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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】グリッパ装置、搬送車、及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230808BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J15/08 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022505823
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2021002789
(87)【国際公開番号】W WO2021181924
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2020044634
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-168531(JP,A)
【文献】特開2016-163001(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載部に載置された物品を保持するグリッパ装置であって、
前記移載部の上方において昇降可能な昇降部に取り付けられ、前記物品を保持する保持部と、
前記昇降部に取り付けられ、前記物品の上部における2箇所の第1接触位置で前記物品に接触することで、前記物品に対して水平方向における前記保持部の位置決めを行う第1位置決め部と、
前記昇降部に取り付けられ、前記物品の上部における一直線上には位置しない3箇所の第2接触位置で前記物品に接触することで、前記物品に対して高さ方向における前記保持部の位置決めを行う第2位置決め部と、を備える、グリッパ装置。
【請求項2】
前記第1位置決め部は、2箇所のみの前記第1接触位置で物品に接触する、請求項1に記載のグリッパ装置。
【請求項3】
前記物品の上面に設けられた被位置検出部には、上方に向けて開放された開口を有すると共に前記開口に対する高さが低いほど内径が小さくなる2つのテーパ形状のガイド穴が形成されており、2つの前記ガイド穴が形成された位置は、2箇所の前記第1接触位置であり且つ2箇所の前記第2接触位置であり、
前記第1位置決め部が、2つの前記ガイド穴にそれぞれ進入可能な2つの凸部材を有する、請求項1又は2に記載のグリッパ装置。
【請求項4】
前記第2位置決め部が、前記第2接触位置の少なくとも1つで前記物品の上面に設けられた被位置検出部に接触する水平面部を含む少なくとも1つの押さえ部材を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のグリッパ装置。
【請求項5】
前記第2接触位置が4箇所に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のグリッパ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のグリッパ装置を備え、天井に設けられた軌道に沿って走向する、搬送車。
【請求項7】
移載部に載置された物品をグリッパ装置で保持して搬送する搬送方法であって、
前記グリッパ装置は、前記移載部の上方において昇降可能な昇降部に取り付けられ、前記物品を保持する保持部と、前記物品に対する水平方向の位置決めのための第1位置決め部と、前記物品に対する高さ方向の位置決めのための第2位置決め部と、を備え、
前記昇降部を降下させる降下工程と、
前記降下工程の後に実施され、前記物品の上部における2箇所の第1接触位置で前記第1位置決め部を前記物品に接触させることで、前記物品に対して水平方向における前記保持部の位置決めを行う第1位置決め工程と、
前記降下工程の後に実施され、前記物品の上部における一直線上には位置しない3箇所の第2接触位置で前記第2位置決め部を前記物品に接触させることで、前記物品に対して高さ方向における前記保持部の位置決めを行う第2位置決め工程と、
前記第1位置決め工程及び前記第2位置決め工程の後に実施され、前記保持部により前記物品を保持する保持工程と、を含む、搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を保持するグリッパ装置、グリッパ装置を備える搬送車、及び物品を保持して搬送する搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、収納容器を支持するグリッパ装置が知られている。このグリッパ装置は、昇降台のほぼ中央部分において下方に突出するセンターコーンと、収納容器を下方から支持する一対のフィンガ部とを備える。グリッパ装置が収納容器の上方から下降すると、一対のフィンガ部が収納容器のフランジ部に案内され、センターコーンがフランジ部の挿入孔に挿入される。これにより、収納容器に対してグリッパ装置が位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-163001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のグリッパ装置では、1つのセンターコーンのみで位置決めを行っているため、高さ方向の位置決めが不十分となるおそれがある。半球面形状の外周面を有するセンターコーンにより位置決めを行った場合、センターコーンを中心とする回転方向のずれが残存するおそれがある。
