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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/43 20060101AFI20230808BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20230808BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/02 G
B65D5/54 301P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019099449
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020192995
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592100739
【氏名又は名称】小倉美術印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】平川 高広
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201596(JP,A)
【文献】特開2016-74468(JP,A)
【文献】特開2017-137126(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185841(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0070268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/43
B65D 5/02
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板(1)、一対の側面板(2)及び背面板(3)が連設されて角筒状の周壁(5)が形成され、
前記一対の側面板(2)から延びる内フラップ(6)に、前記背面板(3)から延びる外フラップ(7)が重ね合わされ、前記外フラップ(7)の先端から延びる封止片(8)が前記周壁(5)の正面側に貼り着けられて封緘される包装箱において、
前記周壁(5)は、前記正面板(1)の裏面側に裏正面板(4)が貼り合わされて、正面側が複層となった構成とされ、
前記正面板(1)には、前記封止片(8)に端縁が対応した形状の切欠部(9)が形成され、前記裏正面板(4)には、前記正面板(1)の切欠部(9)に対応した部分を切取部(10)として区画する切目線(11)が入れられ、
封緘状態では、前記封止片(8)が前記正面板(1)の切欠部(9)に嵌まり込むように前記裏正面板(4)の切取部(10)の表面に貼り着けられ、
開封する際、前記封止片(8)を押し込むと、前記裏正面板(4)の切目線(11)が切断され、前記封止片(8)と前記切取部(10)とが貼り合わされた状態で、前記切取部(10)が前記裏正面板(4)から分離し、前記外フラップ(7)及び前記内フラップ(6)が開放可能となることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記裏正面板(4)には、端縁から離れて、前記切取部(10)に向き合う再封片(12)が形成されるように切目線(13)が入れられ、
封緘状態では、前記封止片(8)の先端部が前記再封片(12)の表面に被さり、
開封した後、前記封止片(8)の先端部を前記再封片(12)の裏面側に差し込んで係合させると、再封緘状態となることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、改竄を防止するための構造を備えた包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の包装箱として、図13に示すように、連設された正面板51、一対の側面板52及び背面板53が角筒状に折り曲げられて周壁54が形成され、側面板52から延びる内フラップ55に、背面板53から延びる外フラップ56が重ねられ、外フラップ56の先端の封止片57が正面板51の裏側に差し込まれる形式のものが使用されている。
【0003】
この包装箱の場合、正面板51には、端縁に臨む部分を切取部58として区画するミシン目状の切目線59が入れられ、切取部58の範囲内の接着部aにおいて、封止片57が切取部58の裏面にホットメルト接着剤等で貼り着けられて封緘される。
