IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

特許7327333機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム
<>
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図1
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図2
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図3
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図4
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図5
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図6
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図7
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図8
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図9
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図10
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図11
  • 特許-機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230808BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20230808BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G06F3/04817
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020163211
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055661
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 守広
(72)【発明者】
【氏名】本岡 竜太
(72)【発明者】
【氏名】魚森 良保
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126614(JP,A)
【文献】特開2013-149088(JP,A)
【文献】特開2002-373007(JP,A)
【文献】特開平07-318380(JP,A)
【文献】特開2009-163455(JP,A)
【文献】特開2015-028816(JP,A)
【文献】特開2017-191385(JP,A)
【文献】特開2018-116485(JP,A)
【文献】特開2017-199060(JP,A)
【文献】特開2008-003649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G06F 3/04817
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の保全を行う機器保全装置であって、
機器のパラメータが定義された機器定義情報を格納する格納部と、
保全対象の機器である保全対象機器から機器情報を取得する取得部と、
前記格納部に格納された前記機器定義情報と前記取得部で取得された前記機器情報とを用いて、前記保全対象機器のパラメータ毎に少なくとも前記パラメータの名称と前記パラメータの値とが付された第1ボタンを表示部の情報表示欄に表示させる表示処理部と、
を備え
前記第1ボタンは、前記情報表示欄の表示内容を、前記パラメータの詳細を表示する内容に切り替えるためのボタンである、
器保全装置。
【請求項2】
前記機器定義情報には、機器の保全に関連するメニュー及び機器のパラメータが階層的に定義されており、
前記表示処理部は、前記情報表示欄の表示内容を異なる階層の表示内容に切り替えるボタンであって、前記メニューの名称が付された第2ボタンを前記情報表示欄に表示させる、
請求項1記載の機器保全装置。
【請求項3】
前記機器定義情報には、機器に対して行わせる手続き型処理が更に定義されており、
前記表示処理部は、前記手続き型処理を実行させるボタンであって、前記手続き型処理の名称が付された第3ボタンを前記情報表示欄に表示させる、
請求項2記載の機器保全装置。
【請求項4】
前記機器定義情報で定義された各階層における前記メニュー、前記パラメータ、及び前記手続き型処理は、1つ上位の階層における前記メニューに紐付けられており、
前記表示処理部は、前記第2ボタンが操作された場合に、前記第2ボタンに名称が付されている当該メニューに紐付けられた前記パラメータの名称及び値が付された前記第1ボタン、当該メニューに紐付けられた前記メニューの名称が付された前記第2ボタン、又は当該メニューに紐付けられた前記手続き型処理の名称が付された前記第3ボタンの少なくとも1つを前記情報表示欄に表示させる、
請求項3記載の機器保全装置。
【請求項5】
検索情報を入力する入力部と、
前記機器定義情報に定義された前記パラメータ、前記メニュー、前記手続き型処理の名称を検索対象として前記検索情報を検索する検索部と、
を備え、
前記表示処理部は、前記情報表示欄に表示された前記第1ボタン、前記第2ボタン、及び前記第3ボタンのうち、前記検索部で検索された名称が付されているボタンを異なる態様で前記情報表示欄に表示させる、
請求項3又は請求項4記載の機器保全装置。
【請求項6】
前記機器定義情報には、前記パラメータ、前記メニュー、前記手続き型処理の詳細情報が格納されており、
前記検索部は、前記機器定義情報に定義された前記パラメータ、前記メニュー、前記手続き型処理の名称及び前記詳細情報を検索対象として前記検索情報を検索し、
前記表示処理部は、前記情報表示欄に表示された前記第1ボタン、前記第2ボタン、及び前記第3ボタンのうち、前記検索部で検索された名称が付されているボタン、又は前記検索情報が含まれている前記詳細情報に関するボタンを異なる態様で表示させる、
請求項5記載の機器保全装置。
【請求項7】
機器の保全を行う機器保全方法であって、
保全対象の機器である保全対象機器から機器情報を取得する取得ステップと、
機器のパラメータが定義された機器定義情報と前記取得ステップで取得された前記機器情報とを用いて、前記保全対象機器のパラメータ毎に少なくとも前記パラメータの名称と前記パラメータの値とが付された第1ボタンを表示部の情報表示欄に表示させる表示処理ステップと、
を有し、
前記第1ボタンは、前記情報表示欄の表示内容を、前記パラメータの詳細を表示する内容に切り替えるためのボタンである、
器保全方法。
【請求項8】
コンピュータを、機器の保全を行う機器保全装置として機能させる機器保全プログラムであって、
前記コンピュータを、
機器のパラメータが定義された機器定義情報を格納する格納手段と、
保全対象の機器である保全対象機器から機器情報を取得する取得手段と、
前記格納手段に格納された前記機器定義情報と前記取得手段で取得された前記機器情報とを用いて、前記保全対象機器のパラメータ毎に少なくとも前記パラメータの名称と前記パラメータの値とが付された第1ボタンを表示手段の情報表示欄に表示させる表示処理手段と、
