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特許7327305金属端子付き電子部品、及び金属端子付き電子部品の製造方法
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  • 特許-金属端子付き電子部品、及び金属端子付き電子部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】金属端子付き電子部品、及び金属端子付き電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/228 20060101AFI20230808BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H01G4/228 A
H01G4/30 516
H01G4/30 201H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020119990
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016970
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 広祐
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-187320(JP,U)
【文献】特開平11-145576(JP,A)
【文献】特開2007-273867(JP,A)
【文献】特開2012-033655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/228
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子電極を有する電子部品と、
金属端子として前記端子電極と接合される、導電性の布部材と、
前記電子部品、及び前記布部材を支持する緩衝部材と、を備え、
前記布部材は、前記緩衝部材のうち、少なくとも実装面、及び前記電子部品が接合される接合面に接合され、
前記電子部品の前記端子電極は、前記緩衝部材の前記接合面上にて前記布部材と接合される、金属端子付き電子部品。
【請求項2】
前記緩衝部材は、一対の部材として互いに分離されている、請求項1に記載の金属端子付き電子部品。
【請求項3】
前記布部材は、前記緩衝部材に食い込むように接合されている、請求項1又は2に記載の金属端子付き電子部品。
【請求項4】
前記布部材は、前記実装面と平行な方向から見て、前記緩衝部材の周りを断面コ字状に取り囲む、請求項1~3の何れか一項に記載の金属端子付き電子部品。
【請求項5】
前記布部材は、前記実装面と平行な方向から見て、前記緩衝部材の周りを断面ロ字状に取り囲む、請求項1~3の何れか一項に記載の金属端子付き電子部品。
【請求項6】
前記布部材は、メッシュ状の隙間を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の金属端子付き電子部品。
【請求項7】
端子電極を有する電子部品を準備する工程と、
金属端子として前記端子電極と接合される、導電性の布部材を準備する工程と、
前記電子部品、及び前記布部材を支持する緩衝部材を準備する工程と、
前記緩衝部材のうち、少なくとも実装面、及び前記電子部品が接合される接合面に熱圧着により前記布部材を接合する工程と、
前記電子部品の前記端子電極を、前記緩衝部材の前記接合面上にて前記布部材と接合する工程と、を有する、金属端子付き電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属端子付き電子部品、及び金属端子付き電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属端子付き電子部品として、特許文献1に記載されたものが知られている。この金属端子付き電子部品は、電子部品と、電子部品の端子電極に接合される金属端子と、電子部品及び金属端子を支持する緩衝部材と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-187320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記金属端子付き電子部品は、緩衝部材を備えているため、基板に実装した状態において、たわみによる応力を緩衝部材が吸収することができる。これに対し、金属端子付き電極の耐たわみ性を更に向上することが求められていた。
