(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/337 20060101AFI20230808BHJP
B41M 5/40 20060101ALI20230808BHJP
B41M 5/42 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B41M5/337 212
B41M5/40 210
B41M5/42 220
(21)【出願番号】P 2018057165
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 雄介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅彦
【合議体】
【審判長】杉山 輝和
【審判官】関根 洋之
【審判官】井口 猶二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-241414(JP,A)
【文献】特開2008-55843(JP,A)
【文献】特開平6-305251(JP,A)
【文献】特開平2017-1194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28-5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、少なくとも
、加熱により発色する感熱記録層とトップコート層とが積層される感熱記録体であって、
前記感熱記録層
の一部にのみ中空粒子
が含有
され、
該一部におけるJIS P8149に準拠して測定された不透明度が20%以上であることを特徴とする感熱記録体。
【請求項2】
JIS‐K7136:2000に準拠して測定されたヘイズ値が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記中空粒子が、アクリル樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記感熱記録層と前記トップコート層との間に中間層を備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録体に関し、更に詳しくは、バーコード等の読み取り特性に優れた感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録体は、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、記録画像が得られるものであり、ファクシミリや自動券売機、科学計測機の記録用媒体としてだけではなく、小売店等のPOSシステムの感熱記録ラベルなどとして広範な用途に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、被包装品が見える包装材でありながら、印字も可能であるため、透明性の高い感熱記録体が包装材等に用いられている。そして、このような透明性の高い感熱記録体を用いることにより、別段のラベル等が不要となるため、利便性が向上する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-362027号公報
【文献】国際公開第2015/012386号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、透明性の高い感熱記録体を用いる場合において、バーコード等の読み取り特性を向上させるために、印刷等により基材に対して着色を行う場合がある。特に、バーコードやQRコード(登録商標)等は、背景が透明の場合にリーダーによる読み取りが困難になる場合があるため、背景を白に印刷することが多い。
【0006】
しかし、このような背景印刷のみを目的として、新たに印刷工程を設けることは、感熱記録体の製造工程が煩雑になるとともに、コストアップになるという問題があった。
【0007】
また、食品衛生上、被包装品と接触する裏面側への印刷が問題となる場合、印刷を行うこと自体が困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、背景印刷を行うことなく、バーコード等の読み取り特性に優れた感熱記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明では、基材上に、少なくとも、加熱により発色する感熱記録層とトップコート層とが積層される感熱記録体を前提とし、感熱記録層の一部にのみ中空粒子が含有され、該一部におけるJIS P8149に準拠して測定された不透明度が20%以上であることを特徴とする。
【0010】
上記構成によると、背景印刷を行うことなく、バーコード等の読み取り特性に優れた感熱記録体を提供することができる。
【0011】
また、第2の発明では、第1の発明において、JIS‐K7136:2000に準拠して測定されたヘイズ値が70%以上に設定されている。
【0012】
上記構成によると、バーコード等の読み取り特性の低下を確実に防止することができる。
【0013】
また、第3の発明では、第1又は第2の発明において、中空粒子が、アクリル樹脂により構成されている。
【0014】
上記構成によると、光散乱効果により不透明性を付与することで、バーコードの読み取りが可能になり、かつ低エネルギー側の感度を向上させることができる。また、サーマルヘッドによる熱により溶融するため、印字品質の低下を防止することができる。
【0015】
また、第4の発明では、第1~第3のいずれか1つの発明において、感熱記録層とトップコート層との間に中間層を備える。
【0016】
上記構成によると、水や油に対するバリアー性を有する感熱記録体を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、背景印刷を行うことなく、バーコード等の読み取り特性に優れた感熱記録体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態の感熱記録体を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本実施形態の感熱記録体を説明するための断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の感熱記録体1は、シート状の基材2上に、加熱によって発色する感熱記録層3、中間層4、及び、トップコート層5が積層された構造となっている。
【0022】
基材2としては、透明の合成樹脂フィルム、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどを用いることができる。基材2の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm~100μm程度が塗工性及び透明性に優れ、好ましい。
【0023】
感熱記録層3を形成する材料としては、加熱により発色する発色剤、顕色剤、結着剤、及び滑剤などを含む。