【0005】
本開示は、物品に対する水平方向及び高さ方向における位置決めを正確に行うことができるグリッパ装置、搬送車、及び搬送方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、移載部に載置された物品を保持するグリッパ装置であって、移載部の上方において昇降可能な昇降部に取り付けられ、物品を保持する保持部と、昇降部に取り付けられ、物品の上部における2箇所の第1接触位置で物品に接触することで、物品に対して水平方向における保持部の位置決めを行う第1位置決め部と、昇降部に取り付けられ、物品の上部における一直線上には位置しない3箇所の第2接触位置で物品に接触することで、物品に対して高さ方向における保持部の位置決めを行う第2位置決め部と、を備える。
【0007】
このグリッパ装置によれば、第1位置決め部が、物品の上部における2箇所の第1接触位置で物品に接触する。第1位置決め部の接触により、物品に対して水平方向における保持部の位置決めが行われる。また第2位置決め部が、物品の上部における3箇所の第2接触位置で物品に接触する。これらの3箇所の第2接触位置は一直線上に位置しないので、第2位置決め部の接触により、物品に対して高さ方向における保持部の位置決めが行われる。このように、水平方向に関して2箇所、及び高さ方向に関して3箇所の接触位置が用いられるので、物品に対する水平方向及び高さ方向における位置決めを正確に行うことができる。
【0008】
第1位置決め部は、2箇所のみの第1接触位置で物品に接触してもよい。第1位置決め部が、3箇所以上の第1接触位置で物品に接触する場合、3箇所中の2箇所と他の1箇所とで、水平方向における保持部の位置が一意に決まらず、不整合が生じる可能性がある。すなわち、3箇所以上の第1接触位置の間で喧嘩が生じる可能性がある。第1接触位置が2箇所のみに限られていれば、そのような不整合すなわち喧嘩が抑制される。
【0009】
物品の上面に設けられた被位置検出部には、上方に向けて開放された開口を有すると共に開口に対する高さが低いほど内径が小さくなる2つのテーパ形状のガイド穴が形成されており、2つのガイド穴が形成された位置は、2箇所の第1接触位置であり且つ2箇所の第2接触位置であり、第1位置決め部が、2つの前記ガイド穴にそれぞれ進入可能な2つの凸部材を有してもよい。この場合、2箇所の第1接触位置と2箇所の第2接触位置とが共通化されることにより、位置決めのための部材を少なくできる。
【0010】
第2位置決め部が、第2接触位置の少なくとも1つで物品の上面に設けられた被位置検出部に接触する水平面部を含む少なくとも1つの押さえ部材を有してもよい。水平面部を含む押さえ部材によれば、高さ方向における位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
【0011】
第2接触位置が4箇所に設けられていてもよい。この場合、高さ方向においてより正確に位置決めを行うことができる。
【0012】
本開示の別の態様として、上記したいずれかのグリッパ装置を備え、天井に設けられた軌道に沿って走向する、搬送車が提供されてもよい。この搬送車によれば、保持部は物品に対して正確に位置決めされた状態で、物品を保持する。よって、物品の搬送状態が安定し、それによって物品を高速で搬送することもできる。
【0013】
本開示の更に別の態様は、移載部に載置された物品をグリッパ装置で保持して搬送する搬送方法であって、前記グリッパ装置は、前記移載部の上方において昇降可能な昇降部に取り付けられ、前記物品を保持する保持部と、前記物品に対する水平方向の位置決めのための第1位置決め部と、前記物品に対する高さ方向の位置決めのための第2位置決め部と、を備え、前記昇降部を降下させる降下工程と、前記降下工程の後に実施され、前記物品の上部における2箇所の第1接触位置で前記第1位置決め部を前記物品に接触させることで、前記物品に対して水平方向における前記保持部の位置決めを行う第1位置決め工程と、前記降下工程の後に実施され、前記物品の上部における一直線上には位置しない3箇所の第2接触位置で前記第2位置決め部を前記物品に接触させることで、前記物品に対して高さ方向における前記保持部の位置決めを行う第2位置決め工程と、前記第1位置決め工程及び前記第2位置決め工程の後に実施され、前記保持部により前記物品を保持する保持工程と、を含む。
【0014】
この搬送方法によれば、上記したのと同様の作用・効果が奏される。すなわち、水平方向に関して2箇所、及び高さ方向に関して3箇所の接触位置が用いられるので、物品に対する水平方向及び高さ方向における位置決めを正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、物品に対する水平方向及び高さ方向における位置決めを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るグリッパ装置を備えた搬送車の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1中のグリッパ装置を示す平面図である。
図3図3は、図1の搬送車システムによって搬送される物品を示す斜視図である。
図4図4は、第1位置決め部の構造を示す断面図である。
