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特許7327943フライス作業によって製造可能な部品の設計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】フライス作業によって製造可能な部品の設計
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20230808BHJP
   B23C 3/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G06F30/10 100
B23C3/00
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019017985
(22)【出願日】2019-02-04
(65)【公開番号】P2019179544
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】18305140.8
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500102435
【氏名又は名称】ダッソー システムズ
【氏名又は名称原語表記】DASSAULT SYSTEMES
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パスカル へブラッド
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン セトレ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク コズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピザック
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-183528(JP,A)
【文献】特開2017-134829(JP,A)
【文献】特開2016-126776(JP,A)
【文献】特開2015-207095(JP,A)
【文献】特表2015-521333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
B23C 1/00 - 9/00
G05B 19/4097 -19/4099
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライス作業によって製造可能な部品を設計するためのコンピュータが実行する方法であって、
前記コンピュータが、位相的に最適化された3次元(3D)モデル化部品を供給するステップ(S10)と、
前記コンピュータが、前記位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含する境界ボリュームを計算するステップ(S20)と、
前記コンピュータが、フライスツールのフライス加工方向を規定するステップ(S30)と、
前記コンピュータが、前記位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエットであって輪郭を含むシルエットを、前記フライス加工方向に従って計算する(S50)ステップと、
前記コンピュータが、前記フライスツールのパラメータに基づいて新しい輪郭を計算する(S60)ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記シルエットを計算するステップはさらに、
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面と、前記位相的に最適化された3Dモデル化部品中の空のボリュームを表す表面とを分離する1つ以上の輪郭を前記シルエット上で特定するステップを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フライスツールの前記パラメータは前記フライスツールの直径である
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記新しい輪郭を計算するステップは、
前記フライスツールの直径と等しい直径を備え、空のボリュームを表す前記輪郭の前記表面のみにある円(S601)の位置の集合であって、前記円と前記輪郭との少なくとも1つの接触点があり、且つ、前記円の点は前記輪郭の外側にない円の位置の集合を計算すること(S602)を含む
請求項2と結合された請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記新しい輪郭を計算するステップは、
前記位置の集合の中で、前記輪郭に沿った前記円の途切れのない変位に対応する前記円の1つ以上の位置を決定するステップ(S604)と、
