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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】エレベータの群管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
B66B3/00 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022051471
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-057322(JP,A)
【文献】特開2021-138507(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/131769(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔認証セキュリティゲートと連動して、顔認証が成功した利用者の顔データに紐づけられた行先階を、複数台のエレベータのいずれかへ割り当てる制御部を備えたエレベータの群管理システムであって、
前記複数台のエレベータはそれぞれ、かご内で複数の報知言語により報知可能なかご内報知部と、かご内の利用者の顔を撮像可能なかご内撮像部とを備え、
前記制御部は、
前記かご内撮像部で撮像した撮像画像に基づいて、かご内の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得し、
前記かご内報知部に報知を行わせる際に、各利用者の前記位置情報と、各利用者の前記顔データに紐づけられた言語属性に関する情報とに基づいて、報知に用いる報知言語を選択し、選択した報知言語で前記かご内報知部に報知を行わせ
前記エレベータがある停止階に到着する際に、前記停止階を行先階とする利用者に向けて、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語により、前記停止階への到着に関する内容を前記かご内報知部に報知させる、エレベータの群管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記エレベータが前記停止階に到着する際に、前記停止階以外の階を行先階とする利用者に向けて、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語により、降車の補助を促す内容を前記かご内報知部に報知させる、請求項1に記載のエレベータの群管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記エレベータが前記停止階に到着する際に、前記位置情報に基づいて、前記停止階以外の階を行先階とする前記利用者のうち、特定のエリアに位置する利用者が存在する場合に、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語により、前記降車の補助を促す内容を前記かご内報知部に報知させる、請求項2に記載のエレベータの群管理システム。
【請求項4】
顔認証セキュリティゲートと連動して、顔認証が成功した利用者の顔データに紐づけられた行先階を、複数台のエレベータのいずれかへ割り当てる制御部を備えたエレベータの群管理システムであって、
前記複数台のエレベータはそれぞれ、かご内で複数の報知言語により報知可能なかご内報知部と、かご内の利用者の顔を撮像可能なかご内撮像部とを備え、
前記制御部は、
前記かご内撮像部で撮像した撮像画像に基づいて、かご内の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得し、
前記かご内報知部に報知を行わせる際に、各利用者の前記位置情報と、各利用者の前記顔データに紐づけられた言語属性に関する情報とに基づいて、報知に用いる報知言語を選択し、選択した報知言語で前記かご内報知部に報知を行わせ、
前記位置情報に基づいて、エレベータ内の各利用者を、第1エリアの利用者と、前記第1エリアよりも扉から遠い第2エリアの利用者とに分類し、
前記第1エリアに利用者が存在する場合に、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語による第1報知を、前記かご内報知部に行わせ、
前記第2エリアに利用者が存在する場合に、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語による第2報知を、前記第1報知よりも後の順序、且つ前記第1報知に含まれる報知言語を除いて、前記かご内報知部に行わせる、エレベータの群管理システム。
【請求項5】
前記順序で行う報知には、前記エレベータの停止階への到着を知らせる報知が含まれる、請求項に記載のエレベータの群管理システム。
【請求項6】
顔認証セキュリティゲートと連動して、顔認証が成功した利用者の顔データに紐づけられた行先階を、複数台のエレベータのいずれかへ割り当てる制御部を備えたエレベータの群管理システムであって、
前記複数台のエレベータはそれぞれ、かご内で複数の報知言語により報知可能なかご内報知部と、かご内の利用者の顔を撮像可能なかご内撮像部とを備え、
前記制御部は、
前記かご内撮像部で撮像した撮像画像に基づいて、かご内の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得し、
前記かご内報知部に報知を行わせる際に、各利用者の前記位置情報と、各利用者の前記顔データに紐づけられた言語属性に関する情報とに基づいて、報知に用いる報知言語を選択し、選択した報知言語で前記かご内報知部に報知を行わせ、
前記位置情報に基づいて、エレベータ内の各利用者を、第3エリアの利用者と、前記第3エリアよりも扉から遠い第4エリアの利用者とに分類し、
前記エレベータがある停止階に到着する際に、前記停止階以外の階を行先階とする利用者が前記第3エリアに存在し、且つ、前記停止階を行先階とする利用者が前記第4エリアに存在する場合に、前記かご内報知部に、前記第3エリアの利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語により、降車の補助を促す内容を報知させる、エレベータの群管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記顔認証が成功した利用者の行先階をいずれかのエレベータに割り当てる第1制御部と、各エレベータの動作を制御するように各エレベータに対応して設けられた第2制御部とを備え、
前記第2制御部のそれぞれは、対応する各エレベータの前記かご内撮像部および前記かご内報知部に接続されるとともに、前記かご内報知部の報知言語の選択を行い、選択した報知言語で前記かご内報知部に報知を行わせる、請求項1からのいずれか1つに記載のエレベータの群管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの群管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数台のエレベータと乗場行先階登録装置を備えたエレベータの群管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-286582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エレベータのかご内におけるアナウンスや表示を多言語で行う仕様の要求が増えている。多言語の場合、言語数が増えるほどアナウンスや表示にかかる時間が長くなり、利用者によっては自分の理解できる言語がアナウンス・表示されるまで待つ必要があり、適切に案内できないおそれがある。
【0005】
本発明は、かご内の利用者により適切な案内を行うことができるエレベータの群管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータシステムは、
顔認証セキュリティゲートと連動して、顔認証が成功した利用者の顔データに紐づけられた行先階を、複数台のエレベータのいずれかへ割り当てる制御部を備えたエレベータの群管理システムであって、
前記複数台のエレベータはそれぞれ、かご内で複数の報知言語により報知可能なかご内報知部と、かご内の利用者の顔を撮像可能なかご内撮像部とを備え、
前記制御部は、
前記かご内撮像部で撮像した撮像画像に基づいて、かご内の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得し、
前記かご内報知部に報知を行わせる際に、各利用者の前記位置情報と、各利用者の前記顔データに関連付けられた言語属性に関する情報とに基づいて、報知に用いる報知言語を選択し、選択した報知言語で前記かご内報知部に報知を行わせる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、かご内の利用者により適切な案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエレベータシステムが適用されるビルの特定階における機器配置を示した概略平面図
図2】エレベータシステムの構成を示したブロック図
図3】行先階登録装置の電気的構成を示したブロック図
図4】行先階登録装置の外観を模式的に示した正面図
図5】行先階登録装置の表示部における表示例を示した図
図6】セキュリティゲートの電気的構成を示したブロック図
図7】セキュリティゲートの外観を示した斜視図
図8】セキュリティサーバの電気的構成を示したブロック図
図9】セキュリティサーバの記憶部に格納されている登録装置データベースの構成を示した図
図10】セキュリティサーバの記憶部に格納されている利用者データベースの構成を示した図
図11A】群管理制御装置が有する言語リストの構成を示した図
図11B】エレベータ制御装置が有する言語リストの構成を示した図
図12】セキュリティサーバによる呼び情報信号生成処理を説明したフローチャート
図13】群管理制御装置による割当処理を説明したフローチャート
図14】群管理制御装置によるエレベータがある停止階を出発する時の処理を説明したフローチャート
図15】エレベータ制御装置によるアナウンス処理を説明したフローチャート
図16】エレベータのかご内状況の一例を示す図
図17】かご内状況に応じた言語リストのデータの分類方法を示す図
図18】エレベータのかご内状況を概略的に示す図(適用例1)
図19】エレベータのかご内状況を概略的に示す図(適用例2)
図20】実施の形態2におけるエレベータのかご内状況を概略的に示す図(適用例3)
図21】実施の形態2におけるエレベータのかご内状況を概略的に示す図(適用例4)
図22】実施の形態2のエレベータ制御装置によるアナウンス処理を説明したフローチャート
図23】実施の形態2のエレベータ制御装置によるアナウンス処理を説明したフローチャート
図24】実施の形態2の変形例におけるエレベータのかご内状況を概略的に示す図(適用例5)
図25】実施の形態2の変形例におけるエレベータのかご内状況を概略的に示す図(適用例6)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施の形態1)
1.構成
1-1.エレベータ等の配置
図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムが適用されるビル(建物)の特定階における機器配置を示した概略平面図である。特定階とは、例えば当該ビルの外部につながるロビー階であり、ビルの利用者は特定階を経由して他の階に移動することとなる。
【0011】
図1では、エレベータシステムが、1号機~6号機の6台(複数台の一例)のエレベータ60A~60Fを備えている例を示す。エレベータの利用者は、エレベータ乗場からエレベータ60A~60Fに乗車する。以下では、エレベータ60A~60Fを区別せずに「エレベータ60」という場合がある。
【0012】
特定階を含む各階床のエレベータ乗場またはその近傍には、行先階登録装置30が配置されている。
【0013】
