(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ストッカ
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
(21)【出願番号】P 2020193642
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】坂田 圭丞
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
(72)【発明者】
【氏名】虎澤 政佳
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-172267(JP,A)
【文献】特開昭62-063762(JP,A)
【文献】特開2002-370807(JP,A)
【文献】米国特許第04901471(US,A)
【文献】特開2007-247262(JP,A)
【文献】特開2003-278380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133,1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置され、物品を保管するように構成された一対のラックと、
前記一対のラックの間に形成された移動領域内において移動し、前記一対のラックに対して前記物品を入出庫する入出庫装置と、
前記一対のラックに第1方向における両端部が係合して前記一対のラックの間に架け渡されるフレキシブルステップであって、前記第1方向に直交する第2方向における長さを調整可能な長さ調整部を有するフレキシブルステップと、を備え、
前記フレキシブルステップは、前記両端部を含む本体部を有し、
前記長さ調整部は、前記本体部に対し、前記第1方向に沿って延びる軸線を中心に回動可能に取り付けられて
おり、前記入出庫装置のマストに立てかけられることにより前記本体部と前記マストとの間の空間を塞ぐ、ストッカ。
【請求項2】
前記一対のラックに前記第1方向における両端部が係合して前記一対のラックの間に架け渡される定尺ステップであって、前記第2方向において所定の長さを有する少なくとも1つの定尺ステップを更に備え、
前記フレキシブルステップは、前記入出庫装置と前記定尺ステップとの間に設けられる、請求項1に記載のストッカ。
【請求項3】
前記一対のラックのそれぞれは、前記定尺ステップの両端部が係合する梁材を有し、
前記定尺ステップは、前記第1方向における両端部において、前記第1方向に沿って出没自在な梁係合部を有する、請求項2に記載のストッカ。
【請求項4】
前記一対のラックの少なくとも一方は、非使用時には当該少なくとも一方のラックに収納され使用時には前記一対のラックの他方に向けて進出して前記移動領域内にメンテナンス用の足場面を形成するメンテナンスステップを有し、
前記フレキシブルステップは、前記入出庫装置と、使用時における前記メンテナンスステップとの間に設置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のストッカ。
【請求項5】
前記フレキシブルステップは、前記一対のラックの間に設置されたときに前記メンテナンスステップの前記足場面と略等しい高さに位置する上面を有する、請求項4に記載のストッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ストッカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、所定のスペースを挟んで対向配置された一対の収納部を有する物品収納棚が知られている。この物品収納棚は、上記スペースの床面に設けられて当該スペースの長手方向に延びるレールを有しており、このレール上をクレーンが走行する。収納部には、対をなす足場レールが設けられており、この足場レール上に、複数の矩形板状のパレット(足場部材)が設置される。パレットは、足場レール上をスライドできる。
【0003】
メンテナンス作業を行う必要が生じた場合に、作業者のために足場が形成される。クレーンが適宜の位置で停止したとき、最初の一つのパレットが足場レール上に乗せられ、続いて他のパレットが最初のパレットに係合させられる。この手順で、複数のパレットが順次内部へ押し込まれ、やがて最初の(最前の)パレットがクレーンに接触する。接触した時点で、複数のパレットが足場レール上に固定される。作業者は、棚の外側のエリアからクレーンにまで形成された足場上を歩くことで、クレーンにアクセスできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の物品収納棚(ストッカ)のように、最前のパレットがクレーンに接触するまで押し込んでいく足場の構築方法では、パレットを隙間なく敷き詰めることができる。しかしながら、足場の構築は、パレットを1枚ずつ足場レール上に乗せ、次に複数のパレット全体をスライドさせるという作業を必要とするため、必ずしも容易とは言えない。
【0006】
