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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B27C 5/10 20060101AFI20230808BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B27C5/10
B25F5/00 H
B25F5/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574557
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048842
(87)【国際公開番号】W WO2021153134
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2020014326
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020164779
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】長田 淑晃
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 健
(72)【発明者】
【氏名】小泉 綾香
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526539(JP,A)
【文献】特開2019-193971(JP,A)
【文献】米国特許第6443675(US,B1)
【文献】特開2006-326933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27C 5/10
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に構成されたロータと、前記ロータの径方向外側に配置されたステータと、を含んで構成されたモータと、
前記回転軸に設けられ、前記ロータ及び前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に配置されたファンと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記回転軸の軸方向一端部に取付けられた先端工具と、
発光された光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する光源を含んで構成された照明部と、
前記ファンの径方向外側に設けられ、前記ファンによって生成された空気流を整流する保持部材であって、前記ロータ及び前記ステータと前記ファンとの間に配置された基部と、前記基部から前記回転軸の軸方向一方側へ延出して前記照明部を保持する延出部と、を有する保持部材と、
を備えた作業機。
【請求項2】
回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に構成されたロータと、前記ロータの径方向外側に配置されたステータと、を含んで構成されたモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記回転軸に設けられ、前記ロータ及び前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に配置されたファンと、
前記回転軸の軸方向一端部に取付けられた先端工具と、
発光された光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する光源を含んで構成された照明部と、
前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に設けられ、前記照明部を保持すると共に、前記ステータにおける前記回転軸の軸方向一方側への移動を規制する保持部材と、
を備えた作業機。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記モータを収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに対して前記回転軸の軸方向一方側に設けられた第2ハウジングと、
を含んで構成されており、
前記保持部材が、前記回転軸の軸方向において、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとによって挟持されている請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記第2ハウジングには、前記保持部材と係合された係合部が形成されており、
前記回転軸の周方向における前記保持部材の回転が前記係合部によって規制されている請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
記照明部が、前記延出部の先端部に保持されている請求項1に記載の作業機。
【請求項6】
記照明部が、前記延出部の基端部に保持され、
前記延出部が前記光源によって発光された光を透過して、当該光が前記延出部の先端部から前記先端工具の周囲へ向けて照射される請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
前記基部には、前記回転軸の軸方向他方側へ開放された溝部が形成されており、
前記照明部と接続された配線が、前記溝部内に配策されている請求項5又は請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記保持部材には、一対の前記照明部が保持されており、
一対の前記照明部を接続する配線が前記溝部内に配策されている請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記ハウジングに対して前記回転軸の軸方向他方側には、分割ハウジングが設けられており、前記分割ハウジングが、前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に分割可能に構成されている請求項1~請求項8の何れか1項に記載の作業機。
【請求項10】
前記分割ハウジングには、前記照明部の点灯及び消灯を制御する制御部が設けられている請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記分割ハウジングには、前記照明部に電力を供給する電池が着脱可能に設けられている請求項9又は請求項10に記載の作業機。
【請求項12】
回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に構成されたロータと、前記ロータの径方向外側に配置されたステータと、を含んで構成されたモータと、
前記回転軸に設けられ、前記ロータ及び前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に配置されたファンと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記回転軸の軸方向一端部に取付けられた先端工具と、
発光された光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する光源を含んで構成された照明部と、
