(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】別巻き取り装置
(51)【国際特許分類】
D03D 49/20 20060101AFI20230808BHJP
D03D 49/22 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
D03D49/20 A
D03D49/22 Z
(21)【出願番号】P 2020097547
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】中野 遼太郎
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-092847(JP,A)
【文献】実開昭60-078887(JP,U)
【文献】特開昭55-001329(JP,A)
【文献】特開平02-169749(JP,A)
【文献】特開2009-124812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 49/20
D03D 49/22
H02P 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電動機により織布を巻き取る巻き取り部と、
前記織布の巻き取り時には駆動周波数と駆動電圧との比を一定に保つV/f一定制御により前記誘導電動機を駆動する駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記織布の巻き取りを停止する場合、前記織布の巻き取り時に使用される第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、前記第2駆動周波数で駆動した場合に駆動周波数と駆動電圧との比が前記織布の巻き取り時よりも低くなるような第2駆動電圧とにより前記誘導電動機を駆動する、
別巻き取り装置。
【請求項2】
前記第2駆動電圧は、前記第2駆動周波数が変わっても値が一定な固定値である、
請求項1に記載の別巻き取り装置。
【請求項3】
前記駆動部は、インバータを備え、
前記第2駆動電圧は、前記インバータの下限電圧に等しい、
請求項2に記載の別巻き取り装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記織布の巻き取りを停止する場合、前記第2駆動周波数と前記第2駆動電圧との比を、前記織布の巻き取り時の駆動周波数と駆動電圧との比よりも低くなるように保つV/f一定制御により、前記誘導電動機を駆動する、
請求項1に記載の別巻き取り装置。
【請求項5】
前記駆動部は、インバータを備え、
前記第2駆動周波数は、前記インバータの下限周波数に等しい、
請求項4に記載の別巻き取り装置。
【請求項6】
前記第2駆動周波数は、前記織布の性質に合わせて所定帯域内で可変である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の別巻き取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
織布巻き取り装置のうち、所謂別巻き取り装置は、織機の後段に配置され、織機により製織された織布をロール状に巻き取るものである。この別巻き取り装置は、織機とは別の
駆動源により駆動されている。
【0003】
別巻き取り装置は、織機により製織された織布を巻き取る際、織布に皺が発生しないように一定の張力で織布を巻き取る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
別巻き取り装置において、織機における機台の回転数、織布の種類または密度等によって織布を巻き取る際の搬送速度は変化する。このため、別巻き取り装置は、駆動周波数と駆動電圧との比を一定にするV/f一定制御により誘導電動機を駆動し、搬送速度が変化しても一定のトルクにより織布の巻き取りを行っている。
【0006】
製織中の織機が何らかの理由で製織を停止した場合、織布を巻き取っている別巻き取り装置は、巻き取り途中の織布に一定の張力を与え続ける必要がある。しかし、誘導電動機は、直流制動によりブレーキを掛けることはできるが、停止状態を保持するトルクを有していない。
【0007】
このため、特許文献1のように、別巻き取り装置にブレーキ手段を設けておき、織機の停止に合わせてブレーキ手段を作動させ、巻き取り途中の織布に一定の張力を与えることが必要になる。しかし、別巻き取り装置にブレーキ手段を設けることは、追加の部品により構成が複雑化し、コストが上昇する問題がある。また、別巻き取り装置の巻き取り駆動源としてブレーキ付きのサーボモータを用いることも考えられるが、コストの上昇を避けることができない。
