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特許7327491配達候補提案システム、配達候補提案端末および配達候補提案プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】配達候補提案システム、配達候補提案端末および配達候補提案プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20230808BHJP
【FI】
G06Q10/083
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021545107
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2020015140
(87)【国際公開番号】W WO2021049073
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2019165799
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中山 高聡
(72)【発明者】
【氏名】山村 洋市
(72)【発明者】
【氏名】山田 康仁
(72)【発明者】
【氏名】坪井 豊英
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-195297(JP,A)
【文献】特開2005-038173(JP,A)
【文献】特開2016-085734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達車両の現在地点を取得する現在地点取得部と、
配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部と、
前記現在地点と前記積込地点と前記配達地点とに基づいて、前記配達車両によって配達候補の前記荷物を前記配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部と、
配達候補の前記荷物とともに、前記配達料金から前記費用を減じて得られる利益を示す情報を案内部に案内させる案内制御部と、
を備える配達候補提案システム。
【請求項2】
前記費用は、
前記配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用に基づいて特定された、前記現在地点から前記積込地点を経由し前記配達地点に到達する経路の走行費用を含む、
請求項1に記載の配達候補提案システム。
【請求項3】
前記費用は、
前記経路の勾配、前記経路の形状、前記経路の通行料金に応じた前記走行費用からの増加分を含む
請求項2に記載の配達候補提案システム。
【請求項4】
前記案内部における案内には、
前記経路の距離で、前記利益を除して得られる単位距離あたりの利益が含まれる、
請求項2または請求項3に記載の配達候補提案システム。
【請求項5】
前記案内部における案内には、
前記経路を走行するために必要な所要期間で、前記利益を除して得られる単位時間あたりの利益が含まれる、
請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の配達候補提案システム。
【請求項6】
配達車両の現在地点を取得する現在位置取得部と、
達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部と、
前記現在地点と、前記積込地点と、前記配達地点と、に基づいて、前記配達車両によって配達候補の前記荷物を前記配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部と、
前記配達料金から前記費用を減じて得られる利益を示す情報を配達候補の前記荷物とともに案内する案内部と、を備える
配達候補提案端末。
【請求項7】
コンピュータを、
配達車両の現在地点を取得する現在地点取得部、
配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部、
前記現在地点と前記積込地点と前記配達地点とに基づいて、前記配達車両によって配達候補の前記荷物を前記配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部、
配達候補の前記荷物とともに、前記配達料金から前記費用を減じて得られる利益を示す情報を案内部に案内させる案内制御部、
として機能させる配達候補提案プログラム。
【請求項8】
配達車両の現在地点を取得する現在地点取得部と、
配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部と、
前記現在地点と前記積込地点と前記配達地点とに基づいて、前記配達車両によって配達候補の前記荷物を前記配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部と、
配達候補の前記荷物とともに、前記配達料金と前記費用とを示す情報を案内部に案内させる案内制御部と、
を備える配達候補提案システム。
【請求項9】
配達車両の現在地点を取得する現在位置取得部と、
達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部と、
前記現在地点と、前記積込地点と、前記配達地点と、に基づいて、前記配達車両によって配達候補の前記荷物を前記配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部と、
前記配達料金と前記費用とを示す情報を配達候補の前記荷物とともに案内する案内部と、を備える
配達候補提案端末。
【請求項10】
コンピュータを、
配達車両の現在地点を取得する現在地点取得部、
配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部、
前記現在地点と前記積込地点と前記配達地点とに基づいて、前記配達車両によって配達候補の前記荷物を前記配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部、
配達候補の前記荷物とともに、前記配達料金と前記費用とを示す情報を案内部に案内させる案内制御部、
として機能させる配達候補提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達候補提案システム、配達候補提案端末および配達候補提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物の配達を希望する荷主と配達者とのマッチングを行うシステムが知られている。例えば、特許文献1においては、荷物の属性情報および仲介手数料率に基づいて、配達希望金額を計算し、車主に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-30481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、配達車両の運転者が配達の依頼を受諾することで運転者に利益が生じるのか不明であった。配達車両で荷物を配達する場合、少なくとも、現在地点から積込地点まで走行し、積込地点から配達地点まで走行する必要がある。この場合の走行距離は荷物によって異なるため、配達に必要な費用は荷物によって異なり得る。従って、荷物を配達することで運転者に利益が生じるか不明であると、運転者は荷物の配達の依頼を受諾すべきか否か判断することが困難になる。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、配達によって利益が生じるのか明らかにすることが可能なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、配達候補提案システムは、配達車両の現在地点を取得する現在地点取得部と、配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部と、現在地点と積込地点と配達地点とに基づいて、配達車両によって配達候補の荷物を配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部と、配達候補の荷物とともに、配達料金から費用を減じて得られる利益を示す情報を案内部に案内させる案内制御部と、を備える。
