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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】医療用通信及び充電システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/378 20060101AFI20230808BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20230808BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61N1/378
H02J50/12
H02J7/00 301D
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018214267
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2019088788
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】17201800.4
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518406644
【氏名又は名称】オンワード メディカル エヌ.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】ONWARD Medical N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145791
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 志麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ウェイジャンド
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ダブリュー,プフラグ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-197964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0087688(US,A1)
【文献】特表2014-534858(JP,A)
【文献】特開2002-315209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/378
H02J 50/12
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信及び給電システム、特に医療用通信及び給電システムであって、
通信送信機を有する少なくとも1つの通信モジュールであって、通信信号を送信及び送出するように構成及び配置された前記通信モジュールと
エネルギー充電及び/又は給電送信機を有する少なくとも1つの充電及び/又は給電モジュールであって、充電及び/又は給電エネルギーを供給及び/又は送信するように構成及び配置された前記充電及び/又は給電モジュールと
通信信号及びエネルギー用の受信機である1つの受信機であって、前記通信モジュールによって供給される通信信号を受信するための第1の状態を有し及び/又は第1の状態に切換可能であり、前記充電及び/又は給電モジュールから供給されるエネルギーを受信するための第2の状態を有し及び/又は第2の状態に切換可能である、前記1つの受信機と
を備え、
通信送信と給電送信は、前記1つの受信機により受信される独立した送信であり、前記1つの受信機は、1つのアンテナと通信及び充電ダイプレクサとを備え、前記1つのアンテナ及び前記通信及び充電ダイプレクサはタンク回路を形成し、前記タンク回路は、前記1つのアンテナとスイッチとの間に位置するコンデンサを含み、
前記通信送信は、前記1つの受信機が前記第1の状態であるときに受信され、前記給電送信は、前記1つの受信機が前記第2の状態であるときに受信される、
システム。
【請求項2】