【0024】
感熱記録層3の透明性を向上させるために、各材料は、粒子径の細かいものを使用することが好ましい。このように粒子径の細かい材料を使用することにより、粒子の乱反射を抑制することができる。
【0025】
具体的には、発色剤であるロイコ染料としては、例えば、2-アニリン-3メチル-6-(N-メチル-P-トルイジノ)フルオランなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましい。ここで、粒子径とは、マイクロトラックレーザー解析・散乱式粒度分析機による測定50%平均粒子径をいう。
【0026】
上記の顕色剤としては、例えば、3,3’-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましい。
【0027】
上記の結着剤としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体などを挙げることができる。
【0028】
上記の滑剤としては、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛、パラフィンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.5μm以下であることが好ましい。
【0029】
なお、透明性を向上させるためには、パラフィンを含有させることが特に有効であり、このパラフィンは、感熱記録層3の発色温度未満、好ましくは80℃未満、より好ましくは、50℃未満の低融点のパラフィンであることが好ましい。
【0030】
この低融点のパラフィンの粒子径は、上記のように0.5μm以下であることが好ましい。このパラフィンの含有量は、乾燥重量で、例えば、0.1~1.0g/m2であることが好ましい。
【0031】
このように低融点のパラフィンを含有させることにより、感熱記録層形成用の塗液を基材2上に塗布して乾燥する際に、パラフィンが溶融し、感熱記録層3を構成する粒子の表面の凹凸等の隙間に入り込んで隙間を埋めることになり、これによって、粒子表面の乱反射を抑制して透明性を向上させることができる。
【0032】
水や油に対するバリアー性を有する中間層4は、主に、樹脂によって形成されている。この中間層4の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂のエマルション、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等の水溶性樹脂、SBR樹脂などが挙げられる。
【0033】
透明性を向上させるためには、上記樹脂は、水溶性部分を有する樹脂、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)樹脂、あるいは、疎水性のコア粒子を水溶性のシェルポリマーでコーティングしたコアシェル構造の樹脂、例えば、コアシェル型アクリル樹脂などが好ましい。
【0034】
水溶性のポリビニルアルコール(PVA)やコアシェル型のアクリル樹脂は、成膜性が良好であり、感熱記録層3上に、中間層形成用の塗液を塗布して乾燥する際に、水溶性部分を有する樹脂が、感熱記録層3へ染み込んで平滑な中間層4が形成されるため、感熱記録層3での乱反射が抑制されて透明性が向上する。
【0035】
コアシェル型の樹脂は、例えば、コアシェル型アクリル樹脂として、バリアスター(三井化学社製)の名称で市販されているものなどを使用することができる。
【0036】
トップコート層5は、サーマルヘッドに対する感熱記録体1のマッチング性を向上させて、感熱記録層3の発色が順調に行われるようにするものであり、このトップコート層5は、結着剤中に充填剤、滑剤、架橋剤などを添加したものが用いられる。
【0037】
結着剤である樹脂としては、例えば、アクリル樹脂などが挙げられる。滑剤としては、例えば、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。架橋剤としては、例えば、炭酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0038】
充填剤としては、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ジルコニウム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。なお、これら充填剤の粒子径は、1.0μm以下であることが好ましい。透明性を向上させるためには、充填剤として、粒子径の小さいコロイダルシリカが好ましい。
【0039】
ここで、本実施形態の感熱記録体1においては、
図1に示すように、透明性を低下させて、バーコード等の読み取り特性を向上させるために、感熱記録層3が中空粒子6を含有する点に特徴がある。
【0040】
この中空粒子としては、一般に使用されている公知の中空粒子を用いてもよく、この中空粒子の材料としては、例えば、アクリル樹脂(例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン及びこれらの共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0041】
このうち、中空粒子の材料として、アクリル樹脂を使用することが好ましい。アクリル樹脂を使用することにより、光散乱効果により不透明性を付与することで、バーコードの読み取りが可能になり、かつ低エネルギー側の感度を向上させることができる。また、サーマルヘッドによる熱により溶融するため、印字品質の低下を防止することができる。
【0042】
そして、感熱記録層形成用の塗液を、基材2上に塗布する際に、このような中空粒子を含有する感熱記録層形成用の塗液を基材2上の一部(即ち、バーコード等の印刷を行う部分)2aにのみ塗布して感熱記録層3を形成するとともに、基材上の他の部分(即ち、透明性が要求される部分)2bに、例えば、上記中空粒子の代わりにカオリン、炭酸カルシウム等の一般的な充填剤を含有する感熱記録層形成用の塗液を塗布して、透明性に優れる他の感熱記録層7を形成することにより、被包装体を確認できる透明性を損なうことなく、バーコード等の読み取り特性に優れた感熱記録体1を製造することが可能になる。
【0043】
また、中空粒子は、加熱時に中空粒子自身が溶解して透明となるため、中空粒子が、感熱発色した黒色を遮蔽することがない。従って、印字濃度の低下(即ち、黒色発色させたい部分の黒さが減少して、灰色気味になる)とうい不都合を生じることなく、バーコード等の読み取り特性に優れた感熱記録体1を製造することが可能になる。
【0044】
なお、本実施形態の感熱記録体1においては、後述する実施例に記載のごとく、バーコードの読み取り特性を向上させるためには、JIS P8149に準拠して測定される不透明度が20%以上であることが必要である。
【0045】
