(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】リサイクルシステムおよびリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20230808BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20230808BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20230808BHJP
B09B 101/75 20220101ALN20230808BHJP
【FI】
B29B17/04
B09B3/35 ZAB
B29B17/02
B09B101:75
(21)【出願番号】P 2022067913
(22)【出願日】2022-04-15
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391061646
【氏名又は名称】株式会社流機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
(72)【発明者】
【氏名】田島 永善
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 快
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-093955(JP,A)
【文献】特開2014-019765(JP,A)
【文献】特開2014-036940(JP,A)
【文献】特開2016-155086(JP,A)
【文献】特開平07-289887(JP,A)
【文献】特開平11-077013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00- 17/04
C08J 11/00- 11/28
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に付着した付着物を除去するリサイクルシステムであって、
前記リサイクルシステムは、
前記被処理物の破砕物と吸着粒子を攪拌混合し、前記破砕物に付着した前記付着物を前記吸着粒子に吸着させ、前記付着物が除去された清浄化破砕物を得る攪拌装置、を有
し、
前記攪拌装置に供給される前記吸着粒子は100~220℃の温度を有し、
前記吸着粒子の温度を前記付着物に伝熱させ、前記付着物を軟化させる、
ことを特徴とするリサイクルシステム。
【請求項2】
前記吸着粒子は、
比表面積が0.1m2/g~10m2/gであり、
平均粒子径が50~300μmである請求項1記載のリサイクルシステム。
【請求項3】
前記被処理物の破砕物は廃棄プラスチックのフレークであり、
前記付着物は食品残渣であり、
前記吸着粒子は、珪砂、珪藻土、ゼオライト、活性炭およびパーライトの群から選ばれる少なくとも1つである請求項1
または2に記載のリサイクルシステム。
【請求項4】
前記リサイクルシステムは、
前記付着物を吸着した前記吸着粒子を加熱し、前記吸着粒子から前記付着物を除去した再生吸着粒子を得る再生装置と、
前記再生吸着粒子を前記
攪拌装置へ返送する返送経路と、
を有する請求項1記載のリサイクルシステム。
【請求項5】
前記再生装置から排出される前記再生吸着粒子の温度は350~400℃であり、
前記返送経路において前記再生吸着粒子を空気輸送して前記再生吸着粒子の温度を100~220℃まで低下させた上で前記
攪拌装置へ返送する、請求項
4記載のリサイクルシステム。
【請求項6】
前記リサイクルシステムは、
前記被処理物の供給口、前記破砕物の排出口および前記吸着粒子の供給口を有する破砕容器と、
前記破砕容器の内部に設けられ、前記被処理物を破砕する破砕刃を有する破砕部と、
を有する破砕機を有し、
前記吸着粒子の供給口から供給される前記吸着粒子のモース硬度は5~9であり、
前記吸着粒子の供給口は、前記破砕部と前記破砕物の排出口の間に設けられており、
前記破砕容器の内部で、前記破砕部で破砕された破砕物に対して前記吸着粒子を混入させる構成とした請求項1記載のリサイクルシステム。
【請求項7】
攪拌装置を用いて、付着物が付着した被処理物の破砕物と、吸着粒子を攪拌混合し、前記破砕物に付着した前記付着物を前記吸着粒子に吸着させ、前記付着物が除去された清浄化破砕物を得る攪拌工程と、
再生装置を用いて、前記付着物を吸着した前記吸着粒子を加熱して、前記吸着粒子から前記付着物を除去した再生吸着粒子を得る再生工程と、
前記再生工程で得た再生吸着粒子を、前記
攪拌混合を行う攪拌装置に返送する返送工程と、を有
し、
前記攪拌装置に供給する前記吸着粒子は100~220℃の温度を有する、
ことを特徴とするリサイクル方法。
【請求項8】
前記再生装置から排出される再生吸着粒子の温度は350~400℃の温度を有し、
前記返送工程において、
前記返送工程において、前記再生吸着粒子を空気輸送して前記再生吸着粒子の温度を100~220℃まで低下させた上で前記
攪拌装置へ返送する請求項
7記載のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリサイクルシステムおよびリサイクル方法に関する。特に、廃プラスチック類をマテリアルリサイクルすることに適したリサイクルシステムおよびリサイクル方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは包装材料、日用品、家電製品、衣服などの様々な物に用いられていることから、不要になって廃棄されたプラスチック(以下、「廃プラスチック」という)やプラスチックの製造過程で生じるプラスチックの破片(以下、「廃プラスチック」と前記破片を合わせて「廃プラスチック類」という)が毎年大量に生じている。
【0003】
この廃プラスチック類という資源を有効活用するためにリサイクル技術の存在が重要になるが、我が国では廃プラスチック類の約80%が焼却され、焼却時に生じるエネルギーを再利用するリサイクル(いわゆる「サーマルリサイクル」)が行われている。しかし廃プラスチック類を焼却すると二酸化炭素(CO2)が生じるため、結果的に地球温暖化を進めてしまうという不都合がある。地球温暖化が進むと、気温が上昇して農作物の生育に影響を及ぼすとともに、海面水位が上昇して沿岸地域や島々などに住む人々の生活環境を脅かし、さらに台風等の異常気象の発生頻度を高めるおそれがある。
【0004】
また環境中に廃棄されたプラスチック容器等は、風雨、下水、川の流れ等によって海へ辿り着き、紫外線等によって劣化して極小の破片(マイクロプラスチック)となり、魚介類や鳥類等に摂取される。そして最終的に魚介類を摂取した人体の内部に取り込まれることになる。今後2050年には海洋プラスチックの数が海中の魚の数を上回るという試算もある。
【0005】
以上のことから、環境中に廃棄されないようにできるだけ多くの廃プラスチック類を回収し、回収した廃プラスチック類をサーマルリサイクル以外の方法でリサイクルする技術が求められている。現在、サーマルリサイクル以外のリサイクル技術として、例えばマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの技術が存在する。
【0006】
廃プラスチック類のマテリアルリサイクルのフローとしては、例えば以下のようなものがある。まず廃プラスチック類を回収し、それらを圧縮・減容した上で梱包して一定期間保管する。その後、梱包された廃プラスチック類を解砕し、フレーク状に粉砕した後、洗浄、脱水、乾燥を経て清浄なフレークを得る。そして、そのフレークを押し出し機で加熱溶融しながらダイスに押し出し、粒体を成形し、プラスチック成型品を製造するための原料を得る、というものである。
