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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】物品移載設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20230808BHJP
   B25J 9/02 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B65G47/90 A
B25J9/02 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022089556
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2018205273の分割
【原出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2022113733
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】清水 清
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0272542(US,A1)
【文献】特開2009-166930(JP,A)
【文献】特開2006-124122(JP,A)
【文献】特開平04-372389(JP,A)
【文献】特開2017-177244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/90-47/96
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持する第1保持部と、物品を保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備えた物品移載設備であって、
予め定められた基準方向をZ方向とし、当該Z方向視で互いに直交する2つの方向の一方をX方向、他方をY方向として、
前記駆動部は、
前記第1保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第1Z軸駆動部と、
前記第2保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第2Z軸駆動部と、
前記第1保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第1X軸駆動部と、
前記第2保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第2X軸駆動部と、
前記第1保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第1Y軸駆動部と、
前記第2保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第2Y軸駆動部と、を備え
前記制御部は
移載対象の物品である対象物品の大きさが設定寸法以上であるという条件と、前記対象物品の重量が設定重量より大きいという条件と、前記対象物品の包装種別が袋状であるという条件との少なくとも1つの条件を満たす場合に、共同移載制御を選択して実行し、
前記対象物品の大きさが前記設定寸法未満であるという条件と、前記対象物品の前記重量が前記設定重量以下であるという条件と、前記対象物品の前記包装種別が袋状でないという条件とを全て満たす場合に、独立移載制御を選択して実行し、
前記独立移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに異なる前記対象物品を保持し、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに独立に前記対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御し、
前記共同移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが共同して1つの前記対象物品を保持し、当該対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御する、物品移載設備。
【請求項2】
物品を収容する容器を、予め定められた基準位置から、前記Z方向に交差する搬送方向の一方側である搬送方向第1側に向かって搬送する搬送装置を更に備え、
前記容器は、前記Z方向の一方側であるZ方向第1側に開口する開口部を有し、
前記制御部は、前記独立移載制御又は前記共同移載制御において、前記基準位置にある前記容器に収容されている前記対象物品を前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方によって保持した後、前記容器を前記搬送方向第1側に搬送するように前記搬送装置を制御すると共に、前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方を前記搬送方向第1側に移動させながら前記Z方向第1側に移動させて前記対象物品を前記容器から取り出すように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の物品移載設備。
【請求項3】
品を収容する容器を、予め定められた基準位置から、前記Z方向に交差する搬送方向の一方側である搬送方向第1側に向かって搬送する搬送装置を更に備え、
前記容器は、前記Z方向の一方側であるZ方向第1側に開口する開口部を有し、
前記制御部は、前記独立移載制御又は前記共同移載制御において、前記基準位置にある前記容器に収容されている前記対象物品を前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方によって保持した後、前記対象物品を、保持している前記対象物品の下端が前記容器の前記Z方向第1側の端部より前記Z方向第1側となる取り出し位置まで移動させる前に、前記容器を前記搬送方向第1側に搬送するように前記搬送装置を制御すると共に、前記対象物品が前記取り出し位置に到達するまでの間、前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方を前記搬送方向第1側に移動させながら前記Z方向第1側に移動させて、前記対象物品を前記容器から取り出すように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の物品移載設備。
【請求項4】
前記第1保持部及び前記第2保持部は、前記Z方向の一方側であるZ方向第1側から前記対象物品に接近して当該対象物品を保持するように構成され、
前記共同移載制御において、
前記対象物品の前記Z方向第1側を向く面が、前記Z方向に直交する方向に沿う平坦な面である場合は、前記第1保持部と前記第2保持部とを前記Z方向において同じ位置とした状態で前記対象物品を保持し、
前記対象物品の前記Z方向第1側を向く面が、前記Z方向に直交する方向に沿う平坦な面とは異なる形状である場合は、前記第1保持部と前記第2保持部との前記Z方向の位置を異ならせた状態で前記対象物品を保持する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品移載設備。
【請求項5】
前記制御部は、前記共同移載制御では、前記Z方向視で前記第1保持部と前記第2保持部との間に前記対象物品の重心が位置する状態で前記対象物品を保持するように、前記駆動部を制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品移載設備。
【請求項6】
前記第1保持部及び前記第2保持部の夫々は、吸着によって前記対象物品を保持する吸着部を備え、