特定階において、エントランスからエレベータ乗場への利用者の移動経路上には、複数台のセキュリティゲート20が配置されている。利用者は、エントランス側からいずれかのセキュリティゲート20を通過してエレベータ乗場に進入する。エレベータ乗場は、特定領域に設けられている。特定領域とは、エントランス側からセキュリティゲート20を通過しないと入れないビル内の領域である。特定領域は、エレベータ乗場や、各エレベータ60のかご内のスペースや、エレベータ60を利用して移動可能な各階床のスペースを含む。
【0014】
セキュリティゲート20のエントランス側の床面には、顔認証エリアAdを示す表示がなされている。
【0015】
1-2.システム構成
1-2-1.概要
図2は、エレベータシステムのシステム構成を示したブロック図である。
【0016】
エレベータシステムは、複数台のエレベータ60A~60Fと、これらのエレベータ60A~60Fの運行を統合的に制御する群管理制御装置10と、各エレベータに対応させて設けられたエレベータ制御装置40A~40Fと、各階に配置される行先階登録装置30とを備える。群管理制御装置10には、ビルのセキュリティを管理し、かつセキュリティゲート20の制御を行うセキュリティサーバ100が接続されている。
【0017】
エレベータシステムは、かごへの乗車前に利用者に行先階を予め登録させる行先階登録方式を採用している。行先階の登録は、例えば、セキュリティゲート20での顔認証、行先階登録装置30での手動登録などにより行うことができる。群管理制御装置10は、乗車前に登録された行先階に関する呼び(行先階呼び)を、複数台のエレベータ60のうちのいずれかの号機に割り当てて、割り当てた号機を示す情報を、利用されたセキュリティゲート20のゲート表示器70や行先階登録装置30に表示させ、これにより、割り当てた号機に利用者を乗車させる。
【0018】
なお、特定階の行先階登録装置30は、セキュリティゲート20を通過して特定領域に進入した利用者が、ゲート表示器70に表示されたエレベータ60に乗り遅れたときや、デフォルト行先階以外の階床に移動するときに、エレベータ60を利用することを可能とするために設けられている。
【0019】
各エレベータ60(60A~60F)は、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり等を有する。
【0020】
1-2-2.群管理制御装置
群管理制御装置10は、エレベータ60A~60Fの運行を統合的に制御する。また、群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100及び行先階登録装置30との間で通信を行いながら、各号機に対する新規の呼びの割当制御を行う。各装置は、情報伝送可能なネットワークを介して接続されている。ネットワークは、例えばEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)により構成され、各装置間での各種の情報の送受信は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがって行われる。ネットワークに接続されている前述の各装置は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがった通信による信号伝送(情報伝送)が可能である。なお、エレベータシステムを構成する各装置間は、他の信号形式のネットワークや、専用の信号網を介して接続されてもよい。
【0021】
群管理制御装置10は、コンピュータを利用して構成され、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13と、を備える。
【0022】
記憶部12は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の群管理制御装置10の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0023】
制御部11は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部11は、記憶部12から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、群管理制御装置10における後述する各種の機能を実現する。
【0024】
入出力インタフェース13は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース13は、群管理制御装置10が、セキュリティサーバ100、セキュリティゲート20のゲート表示器70、行先階登録装置30、及びエレベータ制御装置40との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換してセキュリティサーバ100、セキュリティゲート20のゲート表示器70、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40に出力する。また、入出力インタフェース13は、セキュリティサーバ100、セキュリティゲート20のゲート表示器70、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40A~40Fから入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
【0025】
1-2-3.エレベータ制御装置
エレベータ制御装置40A~40Fは、エレベータ60A~60Fに対応させて設けられている。エレベータ制御装置40A~40Fは、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ60A~60Fの巻上機(モータ)等の動作を制御することにより、エレベータ60A~60Fのかごの上昇、下降、停止等を制御する。また、エレベータ制御装置40A~40Fは、対応するエレベータ60A~60Fのかごの位置、走行方向、扉の開閉、荷重等のかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報等を群管理制御装置10に出力する。なお、以下では、エレベータ制御装置40A~40Fを区別せずに「エレベータ制御装置40」という場合がある。
【0026】
エレベータ制御装置40は、群管理制御装置10などと同様に、制御部、記憶部、入出力インタフェースなどを備えたコンピュータを利用して構成される。
【0027】
実施の形態1のエレベータ制御装置40A~40Fは、対応するエレベータ60の中で利用者に向けてアナウンスする際のアナウンス言語を選択する機能を有する。
【0028】
1-2-4.エレベータ
エレベータ60A~60Fはそれぞれ、アナウンス装置62A~62Fと、かご内カメラ64A~64Fとを備える。
【0029】
アナウンス装置62A~62Fはそれぞれ、対応するエレベータ60の中で利用者に向けて報知するための装置である。アナウンス装置62A~62Fは、かご内報知部の一例である。実施の形態1のアナウンス装置62A~62Fは、発話可能なスピーカを有し、予め登録された複数の言語にてアナウンス可能に構成され、多言語のアナウンスに対応している。以下では、アナウンス装置62A~62Fを区別せずに「アナウンス装置62」という場合がある。
【0030】
かご内カメラ64A~64Fはそれぞれ、対応するエレベータ60内を撮像するために設けられた部材である。かご内カメラ64A~64Fは、かご内撮像部の一例であり、後述する顔認証用カメラ25、36と同様の構成・機能を有するものであってもよい。実施の形態1のかご内カメラ64A~64Fは、エレベータ60に乗車中の利用者の顔を撮像可能に設置され、例えばエレベータ60のかご内の上部に配置され、撮像方向が斜め下方に設定される。かご内カメラ64A~64Fが撮像するかご内の撮像画像に基づいて、エレベータ60に乗車中の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得することができる。以下では、かご内カメラ64A~64Fを区別せずに「かご内カメラ64」という場合がある。
【0031】
1-2-5.行先階登録装置
図3は、行先階登録装置30の電気的構成を示したブロック図である。
【0032】
行先階登録装置30は、利用者による行先階の登録(指定)を受け付ける装置である。行先階登録装置30は、制御部31と、記憶部32と、入出力インタフェース33と、表示部34と、操作部35とを備える。
【0033】
記憶部32は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の行先階登録装置30の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0034】
制御部31は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部31は、記憶部32から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、行先階登録装置30における後述する各種の機能を実現する。
【0035】
入出力インタフェース33は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース33は、行先階登録装置30が群管理制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース33は、制御部31から出力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10に出力する。また、入出力インタフェース33は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部31に出力する。
【0036】
表示部34は、制御部31から出力される表示信号に基づく画像等の表示を行う。
【0037】
操作部35は、行先階登録装置30に対するユーザ操作を受け付けるインタフェースである。操作部35は、操作内容に応じた信号を制御部31に出力する。
【0038】
表示部34及び操作部35は、例えば液晶ディスプレイパネルや有機ELディスプレイパネルを利用したタッチパネル式表示装置により一体的に構成される。なお、表示部34と操作部35とは、表示部34に表示されているボタン等のオブジェクトと同等の指定を行うことが可能であれば、異なる部品を利用して別々に構成されてもよい。
【0039】
図4は、行先階登録装置30の外観を模式的に示した正面図である。図5は、行先階登録装置30の表示部34における表示例を示した図である。
【0040】
行先階登録装置30の上方には、顔認証用カメラ36が配置されており、行先階の登録の際、利用者に顔認証を行わせるように構成されている。
【0041】
顔認証用カメラ36は、その前方の所定画角領域の被写体を所定フレームレート、所定解像度で撮像するとともに、撮像された画像(撮像画像)の画像データを生成し、生成した画像データをセキュリティサーバ100に出力する。顔認証用カメラ36は、撮像部の一例である。所定画角領域は、利用者が行先階登録装置30の前にいる際に、利用者の顔を撮像可能な画角に設定されている。所定解像度は、顔認証の際の顔検出及び顔照合を適切に行うことができる解像度であればどのような解像度でもよいが、例えばHD、FHD、4Kなどの解像度とすることができる。フレームレートは、どのようなレートでもよいが、例えば15fpsや30fpsとすることができる。
【0042】