【0006】
また、配達候補提案端末は、配達車両の現在地点を送信する現在地点送信部と、配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とに基づいて取得された、配達車両によって配達候補の荷物を配達地点に配達する場合に必要な費用と、配達料金との関係および配達候補の荷物を示す情報を受信する受信部と、配達料金から費用を減じて得られる利益を示す情報を配達候補の荷物とともに案内する案内部と、を備える。
【0007】
さらに、配達候補提案プログラムは、コンピュータを、配達車両の現在地点を取得する現在地点取得部、配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する配達情報取得部、現在地点と積込地点と配達地点とに基づいて、配達車両によって配達候補の荷物を配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する費用取得部、配達候補の荷物とともに、配達料金から費用を減じて得られる利益を示す情報を案内部に案内させる案内制御部、として機能させる。
【0008】
すなわち、配達候補提案システム、配達候補提案端末、配達候補提案プログラムにおいては、配達車両によって配達候補の荷物を配達地点に配達する場合に必要な費用と、配達料金との関係を案内することができる。当該関係によれば、配達によって利益が生じるのか明らかになる。従って、運転者等の利用者は、利益の有無や大きさ等に基づいて配達の依頼を受諾するか否か判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】配達候補提案システムのブロック図である。
図2】マッチング処理のフローチャートである。
図3】利益取得処理のフローチャートである。
図4図4A図4B図4Cは運転者端末における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)配達候補提案システムの構成:
(2)マッチング処理:
(3)利益取得処理:
(4)他の実施形態:
【0011】
(1)配達候補提案システムの構成:
図1は、本発明にかかる配達候補提案システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、積込地点から配達地点まで荷物を配達することを望む荷主と、荷物の配達を受諾して配達車両によって配達を行う運転者と、のニーズをマッチングさせるため、複数のコンピュータが協働する。荷主は、荷主端末100を有しており、荷主端末100を操作することによって荷物の配達の依頼を行うことができる。荷主端末100は、汎用的なコンピュータであり、本実施形態においては、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末が想定されている。むろん、荷主端末100は、据置型のコンピュータであってもよい。
【0012】
運転者は、運転者端末200を有しており、運転者端末200を操作することによって荷物の配達の依頼を受諾することができる。運転者端末200は、汎用的なコンピュータであり、本実施形態においては、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末が想定されている。むろん、運転者端末200は、車載型のコンピュータなどの据置型のコンピュータであってもよい。なお、本実施形態においては、配達車両の運転者が運転者端末200によって荷物の配達を受諾するが、配達車両の運転者以外の者が荷物の配達を受諾し、受諾した内容に応じて運転者に荷物の配達を行わせる態様等であってもよい。
【0013】
荷主端末100および運転者端末200は、マッチングサーバ300と通信することができる。マッチングサーバ300は、荷主端末100から送信される荷物に関する情報を蓄積する。また、マッチングサーバ300は、運転者端末200からの検索に応じて荷物に関する情報を検索し、運転者端末200に当該情報を送信する。マッチングサーバ300は、このようにして実施される運転者による検索に応じて荷物に関する情報を提供することで、荷主と運転者とのマッチングを行う。
【0014】
このようなマッチングを実現するため、荷主端末100は、通信部101とユーザI/F部102と図示しない制御部とを有している。通信部101は、マッチングサーバ300と通信を行うことが可能な回路を有している。ユーザI/F部102は、荷主に各種の情報を提供し、荷物の情報等を入力するためのインタフェース部であり、本実施形態においては、タッチパネルディスプレイである。
【0015】
制御部は、図示しないプログラムを実行可能であり、当該プログラムを実行することによって、荷主は所望の荷物の配達依頼を行うことができる。すなわち、荷主は、ユーザI/F部102を操作して、配達依頼の対象となる荷物に関する情報を入力する。荷物に関する情報は、種々の情報を含んでいてよく、本実施形態においては、荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金と、積込日時と、配達日時と、荷物の重さ、大きさを示す情報である。むろん、荷物に関する情報には、他にも種々の情報が含まれてよく、例えば、荷物の種類等が含まれていてもよい。荷主が、当該荷物に関する情報を入力すると、荷主端末100は、通信部101を介して当該荷物に関する情報を、マッチングサーバ300に対して送信する。
【0016】
運転者端末200は、通信部201とユーザI/F部202と図示しない制御部とを有している。通信部201は、マッチングサーバ300と通信を行うことが可能な回路を有している。ユーザI/F部202は、運転者に荷物の配達候補等の各種の情報を提供し、荷物の配達の受諾を入力するためのインタフェース部であり、本実施形態においては、タッチパネルディスプレイである。本実施形態においては、当該ユーザI/F部202が案内部に相当する。
【0017】
制御部は、図示しないプログラムを実行可能であり、当該プログラムを実行することによって、運転者は荷物の検索および配達の受諾を行うことができる。すなわち、運転者は、ユーザI/F部202を操作して、配達を希望する荷物の条件を入力する。条件は種々の条件であってよく、本実施形態においては、荷物の配達を希望する日時、積込地点、配達地点、荷物の重さ、大きさ等の情報である。むろん、荷物の条件には、他にも種々の情報が含まれてよく、例えば、荷物の種類等が含まれていてもよい。なお、検索条件は、複数の条件を包含する条件であってもよい。例えば、積込地点や配達地点は、特定の一地点ではなく、複数の地点が含まれる地域によって指定されても良い。運転者が、当該荷物の検索条件を入力すると、運転者端末200は、通信部201を介して当該荷物の検索条件を、マッチングサーバ300に対して送信する。