図5図5は、第2位置決め部の構造を示す断面図である。
図6図6は、第1位置決め工程における第1位置決め部と物品の被保持部との配置を示す図である。
図7図7は、図6に示される状態に続いて昇降部が下降した状態を示す図である。
図8図8は、図7に示される状態に続いて昇降部が下降して停止した状態を示す図である。
図9図9は、図8に示される状態に続いて、保持部が被保持部の係合位置に移動した状態を示す図である。
図10図10は、図8に示される状態に続いて、保持部が被保持部に係合して物品を保持した状態を示す図である。
図11図11(a)~図11(d)は、第1接触位置と第2接触位置の配置に関する各種バリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示されるように、一実施形態の天井搬送車(搬送車)1は、半導体デバイスが製造されるクリーンルームの天井110に敷設された軌道100に沿って走行する。一実施形態の天井搬送車1は、複数の半導体ウェハが収容されたFOUP(Front Opening Unified Pod)(物品)200の搬送、及び、半導体ウェハに各種処理を施す処理装置に設けられた移載部であるロードポート(移載部)300等に対するFOUP200の移載を行う。軌道100は、吊下げ支柱108によって天井110から吊り下げられている。軌道100は、走行レール101と、走行レール101の下部に設けられた給電レール102とを有している。
【0018】
天井搬送車1は、フレームユニット2と、走行ユニット3aと、受電ユニット3bと、ラテラルユニット4と、シータユニット5と、昇降駆動ユニット6と、グリッパ装置10と、コントローラ8と、を備えている。フレームユニット2は、センターフレーム21と、フロントフレーム22と、リアフレーム23と、を有している。フロントフレーム22は、センターフレーム21における前側(天井搬送車1の走行方向における前側)の端部から下側に延在している。リアフレーム23は、センターフレーム21における後側(天井搬送車1の走行方向における後側)の端部から下側に延在している。
【0019】
走行ユニット3a及び受電ユニット3bは、センターフレーム21の上側に配置されている。走行ユニット3aは、走行レール101に取り付けられている。受電ユニット3bは、例えば、給電レール102に沿って敷設された高周波電流線から非接触で電力の供給を受ける。受電ユニット3bに対する電力の供給によって、走行ユニット3aが軌道100に沿って走行する。ラテラルユニット4は、センターフレーム21の下側に配置されている。ラテラルユニット4は、シータユニット5、昇降駆動ユニット6及びグリッパ装置10を横方向(天井搬送車1の走行方向における側方)に移動させる。シータユニット5は、ラテラルユニット4の下側に配置されている。シータユニット5は、昇降駆動ユニット6及びグリッパ装置10を水平面内において回動させる。
【0020】
昇降駆動ユニット6は、シータユニット5の下側に配置されている。昇降駆動ユニット6は、グリッパ装置10を昇降させる。グリッパ装置10は、昇降駆動ユニット6の下側に配置されている。グリッパ装置10は、FOUP200のフランジ部202を保持する。コントローラ8は、フロントフレーム22及びリアフレーム23に配置されている。コントローラ8は、CPU、ROM及びRAM等によって構成された電子制御ユニットである。コントローラ8は、天井搬送車1の各部を制御する。
【0021】
フロントフレーム22及びリアフレーム23には、FOUP200がフレームユニット2から落下することを防止する4つの下落下防止部26及び2つの蓋落下防止部27が取り付けられている。下落下防止部26は、フレームユニット2の四隅の位置において、フロントフレーム22の下端とリアフレーム23の下端とにそれぞれ取り付けられており、FOUP200の底面の前端及び後端にそれぞれ対面する。蓋落下防止部27は、フロントフレーム22の下部とリアフレーム23の下部とにそれぞれ取り付けられており、蓋205側(図3参照)からFOUP200に対面する。これらの下落下防止部26及び蓋落下防止部27は、FOUP200の移載に伴って、適宜のタイミングで開閉される。
【0022】
以上のように構成された天井搬送車1は、一例として、次のように動作する。ロードポート300から天井搬送車1にFOUP200を移載する場合には、FOUP200を保持していない天井搬送車1がロードポート300の上方に停止する。グリッパ装置10の水平位置がロードポート300の真上の位置からずれている場合には、ラテラルユニット4及びシータユニット5を駆動することにより、昇降駆動ユニット6ごと保持ユニットの水平位置及び角度を微調整する。続いて、昇降駆動ユニット6がグリッパ装置10を下降させ、グリッパ装置10が、ロードポート300に載置されているFOUP200のフランジ部202を保持する。続いて、昇降駆動ユニット6がグリッパ装置10を上昇端まで上昇させて、フロントフレーム22とリアフレーム23との間にFOUP200を配置する。下落下防止部26及び蓋落下防止部27が閉じられる。続いて、FOUP200を保持した天井搬送車1が走行を開始する。
【0023】
