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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】断裁機
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/06 20060101AFI20230808BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20230808BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20230808BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20230808BHJP
   B42C 19/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B26D1/06 Z
B26D7/02 D
B26D7/01 Z
B26D7/06 E
B42C19/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019181271
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021053779
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 理
(72)【発明者】
【氏名】福島 和行
(72)【発明者】
【氏名】綱脇 聡
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01745941(EP,A2)
【文献】国際公開第2013/179380(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0210504(US,A1)
【文献】特開2002-127637(JP,A)
【文献】特開2011-045989(JP,A)
【文献】特許第6100249(JP,B2)
【文献】欧州特許出願公開第1745941(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/06
B26D 7/02
B26D 7/01
B26D 7/06
B42C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙が本身に取り付けられた製本物を断裁するための断裁機において、
前記表紙は、前記製本物の小口辺端部側にフラップ部を有し、
前記断裁機は、断裁ユニットを備え、
前記断裁ユニットは、
前記製本物を断裁する断裁刃と、
前記断裁刃の刃先を受ける刃受け部と、
前記製本物を挟んで位置決めするベース部及び押さえ部と、
前記製本物から間隔をあけた非固定位置と、前記製本物を前記ベース部に押し付ける固定位置との間において前記押さえ部を往復運動させる押さえ部駆動機構と、
前記製本物を断裁するための断裁位置と、前記製本物を断裁しない待機位置との間で、前記製本物に対する前記断裁ユニットの位置を相対的に移動させる移動機構と、
前記製本物に対して近づき又は遠ざかる方向に移動する一対のガイド部と、
を備え、
一対の前記ガイド部は、
前記押さえ部に連結される上ガイド部と、
前記ベース部に連結されるとともに前記本身に接触する下ガイド部と、を有し、
前記押さえ部駆動機構は、前記待機位置に停止した状態で、前記上ガイド部および前記押さえ部を、前記非固定位置から前記非固定位置と前記固定位置との間に配置されるめくり位置に移動させ、前記めくり位置に配置された前記上ガイド部が前記本身に接触し、
前記移動機構は、前記めくり位置に前記上ガイド部が配置された前記断裁ユニットの前記製本物に対する位置を前記待機位置から前記断裁位置に相対的に移動させ、
前記断裁ユニットの前記製本物に対する位置が前記待機位置から前記断裁位置に相対的に移動する際に、前記上ガイド部および前記下ガイド部が前記本身と前記表紙との間に挿入されて、前記フラップ部と共に前記表紙がめくり上げられることを特徴とする断裁機。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記本身の表面及び裏面に対して傾斜し、前記断裁刃に向けて広がるように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の断裁機。
【請求項3】
前記断裁機は、前記ガイド部と前記押さえ部との間に設けられたスプリング部を備え、
前記ガイド部は、前記スプリング部を介して前記押さえ部に連結され、前記スプリング部によって前記押さえ部に対して移動可能に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断裁機。
【請求項4】
前記断裁機は、
前記製本物を載せて位置決めするテーブルと、
前記製本物が天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に回転するように、前記テーブルを回転する回転テーブルユニットと、を備え、