前記位置の集合の中で決定された前記1つ以上の位置のそれぞれにおける前記円と前記輪郭との接触の集合で、1つ以上の線を計算するステップ(S606)と
をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記新しい輪郭を計算するステップは、
前記計算された1つ以上の線の終点を特定するステップ(S608)と、
前記2つの終点に接する円であって前記位置の集合の中で決定された前記1つ以上の位置のうちの1つに存在する円の弧によって2つの終点を接続するステップ(S610)と
をさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記新しい輪郭を計算するステップは、
輪郭をなぞるポリラインであって、ユーザ入力から決定された、前記輪郭からの最大距離にあり、且つ、空のボリュームを表す前記表面にあるポリラインを計算するステップと、
前記フライスツールの直径と等しい直径を備える円の曲率と等しい曲率で、前記ポリラインの線分の凸角を丸めるステップと
をさらに含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フライスツールのフライス加工方向を規定するステップは、
前記位相的に最適化された3Dオブジェクトが計算される設計空間を供給するステップと、
設計意図に含まれる方向を設計空間上で特定するステップと
を含み、
前記フライス加工方向は、設計意図に含まれる前記特定された方向である
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の輪郭を前記シルエット上で特定するステップは、
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品のテッセレーションであって、タイルサイズが前記フライスツールの前記パラメータによって限定されるテッセレーションを行うステップと、
平面上のセルのグリッドであってグリッドセルサイズが前記フライスツールの前記パラメータによって限定されるグリッド上に、前記フライスツールの前記フライス加工方向に沿って、前記テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品の点を投影するステップと、
前記グリッドのセルの第1のグループであって、それぞれのセルが、少なくとも1つの投影点を有し、且つ、1つ以上の輪郭を規定する前記第1のグループのセルに属する投影点を備えない少なくとも1つのセルを隣接セルとして有する、セルの第1のグループを特定するステップと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の輪郭によって画定される前記表面が、前記位相的に最適化された3Dモデル化部品によって占められるボリュームを表すか、または、空のボリュームを表すかを決定するステップは、
前記グリッドのセルの第2のグループであって、それぞれのセルが、少なくとも1つの投影点を有し、且つ、少なくとも1つの投影点をそれぞれ備える隣接セルであって少なくとも1つがセルの前記第1のグループに属する隣接セルを有する、セルの第2のグループを特定するステップと、
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面として、1つ以上の輪郭によって画定され且つ前記第2のグループの少なくとも1つのセルを含むそれぞれの表面を決定するステップと、
空のボリュームを表す表面として、1つ以上の輪郭によって画定され且つ前記第2のグループのセルを含まないそれぞれの表面を決定するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含する前記境界ボリュームは、
前記境界ボリュームの向きのユーザ選択、
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品の軸系、
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品が置かれる3Dシーンの全軸系、または、
前記位相的に最適化された3Dモデル化部品の慣性行列から計算される前記位相的に最適化された3Dモデル化部品の物理的性質、のうちの1つを用いて配向される
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コンピュータが、前記新しい輪郭を有する前記シルエットから3Dボリュームを計算するステップ(S70)
をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、1つ以上のさらなるフライス加工方向を選択するステップと、
前記コンピュータが、さらなるフライス加工方向のそれぞれに対して、各々の新しい輪郭を備えるシルエットを計算するステップと、