前記照明部を保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
前記ロータ及び前記ステータと前記ファンとの間に配置された基部と、
前記基部から前記回転軸の軸方向一方側へ延出され、前記照明部を保持すると共に、前記光源によって発光された光を透過し且つ先端部から当該光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する延出部と、
を含んで構成されており、
前記延出部の先端部が、前記ファンよりも前記回転軸の軸方向一方側に配置されている作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、モータの駆動によって先端工具が回転することで、被切削材に対して切削作業を施すルータ(作業機)が開示されている。具体的には、作業者が、ルータのハンドルを把持して、ルータを下側へ押下げることで、先端工具が被切削材に当接して、被切削材に対して切削作業が施される。また、ルータでは、切削加工時における作業性を向上するために、先端工具の周囲を照明する照明部を設けたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-326933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載のルータに、照明部を搭載する場合には、照明部を保持するための部材等を別途設ける必要がある。このため、部品点数の増加等を招く可能性がある。したがって、ルータに照明部を搭載する場合には、部品点数の増加を抑制しつつ、先端工具の周囲を照明できる構造にすることが望ましい。また、照明部を搭載する場合には、組み立て性の悪化を抑制することが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、部品点数の増加を抑制しつつ、先端工具の周囲を照明することができる作業機を提供することを目的とする。また、別の目的として、組み立て性の悪化を抑制しながら先端工具の周囲を照明することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に構成されたロータと、前記ロータの径方向外側に配置されたステータと、を含んで構成されたモータと、前記回転軸に設けられ、前記ロータ及び前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に配置されたファンと、前記モータを収容するハウジングと、前記回転軸の軸方向一端部に取付けられた先端工具と、発光された光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する光源を含んで構成された照明部と、前記ファンの径方向外側に設けられ、前記ファンによって生成された空気流を整流する保持部材であって、前記ロータ及び前記ステータと前記ファンとの間に配置された基部と、前記基部から前記回転軸の軸方向一方側へ延出して前記照明部を保持する延出部と、を有する保持部材と、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に構成されたロータと、前記ロータの径方向外側に配置されたステータと、を含んで構成されたモータと、前記モータを収容するハウジングと、前記回転軸に設けられ、前記ロータ及び前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に配置されたファンと、前記回転軸の軸方向一端部に取付けられた先端工具と、発光された光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する光源を含んで構成された照明部と、前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に設けられ、前記照明部を保持すると共に、前記ステータにおける前記回転軸の軸方向一方側への移動を規制する保持部材と、を備えた作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記モータを収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングに対して前記回転軸の軸方向一方側に設けられた第2ハウジングと、を含んで構成されており、前記保持部材が、前記回転軸の軸方向において、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとによって挟持されている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2ハウジングには、前記保持部材と係合された係合部が形成されており、前記回転軸の周方向における前記保持部材の回転が前記係合部によって規制されている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記照明部が、前記延出部の先端部に保持されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記照明部が、前記延出部の基端部に保持され、前記延出部が前記光源によって発光された光を透過して、当該光が前記延出部の先端部から前記先端工具の周囲へ向けて照射される作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記基部には、前記回転軸の軸方向他方側へ開放された溝部が形成されており、前記照明部と接続された配線が、前記溝部内に配策されている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記保持部材には、一対の前記照明部が保持されており、一対の前記照明部を接続する配線が前記溝部内に配策されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングに対して前記回転軸の軸方向他方側には、分割ハウジングが設けられており、前記分割ハウジングが、前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に分割可能に構成されている作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記分割ハウジングには、前記照明部の点灯及び消灯を制御する制御部が設けられている作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記分割ハウジングには、前記照明部に電力を供給する電池が着脱可能に設けられている作業機である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に構成されたロータと、前記ロータの径方向外側に配置されたステータと、を含んで構成されたモータと、前記回転軸に設けられ、前記ロータ及び前記ステータに対して前記回転軸の軸方向一方側に配置されたファンと、前記モータを収容するハウジングと、前記回転軸の軸方向一端部に取付けられた先端工具と、発光された光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する光源を含んで構成された照明部と、前記照明部を保持する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記ロータ及び前記ステータと前記ファンとの間に配置された基部と、前記基部から前記回転軸の軸方向一方側へ延出され、前記照明部を保持すると共に、前記光源によって発光された光を透過し且つ先端部から当該光を前記先端工具の周囲へ向けて照射する延出部と、を含んで構成されており、前記延出部の先端部が、前記ファンよりも前記回転軸の軸方向一方側に配置されている作業機である。