【0018】
マッチングサーバ300は、荷主と運転者とをマッチングする機能を有している。当該機能を実行するため、マッチングサーバ300は、通信部301,制御部302,記録媒体303を備えている。制御部302は、CPU,RAM,ROM等を備えており、ROMや記録媒体303に記録されたマッチングプログラム312を実行することができる。マッチングプログラム312が実行されることにより、制御部302は、荷主端末100からの配達依頼の送信を待機する。荷主端末100から荷物に関する情報が送信されると、制御部302は、通信部301を介して当該荷物に関する情報を受信する。また、制御部302は、荷物に関する情報を配達情報303aとして記録媒体303に記録する。以上の結果、記録媒体303には、配達依頼が行われた荷物の配達情報303aが蓄積されていく。
【0019】
また、制御部302は、運転者端末200からの荷物の検索条件の送信を待機する。運転者端末200から荷物の検索条件が送信されると、制御部302は、通信部301を介して当該荷物の検索条件を受信する。制御部302は、受信された検索条件に運転者の識別情報を対応付け、検索条件情報303bとして記録媒体に記録する。さらに、制御部302は、配達情報303aを参照し、検索条件に合致する荷物を配達候補として取得する。検索条件には、例えば、荷物の配達を希望する日時、積込地点、配達地点、荷物の重さ、大きさ等の少なくともいずれかが含まれる。そこで、制御部302は、これらの中で検索条件として指定された条件に合致する荷物を配達情報303aから取得し、配達候補の荷物とみなす。
【0020】
配達候補が取得されると、制御部302は、検索条件を送信した運転者端末200に対して、通信部301を介して配達候補の荷物を示す情報を送信する。この結果、運転者端末200は、ユーザI/F部202に対して配達候補の荷物を示す情報を表示させる。運転者は、当該配達候補の荷物の表示に基づいて、運転者が配達を望む荷物を選択する。荷物の選択が行われると、運転者端末200は、通信部201を介して、選択された荷物を運転者の識別情報とともに送信する。
【0021】
制御部302は、通信部301を介して、選択された荷物を受信する。そして、制御部302は、選択された荷物と運転者の識別情報とを対応付け、荷主端末100に対して、運転者の識別情報とともに荷物の配達依頼が受諾されたことを示す情報を、通信部301を介して送信する。また、制御部302は、運転者端末200に対して、配達依頼の受諾が確定したことを示す情報を、通信部301を介して送信する。
【0022】
以上のように、マッチングサーバ300によれば、荷主と運転者とをマッチングすることができる。マッチングを行う際に、マッチングサーバ300は、配達候補の荷物を示す情報を運転者端末200のユーザI/F部202に表示させることにより、運転者に選択肢を提供する。ユーザI/F部202における表示は、配達候補の荷物を選択可能に示す表示である。当該表示は、各種の態様で実施可能である。しかし、単に配達に必要な情報である荷物の積込地点、配達地点、積込日時、配達日時、荷物の重さ、大きさや、配達料金が表示されるのみでは配達候補を選択しづらい。
【0023】
すなわち、同一の配達料金であっても、配達に必要な経路が長ければ利益は少なくなる。そして、利益は、運転者の状況(例えば現在地点や既存の予定に荷物を追加した場合の手間等)によって異なり得る。従って、配達で得られる利益が不明であると、運転者は、自身が配達依頼を受諾するべきか否か判断することが困難である。
【0024】
そこで、本実施形態においては、配達候補提案システム10が、配達候補の荷物を配達することによって得られる利益を配達候補に合わせて提案するための処理を実行する。このために、配達候補提案システム10は、制御部20,記録媒体30,通信部40を備えている。通信部40は、マッチングサーバ300と通信を行うことが可能な回路を有している。
【0025】
記録媒体30には、費用情報30aと地図情報30bとが記録されている。費用情報30aは、配達の費用を計算するために必要な各種のパラメータを示す情報である。本実施形態においては、配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用を示す情報と、道路の変化による走行費用の増加分を示す情報と、道路の通行料金を示す情報とが含まれている。配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用は、配達車両毎に異なる値であってもよいし、運転者毎に異なる値であってもよい。本実施形態においては、簡単のため、複数の配達車両で単位走行距離あたりのエネルギー費用が同一であるとして説明する。
【0026】
道路の変化による走行費用の増加分を示す情報は、平坦な直線路である場合と比較してエネルギー消費量が増加することに伴って、走行費用が増加する量を計算するための情報である。例えば、勾配があるために平坦な直線路と比較してエネルギー消費量が増加する場合、その増加量や増加率を取得可能な情報が費用情報30aとなる。むろん、勾配の大きさや勾配路の距離等に応じてエネルギー消費量の変化度合いは変わってよい。本実施形態においては、簡単のため、道路の勾配が既定範囲を超える大きさである場合に増加するエネルギー消費量が、単位距離あたりのエネルギー消費量の増加比率(増加分の比率)として定義されている。すなわち、勾配区間の距離に当該比率を乗じれば、平坦な直線路での走行費用からの増加分が得られる。むろん、勾配によるエネルギー消費量の増加分は正負の値があってよい。すなわち、登り勾配の場合にはエネルギー消費量が増加し、下り勾配の場合にはエネルギー消費量が減少するとみなされてもよい。
【0027】
また、道路が非直線(カーブ)であるために平坦な直線路と比較してエネルギー消費量が増加する場合、その増加量や増加率を取得可能な情報が費用情報30aとなる。むろん、カーブの曲率半径やカーブ区間の距離等に応じてエネルギー消費量の変化度合いは変わってよい。本実施形態においては、簡単のため、カーブの曲率半径が閾値以下である場合に増加するエネルギー消費量が、単位距離あたりのエネルギー消費量の増加比率(増加分の比率)として定義されている。すなわち、カーブ区間の距離に当該比率を乗じれば、平坦な直線路での走行費用からの増加分が得られる。さらに、費用情報30aには、有料道路の通行料金を示す情報が含まれている。当該情報は、地図情報30bに含まれていてもよい。
【0028】
地図情報30bは、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示す地物データ等を含んでいる。本実施形態において、リンクデータにはリンクコストが対応づけられており、当該リンクコストの累計が最小になる経路を特定することで経路探索を行うことができる。さらに、本実施形態においてノードや形状補間点には高度を示す情報が対応づけられている。従って、隣接するノードや形状補間点における高度差および距離差に基づいて勾配を特定することが可能である。
【0029】
制御部20は、図示しないCPU,RAM,ROM等を備えており、ROMや記録媒体30等に記録されたプログラムを実行可能である。本実施形態においては、このプログラムに配達候補提案プログラム21が含まれている。配達候補提案プログラム21は、現在地点取得部21a,配達情報取得部21b,費用取得部21c,案内制御部21dを備えている。
