(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ウェアラブルカメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 23/51 20230101AFI20230808BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230808BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20230808BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230808BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230808BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230808BHJP
G03B 17/00 20210101ALI20230808BHJP
【FI】
H04N23/51
H04N7/18 D
H04N23/60 300
G03B17/02
G03B17/56 Z
G03B15/00 U
G03B17/00 Q
(21)【出願番号】P 2019122356
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 準一
(72)【発明者】
【氏名】村田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】城島 悠
(72)【発明者】
【氏名】高田 登
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌史
(72)【発明者】
【氏名】谷口 康二
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-145727(JP,A)
【文献】米国特許第05733674(US,A)
【文献】特開2012-110202(JP,A)
【文献】特開平05-056318(JP,A)
【文献】特開2016-122918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/51
H04N 7/18
H04N 23/60
G03B 17/02
G03B 17/56
G03B 15/00
G03B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの周囲の被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像処理およびバッテリの充電処理を制御する制御部と、
前記ユーザに装着が可能となり、少なくとも前記撮像部および前記制御部を収容する上部筐体と、
前記上部筐体に給電する前記バッテリを収容して前記上部筐体に取り外し可能に取り付けられ、充電に用いるコンタクトターミナルを表出し、前記上部筐体に取り付けられた状態で前記コンタクトターミナルを介して充電台に接続して前記バッテリを充電可能な下部筐体と、を備え
、
前記下部筐体は、前記バッテリから前記上部筐体への給電に用いるインナーコンタクトターミナルを有し、
前記バッテリは、前記下部筐体が前記上部筐体から取り外された状態で前記インナーコンタクトターミナルを介して充電され、
前記充電台に接続される端子は、前記コンタクトターミナルよりも前記インナーコンタクトターミナルの数が多い、
ウェアラブルカメラ。
【請求項2】
前記上部筐体と前記下部筐体とは、仮ロック部と前記仮ロック部による仮ロックの後に本ロックを行う本ロック部とにより、二重にロックされる、
請求項
1に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項3】
前記上部筐体は、2つの無線通信部を収容する、
請求項1
又は2に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項4】
前記2つの無線通信部のうち一方は、前記ウェアラブルカメラと所定の通信圏内に位置する警察車両との間で無線LANあるいは近距離無線通信規格を用いた狭域無線通信を行い、
前記上部筐体に収容される前記撮像部あるいは前記制御部により取得されたデータは、前記無線LANを用いた無線通信により前記警察車両に送られる、
請求項
3に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項5】
前記2つの無線通信部のうち一方は、前記ウェアラブルカメラと所定の通信セル内に位置する警察署内のサーバとの間で広域無線通信を行い、
前記上部筐体に収容される前記撮像部あるいは前記制御部により取得されたデータは、前記広域無線通信により前記サーバに送られる、
請求項
4に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項6】
前記広域無線通信は、LTE通信規格に準じた無線通信である、
請求項
5に記載のウェアラブルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば警官あるいは警備員の業務を支援するために使用されるウェアラブルカメラは、警官の胸部等、ユーザの視点に近い位置からの視野を映像として撮像するように、ユーザが着用した衣服等に装着される(例えば特許文献1参照)。このようなウェアラブルカメラは、内蔵される電子部品等の各部に電源を供給するためのバッテリを筐体内部に収容する。このバッテリは、例えば充電可能な2次電池により構成される。ウェアラブルカメラは、筐体が充電器にセットされることで、筐体のコンタクトターミナルを充電器の充電接点に接続して充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の様な従来のウェアラブルカメラは、筐体の内部にバッテリが収容され、筐体の外部に表出させたコンタクトターミナルが充電器の充電接点に接続された上で充電を行っていたため、バッテリの充電が完了するまでは警官あるいは警備員等のユーザが携行して使用できなかった。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、筐体内に内蔵されるバッテリの充電に関する制約に基づくユーザの使用不可を回避でき、ユーザの使い勝手を向上できるウェアラブルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ユーザの周囲の被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像処理およびバッテリの充電処理を制御する制御部と、前記ユーザに装着が可能となり、少なくとも前記撮像部および前記制御部を収容する上部筐体と、前記上部筐体に給電する前記バッテリを収容して前記上部筐体に取り外し可能に取り付けられ、充電に用いるコンタクトターミナルを表出し、前記上部筐体に取り付けられた状態で前記コンタクトターミナルを介して充電台に接続して前記バッテリを充電可能な下部筐体と、を備え、前記下部筐体は、前記バッテリから前記上部筐体への給電に用いるインナーコンタクトターミナルを有し、前記バッテリは、前記下部筐体が前記上部筐体から取り外された状態で前記インナーコンタクトターミナルを介して充電され、前記充電台に接続される端子は、前記コンタクトターミナルよりも前記インナーコンタクトターミナルの数が多い、ウェアラブルカメラを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、筐体内に内蔵されるバッテリの充電に関する制約に基づくユーザの使用不可を回避でき、ユーザの使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るウェアラブルカメラの外観を表す斜視図
