(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】建設機械及び嵩上げリンク
(51)【国際特許分類】
B66C 23/92 20060101AFI20230808BHJP
B66C 23/82 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B66C23/92
B66C23/82 Z
(21)【出願番号】P 2021128287
(22)【出願日】2021-08-04
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】正井 啓記
(72)【発明者】
【氏名】村山 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 文男
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-003168(JP,A)
【文献】特開2001-240380(JP,A)
【文献】実開昭58-134392(JP,U)
【文献】特開平11-263586(JP,A)
【文献】特開2002-326782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体と、
上記上部旋回体に起伏可能に取り付けられているブームと、
上記上部旋回体に対して回転可能に設けられ、上記ブームを背側から支持することで上記ブームの背側への倒伏を防止するバックストップと、
上記ブームと上記バックストップとの間で上記上部旋回体に搭載されているウインチと
を備えており、
上記上部旋回体が、上記バックストップを回転可能に連結できる回転軸が挿入される第1支持孔を有する連結部を有している建設機械であって、
上記連結部に固定可能な嵩上げリンクをさらに備えており、
上記嵩上げリンクが、上記第1支持孔よりも上方で上記回転軸が挿入される第2支持孔を有する建設機械。
【請求項2】
上記上部旋回体を下方から支持する支柱をさらに備える請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
上記嵩上げリンクが、上記第1支持孔と重なり合って配置され、上記連結部に対して固定される固定穴を有する請求項1又は請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
ブームを背側から支持することで上記ブームの背側への倒伏を防止するバックストップを回転可能に連結できる回転軸が挿入される第1支持孔を有する上部旋回体の連結部に固定可能に構成され、
上記第1支持孔よりも上方で上記回転軸を挿入できる第2支持孔を備える嵩上げリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械及び嵩上げリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
上部旋回体と、この上部旋回体に起伏可能に取り付けられているブームとを備える建設機械が公知である。通常、ブームの先端部からはワイヤロープが垂下されており、このワイヤロープにはフック等が取り付けられている。このワイヤロープは、上部旋回体に搭載されているウインチによって巻き上げ可能に構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
この建設機械は、ブームの背側への倒伏を防止するためのバックストップを備えている。このバックストップは、ブームを背側から支持するように上部旋回体に回転可能に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブームは、安全性等の観点から、駐機時等には腹側から倒伏した状態で保持される。この際、建設機械の仕様等によっては、ブームの倒伏角度が大きくなり、ブームに合わせて倒伏したバックストップがウインチと干渉するおそれがある。
【0006】
このような不都合に鑑みて、今日では、ブームの先端部を受け台によって支持することで、ブームの倒伏角度が大きくなることを防止することが行われている。しかしながら、この構成によると、意図せずブームが受け台から脱落するおそれがある。また、この構成によると、ブームを倒伏させる都度受け台を設置することを要し、作業効率が悪い。
【0007】
