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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】電子レンジ
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/66 20060101AFI20230808BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H05B6/66 A
F24C7/02 501F
F24C7/02 501H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022509668
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 CN2019124120
(87)【国際公開番号】W WO2021056834
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】201910906612.X
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521007481
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼美的白色家▲電▼技▲術▼▲創▼新中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG MIDEA WHITE HOME APPLIANCE TECHNOLOGY INNOVATION CENTER CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building #4,Midea Global Innovation Center,Industry Boulevard,Beijiao,Shunde Foshan,Guangdong 528311,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】胡 建
(72)【発明者】
【氏名】叶 城▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】侯 俊峰
(72)【発明者】
【氏名】施 志雄
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-172749(JP,A)
【文献】特開昭63-150881(JP,A)
【文献】特開昭62-117294(JP,A)
【文献】実開昭53-042254(JP,U)
【文献】特開2004-241311(JP,A)
【文献】特開2011-159615(JP,A)
【文献】特開2005-044765(JP,A)
【文献】中国実用新案第201294143(CN,Y)
【文献】特開2000-195657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
H05B 6/66
H05B 6/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変換器及びマグネトロンと、
前記周波数変換器の給電端が第1の導線によって前記マグネトロンの給電端に接続される前記第1の導線と、
前記周波数変換器の接地端が第2の導線によって前記マグネトロンの接地端又は前記マグネトロンのハウジングの接地点に接続される前記第2の導線と、
を備える電子レンジであって、
前記第1の導線と一部の前記第2の導線が並列に配列され、且つ前記第1の導線と前記一部の第2の導線との間の距離が前記周波数変換器の給電端と前記周波数変換器の接地端との間の距離よりも小さいことを特徴とする電子レンジ。
【請求項2】
周波数変換器及びマグネトロンと、
前記周波数変換器の給電端が第1の導線によって前記マグネトロンの給電端に接続される前記第1の導線と、
前記周波数変換器の接地端が第2の導線によって前記マグネトロンの接地端又は前記マグネトロンのハウジングの接地点に接続される前記第2の導線と、
を備える電子レンジであって、
前記第1の導線と一部の前記第2の導線が並列に配列され、且つ前記第1の導線と前記第2の導線が束ねられて設けられていることを特徴とする電子レンジ。
【請求項3】
前記マグネトロンのハウジングが接地され、前記マグネトロンの接地端と前記マグネトロンのハウジングとが接続され、前記周波数変換器の接地端が前記第2の導線によって前記マグネトロンのハウジングの接地点に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ。