前記第1の状態及び前記第2の状態が同時に有効化されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の状態及び前記第2の状態が交番され及び/又は同時に有効化されないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記通信送信機は第1の周波数範囲(f1)内で通信信号を送信及び送出するように構成及び配置され、前記エネルギー充電及び/又は給電送信機は第2の周波数範囲(f2)内で充電エネルギーを送信及び送出するように構成及び配置され、前記第1及び第2の周波数範囲(f1、f2)は相互に異なることを特徴とする請求項1~3のうちの一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信機は被験者に移植可能であり又は移植されており、前記通信モジュール並びに/又は前記充電及び/若しくは給電モジュールは被験者に移植されないことを特徴とする請求項1~4のうちの一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記通信送信機並びに前記エネルギー充電及び/又は給電送信機のうちの少なくとも1つがアンテナ又はアンテナコイルとして具現化されていることを特徴とする請求項1~5のうちの一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記アンテナがアンテナコイルを備えることを特徴とする請求項1~6のうちの一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記アンテナがインダクタであり、前記通信及び充電ダイプレクサは、直列に配置されて前記アンテナに接続されたグランドに対するスイッチ、第1のコンデンサ、及び第2のコンデンサを備え、前記アンテナ及び前記第2のコンデンサが前記タンク回路を構成することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサの間の接続部に分岐配線が接続され、該分岐配線が接続点に接続され、該接続点が充電配線及び通信配線への接続部であり、該通信配線において、第3のコンデンサとグランドに対するスイッチへの接続配線とが配置されていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第3のコンデンサが前記接続点とグランドに対する前記スイッチへの前記接続配線との間に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のコンデンサ及び前記アンテナを接続する接続配線においてグランドへの接続部が設けられていることを特徴とする請求項8~10のうちの一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アンテナから分岐配線が接続され、該分岐配線が接続点に接続され、該接続点が充電配線及び通信配線への接続部であり、該通信配線においてコンデンサ及びグランドに対するスイッチへの接続部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンデンサが前記接続点とグランドに対する前記スイッチへの前記接続部との間に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記アンテナはコンデンサ及びグランドへの接続部を有する回路に接続され、前記コンデンサ及びグランドへの前記接続部が直列に配置されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記受信機が、独立した移植可能医療デバイス(IMD)に接続されていることを特徴とする請求項1~14のうちの一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記移植可能医療デバイスが移植可能パルス生成器(IPG)であることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記移植可能医療デバイス(IMD)が、前記充電及び/又は給電モジュールによって前記受信機を介して再充電可能であり及び/又は電力の供給を受けることができ、前記受信機を介して通信信号が前記移植可能医療デバイス(IMD)と通信モジュールの間で交換可能であることを特徴とする請求項15又は16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信及び給電システムに関し、特に、医療用通信及び給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野における通信及び充電システムは、従来技術から公知であり、特にエネルギー及び通信信号を経皮的に投入するのに使用される。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2015/0012061号は、誘導充電及び遠隔測定信号の双方を受信するコールコンフィギュレータを含む刺激セラピーを提供する医療デバイスに関する。誘導充電信号は、第1の周波数帯にある。遠隔測定信号は、第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯にある。医療デバイスは、誘導充電信号を介して医療デバイスに電力を供給するように構成された誘導充電回路を含む。医療デバイスは、遠隔測定信号を介して外部デバイスと電気通信を行うように構成された遠隔測定回路を含む。医療デバイスは、コイルと誘導充電回路の間に電気的に結合された第1の部品を含む。第1の部品は、誘導充電信号を通過可能とするように構成される。医療デバイスは、コイルと遠隔測定回路の間に電気的に結合された第2の部品を含む。第2の部品は、遠隔測定信号を通過可能としつつ誘導充電信号を実質的に排除するように構成される。