上記不都合に鑑みて、本発明は、バックストップとウインチとの干渉を容易に抑制することが可能な建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る建設機械は、上部旋回体と、上記上部旋回体に起伏可能に取り付けられているブームと、上記上部旋回体に対して回転可能に設けられ、上記ブームを背側から支持することで上記ブームの背側への倒伏を防止するバックストップと、上記ブームと上記バックストップとの間で上記上部旋回体に搭載されているウインチとを備えており、上記上部旋回体が、上記バックストップを回転可能に連結できる回転軸が挿入される第1支持孔を有する連結部を有している建設機械であって、上記連結部に固定可能な嵩上げリンクをさらに備えており、上記嵩上げリンクが、上記第1支持孔よりも上方で上記回転軸が挿入される第2支持孔を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る建設機械は、バックストップとウインチとの干渉を容易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械を示す模式的側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の建設機械の上部旋回体とバックストップとの連結部分を示す模式的部分拡大図である。
【
図3】
図3は、
図1の建設機械に配置されている嵩上げリンクを示す模式的側面図である。
【
図4】
図4は、
図1の建設機械のブームを起立させた状態を示す模式的部分側面図である。
【
図5】
図5は、従来の建設機械を示す模式的側面図である。
【
図6】
図6は、
図5の建設機械の上部旋回体とバックストップとの連結部分を示す模式的部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本発明の一態様に係る建設機械は、上部旋回体と、上記上部旋回体に起伏可能に取り付けられているブームと、上記上部旋回体に対して回転可能に設けられ、上記ブームを背側から支持することで上記ブームの背側への倒伏を防止するバックストップと、上記ブームと上記バックストップとの間で上記上部旋回体に搭載されているウインチとを備えており、上記上部旋回体が、上記バックストップを回転可能に連結できる回転軸が挿入される第1支持孔を有する連結部を有している建設機械であって、上記連結部に固定可能な嵩上げリンクをさらに備えており、上記嵩上げリンクが、上記第1支持孔よりも上方で上記回転軸が挿入される第2支持孔を有する。
【0013】
当該建設機械は、上記連結部に設けられている第1支持孔よりも上方で上記回転軸が挿入される第2支持孔を有するので、バックストップの回転中心を上方にシフトすることができる。その結果、当該建設機械は、上記ブームを腹側から倒伏させた場合でも、上記バックストップと上記ウインチとの干渉を容易に抑制することができる。
【0014】
当該建設機械は、上記上部旋回体を下方から支持する支柱をさらに備えるとよい。上記上部旋回体を下方から支持する支柱を備えるハイポスト仕様の建設機械では、上記ブームを腹側から倒伏させた際に、上記バックストップの回転角度が大きくなり、上記バックストップと上記ウインチとが近接しやすくなる。このような構成であっても、当該建設機械は、上記バックストップと上記ウインチとの干渉をより容易に抑制することができる。
【0015】
上記嵩上げリンクが、上記第1支持孔と重なり合って配置され、上記連結部に対して固定される固定穴を有するとよい。このように、上記嵩上げリンクが、上記第1支持孔と重なり合って配置され、上記連結部に対して固定される固定穴を有することによって、上記第2支持孔を上記第1支持孔よりも上方により容易に配置することができる。
【0016】
本発明の他の一態様に係る嵩上げリンクは、ブームを背側から支持することで上記ブームの背側への倒伏を防止するバックストップを回転可能に連結できる回転軸が挿入される第1支持孔を有する上部旋回体の連結部に固定可能に構成され、上記第1支持孔よりも上方で上記回転軸を挿入できる第2支持孔を備える。
【0017】
当該嵩上げリンクは、上記第1支持孔よりも上方で上記回転軸を挿入できる第2支持孔を備えるので、バックストップの回転中心を上方にシフトすることができる。そのため、当該嵩上げリンクを上記連結部に固定することで、上記ブームを腹側から倒伏させた場合でも、上記バックストップと上記ウインチとの干渉を容易に抑制することができる。
【0018】
なお、本発明において、ブームの「背側」とは、ブームを倒伏した状態で上になる側を意味する。「上」とは、建設機械を水平面に配置した状態における上を意味し、「下」とは、建設機械を水平面に配置した状態における下を意味する。
【0019】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0020】
