31bの内周面310との間に押し潰された状態で配置されている。スクロール弾性部材66は、外周壁61の外周面61aに、例えば、マイクロスポット溶接により溶接されている。そして、外周壁61は、スクロール弾性部材66を介してハウジング本体部31に支持されている。
【0063】
スクロール流路形成プレート60は、外周壁61における連繋壁63とは反対側の端縁からインペラシャフト12の径方向外側に向けて突出する環状のフランジ部67を有している。フランジ部67は、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310における開口側の端部に向けて延びている。フランジ部67の突出方向の先端部と周壁31bの内周面310との間には隙間があり、フランジ部67と周壁31bとは非接触である。
【0064】
スクロール流路形成プレート60は、スクロール連通部H1を有している。スクロール連通部H1は、スクロール流路形成プレート60のフランジ部67の一部分から外周壁61における連繋壁63とは反対側の端縁の一部分にかけて形成される切り欠きである。スクロール連通部H1は、フランジ部67及び外周壁61を各々の厚み方向に貫通している。そして、スクロール連通部H1は、スクロール空隙部65とタービンスクロール流路35とを連通させる。
【0065】
図3及び図4に示すように、ターボチャージャ10は、インペラシャフト12の回転軸線が水平方向に延びるとともに、スクロール連通部H1がスクロール流路形成プレート60における最下部600に位置するように車両に搭載されている。したがって、スクロール連通部H1は、スクロール流路形成プレート60における最下部600に形成されている。スクロール連通部H1は、スクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aの最下部610aに開口しており、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310の最下部310aに対向している。タービンホイール13の軸線Lは、インペラシャフト12の回転軸線に一致している。したがって、タービンホイール13の軸線Lは、水平方向に延びている。そして、スクロール連通部H1は、スクロール流路形成プレート60における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されている。
【0066】
図4に示すように、スクロール空隙部65は、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間の距離がスクロール連通部H1に近づくにつれて徐々に短くなっていく空隙縮小部Rを有している。空隙縮小部Rは、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間で、スクロール連通部H1の下方を通過しつつ、スクロール連通部H1からハウジング本体部31の周壁31bの周方向両側へ延びている。
【0067】
空隙縮小部Rにおいて、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310の最下部310aとスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aの最下部610aとの間の距離L1は、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間で最も短い。そして、空隙縮小部Rにおいて、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間の距離は、両最下部310a,610aから離間するにつれて徐々に長くなっていく。したがって、空隙縮小部Rは、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間の距離がスクロール連通部H1に近づくにつれて徐々に短くなっていく。
【0068】
図2に示すように、内装部材30bは、板金製の環状プレート70を有している。環状プレート70は、第1プレート51の周囲に配置されており、インペラシャフト12の回転軸線方向でスクロール流路形成プレート60の連繋壁63の大部分と対向配置されている。環状プレート70の厚みは、第1プレート51及び第2プレート52の厚みよりも薄い。
【0069】
タービンスクロール流路35は、スクロール流路形成プレート60における外周壁61、内周壁62、及び連繋壁63と、環状プレート70における連繋壁63と対向する部位と、によって形成されている。したがって、スクロール流路形成プレート60は、タービンスクロール流路35におけるハウジング本体部31側の内壁を形成し、環状プレート70は、タービンスクロール流路35における閉塞部材38側の内壁を形成する。よって、内装部材30bは、タービンスクロール流路35の内壁を少なくとも形成する。
【0070】
環状プレート70の外周縁71は、周壁31bの端面31dと突出部38dの端面380との間に延びている。そして、環状プレート70の外周縁71は、螺子17の締結力によって、周壁31bの端面31dと突出部38dの端面380とで挟み込まれている。つまり、環状プレート70の外周縁71は、ハウジング本体部31と閉塞部材38とで挟み込まれている。
【0071】
タービンハウジング30は、閉塞部材38の周壁38bと環状プレート70との間に形成される環状空隙部74を備えている。よって、環状空隙部74は、外装部材30aと内装部材30bとの間に形成される空隙部Gである。したがって、空隙部Gは、閉塞部材38と環状プレート70との間に形成される環状空隙部74を含む。環状空隙部74は、閉塞部材38と環状プレート70との間に形成されるスクロール断熱層である。環状空隙部74は、環状プレート70から閉塞部材38への熱の伝達を遮断する。
【0072】
