(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】給湯器用の燃焼装置及び給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20230808BHJP
【FI】
F24H9/00 P
(21)【出願番号】P 2019180058
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 剛司
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-031551(JP,A)
【文献】特開2018-119744(JP,A)
【文献】特開2017-044422(JP,A)
【文献】実開昭60-170524(JP,U)
【文献】特開2015-105814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
F23D 14/00 - 14/84
F23M 3/00 - 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバーナを備えたバーナ群と、
前記バーナ群を収容する筐体と、
前記筐体内を仕切る仕切部と、
を備え、
前記バーナ群は、複数の第1バーナを具備する第1バーナ群と、複数の第2バーナを具備する第2バーナ群と、を有し、前記第1バーナ群が前記筐体内において前記第2バーナ群よりも左右方向一方側に配置され、
前記筐体は、前記バーナ群の後方側に配置される背面板と、前記バーナ群の左右両側に配置される一対の側面板と、前記バーナ群の前側に配置される蓋部と、を有し、
前記背面板における前記筐体内部側の前面部には、前方側に突出する構成をなすとともに左右方向に沿って延びる差し込み部が設けられ、
前記仕切部は、前記第1バーナ群側に面する第1板面部と、前記第2バーナ群側に面する第2板面部と、前記背面板の前面部と対向する後端部と、前記蓋部に対向する前端部と、を備えた板状の構成をなし、
前記仕切部の後端部は、前方側に凹んだスリットが一部に形成されており、
前記仕切部は、前記差し込み部が前記スリットに差し込まれた構成で前記背面板に固定されて
おり、
前記仕切部は、
一方の板面が前記第1バーナ群側に向くように配置され、他方の板面が前記第2バーナ群側に向くように配置される板状の仕切壁と、
前記仕切壁から折れ曲がるとともに前記背面板の前面部に対向して配置される板状の折れ曲がり片と、
を有し、
前記折れ曲がり片と前記背面板とが重なり合った重なり部に対して前側からネジ部材が挿入される構成で前記折れ曲がり片と前記背面板とが固定され、
前記折れ曲がり片において左右方向に延びた構成で前記スリットが形成されており、
前記折れ曲がり片は、前記スリットの上側に配置される第1折れ曲がり片と、前記スリットの下側に配置される第2折れ曲がり片と、を具備する
給湯器用の燃焼装置。
【請求項2】
前記仕切部は、第1板部と、第2板部と、を具備するとともに、前記第1板部と前記第2板部とが一体的に結合した構成をなしており、
前記第1板部の後端部には、前記スリットの一つをなす第1スリットが形成され、
前記第2板部の後端部には、前記スリットの一つをなす第2スリットが形成され、
前記第1スリットと前記第2スリットとが左右方向の間隔をあけて設けられている
請求項1に記載の給湯器用の燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給湯器用の燃焼装置を備えた給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、共用の筐体内に仕切壁を設け、この仕切壁の左右に給湯用のバーナ群と循環加熱用のバーナ群とをそれぞれ配置した給湯器用の燃焼装置が知られている。この種の燃焼装置の例としては、特許文献1で開示されるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の燃焼装置は、製造時或いはメンテナンス時などにおいて筐体に対して仕切壁を正確な位置に作業性良く固定できる構成となっていることが望ましい。しかし、特許文献1に開示されるような従来の燃焼装置は、仕切壁を取り付ける際に仮固定する手段がなく、固定作業(例えばねじ止めなど)の際に位置ずれが生じやすく、作業効率が悪いという問題点がある。
【0005】
そこで、上述した課題の少なくとも一つを解決するために、燃焼装置を構成する筐体内に仕切部を正確に且つ効率よく取り付けやすい構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の給湯器用の燃焼装置は、
