(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】低ヘイズ強化ポリアミド成形材料とその成形体
(51)【国際特許分類】
C08L 77/06 20060101AFI20230808BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20230808BHJP
C08K 3/40 20060101ALI20230808BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20230808BHJP
C08K 7/28 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
C08L77/06
B32B27/34
C08K3/40
C08K7/14
C08K7/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018153289
(22)【出願日】2018-08-16
【審査請求日】2021-07-21
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518071372
【氏名又は名称】エムス-パテント アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】アエプリ エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ボート
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーデマン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ホフ ハインツ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510677(JP,A)
【文献】特開2008-280483(JP,A)
【文献】特開2004-018755(JP,A)
【文献】特開2008-303391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/40
C08K 7/14
C08K 7/28
B32B 27/34
C08L 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)50~95重量%のポリアミド(A1)及び(A2)からなる
成分
(A1)少なくとも一種の透明な半芳香族ポリアミドであって、芳香族構造単位を有するモノマーを、ポリアミド(A1)中のジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%超有し、非晶質又は微結晶であるポリアミド(A1);
(A2)少なくとも一種の透明な半芳香族ポリアミドであって、芳香族構造単位を有するモノマーを、ポリアミド(A2)中のジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%以下有し、非晶質又は微結晶であるポリアミド(A2);と、
(B)5~50重量%の屈折率が1.540~1.600の範囲である少なくとも一種のガラスフィラーと、
(C)0~10重量%の少なくとも一種の添加剤と、を含む、又はそれらの成分からなる、ポリアミド成形材料であって、
前記(A)~(C)の成分の重量比の合計が100重量%であり、
nがISO489(1999-04)に準拠して波長589nmにおいて測定された屈折率であって、Δ1=n(A1)-n(B)、Δ2=n(B)-n(A2)としたときに、
Δ1及びΔ2が各々独立に0.003~0.03であり、
Δ2/Δ1>1の場合、前記
成分(A)に含まれる(A1)が50重量%より多く、
Δ2/Δ1≦1の場合、前記
成分(A)に含まれる(A2)が50重量%より多く、
前
記ポリアミド(A1)及び(A2)が90%以上の透明度、及び3%以下のヘイズを有し、
前記
成分(A)が88%以上の透明度、及び5%以下のヘイズを有し、
ここで、前
記ポリアミド(A1)、(A2)及び前記
成分(A)の透明度及びヘイズは、当
該ポリアミド(A1)、(A2)又は前記
成分(A)で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)においてASTM D1003に準拠して測定されたものである、
ポリアミド成形材料。
【請求項2】
Δ2/Δ1>1の場合、前
記成分(A)が、
前記ポリアミド(A1)を51~95重量
%含み、
前記ポリアミド(A2)を、5~49重量
%含む;又は、
Δ2/Δ1≦1の場合、前記
成分(A)が、
前記ポリアミド(A2)を51~95重量
%含み、
前記ポリアミド(A
1)を5~49重量
%含む、
請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項3】
前
記ポリアミド(A1)が以下のモノマー:
(a-A1)ジアミンの総量に対して10~100モル%の脂環式ジアミン類;
(b-A1)ジアミンの総量に対して0~90モル%の芳香族構造単位を有するジアミン類;
(c-A1)ジアミンの総量に対して0~90モル%の開鎖脂環式ジアミン類;
(d-A1)ジカルボン酸の総量に対して0~65モル%の開鎖脂肪族ジカルボン酸類;
(e-A1)ジカルボン酸の総量に対して35~100モル%の芳香族ジカルボン酸類;
(f-A1)ジカルボン酸の総量に対して0~65モル%の脂環式ジカルボン酸類;
(g-A1)モノマー(a-A1)~(g-A1)の総量に対して0~40重量%の炭素原子を6~12個有するラクタム類及び/又はアミノカルボン酸類;からなり、
ジアミン類(a-A1)、(b-A1)及び(c-A1)の合計が100モル%であり;
ジカルボン酸類(d-A1)、(e-A1)及び(f-A1)の合計が100モル%であり;
前記ポリアミド(A1)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して、モノマー(b-A1)及び(e-A1)の量の合計が35モル%超である、
請求項1又は2に記載のポリアミド成形材料。
【請求項4】
前
記ポリアミド(A1)が、当該ポリアミド(A1)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して、36モル%以
上の芳香族構造単位を有するモノマーを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項5】
前
記ポリアミド(A2)が以下のモノマー:
(a-A2)ジアミンの総量に対して20~100モル%の脂環式ジアミン類;
(b-A2)ジアミンの総量に対して0~70モル%の芳香族構造単位を有するジアミン類;
(c-A2)ジアミンの総量に対して0~80モル%の開鎖脂肪族ジアミン類;
(d-A2)ジカルボン酸類の総量に対して20~100モル%の開鎖脂肪族ジカルボン酸類;
(e-A2)ジカルボン酸類の総量に対して0~70モル%の芳香族ジカルボン酸類;
(f-A2)ジカルボン酸類の総量に対して0~70モル%の脂環式ジカルボン酸類;
(g-A2)モノマー(a-A2)~(g-A2)の総量に対して0~40重量%の炭素原子を6~12個有するラクタム類及び/又はアミノカルボン酸類;からなり、
ジアミン類(a-A2)、(b-A2)及び(c-A2)の合計が100モル%であり;
ジカルボン酸類(d-A2)、(e-A2)及び(f-A2)の合計が100モル%であり;
前記ポリアミド(A2)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の合計に対して、モノマー(b-A2)及び(e-A2)の量の合計が35モル%以下である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項6】
前
記ポリアミド(A2)が、前記ポリアミド(A2)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して、33モル%以
下の芳香族構造単位を有するモノマーを含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項7】
前
記ポリアミド(A1)及び(A2)の前記芳香族構造単位を有するモノマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(NDA
)、ビフェニルジカルボン酸、
4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルメタンジカルボン酸
、4,4'-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、p-ターフェニレン-4,4''-ジカルボン酸
、2,5-ピリジンジカルボン酸、キシリレンジアミン
、及びそれらの混合物を含む群より選択され
る、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項8】
前記ポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)においてASTM D1003に準拠して測定された透明度が、80%以
上;及び/又は
前記ポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)においてASTM D1003に準拠して測定されたヘイズが、最大で40%;及び/又は
DIN EN ISO 4287 (2010-07)に準拠して、MarSurf XR1表面測定ステーションを用いて測定されたガラス繊維の形
状の前記ポリアミド成形材料から製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)の、
算術平均粗さ(Ra)が、0.12μm以
下、及び/又は、
表面粗さ(R
z)が、1.50μm以
下である、
請求項1~7のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項9】
前記脂環式ジアミン(a-A1)及び/又は(a-A2)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、2,6-ノルボルナンジアミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン、及びそれらの混合物を含む群より選択される;
及び/又は
前記
芳香族構造単位を有するジアミン(b-A1)及び/又は(b-A2)が、キシリレンジアミ
ン、及びそれらの混合物を含む群より選択される;
及び/又は
前記ジアミン(c-A1)及び/又は(c-A2)が
、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン
、ノナンジアミン
、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、及びそれらの混合
物を含む群より選択される;
及び/又は
脂肪族ジカルボン酸(d-A1)及び/又は(d-A2)が、1,6-アジピン酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、及びそれらの混合物を含む群より選択される;
及び/又は
前記芳香族ジカルボン酸(e-A1)及び/又は(e-A2)が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(NDA
)、ビフェニルジカルボン酸
、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルメタンジカルボン酸
、及び
4,4'-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、p-ターフェニレン-4,4''-ジカルボン酸、及び2,5-ピリジンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択される;
及び/又は
前記脂環式ジカルボン酸(f-A1)及び/又は(f-A2)が、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,3-ノルボナンジカルボン酸、2,6-ノルボナンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択される;
及び/又は
前記ラクタム及び/又
はアミノカルボン酸類((g-A1)及び/又は(g-A2))が、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、カプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノヘプタン酸、α,ω-アミノオクタン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノデカン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)
、ラウロラクタム(LL)及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)を含む群より選択され
る、請求項
3に記載のポリアミド成形材料。
【請求項10】