【0004】
代替の解決手段が、例えば、欧州特許出願公開第1680182号、欧州特許出願公開第1675648号及び欧州特許出願公開第1575665号に開示される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、特に医療デバイスのための1つの電子回路内において通信及び無線充電を組み合わせることであり、特に、電子回路が簡素化され、取扱いがより容易となることにある。
【0006】
この課題は、請求項1の構成を有するシステムとともに本発明によって解決される。したがって、通信及び給電システム、すなわち、電力転送/充電システム、特に医療用通信及び電力転送/充電システムが提供され、それは、
-通信送信機を有する少なくとも1つの通信モジュールであって、通信信号を送信及び送出するように構成及び配置された通信モジュールと、
-エネルギー充電及び/又は給電送信機を有する少なくとも1つの充電及び/又は給電モジュールであって、充電及び/又は給電エネルギーを供給及び/又は送信するように構成及び配置された充電及び/又は給電モジュールと、
-通信信号及び充電電力用の受信機である少なくとも1つの受信機であって、通信モジュールによって供給される通信信号を受信するための第1の状態を有し及び/又は第1の状態に切換可能であり、充電モジュールから供給される充電エネルギーを受信するための第2の状態を有し及び/又は第2の状態に切換可能である、受信機と
を備える。
【0007】
発明は、同じ受信機と通信する1つの通信送信機並びに1つのエネルギー充電及び/又は給電送信機があるという基本的前提に基づく。通信送信機によって、任意の種類の通信信号が送信され得る。エネルギー充電及び/又は給電送信機によって、バッテリ又は多少のエネルギーをオンラインで供給するだけのさらに簡素なものなどの電源及び/又はエネルギー源に対してエネルギーが送信機から受信機を介して転送され得る。これにより、通信及び充電システムの全体について少ない要素しか必要とならず、1つの共通の受信機によって通信信号及び充電エネルギーを受信する機能によって、受信側の電子部品の設計をより容易かつ簡素なものとすることができる。特に、医療の場合において、少なくとも受信機が移植される。受信機が少ない要素のみしか備えなければ、回路の構成はより低い消費電力でかつ高い信頼性のものとなる。
【0008】
電力を「オンライン」で供給することによっても移植デバイスへの電力は通信を可能とするように供給され得るので、それはその問題及びおそらくは回復処理を開始することさえ報告することができる。したがって、充電及び/又は給電モジュールがあれば電力が供給可能であり、通信モジュール及び受信機があれば信号が交換可能であり、又はその逆も可能である。そして、受信機は、信号を受信するだけでなく、通信モジュールに送出及び送信して戻すこともできるので、送受信機として作用し得る。
【0009】
第1の状態及び第2の状態が同時に有効化され得る。そのような動作の態様において、同時通信信号及び充電エネルギー送信が提供され得る。
【0010】
代替的に、第1の状態及び第2の状態が交番され(alternating)及び/又は同時に有効化されないことも可能である。これにより、充電エネルギーの送信が続く通信信号の明確に定義された送信を行うことが可能となり、その逆も可能である。
【0011】
さらに、通信送信機は第1の周波数範囲内で通信信号を送信及び送出するように構成及び配置され、エネルギー充電送信機は第2の周波数範囲内で充電エネルギーを供給及び/又は送信するように構成及び配置されてもよく、第1及び第2の周波数範囲は相互に異なる。通信信号用と充電エネルギー用に異なる周波数範囲を用いることによって、受信側に1つの受信機しか有さないことが可能となる。これは、受信側における回路設計及び電子的設計を簡素化することに役立つ。
【0012】
通信送信機はまた、送受信機、すなわち、送信能力及び受信能力を有する合成モジュールとして具現化され得る。このように、通信送信機は、送信機及び受信機となる。
【0013】