【
図3】
図1に示したウェアラブルカメラの正面視と右側面視と左側面視を表した外観図
【
図9】ウェアラブルカメラの充電時の状況を表す斜視図
【
図10】上部筐体と下部筐体とが分離されたウェアラブルカメラの分解斜視図
【
図11】下部筐体が充電台にセットされる直前の斜視図
【
図12】下部筐体が充電台にセットされた後の斜視図
【
図13】ウェアラブルカメラを用いた通信システムの一構成例を表す概要説明図
【
図14】送信データ別の通信手段の一例を表すテーブル
【
図15】ウェアラブルカメラの内部構成の一例を表すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るウェアラブルカメラを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
図1は、実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11の外観を表す斜視図である。なお、本明細書において上、下、前、後、左、右の方向は、それぞれ
図1に矢印で示す方向とする。実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11は、ユーザの一例としての警官により使用される。ウェアラブルカメラ11は、パトロール時に警官の周囲(例えば前方)の状況を静止画(画像)あるいは動画(映像)として記憶できるように撮像してデータとして蓄積する。データは、例えば警察署内のサーバ装置(例えばバックエンドサーバ)に送信が可能である。なお、ウェアラブルカメラ11は、ユーザが警官に限定されず、その他様々な事業所(例えば、警備会社)の警備員により使用されてもよい。
【0011】
ウェアラブルカメラ11は、警官の胸部等、警官の視点に近い位置から周囲(例えば前方)の被写体を映像として撮像するように、警官が着用した衣服(例えば警官が着用する制服)または体に装着して使用される。警官は、ウェアラブルカメラ11を装着した状態で、録画スイッチSW1を操作して周囲の被写体の撮像を行う。
【0012】
ウェアラブルカメラ11は、前後方向が薄厚の略直方体状の筐体の前面に、略四角形状(四角形状を含む)のフロントパネル13が固定される。フロントパネル13には、撮像部を構成する撮像レンズ15と、録画スイッチSW1と、複数(例えば4つ)のマイク17とが配置される。マイク17は、例えばECMマイク(エレクトレットコンデンサマイク)からなる。録画スイッチSW1は、警官によって、例えば短押しされることで録画(言い換えると、撮像された動画の記録)が開始され、例えば長押しされることで録画(上述参照)が終了する。筐体の左側面には、USBキャップ19が上下一対のキャップ取付ねじ21により着脱自在に取り付けられる。USBキャップ19は、後述のUSBインタフェースを覆う。
【0013】
図2は、
図1に示したウェアラブルカメラ11の平面図である。筐体の上面には、LCD23を用いたディスプレイパネル25が設けられる。ディスプレイパネル25の近傍には、スナップショットスイッチSW2が設けられる。スナップショットスイッチSW2は、警官によって押下される度に、そのときの静止画の撮像が実行される。筐体の背面には、衣服への装着時に使用されるスタッド27が後方へ突出して設けられている。スタッド27は、衣服に取り付けられるクリップ(図示略)に対して係合および係合解除が容易に可能となる。
【0014】
図3は、
図1に示したウェアラブルカメラ11の正面視と右側面視と左側面視を表した外観図である。ウェアラブルカメラ11は、ウェアラブルカメラ100の右側面に、上側より通信モードスイッチSW3と、属性情報付与スイッチSW4と、無線登録スイッチSW5とが設けられる。ウェアラブルカメラ11は、本ロック部29を構成する本ロックフック31が左右それぞれの側面に設けられる。本ロックフック31は、上下に長い矩形板状に形成される。本ロックフック31の上部外面には、押圧用凸部33が形成される。左右の本ロックフック31は、それぞれの押圧用凸部33が押し込まれることにより、下端が外側へ揺動される。
【0015】
ウェアラブルカメラ11の筐体は、上部筐体35と、下部筐体37とからなる。下部筐体37は、上部筐体35よりも小さく、左右方向に長い直方体状に形成される。下部筐体37は、上部筐体35の下面に取り外し自在に取り付けられる。下部筐体37は、ロック部(後述参照)のロックを解除することにより、上部筐体35から取り外しが可能となる。このロック部は、例えば本ロック部29と仮ロック部39とからなり、二重のロック機構によるロックを可能としている。ロック部は、本ロック部29の本ロックフック31が揺動されても、仮ロック部39が解除されなければ、下部筐体37を上部筐体35に取り付けた状態に保持する。なお、ロック部の詳細については、後述する。
【0016】
図4は、
図3のA-A断面図である。上部筐体35には、第1印刷回路基板41と、第2印刷回路基板43とが前後で平行となって収容される。第1印刷回路基板41には、無線LAN(Local Area Network)を機能させるWLAN通信部、近距離無線通信であるBluetooth(登録商標) Low Energyを機能させるBLE通信部を構成する無線LANデバイス45がワンチップで実装されている。なお、無線LANデバイス45は、第2印刷回路基板43に実装されてもよい。上部筐体35には、CCD(Charge Coupled Device)等を備えた撮像部47が収容される。また、第1印刷回路基板41または第2印刷回路基板43のいずれかには、撮像部47の撮像処理およびバッテリの充電処理を制御する制御部としてのMCU(Micro Control Unit)が設けられている。
【0017】
ウェアラブルカメラ11は、携帯電話網を利用した広域無線通信の規格の一例としてのLTE(Long Term Evolution)に準じた無線通信を可能である。この場合、ウェアラブルカメラ11は、オプションとして、第1印刷回路基板41と第2印刷回路基板43との間に、広域網通信部を構成するLTEデバイスが実装されたLTE用印刷回路基板49が増設される。
【0018】
図5は、上部筐体35を分解した分解斜視図である。上部筐体35は、フロントケース51とリアケース53との間に、第1印刷回路基板41および第2印刷回路基板43を収容する。第1印刷回路基板41および第2印刷回路基板43のそれぞれは、複数のスタッドボルト55を介して所定間隔で離間されて上部筐体35の内方に基板固定ボルト57で固定される。この第1印刷回路基板41と第2印刷回路基板43の間に、オプション基板となるLTE用印刷回路基板49が必要に応じて増設される。実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11は、このLTE用印刷回路基板49が増設されている。
