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特許7327625認証システム、学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、および推論プログラム
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  • 特許-認証システム、学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、および推論プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】認証システム、学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、および推論プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/06 20210101AFI20230808BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20230808BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230808BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230808BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20230808BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20230808BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W8/00 110
H04W84/10 110
G06N20/00
H04B5/02
E05B49/00 J
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022181233
(22)【出願日】2022-11-11
【審査請求日】2022-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012473(JP,A)
【文献】特開2021-141488(JP,A)
【文献】特開2021-149582(JP,A)
【文献】阿部・井窪・片山法律事務所,第4次産業革命と法律実務 ,株式会社民事法研究会,2019年07月14日,pp.84-89
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G06N 20/00
H04B 5/02
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習用データを取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成部と、
を備え、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記学習済みモデルは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を入力とし、かつ、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を出力とする、
認証システムの学習装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、学習済みサブモデルを含み、
前記学習済みサブモデルは、
前記第2端末情報
を入力とし、かつ、
前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度および前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度の関係を表す応答情報
を出力とし、
前記生成部は、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度および前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度の関係を示す応答情報
を出力に対応づけ、かつ、
前記第1端末情報
を入力に対応づけて前記学習済みサブモデルを生成する、
請求項1に記載の認証システムの学習装置。
【請求項3】
前記学習用データは、
前記第1質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第1環境情報
を含み、
前記学習済みモデルの入力は、
前記第2質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第2環境情報
を含む、
請求項1または請求項2に記載の認証システムの学習装置。
【請求項4】
前記読取装置の設置環境の情報は、前記読取装置および前記読取装置の周辺に設けられた構造物の位置関係の情報を含む、
請求項3に記載の認証システムの学習装置。
【請求項5】
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記読取装置の設置環境の情報は、前記認証地点における電磁波または電磁場の情報を含む、
請求項3に記載の認証システムの学習装置。
【請求項6】
前記第1端末情報は、前記読取装置に対する前記第1携帯端末の姿勢の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記読取装置に対する前記第2携帯端末の姿勢の情報を含む、
請求項1または請求項2に記載の認証システムの学習装置。
【請求項7】
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の所持者による前記第1携帯端末の所持位置の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の所持者による前記第2携帯端末の所持位置の情報を含む、
請求項1または請求項2に記載の認証システムの学習装置。
【請求項8】
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の機種情報、または前記第1携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の機種情報、または前記第2携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含む、
請求項1または請求項2に記載の認証システムの学習装置。
【請求項9】
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含む、
請求項1または請求項2に記載の認証システムの学習装置。
【請求項10】
稼働時データを取得する取得部と、
学習済みモデルを用いて、前記取得部が取得する前記稼働時データから推定結果を得る推定部と、
を備え、
前記学習済みモデルは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定部は、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を前記推定結果として推定する、
認証システムの推論装置。
【請求項11】
前記学習済みモデルは、学習済みサブモデルを含み、
前記学習済みサブモデルは、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度および前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度の関係を示す応答情報
を出力に対応づけ、かつ、
前記第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記推定部は、
前記第2端末情報を入力として前記学習済みサブモデルが出力する、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度および前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度の関係を表す応答情報、および
前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度
を用いて前記推定結果を得る、
請求項10に記載の認証システムの推論装置。
【請求項12】
前記学習済みモデルは、
前記第1質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第1環境情報
を前記学習において入力に対応づけて生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記第2質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第2環境情報
を含む、
請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項13】
前記読取装置の設置環境の情報は、前記読取装置および前記読取装置の周辺に設けられた構造物の位置関係の情報を含む、
請求項12に記載の認証システムの推論装置。
【請求項14】
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記読取装置の設置環境の情報は、前記認証地点における電磁波または電磁場の情報を含む、
請求項12に記載の認証システムの推論装置。
【請求項15】
前記第1端末情報は、前記読取装置に対する前記第1携帯端末の姿勢の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記読取装置に対する前記第2携帯端末の姿勢の情報を含む、
請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項16】
