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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】天井搬送車及び天井搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B61B 3/02 20060101AFI20230808BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20230808BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20230808BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20230808BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B61B3/02 B
B61B13/00 L
B65G1/04 551Z
B65G49/07 C
H01L21/68 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022518617
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2021005478
(87)【国際公開番号】W WO2021220582
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2020078157
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖久
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/174181(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/037762(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0141827(KR,A)
【文献】特開2018-49943(JP,A)
【文献】特許第7040638(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 3/02
B61B 13/00
B65G 1/04
B65G 49/07
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が格子状に配置されたレールに沿って走行可能な天井搬送車であって、
物品を保持する物品保持部と、
前記物品保持部が直線的に移動するように駆動する直線駆動部と、
前記物品保持部が水平旋回するように駆動する旋回駆動部と、
前記物品保持部で保持している前記物品の向き及び当該物品が載置されるロードポートの向きに応じて、前記旋回駆動部を制御する制御部と、
前記レール上を転動する走行車輪と、
前記レールの下方に配置され、前記物品保持部、前記直線駆動部及び前記旋回駆動部を含む本体部と、を備え、
前記直線駆動部は、前記物品保持部を昇降させる昇降駆動部と、前記昇降駆動部をスライド移動させるスライド駆動部と、を有し、
前記旋回駆動部は、前記スライド駆動部を水平旋回させる第1旋回駆動部と、前記物品保持部又は前記昇降駆動部を水平旋回させる第2旋回駆動部と、を有し、
前記第1旋回駆動部により前記スライド駆動部が水平旋回する場合、前記スライド駆動部の下側に取り付けられる前記第2旋回駆動部、前記昇降駆動部及び前記物品保持部が一体で水平旋回する、天井搬送車。
【請求項4】
前記制御部は、
前記物品の向きと前記ロードポートの向きとが一定関係になるように、前記物品保持部を第1角度水平旋回させる第1制御と、
前記物品の向きが微調整されるように、前記物品保持部を、前記第1角度よりも小さい第2角度水平旋回させる第2制御と、を実行する、請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項5】
通路を挟んだ一方側及び他方側のそれぞれにおいて当該通路に沿って並ぶように配置された複数の処理装置と、
請求項1又は4に記載の天井搬送車と、を備え、
複数の前記処理装置のそれぞれは、その前記通路側に配置された前記ロードポートを有し、
前記天井搬送車が走行する経路であって、前記通路を横断するように延び且つ前記天井搬送車を一対の前記ロードポート上を通過させる走行経路を備える、天井搬送システム。
【請求項6】
前記第1旋回駆動部は、前記スライド駆動部を90度間隔で回転させ、
前記第2旋回駆動部は、180度の範囲で前記昇降駆動部を回転させる、請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項7】
前記制御部は、前記ロードポートへの前記物品の搬送中に前記第1制御を実施し、前記ロードポートに対して前記物品の荷下ろし中に前記第2制御を実施する、請求項4に記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、天井搬送車及び天井搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