また、感熱記録体1のヘイズ値が70%以上であることが好ましい。これは、ヘイズ値が70%未満の場合は、全透過光に対する拡散光の割合が小さく、感熱記録体1の透明度が高くなり過ぎるため、バーコード等の読み取り特性が低下するという不都合が生じる場合があるためである。
【0046】
なお、ここで言う「ヘイズ値」とは、JIS‐K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値のことを言う。
【実施例】
【0047】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0048】
(実施例1)
(感熱記録体の作製)
<感熱記録層>
表1に示す感熱記録層形成用の塗液を調製し、調製した感熱記録層形成用の塗液を基材である厚さ40μmのOPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム上に、塗布量が、乾燥重量で4.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行うことにより、基材上に厚さが4.0μmの感熱記録層を形成した。なお、表1において、各配合剤料の数値は、乾燥時における重量比率を示している。
【0049】
また、配合材料として、ロイコ染料は、粒子径が0.5μmの2-アニリン-3メチル-6-(N-メチル-P-トルイジノ)フルオランを使用し、顕色剤は、粒子径が0.4μmの3,3’-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用し、結着剤(バインダ)は、ガラス転移温度Tgが「-3℃」のSBRを使用した。また、滑剤は、融点が100℃で粒子径が0.6μmのポリエチレン(PE)、融点が66℃で粒子径が0.3μmのパラフィン、及び融点が46℃で粒子径が0.2μmのパラフィンを使用した。また、中空粒子は、アクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)を使用した。
【0050】
<中間層>
コアシェル型アクリル樹脂を使用した中間層形成用の塗液を調製し、調製した中間層形成用の塗液を上述の感熱記録層上に塗布量が、乾燥重量で2.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行うことにより、感熱記録層上に厚さが2.0μmの中間層を形成した。
【0051】
<トップコート層>
表1に示すトップコート層形成用の塗液を調製し、調製したトップコート層形成用の塗液を上述の中間層上に、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2となるように塗布した後、乾燥を行うことにより、中間層上に厚さが1.5μmのトップコート層を形成した。
【0052】
なお、結着剤(バインダ)として、アクリル樹脂を使用し、滑剤として、ポリエチレン(PE)、ステアリン酸亜鉛(St-Zn)を使用した。また、充填剤として、粒子径が数nmのコロイダルシリカと粒子径が数十nmのコロイダルシリカを使用し、架橋剤として、炭酸ジルコニウムを使用した。
【0053】
以上の方法により、本実施例の感熱記録体を作製した。
【0054】
【0055】
(不透明度の測定)
反射率計(東京電色(株)製、商品名:TC-6DS/A型)を使用して、得られた感熱記録体の不透明度を、上記JIS P8149に準拠して測定した。以上の結果を表2に示す。
【0056】
(ヘイズ値の測定)
ヘーズメーター(日本電色(株)製、商品名:NDH7000)を使用して、得られた感熱記録体のヘイズ値を、JIS-K7136:2000に準拠して測定した。以上の結果を表2に示す。
【0057】
(レジ試験)
作製した感熱記録体の基材側の表面に、バーコードを印字し、JIS K5600に規格された隠蔽率試験紙(黒地)上に載置した。
【0058】
次に、レジスター(東芝テック(株)製、商品名:MA-1955)を用いて、バーコードの読み取りを20回試み、読み取りができた割合(即ち、実際にバーコードが読み取れた回数/20回×100)[%]を算出した。以上の結果を表2に示す。
(動的感度評価)
作製した感熱記録紙に対して、市販の感熱プリンタ(株式会社イシダ;BP4300)を用い、印字速度50mm/sec、印加電圧24.0V、ヘッド抵抗値1533Ω、パルス幅0.157~0.354msに設定し、印字エネルギー0.077mJ/dot、0.104mJ/dot、及び0.171mJ/dotの条件でそれぞれ印字を行い、各印字エネルギー条件における印字濃度を、分光光度計(X-rite社製、商品名: eXact)を用いて測定した。以上の結果を表2に示す。
【0059】
(実施例2)
中空粒子として、アクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、アクリル樹脂からなる中空粒子(ダウケミカル製、商品名:HP-1055、粒径:1μm、中空率:55%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0060】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
【0061】
(実施例3)
中空粒子として、アクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、アクリル樹脂からなる中空粒子(ダウケミカル製、商品名:HP-1055、粒径:1μm、中空率:55%)を使用し、配合量を20重量%に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0062】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
【0063】
(実施例4)
中空粒子として、アクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、アクリル樹脂からなる中空粒子(ダウケミカル製、商品名:HP-1055、粒径:1μm、中空率:55%、配合量:5重量%)を使用し、更に充填剤であるカオリン(Kamin製、商品名:HYDRAGLOSS90、粒径:0.40μm、配合量:5重量%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0064】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
【0065】
(実施例5)
中空粒子として、アクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、アクリル樹脂からなる中空粒子(ダウケミカル製、商品名:HP-1055、粒径:1μm、中空率:55%、配合量:7.5重量%)を使用し、更に充填剤であるカオリン(Kamin製、商品名:HYDRAGLOSS90、粒径:0.40μm、配合量:2.5重量%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0066】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