【発明の効果】
【0018】
上記構成の作業機によれば、部品点数の増加を抑制しつつ、先端工具の周囲を照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係るルータを示す前側から見た正面図である。
図2図1に示されるルータを右側から見た側面図である。
図3図1に示されるルータのルータ本体を分解した右斜め前方から見た分解斜視図である。
図4図1に示されるルータをルータ本体の下側から見た断面図(図1の4-4線断面図)である。
図5図4に示されるルータ本体の内部を示す前側から見た断面図(図4の5-5線断面図)である。
図6図4に示されるルータ本体の内部を照明孔の位置において示す前側から見た断面図(図4の6-6線断面図)である。
図7図5に示されるモータのモータ収容部への収容状態を、モータの下端部の位置で示す上側から見た平断面図(図5の7-7線断面図)である。
図8図5に示される保持リングのエンドブラケットへの収容状態を、保持リングの上端部の位置で示す上側から見た平断面図(図5の8-8線断面図)である。
図9】(A)は、図3に示される保持リングを拡大して示す斜視図であり、(B)は、(A)の保持リングを前側から見た正面図である。
図10図8に示される保持リングに照明部が保持された状態を拡大して示す上側から見た平面図である。
図11】(A)は、図10に示される保持リングのリングベースを補強リブの位置で示す断面図(図10の11A-11A線断面図)であり、(B)は、図10に示される保持リングを保持柱の周辺にて示す断面図(図10の11B-11B線断面図)である。(C)は、(B)に示される保持柱の上下方向中間部を示す上側から見た断面図(図11(B)の11C-11C線断面図)であり、(D)は、(B)に示される保持柱の下端部を示す上側から見た断面図(図11(B)の11D-11D線断面図)である。
図12】(A)は、図6に示されるファンを遠心ファンにした場合の保持リングの変形例を示す前側から見た断面図であり、(B)は、(A)のファン及び保持リングを示す右斜め前方から見た断面図である。
図13図11(B)に示される照明部の上下位置を変更した場合の保持リングの変形例を示す図11(B)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る「作業機」としてのルータ10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれルータ10の上側、前側、及び右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ルータ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0021】
ルータ10は、被切削材の上側に載置されて、当該被切削材に切削加工を施す工具として構成されている。図1及び図2に示されるように、ルータ10は、ベース20と、ルータ本体30と、一対の照明部70L,70R(図8参照)と、「分割ハウジング」としてのバッテリーホルダ80と、「電池」としてのバッテリー85と、制御部90(図5参照)と、を含んで構成されている。以下、ルータ10の各構成について説明する。
【0022】
(ベース20について) 図1図3に示されるように、ベース20は、ルータ10の下端部を構成すると共に、上下方向を板厚方向とした略円板状に形成されている。ベース20の略中央部には、挿通部20Aが上下方向に貫通形成されている。
【0023】
ベース20の左右方向両端部には、一対のコラム21が設けられており、コラム21は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。コラム21の下端部は、ベース20に固定されており、コラム21が、ベース20から上側へ延出している。
【0024】
ベース20には、左側のコラム21の後側において、上下方向に延在されたボルト22が設けられている。ボルト22の下端部は、ベース20に固定されており、ボルト22が、ベース20から上側へ延出している。また、ボルト22の上端部には、ナット23(図3参照)が螺合されている。
【0025】
(ルータ本体30について) 図1図8に示されるように、ルータ本体30は、ルータ本体30の外郭を構成するハウジング31と、ハウジング31の内部に収容されたモータ40及び「保持部材」としての保持リング60と、ハウジング31に取付けられた左右一対のハンドル50と、を含んで構成されている。また、ハウジング31は、ハウジング31の下部を構成する「第2ハウジング」としてのエンドブラケット32と、ハウジング31の上部を構成する「第1ハウジング」としてのモータハウジング33と、を含んで構成されている。以下、ルータ本体30の各構成について説明する。
【0026】
<エンドブラケット32について> エンドブラケット32は、金属材によって構成されている。エンドブラケット32は、上側へ開放され且つ左右方向を長手方向とする略直方体箱状に形成されている。エンドブラケット32は一体構造とされており、分割することはできない。エンドブラケット32の左右方向両端側部分には、一対の連結筒部32Aが形成されている。連結筒部32Aは、上下方向を軸方向とした略円筒状に形成されると共に、エンドブラケット32の底壁から上側及び下側へ突出している。そして、前述したコラム21が、連結筒部32Aの内部に上下方向に相対移動可能に挿入されている。
【0027】
エンドブラケット32の左右方向中央部には、一対の連結筒部32Aの間において、後述するファン47を収容するためのファン収容部32Bが形成されている。ファン収容部32Bは、略円筒状に形成されて、エンドブラケット32の底壁から上側へ突出している。また、エンドブラケット32には、ファン収容部32Bの径方向内側において、略円筒状の支持筒部32Cが形成されている。支持筒部32Cは、ファン収容部32Bと同軸上に配置されており、支持筒部32Cの内部が、上下方向に貫通している。支持筒部32Cには、下側へ開放された複数の逃げ溝32D(図5参照)が形成されており、逃げ溝32Dは、支持筒部32Cの周方向に沿って並んで配置されている。さらに、支持筒部32Cの径方向内側には、後述するモータ40の回転軸41を支持するための軸受34が設けられている。
【0028】
また、エンドブラケット32の底壁には、ファン収容部32Bと支持筒部32Cとの間において、複数の排気孔32E(図4参照)が形成されている。複数の排気孔32Eは、ファン収容部32Bに周方向に沿って並んで配置されている。さらに、エンドブラケット32の底壁には、ファン収容部32Bの径方向外側において、円形状の左右一対の「係合部」としての照明孔32F(図4参照)が上下方向に貫通形成されている。一方の照明孔32Fは、支持筒部32Cの軸線ALに対して右斜め後方に配置されており、他方の照明孔32Fは、支持筒部32Cの軸線ALに対して左斜め後方に配置されている。
【0029】