またさらに、受信機は被験者に移植可能であり又は移植されており、通信モジュール並びに/又は充電及び/若しくは給電モジュールは被験者に移植されない。一般に、通信モジュール及び特に通信送信機も同様に移植され得る。一般的に、少なくとも部分的に体外から体内への及びその逆の通信信号の経皮的な送信が行われることが意図されている。そして少なくとも体外から体内へ経皮的に充電エネルギーの送信も行われる。言い換えると、システムは、人体の外部及び外側に配置された部分、及び人体内に配置され、すなわち移植されたシステムの部分を有する。
【0014】
さらに、通信送信機並びにエネルギー充電及び/又は給電送信機の少なくとも1つは、アンテナ又はアンテナコイルとして具現化され得る。これにより、例えば、磁気誘導が、アンテナ又はアンテナコイルによって使用及び送信され得る。特に、通信モジュール用の1つのアンテナ又はアンテナコイル、及び他の第2の充電モジュール用のアンテナ又はアンテナコイルがあってもよい。
【0015】
またさらに、受信機は、アンテナ、特にアンテナコイル並びに通信及び充電ダイプレクサ(以下、ダイプレクサ又はC/Cダイプレクサともいう)を備え得る。アンテナにより、通信信号及びエネルギーが受信され得る。ダイプレクサによって、周波数ドメイン多重化が可能となる。これらの併合周波数帯は、ダイプレクサの2つの部分によって占有され得る。したがって、異なる周波数の信号が、相互に干渉することなく共存することができる。これにより、受信機について単一のアンテナしか必要とならないので、受信機の設計は非常に簡素となり得る。更なるアンテナは不要である。一般的に、更なるアンテナが、冗長性の理由のために使用され得る。一方、単一のアンテナで充分であるので、更なる単数のアンテナ又は更なる複数のアンテナは不要となる。
【0016】
アンテナはインダクタであってもよく、ダイプレクサはグランド又は基準に対するスイッチ、少なくとも1つのコンデンサ、特にアンテナに接続された第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを備えていてもよく、アンテナ及び第2のコンデンサは共振タンクを形成する。そのようなタンク回路は、LC回路又は共振回路ともいわれ、相互に接続されたコンダクタ及びコンデンサからなる電気回路となり得る。その回路は、電気共振器、音叉の電気的類似物として作用し、回路共振周波数において発振するエネルギーを蓄積する。LC回路は、特定の周波数において信号を生成し、又はより複雑な信号から特定の周波数における信号を取り出すために用いられる。この機能は、バンドパスフィルタといわれることもある。そのようなタンク回路によって、充電エネルギー及び通信信号を非常に簡単にかつ高い信頼性で受信することが可能となる。さらに、全ての部品が、受動電子部品で構成されてもよい。受信機にバッテリは不要である。このコンセプトの基本的概念を以下に説明する。
【0017】
前提として、おそらくは、例えば少なくとも3個のコンデンサ、少なくとも1個のインダクタ/アンテナ及び少なくとも1つのスイッチがある:
-通信チップ内に収容され得る、通信ポートに並列接続された1つのコンデンサ、
-通信ポートとインダクタの間に直列接続された2個のコンデンサ、及び
-通信(コム(com))ポートにかかるスイッチ。
【0018】
この実施形態においてスイッチが開成されると、インダクタはコムポートの並列容量と共振し、この容量は直列コンデンサにほとんど影響を与えずに共振周波数を支配的に決定する。
【0019】
この実施形態においてスイッチが閉成されると、共振は2個の直列接続されたコンデンサの純容量とインダクタンスによって決定される。直列コンデンサは、ここでは並列共振コンデンサである。
【0020】
この例では、スイッチの目的は2つあり:その一方では、それは、コムポート入力部を過大な電圧から保護するとともに2個の直列コンデンサを用いてより低い共振周波数経路を形成する。他方では、2個の直列コンデンサは、スイッチが閉成されると分圧器を形成し、それらの比は後段の整流器に整合する必要なインピーダンスに適合可能である。
【0021】
具体的には、第1のコンデンサと第2のコンデンサの間の接続部において分岐配線が接続され、その分岐配線は接続点に接続され、その接続点は充電配線及び通信配線への接続部であり、その通信配線において第3のコンデンサ及びグランド又は基準に対するスイッチへの接続部が配置される。この具体的配置によって、共振タンク/LC回路を形成する電子部品の非常に容易な受動配置が可能となる。また、非常に少ない電子部品しか必要とならない。
【0022】
さらに、第3のコンデンサは、上記接続点とグランドに対するスイッチへの接続部との間に配置されてもよい。
【0023】
追加的に、第2のコンデンサとアンテナを接続する接続配線において、グランド又は基準への接続部が設けられてもよい。この代替例によって、追加の実施形態が実現され得る。
【0024】