前記ポリアミド(A1)が、PA MACMI/12, PA MACMI/1012, PA MACMT/12, PA MACMI/MACMT/12, PA MACMI/MACMT, PA MACMI/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/MACMI/MACMT, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12, PA 6I/MACMI, PA 6I/6T/PACMI/PACMT, PA 6I/612/MACMI/MACM12, PA 6T/612/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/12, PA MACMI/MACMT/MACM36, PA MACMI/MACM36, PA MACMT/MACM36, PA 12/PACMI, PA 12/MACMT, PA 6/PACMT, PA 6/PACMI, PA MXDI, PA MXDI/MXD6, PA MXDI/MXD10, PA MXDI/MXDT, PA MXDI/MACMI, PA MXDI/MXDT/MACMI/MACMT, PA 6I/6T/BACI/BACT, PA MACMI/MACMT/BACI/BACT, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/BACI/BACT及びそれらの混合物を含む群より選択され、これらのポリアミドは、ジアミン及びジカルボン酸の総量に対して、芳香族単位を有するモノマーを35モル%超含み;
及び/又は
前記ポリアミド(A2)が、PA MACM9, PA MACM10, PA MACM11, PA MACM12, PA MACM13, PA MACM14, PA MACM15, PA MACM16, PA MACM17, PA MACM18, PA MACM36, PA PACM9, PA PACM10, PA PACM11, PA PACM12, PA PACM13, PA PACM14, PACM15, PA PACM16, PACM17, PA PACM18, PA PACM36, PA TMDC9, PA TMDC10, PA TMDC11, PA TMDC12, PA TMDC13, PA TMDC14, PA TMDC15, PA TMDC16, PA TMDC17, PA TMDC18, PA TMDC36 又はコポリアミド類、例えばPA MACM10/1010, PA MACM10/PACM10, PA MACM12/1012, PA MACM14/1014, PA PACM10/1010, PA PACM12/1012, PA PACM14/1014, PA MACM12/PACM12, PA MACM14/PACM14, PA MACMI/MACMT/MACM12, PA 6I/612/MACMI/MACM12, PA 6T/612/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12, PA MACMI/MACMT/MACM36, PA MACMI/MACM36, PA MACMT/MACM36, PA MACMI/MACM12, PA MACMT/MACM12, PA MACMI/MACMT/10I/10T/1012, PA 6I/6T/612/PACMI/PACMT/PACM12, PA 6I/612/MACMI/MACM12, PA 6T/612/MACMT/MACM12, PA 10T/1012/MACMT/MACM12, PA 10I/1012/MACMI/MACM12, PA6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/MACM12/PACM12, PA MACMI/PACMI/MACM12/PACM12, PA MACMT/PACMT/MACM12/PACM12, PA MACMI/PACMT/MACM12/PACM12, PA MACMI/MACM36, PA MACMI/MACMT/MaCM36, PA 1012/MACMI, PA 1012/MACMT, 1010/MACMI, PA 1010/MACMT, PA 612/MACMT, PA 610/MACMT, PA 612/MACMI, PA 610/MACMI,PA 1012/PACMI, PA 1012/PACMT, PA 1010/PACMI, PA 1010/PACMT, PA 612/PACMT, PA 612/PACMI, PA 610/PACMT, PA 610/PACMI及びそれらの混合物からなる群より選択され;
これらのポリアミドは、ジアミン及びジカルボン酸の総量に対して、芳香族単位を有するモノマーを35モル%以下含み;及び/又は
前記
成分(A)は、前記ポリアミド(A1)及び(A2)として、
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12であり、ポリアミド(A2)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12である;又は
・ポリアミド(A1)が6I/6T/MACMI/MACMTであり、ポリアミド(A2)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12である;又は
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12であり、ポリアミド(A2)がMACMI/MACMT/12である;又は
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/12/PACMI/PACMTであり、ポリアミド(A2)がMACMI/MACMT/MACM12である;又は
・ポリアミド(A1)が6I/6T/MACMI/MACMTであり、ポリアミド(A2)がMACMI/12である;又は
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12であり、ポリアミド(A2)がMACMI/12である、
のいずれかの組み合わせを含
む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項11】
少なくとも一種の前記ガラスフィラー(B)が、ガラス繊維、すりガラス繊維、ガラス粒子、ガラスフレーク、ガラス球、中空ガラス球及びそれらの組み合わせを含む群より選択さ
れる、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項12】
少なくとも一種の前記ガラスフィラー(B)のガラスタイプが、E-ガラス、E-CR-ガラス、R-ガラス、ARガラスを含む群より選択され
る、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項13】
前記少なくとも一種の添加剤(C)が、無機系および有機系安定剤
、モノマー
類、可塑剤、ポリアミド成形材料に対してそれぞれ5重量%未満の半結晶性ポリアミド
、耐衝撃性改良材、潤滑剤、着色剤、マーキング手段、フォトクロミック作用剤、離型手段、縮合触媒、鎖調節剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、光学増白剤、ノンハロゲン系難燃剤、天然シートケイ酸塩、合成シートケイ酸塩、粒子径が最大100nmであるナノスケールの充填剤、及びそれらの混合物を含む群より選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項14】
前記ポリアミド成形材料に含まれる
前記成分(A)の割合が、前
記成分(A)~(C)の合計含有量に対して55~90重量
%である;及び/又は
前記ポリアミド成形材料に含まれる
前記ガラスフィラー(B)の割合が、前記成分(A)~(C)の合計含有量に対して10~40重量
%である;及び/又は
前記ポリアミド成形材料に含まれる
前記少なくとも一種の添加剤(C)の割合が、前記成分(A)~(C)の合計含有量に対して0~7重量
%である;及び/又は
前記ポリアミド成形材料は成分(A)~(C)以外の他の成分を含まない、
請求項1~13のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項15】
前記ポリアミド(A1)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、135℃以
上;及び/又は
前記ポリアミド(A2)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、135℃以
上;及び/又は
前記成分(A)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、130℃以
上;及び/又は
前記ポリアミド成形材料のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、130℃以
上である、
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料を含む
、成形体。
【請求項17】
請求項1~
15のいずれか一項に記載のポリアミド成形材料を含む層(S1)によって形成された多層成形体と、少なくとも一つの更なる層(S2)、(S3)又は(S4)を有し、当該更なる層(S2)、(S3)又は(S4)が、ガラスフィラー(B)を含まない、又はガラスフィラー(B)の割合が層(S1)と比較して少ない層であり、多層成形体であることを特徴とする、請求項16に記載の成形体。
【請求項18】
前記層の順番が(S1)/(S2)又は(S2)/(S1)/(S2)又は(S3)/(S1)/(S4)である、請求項
17に記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスが充填された低ヘイズ強化ポリアミド成形材料、その成形体の製造及びその使用に関するものである。
【0002】
非晶質又は微結晶性ポリアミド成形材料は非常に良好な光学特性と機械的特性を有するため、その使用の幅は非常に広がっており、様々な分野で応用されている。例えば、自動車部品、電子工学、光学部品、シールド、住宅、可視表面等に使用されている。
【0003】
特に、硬度、強度、変形の低減および表面の耐引っ掻き性などの特性を向上させるために、繊維状又は微粒子状のガラスフィラーを成形材料に混合することができる。一般に、光学特性の、特にヘイズと透明性の悪化はこの工程で観察される。
【0004】
光学特性の悪化を抑制するためのアプローチとして先行技術において広く用いられているのが、ガラスの屈折率をポリマーに適用することである。この目的のために、欧州特許出願公開第2 169 008 A1号には、網目形成成分、網目修飾成分及び中間酸化物の割合を幅広く選択することができるガラスが開示されており、その屈折率は、589nm(nD)の波長で測定したときに1.510~1.540とすることができる。さらに、上記文献には、フィラーをポリマーに添加する際にガラスに設定されるべき屈折率が、当該ポリマーの屈折率より0.002を超えるべきではないことが記載されている。
【0005】
同様に、国際公開第2015/132510 A1号は、ガラスフィラーによって強化された透明ポリアミド成形材料に関するものである。非晶質ポリアミドに基づくものとは別に、成形材料の屈折率を決定するために、一種以上の半結晶性ポリアミドがポリアミド成形材料に導入されている。請求項に記載されたポリアミド成形材料は、実施例にて実施され、そのガラス転移温度は最大で135℃であった。成形材料の加工において、高いガラス転移温度は明らかに好ましくないことが先行技術の課題として議論されている。特に、その成形において、材料除去の際に150℃より高いガラス転移温度であることは好ましくなかった。
【0006】
先行技術は実質的に不利な点を有するため、本発明によって改良されるべきである。屈折率が0.002という精度を有するガラスを作製するためには、可能な限り正確なガラス組成、ガラス原料の純度、正確な溶解均一性およびガラスの製造における温度状況について、かなりの技術努力が必要であり、これらの因子はガラスの屈折率に影響を与える。もし、特定の屈折率を有する特定のポリアミドのためにそれぞれ新たなガラスを作製しなければならないとなると、単にフィラー材料として供給され、可能な限り安価に製造すべきガラスが、上記のような努力により低価格だとは言い難くなる。
【0007】
所定のアプリケーションの要求に応じて、特定の特性プロファイルを達成するために、高分子マトリックスの成分を変更する必要が度々ある。しかしながら原則として、ポリマーの屈折率は変化し、それにより、良好な光学特性を有する強化成形材料を得るためには、上記の努力によってそれに適合する各ガラスを調製しなければならない。
【0008】
したがって、ガラスフィラーが混入しているにも関わらず、良好な光学特性を維持しつつ、特に低ヘイズであり高い透明性であるように、マトリックスポリマーを小さな努力で改良できるようにする必要性がある。
【0009】
本発明の目的は、比較的高い屈折率を有する、特に1.540~1.600の範囲の屈折率を有するガラスフィラーによって強化された透明ポリアミドに基づく、ポリアミド成形材料を提供することである。この点において、ポリアミド成形材料は、良好な透明性および低ヘイズ値を有するとともに、良好な機械特性を有するであろう。同様に、加工特性が劣化することなく高い熱変形性を有するポリアミド成形材料を提供することも、本発明の目的である。
【0010】
当該目的は、次の成分を含む又は次の成分からなる、請求項1に記載のポリアミド成形材料により満たされる。
(A)50~95重量%のポリアミド(A1)及び(A2)からなる混合物
(A1)一種以上の透明な半芳香族ポリアミドであって、芳香族構造単位を有するモノマーを、ポリアミド(A1)中のジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%超有し、非晶質又は微結晶であるポリアミド(A1);
(A2)一種以上の透明な半芳香族ポリアミドであって、芳香族構造単位を有するモノマーを、ポリアミド(A2)中のジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%超有し、非晶質又は微結晶であるポリアミド(A2);、
(B)5~50重量%の屈折率が1.540~1.600の範囲である一種以上のガラスフィラー、