【0005】
本発明は、耐たわみ性を向上できる金属端子付き電子部品、及び金属端子付き電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る金属端子付き電子部品は、端子電極を有する電子部品と、金属端子として端子電極と接合される、導電性の布部材と、電子部品、及び布部材を支持する緩衝部材と、を備え、布部材は、緩衝部材のうち、少なくとも実装面、及び電子部品が接合される接合面に接合され、電子部品の端子電極は、緩衝部材の接合面上にて布部材と接合される。
【0007】
本発明に係る金属端子付き電子部品は、電子部品、及び布部材を支持する緩衝部材を備える。このように、緩衝部材が電子部品を支持するため、金属端子付き電子部品を基板に実装した状態において、たわみによる応力を緩衝部材が吸収することができる。ここで、金属端子付き電子部品は、金属端子として端子電極と接合される、導電性の布部材を備える。布部材は、金属片を折り曲げることによって形成した金属端子に比べて、柔軟性がある部材である。従って、布部材は、たわみに対して容易に曲がることができる。この布部材は、緩衝部材のうち、少なくとも実装面、及び電子部品が接合される接合面に接合され、電子部品の端子電極は、緩衝部材の接合面上にて布部材と接合される。このため、布部材は、接合面側で接合される電子部品の端子電極と、実装面側で接合される基板の端子とを電気的に接続することができる。また、布部材は、柔軟性を有しつつも、緩衝部材で支持されることで、電子部品の端子電極と基板の端子とを電気的に接続した姿勢を維持することができる。すなわち、布部材は、耐たわみ性を向上しつつも、金属端子としての機能を十分に発揮することができる。以上より、金属端子付き電子部品は、耐たわみ性を向上できる。
【0008】
緩衝部材は、一対の部材として互いに分離されていてよい。この場合、電子部品の一方の端子電極と緩衝部材との接合構造と、他方の端子電極と緩衝部材との接合構造とを独立させることができるため、電子部品の一対の端子電極に対して一体の緩衝部材が設けられる場合に比して、耐たわみ性を一層向上することができる。
【0009】
布部材は、緩衝部材に食い込むように接合されていてよい。この場合、布部材と緩衝部材とを強固に接合することができるため、接触不良を抑制することができる。
【0010】
布部材は、実装面と平行な方向から見て、緩衝部材の周りを断面コ字状に取り囲んでよい。この場合、緩衝部材に支持される布部材を必要な範囲に留めることで、少量の金属布により、確実に電子部品の端子電極と基板の端子とを接続することができる。
【0011】
布部材は、実装面と平行な方向から見て、緩衝部材の周りを断面ロ字状に取り囲んでよい。この場合、布部材は、実装面と平行な方向から見て、緩衝部材を全周にわたって巻き付けられた状態で支持されるため、より確実に電気導通性を確保することができる。例えば、金属片で緩衝部材の全周を取り囲んだ場合、たわみによる応力の影響を受け易くなってしまうが、布部材は柔軟性を有するため、電気導通性を確保しつつも、耐たわみ性を向上できる。
【0012】
布部材は、メッシュ状の隙間を有してよい。この場合、電子部品の端子電極を布部材に接合するとき、はんだがメッシュ状の隙間に入り込むことで、接続性を向上できる。また、布部材を緩衝部材に熱圧着によって接合するとき、溶け出した緩衝部材がメッシュ状の隙間に入り込むことで布部材と緩衝部材とを強固に接合できる。また、布部材に熱を伝え易くなるため、布部材と緩衝部材との接合作業を行いやすくなる。
【0013】
本発明に係る金属端子付き電子部品の製造方法は、端子電極を有する電子部品を準備する工程と、金属端子として端子電極と接合される、導電性の布部材を準備する工程と、電子部品、及び布部材を支持する緩衝部材を準備する工程と、緩衝部材のうち、少なくとも実装面、及び電子部品が接合される接合面に熱圧着により布部材を接合する工程と、電子部品の端子電極を、緩衝部材の接合面上にて布部材と接合する工程と、を有する。
【0014】
本発明に係る金属端子付き電子部品の製造方法によれば、上述の金属端子付き電子部品と同様の作用・効果により、金属端子付き電子部品の耐たわみ性を向上できる。また、布部材を緩衝部材に接合する工程では、熱圧着により布部材が緩衝部材に接合される。この場合、溶け出した緩衝部材の材料が布部材に入り込むことで両者を強固に接合することができる。また、固化するはんだを用いることなく布部材と緩衝部材とを接合することが可能となるため、布部材が柔軟性を発揮する状態を維持できるため、耐たわみ性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐たわみ性を向上できる金属端子付き電子部品、及び金属端子付き電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品の正面図である。