【請求項4】
前記第2の導線は、
前記第2の導線の第1のセグメントが前記周波数変換器の接地端から前記周波数変換器の給電端に向かって配線される前記第1のセグメントと、
前記周波数変換器の接地端が前記第2の導線の第1のセグメントによって前記第2の導線の第2のセグメントと接続され、前記第2の導線の第2のセグメントと前記第1の導線が並列に配列される前記第2のセグメントと、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の電子レンジ。
【請求項5】
前記周波数変換器の接地端が接地され、前記マグネトロンの接地端と前記マグネトロンのハウジングとが接続され、前記マグネトロンのハウジングの接地点が前記第2の導線によって前記周波数変換器の接地端に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ。
【請求項6】
前記第2の導線は、
前記第2の導線において前記第1の導線と並列に配列される第1のセグメントと、
前記第2の導線において前記周波数変換器の接地端から前記周波数変換器の給電端向かって配線され、前記マグネトロンのハウジングの接地点が前記第2の導線の第1のセグメントによって前記第2の導線の第2のセグメントに接続される第2のセグメントと、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の電子レンジ。
【請求項7】
前記マグネトロンの給電端が前記マグネトロンの第1の側に設けられ、前記接地点が前記マグネトロンの第2の側に設けられ、前記周波数変換器の接地端が前記周波数変換器の第1の側に設けられ、前記周波数変換器の給電端が前記周波数変換器の第2の側に設けられ、
前記マグネトロンの第3の側と前記周波数変換器の第2の側とが対向に設けられ、前記マグネトロンの第1の側と前記周波数変換器の第1の側とが同一の側に設けられ、前記マグネトロンの第2の側と前記マグネトロンの第3の側とが反対の側に設けられることを特徴とする請求項3に記載の電子レンジ。
【請求項8】
前記第1の導線の外にスリーブが被られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ。
【請求項9】
前記第1の導線と前記第2の導線が束ねられて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
【請求項10】
前記第1の導線と前記一部の第2の導線との間の距離が前記周波数変換器の給電端と前記周波数変換器の接地端との間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月24日に出願した出願番号201910906612Xの、発明の名称が「電子レンジ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全文が参照により本出願に組み込んでいる。
【0002】
本出願は、電気製品の技術領域に関し、特に、電子レンジに関する。
【背景技術】
【0003】
電気製品の電磁両立性(Electromagnetic compatibility、EMC)は、電気製品自体の動作の信頼性や使用の安全性にかかわるだけでなく、他の機器やシステムの正常な動作にも影響を及びぼす非常に重要な品質指標である。そのため、電子レンジは、EMC規格に合格しないと販売できなくなる。
【0004】
本出願の発明者は、長期的な研究開発の過程で、現在市場に出ていた電子レンジが主に電力周波数電子レンジと周波数可変電子レンジに分けられることを発見した。電力周波数電子レンジは電力周波数トランスによって昇圧したが、周波数可変電子レンジは周波数可変技術を採用して高周波で商用電源を高圧に変換することになった。周波数可変電子レンジでは、電力周波数電子レンジの電力周波数トランスに代わって、周波数変換器を採用することで、電子レンジの体積や重量が顕著的に削減され、消費者に広く歓迎されるようになった。
【0005】