一方、天井搬送車1からロードポート300にFOUP200を移載する場合には、FOUP200を保持した天井搬送車1がロードポート300の上方に停止する。下落下防止部26及び蓋落下防止部27が開けられる。グリッパ装置10(FOUP200)の水平位置がロードポート300の真上の位置からずれている場合には、ラテラルユニット4及びシータユニット5を駆動することにより、昇降駆動ユニット6ごと保持ユニットの水平位置及び角度を微調整する。続いて、昇降駆動ユニット6がグリッパ装置10を下降させて、ロードポート300にFOUP200を載置し、グリッパ装置10がFOUP200のフランジ部202の保持を解放する。続いて、昇降駆動ユニット6がグリッパ装置10を上昇端まで上昇させる。続いて、FOUP200を保持していない天井搬送車1が走行を開始する。
【0024】
図2に示されるように、グリッパ装置10は、グリッパ装置10の本体をなす昇降部11と、FOUP200を保持する保持部9とを備える。保持部9は、昇降部11に固定されたモータ16と、モータ16の出力軸16aを介してモータ16に接続された1つのリンク機構20と、リンク機構20の先端に取り付けられた一対のフィンガ部(係合部)12とを有する。モータ16、リンク機構20、及び一対のフィンガ部12は、昇降部11に取り付けられている。モータ16及びリンク機構20は、一対のフィンガ部12を移動させる駆動部7を構成している。なお、一対のフィンガ部12が、リンク機構20ではなく、例えばボールネジ又はベルト等によって駆動されてもよい。昇降部11は、上述した昇降駆動ユニット6を構成する例えば4本のベルト6aによって吊り下げられている。昇降部11は、コントローラ8によって昇降駆動ユニット6が制御されることにより、FOUP200の上方(ロードポート300の上方)において昇降可能である。なお、昇降駆動ユニット6が3本のベルト6aを有し、昇降部11が3本のベルト6aによって吊り下げられてもよい。
【0025】
図3を参照して、本実施形態のグリッパ装置10によって保持されるFOUP200について説明する。FOUP200は、例えば直方体形状の本体201を有する。本体201の側面(天井搬送車1の走行方向における側方の面)には、蓋205が開閉自在に取り付けられている。FOUP200は、本体201内に複数の半導体ウェハを収容する。FOUP200は、本体201内に、四角形状の基板である複数の半導体パネルを収容してもよい。本体201の矩形の上面201aには、グリッパ装置10によって保持される一対のフランジ部202が設けられている。一対のフランジ部202は、上面201aに沿った方向であって天井搬送車1の走行方向に対応する方向(図中に示されるX方向)に離間している。以下の説明において、この方向を「第1方向」という。一対のフランジ部202は、上面201aのX方向における端部201b,201bに配置されており、それぞれ、上面201aに沿った方向であって上記第1方向に直交する方向(図中に示されるY方向)に長く延びている。以下の説明において、この第1方向に直交する方向を「第2方向」という。これらの第1方向及び第2方向との語は、FOUP200の説明に用いられ得るが、FOUP200を保持するグリッパ装置10の説明にも用いられ得る。上述のとおり、第1方向は、昇降駆動ユニット6及びグリッパ装置10がフレームユニット2に整列した状態における、天井搬送車1の走行方向に対応する。
【0026】
より詳細には、FOUP200の上面201aには、端部201b,201bのそれぞれにおいて、複数対の(本実施形態では三対の)支柱203が立設されている。各支柱203は、上面201aに垂直に延びており、その下端が上面201aに固定されている。上面201aの第1方向における一方の端部201bに、例えば3本の等しい長さを有する支柱203が立設されており、これらの支柱203の上端に、1枚のフランジ部202が溶接又はボルト等によって固定されている。上面201aの第1方向における他方の端部201bに、例えば3本の等しい長さを有する支柱203が立設されており、これらの支柱203の上端に、1枚のフランジ部202が溶接又はボルト等によって固定されている。一対のフランジ部202は、FOUP200の上面201aに例えば平行に延在する。以上説明したように、FOUP200は、上面201aに設けられて上面201aに沿った第1方向に離間する一対のフランジ部202を備えている。
【0027】
支柱203が設けられることにより、上面201aとフランジ部202との間には所定のスペースが形成されている。また図1に示されるように、一対のフランジ部202は、本体201の第1方向における長さ(FOUP200の全体の長さ)の範囲内に収まっている。上面201aとフランジ部202との間のスペースに、上面201aの中央部から端部201bに向けて、グリッパ装置10のフィンガ部12が挿入される。FOUP200は、内から外へ向けて移動され上記スペースに挿入されたフィンガ部12によって、下方から保持(支持)される。
【0028】
グリッパ装置10の一対のフィンガ部12は、第1方向(図中に示されるX方向)に沿って移動する。グリッパ装置10がFOUP200を保持する際、フィンガ部12はフランジ部202に近づくように進出する。グリッパ装置10がFOUP200の保持を解放する際、フィンガ部12はフランジ部202から遠ざかるように退避する。
【0029】