図4では、行先階登録装置30の表示部34に、デフォルト画面としての案内画面が表示されている例を示している。この案内画面では、例えば、「顔認証により利用可能となります。上のカメラで顔認証を行ってください」というメッセージが表示される。図4の案内画面が表示部34に表示されているときに、利用者が顔認証用カメラ36の前方に来ると、顔認証用カメラ36で撮像された撮像画像に基づいてセキュリティサーバ100により顔認証処理が行われる。顔認証が成功すると、例えば図5(a)に示すような操作画面が表示部34に表示される。図5(a)の操作画面では、「行先階を登録してください」というメッセージとともに、顔認証が成功した利用者に利用者データベース(後述する)で紐付けられている許可階の行先階ボタンが表示される例を示す。図5(a)の操作画面では、利用者データベースに登録されている利用者ID“10001”に紐付けられている許可階である9階、10階、11階の行先階ボタンが表示されている例を示す。なお、許可階とは、利用者の利用が許可されている階床であり、顔認証が成功した利用者に応じて異なる階床となる。図5(a)の操作画面で、いずれかの行先階ボタンが利用者により押されると(タッチされると)、エレベータの割り当てが行われ、例えば図5(b)に示すような割当号機報知画面が表示される。図5(b)の割当号機報知画面では、「10F 1号機」というメッセージが表示された例を示す。
【0043】
1-2-6.セキュリティゲート
セキュリティゲート20は、ビル内部の特定領域への利用者の進入を制御する装置である。具体的に、セキュリティゲート20は、ビル内部の特定領域への正規の利用者の進入を許可する一方、非正規の利用者の進入については規制する装置である。正規の利用者とは、利用者データベース(以下「利用者DB」という)に登録されている利用者であり、非正規の利用者とは、利用者DBに登録されていない利用者である。
【0044】
図6は、実施の形態1におけるセキュリティゲート20の電気的構成を示すブロック図である。図7は、セキュリティゲート20の外観を示した斜視図である。なお、図7は、図1の3台のセキュリティゲート20のうち最も左のセキュリティゲート20の斜視図である。
【0045】
図7に示すように、セキュリティゲート20の筐体であるゲート本体20aには、第1センサ26と、第2センサ27と、ゲートフラッパ28と、ゲート表示器70とが備えられている。また、ゲート本体20aの出口20e側には、顔認証用カメラ25が設けられている。顔認証用カメラ25は、ゲート本体20aに取り付けられてもよいし、独立して設けられてもよい。
【0046】
顔認証用カメラ25は、その前方の所定画角領域の被写体を所定フレームレート、所定解像度で撮像するとともに、撮像された画像(撮像画像)の画像データを生成し、セキュリティサーバ100に出力する。顔認証用カメラ25は、撮像部の一例である。所定画角領域は、利用者が顔認証エリアAd(図1参照)にいる際に、利用者の顔を撮像可能な画角に設定されている。所定解像度は、顔認証の際の顔検出及び顔照合を適切に行うことができる解像度であればどのような解像度でもよいが、例えばHD、FHD、4Kなどの解像度とすることができる。フレームレートは、どのようなレートでもよいが、例えば15fpsや30fpsとすることができる。
【0047】
第1センサ26は、例えば光電センサにより構成され、セキュリティゲート20の通路PAの入口20i側を通過する利用者を検知する。第1センサ26は、利用者を検知すると、制御部21を介して検知信号をセキュリティサーバ100に出力する。
【0048】
第2センサ27は、例えば光電センサにより構成され、セキュリティゲート20の通路PAの出口20e側を通過する利用者を検知する。第2センサ27は、利用者を検知すると、制御部21を介して検知信号をセキュリティサーバ100に出力する。
【0049】
ゲートフラッパ28は、開閉自在の扉である。
【0050】
ゲート表示器70は、群管理制御装置10から出力される種々の表示信号に応じた画面を表示する。例えば、ゲート表示器70は、群管理制御装置10から出力される割当結果信号を受信したときに、割り当てたエレベータ(割当号機)の名称などを報知するための割当号機報知画面を表示する。
【0051】
また、ゲート本体20aの内部には、図6に示すように、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23などが収容されている。
【0052】
記憶部22は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態におけるセキュリティゲート20の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0053】
入出力インタフェース23は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース23は、セキュリティゲート20が、セキュリティサーバ100との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力された信号を所定の形式の信号に変換してセキュリティサーバ100に出力する。また、入出力インタフェース23は、セキュリティサーバ100から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
【0054】
制御部21は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部21は、記憶部22に格納されたプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、セキュリティゲート20における後述する各種の機能を実現する。
【0055】
制御部21は、第1センサ26及び第2センサ27からの検知信号、及びセキュリティサーバ100からの開放信号や閉鎖信号に基づいて、ゲートフラッパ28を開閉する。また、制御部21は、第1センサ26から検知信号を受信し、その後、第2センサ27から検知信号を受信した場合、利用者通過信号をセキュリティサーバ100に送信する。
【0056】
1-2-7.セキュリティサーバ
セキュリティサーバ100は、顔認証用カメラ25や顔認証用カメラ36から出力される画像データが示す撮像画像に基づいて、ビル内のセキュリティ確保のために、利用者に対する顔認証処理を行う。例えば、セキュリティサーバ100は、撮像画像に対して顔検出処理を行い、顔を検出した場合、さらに顔特徴点検出処理を行う。そして、撮像画像から顔特徴点を検出すると、検出した顔特徴点のデータ(顔データ)と、利用者DBに登録されている各利用者の顔特徴点データ(顔データ)とを順次比較(照合)して一致率を求める。そして、検出した顔の顔データ(顔特徴点データ)に対して所定一致率以上の一致率を有する顔データ(顔特徴点データ)が利用者DBに登録されているかを判断する。つまり、検出した顔の顔データに対して所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されているかを判断する。そして、所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されている場合、セキュリティゲート20を通過しようとする利用者(顔検出された利用者)は登録されている顔データに対応する利用者であると特定し、顔認証が成功したと判断する。なお、所定一致率は、他人の場合には到達しない程度に高い一致率とすることが好ましい。これにより、適切に顔認証を行うことができる。なお、顔検出処理、顔特徴点検出処理、照合処理(認証処理)は各種の公知の方法を用いて行うことができる。
【0057】
また、セキュリティサーバ100は、顔認証結果に応じて、セキュリティゲート20の開閉を制御する。さらに、セキュリティサーバ100は、利用者の行先階などの情報を含む呼び情報信号を生成して群管理制御装置10に出力する。利用者IDは、利用者識別情報の一例である。
【0058】
図8は、セキュリティサーバ100の電気的構成を示すブロック図である。セキュリティサーバ100は、コンピュータを利用して構成され、制御部101と、記憶部102と、入出力インタフェース103と、を備える。
【0059】
記憶部102は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態のセキュリティサーバ100の後述する各種機能を実現するためのプログラムを含む。記憶部102は、データとして、利用者DBを格納している。利用者DBの構成については後述する。
【0060】
また、記憶部102は、データとして、登録装置データベース(以下「登録装置DB」という)を格納している。登録装置DBの構成については後述する。
【0061】
制御部101は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部101は、記憶部102から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、セキュリティサーバ100における後述する各種の機能を実現する。
【0062】
入出力インタフェース103は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース103は、セキュリティサーバ100が、顔認証用カメラ25、群管理制御装置10、及びセキュリティゲート20との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース103は、制御部101から出力された信号を所定の形式の信号に変換して顔認証用カメラ25、顔認証用カメラ36、群管理制御装置10、及びセキュリティゲート20に出力する。また、入出力インタフェース103は、顔認証用カメラ25、顔認証用カメラ36、群管理制御装置10、及びセキュリティゲート20から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部101に出力する。
【0063】
図9は、セキュリティサーバ100の記憶部102に格納されている登録装置DBの構成を示す図である。登録装置DBは、登録装置IDに紐づけて、登録装置の設置階と、登録装置の設置されているロケーションの情報とを格納している。ここでの登録装置とは、利用者の行先階の登録に利用される行先階登録装置30及びセキュリティゲート20の総称である。
【0064】
「設置階」は、登録装置IDに対応する登録装置が設置されている階を示す情報である。設置階は、登録装置を利用した利用者の出発階として利用される。後述する「呼び情報信号」においては、「設置階」を「出発階」というものとする。
【0065】
「ロケーション」は、登録装置IDに対応する登録装置が設置階内で設置されている位置を示す情報である。ロケーションは、設置階毎に、例えば「1」,「2」,「3」…などの通し番号により示される。
【0066】
図9に示す例では、登録装置ID“0001”に紐づけて、設置階、及びロケーションとして、“1”、及び“1”が登録されている。登録装置ID“0002”に紐づけて、設置階、及びロケーションとして、“1”、及び“2”が登録されている。残りの登録装置IDについても同様に、登録装置IDに紐づけて、設置階及びロケーションの情報が登録されている。
【0067】
図10は、セキュリティサーバ100の記憶部102に格納されている利用者DBの構成を示す図である。利用者DBは、利用者IDに紐づけて、顔データと、デフォルト行先階と、許可階と、言語属性とを記録している。なお、利用者IDに紐づけてさらにパスワードを記録してもよい。これらの情報の利用者DBへの登録は例えばビル管理者により行われる。
【0068】
「利用者ID」は、利用者を一意に識別するために設定された識別情報(利用者識別情報)である。
【0069】
「顔データ」は、「利用者ID」で特定される利用者の顔の特徴を示す顔特徴点データである。顔特徴点データは、例えば、目、鼻、口などの位置や形状の特徴を示すデータである。顔特徴点データは、当該利用者の利用者DBへの登録時に提供されまたは撮像された利用者の顔画像に基づいて生成される。
【0070】
「デフォルト行先階」は、「利用者ID」で特定される利用者のデフォルト行先階を示す情報である。デフォルト行先階としては、例えば、当該利用者が入居している階床の数値が設定される。なお、利用者の希望に応じて、「デフォルト行先階」を設定しないこともできる。この場合、デフォルト行先階としては、記号“-”が設定される。記号“-”は、行先階未設定情報の一例である。
【0071】
「許可階」は、「利用者ID」で特定される利用者の利用が許可されている階床を示す情報である。許可階としては、例えば、ビル内の共用階などが設定される。
【0072】
