IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ いすゞ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両のコネクタ固定構造 図1
  • 特許-車両のコネクタ固定構造 図2
  • 特許-車両のコネクタ固定構造 図3
  • 特許-車両のコネクタ固定構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】車両のコネクタ固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230808BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230808BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20230808BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B60R16/02 621C
H02G3/30
H01R13/74 B
H01R13/46 304B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022022977
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】北川 涼太
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-015512(JP,A)
【文献】特開2003-034193(JP,A)
【文献】特開2011-223694(JP,A)
【文献】特開2021-032383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/30
H01R 13/74
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と当該第1面の反対側の第2面との間を貫通する貫通孔を有する平板状のブラケットと、
ワイヤハーネスに取り付けられ、前記貫通孔を挿通して係止可能な係止部を有するコネクタと、
前記第1面及び前記第2面のうちの一方の面の法線方向に沿って設けられ、前記貫通孔及び前記係止部を跨ぐようにコ字状に形成された跨ぎ部と、
を備え
前記係止部は、前記一方の面に係止する係止爪を有し、
前記係止爪は、前記跨ぎ部に覆われずに露出している、車両のコネクタ固定構造。
【請求項2】
前記跨ぎ部は、前記第1面上に位置し、
前記係止部は、前記第1面に係止する前記係止爪を有する
請求項1に記載の車両のコネクタ固定構造。
【請求項3】
前記跨ぎ部は、
前記係止部の一対の前記係止爪の配置方向に直交する直交方向に離れて位置し、前記第1面に固定されている2つの脚部を有する、
請求項2に記載の車両のコネクタ固定構造。
【請求項4】
前記跨ぎ部は、平板状に形成され、
前記跨ぎ部の厚さは、前記貫通孔の直径よりも小さい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両のコネクタ固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のコネクタ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、例えば、制御装置に連結されている装置側ハーネスのコネクタと、センサに連結されているセンサ側ハーネスのコネクタとを連結することで、センサと制御装置を電気的に接続している。上記の2つのコネクタのうちの片方は、ブラケットに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-164229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平板状のブラケットには貫通孔が設けられており、コネクタの係止部が貫通孔を挿通して係止されることで、コネクタがブラケットに固定される。しかし、貫通孔に対してブラケットの両面から係止部を挿入可能であるため、本来の挿入方向とは逆の方向から係止部を貫通孔に挿入してしまい、誤組が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ブラケットに対してコネクタが誤った方向に挿入されることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、第1面と当該第1面の反対側の第2面との間を貫通する貫通孔を有する平板状のブラケットと、ワイヤハーネスに取り付けられ、前記貫通孔を挿通して係止可能な係止部を有するコネクタと、前記第1面及び前記第2面のうちの一方の面の法線方向に沿って設けられ、前記貫通孔を跨ぐようにコ字状に形成された跨ぎ部と、を備える、車両のコネクタ固定構造を提供する。
【0007】
また、前記跨ぎ部は、前記第1面上に位置し、前記係止部は、前記第1面に係止する係止爪を有し、前記係止爪は、前記跨ぎ部に覆われずに露出していることとしてもよい。
【0008】
また、前記跨ぎ部は、前記係止部の一対の前記係止爪の配置方向に直交する直交方向に離れて位置し、前記第1面に固定されている2つの脚部を有することとしてもよい。
【0009】