環状プレート70は、インペラシャフト12の回転軸線方向で環状プレート70の内周部72からスクロール流路形成プレート60とは反対側に向けて突出する筒状のリブ73を有している。リブ73は、第1プレート51の外周縁に沿って延びている。リブ73の内周面と第1プレート51の外周縁との間には僅かな隙間があり、リブ73は、第1プレート51に対して非接触である。
【0073】
図1及び図2に示すように、ターボチャージャ10は、吐出口32aの壁面を形成する板金製である筒状の吐出口形成部材80を備えている。吐出口形成部材80は、吐出口32aの壁面を形成する筒状の吐出口本体壁81と、吐出口本体壁81におけるタービン室33とは反対側の端縁からインペラシャフト12の径方向外側に向けて延びる環状の吐出口外周縁82と、を有している。
【0074】
吐出口本体壁81におけるタービン室33側の端部81aは、第2プレート52の筒部52aにおける環状部52bとは反対側の端部を取り囲んでいる。吐出口本体壁81の外周面81bにおけるタービン室33側の端部とタービン筒状部32の内周面との間には、吐出口弾性部材83が介在されている。吐出口弾性部材83は、吐出口本体壁81の外周面81bに取り付けられる環状のワイヤーメッシュである。吐出口弾性部材83は、吐出口本体壁81の外周面81bとタービン筒状部32の内周面との間に押し潰された状態で配置されている。吐出口弾性部材83は、吐出口本体壁81の外周面81bに、例えば、マイクロスポット溶接により溶接されている。そして、吐出口本体壁81は、吐出口弾性部材83を介してタービン筒状部32に支持されている。
【0075】
吐出口外周縁82は、タービン筒状部32の開口から突出して、タービン筒状部32の開口端面32eに沿って延びている。そして、吐出口外周縁82は、クランプ部材19cの締結力によって、タービン筒状部32の開口端面32eと下流側排気管19の端面19eとで挟み込まれている。つまり、吐出口外周縁82は、タービンハウジング30と下流側排気管19とで挟み込まれている。
【0076】
ターボチャージャ10は、吐出口本体壁81の外周面81bとタービン筒状部32の内周面との間に形成される吐出口空気層84を備えている。吐出口空気層84は、吐出口形成部材80と外装部材30aとの間に形成される吐出口断熱層である。吐出口空気層84は、吐出口形成部材80からタービン筒状部32への熱の伝達を遮断する。
【0077】
図3に示すように、外装部材30aは、ハウジング本体部31の外周面から突出する筒状の導入部形成部37を有している。なお、図3では、説明の都合上、第2プレート52及びタービンホイール13の図示を省略している。
【0078】
また、内装部材30bは、タービンスクロール流路35に排ガスを導入する導入流路37aの内壁を形成する板金製の筒状の導入流路形成プレート90を有している。導入流路形成プレート90は、一端部から他端部にかけて内径及び外径が徐々に拡径していく筒状本体部90aと、筒状本体部90aの他端部から外側へ突出する環状のフランジ部90fと、を有している。筒状本体部90aの一端部は、導入流路形成プレート90の一端部であり、フランジ部90fは、導入流路形成プレート90の他端部である。
【0079】
導入部形成部37の内周面370は、筒状本体部90aの外周面900に沿って延びている。導入流路形成プレート90は、筒状本体部90aの一端部側から導入部形成部37の内側に挿入されている。したがって、導入部形成部37は、導入流路形成プレート90を収容する。そして、導入流路37aは、導入部形成部37の内側に形成されている。よって、導入流路37aは、タービンハウジング30内に形成されている。
【0080】
スクロール流路形成プレート60は、導入流路37aからの排ガスが導入される筒状部68を有している。筒状部68は、タービンスクロール流路35に連通している。導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの一端部は、筒状部68の内側に挿入されている。そして、導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの一端部は、筒状部68により囲繞されている。導入流路形成プレート90の一端部は、スクロール流路形成プレート60に対して固定されておらず、自由端である。導入流路37aとタービンスクロール流路35とは、筒状部68を介して連通している。
【0081】
タービンハウジング30は、導入部形成部37の内周面370と導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの外周面900との間に形成される導入部空隙部92を備えている。よって、導入部空隙部92は、外装部材30aと内装部材30bとの間に形成される空隙部Gである。したがって、空隙部Gは、導入部形成部37と導入流路形成プレート90との間に形成される導入部空隙部92を含む。導入部空隙部92は、導入流路形成プレート90と導入部形成部37との間に形成される導入部断熱層である。導入部空隙部92は、導入流路形成プレート90から導入部形成部37への熱の伝達を遮断する。
【0082】
導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの外周面900における一端部寄りの部位と導入部形成部37の内周面370との間には、導入部弾性部材93が介在されている。導入部弾性部材93は、導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの外周面900に取り付けられる環状のワイヤーメッシュである。導入部弾性部材93は、導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの外周面900と導入部形成部37の内周面370との間に押し潰された状態で配置されている。導入部弾性部材93は、導入流路形成プレート90の筒状本体部90aの外周面900に、例えば、マイクロスポット溶接により溶接されている。そして、導入流路形成プレート90は、導入部弾性部材93を介して導入部形成部37に支持されている。
