IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社全晴の特許一覧

特許7327797鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット
<>
  • 特許-鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット 図1
  • 特許-鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット 図2
  • 特許-鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット 図3
  • 特許-鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット 図4
  • 特許-鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セット
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/00 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
B22D29/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019188330
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062392
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】514187763
【氏名又は名称】株式会社全晴
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】渡部 幸雄
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-192329(JP,A)
【文献】実開昭61-038559(JP,U)
【文献】特開2003-093023(JP,A)
【文献】登録実用新案第3089201(JP,U)
【文献】実開昭61-002587(JP,U)
【文献】特開2014-091069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0133791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 29/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造品の内部に付着した鋳砂を掻き出すために用いられる鋳砂掻き出し具であって、
棒状の本体部と、
前記本体部の先端部に設けられ、前記本体部の外径よりも径大な部分を含む掻き出し部と、
を具備し、
前記掻き出し部の先端部は、先端に向かうに従って細くなる先細り形状を有し、
さらに前記掻き出し部の基端部には、先端側を深さ方向とする凹状の鋳砂受け部が形成されてな
さらに、前記掻き出し部には螺旋状の溝が形成されてなる
ことを特徴とする鋳砂掻き出し具。
【請求項2】
前記本体部が可撓性を有している
請求項1に記載の鋳砂掻き出し具。
【請求項3】
前記本体部には、掻き出し部の先端からの距離を示す目盛りが基端部に向かって設けられている
請求項1又は請求項2に記載の鋳砂掻き出し具。
【請求項4】
前記鋳砂受け部の最外縁部が、基端側に向かうほど鋭利となる刃形状を有している
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鋳砂掻き出し具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鋳砂掻き出し具を複数備える鋳砂掻き出し具セットであって、
前記複数の鋳砂掻き出し具は、前記掻き出し部における、前記本体部よりも径大な部分の外径が互いに異なっている
ことを特徴とする鋳砂掻き出し具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造品の内部に付着した鋳砂を掻き出すために用いられる鋳砂掻き出し具及び鋳砂掻き出し具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋳造品から鋳砂を除去する方法として、例えば特許文献1,2に開示されているような振動を加えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-64082号公報
【文献】特開2012-139718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、比較的深い孔が形成された鋳造品の場合、孔の奥に固着して残留する鋳砂を除去することが極めて困難であった。
【0005】
そこで本発明は、鋳造品の内部に付着した鋳砂を好適に除去することのできる鋳砂掻き出し具を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、鋳造品の内部に付着した鋳砂を、孔径の大小に応じて好適に除去することのできる鋳砂掻き出し具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鋳造品の内部に付着した鋳砂を掻き出すために用いられる鋳砂掻き出し具であって、棒状の本体部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記本体部の外径よりも径大な部分を含む掻き出し部と、を具備し、前記掻き出し部の先端部は、先端に向かうに従って細くなる先細り形状を有し、さらに前記掻き出し部の基端部には、先端側を深さ方向とする凹状の鋳砂受け部が形成されてなることを特徴とする鋳砂掻き出し具である。
【0008】
かかる構成にあっては、前記掻き出し部を鋳造品の内部に挿入して先端で固着状の鋳砂を崩し、当該掻き出し部を鋳造品から引き出す際には前記鋳砂受け部によって小片状の鋳砂を溜めて外部へ排出することができる。
【0009】
また、前記本体部が可撓性を有している構成が提案される。
【0010】
かかる構成とすることにより、例えば鋳造品の入り組んだ細部に湾曲状の孔が形成されていたとしても、前記本体部が適度に撓んで内部の鋳砂を好適に崩して排出することができる。
【0011】