として機能させ
前記第1ボタンは、前記情報表示欄の表示内容を、前記パラメータの詳細を表示する内容に切り替えるためのボタンである、
器保全プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プラントや工場等(以下、これらを総称する場合には、単に「プラント」という)では、異常な動作の予防、性能維持等の観点から、メンテナンスが定期又は不定期に行われる。例えば、分散制御システム(DCS:Distributed Control System)が構築されたプラントでは、作業者によるフィールド機器(以下、「機器」と略す場合がある)の保全が定期又は不定期に行われる。
【0003】
フィールド機器の保全は、フィールド機器との間で有線通信又は無線通信が可能な機器保全装置を用いて行われる。この機器保全装置は、例えば、フィールド機器の保全を行うための専用のプログラムがインストールされた、ノート型又はタブレット型のコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、又はスマートフォン等である。フィールド機器の保全項目には、例えば、保全対象のフィールド機器に設定等されている機器情報を読み出して確認する確認作業、新たな機器情報を保全対象のフィールド機器に設定する設定作業等、保全対象のフィールド機器に応じた様々な保全作業が含まれる。
【0004】
以下の特許文献1には、従来の機器保全装置の一例が開示されている。この機器保全装置では、表示画面に表示項目選択メニューと機器情報表示欄とが設けられており、表示項目選択メニューの操作に応じて、機器情報表示欄に表示させる情報を変えることが可能である。例えば、表示項目選択メニューの操作に応じて、フィールド機器から読み出した機器情報を表示させたり、ユーザによって記録されたコメント等の添付情報を表示させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-109011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、機器保全装置は、フィールド機器のベンダが用意する機器定義情報(例えば、DD(Device Description)ファイルに格納された情報)を用いて機器情報の表示を行っている。この機器定義情報には、ベンダが提供するフィールド機器の全ての特性や属性(パラメータ)以外に、保全に関連するメニューも定義されている。機器定義情報は、階層的に定義されていることから、機器保全装置のユーザは、階層に応じたツリー状のメニュー(メニューツリー)を辿って、所望のパラメータを表示させる必要がある。尚、例えば、パラメータには、フィールド機器の特性や属性を表す情報、特性や属性のために用いられる情報等がある。
【0007】
従来の機器保全装置の表示画面には、上述したメニューツリーが表示されるメニュー表示欄と、フィールド機器の各種パラメータが表示されるパラメータ表示欄とが設けられているものが多い。ここで、機器保全装置は、ユーザに携帯して使用されるものであるから小型なものが殆どである。このため、上記のメニュー表示欄とパラメータ表示欄とが機器保全装置の小型の表示画面に表示されている状態では、パラメータの確認や設定がしづらく、作業効率が低下するという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、機器のパラメータを容易に確認することができ、保全作業の作業効率を高めることができる機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による機器保全装置は、機器の保全を行う機器保全装置(1)であって、機器のパラメータが定義された機器定義情報(D1)を格納する格納部(13)と、保全対象の機器である保全対象機器(FD)から機器情報を取得する取得部(15)と、前記格納部に格納された前記機器定義情報と前記取得部で取得された前記機器情報とを用いて、前記保全対象機器のパラメータ毎に、前記パラメータの詳細を表示する画面に遷移させるためのボタンであって、少なくとも前記パラメータの名称(N2)と前記パラメータの値(V2)とが付された第1ボタン(B2)を表示部(12)に表示させる表示処理部(14a)と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様による機器保全装置は、前記機器定義情報には、機器の保全に関連するメニュー及び機器のパラメータが階層的に定義されており、前記表示処理部が、前記表示部の表示内容を異なる階層の表示内容に遷移させるボタンであって、前記メニューの名称(N1)が付された第2ボタン(B1)を前記表示部に表示させる。
【0011】
また、本発明の一態様による機器保全装置は、前記機器定義情報には、機器に対して行わせる手続き型処理が更に定義されており、前記表示処理部が、前記手続き型処理を実行させるボタンであって、前記手続き型処理の名称(N3)が付された第3ボタン(B3)を前記表示部に表示させる。
【0012】
また、本発明の一態様による機器保全装置は、前記機器定義情報で定義された各階層における前記メニュー、前記パラメータ、及び前記手続き型処理が、1つ上位の階層における前記メニューに紐付けられており、前記表示処理部が、前記第2ボタンが操作された場合に、前記第2ボタンに名称が付されている当該メニューに紐付けられた前記パラメータの名称及び値が付された前記第1ボタン、当該メニューに紐付けられた前記メニューの名称が付された前記第2ボタン、又は当該メニューに紐付けられた前記手続き型処理の名称が付された前記第3ボタンの少なくとも1つを前記表示部に表示させる。
【0013】
また、本発明の一態様による機器保全装置は、検索情報を入力する入力部(BX1、BX2)と、前記機器定義情報に定義された前記パラメータ、前記メニュー、前記手続き型処理の名称を検索対象として前記検索情報を検索する検索部(14b)と、を備え、前記表示処理部が、前記表示部に表示された前記第1ボタン、前記第2ボタン、及び前記第3ボタンのうち、前記検索部で検索された名称が付されているボタンを異なる態様で前記表示部に表示させる。
【0014】
また、本発明の一態様による機器保全装置は、前記機器定義情報には、前記パラメータ、前記メニュー、前記手続き型処理の詳細情報が格納されており、前記検索部が、前記機器定義情報に定義された前記パラメータ、前記メニュー、前記手続き型処理の名称及び前記詳細情報を検索対象として前記検索情報を検索し、前記表示処理部が、前記表示部に表示された前記第1ボタン、前記第2ボタン、及び前記第3ボタンのうち、前記検索部で検索された名称が付されているボタン、又は前記検索情報が含まれている前記詳細情報に関するボタンを異なる態様で表示させる。
【0015】
本発明の一態様による機器保全方法は、機器の保全を行う機器保全方法であって、保全対象の機器である保全対象機器(FD)から機器情報を取得する取得ステップ(S16)と、機器のパラメータが定義された機器定義情報(D1)と前記取得ステップで取得された前記機器情報とを用いて、前記保全対象機器のパラメータ毎に、前記パラメータの詳細を表示する画面に遷移させるためのボタンであって、少なくとも前記パラメータの名称(N2)と前記パラメータの値(V2)とが付された第1ボタン(B2)を表示部(12)に表示させる表示処理ステップ(S14,S17)と、を有する。