天井搬送車に関する技術として、例えば特許文献1に記載された有軌道台車が知られている。特許文献1に記載された有軌道台車は、格子状に配置された箇所を含むレールに沿って、レールの下側で物品を保持して搬送する本体部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/037762号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような天井搬送車では、物品保持部で保持している物品の向きによっては、ロードポートに対して所望の向きで物品を移載することが困難になる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、ロードポートに対して所望の向きで物品を移載することができる天井搬送車及び天井搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、物品を保持する物品保持部と、物品保持部が直線的に移動するように駆動する直線駆動部と、物品保持部が水平旋回するように駆動する旋回駆動部と、物品保持部で保持している物品の向き及び当該物品が載置されるロードポートの向きに応じて、旋回駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この天井搬送車によれば、物品保持部で保持している物品の向きが何れの向きであっても、制御部により旋回駆動部を物品の向き及びロードポートの向きに応じて制御することにより、ロードポートに対して所望の向きで物品を移載することができる。
【0008】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、直線駆動部は、物品保持部を昇降させる昇降駆動部と、昇降駆動部をスライド移動させるスライド駆動部と、を有し、旋回駆動部は、スライド駆動部を水平旋回させる第1旋回駆動部と、物品保持部又は昇降駆動部を水平旋回させる第2旋回駆動部と、を有していてもよい。このような構成によれば、物品の向きを具体的に制御することが可能となる。
【0009】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、少なくとも一部が格子状に配置されたレールに沿って走行可能な天井搬送車であって、レール上を転動する走行車輪と、レールの下方に配置され、物品保持部、直線駆動部及び旋回駆動部を含む本体部と、を備えていてもよい。このような構成によれば、天井搬送車の走行経路を自由に選択しやすくなり、渋滞の発生を抑え、搬送効率を向上させることが可能となる。
【0010】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、制御部は、物品の向きとロードポートの向きとが一定関係になるように、物品保持部を第1角度水平旋回させる第1制御と、物品の向きが微調整されるように、物品保持部を、第1角度よりも小さい第2角度水平旋回させる第2制御と、を実行してもよい。これにより、ロードポートに対して、確実に所望の向きで物品を移載することが可能となる。
【0011】
本発明の一側面に係る天井搬送システムは、通路を挟んだ一方側及び他方側のそれぞれにおいて当該通路に沿って並ぶように配置された複数の処理装置と、上記天井搬送車と、を備え、複数の処理装置のそれぞれは、その通路側に配置されたロードポートを有し、天井搬送車が走行する経路であって、通路を横断するように延び且つ天井搬送車を一対のロードポート上を通過させる走行経路を備える。
【0012】
一般的に、通路を介して対向する一対のロードポートの向きは互いに反対方向となるため、物品の向きとロードポートの向きとが一定関係になるように当該一対のロードポートの間で物品を移載することは、困難である。この問題点を解決するために、本発明の一側面に係る天井搬送システムは、通路を横断するように延び且つ天井搬送車を一対のロードポート上を通過させる走行経路(以下、横断走行経路ともいう)及び上記天井搬送車を備えている。横断走行経路に係る一対のロードポートの間でも、制御部により旋回駆動部を適宜制御することにより、所望の向きで物品を移載することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、ロードポートに対して所望の向きで物品を移載することができる天井搬送車及び天井搬送システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る天井搬送システムの一例を示す側面図である。
図2図2は、図1の天井搬送車を示す斜視図である。
図3図3は、図1の天井搬送システムを示す斜視図である。
図4図4は、図1の天井搬送車を上方から見た状態を模式的に示す図である。
図5図5は、図1の天井搬送システムにおいて天井搬送車により物品をロードポート間で搬送する場合の一例を説明する平面図である。
図6図6は、図5の続きを示す平面図である。
図7図7は、図6の続きを示す平面図である。
図8図8は、図7の続きを示す平面図である。
図9図9は、図8の続きを示す平面図である。
図10図10は、図9の続きを示す平面図である。
図11図11は、図10の続きを示す平面図である。
図12図12は、変形例に係る天井搬送システムが備える横断走行経路を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に沿った一直線方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。なお、天井搬送車100の走行方向は、以下の図に示された状態から他の方向に変化可能であり、例えば曲線方向に走行する場合もある。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、反対の方向が-方向であるとして説明する。また、Z軸まわりの回転方向をθZ方向と表記する。
【0016】
図1図2及び図3に示されるように、天井搬送システムSYSは、例えば半導体製造工場のクリーンルームにおいて、物品Mを天井搬送車100により搬送するためのシステムである。天井搬送システムSYSは、複数の処理装置6へ物品Mを搬送するため、天井搬送車100と、システムコントローラ5と、を備える。物品Mは、例えば、半導体ウエハを収容するFOUP、あるいはレチクルを収容するレチクルPod等である。物品Mには向きがあり、例えば物品Mの蓋部Mb側と反対側が正面の向きである。