本開示は、メンテナンス時に、隙間のない足場を容易に構築することができるストッカを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るストッカは、互いに対向するように配置され、物品を保管するように構成された一対のラックと、一対のラックの間に形成された移動領域内において移動し、一対のラックに対して物品を入出庫する入出庫装置と、一対のラックに第1方向における両端部が係合して一対のラックの間に架け渡されるフレキシブルステップであって、第1方向に直交する第2方向における長さを調整可能な長さ調整部を有するフレキシブルステップと、を備える。
【0008】
このストッカによれば、例えば何らかの原因で入出庫装置が停止した際、メンテナンスのために、フレキシブルステップが一対のラックの間に架け渡される。このような簡単な設置作業のみで、メンテナンス用の足場が構築される。入出庫装置の停止位置は定まった位置ではなく変わり得るが、足場は、入出庫装置に隙間なく接続されていなければならない。フレキシブルステップの長さ調整部が、入出庫装置の停止位置に応じて第2方向の長さを調整する。その結果、フレキシブルステップは第2方向において隙間を生じることなく入出庫装置に接続される。よって、このストッカによれば、メンテナンス時に、隙間のない足場を容易に構築することができる。
【0009】
一対のラックに第1方向における両端部が係合して一対のラックの間に架け渡される定尺ステップであって、第2方向において所定の長さを有する少なくとも1つの定尺ステップを更に備え、フレキシブルステップは、入出庫装置と定尺ステップとの間に設けられてもよい。この場合、定尺ステップとフレキシブルステップを組み合わせることで、あらゆる位置に停止する入出庫装置に対して、より一層容易に足場を構築する(フレキシブルステップに必要とされる調整長さを短くする)ことができる。例えば、入出庫装置に向けて比較的長い足場を構築する必要がある場合に、第2方向に長いサイズを有する定尺ステップを設置したり、複数の定尺ステップを設置したりすることができる。
【0010】
一対のラックのそれぞれは、定尺ステップの両端部が係合する梁材を有し、定尺ステップは、第1方向における両端部において、第1方向に沿って出没自在な梁係合部を有してもよい。定尺ステップは、梁材の下方からの作業によって一対のラックに取り付けられる。作業者は、最初は梁係合部を没入させておき、定尺ステップを梁材の高さに持ち上げた後に、梁係合部を突出させる。この手順により、定尺ステップを梁材間に容易に取り付けることができる。
【0011】
フレキシブルステップの長さ調整部は、第1方向における両端部を含む本体部を有し、長さ調整部は、本体部に対し、第1方向に沿って延びる軸線を中心に回動可能に取り付けられていてもよい。作業者は、長さ調整部を回動させて入出庫装置に当接させるだけで、入出庫装置とフレキシブルステップとの間の隙間を埋めることができる。この構成は、入出庫装置に対する足場の接続作業をより一層容易にする。
【0012】
一対のラックの少なくとも一方は、非使用時には当該少なくとも一方のラックに収納され使用時には一対のラックの他方に向けて進出して移動領域内にメンテナンス用の足場面を形成するメンテナンスステップを有し、フレキシブルステップは、入出庫装置と、使用時におけるメンテナンスステップとの間に設置されてもよい。メンテナンスステップはいずれかのラックに備え付けられているので、メンテナンス時にわざわざ足場材となるステップを搬入する必要がない。入出庫装置の停止位置に応じて、入出庫装置から離れた領域では1つ又は複数のメンテナンスステップを進出させ、入出庫装置に近い領域ではフレキシブルステップを設置することができる。よって、メンテナンス用足場を迅速に構築することができる。
【0013】
フレキシブルステップは、一対のラックの間に設置されたときにメンテナンスステップの足場面と略等しい高さに位置する上面を有してもよい。この場合、メンテナンスステップとフレキシブルステップが併用される場合であっても、両ステップ間で段差が生じることがなく、作業者は足場の上を歩きやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メンテナンス時に、隙間のない足場を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は一実施形態のストッカシステムの正面から見た断面図である。
【
図2】
図2は
図1に示されるストッカの物品収容空間をスタッカクレーンの走行方向から見た断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は物品収容空間に配置されたメンテナンスステップ及び脱着バーの斜視図である。
【
図4】
図4はストッカの2階における通常時の足場の設置作業を説明するための図である。
【
図5】
図5(a)および
図5(b)は幅の異なる定尺ステップの斜視図であり、
図5(c)はフレキシブルステップの斜視図である。
【
図6】
図6(a)は定尺ステップの底面図であり、
図6(b)は
図6(a)のVIB-VIB線に沿う断面図である。
【
図7】
図7は、梁材に対する定尺ステップの取り付け手順を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7に続く定尺ステップの取り付け手順を示す図である。