【0016】
また、本発明の一態様による機器保全プログラムは、コンピュータを、機器の保全を行う機器保全装置(1)として機能させる機器保全プログラムであって、前記コンピュータを、機器のパラメータが定義された機器定義情報(D1)を格納する格納手段(13)と、保全対象の機器である保全対象機器(FD)から機器情報を取得する取得手段(15)と、前記格納手段に格納された前記機器定義情報と前記取得手段で取得された前記機器情報とを用いて、前記保全対象機器のパラメータ毎に、前記パラメータの詳細を表示する画面に遷移させるためのボタンであって、少なくとも前記パラメータの名称(N2)と前記パラメータの値(V2)とが付された第1ボタン(B2)を表示手段(12)に表示させる表示処理手段(14a)と、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機器のパラメータを容易に確認することができ、保全作業の作業効率を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による機器保全装置の外観を示す図である。
図2】本発明の実施形態による機器保全装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態による機器保全装置で用いられる機器定義情報のデータ構造を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態による機器保全装置に表示されるボタンを説明するための図である。
図5】本発明の実施形態による機器保全装置に表示される内容の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態による機器保全方法の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態におけるボタンの第1表示例を示す図である。
図8】本発明の実施形態におけるボタンの第2表示例を示す図である。
図9】本発明の実施形態におけるボタンの第2表示例を示す図である。
図10】本発明の実施形態におけるボタンの第3表示例を示す図である。
図11】本発明の実施形態における簡易検索時の表示例を示す図である。
図12】本発明の実施形態における詳細検索時の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラムについて詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の各実施形態の詳細について説明する。
【0020】
〔概要〕
本発明の実施形態は、機器のパラメータを容易に確認することができ、保全作業の作業効率を高めることを可能とするものである。具体的には、ユーザが使用する機器保全装置の表示画面が小型である場合であっても、パラメータの確認や設定が容易であり、作業効率を高めるようにするものである。
【0021】
機器保全装置で用いられる機器定義情報は、階層的に定義されていることから、機器保全装置のユーザは、階層に応じたツリー状のメニューであるメニューツリーを辿って、所望のパラメータを表示させる必要がある。このため、従来の機器保全装置は、メニューツリーが表示されるメニュー表示欄と、フィールド機器の各種パラメータが表示されるパラメータ表示欄とが設けられているものが多い。このようなメニュー表示欄とパラメータ表示欄とが機器保全装置の小型の表示画面に表示されている状態では、ユーザは、パラメータの確認や設定がしづらく、作業効率が低下する。
【0022】
また、従来の機器保全装置は、メニューツリーを辿って所望のパラメータを表示させる必要があることから、メニューツリーの構造をある程度把握していなければ、所望のパラメータを探すのに長時間を要し、作業効率が低下する。更に、従来の機器保全装置では、機器定義情報に各種パラメータの詳細情報が定義されているにも拘わらず、その詳細情報は表示されない。このため、機器保全装置のユーザは、表示画面に表示されたパラメータの名称からパラメータの意味を理解する必要がある。しかしながら、機器保全装置のユーザが、保全作業に慣れていないユーザである場合には、表示画面に表示されたパラメータの名称からパラメータの意味を理解するのは困難である。
【0023】
本発明の実施形態では、保全対象の機器である保全対象機器から機器情報を取得し、機器のパラメータが定義された機器定義情報と取得された機器情報とを用いて、保全対象機器のパラメータ毎に、パラメータの詳細を表示する画面に遷移させるためのボタンであって、少なくともパラメータの名称とパラメータの値とが付された第1ボタンを表示部に表示させるようにしている。このように、本実施形態では、1つのボタンに複数の情報(パラメータの名称、パラメータの値、パラメータの詳細を表示する画面の遷移先)が集約されていることから、機器のパラメータを容易に確認することができ、保全作業の作業効率を高めることができる。
【0024】
〔詳細〕
〈機器保全装置〉
図1は、本発明の実施形態による機器保全装置の外観を示す図である。図1に示す通り、本実施形態の機器保全装置1は、プラントに設置されたフィールド機器FD(機器、保全対象機器)に対して通信ケーブルCBを介して、或いはネットワークNWを介して接続される。尚、ネットワークNWは、フィールド機器FDと、フィールド機器FDの制御を行うコントローラ(図示省略)とを接続するプラントに敷設されたネットワークである。機器保全装置1は、例えば、ネットワークNWを構成する端子台(図示省略)に接続され、この端子台からフィールド機器FDに接続される。機器保全装置1は、ユーザの指示に応じて、フィールド機器FDとの間で通信を行うことにより、フィールド機器FDの機器情報(パラメータ)を取得して表示したり、新たなパラメータをフィールド機器FDに設定したりする。
【0025】
フィールド機器FDは、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントの現場に設置される機器である。このフィールド機器FDは、プラントに複数設置されており、各々がプラントに敷設されたネットワークNWに接続されて上述のコントローラによって制御される。
【0026】
尚、フィールド機器FDが設置されるプラントとしては、例えば、石油精製等の化学プラントや水処理プラントが挙げられる。また、これら以外に、工業プラント、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等であっても良い。
【0027】
図2は、本発明の実施形態による機器保全装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態の機器保全装置1は、操作部11、表示部12(表示手段)、格納部13(格納手段)、処理部14、通信部15(取得部、取得手段)、及び通信部16を備える。このような機器保全装置1は、例えば、タブレット型又はノート型のパーソナルコンピュータ等で実現される。
【0028】
操作部11は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置を備えており、機器保全装置1を使用するユーザの操作に応じた指示(機器保全装置1に対する指示)を処理部14に出力する。表示部12は、例えば液晶表示装置等の表示装置を備えており、処理部14から出力される各種情報を表示する。尚、操作部11及び表示部12は、物理的に分離されたものであっても良く、表示機能と操作機能とを兼ね備えるタッチパネル式の液晶表示装置のように物理的に一体化されたものであっても良い。