(C)0~10重量%の一種以上の添加剤。
ここで、以下の要件は必ず満たされるべきである。
・成分(A)~(C)の重量部の合計が100重量%である。
・成分(A1)及び(A2)の重量部の合計は、成分(A)が100%である。
・Δ1=n(A1)-n(B)、Δ2=n(B)-n(A2)としたときに、Δ2/Δ1>1の場合、前記混合物(A)に含まれる(A1)が50重量%より多く、Δ2/Δ1≦1の場合、前記混合物(A)に含まれる(A2)が50重量%より多い。
・透明なポリアミド類(A1)及び(A2)が90%以上の透明度、及び3%以下のヘイズを有する。
・混合物(A)が88%以上の透明度、及び5%以下のヘイズを有する。
【0011】
本発明に係るポリアミド成形材料の有利な実施形態は、従属請求項2~15に記載されている。さらに、請求項16に係る発明は成形体に関するものであり、当該成形体は、本発明に係るポリアミド成形材料を含み、好ましくは本発明に係るポリアミド成形材料からなる。これらの成形体は、特に携帯電話、タブレット、電子デバイスの筐体、車両及び家屋の外装部品の構成要素や、カバー、可視表面、バックライトの構成要素、遮蔽物、容器、車両用キー並びに、レジャー用品及びアウトドア用品を含む群より選択される。これらの成形体の好ましい実施形態は、請求項17及び18に記載されている。
【0012】
[用語の定義]
<ポリアミドとそのモノマーに関する注釈及び略称>
本発明において、「ポリアミド(PA)」は総称であるものとし、ホモポリアミド及びコポリアミドからなる。ポリアミドとそのモノマーに関し選択された注釈と略称は、ISO規格16396-1(2015(D))に対応するものである。ここで使用される略称は、モノマーのIUPAC名の同意語として用いられる。モノマーの略称は以下の通りである。「MACM」:ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(別名:3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、CAS番号:6864-37-5)。「PACM」:ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(別名:4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、CAS番号:1761-71-3)。「TMDC」:ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(別名:3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、CAS番号:65962-45-0)。「T」は、テレフタル酸を示す(CAS番号:100-21-0)。「I」は、イソフタル酸を示す(CAS番号:121-95-5)。「BAC」は、1,4-ビス(アミノメチル)-シクロヘキサンを示す(CAS番号:2549-93-1)。
【0013】
<含有量の表示>
本発明に係るポリアミド成形材料は、成分(A)~(C)を含むか、好ましくは成分(A)~(C)のみからなる。供給量としては、成分(A)~(C)の合計量が100重量%である。個々の成分(A)~(C)の含有量に関して定められる範囲は、成分(A)~(C)のすべての合計量が100重量%であるという厳密な条件を満たしていれば、個々の成分については一定の範囲内における任意の含有量とすることができるものとする。
【0014】
<非晶質又は微結晶性ポリアミド>
非晶質又は微結晶性ポリアミドは、ISO 11357(2013)に従い、ダイナミックDSC(differential scanning calorimetry、示差走査熱量測定)を用いて昇温速度20K/分で加熱した際の融解熱量が、好ましくは最大で25J/g、特に好ましくは最大で22J/g、最も好ましくは0~20J/gを示す。
【0015】
また、微結晶性ポリアミドは、ガラス転移温度に加えて、融点を有する。一方で、微結晶は非常に小さい形態であるため、微結晶から厚さ2mmの微結晶のプレートを作製した場合であっても、依然として透明である。すなわち、ASTM D 1003-13(2013)に準拠して測定したその光透過量は90%以上であり、そのヘイズは3%以下である。
【0016】
微結晶性ポリアミドに対して、非晶質ポリアミドは、融点を有さないか、非常に小さい融解熱量を有しているか、特定が困難な融解熱量を有しているかである。非晶質ポリアミドは、ISO 11357(2013)に従い、ダイナミックDSCを用いて昇温速度20K/分で加熱した際の融解熱量が、好ましくは最大で5J/g、特に好ましくは3J/g、最も好ましくは0~1J/gを示す。
【0017】
非晶質ポリアミドは、非晶質性(amorphicity)であるため、融点を有さない。
【0018】
本発明における半結晶性ポリアミドのポリアミドは、ISO 11357 (2013)に従い、ダイナミックDSCを用いて昇温速度20K/分で加熱した際の融解熱量が好ましくは25J/gより高い値を示し、特に好ましくは35J/g以上を示し、最も好ましくは40J/g以上を示す。半結晶性ポリアミドから作製した2mmのプレートは透明ではない。すなわち、ASTM D 1003-13(2013)に準拠して測定したその光透過量は少なくとも90%未満であり、そのヘイズは3%より高い。
【0019】
<透明ポリアミド>
本発明におけるポリアミドは、厚さ2mmのプレートをASTM D 1003-13(2013)に準拠して測定した光透過量が90%以上であり、そのヘイズは3%以下であって、透明である。以下、透明ポリアミドとは、常に、透明度および融解熱量に関して上述の定義を満たす非晶質又は微結晶性ポリアミドのことを意味する。
【0020】
<ヘイズ、透明性>
ヘイズは物質の拡散挙動を示すものである。透明性は、物質の光透過性を示すものである。本発明の構成の範囲内では、ヘイズ又は透明性は、ASTM D 1003に準拠して、BYK ガードナー(Gardner)社の測定機器であるヘイズガードプラス(Haze Gard Plus)のCIE ライトタイプ(light type) Cを用いて、ポリアミド成形材料から製造された成形体(厚さ2mm、縦横:60×60mm)を23℃の条件にて測定した、ヘイズ又は透明性(透過量の合計)であると解される。
【0021】
<屈折率>
屈折率は式の中で略称にて示され、実験に関する部分では「n」として示されている。
屈折率は、ガラスフィラーについて常に明記されており、特にガラス繊維に関しては、測定波長は589nmである。ガラスフィラーの屈折率の決定は、特にガラス繊維について、ベックのライン法(Beck's line method)及びISO 489(1999-04)の方法Bに基づき波長589nmにおいて浸漬液(immersion fluids)を用いて行った。ポリアミド(A1)及び(A2)の屈折率は、それぞれ2mmの厚さ(60×60×2mm)のプレートを用い、波長589nm、23℃において、ISO 489(1999-04)の方法Aに準拠して、カールツァイス社のアッベ屈折系を用いて決定された。接触液として、1-ブロモナフタレンが用いられた。
【0022】
<成分(A)>
本発明に係るポリアミド成形材料は、成分(A)~(C)の合計のうち50~95重量%の成分(A)を含むとともに、ポリアミド(A1)及び(A2)の混合物を含む。成分(A1)及び(A2)の重量部を合計すると、成分(A)が合計100%となる。ここで、(A1)は、一種以上の透明な半芳香族ポリアミドであって、芳香族構造単位を有するモノマーを、ポリアミド(A1)中のジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%超有し、非晶質又は微結晶であるポリアミドである。(A2)は、一種以上の透明なポリアミドであって、芳香族構造単位を有するモノマーを、ポリアミド(A2)中のジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して最大で35モル%有し、非晶質又は微結晶であるポリアミドである。特に、ポリアミド(A1)及び(A2)は非晶質である。
【0023】
以下の条件を満たすとき、混合物(A)のうち成分(A1)の割合は50重量%より多い。
Δ2/Δ1>1
以下の条件を満たすとき、混合物(A)のうち成分(A2)の割合は50重量%より多い。
Δ2/Δ1≦1
ここで、
Δ1=n(A1)-n(B)であり、
Δ2=n(B)-n(A2)であって、
n(A1)は成分(A1)の屈折率を表しており、
n(A2)は成分(A2)の屈折率を表しており、
n(B)はガラスフィラーの屈折率を示している。
【0024】
さらに、透明ポリアミド(A1)及び(A2)が90%以上の透明度、及び3%以下のヘイズを有し、混合物(A)が88%以上の透明度、及び5%以下のヘイズを有する。
以下、成分(A)について好ましい実施形態について示す。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によると、成分(A1)又は(A2)は非晶質であって、特に好ましくは両方の成分が非晶質である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によると、ポリアミド成形材料に含まれる成分(A)は、ポリアミド成形材料の総重量に対して55~90重量%、好ましくは60~85重量%、特に62~84.9重量%である。
【0027】
本発明の他の好ましい実施形態は、Δ2/Δ1>1の場合、ポリアミド混合物(A)が、ポリアミド(A1)を51~95重量%、好ましくは55~90重量%、特に60~85重量%含み、ポリアミド(A2)を、5~49重量%、好ましくは10~45重量%、特に15~40重量%含む。
【0028】
ポリマー混合物(A)(The polymer mixture (A))は、Δ2/Δ1の割合がΔ2/Δ1>1であり、以下の割合に応じて構成されることが好ましい。
【0029】
【0030】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、Δ2/Δ1≦1の場合、ポリアミド混合物(A)が、ポリアミド(A2)を51~95重量%、好ましくは55~90重量%、特に60~85重量%含み、ポリアミド(A1)を5~49重量%、好ましくは10~45重量%、特に15~40重量%含む。
【0031】
ポリマー混合物(A)(The polymer mixture (A))は、Δ2/Δ1の割合がΔ2/Δ1≦1であり、以下の割合に応じて構成されることが好ましい。
【0032】
【0033】
さらに好ましくは、Δ1及びΔ2が0.003以上、好ましくは0.003~0.03、特に好ましくは0.0035~0.025である。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施の形態としては、透明ポリアミド(A1)が以下のモノマー:
(a-A1)ジアミンの総量に対して10~100モル%の脂環式ジアミン類;
(b-A1)ジアミンの総量に対して0~90モル%の芳香族構造単位を有するジアミン類;
(c-A1)ジアミンの総量に対して0~90モル%の開鎖脂環式ジアミン類;
(d-A1)ジカルボン酸の総量に対して0~65モル%の開鎖脂肪族ジカルボン酸類;
(e-A1)ジカルボン酸の総量に対して35~100モル%の芳香族ジカルボン酸類;
(f-A1)ジカルボン酸の総量に対して0~65モル%の脂環式ジカルボン酸類;
(g-A1)モノマー(a-A1)~(g-A1)の総量に対して0~40重量%の炭素原子を6~12個有するラクタム及び/又はアミノカルボン酸類;からなり、
ジアミン類(a-A1)、(b-A1)及び(c-A1)の生成物(products)の合計が100モル%であり、ジカルボン酸類(d-A1)、(e-A1)及び(f-A1)の生成物の合計が100モル%であり、ポリアミド(A1)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して、モノマー(b-A1)及び(e-A1)の量の合計が35モル%超である。ジカルボン酸の総量に対する含有量は、それぞれ、芳香族ジカルボン酸類(e-A1)を特に72~100モル%、開鎖脂肪族ジカルボン酸類(d-A1)を0~28モル%、脂環式ジカルボン酸類(f-A1)を0~28モル%含む。非常に好ましくは、(A1)は脂環式ジカルボン酸類(f-A1)を含まない。さらに好ましくは、ジアミンの総量に対する含有量は、脂環式ジアミン類(a-A1)を10~50モル%、開鎖脂環式ジアミン類(c-A1)を50~90モル%、ジアミン類(b-A1)を0~40モル%含む。非常に好ましくは、(A1)はジアミン類(b-A1)を含まない。
【0035】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、透明ポリアミド(A1)が、当該ポリアミド(A1)に含まれるジアミン類とジカルボン酸類の総量に対して、36モル%以上、好ましくは37モル%以上、特に40モル%以上、特に好ましくは36~100%モル%の範囲又は37~80モル%の範囲又は40~60モル%の範囲である、芳香族の構造単位を有するモノマーを含む。
【0036】
本発明の他の好ましい実施形態は、透明ポリアミド(A2)が以下のモノマー:
(a-A2)ジアミンの総量に対して20~100モル%の脂環式ジアミン類;
(b-A2)ジアミンの総量に対して0~70モル%の芳香族構造単位を有するジアミン類;
(c-A2)ジアミンの総量に対して0~80モル%の開鎖脂肪族ジアミン類;
(d-A2)ジカルボン酸類の総量に対して20~100モル%の開鎖脂肪族ジカルボン酸類;
(e-A2)ジカルボン酸類の総量に対して0~70モル%の芳香族ジカルボン酸類;
(f-A2)ジカルボン酸類の総量に対して0~80モル%の脂環式ジカルボン酸類;
(g-A2)モノマー(a-A2)~(g-A2)の総量に対して0~40重量%の炭素原子を6~12個有するラクタム類及び/又はアミノカルボン酸類;からなり、