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の所持者による前記第1携帯端末の所持位置の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の所持者による前記第2携帯端末の所持位置の情報を含む、
請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項17】
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の機種情報、または前記第1携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の機種情報、または前記第2携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含む、
請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項18】
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含む、
請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項19】
予め設定された受信閾値を超える受信強度で前記第2質問信号を前記第2携帯端末が受信するときに、前記第2携帯端末が前記読取装置に無線信号として応答信号を送信する場合に、
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記第2携帯端末における前記受信閾値を補正する受信補正部
を備える、請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項20】
前記認証距離が前記第2携帯端末を所持する利用者ごとに設定される場合に、
前記受信補正部は、前記第2携帯端末を所持する利用者に応じて前記受信閾値を補正する、
請求項19に記載の認証システムの推論装置。
【請求項21】
予め設定された受信閾値を超える受信強度で前記第2質問信号を前記第2携帯端末が受信するときに、前記第2携帯端末が前記読取装置に無線信号として応答信号を送信する場合に、
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度を補正する送信補正部
を備える、請求項10または請求項11に記載の認証システムの推論装置。
【請求項22】
予め設定された受信閾値を超える受信強度で前記第2質問信号を前記第2携帯端末が受信するときに、前記第2携帯端末が前記読取装置に無線信号として応答信号を送信する場合に、
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度を補正する送信補正部
を備え、
前記送信補正部は、前記稼働時データが含む前記第2環境情報によって表される前記読取装置の設置環境の情報に、前記取得部が前記稼働時データを取得する前の前記読取装置の設置環境の情報からの変化がない場合に、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度の補正を留保する、
請求項12に記載の認証システムの推論装置。
【請求項23】
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記第2携帯端末における前記受信閾値を補正する受信補正部
を備え、
前記受信補正部は、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度を前記送信補正部が補正するときに、前記第2携帯端末の他の第3携帯端末における前記受信閾値を補正する
請求項21に記載の認証システムの推論装置。
【請求項24】
学習用データをコンピュータが取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記学習用データを用いて、学習済みモデルをコンピュータが生成する生成ステップと、
を備え、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記学習済みモデルは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を入力とし、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を出力とする、
認証システムの学習方法。
【請求項25】
稼働時データをコンピュータが取得する取得ステップと、
学習済みモデルを用いて、前記取得ステップにおいて取得した前記稼働時データからコンピュータが推定結果を得る推定ステップと、
を備え、
前記学習済みモデルは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定ステップにおいて、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
が前記推定結果として推定される、
認証システムの推論方法。
【請求項26】
コンピュータに、
学習用データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成ステップと、
を実行させ、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記学習済みモデルは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を入力とし、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を出力とする、
認証システムの学習プログラム。
【請求項27】
コンピュータに、
稼働時データを取得する取得ステップと、
学習済みモデルを用いて、前記取得ステップにおいて取得した前記稼働時データから推定結果を得る推定ステップと、
を実行させ、
前記学習済みモデルは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定ステップにおいて、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
が前記推定結果として推定される、
認証システムの推論プログラム。
【請求項28】
学習用データを取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成部と、
前記学習済みモデルを用いて、前記取得部が取得する稼働時データから推定結果を得る推定部と、
を備え、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記生成部は、
前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1端末情報
を入力に対応づけて前記学習済みモデルを生成し、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定部は、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を前記推定結果として推定する、
認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証システム、学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、および推論プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、セキュリティシステムの例を開示する。セキュリティシステムは、対象区域の出入口の近傍に設置される読取装置と、利用者が携帯する携帯端末と、を備える。読取装置は、無線信号により携帯端末に識別情報を問い合わせる質問信号を送信する。携帯端末は、質問信号を受信するときに、無線信号により読取装置に識別情報を送信する。読取装置が受信した識別情報に基づいて、利用者が認証される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-352703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、読取装置から一定の距離にある携帯端末における無線信号の受信強度は、携帯端末の状態または種別などに応じて変動しうる。このため、利用者が認証されるときの読取装置からの距離にばらつきが生じうる。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、利用者が認証されるときの読取装置からの距離のばらつきを抑えられる認証システム、ならびにその学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、および推論プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る認証システムの学習装置は、学習用データを取得する取得部と、前記取得部が取得する前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成部と、を備え、前記学習用データは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を含み、前記学習済みモデルは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を入力とし、かつ、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度を出力とする。
【0007】
