(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】はぜ締め用自走ロボット
(51)【国際特許分類】
B21D 39/02 20060101AFI20230808BHJP
B21D 19/08 20060101ALI20230808BHJP
E04D 3/362 20060101ALI20230808BHJP
E04D 15/04 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B21D39/02 F
B21D19/08 C
E04D3/362 C
E04D15/04 L
(21)【出願番号】P 2022039533
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】513192742
【氏名又は名称】建ロボテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞部 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 治久
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-047853(JP,A)
【文献】特開2011-236595(JP,A)
【文献】特開2018-105083(JP,A)
【文献】米国特許第04805537(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/02
B21D 19/08
E04D 3/362
E04D 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝板部と山板部とを交互に配列してなり一端側の前記山板部の頂面部分に下はぜ部を他端側の前記山板部の頂面部分に直立部分と該直立部分に連続する平坦部分と該平坦部分から垂下する巻締部分とからなる上はぜ部をそれぞれ有する折板屋根材を並列配置して相互に隣接する前記折板屋根材の前記下はぜ部と前記上はぜ部とを係合させて形成したはぜ締め部を跨いで一方の前記折板屋根材の前記溝板部と他方の前記折板屋根材の前記溝板部とを走行するキャスター部を備えた走行ユニット、前記折板屋根材の前記はぜ締め部の上方に配置して開閉自在に枢止している開閉基板部と該開閉基板部に対向して固定した支持基板部とを備えて前記走行ユニットの上部に固定されている本体ユニット、前記支持基板部に回動自在に配置して前記折板屋根材の前記直立部分に当接する支持ローラ部及び前記開閉基板部に回動自在に配置して前記巻締部分を押圧するはぜ締めローラ部並びに前記支持ローラ部及び前記はぜ締めローラ部を駆動するモータ部を少なくとも備えた駆動ユニット、前記本体ユニットに配置されて前記駆動ユニットの動作を制御する制御ユニット、前記本体ユニットに起倒自在に枢止している開閉ハンドル部及び前記開閉基板部に一体に結合して前記開閉ハンドル部に枢止しているリンク部並びにはぜ締め作業を開始させるスタートスイッチからなる操作ユニット
、並びに、前記上はぜ部の前記平坦部分に載置して終端部位を検知する終端センサ部を少なくとも有するセンサユニットを備え、前記はぜ締めローラ部により前記巻締部分を前記折板屋根材の長手方向に沿ってはぜ締めするはぜ締め用自走ロボットであって、
前記はぜ締めローラ部が、はぜ締め大ローラと予備曲げ中ローラと予備曲げ小ローラとから構成されてそれぞれの回転軸が走行方向の一直線上に位置して予備曲げ小ローラ、予備曲げ中ローラ、はぜ締め大ローラ、予備曲げ中ローラ、予備曲げ小ローラの順に配列し、
前記駆動ユニットが、前記支持基板部の前記予備曲げ小ローラに対向する位置にそれぞれ前記折板屋根材の前記直立部分に当接するブレーキシューを有するブレーキ部を備えていることを特徴とするはぜ締め用自走ロボット。
【請求項2】
前記支持ローラ部が、相互に同径の複数の支持ローラから構成されて前記はぜ締め大ローラ及び前記予備曲げ中ローラにそれぞれ対向しかつそれぞれの前記回転軸が走行方向の一直線上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のはぜ締め用自走ロボット。
【請求項3】
前記制御ユニットが、前記モータ部を停止制御している場合において前記開閉ハンドル部が開放操作されたときに前記ブレーキ部を解除制御し、前記開閉ハンドル部が閉鎖操作されたときに前記ブレーキ部を制動制御することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のはぜ締め用自走ロボット。
【請求項4】
前記制御ユニットが、前記開閉ハンドル部が閉鎖位置にある場合において前記スタートスイッチが操作されたときに前記ブレーキ部を解除制御するとともに前記モータ部を駆動制御し、前記モータ部を駆動制御している場合において前記終端センサ部が前記終端部位を検知したときに前記モータ部を停止制御するとともに前記ブレーキ部を制動制御することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のはぜ締め用自走ロボット。
【請求項5】
前記センサユニットが、進行方向の障害物を検知するバンパーセンサ部をさらに備え、