また、エンドブラケット32の左右方向両端部には、後述するハンドル50を固定するためのハンドル固定部32Gが形成されている。ハンドル固定部32Gは、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、エンドブラケット32から左右方向外側へ突出している。右側のハンドル固定部32Gの外周部には、切欠部32H(図4の断面AA参照)が形成されており、切欠部32Hは、右側から見て、後側及び上側へ開放されている。
【0030】
また、エンドブラケット32の左端部の外周部には、後側へ突出したストッパ部32J(図4参照)が形成されている。ストッパ部32Jは、上下方向と軸方向とする略筒状に形成されており、前述したボルト22が、ストッパ部32Jの内部を挿通している。そして、ボルト22の上端部に設けられたナット23にストッパ部32Jが下側から当接している。これにより、図1及び図2に示される位置において、エンドブラケット32(ルータ本体30)の上側への移動が規制されている(以下、このルータ本体30の位置を「初期位置」という)。
【0031】
<モータハウジング33について> モータハウジング33は、樹脂材によって構成されると共に、エンドブラケット32の上側に隣接して配置されている。モータハウジング33は、下側へ開放された略矩形箱状(筒状)に形成されている。モータハウジング33は一体的に形成されており、例えば前後方向や左右方向に分割することはできない。また、モータハウジング33の開口部は、エンドブラケット32の開口部に対応する形状に形成されている。そして、モータハウジング33が、エンドブラケット32の開口部を閉塞するように、エンドブラケット32に締結固定されている。
【0032】
図5に示されるように、モータハウジング33の内部には、前述したコラム21に対応する位置において、左右一対の連結軸35が設けられている。連結軸35は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成され、モータハウジング33の頂壁から下側へ延出されると共に、コラム21内に上下方向に相対移動可能に挿入されている。また、連結軸35には、圧縮コイルスプリングとして構成された付勢バネ36が外挿されている。付勢バネ36の上端部は、モータハウジング33の頂壁に係止され、付勢バネ36の下端部は、コラム21の上端部に係止されており、付勢バネ36によって、モータハウジング33(すなわち、ルータ本体30)が上側へ付勢されている。これにより、ルータ本体30が、初期位置に保持されている。そして、付勢バネ36の付勢力に抗してルータ本体30を下側へ押下げることで、ルータ本体30がベース20に対して下側へ相対移動する構成になっている。
【0033】
図3図5、及び図7に示されるように、モータハウジング33の左右方向中央部には、後述するモータ40を収容するためのモータ収容部33Aが形成されている。モータ収容部33Aは、下側へ開放された略有底円筒状に形成されると共に、エンドブラケット32のファン収容部32B及び支持筒部32Cと同軸上に配置されている。モータ収容部33Aの側壁には、上下方向に延在された4箇所のガイドリブ33Bが形成されている。ガイドリブ33Bは、モータ収容部33Aの側壁から径方向内側及び外側にそれぞれ突出しており、ガイドリブ33Bの下端部が、モータ収容部33Aの側壁よりも下側へ突出している。また、1箇所のガイドリブ33Bが、モータ収容部33Aの軸線ALに対して、左斜め後方に配置されており、4箇所のガイドリブ33Bは、モータ収容部33Aの周方向に90度毎に配置されている。
【0034】
モータ収容部33Aの内周面の右端部には、上下方向に延在された前後一対の右側回転規制リブ33C(図7参照)が形成されており、一対の右側回転規制リブ33Cは、前後方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、モータ収容部33Aの内周面の左端部には、上下方向に延在された一対の左側回転規制リブ33D(図7参照)が形成されている。さらに、モータ収容部33Aの内周面には、左右一対の軸方向規制リブ33E(図5参照)が形成されている。軸方向規制リブ33Eは、モータ収容部33Aの頂壁からモータ収容部33Aの上下方向中間部まで延出されている。そして、右側の軸方向規制リブ33Eが、一対の右側回転規制リブ33Cの間に配置され、一対の右側回転規制リブ33Cに接続されている。また、左側の軸方向規制リブ33Eが、左側回転規制リブ33Dの前側に配置されて、左側回転規制リブ33Dに接続されている。
【0035】
図3に示されるように、モータ収容部33Aの頂壁には、4箇所の連通孔33Fが貫通形成されている。連通孔33Fは、平面視で略扇形状に形成されて、モータ収容部33Aの周方向に90度毎に配置されている。さらに、モータハウジング33の下端部における右端部には、下側へ開放された連通溝33Gが形成されており、連通溝33Gによってモータハウジング33の内部と外部とが連通されている。
【0036】
<モータ40について> 図3図5、及び図7に示されるように、モータ40は、モータハウジング33のモータ収容部33A内に収容されている。モータ40は、上下方向を軸方向とする回転軸41と、回転軸41に固定された略円筒状のロータ42と、ロータ42の径方向外側に配置された略円筒状のステータ43と、を含んで構成されている。
【0037】
回転軸41は、モータ収容部33Aと同軸上に配置されており、回転軸41の下端部(軸方向一方側の端部)が、モータハウジング33から下側へ突出して、エンドブラケット32の支持筒部32C内を挿通している。すなわち、回転軸41の軸線が、軸線ALと一致している。そして、回転軸41の下端部が、エンドブラケット32の軸受34に回転可能に支持されており、回転軸41の上端部が、モータハウジング33に固定された軸受37に回転可能に支持されている。軸受34と軸受37とは、分割不能に構成されることで高い剛性を有するエンドブラケット32とモータハウジング33のそれぞれに保持されているため、回転軸41を精度よく支持することができる。また、回転軸41の下端部には、コレクトチャック45を介して先端工具46が取付けられている。これにより、ルータ本体30を初期位置から下側へ押下げることで、先端工具46が、ベース20の挿通部20A内を挿通するように構成されている。
【0038】
ステータ43は、ステータホルダ44を有しており、ステータホルダ44は略円筒状に形成されている。ステータホルダ44には、図示しないステータコイル(図示省略)が巻き回されており、ステータコイルは、モータ40の上端部に設けられたモータ基板40Aに接続されている。ステータホルダ44の外周部には、左右一対の位置決めリブ44Aが形成されており、位置決めリブ44Aは、上下方向に延在されている。
【0039】
そして、モータ40のモータ収容部33A内への収容状態では、モータハウジング33のガイドリブ33Bが、ステータホルダ44の径方向外側に隣接して配置されている(図7参照)。これにより、ステータホルダ44(ステータ43)が、回転軸41と同軸上に配置されている。また、右側の位置決めリブ44Aが、モータハウジング33における一対の右側回転規制リブ33Cの間に挿入され、左側の位置決めリブ44Aが、モータハウジング33の左側回転規制リブ33Dの前側に隣接して配置されている(図7参照)。これにより、右側回転規制リブ33C及び左側回転規制リブ33Dと、位置決めリブ44Aと、によって、ステータ43のモータハウジング33に対する相対回転が規制されている。また、位置決めリブ44Aは、モータハウジング33の軸方向規制リブ33Eの下側に隣接して配置されると共に、後述する保持リング60の上側に隣接して配置されている(図5参照)。これにより、軸方向規制リブ33E及び保持リング60によって、ステータ43の上下方向の移動が規制されている。