【0004】
一方、この包装箱を開封する際には、切取部58を押し込んで、切目線59を切断し、封止片57と切取部58とが貼り合わされた状態で、切取部58を正面板51から分離する。これにより、外フラップ56と一対の内フラップ55とが開放可能となる。
【0005】
また、図14に示すように、周壁60の開口側に重なり合う内フラップ61及び外フラップ62を備えた包装箱において、内フラップ61のスリット61aに外フラップ62から延びる差込片63の張出部63aを屈曲させて差し込み、張出部63aが反発で復元することにより、スリット61aから差込片63が抜け止めされて、封緘状態が維持されるものも知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-26146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図13に示すような包装箱では、封緘状態において、正面板51の切取部58と封止片57の間に容易にカッターナイフ等の刃を差し込むことができるので、接着部aを切り分けて、不正に開封することができる。
【0008】
そして、異物混入や内容物の差し替え等の改竄を行った後、接着部aに接着剤を塗布して、元通りに封緘することができるので、医薬品等の安全性が損なわれる恐れがある。
【0009】
また、図14に示すような包装箱では、箱内に収納した商品に差込片63が衝突しないように、相当な空間を設けておく必要があり、箱内での商品の移動を規制できなくなるほか、箱が大型化して資材や輸送に要するコストが増大するという問題もある。
【0010】
そこで、この発明は、高度な改竄防止効果を有すると共に、コンパクトで経済的な包装形態とすることができる包装箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明は、正面板、一対の側面板及び背面板が連設されて角筒状の周壁が形成され、
前記一対の側面板から延びる内フラップに、前記背面板から延びる外フラップが重ね合わされ、前記外フラップの先端から延びる封止片が前記周壁の正面側に貼り着けられて封緘される包装箱において、
前記周壁は、前記正面板の裏面側に裏正面板が貼り合わされて、正面側が複層となった構成とされ、
前記正面板には、前記封止片に端縁が対応した形状の切欠部が形成され、前記裏正面板には、前記正面板の切欠部に対応した部分を切取部として区画する切目線が入れられ、
封緘状態では、前記封止片が前記正面板の切欠部に嵌まり込むように前記裏正面板の切取部の表面に貼り着けられ、
開封する際、前記封止片を押し込むと、前記裏正面板の切目線が切断され、前記封止片と前記切取部とが貼り合わされた状態で、前記切取部が前記裏正面板から分離し、前記外フラップ及び前記内フラップが開放可能となるものとしたのである。
【0012】
また、このような構成を有する包装箱において、一度に使い切らない薬剤の保管時等における利便性を考慮し、前記裏正面板には、端縁から離れて、前記切取部に向き合う再封片が形成されるように切目線が入れられ、
封緘状態では、前記封止片の先端部が前記再封片の表面に被さり、
開封した後、前記封止片の先端部を前記再封片の裏面側に差し込んで係合させると、再封緘状態となるものとしたのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る包装箱では、封緘状態で、外フラップの先端から延びる封止片が正面板の切欠部に嵌まり込み、封止片と切欠部の端縁が狭い間隔で向き合って、正面板と封止片の表面が同一平面をなすので、封止片と裏正面板の切取部の接着部にカッターナイフ等の刃を容易に差し込むことができず、商品である医薬品等の安全性が確保される。
【0014】
また、箱内に封緘用の空間を設けておく必要がなく、商品の箱内での移動を規制でき、箱をコンパクト化して資材や輸送に要するコストを抑制できる。
【0015】
また、裏正面板に再封片を形成しておくと、一度に使い切らない薬剤等を保管しておく際、外フラップと内フラップを閉じた状態に保持できるので、箱内への塵埃の侵入を防止でき、反発で立ち上がった外フラップや内フラップが煩わしく感じられることもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係る再封緘機能のない包装箱の封緘状態を示す斜視図
図2】同上の不正開封が試みられた状態を示す斜視図
図3】同上の正規の開封状態を示す斜視図
図4】同上の包装箱のブランクを示す図
図5】この発明に係る再封緘機能を有する包装箱の封緘状態を示す斜視図