前記制御ユニットが、前記バンパーセンサ部が障害物を検知していない場合において前記スタートスイッチが操作されたときに前記ブレーキ部を解除状態に制御するとともに前記モータ部を駆動制御し、前記モータ部を駆動制御している場合において前記バンパーセンサ部が障害物を検知したときに前記ブレーキ部を制動制御するとともに前記モータ部を停止制御することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のはぜ締め用自走ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根材のはぜ締め部を電動で自走しながらはぜ締めするはぜ締め用自走ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動のはぜ締め機としては、枠体に回転軸を固定したはぜ締め支持ローラ及びその前後に配置した2つの予備曲げローラを備え、枠体に対して開閉可能な開閉側支持板に回転軸を固定したはぜ締めローラ及びその前後に配置した2つの予備曲げローラを備え、展開自在ハンドルの下方部にバネ体とリンクを介して開閉側支持板を接続し、電源コードにより外部から供給される電力により回転する電動モータの動力を、ベベルギアを用いて回転軸の方向を変換して各ローラに伝達するもの(特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、検知装置により折板屋根材の先端部に到達した際に逆方向に走行させて自動的に停止して落下の恐れを解消する旨の開示があるものの、検知装置の具体的構成と作用効果が不明であるため信頼性に欠ける。また、電動はぜ締め機全体の重量が大きいため、停止制御から実際に停止するまでに惰性で空走して転落する危険が生じる。さらに、傾斜した折板屋根材に対してはぜ締め作業をする際に、停止状態を適切に維持しないと折板屋根材から滑落して破損や事故につながるなどの懸念がある。加えて、横置きした電動モータの動力を、回転軸が垂直な複数のローラに伝達するためのベベルギアを備えていることにより、はぜ締め機全体の重量が大きいため、折板屋根材から転落又は滑落した際の危険が大きい。従来技術には以上の問題が内在しているため、作業者が電動はぜ締め機の傍で常時監視し、必要に応じてON/OFF操作をすることが求められるので作業効率が悪く、作業コストが嵩むという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、折板屋根材の終端部まで確実にはぜ締め作業を遂行して確実に停止して転落を防止し、また、傾斜した屋根板上で作業する際に確実に滑落を防止することができるはぜ締め用自走ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、溝板部と山板部とを交互に配列してなり一端側の前記山板部の頂面部分に下はぜ部を他端側の前記山板部の頂面部分に直立部分と該直立部分に連続する平坦部分と該平坦部分から垂下する巻締部分とからなる上はぜ部をそれぞれ有する折板屋根材を並列配置して相互に隣接する前記折板屋根材の前記下はぜ部と前記上はぜ部とを係合させて形成したはぜ締め部を跨いで一方の前記折板屋根材の前記溝板部と他方の前記折板屋根材の前記溝板部とを走行するキャスター部を備えた走行ユニット、前記折板屋根材の前記はぜ締め部の上方に配置して開閉自在に枢止している開閉基板部と該開閉基板部に対向して固定した支持基板部とを備えて前記走行ユニットの上部に固定されている本体ユニット、前記支持基板部に回動自在に配置して前記折板屋根材の前記直立部分に当接する支持ローラ部及び前記開閉基板部に回動自在に配置して前記巻締部分を押圧するはぜ締めローラ部並びに前記支持ローラ部及び前記はぜ締めローラ部を駆動するモータ部を少なくとも備えた駆動ユニット、前記本体ユニットに配置されて前記駆動ユニットの動作を制御する制御ユニット、前記本体ユニットに起倒自在に枢止している開閉ハンドル部及び前記開閉基板部に一体に結合して前記開閉ハンドル部に枢止しているリンク部並びにはぜ締め作業を開始させるスタートスイッチからなる操作ユニット、並びに、前記上はぜ部の前記平坦部分に載置して終端部位を検知する終端センサ部を少なくとも有するセンサユニットを備え、前記はぜ締めローラ部により前記巻締部分を前記折板屋根材の長手方向に沿ってはぜ締めするはぜ締め用自走ロボットであって、前記はぜ締めローラ部が、はぜ締め大ローラと予備曲げ中ローラと予備曲げ小ローラとから構成されてそれぞれの回転軸が走行方向の一直線上に位置して予備曲げ小ローラ、予備曲げ中ローラ、はぜ締め大ローラ、予備曲げ中ローラ、予備曲げ小ローラの順に配列し、前記駆動ユニットが、前記支持基板部の前記予備曲げ小ローラに対向する位置にそれぞれ前記折板屋根材の前記直立部分に当接するブレーキシューを有するブレーキ部を備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記支持ローラ部が、相互に同径の複数の支持ローラから構成されて前記はぜ締め大ローラ及び前記予備曲げ中ローラにそれぞれ対向しかつそれぞれの前記回転軸が走行方向の一直線上に位置していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、前記制御ユニットが、前記モータ部を停止制御している場合において前記開閉ハンドル部が開放操作されたときに前記ブレーキ部を解除制御し、前記開閉ハンドル部が閉鎖操作されたときに前記ブレーキ部を制動制御することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、前記制御ユニットが、前記開閉ハンドル部が閉鎖位置にある場合において前記スタートスイッチが操作されたときに前記ブレーキ部を解除制御するとともに前記モータ部を駆動制御し、前記モータ部を駆動制御している場合において前記終端センサ部が前記終端部位を検知したときに前記モータ部を停止制御するとともに前記ブレーキ部を制動制御することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、前記センサユニットが、進行方向の障害物を検知するバンパーセンサ部をさらに備え、前記制御ユニットが、前記バンパーセンサ部が障害物を検知していない場合において前記スタートスイッチが操作されたときに前記ブレーキ部を解除状態に制御するとともに前記モータ部を駆動制御し、前記モータ部を駆動制御している場合において前記バンパーセンサ部が障害物を検知したときに前記ブレーキ部を制動制御するとともに前記モータ部を停止制御することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る発明のはぜ締め用自走ロボットによれば、溝板部と山板部とを交互に配列してなり一端側の前記山板部の頂面部分に下はぜ部を他端側の山板部の頂面部分に直立部分とこの直立部分に連続する平坦部分とこの平坦部分から垂下する巻締部分とからなる上はぜ部をそれぞれ有する折板屋根材を並列配置して相互に隣接する折板屋根材の下はぜ部と上はぜ部とを係合させて形成したはぜ締め部を跨いで一方の折板屋根材の溝板部と他方の折板屋根材の溝板部とを走行するキャスター部を備えた走行ユニット、折板屋根材のはぜ締め部の上方に配置して開閉自在に枢止している開閉基板部とこの開閉基板部に対向して固定した支持基板部とを備えて走行ユニットの上部に固定されている本体ユニット、支持基板部に回動自在に配置して折板屋根材の直立部分に当接する支持ローラ部及び開閉基板部に回動自在に配置して巻締部分を押圧するはぜ締めローラ部並びに支持ローラ部及びはぜ締めローラ部を駆動するモータ部を少なくとも備えた駆動ユニット、本体ユニットに配置されて駆動ユニットの動作を制御する制御ユニット、並びに、本体ユニットに起倒自在に枢止している開閉ハンドル部及び開閉基板部に一体に結合して開閉ハンドル部に枢止しているリンク部並びにはぜ締め作業を開始させるスタートスイッチからなる操作ユニットを備えていることにより、はぜ締めローラ部により巻締部分を折板屋根材の長手方向に沿って自走しながらはぜ締めすることができるばかりか、本願発明に固有の以下の構成により、本願発明に固有の以下の効果を奏することができる。
【0012】
本発明の請求項1に係る発明のはぜ締め用自走ロボットによれば、上はぜ部の平坦部分に載置して終端部位を検知する終端センサ部を少なくとも有するセンサユニットを備えていることにより、巻締部分に隣接する平坦部分の終端部位を検知してはぜ締め作業の終了位置を正確に決定することができるため、折板屋根材に多少の変形や固定部品による凹凸構造があっても、巻締部分を終端部位の直近まで確実にはぜ締めすることができ、また、はぜ締め作業の終了位置で自動的に停止して転落を防止することができる。
【0013】
また、はぜ締めローラ部が、はぜ締め大ローラと予備曲げ中ローラと予備曲げ小ローラとから構成されてそれぞれの回転軸が走行方向の一直線上に位置して予備曲げ小ローラ、予備曲げ中ローラ、はぜ締め大ローラ、予備曲げ中ローラ、予備曲げ小ローラの順に配列していることにより、予備曲げ小ローラ、予備曲げ中ローラ、はぜ締め大ローラの順で折板屋根材のはぜ締め部から離間する距離が大きく、はぜ締め作業の進行方向が前進であっても後退であっても、はぜ締め部から最も離間している予備曲げ小ローラが最初に巻締部分に当接して予備的に巻締部分を押圧して誘導し、予備曲げ小ローラ、予備曲げ中ローラ、はぜ締め大ローラの順で巻締部分に当接し押圧して徐々に締め付けるため、巻締部分が外向きに突出している場合でも、過大な曲げ力を要せずにスムーズかつ確実にはぜ締め作業を行うことができる。
【0014】
更に、駆動ユニットが、支持基板部の予備曲げ小ローラに対向する位置にそれぞれ折板屋根材の直立部分に当接するブレーキシューを有するブレーキ部をさらに備えていることにより、ブレーキをかける際に進行方向の前部及び後部の双方でブレーキシューが直立部に均等に当接して確実に停止し、仮に当接が均等でない場合であっても、予備曲げ小ローラが進行方向の前部又は後部で巻締部分に当接し押圧することによりブレーキシューと共にはぜ締め部を挟み込んでブレーキ作用を補助するため、ブレーキ作動時にはぜ締め用自走ロボットがさらに確実に停止し、また、傾斜している折板屋根材上ではぜ締め作業をする場合にも、はぜ締め用自走ロボットの滑落を確実に防止することができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明のはぜ締め用自走ロボットによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、支持ローラ部が、相互に同径の複数の支持ローラから構成されてはぜ締め大ローラ及び予備曲げ中ローラにそれぞれ対向しかつそれぞれの回転軸が走行方向の一直線上に位置していることにより、支持ローラの位置決めが容易であり、かつ、全ての支持ローラが均等に折板屋根材の直立部分に当接して支持するため、支持ローラ部とはぜ締めローラ部とではぜ締め部を両側から安定的に挟み込んで、はぜ締め作業時に進行方向がぶれずに安定的に走行することができる。
【0016】
本請求項3に係る発明のはぜ締め用自走ロボットによれば、請求項1又は請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、制御ユニットが、モータ部を停止制御している場合において開閉ハンドル部が開放操作されたときにブレーキ部を解除制御し、開閉ハンドル部が閉鎖操作されたときにブレーキ部を制動制御することにより、開閉ハンドル部の閉鎖操作により開閉基板部を閉鎖してはぜ締めローラ部で巻締部分を押圧しているときにはブレーキ部の制動状態を保ち、開閉ハンドル部の開放操作により開閉基板部を解放してはぜ締めローラ部を巻締部分から離間させたときにのみブレーキ部を解除状態とするため、開閉ハンドル部を閉鎖操作するだけではぜ締め用自走ロボットが折板屋根材から転落したり滑落したりすることを確実に防止することができるとともに、開閉ハンドル部を開放操作するだけで、はぜ締め作業を終えたはぜ締め部から次にはぜ締め作業を行うはぜ締め部に、はぜ締め用自走ロボットを容易に移動させることができる。