<建設機械>
図1及び
図2に示す建設機械10は、上部旋回体1と、上部旋回体1に起伏可能に取り付けられているブーム2と、上部旋回体1に対して回転可能に設けられ、ブーム2を背側から支持することでブーム2の背側への倒伏を防止するバックストップ3と、ブーム2とバックストップ3との間で上部旋回体1に搭載されているウインチ4とを備える。また、当該建設機械10は、上部旋回体1を下方から支持する支柱5と、支柱5を下方から支持する下部走行体6とを備える。当該建設機械10は、上部旋回体1が支柱5を介して下部走行体6に搭載されているいわゆるハイポスト仕様の建設機械である。
【0021】
(下部走行体)
下部走行体6は、自走可能に構成されている。下部走行体6は、車幅方向に対向して配置される一対のクローラユニット6aと、一対のクローラユニット6aに接続されているカーボディ(不図示)とを有する。
【0022】
(支柱)
支柱5は、中心軸が上下方向に延びるように上記カーボディに搭載されている。支柱5は、上部旋回体1が当該建設機械10の配置面に対して高位に位置するように上部旋回体1と下部走行体6との間に介在している。支柱5の上端部には、上部旋回体1を旋回可能に保持するためのベアリング(不図示)が配置されている。
【0023】
(上部旋回体)
上部旋回体1は、支柱5に対して旋回可能に配置される旋回フレーム11と、旋回フレーム11に対して固定される連結部12とを有する。連結部12は、旋回フレーム11の一部を構成するように旋回フレーム11と一体的に構成されていてもよく、旋回フレーム11に別途取り付けられていてもよい。連結部12は、例えば板状であり、より詳しくは、上方に突出してかつ前後方向に延びるフランジ状である。
図2に示すように、連結部12には、嵩上げリンク20が固定されている。嵩上げリンク20は、それ自体本発明の一実施形態である。当該嵩上げリンク20は、連結部12に着脱可能に固定されている。すなわち、当該嵩上げリンク20は、連結部12を有する既存の建設機械に後付けで固定されるものである。以下、当該嵩上げリンク20が固定された建設機械10を説明するにあたり、まず
図5及び
図6を参照して、当該嵩上げリンク20が固定されていない既存の建設機械100について説明する。
【0024】
図6に示すように、連結部12は、バックストップ3を回転可能に連結できる回転軸30が挿入される第1支持孔12aを有している。
図6の建設機械100は、当該嵩上げリンク20を有しておらず、バックストップ3が回転軸30を介して連結部12に直接連結されている。この建設機械100は、駐機時等にブーム2を腹側から倒伏させると、ブーム2に合わせてバックストップ3も倒伏する。一方、この既存の建設機械100は、バックストップ3の回転中心が第1支持孔12aによって規制されるため、バックストップ3の回転中心を十分に高く設定することができない。その結果、この建設機械100は、ブーム2の倒伏角度が大きくなると(つまり、バックストップ3の回転角度が大きくなると)、バックストップ3とウインチ4とが干渉する。このため、
図5に示すように、この建設機械100は、ブーム2の倒伏時にはブーム2の先端部を受け台Xで支持し、ブーム2の倒伏角度を一定以下に制御している。しかしながら、この構成によると、例えば強風環境下等において受け台Xのバランスが損なわれると、ブーム2が受け台Xから脱落するおそれがある。
【0025】
これに対し、
図2に示すように、当該建設機械10は、連結部12に固定可能な嵩上げリンク20を備えている。また、当該嵩上げリンク20は、連結部12に設けられている第1支持孔12aよりも上方で回転軸30が挿入される第2支持孔21を有している。そのため、当該建設機械10は、既存の建設機械100よりも、バックストップ3の回転中心を上方にシフトすることができる。以下、
図1から
図3を参照して、当該嵩上げリンク20について詳説する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、当該嵩上げリンク20は、板状のブラケット20aを備えており、より詳しくは、ブラケット20aからなる。当該嵩上げリンク20は、第1支持孔12aと重なり合って配置され、連結部12に対して固定される第1固定穴22を有する。第1固定穴22は、第1支持孔12aに対して第2支持孔21の位置を高くできるよう、第2支持孔21よりも下方に配置されている。第1固定穴22は、ブラケット20aに形成された開口であってもよく、ブラケット20aに形成された切り欠きであってもよい。互いに重なり合った状態で、第1支持孔12aと第1固定穴22とには、第1軸部材31が挿入される。第1軸部材31には、第1支持孔12a及び第1固定穴22からの抜けを防止するための抜け止め具(不図示)が連結される。この抜け止め具としては、特に限定されるものではないが、例えばピン、ナット等が挙げられる。当該嵩上げリンク20は、第1固定穴22と第1支持孔12aとが重なり合った状態で連結部12に固定されることで、第2支持孔21を第1支持孔12aよりも上方に容易に配置することができる。