複数のバーナを備えたバーナ群と、
前記バーナ群を収容する筐体と、
前記筐体内を仕切る仕切部と、
を備え、
前記バーナ群は、複数の第1バーナを具備する第1バーナ群と、複数の第2バーナを具備する第2バーナ群と、を有し、前記第1バーナ群が前記筐体内において前記第2バーナ群よりも左右方向一方側に配置され、
前記筐体は、前記バーナ群の後方側に配置される背面板と、前記バーナ群の左右両側に配置される一対の側面板と、前記バーナ群の前側に配置される蓋部と、を有し、
前記背面板における前記筐体内部側の前面部には、前方側に突出する構成をなすとともに左右方向に沿って延びる差し込み部が設けられ、
前記仕切部は、前記第1バーナ群側に面する第1板面部と、前記第2バーナ群側に面する第2板面部と、前記背面板の前面部と対向する後端部と、前記蓋部に対向する前端部と、を備えた板状の構成をなし、
前記仕切部の後端部は、前方側に凹んだスリットが一部に形成されており、
前記仕切部は、前記差し込み部が前記スリットに差し込まれた構成で前記背面板に固定されている。
【0007】
本開示の一態様の給湯器は、
上記給湯器用の燃焼装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の構成によれば、燃焼装置を構成する筐体内に仕切部を正確に且つ効率よく取り付けやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る給湯器の内部構造を概略的に例示した正面図である。
【
図2】
図2は、給湯器の構成を概念的に例示した説明図である。
【
図3】
図3は、
図1のA-A線(A-A切断位置)における部分拡大断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のB-B線(B-B切断位置)における部分拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る燃焼装置について前側の蓋部を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の状態からフレーム部(カバー部)を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6の状態からバーナ群を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の状態から仕切部を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の状態から仕切部を分解した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る燃焼装置に用いられる仕切部を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を列記して例示する。
【0011】
本開示の燃焼装置は、燃焼装置を構成する筐体の内部に仕切部を取り付ける際に、背面板の前面部に設けられた差し込み部を仕切部の後端部に形成されたスリット内に差し込むように仮固定しうる。このような構成であれば、筐体内に仕切部を取り付ける作業の際に、作業者が仕切部を正確な位置付近に位置合わせして保持し続ける作業をより簡単に行いやすくなる。そして、このように安定的に仮固定した状態で、背面板に仕切部を固定するように固定作業を行うことができるため、仕切部を筐体内の正確な位置に取り付けやすくなる。
【0012】
本開示の燃焼装置において、仕切部は、一方の板面が第1バーナ群側に向くように配置され、他方の板面が第2バーナ群側に向くように配置される板状の仕切壁と、仕切壁から折れ曲がるとともに背面板の前面部に対向して配置される板状の折れ曲がり片と、を有していてもよい。そして、燃焼装置は、折れ曲がり片と背面板とが重なり合った重なり部に対して前側からネジ部材が挿入される構成で折れ曲がり片と背面板とが固定されていてもよい。
【0013】
この燃焼装置は、板状の折れ曲がり片と背面板とを重ね合わせるように仮固定することができるため、仮固定の安定性を一層高めることができる。また、仮固定で重ね合わせられた重なり部に対して前側からねじ部材を挿入するように固定(本固定)することができるため、本固定の際の作業性が一層良好となる。
【0014】
本開示の燃焼装置は、折れ曲がり片において左右方向に延びた構成でスリットが形成されていてもよい。折れ曲がり片は、スリットの上側に配置される第1折れ曲がり片と、スリットの下側に配置される第2折れ曲がり片と、を具備していてもよい。
【0015】