【0019】
従って、ウェアラブルカメラ11は、LTE用印刷回路基板49が増設されることにより、上部筐体35が、第1印刷回路基板41と、LTE用印刷回路基板49との2つの無線通信部を備えることになる。実施の形態1では、2つの無線通信部は、一つがWLAN通信部およびBLE通信部となり、他の一つが広域網通信部となる。
【0020】
図6は、
図3のB-B断面図である。下部筐体37には、円筒状のバッテリ59が左右方向へ軸線が伸びるように収容されている。つまり、下部筐体37は、バッテリケースとなっている。バッテリ59は、下部筐体37に設けられるインナーコンタクトターミナル61を介して上部筐体35に収容された第1印刷回路基板41あるいは第2印刷回路基板43等に給電を行う。インナーコンタクトターミナル61は、下部筐体37の左右方向に並ぶ複数のピンターミナル63を下部筐体37の上面から上部筐体35の下面に向けて突出させている。実施の形態1において、インナーコンタクトターミナル61は、例えば9つのピンターミナル63を有している。インナーコンタクトターミナル61は、上部筐体35と下部筐体37とが取り付けられると、上部筐体35の下面に設けられた同数の相手ターミナル65と導通接続される。
【0021】
一方、下部筐体37の下面には、充電台からの充電を行うためのコンタクトターミナル67が設けられている。コンタクトターミナル67は、下部筐体37の左右方向に並ぶ複数のターミナル片69(
図11参照)を下部筐体37の下面に表出させている。コンタクトターミナル67は、例えば5つのターミナル片69を有している。この下部筐体37の下面に表出した5つのターミナル片69は、上部筐体35に下部筐体37を取り付けた状態で、ウェアラブルカメラ11を充電台71にセットして充電を行う際に使用される。
【0022】
即ち、ウェアラブルカメラ11は、充電台71にセットして充電を行う際に使用されるコンタクトターミナル67よりも、インナーコンタクトターミナル61のターミナル数が多く設けられている。
【0023】
ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35と下部筐体37とが、仮ロック部39と、この仮ロック部39による仮ロックの後に、本ロックを行う本ロック部29とからなる二重のロック部を有する。本ロック部29の本ロックフック31は、上部外面に押圧用凸部33が形成される。本ロックフック31の下部内面には、フック爪73が筐体の内方に向かって突出する。下部内面に向かってフック爪73を突出させた左右の本ロックフック31は、
図6に示すように、正面視でL字状、逆L字状となる。本ロックフック31は、上部内面にシャフト75の貫通する軸受部77が形成される。左右の本ロックフック31は、シャフト75が上部筐体35に支持される。これにより、本ロックフック31は、それぞれの押圧用凸部33が押し込まれることにより、下端のフック爪73が外側へ揺動される。
【0024】
上部筐体35の側面と本ロックフック31との間には、板ばね79が挟み込まれている。板ばね79は、下端が上部筐体35の側面に当接し、上端がロック部のシャフト75よりも上側に当接する。板ばね79は、弾性変形した状態で配置されることにより、本ロックフック31を、フック爪73が上部筐体35の側面に接近する方向に回転付勢力を与える。従って、押圧用凸部33が手指により押し込まれた本ロックフック31は、フック爪73が外側へ揺動されるが、手指が放されると、板ばね79の付勢力によりフック爪73が再び側面に接近する方向に回転配置される。
【0025】
下部筐体37の上面には、上部筐体35の下面に嵌合するブロック部81が突出する。本ロックフック31は、側面に接近する方向に回転配置されると、ブロック部81の左右それぞれの側面に形成された爪係止部83に係止する。爪係止部83は、平面視で四角形の板状に形成されてブロック部81の側面から垂直に突出する。爪係止部83は、突出先端の辺部が、先端に向かって下り傾斜で形成された係止案内面となる。係止案内面は、フック爪73を円滑に係止状態へと導く。爪係止部83の中央には上下に貫通する四角形の貫通孔85が形成される。貫通孔85は、フック爪73の先端に形成されたビーク部87を干渉させないように受け入れる。これにより、本ロックフック31は、下部筐体37へ確実に本ロックされるようになされている。
【0026】
ブロック部81の上面には、インナーコンタクトターミナル61を包囲する(
図5参照)四角形の周壁89が起立して形成される。周壁89は、上部筐体35の下面に形成された四角形の周溝91に嵌合する。これにより、本ロックフック31にて上下方向の離反が規制された上部筐体35と下部筐体37とは、前後左右方向にがたつくことなく、確実に固定されるようになされている。
【0027】
図7は、
図3のC-C断面図である。仮ロック部39は、複数の仮ロック突起93を有する。仮ロック突起93は、ブロック部81に起立する周壁89の前面と後面のそれぞれに、左右一対設けられている。つまり、仮ロック突起93は、合計4つが形成される。それぞれの仮ロック突起93は、周壁89にU字状の切り込みを入れることにより、先端が自由端となった片持ち梁状の弾性係止片95として形成される。弾性係止片95は、先端側の外面に、半球状の突起が形成される。
【0028】
図8は、
図3のD-D断面図である。突起は、上部筐体35における下部前側内壁面および下部後側内壁面に形成された突起嵌合凹部97に嵌合する。仮ロック突起93の突起は、本ロックフック31が爪係止部83に本ロックする直前に、突起嵌合凹部97に係止する。下部筐体37は、仮ロック突起93が突起嵌合凹部97に係止することにより、落下することなく自由度を持って上部筐体35に連結される。つまり、本ロック前に、下部筐体37を上部筐体35に仮固定することができる。また、仮ロック突起93は、4つが設けられていることにより、いずれかの突起から順次に4つ全てを突起嵌合凹部97へ係止でき、仮ロックが容易に行えるようになっている。
【0029】
なお、本ロック部29のロック解除は、板ばね79の付勢力に抗し、本ロックフック31の押圧用凸部33を押すことにより、フック爪73を爪係止部83から離脱させて行うことができる。また、仮ロック部39の仮ロック解除は、4つの弾性係止片95が突起嵌合凹部97から離脱する程度に、下部筐体37を上部筐体35から引き離すことにより、弾性係止片95の突起を突起嵌合凹部97から離脱する方向に弾性変形させて行うことができる。
【0030】
次に、ウェアラブルカメラ11の充電方法について説明する。
【0031】
図9は、ウェアラブルカメラ11の充電時の状況を表す斜視図である。ウェアラブルカメラ11は、バッテリ59が放電した結果、必要な給電が上部筐体35へ行えなくなると、下部筐体37が上部筐体35に取り付けられたままでバッテリ59の充電が可能となる。即ち、ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35に取り付けられている下部筐体37が、充電台71に差し込まれることにより、充電台71に対して起立状態で保持(セット)される。このセット状態で、ウェアラブルカメラ11は、下部筐体37の下面に設けたコンタクトターミナル67を、充電台71の充電接点に接続して充電が可能となる。