【0007】
しかし、例えば食品残渣が付着した廃プラスチックのマテリアルリサイクルにおいては、以下のような様々な問題が生じる。
【0008】
前記のとおり、食品残渣が付着した廃プラスチック(食品トレー、弁当の容器など)は、スーパー、食品加工工場、一般的な事業所などから回収された後、保管場所を取らないようにするため、圧縮・減容した上で梱包され、一時保管所で一定期間保管される。その後、リサイクル工場へ運搬され、リサイクル工場で梱包が解かれて、リサイクル処理される。
【0009】
この一時保管所で廃プラスチックを保管している間に食品残渣の腐敗が進み、リサイクル工場でリサイクル処理を始める段階では、廃プラスチックに腐敗有機物が大量に付着した状態になっている。その結果、リサイクル工場で廃プラスチックを粉砕し洗浄する過程で、高濃度の汚水が大量に発生するという不都合がある。
【0010】
またリサイクル工場でリサイクル処理を行う間に、腐敗した食品残渣に由来する悪臭(腐敗臭)が工場外に漏れ出ると、近隣住民から臭気に関する苦情を受けるおそれがある。
【0011】
この腐敗有機物にはでんぷん、油、スープ残渣、肉魚片、塩、糖などが含まれているため、廃プラスチックの洗浄によって生じる排水のBOD(Biochemical Oxygen Demandの略。生物化学的酸素要求量)、COD(Chemical Oxygen Demandの略。化学的酸素要求量)、TOC(Total Organic Carbonの略。全有機炭素)、SS(Suspended Solidの略。浮遊物質、懸濁物質)の各数値が公共下水の水質の数十倍になることがあり、洗浄排水自体がスラリー状のヘドロになることもある。このような洗浄廃水を浄化する処理として、例えば活性汚泥処理を行うことができるが、その浄化処理の過程で洗浄廃水の希釈または数次にわたる処理を行うことが余儀なくされるため、浄化処理のランニングコストが非常に高いという不都合がある。
【0012】
また前記活性汚泥処理によってスラッジ(汚泥)が生じるが、このスラッジの含水率が高く、かつスラッジにプラスチックの粉粒体が多く含まれることから、産業廃棄物処理(スラッジの焼却処理)のコストが非常に高いという不都合がある。
【0013】
全廃プラスチック量に対して、食品残渣が付着した廃プラスチックの量が占める割合が高いにも関わらず、食品残渣が付着した廃プラスチックの処理コストが高いため、リサイクル業者に損失が生じやすく、食品残渣が付着した廃プラスチックのリサイクルが進まないという実情がある。
【0014】
本発明に関する先行技術として、特許文献1~3に開示された発明がある。
特許文献1には、廃プラスチックの汚れ除去方法が開示されている。この方法では、まず汚れの付着した廃プラスチックを解砕機に掛けて破砕するとともに乾式洗浄して汚れを落す。次いで廃プラスチック破砕物を落ちた汚れ分と共にサイクロンへ送って同破砕物から汚れ分を取り除く。廃プラスチック破砕物をサイクロンから解砕機へ戻す。以降は解砕機による廃プラスチックの破砕と乾式洗浄およびサイクロンによる汚れ分の取り除きを繰り返す。解砕機とサイクロンの間の廃プラスチック循環物の一部を循環路から取り出して篩分機に掛け廃プラスチック破砕物から更に汚れ分を取り除く。以上の方法によれば、粉砕機や湿式分級に用いる水の負担を軽減することができる上、廃プラスチックの燃料化や油化のために廃プラスチックの品質を向上することができ、加えて廃プラスチックの燃料化や油化のための微破砕機の刃が汚れ分で傷付くのを防止することができる、という効果が開示されている。
【0015】
特許文献2には、プラスチック部材のマテリアルリサイクルシステムが開示されている。このシステムは、プラスチック部材を含む廃棄物からプラスチック部材を取り外し、取り外したプラスチック部材の品種が不明なときは分光分析手法により品種毎に選別し、選別されたプラスチック部材を破砕・減容化し、破砕プラスチックを乾式洗浄処理により表面部の付着物を除去し、再利用可能までに付着物が減少した樹脂粒状物を回収する、というものである。このシステムは、簡便な処理で処理コストも低廉であり、特に従来困難とされた黒色系成形品の品種選別や塗装や粘着物が付着した成形品などを効率的に選別及び分別することが可能である、とされる。
【0016】
特許文献3には、牧草梱包用フィルムからの再生樹脂の回収方法が開示されている。この方法は、牧草梱包用フィルムを破砕して複数の破砕片と成す破砕工程、前記破砕片を攪拌しながら含有水分量を1.0wt%以下となるまで加熱乾燥すると共に、前記攪拌によって前記破砕片表面の付着物を分離し、これを随時除去する乾燥・分離工程、前記乾燥・分離工程を経た前記破砕片に対して衝撃摩砕力を付加し、該破砕片表面の付着物をさらに分離除去すると共に、前記付着物の除去された破砕片を整粒して素材化された再生樹脂とする乾式洗浄・整粒工程を含むものである。この方法によれば、牧草梱包用フィルムを廃棄することなく再生樹脂として回収することができ、資源の再利用が可能となる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2001-105432号公報
【文献】特開2003-011124号公報
【文献】特開2005-022358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記特許文献1は、廃プラスチックのリサイクル、再資源化のための油化、燃料化などに当たり、廃プラスチックを破砕ないしは粉砕する場合を前提としたものである。すなわちマテリアルリサイクルとは異なるリサイクルに関する発明である。またこの特許文献1は、廃プラスチックの油化設備において、廃プラスチックを(1)粗粉砕、(2)微粉砕、(3)湿式洗浄、(4)比重差で油化適物と不適物に区分する、というフローで、(1)と(2)の工程の間に、この特許文献1に係る廃プラスチックの汚れ除去方法の工程を新たに組み込むという内容であり、このようなフローを用いない場合については言及されていない。
【0019】
前記特許文献2は、主として家電製品や自動車等の廃棄物をマテリアルリサイクルするシステムであり、臭気が発生した食品残渣が付着した廃プラスチックのマテリアルリサイクルにも適用可能であるか否かは不明である。
【0020】
前記特許文献3は、牧草梱包用フィルムから再生樹脂を回収する方法であり、臭気が発生した食品残渣が付着した廃プラスチックをマテリアルリサイクルする技術に関する示唆はない。
【0021】
そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、臭気処理や排水処理の負担が少ない被処理物のリサイクルシステム及びリサイクル方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するために、以下の各態様を採ることができる。
(第1の態様)
被処理物に付着した付着物を除去するリサイクルシステムであって、
前記リサイクルシステムは、
前記被処理物の破砕物と吸着粒子を攪拌混合し、前記破砕物に付着した前記付着物を前記吸着粒子に吸着させ、前記付着物が除去された清浄化破砕物を得る攪拌装置、
を有することを特徴とするリサイクルシステム。
【0023】
(作用効果)
攪拌装置において、破砕物から付着物を除去するために、洗浄液のような液体を用いないこととした。このような攪拌装置を用いることにより、攪拌装置が洗浄液を用いないため、攪拌装置から排水が生じず、前述の臭気処理や排水処理の問題が生じづらいという利点がある。