【0040】
図3図5図6、及び図8に示されるように、回転軸41の下端部には、ロータ42及びステータ43の下側において、ファン47が一体回転可能に設けられている。具体的には、ファン47は、エンドブラケット32の支持筒部32Cの上側で且つファン収容部32Bの上部の径方向内側に配置されている。また、ファン47の上部は、ファン収容部32Bから上側へ突出している。ファン47は、複数の羽根47Aを有している。羽根47Aは、回転軸41の径方向に延在されと共に、ファン47の回転方向に並んで配置されている。また、本実施の形態では、ファン47が、所謂軸流ファンとして構成されており、ファン47が回転すると、後述する吸気孔80Bから流入した空気(冷却風)が制御部90を冷却したのち、モータハウジング33の上側開口からモータハウジング33の内部に流れこんでモータ40を冷却し、ファン47の下側へ整流されて、排気孔32Eから下側へ流出される構成になっている。
【0041】
<ハンドル50について> 図1図2、及び図5に示されるように、ハンドル50は、正面視で、90度回転させた中空の略T字形状に形成されている。具体的には、ハンドル50は、左右方向を軸方向とする略円筒状の取付部50Aと、取付部50Aの左右方向外側端部から上下方向に延出された把持部50Bと、を含んで構成されている。また、ハンドル50は、把持部50Bの部分において左右方向に2分割されて、2つの部材で構成されている。具体的には、ハンドル50は、ハンドル50の左右方向内側部分を構成するハンドル本体51と、ハンドル50の左右方向外側部分を構成するハンドルカバー52と、を含んで構成されている。そして、エンドブラケット32のハンドル固定部32Gが取付部50Aの内部に内挿されて、ハンドル本体51が、エンドブラケット32に締結固定されている。さらに、ハンドル本体51のエンドブラケット32への固定後に、ハンドルカバー52がネジによってハンドル本体51に締結固定されている。
【0042】
右側のハンドル50には、上部において、スイッチボタン53が押圧操作可能に設けられており、後部において、トリガ54が引き操作可能に設けられている。さらに、右側のハンドル50の内部には、スイッチボタン53及びトリガ54の操作によって作動するスイッチ回路部55が設けられており、スイッチ回路部55は、ハンドル本体51に固定されている。スイッチ回路部55は、スイッチボタン53及びトリガ54によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部90に電気的に接続されており、スイッチボタン53及びトリガ54の操作状態に応じた出力信号を、後述する制御部90に出力する構成になっている。
【0043】
<保持リング60について> 図5図6、及び図8図11に示されるように、保持リング60は、透光性を有する透明の樹脂材によって構成されている。保持リング60は、「基部」としてのリングベース61を有している。リングベース61は、全体として、上下方向を軸方向とした略リング状(略円筒状)に形成されると共に、その周方向から見た断面視で、上側へ開放された略U字形状に形成されている。具体的には、リングベース61は、上下方向を軸方向とする略円筒状の内筒61Aと、内筒61Aの径方向外側に配置された円筒状の外筒61Bと、内筒61Aの下端部及び外筒61Bの下端部を接続する底部61Cと、を含んで構成されている。これにより、リングベース61の内部には、上側へ開放された「溝部」としてのガイド溝62が形成されている。
【0044】
そして、リングベース61が、エンドブラケット32の内部において、ファン47の径方向外側に配置されている。具体的には、リングベース61の底部61Cが、エンドブラケット32のファン収容部32Bの上側に隣接して配置されており、リングベース61の外筒61Bが、モータハウジング33における下端部の一部の下側に隣接して配置されている。これにより、リングベース61が、エンドブラケット32及びモータハウジング33によって上下方向に挟み込まれて、両者に固定されている。また、リングベース61の固定状態では、ファン47の羽根47Aの上部が、リングベース61の内筒61Aの下部の径方向内側に配置されている。これにより、モータハウジング33内の空気が、保持リング60の内筒61Aによってガイドされて、ファン47(羽根47A)側へ流れるようになっている。
【0045】
内筒61Aの上端面には、上側へ突出した左右一対の規制部63が形成されている。規制部63は、ステータ43の位置決めリブ44Aに対応する位置に配置されており、位置決めリブ44Aの下端が、規制部63の上端に当接している(図5参照)。これにより、ステータ43の下側への移動を保持リング60によって規制している。
【0046】
また、内筒61Aの上端部には、4箇所のガイド凹部64が形成されている。ガイド凹部64は、上側へ開放された凹状に形成されると共に、モータハウジング33のガイドリブ33Bに対応する位置に配置されている。そして、ガイドリブ33Bの下端部が、ガイド凹部64内に挿入されている(図5図6、及び図8参照)。これにより、モータハウジング33をエンドブラケット32に取付けるときに、保持リング60によってモータハウジング33をガイドするように構成されている。また、ガイドリブ33Bのガイド凹部64への挿入状態では、ガイドリブ33Bの下端部が、保持リング60のガイド溝62の上部内において、リングベース61の径方向に延在される構成になっている(図8参照)。
【0047】
また、保持リング60は、後述する照明部70L,70Rを保持するための、左右一対の「延出部」としての保持柱65を有している。保持柱65は、上下方向に延在された略矩形柱状に形成されている。また、保持柱65は、前述したエンドブラケット32の照明孔32Fに対応する位置に配置されると共に(図8参照)、リングベース61の径方向外側に隣接して配置されている。具体的には、一方の保持柱65が、平面視で、回転軸41の軸線ALに対して、右斜め後方に配置され、他方の保持柱65が、平面視で、回転軸41の軸線ALに対して左斜め後方に配置されている。そして、保持柱65の上端部が、リングベース61の外筒61Bの下端部に接続されて、保持柱65が、リングベース61に一体に形成されている。すなわち、保持柱65が、リングベース61から下側へ延出されている。具体的には、保持柱65の下端部が、ファン47よりも下側に配置されている。つまり、保持柱65が、ファン47の径方向外側において上下方向に延在されている。
【0048】
保持柱65は、平面視で略45度に傾いており、保持柱65の後面65Aが、平面視で右側へ向かうに従い後側へ傾斜している。保持柱65の後面65Aの下端部(詳しくは、ファン47よりも下側の部位)には、後述する照明部70L,70Rを収容するための照明収容部66(図11(B)及び(D)参照)が形成されており、照明収容部66は、後側(詳しくは、後面65Aに対して直交する方向)へ開放された凹状に形成されている。また、保持柱65の後面65Aには、後側へ開放された一対の配線溝67(図11(B)及び(C)参照)が形成されている。配線溝67は、上下方向に延在されると共に、保持柱65の幅方向に並んで配置されている。配線溝67の上端は、上側へ開放されており、配線溝67の下端部は、照明収容部66と連通している。