ジアミン類(a-A2)、(b-A2)及び(c-A2)の合計が100モル%であり;
ジカルボン酸類(d-A2)、(e-A2)及び(f-A2)の合計が100モル%であり;
前記ポリアミド(A2)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の合計に対して、モノマー(b-A2)及び(e-A2)の量の合計が最大で35モル%である。ジカルボン酸類の総量に対する含有量はそれぞれ、特に好ましくは、開鎖脂肪族ジカルボン酸類(d-A2)が30~70モル%の範囲、芳香族ジカルボン酸類(e-A2)が30~70モル%の範囲であって、(A2)は脂環式ジカルボン酸類(f-A2)を含まないことが特に好ましい。ジアミンの類の総量に対する含有量がそれぞれ、脂環式ジアミン類(a-A2)が25~75モル%の範囲、開鎖脂肪族ジアミン類(c-A2)が25~75モル%の範囲であって、(A2)はジアミン類(b-A2)を含まず、ラクタム類及び/又はアミノカルボン酸類(g-A2)を含まないことが好ましい。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施形態では、透明ポリアミド(A2)が、ポリアミド(A2)に含まれるジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して、33モル%以下、好ましくは32モル%以下、特に31モル%以下、特に好ましくは0~33モル%、10~32モル%又は15~31の範囲で、芳香族構造単位を有するモノマーを含有する。
【0038】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、透明ポリアミド(A1)及び(A2)の芳香族構造単位を有するモノマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(NDA)、特に1,5-ナフタレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸類、特にビフェニル-2,2’-ジカルボン酸(ジフェン酸)、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸、及び4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、p-ターフェニレン-4,4’’-ジカルボン酸、及び2,5-ピリジンジカルボン酸、キシリレンジアミン、特にメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミン及びそれらの混合物を含む群より選択される。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施形態では、透明ポリアミド(A1)及び(A2)の芳香族構造単位を有するモノマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びメタキシリレンジアミン及びそれらの混合物を含む群より単独で選択される。
【0040】
本発明の他の好ましい実施形態は、ポリアミド成形材料は、1種類のポリアミド(A1)から構成される。
本発明のさらに好ましい実施形態は、ポリアミド成形材料は、1種類のポリアミド(A2)から構成される。
特に、ポリアミド成形材料は1種類のポリアミド(A1)及び1種類のポリアミド(A2)から構成される。
【0041】
本発明の他の好ましい実施形態は、脂環式(cycloaliphatic)ジアミン(a-A1)及び/又は(a-A2)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、2,6-ノルボルナンジアミン(2,6-ビス-(アミノメチル)ノルボルナン)、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2-(4,4’-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン、及びそれらの混合物を含む群より選択される。脂環式ジアミン(a-A1)及び/又は(a-A2)は、特に、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)及びビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及びそれらの混合物を含む群より選択される。
【0042】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、芳香族ジアミン(b-A1)及び/又は(b-A2)が、キシリレンジアミン、特にメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択される。芳香族単位を有するジアミン(b-A1)及び/又は(b-A2)は、メタキシリレンジアミンが選択されることが特に好ましい。
【0043】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ジアミン(c-A1)及び/又は(c-A2)が、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、特に1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、特に1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択される。開鎖脂環式ジアミン類(c-A1)及び/又は(c-A2)が、炭素原子を6~10個有するジアミン類から選択されることが特に好ましく、1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、及びそれらの混合物から選択されることが特に好ましい。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施形態は、脂肪族ジカルボン酸(d-A1)及び/又は(d-A2)が、1,6-アジピン酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、及びそれらの混合物を含む群より選択される。開鎖脂肪族カルボン酸(d-A1)及び/又は(d-A2)が、炭素原子を6~12個有するジカルボン酸類から選択されることが特に好ましく、1,6-ヘキサン二酸、1,10-デカン二酸、1,12-ドデカン二酸及びそれらの混合物を含む群より選択されることが特に好ましい。
【0045】
本発明の他の好ましい実施の形態によれば、芳香族ジカルボン酸(e-A1)及び/又は(e-A2)は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(NDA)、特に1,5-ナフタレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、特にビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸及び4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、
1,5-アントラセンジカルボン酸、p-ターフェニレン-4,4’-ジカルボン酸、及び2,5-ピリジンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択される。芳香族ジカルボン酸(e-A1)及び/又は(e-A2)が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらの混合物を含む群より選択されることが特に好ましい。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施形態では、脂環式ジカルボン酸(f-A1)及び/又は(f-A2)が、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,3-ノルボナンジカルボン酸、2,6-ノルボナンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択される。脂環式ジカルボン酸(f-A1)及び/又は(f-A2)は、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択されることが特に好ましい。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施形態としては、ラクタム及び/又はα,ω-アミノカルボン酸類(g-A1)及び/又は(g-A2)が、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、カプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノヘプタン酸、α,ω-アミノオクタン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノデカン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)、及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)を含む群より選択されることが好ましく;カプロラクタム、α,ω-アミノカプロン酸、ラウロラクタム、α,ω-アミノウンデカン酸及びα,ω-アミノドデカン酸、及びそれらの混合物から選択されることが特に好ましい。ラクタム及び/又はアミノカルボン酸類(g-A1)及び/又は(g-A2)は、カプロラクタム、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸、ラウロラクタム及びアミノドデカン酸及びそれらの混合物を含む群より選択されることが好ましい。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施形態は、脂環式ジアミン(a-A1)及び/又は(a-A2)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、2,6-ノルボルナンジアミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン、及びそれらの混合物からなる群より選択され、芳香族ジアミン(b-A1)及び/又は(b-A2)が、キシリレンジアミン、特にメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択され、ジアミン(c-A1)及び/又は(c-A2)が、ヘキサンジアミン、特に1,6-ヘキサンジアミン、ノナンジアミン、特に1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択され、脂肪族ジカルボン酸(d-A1)及び/又は(d-A2)が、1,6-ヘキサン二酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、芳香族ジカルボン酸(e-A1)及び/又は(e-A2)が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(NDA)、特に1,5-ナフタレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸類、特にビフェニル-2,2'-ジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、3,3'-ジフェニルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルメタンジカルボン酸及び4,4'-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、p-ターフェニレン-4,4''-ジカルボン酸、及び2,5-ピリジンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、脂環式ジカルボン酸(f-A1)及び/又は(f-A2)が、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、ラクタム及び/又はα,ω-アミノカルボン酸類(g-A1)及び/又は(g-A2)が、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、カプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノヘプタン酸、α,ω-アミノオクタン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノデカン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)、及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)を含む群より選択されることが好ましく;カプロラクタム、α,ω-アミノカプロン酸、ラウロラクタム、α,ω-アミノウンデカン酸及びα,ω-アミノドデカン酸、及びそれらの混合物から選択されることが特に好ましい。
【0049】