「言語属性」は、利用者の言語属性を示す情報である。「言語属性」としては、“日本語”、“英語”、“中国語”、“韓国語”等の情報が登録される。図10に示す例では、計3か国語を例示しているが、その他の言語属性を含めて、任意の数の言語属性が登録可能であってもよい。
【0073】
図10に示す例では、利用者ID“10001”に紐づけて、顔データ、デフォルト行先階、許可階、及び言語属性として、“顔データ1”、“10”、及び“9,10,11”、“日本語”が登録されている。残りの利用者IDについても同様に、利用者IDに紐づけて、顔データ、デフォルト行先階、許可階、及び言語属性の情報が登録されている。
【0074】
2.動作
2-1-1.顔認証処理及びセキュリティゲートのゲートフラッパの開閉制御
セキュリティサーバ100は、顔認証用カメラ25から出力される画像データが示す撮像画像に基づいて、ビル内のセキュリティ確保のために、利用者に対する顔認証処理を行う。具体的には、利用者がエントランスから特定領域のエレベータ乗場に移動するためにセキュリティゲート20を通過しようとすると、セキュリティゲート20のエントランス側の顔認証エリアAd(図1参照)で顔が検出され、さらに顔特徴点検出処理が行われる。
【0075】
セキュリティサーバ100は、撮像画像から顔特徴点を検出すると、検出した顔特徴点のデータと、利用者DBに登録されている各顔データ(顔特徴点データ)とを順次比較(照合)して一致率を求める。そして、検出した顔の顔データ(顔特徴点データ)に対して所定一致率以上の一致率を有する顔データ(顔特徴点データ)が利用者DBに登録されているかを判断する。そして、所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されている場合、セキュリティサーバ100は、セキュリティゲート20を通過しようとする利用者(顔検出された利用者)は、登録されている顔データに対応する利用者であると特定し、顔認証が成功したと判断する。この場合、セキュリティサーバ100は、当該セキュリティゲート20に開放信号を送信する。これにより、利用者DBに登録されている利用者は、セキュリティゲート20を通過することができる。
【0076】
これに対し、所定一致率以上の一致率を有する顔データ(顔特徴点データ)が利用者DBに存在しない場合、セキュリティサーバ100は、セキュリティゲート20を通過しようとする利用者が、利用者DBに登録されていない利用者であると判断する。この場合、セキュリティサーバ100は、当該セキュリティゲート20に閉鎖信号を送信する。セキュリティゲート20の制御部21は、ゲートフラッパ28を閉状態とさせる。これにより、利用者DBに登録されていない利用者は、セキュリティゲート20を通過することができない。つまり、利用者DBに登録されていない利用者がセキュリティゲート20を通過するのを阻止することができる。
【0077】
なお、セキュリティゲート20の制御部21は、セキュリティサーバ100から開放信号、閉鎖信号のいずれも受信していない状況で、つまり顔認証処理が完了していない状況で、第1センサ26により利用者が検知された場合、ゲートフラッパ28を閉状態とさせる。これにより、顔認証処理が完了していない利用者がセキュリティゲート20を通過するのを阻止することができる。
【0078】
このように、利用者DBに登録されている利用者は特定領域に進入することができるが、そうでない利用者は特定領域に進入することができない。よって、ビル内のセキュリティが確保される。
【0079】
2-1-2.号機割当処理
2-1-2-1.セキュリティゲート利用時の行先階設定処理及び号機割当処理
セキュリティゲート20を通過しようとする利用者に対する顔認証処理において、当該利用者が利用者DBに登録されている利用者であると判断すると、セキュリティサーバ100は、出発階、ロケーション、行先階、顔データ、言語属性などの情報を含む呼び情報信号を生成し、当該呼び情報信号を群管理制御装置10に送信する。なお、呼び情報信号における「出発階」は、前述したように登録装置の「設置階」と等しい。
【0080】
群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100から呼び情報信号を受信すると、受信した呼び情報信号に基づいて、利用者の行先階を割り当てる割当号機を決定し、決定した割当号機を示す割当結果信号を、呼び情報信号が示す出発階及びロケーションに配置されているゲート表示器70に送信する。
【0081】
ゲート表示器70は、群管理制御装置10から割当結果信号を受信すると、割当号機報知画面を表示する。
【0082】
より詳細な行先階設定処理及び号機割当処理については後述する。
【0083】
2-1-2-2.行先階登録装置利用時の行先階設定処理及び号機割当処理
セキュリティサーバ100は、行先階登録装置30を利用しようとする利用者に対する顔認証処理において、当該利用者が利用者DBに登録されている利用者であると判断すると、利用者DBから当該利用者に紐付けられているデフォルト行先階、許可階、言語属性の情報を読み出すとともに、当該行先階登録装置30に併設された顔認証用カメラ36の登録装置IDに基づいて登録装置DBから設置階、ロケーションの情報を読み出す。そして、セキュリティサーバ100は、利用者DBから読み出したデフォルト行先階、許可階、顔データ、言語属性の情報と、登録装置DBから読み出した設置階(出発階)、ロケーションの情報などを含む呼び情報信号を生成し、当該呼び情報信号を群管理制御装置10に送信する。
【0084】
群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100から呼び情報信号を受信すると、受信した呼び情報信号に基づいて、少なくとも許可階の情報を含む受付許可信号を生成し、生成した受付許可信号を呼び情報信号が示す出発階及びロケーションに配置されている行先階登録装置30に送信する。
【0085】
行先階登録装置30は、受付許可信号を受信すると、許可階の情報が示す許可階の行先階ボタンを表示部34に表示し、利用者による行先階の指定操作を受け付ける。行先階の指定操作があると、行先階登録装置30は、指定された行先階にいずれかの号機を割り当てることを要求する割当依頼信号を群管理制御装置10に送信する。
【0086】
群管理制御装置10は、割当依頼信号を受信すると、利用者の行先階を割り当てる割当号機を決定し、決定した割当号機を示す割当結果信号を、呼び情報信号が示す出発階及びロケーションに配置されている行先階登録装置30に送信する。
【0087】
行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当結果信号を受信すると、表示部34に、割当号機を表示した割当号機報知画面を表示する。
【0088】
2-1-3.アナウンス言語選択処理
群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100から呼び情報信号を受信すると、割当号機の決定処理に加えて、呼び情報信号に含まれる各利用者の顔データおよび言語属性等の情報を用いて、エレベータ60内のアナウンス言語を選択するための言語リストを作成する。群管理制御装置10は、複数のエレベータ60毎に言語リストを作成し、作成した言語リストに含まれるデータを対応するエレベータ制御装置40にそれぞれ送信する。
【0089】
エレベータ制御装置40は、群管理制御装置10から受信した言語リストに基づいて、アナウンス装置62がアナウンスする際のアナウンス言語を選択する。実施の形態1では特に、かご内カメラ64が撮像した撮像画像に基づいてエレベータ60内の各利用者の顔データおよび位置情報を取得し、呼び情報信号に含まれる各利用者の顔データと照合して、その照合結果とかご内の各利用者の位置に基づいてアナウンス言語の選択を行う。
【0090】
ここで、群管理制御装置10が作成する言語リストの例を図11Aに示す。
【0091】
図11Aに示すように、群管理制御装置10が作成する言語リストは、assign [c][f][d]=顔データ、言語属性というデータを含む。変数cは、利用者に割り当てられた割当号機であり、変数fは、利用者の出発階であり、変数dは、利用者の行先階である。言語リストに含める顔データは、利用者DBに登録された顔データであってもよく、顔認証用カメラ25で撮像された撮像画像に基づく顔データであってもよい。
【0092】
図11Aに示す例では、例えば、assign[3][1][10]=顔データ1、日本語というデータを含む。これは、割当号機「3号機」、出発階「1階」、行先階「10階」という割当結果の利用者について、顔データ「顔データ1」、言語属性「日本語」という情報が紐づけて格納されていることを意味する。その他のデータについても同様である。
【0093】
図11Aに示す言語リストは、一例として、割当号機が3号機(例えばエレベータ60C)である利用者に関するassign[c][f][d]のリストである。群管理制御装置10は、複数のエレベータ60毎に同様の言語リストを作成し、対応するエレベータ60がある停止階を出発するタイミングで、当該停止階を出発階とする利用者についてのassign[c][f][d]のデータを、対応するエレベータ制御装置40に送信・コピーする。送信・コピーしたassign[c][f][d]のデータについては、群管理制御装置10における言語リストから削除する。これにより、各停止階を出発する毎に、割当号機であるエレベータ60に新たに乗車する利用者についてのデータを移し替えることができる。
【0094】
群管理制御装置10からassign[c][f][d]のデータを受信したエレベータ制御装置40は、乗車中の利用者に関する顔データおよび言語属性のリストを作成・更新する。
【0095】
ここで、ある割当号機(例えば3号機)に対応するエレベータ制御装置40が有する言語リストの例を図11Bに示す。
【0096】
図11Bに示すように、エレベータ制御装置40が有する言語リストは、board[d]=顔データ、言語属性というデータを含む。図11Bに示す言語リストでは、割当号機、出発階という情報は省略されており、行先階dという情報に紐づけて、顔データ、言語属性が格納されている。
【0097】
図11Bに示す例では、例えば、board[10]=顔データ1、日本語というデータを含む。これは、割当号機のエレベータ60に乗車中の利用者の中で、行先階が10階の利用者に関して「顔データ1」、「日本語」という情報が格納されていることを意味する。当該データは、例えば、図11Aに示す言語リストにおけるassign[3][1][10]=顔データ1、日本語というデータを、割当号機「3号機」が出発階「1階」を出発するときに、3号機に対応するエレベータ制御装置40へ送信・コピーすることで追加される。その他の利用者に関するデータについても同様である。
【0098】
2-1-4.エレベータシステムの具体的動作
利用者がセキュリティゲート20を利用した際の行先階設定処理及び号機割当処理について、フローチャートを参照してより詳しく説明する。
【0099】
図12は、セキュリティサーバ100による呼び情報信号生成処理を説明したフローチャートである。本フローチャートの処理は、セキュリティゲート20毎に実行される。また、セキュリティゲート20毎の処理は並行して実行される。
【0100】
セキュリティサーバ100の制御部101は、顔認証用カメラ25から出力される画像データが示す撮像画像に顔が含まれているか否かを判断する(S11)。このステップの処理は、所定フレームレートで出力される撮像画像の各々に対して実行してもよいし、例えば数フレーム毎に1フレームだけというように間欠的に実行してもよい。
【0101】
撮像画像に顔が含まれていない場合(S11でNO)、つまり顔が検出されない場合、セキュリティサーバ100の制御部101は、ステップS11の判断を再度実行する。
【0102】
撮像画像に顔が含まれている場合(S11でYES)、つまり顔が検出された場合、セキュリティサーバ100の制御部101は、上述した顔認証処理を行うことにより、検出した顔の顔データ(顔特徴点データ)に対して所定一致率以上の一致率を有する顔データ(顔特徴点データ)が利用者DBに登録されているかを判断する(S12)。