【0032】
図10は、上部筐体35と下部筐体37とが分離されたウェアラブルカメラ11の分解斜視図である。一方、ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35から取り外した下部筐体37のみを、充電台71に接続してバッテリ59に充電することができる。
【0033】
図11は、下部筐体37が充電台71にセットされる直前の斜視図である。下部筐体37のみを単独で充電する場合には、上部筐体35からロック部によるロックを解除した後、下部筐体37を上下反転させて、インナーコンタクトターミナル61を下向きとする。なお、下部筐体37のみを単独で充電する場合には、充電台71には、下部筐体37のみを単独で充電する時に使用される第1の充電制御回路(図示略)が設けられることが好ましい。つまり、充電台71は、上部筐体35および下部筐体37がドッキングされた状態で差し込まれて充電する時に使用する第2の充電制御回路(図示略)と、上述した第1の充電制御回路とを備え、いずれか一方を使用するように切り替え可能である。
【0034】
図12は、下部筐体37が充電台71にセットされた後の斜視図である。次いで、充電台71の充電口99に、下部筐体37のブロック部81を挿入する。これにより、下部筐体37に収容されたバッテリ59は、インナーコンタクトターミナル61を介して充電台71の充電回路に接続され、充電が行える状態となる。
【0035】
次に、ウェアラブルカメラ11を用いた通信について説明する。
【0036】
図13は、ウェアラブルカメラ11を用いた通信システムの一構成例を表す概要説明図である。ウェアラブルカメラ11は、警官が現場(Field)で使用する各種の機器と、警察車両PV(Police Vehicle、例えばパトロールカー)の内部で使用あるいは搭載される各種の機器と、警察署(Police Department)PD内に配置される各種の機器とに通信が可能となる。
【0037】
警官が現場で使用する各種の機器は、例えば警官の所持が可能なスマートフォン101(タブレット端末でも可)と、警官の所持が可能な無線LANアクセスポイント103とを少なくとも含むが、これらに限定されない。なお、スマートフォン101や無線LANアクセスポイント103は、例えば警官が着用する制服のポケット等にて所持される。
【0038】
警察署PD内に配置される各種の機器は、例えばバックエンドサーバ105(BES:Back-End Server)と、バックエンドクライアント107(BEC:Back-End Client)とを少なくとも含むが、これらに限定されない。
【0039】
警察車両PVの内部で使用または搭載される各種の機器は、例えば車載カメラシステム109(ICV:In-Car Video system)と、車載PC111と、回転警告灯113とを少なくとも含むが、これらに限定されない。
【0040】
車載カメラシステム109は、1つあるいは複数の車載カメラ115と、車載PC111と、車載レコーダ117とを有し、警察車両PVで走行中に遭遇する事件やパトロール中等の状況を映像として撮像して記録する。
【0041】
車載カメラ115は、例えば警察車両PVの前方を撮像するように設置されたカメラ、警察車両PVの左側、右側、後方をそれぞれ撮像するように設置されたそれぞれのカメラのうち1つあるいは複数を含む。
【0042】
編集装置の一例としての車載PC111は、警官の操作に従って、車載カメラ115および車載レコーダ117の動作を制御する。車載レコーダ117は、複数の車載カメラ115でそれぞれ撮像された映像のデータを時系列に記録する。また、車載PC111は、USB(Universal Serial Bus)によってウェアラブルカメラ11と接続された場合には、ウェアラブルカメラ11を充電可能であるとともに、ウェアラブルカメラ11により撮像された映像のデータを、USBを介して取得し、車載PC111にインストールされている既定のアプリケーションにおいて再生したり、警官の操作に従って、そのアプリケーションにおいて映像の属性情報を付与したりする。
【0043】
ウェアラブルカメラ11は、無線LANアクセスポイント103を介してバックエンドサーバ105に直接送信したり、スマートフォン101或いは無線LANアクセスポイント103およびネットワークNW(例えば携帯回線網等の広域通信網あるいはインターネット網)を介してバックエンドサーバ105にストリーミングしたりする。
【0044】
無線LANアクセスポイント103は、ウェアラブルカメラ11からのデータを警察署PD内のバックエンドサーバ105に中継する。ウェアラブルカメラ11とスマートフォン101や無線LANアクセスポイント103との間には、無線通信(例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)あるいは無線LAN(例えばWifi(登録商標))が用いられる。なお、無線LANをWLANと称する場合がある。
【0045】
ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35により取得されたデータが、2つの無線通信部のうちの一方である無線LANにより警察車両PVへ送られる。
【0046】
また、ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35により取得されたデータが、2つの無線通信部のうちの他方であるLTEにより警察署のサーバ装置へ送られる。
【0047】
図14は、送信データ別の通信手段の一例を表すテーブルである。ウェアラブルカメラ11から送信されるデータは、ライブデータと、録画データと、メタデータとに大別される。ライブデータは、ライブストリーミングに使用されるリアルタイムデータである。録画データは、録画した過去のデータである。メタデータは、映像データに対して付与される属性情報である。
【0048】
属性情報は、属性情報付与スイッチSW4の操作により選択され、属性情報付与スイッチSW4の操作により付与される。ウェアラブルカメラ11を使用する場合、属性情報付与スイッチSW4の状態(接点位置)にそれぞれ対応して、属性情報を割り付けて設定しておく。例えば警官が事件現場の様子を撮像する場合、飲酒運転(Driving Under the Influence)、薬物乱用(Drug Abuse Violations)、窃盗(Stolen Propoerty)をそれぞれ割り付けておく。
【0049】
ウェアラブルカメラ11は、データの送付先に応じて異なる通信手段を使用してライブデータ、録画データおよびメタデータを送付することができる。ウェアラブルカメラ11は、例えばデータを警察署PD内のバックエンドサーバ等の本部、Cloud上に送付する場合、LTEを通信手段として用いる。LTE用印刷回路基板49が搭載されていないウェアラブルカメラ11では、パトカー経由でデータの送付が行われる。この場合、ウェアラブルカメラ11からパトカーは無線LANが用いられる。パトカーから本部まではLTEが用いられる。
【0050】