前記移動機構は、前記テーブルと前記断裁刃とを相対的に近づき又は遠ざかる方向に移動
前記回転テーブルユニットが前記小口断裁位置に回転したとき、
前記製本物が前記ベース部及び前記押さえ部から離れるように移動し、
前記ガイド部の一端部が前記表紙から突出した前記本身の突出部の表面及び裏面に接触し、
前記製本物が前記ガイド部に向けて移動し、
前記ガイド部が前記本身と前記表紙との間に挿入されて、前記フラップ部と共に前記表紙がめくり上げられることを特徴とする請求項に記載の断裁機。
【請求項5】
前記断裁機は、前記製本物の小口辺縁部を断裁する小口断裁部を備え、
前記小口断裁部は、前記ガイド部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の断裁機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本物を断裁するための断裁機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の断裁機として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この断裁機は、上下方向に非断裁位置と断裁位置との間を往復運動する単一の断裁刃と、製本物を載せて位置決めするためのテーブルと、を備える。この断裁機では、作業者が、製本物をテーブルに載せて位置決めして、断裁刃を上方の非断裁位置から下方の断裁位置へ移動することで製本物の端部を断裁する。そして、作業者が、製本物を天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に回転して、それぞれの位置で断裁刃を往復運動することで、製本物の天辺端部、地辺端部および小口辺端部を断裁する。これにより製本物の端部が綺麗に揃って、製本物の体裁が整えられる。
【0003】
別の従来の断裁機として、例えば特許文献2に記載されたものがある。この断裁機は、三方断裁機と呼ばれており、上下方向に非断裁位置と断裁位置との間を往復運動する単一の断裁刃と、製本物を載せて位置決めするためのテーブルと、このテーブルを回転するための回転機構と、を備える。この断裁機は、製本物を供給機構によってテーブルに供給し、テーブルに位置決めされた製本物を回転機構によって天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に回転して、それぞれの位置で断裁刃が往復運動することで、製本物の天辺端部、地辺端部および小口端部を断裁する。
【0004】
ところで、図1に示す通り、製本物1は、本身51と、本身51に取り付けられた表紙50とを備える。そして、表紙50が、製本物1の小口辺1c側にフラップ部50aを有する場合がある。例えば、製本物の記載内容の概要又は著者の経歴等が、本身51側のフラップ部50aに記載される。この場合、上記の従来の断裁機で製本物1の小口辺端部1cを断裁すると、フラップ部50aが断裁されるという問題がある。
【0005】
また、別の従来の断裁機として、例えば特許文献3に記載されたものがある。この断裁機は、小口断裁機と呼ばれており、表紙以外の本身の小口辺端部を断裁でき、フラップ部を断裁しない。断裁機は、製本物を断裁する断裁部と、表紙を開く表紙開き部とを備える。製本物が表紙開き部を通って断裁部に搬送されて、それによって、表紙が開かれて、表紙以外の本身の小口辺端部が断裁される。しかし、上記の従来の断裁機では、表紙開き部が複雑な複数の部品で構成されており、生産性及びコスト性に劣る問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-066347号公報
【文献】米国特許第7493840号明細書
【文献】特開2005-219168号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、表紙以外の本身の小口辺端部を断裁できるとともに、生産性及びコスト性に優れる断裁機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る断裁機は、
表紙が本身に取り付けられた製本物を断裁するための断裁機において、
表紙は、製本物の小口辺端部側にフラップ部を有し、
断裁機は、
製本物を断裁する断裁刃と、
断裁刃の刃先を受ける刃受け部と、
製本物を挟んで位置決めするベース部及び押さえ部と、
製本物に対して近づき又は遠ざかる方向に移動する一対のガイド部と、を備え、
製本物の小口辺端部が断裁刃で断裁されるとき、ガイド部が本身と表紙との間に挿入されて、フラップ部と共に表紙がめくり上げられる。
【0009】
好ましくは、
各ガイド部は、ベース部及び押さえ部のそれぞれに取り付けられる。
【0010】
好ましくは、
ガイド部は、本身の表面及び裏面に対して傾斜し、断裁刃に向けて広がるように構成される。
【0011】
好ましくは、
製本物の小口辺端部が断裁刃で断裁されるとき、
ガイド部の一端部が、表紙から突出した本身の表面及び裏面に接触し、
製本物がガイド部に向けて移動し、