【0029】
格納部13は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の補助記憶装置を備えており、各種情報を格納する。格納部13は、フィールド機器FDのパラメータが定義された情報である機器定義情報D1等を格納する。具体的に、機器定義情報D1は、例えば、DD(Device Description)ファイルに格納された情報である。尚、格納部13には、機器保全装置1の機能を実現する各種プログラム、フィールド機器FDを保全するために行われた作業を示す作業データが格納されていても良い。
【0030】
図3は、本発明の実施形態による機器保全装置で用いられる機器定義情報のデータ構造を模式的に示す図である。図3に示す通り、機器定義情報D1は、フィールド機器FDの保全に関連するメニュー、フィールド機器FDのパラメータ、及びメソッド(フィールド機器FDに対して行わせる手続き型処理)が階層的に定義されたものである。尚、以下では、機器定義情報D1で定義されているメニュー、パラメータ、及びメソッドを総称する場合には、「定義項目」という。
【0031】
図3に示す通り、上記の定義項目(メニュー、パラメータ、及びメソッド)は、最上位に位置づけられるメニューM0をルート(最上層)として、ツリー状に紐付けられている。図3に示す例では、第1階層のメニューM11,M12及びパラメータP11,P12がルートのメニューM0に紐付けられている。また、第2階層のパラメータP21,P22が第1階層のメニューM11に紐付けられており、第2階層のメニューM21、パラメータP23、及びメソッドMT2が第1階層のメニューM12に紐付けられている。また、第3階層のパラメータP31,P32及びメソッドMT3が、第2階層のメニューM21に紐付けられている。
【0032】
機器定義情報D1で定義されている定義項目(メニュー、パラメータ、及びメソッド)の各々には、例えば、以下の情報が規定されている。
・定義項目の名称
・定義項目の種類
・定義項目の状態
・定義項目の詳細情報
・定義項目の形式
【0033】
「定義項目の名称」とは、定義項目の名称を端的に示すものである。メニューの名称としては、例えば、フィールド機器FDの詳細設定メニューを示す「Detailed setup」が挙げられる。パラメータの名称としては、例えば、流量変化に対する応答性(ダンピング時定数)を示す「Pres Damp」が挙げられる。メソッドの名称としては、例えば、自動レンジ設定を示す「Apply values」が挙げられる。
【0034】
「定義項目の種類」とは、定義項目が上記のメニュー、パラメータ、及びメソッドの何れであるのかを示す情報である。「定義項目の状態」とは、定義項目の状態を示す情報である。この定義項目の状態としては、例えば、読み出し及び書き込みが可能である旨を示す「Read/Write」、読み出しのみ可能である旨を示す「Read Only」、編集状態を示す情報等が挙げられる。「定義項目の詳細情報」とは、例えば、定義項目の説明が詳細に記述されたヘルプ情報である。「定義項目の形式」とは、文字通り、定義項目の形式を示す情報であり、例えば、Value(数値、文字列)、Enum(選択形式)、複数選択形式、日付、時間等が挙げられる。
【0035】
処理部14は、操作部11から入力される操作指示に応じた処理を行う。この処理部14は、表示処理部14a(表示処理手段)及び検索部14bを備えており、表示部12に表示させる画面を生成する処理を行うとともに、操作部11から入力される指示に基づいて、機器定義情報D1に含まれる情報の検索を行う。
【0036】
表示処理部14aは、表示部12に表示させる画面を生成する処理を行う。具体的に、表示処理部14aは、格納部13に格納された機器定義情報D1と、通信部15によって取得されたフィールド機器FDの機器情報(パラメータ)とを用いて画面を生成し、生成した画面を表示部12に表示させる処理を行う。ここで、表示処理部14aによって生成される画面は、例えば、上述した機器定義情報D1の定義項目(メニュー、パラメータ、及びメソッド)の情報が集約されているボタンが表示されている画面である。
【0037】
表示処理部14aが、このような画面を生成するのは、表示部12に設けられた表示装置の表示画面が小型である場合であっても、パラメータの確認や設定を容易に行うことができて、作業効率を高めるようにするためである。また、表示処理部14aは、検索部14bの検索結果が示された画面を生成する処理も行う。尚、表示処理部14aによって生成される画面の詳細については後述する。
【0038】
検索部14bは、操作部11から入力される指示に基づいて、機器定義情報D1に含まれる情報の簡易検索又は詳細検索を行う。ここで、簡易検索とは、機器定義情報D1の定義項目(メニュー、パラメータ、及びメソッド)の名称を検索対象として行う検索である。詳細検索とは、機器定義情報D1の定義項目(メニュー、パラメータ、及びメソッド)の名称に加えて、詳細情報を検索対象として行う検索である。
【0039】
通信部15は、処理部14の制御の下で、通信ケーブルCBを介して接続されたフィールド機器FDと通信を行う。通信部15は、フィールド機器FDと通信を行うことで、例えば、フィールド機器FDの機器情報(パラメータ)を取得する。通信部16は、処理部14の制御の下で、不図示のネットワークを介した通信を行う。例えば、通信部16は、プラント内に構築された無線ネットワークを介してプラント内に設置されたサーバ装置(図示省略)と通信を行う。機器保全装置1は、サーバ装置と通信を行って、例えば、フィールド機器FDの保全情報をサーバ装置にアップロードする。
【0040】
機器保全装置1の機能(例えば、処理部14で実現される表示処理部14a及び検索部14bの機能)は、例えば、それらの機能を実現するプログラムをインストールすることによりソフトウェア的に実現される。つまり、機器保全装置1の機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって実現される。
【0041】
機器保全装置1の機能を実現するプログラム(或いは、機器保全装置1の機能を更新するプログラム)は、例えばCD-ROM又はDVD(登録商標)-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で配布されても良く、インターネット等のネットワークを介して配布されても良い。或いは、上記のサーバ装置からダウンロードするようにしても良い。尚、機器保全装置1の機能は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0042】
図4は、本発明の実施形態による機器保全装置に表示されるボタンを説明するための図である。尚、図4(a)は、前述したメニューに関するメニューボタンB1(第2ボタン)を示す図である。図4(b)は、前述したパラメータに関するパラメータボタンB2(第1ボタン)を示す図である。図4(c)は、前述したメソッドに関するメソッドボタンB3(第3ボタン)を示す図である。
【0043】
これらのボタンは、基本的には、格納部13に格納された機器定義情報D1に基づいて、表示処理部14aによって生成される。尚、表示処理部14aによって生成されるボタンが、メニューボタンB1、パラメータボタンB2、メソッドボタンB3の何れであるかは、機器定義情報D1の各定義項目における「定義項目の種類」に基づいて規定される。