前記対象物品が袋状の物品である場合、前記制御部は、前記共同移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが前記対象物品の外縁部における互いに異なる位置を保持するように前記駆動部を制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品移載設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持する第1保持部と、物品を保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備えた物品移載設備に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。かかる物品移載設備の従来例が、特開2018-039613号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の物品移載設備では、移載装置3が、多関節アーム16とその先端に支持された吸着パッド17とを備えた垂直多関節型ロボットにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-039613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した物品移載設備では、移載装置が垂直多関節型ロボットにより構成されているが、このような垂直多関節型ロボットは高価であり且つ制御が複雑であるため、このような移載装置を備えた物品移載設備の設置コストが高くなり易い。また、物品の移載効率を高めるため、或いは、多様な物品の移載を可能にするためには、垂直多関節型ロボットを複数設置したり、垂直多関節型ロボットの能力を高めたりすることが必要となるため、更に物品移載設備の設置コストが高くなり易い。
【0005】
そこで、設置コストを抑えることができる物品移載設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品移載設備の特徴構成は、物品を保持する第1保持部と、物品を保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
予め定められた基準方向をZ方向とし、当該Z方向視で互いに直交する2つの方向の一方をX方向、他方をY方向として、前記駆動部は、前記第1保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第1Z軸駆動部と、前記第2保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第2Z軸駆動部と、前記第1保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第1X軸駆動部と、前記第2保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第2X軸駆動部と、前記第1保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第1Y軸駆動部と、前記第2保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第2Y軸駆動部と、を備え、前記制御部は、移載対象の物品である対象物品の大きさが設定寸法以上であるという条件と、前記対象物品の重量が設定重量より大きいという条件と、前記対象物品の包装種別が袋状であるという条件との少なくとも1つの条件を満たす場合に、共同移載制御を選択して実行し、前記対象物品の大きさが前記設定寸法未満であるという条件と、前記対象物品の前記重量が前記設定重量以下であるという条件と、前記対象物品の前記包装種別が袋状でないという条件とを全て満たす場合に、独立移載制御を選択して実行し、前記独立移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに異なる前記対象物品を保持し、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに独立に前記対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御し、前記共同移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが共同して1つの前記対象物品を保持し、当該対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御する点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、第1Z軸駆動部、第1X軸駆動部、及び第1Y軸駆動部は、いずれも第1保持部を直線方向に案内しつつ移動させる簡素な構成であるため、第1保持部をZ方向、X方向、及びY方向の何れの方向にも移動させることができながら、制御部による制御が行い易く且つ各駆動部を安価に構成できる。
また、第1保持部、第1Z軸駆動部、第1X軸駆動部、及び第1Y軸駆動部に加えて、第2保持部、第2Z軸駆動部、第2X軸駆動部、及び第2Y軸駆動部を備えている。そのため、制御部が独立移載制御を実行することで、第1保持部と第2保持部とが互いに異なる対象物品を保持して複数の対象物品を同時に移載することができ、対象物品を効率よく移載することができる。また、制御部が共同移載制御を実行することで、大きさや形状や材質によって1つの保持部では保持できない対象物品を、第1保持部と第2保持部とが共同で保持して移載することができるため、多様な対象物品を移載することができる。
このように、本特徴構成によれば、対象物品の効率の良い移載と多様な対象物品の移載とを行うことができる構成を、物品移載設備の設置コストを低く抑えつつ実現することができる。
【0008】
上記に鑑みた、別の物品移載設備の特徴構成は、物品を保持する第1保持部と、物品を保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
予め定められた基準方向をZ方向とし、当該Z方向視で互いに直交する2つの方向の一方をX方向、他方をY方向として、前記駆動部は、前記第1保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第1Z軸駆動部と、前記第2保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第2Z軸駆動部と、前記第1保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第1X軸駆動部と、前記第2保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第2X軸駆動部と、前記第1保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第1Y軸駆動部と、前記第2保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第2Y軸駆動部と、を備え、前記制御部は、独立移載制御と共同移載制御とを選択的に実行し、前記独立移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに異なる移載対象の物品である対象物品を保持し、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに独立に前記対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御し、前記共同移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが共同して1つの前記対象物品を保持し、当該対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御し、物品を収容する容器を、予め定められた基準位置から、前記Z方向に交差する搬送方向の一方側である搬送方向第1側に向かって搬送する搬送装置を更に備え、前記容器は、前記Z方向の一方側であるZ方向第1側に開口する開口部を有し、前記制御部は、前記独立移載制御又は前記共同移載制御において、前記基準位置にある前記容器に収容されている前記対象物品を前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方によって保持した後、前記対象物品を、保持している前記対象物品の下端が前記容器の前記Z方向第1側の端部より前記Z方向第1側となる取り出し位置まで移動させる前に、前記容器を前記搬送方向第1側に搬送するように前記搬送装置を制御すると共に、前記対象物品が前記取り出し位置に到達するまでの間、前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方を前記搬送方向第1側に移動させながら前記Z方向第1側に移動させて、前記対象物品を前記容器から取り出すように前記駆動部を制御する点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、第1Z軸駆動部、第1X軸駆動部、及び第1Y軸駆動部は、いずれも第1保持部を直線方向に案内しつつ移動させる簡素な構成であるため、第1保持部をZ方向、X方向、及びY方向の何れの方向にも移動させることができながら、制御部による制御が行い易く且つ各駆動部を安価に構成できる。