図2に示されるように、リンク機構20は、フィンガ部12を移動させるための機構である。リンク機構20は、モータ16の出力軸16aに連結されて、出力軸16aを中心に回転する1個の中央リンク17と、中央リンク17の両端に設けられた一対の軸17aに第1端が回転可能に連結された一対の第1リンク18と、第1リンク18の第2端に設けられた一対の軸18aに基端が回転可能に連結された一対の第2リンク19とを含む。出力軸16aの回転に伴い、中央リンク17が回転し、一方の第1リンク18及び第2リンク19と、他方の第1リンク18及び第2リンク19とが、同期して移動する。一対の第2リンク19の先端には、それぞれフィンガ部12が取り付けられている。フィンガ部12には、中央の支柱203を受け入れる切欠き部12aが形成されている。
【0030】
本実施形態のグリッパ装置10には、FOUP200に対して保持部9の位置決めを行うための機構が備わっている。物品に対する適切な位置決めの必要性は、上記した特許文献1に記載されたとおりである。位置決めを適切に行うことにより、グリッパ装置10のフィンガ部12(保持部9)が、正しい位置及び姿勢を有し、FOUP200に対する係合及び保持が良好になる。グリッパ装置10が備える位置決め機構は、FOUP200が有する被位置検出部及び接触位置との協働により、より正確な位置決めを可能とする。
【0031】
図2に示されるように、グリッパ装置10は、昇降部11に取り付けられた4つの位置決め部を備える。より詳細には、グリッパ装置10は、平面視において矩形状をなす昇降部11の四隅の位置に、位置決め部を備える。昇降部11の1つの対角線上(図2に示される左上隅と右下隅)には、2つの第1位置決め部40が取り付けられている。これらの第1位置決め部40は、基本的に、FOUP200に対し、水平方向(XY平面に沿った方向)における保持部9の位置決めを行う。また昇降部11の他の1つの対角線上(図2に示される右上隅と左下隅)には、2つの第2位置決め部50が取り付けられている。これらの第2位置決め部50は、FOUP200に対し、高さ方向(図1に示されるZ方向)における保持部9の位置決めを行う。
【0032】
第1位置決め部40及び第2位置決め部50の構造を説明する前に、図3を参照して、位置決め機構に係るFOUP200の構造について説明する。図3に示されるように、FOUP200のフランジ部202は、それぞれ、第2方向に長く延びる長尺な平板部材であり、FOUP200の上面201aに平行に延在する。各フランジ部202のフランジ上面202aは、平坦であり、上面201aに平行である。フランジ上面202aは、FOUP200の上面201aに設けられた被位置検出面(被位置検出部)であり、第1位置決め部40及び第2位置決め部50が接触することにより、保持部9の高さ方向の位置決めを可能とする。
【0033】
各フランジ部202の第2方向の両端部には、2つのガイド穴206が形成されている。これらのガイド穴206は、同じ大きさ及び形状を有する。各ガイド穴206は、逆円錐台形状を有しており、フランジ部202を厚み方向に貫通する。各ガイド穴206は、上方に向けて開放された円形の開口を有し、下方ほど内径が小さくなる円錐状のテーパ形状を有している。すなわち、各ガイド穴206では、上端の開口に対する高さが低いほど内径が小さくなる。一対のフランジ部202において、第1方向に直交する仮想の中央面(出力軸16aの軸線を含む面)に関して、ガイド穴206は対称に形成されている。これらの4つのガイド穴206の位置は、平面視において、第1位置決め部40及び第2位置決め部50の位置に対応している。より詳細には、FOUP200に対して保持部9が正確な位置にあるとき、4つのガイド穴206の中心軸線の位置は、後述する第1位置決め部40の軸42及び第2位置決め部50の軸52の位置に一致する。4つのガイド穴206のうち、第1の対角線上に配置された2つのガイド穴206は、第1位置決め部40が接触することにより、保持部9の水平方向の位置決めを可能とする。それと同時に、第1の対角線上に配置された2つのガイド穴206は、2つの第1位置決め部40が接触することにより、保持部9の高さ方向の位置決めをも可能とする。
【0034】
4つのガイド穴206のうち、第2の対角線上に配置された2つのガイド穴206には、2つの第2位置決め部50は接触しない。本実施形態では、2つの第2位置決め部50は、第2の対角線上に配置された2つのガイド穴206が形成された位置において、フランジ上面202aに接触するのみである。FOUP200が4つのガイド穴206を有することにより、FOUP200の汎用性が高められている。4つのガイド穴206は、例えば、本実施形態の天井搬送車1とは異なる他の搬送システムであるAGV(Automated Guided Vehicle)によってFOUP200が取り扱われる場合に、利用され得る。
【0035】
図2図4及び図5を参照して、第1位置決め部40及び第2位置決め部50の構造についてそれぞれ説明する。図2及び図4に示されるように、第1位置決め部40は、昇降部11の隅部に固定されたセンサボックス45と、センサボックス45に対して上下動可能な軸42と、軸42の下端部に固定された凸部材41とを有する。センサボックス45は、例えば、上下に向けて開放されており、その側面が昇降部11の外側面に固定されている。凸部材41は円錐面部41aを含んでもよい。円錐面部41aは、例えば、フランジ部202のガイド穴206に係合するよう、ガイド穴206に対応する形状を有する。言い換えれば、凸部材41の円錐面部41aの一部が、ガイド穴206の周壁面に略一致する形状を有している。センサボックス45の底面と凸部材41との間には、軸42周りにバネ43が介装されている。バネ43は、凸部材41とセンサボックス45とに対して、これらを離間させる方向に付勢力を付与する。