この燃焼装置は、左右方向に延びて形成されたスリット内に差し込み部を差し込むように仮固定することができるため、仮固定の際のぐらつきを低減することができる。よって、この燃焼装置は、仮固定の際の安定性を一層高めることができる。
【0016】
本開示の燃焼装置において、仕切部は、第1板部と、第2板部と、を具備するとともに、第1板部と第2板部とが一体的に結合した構成をなしていてもよい。第1板部の後端部には、スリットの一つをなす第1スリットが形成されていてもよい。第2板部の後端部には、スリットの一つをなす第2スリットが形成されていてもよい。第1スリットと第2スリットとが左右方向の間隔をあけて設けられていてもよい。
【0017】
この燃焼装置は、仕切部において互いに離れて位置に形成された複数のスリットに対して差し込み部を差し込むように仮固定することができるため、一位置のみで差し込む構成と比較して仮固定時のぐらつき等が一層抑えられる。よって、この燃焼装置は、仮固定の際の安定性をより一層高めることができる。
【0018】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、図面を参照して説明する。
1.給湯器の概要
図1~
図4に示されるように、給湯器1は、一次熱交換装置100、二次熱交換装置200、燃焼装置300、及び排気フード400を備える。
【0019】
図2、
図4のように、一次熱交換装置100は、給湯用一次熱交換器110、及び風呂用一次熱交換器120、の2つの熱交換器を備える。
【0020】
図4のように、二次熱交換装置200は一次熱交換装置100の上方に配置されている。二次熱交換装置200は、給湯用一次熱交換器110の上流側に連なる給湯用二次熱交換器210と、風呂用一次熱交換器120の上流側に連なる風呂用二次熱交換器220と、の2つの熱交換器を備えている。
【0021】
図4のように、燃焼装置300は一次熱交換装置100の下方に接続されている。
図5のように、燃焼装置300は、バーナ群308と、バーナ群308などを収容する筐体330とを備えている。バーナ群308は、給湯用一次熱交換器110及び給湯用二次熱交換器210に送る燃焼排気を発生させる給湯用バーナ群310と、風呂用一次熱交換器120及び風呂用二次熱交換器220に送る燃焼排気を発生させる風呂用バーナ群320と、の2つのバーナ群を備えている。
【0022】
図3のように、排気フード400は、下端部が一次熱交換装置100に接続され、上端部が二次熱交換装置200に接続されている。排気フード400は、下端部が下方に向かって開口して一次熱交換装置100内の空間に連通している。また、排気フード400は、上端部が前方に向かって開口して二次熱交換装置200内の空間に連通している。
【0023】
図5、
図6で示される燃焼装置300において、給湯用バーナ群310は、第1バーナ群の一例に相当する。
図6において、給湯用バーナ群310を構成する複数のバーナ310Aは、第1バーナの一例に相当する。風呂用バーナ群320は、第2バーナ群の一例に相当する。風呂用バーナ群320を構成する複数のバーナ320Aは、第2バーナの一例に相当する。
【0024】
給湯器1は、燃焼装置300の各バーナ群310,320で発生させた燃焼排気を燃焼装置300の上方の一次熱交換装置100に流通させる。更に、給湯器1は、燃焼装置300の燃焼排気が一次熱交換装置100から排気フード400を経て二次熱交換装置200に導かれる。
【0025】
一次熱交換装置100は、給湯用一次熱交換器110及び風呂用一次熱交換器120内の通水と燃焼排気とを熱交換させる。一次熱交換装置100は、燃焼排気の顕熱を回収する。一次熱交換装置100を通過した燃焼排気は、排気フード400を経て二次熱交換装置200に後方から進入する。
【0026】
二次熱交換装置200は、給湯用二次熱交換器210及び風呂用二次熱交換器220の通水と燃焼排気とを熱交換させる。二次熱交換装置200は、燃焼排気の潜熱を回収する。
【0027】
図2に示されるように、給湯器1は、回路構成的には、給湯回路10及び風呂回路20の2つの回路を備えて構成されている。
【0028】
給湯回路10は、水道等からの水を加熱して湯として流出させる回路である。給湯回路10は、水道等の給水源に接続された入水口11から入水管12に水を流入し、給湯用二次熱交換器210(具体的には、給湯用二次熱交換器210の伝熱管211)、給湯用一次熱交換器110(具体的には、給湯用一次熱交換器110の伝熱管111)の順に通水させつつ給湯用バーナ群310の燃焼排気と熱交換して水を加熱し、出湯管13を流通させて出湯口14から湯を流出する。なお、管路15は、給湯用二次熱交換器210と給湯用二次熱交換器210との間の配管である。