【0083】
導入部形成部37におけるハウジング本体部31とは反対側の端部は、環状のフランジ部37fになっている。導入部形成部37におけるハウジング本体部31とは反対側の開口は、フランジ部37fの端面371に連続している。また、導入部形成部37におけるハウジング本体部31とは反対側の開口部は、フランジ部37fの端面371に連続する段差面372を有している。
【0084】
導入流路形成プレート90のフランジ部90fは、導入部形成部37の段差面372に沿って延びている。そして、フランジ部90fは、導入部形成部37に接続される上流側排気管94の端面94eと導入部形成部37の段差面372とで挟み込まれている。具体的には、フランジ部90fは、上流側排気管94とフランジ部90fとを締結する図示しない螺子の締結力によって、上流側排気管94の端面94eと導入部形成部37の段差面372とで挟み込まれている。よって、導入流路形成プレート90の他端部は固定端である。
【0085】
本実施形態では、内装部材30bを構成するスクロール流路形成プレート60及び環状プレート70と、外装部材30aのハウジング本体部31におけるスクロール流路形成プレート60を収容する部位とによって、タービンスクロール流路35を形成する渦巻状のスクロール部Sが構成されている。また、本実施形態では、内装部材30bを構成する導入流路形成プレート90と、外装部材30aの導入部形成部37と、によって導入流路37aを形成する導入部Iが構成されている。したがって、スクロール部S及び導入部Iは、外装部材30aと、外装部材30a内に収容される内装部材30bと、により形成されている。
【0086】
上流側排気管94は、エンジンEから排出された排ガスを導入流路37aに導入する。そして、導入流路37aに導入された排ガスは、筒状部68の内側、タービンスクロール流路35、連通流路34、タービン室33、吐出口32a、及び下流側排気管19の内部を通過して触媒C1へ流れる。したがって、上流側排気管94の内部、導入流路37a、筒状部68の内側、タービンスクロール流路35、連通流路34、タービン室33、吐出口32a、及び下流側排気管19の内部は、エンジンEから排出された排ガスが流れる排気通路95を構成している。よって、タービンスクロール流路35及び導入流路37aは、排気通路95の一部である。そして、スクロール連通部H1は、空隙部Gであるスクロール空隙部65と排気通路95の一部であるタービンスクロール流路35とを連通させる連通部Hである。したがって、内装部材30bは、空隙部Gと排気通路95とを連通させる連通部Hを有している。そして、連通部Hは、スクロール連通部H1を含む。連通部Hは、内装部材30bにおける水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されている。
【0087】
タービン室33に排ガスが導入されると、タービンホイール13は、タービン室33に導入された排ガスによって回転する。そして、タービンホイール13に回転に伴って、コンプレッサインペラ14がインペラシャフト12を介してタービンホイール13と一体的に回転する。コンプレッサインペラ14が回転すると、吸気口42aを介してコンプレッサインペラ室43に導入された吸気が、コンプレッサインペラ14の回転によって圧縮されるとともに、ディフューザ流路44を通過する際に減速され、吸気の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換される。そして、高圧となった吸気がコンプレッサスクロール流路45に吐出され、エンジンEに供給される。このようなターボチャージャ10によるエンジンEへの吸気の過給が行われることで、エンジンEの吸気効率が高まり、エンジンEの性能が向上する。
【0088】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
導入流路形成プレート90、スクロール流路形成プレート60、環状プレート70、及び吐出口形成部材80が、外装部材30aへの排ガスの熱の伝達を抑制するため、排ガスは、タービンハウジング30内を流れる間に熱が奪われ難く、温度が低下し難くなっている。その結果として、触媒C1の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間が短くなる。よって、例えば、エンジンEの冷間始動時などの触媒C1の早期暖機が要求される運転条件の時に、触媒C1の温度が早期に活性化温度以上に上昇し易くなる。
【0089】
ところで、エンジンEから排出される排ガスには、水蒸気が含まれている。エンジンEから排出された排ガスは、上流側排気管94から導入流路37aに流れ込み、導入流路37aから筒状部68を介してタービンスクロール流路35に導入される。ここで、スクロール流路形成プレート60は、排ガスの熱によって暖められるが、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60との間にスクロール空隙部65が形成されているため、スクロール流路形成プレート60からハウジング本体部31への熱の伝達が行われ難くなっている。したがって、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60とは温度差が生じており、ハウジング本体部31は、スクロール流路形成プレート60よりも温度が低くなっている。
【0090】