ただし、従来の周波数可変電子レンジでは、周波数変換器に多くの電子部品が用いられることにより、EMCが比較的深刻な問題になった。例えば、スイッチトランジスタの大電流でのターンオフの瞬間に発生された厳重な減衰振動やダイオードの逆方向回復特性に発生されたスパイク電圧のいずれにも、豊富なスペクトルの電磁干渉が含まれ、それに接続されたハーネスを介して周囲の空間に放出されて、放射エミッション(Radiated Emission、RE)が形成されてしまった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、電子レンジがEMC規格に適合するように電子レンジのREをどのように低減するかを主に解決したい技術課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術課題を解決するために、本出願による1つの技術提案は、周波数変換器と、マグネトロンと、第1の導線と、第2の導線とを備え、周波数変換器の給電端が第1の導線によってマグネトロンの給電端に接続され、周波数変換器の接地端が第2の導線によってマグネトロンの接地端に接続され、ここで、第1の導線と一部の第2の導線が並列に配列され、且つ第1の導線と一部の第2の導線との間の距離が予め定められた距離よりも小さい電子レンジを提供する。
【0008】
ある具体的な実施形態において、マグネトロンのハウジングが接地され、マグネトロンの接地端とマグネトロンのハウジングとが接続され、周波数変換器の接地端が第2の導線によってマグネトロンのハウジングに接続される。
【0009】
ある具体的な実施形態において、第2の導線は、第1のセグメントと第2のセグメントとを備え、周波数変換器の接地端が第2の導線の第1のセグメントによって第2の導線の第2のセグメントに接続され、第2の導線の第1のセグメントが周波数変換器の接地端から周波数変換器の給電端に配線され、第2の導線の第2のセグメントと第1の導線が並列に配列される。
【0010】
ある具体的な実施形態において、周波数変換器の接地端が接地され、マグネトロンの接地端とマグネトロンのハウジングとが接続され、マグネトロンのハウジングが第2の導線によって周波数変換器の接地端に接続される。
【0011】
ある具体的な実施形態において、第2の導線は、第1のセグメントと第2のセグメントとを備え、マグネトロンのハウジングが第2の導線の第1のセグメントによって第2の導線の第2のセグメントに接続され、第2の導線の第2のセグメントが周波数変換器の給電端から周波数変換器の接地端に配線され、第2の導線の第1のセグメントと第1の導線が並列に配列される。
【0012】
ある具体的な実施形態において、マグネトロンのハウジングに接地点が設けられ、周波数変換器の接地端が第2の導線によって接地点に接続される。
【0013】
ある具体的な実施形態において、マグネトロンの給電端がマグネトロンの第1の側に設けられ、接地点がマグネトロンの第2の側に設けられ、周波数変換器の接地端が周波数変換器の第1の側に設けられ、周波数変換器の給電端が周波数変換器の第2の側に設けられ、マグネトロンの第3の側と周波数変換器の第2の側とが対向に設けられ、マグネトロンの第1の側と周波数変換器の第1の側とが同一の側に設けられ、マグネトロンの第2の側とマグネトロンの第3の側とが反対の側に設けられる。
【0014】
ある具体的な実施形態において、第1の導線の外にスリーブが被られている。
【0015】
ある具体的な実施形態において、第1の導線と第2の導線が束ねられて設けられている。
【0016】
ある具体的な実施形態において、第1の導線と一部の第2の導線との間の距離が周波数変換器の給電端と周波数変換器の接地端との間の距離よりも小さい。
【0017】
本出願の実施形態の有利な効果は、本出願の実施形態に係る電子レンジが、周波数変換器と、マグネトロンと、第1の導線と、第2の導線とを備え、周波数変換器の給電端が第1の導線によってマグネトロンの給電端に接続され、周波数変換器の接地端が第2の導線によってマグネトロンの接地端に接続され、ここで、第1の導線と一部の第2の導線が並列に配列され、且つ第1の導線と一部の第2の導線との間の距離が予め定められた距離よりも小さいことにある。このようにすれば、本出願の実施形態では、カソード線である第1の導線とアース線である第2の導線の一部の導線とを並列に設けることにより、カソード線とアース線との間のピッチを小さくすることができるので、カソード線とアース線との閉回路の面積を狭めることができ、電子レンジのREを低減して電子レンジをEMC規格に適合させることができる。
【0018】
以下では、本出願の実施形態や従来の技術における技術提案をより明確に説明するために、実施形態での使用に必要な図面について簡単に説明する。明らかになるように、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施の形態にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を行うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本出願に係る電子レンジの一実施形態の構成の模式図である。