【0036】
軸42の上端には、位置検出板44が固定されている。センサボックス45内の上部には、対向する位置に着座センサ46及び在席センサ47が設置されている。着座センサ46及び在席センサ47は、センサボックス45に固定されており、センサボックス45内における位置検出板44の相対移動に伴う、第1被検出片44a及び第2被検出片44bの存在の有無を検出する。着座センサ46は、保持部9の着座(すなわち凸部材41がフランジ部202のガイド穴206に挿入されているか)を検出するセンサである。在席センサ47は、FOUP200が持ち上がった状態でFOUP200の存在を検出するセンサである。例えば、FOUP200が不在であると、在席センサ47がOFFとなり、異常発報が行われる。FOUP200の不在としては、例えば、フランジ部202の脱落等に起因する、フィンガ部12に対するFOUP200の係合状態の喪失が考えられる。着座センサ46及び在席センサ47には、コントローラ8へ信号を出力するためのケーブルが接続されている。昇降部11の昇降及びグリッパ装置10によるFOUP200の保持に伴う、これらのセンサにおける検出動作については後述する。
【0037】
図2及び図5に示されるように、第2位置決め部50は、昇降部11の隅部に固定されたボックス55と、ボックス55に対して上下動可能な軸52と、軸52の下端部に固定された平板状の押さえ部材51とを有する。ボックス55は、例えば、上下に向けて開放されており、その側面が昇降部11の外側面に固定されている。押さえ部材51は、FOUP200のフランジ上面202aに接触する水平面部51aを含んでもよい。軸52の下端は押さえ部材51の下面から若干突出していてもよい。水平面部51aがフランジ上面202aに接触した状態で、軸52の突出した部分は、ガイド穴206内に配置される。ボックス55の底面と押さえ部材51との間には、軸52周りにバネ53が介装されている。バネ53は、押さえ部材51とボックス55とに対して、これらを離間させる方向に付勢力を付与する。
【0038】
第1位置決め部40及び第2位置決め部50において、ガイド穴206に対する凸部材41の高さと、フランジ上面202aに対する押さえ部材51の高さとは等しくなっている。言い換えれば、ガイド穴206の周壁面に凸部材41の円錐面部41aが接触すると共にフランジ上面202aに押さえ部材51の水平面部51aが接触し、バネ43及びバネ53から受ける付勢力(反発力)が等しい状態において、昇降部11及び保持部9の姿勢は、FOUP200の上面201aに対して平行になっている。すなわち、保持部9がFOUP200に対して高さ方向に位置決めされている。さらに言い換えれば、ガイド穴206の周壁面に凸部材41が接触し(ガイド穴206に凸部材41が嵌入し)、フランジ上面202aに押さえ部材51が接触し(乗り)、4本のベルト6aにより吊り下げられた昇降部11及び保持部9が、これらの自重によりフランジ部202上に乗った状態で、保持部9がFOUP200に対して高さ方向に位置決めされている。しかも、この状態で、ガイド穴206に対する凸部材41の嵌合(テーパ形状の嵌合)により、保持部9がFOUP200に対して水平方向にも位置決めされている。
【0039】
以上の構成を有するグリッパ装置10及びFOUP200では、図3に示されるように、フランジ部202において、第1の対角線上に配置された2つのガイド穴206が形成された位置は、第1位置決め部40が接触する2箇所の第1接触位置Paである。FOUP200の上部における2箇所の第1接触位置Paで第1位置決め部40がFOUP200に接触することで、FOUP200に対し、水平方向における保持部9の位置決めが行われる。
【0040】
また、フランジ部202において、第1の対角線上に配置された2つのガイド穴206が形成された位置は、第1位置決め部40が接触する2箇所の第2接触位置Pbでもある。さらに、第2の対角線上に配置された2つのガイド穴206が形成された位置は、第2位置決め部50が接触する2箇所の第2接触位置Pbである。FOUP200の上部における4箇所の第2接触位置Pbで第1位置決め部40及び第2位置決め部50がFOUP200に接触することで、FOUP200に対し、高さ方向における保持部9の位置決めが行われる。
【0041】
第1接触位置Paとは、FOUP200の上部における、保持部9の水平方向の位置決めのための接触位置である。第2接触位置Pbとは、FOUP200の上部における保持部9の高さ方向の位置決めのための接触位置である。本実施形態では、第1の対角線上に配置された2つのガイド穴206が形成された位置は、2箇所の第1接触位置Paであり、且つ2箇所の第2接触位置Pbである。そして、第1位置決め部40が、2つのガイド穴206にそれぞれ進入可能な2つの凸部材41を有している。この構成により、第1位置決め部40が、高さ方向における保持部9の位置決めをも可能としており、第2位置決め部50と同様の機能を発揮する(役割を担う)。
【0042】