前記コンピュータが、さらなるフライス加工方向のそれぞれに対して計算されたそれぞれのシルエットから3Dボリュームを計算するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータに、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶するメモリに接続され、前記コンピュータプログラムにより動作させられるプロセッサを含むシステム。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に従って設計された部品をフライス盤へ供給するステップ
を含む、フライス作業によって部品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラムおよびシステムの分野に関し、より具体的には、フライス作業(milling operation)に適合する部品を設計するための、方法、システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのシステムおよびプログラムが、オブジェクトの、設計、エンジニアリングおよび製造のために、マーケットに提供される。CADは、コンピュータ援用設計(Computer-Aided Design)の頭文字であり、例えば、オブジェクトを設計するためのソフトウェアソリューションに関する。CAEは、コンピュータ援用エンジニアリング(Computer-Aided Engineering)の頭文字であり、例えば、将来の製品の物理的な振る舞いをシミュレーションするためのソフトウェアソリューションに関する。CAMは、コンピュータ援用製造(Computer-Aided Manufacturing)の頭文字であり、例えば、製造プロセスおよびオペレーションを規定するためのソフトウェアソリューションに関する。そのようなコンピュータ援用設計システムにおいて、グラフィカルユーザインタフェースは、技術の効率に関する重要な役割を果たす。これらの技術は、製品ライフサイクル管理(PLM)システム内に埋め込まれていてもよい。PLMは、拡張エンタープライズの概念全体にわたって、会社が、製品データを共有し、共通の工程を適用し、構想からそれらの寿命の終わりまで製品の開発のための企業知識を活用することを支援する経営戦略を指す。ダッソー・システムズ(Dassault Systemes)によって(CATIA、ENOVIAおよびDELMIAの商標のもと)提供されるPLMソリューションは、エンジニアリングハブ(製品エンジニアリング知識を組織する)、製造ハブ(製造エンジニアリング知識を管理する)、および、企業ハブ(エンジニアリングハブおよび製造ハブの両方への企業統合および接続を可能にする)を提供する。それらすべてで、システムは、ダイナミックな、知識に基づいた製品創造と、最適化された製品定義、製造準備、生産およびサービスを推進する意志決定支援とを可能にする、リソース、プロセス、オープンオブジェクトモデルでリンクされた製品をもたらす。
【0003】
位相最適化は、構造設計の分野において既知の技術であり、与えられた部品の構造の特徴の最適化のために一般的に用いられる。位相最適化は、ターゲットに関して、設計空間と呼ばれる与えられたエリアにおいて最適な部品を見つけることに関する。例えば、嵩(mass)を限定するようないくつかの制約の下における剛性の最大化。
【0004】
従って、位相最適化は、一群の負荷にさらされるために部品の嵩を削減しながらも特定の構造要件を有する部品の形状をエンジニアが最適化することを助ける。部品が機能を果たすように使用される場合、設計された機能を果たす間、ほとんどまたは全くストレスにさらされない部分があるであろう。これらの部分は、部品から除去するために、位相最適化法によって特定できる。従って、耐久性を下げることなく部品の嵩を削減できる。
【0005】
位相的に最適化された部品(topologically optimized part)の3次元モデルを設計する場合、機能の仕様が、設計空間内で最初に規定される。部品に対するいくつかの設計コンセプトは、与えられたタスクに対するその部品の最も適した形態を選ぶために、設計空間で調査できる。部品に対して与えられた形状を検証する前に、構造の予備検証ステップも、設計コンセプトの調査の間に含むことができる。そのように設計された部品の、位相的に最適化されたモデルは、オリジナルの部品と同じ機能を果たすように使用できる部品であって同様の耐久性を備えるが嵩がより少ないために重量がより少ない部品を表す。
【0006】
しかしながら、部品の位相的に最適化されたモデルは、削る製造方法(フライス加工など)を用いて製造することを困難にする複雑な形状を有する。ほとんどの場合、ユーザは、位相的に最適化されたモデル化部品を生産するために、その部品のモデルを手作業で再構築するか、または、付加製造法を用いる。
【0007】