【
図9】
図9はストッカの2階における非常時の足場の設置作業を説明するための図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(d)は、それぞれ、メンテナンスステップと複数種類の定尺ステップとフレキシブルステップの組み合わせ例を示す平面図である。
【
図11】
図11は足場上でのメンテナンス作業の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1に示されるように、ストッカシステム1は、一実施形態のストッカ2を複数含んで構成されている。ストッカ2においては、ストッカ本体3の内部をスタッカクレーン(入出庫装置)7A,7Bが走行する。スタッカクレーン7A,7Bは、ストッカ本体3の内部に設けられた一対のラック4A,4Bの棚Sと入出庫ポート(図示せず)との間で物品を搬送する。ストッカ2には、例えば、搬送装置によって搬送されてきた物品が保管される。物品は、例えば、半導体製造装置又は液晶製造装置等で処理されるウエハを収容するFOUP(Front-Opening Unified Pod)、及び半導体製造装置又は液晶製造装置等で用いられるレチクルを収容するレチクルポッド等の容器である。ストッカ2は、ストッカ本体3、ラック4A,4B、及びスタッカクレーン7A,7Bを備えている。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、ストッカ本体3の内部には、スタッカクレーン7A,7Bが走行する走行レール31と、鉛直方向において走行レール31と対向するように配置された補助レール32が敷設されている。スタッカクレーン7A,7Bは、走行レール31及び補助レール32に沿って走行する。
【0019】
スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのそれぞれは、棚Sと入出庫ポートとの間で物品を搬送し、棚Sに対して物品の移載(入出庫)を行う。スタッカクレーン7Bは、
図1において、スタッカクレーン7Aに対して、走行レール31及び補助レール32の延在方向における右側に配置されている。スタッカクレーン7は、走行部71、マスト72、昇降台75(
図11参照)、及び補助走行部90を備えている。走行部71は、走行用モータ78、昇降用モータ82を有している。
【0020】
走行部71は、走行レール31に沿って走行する。走行部71は、走行レール31の上面に沿って転動する駆動輪を含んでいる。走行用モータ78は、駆動輪の駆動源である。昇降用モータ82は、昇降台75の駆動源である。マスト72は、走行部71の上部に立設されている。昇降台75には、図示しない移載装置が搭載されており、この移載装置によって棚Sとの間で物品を移載すると共に、入出庫ポートとの間で物品を移載する。補助走行部90は、補助レール32に沿って走行する。補助走行部90は、補助レール32を挟み込んだ状態で転動する一対の駆動輪を含んでいる。
【0021】
図2に示されるように、一対のラック4A,4Bは、水平な方向(Y軸方向)に対向するように配置されている。ラック4A,4B間には、スタッカクレーン7が移動する移動領域A1が形成されている。ラック4A,4Bは、ストッカ2内の保管領域A2において、スタッカクレーン7により移載された物品を保管するように構成されている。より詳細には、ラック4A及びラック4Bは、移動領域A1に沿って配置されている。ラック4A及びラック4Bは、移動領域A1を挟むように配置されている。また、ラック4A及びラック4Bは、移動領域A1(走行レール31)における移動方向(X軸方向)及び鉛直方向(Z軸方向)に直交する対向方向(Y軸方向)に互いに対向するように配置されている。ラック4A,4Bのそれぞれには、物品が収容される棚Sが複数設けられている。
【0022】
図1に示されるように、ストッカシステム1においては、2つのストッカ2(ストッカ2A及びストッカ2B)が、ストッカ2内の移動領域A1を走行するスタッカクレーン7A,7Bの走行方向に配列されている。そして、ストッカシステム1には、それぞれのストッカ2の内部に配備される2台のスタッカクレーン7A,7B等の走行を制御するコントローラ(図示せず)が設けられている。ストッカ2の内部に配備される2台のスタッカクレーン7A,7Bは、当該コントローラによる制御によって、ラック4A,4Bの棚Sに物品を載置したり、棚Sから物品を取り出したりする。すなわち、スタッカクレーン7A,7Bは、ラック4A,4B間に形成された移動領域A1内において移動し、ラック4A,4Bに対して物品を入出庫する。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、ストッカ本体3は、一方向に延在する所定の空間を囲う筐体状(例えば、中空の直方体状)に形成されている。ストッカ本体3の外形は、図示しないフレームとパネルとによって構成されている。ストッカ本体3は、ストッカ本体3の外側の床面Gすなわち内部の床面10よりも低い位置に、ストッカ本体3の内部空間の一部である床下空間3Sが形成されている。また、ストッカ本体3は、スタッカクレーン7の走行方向においてラック4A,4Bを収容する物品収容空間11Aと、物品収容空間11Aの両外側にメンテナンス空間11Bと、を形成している。なお、