【0103】
検出した顔の顔データに対して所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されていない場合(S12でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、セキュリティゲート20に閉鎖信号を送信する(S17)。これに伴い、セキュリティゲート20の制御部21は、ゲートフラッパ28を閉状態で維持するように制御する。
【0104】
検出した顔の顔データに対して所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されている場合(S12でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、セキュリティゲート20に開放信号を送信する(S13)。これに伴い、セキュリティゲート20の制御部21は、ゲートフラッパ28を開状態に制御する。
【0105】
セキュリティサーバ100の制御部101は、所定一致率以上の一致率を有する顔データの利用者に関する行先階、言語属性を、利用者DBから取得する(S14)。行先階は、例えば、利用者DBにおいて顔データに紐づけて格納されたデフォルト行先階である。デフォルト行先階に限らず、デフォルト行先階とは異なる行先階(変更行先階)の利用を利用者が希望する場合に、利用者DBに格納されたいずれかの許可階を行先階に決定してもよい。デフォルト行先階から変更行先階への変更方法については、行先階登録装置30を利用する場合に限らず、セキュリティゲート20で所定の変更処理を行う等、任意の方法を用いてもよい。
【0106】
セキュリティサーバ100の制御部101は、セキュリティゲート20の登録装置IDに基づいて、利用者が通過しようとするセキュリティゲート20の設置階及びロケーションを特定する(S15)。これは、利用者の出発階及びロケーションを特定することでもある。
【0107】
セキュリティサーバ100の制御部101は、ステップS14、S15で取得・特定した情報に基づいて、出発階、行先階、ロケーション、顔データ、言語属性の情報を含む呼び情報信号を生成して群管理制御装置10に送信する(S16)。呼び情報信号に含める顔データは、利用者DBに登録された顔データであってもよく、顔認証用カメラ25で撮像された撮像画像に基づく顔データであってもよい。
【0108】
図13は、群管理制御装置10による割当処理を説明したフローチャートである。
【0109】
群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100から呼び情報信号を受信したか否かを判断する(S21)。セキュリティサーバ100から呼び情報信号を受信しない場合(S21でNO)、群管理制御装置10は、ステップS21の判断を再度実行する。
【0110】
セキュリティサーバ100から呼び情報信号を受信した場合(S21でYES)、群管理制御装置10は、呼び情報信号が示す出発階、行先階をいずれかのエレベータに割り当てて、割当号機を決定する(S22)。
【0111】
群管理制御装置10は、割当結果を示す信号(割当結果信号)を、呼び情報信号が示す出発階及びロケーションのゲート表示器70に送信する(S23)。このとき、ゲート表示器70において割当号機報知画面が表示される。
【0112】
群管理制御装置10は、呼び情報信号に含まれる情報(出発階、行先階、顔データ、言語属性)に基づいて、言語リストに、assign[c][f][d]=(顔データ、言語属性)のデータを追加する(S24)。ここで、変数cは割当号機、変数fは出発階、変数dは行先階である。
【0113】
前述したように、群管理制御装置10は、図11Aに示すような言語リストを、エレベータ60毎に作成する。群管理制御装置10は、ステップS24の処理によって、割当号機に対応する言語リストに、assign[c][f][d]=顔データ、言語属性のデータを追加する。
【0114】
図14は、エレベータ60がある停止階を出発する時の群管理制御装置10による処理を説明したフローチャートである。ここでは、割当号機cがp階から出発する時のフローチャートを例示する。図14に示す処理は、複数のエレベータ60毎に並行して実行される。
【0115】
群管理制御装置10は、割当号機cがp階から出発したか否かを判断する(S31)。割当号機cがp階から出発しない場合(S31でNO)、群管理制御装置10は、ステップS31の判断を再度実行する。
【0116】
割当号機cがp階から出発した場合(S31でYES)、群管理制御装置10は、assign[c][p][d]を、割当号機cに対応するエレベータ制御装置40内の変数board[d]にコピーし、assign[c][p][d]をクリアする(S32)。すなわち、割当号機cがp階から出発したことに応じて、p階を出発階とする利用者に関する顔データおよび言語属性を、群管理制御装置10の言語リストから、割当号機cに対応するエレベータ制御装置40の言語リストに移し替える。これにより、board[d]には、割当号機cに乗車中の利用者に関する顔データと言語属性の情報が格納・更新される。
【0117】
図15は、エレベータ制御装置40によるアナウンス処理を説明したフローチャートである。
【0118】
エレベータ制御装置40は、k階へ停止直前か否かを判断する(S41)。例えば、p階から出発した割当号機cが、p階の次の停止階であるk階へ到着するT秒前(例えば1秒前)になることに応じて、k階へ停止直前と判断する。k階へ停止直前でない場合(S41でNO)、エレベータ制御装置40は、ステップS41の判断を再度実行する。
【0119】
k階へ停止直前である場合(S41でYES)、エレベータ制御装置40は、x=kであるboard[x]のデータを変数leaveにコピーし、board[x]のデータをクリアする(S42)。すなわち、k階を行先階とする利用者についての顔データおよび言語属性を、board[d]から変数leaveに移し替える。
【0120】
ここで、エレベータ60のかご内状況の例を図16に示す。図16に示す例では、4人の利用者が乗車中であり、各利用者の言語属性を「日」、「中」、「英」という頭文字で表している。「日」は、日本語の言語属性であり、「中」は、中国語の言語属性であり、「英」は、英語の言語属性である。
【0121】
実施の形態1では、概念的に、エレベータ60内のエリアを複数のエリアに分割している。例えば、扉80に近いエリア1と、扉80から遠いエリア2に分割する。図16に示す例では、扉80に近いエリア1に「中国語」の利用者と「英語」の利用者が存在し、扉80から遠いエリア2に「日本語」の利用者2人が存在している。図16では、k階を行先階とする利用者(すなわち降車客)を網掛けで表示し、k階を行先階としない利用者(すなわち非降車客)を白抜きで表示する。
【0122】
図16に示すかご内状況において、図17に示すように、エレベータ制御装置40が作成するboard[d]には、乗車中の利用者4人に関するデータが格納されている。ステップS42の実行により、k階(ここでは5階)へ停止する直前に、board[d]のデータに関して、k階を行先階とする利用者(d=k)についての顔データおよび言語属性を、変数leaveにコピーする。図17に示す例では、d=k=5階のデータとして、顔データ2、日本語のデータを含むboard[5]と、顔データ4、中国語のデータを含むboard[5]が変数leaveにコピーされる。あわせて、board[d]から、board[x]のデータがクリアされる。
【0123】
エレベータ制御装置40は、x!=kであるboard[x]のデータを変数not_leaveにコピーする(S43)。これにより、k階とは異なる階を行先階とする利用者についての顔データおよび言語属性を、board[d]からnot_leaveにコピーする。前述したステップS42とは異なり、該当する利用者についてのboard[d]のデータはクリアせずに維持する。
【0124】
ステップS42、S43の実行により、board[d]のデータを、k階を行先階とする利用者に関するデータ(変数leave)と、k階以外の階を行先階とする利用者に関するデータ(変数not_leave)に分類する。
【0125】
エレベータ制御装置40は、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて、変数leaveのデータを、2つのエリアに対応する変数であるleave_area1とleave_area2に移す(S44)。具体的には、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて、各利用者の顔データおよび位置情報を取得することができ、取得した利用者の顔データと、変数leaveに含まれる顔データとを照合し、一致した顔データに対応する位置情報に基づいて、変数leaveのデータを、変数leave_area1、変数leave_area2のいずれかに分類する。
【0126】
かご内カメラ64の撮像画像に基づいて取得される位置情報から、エレベータ60の扉80までの距離が算出されるため、当該距離に基づいて、扉80に近いエリア1のデータと、扉80から遠いエリア2のデータに分類される。変数leaveのデータのうち、扉80に近いエリア1に分類される顔データに一致する顔データおよび言語属性の情報を変数leave_area1に移し、扉80から遠いエリア2に分類される顔データに一致する顔データおよび言語属性の情報を変数leave_area2に移す。
【0127】
エレベータ制御装置40は、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて、変数not_leaveのデータを、1つのエリアに対応する変数であるnot_leave_area1に移す(S45)。具体的には、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて取得した各利用者の顔データおよび位置情報に基づいて、変数not_leaveのデータのうち、扉80に近いエリア1に分類される顔データに一致する顔データおよび言語属性の情報を変数not_leave_area1に移す。変数not_leaveのデータのうち、扉80から遠いエリア2に分類される顔データに一致する顔データおよび言語属性の情報は、アナウンスの際に使用しないため、別の変数に移す処理を実行しない。
【0128】
not_leave_area1には、k階以外の階を行先階とする利用者(すなわち非降車客)のうち、扉80に近いエリア1に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。ステップS45では、ステップS44と同じエリア1、エリア2の区分に応じて変数データの分類を行ったが、ステップS44とは異なるエリアの区分に応じて分類を行ってもよい。
【0129】
エレベータ制御装置40は、leave_area1に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S46)。図17に示す例では、leave_area1に1つ以上のデータがあると判断される(S46でYES)。この場合、エレベータ制御装置40は、leave_area1に含まれる言語で、順番に「k階です」のアナウンスを実行する(S47)。図17に示す例では、leave_area1に含まれるデータの言語属性が中国語であるため、アナウンス装置62に、中国語での「k階(5階)です」のアナウンスを実行させる。leave_area1に2種類以上の言語属性のデータがある場合は、予め定められた優先順位に基づいて各言語で順番にアナウンスを行う。
【0130】
エレベータ制御装置40は、leave_area2に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S48)。図17に示す例では、leave_area2に1つ以上のデータがあると判断される(S48でYES)。この場合、エレベータ制御装置40は、leave_area2に含まれる言語のうち、ステップS47で未アナウンスの言語でのみ、順番に「k階です」のアナウンスを実行する(S49)。図17に示す例では、leave_area2に含まれるデータの言語属性が日本語であり、ステップS47では未アナウンスの言語であるため、アナウンス装置62に、日本語での「k階(5階)です」のアナウンスを実行させる。本ステップS49においてアナウンス対象となる言語属性のデータが2種類以上ある場合は、予め定められた優先順位に基づいて各言語で順番にアナウンスを行う。