【0029】
風呂回路20は、浴槽B内の湯を循環加熱する回路である。風呂回路20は、浴槽B内の開口に連通する湯入口21から循環ポンプPによって浴槽B内の湯を戻り管22に吸い込み、風呂用二次熱交換器220(具体的には、風呂用二次熱交換器220の伝熱管221)、風呂用一次熱交換器120(具体的には、風呂用一次熱交換器120の伝熱管121)の順に通水させつつ風呂用バーナ群320の燃焼排気と熱交換して湯を再加熱し、より高温となった湯を、往き管23を経由して湯出口24から浴槽Bに吐出する。なお、管路40は、風呂用二次熱交換器220と風呂用一次熱交換器120との間の配管である。
【0030】
図1、
図2に示されるように、給湯器1はドレンホース31及び中和器32を備える。ドレンホース31は、上流側が二次熱交換装置200に設けられたドレン排出口に接続されており、下流側が中和器32に接続されている。
【0031】
図1に示されるように、給湯器1は、制御装置としてのコントローラ33を備える。コントローラ33は、例えば、公知のマイクロコンピュータを有して構成され、給湯器1に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成されており、給湯器1に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る構成となっている。例えば、給湯器1は、通水センサ(
図1では図示省略)によって入水管12内の通水を検知した場合に、給湯用バーナ群310を動作させて湯を生成し得る。別の例として、給湯器1は、通水センサ(
図1では図示省略)によって戻り管22内の通水を検知した場合に、風呂用バーナ群320を動作させて風呂の追い炊き等を行い得る。
【0032】
一次熱交換装置100は顕熱回収型熱交換装置である。一次熱交換装置100は、
図4等で示されるように、缶体130と、給湯用一次熱交換器110と、風呂用一次熱交換器120とを有して構成されている。これら缶体130、給湯用一次熱交換器110、風呂用一次熱交換器120は、例えば、熱伝導性に優れた銅製が採用され得る。
【0033】
缶体130は、左右方向に長い平面視略矩形状をなすとともに、上下に貫通した筒状に形成されている。缶体130は、仕切部131によって内部が左右に仕切られている。給湯用一次熱交換器110及び風呂用一次熱交換器120は、この仕切部131を介して、缶体130内に左右方向に横並びに配列されている。換言すると、給湯用一次熱交換器110は、缶体130内の仕切部131により仕切られた右側の空間に収納されており、風呂用一次熱交換器120は、缶体130内の仕切部131により仕切られた左側の空間に収納されている。
【0034】
二次熱交換装置200は潜熱回収型熱交換装置である。
図4等で示されるように、二次熱交換装置200は一次熱交換装置100の上方に配置されている。二次熱交換装置200と一次熱交換装置100とは、排気フード400によって連結されている。二次熱交換装置200は、筐体230と、給湯用二次熱交換器210と、風呂用二次熱交換器220とを有して構成されている。給湯用二次熱交換器210は筐体230内の仕切部231により仕切られた右側の空間に収納されており、風呂用二次熱交換器220は筐体230内の仕切部231により仕切られた左側の空間に収納されている。
【0035】
図3のように、排気フード400は、一次熱交換装置100と二次熱交換装置200の間に配置されている。排気フード400は、一次熱交換装置100を通過した燃焼排気を二次熱交換装置200に導入するためのフードであり、気体の流路をなす。排気フード400は、一次熱交換装置100の缶体130の上端開口と、二次熱交換装置200の筐体230の後壁の流入口232とを連通して燃焼排気の通路を形成している。排気フード400は、仕切部401によって内部が左右に仕切られている。仕切部401は、一次熱交換装置100の仕切部131の上端と、二次熱交換装置200の仕切部231の後端とを接続する形態で、給湯回路10及び風呂回路20のそれぞれに対応した空間を形成している。
【0036】
2.燃焼装置の詳細
図2、
図5で示される燃焼装置300は、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させるものである。
図5のように、燃焼装置300は、筐体330、給湯用バーナ群310(第1バーナ群)、風呂用バーナ群320(第2バーナ群)、仕切部350、を備える。
【0037】