ガイド部が本身と表紙との間に挿入されて、フラップ部と共に表紙がめくり上げられる。
【0012】
好ましくは、
断裁機は、ガイド部と押さえ部との間に設けられたスプリング部を備え、
ガイド部は、スプリング部を介して押さえ部に連結され、スプリング部によって押さえ部に対して移動可能に構成される。
【0013】
好ましくは、
断裁機は、
製本物を載せて位置決めするテーブルと、
製本物が天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に回転するように、テーブルを回転する回転テーブルユニットと、
テーブルと断裁刃とを相対的に近づき又は遠ざかる方向に移動する移動機構と、を備え、
回転機構が小口断裁位置に回転したとき、
製本物がベース部及び押さえ部から離れるように移動し、
ガイド部の一端部が表紙から突出した本身の表面及び裏面に接触し、
製本物がガイド部に向けて移動し、
ガイド部が本身と表紙との間に挿入されて、フラップ部と共に表紙がめくり上げられる。
【0014】
好ましくは、
断裁機は、製本物の小口辺縁部を断裁する小口断裁部を備え、
小口断裁部は、ガイド部を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る断裁機は、表紙以外の本身の小口辺端部を断裁できるとともに、生産性及びコスト性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】表紙が本身に取り付けられた製本物を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図2】断裁機を示す斜視図であり、製本物が製本物供給ユニットの製本物積載テーブルから送り出される前の状態である。
図3】断裁機を示す斜視図であり、製本物が回転テーブルユニットのテーブル上において位置決めされる状態である。
図4】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す斜視図であり、製本物の天辺端部が断裁される状態である。
図5】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す斜視図であり、製本物の地辺端部が断裁される状態である。
図6】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す斜視図であり、フラップ部と共に表紙がめくり上げられて、製本物の小口辺端部が断裁される状態である。
図7】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す側面図であり、断裁刃が非断裁位置に配置された状態である。
図8】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す側面図であり、断裁刃が断裁位置に配置されて、製本物の天辺端部又は地辺端部が断裁される状態である。
図9】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す側面図であり、断裁ユニットが待機位置に配置された状態である。
図10】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す側面図であり、断裁ユニットが断裁位置に配置されて、フラップ部と共に表紙がめくり上げられた状態である。
図11】断裁ユニット及び回転テーブルユニットを示す側面図であり、断裁刃が断裁位置に配置されて、製本物の小口辺端部が断裁される状態である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明に係る断裁機の一実施形態を説明する。
【0018】
[製本物]
図1に基づいて、製本物について説明する。
【0019】
製本物1は、本身51と、本身51に取り付けられた表紙50とを備える。製本物1は、天辺縁部1a、地辺縁部1b、小口辺縁部1cおよび背1dを有する。表紙51は、製本物1の小口辺端部1c側にフラップ部50aを有する。例えば、製本物1の記載内容の概要又は著者の経歴等が、本身51側のフラップ部50aに記載される。本実施形態では、一対のフラップ部50aが表紙50に設けられるが、1つのフラップ部50aが表紙50に設けられてもよい。
【0020】
[断裁機]
図2及び図3に基づいて、断裁機の構成について説明する。
【0021】
断裁機は、製本物1を順次送出する製本物供給ユニット2と、製本物供給ユニット2から製本物1を所定の位置で受け取って位置決めし、それを保持して所定の角度ずつ回転させ、天断裁位置、小口断裁位置および地断裁位置の3つの位置に配置する回転テーブルユニット3と、回転テーブルユニット3に対して近づき又は遠ざかる方向に移動可能に配置される断裁ユニット4と、を備える。断裁ユニット4は、回転テーブルユニット3に近づき、製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1bおよび小口辺縁部1cをそれぞれ断裁するための断裁位置と、回転テーブルユニット3から離れた待機位置との間で移動するように構成されている。