【0017】
処理装置6は、物品Mに対して処理を行う装置である。処理装置6は、特に限定されず、種々の装置であってもよい。図5に示されるように、処理装置6は、通路STを挟んだ一方側及び他方側のそれぞれにおいて当該通路STに沿って並ぶように配置されている。複数の処理装置6のそれぞれは、装置本体61及びロードポート62を含む。ロードポート62は、通路ST側に配置され、物品Mが載置される。ロードポート62には向きがあり、例えばロードポート62の通路ST側が正面の向きである。ロードポート62の向きは、そこに載置する物品Mの向きに対応する。例えば、ロードポート62の正面と物品Mの正面とが一致するように(物品Mの蓋部Mbが装置本体61に向くように)、ロードポート62上に物品Mが載せられる。
【0018】
図1図2及び図3に示されるように、天井搬送車100は、天井搬送システムSYSのレールRに沿って移動し、物品Mを搬送する。天井搬送車100は、建屋の天井近傍を走行するため、天井走行車と称する場合がある。天井搬送車100は、例えば複数台用いられてもよい。複数の天井搬送車100によって物品Mを搬送することにより、高密度な搬送が可能となり、物品Mの搬送効率を向上させることが可能となる。
【0019】
レールRは、クリーンルーム等の建屋の天井又は天井付近に敷設されている。レールRは、第1レールR1と、第2レールR2と、交差点レールR3と、を有する格子状レールである(図3参照)。レールRは、その少なくとも一部が格子状に配置されている。以下、レールRを格子状レールRと称する。第1レールR1は、X方向(第1方向D1)に沿って設けられる。第2レールR2は、Y方向(第2方向D2)に沿って設けられる。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2とが直交しており、複数の第1レールR1と複数の第2レールR2とは、互いに直交する方向に沿って設けられるが、互いに直接交差しないように設けられている。交差点レールR3は、第1レールR1と第2レールR2との交差部分に配置される。格子状レールRは、第1レールR1と第2レールR2とが直交する方向に沿って設けられることで、平面視で複数のセルC(区画)が隣り合う状態となっている。なお、図3では格子状レールRの一部について示しており、格子状レールRは、図示している構成から第1方向D1(X方向)及び第2方向D2(Y方向)に同様の構成が連続して形成されている。
【0020】
第1レールR1、第2レールR2及び交差点レールR3は、吊り下げ部材H(図3参照)によって不図示の天井に吊り下げ支持されている。吊り下げ部材Hは、第1レールR1を吊り下げるための第1部分H1と、第2レールR2を吊り下げるための第2部分H2と、交差点レールR3を吊り下げるための第3部分H3と、を有する。第1部分H1及び第2部分H2は、それぞれ第3部分H3を挟んだ二か所に設けられている。
【0021】
第1レールR1、第2レールR2及び交差点レールR3は、それぞれ、天井搬送車100の後述する走行車輪21が走行する走行面R1a、R2a、R3aを有する。第1レールR1と交差点レールR3との間、第2レールR2と交差点レールR3との間には、それぞれ隙間Dが形成される。隙間Dは、天井搬送車100が第1レールR1を走行して第2レールR2を横切る際、あるいは第2レールR2を走行して第1レールR1を横切る際に、天井搬送車100の一部である後述の連結部30が通過する部分である。従って、隙間Dは、連結部30が通過可能な幅に設けられている。第1レールR1、第2レールR2、及び交差点レールR3は、同一又はほぼ同一の水平面に沿って設けられる。本実施形態において、第1レールR1、第2レールR2、及び交差点レールR3は、走行面R1a、R2a、R3aが同一又はほぼ同一の水平面上に配置される。
【0022】
図1及び図2に示されるように、天井搬送車100は、レールRに沿って走行可能な搬送車であって、本体部10と、走行部20と、連結部30と、台車コントローラ(制御部)50とを有する。
【0023】
本体部10は、格子状レールRの下方(-Z側)に配置される。本体部10は、平面視で例えば矩形状に形成される。本体部10は、平面視でレールRにおける1つのセルCに収まる寸法に形成される。このため、隣り合う第1レールR1又は第2レールR2を走行する他の天井搬送車100とすれ違うことが可能となる。
【0024】
本体部10は、上部ユニット17と、移載装置18とを備える。上部ユニット17は、連結部30を介して走行部20に吊り下げ支持される。上部ユニット17は、例えば平面視で矩形状であり、上面17aに4つのコーナー部を有する。本体部10の4つのコーナー部のそれぞれには、走行車輪21、連結部30及び方向転換機構34が設けられている。
【0025】
移載装置18は、上部ユニット17の下方に設けられる。移載装置18は、鉛直方向の第1垂直軸AX1まわりに回転可能である。移載装置18は、物品Mを保持する物品保持部13と、物品保持部13を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部14と、昇降駆動部14を水平方向にスライド移動させるスライド駆動部11と、スライド駆動部11を保持する回動部12と、本体部10に対してスライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに水平旋回させる(回転駆動する)第1旋回駆動部15と、スライド駆動部11に対して昇降駆動部14を第2垂直軸AX2まわりに水平旋回させる第2旋回駆動部16と、を有する。昇降駆動部14及びスライド駆動部11は、物品保持部13が直線的に移動するように駆動する直線駆動部を構成する。第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16は、物品保持部13が水平旋回するように駆動する旋回駆動部を構成する。水平旋回は、鉛直方向に沿う軸を回転軸として旋回することを意味する。