【0067】
(比較例1)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤であるカオリン(Kamin製、商品名:HYDRAGLOSS90、粒径:0.4μm)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0068】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0069】
(比較例2)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤であるシリカ粒子(日本触媒(株)製、商品名:KE-050W、粒径:0.5μm)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0070】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0071】
(比較例3)
中空粒子として、アクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、アクリル樹脂からなる中空粒子(ダウケミカル製、商品名:HP-1055、粒径:1μm、中空率:55%、配合量:2.5重量%)を使用し、更に充填剤であるカオリン(Kamin製、商品名:HYDRAGLOSS90、粒径:0.40μm、配合量:7.5重量%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0072】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0073】
(比較例4)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤(中実粒子)であるポリメタクリル酸メチル樹脂(サイデン化学(株)製、商品名:PG-5、粒径:2μm)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0074】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0075】
(比較例5)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤(中実粒子)であるポリスチレン樹脂(三井化学(株)製、商品名:110M、粒径:0.8μm)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0076】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0077】
(比較例6)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤であるシリカ粒子(日本触媒(株)製、商品名:KE-050W、粒径:0.5μm、配合量:20重量%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0078】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0079】
(比較例7)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤である酸化チタン粒子(テイカ(株)製、商品名:JR600A、粒径:0.3μm)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0080】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0081】
(比較例8)
中空粒子であるアクリル樹脂からなる粒子(ダウケミカル製、商品名:ULTRA E、粒径:0.4μm、中空率:45%)の代わりに、充填剤である酸化チタン粒子(テイカ(株)製、商品名:JR600A、粒径:0.3μm、配合量:20重量%)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0082】
次いで、上述の実施例1と同様にして、不透明度の測定、ヘイズ値の測定、レジ試験、及び動的感度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0083】
【0084】
【0085】
表2に示すように、感熱記録層が中空粒子を含有し、不透明度が20%以上である実施例1~5の感熱記録紙(中空粒子の含有量が5~20重量%)は、バーコードの読み取り特性に非常に優れていることが分かる。一方、感熱記録層がカオリン、またはシリカ粒子を含有するが、中空粒子を含有しない比較例1~2の感熱記録紙においては、バーコードが全く読み取れていないことが分かる。
【0086】
また、不透明度が20%未満(18.4)である比較例3の感熱記録紙は、バーコードが全く読み取れていないことが分かる。
【0087】
また、中実粒子を含有する比較例4~5においては、バーコードが全く読み取れていないことが分かる。これは、中実粒子は、中空粒子と異なり、中実であるため熱溶解しにくく、結果として、溶解による透明化が起こらなかったためであると考えられる。また、中実粒子は、中空粒子に比し、光散乱効果が乏しいため、バーコードを判読できるようなコントラストを得ることができなかったためであると考えられる。
【0088】
また、表2~3に示すように、実施例1~5の感熱記録紙は、比較例1~8に比し、動的感度特性が高く、印字特性に優れていることが分かる。これは、上述のごとく、中空粒子は、加熱時に中空粒子自身が溶解して透明となるため、中空粒子が、感熱発色した黒色を遮蔽することがないためであると考えられる。
【0089】
一方、シリカ粒子を20重量%含有する比較例6においては、バーコードの読み取りは可能であるが、動的感度特性が低く(特に低エネルギー側の動的感度特性が低く)、印字特性に乏しいことが分かる。
【0090】
また、酸化チタン粒子を含有する比較例7~8においては、バーコードの読み取りは可能であるが、動的感度特性が低く、印字特性に乏しいことが分かる。これは、酸化チタンは、中空粒子と異なり、加熱により変化しない(即ち、加熱により溶解して透明にならない)ため、配合量が多い(即ち、10重量%以上配合する)と、感熱発色した黒色を酸化チタンの白色により遮蔽してしまい、結果として、印字濃度が低下した(即ち、黒色発色させたい部分の黒さが減少して、灰色気味になった)ためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上に説明したように、本発明は、バーコード等が印字される感熱記録体に、特に有用である。
【符号の説明】
【0092】
1 感熱記録体
2 基材
3 感熱記録層
4 中間層
5 トップコート層
6 中空粒子
7 他の感熱記録層