図2】布部材を緩衝部材に接合する様子を示す概念図である。
図3】本実施形態に係る金属端子付き電子部品の製造方法を示す工程図である。
図4】変形例に係る金属端子付き電子部品において、布部材の緩衝部材に対する接合態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品の構造について説明する。図1は、金属端子付き電子部品の正面図である。
【0018】
図1に示すように、金属端子付き電子部品1は、電子部品2と、一対の緩衝部材10A,10Bと、一対の金属端子3A,3Bとして構成される一対の布部材11A,11Bと、を備える。なお、以降の説明においては、図面において、XYZ座標を用いて説明を行う場合がある。Z軸は、電子部品2の実装面からの高さ方向に一致する。X軸は、Z軸方向に垂直な方向に延びる。Y軸は、X軸方向及びZ軸方向に垂直な方向に延びる。なお、X軸方向及びY軸方向の一方側が正側に設定され、Z軸方向の上側が正側に設定される。
【0019】
電子部品2は、素体6と、一対の端子電極7A,7Bと、を備える。素体6は、略直方体形状を有する。素体6は、X軸方向の正側及び負側においてYZ平面と平行に広がる側面6a,6bと、Z軸方向の正側及び負側においてXY平面と平行に広がる側面6c,6dと、Y軸方向の正側及び負側においてXZ平面と平行に広がる端面(不図示)と、を備える。X軸方向の負側の電子部品2の側面6aと、X軸方向の正側の電子部品2の側面6bとは、X軸方向に互いに対向するように配置される。端子電極7Aは、素体6のY軸方向の正側の端面を覆うように設けられる。端子電極7Bは、素体6のY軸方向の負側の端面を覆うように設けられる。また、端子電極7A,7Bは、側面6a,6b,6c,6dまで回り込んでいる。従って、端子電極7A,7Bは、素体6のY軸方向の端面を覆う本体部7aと、側面6a,6b,6c,6dに回り込む回り込み部7bと、を有する。
【0020】
本実施形態では、電子部品2は、コンデンサとして構成されている。従って、素体6の内部では、誘電体層を挟んで複数の内部電極層が積層されており、端子電極7Aに接続される内部電極層と端子電極7Bに接続される内部電極層が交互に積層される。電子部品2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。電子部品2は、たとえば、縦(Y軸方向の寸法)1.0~10.0mm×横(Z軸方向の寸法)0.5~8.0mm×厚み(X軸方向の寸法)0.3~5.0mm程度である。
【0021】
電子部品2の誘電体層の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。内部電極層に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。端子電極7A,7Bの材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極7A,7Bの表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。
【0022】
緩衝部材10A,10Bは、実装対象となる基板と電子部品2との間に配置される部材である。緩衝部材10A,10Bは、基板から電子部品2へ伝達されるたわみによる応力を吸収することができる。また、緩衝部材10A,10Bは、電子部品2、及び布部材11A,11Bを支持する。緩衝部材10A,10Bの材料は、基板からの応力を吸収できる材料であれば特に限定されず、樹脂材料、プラスチック、ゴム材料などを採用してよい。具体的には、シリコンゴム、エポキシなどを採用してよい。
【0023】
緩衝部材10A,10Bは、一対の部材として互いに分離されている。緩衝部材10Aは、端子電極7Aの位置にて電子部品2を支持する。緩衝部材10Bは、端子電極7Bの位置にて電子部品2を支持する。緩衝部材10A,10Bは、電子部品2をZ軸方向の正側、すなわち後述の実装面10dとは反対側で支持する。これにより、緩衝部材10A,10Bは、実装面10dよりも高い位置にて電子部品2を支持する。緩衝部材10A,10Bは、互いにY軸方向に離間して配置される。