また、前記跨ぎ部は、平板状に形成され、前記跨ぎ部の厚さは、前記貫通孔の直径よりも小さいこととしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブラケットに対してコネクタが誤った方向に挿入されることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一の実施形態に係る車両のコネクタ固定構造の概要を説明するための模式図である。
図2図1の矢印Aの方向から見た模式図である。
図3】ブラケット40を平面視した模式図である。
図4図3のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<コネクタ固定構造の概要>
一の実施形態に係る車両のコネクタ固定構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一の実施形態に係る車両のコネクタ固定構造の概要を説明するための模式図である。図2は、図1の矢印Aの方向から見た模式図である。
【0014】
本実施形態では、図1に示すように、3つのコネクタ10、20、30がブラケット40に固定されている。ここでは、3つのコネクタ10、20、30は、ブラケット40の下面42側に位置している。
【0015】
コネクタ10は、ワイヤハーネス18(図2)の先端に取り付けられている。コネクタ20、30も、ワイヤハーネス(不図示)の先端に取り付けられている。ワイヤハーネスは、車両の電装部品等に連結されている。3つのコネクタ10、20、30は、ここではメスコネクタであり、オスコネクタと連結可能である。オスコネクタも、ワイヤハーネスの先端に取り付けられている。
【0016】
コネクタ10は、図1に示すように、本体部12と、クリップ部14と、係止部15を有する。本体部12は、コネクタ10の主たる部分であり、ワイヤハーネス18(図2)の先端に位置している。本体部12の中央には、オスコネクタと接続可能な接続部12aが形成されている。
【0017】
クリップ部14は、本体部12から突出するように取り付けられている。クリップ部14は、本体部12のレール部12bに取り付けられている。クリップ部14は、例えば樹脂製である。クリップ部14は、ブラケット40に形成された貫通孔を挿通可能となっている。
【0018】
係止部15は、クリップ部14の先端の両側に設けられており、ブラケット40の貫通孔を挿通してブラケット40に係止される部分である。係止部15がブラケット40に係止されることで、コネクタ10がブラケット40に固定される。係止部15は、一対の係止爪15aを有し、一対の係止爪15aは、ここではブラケット40の上面41に係止している。一対の係止爪15aは、ブラケット40の長手方向(配置方向)に配置されている。
【0019】
コネクタ20は、ブラケット40に対してコネクタ10の隣に固定されている。コネクタ20は、コネクタ10と同様に、本体部22と、クリップ部24と、係止部25を有する。係止部25の一対の係止爪25aが、ブラケット40の上面41に係止している。コネクタ20の本体部22、クリップ部24及び係止部25は、コネクタ10の本体部12、クリップ部14及び係止部15と同様な構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0020】
コネクタ30は、ブラケット40に対してコネクタ20の隣に固定されている。コネクタ30は、コネクタ10と同様に、本体部32と、クリップ部34と、係止部35を有する。係止部35の一対の係止爪35aが、ブラケット40の上面41に係止している。コネクタ30の本体部32、クリップ部34及び係止部35は、コネクタ10の本体部12、クリップ部14及び係止部15と同様な構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
ブラケット40は、トラック等の車両の車体フレームに取り付けられている。ブラケット40は、平板状に形成されている。ブラケット40には、コネクタ10、20、30のクリップ部14、24、34が挿通可能な貫通孔が形成されている。この貫通孔は、ブラケット40の上面41と下面42の間を貫通している。本実施形態では、上面41が第1面に該当し、下面42が第1面の反対側の第2面に該当する。
【0022】
コネクタ10、20、30は、図1に示すように、本体部12、22、32がブラケット40の下面42側に位置するように、固定されている。本体部12、22、32がブラケット40の上面41側に固定されることを防止するために、詳細は後述するが、上面41に貫通孔を跨ぐ跨ぎ部50A、50B、50Cが設けられている。跨ぎ部50A、50B、50Cを設けることで、作業者が、コネクタ10、20、30を図1の矢印Bの方向にブラケット40に固定し、誤った方向(図1の矢印Cの方向)に固定することを防止できる。
【0023】
<ブラケット及び跨ぎ部の詳細構成>
ブラケット40及び跨ぎ部50A、50B、50Cの詳細構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0024】
図3は、ブラケット40を平面視した模式図である。図4は、図3のD-D断面図である。図3及び図4では、コネクタ10、20、30が取り外された状態が示されている。
ブラケット40には、図3に示すように、複数の貫通孔43a、43b、43cが形成されている。貫通孔43a、43b、43cは、ブラケット40の長手方向に所定間隔で形成されている。貫通孔43a、43b、43cは、ブラケット40の上面41から下面42に亘って貫通している(図4参照)。
【0025】