図1における真ん中のメンテナンス空間11Bは、ストッカ2A及びストッカ2Bのメンテナンス空間11Bとして共用される。
【0024】
物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間の妻面には、作業者Xによって開閉操作されるシャッタ15が設けられている。シャッタ15は、ストッカ2の稼働時には閉じられている。メンテナンス作業が行われる際、シャッタ15が開かれると、物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとが連通する。これにより、スタッカクレーン7のメンテナンス空間11Bへの移動および作業者X等の両空間の往来が可能となる。
【0025】
続いて、
図3(a)、
図3(b)及び
図4を参照して、ストッカ2が備えるメンテナンス作業用の構成について説明する。
図3(a)に示されるように、ラック4A及びラック4Bの棚Sの下方には、ストッカ2内のメンテナンス時に用いられるメンテナンスステップ21が収容されている。メンテナンスステップ21は、作業者が搭乗することが可能な板状部材であって、着脱バー22に取付可能に形成されている。着脱バー22は、例えば、角柱状の部材であって、両端が互いに対向するラック4Aのフレーム4fとラック4Bのフレーム4fに脱着自在に形成されている。着脱バー22,22は、非使用時には、メンテナンス空間11B又はストッカ2の外部の倉庫等に収納されている。なお、
図3(a)及び
図3(b)において、棚Sよりも上側のフレーム4fの図示は、図を見やすくするために省略されている。
【0026】
図4に示されるように、メンテナンス空間11Bには、作業者Xが1階1Fの床面10から2階2Fへと上がるため、および、2階2Fから3階3Fへと上がるための梯子110が設置されている。また、ストッカ2には、メンテナンス空間11Bには、作業者Xが上階の床面の高さにアクセスできるように脚立100が収納されている。脚立100は、ストッカ2の外部の倉庫等に収納されていてもよい。
【0027】
図3(b)及び
図4に示されるように、ストッカ2内のメンテナンス時には、作業者は、着脱バー22を倉庫等から取り出して、その両端をラック4Aのフレーム4fとラック4Bのフレーム4fとに固定する。メンテナンスステップ21は、その長手方向をスタッカクレーン7の移動方向(X軸方向)に一致させるように配置される。メンテナンスステップ21は、ストッカ2の稼働中は棚Sの下方に収納されていて移動領域A1には突出していない。メンテナンス時(後述する通常時および非常時)には、必要に応じて、メンテナンスステップ21は、作業者Xによって移動領域A1に引き出される(移動領域A1に進出する)。メンテナンスステップ21は、例えば、図示しないスライドレール上で前後方向(Y軸方向)にスライド可能である。2枚のメンテナンスステップ21,21が、Y軸方向に配列された状態で、一対の着脱バー22,22に載置される。
【0028】
図4を参照して、メンテナンスステップ21の取り付け手順について説明する。
図4は、ストッカ2Bの2階2Fにおける通常時の足場の設置作業を説明するための図である。
図4に示されるように、まず、通常のメンテナンス時、作業者Xは、シャッタ15(
図1参照)を開き、スタッカクレーン7Bをメンテナンス空間11Bに移動させる。次に、作業者Xは、1階1Fの床面10上に脚立100等を設置し、脚立100に登って2階2Fの床高さに相当するフレーム4fに対して着脱バー22を取り付ける。スタッカクレーン7Bがメンテナンス空間11Bに移動しているので、ストッカ2Bの移動領域A1には、スタッカクレーンが存在しない。作業者Xは、例えば2階2Fに上がってメンテナンス作業を行うためには、ストッカ2B内の移動領域A1の全域にわたって、メンテナンスステップ21を設置する必要がある。したがって、作業者Xは、2階2Fの床面の高さに収納されているすべてのメンテナンスステップ21を移動領域A1に引き出す。
【0029】
1階1Fにいる作業者Xは、着脱バー22及びメンテナンスステップ21を設置し終えると、メンテナンス空間11Bの梯子110を用いて2階2Fへと上がる。2階2Fの床面の高さには、複数のメンテナンスステップ21がX軸方向に並んで隙間なく敷き詰められており、メンテナンス用の足場面が構築されている。作業者Xは、この足場面(メンテナンスステップ21)上を歩くことができ、ストッカ2Bの各部のメンテナンス作業を実施することができる。3階3Fにおけるメンテナンス作業が必要な場合にも、上記と同様の手順で、2階2Fにいる作業者Xが3階3Fの床面の高さに着脱バー22及びメンテナンスステップ21を設置するだけで、3階3Fの床面の高さにメンテナンス用の足場面が構築される。その場合にも、2階2Fにおいて脚立100が用いられ得る。
【0030】
なお、本明細書において、足場に関して「隙間がない」あるいは「隙間を生じない」とは、厳密な意味でいかなる隙間も存在しないことを意味するのではない。「隙間がない」「隙間を生じない」とは、足場としての安全性を確保し得る程度の状況を意味する。すなわち、「隙間がない」「隙間を生じない」とは、作業者Xやその他道具・備品類等の落下を防止し得る程度の状況を意味する。当業者であれば、このような用語の意味を明確に理解することができる。