また、第1保持部、第1Z軸駆動部、第1X軸駆動部、及び第1Y軸駆動部に加えて、第2保持部、第2Z軸駆動部、第2X軸駆動部、及び第2Y軸駆動部を備えている。そのため、制御部が独立移載制御を実行することで、第1保持部と第2保持部とが互いに異なる対象物品を保持して複数の対象物品を同時に移載することができ、対象物品を効率よく移載することができる。また、制御部が共同移載制御を実行することで、大きさや形状や材質によって1つの保持部では保持できない対象物品を、第1保持部と第2保持部とが共同で保持して移載することができるため、多様な対象物品を移載することができる。
このように、本特徴構成によれば、対象物品の効率の良い移載と多様な対象物品の移載とを行うことができる構成を、物品移載設備の設置コストを低く抑えつつ実現することができる。
さらに、この特徴構成によれば、基準位置にある容器に収容されている対象物品を第1保持部及び第2保持部の少なくとも一方によって保持した後で、且つ、当該対象物品を容器から取り出す前に、搬送装置による容器の搬送を開始することで、対象物品を容器から取り出した後に搬送装置による容器の搬送を開始する場合に比べて、容器の搬送効率を高めることができる。
また、このような容器の搬送を行う場合、移動中の容器の側壁と容器から取り出す前の対象物品とが接触する虞があるが、対象物品を保持している第1保持部及び第2保持部の少なくとも一方を搬送方向第1側に移動させながらZ方向第1側に移動させることで、対象物品が容器と接触することを回避しながら対象物品を容器から取り出すことができる。
このように本構成によれば、対象物品が容器に接触することを回避しながら容器の搬送効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品移載設備の斜視図
図2】物品移載設備の平面図
図3】物品移載設備の側面図
図4】物品移載設備の正面図
図5】移載装置の一部拡大斜視図
図6】制御ブロック図
図7】移載制御のフローチャート
図8】選択制御のフローチャート
図9】共同移載制御のフローチャート
図10】独立移載制御のフローチャート
図11】共同移載制御の吸着動作を示す平面図
図12】共同移載制御の吸着解除動作を示す平面図
図13】共同移載制御の吸着動作を示す正面図
図14】独立移載制御の同時吸着動作を示す平面図
図15】独立移載制御の同時吸着解除動作を示す平面図
図16】独立移載制御の順次吸着動作を示す平面図
図17】独立移載制御の順次吸着動作を示す平面図
図18】独立移載制御の順次吸着解除動作を示す平面図
図19】独立移載制御の順次吸着解除動作を示す平面図
図20】共同移載制御における保持部が吸着位置にある状態を示す側面図
図21】共同移載制御における保持部の吸着位置から取出位置への移動を示す側面図
図22】共同移載制御における保持部が吸着解除位置にある状態を示す側面図
図23】共同移載制御における保持部の吸着解除位置から退避位置への移動を示す側面図
図24】別実施形態(7)における物品移載設備の斜視図
図25】別実施形態(9)における物品移載設備の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
物品移載設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品移載設備は、第1容器C1を搬送する第1搬送装置1と、第2容器C2を搬送する第2搬送装置2と、第1容器C1から第2容器C2に物品Wを移載する移載装置3と、を備えている。以下、物品移載設備の構成について説明を加えるが、予め定められた基準方向をZ方向Zとし、当該Z方向視で互いに直交する2つの方向の一方をX方向X、他方をY方向Yとして説明する。また、X方向Xの一方側をX方向第1側X1、その反対側をX方向第2側X2として説明する。また、Y方向Yの一方側をY方向第1側Y1、その反対側をY方向第2側Y2として説明する。本実施形態では、上下方向をZ方向Z(基準方向)としており、X方向X及びY方向Yは、いずれもZ方向Zに対して直交している。
【0012】
図1及び図2に示すように、第1搬送装置1は、第1容器C1を規定の搬送方向に沿って一方向に搬送する。本実施形態では、第1搬送装置1は、ローラコンベヤにより構成されたコンベヤ装置であり、第1容器C1をX方向Xに沿ってX方向第1側X1に搬送する。第1搬送装置1の搬送経路の途中に、第1位置P1が設定されている。第1搬送装置1は、第1位置P1にある第1容器C1を第1位置P1から搬送し、別の第1容器C1を第1位置P1に搬送する。第1搬送装置1により第1位置P1に搬送される第1容器C1には物品Wが一つ以上収容されている。尚、本実施形態では、Z方向Zは、第1位置P1にある第1容器C1における載置部5の上面(収容した物品Wを載置する面)に対して直交する方向に一致している。また、第1容器C1が、物品Wを収容する容器に相当する。第1位置P1が、予め定められた基準位置に相当する。X方向Xが搬送方向に相当し、X方向第1側X1が、Z方向Zに交差する搬送方向の一方側である搬送方向第1側に相当する。第1搬送装置1が、容器を基準位置から搬送方向第1側に向かって搬送する搬送装置に相当する。
【0013】
第2搬送装置2は、第2容器C2を規定の搬送方向に沿って一方向に搬送する。本実施形態では、第2搬送装置2は、ローラコンベヤにより構成されたコンベヤ装置であり、第2容器C2をX方向Xに沿ってX方向第2側X2に搬送する。第2搬送装置2の搬送経路の途中に、第2位置P2が設定されている。第2搬送装置2は、第2位置P2にある第2容器C2を第2位置P2から搬送し、別の第2容器C2を第2位置P2に搬送する。第2搬送装置2により第2位置P2に搬送される第2容器C2には物品Wは収容されていないが、第2位置P2から搬送される第2容器C2には、移載装置3により収容された物品Wが収容されている。第2位置P2は、X方向Xにおいて第1位置P1と同じ位置に設定されており、第1位置P1に対してY方向第1側Y1に設定されている。
【0014】
物品移載設備では、物品Wを収容した第1容器C1が第1搬送装置1により第1位置P1に搬送され、空の第2容器C2が第2搬送装置2により第2位置P2に搬送される。そして、移載装置3は、第1位置P1にある第1容器C1に収容されている物品Wを保持して取り出し、その取り出した物品Wを第2位置P2にある第2容器C2に収容した後に当該物品Wに対する保持を解除するようにして、物品Wを第1容器C1から第2容器C2に移載する。取り出すべき物品Wが全て取り出された第1容器C1は、第1搬送装置1により第1位置P1から搬送される。また、収容すべき物品Wが全て収容された第2容器C2は、第2搬送装置2により第2位置P2から搬送される。
【0015】
図5に示すように、第1容器C1及び第2容器C2の夫々は、物品Wを載置する載置部5と、載置部5の周囲に立設された側壁部6と、を有しており、側壁部6の上端部によって開口部7が形成されている。このように、第1容器C1及び第2容器C2の夫々は、Z方向Zの一方側であるZ方向第1側Z1(上方側)に開口する開口部7を有している。本実施形態では、第1容器C1及び第2容器C2のZ方向視の形状(載置部5の形状)は矩形状に形成されている。図1に示すように、第1容器C1は、第1容器C1の短手方向がX方向Xに沿う姿勢で、第1搬送装置1により搬送される。また、第2容器C2は、第2容器C2の短手方向がX方向Xに沿う姿勢で第2搬送装置2により搬送される。
【0016】
第1容器C1に収容されている物品Wは、袋状の物品Wや箱状の物品Wである。本実施形態では、袋状の物品Wは、例えば合成樹脂製や紙製等の柔軟性が高い袋に収容物を収容したものである。また、箱状の物品Wは、例えば合成樹脂製や紙製等の箱状の包装体に収容物を収容したものである。この包装体は、必要に応じて合成樹脂製のフィルム等のシート状の包装材によって包まれている。
【0017】