【0044】
図4に示す通り、メニューボタンB1、パラメータボタンB2、及びメソッドボタンB3は、同じ形状(横長の略長方形形状)であって大きさが等しいボタンである。但し、メニューボタンB1、パラメータボタンB2、及びメソッドボタンB3は、付される情報及び割り当てられる機能が異なっている。
【0045】
図4(a)に示す通り、メニューボタンB1は、左上隅部にメニューの名称N1が付され、左下隅部にアイコンC11が付され、右下隅部にアイコンC12が付されたボタンである。図4(a)に示す例では、メニューの名称N1として「Detailed setup」が付されており、アイコンC11としてメニューである旨を直感的に示す図形が付されており、アイコンC12として1つ下の階層に遷移する旨を示す記号「>」が付されている。
【0046】
また、メニューボタンB1には、操作(押下)された場合に、表示部12の表示内容を異なる階層(1つ下の階層)の表示内容に遷移させる機能が割り当てられている。具体的に、メニューボタンB1には、メニューボタンB1に付された名称N1で特定されるメニューに紐付けられている1つ下の階層における定義項目(メニュー、パラメータ、及びメソッド)を示すボタンが表示された画面に遷移させる機能が割り当てられている。尚、メニューボタンB1の色は、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の状態」に基づいて付される。
【0047】
図4(b)に示す通り、パラメータボタンB2は、左上隅部にパラメータの名称N2が付され、右下隅部にパラメータの数値V2及び単位UNが付されたボタンである。図4(b)に示す例では、パラメータの名称N2として「Pres Damp」が付されており、数値V2として「3.00」が付されており、単位UNとして、「s(秒)」が付されている。
【0048】
また、パラメータボタンB2には、操作(押下)された場合に、そのパラメータの詳細を表示する画面に遷移させる機能が割り当てられている。尚、パラメータボタンB2の色は、メニューボタンB1と同様に、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の状態」に基づいて付される。例えば、「定義項目の状態」が、読み出し及び書き込みが可能である旨を示す「Read/Write」である場合には、パラメータボタンB2の色として薄緑色が付される。或いは、「定義項目の状態」が、読み出しのみ可能である旨を示す「Read Only」である場合には、パラメータボタンB2の色として灰色(グレー)が付される。
【0049】
図4(c)に示す通り、メソッドボタンB3は、左上隅部にメソッドの名称N3が付され、左下隅部にアイコンC31が付され、右下隅部にアイコンC32が付されたボタンである。図4(c)に示す例では、メニューの名称N3として「Apply values」が付されており、アイコンC31として実行可能な手続き型処理である旨を直感的に示す図形が付されており、アイコンC32として処理が実行される旨を示す記号「…」が付されている。
【0050】
また、メソッドボタンB3には、操作(押下)された場合に、フィールド機器FDに対して手続き型処理を実行させる機能が割り当てられている。具体的に、メソッドボタンB3には、メソッドボタンB3に付された名称N3で特定される手続き型処理を実行させる機能が割り当てられている。尚、メソッドボタンB3の色は、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の状態」に基づいて付される。
【0051】
尚、図4(a)~図4(c)に示す表示態様は、あくまでも一例であって、メニューボタンB1、パラメータボタンB2、及びメソッドボタンB3の表示態様は、他の表示態様であっても良い。メニューボタンB1、パラメータボタンB2、及びメソッドボタンB3はそれぞれ、操作することが可能なまとまりのある表示形態として表示させてもよい。例えば、各ボタンに付される各種情報(例えば、名称、数値等)は、ポップアップ表示されるものであっても良く、折り畳まれたものが展開表示されるもの(或いは、展開表示されたものが折り畳まれるもの)であっても良い。
【0052】
図5は、本発明の実施形態による機器保全装置に表示される内容の一例を示す図である。図5に示す通り、本実施形態の機器保全装置1の表示部12には、メニュー経路表示欄R1、情報表示欄R2、簡易検索ボタンSB1、詳細検索ボタンSB2、アップロードボタンUB、及びダウンロードボタンDB等が設けられたウィンドウWが表示される。尚、ウィンドウWは、例えば、機器保全装置1の電源が投入された場合に表示されても良く、機器保全装置1のユーザから表示指示があった場合に表示されても良く、機器保全装置1にフィールド機器FDが接続された場合に表示されても良い。
【0053】
メニュー経路表示欄R1は、ユーザの操作によって辿られたメニューが表示される欄である。例えば、格納部13に格納された機器定義情報D1で、メニューが図3に示す通りに定義されている場合において、ユーザがルートのメニューM0からメニューM12,M21を順に辿ったときには、メニュー経路表示欄R1には、メニューM0の名称(Top)、メニューM12の名称、及びメニューM21の名称が順に表示される。尚、メニュー経路表示欄R1には、ユーザの操作によって辿られたメニューが表示されるだけで、従来のように、メニューツリーが表示される訳ではない点に注意されたい。
【0054】
情報表示欄R2は、図4(a)を用いて説明したメニューボタンB1、図4(b)を用いて説明したパラメータボタンB2、及び図4(c)を用いて説明したメソッドボタンB3等が表示される欄である。尚、情報表示欄R2には、メニューボタンB1、パラメータボタンB2、及びメソッドボタンB3の何れかのみが表示される場合があり、メニューボタンB1、パラメータボタンB2、及びメソッドボタンB3の何れか2つ以上の組み合わせが表示される場合もある。尚、情報表示欄R2の具体的な表示例については後述する。
【0055】
簡易検索ボタンSB1は、機器定義情報D1に含まれる情報の簡易検索を機器保全装置1に行わせるボタンである。詳細検索ボタンSB2は、機器定義情報D1に含まれる情報の詳細検索を機器保全装置1に行わせるボタンである。尚、前述の通り、簡易検索は、機器定義情報D1の定義項目の名称を検索対象として行う検索であり、詳細検索は、機器定義情報D1の定義項目の名称に加えて、詳細情報を検索対象として行う検索である。
【0056】
アップロードボタンUBは、フィールド機器FDからの機器情報の取得(アップロード)を機器保全装置1に行わせるためのボタンである。ダウンロードボタンDBは、フィールド機器FDに対する機器情報の設定(ダウンロード)を機器保全装置1に行わせるためのボタンである。
【0057】
〈機器保全方法〉
図6は、本発明の実施形態による機器保全方法の一例を示すフローチャートである。尚、図6に示すフローチャートの処理は、例えば、機器保全装置1にフィールド機器FDが接続されている状態で、機器保全装置1のユーザからの指示があったときに開始される。また、図6に示すフローチャートの処理は、図5に示すウィンドウWの情報表示欄R2に表示されているボタンに対する操作がユーザによってなされたときにも開始される。
【0058】