【0030】
現在地点取得部21aは、配達車両の現在地点を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態において、配達車両の現在地点は、運転者端末200において特定され、マッチングサーバ300を介して配達候補提案システム10に送信される。すなわち、配達車両で配達を行う場合の利益を取得するためには、配達車両の走行に必要な費用を計算する必要がある。本実施形態においては、配達車両が現在地点から移動し始めることによって費用が発生するとみなす。
【0031】
このため、本実施形態において運転者端末200は、配達車両の現在地点を特定する(従って、運転者端末は、現在地点送信部を備えている)。現在地点の特定は、種々の手法で行われてよく、例えば、運転者端末200にGNSS受信部を備える構成とし、当該GNSS受信部によって航法衛星の信号を受信することによって現在地点が特定されてもよい。また、車速センサやジャイロセンサの出力信号に基づいて現在地点が特定されてもよいし、当該出力信号とGNSS受信部の出力とに基づいて現在地点が特定されてもよい。さらに、運転者がユーザI/F部202を操作することによって入力されてもよい。
【0032】
配達車両の現在地点が特定されると、運転者端末200は、通信部201を介して配達車両の現在地点をマッチングサーバ300に送信する。なお、本実施形態において、運転者は、既に荷物の配達依頼を受諾しており、既存の荷物の配達に加えて追加の荷物の配達を受諾し得る。この場合、運転者端末200は、既存の荷物の配達のための経路(既存経路)を保持しており、配達者車両の現在地点を送信する際に、経路を示す情報を含めて送信する。いずれにしても、マッチングサーバ300は、通信部301を介して現在地点(既存経路が存在する場合は経路および既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額を含む。以下同じ。)を示す情報を受信し、検索条件情報303bとして記録媒体303に記録する。当該情報は、配達候補の荷物の検索に利用されても良い。
【0033】
本実施形態において制御部302は、さらに、通信部301を介して、配達車両の現在地点を、配達候補提案システム10に送信する。配達候補提案システム10は、通信部40を介して配達車両の現在地点を取得する。
【0034】
配達情報取得部21bは、配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、通信部40を介して配達情報303aの送信要求を行う。マッチングサーバ300は、当該送信要求に応じて配達情報303aを送信し、制御部20は、通信部40を介して当該配達情報303aを取得する。なお、送信対象となる配達情報303aは、荷物の配達に必要な費用を計算するための情報であればよい。本実施形態においては、配達のために走行すべき経路を特定するため、少なくとも、配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とが送信対象として配達情報303aに含まれる。
【0035】
費用取得部21cは、現在地点と積込地点と配達地点とに基づいて、配達車両によって配達候補の荷物を配達地点に配達する場合に必要な費用を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、現在地点から積込地点まで走行し、さらに、積込地点から配達地点までの経路を走行する際に必要なエネルギー費用に基づいて、走行費用を取得する。さらに、エネルギー費用以外の費用を加えて配達に必要な費用とみなす。
【0036】
具体的には、制御部20は、既存経路が存在しない場合、地図情報30bを参照して現在地点から積込地点まで走行し、さらに、積込地点から配達地点までの経路を探索する。経路が探索されると、制御部20は、配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用に基づいて、当該経路の走行費用を取得する。すなわち、制御部20は、地図情報30bに基づいて、現在地点から配達地点までの経路に沿った距離を特定する。さらに、制御部20は、費用情報30aを参照して配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用を取得し、当該距離に対して乗じることで、経路の走行費用を取得する。
【0037】
さらに、制御部20は、費用情報30aおよび地図情報30bを参照して、走行費用からの増加分を取得する。具体的には、制御部20は、地図情報30bを参照し、経路の中から勾配が既定範囲を超える大きさである区間を特定し、その距離を特定する。そして、制御部20は、当該距離の走行費用に対して、勾配による走行費用の増加分を乗じることで、増加分の費用を取得する。
【0038】
さらに、制御部20は、地図情報30bを参照し、経路の中から曲率半径が閾値以下であるカーブ区間を特定し、その距離を特定する。そして、制御部20は、当該距離の走行費用に対して、カーブによる走行費用の増加分を乗じることで、増加分の費用を取得する。さらに、制御部20は、費用情報30aを参照し、経路に有料道路が含まれるか否かを判定し、有料道路が含まれる場合にはその通行料金を取得する。そして、制御部20は、経路の走行費用と、走行費用の増加分と、通行料金とを加えた額を配達に必要な費用として取得する。
【0039】
一方、運転者端末200が既存の荷物の配達のための経路(既存経路)を保持している場合、配達車両の現在地点とともに既存経路が送信される。この場合、制御部20は、配達候補を配達するために必要な新規経路を特定し、新規経路を採用することによって既存経路よりも増加する費用を取得する。このために、制御部20は、費用情報30aおよび地図情報30bを参照して、既存経路での費用を取得する。費用の取得法は、既存経路が存在しない場合の取得法と同様である。
【0040】
さらに、制御部20は、既存経路の目的地に対して、配達候補の荷物の積込地点および配達地点を新たな目的地として追加し、地図情報30bに基づいて、新規経路を探索する。例えば、制御部20は、現在地点に近い順であり、かつ、同一の荷物の積込地点が先、配達地点が後になるような順番で各目的地を訪問する経路を新規経路として探索する。さらに、制御部20は、費用情報30aおよび地図情報30bを参照して、新規経路での費用を取得する。費用の取得法は、既存経路が存在しない場合の取得法と同様である。
【0041】
案内制御部21dは、配達候補の荷物とともに、費用と配達料金との関係を示す情報を案内部に案内させる機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態において、費用と配達料金との関係を示す情報は、配達によって得られる利益、すなわち、配達料金-費用である。そこで、制御部20は、配達情報取得部21bによって取得された配達料金から、費用取得部21cによって取得された費用を減じることで利益を取得する。
【0042】