筐体330は一次熱交換装置100の缶体130の下方に設けられている。給湯用バーナ群310(第1バーナ群)は、筐体330内において風呂用バーナ群320(第2バーナ群)よりも左右方向一方側(燃焼装置300を正面視したときの右側)に配置されている。
【0038】
図5のように、筐体330は、左右方向に長い平面視略矩形状をなすとともに上端部が開口して設けられている。筐体330は缶体130と同様の角筒状をなしている。筐体330は、仕切部350によって内部が左右に仕切られている。筐体330は、バーナ群308の後方側に配置される背面板344と、バーナ群308の左右両側に配置される一対の側面板341,342と、バーナ群308の前側に配置される蓋部346と、を有する。更に、一対の側面板341,342は、背面板344の左右両端から前方に延びており、蓋部346は、一対の側面板341,342の前端に固定されている。このように背面板344、一対の側面板341、342、蓋部346が枠状に構成されてバーナ群308の四方を囲んでいる。なお、
図5では、蓋部346を二点鎖線にて概念的に示している。そして、背面板344、一対の側面板341、342、蓋部346の下端部側には底板347が固定されており、筐体330は、全体として箱状の形態をなしている。筐体330の上端部は、一次熱交換装置100の缶体130の下端部に対しカシメによって接続固定されており、筐体330の内部空間と缶体130の内部空間とが連通している。
図5のように、筐体330内の前端寄りの位置には、バーナ群308を前側から覆うとともに仕切部350の前端部に固定されるフレーム部349(カバー部)が固定されている。
【0039】
給湯用バーナ群310及び風呂用バーナ群320は、仕切部350を介して、筐体330内に左右方向に横並びに配列されている。具体的には、筐体330内が仕切部350によって仕切られることにより筐体330内において左右方向一方側の空間(仕切部350よりも左右方向一方側の空間)と左右方向他方側の空間(仕切部350よりも左右方向他方側の空間)とが構成されている。そして、筐体330内の左右方向一方側の空間に給湯用バーナ群310が配置され、筐体330内の左右方向他方側の空間に風呂用バーナ群320が配置されている。より詳しくは、給湯用バーナ群310は、筐体330内の仕切部350により仕切られた右側の空間に収納されており、風呂用バーナ群320は、筐体330内の仕切部350により仕切られた左側の空間に収納されている。給湯用バーナ群310を構成する複数のバーナ310Aは、筐体330内の左右方向一方側の空間において左右方向に並んで配置されている。風呂用バーナ群320を構成する複数のバーナ320Aは、筐体330内の左右方向他方側の空間において左右方向に並んで配置されている。このような構成により、給湯用バーナ群310は給湯用一次熱交換器110の下方に配置されて給湯回路10に燃焼排気を供給する。風呂用バーナ群320は風呂用一次熱交換器120の下方に配置されて風呂回路20に燃焼排気を供給する。
【0040】
図1及び
図2のように、給湯用バーナ群310の上方の空間には点火プラグ311及びフレームロッド312が配置されている。同様に、風呂用バーナ群320の上方には、点火プラグ321及びフレームロッド322が配置されている。これら点火プラグ311,321、及びフレームロッド312,322は、筐体330の前面から筐体330内に差し込まれている。
【0041】
図5~
図7のように、仕切部350は、筐体330内を仕切る板状の部位である。
図7~
図10のように、仕切部350は、第1板部360と第2板部370と第3板部380とが左右方向に重ねられた構成をなしており、
図11のように、全体として板状の形態をなし、左右方向を厚さ方向とする構成で筐体330内に配置されている。第1板部360、第2板部370、第3板部380はいずれも、金属板からなり、部分的に凹凸や折り曲げなどの加工がなされている。仕切部350は、給湯用バーナ群310(第1バーナ群)側に面する第1板面部351と、風呂用バーナ群320(第2バーナ群)側に面する第2板面部352と、背面板344の前面部と対向する後端部353と、蓋部346に対向する前端部355と、を備えた板状の構成をなす。
【0042】
図6、
図11、
図12のように、第1板面部351は、第1板部360において給湯用バーナ群310(第1バーナ群)側の面を構成する部分である。第2板面部352は、第2板部370において風呂用バーナ群320(第2バーナ群)側の面を構成する部分である。後端部353は、板状に構成された仕切部350の後端を構成する部分であり、背面板344の前面部と対向する部分である。具体的には、第1板部360、第2板部370、第3板部380の後端部によって後端部353が構成されている。前端部355は、板状に構成された仕切部350の前端を構成する部分であり、具体的には、第1板部360、第2板部370、第3板部380の前端部によって前端部355が構成され、蓋部346に対向するように配置される。