このとき、例えば、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60との間のスクロール空隙部65に排ガスが流入すると、スクロール空隙部65に流入した排ガスとハウジング本体部31との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮してスクロール空隙部65に凝縮水Wが生じる場合がある。こうして生じた凝縮水Wは、自重によってハウジング本体部31の周壁31bの内周面310やスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aを伝ってスクロール空隙部65を鉛直方向下側に流れていく。そして、スクロール空隙部65の最下部に溜まった凝縮水Wは、スクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出される。スクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出された凝縮水Wは、タービンスクロール流路35を流れる排ガスと共にタービンスクロール流路35を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりするため、スクロール空隙部65に凝縮水Wが溜まってしまうことが抑制されている。
【0091】
第1実施形態では、以下の効果を得ることができる。
(1-1)排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮してスクロール空隙部65に凝縮水Wが生じても、凝縮水Wをスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出することができる。そして、スクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出された凝縮水Wは、タービンスクロール流路35を流れる排ガスと共にタービンスクロール流路35を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりする。したがって、外装部材とスクロール流路形成プレート60との間のスクロール空隙部65に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制できる。
【0092】
(1-2)スクロール連通部H1が、スクロール流路形成プレート60における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されている。これにより、自重によってスクロール空隙部65を鉛直方向下側に流れていく凝縮水Wがスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出され易い。したがって、スクロール空隙部65で生じた凝縮水Wをスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ効率良く排出することができ、スクロール空隙部65に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0093】
(1-3)スクロール空隙部65で生じた凝縮水Wは、自重によってスクロール空隙部65を鉛直方向下側に流れていくため、スクロール空隙部65で生じた凝縮水Wはスクロール空隙部65の最下部に溜まり易い。このとき、スクロール連通部H1が、スクロール流路形成プレート60における最下部に形成されているため、スクロール空隙部65の最下部に溜まった凝縮水Wがスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出され易い。したがって、スクロール空隙部65で生じた凝縮水Wをスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ効率良く排出することができ、スクロール空隙部65に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0094】
(1-4)スクロール空隙部65は、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間の距離がスクロール連通部H1に近づくにつれて徐々に短くなっていく空隙縮小部Rを有している。これによれば、スクロール空隙部65が空隙縮小部Rを有していない構成と比べて、スクロール空隙部65におけるスクロール連通部H1よりも鉛直方向下側の部分の容積が小さくなる。よって、スクロール空隙部65の最下部に溜まった凝縮水がスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へさらに排出され易くなる。したがって、スクロール空隙部65で生じた凝縮水Wをスクロール空隙部65からスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へさらに効率良く排出することができ、スクロール空隙部65に凝縮水Wが溜まってしまうことをさらに抑制し易くできる。
【0095】
(1-5)一般的に、タービンハウジング30の外装部材30aは、剛性を確保する必要があることから、鋳造により肉厚に形成されているため、質量が大きく、熱容量が大きい。そこで、本実施形態のタービンハウジング30は、外装部材30a内に板金製の内装部材30bを収容し、内装部材30bにより、外装部材30aへの排ガスの熱の伝達を抑制するようにした。これによれば、排ガスがタービンハウジング30内を流れる間に、排ガスの温度が低下してしまうことが抑制されるため、触媒C1の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間を短くすることができる。よって、例えば、エンジンEの冷間始動時などの触媒C1の早期暖機が要求される運転条件の時に、触媒C1の温度を早期に活性化温度以上に上昇させることができる。
【0096】
(第2の実施形態)
以下、タービンハウジングを具体化した第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成において同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0097】