図5に示すように、物品移載設備は、物品Wを保持する第1保持部11と、物品Wを保持する第2保持部12と、物品Wを保持する第3保持部13と、物品Wを保持する第4保持部14と、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14を移動させる駆動部15と、を備えている。これら、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、第4保持部14、及び駆動部15は、移載装置3に備えられている。
【0018】
第1保持部11は、第1支持体16の下端部に連結されている。第1保持部11は、1つ又は複数の吸着パッド20を備えている。本実施形態では、第1保持部11は、物品Wに対してZ方向第1側Z1から吸着する吸着パッド20を3つ備えており、3つの吸着パッド20のうちの一部又は全部を物品Wに吸着させることで、物品WにおけるZ方向第1側Z1を向く面に吸着して物品Wを保持する。このように、第1保持部11は、Z方向第1側Z1から物品Wに接近して当該物品Wを保持するように構成されている。尚、吸着パッド20が、吸着によって物品Wを保持する吸着部に相当する。
【0019】
第2保持部12は、第2支持体17の下端部に連結されている。第3保持部13は、第3支持体18の下端部に連結されている。第4保持部14は、第4支持体19の下端部に連結されている。第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14の夫々は、第1保持部11と同様に、1つ又は複数の吸着パッド20を備えており、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14は、いずれもZ方向第1側Z1から物品Wに接近して当該物品Wを保持するように構成されている。
【0020】
図1から図4に示すように、駆動部15は、第1保持部11をZ方向Zに案内しつつ移動させる第1Z軸駆動部21と、第2保持部12をZ方向Zに案内しつつ移動させる第2Z軸駆動部22と、第3保持部13をZ方向Zに案内しつつ移動させる第3Z軸駆動部23と、第4保持部14をZ方向Zに案内しつつ移動させる第4Z軸駆動部24と、を備えている。
【0021】
第1Z軸駆動部21は、第1支持体16の上部に連結されている第1Z軸移動体26をZ方向Zに案内する第1Z軸案内体27と、第1Z軸移動体26をZ方向Zに移動させる第1Z軸駆動機構28と、を備えている。本実施形態では、第1Z軸案内体27は、Z方向Zに沿って設置されたレール部材によって構成されており、第1Z軸移動体26は第1Z軸案内体27に係合している。また、本実施形態では、第1Z軸駆動機構28は、第1Z軸移動体26が螺合するボールネジと、当該ボールネジを回転させる電動モータと、で構成されている。第1Z軸駆動機構28は、電動モータの駆動によりボールネジを回転させることで、第1Z軸移動体26をZ方向Zに移動させる。第1Z軸駆動部21は、第1Z軸案内体27による案内と第1Z軸駆動機構28の駆動とにより、第1Z軸移動体26をZ方向Zに案内しつつ移動させる。これにより、第1保持部11がZ方向Zに案内されつつ移動する。
【0022】
第2Z軸駆動部22は、第1Z軸駆動部21と同様に、第2支持体17の上部に連結されている第2Z軸移動体31をZ方向Zに案内する第2Z軸案内体32と、第2Z軸移動体31をZ方向Zに移動させる第2Z軸駆動機構33と、を備えている。第3Z軸駆動部23は、第1Z軸駆動部21と同様に、第3支持体18の上部に連結されている第3Z軸移動体36をZ方向Zに案内する第3Z軸案内体37と、第3Z軸移動体36をZ方向Zに移動させる第3Z軸駆動機構38と、を備えている。第4Z軸駆動部24は、第1Z軸駆動部21と同様に、第4支持体19の上部に連結されている第4Z軸移動体41をZ方向Zに案内する第4Z軸案内体42と、第4Z軸移動体41をZ方向Zに移動させる第4Z軸駆動機構43と、を備えている。
【0023】
駆動部15は、更に、第1保持部11をY方向Yに案内しつつ移動させる第1Y軸駆動部46と、第2保持部12をY方向Yに案内しつつ移動させる第2Y軸駆動部47と、第3保持部13をY方向Yに案内しつつ移動させる第3Y軸駆動部48と、第4保持部14をY方向Yに案内しつつ移動させる第4Y軸駆動部49と、を備えている。
【0024】
第1Y軸駆動部46は、第1Z軸案内体27の下部に連結されている第1Y軸移動体51をY方向Yに案内する第1Y軸案内体52と、第1Y軸移動体51をY方向Yに移動させる第1Y軸駆動機構53(図1参照)と、を備えている。本実施形態では、第1Y軸案内体52は、Y方向Yに沿って設置されたレール部材によって構成されており、第1Y軸移動体51は第1Y軸案内体52に係合している。また、本実施形態では、第1Z軸駆動機構28は、第1Y軸移動体51が螺合するボールネジと、当該ボールネジを回転させる電動モータと、で構成されている。第1Y軸駆動部46は、第1Y軸案内体52による案内と第1Y軸駆動機構53の駆動とにより、第1Y軸移動体51をY方向Yに沿って案内しつつ移動させる。これにより、第2保持部12がY方向Yに案内されつつ移動する。
【0025】
第2Y軸駆動部47は、第1Y軸駆動部46と同様に、第2Z軸案内体32の下部に連結されている第2Y軸移動体56をY方向Yに案内する第2Y軸案内体57と、第2Y軸移動体56をY方向Yに移動させる第2Y軸駆動機構58(図1参照)と、を備えている。第3Y軸駆動部48は、第1Y軸駆動部46と同様に、第3Z軸案内体37の下部に連結されている第3Y軸移動体61をY方向Yに案内する第1Y軸案内体52と、第3Y軸移動体61をY方向Yに移動させる第3Y軸駆動機構63(図1参照)と、を備えている。尚、第1Y軸案内体52は、第1Y軸駆動部46と第3Y軸駆動部48とで兼用されている。第4Y軸駆動部49は、第1Y軸駆動部46と同様に、第4Z軸案内体42の下部に連結されている第4Y軸移動体66をY方向Yに案内する第2Y軸案内体57と、第4Y軸移動体66をY方向Yに移動させる第4Y軸駆動機構68(図1参照)と、を備えている。尚、第2Y軸案内体57は、第2Y軸駆動部47と第4Y軸駆動部49とで兼用されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、駆動部15は、更に、第1保持部11をX方向Xに案内しつつ移動させる第1X軸駆動部71と、第2保持部12をX方向Xに案内しつつ移動させる第2X軸駆動部72と、第3保持部13をX方向Xに案内しつつ移動させる第3X軸駆動部73と、第4保持部14をX方向Xに案内しつつ移動させる第4X軸駆動部74と、を備えている。
【0027】
第1X軸駆動部71は、第1Y軸案内体52のY方向第2側Y2の部分に連結されている第1X軸移動体76をX方向Xに案内する第1X軸案内体77と、第1Y軸案内体52のY方向第1側Y1の部分に連結されている第2X軸移動体78(図2参照)をX方向Xに案内する第2X軸案内体79と、第1X軸移動体76をX方向Xに移動させる第1X軸駆動機構80と、第2X軸移動体78をX方向Xに移動させる第2X軸駆動機構81と、を備えている。第3X軸駆動部73は、第1X軸案内体77と第2X軸案内体79と第1X軸駆動機構80と第2X軸駆動機構81とを備えている。すなわち、第1X軸案内体77及び第2X軸案内体79は、第1X軸駆動部71と第3X軸駆動部73とで兼用されている。また、第1X軸駆動機構80及び第2X軸駆動機構81は、第1X軸駆動部71と第3X軸駆動部73とで兼用されている。
【0028】
本実施形態では、第1X軸案内体77及び第2X軸案内体79の夫々は、X方向Xに沿って設置されたレール部材によって構成されており、第1X軸移動体76は第1X軸案内体77に係合し、第2X軸移動体78は第2X軸案内体79に係合している。また、本実施形態では、第1X軸駆動機構80は、第1X軸移動体76が螺合するボールネジと、当該ボールネジを回転させる電動モータと、で構成されている。また、第2X軸駆動機構81は、第2X軸移動体78が螺合するボールネジと、当該ボールネジを回転させる電動モータと、で構成されている。互いに兼用される第1X軸駆動部71及び第3X軸駆動部73は、第1X軸案内体77による案内と第1X軸駆動機構80の駆動とにより、第1X軸移動体76をX方向Xに沿って案内しつつ移動させると共に、第2X軸案内体79による案内と第2X軸駆動機構81の駆動とにより、第2X軸移動体78をX方向Xに沿って案内しつつ移動させる。これにより、第1保持部11及び第3保持部13がX方向Xに案内されつつ移動する。
【0029】