図6】同上の不正開封が試みられた状態を示す斜視図
図7】同上の正規の開封状態を示す斜視図
図8】同上の再封緘状態を示す斜視図
図9】同上の包装箱のブランクを示す図
図10】この発明に係る再封緘機能のない他の包装箱の(10A)封緘状態を示す斜視図、(10B)正規の開封状態を示す斜視図
図11】この発明に係る再封緘機能のない他の包装箱の(11A)封緘状態を示す斜視図、(11B)正規の開封状態を示す斜視図
図12】この発明に係る再封緘機能を有する他の包装箱の(12A)封緘状態を示す斜視図、(12B)正規の開封状態を示す斜視図
図13】従来の一般的な医薬品等の包装箱の封緘状態を示す斜視図
図14】特許文献1に記載の包装箱の封緘過程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1乃至図4に示す包装箱は、再封緘機能のない形態であり、図4に示す板紙製のブランクから組み立てられる。
【0019】
図4に示すブランクにおいて、正面板1の一側には、一方の側面板2、背面板3、他方の側面板2及び裏正面板4が順次連設され、これらの部分が組立状態で周壁5を形成する部分となる。また、一対の側面板2の上端及び下端には内フラップ6が連設され、背面板3の上端及び下端には外フラップ7が連設されている。
【0020】
外フラップ7の先端には、中央寄り部分から三角形状に突出する封止片8が連設されている。外フラップ7と封止片8の境界の罫線は、切目が断続するものとされ、封止片8の先端縁は丸味を帯びている。
【0021】
正面板1の上部及び下部には、封止片8の端縁の形状に対応して、谷部が丸味を帯びるように三角形状に凹入した切欠部9が形成されている。
【0022】
また、裏正面板4の上部及び下部には、組立状態で正面板1の切欠部9に対応する部分を切取部10として区画する切目線11が入れられている。切目線11は、組立状態で切欠部9の端縁にほぼ沿う線上に位置し、複数の繋部を有するミシン目とされている。
【0023】
このようなブランクを組み立てて医薬品等の商品を包装するには、図1に示すように、正面板1、一対の側面板2及び背面板3を稜部の罫線沿いに折り曲げ、正面板1の裏面側に裏正面板4を重ねるように折り曲げて貼り合わせ、正面側が複層となった角筒状の周壁5を形成する。
【0024】
次に、箱内に商品を収納すると共に、上部及び下部の各一対の内フラップ6を内側へ折り曲げ、内フラップ6に外フラップ7を重ね合わせる。
【0025】
その後、封止片8を正面板1の切欠部9を介して裏正面板4の切取部10の表面に折り重ね、接着部aに塗布したホットメルト接着剤等により、封止片8と切取部10とを貼り合わせると、周壁5の開口部が閉止された封緘状態となる。
【0026】
この封緘状態では、図2に示すように、封止片8が切欠部9に嵌まり込み、封止片8と切欠部9の端縁が狭い間隔で向き合って、正面板1と封止片8の表面が同一平面をなすので、封止片8と裏正面板4の切取部10の接着部aにカッターナイフ等の刃を容易に差し込むことができない。
【0027】
そして、無理に開封しようとすると、皺や破れが生じるため、目視で判別でき、不正開封による改竄行為を防止して、商品である医薬品等の安全性を確保することができる。
【0028】
また、箱内に封緘用の空間を設けておく必要がなく、商品の箱内での移動を規制でき、箱をコンパクト化して資材や輸送に要するコストを抑制できる。
【0029】
一方、この包装箱を正規に開封する際には、図1に示す封緘状態において、封止片8を押し込むと、切目線11が切断され、図3に示すように、封止片8と切取部10とが貼り合わされた状態で、切取部10が裏正面板4から分離し、外フラップ7及び一対の内フラップ6が開放可能となり、商品の医薬品等を箱内から取り出すことができる。
【0030】
次に、図5乃至図9に示す包装箱は、再封緘機能を有する形態であり、図9に示す板紙製のブランクから組み立てられる。このブランクの基本的な構成は、上記の再封緘機能のない実施形態と同様である。
【0031】
図9に示すブランクにおいて、正面板1の一側には、一方の側面板2、背面板3、他方の側面板2及び裏正面板4が順次連設され、これらの部分が組立状態で周壁5を形成する部分となる。また、一対の側面板2の上端及び下端には内フラップ6が連設され、背面板3の上端及び下端には外フラップ7が連設されている。
【0032】
外フラップ7の先端には、中央寄り部分から三角形状に突出する封止片8が連設されている。外フラップ7と封止片8の境界の罫線は、切目が断続するものとされ、封止片8の先端縁は丸味を帯びている。