【0049】
保持柱65の下端部には、レンズ部65B(広義には、「被係合部」として把握される要素である)が形成されている。レンズ部65Bは、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、保持柱65から下側へ突出している。そして、レンズ部65Bが、エンドブラケット32の照明孔32F内に嵌入されている。これにより、レンズ部65Bと照明孔32Fとが軸線AL回りに係合して、エンドブラケット32に対する保持リング60の位置が決まる構成になっている。具体的には、リングベース61が、回転軸41と同軸上に配置されている。
【0050】
リングベース61の外筒61Bには、左右一対の保持柱65に対応する位置において、一対の配線スリット68L,68Rが形成されている。一対の配線スリット68L,68Rは、外筒61Bの径方向に貫通形成されると共に、上側へ開放されている。これにより、リングベース61の内部と外部とが、配線スリット68L,68Rによって連通されている。
【0051】
また、リングベース61のガイド溝62の内部には、4箇所の補強リブ69が形成されている。補強リブ69は、リングベース61の周方向を板厚方向とした板状に形成されると共に、内筒61A、底部61C、及び外筒61Bに接続されている。1箇所の補強リブ69は、リングベース61の後端部に配置されており、4箇所の補強リブ69が、リングベース61の周方向に90度毎に配置されている。補強リブ69には、配線スリット69Aが形成されている。配線スリット69Aは、補強リブ69の板厚方向に貫通形成されると共に、上側に開放されている。
【0052】
(照明部70L,70Rについて) 図8図10、及び図11に示されるように、照明部70L,70Rは、照明基板71と、「光源」としてのLED72と、をそれぞれ有している。
【0053】
照明基板71は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成され、保持リング60の照明収容部66内に収容されている。LED72は、照明基板71の下面に実装されて、照明基板71と共に照明収容部66内に収容されている。これにより、LED72(照明部70L,70R)がファン47よりも下側に配置されている。そして、LED72は、発光された光を下側へ照射するように構成されている。具体的には、LED72によって発光された光が、保持リング60のレンズ部65Bを透過して、エンドブラケット32の照明孔32Fからエンドブラケット32の下側を照射する構成になっている。これにより、当該光によって先端工具46の周囲を照明する構成になっている。より詳しくは、LED72によって発光された光が、先端工具46の後側で且つ左右方向外側において、先端工具46の周囲を照明するように構成されている。
【0054】
また、左側の照明部70Lでは、2本の「配線」としてのリード線73が照明基板71から延出されており、リード線73は、保持リング60における左側の保持柱65の配線溝67内に配策されている。さらに、リード線73は、保持リング60における左側の配線スリット68Lからリングベース61のガイド溝62内に挿入され、ガイド溝62の後部内に配策されると共に、右側の配線スリット68Rからガイド溝62の外部へ延出されている。具体的には、リード線73が、後側の補強リブ69の配線スリット69A内を挿通して、右側の配線スリット68Rからガイド溝62の外側へ延出されている。また、リード線73のガイド溝62内への配策状態では、モータハウジング33のガイドリブ33Bの下端部がリード線73の上側に配置されて、リード線73の上側への移動をガイドリブ33Bによって制限する構成になっている(図8参照)。
【0055】
そして、2本のリード線73の一方が、右側の保持柱65の一方の配線溝67内に配策されて、右側の照明部70Rの照明基板71に接続されている。さらに、右側の照明部70Rの照明基板71から「配線」としてのリード線74が延出されており、リード線74は、右側の保持柱65における他方の配線溝67内に配策されている。
【0056】
そして、リード線73の他方と、リード線74とが、右側のハンドル50における取付部50A内を挿通してスイッチ回路部55に接続されている。具体的には、リード線73及びリード線74が、モータハウジング33の連通溝33G内及びエンドブラケット32におけるハンドル固定部32Gの切欠部32H内を挿通してスイッチ回路部55に接続されている。
【0057】
(バッテリーホルダ80について) 図1図3に示されるように、バッテリーホルダ80は、モータハウジング33の上側に設けられると共に、下側へ開放された略箱形状に形成されている。バッテリーホルダ80は、前後方向に2分割されている。すなわち、バッテリーホルダ80は、バッテリーホルダ80の前部を構成する前側ホルダ81と、後側ホルダ82と、を含んで構成されており、前側ホルダ81及び後側ホルダ82が、モータハウジング33に締結固定されている。
【0058】
バッテリーホルダ80には、後述するバッテリー85を取付けるためのバッテリー取付部80Aが形成されており、バッテリー取付部80Aは、上側及び左側へ開放された凹状に形成されている。また、バッテリーホルダ80の上下方向中央付近には、ファン47の回転によって生じる空気流の入り口として機能する吸気孔80Bが形成されている。詳細には、前側ホルダ81の前側側壁と後側ホルダ82の後側側壁とには、吸気孔80Bが形成されている。また、バッテリーホルダ80には、コネクタ83(図3参照)が設けられており、コネクタ83の上部が、後述するバッテリー85と接続可能に、バッテリー取付部80Aの内部において露出されている。
【0059】
(バッテリー85について) バッテリー85は、略直方体に形成されている。そして、バッテリー85が、バッテリーホルダ80のバッテリー取付部80Aに、左側から装着されている。バッテリー85は、図示しないコネクタを有しており、バッテリー85のバッテリー取付部80Aへの装着状態では、当該コネクタがコネクタ83に接続されて、後述する制御部90へ電力が供給される構成になっている。また、バッテリー85は、一対のロック部材86を有しており、ロック部材86は、バッテリー85の前後の側部に設けられている。そして、バッテリー85のバッテリー取付部80Aへの装着状態では、ロック部材86がバッテリーホルダ80に係合して、バッテリー85の装着状態が維持される構成になっている。
【0060】
(制御部90について) 図3に示されるように、制御部90は、バッテリーホルダ80の内部に収容されて、バッテリーホルダ80に固定されている。制御部90は、図示しない制御基板を有しており、制御基板には、前述したモータ40及びコネクタ83が電気的に接続されている。具体的には、モータ基板40Aから延出したリード線(図示省略)が、モータハウジング33の連通孔33F内を挿通して制御基板に接続されている。また、制御基板から延出されたリード線(図示省略)が、スイッチ回路部55に接続されて、制御部90とスイッチ回路部55とが電気的に接続されている。具体的には、当該リード線が、モータ収容部33Aの径方向外側においてモータハウジング33内に配策され、モータハウジング33の連通溝33G内及びエンドブラケット32におけるハンドル固定部32Gの切欠部32H内を挿通して、スイッチ回路部55に接続されている。これにより、制御部90と照明部70L,70Rとが電気的に接続されている。そして、スイッチボタン53のオンオフ操作に応じて、制御部90が、LED72を点灯又は消灯させるように構成されている。さらに、スイッチボタン53のオン状態において、トリガ54が操作されることで、制御部90が、モータ40に対する作動を制御する構成になっている。