第2X軸駆動部72は、第1X軸駆動部71と同様に、第2Y軸案内体57のY方向第2側Y2の部分に連結されている第3X軸移動体83をX方向Xに案内する第1X軸案内体77と、第2Y軸案内体57のY方向第1側Y1の部分に連結されている第4X軸移動体84をX方向Xに案内する第2X軸案内体79と、第3X軸移動体83をX方向Xに移動させる第3X軸駆動機構85と、第4X軸移動体84をX方向Xに移動させる第4X軸駆動機構86と、を備えている。第4X軸駆動部74は、第1X軸案内体77と第2X軸案内体79と第3X軸駆動機構85と第4X軸駆動機構86とを備えている。すなわち、第1X軸案内体77及び第2X軸案内体79は、第1X軸駆動部71と第3X軸駆動部73とで兼用されていることに加えて、第2X軸駆動部72と第4X軸駆動部74とでも兼用されている。また、第3X軸駆動機構85及び第4X軸駆動機構86は、第2X軸駆動部72と第4X軸駆動部74とで兼用されている。
【0030】
本実施形態では、第3X軸移動体83は第1X軸案内体77に係合し、第4X軸移動体84は第2X軸案内体79に係合している。また、本実施形態では、第3X軸駆動機構85は、第3X軸移動体83が螺合するボールネジと、当該ボールネジを回転させる電動モータと、で構成されている。また、第4X軸駆動機構86は、第4X軸移動体84が螺合するボールネジと、当該ボールネジを回転させる電動モータと、で構成されている。互いに兼用される第2X軸駆動部72及び第4X軸駆動部74は、第1X軸案内体77による案内と第3X軸駆動機構85の駆動とにより、第3X軸移動体83をX方向Xに沿って案内しつつ移動させると共に、第2X軸案内体79による案内と第4X軸駆動機構86の駆動とにより、第4X軸移動体84をX方向Xに沿って案内しつつ移動させる。これにより、第2保持部12及び第4保持部14がX方向Xに案内されつつ移動する。
【0031】
図1及び制御ブロック図である図6に示すように、物品移載設備は、第1撮像装置89と第2撮像装置90とを備えている。第1撮像装置89は、第1位置P1にある第1容器C1の上端より上方に設置されており、第1位置P1にある第1容器C1及びその第1容器C1に収容されている物品Wを撮像可能に設置されている。第2撮像装置90は、第2位置P2にある第2容器C2の上端より上方に設置されており、第2位置P2にある第2容器C2及びその第2容器C2に収容されている物品Wを撮像可能に設置されている。
【0032】
図6に示すように、物品移載設備は、第1搬送装置1、第2搬送装置2、及び移載装置3を制御する制御装置Hを備えている。制御装置Hは、第1撮像装置89から送信される撮像情報に基づいて、第1位置P1にある第1容器C1の位置及び姿勢、並びに、その第1容器C1に収容されている物品Wの位置及び姿勢を認識する。また、制御装置Hは、第2撮像装置90から送信される撮像情報に基づいて、第2位置P2にある第2容器C2の位置及び姿勢、並びに、その第2容器C2に収容されている物品Wの位置及び姿勢を認識する。制御装置Hは、移載対象の物品Wである対象物品WTの大きさ、形状及び材質のうちの少なくとも一つに応じて、独立移載制御と共同移載制御とを選択的に実行する。尚、制御装置Hが、駆動部15を制御する制御部に相当する。
【0033】
物品Wは、種類ごとに異なる物品コードが割り当てられている。制御装置Hには、物品コードと物品情報とが関連付けて記憶されている。物品情報は、物品Wの大きさ(長さ、幅、高さ)、重量、包装種別(包装体が袋状か箱状)、及び重心位置等を示す情報である。制御装置Hは、複数の出荷先のそれぞれに出荷する物品Wの種類及び数量を示すオーダー情報を取得している。オーダー情報には、物品Wの種類ごとに各別に設定された商品コードを示すコード情報と、コード情報により示された各商品コードに対応する種類の物品Wの個数を示す個数情報と、が含まれている。
【0034】
図7のフローチャートに示すように、制御装置Hは、選択制御を実行(S1)して、独立移載制御又は共同移載制御を選択し、この選択制御により共同移載制御が選択された場合(S2:Yes)は、共同移載制御を実行(S3)し、独立移載制御が選択された場合(S3:No)は、独立移載制御を実行(S4)する。
【0035】
図8に示す選択フローチャートに示すように、選択制御では、オーダー情報に基づいて、対象物品WTが小物品、中物品、大物品の何れに該当するかを判断し、対象物品WTが大物品である場合(S11:Yes)は、共同移載制御を選択(S12)し、対象物品WTが小物品である場合(S11:No、S13:No)は、独立移載制御を選択(S14)する。また、選択制御では、対象物品WTが中物品(S11:No、S13:Yes)である場合において、対象物品WTの重量が設定重量より大きい場合(S15:Yes)や、対象物品WTの包装種別が袋状である場合(S16:Yes)は、共同移載制御を選択し、これらの条件の何れにも該当しない場合(S15:No、S16:No)は、独立移載制御を選択する。このように、制御装置Hは、対象物品WTの大きさ、形状、重量、及び包装種別に応じて、独立移載制御か協働移載制御かを選択的に実行する。
【0036】
一例として、Z方向第1側Z1を向く面の面積が第1設定値より大きい物品Wを、大物品とし、Z方向第1側Z1を向く面の面積が第2設定値未満の物品Wを、小物品とし、Z方向第1側Z1を向く面の面積が第1設定値未満で且つ第2設定値以上の物品Wを、中物品とすることができる。尚、中物品及び大物品は、Z方向第1側Z1を向く面が、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14の4つの保持部によって同時に保持可能な大きさ及び形状となっている。
【0037】
共同移載制御では、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14とが共同して1つの対象物品WTを保持し、当該対象物品WTの移載動作を行うように駆動部15を制御する。そして、共同移載制御では、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14とが対象物品WTの外縁部における互いに異なる位置を保持するように駆動部15を制御する。このように、共同移載制御では、第1保持部11と第2保持部12とが共同して1つの対象物品WTを保持し、当該対象物品WTの移載動作を行うように駆動部15を制御する。また、共同移載制御では、図11及び図12に示すように、Z方向Z視で、第1保持部11と第2保持部12との間に対象物品WTの重心Gが位置する状態で対象物品WTを保持するように、駆動部15を制御する。また、共同移載制御では、第1保持部11と前記第2保持部12とが対象物品WTの外縁部における互いに異なる位置を保持するように駆動部15を制御する。
【0038】
図9のフローチャートに示すように、共同移載制御では、共同同時吸着制御を実行(S31)した後、共同同時吸着解除制御を実行する(S32)。
共同同時吸着制御は、図11に示すように、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14(以下、4つの保持部と称する)を、第1位置P1にある第1容器C1に収容されている1つの対象物品WTに対してZ方向Zに重なる位置まで移動させた後、4つの保持部を対象物品WTに接触する吸着位置までZ方向第2側Z2に移動させて4つの保持部によって1つの対象物品WTを保持し、その後、保持している対象物品WTの下端が第1容器C1のZ方向第1側Z1の端部よりZ方向第1側Z1となる取出位置まで移動させるように、駆動部15を制御する。
共同同時吸着解除制御は、図12に示すように、4つの保持部を第2位置P2にある第2容器C2における収容位置に対してZ方向Zに重なる位置まで移動させた後、保持している対象物品WTが第2容器C2の載置部5に近接又は接触する吸着解除位置まで4つの保持部をZ方向第2側Z2に移動させ、4つの保持部による1つの対象物品WTに対する保持を解除し、その後、4つの保持部の下端が第1容器C1の側壁部6におけるZ方向第1側Z1の端部よりZ方向第1側Z1となる回避位置まで移動させるように、駆動部15を制御する。
【0039】
上述のように、4つの保持部を対象物品WTに接触するまでZ方向第2側Z2に移動させた状態で対象保持部によって1つの対象物品WTを保持する。そのため、図13に示すように、対象物品WTのZ方向第1側Z1を向く面がX方向X及びY方向Yに沿う平坦な面とは異なる場合に、対象物品WTを保持する際の4つの保持部の一部又は全ての位置(吸着位置)がZ方向Zに互いに異なる場合がある。