【0024】
ただし、洗浄液を用いずに破砕物から付着物を除去するためには、破砕物を除去するための別の手段(洗浄液とは異なる)が必要になる。そこで本態様では吸着粒子を用いることとした。すなわち、破砕物と吸着粒子を攪拌混合し、破砕物に付着した付着物を吸着粒子に吸着させることとした。このような吸着粒子を用いることで、付着物が除去された清浄な破砕物、すなわち清浄化破砕物を得ることができる。
【0025】
(第2の態様)
前記攪拌装置に供給される前記吸着粒子は100~220℃の温度を有し、
前記吸着粒子の温度を前記付着物に伝熱させ、前記付着物を軟化させる前記第1の態様のリサイクルシステム。
【0026】
(作用効果)
攪拌装置で、破砕物を攪拌混合させる際の吸着粒子として、温度が100~220℃の吸着粒子を用いることで、この吸着粒子が有する熱によって付着物を軟化(および/または溶融)させることができ、吸着粒子が軟化(および/または溶融)した付着物を吸着しやすくなるという利点がある。なお、吸着粒子の温度が100℃よりも低いと、付着物の軟化(および/または溶融)が進みづらいため、吸着粒子が付着物を吸着する吸着効率が悪い。他方、吸着粒子の温度が220℃よりも高いと、破砕物を軟化(および/または溶融)させてしまうおそれがある。なお、吸着粒子が有する熱によって付着物の性質が変わることを物性変化という。この物性変化には、例えば付着物の粘着性(粘性)の低下などを挙げることができる。
【0027】
(第3の態様)
前記吸着粒子は、
比表面積が0.1m2/g~10m2/gであり、
平均粒子径が50~300μmである前記第1の態様のリサイクルシステム。
【0028】
(作用効果)
吸着粒子の比表面積が0.1m2/g~10m2/gであると、攪拌混合時において吸着粒子が付着物を吸着する効果が高くなる。また、吸着粒子の平均粒子径が50~300μmであると、攪拌混合時に吸着粒子が破砕物の表面全体に付着しやすくなり、かつ攪拌混合後に清浄化破砕物の表面に吸着粒子が残留しづらくなる。
【0029】
(第4の態様)
前記被処理物の破砕物は廃棄プラスチックのフレークであり、
前記付着物は食品残渣であり、
前記吸着粒子は、珪砂、珪藻土、ゼオライト、活性炭およびパーライトの群から選ばれる少なくとも1つである前記第1~第3のいずれか1つの態様のリサイクルシステム。
【0030】
(作用効果)
被処理物の破砕物が廃棄プラスチックのフレークであり、この破砕物に付着した付着物が食品残渣である場合、吸着粒子として珪砂、珪藻土、ゼオライト、活性炭およびパーライトの群から選ばれる少なくとも1つを用いることにより、破砕物の表面から付着物を除去する効果が高い。
【0031】
(第5の態様)
前記リサイクルシステムは、
前記付着物を吸着した前記吸着粒子を加熱し、前記吸着粒子から前記付着物を除去した再生吸着粒子を得る再生装置と、
前記再生吸着粒子を前記攪拌装置へ返送する返送経路と、
を有する前記第1の態様のリサイクルシステム。
【0032】
(作用効果)
本態様では、攪拌装置の後段に再生装置と返送経路を設けた。再生装置では、付着物を吸着した前記吸着粒子を加熱し、前記吸着粒子から前記付着物を除去した再生吸着粒子を得る。そして、再生装置で得た再生吸着粒子を、返送経路を介して、攪拌装置へ送る。このような態様にすることで、吸着粒子を有効利用することができるため、ランニングコストを低減することができる。また、限られた資源を有効活用することで、環境負荷を減らすこともできる。
【0033】
また、吸着粒子が再生装置で加熱されることにより、再生装置から排出される再生吸着粒子は高い温度を有することになる。そのため、このような高温になった再生吸着粒子を攪拌装置へ供給することにより、破砕物に付着した付着物を除去する効果が高くなる。これは、吸着粒子が有する熱によって付着物を溶融・軟化させることができ、吸着粒子が溶融や軟化した付着物を吸着しやすくなるためである。
【0034】
なお、攪拌装置に加熱部を設け、攪拌装置の内部で吸着粒子を加熱することで、吸着粒子の温度を上げる態様も考えられる。ただし、この場合は攪拌装置の加熱部を継続的に作動させるための電力等の動力が必要になり、ランニングコストが高くなるとともに、電力をつくるために二酸化炭素が発生するなどして地球環境にも良くない。
【0035】
本態様のように、再生装置による加熱を最大限に有効活用し、この再生装置による加熱の結果生じた再生吸着粒子が保有する熱を攪拌装置においても利用することで、ランニングコストの低減、地球環境への負荷の低減等を図ることができる。
【0036】
(第6の態様)
前記再生装置から排出される前記再生吸着粒子の温度は350~400℃であり、
前記返送経路において前記再生吸着粒子を空気輸送して前記再生吸着粒子の温度を100~220℃まで低下させた上で前記攪拌装置へ返送する、前記第5の態様のリサイクルシステム。
【0037】
(作用効果)
再生装置によって加熱されて排出される再生吸着粒子の温度が350~400℃であり、その後、再生吸着粒子を空気輸送(「空気搬送」ともいう)によって100~220℃程度に冷却しつつ攪拌装置に返送(供給)するという一連のフローのシステムにしたことで、再生吸着粒子の温度を付着物の吸着に適したものにした上で攪拌装置へ返送することができる。
【0038】
(第7の態様)
前記リサイクルシステムは、
前記被処理物の供給口、前記破砕物の排出口および前記吸着粒子の供給口を有する破砕容器と、
前記破砕容器の内部に設けられ、前記被処理物を破砕する破砕刃を有する破砕部と、
を有する破砕機を有し、
前記吸着粒子の供給口から供給される前記吸着粒子のモース硬度は5~9であり、
前記吸着粒子の供給口は、前記破砕部と前記破砕物の排出口の間に設けられており、
前記破砕容器の内部で、前記破砕部で破砕された破砕物に対して前記吸着粒子を混入させる構成とした前記第1の態様のリサイクルシステム。
【0039】
(作用効果)
吸着粒子は、攪拌装置による攪拌によって容易に破損しない強度を有することが好ましく、かつ再生処理されて繰り返し使用されるため、この観点からも所定の強度を有することが好ましい。具体的にはモース強度が5~9程度あることが好ましい。
【0040】
このような高い強度を有する吸着粒子を破砕部に供給した場合、吸着粒子によって破砕機の破砕刃を痛めてしまう可能性がある。本態様のように、破砕部の後段で吸着粒子を混入する構成としたことで、破砕部の破砕刃の損傷を防ぐことができる。
【0041】
また、破砕物と吸着粒子を接触させるタイミングが早いほど、破砕物と吸着粒子の接触時間が増えるため、破砕物に付着した付着物を吸着粒子が吸着しやすくなる。破砕物と吸着粒子の接触時間を増やすには、攪拌装置の搬送経路を長くすることも考えられるが、搬送経路を長くすると攪拌装置が大型化してしまうという不利益がある。そこで、破砕機の内部(かつ破砕部よりも下流側)に吸着粒子を供給し、破砕物と吸着粒子の接触時間を増やす構成とした。
【0042】
(第8の態様)
攪拌装置を用いて、付着物が付着した被処理物の破砕物と、吸着粒子を攪拌混合し、前記破砕物に付着した前記付着物を前記吸着粒子に吸着させ、前記付着物が除去された清浄化破砕物を得る攪拌工程と、
再生装置を用いて、前記付着物を吸着した前記吸着粒子を加熱して、前記吸着粒子から前記付着物を除去した再生吸着粒子を得る再生工程と、
前記再生工程で得た再生吸着粒子を、前記攪拌混合を行う攪拌装置に返送する返送工程と、を有することを特徴とするリサイクル方法。
【0043】
(作用効果)
前記第5の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