【0008】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、誘導電動機を駆動源として織布を巻き取る際の織機の停止時に、ブレーキ手段を用いず、巻き取り途中の織布に一定の張力を与え続けることが可能な別巻き取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示における別巻き取り装置は、誘導電動機により織布を巻き取る巻き取り部と、織布の巻き取り時には駆動周波数と駆動電圧との比を一定に保つV/f一定制御により誘導電動機を駆動する駆動部と、を備え、駆動部は、織布の巻き取りを停止する場合、織布の巻き取り時に使用される第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、第2駆動周波数で駆動した場合に駆動周波数と駆動電圧との比が織布の巻き取り時よりも低くなるような第2駆動電圧とにより誘導電動機を駆動する。
【0010】
本開示における別巻き取り装置において、第2駆動電圧は、第2駆動周波数が変わっても値が一定な固定値であることが望ましい。
【0011】
本開示における別巻き取り装置において、駆動部はインバータを備え、第2駆動電圧はインバータの下限電圧に等しいことが望ましい。
【0012】
本開示における別巻き取り装置において、駆動部は、織布の巻き取りを停止する場合、第2駆動周波数と第2駆動電圧との比を、織布の巻き取り時の駆動周波数と駆動電圧との比よりも低くなるように保つV/f一定制御により、誘導電動機を駆動することが望ましい。
【0013】
本開示における別巻き取り装置において、駆動部はインバータを備え、第2駆動周波数はインバータの下限周波数に等しいことが望ましい。
【0014】
本開示における別巻き取り装置において、第2駆動周波数は、織布の性質に合わせて所定帯域内で可変であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本開示の別巻き取り装置によれば、誘導電動機を駆動源として織布を巻き取る際の織機の停止時に、ブレーキ手段を用いず、巻き取り途中の織布に一定の張力を与え続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1における別巻き取り装置の構成を織機と共に示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1における別巻き取り装置の駆動特性を示す特性図である。
【
図3】実施の形態1における別巻き取り装置の巻き取り停止時の駆動特性を示す特性図である。
【
図4】
図3の一部を拡大した部分拡大特性図である。
【
図5】実施の形態1における別巻き取り装置の巻き取り停止時の駆動特性の他の例を詳細に示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、別巻き取り装置の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0018】
実施の形態1.
はじめに、実施の形態1における別巻き取り装置200の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、実施の形態1における別巻き取り装置200の構成を織機100と共に示すブロック図である。
【0019】
[構成]
図1において、織機100と別巻き取り装置200とが、織布300の流れに沿って配置されている。
【0020】
織機100は、主に、制御部110と、製織部120と、搬送部130とを備える。搬送部130には、プレスローラ131と、サーフェスローラ132と、プレスローラ133と、ガイドローラ134と、クロスローラ135とが設けられている。
【0021】
制御部110は、製織部120における織布300の製織を制御する。製織部120は、制御部110の制御に基づいて、経糸に対して緯糸を緯入れして織り込むことで、織布300を製織する。搬送部130は、プレスローラ131及び133と、サーフェスローラ132とにより、織布300を後段の別巻き取り装置200に向けて挟持搬送する。そして、搬送部130は、織布300を、ガイドローラ134とクロスローラ135とにより転向し、別巻き取り装置200に向けて搬送する。
【0022】
別巻き取り装置200は、織布300の流れに沿って、織機100の後段に接続されている。別巻き取り装置200は、主に、駆動部210と、操作部220と、巻き取り部230とを備える。巻き取り部230には、モータ231と、転向ローラ232と、チェーン233と、サーフェスローラ234と、チェーン235と、サーフェスローラ236と、芯棒240とが設けられている。