つまり、共同移載制御において、対象物品WTのZ方向第1側Z1を向く面が、Z方向Zに直交する方向(X方向X及びY方向Y)に沿う平坦な面である場合は、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14とをZ方向Zにおいて同じ位置とした状態で対象物品WTを保持する。しかし、共同移載制御において、対象物品WTのZ方向第1側Z1を向く面が、Z方向Zに直交する方向(X方向X及びY方向Y)に沿う平坦な面とは異なる形状である場合は、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14との一部又は全てのZ方向Zの位置を異ならせた状態で対象物品WTを保持する。
【0040】
例えば、図13に示すように、対象物品WTのZ方向第1側Z1を向く面が、X方向XにのみZ方向Zに直交する方向に対して傾斜し、Y方向には傾斜していない場合がある。
このような場合は、第1保持部11と第2保持部12とはZ方向Zに異なる位置で且つ第3保持部13と第4保持部14とはZ方向Zに異なる位置で対象物品WTを保持するが、第1保持部11と第3保持部13とはZ方向Zに同じ位置で且つ第2保持部12と第4保持部14とはZ方向Zに同じ位置で対象物品WTを保持することになる。
【0041】
独立移載制御は、同時に移載する対象物品WTが4つある場合、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14とが互いに異なる対象物品WTを保持し、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14とが互いに独立に対象物品WTの移載動作を行うように駆動部15を制御する。また、独立移載制御は、同時に移載する対象物品WTが1つ以上3つ以下の場合、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14とのうちの一部の保持部が互いに異なる対象物品WTを保持し、その一部の保持部が対象物品WTの移載動作を行うように駆動部15を制御する。このように、独立移載制御では、第1保持部11と第2保持部12とが互いに異なる対象物品WTを保持し、第1保持部11と第2保持部12とが互いに独立に対象物品WTの移載動作を行うように駆動部15を制御する。
【0042】
図10のフローチャートに示すように、独立移載制御では、対象物品WTを保持する保持部が対象物品WTを同時に保持可能な場合(S41:Yes、図14に示す状態)は、独立同時吸着制御を実行し(S42)、対象物品WTを保持する保持部が対象物品WTを同時に保持不可能な場合(S41:No、図16及び図17に示す状態)は、独立順次吸着制御を実行する(S43)。また、独立移載制御では、対象物品WTに対する保持を解除する保持部が同時に保持の解除が可能な場合(S44:Yes、図15に示す状態)は、独立同時吸着解除制御を実行し(S45)、対象物品WTに対する保持を解除する保持部が同時に保持の解除が不可能な場合(S44:No、図18及び図19に示す状態)は、独立順次吸着解除制御を実行する(S46)。
【0043】
独立同時吸着制御及び独立順次吸着制御は、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14のうちの対象物品WTを保持する保持部(独立同時吸着制御を実行する場合は1つ又は複数の保持部であり、独立順次吸着制御を実行する場合は複数の保持部である。以下、対象保持部と称する)の夫々を、第1位置P1にある第1容器C1に収容されている1つ又は複数の対象物品WTに対してZ方向Zに重なる位置まで移動させた後、対象保持部を対象物品WTに接触する接触位置までZ方向第2側Z2に移動させて対象保持部の夫々が互いに異なる対象物品WTを保持し、その後、保持している対象物品WTの下端が第1容器C1のZ方向第1側Z1の端部よりZ方向第1側Z1となる取出位置まで移動させるように、駆動部15を制御する。独立同時吸着制御では、図14に示すように、1つの対象保持部が上記の動作を行い、又は、複数の対象保持部が上記の動作を同時に行い、独立順次吸着制御では、図16及び図17に示すように、複数の対象保持部が上記の動作を順次行う。
【0044】
独立同時吸着解除制御及び独立順次吸着解除制御は、対象保持部を第2位置P2にある第2容器C2における収容位置に対してZ方向Zに重なる位置まで移動させた後、保持している対象物品WTが第2容器C2の載置部5に接触する吸着解除位置までZ方向第2側Z2に移動させ、対象保持部による1つの対象物品WTに対する保持を解除し、その後、対象保持部の下端が第1容器C1の側壁部6におけるZ方向第1側Z1の端部よりZ方向第1側Z1となる回避位置まで移動させるように、駆動部15を制御する。独立同時吸着解除制御では、図15に示すように、1つの対象保持部が上記の動作を行い、又は、複数の対象保持部が上記の動作を同時に行い、独立順次吸着解除制御では、図18及び図19に示すように、複数の対象保持部が上記の動作を順次行う。
【0045】
また、制御装置Hは、独立移載制御又は共同移載制御において、第1位置P1にある第1容器C1に収容されている対象物品WTを第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14のうちの少なくとも1つによって保持した後、第1容器C1をX方向第1側X1(搬送方向第1側)に搬送するように第1搬送装置1を制御すると共に、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14のうちの少なくとも1つをX方向第1側X1に移動させながらZ方向第1側Z1に移動させて対象物品WTを第1容器C1から取り出すように駆動部15を制御する。
【0046】
つまり、共同同時吸着制御、独立同時吸着制御、及び、独立順次吸着制御により、第1位置P1にある第1容器C1に収容されている1つ又は複数の対象物品WTを第1容器C1から取り出すことで、当該第1容器C1から取り出すべき対象物品WTが全て取り出される場合、対象物品WTを保持部によって保持した後、対象物品WTを取り出し位置まで移動させる前に、第1位置P1にある第1容器C1の第1位置P1からX方向第1側X1への搬送を開始する。そして、このように、第1容器C1を搬送する場合、共同同時吸着制御、独立同時吸着制御、及び、独立順次吸着制御において保持部を吸着位置から取出位置に移動させる場合に、図20及び図21に示すように、保持部をX方向第1側X1に移動させながらZ方向第1側Z1に移動させる。尚、図20及び図21では、共同同時吸着制御の場合を例示している。
【0047】
制御装置Hは、独立移載制御又は共同移載制御において、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14のうちの少なくとも1つによって対象物品WTを保持して第2位置P2に移動させ、当該第2位置P2で対象物品WTの保持を解除して対象物品WTを第2容器C2に収容した後、第2容器C2をX方向第2側X2に搬送するように第2搬送装置2を制御すると共に、第1保持部11、第2保持部12、第3保持部13、及び第4保持部14のうちの少なくとも1つをX方向第2側X2に移動させながらZ方向第1側Z1に移動させて保持部を退避させるように駆動部15を制御する。
【0048】
つまり、共同同時吸着解除制御、独立同時吸着解除制御、及び、独立順次吸着解除制御により、1つ又は複数の対象物品WTを第2位置P2にある第2容器C2に収容することで、当該第2容器C2に収容すべき対象物品WTが全て収容される場合、保持部による対象物品WTに対する保持を解除した後、保持部を退避位置まで移動させる前に、第2位置P2にある第2容器C2の第2位置P2からX方向第2側X2への搬送を開始する。そして、このように、第2容器C2を搬送する場合、共同同時吸着解除制御、独立同時吸着解除制御、及び、独立順次吸着解除制御において保持部を吸着解除位置から退避位置に移動させる場合に、図22及び図23に示すように、保持部をX方向第2側X2に移動させながらZ方向第1側Z1に移動させる。尚、図22及び図23では、共同同時吸着解除制御の場合を例示している。
【0049】
2.その他の実施形態