貫通孔43aには、コネクタ10のクリップ部14が挿通しており、貫通孔43bには、コネクタ20のクリップ部24が挿通しており、貫通孔43cには、コネクタ30のクリップ部34が挿通している(図1参照)。
【0026】
ブラケット40の上面41上に、複数の跨ぎ部50A、50B、50Cが設けられている。跨ぎ部50Aは、貫通孔43aを跨ぐように位置し、跨ぎ部50Bは、貫通孔43bを跨ぐように位置し、跨ぎ部50Cは、貫通孔43cを跨ぐように位置している。跨ぎ部50A、50B、50Cは、例えば金属製であり、上面41に溶接で固定されている。ただし、これに限定されず、跨ぎ部50A、50B、50Cは、樹脂製であってもよい。
【0027】
跨ぎ部50Aは、上面41の法線方向に沿って(別言すれば、上面41に直交するように)設けられている。跨ぎ部50Aは、図4に示すように、貫通孔43aを跨ぐようにコ字状に形成されている。これにより、作業者は、跨ぎ部50Aが障害物となるため、上面41側からコネクタ10のクリップ部14を貫通孔43aに挿入させることができないので、コネクタ10を誤った方向から固定することを防止できる。
【0028】
跨ぎ部50Aは、平板状に形成されている。跨ぎ部50Aの厚さは、図3に示すように貫通孔43aの直径よりも小さい。このため、跨ぎ部50Aは、図1に示すように、コネクタ10の係止部15の係止爪15aを覆わずに露出させている。係止爪15aが露出していることで、作業者は、コネクタ10を取り外す際に、ドライバ等で係止爪15aにアクセスしやすくなり、係止爪15aの上面41に係止された状態を解除しやすい。
【0029】
跨ぎ部50Aは、図4に示すように、2つの脚部51a、51bと、対向部52と、開口部53を有する。
脚部51a、51bは、図4に示すように、ブラケット40の上面41の法線方向に沿って突出している部分である。脚部5a、51bの下端は、上面41に溶接で固定されている。脚部51a、51bは、貫通孔43aの両側に位置している。
【0030】
脚部51a、51bは、係止部15の一対の係止爪15aの配置方向(ブラケット40の長手方向に)に直交する直交方向(ブラケット40の短手方向)に離れて位置している(図2参照)。これにより、クリップ部14の係止爪15aが、脚部51a、51bと接触せずに、露出しやすくなる。
【0031】
対向部52は、図4に示すように、貫通孔43aに対向する部分である。対向部52は、脚部51a、51bの上端部と連結されている。対向部52が存在することで、コネクタ10のクリップ部14を、ブラケット40の上方から誤って貫通孔43aに挿入することを防止できる。
【0032】
開口部53は、図4に示すように、跨ぎ部50Aの中央に開口を形成した部分である。ここでは、矩形の開口が形成されているが、これに限定されず、他の形状であってもよい。コネクタ10がブラケット40に固定された際に、開口部53の位置に、コネクタ10のクリップ部14の先端側が位置している(図2参照)。
【0033】
跨ぎ部50B、50Cも、脚部51a、51bと、対向部52と、開口部53を有し、跨ぎ部50Aと同様な構成である。このため、跨ぎ部50B、50Cの構成については、省略する。
【0034】
なお、上記では、跨ぎ部50A、50B、50Cの全てが、ブラケット40の上面41上に位置していることとしたが、これに限定されない。例えば、跨ぎ部50A、50B、50Cのうちの一部の跨ぎ部は、ブラケット40の下面に位置してもよい。これにより、ブラケット40の上面41及び下面42の両方に対して、コネクタ10、20、30の各々を、所望の方向から固定できる。
【0035】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態のコネクタ固定構造においては、ブラケット40は、上面41及び下面42のうちの一方の面(ここでは、上面41)の法線方向に沿って設けられ、貫通孔43a、43b、43cを跨ぐようにコ字状に形成された跨ぎ部50A、50B、50Cを有する。
コネクタ10、20、30をブラケット40の下面42側から固定する場合には、上面41に跨ぎ部50A、50B、50Cを設けることで、コネクタ10、20、30のクリップ部14、24、34を上面41から貫通孔43a、43b、43cに挿入することを防止できる。また、跨ぎ部50A、50B、50Cがコ字状に形成されていることで、コネクタ10、20、30の係止部15、25、35が露出した状態となるため、係止部15、25、35の係止状態を解除しやすくなり、この結果、コネクタ10、20、30をブラケット40から取り外しやすくなる。
【0036】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0037】
10、20、30 コネクタ
15、25、35 係止部
15a、25a、35a 係止爪
40 ブラケット
41 上面
42 下面
43a、43b、43c 貫通孔
50A、50B、50C 跨ぎ部
51a、51b 脚部
【要約】
【課題】ブラケットに対してコネクタが誤った方向に挿入されることを防止する。
【解決手段】車両のコネクタ固定構造は、上面41と下面42との間を貫通する貫通孔を有する平板状のブラケット40と、ワイヤハーネスに取り付けられ、貫通孔を挿通して係止可能な係止部15、25、35を有するコネクタ10、20、30と、上面41及び下面42のうちの一方の面の法線方向に沿って設けられ、貫通孔を跨ぐようにコ字状に形成された跨ぎ部50A、50B、50Cを備える。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4