【0031】
続いて、
図5~
図8を参照して、非常時(緊急時)における足場の構築に寄与する本実施形態の各種ステップについて説明する。ストッカ2では、内部でスタッカクレーン7が異常停止する可能性がある。スタッカクレーン7がストッカ2内で停止した場合、一部のメンテナンスステップ21は使用不可能となってしまう。スタッカクレーン7の停止位置は予測できない。棚S下に収納されたメンテナンスステップ21の前でスタッカクレーン7が停止する可能性もある。言い換えれば、スタッカクレーン7の停止位置によって、その時点でのメンテナンス用の空間(作業者Xがアクセス可能な空間)が規定される。ストッカ2は、メンテナンスステップ21以外にも、状況に応じて適宜に組み合わせて使用することのできる複数種類のステップを備える。
【0032】
図5(a)~
図5(c)に示されるように、ストッカ2は、幅狭ステップ40と、幅広ステップ50と、フレキシブルステップ60とを備える。これらは、ストッカ2の階数に応じて適宜の数だけ用意されるが、例えば、1つの階の足場面を構築するのに、ストッカ2は、複数の幅狭ステップ40と、複数の幅狭ステップ40と、1つのフレキシブルステップ60とを備える。幅狭ステップ40、幅広ステップ50及びフレキシブルステップ60は、非使用時には、メンテナンス空間11Bに収納されていてもよいし、ストッカ2の外部の倉庫等に収納されていてもよい。なお、ストッカシステム1が2つのストッカ2A,2Bを有する場合でも、2つのストッカ2A,2Bにおいて同時にスタッカクレーン7が停止して非常時のメンテナンスが必要となることは稀である。したがって、ストッカ2は、1つのストッカ分の数量の各種ステップを備えるだけで十分である。言い換えれば、非常時のメンテナンス用の各種ステップは、2つのストッカ2A,2Bに対して共用化されている。
【0033】
幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60は、それぞれ、第1方向D1において一定の長さを有し、第2方向D2において所定の幅(長さ)を有する矩形状を呈する。第2方向D2は第1方向D1に直交する。これらのステップがストッカ2内に設置されたとき、第1方向D1はY軸方向(対向方向)に平行であり、第2方向D2はX軸方向(移動方向)に平行である。幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60は、いずれも、第1方向D1において、ラック4A,4B間の距離に相当する長さを有する。幅狭ステップ40と幅広ステップ50とでは、幅(第2方向D2におけるサイズ)が異なるのみであり、その他の構造は同様である。また、フレキシブルステップ60は、
図5(c)に示されるように長さ調整板(長さ調整部)66を有する点で異なるのみであり、その他のサイズ及び構造は幅広ステップ50と同様である。
【0034】
幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60は、それぞれ、ラック4A,4Bの間に架け渡され、第1方向D1における両端部がラック4A,4Bに係合する。ラック4A,4Bには、メンテナンスステップ21の下方においてX軸方向に延在する梁材4g(
図3(a)参照)が設けられている。梁材4gは、例えば、角柱状であり、矩形の断面を有する(
図7及び
図8参照)。
図5(a)に示されるように、幅狭ステップ40は、比較的小さい幅を有する定尺ステップである。幅狭ステップ40は、天板41および筐体(図示せず)を有する本体部40aと、本体部40aの第1方向D1における両端部に設けられた一対の梁係合金具44とを有する。本体部40aは、第1方向D1の両端部に設けられ、ラック4A,4Bの梁材4gに係合する一対の梁係合部43を有する。梁係合部43は、第1方向D1に沿って出没自在である。
【0035】
図5(b)に示されるように、幅広ステップ50は、比較的大きな幅を有する定尺ステップである。幅広ステップ50は、天板51および筐体52(
図6(a)参照)を有する本体部50aと、本体部50aの第1方向D1における両端部に設けられた2対の梁係合金具54とを有する。本体部50aは、第1方向D1の両端部に設けられ、ラック4A,4Bの梁材4gに係合する2対の梁係合部53を有する。梁係合部53は、第1方向D1に沿って出没自在である。
【0036】
幅広ステップ50の幅は、例えば、幅狭ステップ40の幅の整数倍であってもよい。幅広ステップ50の幅は、例えば、幅狭ステップ40の幅の3倍であってもよいし、2倍、4倍又は5倍であってもよい。幅狭ステップ40及び幅広ステップ50は、スタッカクレーン7の近傍においてX軸方向に並ぶように設置され、適宜に組み合わされて、足場STGを形成する。
【0037】