本開示に係る認証システムの推論装置は、稼働時データを取得する取得部と、学習済みモデルを用いて、前記取得部が取得する前記稼働時データから推定結果を得る推定部と、を備え、前記学習済みモデルは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度を出力に対応づけ、かつ、前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、前記稼働時データは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を含み、前記推定部は、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度を前記推定結果として推定する。
【0008】
本開示に係る認証システムの学習方法は、学習用データをコンピュータが取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した前記学習用データを用いて、学習済みモデルをコンピュータが生成する生成ステップと、を備え、前記学習用データは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を含み、前記学習済みモデルは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を入力とし、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度を出力とする。
【0009】
本開示に係る認証システムの推論方法は、稼働時データをコンピュータが取得する取得ステップと、学習済みモデルを用いて、前記取得ステップにおいて取得した前記稼働時データからコンピュータが推定結果を得る推定ステップと、を備え、前記学習済みモデルは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度を出力に対応づけ、かつ、前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、前記稼働時データは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を含み、前記推定ステップにおいて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度が前記推定結果として推定される。
【0010】
本開示に係る認証システムの学習プログラムは、コンピュータに、学習用データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成ステップと、を実行させ、前記学習用データは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を含み、前記学習済みモデルは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を入力とし、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度を出力とする。
【0011】
本開示に係る認証システムの推論プログラムは、コンピュータに、稼働時データを取得する取得ステップと、学習済みモデルを用いて、前記取得ステップにおいて取得した前記稼働時データから推定結果を得る推定ステップと、を実行させ、前記学習済みモデルは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度を出力に対応づけ、かつ、前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、前記稼働時データは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を含み、前記推定ステップにおいて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度が前記推定結果として推定される。
【0012】
本開示に係る認証システムは、学習用データを取得する取得部と、前記取得部が取得する前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成部と、前記学習済みモデルを用いて、前記取得部が取得する稼働時データから推定結果を得る推定部と、を備え、前記学習用データは、認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報を含み、前記生成部は、前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度を出力に対応づけ、かつ、前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および前記第1端末情報を入力に対応づけて前記学習済みモデルを生成し、前記稼働時データは、前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報を含み、前記推定部は、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度を前記推定結果として推定する。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る認証システム、またはその学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、もしくは推論プログラムによれば、利用者が認証されるときの読取装置からの距離のばらつきが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る認証システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る認証システムの学習フェーズにおける動作の例を説明する図である。
図3】実施の形態1に係る認証システムの稼働フェーズにおける動作の例を説明する図である。
図4】実施の形態1に係る認証システムの稼働フェーズにおける動作の例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係る認証システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る認証システム1の構成図である。
【0017】
認証システム1は、利用者を認証するシステムである。この例において、認証システム1は、入退管理システムに適用される。入退管理システムは、入退管理区域への利用者の入退を管理するシステムである。入退管理区域は、例えば建物の内部または外部の区域である。入退管理区域の境界において、当該区域に入域できる利用者が通行する通行口が設けられる。通行口は、例えば建物の玄関、または建物の内部の部屋の出入口などである。通行口を含む地点は、認証地点の例である。通行口において、電気錠2を備えたドアが設けられる。認証システム1の利用者は、例えば入退管理区域に入域できる人物などである。認証システム1の利用者は、携帯端末3を所持する。携帯端末3は、無線信号を通信する機能を搭載する。無線信号は、例えば電磁波による無線通信の信号である。無線信号は、例えば、無線PAN(Personal Area Network)、またはUWB(Ultra Wide Band)などの信号である。無線信号は、例えば、IEEE 802.11規格もしくはIEEE 802.15.1規格、またはこれらの後継規格、関連規格、代替規格、もしくは類似規格などによる無線通信における信号であってもよい。携帯端末3は、所持している利用者を識別する識別情報を保持する。識別情報は、例えば利用者に付与される固有のID番号(ID:IDentifier)などである。携帯端末3は、例えば、スマートフォンなどの可搬な汎用の情報端末装置であってもよいし、無線タグなどの専用装置であってもよい。携帯端末3は、例えば、利用者が所有するものであってもよいし、認証システム1の管理者などから利用者に配布される認証システム1の内部機器であってもよい。
【0018】
認証システム1は、読取装置4と、コントローラ5と、を備える。読取装置4は、コントローラ5に接続される。コントローラ5は、電気錠2に接続される。読取装置4は、携帯端末3との間で無線信号を通信する機能を搭載する。読取装置4は、認証地点に設置される。読取装置4は、例えば認証地点である入退管理区域の通行口に隣接した壁面などに設置される。
【0019】
認証システム1における認証動作の例を説明する。読取装置4は、無線信号として質問信号を送信する。携帯端末3は、予め設定された受信閾値を超える受信強度で当該質問信号を受信するときに、無線信号として応答信号を読取装置4に送信する。この例において、携帯端末3は、当該質問信号を受信しないとき、または受信した当該質問信号の受信強度が受信閾値を超えないときに、応答信号を送信しない。応答信号は、携帯端末3が保持している識別情報を含む。読取装置4は、携帯端末3から応答信号を受信するときに、当該応答信号に含まれる識別情報をコントローラ5に通知する。コントローラ5は、通知された識別情報に識別される利用者が認証可能な人物であるかを、例えば予め設定された認証可能な利用者のリストと照合することなどによって判定する。ここで、認証可能な人物は、例えば入退管理区域に入域できる人物などである。利用者が認証可能であるときに、コントローラ5は、当該利用者を認証する。このとき、コントローラ5は、電気錠2を解錠させる。携帯端末3を所持する利用者は、電気錠2が解錠されたドアを開けて入退管理区域に入域する。
【0020】
ここで、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度は、読取装置4が送信する無線信号の送信強度が一定であったとしても、携帯端末3の状態または種別、および読取装置4の設置環境などに応じて変動しうる。このため、読取装置4からの距離が一定の認証距離の位置に携帯端末3を所持する利用者がいるときに当該利用者の認証動作が行われるように、認証システム1における認証動作の条件が、認証システム1の調整装置6によって調整される。ここで、認証距離は、例えば認証システム1において予め設定された距離である。また、この例において、読取装置4の設置環境の情報は、認証システム1の環境情報収集装置7などによって収集される。環境情報収集装置7は、例えば、読取装置4の周囲または読取装置4の内部などに設けられてもよい。