一方、ウェアラブルカメラ11は、LTE用印刷回路基板49が増設されている場合には、パトカーを経由せず、直接、LTEを用いて本部へのデータの送付が可能となる。
【0051】
この他、ウェアラブルカメラ11は、データの送付先がモバイルホンの場合、通信手段に無線LANやBLEが用いられる。また、ウェアラブルカメラ11は、データの送付先が車載レコーダ117や車載PC111の場合、通信手段に無線LANが用いられる。
【0052】
次に、ウェアラブルカメラ11の内部構成について説明する。
【0053】
図15は、ウェアラブルカメラ11の内部構成の一例を表すブロック図である。ウェアラブルカメラ11は、撮像部47と、GPIO119(General Purpose Input/Output)と、RAM121(Random Access Memory)と、ROM123(Read Onlye Memory)と、記憶部125とを含む。ウェアラブルカメラ11は、EEPROM126(Electrically Erasable Programmable ROM)と、RTC127と、GPS(Global Positioning System)受信部129とを含む。ウェアラブルカメラ11は、制御部であるMCU131(Micro Control Unit)と、広域網通信部133と、BLE通信部135と、WLAN通信部137と、USBインタフェース139と、コンタクトターミナル67と、電源部141と、バッテリ59とを含む。
【0054】
ウェアラブルカメラ11は、録画スイッチSW1と、スナップショットスイッチSW2と、通信モードスイッチSW3と、属性情報付与スイッチSW4と、無線登録スイッチSW5とを含む。
【0055】
ウェアラブルカメラ11は、ディスプレイパネル用のLCD23と、バイブレータ143と、音声出力部145と、マイク17と、スピーカ147と、イヤホン端子149とを含む。ディスプレイパネル25、バイブレータ143、音声出力部145は、ユーザに報知する報知部の一例として機能する。
【0056】
撮像部47は、撮像レンズ15(
図3参照)と、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等による固体撮像素子とを有する。撮像部47は、撮像により得られた被写体の画像に基づく映像のデータをMCU131に出力する。
【0057】
コンタクトターミナル67の検知端子151は、ウェアラブルカメラ11が充電台71やギャングチャーヂャに載置(セット)された場合、あるいは充電台71やギャングチャーヂャから取り外された場合に電圧変化が生じる端子である。コンタクトターミナル67の検知端子151は、ADコンバータ153に接続される。検知端子151の電圧変化を示す信号は、ADコンバータ153においてデジタル信号に変換され、そのデジタル信号がI2C155(Inter-Integrated Circuit)を介してMCU131に入力される。
【0058】
GPIO119は、パラレルインタフェースである。GPIO119には、録画スイッチSW1、スナップショットスイッチSW2、通信モードスイッチSW3、属性情報付与スイッチSW4、無線登録スイッチSW5、LCD23、バイブレータ143、音声出力部145、マイク17、スピーカ147およびイヤホン端子149が接続される。GPIO119は、これらの各種電子部品とMCU131との間で信号を入出力する。
【0059】
マイク17は、ウェアラブルカメラ11の周囲の音声を収音し、収音された音声の音声データを、GPIO119を介してMCU131に出力する。なお、マイク17は、ウェアラブルカメラ11の筐体に収容された内蔵マイクであってもよいし、ウェアラブルカメラ11と無線接続されたワイヤレスマイクであってもよい。ワイヤレスマイクの場合、警官が任意の箇所に取り付ける事で、収音性を高める事ができる。
【0060】
音声出力部145は、MCU131の指示の下で、ウェアラブルカメラ11の動作に関する音声信号を出力する。音声出力部145は、予めROM123などに記憶された既定のメッセージの音声を有する音声データを読み出し、この音声データに基づく音声信号をスピーカ147から音声出力する。イヤホン端子149は、イヤホン端子149に接続されたイヤホンに対し、音声出力部145より出力される音声信号を出力する。スピーカ147は、音声出力部145より出力される音声信号を入力して音声出力する。
【0061】
また、ADコンバータ153は、I2C155( Inter-Integrated Circuit)などの通信インタフェースを介してMCU131に接続される。なお、コンタクトターミナル67の検知端子151を、ADコンバータ153を介さずにGPIO119へ接続する事でも類似の効果を得る事は可能である。
【0062】
RAM121は、例えばMCU131の動作において使用されるワークメモリである。ROM123は、例えばMCU131の動作(処理)の実行を制御するためのプログラムおよびデータを予め記憶する。
【0063】
第1メモリの一例としての記憶部125は、例えばメモリカード等の記憶媒体により構成され、例えば警官の操作に基づく録画開始の指示に基づき、撮像部47で撮像された映像のデータ記録(つまり、録画)を開始する。記憶部125は、撮像部47で撮像された所定時間(例えば30秒)の映像のデータを常時プリバッファリングして保持し、現在時刻より所定時間(例えば30秒)前までの映像データを常に蓄積し続ける。記憶部125は、録画開始の指示を受けると、映像データの記録を開始し、録画停止の指示を受けるまでの映像データの記録を継続する。また、記憶部125は、解像度アップ情報等が設定された設定データファイルを有する。例えば記憶部125がメモリカードで構成される場合、ウェアラブルカメラ11の筐体に挿抜自在に装着される。
【0064】
EEPROM16は、例えばウェアラブルカメラ11を識別する識別情報(例えばカメラIDとしてのシリアル番号)、および各種設定情報を記憶する。RTC127は、現在の時刻情報をカウントしてMCU131に出力する。
【0065】
GPS受信部129は、複数のGPS発信機(例えば4個の航法衛星)から送信される、各自の信号送信時刻および位置座標を含む衛星信号を受信してMCU131に出力する。MCU131は、複数の衛星信号を用いて、現在のウェアラブルカメラ11の位置座標および衛星信号の受信時刻を算出する。なお、この算出は、MCU131ではなくGPS受信部129により実行されてもよい。この受信時刻の情報は、ウェアラブルカメラ11のシステム時刻(つまり、RTC127の出力)の補正のためにも使用されてもよい。システム時刻は、撮像された画像(静止画、動画を含む)の撮像時刻の記録等に利用される。
【0066】
MCU131は、ウェアラブルカメラ11の制御部としての機能を有し、例えばウェアラブルカメラ11の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、ウェアラブルカメラ11の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。MCU131は、ROM123に記憶された各種のプログラムおよびデータに従って動作する。MCU131は、動作時、RAM121を使用し、RTC127より現在の時刻情報を得るとともに、GPS受信部129から現在の位置情報を得る。