すなわち、本実施形態では、第1位置決め部40は、水平方向の位置決めのため、2箇所のみの第1接触位置PaでFOUP200に接触する。一方で、高さ方向の位置決めのための第2接触位置Pbは、4箇所に設けられている。言い換えれば、グリッパ装置10は、第1接触位置Pa且つ第2接触位置Pbとしての2箇所のガイド穴206に第1位置決め部40の凸部材41を接触させることによって保持部9の水平方向且つ高さ方向における位置決めを行う。グリッパ装置10は、第2接触位置Pbとしての2箇所のガイド穴206に第2位置決め部50の押さえ部材51を接触させることによって保持部9の高さ方向における位置決めを行う。第1位置決め部40が、3箇所以上において必要とされる高さ方向の位置決めのうち、一部の箇所(本実施形態では2箇所)で、第2位置決め部50と同様の機能を発揮する(役割を担う)。これらの第2接触位置Pbは、一直線上には位置していない。すなわち、4箇所の第2接触位置Pbのいずれの3つを選んでも、それらが一直線上には位置しない。「3箇所の第2接触位置が一直線上に位置しない」とは、例えば、各接触位置における接触部(接触面)が面積を有する場合には、それらの3つの中心点を結んだ直線が一直線状にならないことを意味する。「3箇所の第2接触位置が一直線上に位置しない」とは、3つの中心点を含む平面が一意に定まることを意味する。
【0043】
以下、本実施形態のグリッパ装置10及び天井搬送車1によるFOUP200の搬送方法について説明する。まず、昇降部11がロードポート300の上方に到来すると、コントローラ8が昇降部11を降下させる(降下工程)。この降下工程では、着座センサ46がONになるまで、昇降部11が降下させられる。降下工程の後、FOUP200の上部における2箇所の第1接触位置Paで第1位置決め部40をFOUP200に接触させることで、FOUP200に対して水平方向における保持部9の位置決めが行われる(第1位置決め工程)。また、降下工程の後、FOUP200の上部における一直線上には位置しない4箇所の第2接触位置Pbで第1位置決め部40及び第2位置決め部50をFOUP200に接触させることで、FOUP200に対して高さ方向における保持部9の位置決めが行われる(第2位置決め工程)。これらの第1位置決め工程及び第2位置決め工程は、略同時に実施される。そして、これらの第1位置決め工程及び第2位置決め工程の後、保持部9によりFOUP200が保持される(保持工程)。
【0044】
図6図10を参照して、第1位置決め工程及び保持工程について説明する。昇降部11の降下に伴い、まず、図6に示されるように、凸部材41がガイド穴206内に進入する(挿入される)。この時点で、凸部材41の円錐面部41aがガイド穴206の周壁面に初めて接触する。次に、図7に示されるように、更に昇降部11及び保持部9が降下し、着座センサ46がONとなる。この間に、在席センサ47はOFFからON、さらにOFFへと切り替わるが、着座センサ46がOFFのままであるので、この在席センサ47の切り替わりは無視される。次に、図8に示されるように、更に昇降部11及び保持部9が所定距離降下した時点で、これらの降下が停止する。以上の一連の工程により、第1位置決め工程が終了する。それと同時に、第2位置決め工程も終了している。
【0045】
次に、図9に示されるように、着座センサ46がONの状態で、駆動部7によってフィンガ部12が移動させられ、フィンガ部12がフランジ部202の下方のスペースに挿入される。続いて、図10に示されるように、昇降部11及び保持部9が上昇させられ、フィンガ部12によってフランジ部202(FOUP200)が保持される。以上の工程により、保持工程が終了する。その後、昇降部11及び保持部9がフレームユニット2内に至るまで上昇する。
【0046】
本実施形態のグリッパ装置10及び上記搬送方法によれば、第1位置決め部40が、FOUP200の上部における2箇所の第1接触位置PaでFOUP200に接触する。第1位置決め部40の接触により、FOUP200に対して水平方向における保持部9の位置決めが行われる。また第1位置決め部40及び第2位置決め部50が、FOUP200の上部における少なくとも3箇所の第2接触位置Pb(実施形態では4箇所)でFOUP200に接触する。これらの第2接触位置Pbは一直線上に位置しないので、第1位置決め部40及び第2位置決め部50の接触により、FOUP200に対して高さ方向における保持部9の位置決めが行われる。このように、水平方向に関して2箇所、及び高さ方向に関して少なくとも3箇所の接触位置が用いられるので、FOUP200に対する水平方向及び高さ方向における位置決めを正確に行うことができる。
【0047】
第1位置決め部40が、3箇所以上の第1接触位置でFOUP200に接触する場合、3箇所中の2箇所と他の1箇所とで、水平方向における保持部9の位置が一意に決まらず、不整合が生じる可能性がある。すなわち、3箇所以上の第1接触位置の間で喧嘩が生じる可能性がある。第1接触位置Paが2箇所のみに限られていれば、そのような不整合すなわち喧嘩が抑制される。
【0048】
第1位置決め部40が、2つの前記ガイド穴206にそれぞれ進入可能な2つの凸部材41を有することで、第2位置決め部と同様の機能を発揮する。2箇所の第1接触位置と2箇所の第2接触位置とが共通化されることにより、位置決めのための部材を少なくできる。
【0049】
水平面部51aを含む押さえ部材51によれば、高さ方向における位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
【0050】
第2接触位置が4箇所に設けられているので、高さ方向においてより正確に位置決めを行うことができる。