【0026】
スライド駆動部11は、例えばZ方向に重ねて配置された複数の可動板を有する。可動板は、Y方向に移動可能である。最下層の可動板には、第2旋回駆動部16が取り付けられている。スライド駆動部11は、不図示の駆動装置により可動板を移動させ、最下層の可動板に取り付けられた昇降駆動部14及び物品保持部13を走行方向に対して一方向に、つまり一直線方向のうちの一方向に突出するようスライド移動させることができる。回動部12は、スライド駆動部11と上部ユニット17との間において第1旋回駆動部15に取り付けられ、スライド駆動部11を保持する。
【0027】
物品保持部13は、物品Mのフランジ部Maを把持することにより、物品Mを吊り下げて保持する。物品保持部13は、例えば、水平方向に移動可能な爪部13aを有するチャックであり、爪部13aを物品Mのフランジ部Maの下方に進入させ、物品保持部13を上昇させることで、物品Mを保持する。物品保持部13は、ワイヤあるいはベルトなどの吊り下げ部材13bに接続されている。
【0028】
昇降駆動部14は、第2旋回駆動部16に取り付けられている。昇降駆動部14は、例えばホイストであり、吊り下げ部材13bを繰り出すことにより物品保持部13を下降させ、吊り下げ部材13bを巻き取ることにより物品保持部13を上昇させる。昇降駆動部14は、台車コントローラ50に制御され、所定の速度で物品保持部13を下降あるいは上昇させる。また、昇降駆動部14は、台車コントローラ50に制御され、物品保持部13を目標の高さに保持する。
【0029】
第1旋回駆動部15は、電動モータ等が用いられ、回動部12を第1垂直軸AX1まわりに回転させる。第1旋回駆動部15は、回動部12の回転とともに、スライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに回転させることができる。第1旋回駆動部15によりスライド駆動部11が第1垂直軸AX1まわりに回転する場合、スライド駆動部11の下側に取り付けられる第2旋回駆動部16、昇降駆動部14、及び物品保持部13が一体で第1垂直軸AX1まわりに回転する。第2旋回駆動部16は、電動モータ等が用いられ、昇降駆動部14を第2垂直軸AX2まわりに回転させる。
【0030】
図4は、本体部10を上方から見た状態を模式的に示す図である。図4は、スライド駆動部11及び昇降駆動部14の回転移動の一例を示している。図4に示されるように、第1旋回駆動部15は、第1方向D1又は第2方向D2にスライド駆動部11のスライド移動の方向を合わせた状態から、第1垂直軸AX1まわりに270度の範囲でスライド駆動部11を回転させることができる。この場合、格子状レールRに停止している本体部10から第1方向D1及び第2方向D2のいずれの方向に対しても物品保持部13をスライド移動させることが可能となる。また、ロードポート62に対して、物品Mを所望の向きで載置することが可能となる。
【0031】
移載装置18は、スライド駆動部11を駆動することにより、昇降駆動部14及び物品保持部13を移載位置P1から突出位置P2a、P2b、P2c、P2dのいずれかに突出可能である。突出位置P2aは、スライド駆動部11により昇降駆動部14及び物品保持部13を+Y方向にスライド移動させた際の突出位置である。突出位置P2bは、第1旋回駆動部15によりスライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに90度(例えば時計回りに90度)回転させ、スライド駆動部11により昇降駆動部14及び物品保持部13を+X方向にスライド移動させた際の突出位置である。突出位置P2cは、第1旋回駆動部15によりスライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに180度回転させ、スライド駆動部11により昇降駆動部14及び物品保持部13を-Y方向にスライド移動させた際の突出位置である。突出位置P2dは、第1v15によりスライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに270度回転させ、スライド駆動部11により昇降駆動部14及び物品保持部13を-X方向にスライド移動させた際の突出位置である。
【0032】
このように、スライド駆動部11は、昇降駆動部14及び物品保持部13を一直線方向のうちの一方向にスライド移動させる構成であるが、第1旋回駆動部15を駆動させてスライド駆動部11の回動位置を90度間隔で設定することにより、+X方向(第1方向D1)、+Y方向(第2方向D2)、-X方向(第1方向D1)、-Y方向(第2方向D2)の4方向のそれぞれに昇降駆動部14及び物品保持部13をスライド移動させることが可能である。
【0033】
また、第2旋回駆動部16は、電動モータ等が用いられ、スライド駆動部11によりスライド移動させる一直線方向を基準として、第2垂直軸AX2まわりに少なくとも180度の範囲で昇降駆動部14(物品保持部13)を回転させる。図4では、第2垂直軸AX2を通る一点鎖線で示す方向(一直線方向に直交する方向)の範囲で、第2垂直軸AX2まわりに昇降駆動部14(物品保持部13)を180度回転可能である。この場合、ロードポート62に対して、物品Mを所望の向きで載置することが可能となる。例えば、第2旋回駆動部16を駆動することにより、物品Mの正面側を+X方向に向けた状態から第2垂直軸AX2まわりに180度回転させることで、物品Mの正面側を-X方向(すなわち反対方向)に向けることができる。例えば、第2旋回駆動部16を駆動することにより、物品Mの正面側を+X方向に向けた状態から、+Y方向又は-Y方向に向けた状態とすることができる。