(第9の態様)
前記攪拌装置に供給する吸着粒子は100~220℃の温度を有し、
前記再生装置から排出される再生吸着粒子の温度は350~400℃の温度を有し、
前記返送工程において、
前記返送工程において、前記再生吸着粒子を空気輸送して前記再生吸着粒子の温度を100~220℃まで低下させた上で前記攪拌装置へ返送する前記第8の態様のリサイクル方法。
【0045】
(作用効果)
前記第6の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、臭気処理や排水処理の負担が少ない被処理物のリサイクルシステム及びリサイクル方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明に係るリサイクルシステムの概略全体図である。
【
図2】本発明に係るリサイクル方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきでない。
【0049】
(被処理物A)
図1に第一実施形態に係るリサイクルシステム1を示した。本発明に係るリサイクルシステム1によってリサイクル処理される被処理物Aとして廃棄プラスチック類を例示することができる。そしてこの廃棄プラスチック類として、廃プラスチック(不要になって廃棄されたプラスチック)や、プラスチックの製造過程で生じるプラスチックの破片を例示することができる。
【0050】
このリサイクルシステム1は特に外面が汚れた廃プラスチックをマテリアルリサイクルする際に効果を発揮する。例えば、食品残渣等の有機物が外面に付着した廃プラスチックをマテリアルリサイクルする際に用いることができる。前記のとおり、食品残渣等の有機物が外面に付着した廃プラスチックをマテリアルリサイクルする際は臭気処理や排水処理の問題が大きいが、このリサイクルシステム1によれば臭気処理や排水処理の負担が少ないという利点がある。
【0051】
以下の説明においては、被処理物Aに付着している汚れを付着物という。この付着物としては、前述した食品残渣等の有機物や粘着物などを例示することができる。より具体的には、付着物として、ごはん、パスタ麺類、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、チーズ、食用油などを挙げることができる。
【0052】
(輸送機械2)
被処理物A(被処理物Aの表面に付着物が付着している。以下の説明において同じ。)は輸送機械2によって破砕機3に供給される。この輸送機械2として
図1に示したようなベルトコンベアを例示することができるが、ベルトコンベアに限定されるものではなく、スクリューフィーダーやバケットエレベーターなど他の機械を用いてもよい。
【0053】
(破砕機3)
輸送機械2によって運ばれた被処理物Aが破砕機3内に供給される。この破砕機3として
図1に示したような一軸破砕機を例示することができる。この一軸破砕機3は、上方から下方へ向かって次第に段階的に窄まった形状をした胴部4Aと、当該胴部4Aの下側に配置され、円錐状に窄まった形状をしたホッパー4Bとを有する破砕容器4と、この胴部4A内に配置された破砕部5を有する。この破砕部5は、水平方向に延出する回転軸5Aと、この回転軸5Aの外周面に周方向に沿って複数個配置された回転刃5Bとを有しており、図示しない動力供給手段(例えばモータ)によって回転軸5Aが回転すると、その回転に伴って回転刃5Bも回転する構造になっている。
図1では回転軸が反時計回りに回転するため、それに伴って回転刃も反時計回りに回転することになる。破砕容器4の天面に設けられた被処理物Aの供給口4E(「被処理物供給口」ともいう。以下同じ。)から落下した被処理物Aは破砕部5の上に落下し、回転する回転刃5Bによって破砕され、平均直径10~25mm程度の破砕物C(例えば廃プラスチックのフレーク)になる。なお、破砕物Cは被処理物Aを単に破砕したものであるため、被処理物Aの表面に付着していた付着物は、破砕物Cの表面に付着した状態になっている。このことは、以下の説明においても同様である。
【0054】
以上のようにして破砕部5による破砕によって生じた破砕物CはホッパーBへ落下する。ここで、この破砕物Cに対して吸着粒子Bを混入させるため、ホッパーBへ吸着粒子Bを供給することが好ましい。
図1に示す実施形態では破砕容器4の胴部4Aの下方に設けた吸着粒子Bの供給口4C(「吸着粒子供給口」ともいう。以下同じ。)から吸着粒子Bを供給している。この吸着粒子供給口4Cを設ける位置はこの位置に限定されるものではないが、例えば胴部4Aの天面に吸着粒子供給口4Cを設けることは好ましくない。吸着粒子供給口4Cを胴部4Aの天面に設けると、吸着粒子Bが落下して破砕部5の回転刃5Bに衝突する可能性が高く、その衝突によって回転刃5Bが摩耗してしまう可能性が高いからである。なお、被処理物Aは一般的に軽いものが多いため(被処理物Aの代表例として廃プラスチックを挙げることができる)、被処理物Aの供給口4Eを胴部4Aの上方に設けることは構わない。
【0055】
以上のように破砕物Cに吸着粒子Bを混入し、破砕物Cの外面に付着した付着物をこの吸着粒子Bによって吸着させることが好ましい。破砕物Cの外面に付着した付着物が液状である場合、吸着粒子Bがこの液状の付着物を吸着し、破砕物Cの外面から液状成分が失われて乾燥することになる。吸着粒子Bをこのような性質から捉えるならば、吸着粒子Bは吸着乾燥粒子Bと言い換えることもできる。
【0056】
破砕物Cに吸着粒子Bを混入すると、破砕物Cに付着している付着物(例えばごはんのような付着物)に吸着粒子Bが付着し、破砕物C、付着物および吸着粒子Bの凝集体(フロック)が生じる。または、吸着粒子Bは付着物(例えばごはんのような付着物)に付着して前述の凝集体となった後、吸着粒子Bは付着物を吸着した状態で破砕物Cから離れる。その結果、付着物がなくなった破砕物Cと、付着物を吸着した吸着粒子Bが生じる。または、吸着粒子Bは付着物に付着せずに、付着物(例えば食用油のような付着物)を吸収(吸収も「吸着」の一種)する。この場合は前述の凝集体は生じず、付着物がなくなった破砕物Cと、付着物を吸着した吸着粒子Bが生じる。以上のように、破砕物Cに吸着粒子Bを混入した結果、様々な状態のものが生じる。どのような状態になるかは、付着物の種類や量、破砕物Cに付着している面積や厚さなどによって異なる。
【0057】
なお、吸着粒子Bの種類は特に限定されず、破砕物Cの外面に付着した付着物の種類によって適宜変更することが好ましい。例えば付着物が食品残渣の場合は、珪砂、珪藻土、ゼオライト、活性炭、パーライトなどを用いることが好ましい。
【0058】
吸着粒子Bの比表面積が大きいと、破砕物Cの外面に付着した付着物を吸着する効果が高くなる。そのため、吸着粒子Bの比表面積を0.1m2/g~10m2/gにすることが好ましく、0.2m2/g~0.4m2/g程度にすることがより好ましい。
【0059】
また、吸着粒子Bの平均粒子径は、50~300μmにすることが好ましく、80~150μmにすることがより好ましい。平均粒子径が50μmよりも小さいと、吸着粒子Bの質量が小さいため、吸着粒子Bを破砕物Cから剥離しづらい。他方、平均粒子径が300μmよりも大きいと、質量当たりの付着物の吸着量が少ないため、吸着粒子Bの供給量を多くしなければならない。吸着粒子Bの平均粒子径を前記範囲にすることで、吸着粒子Bが破砕物Cの表面の全面に付着しやすくなり、さらに、後段の攪拌装置6の内部で、吸着粒子Bと破砕物Cを分離させやすく、破砕物Cの表面に吸着粒子Bが残留しにくくなる。なお、平均粒子径はJIS Z 8825:2013に準拠して測定することができる。