【0021】
調整装置6は、例えば、1つまたは複数のサーバコンピュータなどである。調整装置6の機能の一部または全部は、認証システム1が適用される場所またはその遠隔地に配置された1つまたは複数の装置に搭載されるものであってもよい。調整装置6の機能の一部または全部は、他の装置と共有されるハードウェア上に搭載されるものであってもよい。調整装置6の機能の一部または全部は、クラウドサービス上の仮想マシン上に実装されるものであってもよいし、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。調整装置6は、例えばインターネットなどの通信網を通じて、調整装置6を構成する複数の内部装置の間の通信、ならびに、携帯端末3、読取装置4、および環境情報収集装置7などを含む調整装置6の外部装置などとの間の通信を行う。調整装置6は、例えば、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、当該プログラムに従って動作することで各機能を実行する。当該プログラムを記録する記録媒体は、例えば調整装置6を構成する内部装置に内蔵されるもの、もしくは当該内部装置に接続されるものであってもよいし、または調整装置6と通信する外部装置によって情報が読み出されるものなどであってもよい。当該プログラムは、調整装置6を構成する複数の内部装置の各々の上で動作するソフトウェアを複数含むソフトウェアパッケージなどであってもよい。
【0022】
調整装置6は、学習済みモデルを用いて認証動作の条件を調整する。学習済みモデルは、例えば教師あり学習などの機械学習の手法などによって生成される。調整装置6は、学習済みモデルを生成する学習装置の例である。また、調整装置6は、学習済みモデルを用いて推定を行う推論装置の例である。調整装置6は、学習フェーズ、および稼働フェーズを含む複数の動作フェーズを有する。学習フェーズにおいて、調整装置6は、学習済みモデルの生成を行う。学習フェーズは、例えば、読取装置4またはその周辺設備などの設置、保守、または交換などの際に行われる。調整装置6の動作フェーズの切替は、例えば設置作業などを行う作業員などによって行われてもよい。稼働フェーズにおいて、調整装置6は、学習済みモデルを用いて認証動作の条件を調整する。稼働フェーズにおいて、認証システム1は、入退管理区域に入退する利用者の認証動作などを行う。
【0023】
調整装置6は、取得部8と、記録部9と、生成部10と、推定部11と、補正部12と、を備える。
【0024】
取得部8は、データを取得する機能を搭載する部分である。取得部8は、携帯端末3、読取装置4、および環境情報収集装置7などからデータを取得する。取得部8は、学習フェーズにおいて、学習用データを取得する。学習用データは、学習済みモデルの生成に用いられるデータである。取得部8は、稼働フェーズにおいて、稼働時データを取得する。稼働時データは、学習済みモデルを用いた推定に用いられるデータである。
【0025】
取得部8は、学習フェーズにおいて、例えば次のように学習用データを取得する。作業員は、調整装置6の動作フェーズを、学習フェーズに切り替える。作業員は、作業員が所持する携帯端末3を、読取装置4からの距離が認証距離の位置に配置する。当該携帯端末3は、第1携帯端末の例である。なお、作業員による携帯端末3の所定の位置への配置は、携帯端末3を当該所定の位置に静置して作業員はその場を離れることを含んでもよいし、作業員が携帯端末3を所持した状態で当該所定の位置に居るようにすることなどを含んでもよい。ここで、作業員は、当該携帯端末3において、調整装置6の学習フェーズに対応した動作モードへの切替えなどを行ってもよい。作業員は、例えば当該携帯端末3などを通じて、携帯端末3の配置が完了したことを調整装置6に通知してもよい。読取装置4は、質問信号を送信する。このとき、読取装置4は、当該質問信号の送信強度の情報を取得部8に通知する。当該質問信号は、第1質問信号の例である。その後、携帯端末3は、質問信号を受信する。このとき、携帯端末3は、当該質問信号の受信強度の情報、および当該携帯端末3の端末情報を取得部8に通知する。当該端末情報は、第1端末情報の例である。端末情報は、携帯端末3の状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む。携帯端末3の状態の情報は、携帯端末3が置かれた環境の情報を含んでもよい。また、環境情報収集装置7は、読取装置4が質問信号を送信した時点の読取装置4の設置環境の情報を取得部8に通知する。当該環境情報は、第1環境情報の例である。環境情報収集装置7は、例えば読取装置4から質問信号の送信の通知を受けたときに設置環境の情報を取得部8に通知してもよい。取得部8は、例えばこのように、質問信号の送信強度、質問信号の受信強度、携帯端末3の端末情報、および読取装置4の環境情報を含む学習用データを取得する。なお、取得部8が互いに異なる機器から各情報を取得して学習用データとするときに、例えば、互いに近い時刻に取得した各情報を取得部8が一組の学習用データとして扱うようにしてもよいし、取得部8からの学習用データの要求に応じて各機器が情報を通知するようにしてもよい。作業員は、例えば学習用データの取得が完了した後に、調整装置6の動作フェーズを稼働フェーズに切り替える。
【0026】
取得部8は、稼働フェーズにおいて、例えば次のように稼働時データを取得する。利用者は、携帯端末3を所持して読取装置4に接近する。当該携帯端末3は、第2携帯端末の例である。このとき、携帯端末3は、当該携帯端末3の端末情報を取得部8に通知する。当該端末情報は、第2端末情報の例である。携帯端末3は、取得部8への端末情報の通知を、例えば随時行ってもよいし、端末情報に変化があったときに行ってもよいし、取得部8から要求があったときに行ってもよい。読取装置4は、例えば定期的に質問信号を送信する。このとき、読取装置4は、当該質問信号の送信強度の情報を取得部8に通知する。読取装置4は、取得部8への送信強度の通知を、例えば質問信号の送信のたびに行ってもよいし、送信強度に変化があったときに行ってもよいし、取得部8から例えば定期的な要求があったときに行ってもよい。当該質問信号は、第2質問信号の例である。また、環境情報収集装置7は、読取装置4が質問信号を送信した時点の読取装置4の設置環境の情報を取得部8に通知する。当該環境情報は、第2環境情報の例である。取得部8は、例えばこのように、質問信号の送信強度、携帯端末3の端末情報、および読取装置4の環境情報を含む稼働時データを取得する。なお、取得部8が互いに異なる機器から各情報を取得して稼働時データとするときに、例えば、互いに近い時刻に取得した各情報を取得部8が一組の稼働時データとして扱うようにしてもよいし、取得部8からの稼働時データの要求に応じて各機器が情報を通知するようにしてもよい。
【0027】
記録部9は、データを記録する機能を搭載する部分である。記録部9は、取得部8が取得したデータを記録する。記録部9は、例えば、学習用データおよび稼働時データを蓄積して記録する。記録部9は、送信強度DB13(DataBase)、受信強度DB14、環境情報DB15、および端末情報DB16を記憶する。送信強度DB13は、学習用データおよび稼働時データにおける送信強度の情報を格納するデータベースである。受信強度DB14は、学習用データにおける受信強度の情報を格納するデータベースである。環境情報DB15は、学習用データおよび稼働時データにおける環境情報を格納するデータベースである。端末情報DB16は、学習用データおよび稼働時データにおける端末情報を格納するデータベースである。
【0028】
生成部10は、学習済みモデルを生成する機能を搭載する部分である。生成部10は、記録部9が蓄積して記録する複数の学習用データに基づいて、学習済みモデルを生成する。このとき、生成部10は、質問信号の送信強度、携帯端末3の端末情報、および読取装置4の環境情報を入力に対応づけ、質問信号の受信強度を出力に対応づけて、学習済みモデルを生成する。
【0029】
推定部11は、学習済みモデルに基づいて推定を行う機能を搭載する部分である。推定部11は、例えば、生成部10が生成した学習済みモデルを用いて推定を行う。推定部11は、取得部8が取得する稼働時データを例えば記録部9から随時取得して、学習済みモデルに入力する。学習済みモデルは、質問信号の送信強度、携帯端末3の端末情報、および読取装置4の環境情報の入力を受け付け、質問信号の受信強度を出力する。推定部11は、推定結果として、学習済みモデルの出力を用いて、読取装置4からの距離が認証距離の位置にあるときに利用者が所持する携帯端末3が受信する質問信号の受信強度を推定する。
【0030】
補正部12は、推定部11による推定結果を用いて、読取装置4からの距離が一定の認証距離の位置に携帯端末3を所持する利用者がいるときに当該利用者の認証動作が行われるように、認証システム1における認証動作の条件の補正を行う機能を搭載する部分である。補正部12は、受信補正部17と、送信補正部18と、を備える。
【0031】
受信補正部17は、利用者が所持する携帯端末3の受信閾値を補正することによって、認証動作の条件の補正を行う。受信補正部17は、例えば、推定結果として得られた質問信号の受信強度が大きくなるときに、それに応じて受信閾値を大きくすることで、受信閾値を超える受信強度で携帯端末3が質問信号を受信する範囲を一定に保つように補正する。また、受信補正部17は、例えば、推定結果として得られた質問信号の受信強度が小さくなるときに、それに応じて受信閾値を小さくすることで、受信閾値を超える受信強度で携帯端末3が質問信号を受信する範囲を一定に保つように補正する。受信補正部17は、例えば、補正後の受信閾値、または受信閾値の補正値などを携帯端末3に通知する。携帯端末3は、通知された受信閾値の情報に基づいて、応答信号の送信の要否の判定などの処理を行う。