【0024】
緩衝部材10A,10Bは、直方体状の形状を有している。緩衝部材10A,10Bは、X軸方向の正側及び負側においてYZ平面と平行に広がる側面10a,10bと、Z軸方向の正側及び負側においてXY平面と平行に広がる接合面10c及び実装面10dと、Y軸方向の内側(中央側)及び外側(中央位置とは反対側)においてXZ平面と平行に広がる側面10e,10fと、を備える。
【0025】
緩衝部材10Aの接合面10cは、電子部品2の端子電極7Aが接合される面である。緩衝部材10Bの接合面10cは、電子部品2の端子電極7Bが接合される面である。緩衝部材10A,10Bの実装面10dは、基板に実装される面である。緩衝部材10A,10BのY軸方向における内側の側面10eは、端子電極7A,7Bよりも内側に配置され、外側の側面10fは、端子電極7A,7Bよりも外側に配置される。なお、緩衝部材10A,10BのX軸方向における正側の側面10aは、端子電極7A,7Bよりも正側に配置され、負側の側面10bは、端子電極7A,7Bよりも負側に配置される。ただし、緩衝部材10A,10Bの電子部品2に対する大きさや配置は特に限定されるものではない。
【0026】
布部材11A,11Bは、導電性の布である。布部材11A,11Bは、緩衝部材10A,10Bに接合されることによって、金属端子3A,3Bを構成する。布部材11A,11Bは、繊維を編むことによって形成される部材である。布部材11A,11Bとして、金属布、及び導電性布などが採用されてよい。金属布は、金属製の繊維を編むことによって構成された部材である。金属布の金属製の繊維の材料として、例えば、42アロイ、銅などが採用される。導電性布は、金属以外の材料の繊維を編んで布を構成し、当該布の表面に導電性のめっき層を形成することによって構成された部材である。導電性布の繊維の材料として、例えば、銅、ニッケルなどが採用され、表面のめっき層の材料として、例えば、スズ、ニッケルなどが採用される。
【0027】
布部材11A,11Bは、緩衝部材10A,10Bのうち、実装面10d、接合面10c、及び側面10fに接合される。これにより、布部材11A,11Bは、X軸方向から見て、緩衝部材10A,10Bの周りを断面コ字状に取り囲む。布部材11A,11Bは、接合部11aと、実装部11bと、連結部11cと、を有する。布部材11A,11Bは、X軸方向において緩衝部材10のX軸方向の寸法と同じ大きさで延びてもよく、緩衝部材10のX軸方向の寸法よりも小さくてもよい。
【0028】
接合部11aは、接合面10cに接合されることで、当該接合面10cと平行に広がる部分である。これにより、接合部11aは、接合面10cを覆うように当該接合面10cに沿って広がる。接合部11aは、側面10fからY軸方向における内側へ延び、中央より側面10e側の位置まで延びる。接合部11aは、端子電極7AよりもY軸方向における内側まで延びる。接合部11aは、接合面10cに支持された状態で、端子電極7Aと接合される。接合部11aは、接合材12を介して端子電極7Aの回り込み部7bと接合される。接合材12は、はんだによって構成される。
【0029】
実装部11bは、実装面10dに接合されることで、当該実装面10dと平行に広がる部分である。これにより、実装部11bは、実装面10dを覆うように当該実装面10dに沿って広がる。実装部11bは、側面10fからY軸方向における内側へ延び、中央より側面10e側の位置まで延びる。実装部11bは、端子電極7AよりもY軸方向における内側まで延び、接合部11aと同じ位置まで延びる。実装部11bは、金属端子付き電子部品1を基板に実装するときに、はんだを介して基板の端子と接続される。
【0030】
連結部11cは、側面10fに接合されることで、当該連結部11cと平行に広がる部分である。連結部11cは、Z軸方向において側面10fの全域を覆うように延びる。これにより、連結部11cは、側面10fを覆うように当該側面10fに沿って広がる。連結部11cは、接合部11aのY軸方向における端部と、実装部11bのY軸方向における端部とに接続されることで、接合部11aと実装部11bとを連結する。
【0031】
布部材11A,11Bは、繊維を編むことによって構成されるため、メッシュ状の隙間を有している。接合部11a及び実装部11bは、メッシュ状の隙間にはんだをしみ込ませることができる。
【0032】