脂環式ジアミン類(a-A1)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)及びビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及びそれらの混合物を含む群より選択されることが特に好ましく、芳香族ジアミン類(b-A1)が、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択され、開鎖脂肪族ジアミン類(c-A1)が、炭素原子を6~10個有するジアミン類、特に1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択され、開鎖脂肪族ジカルボン酸類(d-A1)が、炭素原子を6~12個有するジカルボン酸類、特に1,6-ヘキサン二酸、1,10-デカン二酸、1,12-ドデカン二酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、芳香族ジカルボン酸類(e-A1)が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、脂環式ジカルボン酸類(f-A1)が、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸類(g-A1)が、カプロラクタム、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸、ラウロラクタム、及びアミノドデカン酸を含む群より選択されることが好ましい。
【0050】
脂環式ジアミン類(a-A2)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)及びビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及びそれらの混合物を含む群より選択されることが特に好ましく、芳香族ジアミン類(b-A2)が、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択され、開鎖脂肪族ジアミン類(c-A2)が、炭素原子を6~10個有するジアミン類、特に1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、及びそれらの混合物を含む群より選択され、開鎖脂肪族ジカルボン酸類(d-A2)が、炭素原子を6~12個有するジカルボン酸類、特に1,6-ヘキサン二酸、1,10-デカン二酸、1,12-ドデカン二酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、芳香族ジカルボン酸類(e-A2)が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、脂環式ジカルボン酸類(f-A2)が、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの混合物を含む群より選択され、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸類(g-A2)が、カプロラクタム、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸、ラウロラクタム、及びアミノドデカン酸を含む群より選択されることが好ましい。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリアミド(A1)が、PA MACMI/12, PA MACMI/1012, PA MACMT/12, PA MACMI/MACMT/12, PA MACMI/MACMT, PA MACMI/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/MACMI/MACMT, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12, PA 6I/MACMI, PA 6I/6T/PACMI/PACMT, PA 6I/612/MACMI/MACM12, PA 6T/612/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/12, PA MACMI/MACMT/MACM36, PA MACMI/MACM36, PA MACMT/MACM36, PA 12/PACMI, PA 12/MACMT, PA 6/PACMT, PA 6/PACMI, PA MXDI, PA MXDI/MXD6, PA MXDI/MXD10, PA MXDI/MXDT, PA MXDI/MACMI, PA MXDI/MXDT/MACMI/MACMT, PA 6I/6T/BACI/BACT, PA MACMI/MACMT/BACI/BACT, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/BACI/BACT及びそれらの混合物を含む群より選択され、これらのポリアミド類は、芳香族構造単位を有するモノマーを、ジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%超含む。
【0052】
本発明の他の好ましい実施形態は、ポリアミド(A2)が、PA MACM9, PA MACM10, PA MACM11, PA MACM12, PA MACM13, PA MACM14, PA MACM15, PA MACM16, PA MACM17, PA MACM18, PA MACM36, PA PACM9, PA PACM10, PA PACM11, PA PACM12, PA PACM13, PA PACM14, PACM15, PA PACM16, PACM17, PA PACM18, PA PACM36, PA TMDC9, PA TMDC10, PA TMDC11, PA TMDC12, PA TMDC13, PA TMDC14, PA TMDC15, PA TMDC16, PA TMDC17, PA TMDC18, PA TMDC36又は コポリアミド類、例えば PA MACM10/1010, PA MACM10/PACM10, PA MACM12/1012, PA MACM14/1014, PA PACM10/1010, PA PACM12/1012, PA PACM14/1014, PA MACM12/PACM12, PA MACM14/PACM14, PA MACMI/MACMT/MACM12, PA 6I/612/MACMI/MACM12, PA 6T/612/MACMT/MACM12, PA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12, PA MACMI/MACMT/MACM36, PA MACMI/MACM36, PA MACMT/MACM36, PA MACMI/MACM12, PA MACMT/MACM12, PA MACMI/MACMT/10I/10T/1012, PA 6I/6T/612/PACMI/PACMT/PACM12, PA 6I/612/MACMI/MACM12, PA 6T/612/MACMT/MACM12, PA 10T/1012/MACMT/MACM12, PA 10I/1012/MACMI/MACM12, PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/MACM12/PACM12, PA MACMI/PACMI/MACM12/PACM12, PA MACMT/PACMT/MACM12/PACM12, PA MACMI/PACMT/MACM12/PACM12, PA MACMI/MACM36, PA MACMI/MACMT/MaCM36, PA 1012/MACMI, PA 1012/MACMT, 1010/MACMI, PA 1010/MACMT, PA 612/MACMT, PA 610/MACMT, PA 612/MACMI, PA 610/MACMI,PA 1012/PACMI, PA 1012/PACMT, PA 1010/PACMI, PA 1010/PACMT, PA 612/PACMT, PA 612/PACMI, PA 610/PACMT, PA 610/PACMI及びそれらの混合物を含む群より選択され、これらのポリアミド類は、芳香族構造単位を有するモノマーを、ジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%以下含む。
【0053】
ポリアミド(A)は、ポリアミド(A1)及び(A2)として、
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12であり、ポリアミド(A2)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12である;
・ポリアミド(A1)が6I/6T/MACMI/MACMTであり、ポリアミド(A2)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12である;
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12であり、ポリアミド(A2)がMACMI/MACMT/12である;
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/12/PACMI/PACMTであり、ポリアミド(A2)がMACMI/MACMT/MACM12である;
・ポリアミド(A1)が6I/6T/MACMI/MACMTであり、ポリアミド(A2)がMACMI/12である;
・ポリアミド(A1)が6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12であり、ポリアミド(A2)がMACMI/12である、
いずれかの組み合わせを含むか、または当該いずれかの組み合わせからなることが特に好ましい。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、成分(A1)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、135℃以上、好ましくは140℃以上、特に好ましくは145℃、更に好ましくは150℃である。
【0055】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、成分(A2)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、135℃以上、好ましくは140℃以上、特に好ましくは145℃、更に好ましくは150℃である。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、混合物(A)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、130℃以上、好ましくは135℃以上、特に好ましくは140℃、更に好ましくは157℃である。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリアミド成形材料のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、130℃以上、好ましくは135℃以上、特に好ましくは140℃、更に好ましくは145℃である。
【0058】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、成分(A1)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、135℃以上、好ましくは140℃以上、特に好ましくは145℃、更に好ましくは150℃であり、成分(A2)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、135℃以上、好ましくは140℃以上、特に好ましくは145℃、更に好ましくは150℃であり、混合物(A)のISO 11357-2に準拠して特定されたガラス転移温度が、130℃以上、好ましくは135℃以上、特に好ましくは140℃、更に好ましくは150℃である。
【0059】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ポリアミド(A1)及び/又は(A2)が、ラクタム類及びアミノカルボン酸類が30重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下であり;特にラクタム類及びアミノカルボン酸類を含まず、特にアミノウンデカン酸を含まない。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリアミド(A2)が、芳香族構造単位を有するモノマーを含まず、及び/又はラクタム及びアミノカルボン酸類を含まない。
【0061】
100mlのm-クレゾールに0.5gのポリマーを含む溶液を、20℃で、ISO 307(2007)に準拠して測定された成分(A1)及び(A2)の相対粘度が、1.35~2.40の範囲、特に好ましくは1.40~1.90の範囲、特に好ましくは1.42~1.80の範囲である。
【0062】
<成分B>
本発明によるポリアミド成形材料には、一種以上のガラスフィラーが成分(B)として含まれている。ガラスフィラー(B)は、ポリアミド成形材料中に5~50重量%、好ましくは10~40重量%、特に好ましくは15~35重量%、特に好ましくは15~30重量%含まれており、ポリアミド成形材料に対するこれらの量は、成分(A)、(B)及び(C)で100重量%となる。
【0063】
ガラスフィラーは、ガラス繊維、すりガラス繊維(ground glass fibers)、ガラス粒子、ガラスフレーク、球体ガラス(glass spheres)、中空の球体ガラス(hollow glass spheres)、又はこれらの組み合わせを含む群より選択されることが好ましい。フィラーの組み合わせとしては、フィラーの種類の間で屈折率が異ならないもののみを使用することが好ましい。ここで、一種以上のガラスフィラーの、波長589nmにおいて測定された屈折率が、好ましくは1.540~1.585、特に好ましくは1.545~1.580、特に1.550~1.570である。
【0064】