図5(c)に示されるように、フレキシブルステップ60は、幅広ステップ50と同じ幅を有すると共に、さらに第2方向D2における長さ調整が可能とされたステップである。フレキシブルステップ60は、天板61および筐体(図示せず)を有する本体部60aと、本体部60aの第1方向D1における両端部に設けられた2対の梁係合金具64とを有する。梁係合金具64は、第1方向D1の両端部に設けられ、ラック4A,4Bの梁材4gに係合する2対の梁係合部63を有する。梁係合部63は、第1方向D1に沿って出没自在である。
【0038】
幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60は、それぞれ、ラック4A,4B間に設置されたときにメンテナンスステップ21の足場面と略等しい高さに位置する天板41の上面41a、天板51の上面51a、及び天板61の上面61aを有する。
【0039】
図6~
図8を参照して、幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60に共通する構造について説明する。以下の説明では、幅広ステップ50の構造についての説明を行い、幅狭ステップ40及びフレキシブルステップ60の構造についての説明は省略される。
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、天板51と筐体52とによって形成された内部空間には、ばね55と、往復動部材57と、アーム56とが収容されている。往復動部材57は、筐体52内で第1方向D1に往復動可能である。往復動部材57は、天板51及び筐体52の内面に沿うC字状の矩形断面を有しており、内部空間で姿勢を保持したまま第1方向D1に移動する。往復動部材57の第1方向D1の外側部分に、ラック4A,4Bに収容された状態のメンテナンスステップ21(
図7参照)に載る梁係合部53が設けられている。ばね55の基端は筐体52内の任意の箇所に係止されており、ばね55の先端は、往復動部材57の第1方向D1の内側部分に係止されている。
【0040】
筐体52は、底面の第1方向D1における中央に形成された係止用開口52eと、第1方向D1における係止用開口52eの両側に形成された一対のガイド開口52fとを含む。ガイド開口52fには、往復動部材57の突出片57bが配置されている。突出片57bは、幅広ステップ50の下面側から作業者Xが指先でつまんで第1方向D1に移動させることができるよう、筐体52から下方に突出している。往復動部材57の先端には、細長いアーム56が連結されており、アーム56の先端に設けられたラッチ56aは、係止用開口52eに係止可能なように折り曲げられており、ばね55が縮んだ状態で、筐体52内に配置される。作業者Xが突出片57bをつまんで中央寄りに(係止用開口52eに近づくように)移動させると、ばね55が伸長し、アーム56のラッチ56aが係止用開口52eに落ち込む。ラッチ56aは係止用開口52eに係止され、これによって、梁係合部53が没入した状態に維持される。作業者Xが突出片57bを押し上げることによってラッチ56aを押し上げると、ラッチ56aが係止用開口52eから抜け出して解放される。ばね55の付勢力によって往復動部材57及び梁係合部53が第1方向D1に移動させられ、梁係合部53の先端が筐体52から第1方向D1に突出する。
【0041】
図7及び
図8を参照して、梁材4gに対する幅広ステップ50の取り付け手順について説明する。
図7は、梁材4gに対する幅広ステップ50の取り付け手順を示す図であり、
図8は、
図7に続く幅広ステップ50の取り付け手順を示す図である。なお、以下の説明においても、幅狭ステップ40及びフレキシブルステップ60の取り付け手順(幅広ステップ50の取り付け手順と同様である)の説明を省略する。
【0042】
まず、
図7に示されるように、作業者Xは、幅広ステップ50の片方の突出片57bを押し上げる。片方の梁係合部53は、ばね55の付勢力を受けて突出したロックポジションまで移動(突出)する。続いて、作業者Xは、梁材4gに梁係合部53及び梁係合金具54をあてがい、梁材4g上に梁係合部53を引っ掛ける。このとき、梁係合部53の上面板は、メンテナンスステップ21上に載る。作業者Xは、幅広ステップ50全体を水平になるまで持ち上げる。
図8に示されるように、梁係合金具54が梁材4gに当接した状態で、もう片方の突出片57bを押し上げる。もう片方の梁係合部53も、ばね55の付勢力を受けて突出したロックポジションまで移動(突出)する。2つの梁係合部53がロックポジションに位置したとき、梁係合部53及び梁係合金具54が梁材4gを保持する。これにより、幅広ステップ50の両端部がラック4A,4Bの梁材4gに係合する。往復動部材57の下面に設けられたピン58により取り付けられている滑り止め用のゴムブロックが梁材4gの上面に当接する。
【0043】
再び
図5(c)に戻り、本実施形態のフレキシブルステップ60について説明する。
図5(c)に示されるように、フレキシブルステップ60は、本体部60aに対し、第1方向D1に延びる軸線Lを中心に回動可能に取り付けられた長さ調整板66を有する。長さ調整板66は、第1方向D1において天板61と略等しい長さを有する。長さ調整板66の幅は、天板61の幅よりも小さい。長さ調整板66は、天板61の第2方向D2の一端に蝶番等によりヒンジ構造で連結されており、天板61に重なり合う折り畳み位置と、天板61と同一平面をなす展開位置との間で回動可能である。長さ調整板66は、スタッカクレーン7に近接して設置されたフレキシブルステップ60の天板61と、スタッカクレーン7のマスト72との間の空間を塞ぐ(隙間をなくす)。