【0034】
図1図2及び図3に示されるように、走行部20は、走行車輪21と、補助車輪22とを有する。走行車輪21は、上部ユニット17(本体部10)の上面17aの4つのコーナー部にそれぞれ配置される。走行車輪21のそれぞれは、連結部30に設けられた不図示の車軸に取り付けられている。車軸は、XY平面に沿って平行又はほぼ平行に設けられている。走行車輪21のそれぞれは、後述する走行駆動部33の駆動力により回転駆動する。走行車輪21のそれぞれは、格子状レールR上を転動する。走行車輪21のそれぞれは、格子状レールRにおいて、第1レールR1、第2レールR2、及び交差点レールR3の走行面R1a、R2a、R3aを転動し、天井搬送車100を走行させる。なお、4つの走行車輪21の全てが走行駆動部33の駆動力により回転駆動することに限定されず、4つの走行車輪21のうち一部について回転駆動させる構成であってもよい。
【0035】
走行車輪21は、旋回軸AX3を中心としてθZ方向に旋回可能に設けられる。走行車輪21は、後述する方向転換機構34によってθZ方向に旋回し、その結果、天井搬送車100の走行方向を変更することができる。補助車輪22は、走行車輪21の走行方向の前後にそれぞれ1つずつ配置される。補助車輪22のそれぞれは、走行車輪21と同様に、θZ方向に回転可能となっている。補助車輪22の下端は、走行車輪21の下端より高くなるように設定されている。従って、走行車輪21が走行面R1a、R2a、R3aを走行しているときは、補助車輪22は、走行面R1a、R2a、R3aに接触しない。また、走行車輪21が隙間D(図3参照)を通過する際には、補助車輪22が走行面R1a、R2a、R3aに接触して、走行車輪21の落ち込みを抑制している。なお、1つの走行車輪21に2つの補助車輪22を設けることに限定されず、例えば、1つの走行車輪21に1つの補助車輪22が設けられてもよいし、補助車輪22が設けられなくてもよい。
【0036】
図1及び図2に示されるように、移載装置18及び移載装置18に保持している物品Mを囲むようにカバーWが設けられてもよい。カバーWは、下端を開放した形状であって、かつ、スライド駆動部11の可動板が突出する部分(スライド移動する部分)を切り欠いた形状を有している。カバーWは、上端が回動部12に取り付けられており、回動部12の回動に伴って第1垂直軸AX1まわりに回動する。
【0037】
連結部30は、本体部10の上部ユニット17と走行部20とを連結する。連結部30は、上部ユニット17(本体部10)の上面17aの4つのコーナー部にそれぞれ設けられる。この連結部30によって本体部10は、吊り下げられた状態となり、格子状レールRより下方に配置される。連結部30は、支持部材31と、接続部材32とを有する。支持部材31は、走行車輪21の回転軸及び補助車輪22の回転軸を回転可能に支持する。支持部材31により、走行車輪21と補助車輪22との相対位置を保持する。支持部材31は、例えば板状に形成され、隙間Dを通過可能な厚さに形成される。
【0038】
接続部材32は、支持部材31から下方に延びて上部ユニット17の上面17aに連結され、上部ユニット17を保持する。接続部材32は、後述する走行駆動部33の駆動力を走行車輪21に伝達する伝達機構を内部に備える。この伝達機構は、チェーン又はベルトが用いられる構成であってもよいし、歯車列が用いられる構成であってもよい。接続部材32は、旋回軸AX3を中心としてθZ方向に回転可能に設けられる。この接続部材32が旋回軸AX3を中心として回転することで、走行車輪21をθZ方向に旋回させることができる。
【0039】
連結部30には、走行駆動部33と、方向転換機構34とが設けられる。走行駆動部33は、接続部材32に装着される。走行駆動部33は、走行車輪21を駆動する駆動源であり、例えば電気モータ等が用いられる。4つの走行車輪21は、それぞれ走行駆動部33によって駆動されて駆動輪となる。4つの走行車輪21は、同一又はほぼ同一の回転数となるように台車コントローラ50によって制御される。なお、4つの走行車輪21のうちいずれかを駆動輪として用いない場合は、その接続部材32には走行駆動部33は装着されない。
【0040】
方向転換機構34は、本体部10に対して連結部30の接続部材32を、旋回軸AX3を中心として旋回させることにより、走行車輪21をθZ方向に旋回させる。走行車輪21をθZ方向に旋回させることにより、天井搬送車100の走行方向を第1方向D1とする第1状態から走行方向を第2方向D2とする第2状態に、又は走行方向を第2方向D2とする第2状態から走行方向を第1方向D1とする第1状態に切り替えることが可能である。
【0041】
方向転換機構34は、駆動源35と、ピニオンギア36と、ラック37とを有する。駆動源35は、走行駆動部33において旋回軸AX3から離れた側面に取り付けられている。駆動源35には、例えば電気モータ等が用いられる。ピニオンギア36は、駆動源35の下面側に取り付けられており、駆動源35で発生した駆動力によりθZ方向に回転駆動する。ピニオンギア36は、平面視で円形状であり、外周の周方向に複数の歯を有する。ラック37は、上部ユニット17の上面17aに固定される。ラック37は、上部ユニット17の上面17aの4つのコーナー部にそれぞれ設けられ、走行車輪21の旋回軸AX3を中心とした円弧状に設けられる。ラック37は、外周の周方向に、ピニオンギア36の歯と噛み合う複数の歯を有する。
【0042】
ピニオンギア36及びラック37は、互いの歯が噛み合った状態で配置される。ピニオンギア36がθZ方向に回転することにより、ラック37の外周に沿うようにピニオンギア36が旋回軸AX3を中心とする円周方向に移動する。このピニオンギア36の移動により、接続部材32が旋回し、走行駆動部33及び方向転換機構34がピニオンギア36とともに旋回軸AX3を中心とする円周方向に旋回する。