ガラスフィラー(B)として、球体ガラス又はガラス粒子が選択された場合、それらの平均の径は0.3~100μm、好ましくは0.7~30μm、特に1~10μmである。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、一種類以上のガラスフィラー(B)のガラスのタイプが、E-ガラス、E-CR-ガラス、R-ガラス、AR-ガラス、特にE-ガラス、R-ガラス及び実質的に同じ屈折率を有するガラスの混合物を含む群から選択される。用語「実質的に同じ屈折率」とは、混合物を形成するガラスの種類間の屈折率の違いが、0.01以下、好ましくは0.005以下であると解される。
【0066】
好ましい実施形態では、成分(B)が、以下の組成である:50~78重量%、特に52~62%のシリカ、0.30重量%、特に8~28重量%のアルミナ、1~25重量%、特に8~25重量%の酸化カルシウム、0~7重量%の酸化マグネシウム、0~20重量%、特に0~3重量%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0~10重量%の酸化ホウ素、並びに0~20重量%、特に0~5重量%の、金属酸化物(例えば、酸化リチウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化鉄)などのさらなる添加剤。
【0067】
本発明における好ましいガラスフィラーは、ガラス繊維である。
【0068】
好ましい実施形態によれば、成分(B)はE-ガラス繊維を含み、特に好ましくはE-ガラス繊維からなる。E-ガラス繊維は、ASTM D-578-00に準拠して、52~62%のシリカ、12~16%のアルミナ、16~25%の酸化カルシウム、0~10%の酸化ホウ素、0~5%の酸化マグネシウム、0~2%のアルカリ酸化物(alkali oxides)、0~1.5%の二酸化チタン、及び0~0.3%の酸化鉄からなる。E-ガラス繊維は、23℃、相対湿度50%にて、直径10μm、長さ12.7mmの単一ファイバーで特定された機械特性(mechanical properties)が、2.54~2.62g/cm3の密度、70~75GPaの弾性率、3000~3500MPaの引張強さ、及び4.5~4.8%の破断伸び(elongation at break)を有する。
【0069】
これらのE-ガラス繊維の具体例としては、日東紡(Nittobo)のCSG3、CPICのガラス繊維ECS、又はSaint-Gobain groupのVetrotex 995である。
【0070】
他の好ましい実施形態によれば、成分(B)は、E-CRガラス繊維を含み、特に好ましくはE-CRガラス繊維からなる。E-CRガラス繊維は、52~64重量%、特に好ましくは54~62%のシリカ、8~18重量%、特に好ましくは9~15重量%のアルミナ、15~28重量%、特に好ましくは17~25重量%の酸化カルシウム、0~4重量%の酸化マグネシウム、0~2重量%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0~1重量%の酸化ホウ素、0~10重量%、特に好ましくは0~5%の金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄)などのさらなる添加剤を含む。
【0071】
他の好ましい実施形態によれば、成分(B)はRガラス繊維を含み、特に好ましくはRガラス繊維からなる。Rガラス繊維は、52~64重量%、特に好ましくは54~62重量%のシリカ、8~18重量%、特に好ましくは9~15重量%のアルミナ、15~28重量%、特に好ましくは17~25重量%の酸化カルシウム、0~4重量%の酸化マグネシウム、0~2重量%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0~1重量%の酸化ホウ素、0~10重量%、特に好ましくは0~5重量%の金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄)などのさらなる添加剤を含む。
【0072】
成分(B)が、E-ガラス繊維、E-CR-ガラス繊維、AR-ガラス繊維及びR-ガラス繊維の混合物から形成されることがさらに好ましい。
【0073】
成分(B)は、特に好ましくは、実質的にシリカ、酸化カルシウム及びアルミナからなる、又はそれらを含み、重量比SiO2/(CaO+MgO)が2.7より小さく、好ましくは2.5より小さく、特に2.1~2.4の間であるガラス繊維が好ましい。
【0074】
ガラス繊維は、円形又は非円形の断面領域を有することが好ましい。円形断面(circular cross-section)を有するガラス繊維、すなわち丸ガラス繊維(round glass fibers)の直径は、一般的に5~20μmの範囲であり、好ましくは6~17μmの範囲であり、特に好ましくは6~13μmの範囲である。それらは、短ガラス繊維(0.2~20mm、好ましくは2~12mmの長さを有するカットガラス(cut glass product))又は粗糸(rovings)として用いられることが好ましい。
【0075】
扁平ガラス繊維(flat glass fibers)、すなわち、非円形断面を有するガラス繊維では、主断面軸(main cross-sectional axis)とそれに垂直な副断面軸(secondary cross-sectional axis)の寸法比が、2より大きく、好ましくは2~8、特に2.5~5.0が用いられることが好ましい。これらの、いわゆる扁平ガラス繊維は、卵形の断面、楕円形の断面、1又はそれ以上のくびれを備えた楕円形の断面表面(いわゆる「コクーン(cocoon)」繊維)、矩形又は略矩形の断面表面を有している。
【0076】
扁平ガラス繊維の、さらなる好ましい特徴は、主断面軸の長さが6~40μmの範囲、特に15~30μmの範囲であり、副断面軸の長さが3~20μmの範囲、特に4~10μmの範囲である。本明細書における扁平ガラス繊維は、可能な限り高い充填密度を有している。すなわち、ガラス繊維の断面を可能な限り正確に囲んだ仮想的な長方形を、ガラス繊維の断面は70%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、充填している。
【0077】
ガラス繊維は、例えば、アミノシラン化合物又はエポキシシラン化合物をベースにした結合剤を含む、特にポリアミドに適したブラックウォッシュ(black wash)が提供されることが好ましい。成分(B)のガラス繊維は短繊維の形状で存在させることができ、0.2~20mmの範囲の長さを有するカットガラス(cut glass product)状又は粗糸状(rovings)が好ましい。
【0078】
実施形態によれば、ポリアミド成形材料は、5~50重量%のガラス繊維(B)を含み、いわゆる短繊維(例えば、0.2~20mmの長さを有するカットガラス)又は粗糸(rovings)の形状で使用され、ガラス繊維(B)は円形断面(round cross-section)を有するいわゆるE-ガラス繊維である。
【0079】
<成分C>
本発明に係るポリアミド成形材料は、さらに、成分(A)~(C)の合計に対して0~10重量%の成分(C)を含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリアミド成形材料のうち成分(C)の割合が、成分(A)~(C)の合計に対して0~7重量%の範囲、好ましくは0~5重量%の範囲、特に好ましくは0.1~3.0重量%である。
【0080】
さらに好ましい実施形態では、一種類以上の添加剤(C)が、無機安定剤及び有機安定剤、特に抗酸化剤、オゾン劣化防止剤(antiozonants)、熱安定剤、光保護手段(light protection means)である、UV安定剤、UV吸収体、若しくはUV遮断剤、モノマー類、特にラクタム類、可塑剤、成形材料に対してそれぞれ5重量%未満の半結晶性ポリアミド、特にポリアミドPA12、耐衝撃性改良剤(impact modifiers)、潤滑剤、着色剤、マーキング手段(marking means)、フォトクロミック作用剤(photochromic agents)、離型手段(demolding means)、縮合触媒(condensation catalysts)、鎖調節剤(chain regulators)、特に単官能カルボン酸又はアミン、消泡剤、ブロッキング防止剤、光学的増白剤(optical brighteners)、ノンハロゲン系難燃剤、天然シートケイ酸塩、合成シートケイ酸塩、粒子径が最大100nmであるナノスケールの充填剤、及びそれらの混合物を含む群より選択される。
【0081】
成分(C)への添加剤の使用は、可能な限り高い透明性及び可能な限り低いヘイズの獲得に関して特に特別な注意を払わなければならない。成形材料へ導入する添加剤としては、成形材料の透明性及びヘイズに悪影響が無いものか、ほんの僅かな悪影響があるもののみが好ましいであろう。ここで、本発明に係る成形材料は、以下の成分(C)のみを含む群から選択されることが好ましい。無機安定剤及び有機安定剤、特に抗酸化剤、オゾン劣化防止剤(antiozonants)、熱安定剤、光保護手段(light protection means)である、UV安定剤、UV吸収体、若しくはUV遮断剤、モノマー類、潤滑剤、着色剤、マーキング手段、離型手段、縮合触媒(condensation catalysts)、鎖調節剤(chain regulators)、特に単官能カルボン酸又はアミン、消泡剤、ブロッキング防止剤、光学的増白剤(optical brighteners)が、成分(A)~(C)の合計に対して0.1~3.0重量%含まれる。
【0082】
<ポリアミド成形材料>
本発明に係る好ましい実施形態は、ポリアミド成形材料中の成分(A)の割合が、成分(A)~(C)の合計に対して55~90重量%の範囲、好ましくは60~85重量%の範囲、特に好ましくは62~84.9重量%の範囲であり、ポリアミド成形材料中の成分(B)の割合が、成分(A)~(C)の合計に対して10~40重量%の範囲、好ましくは15~35重量%の範囲、特に好ましくは15~30重量%の範囲であり、ポリアミド成形材料中の成分(C)の割合が、成分(A)~(C)の合計に対して0~7重量%、好ましくは0~5重量%、特に好ましくは0.1~3.0重量%である。
【0083】
本発明の他の好ましい実施形態はさらに、ポリアミド成形材料は成分(A)~(C)以外の他の成分を含まない。
【0084】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定された透明度が、80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。
【0085】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含む、ポリアミド成形材料から製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D 1003に準拠して測定された透明度が、80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。
【0086】
さらに好ましい実施形態では、ポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定されたヘイズが、最大で40%、好ましくは最大で35%、特に好ましくは最大で25%、非常に好ましくは最大で20%である。
【0087】
さらに好ましい実施形態では、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料から製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定されたヘイズが、最大で30%、好ましくは最大で25%、特に好ましくは最大で20%、非常に好ましくは最大で15%である。
【0088】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、DIN EN ISO 4287 (2010-07)に準拠して、MarSurf XR1表面測定ステーションを用いて測定された、ポリアミド成形材料から製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)の算術平均粗さ(Ra)が、0.12μm以下、好ましくは0.09μm以下、特に好ましくは0.01~0.10μm、特に0.02~0.09μmである、及び/又は、表面粗さ(Rz)が、1.50μm以下、好ましくは1.00μm以下、特に好ましくは0.05~1.30μm、特に0.10~1.00μmである。
【0089】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、DIN EN ISO 4287 (2010-07)に準拠して、MarSurf XR1表面測定ステーションを用いて測定された、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料から製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)の算術平均粗さ(Ra)が、0.1μm以下、好ましくは0.07μm以下、特に好ましくは0.01~0.08μm、特に0.02~0.06である、及び/又は、表面粗さ(Rz)が、1.5μm以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.05~1.0μm、特に好ましくは0.1~0.9μmである。