第1のシナリオでは、ユーザは、部品の位相的に最適化されたモデルの形状が、製造工程において材料を除去するツールにアクセス可能なものであることを確実にするために、手作業でその部品を修正することに時間を浪費するであろう。複雑な、位相的に最適化されたモデルは、すべてが検証される必要がある多くの小さな穴を有する可能性があり、ユーザは、設計において誤りを見落すか誤りを犯すかしやすい。これは、削る製造工程において、部品の位相的に最適化されたモデルに関して、早期に壊れる部品をもたらしうる、付加的な材料の除去につながる可能性がある。
【0008】
第2のシナリオでは、付加製造(例えば3D印刷)を用いて部品を製造することを必要とする。しかしながら、3D印刷は、部品を製造する場合、平均的に、フライス加工よりも時間効率が悪い。加えて、3Dモデル化部品を使い古すことがさらに完全にテストされなければならず、それらの使用が多くの産業分野でさらに認められなければならない。例えば、3D印刷部品は、長期で使用されたときのそれら部品の信頼性が確実ではないので、航空産業または宇宙産業において使用することはできない。
【0009】
この情況において、フライス作業を用いて製造できる部品を設計するための改善された方法に対するニーズが依然としてある。
【発明の概要】
【0010】
従って、フライス作業によって製造可能な部品を設計するためのコンピュータに実装される方法が提供される。本方法は、
-位相的に最適化された3次元(3D)モデル化部品(topologically optimized three-dimensional(3D) modeled part)を供給するステップ、
-前記位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含する境界ボリュームを計算するステップ、
-フライスツールのフライス加工方向を規定するステップ、
-前記位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエットであって輪郭を含むシルエットを、前記フライス加工方向に従って計算するステップ、
-前記フライスツールのパラメータに基づいて新しい輪郭を計算するステップ、を含む。
【0011】
本方法は、以下の1つ以上を含んでもよい。
-前記位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面と、前記位相的に最適化された3Dモデル化部品中の空のボリュームを表す表面とを分離する1つ以上の輪郭を前記シルエット上で特定するステップ。
-前記フライスツールの前記パラメータは前記フライスツールの直径である。
-前記フライスツールの直径と等しい直径を備え、空のボリュームを表す前記輪郭の前記表面のみにある円の位置の集合であって、前記円と前記輪郭との少なくとも1つの接触点があり、且つ、前記円の点は前記輪郭の外側にない円の位置の集合を計算するステップ。
-前記位置の集合の中で、前記輪郭に沿った前記円の途切れのない変位に対応する前記円の1つ以上の位置を決定するステップ。
-前記位置の集合の中で決定された前記1つ以上の位置のそれぞれにおける前記円と前記輪郭との接触の集合で、1つ以上の線を計算するステップ。
-前記計算された1つ以上の線の終点を特定するステップ。
-前記2つの終点に接する円であって前記位置の集合の中で決定された前記1つ以上の位置のうちの1つに存在する円の弧によって2つの終点を接続するステップ。
-輪郭をなぞるポリラインであってユーザ入力から決定された、前記輪郭から最大距離にあり、且つ、空のボリュームを表す前記表面にあるポリラインを計算するステップ。
-前記フライスツールの直径と等しい直径を備える円の曲率と等しい曲率で、前記ポリラインの線分の凸角を丸めるステップ。
-前記位相的に最適化された3Dオブジェクトが計算される設計空間を供給するステップ。
-設計意図に含まれる方向を設計空間上で特定するステップ。前記フライス加工方向は、設計意図に含まれる前記特定された方向である。
-前記位相的に最適化された3Dモデル化部品のテッセレーションであって、タイルサイズが前記フライスツールの前記パラメータによって限定されるテッセレーションを行うステップ。
-平面上のセルのグリッドであってグリッドセルサイズが前記フライスツールの前記パラメータによって限定されるグリッド上に、前記フライスツールの前記フライス加工方向に沿って、前記テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品の点を投影するステップ。
-前記グリッドのセルの第1のグループであって、それぞれのセルが、少なくとも1つの投影点を有し、且つ、1つ以上の輪郭を規定する前記第1のグループのセルに属する投影点を備えない少なくとも1つのセルを隣接セルとして有する、セルの第1のグループを特定するステップ。