次に、物品移載設備のその他の実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記実施形態では、物品移載設備が、第1保持部11と第2保持部12と第3保持部13と第4保持部14との4つの保持部を備える構成を例として説明した。しかし、物品移載設備は少なくとも第1保持部11と第2保持部12との2つの保持部を備えていればよく、物品移載設備が備える保持部の数は、適宜変更してもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、第1保持部11及び第2保持部12が、吸着によって対象物品WTを保持する吸着部を備え、第1保持部11及び第2保持部12を、吸着によって対象物品WTを保持する構成を例として説明した。しかし、第1保持部11及び第2保持部12の構成は、適宜変更してもよい。例えば、第1保持部11及び第2保持部12の一方又は双方が、把持によって対象物品WTを保持する把持部を備える構成としてもよい。
【0052】
(3)上記実施形態では、制御装置Hは、対象物品WTの大きさ、重量、及び材質(包装種別)に応じて、独立移載制御か協働移載制御かを選択的に実行した。しかし、制御装置Hは、対象物品WTの大きさ、重量、及び材質(包装種別)の少なくとも一つに応じて、独立移載制御か協働移載制御かを選択的に実行すればよい。従って、例えば、対象物品WTの重量に応じて、当該対象物品WTの重量が大きくなるに従って、当該対象物品WTを保持する保持部の数を増加させる制御を行ってもよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、第1搬送装置1が第1容器C1をX方向第1側X1に搬送し、第2搬送装置2が第2容器C2をX方向第2側X2に搬送する構成を例として説明した。
しかし、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の容器を搬送する方向は適宜変更してもよい。例えば、第1搬送装置1及び第2搬送装置2がいずれも容器をX方向第1側X1に搬送するようにしてもよい。或いは、第1搬送装置1の搬送方向と第2搬送装置2の搬送方向とが互いに交差する方向であってもよい。この場合において、第1搬送装置1と第2搬送装置2との設置高さが異なっていてもよい。
【0054】
(5)上記実施形態では、第1搬送装置1による第1容器C1の搬送と、駆動部15よる第1保持部11及び第2保持部12の吸着位置から取出位置への移動と、を同時に行う構成を例として説明した。しかし、駆動部15によって第1保持部11及び第2保持部12を吸着位置から取出位置に移動させた後に、第1搬送装置1による第1容器C1の第1位置P1からの搬送を開始するようにして、第1搬送装置1による第1容器C1の搬送と、駆動部15よる第1保持部11及び第2保持部12の吸着位置から取出位置への移動と、を同時に行わないようにしてもよい。また、同様に、第2搬送装置2による第2容器C2の搬送と、駆動部15よる第1保持部11及び第2保持部12の吸着解除位置から退避位置への移動と、を同時に行わないようにしてもよい。
【0055】
(6)上記実施形態では、上下方向をZ方向Z(基準方向)とした構成を例として説明したが、これには限定されず、Z方向Z(基準方向)は上下方向(鉛直方向)に対して傾斜していてもよい。
【0056】
(7)上記実施形態では、第1保持部11が第1Z軸駆動部21に案内され、第1Z軸駆動部21が第1Y軸駆動部46に案内され、第1Y軸駆動部46が第1X軸駆動部71に案内される構成となっていると共に、第2保持部12が第2Z軸駆動部22に案内され、第2Z軸駆動部22が第2Y軸駆動部47に案内され、第2Y軸駆動部47が第2X軸駆動部72に案内される構成となっている場合を例として説明した。しかし、駆動部15の構成は、このようなものに限定されず、X軸、Y軸、Z軸の各軸の駆動部の連結関係は、適宜入れ替えることが可能である。また、上記実施形態では、第1X軸駆動部71と第3X軸駆動部73とが兼用され、第2X軸駆動部72と第4X軸駆動部74とが兼用される構成を例として説明したが、いずれの軸の駆動部を兼用するか、或いはすべてを独立の駆動部とするかについても、適宜変更可能である。
【0057】
例えば、図24に示すような駆動部15の構成としても好適である。この図に示す例では、第1保持部11が第1Z軸駆動部21に案内され、第1Z軸駆動部21が第1X軸駆動部71に案内され、第1X軸駆動部71が第1Y軸駆動部46に案内される構成となっている。また、第2保持部12が第2Z軸駆動部22に案内され、第2Z軸駆動部22が第2X軸駆動部72に案内され、第2X軸駆動部72が第2Y軸駆動部47に案内される構成となっている。同様に、第3保持部13が第3Z軸駆動部23に案内され、第3Z軸駆動部23が第3X軸駆動部73に案内され、第3X軸駆動部73が第3Y軸駆動部48に案内される構成となっている。また、第4保持部14が第4Z軸駆動部24に案内され、第4Z軸駆動部24が第4X軸駆動部74に案内され、第4X軸駆動部74が第4Y軸駆動部49に案内される構成となっている。そして、図24の例では、第1Y軸駆動部46と第3Y軸駆動部48とが兼用され、第2Y軸駆動部47と第4Y軸駆動部49とが兼用される構成となっている。更に、第1X軸駆動部71と第3X軸駆動部73とが兼用され、第2X軸駆動部72と第4X軸駆動部74とが兼用される構成となっている。
【0058】
(8)上記実施形態では、第1搬送装置1を構成するコンベヤ装置の搬送経路の途中に、移載対象箇所としての第1位置P1が設定され、第2搬送装置2を構成するコンベヤ装置の搬送経路の途中に移載対象箇所としての第2位置P2が設定され、移載装置3がこれらの移載対象箇所を跨ぐように設置された構成を例として説明した。しかし、移載装置3による移載対象箇所や、搬送装置に対する移載装置3の設置位置は適宜変更してもよい。例えば、第1搬送装置1を構成するコンベヤ装置の搬送経路の下流側端部に第1位置P1が設定され、また第2搬送経路を構成するコンベヤ装置の下流側端部に第2位置P2が設定され、移載装置3がこれらを跨ぐように設置されていてもよい。或いは、搬送装置を構成するコンベヤ装置が屈曲又はカーブしている構成であって、これらの屈曲部分やカーブの途中に移載対象箇所が設置され、当該移載対象箇所に対して移載可能な位置に移載装置3が設置されていてもよい。
【0059】
(9)上記実施形態では、第1容器C1(容器)を搬送する第1搬送装置1(搬送装置)及び第2容器C2を搬送する第2搬送装置2がコンベヤ装置である構成を例として説明した。しかし、これらの容器を搬送する搬送装置の構成はこれには限定されず、搬送台車やカルーセル型の搬送機構等、公知の各種の搬送装置を用いることができる。また、移載装置3が物品Wの移載を行う対象箇所は、このような搬送装置によって搬送される容器には限定されず、物品Wが置かれる各種の場所を移載対象箇所とすることができる。例えば、作業者によって搬送される容器が移載対象箇所とされてもよいし、或いは、容器がない搬送装置の搬送面が移載対象箇所とされてもよい。
【0060】
例えば、図25に示すように、カルーセル型の搬送機構を備えたピッキングステーションを移載対象箇所として移載装置3を設置しても好適である。この図に示す例では、物品移載設備は、第1容器C1をX方向Xに沿う軸心周りに旋回させるように搬送する第1ピッキング装置101と、第2容器C2をX方向Xに沿う軸心周りに旋回させるように搬送する第2ピッキング装置102と、を備えている。そして、これらのピッキング装置(第1ピッキング装置101及び第2ピッキング装置102)により搬送される容器(第1容器C1及び第2容器C2)を移載対象箇所としている。そのため、移載装置3は、X方向Xに並ぶ第1ピッキング装置101と第2ピッキング装置102とに対してZ方向第1側Z1に設置されている。第1ピッキング装置101は、第1容器C1を支持する複数の支持体103と、これら複数の支持体103をX方向Xに沿う軸心周りに回転させる支持回転体104と、第1コンベヤ105と、第2コンベヤ106と、を備えている。第1ピッキング装置101は、第1コンベヤ105から支持体103に第1容器C1を渡し、その第1容器C1をX方向Xに沿う軸心周りに回転させるように回転搬送した後に、支持体103から第2コンベヤ106に渡すように、第1容器C1を搬送する。この第1ピッキング装置101における回転搬送の途中に第1位置P1が設定されている。第2ピッキング装置102は、第1ピッキング装置101と同様に構成されており、支持体103は第2容器C2を支持して搬送する。また、第2ピッキング装置102の回転搬送の途中に、第2位置P2が設定されている。そして、移載装置3は、第1ピッキング装置101の第1位置P1にある支持体103に支持されている第1容器C1から、第2ピッキング装置102の第2位置P2にある支持体103に支持されている第2容器C2に、対象物品WTを移載する。