【0017】
本請求項4に係る発明のはぜ締め用自走ロボットによれば、請求項1又は請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、制御ユニットが、開閉ハンドル部が閉鎖位置にある場合においてスタートスイッチが操作されたときにブレーキ部を解除制御するとともにモータ部を駆動制御することにより、モータ部を駆動制御する走行中にのみブレーキが解除されるため、安全かつスムーズにはぜ締め作業を遂行することができる
【0018】
また、制御ユニットが、モータ部を駆動制御している場合において終端センサ部が終端部位を検知したときにモータ部を停止制御するとともにブレーキ部を制動制御することにより、走行を伴うはぜ締め作業中のはぜ締め用自走ロボットが終端部位の近傍に到達したらモータ部の停止とブレーキ部の制動で即時かつ確実に停止するため、はぜ締め用自走ロボットの転落を確実に防止することができ、さらに、傾斜した折板屋根材上ではぜ締め作業をしている際であっても、停止後にはぜ締め用自走ロボットの滑落を確実に防止することができる。
【0019】
本請求項5に係る発明のはぜ締め用自走ロボットによれば、請求項1又は請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、センサユニットが、進行方向の障害物を検知するバンパーセンサ部をさらに備えていることにより、走行中に進行方向の作業者や他の機器の存在を検知するため、走行を伴うはぜ締め作業を安全に行うことができる。
【0020】
また、制御ユニットが、バンパーセンサ部が障害物を検知していない場合においてスタートスイッチが操作されたときにブレーキ部を解除制御するとともにモータ部を駆動制御することにより、スタートスイッチを操作した際に進行方向に作業者や他の機器が存在しないときにのみ走行を伴うはぜ締め作業を開始するため、はぜ締め作業の開始時の安全を確保することができる。
【0021】
さらに、モータ部を駆動制御している場合においてバンパーセンサ部が障害物を検知したときにブレーキ部を制動制御するとともにモータ部を停止制御することにより、走行を伴うはぜ締め作業中の進行方向に作業者や他の機器が存在する際にはモータ部の停止とブレーキ部の制動で即時かつ確実に停止するため、安全を確保することができ、さらに、傾斜した折板屋根材上ではぜ締め作業をしている際であっても、停止後にはぜ締め用自走ロボットの滑落を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットが折板屋根材をはぜ締めする様子を示す模式図。
【
図2】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの内部構造を示す説明図。
【
図3】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの開閉ハンドル部とはぜ締めローラ部との関係を示す模式的説明図
【
図4】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの駆動ユニットの構成を示す模式的断面図。
【
図5】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの駆動ユニットの構成を示す模式的底面図。
【
図6】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットのシステム構成を示す機能ブロック図。
【
図7】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの制御の前半の流れを示すフロー図。
【
図8】本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの制御の後半の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、折板屋根材の終端部まで確実にはぜ締め作業を遂行して確実に停止して転落を防止し、また、傾斜した屋根板上で作業する際に確実に滑落を防止することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0024】
例えば、本発明の制御ユニットは、リレーの組み合わせにより構成することができるが、マイクロコンピュータによって制御するよう構成してもよい。
【0025】
また、本発明の終端センサ部は、斜め下方に突出して下向きにバネ付勢されている棒状部分とこの棒状部分の先端に水平軸を中心に回転自在に取り付けられた円筒状部分からなる構成に限らず、折板屋根材の平坦部分の終端部位を検知してはぜ締め作業の終了位置を決定することができるものであれば、いかなるセンサを用いても構わない。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の一実施例に係るはぜ締め用自走ロボット100について、
図1乃至
図8に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットが折板屋根材をはぜ締めする様子を示す模式図、
図2は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの内部構造を示す説明図、
図3は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの開閉ハンドル部とはぜ締めローラ部との関係を示す模式的説明図、