図2図2は電子レンジの一構成の模式図である。
図3図3は本出願に係る電子レンジの一実施形態の構成の模式図である。
図4図4は本出願に係る電子レンジの一実施形態の構成の模式図である。
図5図5図4の実施形態の電子レンジのRE試験の結果図である。
図6図6図2の電子レンジのRE試験の結果図である。
図7図7は本出願に係る電子レンジの一実施形態の構成の模式図である。
図8図8は本出願に係る電子レンジの一実施形態の構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面及び実施形態を参照して本出願についてさらに詳細に説明する。特に、以下の実施形態は、本出願の説明のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。同様に、以下の実施形態は、全ての実施形態ではなく、本出願の一部の実施形態に過ぎず、当業者が創造的な労働を行うことなく得られたすべての他の実施形態が本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【0021】
電子レンジのREを抑制するために、当業者は通常、電子レンジに磁気リングを追加し、磁気リングによってREを遮蔽して漏れを低減させた。ただし、磁気リングの資材コストも製造コストも比較的高い。また、磁気リングによるREの遮蔽効果が明らかではなく、全周波数帯域の電磁波を抑制することができなかった。同時に、異なる型番、異なるロットの電子レンジの干渉特性が異なるため、RE試験に応じて異なる磁気リング方案を作成する必要がある場合が多く、技術的な汎用性が悪くなってしまった。
【0022】
このため、本出願は、REが小さく、EMC規格に適合する汎用性が高く、低コストの電子レンジを提案する。図1に示すように、図1は、本出願に係る電子レンジの一実施形態の構成の模式図である。本実施形態に係る電子レンジ10は、周波数変換器11と、マグネトロン12と、第1の導線13と、第2の導線14とを備え、周波数変換器11の給電端(図示せず)が第1の導線13によってマグネトロン12の給電端(図示せず)に接続され、周波数変換器11の接地端(図示せず)が第2の導線14によってマグネトロン12の接地端(図示せず)に接続され、ここで、第1の導線13と一部の第2の導線14が並列に配列され、且つ第1の導線13と一部の第2の導線14との間の距離が予め定められた距離よりも小さくなっている。
【0023】
その中、周波数変換器11は、単相の周波数変換器、三相の周波数変換器、高周波の周波数変換器や汎用な周波数変換器等であってよい。周波数変換器11は、少なくとも、整流器(図示せず)、フィルタ(図示せず)及びインバータ(図示せず)などの素子を含む。周波数変換器11は、主に、周波数変換器11から異なる大きさの電気エネルギーを出力してマグネトロン12に供給するように、主要用于提供電圧調節・周波数調節の電源の電力への変化を提供することによって、マグネトロン12から異なる大きさのエネルギーのマイクロ波を出力し、環境状況やユーザのニーズに応じて電子レンジ10から異なる大きさの電力を出力するようにさせて、省エネの目的を達成することができる。
【0024】
マグネトロン12は、主に電子レンジ10の加熱過程におけるマイクロ波エネルギーの発生及び放出を担当し、本実施形態に係るマグネトロン12は、連続波マグネトロン又はパルスマグネトロン等であってよい。マグネトロン12は、少なくともアンテナ(図示せず)、カソード(図示せず)、およびアノード(図示せず)を備え、カソードは、給電端として周波数変換器11の給電端から電気信号を取得し、アノードに電子を放出する。アノードは、電子を受けてアノード電流を発生させ、電力をアンテナに伝送する。アンテナは、電子レンジ10内にマイクロ波を送信して電子レンジ内の食品を加熱する。
【0025】
マグネトロン12の給電端はその陰極であるため、第1の導線13は通常、陰極線と呼ばれる。本実施形態の第1の導線13は、2本のカソード線(図示せず)を含み、第2の導線14は、周波数変換器11の接地端とマグネトロン12の接地端とを接続するアース線であり、マグネトロン12のアノードがその接地端に接続されている。
【0026】
ある適用シーンにおいて、マグネトロン12の2本のカソード線との間の電圧は3.3Vであり、マグネトロン12を加熱して電子を励起しやすくする役割を果たす。カソード線と接地端との間の電圧は4kVであり、電気エネルギーをマイクロ波エネルギーに変換するために用いられる。
【0027】