【0043】
方向転換機構34の旋回により、上面17aの4つのコーナー部に配置された走行車輪21及び補助車輪22のそれぞれが旋回軸AX3を中心としてθZ方向に90度の範囲で旋回する。方向転換機構34の駆動は、台車コントローラ50によって制御される。台車コントローラ50は、4つの走行車輪21の旋回動作を同一のタイミングで行うように指示してもよいし、異なるタイミングで行うように指示してもよい。走行車輪21及び補助車輪22を旋回させることにより、走行車輪21が第1レールR1及び第2レールR2の一方に接触した状態から他方に接触した状態に移行する。このため、天井搬送車100の走行方向を第1方向D1(X方向)とする第1状態と、走行方向を第2方向D2(Y方向)とする第2状態とで切り替えることができる。
【0044】
台車コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなるコンピュータである。台車コントローラ50は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。台車コントローラ50は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。台車コントローラ50は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。複数の装置で構成されている場合には、これらがインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つの台車コントローラ50が構築される。台車コントローラ50は、本体部10に設けられるが、本体部10の外部に設けられてもよい。
【0045】
台車コントローラ50は、天井搬送車100の各部の動作を統括的に制御する。台車コントローラ50は、搬送指令に基づいて、天井搬送車100の走行を制御する。台車コントローラ50は、走行駆動部33、方向転換機構34等を制御することにより、天井搬送車100の走行を制御する。台車コントローラ50は、搬送指令に基づいて、天井搬送車100の移載動作を制御する。台車コントローラ50は、移載装置18等を制御することにより、天井搬送車100の移載動作を制御する。台車コントローラ50は、周期的に状態情報(図示せず)を生成し更新する。台車コントローラ50は、状態情報をシステムコントローラ5に送信する。状態情報は、例えば、天井搬送車100の現在位置の情報、正常又は異常等の天井搬送車100の現在の状態を示す情報、搬送指令等の各種指令の天井搬送車100による実行状態(実行中、実行完了、実行失敗)に関する情報である。
【0046】
システムコントローラ5は、CPU、ROM及びRAM等からなるコンピュータである。システムコントローラ5は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。システムコントローラ5は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。システムコントローラ5は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。複数の装置で構成されている場合には、これらがインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つのシステムコントローラ5が構築される。
【0047】
システムコントローラ5は、搬送指令を生成する。システムコントローラ5は、物品Mを搬送可能な複数の天井搬送車100のうちの何れかを選択し、選択した天井搬送車100に搬送指令を割付ける。搬送指令は、搬送元のロードポート62への走行を実行させる走行指令と、当該ロードポート62に載置された物品Mの荷つかみ指令と、搬送先のロードポート62への走行を実行させる走行指令と、保持している物品Mの当該ロードポート62への荷下ろし指令と、を含む。搬送元及び搬送先に関する情報は、例えば、上位コントローラ(不図示)から受信することができる。格子状レールRにおいて搬送元のロードポート62へ走行する際に辿る走行経路は、種々の公知手法により取得することができる。格子状レールRにおいて搬送先のロードポート62へ走行する際に辿る走行経路は、同様に、種々の公知手法により取得することができる。
【0048】
システムコントローラ5には、複数のロードポート62のそれぞれの向きに関するロードポート情報が予め記憶されている。一例として、システムコントローラ5には、複数のロードポート62のポート番号、位置及び向きが互いに関連付けられたロードポート情報が記憶されている。ポート番号は、複数のロードポート62毎に設定された識別用の番号である。システムコントローラ5は、割り付ける搬送指令における搬送元のロードポート62の向きと搬送先のロードポート62の向きとを、ロードポート情報に基づき取得する。システムコントローラ5は、搬送指令を割り付ける天井搬送車100に対して、搬送元のロードポート62の向きに関する情報と搬送先のロードポート62の向きに関する情報とを送信する。
【0049】
ここで、本実施形態において、台車コントローラ50は、物品保持部13で保持している物品Mの向きと、当該物品Mが載置されるロードポート62の天井搬送車100の停止位置に対する向きとに応じて、第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16の少なくとも何れかを制御する。例えば、ロードポート62に載せられた物品Mの向きは、ロードポート62の向きに対して一定関係の(ここでは、同じ)向きであることから、物品保持部13で保持している物品Mの向きは、システムコントローラ5から送信された、搬送元のロードポート62の向きに関する情報に基づき取得できる。物品Mが載置されるロードポート62の向きは、システムコントローラ5から送信された、搬送先のロードポート62の向きに関する情報に基づき取得できる。