【0027】
また、当該嵩上げリンク20は、連結部12に設けられているガントリ取付け用の連結孔12bと重なり合って配置され、連結部12に対して固定される第2固定穴23を有する。第2固定穴23は、ブラケット20aに形成された開口であってもよく、ブラケット20aに形成された切り欠きであってもよい。互いに重なり合った状態で、連結孔12bと第2固定穴23とには、第2軸部材32が挿入される。第2軸部材32としては、例えばガントリ7を連結部12に連結するための軸部材を用いることができる。当該嵩上げリンク20は、第1固定穴22が第1軸部材31を介して第1支持孔12aに連結され、かつ第2固定穴23が第2軸部材32を介して連結孔12bに連結されることで、連結部12に固定される。
【0028】
当該嵩上げリンク20は連結部12に固定された状態で上方に突出する凸部24を有している。第2支持孔21は、凸部24に配置されている。第2支持孔21は、凸部24に配置されていることで、バックストップ3の回転中心を上方に効果的にシフトさせることができる。また、第2支持孔21が凸部24に配置されていることで、バックストップ3の回転時に、バックストップ3とブラケット20aとが干渉することを抑制できる。
【0029】
第2支持孔21と第1固定穴22との中心間距離は、第2支持孔21と第2固定穴23との中心間距離よりも小さいことが好ましい。当該嵩上げリンク20は、第2支持孔21と第1固定穴22との中心間距離を小さくすることで、バックストップ3の回転中心をウインチ4に近づけることができる。その結果、バックストップ3の回転中心が上方にシフトすることと相俟って、バックストップ3とウインチ4との干渉を抑制しやすい。
【0030】
第2支持孔21は、当該建設機械10を水平面に配置し、この水平面に対してブーム2を腹側から倒伏させた状態(
図1に示す状態)で、バックストップ3とウインチ4とが干渉しない位置に形成されていることが好ましい。
【0031】
(ブーム)
ブーム2は、クレーン作業時におけるフックの吊り下げ位置を制御する。クレーン作業時において、ブーム2には、その長手方向に沿ってワイヤロープ(不図示)が掛け渡される。このワイヤロープは、ブーム2の先端部から垂下される。このワイヤロープのブーム2から垂下されている部分にはフック(不図示)が取り付けられる。
【0032】
(バックストップ)
図4に示すように、バックストップ3は、内筒25と、内筒25の外周面に配置されるコイル状の緩衝ばね26と、緩衝ばね26よりも上方で内筒25に摺動可能に外篏される外筒27とを有する。内筒25の下端部には、緩衝ばね26を支持するばね座25aと、ばね座25aから下方に突出する第1連結片25bとが設けられている。第1連結片25bには、回転軸30が挿入される第1連結孔が形成されている。また、外筒27の上端部には、ブーム2の背側に回転可能に連結される第2連結片27aが設けられている。第2連結片27aには、第2連結孔が形成されている。
【0033】
バックストップ3は、連結部12に設けられている第1支持孔12aに回転軸30を介して連結されている状態(既存の建設機械100に配置されている状態)と、嵩上げリンク20の第2支持孔21に回転軸30を介して連結されている状態とで緩衝ばね26の圧縮開始角度(緩衝ばね26が圧縮を開始するブーム2の倒伏角度)が変わらないように形成されている。詳しく説明すると、
図6に示すように、バックストップ3は、第1支持孔12aに連結されている状態では、ばね座25aの緩衝ばねと当接する側にスペーサ28が配置されている。これに対し、
図2及び
図4に示すように、バックストップ3は、第2支持孔21に連結されている状態では、スペーサ28が取り外されている。これにより、バックストップ3は、嵩上げリンク20に起因する緩衝ばね26の高さの変化が、スペーサ28を取り外すことで相殺されている。その結果、バックストップ3は、第1支持孔12aに連結されている状態と、第2支持孔21に連結されている状態とで、緩衝ばね26の圧縮開始角度が変わらないように調整されている。
【0034】
(ウインチ)