図2(b)に示すように、布部材11Aは、緩衝部材10Aに食い込むように接合されている。布部材11Aは、接合面10cよりも緩衝部材10Aの内側(Z軸方向の負側)まで沈み込んだ状態で、当該接合面10cに接合される。布部材11Aは、熱圧着によって接合面10cに接合される。従って、緩衝部材10Aの接合面10c付近の材料が一部溶け出して、布部材11のメッシュ状の隙間にしみ込む。なお、図2(b)では、布部材11Aの接合部11a付近の様子が示されているが、実装部11b及び連結部11cも同様に緩衝部材10Aに食い込むように接続される。布部材11Bも同様である。
【0033】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法を示す工程図である。
【0034】
図3に示すように、まず、端子電極7A,7Bを有する電子部品2を準備する工程S10が実行される。次に、金属端子3A,3Bとして端子電極7A,7Bと接合される、導電性の布部材11A,11Bを準備する工程S20が実行される。次に、電子部品2、及び布部材11A,11Bを支持する緩衝部材10A,10Bを準備する工程S30が実行される。
【0035】
次に、緩衝部材10A,10Bのうち、実装面10d、接合面10c、及び側面10fに熱圧着により布部材11A,11Bを接合する工程S40が実行される。当該工程S40では、図2(a)に示すように、布部材11Aの接合部11aが、加熱押圧具20で加熱されながら接合面10cに押圧される。これにより、接合面10c付近の緩衝部材10Aの材料が溶け出し、布部材11Aのメッシュ状の隙間に入り込む。また、布部材11Aは、緩衝部材10Aに押し込まれて食い込む。加熱押圧具20を離間させると、布部材11Aに入り込んだ緩衝部材10が硬化する。これにより、布部材11Aは、緩衝部材10Aに食い込んだ状態で、当該緩衝部材10Aに固定される。加熱押圧具20は、実装面10d及び接合面10cに対しても布部材11Aを接合する。布部材11Bも同様の方法で緩衝部材10Bに接合される。
【0036】
次に、電子部品2の端子電極7A,7Bを、緩衝部材10A,10Bの接合面10c上にて布部材11A,11Bと接合する工程S50が実行される。当該工程S50では、溶融した状態の接合材12を布部材11A,11Bの接合部11a上に塗布し、当該接合材12を介して布部材11A,11Bの接合部11a上に端子電極7A,7Bをそれぞれ載置する。これにより、接合材12が硬化することで、布部材11A,11Bと端子電極7A,7Bとが接合される。
【0037】
次に、本実施形態に係る金属端子付き電子部品1、及びその製造方法の作用・効果について説明する。
【0038】
本実施形態に係る金属端子付き電子部品1は、電子部品2、及び布部材11A,11Bを支持する緩衝部材10A,10Bを備える。このように、緩衝部材10A,10Bが電子部品2を支持するため、金属端子付き電子部品1を基板に実装した状態において、たわみによる応力を緩衝部材10A,10Bが吸収することができる。ここで、金属端子付き電子部品1は、金属端子3A,3Bとして端子電極7A,7Bと接合される、導電性の布部材11A,11Bを備える。布部材11A,11Bは、金属片を折り曲げることによって形成した金属端子に比べて、柔軟性がある部材である。従って、布部材11A,11Bは、たわみに対して容易に曲がることができる。この布部材11A,11Bは、緩衝部材10A,10Bのうち、少なくとも実装面10d、及び電子部品2が接合される接合面10cに接合され、電子部品2の端子電極7A,7Bは、緩衝部材10A,10Bの接合面10c上にて布部材11A,11Bと接合される。このため、布部材11A,11Bは、接合面10c側で接合される電子部品2の端子電極7A,7Bと、実装面10d側で接合される基板の端子とを電気的に接続することができる。また、布部材11A,11Bは、柔軟性を有しつつも、緩衝部材10A,10Bで支持されることで、電子部品2の端子電極7A,7Bと基板の端子とを電気的に接続した姿勢を維持することができる。すなわち、布部材11A,11Bは、耐たわみ性を向上しつつも、金属端子3A,3Bとしての機能を十分に発揮することができる。以上より、金属端子付き電子部品1は、耐たわみ性を向上できる。
【0039】
緩衝部材10A,10Bは、一対の部材として互いに分離されていてよい。この場合、電子部品2の一方の端子電極7Aと緩衝部材10Aとの接合構造と、他方の端子電極7Bと緩衝部材10Bとの接合構造とを独立させることができるため、電子部品2の一対の端子電極7A,7Bに対して一体の緩衝部材が設けられる場合に比して、耐たわみ性を一層向上することができる。
【0040】