【0044】
以上の構成を有するメンテナンスステップ21と、幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60とを用いた足場STGの構築方向について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9に示されるように、例えば、スタッカクレーン7Bが停止する。1階1Fにいる作業者Xは、スタッカクレーン7Bの停止位置を確認する。作業者Xは、脚立100に登って、展開可能なメンテナンスステップ21を引き出す。スタッカクレーン7Bとメンテナンス空間11Bとの間の空間にその全長が含まれるメンテナンスステップ21は、展開可能と判断される。
【0045】
作業者Xは、幅狭ステップ40、幅広ステップ50、及びフレキシブルステップ60のうち、使用するステップを選択する。各種ステップの配置パターンのいくつかの例が、
図10(a)~
図10(d)に示されている。
図10(a)に示される例では、足場STGは、複数枚のメンテナンスステップ21と、2つの幅狭ステップ40と、3つの幅広ステップ50と、1つのフレキシブルステップ60とによって構築されている。
図10(b)に示される例では、足場STGは、複数枚のメンテナンスステップ21と、2つの幅広ステップ50と、1つのフレキシブルステップ60とによって構築されている。
図10(c)に示される例では、足場STGは、複数枚のメンテナンスステップ21と、2つの幅狭ステップ40と、1つのフレキシブルステップ60とによって構築されている。
図10(d)に示される例では、足場STGは、1つの幅狭ステップ40によって構築されている(この場合、フレキシブルステップ60は不要である)。作業者Xは、各種ステップの好適な組み合わせを選択し、上記した取り付け手順で、梁材4gに対して各種ステップを設置する。
【0046】
フレキシブルステップ60が設けられる場合は、フレキシブルステップ60は、必ずスタッカクレーン7Bに最も近い位置(スタッカクレーン7Bに隣接する位置)に設置される。よって、フレキシブルステップ60は、スタッカクレーン7Bと幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50との間に設けられる。フレキシブルステップ60以外のすべてのステップを隙間なく並べて設置した状態で、スタッカクレーン7Bのマスト72とフレキシブルステップ60の天板61とのX軸方向における間隔は、長さ調整板66の幅以下になっている。フレキシブルステップ60は、スタッカクレーン7Bと、使用時におけるメンテナンスステップ21との間に設置される。作業者Xは、長さ調整板66を回動させて、スタッカクレーン7Bのマスト72に立てかける。
【0047】
以上一連の作業を経て、2階2Fの床面の高さに、複数のメンテナンスステップ21と各種ステップがX軸方向に並んで隙間なく敷き詰められ、メンテナンス用の足場面が構築されている。作業者Xは、この足場面(足場STG)上を歩くことができ、スタッカクレーン7B及びストッカ2Bの各部のメンテナンス作業を実施することができる。3階3Fにおけるメンテナンス作業が必要な場合にも、上記と同様の手順で、2階2Fにいる作業者Xが3階3Fの床面の高さにメンテナンスステップ21及び各種ステップを設置するだけで、3階3Fの床面の高さにメンテナンス用の足場面(足場STG)が構築される。その場合にも、2階2Fにおいて脚立100が用いられ得る。
【0048】
このストッカ2によれば、例えば何らかの原因でスタッカクレーン7Bが停止した際、メンテナンスのために、フレキシブルステップ60が一対のラック4A,4Bの間に架け渡される。このような簡単な設置作業のみで、メンテナンス用の足場STGが構築される。スタッカクレーン7Bの停止位置は定まった位置ではなく変わり得るが、足場STGは、スタッカクレーン7Bに隙間なく接続されていなければならない。フレキシブルステップ60の長さ調整板66が、スタッカクレーン7Bの停止位置に応じて第2方向D2の長さを調整可能とする。その結果、フレキシブルステップ60はX軸方向において隙間を生じることなくスタッカクレーン7Bに接続される。よって、このストッカ2によれば、メンテナンス時に、隙間のない足場を容易に構築することができる。例えば、
図11に示されるように、足場STG上において、脚立100を使用する等して、作業者Xはスタッカクレーン7B等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0049】
また、定尺ステップである幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50とフレキシブルステップ60を組み合わせることで、あらゆる位置に停止するスタッカクレーン7Bに対して、より一層容易に足場STGを容易に構築する(フレキシブルステップ60に必要とされる調整長さを短くする)ことができる。例えば、スタッカクレーン7Bに向けてX軸方向に比較的長い足場を構築する必要がある場合に、第2方向D2に長いサイズを有する幅広ステップ50を設置したり、複数の幅広ステップ50又は幅狭ステップ40を設置したりすることができる。