【0033】
正面板1の上部及び下部には、封止片8の端縁の形状に対応して、谷部が丸味を帯びるように三角形状に凹入した切欠部9が形成されている。
【0034】
また、裏正面板4の上部及び下部には、組立状態で正面板1の切欠部9に対応する部分を切取部10として区画する切目線11が入れられている。切取部10の両側縁をなす切目線11は、組立状態で切欠部9の両側端縁に内側へ少し離れて平行するようにテーパー状に傾斜し、複数の繋部を有するミシン目とされている。
【0035】
裏正面板4には、端縁から離れて、切取部10に向き合う先窄まり形状の再封片12が形成されるように、切目線13が入れられている。再封片12の基部には、再封緘時に再封片12が撓んで、再封片12の裏面側に封止片8の先端部を容易に差し込むことができるように、ミシン目状の折目線14が入れられている。
【0036】
このようなブランクを組み立てて医薬品等の商品を包装するには、図5に示すように、正面板1、一対の側面板2及び背面板3を稜部の罫線沿いに折り曲げ、正面板1の裏面側に裏正面板4を重ねるように折り曲げて貼り合わせ、正面側が複層となった角筒状の周壁5を形成する。
【0037】
次に、箱内に商品を収納すると共に、上部及び下部の各一対の内フラップ6を内側へ折り曲げ、内フラップ6に外フラップ7を重ね合わせる。
【0038】
その後、封止片8を正面板1の切欠部9を介して裏正面板4の切取部10の表面に折り重ね、接着部aに塗布したホットメルト接着剤等により、封止片8と切取部10とを貼り合わせると、周壁5の開口部が閉止された封緘状態となる。このとき、封止片8の先端部が再封片12の表面に被さった状態となる。
【0039】
この封緘状態では、図6に示すように、封止片8が切欠部9に嵌まり込み、封止片8と切欠部9の端縁が狭い間隔で向き合って、正面板1と封止片8の表面が同一平面をなすので、封止片8と裏正面板4の切取部10の接着部aにカッターナイフ等の刃を容易に差し込むことができない。
【0040】
そして、無理に開封しようとすると、皺や破れが生じるため、目視で判別でき、不正開封による改竄行為を防止して、商品である医薬品等の安全性を確保することができる。
【0041】
また、箱内に封緘用の空間を設けておく必要がなく、商品の箱内での移動を規制でき、箱をコンパクト化して資材や輸送に要するコストを抑制できる。
【0042】
一方、この包装箱を正規に開封する際には、図5に示す封緘状態において、封止片8を押し込むと、切目線11が切断され、図7に示すように、封止片8と切取部10とが貼り合わされた状態で、切取部10が裏正面板4から分離し、外フラップ7及び一対の内フラップ6が開放可能となり、商品の医薬品等を箱内から取り出すことができる。
【0043】
また、上記のように開封した後、一度に使い切らない薬剤等を保管しておく場合には、図8に示すように、封止片8の先端部を再封片12の裏面側に差し込んで係合させる。これにより、再封緘状態となり、外フラップ7と内フラップ6を閉じた状態に保持できるので、箱内への塵埃の侵入を防止でき、反発で立ち上がった外フラップ7や内フラップ6が煩わしく感じられることもない。
【0044】
なお、再封緘機能のない包装箱の他例として、図10に示すように、封止片8は、外フラップ7の先端の全幅から延出され、基部から途中までテーパー状に幅が狭くなり、先端側が同一幅となる形状とし、切取部10を封止片8に対応した形状としてもよい。
【0045】
また、図11に示すように、封止片8は、外フラップ7の先端の全幅から延出され、基部から先端までテーパー状に幅が狭くなる形状とし、切取部10を封止片8に対応した形状としてもよい。
【0046】
また、再封緘機能を有する包装箱の他例として、図12に示すように、封止片8は、外フラップ7の先端の中央寄り部分から延出され、基部から先端付近まで同一幅となり、先端両角部が丸められた形状とし、再封片12の先端縁を、切取部10に向けて膨出する弧状としてもよい。
【0047】
このように、上記のような改竄防止機能を備えた封緘部は、包装箱の大きさや用途等に応じて、様々なデザインを採用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 正面板
2 側面板
3 背面板
4 裏正面板
5 周壁
6 内フラップ
7 外フラップ
8 封止片
9 切欠部
10 切取部
11 切目線
12 再封片
13 切目線
14 折目線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14