布部材11A,11Bは、緩衝部材10A,10Bに食い込むように接合されていてよい。この場合、布部材11A,11Bと緩衝部材10A,10Bとを強固に接合することができるため、接触不良を抑制することができる。
【0041】
布部材11A,11Bは、実装面10dと平行な方向(X軸方向)から見て、緩衝部材10A,10Bの周りを断面コ字状に取り囲んでよい。この場合、緩衝部材10A,10Bに支持される布部材11A,11Bを必要な範囲に留めることで、少量の金属布により、確実に電子部品2の端子電極7A,7Bと基板の端子とを接続することができる。
【0042】
布部材11A,11Bは、メッシュ状の隙間を有してよい。この場合、電子部品2の端子電極7A,7Bを布部材11A,11Bに接合するとき、はんだがメッシュ状の隙間に入り込むことで、接続性を向上できる。また、布部材11A,11Bを緩衝部材10A,10Bに熱圧着によって接合するとき、溶け出した緩衝部材10A,10Bがメッシュ状の隙間に入り込むことで布部材11A,11Bと緩衝部材10A,10Bとを強固に接合できる。また、布部材11A,11Bに熱を伝え易くなるため、布部材11A,11Bと緩衝部材10A,10Bとの接合作業を行いやすくなる。
【0043】
本実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法は、端子電極7A,7Bを有する電子部品2を準備する工程S10と、金属端子3A,3Bとして端子電極7A,7Bと接合される、導電性の布部材11A,11Bを準備する工程S20と、電子部品2、及び布部材11A,11Bを支持する緩衝部材10A,10Bを準備する工程S30と、緩衝部材10A,10Bのうち、少なくとも実装面10d、及び電子部品2が接合される接合面10cに熱圧着により布部材11A,11Bを接合する工程S40と、電子部品2の端子電極7A,7Bを、緩衝部材10A,10Bの接合面10c上にて布部材11A,11Bと接合する工程S50と、を有する。
【0044】
本実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法によれば、上述の金属端子付き電子部品1と同様の作用・効果により、金属端子付き電子部品1の耐たわみ性を向上できる。また、布部材11A,11Bを緩衝部材10A,10Bに接合する工程S40では、熱圧着により布部材11A,11Bが緩衝部材10A,10Bに接合される。この場合、溶け出した緩衝部材10A,10Bの材料が布部材11A,11Bに入り込むことで両者を強固に接合することができる。また、固化するはんだを用いた場合、はんだの部分にて布部材11A,11Bの柔軟性が損なわれてしまうが、熱圧着によれば、はんだを用いることなく布部材11A,11Bと緩衝部材10A,10Bとを接合することが可能となるため、布部材11A,11Bが柔軟性を発揮する状態を維持できるため、耐たわみ性を向上できる。
【0045】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0046】
例えば、布部材11A,11Bの緩衝部材10A,10Bに対する接合態様は特に限定されず、端子電極7A,7Bと基板の端子との電気的な接続性が確保されれば、あらゆる接合態様を採用可能である。例えば、図4(a)に示すように、布部材11Aは、X軸方向から見て、緩衝部材10Aの周りを断面ロ字状に取り囲んでよい。X軸方向の両側の側面10a,10bは布部材11Aで覆われていない。この場合、布部材11Aは、X軸方向から見て、緩衝部材10Aを全周にわたって巻き付けられた状態で支持されるため、より確実に電気導通性を確保することができる。例えば、金属片で緩衝部材10Aの全周を取り囲んだ場合、たわみによる応力の影響を受け易くなってしまうが、布部材11Aは柔軟性を有するため、電気導通性を確保しつつも、耐たわみ性を向上できる。
【0047】
図4(a)の接続態様では、X軸方向の両側の側面10a,10bが布部材11Aで覆われていなかったが、図4(b)に示すように、布部材11Aは、緩衝部材10Aの六面の全てを覆ってもよい。
【0048】
上述の実施形態では、互いに分離された一対の緩衝部材10A,10Bが採用されたが、一体の緩衝部材が端子電極7A,7Bを同時に支持するような構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…金属端子付き電子部品、2…電子部品、3A,3B…金属端子、7A,7B…端子電極、10A,10B…緩衝部材、11A,11B…布部材。
図1
図2
図3
図4