アンテナ理論によれば、電流が流れた閉回路は、アンテナ効果によって周囲の空間に電磁エネルギーを放出するため、放射された電力を抵抗における電流の損失電力と見なすことができ、この抵抗を放射抵抗(電磁エネルギーを放射する能力を表す)と呼び、すなわち、P=I*Rrad。ここで、Pはアンテナ放射の総電力で、Iはアンテナの給電電流で、Rradは放射抵抗である。Rradが大きいほど、アンテナの放射能力が強くなる。アンテナの周長C≦5λの場合、放射抵抗Rradは320π*S/λである。ここで、λは、電磁周波数に対応する波長で、Sはアンテナの面積である。
【0028】
電子レンジ10では、RE電磁周波数帯域が約30MHz-1GHzである。電子レンジ10内の閉回路は、上記のアンテナ周長の要求を基本的に満たすため、この閉回路の面積が大きいほど、電磁エネルギーを外部に放射する能力が強くなる。一方、電子レンジ10内の最大の閉回路は、カソード線とアース線によって構成された閉回路、すなわち、第1の導線13と第2の導線14によって構成された閉回路16である。
【0029】
本出願の発明者は、長期的な研究開発の過程で、電子レンジ10のハードウェア構成において、周波数変換器11とマグネトロン12との間の距離が遠いため、周波数変換器11の接地端とマグネトロン12の接地端との間の距離が大きくなり、且つ周波数変換器11の給電端とその接地端との間の距離も遠くなってしまったことを発見した。このようなハードウェア構成に基づいて、周波数変換器11の接地端及びマグネトロン12の接地端を近く接地させると、図2に示すように、カソード線とアース線の閉回路20の面積が大きくなり、電子レンジ10から空間に電磁エネルギーを放射する能力が強くなってしまった。
【0030】
図2に示す電子レンジ内の最大の閉回路20に比べて、図1の実施形態に係る電子レンジ10内の最大の閉回路16の面積が著しく狭くなっている。
【0031】
そのため、本実施形態において、カソード線である第1の導線13とアース線である第2の導線14の一部の導線とを並列して設置することによって、カソード線とアース線との間のピッチを小さくすることができるので、カソード線とアース線による閉回路16の面積を狭めることができ、電子レンジ10のREを低減して電子レンジ10をEMC規格に適合させることができる。
【0032】
図1を引き続き参照して、本実施形態の第2の導線14は、第1のセグメントa及び第2のセグメントbを含み、周波数変換器11の接地端は、第2の導線14の第1のセグメントaによって第2の導線14の第2のセグメントbに接続され、第2の導線14の第1のセグメントaが周波数変換器11の接地端から周波数変換器11の給電端に配線され、第2の導線14の第2のセグメントbと第1の導線13とが並列に配列されている。
【0033】
ここで、第1の導線13と一部の第2の導線14、すなわち、第2の導線14の第2のセグメントbとの間の距離が周波数変換器11の給電端と周波数変換器11の接地端との間の距離よりも小さくなっている。
【0034】
このようにすれば、閉回路16における周波数変換器11の給電端からマグネトロン12の給電端までの電流通路と周波数変換器11の接地端からマグネトロン12の接地端までの電流通路との間の距離を小さくすることができるので、閉回路16の面積を狭めることができる。
【0035】
好ましくは、第1の導線13と第2の導線14の第2のセグメントbとの間の距離をできるだけ小さくするために、本実施形態では、第1の導線13及び第2の導線14がバンド(図示せず)やスリーブ(図示せず)によって束ねられて設けられてよい。もちろん、他の実施形態では、第1の導線及び第2の導線が貼付方式等の他の方式で束ねられて設けられてもよい。
【0036】
好ましくは、第1の導線13外の絶縁層及び/又は第2の導線14外の絶縁層の摩耗又は破裂等による第1の導線13と第2の導線14との間の短絡等の故障を回避するために、第1の導線13の外にスリーブ(図示せず)が被られてもよい。
【0037】
本実施形態の周波数変換器11の接地端は、第2の導線14によってマグネトロン12の接地端に接続され、マグネトロン12の接地端が接地されている。
【0038】
他の実施形態では、図3に示すように、本実施形態に係る電子レンジ10と図1の実施形態に係る電子レンジ10の違いは、本実施形態のマグネトロン12の接地端がマグネトロン12のハウジング15に接続され、周波数変換器11の接地端が第2の導線14によってマグネトロン12のハウジング15に接続されていることである。マグネトロン12のハウジング15と電子レンジ10の筐体(図示せず)とが接触して接地されている。
【0039】
このようにすれば、第2の導線14がマグネトロン12のハウジング15の近くに接続されることができ、第2の導線14の長さを小さくすることができる。