【0131】
上記フローによれば、アナウンス装置62は、エリア1に位置する降車者に向けて中国語での「k階です」のアナウンスを行った後(S47)、エリア2に位置する降車客に向けて日本語での「k階です」のアナウンスを行う(S49)。これにより、エレベータ60内の利用者の位置(すなわち扉80からの距離順)に応じて、適切なタイミングでアナウンスを行うことができる。
【0132】
leave_area1に1つ以上のデータがない場合(S46でNO)、エレベータ制御装置40は、leave_area2に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S50)。
【0133】
leave_area2に1つ以上のデータがある場合(S50でYES)、エレベータ制御装置40は、leave_area2に含まれる言語で、順番に「k階です」のアナウンスを行う(S51)。ステップS51を実行する場合、ステップS47の「k階です」のアナウンスを行っていないため、leave_area2に含まれる全ての言語でアナウンスを行う。
【0134】
ステップS51の実行に応じて、あるいは、ステップS49の実行に応じて、エレベータ制御装置40は、not_leave_area1に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S52)。図17に示す例では、not_leave_area1に1つ以上のデータがあると判断される(S52でYES)。この場合、エレベータ制御装置40は、not_leave_area1に含まれる言語属性の言語で、順番に「お通しください」のアナウンスを行う(S53)。図17に示す例では、not_leave_area1に含まれる言語属性が英語であるため、アナウンス装置62に、英語での「お通し下さい」のアナウンスを実行させる。not_leave_area1に2つ以上のデータがある場合は、ステップS47、S49と同様に、予め定められた優先順位に基づいてアナウンスを行う。
【0135】
ステップS53の実行により、k階を行先階としない利用者のうち、扉80に近いエリア1に位置する利用者に対して、当該利用者に対応する言語により、他の利用者の降車を促す内容を報知することができる。これにより、スムーズな降車を促すことができ、利用者の利便性および輸送効率の向上につながる。
【0136】
ステップS53の実行に応じて、あるいは、ステップS50でNOと判断されることに応じて、あるいは、ステップS52でNOと判断されることに応じて、エレベータ制御装置40は、leave_area1、leave_area2、not_leave_area1のデータをクリアし(S54)、ステップS41の処理に戻る。
【0137】
ステップS50でNOと判断されるのは、leave_area1とleave_area2にともにデータがない場合であり(S46、S50でともにNO)、k階を行先階とする利用者がいないため、k階への停止を知らせる報知や、降車の補助を促す報知を行う必要がない。報知を行わない場合に限らず、予め定められた1つのデフォルト言語(例えば日本語)により、k階への停止を知らせる報知や降車の補助を促す報知を行うように設定してもよい。
【0138】
ステップS52でNOと判断されるのは、not_leave_area1にデータがない場合、すなわち、k階を行先階としない利用者が扉80に近いエリア1に存在しない場合であるため、降車の補助を促す報知を行う必要がない。このため、「お通し下さい」のアナウンス(S53)を行わずに、leave_area1等のデータをクリアする。報知を行わない場合に限らず、予め定められた1つのデフォルト言語(例えば日本語)により、降車の補助を促す報知を行うように設定してもよい。
【0139】
上記フローによれば、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて各利用者の顔データおよび位置情報を取得し、取得した顔データと一致する顔データに紐づけられた言語属性の情報と、各利用者の位置情報に基づいて、より適切な内容・順序に応じてアナウンスを行うことが可能となる。k階への停止を知らせる報知に加えて、扉80から遠いエリア2にk階での降車客が存在し(S48でYES、S50でYES)、且つ扉80に近いエリア1にk階での非降車客が存在する場合に(S52でYES)、非降車客に対応するアナウンス言語により、降車の補助を促す内容を報知する(S53)。これにより、適切な場面で、適切な利用者に向けて、降車の補助を促す内容を報知することができ、利用者の利便性をさらに向上させることができる。
【0140】
その後、図12図15に示す処理を継続的に実行することで、エレベータ制御装置40の言語リストを最新の内容に更新しながら、かご内状況に応じた適切なアナウンス言語によりアナウンス装置62にかご内アナウンスを実行させることができる。
【0141】
以下、図18図19を用いて、適用例について説明する。図18図19は、k階へ停止する直前におけるエレベータ60内の状況を概略的に図示する。
【0142】
<適用例1>
図18に示す適用例1では、エリア1に3人の利用者が存在し、エリア2に6人の利用者が存在する。k階での降車客は、エリア1に1名、エリア2に5名存在する。
【0143】
図15に示したフローチャートの処理を適用すると、まず、エリア1に降車客がいることに応じて(S46でYES)、アナウンス装置62に、日本語での「k階です」のアナウンスを実行させる(S47)。その後、エリア2にも降車客がいることに応じて(S48でYES)、アナウンス装置62に、英語と中国語での「k階です」のアナウンスを実行させる(S49)。英語と中国語のアナウンスの順序は、予め定められた優先順位に基づいてもよい。
【0144】
図18に示す例では、エリア2に言語属性が日本語の降車客が存在するが、エリア1の降車者に向けての日本語での「k階です」のアナウンスを実行済みであるため、エリア2の降車者に向けての日本語での「k階です」のアナウンスは省略される。
【0145】
さらに、エリア1に非降車客がいることに応じて(S52でYES)、中国語での「お通し下さい」のアナウンスを行う(S53)。これにより、エリア1の非降車客2名に対して降車の補助を促す内容を報知することができ、エリア2に位置する降車客6名の降車がよりスムーズになる。
【0146】
<適用例2>
図19に示す適用例2では、エリア1に3人の利用者が存在し、エリア2に6人の利用者が存在する。k階での降車客は、エリア1に0名、エリア2に1名存在する。
【0147】
図15に示したフローチャートの処理を適用すると、まず、エリア1に降車客がいないため(S46でNO)、エリア1の利用者に向けての「k階です」のアナウンス(S47)は行わない。一方、エリア2に降車客がいること(S50でYES)に応じて、英語での「k階です」のアナウンスを行う(S51)。
【0148】
さらに、エリア1に非降車客がいることに応じて(S52でYES)、日本語、中国語での「お通し下さい」のアナウンスを行う(S53)。日本語と中国語のアナウンスの順序は、予め定められた優先順位に基づいてもよい。これにより、エリア1の非降車客3名に対して降車の補助を促す内容を報知することができ、エリア2に位置する降車客1名の降車がよりスムーズになる。
【0149】
3.本実施の形態の作用
本実施の形態のエレベータシステムでは、顔認証用カメラ25で撮像された撮像画像に基づいて、セキュリティゲート20を通過しようとする利用者の顔認証が行われる。群管理制御装置10は、顔認証が成功した利用者に紐づけられた行先階をいずれかのエレベータ60に割り当てる割当処理を行うとともに、各エレベータ60内のアナウンスに用いるアナウンス言語を選択するための言語リスト(assign[c][f][d])を作成する。言語リストは複数のエレベータ60毎に作成され、各利用者の顔データや言語属性等の情報が格納される。群管理制御装置10は、各エレベータ60が停止階から出発するタイミングで、当該停止階を出発階とする利用者に関する言語リストのデータを、エレベータ制御装置40の言語リスト(board[d])にコピーする。これにより、エレベータ制御装置40の言語リストに乗車中の利用者に関する顔データと言語属性が含められる。エレベータ制御装置40は、乗車中の利用者に関する言語リストのデータと、かご内カメラ64の撮像画像から取得される顔データおよび位置情報とに基づいて、アナウンス言語を選択し、選択したアナウンス言語により、アナウンス装置62にかご内アナウンスを実行させる。
【0150】
このようにして、エレベータ60内における各利用者の位置情報や言語属性に基づいて適切なアナウンス言語を選択し、かご内の利用者により適切な案内を行うことができる。
【0151】
(実施の形態2)
実施の形態2では、エレベータ60内の領域を概念的に4つのエリアに分割する。
【0152】
図20図21は、実施の形態2に関する適用例を示す図であり、k階へ停止する直前におけるエレベータ60内の状況を概略的に図示する。
【0153】
図20図21に示すように、エレベータ60内のエリアを、4つのエリアA1、A2、B1、B2に分割している。エリアA1、B1は、扉80に近いエリアであり、エリアA2、B2は、扉80から遠いエリアである。エリアA1、A2は、右側のエリアであり、エリアB1、B2は、左側のエリアである。実施の形態2と同様の方法により、各利用者の言語属性の情報を頭文字で表すとともに、k階を行先階とする利用者(降車客)を網掛けで表示し、k階以外の階を行先階とする利用者(非降車客)を白抜きで表示する。
【0154】
図22図23は、実施の形態2のエレベータ制御装置40によるアナウンス処理を説明したフローチャートである。
【0155】
実施の形態2のエレベータ制御装置40は、図15に示した実施の形態1のエレベータ制御装置40が実行する処理と同様の処理として、ステップS41~S43を実行する。ステップS41~S43の処理内容については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0156】
エレベータ制御装置40は、ステップS43の実行に応じて、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて、変数leaveのデータを、4つのエリアに対応する変数であるleave_areaA1、leave_areaA2、leave_areaB1、leave_areaB2に移す(S61)。具体的には、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて、各利用者の顔データおよび位置情報を取得し、取得した利用者の顔データと変数leaveに含まれる顔データを照合し、一致した顔データに対応する位置情報に基づいて、変数leaveのデータを、leave_areaA1、leave_areaA2、leave_areaB1、leave_areaB2のいずれかに分類する。
【0157】
leave_areaA1には、k階を行先階とする降車客のうち、扉80に近い右側のエリアA1に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。leave_areaA2には、k階を行先階とする降車客のうち、扉80から遠い右側のエリアA2に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。leave_areaB1には、k階を行先階とする降車客のうち、扉80に近い左側のエリアB1に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。leave_areaB2には、k階を行先階とする降車客のうち、扉80から遠い左側のエリアB2に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。