【0060】
吸着粒子Bの圧縮強度は500~1500kg/cm2にすることが好ましく、700~1200kg/cm2にすることがより好ましい。また、吸着粒子Bのモース硬度は5~9であることが好ましく、6~8であることがより好ましい。
【0061】
後述のように吸着粒子Bは加熱することで再生させるため、このような繰り返し行われる加熱処理に対して耐性を有するものが好ましい。具体的には、吸着粒子Bの高温安定性は600~1000℃であることが好ましく、800~1000℃であることがより好ましい。また、吸着粒子Bの融点は1200~1800℃であることが好ましく、1300~1700℃であることがより好ましい。
さらに吸着粒子Bはコストが安く市場で入手しやすいものが好ましい。
【0062】
なお、吸着粒子Bの供給口4Cからホッパー4B内に供給する吸着粒子Bの温度(または攪拌装置6に供給する吸着粒子Bの温度)は100~220℃にすることが好ましく、150~200℃にすることがより好ましい。吸着粒子Bの温度を前記範囲にすることで、例えば次のような効果を得ることができる。すなわち、吸着粒子Bが有する熱によって油脂などの付着物を溶融・軟化させることができ、吸着粒子Bが溶融や軟化した付着物を吸着しやすくなる。
【0063】
また、吸着粒子B(例えば珪砂)の熱損失を少なくすることもできる。すなわち、再生装置11で加熱されて排出される吸着粒子B(再生吸着粒子F)の温度が350~400℃程度であり、その後に吸着粒子Bは空気搬送によって100~220℃程度に冷却されつつ攪拌装置6に返送(供給)され、その攪拌装置6から排出されて再生装置11へ供給される吸着粒子Bの温度を40~60℃程度にするという一連のフローのシステムにしたことにより、熱損失が少なく、再生装置11における加熱エネルギーを節約することができる。
【0064】
さらに、後段の洗浄装置WMにおける水洗浄を効率化することができる。この点については後で詳述する。
【0065】
なお、ホッパー4B内に供給する吸着粒子Bの温度が100℃よりも低いと、付着物の溶融や軟化が進みづらいため、吸着粒子Bが付着物を吸着する吸着効率が悪い。他方、ホッパー4B内に供給する吸着粒子Bの温度が220℃よりも高いと、破砕物Cを溶融や軟化させてしまうおそれがある。破砕物Cが収縮変形するものである場合、例えば破砕物Cがプラスチックのフレークである場合、破砕物Cに吸着粒子Bが伝熱すると、この破砕物Cが収縮変形して付着物を巻き込む(包み込む)可能性があり、この場合に付着物の隔離が困難になるおそれがある。特に、破砕物Cが特に軟質プラスチックである場合にこの傾向が高い。なお、破砕物Cの収縮変形の度合いが小さい場合であれば、伝熱による破砕物Cの物性変化によって、逆に破砕物Cから付着物が剥離しやすくなることがあるが、吸着粒子Bの温度が220℃よりも高いと、破砕物Cの収縮変形の度合いが大きくなり、前記付着物の巻き込みの可能性が高くなるため、好ましくない。
【0066】
以上の各条件を考慮すると、吸着粒子Bとして珪砂を用いることが最も好ましい。そして、その珪砂Bの平均粒径を50~300μmにすることが好ましく、80~150μmにすることがより好ましい。珪砂Bの平均粒径が50μmよりも小さいと、吸着粒子Bが破砕物Cから剥離しづらくなるおそれがある。珪砂Bの平均粒径が300μmよりも大きいと、珪砂Bの比表面積が小さく、吸着容量が少ないため、珪砂Bの供給量を増やさなければならないおそれがある。
【0067】
吸着粒子Bが破砕物Cの外面に付着した付着物を吸着する量(吸着量)は、破砕機3に供給する吸着粒子Bの質量を100%としたときに、20~30%程度である。したがって、破砕物Cに付着している付着物の量を予測し、その予測値に基づいて破砕機3に供給する吸着粒子Bの量を決定するとよい。
【0068】
なお、以上の説明では破砕機3として一軸破砕機を用いる例を示したが、破砕機3はこの一軸破砕機に限定されるものではなく、被処理物Aを平均直径10~25mm程度に破砕することができる他の破砕機に変更してもよい。このような他の破砕機としては二軸破砕機、シュレッダーなどを例示することができる。
【0069】
前述のように、
図1の実施形態では破砕部5の回転刃5Bの回転によって被処理物Aが破砕されて破砕物Cが生じる。その後、破砕容器4のホッパー4B内でこの破砕物Cに吸着粒子Bが混入され、この破砕物Cと吸着粒子Bは流下流路7(
図1の実施例では、投入用のシュート)を通って攪拌装置6へ送られる。なお、破砕容器4のホッパー4B内では破砕物Cと吸着粒子Bが合流するだけであり、ホッパー4B内で破砕物Cと吸着粒子Bの積極的な攪拌が行われるわけではない。
【0070】
なお、
図1の実施形態では、吸着粒子Bと破砕物Cをホッパー4B内で合流させる形態にしたが、このような形態に限られず、破砕前の被処理物Aと吸着粒子Bを混合させてから破砕部5で破砕する態様にしてもよい。このような形態にした場合、破砕部5による破砕時に被処理物Aと吸着粒子Bが混合するため、早い段階で吸着粒子Bが被処理物Aの付着物を吸着できるという利点がある。ただし、吸着粒子Bは硬度が高いため、吸着粒子Bを破砕部5に供給すると、回転刃5Bが傷む可能性がある。このような観点も含めて総合的に考慮すると、
図1の実施形態のように、ホッパー4B内で吸着粒子Bと破砕物Cを合流させるようにすることが好ましい。
【0071】
(攪拌装置6)
破砕機3の破砕物排出口4Dから排出された破砕物Cおよび吸着粒子Bは攪拌装置6に供給される。なお、攪拌装置6に供給される破砕物Cは、その破砕物Cの表面に吸着粒子Bが付着した状態で供給されるものもあるが、吸着粒子Bが付着しない状態で供給される破砕物Cが多い。同様に、攪拌装置6に供給される複数個の吸着粒子Bは、破砕物の表面に付着した状態で供給されるものもあるが、破砕物Cの表面に付着していない状態で供給される吸着粒子Bが多い。すなわち、吸着粒子Bが付着した破砕物C、吸着粒子Bが付着していない破砕物C(破砕物Cのみの状態)、破砕物Cに付着していない吸着粒子Bの3態様の物が攪拌装置6に供給される。
【0072】
なお、
図1の攪拌装置6では吸着粒子Bの供給口と破砕物Cの供給口を共通の共通口8Cにしているが、吸着粒子Bの供給口と破砕物Cの供給口を別々の供給口にしてもよい。すなわち、破砕機5の内部で吸着粒子Bと破砕物Cを混合させるのではなく、攪拌装置6の内部で初めて吸着粒子Bと破砕物Cを混合させる形態にしてもよい。ただし、吸着粒子Bと破砕物Cの混合度合いを高くして、できるだけ多くの吸着粒子Bを破砕物Cの付着物に付着させるためには、吸着粒子Bと破砕物Cをできるだけ早い段階で混合することが好ましい。そのため、前述のホッパー4B内で吸着粒子Bを破砕物Cに混入させた上でその混合物を攪拌装置6へ移送する形態にする方が好ましく、このような観点からすると、
図1のように吸着粒子Bの供給口と破砕物Cの供給口を共通の共通口8Cにすることが好ましい。
【0073】
図1に示す実施形態では攪拌装置6としてトロンメルを用いている。ただし、本発明に係る攪拌装置6はトロンメルに限られるものではなく、一軸
攪拌機、二軸
攪拌機、傾倒式
攪拌機などの他の攪拌装置6を用いることもできる。
【0074】
図1に示した攪拌装置6(トロンメル)は、パンチングメタル等の網目状の板材を筒状に成形した回転篩8Aと、この回転篩8Aの一端側LSおよび他端側RSに回転篩8Aと連続して設けられた筒状の回転混合分級体8Bと、を有する回転筒8と、回転筒8を回転させる回転機構9を有する。なお、
図1に示す回転篩8Aの位置は任意に変更することができ、