【0051】
天井搬送車1によれば、保持部はFOUP200に対して正確に位置決めされた状態で、FOUP200を保持する。よって、FOUP200の搬送状態が安定し、それによってFOUP200を高速で搬送することもできる。
【0052】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、第1接触位置Pa及び第2接触位置Pbの配置は、種々の態様に変更されてよい。図11(a)に示されるように、一方のフランジ部202に2箇所の第1接触位置Pa(ただしテーパ形状により第2接触位置を兼ねる)が設定され、他方のフランジ部202に2箇所の第2接触位置Pbが設定されてもよい。上記実施形態のように対角線上に同種の接触位置が配置される場合に限られず、図11(b)に示されるように、第2方向における同じ側に同種の接触位置が配置されてもよい。この場合も、第1接触位置Paは、テーパ形状によって第2接触位置を兼ねる。図11(c)に示されるように、一方のフランジ部202に2箇所の第1接触位置Pa(ただしテーパ形状により第2接触位置を兼ねる)が設定され、他方のフランジ部202に1箇所の第2接触位置Pbが設定されてもよい。また図11(d)に示されるように、一方のフランジ部202に2箇所の第1接触位置Pa(ただしテーパ形状により第2接触位置を兼ねる)が設定され、他方のフランジ部202に1箇所の大型(広範囲)の第2接触位置Pbが設定されてもよい。広範囲の第2接触位置Pbは、複数の第2接触位置Pbを備えるのと同様の安定性をもたらす。
【0053】
第1位置決め部及び第2位置決め部が接触する被位置検出部は、物品の上部の適当な位置に設けられればよい。物品の上面にフランジ部が設置されず、フランジ部以外の部分に被位置検出部が設けられてもよい。被位置検出部は、水平面(本体201の上面201aに平行な面)として設定され得る。保持部がフランジ部に係合する場合に限られず、物品の上部(側面を含む)のいずれかの箇所に保持部が係合してもよい。保持部の構成は上記実施形態に限定されない。保持部の係合部が、内から外へ向けて移動される態様に限られない。保持部の係合部が、外から内へ向けて移動されてもよい。
【0054】
第1位置決め部及び第2位置決め部は、バネ機構を備えた位置決めである態様に限られない。第1位置決め部及び第2位置決め部は、バネ以外の弾性部材を備えてもよいし、弾性部材を備えなくてもよい。第1位置決め部及び第2位置決め部が、ダンパ機構を備えてもよい。第2位置決め部は、昇降部11に対する位置が固定された平板部材であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、第1位置決め部40に、センサ(着座センサ46及び在席センサ47)が設置された。この態様とは異なり、第1位置決め部40にセンサが設置されず、第2位置決め部50にセンサ(例えば上記実施形態に開示されたのと同様の着座センサ及び在席センサ等)が設置されてもよい。また、第1位置決め部40及び第2位置決め部50の双方にこれらのセンサが設置されてもよい。すなわち、昇降部11の四隅の位置において、これらのセンサが設置されてもよい。
【0056】
上記実施形態では、フランジ部202を貫通するガイド穴206が設けられた。この態様に限られず、底部を有する(フランジ部202を貫通しない)、テーパ形状のガイド穴が設けられてもよい。また、物品に円錐状のガイド穴206が形成される態様に限られない。例えば、第1位置決め部が、円筒状の凸部材を有し、物品の上部のいずれかの箇所に円柱状の穴部(貫通する孔部でもよい)が形成されてもよい。この場合、第1位置決め部では高さ方向の位置決めができないため、2箇所の第1接触位置とは別の位置に、少なくとも3箇所の第2接触位置を物品に設ける必要がある。
【0057】
言い換えれば、第1接触位置が第2接触位置を兼ねる態様に限られない。2箇所の第1接触位置と、3箇所以上の第2接触位置とが、別個に設けられてもよい。あるいは、2箇所の第1接触位置のうちの1つが、第2接触位置を兼ねてもよい。いずれの態様においても、グリッパ装置は、第1接触位置に対応して第1位置決め部を備え、第2接触位置に対応して第2位置決め部を備える。物品において、ある特定の第1接触位置が第2接触位置を兼ねる場合には、グリッパ装置において、その特定の第1接触位置に対応する第1位置決め部は、第2位置決め部と同様の機能を発揮する。
【0058】
物品は、FOUP200に限られない。物品は、SMIF(Standard Mechanical Interface)Pod又はFOSB(Front Opening Shipping Box)等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…天井搬送車(搬送車)、7…駆動部、9…保持部、10…グリッパ装置、11…昇降部、12…フィンガ部、16…モータ、20…リンク機構、40…第1位置決め部、41…凸部材、41a…円錐面部、50…第2位置決め部、51…押さえ部材、51a…水平面部、200…FOUP(物品)、201…本体、201a…上面、202…フランジ部、202a…フランジ上面(被位置検出部)、206…ガイド穴、300…ロードポート(移載部)、Pa…第1接触位置、Pb…第2接触位置。
図1
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図11