【0023】
駆動部210は、別巻き取り装置200を織機100とは別に駆動する。また、駆動部210は、芯棒240の周りに織布300をロール状に巻き付けて織布ロール250を形成するように、巻き取り部230を駆動する。操作部220は、織布の巻き取りについてのオペレータの指示を受け付け、受け付けた指示を駆動部210に通知する。
【0024】
巻き取り部230において、モータ231は、チェーン233を介して、モータ軸231aの回転をサーフェスローラ234のギア234aに伝達する。サーフェスローラ234は、ギア234b、チェーン235、及びギア236aを経由して、サーフェスローラ236に回転を伝達する。そして、サーフェスローラ234とサーフェスローラ236とは、モータ231により駆動されて、芯棒240の周囲に織布300を巻き付け、織布ロール250を形成する。
【0025】
芯棒240は、上下方向に移動が可能なように図示されない保持部により保持されており、織布300の巻き取り初期時にはサーフェスローラ234及び236に接する位置に載置されている。芯棒240は、サーフェスローラ234及び236の回転により織布300を巻き付けられ、巻き付けられた織布300の厚みに応じて徐々に上昇する。
【0026】
[製織中の別巻き取り装置の動作]
別巻き取り装置200により織布300を巻き取る搬送速度は、織機100の製織部120の動作状況、すなわち、機台の回転数、織布の種類、または織布の密度等によって変化する。従って、別巻き取り装置200の駆動部210は、織機100の制御部110と通信し、製織部120の製織速度に合わせて織布300を巻き取るようにモータ231を駆動する。
【0027】
実施の形態1において、モータ231は誘導電動機である。ここで、織布300の巻き取り時に使用される駆動周波数を第1駆動周波数、織布300の巻き取り時に使用される駆動電圧を第1駆動電圧とする。そして、駆動部210は、織布300を巻き取る搬送速度に対応した第1駆動周波数の駆動信号をモータ231に供給する。この第1駆動周波数に応じて固定子に生じる回転磁界により、滑りにより回転磁界より遅れて回転する回転子に誘導電流が発生し、滑りに対応した回転トルクがモータ231に発生する。
【0028】
誘導電動機の固定子巻線・回転子巻線ともに鎖交する磁束を一定としたとき、第1駆動周波数fと第1駆動電圧Vとの比は一定になる。よって、駆動部210は、磁気飽和を避けるため、第1駆動周波数fと第1駆動電圧Vとの比V/fを一定に保つV/f一定制御により、製織部120の製織速度に合わせてモータ231を駆動する。
【0029】
以下、
図2を参照して、駆動部210によるモータ231の駆動を説明する。
図2は、実施の形態1における別巻き取り装置200の駆動特性を示す特性図である。
図2において、横軸は駆動周波数であり、縦軸は駆動電圧である。駆動部210は、磁気飽和を避けるため、
図2の実線Aに示す特性線のように、第1駆動周波数fと第1駆動電圧Vとの比V/fを一定に保つV/f一定制御により、モータ231を駆動する。
【0030】
駆動部210は、織機100の制御部110と通信する代わりに、オペレータにより操作部220から入力された指示に基づいて、製織部120の製織速度に合わせて織布300を巻き取るようにモータ231を駆動してもよい。また、駆動部210は、操作部220から入力される指示の代わりに外部の装置からの指示を受け付け、外部の装置からの指示に基づいて、製織部120の製織速度に合わせて織布300を巻き取るようにモータ231を駆動してもよい。
【0031】
[製織停止時の別巻き取り装置の動作]
織機100において製織部120の製織が何らかの理由で停止すると、別巻き取り装置200において駆動部210はモータ231の駆動を停止し、織布300の巻き取りを停止する。
【0032】
駆動部210によってモータ231の駆動が停止すると、モータ231は、誘導電動機であり、停止トルクを有しないため、回転自由状態になる。なお、誘導電動機の場合、直流制動のブレーキにより数秒程度の短時間であれば停止状態を維持できるが、例えば10秒以上にわたる停止状態であると回転自由状態になる。この結果、製織部120が停止した場合、別巻き取り装置200は、巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができない。
【0033】
ここで、別巻き取り装置200の織布300の巻き取り停止時における張力付与を、
図3と
図4を参照して説明する。