【0040】
他の実施形態では、図4に示すように、本実施形態に係る電子レンジ10と図3の実施形態に係る電子レンジ10の違いは、マグネトロン12のハウジング15に接地点16が設けられ、周波数変換器11の接地端が第2の導線14によって接地点16に接続されていることにある。
【0041】
ここで、マグネトロン12の給電端がマグネトロン12の第1の側に設けられ、接地点16がマグネトロン12の第2の側に設けられ、周波数変換器11の接地端が周波数変換器11の第1の側に設けられ、周波数変換器11の給電端が周波数変換器11の第2の側に設けられ、マグネトロン12の第3の側と周波数変換器11の第2の側とが対向に設けられ、マグネトロン12の第1の側と周波数変換器11の第1の側とが同一の側に設けられ、マグネトロン12の第2の側とマグネトロン12の第3の側とが反対の側に設けられている。
【0042】
図5及び図6に示すように、図5は、図4の実施形態に係る電子レンジのRE試験の結果図であって、図6は、図2の電子レンジのRE試験の結果図である。図面から分かるように、周波数変換器の接地端が直接接地され、且つマグネトロンの接地端が直接接地された技術提案に対して、本実施形態に係る電子レンジ10のREが著しく減少した。
【0043】
もちろん、他の実施形態では、マグネトロンの各ピンと周波数変換器の各ピンが他の配置位置に設けられてもよく、且つ、マグネトロンと周波数変換器が他の相対位置関係を有してもよく、ここでは、一々述べない。
【0044】
他の実施形態では、図7に示すように、本実施形態に係る電子レンジ10と前記した電子レンジ10の違いは、本実施形態の周波数変換器11の接地端が接地され、マグネトロン12の接地端がマグネトロン12のハウジング15に接続され、マグネトロン12のハウジング15が第2の導線14によって周波数変換器11の接地端に接続されていることにある。
【0045】
ここで、第2の導線14は、第1のセグメントc及び第2のセグメントdを含み、マグネトロン12のハウジング15が第2の導線14の第1のセグメントcによって第2の導線14の第2のセグメントdに接続され、第2の導線14の第2のセグメントdが周波数変換器11の給電端から周波数変換器11の接地端に配線され、第2の導線14の第1のセグメントcと第1の導線13とが並列に配列されている。
【0046】
他の実施形態では、図8に示すように、本実施形態に係る電子レンジ10は、図1の実施形態に係る電子レンジ10に加え、入力端が商用電源20に接続され、出力端が周波数変換器11の入力端に接続され、商用電源20における高周波干渉等を除去するように商用電源20をフィルタリングするための電磁干渉(Electro Magnetic Interference、EMI)フィルタボード17をさらに備えている。
【0047】
商用電源20が電源に入ったら、まずEMIフィルタボード17を通過することで、外部電力網の高周波パルスによる電源への干渉をフィルタリングして除去しつつ、電源自体による外部への電磁干渉も低減することができる。
【0048】
EMIフィルタボード17h、容量、インダクタンス等の素子を用いて実現してよい。
【0049】
従来技術とは異なり、本出願の実施形態に係る電子レンジは、周波数変換器と、マグネトロンと、第1の導線と、第2の導線とを備え、周波数変換器の給電端が第1の導線によってマグネトロンの給電端に接続され、周波数変換器の接地端が第2の導線によってマグネトロンの接地端に接続され、ここで、第1の導線と一部の第2の導線が並列に配列され、且つ第1の導線と一部の第2の導線との間の距離が予め定められた距離よりも小さい。このようにすれば、本出願の実施形態では、カソード線である第1の導線とアース線である第2の導線の一部の導線とを並列に設けることにより、カソード線とアース線との間のピッチを小さくすることができるので、カソード線とアース線との閉回路の面積を狭めることができ、電子レンジのREを低減して電子レンジをEMC規格に適合させることができる。
【0050】
以上の説明は、本出願の実施形態のみであって、本出願の特許の範囲を制限するためのものではなく、本願明細書及び図面の内容を利用してなされる等価の構成や等価の流れの変換、又は他の関連技術分野への直接又は間接的な適用は、いずれも本出願の特許保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 電子レンジ
11 周波数変換器
12 マグネトロン
13 第1の導線
14 第2の導線
15 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8