なお、既存経路が存在する場合、制御部20は、既存経路での費用と新規経路での費用とに基づいて、既存経路での利益と新規経路での利益とを取得する。すなわち、制御部20は、既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額から、既存経路での費用を減じることで既存経路での利益を取得する。また、制御部20は、既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額に対して配達候補の荷物の配達料金を加え、さらに、新規経路での費用を減じることで新規経路での利益を取得する。
【0043】
本実施形態において制御部20は、以上のような利益を取得する処理を、複数の配達候補について実施する。すなわち、マッチングサーバ300は、運転者が入力した検索条件に従って配達候補の荷物を特定する。そこで、制御部20は、当該配達候補のそれぞれについて、利益を取得する処理を実施する。制御部20は、各配達候補について得られた利益を、通信部40を介してマッチングサーバ300に対して送信する。マッチングサーバ300は、通信部301を介して、各配達候補の利益を示す情報を、運転者端末200に送信する。運転者端末200は、ユーザI/F部202の案内部(タッチパネルディスプレイ)に、各配達候補の荷物毎に利益を案内させる。ここでは、配達候補の荷物毎に利益が案内されればよく、配達候補の荷物は、各種の態様で区別されてよい。例えば、荷主の名称や積込地点、配達地点、配達料金等の少なくとも一つによって荷物が区別されてよい。
【0044】
既存経路が存在する場合、制御部20は、利益の差分(新規経路での費用-既存経路での費用)を、通信部40を介してマッチングサーバ300に対して送信する。マッチングサーバ300は、通信部301を介して、各配達候補の利益の差分を示す情報を、運転者端末200に送信する。運転者端末200は、ユーザI/F部202の案内部(タッチパネルディスプレイ)に、各配達候補の荷物毎に利益の差分を案内させる。ここでも、配達候補の荷物毎に利益の差分が案内されればよく、配達候補の荷物は、各種の態様で区別されてよい。
【0045】
以上の構成によれば、運転者は、配達候補毎の利益に基づいて、配達の依頼を受諾するか否か判断することができる。また、既に配達の予定がある運転者は、配達候補の荷物について新たに配達を受諾することによって増加する利益に基づいて配達候補を比較し、新たに配達を受諾するか否かを決定することができる。
【0046】
(2)マッチング処理:
次に、マッチングサーバ300が実行するマッチング処理を説明する。図2は、マッチング処理のフローチャートである。マッチング処理は、運転者が運転者端末200に対して荷物の検索条件を入力し、検索を開始した場合に実行される。具体的には、運転者が運転者端末200に対して荷物の検索条件を入力すると、通信部201を介して検索条件情報がマッチングサーバ300に送信される。マッチングサーバ300は、通信部301を介して検索条件情報が送信されたか否か監視しており、検索条件情報が送信されると、制御部302は、マッチング処理を開始する。
【0047】
図4Aは、検索条件の入力例を示す図である。図4Aにおいては、運転者端末200のユーザI/F部202における表示例を示している。この例において、運転者は、ユーザI/F部202に対する各種の操作により、項目毎に検索条件を指定することができる。図4Aに示す例においては、積込または配達の日付、積込地点、配達地点、荷物の重さ、荷物のサイズが検索条件として入力されている状態を例示している。また、図4Aにおいては、検索ボタンBが表示されている例が示されており、運転者が検索ボタンBをタップすることにより、運転者端末200からマッチングサーバ300に対して検索条件情報が送信される。なお、各項目において検索条件によって限定される範囲は調整可能である。例えば、図4Aに示す積込地点はA地域とされており、広さを有するA地域に含まれる積込地点は全て検索条件に適合する。積込地点は、このように、地域で指定されても良いし、座標で指定されても良いし、他にも種々の手法で限定されてよい。
【0048】
いずれにしても、検索ボタンBがタップされると、検索条件情報が送信され、制御部302は、マッチング処理を開始する。そして、制御部302は、通信部301を介して検索条件情報を取得する(ステップS100)。取得された検索条件情報は、記録媒体303に記録される(検索条件情報303b)。
【0049】
次に、制御部302は、配達情報を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部302は、任意のタイミングで荷主端末100から送信される配達情報303aを取得し、記録媒体303に記録している。そこで、制御部302は、記録媒体303に記録されている配達情報303aから配達が受諾されていない荷物の情報を抽出する。
【0050】
次に、制御部302は、マッチング処理を実行する(ステップS110)。すなわち、制御部302は、ステップS105で抽出された配達情報303aを参照し、ステップS100で取得した検索条件に適合する荷物を特定する。例えば、図4Aに示す例であれば、積込または配達の日時が6月30日であり、積込地点がA地域であり、配達地点がB地域であり、荷物の重さが2000kg以下であり、荷物の3辺のサイズの合計が400cm以下である荷物が検索される。
【0051】
次に、制御部302は、配達候補の荷物が存在するか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、ステップS110のマッチング処理で、検索条件に適合する配達情報303aが特定された場合、制御部302は、配達候補の荷物が存在すると判定する。ステップS115において、検索条件に適合する配達情報303aが特定されなかった場合、制御部20は、配達候補の荷物が存在すると判定しない。この場合、マッチング処理を終了する。むろん、この場合、運転者端末200に対して、配達候補の荷物が存在しないことを示す情報を送信し、ユーザI/F部202に表示させてもよい。
【0052】
ステップS115において、配達候補の荷物が存在すると判定された場合、制御部302は、配達候補のそれぞれについて、利益取得処理を実行する(ステップS120)。すなわち、制御部302は、通信部301を介して、配達候補の荷物に関する配達情報303aと、運転者端末200の現在地点(既存経路が存在する場合は経路および既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額を含む。)を配達候補提案システム10に対して送信する。この結果、配達候補提案システム10において利益取得処理が実行される。利益取得処理が実行されると、既存経路が存在していなかった場合には配達候補の荷物毎の利益が取得され、既存経路が存在していた場合には配達候補の荷物毎に利益の差分が取得される。これらの利益や利益の差分は、配達候補提案システム10からマッチングサーバ300に送信される。
【0053】
制御部302は、配達候補の荷物毎の利益(または利益の差分)を出力する(ステップS125)。すなわち、制御部320は、検索条件情報を送信した運転者端末200に対し、通信部301を介して配達候補の荷物を示す情報と各荷物を受諾した場合の利益(または利益の差分)を送信する。なお、本実施形態において、配達候補の荷物を示す情報には、当該荷物の配達情報303aと、荷物を配達するための経路を示す情報が含まれる。なお、本実施形態において、経路探索は、配達候補提案システム10によって実行される。
【0054】