【0061】
(作用効果) 次に、本実施の形態のルータ10の作用効果について説明する。
【0062】
上記のように構成されたルータ10は、LED72を有する照明部70L,70Rを備えている。照明部70L,70Rは、保持リング60の照明収容部66に収容され、保持リング60に保持されている。そして、作業者がハンドル50の把持部50Bを把持して、スイッチボタン53をオン操作することで、制御部90によってバッテリー85の電力がLED72に供給されて、LED72が発光する。LED72によって発光された光は、保持リング60のレンズ部65Bを透過し、エンドブラケット32の照明孔32Fから下側へ照射して、先端工具46の周囲を照らす。具体的には、先端工具46の左右方向外側で且つ後側の部分が照明される。
【0063】
そして、この状態で作業者がトリガ54を引き操作すると、制御部90の制御によってモータ40の回転軸41が先端工具46と共に回転する。さらに、この状態で、作業者がハンドル50を下側へ押込むことで、ルータ本体30がベース20に対して下側へ相対移動する。これにより、先端工具46が被切削材に当接して被切削材に対して切削加工が施される。また、作業者は、ルータ10を後側へ移動させながら、被切削材に対して切削加工を施す。これにより、先端工具46に対して、ルータ10の移動方向側の部分が、LED72によって照明される。その結果、切削加工中における、先端工具46の周辺の視認性を向上することができる。したがって、作業者に対する作業性を向上することができる。
【0064】
ここで、照明部70L,70Rを保持する保持リング60が、モータ40のステータ43の下側に設けられている。そして、保持リング60の規制部63が、ステータ43の位置決めリブ44Aの下側に隣接して配置されて、ステータ43の下側への移動を規制している。すなわち、保持リング60が、照明部70L,70Rを保持する機能と、ステータ43の下側への移動を規制する機能と、の2つの機能を有している。換言すると、ステータ43の下側への移動を規制する保持リング60を活用して、照明部70L,70Rを保持することができる。したがって、照明部70L,70Rを保持する部材と、ステータ43の下側への移動を規制する部材とを共通部材にして、照明部70L,70Rをルータ10に搭載することができる。以上により、部品点数の増加を抑制しつつ、先端工具46の周囲を照明部70L,70Rによって照明することができる。
【0065】
また、ファン47の上部が、保持リング60におけるリングベース61の下部の径方向内側に配置されている。これにより、ファン47の上側の空気を、リングベース61の内筒61Aによってガイドして、ファン47の羽根47A側へ導くことができる。したがって、ステータ43の下側への移動を規制する保持リング60を活用して、モータハウジング33内の空気をファン47へ効率良く導くことができる。
【0066】
また、保持リング60では、リングベース61の底部61Cが、エンドブラケット32のファン収容部32Bの上側に隣接して配置されており、リングベース61の外筒61Bが、モータハウジング33の下端部の一部の下側に隣接して配置されている。これにより、リングベース61が、エンドブラケット32及びモータハウジング33によって上下方向に挟み込まれて、両者に固定されている。このため、固定のための追加部品等が不要となり、エンドブラケット32とモータハウジング33の一体構造を維持しながら簡易な構成で保持リング60をエンドブラケット32及びモータハウジング33に固定することができる。
【0067】
また、保持リング60には、一対のレンズ部65Bが形成されており、一対のレンズ部65Bがエンドブラケット32の照明孔32Fに嵌入されている。これにより、保持リング60とエンドブラケット32とが、回転軸41の軸線AL回りに係合して、エンドブラケット32に対する保持リング60の位置を決定することができる。換言すると、保持リング60における回転軸41の軸線AL回りの回転を規制しつつ、エンドブラケット32に対する保持リング60の位置を決定することができる。これにより、保持リング60をエンドブラケット32に仮固定しつつ、モータハウジング33をエンドブラケット32に組付けて、エンドブラケット32及びモータハウジング33によって保持リング60を固定することができる。したがって、モータハウジング33のエンドブラケット32への組付性を向上することができる。
【0068】
また、保持リング60は、モータ40(ロータ42及びステータ43)とファン47との間に配置されたリングベース61と、リングベース61から下側へ延出された保持柱65と、を含んで構成されている。そして、照明部70L,70Rが、保持柱65の下端部に形成された照明収容部66に収容されている。これにより、リングベース61によってステータ43の下側への移動を規制しつつ、保持柱65によって照明部70L,70RのLED72を先端工具46に接近した位置に保持することができる。したがって、先端工具46の周辺に対する照明部70L,70Rの照明効果を高くすることができる。特に、箱状(筒状)一体構造であるエンドブラケット32の底部分に照明基板71とLED72を配置するのは組み立てに難があるが、下方向に延びる保持柱65を形成し、保持リング60の配置を行うことで2箇所の照明配置を容易に行うことができる。
【0069】
また、照明部70L,70R(照明収容部66)は、ファン47よりも下側に配置されており、保持リング60の保持柱65には、上下方向に延在された配線溝67が形成されている。そして、照明部70L,70Rから延出されたリード線73,74が、配線溝67内に配策されている。すなわち、ファン47の径方向外側において、保持柱65が上下方向に延在されて、リード線73,74が保持柱65に保持されている。これにより、照明部70L,70Rから延出されたリード線73,74がファン47側へ移動することを抑制しつつ、照明部70L,70Rを先端工具46に接近した位置に配置することができる。
【0070】
また、保持リング60のリングベース61は、リング状に形成されており、リングベース61は、周方向の全周に亘って延在されたガイド溝62を有している。そして、照明部70Lから延出されたリード線73が、ガイド溝62内に配策されている。これにより、照明部70Lに電力を供給するためのリード線73がファン47側へ移動することをリングベース61(ガイド溝62)によって抑制しつつ、ファン47の周囲にリード線73を配策することができる。
【0071】
また、保持リング60には、一対の照明部70L,70Rが設けられており、照明部70L,70Rが、ガイド溝62に配策されたリード線73によって接続されている。このため、リード線73がファン47側へ移動することをリングベース61(ガイド溝62)によって抑制しつつ、ファン47の周囲に配置された、一対の照明部70L,70Rをリード線73によって接続することができる。換言すれば、組み立て時や駆動時において、リード線73の位置が所望の位置からずれてしまうことを抑制することができる。