【0022】
製本物供給ユニット2は、その上に製本物1のスタックが置かれる製本物積載テーブル24を備えている。回転テーブルユニット3および製本物積載テーブル24の間には搬送路25がのび、搬送路25の排出端は回転テーブルユニット3に隣接する一方、供給端の側部が製本物積載テーブル24に隣接している。
【0023】
製本物供給ユニット2は、また、製本物積載テーブル24から製本物1を、1冊ずつ、搬送路25上まで、製本物の搬送方向に対して直角方向に送り出す製本物送出機構を備えている。製本物送出機構は、製本物積載テーブル24の両側から搬送路25を横切って、搬送路25に直角にのびる一対のエンドレスベルト39と、エンドレスベルト39の両端が掛け渡されたローラー40a,40bを有している。一対のエンドレスベルト39には、実質上逆U字形状の支持バー44が取り付けられ、支持バー44には、その長さ方向に間隔をあけて吸引ヘッド43が下向きに取り付けられている。こうして、一列の吸引ヘッド43が、モータ41の駆動によって、搬送路25に直角な方向に沿って、製本物載置テーブル24および搬送路25の間において往復運動するようになっている。
【0024】
製本物供給ユニット2は、さらに、搬送路25上において、製本物送出機構から受け渡された製本物1を、搬送路25に沿って回転テーブルユニット3まで搬送する製本物搬送機構を備えている。製本物搬送機構は、搬送路25の上方において、搬送路25に沿ってのび、フレーム38に回転運動可能に支持されたエンドレスベルト45を有している。エンドレスベルト45は、フレーム38に取り付けられたモータ46によって回転駆動される。エンドレスベルト45には、チャック47が吊り下げ状態で固定され、チャック47は、モータ46の駆動によって、搬送路25上を、製本物積載テーブル24およびテーブル10の間において往復運動するようになっている。
【0025】
こうして、製本物積載テーブル24上に置かれた製本物1が、一冊ずつ、一列の吸引ヘッド43によって吸着された後、搬送路25上まで、製本物1の搬送方向に対して直角方向にその背1dを先頭にして送り出される。この位置において、一列の吸引ヘッド43による吸着が解除されて、製本物1はチャック47によって把持される。このとき、チャック47の面33が製本物1の地1bに当接する。そして、製本物1がチャック47に受け渡される。その後、チャック47は、搬送路25上を回転テーブルユニット3に向かって移動し、製本物1の天1aが第2の垂直板32に当接したとき、運動を停止する。それによって、製本物1は、テーブル10上における天地方向の位置決めがなされる(図3)。
【0026】
回転テーブルユニット3は、基台9と、製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1bおよび小口辺縁部1cを除いた部分の下面を支持する上面を有し、その上に製本物1が置かれる長方形のテーブル10と、テーブル10の上面に置かれた製本物1を位置決めする位置決め手段と、を備えている。
【0027】
この実施例では、位置決め手段は、テーブル10の一側縁に配置された、製本物1の背1dが当接する第1の垂直板30を備えている。第1の垂直板30は、テーブル10の下面に取り付けられたスライド駆動機構(不図示)に連結されている。また、位置決め手段は、製本物1の天1aが当接する第2の垂直板32を備えている。第2の垂直板32は、基台9に支持されたモータ34によって回転駆動される送りネジ35に取り付けられている。こうして、第1および第2の垂直板30,32はそれぞれテーブル10に対して近づき又は遠ざかる方向に運動可能になっていて、製本物供給ユニット2から送出される製本物1のサイズおよび受取位置に対応して、予め決定された位置に静止している(図2)。
【0028】
位置決め手段は、さらに、テーブル10を挟んで第1の垂直板30に対向して配置された、製本物1の小口1cに当接する第3の垂直板31を備えている。第3の垂直板31は、第2の垂直板32と同様、基台9にモータ36によって回転駆動される送りネジ37に取り付けられ、テーブル10に対して近づき又は遠ざかる方向に運動可能になっている。第3の垂直板31は、テーブル10上に製本物1が置かれたとき、製本物1に近づく向きに、製本物1の背1dが第1の垂直板30に当接し、かつ第3の垂直板31が小口1cに当接するまで移動する。これによって、テーブル10上に置かれた製本物1の背および小口方向の位置決めがなされる(図3)。
【0029】
製本物供給ユニット2のチャック47における製本物1の地1bに当接する面33が、また位置決め手段の一部として機能し、第2の垂直板32とともに製本物1の天地方向の位置決めを行う(図3)。
【0030】
テーブル10の下面には、垂直な回転軸12が突設され、この回転軸12は、基台9に取り付けられた軸受け13によって回転可能に支持されている。回転軸12には、モータ14が連結され、このモータ14の駆動によって、テーブル10が回転するようになっている。
【0031】