図6に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、フィールド機器FDの識別情報(例えば、タグ情報)を取得する処理が処理部14で行われる(ステップS11)。具体的には、処理部14が、通信部15を制御して、通信ケーブルCBを介して接続されたフィールド機器FDとの間の通信を行わせ、フィールド機器FDに設定された識別情報を取得する処理が行われる。尚、図6に示すフローチャートの処理が繰り返される場合において、既にフィールド機器FDの識別情報が取得されている場合には、ステップS11の処理は省略される。
【0059】
次に、機器保全装置1の格納部13に格納された機器定義情報D1を取得する処理が処理部14によって行われる(ステップS12)。具体的には、格納部13に格納された機器定義情報D1のうち、ステップS11で取得された識別情報で識別されるフィールド機器FDに関係する機器定義情報D1を取得する処理が行われる。次いで、処理部14によって取得された機器定義情報D1が表示処理部14aに渡されて、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の種類」に応じてボタンを生成する処理が表示処理部14aで行われる(ステップS13)。
【0060】
例えば、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の種類」がメニューである場合には、図4(a)に示す通り、左上隅部にメニューの名称N1が付され、左下隅部にアイコンC11が付され、右下隅部にアイコンC12が付されたメニューボタンB1を生成する処理が行われる。ここで、アイコンC11,C12の表示形態の情報は、予め「定義項目の種類」に登録されており、表示処理部14aは、「定義項目の種類」に登録されている表示形態の情報を取得し、その情報に基づいてメニューボタンB1を生成する処理を行う。尚、メニューボタンB1の色は、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の状態」に基づいて付される。
【0061】
また、例えば、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の種類」がパラメータある場合には、図4(b)に示す通り、左上隅部にパラメータの名称N2が付されたパラメータボタンB2を生成する処理が行われる。パラメータボタンB2が生成される時に、フィールド機器FDの機器情報が取得されていない場合には、パラメータボタンB2の右下隅部におけるパラメータの数値V1及び単位UNは付されない。
【0062】
尚、フィールド機器FDの機器情報が取得されている最中は、パラメータボタンB2の右下隅部には、パラメータの数値V1及び単位UNを読み込み中である旨を示すアイコンが付される。また、パラメータボタンB2の色は、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の状態」に基づいて付される。
【0063】
また、例えば、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の種類」がメソッドである場合には、図4(c)に示す通り、左上隅部にメソッドの名称N3が付され、左下隅部にアイコンC31が付され、右下隅部にアイコンC32が付されたメソッドボタンB3を生成する処理が行われる。ここで、アイコンC31,C32の表示形態の情報は、予め「定義項目の種類」に登録されており、表示処理部14aは、「定義項目の種類」に登録されている表示形態の情報を取得し、その情報に基づいてメソッドボタンB3を生成する処理を行う。尚、メソッドボタンB3の色は、機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の状態」に基づいて付される。
【0064】
機器定義情報D1の定義項目で規定されている「定義項目の種類」に応じたボタンを生成する処理が終了すると、生成したボタンを、図5に示すウィンドウWの情報表示欄R2に表示する処理が行われる(ステップS14)。
【0065】
続いて、図5に示すウィンドウWの情報表示欄R2に表示されたボタンにパラメータボタンB2が含まれるか否かを判断する処理が表示処理部14aで行われる(ステップS15)。パラメータボタンB2が含まれないと判断された場合(ステップS15の判断結果が「NO」の場合)には、図6に示す一連の処理が終了する。
【0066】
これに対し、パラメータボタンB2が含まれると判断された場合(ステップS15の判断結果が「YES」の場合)には、通信部15を制御してフィールド機器FDから機器情報を取得する処理が処理部14で行われる(ステップS16)。処理部14によって取得された機器情報は表示処理部14aに渡される。そして、図5に示すウィンドウWの情報表示欄R2に表示されているパラメータボタンB2に、機器情報を付加する処理が表示処理部14aで行われる(ステップS17)。
【0067】
具体的には、図4(b)に示す通り、パラメータボタンB2の右下隅部にパラメータの数値V1及び単位UNを付加する処理が行われる。尚、パラメータボタンB2の右下隅部に、パラメータの数値V1及び単位UNを読み込み中である旨を示すアイコンが付される場合には、そのアイコンに代えてパラメータの数値V1及び単位UNを付加する処理が行われる。
【0068】
尚、図6に示す例において、パラメータボタンB2については、パラメータの名称N2のみが付されたパラメータボタンB2を生成して表示し(ステップS13,S14)、その後に機器情報をパラメータボタンB2に付加するようにしていた(ステップS17)。しかしながら、例えば、ステップS11の処理でフィールド機器FDの識別情報に加えて機器情報を取得しておき、パラメータの名称N2と機器情報(パラメータの数値V1及び単位UN)とが付されたパラメータボタンB2を生成して表示(ステップS13,S14)するようにしても良い。
【0069】
〈表示例〉
図7は、本発明の実施形態におけるボタンの第1表示例を示す図である。図7(a)に示す表示例は、機器保全装置1のユーザの操作によって、「Top」なるメニューから「Device setup」なるメニューが辿られた場合の表示例である(メニュー経路表示欄R1参照)。この例では、ウィンドウWの情報表示欄R2に、「Basic setup」なる名称が付されたメニューボタンB11、「Detailed setup」なる名称が付されたメニューボタンB12、及び「Review」なる名称が付されたメニューボタンB13が表示されている。尚、メニューボタンB11~B13は、ウィンドウWの情報表示欄R2に、一定間隔をもって縦一列に配列された状態で表示されている。
【0070】
図7(b)に示す表示例は、機器保全装置1のユーザの操作によって、図7(a)に示されているメニューボタンB12(第2ボタン)が操作された場合の表示例である。メニューボタンB12が操作されると、ウィンドウWのメニュー経路表示欄R1に、操作されたメニューボタンB12の名称(Detailed setup)が追加される。また、ウィンドウWの情報表示欄R2の表示が、メニューボタンB21~B26が表示されているものに遷移する(切り替わる)。
【0071】