図4は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの駆動ユニットの構成を示す模式的断面図、
図5は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの駆動ユニットの構成を示す模式的底面図、
図6は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットのシステム構成を示す機能ブロック図、
図7は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの制御の前半の流れを示すフロー図であり、
図8は、本発明に係るはぜ締め用自走ロボットの制御の後半の流れを示すフロー図である。
【0027】
ここでは、本実施例に係るはぜ締め用自走ロボット100の詳細を説明する前に、まず、はぜ締め用自走ロボット100によるはぜ締め作業の対象である折板屋根材Rを説明する。
折板屋根材Rは、
図2及び
図3に示すように、溝板部Rbと山板部Rmとを交互に配列してなり、折板屋根材Rの幅方向の一端側の山板部Rmの頂面部分Rmtに下はぜ部Rdを備え、幅方向の他端側の山板部Rmの頂面部分Rmtに、直立部分Ruvとこの直立部分Ruvに連続する平坦部分Ruhとこの平坦部分Ruhから垂下する巻締部分Rucとからなる上はぜ部Ruをそれぞれ備えており、建屋等の屋根を構成する際には、複数の折板屋根材Rを幅方向に並列配置して、相互に隣接する折板屋根材Rの下はぜ部Rdと上はぜ部Ruとを係合させ、所要個所に吊子Hを介在させて、はぜ締め部Rfを形成するものである。
【0028】
さて、次に、本実施例に係るはぜ締め用自走ロボット100の構成を説明する。はぜ締め用自走ロボット100は、不図示の電源コードにより外部から電力供給を得て稼働するロボットであって、
図1に示すように、複数の折板屋根材Rを並列配置して形成したはぜ締め部Rfを、折板屋根材の長手方向に沿って自走しながらはぜ締めするものであり、
図1乃至
図3に示すように、折板屋根材Rの上を走行するための走行ユニット110、この走行ユニット110の上部に固定されている本体ユニット120、はぜ締め用自走ロボット100のはぜ締め作業と走行の動力を担う駆動ユニット130及び、本体ユニット120内に配置されて駆動ユニット130の動作を制御する制御ユニット140を有し、さらに、はぜ締め用自走ロボット100に動作を指令するための操作ユニット150及び作業状況等を検出するセンサユニット160を有している。
【0029】
走行ユニット110は、
図2及び
図3に示すように、直立して本体ユニット120を支持するための支持脚部111と、この支持脚部111に固定されて、はぜ締め部Rfを跨いで一方と他方の溝板部Rbとをそれぞれ走行するキャスター部112とを備えており、キャスター部112により折板屋根材Rの長手方向に沿って移動可能となっている。
【0030】
本体ユニット120は、走行ユニット110の支持脚部111の上部に固定されており、駆動ユニット130及び制御ユニット140を収納する筐体部121と、はぜ締め部Rfの上方に配置して筐体部121に開閉自在に枢止されている開閉基板部123とこの開閉基板部123に対向して筐体部121に固定した支持基板部122とを備えており、筐体部121の上部及び前後面をそれぞれ、上カバー部124及び前後カバー部125で保護している。
なお、
図2では内部構造を示すために、上カバー部124及び正面側の前後カバー部125を取り除いている。
【0031】
駆動ユニット130は、
図3乃至
図5に示すように、本体ユニット120の支持基板部122に固定されている支持モータ部131、支持伝達部132及び支持ローラ部133、並びに、開閉基板部に固定されているはぜ締めモータ部134、はぜ締め伝達部135及びはぜ締めローラ部136を備えており、さらに、ブレーキ部137を備えている。
【0032】
支持モータ部131は、支持伝達部132を介して回転力を支持ローラ部133に伝達する。
【0033】
支持伝達部132は、
図4に示すように、支持モータ部131の回転軸をカップリング132aによりメインシャフト132bに結合させて、支持基板部122に直交しているメインシャフト132b又はシャフト132cに固定されて支持基板部122の上面側に交互に配置され、相互に咬合している状態で回動自在に固定されていずれも平歯車からなる支持大径ギア132d及び支持小径ギア132eに順次回転力を伝達する構成となっている。
【0034】
支持ローラ部133は、
図5に示すように、メインシャフト132b又はシャフト132cにより支持大径ギア132dと連動して回動するように支持基板部122の下面側に露出して固定されて、相互に同径の複数の支持ローラ133a、133b及び133cから構成されており、後述のはぜ締め大ローラ136a及び予備曲げ中ローラ136bにそれぞれ対向する位置に、それぞれの回転軸が走行方向の一直線上に並ぶように配置している。
【0035】
また、支持ローラ133a、133b及び133cに対応する位置には、はぜ締め部Rfの平坦部分Ruhに上から当接する3つの押えローラ133dが水平軸を中心に回動自在に固定されている。なお、押えローラ133dには、支持モータ部131の回転力が伝達されない。
【0036】
はぜ締めモータ部134は、はぜ締め伝達部135を介して回転力をはぜ締めローラ部136に伝達する。なお、支持モータ部131とはぜ締めモータ部134とをまとめてモータ部と呼ぶこととする。
【0037】
はぜ締め伝達部135は、