図5に示すように、ターボチャージャ10は、インペラシャフト12の回転軸線が水平方向に延びるとともに、導入流路形成プレート90の筒状本体部90aが鉛直方向下側に開口する向きで配置されるように車両に搭載されている。このとき、筒状本体部90aの軸線方向が鉛直方向に一致している。したがって、導入流路形成プレート90のフランジ部90fは、導入流路形成プレート90の最下部に位置している。
【0098】
導入流路形成プレート90のフランジ部90fには、導入部連通部H2が形成されている。したがって、導入部連通部H2は、導入流路形成プレート90における最下部に形成されている。導入部連通部H2は、導入流路形成プレート90における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されている。導入部連通部H2は、導入流路形成プレート90のフランジ部90fの一部分に形成される切り欠きである。導入部連通部H2は、フランジ部90fの厚み方向に貫通している。導入部連通部H2は、導入部空隙部92と排気通路95の一部である上流側排気管94の内部とを連通させている。よって、導入部連通部H2は、空隙部Gである導入部空隙部92と排気通路95の一部である上流側排気管94の内部とを連通させる連通部Hである。したがって、内装部材30bは、空隙部Gと排気通路95とを連通させる連通部Hを有している。そして、連通部Hは、導入部空隙部92と上流側排気管94とを連通させる導入部連通部H2を含む。
【0099】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
導入部空隙部92に排ガスが流入して、導入部空隙部92に流入した排ガスと導入部形成部37との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して導入部空隙部92に凝縮水Wが生じる場合がある。こうして生じた凝縮水Wは、自重によって導入部形成部37の内周面370や筒状本体部90aの外周面900を伝って導入部空隙部92を鉛直方向下側に流れていく。そして、導入部空隙部92の最下部まで流れた凝縮水Wは、導入部連通部H2を介して矢印A1に示すように上流側排気管94の内部へ排出される。導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94の内部へ排出された凝縮水Wは、上流側排気管94の内部を流れる排ガスと共に上流側排気管94の内部を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりするため、導入部空隙部92に凝縮水Wが溜まってしまうことが抑制されている。
【0100】
第2の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(2-1)排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して導入部空隙部92に凝縮水Wが生じても、凝縮水Wを導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94の内部へ排出することができる。そして、導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94の内部へ排出された凝縮水Wは、上流側排気管94の内部を流れる排ガスと共に上流側排気管94の内部を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりする。したがって、導入部形成部37と導入流路形成プレート90との間の導入部空隙部92に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制できる。
【0101】
(2-2)導入部連通部H2は、導入流路形成プレート90における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されている。これにより、自重によって導入部空隙部92を鉛直方向下側に流れていく凝縮水Wが導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94の内部へ排出され易い。したがって、導入部空隙部92で生じた凝縮水Wを導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94へ効率良く排出することができ、導入部空隙部92に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0102】
(2-3)導入部空隙部92で生じた凝縮水Wは、自重によって導入部空隙部92を鉛直方向下側に流れていくため、導入部空隙部92で生じた凝縮水Wは導入部空隙部92の最下部に溜まり易い。このとき、導入部連通部H2が、導入流路形成プレート90における最下部に位置するフランジ部90fに形成されているため、導入部空隙部92の最下部に溜まった凝縮水Wが導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94へ排出され易い。したがって、導入部空隙部92で生じた凝縮水Wを導入部空隙部92から導入部連通部H2を介して上流側排気管94へ効率良く排出することができ、導入部空隙部92に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制し易くできる。
【0103】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0104】