【0061】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0062】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品移載設備の概要について説明する。
【0063】
物品移載設備は、物品を保持する第1保持部と、物品を保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
予め定められた基準方向をZ方向とし、当該Z方向視で互いに直交する2つの方向の一方をX方向、他方をY方向として、前記駆動部は、前記第1保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第1Z軸駆動部と、前記第2保持部を前記Z方向に案内しつつ移動させる第2Z軸駆動部と、前記第1保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第1X軸駆動部と、前記第2保持部を前記X方向に案内しつつ移動させる第2X軸駆動部と、前記第1保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第1Y軸駆動部と、前記第2保持部を前記Y方向に案内しつつ移動させる第2Y軸駆動部と、を備え、前記制御部は、移載対象の物品である対象物品の大きさ、形状及び材質のうちの少なくとも一つに応じて、独立移載制御と共同移載制御とを選択的に実行し、前記独立移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに異なる前記対象物品を保持し、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに独立に前記対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御し、前記共同移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが共同して1つの前記対象物品を保持し、当該対象物品の移載動作を行うように前記駆動部を制御する。
【0064】
この構成によれば、第1Z軸駆動部、第1X軸駆動部、及び第1Yh軸駆動部は、いずれも第1保持部を直線方向に案内しつつ移動させる簡素な構成であるため、第1保持部をZ方向、X方向、及びY方向の何れの方向にも移動させることができながら、制御部による制御が行い易く且つ各駆動部を安価に構成できる。
また、第1保持部、第1Z軸駆動部、第1X軸駆動部、及び第1Y軸駆動部に加えて、第2保持部、第2Z軸駆動部、第2X軸駆動部、及び第2Y軸駆動部を備えている。そのため、制御部が独立移載制御を実行することで、第1保持部と第2保持部とが互いに異なる対象物品を保持して複数の対象物品を同時に移載することができ、対象物品を効率よく移載することができる。また、制御部が共同移載制御を実行することで、大きさや形状や材質によって1つの保持部では保持できない対象物品を、第1保持部と第2保持部とが共同で保持して移載することができるため、多様な対象物品を移載することができる。
このように、本特徴構成によれば、対象物品の効率の良い移載と多様な対象物品の移載とを行うことができる構成を、物品移載設備の設置コストを低く抑えつつ実現することができる。
【0065】
ここで、前記第1保持部及び前記第2保持部は、前記Z方向の一方側であるZ方向第1側から前記対象物品に接近して当該対象物品を保持するように構成され、前記共同移載制御において、前記対象物品の前記Z方向第1側を向く面が、前記Z方向に直交する方向に沿う平坦な面である場合は、前記第1保持部と前記第2保持部とを前記Z方向において同じ位置とした状態で前記対象物品を保持し、前記対象物品の前記Z方向第1側を向く面が、前記Z方向に直交する方向に沿う平坦な面とは異なる形状である場合は、前記第1保持部と前記第2保持部との前記Z方向の位置を異ならせた状態で前記対象物品を保持すると好適である。
【0066】
この構成によれば、共同移載制御において、第1保持部と第2保持部とをZ方向において同じ位置とした状態で対象物品を保持したり、第1保持部と第2保持部とをZ方向において異ならせた状態で対象物品を保持したりすることで、対象物品のZ方向第1側を向く面がZ方向に直交する方向に沿う平坦な面であるか否かに関わらず、第1保持部と第2保持部とにより対象物品を適切に保持することができる。
【0067】
また、物品を収容する容器を、予め定められた基準位置から、前記Z方向に交差する搬送方向の一方側である搬送方向第1側に向かって搬送する搬送装置を更に備え、前記容器は、前記Z方向の一方側であるZ方向第1側に開口する開口部を有し、前記制御部は、前記独立移載制御又は前記共同移載制御において、前記基準位置にある前記容器に収容されている前記対象物品を前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方によって保持した後、前記容器を前記搬送方向第1側に搬送するように前記搬送装置を制御すると共に、前記第1保持部及び前記第2保持部の少なくとも一方を前記搬送方向第1側に移動させながら前記Z方向第1側に移動させて前記対象物品を前記容器から取り出すように前記駆動部を制御すると好適である。
【0068】
この構成によれば、基準位置にある容器に収容されている対象物品を第1保持部及び第2保持部の少なくとも一方によって保持した後で、且つ、当該対象物品を容器から取り出す前に、搬送装置による容器の搬送を開始することで、対象物品を容器から取り出した後に搬送装置による容器の搬送を開始する場合に比べて、容器の搬送効率を高めることができる。
また、このような容器の搬送を行う場合、移動中の容器の側壁と容器から取り出す前の対象物品とが接触する虞があるが、対象物品を保持している第1保持部及び第2保持部の少なくとも一方を搬送方向第1側に移動させながらZ方向第1側に移動させることで、対象物品が容器と接触することを回避しながら対象物品を容器から取り出すことができる。
このように本構成によれば、対象物品が容器に接触することを回避しながら容器の搬送効率を高めることができる。
【0069】
また、前記制御部は、前記共同移載制御では、前記Z方向視で前記第1保持部と前記第2保持部との間に前記対象物品の重心が位置する状態で前記対象物品を保持するように、前記駆動部を制御すると好適である。
【0070】
この構成によれば、対象物品の重量が第1保持部と第2保持部とのうちの一方に過剰に作用することを避けることができ、第1保持部と第2保持部とで対象物品を安定よく保持し易くなる。
【0071】
また、前記第1保持部及び前記第2保持部の夫々は、吸着によって前記対象物品を保持する吸着部を備え、前記対象物品が袋状の物品である場合、前記制御部は、前記共同移載制御では、前記第1保持部と前記第2保持部とが前記対象物品の外縁部における互いに異なる位置を保持するように前記駆動部を制御すると好適である。
【0072】
この構成によれば、第1保持部と第2保持部とで袋状の対象物品の外縁部を保持することで、保持した対象物品の垂れ下がりを抑制することができる。そのため、垂れ下がりに起因して対象物品の保持姿勢の安定性が崩れ、第1保持部や第2保持部から対象物品が外れる可能性を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示に係る技術は、物品を保持する第1保持部と、物品を保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備えた物品移載設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:第1搬送装置(搬送装置)
7:開口部
11:第1保持部
12:第2保持部
15:駆動部
20:吸着パッド(吸着部)
21:第1Z軸駆動部
22:第2Z軸駆動部
46:第1Y軸駆動部
47:第2Y軸駆動部
71:第1X軸駆動部
72:第2X軸駆動部
C1:第1容器(容器)
G:重心
H:制御装置(制御部)
P1:第1位置(基準位置)
W:物品
WT:対象物品
X:X方向(搬送方向)
X1:X方向第1側(搬送方向第1側)
Y:Y方向
Z:Z方向
Z1:Z方向第1側
図1
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