【0032】
送信補正部18は、読取装置4が送信する質問信号の送信強度を補正することによって、認証動作の条件の補正を行う。送信補正部18は、例えば、推定結果として得られた質問信号の受信強度が大きくなるときに、それに応じて送信強度を小さくすることで、受信閾値を超える受信強度で携帯端末3が質問信号を受信する範囲を一定に保つように補正する。また、送信補正部18は、例えば、推定結果として得られた質問信号の受信強度が小さくなるときに、それに応じて送信強度を大きくすることで、受信閾値を超える受信強度で携帯端末3が質問信号を受信する範囲を一定に保つように補正する。送信補正部18は、例えば、補正後の送信強度、または送信強度の補正値などを読取装置4に通知する。読取装置4は、通知された送信強度の情報に応じて、送信する質問信号の信号強度を調整する。
【0033】
続いて、図2から図4を用いて、認証システム1における動作の例を説明する。
【0034】
図2は、実施の形態1に係る認証システム1の学習フェーズにおける動作の例を説明する図である。
【0035】
学習フェーズにおいて、作業員は、作業員が所持する携帯端末3を、読取装置4からの距離が認証距離の位置に配置する。携帯端末3は、認証距離だけ離れた位置にある読取装置4が送信した質問信号の受信強度を、取得部8に通知する。このとき、携帯端末3は、携帯端末3の状態の情報を収集する。携帯端末3の状態の情報は、例えば、携帯端末3の姿勢の情報、携帯端末3の所持位置の情報、携帯端末3の位置における地磁気の情報、および携帯端末3の位置における電磁波の情報などを含む。携帯端末3の姿勢の情報は、読取装置4に対してどのような角度を向いているかの情報を表す。携帯端末3の姿勢の情報は、例えば読取信号から送信される質問信号の到来方向などに基づいて、携帯端末3において収集される。携帯端末3の所持位置の情報は、当該携帯端末3の所持者が当該携帯端末3をどのように所持しているかの情報を表す。所持位置は、例えば胸ポケットの中、バックポケットの中、手持ち鞄の中、または背負い鞄の中などの位置を表す。所持位置は、例えば携帯端末3に搭載された加速度センサーの計測値などに基づいて、予め機械学習などによって学習されたモデルを用いて推定される。作業員は、携帯端末3が所持位置を推定しうるように、例えば、読取装置4からの距離が変動しない範囲で携帯端末3を所持して歩くなどしてもよい。あるいは、所持位置の情報は、携帯端末3において作業員が選択して入力してもよい。携帯端末3の位置における地磁気の情報は、例えば、携帯端末3に搭載された磁気センサーの計測値などに基づいて収集される。携帯端末3の位置における電磁波の情報は、例えば、携帯端末3に搭載された無線通信モジュールが電磁波により送受信する無線信号の信号強度などに基づいて収集される。携帯端末3は、収集した携帯端末3の状態の情報、および予め記録された携帯端末3の種別の情報を、端末情報として取得部8に通知する。携帯端末3の種別の情報は、例えば、携帯端末3自体の機種情報、または携帯端末3に搭載された無線通信モジュールの機種情報などを含む。
【0036】
読取装置4が質問信号を送信するときに、環境情報収集装置7は、読取装置4の設置環境の情報を収集する。設置環境の情報は、例えば、読取装置4の周辺に設けられた構造物の情報、認証地点における地磁気の情報、ならびに認証地点における電磁波の情報などを含む。読取装置4の周辺に設けられた構造物の情報は、例えば読取装置4または当該構造物の設置、保守、交換、または撤去などの際に、作業員などによって環境情報収集装置7に入力される。読取装置4の周辺に設けられた構造物の情報は、読取装置4および当該構造物の位置関係の情報を含む。読取装置4および当該構造物の位置関係の情報は、例えば、読取装置4の近傍に設置された金属物を含む装置の、読取装置4からの距離および方向の情報などを含む。読取装置4および当該構造物の位置関係の情報は、例えば、読取装置4から天井までの高さ、読取装置4から床面までの高さ、または読取装置4から対向する壁面までの通路幅などの情報を含む。読取装置4の周辺に設けられた構造物の情報は、例えば、読取装置4に隣接する通行口に設けられたドア、または読取装置4が設置された壁面の形状、厚さ、または材質などの情報を含んでもよい。認証地点における地磁気の情報は、例えば、環境情報収集装置7に搭載された磁気センサーの計測値などに基づいて収集される。認証地点における電磁波の情報は、例えば、環境情報収集装置7に搭載された無線通信モジュールが電磁波により送受信する無線信号の信号強度などに基づいて収集される。環境情報収集装置7は、収集した設置環境の情報を環境情報として取得部8に通知する。
【0037】
取得部8は、通知された情報を学習用データとして取得する。なお、作業員は、異なる端末情報または環境情報を含む学習用データを取得部8が取得しうるように、複数の学習用データを取得部8に取得させてもよい。このとき、作業員は、例えば携帯端末3の姿勢および所持位置を変えたり、異なる機種の携帯端末3を用いたり、認証地点において電磁波または電磁場を生じさせる機器を動作させたり、読取装置4の周辺の構造物の配置などを変更したりしてもよい。このように取得された異なる複数の学習用データは、学習用データセットとして記録部9に記録される。
【0038】
その後、生成部10は、複数の学習用データを含む学習用データセットを用いて、学習済みモデルを生成する。
【0039】
図3は、実施の形態1に係る認証システム1の稼働フェーズにおける動作の例を説明する図である。
【0040】
稼働フェーズにおいて、利用者は、携帯端末3を所持して認証地点の読取装置4に接近する。このとき、携帯端末3は、携帯端末3の状態の情報を収集する。稼働フェーズにおいて、携帯端末3の状態の情報は、学習フェーズと同様に収集される。携帯端末3は、収集した携帯端末3の状態の情報、および予め記録された携帯端末3の種別の情報を、端末情報として取得部8に通知する。
【0041】
読取装置4は、質問信号を送信する。このとき、読取装置4は、当該質問信号の送信強度の情報を取得部8に通知する。
【0042】
読取装置4が質問信号を送信するときに、環境情報収集装置7は、読取装置4の設置環境の情報を収集する。稼働フェーズにおいて、読取装置4の設置環境の情報は、学習フェーズと同様に収集される。環境情報収集装置7は、収集した設置環境の情報を環境情報として取得部8に通知する。
【0043】
取得部8は、通知された情報を稼働時データとして取得する。
【0044】
推定部11は、生成部10が生成した学習済みモデルに、取得部8が取得した稼働時データを入力することで、読取装置4からの距離が認証距離の位置にあるときに利用者が所持する携帯端末3が受信する質問信号の受信強度を推定結果として得る。補正部12は、推定部11の推定結果を用いて、携帯端末3の受信閾値または質問信号の送信強度などを補正する。
【0045】
携帯端末3は、補正された受信閾値を超える受信強度で質問信号を受信するときに、無線信号として応答信号を読取装置4に送信する。当該応答信号に含まれる識別情報が読取装置4から通知されたコントローラ5は、当該識別情報で識別される利用者の認証可否を判定する。これにより、読取装置4からの距離が一定の認証距離の位置に携帯端末3を所持する利用者がいるときに当該利用者の認証動作が行われるようになる。
【0046】
図4は、実施の形態1に係る認証システム1の稼働フェーズにおける動作の例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS1において、推定部11は、学習済みモデルを読み込む。推定部11は、例えば生成部10から学習済みモデルを読み込む。その後、調整装置6の処理は、ステップS2に進む。
【0048】
ステップS2において、調整装置6は、取得部8が稼働時データを取得したかを判定する。判定結果がNoのときに、調整装置6の処理は、ふたたびステップS2に進む。一方、判定結果がYesのときに、記録部9は、取得部8が取得した稼働時データを記録する。その後、調整装置6の処理は、ステップS3に進む。
【0049】
ステップS3において、推定部11は、取得部8が取得した稼働時データを学習済みモデルに入力することで、読取装置4からの距離が認証距離の位置にあるときに利用者が所持する携帯端末3が受信する質問信号の受信強度を推定結果として得る。その後、調整装置6の処理は、ステップS4に進む。
【0050】
ステップS4において、補正部12は、取得部8によって新たに取得された稼働時データに含まれる環境情報が、その直前に取得部8によって新たに取得された稼働時データに含まれる環境情報から変化しているかを判定する。判定結果がYesのときに、調整装置6の処理は、ステップS5に進む。一方、判定結果がNoのときに、調整装置6の処理は、ステップS6に進む。なお、環境情報が例えば電磁場の強度などの連続値を含む場合に、補正部12は、当該連続値の変化量が予め設定された範囲を超えないときに環境情報に変化がないと判定してもよい。
【0051】
ステップS5において、送信補正部18は、推定部11の推定結果に基づいて、読取装置4による質問信号の送信強度を補正する。なお、送信補正部18は、送信強度の補正値が予め設定された範囲より小さい場合に、送信強度の補正を留保してもよい。その後、調整装置6の処理は、ステップS6に進む。
【0052】
ステップS6において、受信補正部17は、推定部11の推定結果に基づいて、稼働時データに端末情報が含まれる携帯端末3の受信閾値を補正する。なお、受信補正部17は、受信閾値の補正値が予め設定された範囲より小さい場合に、受信閾値の補正を留保してもよい。ここで、ステップS5で送信強度が補正されている場合に、受信補正部17は、稼働時データに端末情報が含まれる携帯端末3の他の携帯端末3の受信閾値を、読取装置4からの距離が一定の認証距離の位置に当該他の携帯端末3があるときに認証動作が行われるよう補正してもよい。当該他の携帯端末3は、第3携帯端末の例である。その後、調整装置6の処理は、ステップS2に進む。