ウインチ4は、例えばブーム2に掛け渡されるワイヤロープを巻き上げ可能な巻上ウインチである。ウインチ4は、ウインチドラムと、ワイヤロープを巻き上げるための駆動源とを有する。上記駆動源は、例えば油圧モータ及び減速機を含む。ウインチ4は、バックストップ3の回転軌道上に配置されている。
【0035】
<利点>
当該建設機械10は、連結部12に設けられている第1支持孔12aよりも上方で回転軸30が挿入される第2支持孔21を有するので、バックストップ3の回転中心を上方にシフトすることができる。その結果、当該建設機械10は、ブーム2を腹側から倒伏させた場合でも、バックストップ3とウインチ4との干渉を容易に抑制することができる。
【0036】
当該建設機械10のように上部旋回体1を下方から支持する支柱5を備えるハイポスト仕様の建設機械では、ブーム2を腹側から倒伏させた際に、バックストップ3の回転角度が大きくなり、バックストップ3とウインチ4とが近接しやすくなる。このような構成であっても、当該建設機械10は、バックストップ3とウインチ4との干渉を容易に抑制することができる。
【0037】
当該嵩上げリンク20は、第1支持孔12aよりも上方で回転軸30が挿入される第2支持孔21を備えるので、バックストップ3の回転中心を上方にシフトすることができる。そのため、当該嵩上げリンク20を連結部12に固定することで、ブーム2を腹側から倒伏させた場合でも、バックストップ3とウインチ4との干渉を容易に抑制することができる。
【0038】
当該嵩上げリンク20は、連結部12に設けられている第1支持孔12aに連結可能に構成されている。そのため、当該嵩上げリンク20は、上部旋回体1に固定する際に、上部旋回体1に搭載されているリミットスイッチ等の他の部材の配置を変えることを要しない。従って、当該嵩上げリンク20は、既存の建設機械100に対して容易に後付けすることができる。
【0039】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0040】
上記実施形態では、上部旋回体が支柱によって支持されているハイポスト仕様の建設機械について説明した。但し、当該建設機械において、上部旋回体は、下部走行体に直接搭載されていてもよい。また、下部走行体の具体的な構成は、特に限定されるものではなく、例えばトラック式、ホイール式等であってもよい。さらに、当該建設機械は、下部走行体を備えていない構成を採用することも可能である。例えば当該建設機械は、支柱が床部に固定される固定式の建設機械であってもよい。
【0041】
上記実施形態では、当該建設機械がジブクレーンである構成について説明した。但し、当該建設機械は、上記ジブクレーンに限定されない。また、上記実施形態では、バックストップが上部旋回体とブームとにそれぞれ回転可能に連結される構成について説明した。但し、上記バックストップは、ブームの背側への倒伏を防止できるようにブームを背側から支持できればよく、上部旋回体に片持ち梁状に連結されていてもよい。
【0042】
当該嵩上げリンクは、第2支持孔が第1支持孔よりも上方に位置する状態で連結部に固定できる限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。例えば当該嵩上げリンクは、連結部を挟み込むように配置される一対のブラケットを有していてもよい。
【0043】
上記実施形態では、当該嵩上げリンクの第2固定穴がガントリ取付け用の連結孔と重なり合うように配置される構成について説明した。但し、上記第2固定穴は、ガントリ取付け用の連結孔以外の孔と重なり合って配置されてもよい。例えば上記第2固定穴は、マスト取付け用の連結孔と重なり合うように配置されてもよく、その他の孔と重なり合うように配置されてもよい。また、上記ブラケットにおける上記第2固定穴の配置は、重なり合う孔の位置に基づいて設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の一態様に係る建設機械は、バックストップとウインチとの干渉を抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0045】
1 上部旋回体
2 ブーム
3 バックストップ
4 ウインチ
5 支柱
6 下部走行体
6a クローラユニット
7 ガントリ
10、100 建設機械
11 旋回フレーム
12 連結部
12a 第1支持孔
12b 連結孔
20 嵩上げリンク
20a ブラケット
21 第2支持孔
22 第1固定穴
23 第2固定穴
24 凸部
25 内筒
25a ばね座
25b 第1連結片
26 緩衝ばね
27 外筒
27a 第2連結片
28 スペーサ
30 回転軸
31 第1軸部材
32 第2軸部材
X 受け台