運転者端末200は、通信部201を介して、配達候補の荷物を示す情報と各荷物を受諾した場合の利益を取得する。そして、運転者端末200はユーザI/F部202に配達候補の荷物毎の利益(または利益の差分)を表示させる。図4Bは、荷物毎の利益の差分の表示例を示す図である。図4Bにおいては、配達候補の荷物のそれぞれに関する情報が矩形の枠内に示されている。また、それぞれの荷物について、配達候補の荷物を含めた全ての荷物の配達料金の総額(既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額+新たな荷物の配達料金)と、利益の差分、荷主、積込地点、配達地点とが示されている。
【0055】
例えば、図4Bに示す最上部の枠には、全ての荷物の配達料金の総額が8万円、利益の差分が+2万円、荷主がa社、積込地点がA地点、配達地点がB地点であることが示されている。なお、荷物毎の利益を表示する際には、図4Bと同様の表示において、新規経路で配達される荷物全ての配達料金の総額と利益の差分との代わりに、配達候補の配達料金および利益が示される構成等が挙げられる。
【0056】
本実施形態においては、運転者が図4Bに示されたような配達候補の荷物を選択すると、配達候補の荷物の詳細が表示される。図4Cは、当該荷物の詳細の表示例を示している。図4Cにおいては、画面上部に荷物を配達するための経路(太い実線で表記)が示されており、配達候補の荷物の積込地点と配達地点とが示されている。なお、図4Cに示す例も、既存経路が存在する例であるため、配達候補の荷物の積込地点と配達地点は経路の途中に存在し、運転者は他の荷物の配達も行う。
【0057】
さらに、図4Cに示される例においては、経路の総距離(250km)と、配達候補の荷物を配達することによって増加する距離(+50km)が示されている。さらに、図4Cに示される例においては、経路を走行する際の総所要期間(4時間)と、配達候補の荷物を配達することによって増加する所要期間(+50分)が示されている。さらに、積込を行うべき日時と、配達を行うべき日時が示され、利益の差分も示されている。図4Cに示される例では、受諾を指示するボタンBiも表示されており、運転者は当該ボタンBiをタップすることによって受諾指示を行うことができる。
【0058】
次に、制御部302は、受諾指示があったか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、運転者が運転者端末200のユーザI/F部202を操作して受諾指示を行うと、運転者端末200は、通信部201を介して、受諾された荷物を示す情報をマッチングサーバ300に対して送信する。
【0059】
制御部302が、通信部301を介して、受諾された荷物を示す情報を受信すると、制御部302は、受諾指示が行われたと判定し、受諾処理を実行する(ステップS135)。すなわち、制御部302は、配達情報303aの中で、受諾された荷物を示す情報に対して、受諾済であることを示す情報を対応づける。そして、制御部302は、通信部301を介して、運転者端末200に対して受諾が完了したことを示す情報を送信する。この結果、運転者は新たな荷物の配達の受諾が完了したことを認識し、新たな荷物を含めた配達業務を実行する。また、制御部302は、通信部301を介して、荷主端末100に対して受諾が完了したことを示す情報を送信する。この結果、荷主は依頼した荷物の配達が受諾されたことを認識し、依頼した日時に積み込みが行われるように荷物を受け渡す。
【0060】
(3)利益取得処理:
次に、配達候補提案システム10が実行する利益取得処理を説明する。図3は、利益取得処理のフローチャートである。利益取得処理は、マッチングサーバ300から配達情報303aと、運転者端末200の現在地点(既存経路が存在する場合は経路および既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額を含む。)が送信された場合に実行される。
【0061】
利益取得処理が開始されると、制御部20は、制御部20は、現在地点取得部21aの機能により、通信部40を介して現在地点(既存経路が存在する場合は経路および既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額を含む。)を取得する(ステップS200)。また、制御部20は、配達情報取得部21bの機能により、通信部40を介して配達情報303aを取得する(ステップS205)。
【0062】
次に、制御部20は、処理対象の荷物を選択する(ステップS207)。すなわち、マッチングサーバ300からは、配達候補の荷物のそれぞれについて配達情報303aが送信されるため、制御部20は、ステップS205で取得された配達候補の荷物の中から、ステップS210~S260のループ処理の対象となっていない荷物を一つ選択する。
【0063】
次に、制御部20は、費用取得部21cの機能により、既存経路が存在するか否かを判定する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、ステップS200で取得した現在地点に既存経路が対応づけられていた場合に、既存経路が存在すると判定する。ステップS210において、既存経路が存在すると判定されない場合、制御部20は、費用取得部21cの機能により、経路探索を実行する(ステップS215)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、リンクコストに基づいて、現在地点から処理対象の荷物の積込地点まで走行し、さらに、積込地点から処理対象の荷物の配達地点まで到達する経路を探索する。
【0064】
次に、制御部20は、費用取得部21cの機能により、探索経路の費用を取得する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、費用情報30aを参照して配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用を特定する。また、制御部20は、ステップS215で取得した経路に沿った距離を特定する。さらに、制御部20は、配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用と経路の距離との積によって経路の走行費用を取得する。
【0065】
さらに、制御部20は、地図情報30bを参照し、ステップS215で取得した経路の中から勾配が既定範囲を超える大きさである区間を特定し、その距離を特定する。また、制御部20は、費用情報30aを参照し、勾配による走行費用の増加分(比率)を取得し、勾配が既定範囲を超える大きさの区間の距離に対して乗じ、増加分の費用を取得する。さらに、制御部20は、地図情報30bを参照し、ステップS215で取得した経路の中から曲率半径が閾値以下であるカーブ区間を特定し、その距離を特定する。また、制御部20は、費用情報30aを参照し、カーブによる走行費用の増加分(比率)を取得し、曲率半径が閾値以下であるカーブ区間の距離に対して乗じ、増加分の費用を取得する。さらに、制御部20は、費用情報30aを参照し、経路に有料道路が含まれるか否かを判定し、有料道路が含まれる場合にはその通行料金を取得する。そして、制御部20は、経路の走行費用と、走行費用の増加分と、通行料金とを加えた額を配達に必要な費用として取得する。
【0066】
次に、制御部20は、案内制御部21dの機能により、利益を取得する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、配達情報303aに基づいて処理対象の荷物の配達料金を特定し、配達料金からステップS220で取得された費用を減じ、処理対象の荷物の利益とみなす。