【0158】
エレベータ制御装置40は、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて、変数not_leaveのデータを、2つのエリアに対応する変数であるnot_leave_areaA1、not_leave_areaB1に移す(S62)。具体的には、かご内カメラ64の撮像画像に基づいて取得した各利用者の顔データおよび位置情報に基づいて、変数not_leaveのデータのうち、扉80に近い右側のエリアA1に分類される顔データに一致する顔データおよび言語属性の情報を変数not_leave_areaA1に移し、扉80に近い左側のエリアB1に分類される顔データに一致する顔データおよび言語属性の情報を変数not_leave_areaB1に移す。
【0159】
not_leave_areaA1には、k階以外の階を行先階とする非降車客のうち、エレベータ60内の扉80に近い右側のエリアA1に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。not_leave_areaB1には、k階以外の階を行先階とする非降車客のうち、エレベータ60内の扉80に近い左側のエリアB1に位置する利用者の顔データおよび言語属性の情報が格納される。
【0160】
エレベータ制御装置40は、leave_areaA1、leave_areaB1に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S63)。
【0161】
leave_areaA1、leave_areaB1の少なくとも一方にデータがある場合(S63でYES)、エレベータ制御装置40は、leave_areaA1、leave_areaB1に含まれる言語で、順番に「k階です」のアナウンスを実行する(S64)。leave_areaA1、leave_areaB1あわせて2種類以上の言語属性のデータがある場合は、予め定められた優先順位に基づいて各言語で順番にアナウンスを行う。
【0162】
エレベータ制御装置40は、leave_areaA2、leave_areaB2に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S65)。leave_areaA2、leave_areaB2の少なくとも一方にデータがある場合(S65でYES)、エレベータ制御装置40は、leave_areaA2、leave_areaB2に含まれる言語のうち、ステップS64で未アナウンスの言語でのみ、順番に「k階です」のアナウンスを実行する(S66)。ステップS66でアナウンス対象の言語属性が2種類以上ある場合は、予め定められた優先順位に基づいて各言語で順番にアナウンスを行う。
【0163】
上記フローによれば、アナウンス装置62は、扉80に近いエリアA1、B1に位置する降車者に向けての「k階です」のアナウンスを行った後(S64)、扉80から遠いエリアA2、B2に位置する降車客に向けての「k階です」のアナウンスを行う(S66)。これにより、エレベータ60内の利用者の位置(すなわち扉80からの距離順)に応じて、適切なタイミングでアナウンスを行うことができる。
【0164】
leave_areaA1、leave_areaB1のいずれにもデータがない場合(S63でNO)、エレベータ制御装置40は、leave_areaA2、leave_areaB2に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S67)。
【0165】
leave_areaA2、leave_areaB2の少なくとも一方にデータがある場合(S67でYES)、エレベータ制御装置40は、leave_areaA2、leave_areaB2に含まれる言語で、順番に「k階です」のアナウンスを行う(S68)。ステップS68を実行する場合、ステップS64の「k階です」のアナウンスを行っていないため、leave_areaA2、leave_areaB2に含まれる全ての言語でアナウンスを行う。
【0166】
ステップS68の実行に応じて、あるいは、ステップS66の実行に応じて、エレベータ制御装置40は、not_leave_areaA1、not_leave_areaB1に1つ以上のデータがあるか否かを判断する(S69)。
【0167】
not_leave_areaA1、not_leave_areaB1の少なくとも一方にデータがある場合(S69でYES)、図23に示すフローに移行する。
【0168】
具体的には、エレベータ制御装置40は、not_leave_areaA1、not_leave_areaB1のうち、not_leave_areaA1のみにデータがあるか否かを判断する(S71)。具体的には、not_leave_areaA1に1つ以上のデータがあり、not_leave_areaB1にはデータがない場合、not_leave_areaA1のみにデータがあると判断する(S71でYES)。
【0169】
この場合、エレベータ制御装置40は、not_leave_areaA1に含まれる言語で、順番に「お通し下さい」のアナウンスを行う(S72)。
【0170】
一方、not_leave_areaA1にデータがない、あるいは、not_leave_areaB1に1つ以上のデータがある場合、not_leave_areaA1のみにデータがないと判断する(S71でNO)。この場合、エレベータ制御装置40は、not_leave_areaA1、not_leave_areaB1のうち、not_leave_areaB1のみにデータがあるか否かを判断する(S73)。具体的には、not_leave_areaA1にデータがなく、not_leave_areaB1に1つ以上のデータがある場合、not_leave_areaB1のみにデータがあると判断する(S73でYES)。
【0171】
この場合、エレベータ制御装置40は、not_leave_areaB1に含まれる言語で、順番に「お通し下さい」のアナウンスを行う(S74)。
【0172】
一方、leave_areaA1のみにデータがなく(S71でNO)、leave_areaB1のみにデータがない場合(S73でNO)、すなわち、not_leave_areaA1とnot_leave_areaB1の両方にデータがある場合、エレベータ制御装置40は、not_leave_areaA1とnot_leave_areaB1に含まれる言語で、順番に「お通し下さい」のアナウンスを行う(S75)。not_leave_areaA1とnot_leave_areaB1あわせて2種類以上の言語属性のデータがある場合には、予め定められた優先順位に基づいて各言語で順番にアナウンスを行う。
【0173】
ステップS72、S74、S75の実行に応じて、エレベータ制御装置40は、leave_areaA1、leave_areaA2、leave_areaB1、leave_areaB2、not_leave_areaA1、not_leave_areaB1のデータをクリアし(S76)、ステップS41の処理に戻る。
【0174】
図22に示すように、ステップS65でNOと判定された場合、あるいはステップS67でNOと判定された場合、あるいはステップS69でNOと判定された場合、エレベータ制御装置40は、図23のフローチャートの処理において、「お通しください」のアナウンス処理を含むステップS71~S75の処理を省略して、ステップS76の処理を実行する。
【0175】
ステップS65、S67でNOと判定されるのは、後側のエリアA2、B2に降車客がいない場合であり、降車の補助を促すアナウンスが必要ない状況である。同様に、ステップS69でNOと判定されるのは、前側のエリアA1、B1に非降車客がいない場合であり、降車の補助を促すアナウンスが必要ない状況である。このため、降車の補助を促すアナウンスを省略することで、無駄なアナウンスを行わないようにしている。
【0176】
上記フローによれば、アナウンス装置62は、扉80に近いエリアA1、B1に降車者がいる場合(S63でYES)、当該降車客に対応する言語で「k階です」のアナウンスを行い(S64)、さらにその後、扉80から遠いエリアA2、B2に降車客がいる場合(S65でYES)、当該降車客に対応する言語で「k階です」のアナウンスを行う(S66)。これにより、エレベータ60内の利用者の位置(すなわち扉80からの距離順)に応じて、適切なタイミングでアナウンスを行うことができる。
【0177】
また、エリアA1、B1、A2、B2に位置する降車者に向けて「k階です」のアナウンスを行った後(S64、S66、S68)、後側のエリアA2、B2に降車客が存在し(S65でYES、S67でYES)、且つ前側のエリアA1、B1に非降車客が存在する場合(S69でYES)、アナウンス装置62は、エリアA1、B1に位置する非降車客に対応するアナウンス言語により「お通し下さい」のアナウンスを行う(S72、S74、S75)。これにより、エレベータ60内の利用者の位置情報等に応じて、適切な場面、且つ適切なアナウンス言語により降車の補助を促すアナウンスを実行することができる。このようにして、スムーズな降車および輸送効率の向上につなげることができる。
【0178】
<適用例3>
図22図23に示すフローチャートの処理を、図20に示す適用例3に適用すると、まず、扉80に近いエリアA1、B1に降車客がいることに応じて、アナウンス装置62に、中国語、日本語での「k階です」のアナウンスを実行させる(S64)。その後、扉80から遠いエリアA2にも降車客がいることに応じて(S65でYES)、アナウンス装置62に、英語での「k階です」のアナウンスを実行させる(S66)。エリアA2に言語属性が中国語の降車客が存在するが、エリアA1、B1の降車者に向けての中国語での「k階です」のアナウンスを実行済みであるため、エリアA2、B2の降車者に向けての中国語での「k階です」のアナウンスは省略される。
【0179】
さらに、扉80から遠いエリアA2に降車客が存在し(S67でYES)、且つ扉80に近いエリアA1に非降車客がいることに応じて(S69でYES、S71でNO、S73でYES)、エリアA1の非降車客に対応する中国語での「お通し下さい」のアナウンスを行う(S74)。これにより、扉80に近いエリアA1の非降車客1名に対して降車の補助を促す内容を報知することができ、エリアA2の降車客2名がよりスムーズに降車することができる。
【0180】
<適用例4>
図22図23に示すフローチャートの処理を、図21に示す適用例4に適用すると、まず、扉80に近いエリアA1、B1に降車客がいないため(S63でNO)、アナウンス装置62は、エリアA1、B1に向けての「k階です」のアナウンス(S64)を行わない。さらに、扉80から遠いエリアB2に降車客がいることに応じて(S67でYES)、英語での「k階です」のアナウンスを行う(S68)。
【0181】
さらに、扉80から遠いエリアB2に降車客が存在し(S65でYES)、且つ扉80に近いエリアA1、B1に非降車客がいることに応じて(S69でYES、S71でNO、S73でNO)、エリアA1、B1の非降車客に対応する中国語、韓国語での「お通し下さい」のアナウンスを行う(S75)。これにより、扉80に近いエリアA1、B1の非降車客3名に対して降車の補助を促す内容を報知することができ、エリアB2の降車客1名がよりスムーズに降車することができる。
【0182】
(その他の実施の形態)
前記実施の形態では、エレベータ60のかご内のエリアを分割する際に、実施の形態1については図16図18に示すような2つのエリアに分割し、実施の形態2については図19図20図21に示すような4つのエリアに分割する場合を例示したが、このような場合に限らない。分割するエリアの数は任意の数であってもよく、エリアの境界についても任意の位置で区切ってもよい。
【0183】
図24図25は、実施の形態2の変形例におけるかご内状況を概略的に示す図である(適用例5、適用例6)。図24図25に示すように、本変形例では、エレベータ60内のエリアを、概念的に4つのエリアA、B、C、Dに分割している。エリアAは、扉80に面した領域であり、エリアB、Cはそれぞれ、エリアAに隣接する左側、右側の領域であり、エリアDは、エリアB、Cに隣接する領域であってエリアAに対向しており、扉80から最も離れた位置にある。