図1の位置よりも一端側LS寄りまたは他端側RS寄りにすることができる。ただし、吸着粒子Bと破砕物Cを良く混合することが好ましいため、回転篩8Aの位置はできるだけ回転筒8の他端側RS寄りに設けることが好ましい。
【0075】
回転筒8(回転篩8Aと回転混合分級体8B)の形状は円筒形のものを例示することができるが、必ずしも円筒形に限られるものではなく、角筒形(例えば、回転筒8の断面が四角形や六角形のもの)などの任意の筒形に変更してもよい。ただし、回転筒8の内部を通過する破砕物Cや吸着粒子Bに遠心力をかけやすくするためには、角筒型よりも円筒形にすることが好ましい。なお
図1の回転筒8の内部には攪拌羽根が設けられており、吸着粒子Bおよび破砕物Cを攪拌しながら、これらを後述の排出口8D、8Eに移送する。
【0076】
回転筒8は回転筒8の軸心を水平方向からやや傾けるように配置することが好ましく、具体的には吸着粒子Bおよび破砕物Cの供給口8Cを設けた側(「一端側」ともいう。)の高さをやや高くし、吸着粒子BやフロックEの排出口8Dと清浄化破砕物Dの排出口8Eを設けた側(「他端側」ともいう。)の高さをやや低くすることが好ましい。
【0077】
また回転筒8には前述の回転機構9が設けられている。
図1の回転機構9は、動力源となるモータ9Aと、このモータ9Aと接続され回転筒8の周囲を囲むように複数本設けられたシャフト9Bと、シャフト9Bの長手方向に所定の間隔を空けながら複数個設けられたドーナツ型の車輪部9C(車輪部9Cの中心に設けられた貫通孔にシャフト9Bが挿入されている)とを有している。この車輪部9Cの周壁は回転混合分級体8Bの周壁と接しており、車輪部9Cが回転することにより回転混合分級体8Bが回転する(摺動する)構成になっている。そして、モータ9Aによってシャフト9Bに伝達された回転動力は、シャフト9Bとともに回転する車輪部9Cから回転筒8に伝達され、それにより回転筒8が回転する。
【0078】
上記に例示したような構成の攪拌装置6において、供給口8Cから回転筒8内に供給された吸着粒子Bおよび破砕物Cは、回転筒8の回転と攪拌羽根の回転により、回転筒8内で回転しつつ、一端側LSから他端側RSへ移動する。その移動過程で、吸着粒子Bと破砕物Cは互いによく混合され、破砕物Cの表面に付着した様々な付着物に吸着粒子Bが付着する。すなわち、吸着粒子Bは破砕物Cの外表面にある付着物に付着し、それが凝集してフロックE(凝集体)を形成する。
【0079】
上記のようにして生成されたフロックEは、ある一定の大きさ以上になると回転筒8と攪拌羽根の回転運動(攪拌運動)によって凝集状態が解かれ、破砕物Cと吸着粒子Bとに分離する。この分離により、フロックEに含まれる付着物が破砕物Cから剥離され、吸着粒子Bがその付着物を持ち去ることになるため、結果として破砕物Cの外表面から付着物が除去され、破砕物Cをほぼ完全にドライ洗浄することが可能となる。
【0080】
以上のようにして、外表面の付着物が剥離されて綺麗になった破砕物(この破砕物を「清浄化破砕物D」という。他の段落の記載においても同様。)は、回転筒8の他端側RSに設けられた破砕物排出口8Eから排出され、後段の水等を用いた洗浄装置(WM)へと送られる。
【0081】
他方、付着物を吸着した吸着粒子B(付着物を吸着した吸着粒子Bを「フロックE」という。他の段落の記載においても同様。)は、回転筒8の他端側RSの回転篩8Aに設けられたフロック排出口8Dから排出される。このフロック排出口8Dは、回転篩8Aに設けられたパンチング等の複数の孔部からなり、この孔部を通って回転篩8Aの外側にフロックEが排出される。なお、この孔部からはフロックE以外にも、付着物を吸着しなかった吸着粒子Bも排出される。孔部から排出されるフロックEと、付着物を吸着しなかった吸着粒子Bの割合は、回転筒8に供給される吸着粒子Bや破砕物Cの量、破砕物Cに付着した付着物の量、回転筒8内における吸着粒子Bと破砕物Cの混合度合いによる。なお、以下の説明においては、孔部8Eから排出されたフロックEと吸着粒子Bを総称して「使用済吸着粒子」Hという。
【0082】
孔部8Eから排出された使用済吸着粒子Hは、フロック排出口8Dの下方(下側)DSに設けられたホッパー10を通って、再生装置11へ送られる。なお、使用済吸着粒子Hを再生装置11へ移送する際は、コストの削減やコンタミの防止等のため、ベルトコンベアなどは用いずに、
図1に示すような自由落下により行うことが好ましい。
【0083】
なお、孔部8Eから排出されるフロックEと吸着粒子Bの温度は40~60℃程度になっている。前述のとおり、ホッパー4B内に供給される吸着粒子Bの温度は100~220℃であるため、攪拌装置6の内部の混合分級過程で40~180℃程度、温度が低下することになる。この温度低下の理由は、吸着粒子Bが保有していた熱が破砕物Cに熱移動したことによる。
【0084】
すなわち、攪拌装置6の上流側では吸着粒子Bと破砕物Cを攪拌混合し、破砕物Cに付着した付着物を吸着粒子Bが吸着するドライ洗浄を行うが、このドライ洗浄時に吸着粒子Bの保有熱が前記付着物に熱移動することで、この付着物が加熱されて、付着物が破砕物Cの表面から剥離しやすくなる。付着物の温度が上昇する(熱移動によって加熱される)ことにより、付着物の物性が変化して粘性(粘着性)が低下したり、付着物の流動性が高まったりするためである。また、吸着粒子Bは攪拌混合によって破砕物Cにも接触するため、吸着粒子Bの保有熱は破砕物Cにも熱移動して、破砕物Cの温度が上昇して破砕物Cの物性が変わる(変性する)ことによって、破砕物Cから付着物が剥離しやすくなる(破砕物Cに対して新たに付着物が付着しにくくもなる)ことも要因となる。
【0085】
なお、前述のようにして付着物が取り除かれた破砕物C(清浄化された破砕物C)は、清浄化破砕物Dとして排出口8Eから排出されるが、この清浄化破砕物Dの温度が高いことにより、後工程の洗浄装置WMにおける洗浄効果を上げることができる。すなわち、洗浄装置WMでは主に水を用いた水洗浄が行われるが、清浄化破砕物Dの温度が高いことにより、清浄化破砕物Dの表面に多少残っている付着物が水溶媒に溶けやすくなり、洗浄効率を上げることができる。また、清浄化破砕物Dの温度が高いと、洗浄水の温度を高くすることができるため、この点からも清浄化破砕物Dの洗浄効果を上げることができる。さらに、清浄化破砕物Dの温度が高いと、水切りや乾燥もしやすくなるという効果もある。
【0086】
なお、
図1の実施例では、100~220℃の吸着粒子Bを攪拌装置6へ供給する態様にしているが、このような態様に限られるものではない。例えば、攪拌装置6に加熱部(図示しない)を設け、攪拌装置6の内部でこの加熱部により吸着粒子Bを約100~220℃まで加熱してもよい。ただし、攪拌装置6に加熱部を設けた場合は、吸着粒子Bを加熱するための電力などが必要になるという不都合がある。他方、
図1の実施形態では、再生装置11で加熱された再生吸着粒子Fが保有する熱を利用しているため、攪拌装置6に加熱部を設けなくても良いという利点がある。すなわち、再生装置11の内部で使用済吸着粒子Hが加熱される結果、再生装置11から排出される再生吸着粒子Fは約350~400℃にまで上昇している。その後の移送経路で温度低下することは避けられないが、攪拌装置6に返送する際に約100~220℃程度の熱を保有しているため、
図1の実施例では攪拌装置6に加熱部を設けなくても良い。
【0087】
(再生装置11)
吸着粒子Bを再生するための再生装置11では前記使用済吸着粒子Hを加熱する。
【0088】
図1の実施形態では再生装置11としてスクリューコンベアを用いている。この再生装置11は、円筒状(角筒などの他の筒形であってもよい)の搬送容器12と、この搬送容器12の内部に設けられた搬送手段13(