【0067】
通信部の一例としての広域網通信部133は、携帯電話通信規格の一つであるLTEの通信形態を用いて、ネットワークNW(例えば携帯回線網等の広域通信網あるいはインターネット網)との間で無線通信を行う。
【0068】
通信部の一例としてのBLE通信部135は、近距離無線通信の通信規格であるBLEの通信形態を用いて、スマートフォン101等との間で無線通信を行う。BLEは、Bluetooth(登録商標)のバージョン4.0の呼称である。BLEでは、低消費電力で通信可能であるが、その通信速度は100kbps程度と低速である。
【0069】
通信部の一例としてのWLAN通信部137は、テザリング機能を用いた無線LANアクセスポイントとしてのスマートフォン101、無線LANアクセスポイント103、あるいは警察署PD内において利用可能な無線LANの無線LANアクセスポイント103等と無線LAN(つまり、WLAN)で接続され、接続先と無線通信を行う。無線LANは、BLEと比べ、通信速度が数十~数百Mbpsと高速通信可能であるが、無線LANアクセスポイント103と常時接続されるので、消費電力が多くなる。
【0070】
なお、ウェアラブルカメラ11は、BLE通信やWLAN通信の他、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信や携帯回線網(例えばLTE)を用いた無線通信を行うための通信部の構成(不図示)をそれぞれ有してもよい。
【0071】
USBインタフェース139は、シリアルバスであり、例えば車載PC111や、警察署PD内のバックエンドクライアント107との接続を可能とする。
【0072】
コンタクトターミナル67は、充電台71と電気的に接続するための端子であり、USBインタフェース139を介してMCU131に接続されるとともに、電源部141と接続される。電源部141は、コンタクトターミナル67における充電台71との接続検知に応じて、バッテリ59を充電する。コンタクトターミナル67は、充電台71との接続に応じて、MCU131が記憶部125から読み出した映像のデータを、充電台71を介して接続された外部機器(例えば車載PC111)に通信可能である。
【0073】
コンタクトターミナル67には、例えば「充電端子V+」(不図示)、「検知端子151」、「データ端子D-,D+」(不図示)および「グランド端子」(不図示)が設けられる。検知端子151は、電圧および電圧変化を検出するための端子である。データ端子D,D+は、例えばUSBコネクタ端子を介して、車載PC111に対してウェアラブルカメラ11で撮像した映像のデータを転送するための端子である。コンタクトターミナル67の検知端子151は、ADコンバータ153を介してI2C155等の通信インタフェースに接続され、コンタクトターミナル67の検知電圧値がMCU131に入力される。
【0074】
コンタクトターミナル67と、充電台71のコネクタとが接続される事により、ウェアラブルカメラ11と外部機器(例えば車載PC111)との間でデータ通信が可能となる。
【0075】
電源部141は、例えばコンタクトターミナル67を介して、充電台71に接続される外部電源(例えば警察車両PV内のシガーチャーヂャ、警察車両PV内のアクセサリ)より供給される充電電流をバッテリ59に給電する事で、バッテリ59を充電する。
【0076】
バッテリ59は、例えば充電可能な2次電池により構成され、ウェアラブルカメラ11の各部に電源電力を供給する。
【0077】
録画スイッチSW1は、例えば警官の押下操作による録画(動画の撮像)の開始/停止の操作指示を入力する押しボタンスイッチである。また、MCU131は、例えば録画スイッチSW1が短押しされた事で録画(動画の撮像)を開始し、録画スイッチSW1が長押しされた事で録画を終了してもよい。また、MCU131は、例えば録画スイッチSW1が奇数回押下される事で録画(動画の撮像)を開始し、録画スイッチSW1が偶数回押下される事で録画を終了してもよい。
【0078】
スナップショットスイッチSW2は、例えば警官の押下操作による静止画の撮像の操作指示を入力する押しボタンスイッチである。スナップショットスイッチSW2は、例えば押下される度に、MCU131によって押下時の静止画の撮像が実行される。
【0079】
通信モードスイッチSW3は、例えばウェアラブルカメラ11と外部機器との間の通信モードを設定するための操作指示を入力するスライドスイッチである。通信モードは、例えばアクセスポイントモード、ステーションモード、OFFモードを含む。
【0080】
アクセスポイントモードは、ウェアラブルカメラ11が無線LANのアクセスポイントとして動作し、例えば警官が所持するスマートフォン101と無線接続して、ウェアラブルカメラ11とスマートフォン101との間で通信を行うモードである。アクセスポイントモードにおいて、スマートフォン101は、ウェアラブルカメラ11と接続する事により、ウェアラブルカメラ11による現在のライブ画像の表示、録画された画像の再生、撮像された静止画の表示等を行う事ができる。
【0081】
ステーションモードは、無線LANを用いて外部機器と接続する場合に、外部機器をアクセスポイントとして通信するモードである。例えばスマートフォン101のテザリング機能を利用し、外部機器としてスマートフォン101を設定してもよい。ステーションモードにおいて、ウェアラブルカメラ11は、各種設定、ウェアラブルカメラ11が保持する録画された画像の転送(アップロード)等を、車載カメラシステム109や警察署PD内のバックエンドクライアント107やバックエンドサーバ105に対して行う事ができる。
【0082】
OFFモードは、無線LANの通信動作をオフし、無線LANを未使用とするモードである。
【0083】
属性情報付与スイッチSW4は、映像データに属性情報を付与するために操作される押しボタンスイッチである。属性情報は、ウェアラブルカメラ11により撮像された映像の内容(例えば事件の種別、殺人、強盗、災害等)を示す。
【0084】
第1指示部の一例としての無線登録スイッチSW5は、ウェアラブルカメラ11が無線通信(例えばBLEあるいは無線LANを用いた無線通信)する相手の外部機器(例えばスマートフォン101、無線LANアクセスポイント103)を通信相手として登録して設定する(以下、「通信設定処理」とも称する場合がある)際に操作される押しボタンスイッチである。以下、例えばBLEを用いた無線通信において、通信相手となる機器を登録して設定する処理を「ペアリング」と称する場合がある。
【0085】
LCD23は、例えばウェアラブルカメラ11の電源投入状態(オンオフ状態)およびバッテリ59の状態を表示する。
【0086】
LCD23は、例えばウェアラブルカメラ11の撮像動作の状態(録画状態)を表示する。
【0087】
LCD23は、例えばウェアラブルカメラ11の通信モードの状態を表示する。また、LCD23は、ウェアラブルカメラ11がバックエンドサーバ105から通知データを受信すると、MCU131からの指示に従い、点滅動作を行う。この時、MCU131は、通知データに含まれる、音源に関する情報に応じて、MCU131は、LCD23の点滅パターンを可変させる。
【0088】