また、テーブル10の上方であって回転軸12に対向する位置には、プレス板15が昇降運動可能に配置され、このプレス板15は、製本物1から間隔をあけた待機位置と、製本物1をテーブル10に押しつけるプレス位置と、を移動するようになっている。プレス板15は、基台9に支持されたピストン-シリンダ装置16に、プレス位置においてテーブル10および製本物1とともに回転可能に取り付けられ、ピストン-シリンダ装置16の駆動によって待機位置およびプレス位置の間において往復運動する。
【0032】
プレス板15は、位置決め手段30,31,32,33による製本物1の位置決めがなされた後、プレス位置に移動し、製本物1をテーブル10上に固定する。プレス板15がプレス位置に配置された後、位置決め手段の第3の垂直板31、第2の垂直板32およびチャック47(面33)は、製本物1から離れ、製本物1の回転運動を妨げないようになっている。
【0033】
断裁ユニット4は、フレーム17を備えている。フレーム17にはベース部18が取り付けられている。ベース部18は、断裁ユニット4が断裁位置に配置されるとき、回転テーブルユニット3のテーブル10上に置かれた製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1b又は小口辺縁部1cを下側から支持する。
【0034】
ベース部18の上方における刃受け部19に対向する位置には、断裁刃20が昇降運動可能に配置される。断裁刃20は、刃受け部19から間隔をあけた非断裁位置と、刃先を刃受け部19に押しつける断裁位置をとるようになっている。フレーム17には断裁刃駆動機構21が取り付けられ、断裁刃20を、断裁位置と非断裁位置との間において往復運動させるようになっている。
【0035】
断裁ユニット4は、断裁刃20を受ける刃受け部19を備えている。刃受け部19は、ベース部18の上面に固定されている。刃受け部19は、例えば、ゴム部材からなる。
【0036】
ベース部18の上方に押さえ部22が昇降運動可能に配置され、製本物1から間隔をあけた非固定位置と、製本物1をベース部18に押しつける固定位置とに移動するようになっている。押さえ部22は、押さえ部駆動機構23によって、固定位置および非固定位置の間において往復運動する。断裁刃20が非断裁位置から断裁位置に運動するとき、押さえ部22が固定位置に配置され、断裁刃20が断裁位置から非断裁位置に運動するとき、押さえ部22が非固定位置に配置されるようになっている。
【0037】
回転テーブルユニット3および断裁ユニット4の間には、2本の送りネジ5が間隔をあけて水平に配置される。送りネジ5は、別のフレーム(メインフレーム)38に固定された支持部材(不図示)に回転可能に取り付けられ、断裁ユニット4のフレーム17が係合している。送りネジ5は、フレーム38に取り付けられたモータ6の駆動軸に連結され、モータ6によって送りネジ5が回転駆動される。そして、送りネジ5およびモータ6によって、移動機構56が構成される。この移動機構56によって、断裁ユニット4が、送りネジ5の軸方向に沿って、断裁位置と待機位置との間において運動する。
【0038】
また、回転テーブルユニット3、断裁ユニット4、移動機構56(モータ6)及びスライド機構等の動作を制御する制御ユニット(制御部)7が備えられる。制御ユニット7は、製本物1が天断裁位置、小口断裁位置および地断裁位置に配置される度に、断裁ユニット4が待機位置から断裁位置に移動して製本物1の天辺縁部1a、小口辺縁部1cおよび地辺縁部1bをそれぞれ断裁するように制御する。さらに、制御ユニット7には、タッチスクリーン70が接続されており、作業者はタッチスクリーン70を介して動作の設定ができるようになっている。
【0039】
[ガイド部]
図4及び図7に基づいて、ガイド部について説明する。
【0040】
断裁機は、押さえ部22に設けられた上ガイド部60と、ベース部18に設けられた下ガイド部61と、を備える。各ガイド部60,61は、本身51と表紙50との間に挿入されて、フラップ部50aと共に表紙50をめくり上げる。めくり上げ工程については後述する。
【0041】
図7の通り、各ガイド部60,61は、断面において、本身51の表面及び裏面に対して傾斜している。すなわち、各ガイド部60,61は、断裁刃20に向けて広がっている。各ガイド部60,61は、断裁刃20から離れた一端部60a,61aと、断裁刃20に近い他端部60b,61bと、を有する。一端部60a,61aは、本身51の表面及び裏面の近くに配置される一方、他端部60b,61bは、本身51の表面及び裏面から離れて配置される。
【0042】
図4の通り、断裁機は、押さえ部22に取り付けられた一対の連結部63を備える。断裁機は、連結部63に設けられた一対のスプリング部62を備える。スプリング部62は、上ガイド部60と押さえ部22との間に設けられる。
【0043】
上ガイド部60は、スプリング部62を介して押さえ部22に連結される。その結果、スプリング部62は、上ガイド部60を押さえ部22に対して移動可能にする。この点については後述する。
【0044】
[断裁工程及びめくり上げ工程]