【0053】
以上に説明したように、実施の形態1に係る認証システム1は、取得部8と、生成部10と、推定部11と、を備える。取得部8は、学習用データ、および稼働時データを取得する。学習用データは、読取装置4が無線信号として送信する質問信号の送信強度、読取装置4からの距離が認証距離の位置に配置された携帯端末3が受信する当該質問信号の受信強度、および当該携帯端末3の端末情報を含む。携帯端末3の端末情報は、当該携帯端末3の状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む。生成部10は、学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する。この際、生成部10は、携帯端末3が受信する質問信号の受信強度を出力に対応づけ、かつ、読取装置4が送信する当該質問信号の送信強度、および当該携帯端末3の端末情報を入力に対応づける。推定部11は、学習済みモデルを用いて、稼働時データから推定結果を得る。稼働時データは、読取装置4が無線信号として送信する質問信号の送信強度、および利用者に所持され当該質問信号を読取装置4から受信する携帯端末3の端末情報を含む。推定部11は、読取装置4からの距離が認証距離の位置にあるときに当該携帯端末3が受信する当該質問信号の受信強度を、推定結果として得る。
【0054】
このような構成により、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度が、携帯端末3の状態または種別などに応じて推定できるようになる。これにより、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきが抑えられるようになる。このため、携帯端末3を所持して移動する利用者は、スムーズに安定して認証を受けることができるようになる。利用者が読取装置4に近づいても認証が行われないために通行口の通行が滞ることなどが抑えられるので、利用者の利便性がより高められる。また、利用者が読取装置4に近づく前に認証が行われることなどが抑えられるので、認証システム1が適用される区域などにおけるセキュリティ性がより高められる。
【0055】
また、学習済みモデルは、読取装置4の設置環境の情報を表す環境情報を入力に含む。これにより、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度が、認証装置の設置環境に応じて推定できるようになる。このため、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきがより効果的に抑えられるようになる。
【0056】
また、読取装置4の設置環境の情報は、読取装置4および読取装置4の周辺に設けられた構造物の位置関係の情報を含む。これにより、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度が、構造物による無線信号の反射、吸収、その他の影響を踏まえて推定されるようになる。このため、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきがより効果的に抑えられるようになる。
【0057】
また、読取装置4の設置環境の情報は、認証地点または携帯端末3の位置における電磁波または電磁場の情報を含む。これにより、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度が、外部の電磁波または電磁場による影響を踏まえて推定されるようになる。このため、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきがより効果的に抑えられるようになる。なお、携帯端末3において計測される地磁気の計測精度と、環境情報収集装置7において計測される地磁気の計測精度との間に差がある場合に、より計測精度の高い情報が用いられるように構成されていてもよい。例えば、環境情報収集装置7は固定して設置されていてもよいため、可搬な携帯端末3より計測精度の高い磁気計測モジュールを搭載できる場合がある。このような場合に、認証システム1は、地磁気の値として環境情報収集装置7の計測値を統一して用いてもよい。例えば、携帯端末3の位置および認証地点の間で地磁気の場所による変化が小さい場合に、環境情報収集装置7の計測値は、携帯端末3の位置における電磁場の情報として用いられてもよい。
【0058】
また、端末情報は、携帯端末3の姿勢または所持位置の情報を含む。これにより、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度が、携帯端末3の所持されている状態による影響を踏まえて推定されるようになる。例えば、無線信号を送受信するアンテナの送受信特定が非等方である場合などに、無線信号の到来方向の違いなどによる影響が考慮される。また、利用者自身の人体、衣類、または所有物などによる無線信号の吸収などの影響が考慮される。このため、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきがより効果的に抑えられるようになる。
【0059】
また、端末情報は、携帯端末3の機種情報、または携帯端末3に搭載された無線通信モジュールの機種情報を含む。これにより、読取装置4から一定の距離にある携帯端末3における無線信号の受信強度が、機種ごとの特性による影響を踏まえて推定されるようになる。このため、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきがより効果的に抑えられるようになる。
【0060】
また、利用者の携帯端末3は、受信閾値を超える受信強度で質問信号を受信するときに、読取装置4に無線信号として応答信号を送信する。認証システム1は、補正部12を備える。補正部12は、推定部11による推定結果を用いて、読取装置4からの距離が一定の認証距離の位置で携帯端末3が応答信号を送信するように、当該携帯端末3における受信閾値、または読取装置4が送信する質問信号の送信強度を補正する。これにより、応答信号が送信される携帯端末3および読取装置4の間の位置関係が一定になるように補正が行われるので、利用者が認証されるときの読取装置4からの距離のばらつきがより効果的に抑えられるようになる。
【0061】
また、送信補正部18は、取得した設置環境の情報に変化がない場合に、読取装置4が送信する質問信号の送信強度の補正を留保する。読取装置4が送信する質問信号の送信強度が補正されると、当該読取装置4と無線通信を行う複数の携帯端末3の認証条件が影響を受ける。補正の必要性が低い場合に、影響範囲の広い送信強度の補正が留保されるので、読取装置4の周辺に複数の携帯端末3がある場合においても、各々の携帯端末3における認証条件がより安定するようになる。
【0062】
また、受信補正部17は、読取装置4が送信する質問信号の送信強度を送信補正部18が補正するときに、取得された稼働時データに含まれる端末情報に対応する携帯端末3の他の携帯端末3における受信閾値を補正する。例えば、受信補正部17は、稼働時データに端末情報が含まれない他の携帯端末3について、質問信号の送信強度の補正によって当該他の携帯端末3の認証条件が影響を受けた場合に、当該影響を打ち消すように受信閾値の補正を行う。受信補正部17は、例えば、送信強度を大きくする補正が行われるときに当該他の携帯端末3の受信閾値を大きくする補正を行い、送信強度を小さくする補正が行われるときに当該他の携帯端末3の受信閾値を小さくする補正を行う。これにより、読取装置4の周辺に複数の携帯端末3がある場合においても、各々の携帯端末3における認証条件がより安定するようになる。
【0063】
なお、学習済みモデルは、複数のモデルを組み合わせたものなどであってもよい。学習済みモデルは、例えば、学習済みサブモデルを含んでもよい。学習済みサブモデルは、携帯端末3の端末情報および読取装置4の環境情報などを入力とし、読取装置4が送信する質問信号の送信強度および読取装置4からの距離が認証距離の位置にある携帯端末3が受信する当該質問信号の受信強度の関係を表す応答情報を出力とする。応答情報は、例えば送信強度および受信強度の強度比などである。生成部10は、学習用データに含まれる送信強度および受信強度から応答情報を演算する。生成部10は、演算した応答情報を出力に対応づけ、学習用データに含まれる端末情報および環境情報などを入力に対応づけることで、学習済みサブモデルを例えば機械学習などの手法によって生成する。推定部11は、稼働時データに含まれる端末情報および環境情報などを学習済みサブモデルに入力することで、応答情報を出力として得る。推定部11は、学習済みサブモデルが出力した応答情報、および稼働時データに含まれる送信強度を用いて、読取装置4からの距離が認証距離の位置にあるときに当該携帯端末3が受信する当該質問信号の受信強度を、推定結果として得る。推定部11は、例えば、強度比である応答情報を送信強度に乗じることで、推定結果を得てもよい。これにより、機械学習などによって学習する学習済みサブモデルの学習用データに必要なデータの種類が減るので、学習済みモデルの生成がより効率的に行われるようになる。なお、生成部10において、応答情報を演算する部分と、学習済みサブモデルを生成する部分とは、別体のハードウェアなどに分離して搭載されていてもよい。また、推定部11において、学習済みサブモデルから応答情報の出力を得る部分と、応答情報および送信強度を用いて推定結果を得る部分とは、別体のハードウェアなどに分離して搭載されていてもよい。
【0064】