図1の実施形態ではスクリュー)と、搬送手段13を回転させる回転機構14(
図1の実施形態ではモータ14Aと、モータ14Aに接続されたシャフト14Bと、を有する。なお、シャフト14Bはスクリュー13と接続されている。)と、加熱手段15(
図1の実施形態では電熱線15Aと、電熱線15Aに電力を供給するコネクタ(スリップリング)15B)と、を有する。
図1に示す電熱線15(加熱手段)は、搬送容器12の外壁(フロックE等は重力落下により主に搬送容器12の下側を移動するため、主に搬送容器12の下側壁面を加熱する。)と、スクリュー13と、シャフト14Bの内部に設けられており、搬送容器12とスクリュー13とシャフト14Bをそれぞれ加熱する。特にスクリュー13のスクリュー羽根の温度を高めておくことにより、フロックEや吸着粒子B(例えば珪砂など)がスクリュー羽根に固着することを防止することができる。
【0089】
使用済吸着粒子Hは、搬送容器12の他端側DSに設けられた供給口12Aから濾過容器12の内部に供給され、スクリューコンベア13によって搬送容器12の一端側LSへ搬送され、搬送容器12の一端側LSに設けられた排出口12Bから排出される。使用済吸着粒子Hは、搬送容器12の内部を移動する過程で、加熱された搬送容器12や、加熱されたスクリュー13や、加熱されたシャフト14Bと接触することによって、間接的に加熱される。なお、この加熱温度(加熱された濾過容器12、スクリュー13およびシャフト14Bの温度)は450~700℃にすることが好ましく、500~600℃にすることがより好ましい。
【0090】
再生装置11で使用済吸着粒子Hを加熱する結果、供給口12Aから供給された際に約40~60℃であった使用済吸着粒子Hは、排出口12Bから排出される際には約350~400℃にまで温度が上昇している。以上のように使用済吸着粒子Hを加熱することにより、フロックEの付着物(吸着粒子Bに付着した付着物)は過熱によって蒸発、炭化、加水分解および/または脱臭されてヒュームGとなり、フロックEの吸着粒子Bは再生されて元の吸着性能を回復する。そして、(1)付着物が過熱されて生成したヒュームG、(2)加熱により吸着性能を回復した吸着粒子B、および(3)再生装置11に供給する際に付着物を吸着していなかった(もともと吸着性能を失っていなかった)吸着粒子Bは、排出口12Bから排出される。なお、排出口12Bから排出される前記(1)~(3)の物質のうち、(2)の吸着粒子Bと(3)の吸着粒子Bを合わせて再生吸着粒子Fという。
【0091】
(固気分離装置20)
以上のようにして再生装置11から排出された再生吸着粒子FとヒュームGは、後段に設けられた吸引装置18(例えば吸引ブロア)によって吸引され、(再生吸着粒子の)輸送経路16(例えば返送用の管)を通過して、固気分離装置20の供給口20Aから固気分離装置20内に供給される。なお、再生吸着粒子Fの温度は、輸送経路16を通る過程で、および後述の貯留タンク17に貯留される過程で、次第に低下する。具体的には、排出口12Bから排出される際に約350~400℃であった再生吸着粒子Fの温度は、貯留タンク17の内部で約200~250℃になる。
【0092】
固気分離装置20の内部には固気分離フィルタ19が設けられている。固気分離装置20に送られたヒュームGはこの固気分離フィルタ19によって捕捉される。ヒュームGが取り除かれた清浄な空気は、気体排出口12Bを通って外気OUTに排出される。他方、再生装置20に供給された再生吸着粒子Fは、固気分離フィルタ19に捕捉された後、固機分離フィルタ19に施される定期的なエアパレスによって固機分離フィルタ19から剥がれ落ち、再生吸着粒子排出口12Cを通って、貯留タンク17へと送られる。
【0093】
なお、固気分離フィルタ19は、ヒュームGの捕捉効率が高く、かつ耐熱性の高いもの(固気分離装置20に供給される再生吸着粒子FやヒュームGの温度が高いため)が好ましい。具体的にはPPS(ポリフェニレンサルファイド)により形成したPPSフィルタや、テフロン(登録商標)フィルタ、金属フィルタ、セラミックフィルタなどを用いることができる。
【0094】
(貯留タンク17)
固気分離装置20から自由落下により排出された再生吸着粒子Fは、貯留タンク17の容器(貯留容器)17Aの天面に設けられた再生吸着粒子供給口17Bから貯留タンク17内に供給されて貯留される。なお、貯留容器17Aの天面には、再生吸着粒子Fではなく、新たな吸着粒子Bの供給口17Cも設けられている。そのため、貯留タンク17内には、吸着粒子Bと再生吸着粒子Fが混ざった状態で貯留されていることになる。ただし、再生吸着粒子Fの吸着性能は吸着粒子Bと遜色ないものであり、供給口17Cから新たに供給される吸着粒子Bと同一視できるものであるため、以下の説明においては、貯留タンク17に貯留されている粒子を吸着粒子Bと総称する。
【0095】
図1の貯留タンク17の容器(貯留容器)17Aは、円筒形の胴部17Aaとその胴部17Aaの下側に設けられたロート状のホッパー17Abを有しており、そのホッパー17Abの下端部に吸着粒子Bの排出口17Dが設けられている。
【0096】
この排出口17Dの下方には、吸着粒子Bの供給量を制御する供給量制御手段21(例えばスクリューフィーダー、テーブルフィーダーなど)が設けられている。貯留タンク17内に貯留されている吸着粒子Bは、供給量制御手段21により供給量を制御されながら、圧縮空気CARにより加圧輸送され、吸着粒子供給経路22を通って破砕機3へ供給される。
【0097】
(付着物)
次に被処理物Aに付着した付着物の流れの概要について説明する。被処理物Aに付着した付着物は、破砕機3の内部で破砕物Cが生じた際に、その破砕物Cに付着した状態になっている。そして、破砕物Cは攪拌装置6へ送られ、攪拌装置6の内部で吸着粒子Bに付着し、破砕物Cから離れる。付着物が除去された破砕物Cは清浄化破砕物Dとして洗浄装置WMへ送られる。清浄化破砕物Dが攪拌装置6から排出される際に、清浄化破砕物Dの表面に付着物が多少残存している場合もあるが、この残存している付着物は洗浄装置WMの洗浄により、清浄化破砕物Dの表面から除去される。他方、攪拌装置6で付着物を吸着した吸着粒子Bは再生装置11へ送られる。
【0098】
再生装置11の内部では、吸着粒子Bが高温に加熱されるため、吸着粒子Bに付着していた付着物(主に固形物)の大部分は、酸化され、熱分解されて、二酸化炭素(CO2)や水(H2O)に変換される。また、吸着粒子Bに付着していた付着物(主に水溶液)は蒸発した後に熱分解する。他方、吸着粒子Bに付着していた付着物(主に固形物)の一部は微小な固体粒子(ヒュームG)になる。このヒュームGは無機粒子であり、カーボンを主とするもので、その中には吸着粒子B(例えば珪砂)が摩耗して生じた摩耗粒子なども含まれる。
【0099】
再生装置11で生じた前述の水蒸気、ガス、ヒュームなどは、後段の固気分離機20へ送られ、固気分離機20に備えられた固気分離フィルタ19によって固気分離される。水蒸気やガスはこのフィルタ19を通過し、外気OUTへ排出される。他方、ヒュームGは固気分離フィルタ19に捕捉される。固気分離フィルタ19に捕捉されたヒュームGは、間欠的なエアパルスなどによって固気分離フィルタ19から剥離され、貯留タンク17へ落下する。
【0100】
貯留タンク17内に落下したヒュームGは、吸着粒子Bとともに攪拌装置6へ供給される。攪拌装置6に供給されたヒュームGの一部は、吸着粒子とともに再生装置11へ送られ、再生装置11の内部で加熱されることで、酸化し、熱分解される。他方、攪拌装置6に供給されたヒュームGの残部は、清浄化破砕物Dに付着して洗浄装置WMへ送られ、この洗浄装置WMで剥離され、回収される。