【0050】
幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50は、梁材4gの下方からの作業によって一対のラック4A,4Bに取り付けられる。作業者Xは、最初は梁係合部43,53を没入させておき、幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50を梁材4gの高さに持ち上げた後に、梁係合部43,53を突出させる。この手順により、幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50を梁材4g間に容易に取り付けることができる。
【0051】
上記の効果は、フレキシブルステップ60の使用時においても同様に奏される。フレキシブルステップ60は、梁材4gの下方からの作業によって一対のラック4A,4Bに取り付けられる。作業者Xは、最初は梁係合部63を没入させておき、フレキシブルステップ60を梁材4gの高さに持ち上げた後に、梁係合部63を突出させる。この手順により、フレキシブルステップ60を梁材4g間に容易に取り付けることができる。
【0052】
また、作業者Xは、フレキシブルステップ60の長さ調整板66を回動させてスタッカクレーン7Bに当接させるだけで、スタッカクレーン7Bとフレキシブルステップ60との間の隙間を埋めることができる。この構成は、スタッカクレーン7Bに対する足場STGの接続作業をより一層容易にする。
【0053】
また、メンテナンスステップ21は両方のラック4A,4Bに備え付けられているので、メンテナンス時にわざわざ足場材となるステップを搬入する必要がない。スタッカクレーン7Bの停止位置に応じて、スタッカクレーン7Bから離れた(スタッカクレーン7Bが邪魔にならない)領域では複数のメンテナンスステップ21を進出させ、スタッカクレーン7Bに近い(スタッカクレーン7Bが邪魔になる)領域ではフレキシブルステップ60を設置することができる。よって、メンテナンス用足場を迅速に構築することができる。
【0054】
フレキシブルステップ60は、一対のラック4A,4Bの間に設置されたときにメンテナンスステップ21の足場面と略等しい高さに位置する上面61aを有する。メンテナンスステップ21とフレキシブルステップ60が併用される場合であっても、両ステップ間で段差が生じることがなく、作業者Xは足場の上を歩きやすい。この効果は、幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50の使用時においても同様に奏される。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。フレキシブルステップは、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形態様と取り得る。例えば、蛇腹のように第2方向D2に伸び縮みする構造の長さ調整部を有するフレキシブルステップが採用されてもよい。例えば、多重の板が互いにスライドして第2方向D2の長さが変わる構造の長さ調整部を有するフレキシブルステップが採用されてもよい。
【0056】
例えば、定尺ステップである幅狭ステップ40及び/又は幅広ステップ50を備えないストッカが提供されてもよい。第2方向D2の長さが可変なフレキシブルステップのみを備えるストッカによっても、クレーン(入出庫装置)とメンテナンスステップとの間の隙間を埋めることができる。
【0057】
上記実施形態では、2枚のメンテナンスステップ21,21が配列されて足場面を形成したが(
図3(b)参照)、メンテナンスステップはこの形態に限られない。例えば、ラック4A,4Bのいずれか一方のみが、非使用時にはその一方のラックに収納され、使用時には他方のラックに向けて進出して移動領域A1内にメンテナンス用の足場面を形成するメンテナンスステップを有してもよい。
【0058】
また、メンテナンスステップ21が省略されてもよい。すなわち、足場STGが、複数の定尺ステップと、例えば1つのフレキシブルステップとによって構成されてもよい。その場合でも、定尺ステップを梁材4gに順次架け渡していき、最後にスタッカクレーンに当接させるようにフレキシブルステップを設置すれば、隙間のない足場STGを容易に構築することができる。
【符号の説明】
【0059】
2…ストッカ、2A,2B…ストッカ、3…ストッカ本体、4A,4B…ラック、4g…梁材、7,7A,7B…スタッカクレーン(入出庫装置)、21…メンテナンスステップ、22…着脱バー、40…幅狭ステップ(定尺ステップ)、40a…本体部、41a…上面、43…梁係合部、44…梁係合金具、50…幅広ステップ(定尺ステップ)、50a…本体部、51a…上面、53…梁係合部、54…梁係合金具、60…フレキシブルステップ、60a…本体部、61a…上面、63…梁係合部、64…梁係合金具、66…長さ調整板(長さ調整部)、72…マスト、100…脚立、110…梯子、A1…移動領域、D1…第1方向、D2…第2方向、L…軸線、S…棚、STG…足場、X…作業者。