アンテナから分岐配線が接続されてもよく、分岐配線は接続点に接続され、接続点は充電配線及び通信配線に接続されており、通信配線において、コンデンサ及びグランドに対するスイッチへの接続部が配置される。ここでも、受信側において単一のアンテナしか必要とならない。
【0025】
追加的に、コンデンサが、上記接続点とグランドに対するスイッチへの接続部との間に配置されてもよい。
【0026】
また、アンテナは、コンデンサ及びグランドへの接続部を有する回路に接続されてもよく、コンデンサ及びグランドへの接続部は直列に配置される。この実施形態では、ディープホールアンテナのように、それでも1つのアンテナしか受信側で必要とならない。個々の要素は、同じ周波数上で同様のアンテナとしては作用しない。
【0027】
さらに、受信機は、独立した移植可能医療デバイス(IMD)に接続され得る。
【0028】
特に、移植可能医療デバイスは、移植可能パルス生成器(IPG)であり得る。
【0029】
移植可能な医療を通信のシステム及び充電システムから分離させることによって、特有の効果が達成され得る。
【0030】
特に、通信並びに充電及び/又は給電システムは、明確に定義され、非常に少ない受動部品のみで構成され得る。また、既に移植された既存の移植可能医療デバイスの完全な改修は不要である。したがって、充電及び通信システムは、既存の移植医療デバイスに付加され得る。IMDをシステムを用いて分離することによって、移植可能医療デバイスに直接に及び必ずしもリンクされない通信及び充電システムとは独立したプラットフォームを設計することもできる。これにより、使用範囲が拡がる。
【0031】
移植可能医療デバイス(IMD)は、充電モジュールによって受信機を介して(オンラインで)再充電可能であってもよいし又は給電されてもよく、受信機を介して通信信号が移植可能医療デバイス(IMD)と通信モジュールの間で交換されてもよい。この再充電及び例えば遠隔測定用の通信信号の交換によって、IMDの監視又は再プログラミングが交換及び送信され得る。
【0032】
本発明の更なる詳細及び効果を図面との関連においてここに開示する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による第1の実施形態における通信及び給電システムの概略図である。
図2図1の実施形態によるC/Cダイプレクサ回路の詳細である。
図3図1のシステムの動作のフローチャートである。
図4】本発明による通信及び給電システムの代替実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に、本発明による第1の例示の実施形態における通信及び給電システム10を示す。
【0035】
通信及び給電システム10は、体外部12及び移植体内部14を備える。
【0036】
体外部12は、人体付近/人体上にあり、例えばウェアラブルなものとして具現化される。
【0037】
体外部12は、通信電子回路18及びアンテナコイル20を備える少なくとも1つの通信モジュール16を備える。
【0038】
通信モジュール16は、通信送信機、ここではアンテナコイル20を有する通信モジュール16であり、ある範囲内で通信信号を送信及び送出するように構成される。
【0039】
通信モジュール16は、送信機としてだけでなく受信機としても作用することにより送受信機を構成し得る。
【0040】
またさらに、体外部12は、充電器24及びエネルギー充電及び/又は給電送信機26を備える充電及び/又は給電モジュール22も備える。
【0041】
エネルギー充電及び/又は給電送信機26も、アンテナコイル26として具現化される。
【0042】
患者の表皮も図1に示され、符号Sで示される。
【0043】
図1において図示する実施形態では、通信及び給電システム10は、通信信号及び移植可能医療デバイス(IMD)のエネルギー源を充電するためのエネルギー/電力を経皮的に送信するための医療用通信及び給電システム10である。
【0044】
また、このように、電力は(通信がない場合、すなわち、通信信号が交換されない場合に)オンラインで供給され得る。
【0045】
体内部14は、受信機28を備える。
【0046】
受信機28は、通信信号及び(充電)電力用の受信機28である。
【0047】
受信機28は、アンテナ/コイル30、C/Cダイプレクサ32(すなわち、通信及び充電ダイプレクサ32)、通信配線COMM34及び充電配線CHARGE36を備える。
【0048】
通信配線COMM34及び充電配線CHARGE36が移植可能医療デバイス(IMD)38、ここでは移植可能パルス生成器(IPG)38に接続される。
【0049】
図2に、C/Cダイプレクサ32の更なる詳細を示す。
【0050】
C/Cダイプレクサ32は、インダクタLとして作用するアンテナコイル30を備えるC/Cダイプレクサ回路を有する。
【0051】