【0090】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定された透明度が、80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上であり、ポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定されたヘイズが、最大で40%、好ましくは最大で35%、特に好ましくは最大で25%、非常に好ましくは最大で20%であり、DIN EN ISO 4287 (2010-07)に準拠して、MarSurf XR1表面測定ステーションを用いて測定された、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料から製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)の算術平均粗さ(Ra)が、0.12μm以下、好ましくは0.09μm以下、特に好ましくは0.01~0.10μm、特に0.02~0.09μmであり、及び/又は、特定された表面粗さ(Rz)が、1.50μm以下、好ましくは1.00μm以下、特に好ましくは0.05~1.30μm、特に0.1~1.00μmである。
【0091】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定された透明度が、80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上であり、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料で製造された成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D1003に準拠して測定されたヘイズが、最大で30%、好ましくは最大で25%、特に好ましくは最大で20%、非常に好ましくは最大で15%であり、DIN EN ISO 4287 (2010-07)に準拠して、MarSurf XR1表面測定ステーションを用いて測定された、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料から製造された成形体(60×2×20mmの寸法のプレート)の算術平均粗さ(Ra)が、0.1μm以下、好ましくは0.07μm以下、好ましくは0.01~0.08μm、特に0.02~0.06であり、及び/又は、表面粗さ(Rz)が、1.5μm以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.05~1.0μm、特に0.1~0.9μmである。
【0092】
本発明の他の好ましい実施形態は、ISP 527に基づいて特定された、ポリアミド成形材料の弾性率が、3,000~15,000MPaの範囲、好ましくは5,000~12,000MPaの範囲、特に好ましくは6,000~10,000MPaの範囲である。
【0093】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ISO 527に基づいて特定された、ポリアミド成形材料の破壊応力(failure stress)が、100~250MPa、好ましくは120~200MPa、非常に好ましくは130~180MPaである。
【0094】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ISO 527に基づいて特定されたポリアミド成形材料の破断伸び(elongation at break)が、2%超、好ましくは3%超、特に好ましくは3~10%の範囲である。
【0095】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ISO 179/2に基づいて特定されたポリアミド成形材料の衝撃抵抗(impact resistance)が、30kJ/mm2超、より好ましくは40kJ/mm2超、特に好ましくは40~100kJ/mm2の範囲である。
【0096】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ISO 179/2に基づいて特定されたポリアミド成形材料のノッチ衝撃強さ(notch impact strength)は、8kJ/mm2以上、好ましくは9kJ/mm2以上、特に好ましくは10~20kJ/mm2である。
【0097】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ISO 75(2013-04)に基づいて特定されたポリアミド成形材料のHDT Aは、120℃以上、特に好ましくは125℃以上、非常に好ましくは130℃以上であり、好ましくは120~180℃の範囲、特に好ましくは125~160℃の範囲、非常に好ましくは130~150℃の範囲である。
【0098】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ISO 75(2013-04)に基づいて特定されたポリアミド成形材料のHDT Bは、120℃以上、特に好ましくは125℃以上、非常に好ましくは130℃以上であり、好ましくは120~180℃の範囲、特に好ましくは125~160℃の範囲、非常に好ましくは135~150℃の範囲である。
【0099】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ポリアミド成形材料は、ラクタム類及びアミノカルボン酸類を含まず、特にアミノウンデカン酸を含まない。さらに好ましくは、ポリアミド成形材料は、ポリエーテルアミド類(polyetheramides)を含まない。
【0100】
本発明に係る好ましいポリアミド成形材料は、
(A)50~95重量%の
(A1)60~90%のポリアミドと、
(A2)10~40%のポリアミドとの混合物、
(B)5~50重量%の少なくとも一種の屈折率が1.55~1.57のガラスフィラー、
(C)0~10重量%の少なくとも一種の添加剤
の成分を含み、特に好ましくはこれらの成分からなる。
この組成におけるΔ1及びΔ2は、0.003以上であり、特に0.003~0.03の範囲である。
【0101】
本発明に係るさらに好ましいポリアミド成形材料は、
(A)50~95重量%の
(A1)60~90%の、ポリアミド(A1)中のジアミン及びジカルボン酸の総量に対して、芳香族単位を有するモノマーを36~80モル%含むポリアミドPA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12と、
(A2)10~40%の、ポリアミド(A2)中のジアミン及びジカルボン酸の総量に対して、芳香族単位を有するモノマーを0~33モル%含むポリアミドPA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12と、の混合物、
(B)5~50重量%の少なくとも一種の屈折率が1.5400~1.600のガラスフィラー、
(C)0~10重量%の少なくとも一種の添加剤の成分を含み、特に好ましくはこれらの成分からなる。
【0102】
本発明に係るさらに好ましいポリアミド成形材料は、
(A)50~95重量%の
(A1)10~40%のポリアミドPA 6I/6T/MACMI/MACMT と、
(A2)60~90%のポリアミドPA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12との混合物、
(B)5~50重量%の少なくとも一種の屈折率が1.55~1.58のガラスフィラー、
(C)0~10重量%の少なくとも一種の添加剤の成分を含み、
特に好ましくはこれらの成分からなる。
【0103】
<成形体>
本発明はさらに、上記に定義された成形材料を含む成形体に関するものである;成形体は当該ポリアミド成形材料からなることが好ましい。これらの成形体は特に、装飾用の構造骨組み、制御ボタン、カバー、可視表面、バックライトの構成要素、携帯電話の外装、タブレット、電子デバイスの筐体、車両の装備品、家庭用電気製品、容器、車両用キー並びに、レジャー用品及びアウトドア用品を含む群より選択される。
【0104】
本発明の好ましい実施形態によれば、成形体は多層である。本発明によると、好ましくは前述の成形材料の最適の(only)一層を含み、特に、二層又は三層の成形体である。
【0105】
多層成形体(multilayer molded body)は、本発明に係るポリアミド成形材料を含む又はポリアミド成形材料からなる層(S1)から形成されることが好ましく、さらに、ガラスフィラー(B)を含まないか、又は層(S1)と比較してガラスフィラー(B)の割合を減少させた、好ましくはガラスフィラーの割合を層(S1)に対して50重量%以上に減少させた、一種類以上の層(S2)、(S3)又は(S4)から形成されることが好ましい。
【0106】
これらの多層成形体は、混合物(A)を成分とした粘度のより高い透明ポリアミドを使用した場合であっても、及び/又は、層(S1)中に、ガラスフィラー(B)をより多く充填した成形材料を使用する場合であっても、優れた表面品質を可能にする。加えて、ツール(tool)の表面は、表面品質に及ぼす影響が小さく、実際には最適ではないツールの表面であっても、優れた表面品質を実現することができる。これは、成形体の表面粗さ及びヘイズを減少させ、その透明度を増加させる。耐性の低い層(S1)が、存在する化学物質と直接接触しないようにするため、非常に高い耐性層(S2)、(S3)又は(S4)は、多相成形体の全体的な耐薬品性をさらに高めることができる。これに関連し、外側に配置された層(S2)~(S4)を適宜選択することにより、耐応力亀裂性(stress crack resistance)に優れた多層成形体を得ることができる。したがって、媒体(media)に対する耐性、透明性及びヘイズは、機械的性質を大きく損なうことなく増加させることができる。
【0107】
他の好ましい実施形態によれば、DIN EN ISO 4287(2010-07)に準拠して、MarSurf XR1表面測定ステーションを用いてそれぞれ測定された、成形体の有する算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、好ましくは0.01~0.08μm、特に0.02~0.06μmであり、及び/又は、表面粗さRzが1.5μm以下、好ましくは0.05~1.0μm、特に0.1~0.9μmである。
【0108】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、20重量%のガラスフィラー(B)、好ましくはガラス繊維の形状、特にE-ガラス繊維の形状を含むポリアミド成形材料から形成された多層成形体(60×60×2mmの寸法のプレート)において、ASTM D100に準拠して測定された透明度が、層(S1)において、80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上であり、ASTM D1003に測定されたヘイズが、最大25%、好ましくは最大20%、特に好ましくは最大15%、非常に好ましくは最大12%である。
【0109】
層の好ましい順序は、(S1)/(S2)又は(S2)/(S1)/(S2)又は(S3)/(S1)/(S4)である。ここで、層は上から下へと示されており、すなわち、(S1)/(S2)は、例えば、(S1)が成形体の最も上の層であり、(S2)が成形体の最も下の層であることを意味する。
【0110】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、成形体は、ポリアミド混合物(A)、又はポリアミド(A1)、又はポリアミド(A2)、又はポリアミド(A1)及び(A2)とは異なるポリアミドに基づくもの、又は、好ましくはそれらからなる、層(S2)、(S3)又は(S4)を備えている。本明細書における用語「基づく(based/basis)」とは、当該層が、層の50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上含むように、解される。
【0111】
本発明の他の好ましい実施形態は、層(S1)の層厚さの平均は、層(S2)、(S3)又は(S4)の層の厚さの少なくとも2倍より厚く、好ましくは少なくとも5倍より厚く、特に好ましくは少なくとも9倍より厚い。
【0112】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、成形体中の層(S1)の重量比は、成形体中の(S2)、(S3)及び(S4)の全ての層の重量比に対して、2倍以上、好ましくは5倍以上、特に好ましくは10倍以上である。
【0113】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、層(S2)、(S3)、又は(S4)は、PA MACM12, PA MACMI/MACMT/12, PA 11, PA 12及びそれらの混合物を含む群より選択されるポリアミドに基づくか、又は、好ましくはこれらの群より選択されるポリアミドからなる。
【0114】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、層(S1)とともに、層(S2)、(S3)若しくは(S4)がバック射出成形(back injection molded)されるか、又は、層(S1)と、層(S2)、(S3)若しくは(S4)とが、二成分射出成形若しくは多成分射出成形(単一のサンドイッチ工程(mono-sandwich process))によって、一度の射出成形サイクルで多層成形体が一体的に成形される。
【0115】
<透明ポリアミドの使用>
本発明はさらに、非晶質又は微結晶であり、芳香族構造単位を有するモノマーをジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して35モル%より多く有し、ポリアミド成形材料のヘイズを減少させるための一種以上の透明ポリアミド(A1)の使用に関するものであって、さらにまた、非晶質又は微結晶であり、芳香族構造単位を有するモノマーをジアミン類及びジカルボン酸類の総量に対して25モル%以下有し、1.540~1.600の範囲の屈折率を有するガラスフィラーと、添加剤を含んでいてもよい、一種以上の透明ポリアミド(A2)の使用に関するものである。ここで、ポリアミド(A1)及び(A2)はポリアミド混合物(A)を形成する。
【0116】