また、認証システム1において、認証距離は、利用者ごとに個別に設定されていてもよい。このとき、受信補正部17は、携帯端末3を所持する利用者に応じて受信閾値を補正する。この場合に、例えば、学習フェーズにおいて、作業員は、携帯端末3を複数の認証距離に配置して学習用データを取得部8に取得させてもよい。学習済みモデルは、認証距離をパラメータとして動作するものであってもよいし、認証距離ごとに複数生成されるものであってもよい。例えば、端末情報などの取得部8が取得する情報は、携帯端末3の利用者の識別情報または当該利用者の属性を表す属性情報などを含んでいてもよい。このとき、例えば、識別情報または属性情報などに基づいて利用者の認証距離が判定される。ここで、属性情報は、例えば利用者の年代などの情報、または、杖もしくは車椅子などの移動補助具の利用の有無などの情報を含んでもよい。記録部9は、属性情報または識別情報に対応づけて、利用者の認証距離を記録していてもよい。推定部11は、利用者の認証距離に応じて、学習済みモデルの設定または選択などを行ってもよい。
【0065】
また、例えば取得部8などの調整装置6の機能の一部は、携帯端末3、読取装置4、および環境情報収集装置7などの他の装置に搭載されていてもよい。
【0066】
また、生成部10は、複数の読取装置4に関して取得された学習用データセットを組み合わせて学習済みモデルを生成してもよい。生成部10は、生成した学習済みモデルを外部の装置などに出力してもよい。また、推定部11は、外部の装置などが生成した学習済みモデルを読み込んで推定に用いてもよい。
【0067】
続いて、図5を用いて、認証システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る認証システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0068】
認証システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0069】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、認証システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、認証システム1の各機能を実現する。
【0070】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0071】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0072】
認証システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、認証システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。認証システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで認証システム1の各機能を実現する。
【0073】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
学習用データを取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成部と、
を備え、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記学習済みモデルは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を入力とし、かつ、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を出力とする、
認証システムの学習装置。
(付記2)
前記学習済みモデルは、学習済みサブモデルを含み、
前記学習済みサブモデルは、
前記第2端末情報
を入力とし、かつ、
前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度および前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度の関係を表す応答情報
を出力とし、
前記生成部は、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度および前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度の関係を示す応答情報
を出力に対応づけ、かつ、
前記第1端末情報
を入力に対応づけて前記学習済みサブモデルを生成する、
付記1に記載の認証システムの学習装置。
(付記3)
前記学習用データは、
前記第1質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第1環境情報
を含み、
前記学習済みモデルの入力は、
前記第2質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第2環境情報
を含む、
付記1または付記2に記載の認証システムの学習装置。
(付記4)
前記読取装置の設置環境の情報は、前記読取装置および前記読取装置の周辺に設けられた構造物の位置関係の情報を含む、
付記3に記載の認証システムの学習装置。
(付記5)
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記読取装置の設置環境の情報は、前記認証地点における電磁波または電磁場の情報を含む、
付記3または付記4に記載の認証システムの学習装置。
(付記6)
前記第1端末情報は、前記読取装置に対する前記第1携帯端末の姿勢の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記読取装置に対する前記第2携帯端末の姿勢の情報を含む、
付記1から付記5のいずれか一項に記載の認証システムの学習装置。
(付記7)
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の所持者による前記第1携帯端末の所持位置の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の所持者による前記第2携帯端末の所持位置の情報を含む、
付記1から付記6のいずれか一項に記載の認証システムの学習装置。
(付記8)
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の機種情報、または前記第1携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の機種情報、または前記第2携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含む、
付記1から付記7のいずれか一項に記載の認証システムの学習装置。
(付記9)
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含む、
付記1から付記8のいずれか一項に記載の認証システムの学習装置。
(付記10)
稼働時データを取得する取得部と、
学習済みモデルを用いて、前記取得部が取得する前記稼働時データから推定結果を得る推定部と、
を備え、
前記学習済みモデルは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定部は、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を前記推定結果として推定する、
認証システムの推論装置。
(付記11)
前記学習済みモデルは、学習済みサブモデルを含み、
前記学習済みサブモデルは、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度および前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度の関係を示す応答情報
を出力に対応づけ、かつ、
前記第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記推定部は、
前記第2端末情報を入力として前記学習済みサブモデルが出力する、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度および前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度の関係を表す応答情報、および
前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度
を用いて前記推定結果を得る、
付記10に記載の認証システムの推論装置。
(付記12)
前記学習済みモデルは、
前記第1質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第1環境情報
を前記学習において入力に対応づけて生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記第2質問信号を送信した時点の前記読取装置の設置環境の情報を表す第2環境情報
を含む、
付記10または付記11に記載の認証システムの推論装置。
(付記13)
前記読取装置の設置環境の情報は、前記読取装置および前記読取装置の周辺に設けられた構造物の位置関係の情報を含む、
付記12に記載の認証システムの推論装置。
(付記14)
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記読取装置の設置環境の情報は、前記認証地点における電磁波または電磁場の情報を含む、
付記12または付記13に記載の認証システムの推論装置。
(付記15)
前記第1端末情報は、前記読取装置に対する前記第1携帯端末の姿勢の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記読取装置に対する前記第2携帯端末の姿勢の情報を含む、
付記10から付記14のいずれか一項に記載の認証システムの推論装置。
(付記16)