インダクタLは、一端でグランドGに、他端で第1のコンデンサC1に接続される。この経路をたどると、コンデンサC1から通信配線COMM34への更なる配線があり、符号40で示される。
【0052】
この配線40内に、コンデンサC2及びコンデンサC3がある。
【0053】
コンデンサC2は、分岐配線42において配置され、接続点44において配線40に接続される。
【0054】
コンデンサC3は、接続点44の配線40とコンデンサC1の間にある。
【0055】
コンデンサC1とコンデンサC3の間には、他の接続点46があり、そこから分岐配線が充電配線CHARGE36に接続される。この分岐配線は、C/Cダイプレクサ回路32内に配置される限り、符号48で示される。
【0056】
コンデンサC2の後段には、グランドGへの配線があり、符号50で示される。
【0057】
配線40においてかつ通信配線34と接続点44の間に、他の分岐配線52がある。
【0058】
この分岐配線52には、スイッチ54が配置され、スイッチ54が閉成されるとグランドGにも繋がる。
【0059】
図2のC/Cダイプレクサ回路32及びシステム10の機能を以下に説明する:
図2では、Lは受信機28のインダクタを表す。
【0060】
このインダクタLは、コンデンサC2とともに、共振タンク又はいわゆるLC回路を構成する。
【0061】
コンデンサC2は共振周波数を決定する支配的コンデンサである一方、コンデンサC1及びC3は結合コンデンサとして作用し、共振周波数の決定には大きくは寄与しない。
【0062】
通信のためにスイッチ(S)54は開成される。
【0063】
コンデンサC3は、IPG38におけるシステムの通信部(COMM)、すなわち、通信配線34への接続部を構成する。
【0064】
L/C2は、周波数範囲f1又はこの第1の周波数範囲から選択された特定の周波数で共振する。図1も参照。
【0065】
通信中は信号レベルが低いため、充電出力部に接続された整流回路はその機能状態に達しない。したがって、回路は、高い入力インピーダンスを有する。
【0066】
充電/給電中にはスイッチ(S)54は閉成され、コンデンサC3をグランドGに接続させる。これにより、通信(COMM)ポート34に信号は発生しない。ここではコンデンサC3はコンデンサC1に直列に配置されるので、L/C1/C3共振タンクのより低い共振周波数範囲f2(図1を参照)又はこの第2の周波数範囲から選択された特定の周波数がもたらされる。
【0067】
第1の周波数範囲f1及び第2の周波数範囲f2は相互に異なる。
【0068】
出力信号が、整流回路に接続されたCHARGE出力部36に印加され、再充電可能バッテリを充電するのに用いられる。コンデンサC1及びC3は、整流回路のための低インピーダンス源を生成することが意図された容量分圧器を構成する。
【0069】
したがって、C3はC2に比べて大きな値を有し、直列要素として用いられる際に共振にほとんど影響しない。
【0070】
システムの特有の効果は、システムのその部分の設計及び構成を用いるインダクタLとして作用する単一のアンテナ/コイル30の使用である。図1及び図2のシステムは、非対称、不均等な形態で記載される。現実の実施は、対称、均等な形態で行われて等しい機能を奏することもできる。
【0071】
一般に、システムの第1の状態及び第2の状態が同時に有効化可能である(図1及び2に図示する実施形態ではそうされていない)。
【0072】
ここで、受信機28は通信信号及び(充電)電力のための受信機28であり、受信機28は通信モジュール16によって供給される通信信号を受信するための第1の状態を有し及び/又は第1の状態に切換可能であり、受信機28は充電モジュール22によって供給される充電エネルギーを受信するための第2の状態を有し及び/又は第2の状態に切換可能であり、第1の状態及び第2の状態は交番され及び/又は同時に有効化されない。
【0073】
通信送信機20は第1の周波数範囲f1内で通信信号を送信及び送出するように構成及び配置され、エネルギー充電送信機30は第2の周波数範囲f2内で充電エネルギーを送信及び送出するように構成及び配置され、第1及び第2の周波数範囲f1及びf2は相互に異なるものである。
【0074】
ここで図3に、図1及び図2によるシステム10の実施形態で行われる通信及び充電/給電処理のフローチャートを示す。
【0075】
第1のステップS1において、スイッチ(S)54は閉成され、通信モジュール16を介して周波数f1において通信信号が体内部14のアンテナコイル30に経皮的に送信される。インダクタL並びに配線40及び34を介して、通信信号が通信配線COMM34に転送され、IPG38をプログラミング又は再プログラミングするのに使用され得る。
【0076】
通信交換は、この体外部12から体内部14への状態において逆となり得る。