図3は、実施の形態1における別巻き取り装置200の巻き取り停止時の駆動特性を示す特性図である。
図4は、
図3の一部を拡大した部分拡大特性図である。
【0034】
図3において、特性Aの領域a1は、織布300の巻き取り時に使用される第1駆動周波数と第1駆動電圧との関係を示している。領域a1は、製織部120の製織速度に合わせて織布300を巻き取るようにモータ231を駆動する範囲を示している。また、
図3において、領域a2の実線は、織布300の巻き取り停止時に織布300に張力を与える第2駆動周波数と第2駆動電圧との関係を示している。
【0035】
図3の領域a2を拡大した様子を
図4に示す。
図4において、領域a2の実線の特性A2は、織布300の巻き取り停止時における、停止トルク用に改良されたV/f一定制御の第2駆動周波数と第2駆動電圧である。すなわち、領域a2の実線の特性A2は、織布300の巻き取り時において使用される領域a1の第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、第2駆動周波数に基づいて特性Aに応じて定まる電圧より低い第2駆動電圧とに対応している。この場合、第2駆動周波数と第2駆動電圧との比は、織布の巻き取り時の第1駆動周波数と第1駆動電圧との比よりも低くなっている。なお、領域a2内の破線は、織布300の巻き取りに用いられる通常のV/f一定制御の特性Aの延長線を示している。
【0036】
図3及び
図4に示す具体例では、領域a1において第1駆動周波数は10~60Hz程度であり、第1駆動電圧は30V~200V程度である。そして、領域a2において第2駆動周波数は1.5~3.0Hz程度であり、第2駆動電圧は7V~10V程度である。
ここで、領域a1のV/fに比べて、領域a2のV/fは、比の値が小さく設定されている。そして、領域a2の第2駆動周波数と第2駆動電圧とは、織布300の種類や巻き取りの環境において必要な張力を生成するのに適した値または範囲に定めることができる。
【0037】
このように、織布300の巻き取り停止時において、駆動部210は、織布300の巻き取りに使用される第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、特性A2に基づいて第2駆動周波数から決定される第2駆動電圧とを用いて、モータ231を駆動する。
【0038】
これにより、織機100の停止時において別巻き取り装置200は、ブレーキ手段を用いず、モータ231に生じる誘導電動機の滑りにより、プレスローラ133の位置からサーフェスローラ236の位置に至るまでの巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができる。
【0039】
なお、第2駆動周波数の範囲であっても、通常のV/f一定制御の特性Aを適用した駆動電圧を用いてモータ231を駆動すると、巻き取りを停止している織布300に対して必要以上に大きいトルクが掛かり、織布300の品質を損なう可能性がある。このため、実施の形態1においては、第2駆動周波数に基づいて第2駆動電圧を得るため、V/fの比の値が巻き取り時よりも小さい、改良されたV/f一定制御の特性A2を適用している。
【0040】
別巻き取り装置200において、駆動部210は、モータ231を駆動するインバータを備えていてもよい。この場合、第2駆動周波数をインバータが出力可能な制御限界値としての下限周波数に等しくすることができる。このように第2駆動周波数を下限周波数に等しくすると、モータ231のトルクは最小である。このため、織布300に過張力を与えずに、一定かつ最小の張力を与えることができる。
【0041】
[製織停止時の別巻き取り装置のその他の動作]
別巻き取り装置200の織布300の巻き取り停止時における張力付与の他の動作例を、
図5を参照して説明する。
図5は、別巻き取り装置200の巻き取り停止時の駆動特性の他の例を詳細に示す特性図である。
【0042】
別巻き取り装置200の他の動作として、織布300の巻き取りを停止する場合、駆動部210は、第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、第2駆動周波数で駆動した場合に駆動周波数と駆動電圧との比が織布300の巻き取り時よりも低くなるような第2駆動電圧とにより、モータ231を駆動する。この場合、第2駆動周波数と第2駆動電圧との比は、一定ではないものの、巻き取り時における第1駆動周波数と第1駆動電圧との比よりは低くなっている。
【0043】