【0043】
第1板部360は、板状の第1壁部362と、第1壁部362から折れ曲がる折れ曲がり片364とを備える。第2板部370は、板状の第2壁部372と、第2壁部372から折れ曲がる折れ曲がり片374とを備える。第3板部380は、第1壁部362と第2壁部372との間に介在する第3壁部382を備える。第1壁部362、第2壁部372、及び第3壁部382は、仕切壁の一例に相当し、一方の板面が第1バーナ群側に向くように配置され、他方の板面が第2バーナ群側に向くように配置される板状の形態をなす。
【0044】
図14、
図16~
図18のように、折れ曲がり片364及び折れ曲がり片374は、仕切壁から折れ曲がるとともに背面板344の前面部に対向して配置される板状の構成(板片構成)をなす。燃焼装置300では、折れ曲がり片364,374と背面板344とが重なり合った重なり部356に対して前側からネジ部材358が挿入される構成で折れ曲がり片364,374と背面板344とが固定されている。
【0045】
背面板344における筐体330内部側の前面部には、前方側に突出する構成をなすとともに左右方向に沿って延びる差し込み部348が設けられている。差し込み部348は、前方側に突出する板状形態(板片形態)をなし、上下方向を厚さ方向とし、左右方向に沿って直線状に延びる形態で設けられている。
【0046】
仕切部350の後端部353は、左右方向に沿って延び且つ前方側に凹んだスリット354が一部に形成されている。第1板部360の後端部には、スリット354の一つをなす第1スリット366が形成されている。第2板部370の後端部には、スリット354の一つをなす第2スリット376が形成されている。第3板部380の後端部には、スリット354の一つをなす第3スリット386が形成されている。
【0047】
具体的には、折れ曲がり片364において左右方向に延びた構成で第1スリット366が形成されている。また、折れ曲がり片374において左右方向に延びた構成で第2スリット376が形成されている。折れ曲がり片364は、スリット354(具体的には第1スリット366)の上側に配置される第1折れ曲がり片364Aと、スリット354(具体的には第1スリット366)の下側に配置される第2折れ曲がり片364Bと、を具備する。また、折れ曲がり片374は、スリット354(具体的には第2スリット376)の上側に配置される第1折れ曲がり片374Aと、スリット354(具体的には第2スリット376)の下側に配置される第2折れ曲がり片374Bと、を具備する。更に、第3板部380の後端部には、スリット354の一つをなす第3スリット386が形成されている。
【0048】
このような構成において、
図16~
図18のように、仕切部350は、差し込み部348がスリット354に差し込まれた構成で背面板344に固定されている。具体的には、差し込み部348が、第1スリット366、第2スリット376、第3スリット386のいずれにも入り込んだ構成で位置決めされ、固定されている。
【0049】
3.作用効果の例
次に、上述した給湯器1及び燃焼装置300の作用効果について例示する。
燃焼装置300は、複数のバーナを備えたバーナ群308と、バーナ群308を収容する筐体330と、筐体330内を仕切る仕切部350と、を備える。バーナ群308は、複数の第1バーナを具備する第1バーナ群と、複数の第2バーナを具備する第2バーナ群と、を有する。そして、第1バーナ群が筐体330内において第2バーナ群よりも左右方向一方側に配置されている。筐体330は、バーナ群308の後方側に配置される背面板344と、バーナ群308の左右両側に配置される一対の側面板341,342と、バーナ群308の前側に配置される蓋部346と、を有する。そして、背面板344における筐体内部側の前面部には、前方側に突出する構成をなすとともに左右方向に沿って延びる差し込み部348が設けられている。仕切部350は、第1バーナ群側に面する第1板面部351と、第2バーナ群側に面する第2板面部352と、背面板344の前面部と対向する後端部353と、蓋部346に対向する前端部355と、を備えた板状の構成をなす。仕切部350の後端部は、前方側に凹んだスリット354が一部に形成されており、仕切部350は、差し込み部348がスリット354に差し込まれた構成で背面板344に固定されている。