さらに、前記本体部には、掻き出し部の先端からの距離を示す目盛りが基端部に向かって設けられている構成が提案される。
【0012】
かかる構成とすることにより、例えば鋳造品に形成された孔の深さに応じて前記掻き出し部を挿入し、前記目盛りを視認することで深さを把握しつつ当該孔内の鋳砂を好適に排出することができる。
【0013】
またさらに、前記鋳砂受け部の最外縁部が、基端側に向かうほど鋭利となる刃形状を有している構成が提案される。
【0014】
かかる構成とすることにより、本体部を引き出すときにも、鋳造品の内周面に付着した鋳砂を前記鋳砂受け部の最外縁部で削り落としながらさらに崩していくことができる。
【0015】
さらに本発明は、前記鋳砂掻き出し具を複数備える鋳砂掻き出し具セットであって、前記複数の鋳砂掻き出し具は、前記掻き出し部における、前記本体部よりも径大な部分の外径が互いに異なっていることを特徴とする鋳砂掻き出し具セットである。
【0016】
かかる構成にあっては、鋳造品に形成された孔径の大小に応じてそれに適した外径の掻き出し部を有する鋳砂掻き出し具を選択することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の鋳砂掻き出し具は、鋳造品の内部に付着した鋳砂を好適に除去することができる効果がある。
【0018】
また本発明の鋳砂掻き出し具セットは、鋳造品の内部に付着した鋳砂を孔径の大小に応じて好適に除去することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例にかかる鋳砂掻き出し具を示し、(a)は斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)は縦断面図である。
図2】実施例にかかる鋳砂掻き出し具を使用して鋳造品に残留した鋳砂を掻き出す態様を示す説明図である。
図3】実施例にかかる鋳砂掻き出し具を使用して鋳造品に残留した鋳砂を掻き出す態様を示す説明図である。
図4】他の実施例にかかる鋳砂掻き出し具を示し、(a)は斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)は縦断面図である。
図5】さらに他の実施例にかかる鋳砂掻き出し具を示し、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の鋳砂掻き出し具、及び鋳砂掻き出し具セットを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0021】
図1に示すように、鋳砂掻き出し具1Aは、可撓性を有する金属製丸棒状の本体部10を備えている。また、本体部10の先端部には、本体部10の外径よりも径大な掻き出し部20が設けられている。具体的に掻き出し部20の外径はL1としている。また、本体部10には、掻き出し部20の先端からの距離を示す目盛りが所定間隔で設けられている。
【0022】
次に、掻き出し部20の詳細について説明する。
掻き出し部20は、横断面が円形状の尖頭部材からなり、先端部が、先端に向かうに従って細くなる先細り形状を有している。さらに掻き出し部20の基端部には、先端側を深さ方向とする凹状の鋳砂受け部21が形成されている。また、鋳砂受け部21の外周部に相当する最外縁部は、基端側に向かうに従い鋭利となる刃形状を有している。
【0023】
かかる鋳砂掻き出し具1Aは、図2(a)に示すように、例えば鋳造品Xに形成された孔Yに作業者や自動機械等によって挿入され、掻き出し部20の先端によって孔Yに固着して残留している鋳砂Zを突き崩すことができる。
【0024】
崩された鋳砂Zは、図2(b)に示すように、鋳砂掻き出し具1Aを引き出す際に鋳砂受け部21に受けられて外部へ排出される。かかる作業を繰り返し行うことによって、孔Y内の鋳砂Zを適正に外部へ排出することができる。このとき、鋳砂受け部21の最外縁部が刃形状を有しているため、孔Y内に固着した鋳砂Zを削り落として好適に掻き出すことができる。
【0025】
なお、作業時には、本体部10に設けられた目盛りを参照することによって孔Yの深さを把握することができる。これにより、掻き出し部20が所要位置に到達していなかったり、過剰に挿入してしまったりしてしまうようなことを防止することができる。
【0026】
また、本体部10が可撓性を有しているため、鋳造品Xが複雑で孔Y内部が湾曲していても、掻き出し部20を湾曲した先まで差し込むことができる。
【0027】
また、以下のような別例が提案される。
例えば鋳砂掻き出し具1Aにおける掻き出し部20の最大径L1が10mm,12mm,14mm,16mm,18mm,20mmのものをそれぞれ用意し、合わせて鋳砂掻き出し具セットとしてもよい。これにより、鋳造品Xの孔Yの径に応じて適した最大径L1のものを使って鋳砂の掻き出し作業を行うことができる。
【0028】
かかる構成にあっては、図3に示すように、孔Yの内径と略等しい最大径L1を有する鋳砂掻き出し具1Aを使用することで、孔Yの内周面にこびりついた鋳砂を効果的に掻き出すことができる。
【0029】
上記実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
また、例えば図4に示すように、四角棒状の本体部30の先端に、本体部30の一面側に向かって突出した掻き出し部40を有する鋳砂掻き出し具1Bとしてもよい。この場合もまた、掻き出し部40の基端部に、先端側を深さ方向とする凹状の鋳砂受け部41が形成される。
【0030】
また例えば図5に示すように、丸棒状の本体部50の先端に、本体部50の外径よりも径大な部分を含む掻き出し部60を有し、掻き出し部60に鋳砂受け部である螺旋状の溝61が形成された鋳砂掻き出し具1Cとしてもよい。鋳砂掻き出し具1Cにあっては、本体部50の軸線周りに回転させて鋳砂を効率良く掻き出すことができる。
【0031】
さらに例えば鋳砂掻き出し具1A,1B,1Cの基端を衝撃工具に取り付けて使用してもよく、掻き出し部20,40,60に多種多様な振動を付与して鋳砂を突き崩すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1A,1B,1C 鋳砂掻き出し具
10,30,50 本体部
20,40,60 掻き出し部
21,41 鋳砂受け部
61 溝(鋳砂受け部)
L1 最大径(掻き出し部の)
X 鋳造品
Y 孔
Z 鋳砂


図1
図2
図3
図4
図5