【0067】
一方、ステップS210において、既存経路が存在すると判定された場合、制御部20は、費用取得部21cの機能により、既存経路の費用を取得する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、費用情報30aを参照して配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用を特定し、既存経路の距離に乗じることで走行費用を取得する。さらに、制御部20は、地図情報30bを参照し、勾配が既定範囲を超える大きさである区間および曲率半径が閾値以下であるカーブ区間を既存経路から特定し、当該区間の距離に基づいて、走行費用の増加分を取得する。さらに、制御部20は、費用情報30aを参照し、既存経路に有料道路が含まれるか否かを判定し、有料道路が含まれる場合にはその通行料金を取得する。そして、制御部20は、経路の走行費用と、走行費用の増加分と、通行料金とを加えた額を配達に必要な費用として取得する。
【0068】
次に、制御部20は、費用取得部21cの機能により、個補の荷物の積込地点、配達地点を経由地にして経路探索を行う(ステップS235)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、リンクコストに基づいて、既存経路の目的地と、処理対象の荷物の積込地点および配達地点を目的地とした経路(新規経路)を探索する。
【0069】
次に、制御部20は、費用取得部21cの機能により、新規経路の費用を取得する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、費用情報30aを参照して配達車両の単位走行距離あたりのエネルギー費用を特定し、新規経路の距離に乗じることで走行費用を取得する。さらに、制御部20は、地図情報30bを参照し、勾配が既定範囲を超える大きさである区間および曲率半径が閾値以下であるカーブ区間を新規経路から特定し、当該区間の距離に基づいて、走行費用の増加分を取得する。さらに、制御部20は、費用情報30aを参照し、新規経路に有料道路が含まれるか否かを判定し、有料道路が含まれる場合にはその通行料金を取得する。そして、制御部20は、経路の走行費用と、走行費用の増加分と、通行料金とを加えた額を配達に必要な費用として取得する。
【0070】
次に、制御部20は、案内制御部21dの機能により、新規経路の利益と既存経路の利益を取得する(ステップS245)。すなわち、制御部20は、処理対象の荷物を含めた全ての荷物の配達料金の総額(既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額+処理対象の荷物の配達料金)から新規経路の費用を減じた額を新規経路の利益として取得する。また、制御部20は、既存経路で配達される荷物全ての配達料金の総額から既存経路の費用を減じた額を既存経路の利益として取得する。
【0071】
次に、制御部20は、案内制御部21dの機能により、利益の差分を取得する(ステップS250)。すなわち、制御部20は、ステップS245で取得された既存経路の利益から新規経路の利益を減じ、利益の差分として取得する。次に、制御部20は、新規経路と既存経路との時間差を取得する(ステップS255)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、新規経路と既存経路とのそれぞれを走行する際の所要期間を取得する。所要期間は種々の手法で取得されてよく、例えば、経路を構成する各区間の距離を各巻の平均車速で除して区間所要期間を取得し、経路全体にわたって区間の所要期間の和を取得することで所要期間を取得可能である。むろん、所要期間の取得法は種々の手法であってよく、平均車速が区間毎の渋滞度等によって変化してもよい。そして、制御部20は、新規経路の所要期間から既存経路の所要期間を減じることで時間差を取得する。
【0072】
以上の処理において取得された情報は、処理対象の荷物に対して対応づけられる。例えば、ステップS225,S245で取得された利益やステップS250で取得された利益の差分、ステップS255で取得された時間差等は処理対象の荷物に対して対応づけられる。
【0073】
次に、制御部20は、配達候補の荷物の全てについて処理が終了したか否か判定し(ステップS260)、配達候補の荷物の全てについてステップS207~S260の処理が終了したと判定されるまで、ステップS207以降の処理を繰り返す。ステップS260において、配達候補の荷物の全てについて処理が終了したと判定された場合、制御部20は、案内制御部21dの機能により、利益情報を送信する(ステップS265)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して、配達候補の荷物のそれぞれに対応づけられた利益等の情報(利益の差分や時間差、新規経路等を含む)をマッチングサーバ300に送信する。マッチングサーバ300は、ステップS130において、これらの情報を運転者端末200に対して送信する。
【0074】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、配達候補の荷物の費用と配達料金との関係を示す情報を案内する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、図4A図4Cに示す通知は一例であり、他の態様であってもよい。例えば、既存経路が存在する場合に、既存経路での利益や新規経路での利益が案内されてもよい。
【0075】
さらに、通知内容の一部が省略され、または他の情報が追加されていてもよい。例えば、案内部における案内には、経路の距離で利益を除して得られる単位距離あたりの利益が含まれていてもよい。当該構成は、例えば、上述の実施形態の処理を変更することによって実現可能である。具体的には、ステップS225の後に、制御部20が、地図情報30bを参照してステップS220で取得された探索経路の総距離を取得する。そして、制御部20が、ステップS225で取得された利益を探索経路の総距離で除することによって単位距離あたりの利益を取得する。また、ステップS255の後に、制御部20が、地図情報30bを参照してステップS235で取得された新規経路の総距離を取得する。そして、制御部20が、ステップS245で取得された新規経路での利益を新規経路の総距離で除することによって単位距離あたりの利益を取得する。
【0076】
この構成の場合、制御部20は、ステップS265において、単位距離あたりの利益をマッチングサーバ300に送信する。マッチングサーバ300は、単位距離あたりの利益を運転者端末200に送信する。この結果、運転者端末200においては、配達候補の荷物の配達を受諾した場合における、単位距離あたりの利益が出力される。例えば、図4B図4Cに示す例において、荷物に対応づけて単位距離あたりの利益が表示される。この構成によれば、運転者は、単位距離あたりの利益に基づいて効率的に利益を得られる荷物を選択しやすくなる。
【0077】