好ましい実施形態によれば、Δ2/Δ1>1の場合、ポリアミド混合物(A)に含まれるポリアミド(A1)の割合が50重量%より多く、Δ2/Δ1≦1の場合、(A1)及び(A2)を含むポリアミド混合物(A)が含むポリアミド(A2)が、50重量%より多い。
【0117】
以下、実施例を参照しつつ、本発明の対象(subject matter)についてより詳細に説明を行うが、以下に示す特定の態様に限定されるものではない。
【0118】
1.測定方法
本明細書の範囲内では、以下を測定方法として用いた:
<表面粗さ、Ra,Rz>
テスト試料の粗さは、DIN EN ISO 4287 (2010-07)に準拠して、Mahr GmbH社(ドイツ)のMarSurf XR1表面測定ステーションを用いて測定された。粗さの値、すなわち、算術平均粗さRa及び表面粗さRzは、マイクロメーター(μm)にて示す。
【0119】
<ヘイズ、透明度>
透明度とヘイズは、ASTM D 1003に準拠して、BYK Gardner社の測定機器である、CIEライトタイプCを備えたHaze Gard Plusを用いて、2mmの厚さのプレート(表面は60mm×60mm)が23℃にて測定された。試料(60×60×2mmのプレート)の表面は、成形材料又は多層成形体について、表2の実施例および比較例に従って明確に特定された算術平均粗さRaと表面粗さRzを有する。テスト試料の製造については、下記の項目3.3にて記載する。
【0120】
<融解点(Tm)と融解(fusion)エンタルピー(ΔHm)>
融解(fusion)の融解点と融解エンタルピーとは、ISO11357-3(2013)に準拠して、ペレットで特定された。加熱率20K/分で、DSC(differential scanning calorimetry、示差走査熱量測定)測定が行われた。
【0121】
<ガラス転移温度、Tg>
ガラス転移温度Tgは、ISO 11357-2(2013)に準拠して、ペレットで、示差走査熱量測定(DSC)によって特定された。2つの加熱ステップのそれぞれが加熱率20K/分で行われた。サンプルは、最初の加熱の後、ドライアイスで冷却された。ガラス転移温度(Tg)は、2番目の加熱ステップにおいて特定された。本明細書においてガラス転移温度として明記されたガラス遷移領域(glass transition zone)の中心は、「ハーフハイト(half height)」方法を用いて特定された。
【0122】
<相対粘度、ηrel>
相対粘度は、IS 307(2007)に準拠して20℃にて特定された。次の目的のために、100mlのm-クレゾールの中に、計測した0.5gのポリマーのペレットを入れた;RV=t/t0の後の相対粘度(RV)の計算は、規格のセクション11に基づいて行われた。
【0123】
<弾性率>
弾性率及び張力(tensile strength)の特定は、ISO/CD 3167(2003)の規格に準拠して製造されたISO引張棒(tensile rod)(タイプA1、質量170×20/10×4)で、引張速度1mm/分で、23℃においてISO 527(2012)に準拠して行われた。
【0124】
<破壊応力(Failure stress)と破断伸び(elongation at break)>
破壊応力と破断伸びの特定は、ISO/CD 3167(2003)の規格に準拠して製造されたISO引張棒(tensile rod)(タイプA1、質量170×20/10×4)で、引張速度(tensile speed)5mm/分で、23℃において、ISO 527(2012)に準拠して行われた。
【0125】
<シャルピー(Charpy)による耐衝撃性(Impact resistance)>
シャルピーによる耐衝撃性の特定は、ISO/CD 3167(2003)の規格に準拠して製造されたISO試験棒(test rod)、タイプB1(質量80×10×4mm)で、23℃において、ISO 179/2*eU(1997、*2=機器)に準拠して行われた。
【0126】
<シャルピーによるノッチ耐衝撃性>
シャルピーによるノッチ耐衝撃性の特定は、ISO/CD 3167(2003)の規格に準拠して製造されたISO試験棒(test rod)、タイプB1(質量80×10×4mm)で、23℃において、ISO 179/2*eA(1997、*2=機器)に準拠して行われた。
【0127】
<荷重たわみ温度(Heat deflection temperature、HDT)>
荷重たわみ温度(HDT)或いは荷重負荷における熱変形温度は、HDT/A、及び/又は、HDT/Bとして報告されている。HDT/Aは、曲げ応力が1.80MPaのA法に対応し、HDT/Bは、曲げ応力が0.45MPaのB法に対応する。HDT値は、80×10×4mmのISO調節棒(baffle rods)で、ISO 75(2013-04)に準拠して特定された。
【0128】
<ガラス繊維の屈折率の測定>
ガラス繊維の屈折率の特定は、ベックのライン法(Beck's line method)を用い、ISO 489(1999-04)のB法に基づいて、589nmについて浸漬液を用いて行った。
【0129】
<ポリアミドの屈折率の測定>
ポリアミドA1及びA2の屈折率は、2mmの厚さのプレート(60×60×2mm)において、ISO 489(1999-04)に準拠して、589nm、23℃で、カールツァイス社(Carl Zeiss)のアッベ屈折計を用いて特定された(A法)。試験されるプレートと、プリズム面との間に、接触液として1-1-ブロモナフタレンが添加された。
【0130】
2.出発材料(Starting Materials)
実施例及び比較例で用いられる材料を、表1に順に並べた。
【0131】
【0132】
3.実施例及び比較例
3.1 ポリアミド成形材料の製造
融解したポリマーからプラスチック成形材料を製造するため、材料は、単軸若しくは二軸押出機、又はスクリュー式混練機などの標準的な配合機器で、通常、混合(配合)される。ここで、各成分は個々に計量されてフィーダーへ供給されるか、ドライブレンドの形状で供給される。添加剤を使用する場合は、直接又はマスターバッチの形状で導入することができる。ドライブレンド製品では、乾燥ポリマーペレットと添加剤とが混合される。当該混合は、吸湿を避けるため、乾燥した保護ガス下で行うことができる。用いられるガラス繊維は計量され、サイドフィーダーによって所望の割合で融解したポリマーの中へ投入され、さらに、混合機器のシリンダーの中で均質化される。フィーダー又はサイドフィーダーへ投入された、すべての成分の計量は、電子的に制御されたスケールによって、ガラス-ポリマーの所望の量比となるように設定される。
【0133】
混合は、セットされた押出機のシリンダーで、例えば230℃~350℃の温度で行われる。ノズルの前で吸引を行うか、空気の脱気(atmospheric degassing)を行うことができる。溶解物は押し出された形状でウォーターバス中にアウトプットされ、ペレット化される。用いるのに好ましいペレット化は、水中でのペレット化(underwater pelletization)又はストランド式のペレット化(strand pelletization)である。
【0134】
したがって、プラスチック成形材料は好ましくはペレット形状で得られ、続いて乾燥され、そしてさらに射出成形によって成形体とすることができる。これは、加熱可能なシリンダーの中でドライペレットを融解し、融解物を凝固可能な射出金型へ移すことを繰り返すことによって行われる。
【0135】
3.2 実施例B1~B3によるポリアミド成形材料の製造
実施例B1~B3及び比較例VB1~VB3の成形材料は、Werner and Pfleiderer社の二軸押出機、タイプZSK25で製造された。ポリアミド(A1)及び(A2)は、計量トロリーによって表2に特定された含有量に計量され、押出機に給送された。用いられるガラス繊維は、サイドフィーダーによって所望の割合で融解したポリマーの中へと搬送され、さらに、混合機器のシリンダーの中で均質化された。
【0136】
最初のハウジング(housing)の温度は80℃に設定した;残りのハウジングの温度は、270℃から300℃に上昇させた。200rpmのスピード、15kg/時間の処理量のものを用い、第3ゾーンでは窒素気流中のノズルの前で脱気を行った。ポリアミド成形材料はストランドとしてアウトプットされ、80℃のウォーターバスの中で冷却し、ペレット化した。得られたペレットを、含水率が0.1重量%未満となるまで90℃で乾燥させ、30mbarで吸引した。
【0137】
3.3 テスト試料の作製
テスト試料として、引張棒(tensile rods)、調節棒(baffle rods)及びプレートは、ペレットから射出成形され、表2に明記された性質が特定された。テスト試料は、Arburg社のモデルオールラウンダー(model Allrounder) 420 C 1000-250の射出成形機によって製造された。ここでは、シリンダーの温度を250℃から290℃へと上昇させたものを用いた。すべての射出成形体の融解温度は、それぞれ294~300℃となった。プレート(2mm×60mm×60mm)の場合、各ケースにおいて工具温度)(tool temperature)は120℃であった。引張棒(tensile rods)及び調節棒(baffle rods)の工具温度は、それぞれ80℃であった。テスト試料は他に特に特定されていなければ乾燥状態で用いた;このために、射出成形後48時間以上はドライ環境中、すなわちシリカゲルで覆って、常温保存した。
【0138】
プレート(2mm×60mm×60mm)の場合、光学的性質を特定するために、成形体(プレート)が、DIN EN ISO4287に準拠した算術平均粗さ(Ra)が0.01~0.08μm及び/又は表面粗さ(Rz)が0.05~1.0μmである高光沢表面を有するように、射出成形金型のキャビティーの表面は鏡面仕上げされた。
【0139】
3.4 結果
3.4.1 単層成形体
以下の表2は、本発明に係る実施例に関するものと、比較例に関するものである。
【0140】
【0141】
3.4.2 寸法60×60×2mmの3層成形体
<多層成形体の製造>
以下の寸法60×60×2mmの多層成形体は、本発明に係るポリアミド成形化合物を用いて、非強化(non-reinforced)な透明ポリアミドフィルムのバック射出成形によって製造された。製造は、60×60×2mmのプレートで上記の条件を用いて、アーブルグ社製(Arburg)、420C 1000-250の射出成形機で行われた。ポリアミド3 (PA 6I/6T/612/MACMI/MACMT/MACM12;(成分A2))から構成された厚さ100μmの2つの押出フィルム(extruded films)を、60×60×0.1mmの大きさに切断して射出成形機に入れ、器具を閉じた後の2枚のフィルムの間に残っている空間(キャビティー)に、本発明の実施例B1又はB3に係るポリアミド成形材料を注入することによって充填した。冷却後、多層成形体は離型され、透明度およびヘイズはASTM D1003に準拠して決定された。ポリアミド3の挿入フィルム(insertion films)は、射出成形工程の後、多層成形体から除去することは最早できないが、実施例B1及びB3の成形材料への材料連続性(material continuity)にむしろ繋がっていた。
【0142】
【0143】
【0144】
4. 結果の考察
表2によれば、本発明に係る実施例B1~B3のポリアミド成形材料は、13~17%という非常に低いヘイズと、80~90%という高い透明性を有している。これに対し、比較例VB1~VB4のポリアミド成形材料は、52~95%という遙かに高いヘイズの範囲を示している。
【0145】
B1及びB2のポリアミド成形材料は、ポリアミド混合物(A)中のポリアミド(A1)の割合が80重量%であり、Δ2/Δ1の割合が2.67である。同様に本発明に係るポリアミド成形材料のB3は、これに対して、ポリアミド混合物(A)中にポリアミド(A2)を過剰に有する。混合物(A)の量中のポリアミド(A2)の割合は、61.2重量%であり、Δ2/Δ1の割合が0.027である。
【0146】
本発明に係る実施例B1~B3と、(A1)又は(A2)のうち1つのみから構成されている比較例VB2~VB3とを比較すると、ポリアミド(A1)及び(A2)の混合物が、良好なヘイズ値を達成するために絶対に必要であることを例証している。すべての例の表面粗さは同様の高いレベルに維持できたことから、透明性及びヘイズの違いは、成形材料の成分の選択に明確に基づくものである。
【0147】
ポリアミド成形材料に関する比較例VB1は、ポリアミド(A1)及び(A2)の混合物から構成されるものである。ここで、混合物(A)中に成分(A2)が過剰に存在し、その割合は75重量%であり、Δ2/Δ1の割合は2.67である。したがって、請求項に記載の“Δ2/Δ1>1の場合、混合物(A)中の成分(A1)の割合は(A1)≧50である”を満たさない。VB1のポリアミド成形材料のヘイズは47%であり、請求項に記載の”Δ2/Δ1>1の場合、混合物(A)中の成分(A1)の割合は成分(A1)≧50重量%である”又は“Δ2/Δ1≦1の場合、混合物(A)中の成分(A2)の割合は成分(A2)≧50重量%である”という条件を満たす本発明に係る実施例B1~B3のポリアミド成形材料のヘイズに比べて、このように大幅に高い。
【0148】
多層成形体1及び2は、良好な透明性及び低ヘイズによって特徴付けられる。高粘度の出発材料(ポリアミドA1及びA2)であるにも関わらず、高い表面品質を有する成形体が、特に低い平均粗さRa及び低い表面粗さRzで得られる。一方で、出発材料が高粘度であるため、成形体の高い強度及び靱性が確保される;耐衝撃性および破断伸びは、低粘度のマトリクスと比較して、特に著しく改善される。
【0149】
したがって、良好な機械特性に加えて、特に低ヘイズであり非常に良好な光学特性も有するガラスフィラーにより強化されたポリアミド成形材料は、驚くべきことに、請求項1の特定の特徴の組み合わせによってのみ成功する。