【0184】
上記構成において、k階への停止を知らせるアナウンス(例えば「k階です」)については、例えば、扉80に近い順のエリアの利用者に向けて順番にアナウンスすればよい。具体的には、エリアAの利用者の言語属性でアナウンスし、次に、既にアナウンス済みの言語を除いて、エリアB、Cの利用者の言語属性でアナウンスし、その次に、既にアナウンス済みの言語を除いて、エリアDの利用者の言語属性でアナウンスすればよい。図24に示す適用例5では、エリアAの利用者の言語属性「日本語」でアナウンスした後、エリアCの利用者の言語属性「中国語」でアナウンスした後、エリアDの利用者の言語属性「英語」でアナウンスすればよい。図25に示す適用例6では、エリアAの利用者の言語属性「日本語」でアナウンスすればよい。エリアCの利用者の言語属性「日本語」でのアナウンスについては実施済みであるため、省略される。
【0185】
また、降車の補助を促すアナウンス(例えば「お通しください」)については、それぞれのエリアから扉80へのルートを考慮して、アナウンス言語を選択すればよい。例えば、エリアDに降車客がいる場合は、エリアA、B、Cの非降車客の言語属性でアナウンスを行ってもよい。エリアDに降車客がいない場合でも、エリアB、Cに降車客がいる場合は、エリアAの非降車客の言語属性でアナウンスを行ってもよい。図24に示す適用例5では、エリアDに降車客がいるため、エリアA、B、Cの非降車客の言語属性である「英語」、「中国語」で「お通しください」のアナウンスを行えばよい。図25に示す適用例6では、エリアDに降車客はいないが、エリアCに降車客がいるため、エリアAの非降車客の言語属性である「中国語」でアナウンスを行えばよい。
【0186】
前記実施の形態では、k階への停止を知らせるアナウンスが「k階です」である場合について説明したが、このような場合に限らず、k階への停止を知らせるものであれば任意の内容であってもよい。同様に、降車の補助を促すアナウンスが「お通しください」である場合について説明したが、このような場合に限らず、降車の補助を促すものであれば任意の内容であってもよい。
【0187】
前記実施の形態では、かご内報知部として、音声による報知を行うアナウンス装置62を用いる場合について説明したが、このような場合に限らず、表示による報知を行う表示装置等、任意のかご内報知部を用いてもよい。
【0188】
前記実施の形態では、図10に示すような利用者DBにおいて、利用者IDに紐づけて言語属性の情報を利用者ID毎に登録する場合について説明したが、このような場合に限らない。全ての利用者に言語属性の情報を登録する場合に限らず、例えば、予め定められたデフォルト言語(例えば日本語)を有する利用者については、言語属性の情報登録を省略してもよい。この場合、言語属性としては、記号“-”が設定されてもよい。
【0189】
前記実施の形態では、セキュリティサーバ100が、顔認証用カメラ25から出力される画像データが示す撮像画像に対して顔検出処理、及び顔特徴点検出処理を行い、かつ顔認証処理を行う例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、顔認証用カメラ25のコントローラが撮像画像に対して顔検出処理及び顔特徴点検出処理を行い、セキュリティサーバ100は顔認証処理だけを行ってもよい。つまり、「前記撮像部で撮像された撮像画像に基づいて、前記利用者の顔認証を行う」処理を顔認証用カメラ25とセキュリティサーバ100とで分担して行ってもよい。この場合、顔認証用カメラ25は、撮像画像の画像データに代えて顔特徴点データ(顔データ)をセキュリティサーバ100に出力する。また、セキュリティサーバ100は、受信した顔データ(顔特徴点データ)に基づいて、顔認証処理を行う。
【0190】
前記実施の形態では、本発明におけるゲートとして、ゲートフラッパ28を備えたセキュリティゲート20を例示したが、ゲートはこれに限定されない。本発明において、ゲートは、ゲートフラッパを備えていなくてもよい。この場合、前記実施の形態で説明したゲートフラッパの開閉に関連する制御は省略すればよい。また、フラッパ式に限らず、アーム式等、任意の方式のゲートに同様の制御を適用してもよい。
【0191】
前記実施の形態では、各装置の制御部は、CPU、MPU等を利用して構成され、記憶部から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。つまり、各制御部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。しかし、各制御部は、例えば、ハードウェア(電子回路)のみ、FPGA、ASIC等を利用して構成されてもよい。
【0192】
前記実施の形態では、ネットワークはEthernetであり、各装置の入出力インタフェースはLANアダプタ等を利用して構成されている。しかし、これは一例であり、ネットワークは、例えばIEEE規格に準拠した無線LANで構成され、入出力インタフェースは無線LANアダプタ等で構成されてもよい。
【0193】
前記実施の形態及におけるセキュリティサーバ100、群管理制御装置10、エレベータ制御装置40は、エレベータ60が配置されるビルに設置されることは必須ではない。例えば、これらの装置のうち任意の装置について、その装置の有する機能をクラウドサーバにより実行してもよい。この場合、エレベータ60が配置されるビルに設置されるセキュリティゲート20、行先階登録装置30、ゲート表示器70などの装置と、クラウドサーバとの間の各種信号や情報の授受は、適宜な通信方式を用いた通信により行えばよい。
【0194】
前記実施の形態において、本発明の複数の態様を説明した。しかし、本発明の具体的態様は、上述した実施の形態及び変形例に限られず、これらを組み合わせたものとすることもできる。
【0195】
(実施の形態についてのまとめ及び効果等)
(1)実施の形態のエレベータの群管理システムは、
顔認証セキュリティゲート(例えばセキュリティゲート20)と連動して、顔認証が成功した利用者の顔データに紐づけられた行先階を、複数台のエレベータ(例えばエレベータ60)のいずれかへ割り当てる制御部(例えば制御部11、エレベータ制御装置40)を備えたエレベータの群管理システムであって、
複数台のエレベータはそれぞれ、かご内で複数の報知言語(例えばアナウンス言語)により報知可能なかご内報知部(例えばアナウンス装置62)と、かご内の利用者の顔を撮像可能なかご内撮像部(例えばかご内カメラ64)とを備え、
制御部(例えばエレベータ制御装置40)は、
かご内撮像部で撮像した撮像画像に基づいて、かご内の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得し、
かご内報知部に報知を行わせる際に、各利用者の位置情報と、各利用者の顔データに紐づけられた言語属性に関する情報とに基づいて、報知に用いる報知言語を選択し、選択した報知言語でかご内報知部に報知を行わせる。
【0196】
この構成により、かご内利用者の位置情報および言語属性情報に基づいて報知言語を選択することで、かご内の状況や報知内容に応じた報知言語を選択することが可能となり、かご内の利用者により適切な案内を行うことができる。
【0197】
(2)実施の形態のエレベータの群管理システムは、
制御部(例えばエレベータ制御装置40)は、
位置情報に基づいて、エレベータ内の各利用者を、第1エリア(例えばエリア1)の利用者と、第1エリアよりも扉(例えば扉80)から遠い第2エリア(例えばエリア2)の利用者とに分類し、
第1エリアに利用者が存在する場合に、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語による第1報知を、かご内報知部(例えばアナウンス装置62)に行わせ、
第2エリアに利用者が存在する場合に、当該利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語による第2報知を、第1報知よりも後の順序、且つ第1報知に含まれる報知言語を除いて、かご内報知部に行わせる。
【0198】
この構成により、扉に近い利用者への報知を優先することで、かご内の状況に応じて適切な順序で報知を行うことができる。
【0199】
(3)実施の形態のエレベータの群管理システムにおいて、
上記順序で行う報知には、エレベータの停止階への到着を知らせる報知(例えば「k階です」)が含まれる。
【0200】
この構成により、エレベータが停止階へ到着することを利用者の位置に応じてより適切な順序で知らせることができる。
【0201】
(4)実施の形態のエレベータの群管理システムは、
制御部(例えばエレベータ制御装置40)は、
位置情報に基づいて、エレベータ内の各利用者を、第3エリア(例えばエリア1)の利用者と、第3エリアよりも扉から遠い第4エリア(例えばエリア2)の利用者とに分類し、
エレベータがある停止階(例えばk階)に到着する際に、停止階以外の階を行先階とする利用者(すなわち非降車客)が第3エリアに存在し、且つ、停止階を行先階とする利用者(すなわち降車客)が第4エリアに存在する場合に、かご内報知部(例えばアナウンス装置62)に、第3エリアの利用者の顔データに紐づけられた言語属性に対応する報知言語により、降車の補助を促す内容(例えば「お通しください」)を報知させる。
【0202】
この構成により、降車の補助を促す内容を適切な場面と報知言語で報知することができる。
【0203】
(5)実施の形態のエレベータの群管理システムにおいて、
制御部(例えば制御部11、エレベータ制御装置40)は、顔認証が成功した利用者の行先階をいずれかのエレベータ(例えばエレベータ60)に割り当てる第1制御部(例えば制御部11)と、各エレベータの動作を制御するように各エレベータに対応して設けられた第2制御部(例えばエレベータ制御装置40)とを備え、
第2制御部のそれぞれは、対応する各エレベータのかご内撮像部(例えばかご内カメラ64)およびかご内報知部(例えばアナウンス装置62)に接続されるとともに、かご内報知部の報知言語(例えばアナウンス言語)の選択を行い、選択した報知言語でかご内報知部に報知を行わせる。
【0204】
この構成により、各エレベータに対応して設けられた第2制御部が報知言語の選択を行うことで、第1制御部によるエレベータの割当処理とは切り離して報知言語の選択処理を実行することができる。
【符号の説明】
【0205】
10 群管理制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力インタフェース
20 セキュリティゲート
20a ゲート本体
20i 入口
20e 出口
25 顔認証用カメラ
26 第1センサ
27 第2センサ
28 ゲートフラッパ
30 行先階登録装置
31 制御部
32 記憶部
33 入出力インタフェース
34 表示部
35 操作部
36 顔認証用カメラ
40、40A~40F エレベータ制御装置
60、60A~60F エレベータ
62、62A~62F アナウンス装置
64、64A~64F かご内カメラ
70 ゲート表示器
100 セキュリティサーバ
101 制御部
102 記憶部
103 入出力インタフェース
【要約】
【課題】かご内の利用者により適切な案内を行うことができるエレベータの群管理システムを提供する。
【解決手段】エレベータの群管理システムは、複数台のエレベータはそれぞれ、かご内で複数の報知言語により報知可能なかご内報知部と、かご内の利用者の顔を撮像可能なかご内撮像部とを備え、制御部は、かご内撮像部で撮像した撮像画像に基づいて、かご内の利用者に関する顔データおよび位置情報を取得し、かご内報知部に報知を行わせる際に、各利用者の位置情報と、各利用者の顔データに紐づけられた言語属性に関する情報とに基づいて、報知に用いる報知言語を選択し、選択した報知言語でかご内報知部に報知を行わせる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25