また、案内部における案内には、経路を走行するために必要な所要期間で利益を除して得られる単位時間あたりの利益が含まれていてもよい。当該構成は、例えば、上述の実施形態の処理を変更することによって実現可能である。具体的には、ステップS225の後に、制御部20が、地図情報30bを参照してステップS220で取得された探索経路の総距離に基づいて、例えば、平均車速等に基づいて探索経路の走行に必要な所要期間を取得する。そして、制御部20が、ステップS225で取得された利益を探索経路の所要期間で除することによって単位時間あたりの利益を取得する。また、ステップS255の後に、制御部20が、ステップS245で取得された新規経路での利益を、ステップS255で取得した新規経路の所要期間で除することによって単位時間あたりの利益を取得する。
【0078】
この構成の場合、制御部20は、ステップS265において、単位時間あたりの利益をマッチングサーバ300に送信する。マッチングサーバ300は、単位時間あたりの利益を運転者端末200に送信する。この結果、運転者端末200においては、配達候補の荷物の配達を受諾した場合における、単位時間あたりの利益が出力される。例えば、図4B図4Cに示す例において、荷物に対応づけて単位時間あたりの利益が表示される。この構成によれば、運転者は、単位時間あたりの利益に基づいて効率的に利益を得られる荷物を選択しやすくなる。
【0079】
むろん、単位距離あたりの利益と単位時間あたりの利益との双方が表示される構成であってもよい。さらに、検索条件として、単位距離あたりの利益と単位時間あたりの利益との少なくとの一方を指定できるように構成されており、これらの利益に適合する荷物が候補とされてもよい。さらに、検索条件は上述の例に限定されず、例えば、検索条件として、利益が指定できるように構成されていても良い。この場合、検索条件として設定された利益に適合する荷物が候補として表示される。
【0080】
上述の実施形態を構成する各システムは、機能を共有したより少ない装置で構成されても良い。このような例としては、図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、配達候補提案システム10とマッチングサーバ300とが一体の装置で構成されていても良い。また、配達候補提案システム10とマッチングサーバ300と運転者端末200とが一体の装置で構成されていても良い。さらに、配達候補提案システム10とマッチングサーバ300と荷主端末100とが一体の装置で構成されていても良い。さらに、図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されても良い。例えば、マッチングサーバ300や配達候補提案システム10がクラウドサーバで構成されても良い。
【0081】
また、配達候補提案システム10を構成する各部(現在地点取得部21a、配達情報取得部21b、費用取得部21c、案内制御部21d)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していても良い。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。例えば、既存経路が存在する場合、存在しない場合の一方で利益取得処理が実行される構成が実現されてもよい。
【0082】
現在地点取得部は、配達車両の現在地点を取得することができればよい。すなわち、配達車両において現在地点からの移動が開始すると、費用が発生し始めるため、費用発生の起点を特定するために現在地点が取得されればよい。現在地点は、種々の手法で特定されてよく、配達車両に搭載された端末や運転者等の利用者が利用する端末が備えるセンサによって取得されてもよいし、利用者が入力してもよい。
【0083】
また、現在地点は、費用の計算以外の目的に利用されても良い。例えば、配達候補の荷物を絞り込むために利用されても良い。このような構成としては、積込地点と現在地点との距離が既定範囲を超えている荷物は配達候補から除外される構成等が挙げられる。むろん、配達候補の荷物を絞り込むための情報は、他にも種々の情報が利用されて良く、例えば、積込地点や配達地点が利用されても良い。また、積込地点や配達地点が含まれる区間が利用者の希望する希望区間として取得され、希望区間内の地点で配達が行われる荷物が配達候補となってもよい。
【0084】
配達情報取得部は、配達候補の荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得することができればよい。すなわち、配達情報取得部は、荷物を配達する際の費用を計算するために必要な荷物に関する情報を取得する。配達情報取得部は、費用の計算のために荷物の積込地点と、配達地点と、配達料金とを取得することができればよく、むろん、他の情報、例えば、荷物の積込日時や配達日時等が取得されてもよい。
【0085】
配達料金は、費用と比較される料金であれば良く、運転者等の利用者に支払われる料金であってもよいし、荷主が支払う料金であってもよい。これらの料金は同一であってもよいし異なっていてもよい。後者としては、例えば、荷主が支払う料金から配達候補提案システムの利用料金等の経費が除外されて運転者等の利用者に支払われる料金になる例が挙げられる。配達料金は、配達料金を計算するための情報(例えば、荷物の大きさや重量、積込エリア、配達エリア等)が取得され、計算されることによって取得されてもよいし、計算後の配達料金が取得される構成であってもよい。
【0086】
費用取得部は、現在地点と積込地点と配達地点とに基づいて、運転者等の利用者が配達車両によって配達候補の荷物を配達地点に配達する場合に必要な費用を取得することができればよい。すなわち、費用取得部は、配達車両を現在地点から積込地点に移動させ、荷物を積み込み、配達車両を積込地点から配達地点に移動させ、荷物を配達する際に必要な費用を取得することができればよい。費用には、配達車両を移動させるための走行費用が含まれるが、むろん、他の費用が含まれてもよい。他の費用としては、配達するために宿泊が必要になる場合における宿泊費や、食費、駐車料金、配達車両のメンテナンス費用、消耗品費用等であってもよい。さらに、費用として計上すべき額は種々の規則で決められてよく、例えば、配達地点から拠点(配達車両を駐車させる駐車場等)に戻るまでの経路を含めて費用が算出されてもよい。さらに、渋滞や天候に応じて費用が変化してもよい。
【0087】
案内制御部は、配達候補の荷物とともに、費用と配達料金との関係を示す情報を案内部に案内させることができればよい。すなわち、案内制御部は、配達候補の荷物を配達する際の利益を把握できるように案内を行うことができればよい。このため、利益(配達料金-費用)が案内されてもよいし、配達料金と費用とが併記されることによって利益を把握可能な案内が行われてもよい。後者としては、例えば、配達料金を示す棒グラフと費用を示す棒グラフが並べられる表示や、重ねられる表示等が挙げられる。むろん、グラフは棒グラフに限定されないし、他の態様、例えば、数値による表記であってもよい。
【0088】
さらに、本発明のように、配達候補の荷物の費用と配達料金との関係を示す情報を案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0089】
10…配達候補提案システム、20…制御部、21…配達候補提案プログラム、21a…現在地点取得部、21b…配達情報取得部、21c…費用取得部、21d…案内制御部、30…記録媒体、30a…費用情報、30b…地図情報、40…通信部、100…荷主端末、101…通信部、102…ユーザI/F部、200…運転者端末、201…通信部、202…ユーザI/F部、300…マッチングサーバ、301…通信部、302…制御部、303…記録媒体、303a…配達情報、303b…検索条件情報、312…マッチングプログラム、320…制御部
図1
図2
図3
図4