図4に示すように、はぜ締めモータ部134の回転軸をカップリング135aによりメインシャフト135bに結合させて、開閉基板部123に直交しているメインシャフト135b又はシャフト135cに固定されて開閉基板部123の上面側に交互に配置され、相互に咬合している状態で回動自在に固定されていずれも平歯車からなるはぜ締め大径ギア135d及びはぜ締め小径ギア135eに順次回転力を伝達する構成となっている。
【0038】
はぜ締めローラ部136は、
図5に示すように、相互に径が異なるはぜ締め大ローラ136a、予備曲げ中ローラ136b及び予備曲げ小ローラ136cから構成されている。はぜ締め大ローラ136a及び予備曲げ中ローラ136bは、それぞれメインシャフト135b又はシャフト135cによりはぜ締め大径ギア135dと連動して回動するように開閉基板部123の下面側に露出して回動自在に固定されており、一方、予備曲げ小ローラ136cは、シャフト135cにより開閉基板部123の下面側に露出して回動自在に固定されているが、はぜ締めモータ部134の回転力は伝達されない。
【0039】
はぜ締め大ローラ136a、予備曲げ中ローラ136b及び予備曲げ小ローラ136cの回転軸は走行方向の一直線上に配置して、予備曲げ小ローラ136c、予備曲げ中ローラ136b、はぜ締め大ローラ136a、予備曲げ中ローラ136b、予備曲げ小ローラ136cの順に配列している。
【0040】
ブレーキ部137は、支持基板部122の下側に露出して、2つの予備曲げ小ローラ136cに対向する位置にそれぞれ配置してある前ブレーキ137Fと後ブレーキ137Rとから構成されている。前ブレーキ137F及び後ブレーキ137Rは、それぞれ前ブレーキソレノイド137Faにより進退移動して折板屋根材Rの直立部分Ruvに当接する前ブレーキシュー137Fb、及び、後ブレーキソレノイド137Raにより進退移動して折板屋根材Rの直立部分Ruvに当接する後ブレーキシュー137Rbを備えている。
【0041】
制御ユニット140は、
図2に示すように本体ユニット120内に配置されて、後述の操作ユニット150に対する操作やセンサユニット160による検出に応じて、
図6に示すように各部の制御を行う構成であり、走行するか停止するかの制御を行う走行停止制御部141、走行方向を前進と後退で切り替える制御を行う前進後退制御部142、支持モータ部131の回転数を制御する支持モータドライバ部143及びはぜ締めモータ部134の回転数を制御するはぜ締めモータドライバ部144を備えている。
【0042】
操作ユニット150は、
図2及び
図3に示すように、本体ユニット120に直立固定された固定ハンドル部151、本体ユニット120に起倒自在に枢止されている開閉ハンドル部152、開閉基板部123に一体に結合して開閉ハンドル部152に枢止しているリンク部153及びはぜ締め用自走ロボット100に対して動作指令を入力するための入力部154を備えている。
【0043】
開閉ハンドル部152は、作業者が開放位置(
図3の二点鎖線)から閉鎖位置(
図3の実線)まで下げて倒す操作を行うことにより、回動自在に枢止されているリンク部153と共働して開閉基板部123をその閉鎖位置に固定するように構成されている。
【0044】
したがって、開閉基板部123が閉鎖位置に固定されたとき、開閉基板部123に固定されているはぜ締めモータ部134、はぜ締め伝達部135及びはぜ締めローラ部136は開閉基板部123とともに移動して、はぜ締めローラ部136が折板屋根材Rのはぜ締め部Rfのうち巻締部分Rucに当接し、押圧する配置になって固定されることとなる。
【0045】
入力部154は、はぜ締め用自走ロボット100に対して開始指令を入力操作するスタートスイッチ154a、停止指令を入力操作するストップスイッチ154b及び進行方向の切り替え指令を入力操作する方向切換スイッチ154cを備えている。
【0046】
センサユニット160は、はぜ締め作業を行いながら前進又は後進しているときに進行方向の障害物をそれぞれ検知する前バンパーセンサ161F及び後バンパーセンサ161Rとからなるバンパーセンサ部161、並びに、はぜ締め作業を行いながら前進又は後進しているときに折板屋根材Rの平坦部分Ruhの終端部位Rueをそれぞれ検知する前終端センサ162F及び後終端センサ162Rとからなる終端センサ部162を備えている。
【0047】
図2及び
図5に示すように、前バンパーセンサ161F及び後バンパーセンサ161Rは水平な棒状に形成された接触スイッチであり、前後カバー部125を介してそれぞれ本体ユニット120の前端部及び後端部に固定されている。
【0048】
終端センサ部162は、支持基板部122の下側に上下揺動自在に固定されており、
図2、
図4及び
図5に示すように、前終端センサ162Fは斜め前方下向きに突出し、かつ下向きにバネ付勢されている棒状部分とこの棒状部分の先端に水平軸を中心に回転自在に取り付けられてた円筒状部分から構成されている。同様に、後終端センサ162Rは、斜め後方下向きに突出し、かつ下向きにバネ付勢されている棒状部分とこの棒状部分の先端に水平軸を中心に回転自在に取り付けられた円筒状部分から構成されている。
【0049】
したがって、前終端センサ162F及び後終端センサ162Rは、はぜ締め用自走ロボット100がはぜ締作業を行いながら走行しているときには、その円筒状部分が折板屋根材Rの平坦部分Ruhに載置されて揺動しない状態であるが、はぜ締め用自走ロボット100が折板屋根材Rの長手方向の終端付近に到達したときに、バネの力で下向きに揺動することによって終端部位Rueを検知するものである。
【0050】
次に、本実施例のはぜ締め用自走ロボット100により、折板屋根材Rのはぜ締め作業を行う手順を説明する。
【0051】
作業者は、
図1乃至