【0077】
例えば、クロック信号を用いることによって、信号を人体に送信するための及び人体からの信号を受信するための特定の期間が規定され得る。
【0078】
そして、第2のステップS2において、スイッチ(S)54が閉成され、コンデンサC3がグランドGに接続され得る。
【0079】
そして、第3のステップS3において、エネルギーは、充電及び/又は給電モジュール22並びにアンテナコイル26を介して周波数F2においてアンテナコイル30に送信され、IPG38のバッテリを充電するために配線48を介して充電配線36に送信され得る。
【0080】
ステップS1からS3は、反復され、連続的に相互に続き、又は周期的に、要求に応じてなどの態様で配置され得る。
【0081】
図4に、本発明による第2の例示の実施形態における通信及び給電システム10’の代替実施形態を示す。
【0082】
システム10’は、上記及び図1~3に示したシステム10と同じ構造的及び機能的構成を備える。ただし、幾つかの相違点があり、それを以下に記載及び説明する:
システム10’は、受信機28’及びC/Cダイプレクサ32’も備える。
【0083】
ここで、インダクタコイル30’も存在する。
【0084】
インダクタコイル30’は、第1のコンデンサC1’に接続される。
【0085】
またさらに、分岐配線40’があり、これはCHARGEポート及び充電配線36’に接続される。
【0086】
分岐配線40’は、アンテナコイル30’の巻線に直接接続される。
【0087】
さらに、コンデンサC1’への接続配線において、グランドG’への配線が配置される。
【0088】
分岐配線40’は接続点34a’に接続され、接続点34a’は充電配線36’及び通信配線34’に接続されており、通信配線34’において、コンデンサC3’及びスイッチ(S)54’によるグランドG’に対するスイッチへの接続部が配置される。
【0089】
アンテナ30’はコンデンサ及びグランドG’への接続部を有する回路に接続され、コンデンサ及びグランドG’への接続部は直列に配置される。
【0090】
図4に示す実施形態の機能は、図1図2及び図3に示すものと同等である。
【0091】
この回路は、容量伝送の代わりに誘導インピーダンス伝送を用いることによって図2に図示及び記載した同じ目的を果たす。
【0092】
なお、ここに含まれる例示の制御及び機能ルーチンは、特に医療分野における種々の通信及び電力充電システム構成で使用され得る。ここに開示される制御方法及びルーチンは、実行可能な命令として非一時的メモリに記憶され、医療デバイス、特に移植医療デバイス及び/又は種々のセンサ、アクチュエータ並びに他のシステムハードウェアとの組合せにおいて制御部によって実行され得る。ここに記載される具体的ルーチンは、イベント駆動型、割込み駆動型、マルチタスク型、マルチスレッド型などの任意数の処理戦略の1以上を代表し得る。このように、説明した種々の作用、動作及び/又は機能は、説明したシーケンスで実行されてもよいし、並列に実行されてもよいし、場合によっては省略されてもよい。同様に、処理の順序は、必ずしもここに記載される例示の実施形態の構成及び効果を達成するために必要とならないが、説明及び記載の便宜のために与えられる。説明した作用、動作及び/又は機能の1以上は、使用されている特定の戦略に応じて反復して実行され得る。また、記載された作用、動作及び/又は機能は、制御部においてコンピュータ可読記憶媒体の非一時的メモリにプログラムされるコードをグラフィカルに表し得るものであり、ここで、記載される作用は電子制御部との組合せにおいて種々のハードウェア構成要素を含むシステムにおいて命令を実行することによって実現される。
【符号の説明】
【0093】
10 システム
12 体外部
14 移植体内部
16 通信モジュール
18 通信電子回路
20 アンテナコイル
22 充電及び/又は給電モジュール
24 充電器
26 エネルギー充電及び/又は給電送信機/アンテナコイル
28 受信機
30 アンテナ/コイル
32 C/Cダイプレクサ
34 通信配線
36 充電配線
38 移植可能パルス生成器(IPG)
40 配線
42 配線
44 接続点
46 接続点
48 分岐配線
50 配線
52 分岐配線
54 スイッチ
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
C3 コンデンサ
f1 周波数範囲
f2 周波数範囲
G グランド
L インダクタ
S 表皮
10’ システム
28’ 受信機
30’ インダクタコイル
32’ C/Cダイプレクサ
34’ 通信配線
34a’ 接続点
36’ 充電ポート及び充電配線
40’ 分岐配線
54’ スイッチ
C1’ コンデンサ
C3’ コンデンサ
G’ グランド

図1
図2
図3
図4