これらメニューボタンB21~B26は、ユーザによって操作されたメニューボタンB12に付された名称「Detailed setup」で特定されるメニューに紐付けられている1つ下の階層におけるメニューについてのメニューボタンである。即ち、表示処理部14aは、1つ下の階層におけるメニューについてのメニューボタンの表示に遷移させる。図7(b)では、ウィンドウWの情報表示欄R2に、6つのメニューボタンB21~B26が、一定間隔をもって縦一列に配列された状態で表示されている。尚、ウィンドウWの情報表示欄R2に表示されるべきメニューボタンが多数ある場合には、一部のメニューボタンのみが情報表示欄R2に表示され、スクロールによって他のメニューボタンが情報表示欄R2に表示されるようにしても良い。尚、図7(b)では、メニューボタンのみが表示されている例を図示している。しかしながら、メニューボタンに加えてパラメータボタン又はメソッドボタンの少なくとも何れかが表示されたり、パラメータボタンのみ、メソッドボタンのみが表示されても良い。
【0072】
図8図9は、本発明の実施形態におけるボタンの第2表示例を示す図である。図8(a)に示す表示例は、機器保全装置1のユーザの操作によって、図7(a)に示す「Detailed setup」なる名称が付されたメニューボタンB12が操作された後に、「Sensors」なる名称が付されたメニューボタン(図示省略)が操作された場合の表示例である(メニュー経路表示欄R1参照)。この例では、ウィンドウWの情報表示欄R2に、5つのパラメータボタンB31~B35(第1ボタン)が表示されている。
【0073】
パラメータボタンB31は、「Pres」なる名称が付されたボタンであり、パラメータボタンB32は、「PV % mge」なる名称が付されたボタンであり、パラメータボタンB33は、「Pres Damp」なる名称が付されたボタンである。また、パラメータボタンB34は、「PV LRV」なる名称が付されたボタンであり、パラメータボタンB35は、「PV URV」なる名称が付されたボタンである。尚、パラメータボタンB31~B36の右下隅部にはそれぞれ、フィールド機器FDから得られた機器情報に含まれるパラメータの数値及び単位が付されている。
【0074】
尚、図8(a)に示す例において、パラメータボタンB31,B32は、灰色(グレー)で表示されている。これは、「Pres」なる名称のパラメータ及び「PV % mge」なる名称のパラメータにおける「定義項目の状態」が「Read Only」だからである。これに対し、パラメータボタンB33~B35は、薄緑色で表示されている。これは、「Pres Damp」なる名称のパラメータ、「PV LRV」なる名称のパラメータ、及び「PV URV」なる名称のパラメータにおける「定義項目の状態」が「Read/Write」だからである。
【0075】
図8(b)に示す表示例は、機器保全装置1のユーザの操作によって、図8(a)に示されているパラメータボタンB33が操作された場合の表示例である。パラメータボタンB33が操作されると、ウィンドウWの情報表示欄R2の表示が、そのパラメータボタンB33に名称が付されているパラメータの詳細が表示されているものに遷移する(切り替わる)。即ち、表示処理部14aは、パラメータの詳細が表示されているものに遷移させる。
【0076】
図8(b)に示す例では、ウィンドウWの情報表示欄R2が、概要表示欄R21、パラメータ編集欄R22、及び詳細情報表示欄R23が設けられたものに切り替わっている。概要表示欄R21は、ユーザによって操作されたパラメータボタンB33に付されていた情報(概要)が表示される欄である。図8(b)に示す例では、パラメータの名称として「Pres Damp」が表示されており、数値として「3.00」が表示されており、単位として、「s(秒)」が表示されている。
【0077】
パラメータ編集欄R22は、パラメータの数値を編集する際に用いられる欄である。このパラメータ編集欄R22には、ユーザの指示により、例えば、フィールド機器FDに新たに設定すべきパラメータの数値が入力される。詳細情報表示欄R23は、ユーザによって操作されたパラメータボタンB33に名称が付されているパラメータの詳細情報(例えば、ヘルプ情報)が表示される欄である。尚、詳細情報表示欄R23には、ユーザによって操作されたパラメータボタンB33に名称が付されているパラメータにおける、「定義項目の詳細情報」で規定されている情報が、表示処理部14aによって表示される。
【0078】
図8(b)に示す表示がなされている状態で、ユーザが、パラメータの編集をしなかった場合(パラメータ編集欄R22に数値を入力せずにOKボタンB100を操作した場合、又はキャンセルボタンB200を操作した場合)には、図8(a)の表示に戻る。これに対し、図8(b)に示す表示がなされている状態で、ユーザが、パラメータの編集をした場合(パラメータ編集欄R22に数値を入力してOKボタンB100を操作した場合)には、図9に示す表示がなされる。
【0079】
図9に示す表示例は、機器保全装置1のユーザの操作によって、パラメータの編集がされた場合の表示例である。図9に示す通り、ウィンドウWの情報表示欄R2には、図8(a)と同様に、複数のパラメータボタン(図9に示す例では、パラメータボタンB31~B34)が表示されている。但し、編集が行われたパラメータについてのパラメータボタンB33の左下隅部には、パラメータが編集された旨を直感的に示すアイコンICが付されるとともに、パラメータボタンB33は、注意を喚起するために、異なる色(例えば、赤)で表示される。
【0080】
加えて、編集されたパラメータをフィールド機器FDに設定することを促す「ダウンロードを実行してください。」なるメッセージMSが、パラメータボタンB33に付随して表示される。尚、機器保全装置1のユーザが、ウィンドウWのダウンロードボタンDBを操作すると、処理部14の処理によって、編集されたパラメータがフィールド機器FDに設定される(ダウンロードされる)。
【0081】
図10は、本発明の実施形態におけるボタンの第3表示例を示す図である。図10(a)に示す表示例は、図8(a)と同様に、図7(a)に示す「Detailed setup」なる名称が付されたメニューボタンB12が操作された後に、「Sensors」なる名称が付されたメニューボタン(図示省略)が操作された場合の表示例である(メニュー経路表示欄R1参照)。この例では、ウィンドウWの情報表示欄R2に、5つのパラメータボタンB36~B40と1つのメソッドボタンB41(第3ボタン)とが表示されている。尚、パラメータボタンB36~B40及びメソッドボタンB41は、ウィンドウWの情報表示欄R2に、一定間隔をもって縦一列に配列された状態で表示されている。
【0082】
図10(b)に示す表示例は、機器保全装置1のユーザの操作によって、図10(a)に示されているメソッドボタンB41が操作された場合の表示例である。メソッドボタンB41が操作されると、メソッドボタンB41に名称が付されたメソッド(Apply values)が処理部14によって実行され、その実行状況を示すダイアログボックスDLが表示される。尚、メソッドの実行が終了すると、ダイアログボックスBLは消去される。
【0083】
図11は、本発明の実施形態における簡易検索時の表示例を示す図である。図11に示す例では、機器保全装置1のユーザの操作によって、「Top」なるメニューから「Device setup」なるメニュー及び「Basic setup」なるメニューが辿られている(メニュー経路表示欄R1参照)。そして、ウィンドウWの情報表示欄R2には、パラメータボタンB51~B54が一定間隔をもって縦一列に配列された状態で表示されている。
【0084】