図3に示すように、複数の折板屋根材Rを、溝板部Rbと山板部Rmとが交互に配列するように並列配置して、一端側の山板部Rmの頂面部分Rmtに設けられている下はぜ部Rdと他端側の山板部Rmの頂面部分Rmtに設けられて直立部分Ruuとこの直立部分Ruuに連続する平坦部分Ruhとこの平坦部分Ruhから垂下する巻締部分Rucとからなる上はぜ部Ruとを係合させてはぜ締め部Rfを形成する。
【0052】
次に、このはぜ締め部Rfを跨いで一方の溝板部Rbと他方の溝板部Rbの上に、キャスター部112を載置する。このとき、
図3の二点鎖線で示すように開閉ハンドル部152は解放位置にあり、開閉ハンドル部152に連動するリンク部153及び開閉基板部123もそれぞれの解放位置にある。
【0053】
支持脚部111は、押えローラ133dがちょうど折板屋根材Rの平坦部分Ruhに上から当接するように、本体ユニット120を取り付ける高さを調節できるように構成されている。
【0054】
次に、
図2及び
図3の実線で示すように、開閉ハンドル部152を閉鎖操作して閉鎖位置まで倒し下げて、開閉ハンドル部152に連動するリンク部153及び開閉基板部123をそれぞれの閉鎖位置に移動させて固定する。このとき、支持基板部122に回動自在に固定されている支持ローラ部133が、折板屋根材Rの直立部分Ruvに当接するとともに、開閉基板部123に回動自在に固定されているはぜ締めローラ部136が、折板屋根材Rのはぜ締め部Rfのうち巻締部分Rucに当接し、押圧する配置となる。
【0055】
以下、主として
図6乃至
図8を参照して、はぜ締め用自走ロボット100のシステム構成及び制御フローを説明する。
【0056】
作業者は、開閉ハンドル部152が閉鎖位置まで下がっているか確認し(OP1)、進行方向のバンパーセンサ部161に接触物がないか確認し(OP2)、終端センサ部162が折板屋根材Rの平坦部分Ruhに載置されて上がっている状態であるか確認し(OP3)、スタートスイッチ154aを操作する(OP4)。
【0057】
これにより、待機していたはぜ締め用自走ロボット100の制御ユニット140の動作が開始し(S1)、開閉ハンドル部152が下がっていればS3へ、下がっていなければOP1に移行する(S2)。前バンパーセンサ161Fが障害物を検出していたらOP1へ、検出していなければS4に移行する(S3)。後バンパーセンサ161Rが障害物を検出していたらOP1へ、検出していなければS5に移行する(S4)。次に、方向切換スイッチ154cの状態を確認し、操作されてONの状態であればS13へ、一方、OFFであればS6へ移行して前進後退制御部142が進行方向を前進に制御する(S5)。
【0058】
S6において、進行方向の前終端センサ162Fが終端部位Rueを検出したらOP3に移行し、検出していなければS7に移行する。走行停止制御部141が、前ブレーキソレノイド137Fa及び後ブレーキソレノイド137Raを解除制御して直立部分Ruvに当接し押圧している前ブレーキシュー137Fb及び後ブレーキシュー137Rbを開放して解除状態にするとともに、前進後退制御部142が、支持モータドライバ部143及びはぜ締めモータドライバ部144を介してモータ部すなわち支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を駆動制御して前進方向に駆動させて、はぜ締め用自走ロボット100が折板屋根材R上を前進走行しながらはぜ締め作業を行う(S7)。はぜ締め作業中にストップスイッチ154bが押下されたらS11に移行する(S8)。また、はぜ締め作業中に前バンパーセンサ161Fまたは後バンパーセンサ161Rが障害物を検出した時には、S11に移行する(S9)。はぜ締め作業を行いながら折板屋根材R上を前進走行している間に、進行方向の前終端センサ162Fが終端部位Rueを検出したらS11に移行し、検出していなければS7に移行してはぜ締め作業と前進走行を継続する(S10)。
【0059】
S5において、方向切換スイッチ154cが操作されていてONの状態であればS13へ移行するが、S13からS17までのステップは、S6からS10までのステップと比較して、進行方向が後進であり、前終端センサ162Fが後終端センサ162Rに置き換わるだけであるため、詳細な説明を省略する。
【0060】
S11では、ストップスイッチ154bが操作され、前バンパーセンサ161F若しくは後バンパーセンサ161Rが障害物を検出し、又は、前終端センサ162F若しくは後終端センサ162Rが終端部位Rueを検出したことに対応し、走行停止制御部141が前ブレーキソレノイド137Fa及び後ブレーキソレノイド137Raを制動制御して前ブレーキシュー137Fb及び後ブレーキシュー137Rbを直立部分Ruvに当接させて押圧するとともに、前進後退制御部142が支持モータドライバ部143及びはぜ締めモータドライバ部144を介してモータ部すなわち支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を停止制御して停止させ(S11)、はぜ締め用自走ロボット100が動作を停止する(S12)。
【0061】
なお、制御ユニット140は、自走ロボット100を停止制御している場合において開閉ハンドル部152が開放操作されたときにブレーキ部137を解除制御して作業者による運搬を可能とし、開閉ハンドル部152が閉鎖操作されたときにブレーキ部137を制動制御してブレーキをかけて待機する。
【0062】