【0072】
また、保持リング60のリングベース61には、ガイド溝62の内部において補強リブ69が形成されており、補強リブ69は、リングベース61の内筒61A,外筒61B、及び底部61Cに接続されている。さらに、補強リブ69には、ガイド溝62の周方向に貫通された配線スリット69Aが形成されており、ガイド溝62に配策されたリード線73が、配線スリット69Aに挿入されている。これにより、補強リブ69によって、リングベース61を補強しつつ、ガイド溝62内のリード線73を保持することができる。
【0073】
また、保持リング60の内筒61Aには、ガイド凹部64が形成されている。そして、モータハウジング33のガイドリブ33Bが、ガイド凹部64に挿入されると共に、リングベース61のガイド溝62の上部に配置されている。このため、モータハウジング33のガイドリブ33Bによって、ガイド溝62内に配置されたリード線73の上側への移動を制限することができる。これにより、モータハウジング33に対するステータ43の位置を決めるためのガイドリブ33Bを活用して、リード線73がガイド溝62の開口部から抜け出ることを抑制できる。したがって、リード線73のガイド溝62内への配策状態を一層良好に維持することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、ファン47が所謂軸流ファンとして構成されているが、ファン47を所謂遠心ファンとして構成してもよい。この場合には、ファン47によって生成された空気流を、保持リング60において整流するように構成してもよい。以下、ファン47を遠心ファンとしたときの構成を、図12(A)及び(B)を用いて説明する。
【0075】
この図に示されるように、ファン47を遠心ファンとして構成した場合には、ファン47の羽根47Aが、保持リング60における内筒61Aの下端部の径方向内側に配置される。また、内筒61Aの下端部には、ガイド傾斜部60Aが形成されており、ガイド傾斜部60Aは、リングベース61の周方向から見た断面視で、リングベース61の径方向外側へ向かうに従い下側へ傾斜している。また、リングベース61の底部61Cには、ガイド傾斜部60Aに対してリングベース61の径方向外側において、ガイド片60Bが形成されており、ガイド片60Bは、底部61Cから下側へ延出された略円筒状に形成されている。
【0076】
そして、ファン47は、遠心ファンとして構成されているため、ファン47によって、ファン47の中央側から径方向外側へ流れる空気流ACが生成される。このとき、保持リング60の上側(空気流ACの下流側)開口がファン47(羽根47A)の外径よりも小さい径で開口しているので、空気を回転軸41側に効率的に集めることができ、中央側から径方向外側へ流れる空気流ACの流れを円滑にガイドすることができる。また、ファン47の径方向外側へ流れる空気流ACは、ガイド傾斜部60Aによって整流されて、空気流ACの向きが下側に変更される。さらに、ガイド傾斜部60Aによって下側へ向かう流れに変更された空気流ACは、ガイド片60Bによってガイドされて、保持リング60から下側へ流れる。そして、保持リング60から下側へ流れた空気流ACが、エンドブラケット32の排気孔32Eから下側へ流出される。以上により、ファン47によって生成された空気流ACを、保持リング60によって整流して、エンドブラケット32の排気孔32Eから流出させることができる。したがって、照明部70L,70Rを保持し且つステータ43の下側への移動を規制する保持リング60を活用して、ファン47により生成された空気流ACを整流することができる。よって、空気流ACを整流する部材を別途設ける必要がなくなるため、部品点数の増加を一層効果的に抑制することができる。
【0077】
また、ファン47を遠心ファンとして構成し、ファン47により生成された空気流ACを保持リング60によって整流する場合には、保持リング60において規制部63を省略して、ステータ43の下側への移動を、他の部材によって規制してもよい。例えば、ステータ43の下側への移動をエンドブラケット32によって規制してもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、保持リング60において、照明収容部66が、保持柱65の下端部に形成されているが、照明収容部66の上下方向の位置は任意に変更可能である。すなわち、照明部70L,70Rの上下方向の位置は任意に変更可能である。
【0079】
例えば、図13に示されるように、照明部70R(照明部70L)を保持柱65の上端部において保持するように構成してもよい。この場合には、照明収容部66を保持柱65の上端部に形成すると共に、上側へ開放された凹状に形成する。また、保持柱65において、配線溝67を省略する。そして、照明部70R(照明部70L)を照明収容部66に上側から収容して、保持柱65によって保持するように構成する。また、この場合には、照明部70R(照明部70L)のLED72によって発光された光(図13の2点鎖線にて示される矢印参照)が、保持柱65における照明収容部66よりも下側部分を透過して、先端工具46の周囲を照射する。すなわち、レンズ部65Bを含む保持柱65が、LED72によって発光された光を下側へ導く導光部として機能して、当該光をファン47の下側へ導くことができる。そして、当該光をエンドブラケット32の照明孔32Fから下側へ照射して、先端工具46の周囲を照明することができる。さらに、この場合には、リード線73,74を、保持柱65の配線溝67に配策する必要がなくなる。したがって、照明部70L,70Rを保持リング60に組付けるときの組付工数を削減することができる。また、リード線73を保持リング60に取り付ける最初の位置(配線スリット68Rの位置)から下方向にかかるリード線73の配線領域を省略可能となるので、この間にかかるリード線73のばたつき、すなわち位置ずれを抑制できるというガイド溝62と同様の効果も得ることができる。
【0080】
また、本実施の形態では、一対の照明部70L,70Rが、保持リング60に保持されているが、保持リング60に保持される照明部材の個数は任意に設定してもよい。すなわち、保持リング60によって保持される照明部材の個数を、1個としても3個以上としてもよい。また、本願発明を実施する形態としてルータを説明したが、本願発明は他の様々な作業機に適用可能である。特に、先端工具とモータとの間にファンが位置するような作業機に適用することができ、例えばディスクグラインダーやジグソー等の作業機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
10…ルータ(作業機)、31…ハウジング、32…エンドブラケット(第2ハウジング)、32F…照明孔(係合部)、33…モータハウジング(第1ハウジング)、40…モータ、41…回転軸、42…ロータ、43…ステータ、46…先端工具、47…ファン、60…保持リング(保持部材)、61…リングベース(基部)、62…ガイド溝(溝部)、65…保持柱(延出部)、70L…照明部、70R…照明部、72…LED(光源)、73…リード線(配線)、74…リード線(配線)、80…バッテリーホルダ(分割ハウジング)、85…バッテリー(電池)、90…制御部
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