【0050】
このように構成される燃焼装置300は、燃焼装置300を構成する筐体330の内部に仕切部350を取り付ける際に、背面板344の前面部に設けられた差し込み部348を仕切部350の後端部353に形成されたスリット354内に差し込むように仮固定しうる。このような構成であれば、筐体330内に仕切部350を取り付ける作業(メンテナンス時や製造時等)の際に、作業者が仕切部350を正確な位置付近に位置合わせして保持し続ける作業をより簡単に行いやすくなる。そして、このように安定的に仮固定した状態で、背面板344に仕切部350を固定するように固定作業を行うことができるため、仕切部350を筐体330内の正確な位置に取り付けやすくなる。
【0051】
燃焼装置300において、仕切部350は、一方の板面が第1バーナ群側に向くように配置され、他方の板面が第2バーナ群側に向くように配置される板状の第1壁部362(仕切壁)及び第2壁部372(仕切壁)と、仕切壁から折れ曲がるとともに背面板344の前面部に対向して配置される板状の折れ曲がり片364,374と、を有する。そして、燃焼装置300は、折れ曲がり片364と背面板344とが重なり合った重なり部356に対して前側からネジ部材358が挿入される構成で折れ曲がり片364と背面板344とが固定されている。この燃焼装置300は、板状の折れ曲がり片364と背面板344とを重ね合わせるように仮固定することができるため、仮固定の安定性を一層高めることができる。また、仮固定で重ね合わせられた重なり部356に対して前側からねじ部材358を挿入するように固定(本固定)することができるため、本固定の際の作業性が一層良好となる。
【0052】
燃焼装置300は、折れ曲がり片364,374において左右方向に延びた構成でスリット(第1スリット366、第2スリット376)が形成されている。折れ曲がり片364は、スリット354の上側(第1スリット366の上側)に配置される第1折れ曲がり片364Aと、スリット354の下側(第1スリット366の下側)に配置される第2折れ曲がり片364Bと、を具備する。折れ曲がり片374は、スリット354の上側(第2スリット376の上側)に配置される第1折れ曲がり片367Aと、スリット354の下側(第2スリット376の下側)に配置される第2折れ曲がり片374Bと、を具備する。この燃焼装置300は、左右方向に延びて形成されたスリット(具体的には、第1スリット366、第2スリット376)内に差し込み部348を差し込むように仮固定することができるため、仮固定の際のぐらつきを低減することができる。よって、この燃焼装置300は、仮固定の際の安定性を一層高めることができる。
【0053】
燃焼装置300において、仕切部350は第1板部360と第2板部370とを具備し、第1板部360と第2板部370とが一体的に結合した構成をなす。第1板部360の後端部には、スリット354の一つをなす第1スリット366が形成され、第2板部370の後端部には、スリット354の一つをなす第2スリット376が形成されている。この燃焼装置300は、仕切部350において左右方向に互いに離れて形成された複数のスリットに対して左右方向に延びる差し込み部348を差し込むように仮固定することができるため、一位置のみで差し込む構成と比較して仮固定時のぐらつき等が一層抑えられる。よって、この燃焼装置300は、仮固定の際の安定性をより一層高めることができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、3枚の仕切板を備えた構成で仕切部350が構成されていたが、仕切板は2枚以下であってもよく、4枚以上であってもよい。
【0056】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1…給湯器
300…燃焼装置
308…バーナ群
310…給湯用バーナ群(第1バーナ群)
310A…バーナ(第1バーナ)
320…風呂用バーナ群(第2バーナ群)
320A…バーナ(第2バーナ)
330…筐体
341,342…側面板
344…背面板
346…蓋部
348…差し込み部
350…仕切部
351…第1板面部
352…第2板面部
353…後端部
354…スリット
355…前端部
356…重なり部
358…ネジ部材
360…第1板部
362…第1壁部(仕切壁)
364…折れ曲がり片
364A…第1折れ曲がり片
364B…第2折れ曲がり片
366…第1スリット
370…第2板部
372…第2壁部(仕切壁)
374…折れ曲がり片
374A…第1折れ曲がり片
374B…第2折れ曲がり片
376…第2スリット
382…第3壁部(仕切壁)