-前記グリッドのセルの第2のグループであって、それぞれのセルが、少なくとも1つの投影点を有し、且つ、少なくとも1つの投影点をそれぞれ備える隣接セルであって少なくとも1つがセルの前記第1のグループに属する隣接セルを有する、セルの第2のグループを特定するステップ。
-前記位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面として、1つ以上の輪郭によって画定され且つ前記第2のグループの少なくとも1つのセルを含むそれぞれの表面を決定するステップ。
-空のボリュームを表す表面として、1つ以上の輪郭によって画定され且つ前記第2のグループのセルを含まないそれぞれの表面を決定するステップ。
-前記新しい輪郭を有する前記シルエットから3Dボリュームを計算するステップ。
-1つ以上のさらなるフライス加工方向を選択するステップ。
-さらなるフライス加工方向のそれぞれに対して、各々の新しい輪郭を備えるシルエットを計算するステップ。および、
-さらなるフライス加工方向のそれぞれに対して計算されたそれぞれのシルエットから3Dボリュームを計算するステップ。
本方法を行うための命令を含むコンピュータプログラムがさらに提供される。
コンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体がさらに提供される。
メモリおよびグラフィカルユーザインタフェースに接続されたプロセッサを含むシステムであって、前記メモリには前記コンピュータプログラムが記録されているシステムがさらに提供される。
フライス作業によって部品を製造する方法であって、上記の方法によって設計された部品をフライス盤(milling machine)に供給するステップを含む方法が、さらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本方法の例のフローチャートを示す。
図2】本方法の例のフローチャートを示す。
図3】本方法の例のフローチャートを示す。
図4】本方法の例のフローチャートを示す。
図5】境界ボリュームによって包含された位相的に最適化された3Dモデル化部品の一例を示す。
図6】フライス加工方向に従って計算された、図5の部品のシルエットの一例を示す。
図7図5のテッセレーションされた部品の、フライス加工方向に沿った、セルのグリッド上への投影の一例を示す。
図8図6のテッセレーションされたシルエットの新しい輪郭を計算する操作の一例を示す。
図9】フライス作業に適合する新しい輪郭を備える図8のシルエットの一例を示す。
図10】フライス加工ブロックを表す境界ボリュームに位置揃えされた図5の別のシルエットの一例を示す。
図11図10のシルエットから計算された3Dボリュームの一例を示す。
図12図11のシルエットを含む複数のシルエットから計算された3Dボリュームの一例を示す。
図13】CADシステムのグラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
図14】システムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1のフローチャートを参照して、フライス作業によって製造可能な部品を設計するための、コンピュータに実装される方法を提案する。本方法は、位相的に最適化された3次元(3D)モデル化部品を供給すること、を含む。位相的に最適化された3Dモデル化部品は、制約に対する性能を最大化する、最適な3Dモデル化部品である。例えば、位相的に最適化された3Dモデル化部品は、与えられる一群の負荷、システムの性能を最大化するゴールを備える境界条件および制約に対して、与えられた設計空間内で最適化された材料レイアウトを有する部品の3Dモデルであってもよい。本方法は、位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含する境界ボリュームを計算すること、をさらに含む。境界ボリュームは、位相的に最適化された3Dモデル化部品を、すべてのサイドで包むオブジェクトであってもよく、例えば、境界ボリュームは、平行六面体である3Dモデル化である。本方法は、フライスツールのフライス加工方向を規定すること、をさらに含む。本方法は、位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエットを、前記フライス加工方向に従って計算すること、をさらに含む。シルエットは、境界ボリューム内の位相的に最適化された3Dモデル化部品の2次元(2D)の、規定されたフライス加工方向への投影であってもよい。シルエットは、規定されたフライス加工方向に沿った位相的に最適化された3Dモデル化部品の投影の外形を画定する少なくとも1つの輪郭を含む。本方法は、フライスツールのパラメータに基づいて新しい輪郭を計算すること、をさらに含む。新しい輪郭は、フライス作業に適合する。
【0014】