【0050】
台車コントローラ50は、物品Mの向きとロードポート62の向きとが一定関係になるように、物品保持部13を第1角度水平旋回させる第1制御と、物品Mの向きが微調整されるように、物品保持部13を第角度水平旋回させる第2制御と、を実行する。第1角度は、搬送元のロードポート62の向きと搬送先のロードポート62の向きとが異なるために要される水平旋回の角度である。第1角度は、例えば90°以上270°以下の角度である。第2角度は、物品Mの向きの意図しないずれを補正するために要される水平旋回の角度である。第2角度は、第1角度よりも小さい角度であり、例えば10°以下の角度である。
【0051】
次に、天井搬送システムSYSにおいて、天井搬送車100により物品Mをロードポート62間で搬送する場合の一例を説明する。
【0052】
一例では、図5に示されるように、通路STを挟んだ一方側及び他方側のそれぞれにおいて、当該通路STに沿って並ぶように処理装置6が3台ずつ配置されている。通路STは、上方から見て、直線的に真っ直ぐ延びる。通路STの一方側の処理装置6と通路STの他方側の処理装置6とは、互いに向き合うように配置されている。ロードポート62の向きは、正面を通路ST側とする向きである。ここでの一例では、ロードポート62Sに載置された物品Mを、このロードポート62Sに通路STを介して対向するロードポート62Eに移載する。ロードポート62Sの向きとロードポート62Eの向きとは、180°反対の向きである。
【0053】
天井搬送車100は、搬送指令がシステムコントローラ5から割り付けられると共に、当該搬送指令に係る搬送元及び搬送先それぞれのロードポート62S,62Eの向きに関する情報をシステムコントローラ5から受信する。これにより、天井搬送車100は、台車コントローラ50の制御により、以下の動作を実行する。
【0054】
すなわち、図6に示されるように、天井搬送車100は、搬送元のロードポート62Sとの間で物品Mを移載可能な位置まで、搬送指令の走行経路に沿って走行する。図7に示されるように、天井搬送車100は、搬送元のロードポート62Sに載置された物品Mの荷つかみを行う。図8に示されるように、天井搬送車100は、物品Mを荷つかみした状態で、搬送先のロードポート62Eとの間で物品Mを移載可能な位置まで、搬送指令の走行経路に沿って走行する。ロードポート62Eへの搬送中、図9に示されるように、第1制御を実施し、物品Mの向きと搬送先のロードポート62Eの向きとが一致するように(物品Mの正面がロードポート62Eの正面を向くように)、第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16の少なくとも何れかを制御し、物品保持部13を第1角度水平旋回させる。図示する例では、第1角度は180°である。
【0055】
図10に示されるように、天井搬送車100は、搬送先のロードポート62Eに対して物品Mの荷下ろしを行う。このとき、第2制御を実施し、物品Mの向きが微調整されるように(物品Mの正面がロードポート62Eの正面を正しく向くように)、第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16の少なくとも何れかを制御し、物品保持部13を第2角度水平旋回させる。以上により、ロードポート62Sからロードポート62Eへの物品Mの移載が完了する。その後、天井搬送車100は、例えば他の搬送指令が割り付けられ、他のロードポート62へ向かって走行する(図11参照)。
【0056】
以上、天井搬送車100によれば、物品保持部13で保持している物品Mの向きが何れの向きであっても、第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16の少なくとも何れかを物品Mの向き及びロードポート62の向きに応じて制御することにより、ロードポート62に対して所望の向きで物品Mを移載することができる。
【0057】
天井搬送車100は、直線駆動部として、物品保持部13を昇降させる昇降駆動部14と昇降駆動部14をスライド移動させるスライド駆動部11とを有し、旋回駆動部として、スライド駆動部11を水平旋回させる第1旋回駆動部15と昇降駆動部14を水平旋回させる第2旋回駆動部16とを有する。このような構成によれば、物品Mの向きを具体的に制御することが可能となる。
【0058】
天井搬送車100は、格子状レールRに沿って走行可能な搬送車であって、格子状レールR上を転動する走行車輪21と、格子状レールRの下方に配置された本体部10と、を備える。このような構成によれば、天井搬送車100の走行経路を自由に選択しやすくなり、渋滞の発生を抑え、搬送効率を向上させることが可能となる。
【0059】
天井搬送車100では、台車コントローラ50は、物品Mの向きとロードポート62の向きとが一定関係になるように物品保持部13を第1角度水平旋回させる第1制御と、物品Mの向きが微調整されるように物品保持部13を第2角度水平旋回させる第2制御と、を実行する。これにより、ロードポート62に対して、確実に所望の向きで物品Mを移載することが可能となる。
【0060】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は、上記実施形態に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