図4図11に基づいて、製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1b及び小口辺端部1cを断裁する工程、及び、フラップ部50aと共に表紙50をめくり上げる工程について説明する。
【0045】
先ず、図4の通り、製本物1の天辺縁部1aが断裁刃20と平行に配置されるように、回転テーブルユニット3がテーブル10を回転して、製本物1を天断裁位置に配置する。その後、図7の通り、断裁ユニット4は、待機位置から断裁位置に移動する。その後、上ガイド部60と共に押さえ部22が、非固定位置から固定位置に移動して、表紙50の上から製本物1を挟んで固定する。その後、図8の通り、断裁刃20が、非断裁位置から断裁位置に移動して、製本物1の天辺端部1a(本身51及び表紙50)を断裁する。
【0046】
次に、図5の通り、製本物1の地辺縁部1bが断裁刃20と平行に配置されるように、回転テーブルユニット3がテーブル10を回転して、製本物1を地断裁位置に配置する。その後、上記と同様に、図7及び図8の通り、上ガイド部60と共に押さえ部22が、表紙50の上から製本物1を挟んで固定し、断裁刃20が、製本物1の地辺端部1b(本身51及び表紙50)を断裁する。
【0047】
次に、図6の通り、製本物1の小口辺縁部1cが断裁刃20と平行に配置されるように、回転テーブルユニット3がテーブル10を回転して、製本物1を小口断裁位置に配置する。その後、上記と異なり、図9の通り、断裁ユニット4は、待機位置に停止した状態で、上ガイド部60と共に押さえ部22が、非固定位置からめくり位置に移動する。
【0048】
めくり位置は、非固定位置と固定位置との間に配置される。めくり位置は、本身51の厚さTに基づいて決定される。下ガイド部61の一端部61aの位置は、ベース部18の当接面18aの位置と一致する。上ガイド部60と共に押さえ部22がめくり位置に配置されると、上ガイド部60の一端部60aの位置は、押さえ部22の当接面22aの位置より製本物1の近くに配置される。
【0049】
製本物1の小口辺端部1cでは、本身51は、表紙50から突出している。上ガイド部60と共に押さえ部22が、非固定位置に配置されるとき、下ガイド部61の一端部61aが、本身51の突出部51aに接触する。その後、上ガイド部60と共に押さえ部22が、めくり位置に配置されると、上ガイド部60の一端部60aが、本身51の突出部51aに接触する。
【0050】
めくり位置は、予め測定された本身51の厚さTの測定値に基づいて決定されてもよい。上ガイド部60に接続された感知センサー(不図示)が、上ガイド部60の一端部60aが本身51の突出部に接触したことを感知することで、めくり位置が決定されてもよい。そして、スプリング部62が、上ガイド部60のめくり位置の誤差を吸収できる。
【0051】
その後、図10の通り、断裁ユニット4は、待機位置から断裁位置に移動する。その結果、製本物1は、表紙50が各ガイド部60,61に向けて移動するように移動する。各ガイド部60,61は、本身51の表面及び裏面に対して傾斜しているので、各ガイド部60,61は、本身51と表紙50との間に挿入されて、フラップ部50aと共に表紙50をめくり上げる。
【0052】
その後、図11の通り、押さえ部22が、めくり位置から固定位置に移動して、押さえ部22が、製本物1(本身51のみ)を挟んで固定する。なお、押さえ部22が移動しても、上ガイド部60は、スプリング部62によって、本身51に接触したまま移動しない。その後、断裁刃20が、製本物1の小口辺端部1c(本身51のみ)を断裁する。その結果、表紙50以外の本身51のみ断裁して、フラップ部50aを断裁しない。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
【0054】
・断裁機は、三方断裁機ではなく、作業者自身が製本物1を回転して、製本物1を天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に配置してもよい。
・断裁機は、小口断裁機と呼ばれる断裁機であって、製本物1が断裁部に搬送されて、断裁部で表紙以外の本身の小口辺端部が断裁されてもよい。
・ガイド部は、断面において円弧状でもよい。
・移動機構56は、回転テーブルユニット3を断裁ユニット4に対して移動するように構成されてもよい。また、移動機構56は、回転テーブルユニット3及び断裁ユニット4の双方を移動するように構成されてもよい。
・ガイド部60,61は、ベース部18及び押さえ部22から分離して配置されて、追加の駆動機構によって、製本物1に対して近づき又は遠ざかる方向に移動するよう構成されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 製本物
50 表紙
51 本身
51a 突出部
50a フラップ部
20 断裁刃
19 刃受け部
18 ベース部
22 押さえ部
60,61 ガイド部
60a,61a ガイド部の一端部
60b,61b ガイド部の他端部
62 スプリング部
1a 製本物の天辺端部
1b 製本物の地辺端部
1c 製本物の小口辺端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11