そのような方法は、位相的に最適化されておりフライス作業によって製造されるであろう3Dモデル化部品の設計を改善する。
【0015】
特に、本方法は、位相的に最適化された3D部品のモデルをユーザが手作業で修正する必要をなくす。ユーザは、位相的に最適化された3Dモデル化部品の空のボリューム(例えば穴)が、フライスツールを用いて製造される部品においてそれらの再現を可能にするのに充分に大きいかどうかを、もはや手作業で検証する必要がない。さらに、その部品の機械加工において、フライスツールは、前記空のボリュームのまわりの材料を除去することなく、その部品の空のボリュームを再現するであろう。そうでなければ、位相的に最適化された部品は弱くなるかもしれないし、使用中に早期に壊れるリスクがあるかもしれない。
【0016】
これは、位相的に最適化された3Dモデル化部品の製造のために用いられるフライスツールの特性を考慮した、部品の新しいシルエットの計算によって可能になる。すなわち、特性は、少なくとも1つのフライス加工方向およびフライスツールの少なくとも1つのパラメータである。シルエットは、製造される部品のアウトラインを示す、部品の投影であり、それは、フライスツールが取り得る軌道を計算することを可能にする、位相的に最適化された3Dモデル化部品の単純化された表現である。新しいシルエットは、部品の生産時にフライスツールがなぞることができるであろう少なくとも1つの軌道がフライス加工ブロック上にあることを保証する、少なくとも1つの新しい輪郭を含む。
【0017】
本方法は、コンピュータで実行される。これは、少なくとも1つのコンピュータまたは任意の同様のシステムによって、本方法のステップ(あるいは本質的にすべてのステップ)が実行されることを意味する。従って、本方法のステップは、コンピュータによって、恐らく完全に自動的に、あるいは半自動的に行われる。例において、本方法のステップのうちの少なくともいくつかのトリガーは、ユーザとコンピュータとの対話によって行われてもよい。ユーザとコンピュータとの対話の要求されるレベルは、予測された自動性のレベルによって決まるものであってもよく、ユーザの希望を実行する必要性とバランスをとってもよい。例において、このレベルは、ユーザで規定されてもよいし、および/または、予め規定されてもよい。
【0018】
方法のコンピュータ実行の典型例は、この目的に適したシステムで本方法を行うことである。システムは、メモリおよびグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に接続されたプロセッサを含んでもよく、メモリには、本方法を行うための命令を含むコンピュータプログラムが記録されていてもよい。メモリはまた、データベースを記憶してもよい。メモリは、そのような記憶に適した任意のハードウェアであり、いくつかの物理的に異なる部品(例えばプログラム用のもの、および恐らくデータベース用のもの)を恐らく含む。
【0019】
本方法は、通常、モデル化オブジェクトを処理する。モデル化オブジェクトは、例えばデータベースに記憶されたデータによって定義された任意のオブジェクトである。拡張によって、「モデル化オブジェクト」という表現は、データそれ自体を示す。システムの種類に従って、モデル化オブジェクトは、異なる種類のデータによって定義されてもよい。もちろん、システムは、CADシステム、CAEシステム、CAMシステム、PDMシステム、および/または、PLMシステムの任意の組み合わせであってもよい。それらの異なるシステムでは、モデル化オブジェクトは、対応するデータによって定義される。従って、CADオブジェクト、PLMオブジェクト、PDMオブジェクト、CAEオブジェクト、CAMオブジェクト、CADデータ、PLMデータ、PDMデータ、CAMデータ、CAEデータという語句が用いられてもよい。しかしながら、これらのシステムの任意の組み合わせに対応するデータによってモデル化オブジェクトが定義されてもよいので、これらのシステムは、他方に対して排他的なものではない。従って、システムは、CADおよびPLMのシステムの両方であってもよく、これは以下に提供されるそのようなシステムの定義から明らかとなるだろう。
【0020】
CADシステムは、CATIAのような、モデル化オブジェクトの図的表現に基づいてモデル化オブジェクトを少なくとも設計するために適した任意のシステムをさらに意味する。この場合、モデル化オブジェクトを規定するデータは、モデル化オブジェクトの表現を可能にするデータを含む。CADシステムは、例えば、エッジまたは線を用いて、ある種の場合には面または表面と共に、CADモデル化オブジェクトの表現を提供してもよい。線、エッジ、または表面は、様々な方法(例えば非一様有理Bスプライン(NURBS))で表現されてもよい。特別には、CADファイルは、形状がそれから生成されてもよい仕様を含んでおり、それは次に、表現が生成されることを可能にする。モデル化オブジェクトの仕様は、単一のCADファイルか多数のそれに格納されてもよい。CADシステムにおいてモデル化オブジェクトを表現するファイルの典型的なサイズは、1つの部品当たり1メガバイトの範囲にある。また、モデル化オブジェクトは、典型的には何千もの部品の組立体であってもよい。