図6に示すように、環状プレート70は、環状空隙部74とタービンスクロール流路35とを連通させる環状プレート連通部H3を有する構成であってもよい。環状プレート連通部H3は、環状プレート70において、ハウジング本体部31の周壁31bの端面31dと突出部38dの端面380とで挟み込まれる外周縁71よりも径方向内側の部位に形成されている。環状プレート連通部H3は、環状プレート70を厚み方向に貫通する貫通孔である。環状プレート連通部H3は、スクロール連通部H1とタービンホイール13の軸線方向で対向している。したがって、環状プレート連通部H3は、環状プレート連通部H3は、環状プレート70における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されている。環状プレート連通部H3は、空隙部Gである環状空隙部74と排気通路95の一部であるタービンスクロール流路35とを連通させる連通部Hである。したがって、連通部Hは、環状空隙部74とタービンスクロール流路35とを連通させる環状プレート連通部H3を含む。
【0105】
閉塞部材38と環状プレート70との間に形成される環状空隙部74に排ガスが流入して、環状空隙部74に流入した排ガスと閉塞部材38との間で熱交換が行われることにより排ガスが冷やされて、排ガス中に含まれている水蒸気が凝縮して環状空隙部74に凝縮水Wが生じる場合がある。この場合であっても、凝縮水Wを環状空隙部74から環状プレート連通部H3を介してタービンスクロール流路35へ排出することができる。そして、環状空隙部74から環状プレート連通部H3を介してタービンスクロール流路35へ排出された凝縮水Wは、タービンスクロール流路35を流れる排ガスと共にタービンスクロール流路35を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりする。したがって、ハウジング本体部31とスクロール流路形成プレート60との間のスクロール空隙部65に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制することに加えて、閉塞部材38と環状プレート70との間の環状空隙部74に凝縮水Wが溜まってしまうことも抑制できる。
【0106】
○ 上記各実施形態において、外装部材30aは鋳造製でなくてもよいし、内装部材30bは板金製でなくてもよい。要は、タービンハウジング30は、外装部材30a及び内装部材30bを有する二重構造となるような構成であれば、外装部材30a及び内装部材30bそれぞれの材質は適宜変更してもよい。
【0107】
○ 第1の実施形態及び図6に示す実施形態において、スクロール連通部H1は、切り欠きでなくてもよく、例えば、貫通孔でもよい。
○ 第2の実施形態において、導入部連通部H2は、切り欠きでなくてもよく、例えば、貫通孔でもよい。
【0108】
図6に示す実施形態において、タービンハウジング30は、スクロール流路形成プレート60にスクロール連通部H1が形成されていない構成であってもよい。この場合であっても、凝縮水Wを環状空隙部74から環状プレート連通部H3を介してタービンスクロール流路35へ排出することができる。そして、環状空隙部74から環状プレート連通部H3を介してタービンスクロール流路35へ排出された凝縮水Wは、タービンスクロール流路35を流れる排ガスと共にタービンスクロール流路35を流れたり、排ガスの熱によって蒸発したりする。したがって、閉塞部材38と環状プレート70との間の環状空隙部74に凝縮水Wが溜まってしまうことを抑制できる。
【0109】
○ 第1の実施形態において、スクロール空隙部65は、空隙縮小部Rを有していない構成であってもよい。例えば、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間の距離が、ハウジング本体部31の周壁31bの周方向で常に一定であってもよい。また、ハウジング本体部31の周壁31bの内周面310とスクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aとの間の距離がスクロール連通部H1に近づくにつれて徐々に長くなってもよい。
【0110】
○ 第1の実施形態において、スクロール連通部H1が、スクロール流路形成プレート60における最下部に形成されていなくてもよい。この場合であっても、例えば、スクロール連通部H1は、スクロール流路形成プレート60における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向下側に位置する部位に形成されているのが好ましい。
【0111】
○ 第1の実施形態において、スクロール連通部H1が、例えば、スクロール流路形成プレート60における水平方向に延びるタービンホイール13の軸線Lよりも鉛直方向上側に位置する部位に形成されていてもよい。要は、スクロール空隙部65に生じた凝縮水Wをスクロール連通部H1を介してタービンスクロール流路35へ排出することができればよく、スクロール連通部H1におけるスクロール流路形成プレート60に対する形成位置は特に限定されるものではない。
【0112】
○ 第2の実施形態において、導入部連通部H2が、導入流路形成プレート90における最下部に位置するフランジ部90fに形成されていなくてもよく、例えば、導入流路形成プレート90の筒状本体部90aを厚み方向に貫通するように導入部連通部H2が形成されていてもよい。この場合、導入部連通部H2は、導入部空隙部92と排気通路95の一部である導入流路37aとを連通させる。そして、導入部空隙部92に生じた凝縮水Wは、導入部連通部H2を介して導入流路37aへ排出される。
【符号の説明】
【0113】
13…タービンホイール、30…タービンハウジング、30a…外装部材、30b…内装部材、31…ハウジング本体部、31a…底壁、31b…周壁、35…スクロール流路としてのタービンスクロール流路、37a…導入流路、38…閉塞部材、60…スクロール流路形成プレート、61a…外周面、65…スクロール空隙部、70…環状プレート、74…環状空隙部、90…導入流路形成プレート、92…導入部空隙部、95…排気通路、310…内周面、E…エンジン、G…空隙部、H…連通部、H1…スクロール連通部、H2…導入部連通部、H3…環状プレート連通部、R…空隙縮小部、W…凝縮水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6