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の所持者による前記第1携帯端末の所持位置の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の所持者による前記第2携帯端末の所持位置の情報を含む、
付記10から付記15のいずれか一項に記載の認証システムの推論装置。
(付記17)
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の機種情報、または前記第1携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の機種情報、または前記第2携帯端末に搭載された無線通信モジュールの機種情報の少なくともいずれかを含む、
付記10から付記16のいずれか一項に記載の認証システムの推論装置。
(付記18)
前記読取装置が無線信号を電磁波によって送信する場合に、
前記第1端末情報は、前記第1携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含み、
前記第2端末情報は、前記第2携帯端末の位置における電磁波または電磁場の情報を含む、
付記10から付記17のいずれか一項に記載の認証システムの推論装置。
(付記19)
予め設定された受信閾値を超える受信強度で前記第2質問信号を前記第2携帯端末が受信するときに、前記第2携帯端末が前記読取装置に無線信号として応答信号を送信する場合に、
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記第2携帯端末における前記受信閾値を補正する受信補正部
を備える、付記10から付記18のいずれか一項に記載の認証システムの推論装置。
(付記20)
前記認証距離が前記第2携帯端末を所持する利用者ごとに設定される場合に、
前記受信補正部は、前記第2携帯端末を所持する利用者に応じて前記受信閾値を補正する、
付記19に記載の認証システムの推論装置。
(付記21)
予め設定された受信閾値を超える受信強度で前記第2質問信号を前記第2携帯端末が受信するときに、前記第2携帯端末が前記読取装置に無線信号として応答信号を送信する場合に、
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度を補正する送信補正部
を備える、付記10から付記18のいずれか一項に記載の認証システムの推論装置。
(付記22)
予め設定された受信閾値を超える受信強度で前記第2質問信号を前記第2携帯端末が受信するときに、前記第2携帯端末が前記読取装置に無線信号として応答信号を送信する場合に、
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度を補正する送信補正部
を備え、
前記送信補正部は、前記稼働時データが含む前記第2環境情報によって表される前記読取装置の設置環境の情報に、前記取得部が前記稼働時データを取得する前の前記読取装置の設置環境の情報からの変化がない場合に、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度の補正を留保する、
付記12に記載の認証システムの推論装置。
(付記23)
前記推定部による前記推定結果を用いて、前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置で前記第2携帯端末が前記応答信号を送信するように、前記第2携帯端末における前記受信閾値を補正する受信補正部
を備え、
前記受信補正部は、前記読取装置が送信する前記第2質問信号の送信強度を前記送信補正部が補正するときに、前記第2携帯端末の他の第3携帯端末における前記受信閾値を補正する
付記21または付記22に記載の認証システムの推論装置。
(付記24)
学習用データをコンピュータが取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記学習用データを用いて、学習済みモデルをコンピュータが生成する生成ステップと、
を備え、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記学習済みモデルは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を入力とし、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を出力とする、
認証システムの学習方法。
(付記25)
稼働時データをコンピュータが取得する取得ステップと、
学習済みモデルを用いて、前記取得ステップにおいて取得した前記稼働時データからコンピュータが推定結果を得る推定ステップと、
を備え、
前記学習済みモデルは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定ステップにおいて、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
が前記推定結果として推定される、
認証システムの推論方法。
(付記26)
コンピュータに、
学習用データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成ステップと、
を実行させ、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記学習済みモデルは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者が所持する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を入力とし、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を出力とする、
認証システムの学習プログラム。
(付記27)
コンピュータに、
稼働時データを取得する取得ステップと、
学習済みモデルを用いて、前記取得ステップにおいて取得した前記稼働時データから推定結果を得る推定ステップと、
を実行させ、
前記学習済みモデルは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号を、前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信するときの受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を入力に対応づけた学習により予め生成されたモデルであり、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定ステップにおいて、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
が前記推定結果として推定される、
認証システムの推論プログラム。
(付記28)
学習用データを取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記学習用データを用いて、学習済みモデルを生成する生成部と、
前記学習済みモデルを用いて、前記取得部が取得する稼働時データから推定結果を得る推定部と、
を備え、
前記学習用データは、
認証地点に設置される読取装置が無線信号として送信する第1質問信号の送信強度、
前記読取装置からの距離が予め設定された認証距離の位置に配置された第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度、および
前記第1携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第1端末情報
を含み、
前記生成部は、
前記第1携帯端末が受信する前記第1質問信号の受信強度
を出力に対応づけ、かつ、
前記読取装置が送信する前記第1質問信号の送信強度、および
前記第1端末情報
を入力に対応づけて前記学習済みモデルを生成し、
前記稼働時データは、
前記読取装置が無線信号として送信する第2質問信号の送信強度、および
利用者に所持され前記第2質問信号を前記読取装置から受信する第2携帯端末に関して状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む第2端末情報
を含み、
前記推定部は、
前記読取装置からの距離が前記認証距離の位置にあるときに前記第2携帯端末が受信する前記第2質問信号の受信強度
を前記推定結果として推定する、
認証システム。
【符号の説明】
【0074】
1 認証システム、 2 電気錠、 3 携帯端末、 4 読取装置、 5 コントローラ、 6 調整装置、 7 環境情報収集装置、 8 取得部、 9 記録部、 10 生成部、 11 推定部、 12 補正部、 13 送信強度DB、 14 受信強度DB、 15 環境情報DB、 16 端末情報DB、 17 受信補正部、 18 送信補正部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
【要約】      (修正有)
【課題】利用者が認証されるときの読取装置からの距離のばらつきを抑えられる認証システム、ならびにその学習装置、推論装置、学習方法、推論方法、学習プログラム、および推論プログラムを提供する。
【解決手段】認証システム1において、生成部10は、読取装置4からの距離が認証距離の位置に配置された携帯端末3が読取装置4から受信する質問信号の受信強度を出力に対応づけ、かつ、当該質問信号の送信強度および当該携帯端末3の端末情報を入力に対応づけて、学習済みモデルを生成する。端末情報は、携帯端末3の状態または種別の少なくともいずれかの情報を含む。推定部11は、読取装置4からの距離が認証距離の位置にあるときに利用者の携帯端末3が受信する質問信号の受信強度を、質問信号の送信強度、および当該携帯端末3の端末情報を含むデータから、学習済みモデルを用いた推定結果として得る。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5