MCU131は、録画スイッチSW1、スナップショットスイッチSW2、通信モードスイッチSW3、属性情報付与スイッチSW4および無線登録スイッチSW5の各スイッチの入力検出を行い、操作があったスイッチ入力に対する処理を行う。
【0089】
MCU131は、録画スイッチSW1の操作入力を検出した場合、撮像部47における撮像動作の開始あるいは停止を制御し、撮像部47から得られた画像を、動画像として記憶部125に保存する。
【0090】
MCU131は、スナップショットスイッチSW2の操作入力を検出した場合、スナップショットスイッチSW2が操作されたときの撮像部47による画像を、静止画像として記憶部125に保存する。
【0091】
MCU131は、通信モードスイッチSW3の状態を検出し、通信モードスイッチSW3の設定に応じた通信モードによって通信部を動作させる。
【0092】
MCU131は、属性情報付与スイッチSW4が押下された場合、撮像部47によって撮像された映像のデータに対応する属性情報を、その映像に対応付けて付与する。
【0093】
MCU131は、無線登録スイッチSW5が押下された場合、ウェアラブルカメラ11の通信相手となり得る周囲の外部機器(例えば車載PC111)に対し、通信設定処理(例えばペアリング)において行われるべき既定の処理を実行する。ここで、既定の処理は、ペアリングを例示すると、無線通信の通信相手としての登録要求情報の生成並びにBLE通信部135への出力、接続先である通信相手を特定するための接続情報の生成並びにBLE通信部135への出力、通信相手から送信された接続情報の記憶部125への保存である。但し、無線LANの通信設定に関する既定の処理は、上述したペアリングを例示した時の既定の処理と同様である事は言うまでもない。
【0094】
次に、実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11の作用を説明する。
【0095】
実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11は、ユーザの周囲(例えば前方)の被写体を撮像する撮像部47と、撮像部47の撮像処理およびバッテリ59の充電処理を制御する制御部と、を備える。ウェアラブルカメラ11は、ユーザに装着が可能となり、少なくとも撮像部47および制御部を収容する上部筐体35と、上部筐体35に給電するバッテリ59を収容して上部筐体35に取り外し可能に取り付けられ、充電に用いるコンタクトターミナル67を表出し、上部筐体35に取り付けられた状態でコンタクトターミナル67を介して充電台71に接続してバッテリ59を充電可能な下部筐体37と、を備える。
【0096】
実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11では、ユーザに装着が可能となる上部筐体35に、少なくとも撮像部47およびMCU131が収容される。撮像部47は、ユーザの周囲(例えば前方の)被写体を撮像する。MCU131は、撮像部47の撮像動作を制御するとともに、バッテリ59の充電動作を制御する。上部筐体35には、下部筐体37が、取り外し可能に取り付けられる。下部筐体37には、上部筐体35に給電するためのバッテリ59が収容される。ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35に下部筐体37が一体に取り付けられた状態で、バッテリ59を電源として撮像部47が撮像動作する。
【0097】
ウェアラブルカメラ11は、下部筐体37が上部筐体35に取り付けられたままでバッテリ59の充電が可能となる(
図9参照)。ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35に取り付けられている下部筐体37が、充電台71に差し込まれることにより、充電台71に対して起立状態で保持(セット)される。このセット状態で、ウェアラブルカメラ11は、下部筐体37の例えば下面に設けたコンタクトターミナル67を、充電台71の充電接点に接続して充電が可能となる。
【0098】
この際、ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35に収容されるMCU131により、上部筐体35に収容される充電制御回路を作動させ、充電状況を監視しながらバッテリ59の充電が行われる。MCU131は、バッテリ59の充電が完了すると、上部筐体35に設けられる例えば表示部等に充電完了の報知を行う。これにより、ウェアラブルカメラ11は、一体となった下部筐体37と上部筐体35が充電台71から取り外されて使用が可能となる。
【0099】
ウェアラブルカメラ11は、下部筐体37が上部筐体35から取り外し可能となる。ウェアラブルカメラ11は、バッテリ59を収容した予備の下部筐体37を備えることができる。ウェアラブルカメラ11は、一体となった上部筐体35および下部筐体37を使用している間に、予備の下部筐体37に収容したバッテリ59を充電できる。これにより、ウェアラブルカメラ11は、下部筐体37のバッテリ59が放電した場合、その下部筐体37を予備の下部筐体37と交換するのみで、上部筐体35への給電が可能となる。つまり、バッテリ59の充電が完了するまで、ウェアラブルカメラ11の使用を待つ必要がなくなる。このため、ウェアラブルカメラ11は、充電時間がアイドルタイムとならず、下部筐体37を交換するのみにより連続状態で長時間の使用が可能となる。その結果、ウェアラブルカメラ11は、充電の制約によりユーザが使用できなくなることを回避できる。
【0100】
従って、実施の形態1に係るウェアラブルカメラ11によれば、筐体内に内蔵されるバッテリ59の充電に関する制約に基づくユーザの使用不可を回避でき、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0101】
また、ウェアラブルカメラ11では、下部筐体37は、バッテリ59から上部筐体35への給電に用いるインナーコンタクトターミナル61を有する。バッテリ59は、上部筐体35から取り外された状態で、このインナーコンタクトターミナル61を介して充電台71により充電される。
【0102】
このウェアラブルカメラ11では、上部筐体35から取り外された下部筐体37が単体で充電台71にセットされる場合、下部筐体37は、コンタクトターミナル67が使用されない。下部筐体37には、例えば下面に配置されたコンタクトターミナル67と反対側の上面に、インナーコンタクトターミナル61が設けられる。下部筐体37は、上部筐体35に取り付けられて一体となった状態では、このインナーコンタクトターミナル61を介して上部筐体35へ給電が行われる。また、上部筐体35と一体に取り付けられた下部筐体37が充電台71にセットされて充電が行われる場合、このインナーコンタクトターミナル61を介して上部筐体35のMCU131が、下部筐体37におけるバッテリ59の充電状況を監視する。下部筐体37は、このインナーコンタクトターミナル61を使用することにより、充電台71による単体での充電が可能となっている。つまり、下部筐体37は、上部筐体35と一体でも、単体でも充電台71による充電が可能となっている。
【0103】
また、ウェアラブルカメラ11では、充電台71に接続される端子は、コンタクトターミナル67よりもインナーコンタクトターミナル61の数が多い。
【0104】