図5に示す具体例では、領域a2において第2駆動周波数は1.5~3.0Hz程度であり、第2駆動電圧は10V一定の固定値である。このように、織布300の巻き取り停止時において、駆動部210は、織布300の巻き取りに使用される第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、第2駆動周波数が変わっても値が一定な固定値の第2駆動電圧とを用いて、モータ231を駆動する。これにより、織機100の停止時において別巻き取り装置200は、ブレーキ手段を用いず、誘導電動機の滑りにより、プレスローラ133の位置からサーフェスローラ236の位置に至るまでの巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができる。
【0044】
別巻き取り装置200において、駆動部210は、モータ231を駆動するインバータを備えていてもよい。この場合、第2駆動電圧を、インバータが出力可能な制御限界値としての下限電圧に等しくすることができる。これにより、制御を簡素化しつつ、巻き取り途中の織布300に最小の張力を与え続けることができる。
【0045】
図4及び
図5の特性図において第2駆動周波数は1.5~3.0Hz程度の帯域を有しているが、織布300の巻き取り停止時における張力付与のため、帯域内の任意の固定された周波数を使用してもよいし、織布300の性質に合わせて帯域内で可変の周波数を使用してもよい。
【0046】
以上の
図2~
図5の特性図に示した駆動周波数と駆動電圧の値は一例に過ぎない。従って、使用する環境において各種の変形が可能である。
【0047】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1に説明した別巻き取り装置200により得られる効果は以下の通りである。
【0048】
本開示における別巻き取り装置は、モータ231の回転により織布300を巻き取る巻き取り部230と、V/f一定制御によりモータ231を駆動する駆動部210とを備える。駆動部210は、織布300の巻き取りを停止する場合、織布300の巻き取り時に使用される第1駆動周波数より低い第2駆動周波数と、第2駆動周波数で駆動した場合に駆動周波数と駆動電圧との比が織布の巻き取り時よりも低くなるような第2駆動電圧とにより、モータ231を駆動する。これにより、織機100の停止時において別巻き取り装置200は、ブレーキ手段を用いず、誘導電動機の滑りにより、プレスローラ133の位置からサーフェスローラ236の位置に至るまでの巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができる。
【0049】
本開示における別巻き取り装置200において、第2駆動電圧を、第2駆動周波数が変わっても値が一定な固定値にすることで、制御を簡素化しつつ、巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができる。
【0050】
本開示における別巻き取り装置200において、駆動部210はインバータを備え、第2駆動電圧をインバータの下限電圧に等しくすることで、制御を簡素化しつつ、巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができる。
【0051】
本開示における別巻き取り装置200において、織布300の巻き取りを停止する場合、駆動部210は、第2駆動周波数と第2駆動電圧との比を、織布の巻き取り時の駆動周波数と駆動電圧との比よりも低くなるように保つV/f一定制御によりモータ231を駆動することで、巻き取り途中の織布300に一定の張力を与え続けることができる。
【0052】
本開示における別巻き取り装置200において、駆動部210はインバータを備え、第2駆動周波数をインバータの下限周波数に等しい周波数にすることで、制御を簡素化しつつ、巻き取り途中の織布300に最小の張力を与え続けることができる。
【0053】
本開示における別巻き取り装置200において、第2駆動周波数を織布の性質に合わせて所定帯域内で可変にすることで、巻き取り途中の織布300の性質に合わせた状態で一定の張力を与え続けることができる。
【符号の説明】
【0054】
100 織機、110 制御部、120 製織部、130 搬送部、131 プレスローラ、132 サーフェスローラ、133 プレスローラ、134 ガイドローラ、135 クロスローラ、200 別巻き取り装置、210 駆動部、220 操作部、230 巻き取り部、231 モータ(誘導電動機)、231a モータ軸、232 転向ローラ、233 チェーン、234 サーフェスローラ、234a ギア、234b ギア、235 チェーン、236 サーフェスローラ、236a ギア、240 芯棒、250 織布ロール、300 織布。