上記実施形態において、格子状レールRにおける天井搬送車100の走行経路は、システムコントローラ5により、搬送指令の生成に伴って当該搬送指令に応じて設定されるが、これに限定されない。例えば図12に示されるように、天井搬送システムSYSは、天井搬送車100が走行する走行経路7として、通路STを横断するように延び且つ天井搬送車100を一対のロードポート62上を通過させる横断走行経路70を備えていてもよい。
【0062】
図12に示される一例では、走行経路7は、予め設定された一方通行の経路である。走行経路7は、横断走行経路70の他に、第1インターベイ経路71及び第2インターベイ経路72を少なくとも含む。第1インターベイ経路71は、互いに通行方向を反対方向として平行に並ぶ対で設定されている。第2インターベイ経路72は、互いに通行方向を反対方向として平行に並ぶ対で設定されている。第2インターベイ経路72は、一対の第1インターベイ経路71を接続する。第2インターベイ経路72は、通路STに沿う方向に延びる。横断走行経路70は、一対の第2インターベイ経路72を接続する。横断走行経路70は、イントラベイ経路を構成する。横断走行経路70は、互いに通行方向を反対方向として平行に並ぶ対で設定されている。ここでは、横断走行経路70は一対の第2インターベイ経路72の間に3対設定されている。横断走行経路70は、一対のロードポート62又はその周辺上を通るように設定されている。
【0063】
一般的に、通路STを介して対向する一対のロードポート62の向きは、互いに反対方向となる。そのため、物品Mの向きとロードポート62の向きとが一定関係になるように当該一対のロードポート62の間で物品Mを移載することは、困難である。この問題点を解決するために、天井搬送システムSYSは、横断走行経路70及び天井搬送車100を備えている。横断走行経路70に係る一対のロードポート62の間でも、第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16の少なくとも何れかを適宜制御することにより、所望の向きで物品Mを移載することが可能となる。また、ポイントAで移載している天井搬送車100が存在しても、領域X内にある物品MはポイントAを通る経路上に無いため、領域X内の物品Mを移載しようとして各ロードポート62に向かっている天井搬送車100の走行が邪魔されなくなる。移載可能なロードポート62近傍(領域Y)内に分岐合流を設けなくてもよい。よって、ロードポート62付近で渋滞が起こりにくくなる。
【0064】
上記実施形態では、天井搬送車100は、物品保持部13で保持している物品Mの向きを、システムコントローラ5から送信された搬送元のロードポート62の向きに関する情報に基づいて取得したが、物品Mの向きの取得手法は特に限定されない。例えば別途のセンサ又はカメラにより、物品保持部13で保持している物品Mの向きを認識してもよい。上記実施形態では、天井搬送車100は、搬送先のロードポート62の向きを、システムコントローラ5から送信された搬送先のロードポート62の向きに関する情報に基づいて取得したが、搬送先のロードポート62の向きの取得手法は特に限定されない。例えば別途のセンサ又はカメラにより、搬送先のロードポート62の向きを認識してもよい。
【0065】
上記実施形態では、天井搬送車100は、格子状に配置されておらず且つ一方通行のレールに沿って走行する天井搬送車であってもよい。このような天井搬送車では、ロードポート62に対して所望の向きで物品Mを移載するために、当該ロードポート62に進入する方向が制限され、ひいては、当該ロードポート62への走行経路が制限される場合がある。この場合、他の天井搬送車100の通行を邪魔してしまい、渋滞が発生して搬送効率が低下してしまう懸念がある。この点、台車コントローラ50により旋回駆動部を適宜制御することにより、ロードポート62に対して何れの方向から進入した場合であっても、当該ロードポート62に対して所望の向きで物品Mを受け渡すことができる。その結果、天井搬送車は、目的のロードポート62への走行経路が制限されることを抑制でき、例えば他の天井搬送車の通行を邪魔しないような走行経路を選択しやすくなる。したがって、渋滞の発生を抑え、搬送効率を向上させることが可能となる。なお、格子状に配置されておらず且つ一方通行のレールに沿って走行する天井搬送車の場合には、物品保持部13で保持している物品Mの向き、搬送先のロードポート62の向き、及び搬送先のロードポート62への進入方向に応じて、第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16の少なくとも何れかが制御される。
【0066】
上記実施形態では、第2旋回駆動部16により昇降駆動部14が水平旋回するように構成したが、第2旋回駆動部16により物品保持部13が水平旋回するように構成してもよい。上記実施形態では、天井搬送車100が搬送先のロードポート62へ走行している間に、物品Mの向きとロードポート62の向きとが一定関係になるように物品保持部13を水平旋回させる第1制御を実行したが、第1制御の実行タイミングは特に限定されない。例えば、搬送先のロードポート62Eに対して物品Mの荷下ろしを行っている間に、第1制御を実行してもよい。
【0067】
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0068】
6…処理装置、10…本体部、11…スライド駆動部(直線駆動部)、13…物品保持部、14…昇降駆動部(直線駆動部)、15…第1旋回駆動部(旋回駆動部)、16…第2旋回駆動部(旋回駆動部)、21…走行車輪、50…台車コントローラ(制御部)、62…ロードポート、70…横断走行経路(走行経路)、100…天井搬送車、M…物品、R…格子状レール(レール)、ST…通路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12