このウェアラブルカメラ11では、下部筐体37が上部筐体35に取り付けられて一体となった状態では、インナーコンタクトターミナル61を介して上部筐体35へ給電が行われる。この際、上部筐体35に収容されるMCU131は、インナーコンタクトターミナル61を介して下部筐体37におけるバッテリ59の充電状況を監視している。インナーコンタクトターミナル61は、このバッテリ59を監視するための回路に接続する端子の分が、コンタクトターミナル67の端子の数よりも多く設けられている。即ち、コンタクトターミナル67が例えば5つの端子を配列してなる場合、インナーコンタクトターミナル61は、9つの端子を配列してなる。この場合、インナーコンタクトターミナル61は、バッテリ59を監視するための回路に接続さる4つの端子が、コンタクトターミナル67よりも多く配列される。
【0105】
上部筐体35と分離された下部筐体37は、MCU131によるバッテリ59の充電状況の監視・制御が行えなくなる。そこで、ウェアラブルカメラ11は、MCU131と同等の監視・制御動作を行う監視・制御回路部が、充電台71にも設けられる。ウェアラブルカメラ11は、この充電台71に設けられた監視・制御回路部に、下部筐体37のインナーコンタクトターミナル61を介して接続が可能となる。即ち、この接続には、コンタクトターミナル67よりも多く配列されたバッテリ59を監視・制御するための4つの端子が使用される。これにより、ウェアラブルカメラ11は、上部筐体35に取り付けられた下部筐体37が、コンタクトターミナル67を介して充電台71で充電される場合と同様に、下部筐体37が単体においても充電台71の監視・制御回路部がMCU131と同等の監視・制御動作を行いながら充電が行えるようになされている。
【0106】
また、ウェアラブルカメラ11では、上部筐体35と下部筐体37とは、仮ロック部39と、この仮ロック部39による仮ロックの後に本ロックを行う本ロック部29とにより、二重にロックされる。
【0107】
このウェアラブルカメラ11では、上部筐体35と下部筐体37との取り付け取り外しが、ロック部により行われる。ロック部は、仮ロック部39と本ロック部29とからなる。仮ロック部39は、本ロックの前に、上部筐体35と下部筐体37との分離を簡易的に規制する。仮ロック部39による仮ロック状態では、ロック部に設けられる付勢部材により上部筐体35と下部筐体37との相対的な移動がある程度の力により規制される。このため、仮ロック状態では、上部筐体35と下部筐体37とがカタカタ当たる異音の発生等が抑制される。これにより、製品品位を高めることができる。また、上部筐体35と下部筐体37とは、仮ロック部39により本ロック前の相対的なロック位置がほぼ定まるため、任意な相対位置で本ロック動作を行うのに比べ、本ロックへの移行が容易となる。その結果、ロック動作を安定して行うことができるようになる。
【0108】
また、ウェアラブルカメラ11では、上部筐体35は、2つの無線通信部を収容する。
【0109】
このウェアラブルカメラ11では、上部筐体35が、2つの無線通信部を備えるように収容する。2つの無線通信部のうち一つとしては、無線LANを挙げることができる。無線LANを行う通信技術としては、例えばBLEまたは無線LANを用いることができる。他の一つとしては、携帯回線網を挙げることができる。携帯回線網を使う通信技術としては、例えば携帯電話通信規格であるLTEを用いることができる。無線LANでは、電波が届く範囲がLTEよりも短距離となるが、通信容量に制限がなく、通信容量が大きくなるデータの視聴に有利となる。一方、LTEでは、通信容量に制限があるが、屋外での携帯電話使用を想定して作られた通信技術のため屋外での利用においても電波が安定する。LTEは、電波を発信している基地局が多いため、送受信の可能なエリアを半径数100メートルから数キロメートルと広く確保できる。
【0110】
また、ウェアラブルカメラ11では、2つの無線通信部のうち一方は、ウェアラブルカメラ11と所定の通信圏内に位置する警察車両(例えばパトロールカー)との間で無線LANあるいは近距離無線通信規格を用いた狭域無線通信を行う。上部筐体35に収容される撮像部47あるいはMCU131により取得されたデータは、無線LANを用いた無線通信により警察車両PVに送られる。
【0111】
このウェアラブルカメラ11では、ウェアラブルカメラ11が、ユーザの一例としての警官の制服に装着または保持される。ウェアラブルカメラ11は、警官の周囲(例えば前方)の状況を被写体として撮像し、撮像により得られたデータを、無線LANにより車載PC111等を介して車載カメラシステム109に送信する。
【0112】
無線LANを行うBLEやWLANは、ワンチップのデバイスとして上部筐体35に収容した印刷回路基板に実装できる。この場合、ウェアラブルカメラ11は、データを車載レコーダ117に記憶することができる。また、ウェアラブルカメラ11は、車載カメラシステム109と同時に撮影を開始し、得られたデータを共に車載レコーダ117に記憶させることもできる。
【0113】
また、ウェアラブルカメラ11では、2つの無線通信部のうち一方は、ウェアラブルカメラ11と所定の通信セル内に位置する警察署内のサーバ(例えばバックエンドサーバ)との間で広域無線通信を行う。上部筐体35に収容される撮像部47あるいはMCU131により取得されたデータは、LTE等の広域無線通信により警察署のサーバ(例えばバックエンドサーバ)に送られる。
【0114】
このウェアラブルカメラ11では、ウェアラブルカメラ11が、撮像により得られたデータを、LTEにより直接携帯回線網に送信する。
【0115】
LTEは、上部筐体35に、オプションとして追加される専用の印刷回路基板にデバイスが実装される。この場合、ウェアラブルカメラ11は、携帯回線網を介してデータを例えば警察署PD内のバックエンドサーバ105に直接送って記憶させることができる。また、ウェアラブルカメラ11は、携帯回線網を介してデータをバックエンドクライアント107にストリーミングすることもできる。
【0116】
また、広域無線通信は、LTE通信規格に準じた無線通信である。
【0117】
これにより、ウェアラブルカメラ11は、LTE等の広域無線通信を行えるので、警察署から相当に離れた位置に警官が位置する場合でも、その位置までの距離がLTEの通信圏内であればパトロールあるいは事件等の現場で撮像した映像データを警察署内のサーバ(例えばバックエンドサーバ)に直接に送信できる。
【0118】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示は、筐体内に内蔵されるバッテリの充電に関する制約に基づくよりユーザの使用不可できなくなることを回避でき、ユーザの使い勝手を向上できるウェアラブルカメラとして有用である。
【符号の説明】
【0120】
11 ウェアラブルカメラ
29 本ロック部
35 上部筐体
37 下部筐体
39 仮ロック部
47 撮像部
59 バッテリ
61 インナーコンタクトターミナル
63 ピンターミナル
67 コンタクトターミナル
69 ターミナル片
71 充電台
105 バックエンドサーバ
131 MCU(制御部)
133 広域網通信部
135 BLE通信部
137 WLAN通信部
PD 警察署
PV 警察車両