機器保全装置1のユーザによって、ウィンドウWに設けられた簡易検索ボタンSB1が操作されると、ウィンドウWに検索ボックスBX1(入力部)が表示される。この検索ボックスBX1に対し、機器保全装置1のユーザによって検索キー(検索情報)が入力されると、機器保全装置1の検索部14bによって、機器定義情報D1の各定義項目で規定されている「定義項目の名称」を検索対象とした検索が行われる。検索部14bによる検索(簡易検索)が終了すると、ウィンドウWの情報表示欄R2に表示されたボタンのうち、検索部14bで検索された名称が付されているボタンを異なる態様で表示する処理が表示処理部14aで行われる。
【0085】
図11に例示する通り、ウィンドウWの検索ボックスBX1に「Unit」が検索キーとして入力されたとする。すると、ウィンドウWの情報表示欄R2に表示されたパラメータボタンB51~B54のうち、「Unit」なる名称が付されたパラメータボタンB53について、例えば、名称「Unit」の背景に蛍光色のマーカーMKが付されることで、名称「Unit」がハイライト表示される。また、パラメータボタンB53には、検索キーが検索された定義項目である旨を直感的に示すアイコンFが付される。このように、検索キーと一致する(又は、検索キーが含まれる)名称が付されたパラメータボタンB53を、他のパラメータボタンとは異なる態様で表示することで、検索に合致したパラメータボタンB53を短時間で容易に認識することが可能になる。
【0086】
尚、検索ボックスBX1には、検索部14bによる検索が終了すると、検索結果の概要を示す情報が表示される。図11に示す例では、「5/20」なる検索結果が表示される。これは、検索キー「Unit」が含まれる名称が付されたボタンの総数が「20」であり、情報表示欄R2に表示されているパラメータボタンB53が第5番目のボタンであることを示している。機器保全装置1のユーザが、検索ボックスBX1の右側に設けられている矢印ボタンARを操作することで、検索キー「Unit」が含まれる名称が付された前のボタン又は後のボタンを情報表示欄R2に、検索結果に基づいて表示処理部14aによって表示させることができる。
【0087】
図12は、本発明の実施形態における詳細検索時の表示例を示す図である。図12に示す例では、図11(a)に示す例と同様に、機器保全装置1のユーザの操作によって、「Top」なるメニューから「Device setup」なるメニュー及び「Basic setup」なるメニューが辿られている(メニュー経路表示欄R1参照)。尚、図12では、図示を省略しているが、詳細検索を行う前において、ウィンドウWの情報表示欄R2には、図11(a)と同様に、複数のボタンが一定間隔をもって縦一列に配列された状態で表示されている。
【0088】
機器保全装置1のユーザによって、ウィンドウWに設けられた詳細検索ボタンSB2が操作されると、ウィンドウWに検索ボックスBX2(入力部)が表示される。この検索ボックスBX2に対し、機器保全装置1のユーザによって検索キー(検索情報)が入力されると、機器保全装置1の検索部14bによって、機器定義情報D1の各定義項目で規定されている「定義項目の名称」及び「定義項目の詳細」を検索対象とした検索が行われる。検索部14bによる検索(詳細検索)が終了すると、図12(a)に示す通り、検索結果に基づいて表示処理部14aによってウィンドウWの情報表示欄R2に検索結果が一覧表示される。
【0089】
図12に例示する通り、ウィンドウWの検索ボックスBX2に「Tag」が検索キーとして入力されたとする。すると、ウィンドウWの情報表示欄R2には、機器定義情報D1の定義項目の名称と詳細情報との少なくとも一方に検索キー「Tag」が含まれるものが検索結果として一覧表示される。尚、情報表示欄R2に表示される検索結果においては、検索キー「Tag」と一致する部分がハイライト表示される。このような表示がなされることで、検索キーが含まれる部分を短時間で容易に認識することが可能になる。
【0090】
機器保全装置1のユーザが、情報表示欄R2に表示された検索結果のうちの1つの行を特定する操作を行うと、ウィンドウWの表示は図12(b)に示すものとなる。例えば、図12(a)に示すウィンドウWの情報表示欄R2に表示されている最下行(名称が「Power Supply Conditions Out of Range」である行)が特定されたとする。すると、ウィンドウWの情報表示欄R2の表示内容は、特定された行に対応するボタン、即ち「Power Supply Conditions Out of Range」なる名称が付されたボタンB60が、表示処理部14aによって表示されているものになる。尚、ウィンドウWの情報表示欄R2に表示されたボタンB60の右上隅部には、検索キーが検索された定義項目である旨を直感的に示すアイコンFが付される。
【0091】
このように、ユーザによって特定された検索結果に関連するボタンB60がウィンドウWの情報表示欄R2に表示されることで、ユーザは、目的のボタンB60を即座に把握することができる。また、名称又は詳細情報に検索キーが含まれるパラメータのボタンB60を、他のパラメータボタンとは異なる態様で表示することで、検索に合致したボタンB60を短時間で容易に認識することが可能になる。
【0092】
以上の通り、本実施形態では、フィールド機器FDから機器情報を取得し、機器のパラメータが定義された機器定義情報と取得された機器情報とを用いて、フィールド機器FDのパラメータ毎に、パラメータの詳細を表示する画面に遷移させるためのボタンであって、少なくともパラメータの名称とパラメータの値とが付された第1ボタンを表示部12に表示させるようにしている。このように、本実施形態では、1つのボタンに複数の情報(パラメータの名称、パラメータの値、パラメータの詳細を表示する画面の遷移先)が集約されていることから、機器のパラメータを容易に確認することができ、保全作業の作業効率を高めることができる。
【0093】
また、本実施形態では、表示部12の表示内容を異なる階層の表示内容に遷移させるボタンであって、メニューの名称が付された第2ボタンを、第1ボタンとともに表示部12に表示させるようにしている。このような第2ボタンを第1ボタンとともに設けることで、従来必要であったメニューツリーが表示されるメニュー表示欄がなくとも、表示部12の表示内容を異なる階層の表示内容に遷移させることができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態による機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラムについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態におけるメニューボタンB1及びメソッドボタンB3は、名称及びアイコンが付されたものであり、パラメータボタンB2は、名称並びに数値及び単位が付されたものであった。しかしながら、これらボタンには、バーグラフ等の簡易グラフを付しても良い。また、このような簡易グラフが付されたボタンが操作された場合には、詳細なグラフ画面が表示されるようにしても良い。このようにすることで、機器保全装置1のユーザの利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 機器保全装置
12 表示部
13 格納部
14a 表示処理部
14b 検索部
15 取得部
B1 メニューボタン
B2 パラメータボタン
B3 メソッドボタン
BX1,BX2 検索ボックス
D1 機器定義情報
FD フィールド機器
N1~N3 名称
V2 数値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12