【0101】
(返送経路)
再生装置11から排出された再生吸着粒子Fを攪拌装置6に返送する経路を返送経路という。
図1の実施例では、輸送経路16および吸着粒子供給経路22が返送経路に該当するが、この実施例に限定されるものではない。すなわち、再生装置11から排出された再生吸着粒子Fを攪拌装置6に返送することができれば、他の経路に変更してもよい。なお
図1の実施例では、再生装置11から排出された再生吸着粒子Fが固気分離機20、貯留タンク17、破砕機3および投入シュート7も通過しているため、これらの機器等も返送経路の一部であるということもできる。
【0102】
(リサイクル方法)
次に被処理物Aのリサイクル方法について、
図2を参照しながら説明する。このリサイクル方法を実施するためには、例えば
図1に示すリサイクルシステムを用いることができる。ただし、
図1に示すリサイクルシステムを用いることに限定するものではなく、当該リサイクル方法が実現できるのであれば、他の構成のリサイクルシステムを用いても良い。
【0103】
(S1(ステップ1)…破砕工程)
表面に付着物が付着した被処理物Aは輸送機械2によって移送され、破砕機3に供給される。破砕機3に供給された被処理物Aは破砕部5で破砕されて細片化(薄片化)され、破砕物Cとなる。この破砕物Cの表面には、被処理物Aに付着していた付着物が付着している。
【0104】
(S2(ステップ2)…攪拌工程)
表面に付着物が付着した破砕物Cは攪拌装置6に供給される。この攪拌装置6には吸着物質Bも供給される。破砕物Cと吸着物質Bは攪拌装置6の内部で攪拌され、破砕物Cの表面に付着していた付着物を吸着物質Bが吸着する。そして、付着物を吸着した吸着物質Bと、付着物が取り除かれた破砕物C(「清浄化破砕物D」という。)が分級される。清浄化破砕物Dは、洗浄装置WMへ送られ、水などの洗浄液によって洗浄される。
【0105】
(S3(ステップ3)…再生工程)
付着物を吸着した吸着物質B(「フロック」という。)と付着物を吸着しなかった吸着物質Bは、再生装置11へ送られる。なお、付着物を吸着した吸着物質Bと付着物を吸着しなかった吸着物質Bを総称して「使用済吸着粒子」Hという。再生装置11へ送られた使用済吸着粒子Hは、再生装置の内部で高温に加熱される。吸着粒子Bが吸着していた付着物は酸化され、熱分解され、二酸化炭素や水などに変換される。再生装置11による加熱の過程で、付着物の一部はヒュームGになる。他方、吸着粒子Bからは付着物が除去され、吸着性能が回復する。この吸着性能が回復した吸着粒子Bを「再生吸着粒子」Fという。
【0106】
(S4(ステップ4)…分離工程)
再生吸着粒子FとヒュームGは、固体と気体を分離する固気分離装置20へ送られる。この固気分離装置20の内部には固気分離フィルタ19が設けられており、このフィルタ19により、再生吸着粒子FやヒュームGと、気体が分離される。再生吸着粒子FやヒュームGとともに再生装置11から排出された気体は、前記フィルタ19を通過することにより清浄化され、清浄化された気体(清浄化空気)は外気OUTに排気される。他方、再生吸着粒子Fは固気分離フィルタ19の外面に付着した後、定期的なエアパルスによってふるい落とされ、貯留タンク17内に貯留される。
【0107】
(S5(ステップ5)…貯留工程)
貯留タンク17には、固気分離装置20で分離された前記再生吸着粒子Fが貯留される。この貯留タンク17には、再生吸着粒子Fではなく、新たな吸着粒子(「新吸着粒子」ともいう。)も供給され、再生吸着粒子Fとともに貯留される。なお、新吸着粒子と再生吸着粒子Fを総称して吸着粒子Bという。貯留タンク17に貯留されている吸着粒子Bは、必要に応じて攪拌装置6へ送られ、新たな破砕物Cと混合される。
【0108】
(その他の工程)
以上のように、前記再生装置11で再生されて排出された吸着粒子B(再生吸着粒子F)は、前記
図1の説明で記述したように、空気輸送されて最終的に攪拌装置6へ送られる。そして、この空気輸送によって吸着粒子B(再生吸着粒子F)は自然に冷却される。具体的には、再生装置11の排出口から排出された際に350~400℃程度であった再生吸着粒子Fの温度は、攪拌装置6に供給される際には、100~220℃程度になる。このように再生装置11から排出された再生吸着粒子Fが攪拌装置6に返送されるまでの工程を返送工程という。
【0109】
前述の説明においては、返送工程の中に分離工程や貯留工程が含まれていることになる。ただし、この分離工程や貯留工程は必ず設けなければならないものではなく、それらの工程を任意に省略することもできる。
【0110】
(その他)
前記の説明では、吸着粒子Bと破砕物Cを攪拌装置6で混合することを説明したが、吸着粒子Bと破砕物Cを破砕機3の内部で混合してから、攪拌装置6へ送るフローにしてもよい。なお、前記の分離工程以降の説明では、ヒュームGのフローについては説明しなかったが、このヒュームGの流れについては、リサイクルシステム1の説明の欄に記載したとおりである。
【符号の説明】
【0111】
1…リサイクルシステム、2…輸送機械(例:ベルトコンベア)、3…破砕機、4…破砕容器、4A…胴部、4B…ホッパー、4C…(吸着粒子の)供給口、4D…(吸着粒子と破砕物の)排出口、4E…(被処理物の)供給口、5…破砕部、5A…回転軸、5B…回転刃、6…攪拌装置、7…流下流路、8…回転筒、8A…回転篩、8B…回転混合分級体、8C…(吸着粒子と破砕物の)供給口、8D…(フロックの)排出口、8E…(破砕物の)排出口、9…回転機構、9A…動力源(例えばモータ)、9B…シャフト、9C…車輪部、10…ホッパー、11…再生装置、12…搬送容器、12A…(フロック等の)供給口、12B…(再生した吸着粒子の)排出口、13…搬送手段(例えばスクリュー)、14…回転機構、14A…動力源(例えばモータ)、14B…シャフト、14C…回転コネクタ、15…加熱手段(例えば電熱線)、16…(再生吸着粒子の)輸送経路(再生吸着粒子の返送経路でもある)、17…貯留タンク、17A…貯留容器(貯留タンクの容器)、17B…再生吸着粒子供給口(再生吸着粒子の供給口)、17C…新吸着粒子供給口(新たな吸着粒子の供給口)、17D…吸着粒子排出口(吸着粒子の排出口)、18…吸引装置(例えば吸引ブロア)、19…固気分離フィルタ、20…固気分離装置、20A…(再生吸着粒子とヒュームの)供給口、20B…(浄化された気体の)排出口、21…供給量制御手段、22…吸着粒子供給経路(再生吸着粒子の返送経路でもある)、A…被処理物(例えば廃プラスチック)、B…吸着粒子、C…破砕物(例えば廃プラスチックのフレーク)、D…清浄化破砕物、E…フロック、F…再生吸着粒子、G…ヒューム、H…使用済吸着粒子、WM…洗浄装置、HD…高さ方向、TS…上側(上方)、DS…下側(下方)、LT…横方向、LS…一端側(
図1の左側)、RS…他端側(
図1の右側)、OUT…外気
【要約】
【課題】臭気処理や排水処理の負担が少ない被処理物のリサイクルシステム及びリサイクル方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るリサイクルシステム1は、被処理物Aに付着した付着物を除去するリサイクルシステム1であって、前記リサイクルシステム1は、前記被処理物Aの破砕物Cと吸着粒子Bを攪拌混合し、前記破砕物Cに付着した前記付着物を前記吸着粒子Bに吸着させ、前記付着物が除去された清浄化破砕物Dを得る攪拌装置6を有することを特徴とする。
【選択図】
図1