また、制御ユニット140は、開閉ハンドル部152が閉鎖位置にある場合において、スタートスイッチ154aが操作されたときにブレーキ部137を解除制御して走行可能とするとともに、支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を駆動制御し、モータ部すなわち支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134が駆動している場合において終端センサ部162が終端部位Rueを検知したときに、モータ部すなわち支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を停止制御するとともに前記ブレーキ部を制動制御する。
【0063】
さらに、制御ユニット140は、バンパーセンサ部161が障害物を検知していない場合においてスタートスイッチ154aが操作されたときにブレーキ部137を解除状態に制御するとともに支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を駆動制御し、支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を駆動制御している場合においてバンパーセンサ部161が障害物を検知したときに、ブレーキ部137を制動制御するとともにモータ部すなわち支持モータ部131及びはぜ締めモータ部134を停止制御する。
【0064】
以上のフローではぜ締め用自走ロボット100のはぜ締め部Rfに対するはぜ締め作業を行えば、前終端センサ162Fまたは後終端センサ162Rが終端部位Rueを検出して停止した場合は、はぜ締め作業が終端部位Rueの近傍まで終了している状態になる。
【0065】
作業者が開閉ハンドル部152を開放操作して開放位置まで立ち上げれば、開閉基板部123が連動してその開放位置に移動するので、開閉基板部123に回動自在に固定されているはぜ締めローラ部136が折板屋根材Rの巻締部分Rucへの当接、押圧から解放されるとともに、支持基板部122に回動自在に固定されている支持ローラ部133が折板屋根材Rの直立部分Ruvへの当接から解放される。
【0066】
この段階で、作業者ははぜ締め用自走ロボット100を持ち上げて隣のはぜ締め部Rfに平行移動させ、方向切換スイッチ154cを切り替えてOP1に移行する。
【0067】
以上のフローにより、はぜ締め用自走ロボット100にいわゆる牛耕式の往復走行をさせながら、折板屋根材Rのはぜ締め部Rfに対するはぜ締め作業を順次行って、建屋等の屋根を構成することができる。
【符号の説明】
【0068】
100・・・・・・・はぜ締め用自走ロボット
110・・・・・・走行ユニット
111・・・・・支持脚部
112・・・・・キャスター部
120・・・・・・本体ユニット
121・・・・・筐体部
122・・・・・支持基板部
123・・・・・開閉基板部
124・・・・・上カバー部
125・・・・・前後カバー部
130・・・・・・駆動ユニット
131・・・・・支持モータ部
132・・・・・支持伝達部
132a・・・カップリング
132b・・・メインシャフト
132c・・・シャフト
132d・・・支持大径ギア
132e・・・支持小径ギア
133・・・・・支持ローラ部
133a、133b、133c・・・支持ローラ
133d・・・押えローラ
134・・・・・はぜ締めモータ部
135・・・・・はぜ締め伝達部
135a・・・カップリング
135b・・・メインシャフト
135c・・・シャフト
135d・・・はぜ締め大径ギア
135e・・・はぜ締め小径ギア
136・・・・・はぜ締めローラ部
136a・・・はぜ締め大ローラ
136b・・・予備曲げ中ローラ
136c・・・予備曲げ小ローラ
137・・・・・ブレーキ部
137F・・・前ブレーキ
137Fa・・前ブレーキソレノイド
137Fb・・前ブレーキシュー
137R・・・後ブレーキ
137Ra・・後ブレーキソレノイド
137Rb・・後ブレーキシュー
140・・・・・・制御ユニット
141・・・・・走行停止制御部
142・・・・・前進後退制御部
143・・・・・支持モータドライバ部
144・・・・・はぜ締めモータドライバ部
150・・・・・・操作ユニット
151・・・・・固定ハンドル部
152・・・・・開閉ハンドル部
153・・・・・リンク部
154・・・・・入力部
154a・・・・スタートスイッチ
154b・・・・ストップスイッチ
154c・・・・方向切換スイッチ
160・・・・・・センサユニット
161・・・・・バンパーセンサ部
161F・・・前バンパーセンサ
161R・・・後バンパーセンサ
162・・・・・終端センサ部
162F・・・前終端センサ
162R・・・後終端センサ
R・・・・・・・・・折板屋根材
Rb・・・・・・・溝板部
Rm・・・・・・・山板部
Rmt・・・・・頂面部分
Ru・・・・・・・上はぜ部
Ruv・・・・・・直立部分
Ruh・・・・・・平坦部分
Rue・・・・・終端部位
Ruc・・・・・・巻締部分
Rd・・・・・・・下はぜ部
Rb・・・・・・・溝板部
Rf・・・・・・・はぜ締め部
H・・・・・・・・・吊子
【要約】 (修正有)
【課題】折板屋根材の終端部まで確実にはぜ締め作業を遂行して確実に停止して転落を防止し、また、傾斜した屋根板上で作業する際に確実に滑落を防止することができるはぜ締め用自走ロボットを提供すること。
【解決手段】溝板部と山板部とを交互に配列してなり一端側の前記山板部の頂面部分に下はぜ部を他端側の前記山板部の頂面部分に上はぜ部をそれぞれ備えた折板屋根材を並列配置して相互に隣接する前記折板屋根材の前記下はぜ部と上はぜ部とを係合させて形成したはぜ締め部を跨いで一方の前記折板屋根材の溝板部と他方の前記折板屋根材の溝板部とを走行する走行ユニット110、本体ユニット120、駆動ユニット、制御ユニット、操作ユニット150、上はぜ部の平坦部分に載置して終端部位を検知する終端センサ部を有するセンサユニット160を備えているはぜ締め用自走ロボット100。
【選択図】
図1