【0021】
CADの環境において、モデル化オブジェクトは、典型的には3Dモデル化オブジェクトであってもよく、例えば、一部品または部品の組立体、または恐らく製品の組立体、といった製品を表現する。「3Dモデル化オブジェクト」は、その3D表現を可能にするデータによってモデル化される任意のオブジェクトを意味する。3D表現は、すべての角度から部品を見ることを可能にする。例えば、3Dモデル化オブジェクトは、3D表現されるときに、処理され且つその軸のうちのいずれかの周り、または、表現が表示されるスクリーン中の任意の軸の周りで回転されてもよい。これは特に、2Dアイコン(3Dモデル化されていない)を除外する。3D表現の表示は、設計を容易にする(すなわち、統計的に設計者が彼らのタスクを遂行する速度を増加させる)。製品の設計は製造工程の一部であるので、これは、産業における製造工程を加速する。
【0022】
3Dモデル化オブジェクトは、例えばCADソフトウェアソリューションまたはCADシステムによるその仮想設計の完了の後に続いて現実世界において製造される製品の形状を表現してもよく、その製品は、(例えば、機械的)部品または部品の組立体(または部品の組立体と同等のもの。本方法の観点から部品の組立体が部品自体とみなされてもよいし、あるいは、本方法は組立体のそれぞれの部品に独立に適用されてもよい)、あるいはより一般的には任意の剛体の組立体(例えば移動体の機構)などである。CADソフトウェアソリューションは、航空宇宙、建築、建造、消費財、ハイテク装置、産業用機器、輸送、船舶、および/または、海洋石油/ガス生産または輸送を含む(ただしこれらに限定されない)、様々で無制限の産業分野における製品の設計を可能にする。従って、本方法によって設計される3Dモデル化オブジェクトは、任意の機械部品であってもよい産業製品を表してもよく、例えば、地上の輸送手段(例えば、自動車および軽トラック機器、レーシングカー、オートバイ、トラックおよびモーター機器、トラックおよびバス、列車を含む)の部品、空中の輸送手段(例えば、機体機器、航空宇宙機器、推進機器、防衛製品、航空機器、宇宙機器を含む)の部品、海上の輸送手段(例えば、海軍機器、商用船、海洋機器、ヨットおよび作業船、船舶用機器を含む)の部品、一般的な機械部品(例えば、産業用製造機械類、重い移動体の機械類または機器、インストールされた機器、産業用機器製品、作られた金属製品、タイヤ製造製品を含む)、電気機械的または電子部品(例えば、家電、セキュリティおよび/またはコントロールおよび/または計測の製品、計算および通信の機器、半導体、医療の装置および機器を含む)、消費財(例えば、家具、家庭および園芸の製品、レジャー用品、流行製品、耐久消費財小売り業者の製品、繊維雑貨小売り業者の製品を含む)、包装(例えば、食物および飲料およびタバコ、美容およびパーソナルケア、家庭用製品の包装を含む)を表してもよい。
【0023】
CADシステムは、履歴ベースであってもよい。この場合、モデル化オブジェクトは、形状の特性の履歴を含むデータによってさらに規定される。もちろん、モデル化オブジェクトは、標準的なモデリング特性(例えば、押し出し、回転、切断、および/または、丸め)および/または標準的な表面処理特性(例えば、スウィープ、ブレンド、持ち上げ、塗りつぶし、変形、および/または、スムージング)を用いて、実在の人(すなわち設計者/ユーザ)によって設計されてもよい。そのようなモデリング機能を支援する多くのCADシステムは、履歴ベースのシステムである。これは、設計特性の生成履歴が典型的には、入出力リンクを通じて前記形状の特性をともにリンクする非繰り返しのデータフローによって保存されること、を意味する。履歴ベースのモデリングパラダイムは、80年代の始め以降、周知である。モデル化オブジェクトは、2つの持続的なデータ表現、すなわち履歴およびBレップ(すなわち境界表現)、によって記述される。Bレップは、履歴において定義される計算の結果である。モデル化オブジェクトが表現されるときにコンピュータのスクリーンに表示される部品の形状は、Bレップ(の例えばテッセレーション(tessellation))である。その部品の履歴は、設計の意図である。基本的に、履歴は、モデル化オブジェクトが受けた操作についての情報を蓄積する。複雑な部品を表示することをより容易にするために、Bレップは履歴と一緒に保存されてもよい。設計の意図に従った部品の設計変更を可能にするために、Bレップと共に履歴が保存されてもよい。
【0024】
PLMシステムは、物理的な製造製品(あるいは製造される製品)を表すモデル化オブジェクトの管理に適した任意のシステムをさらに意味する。そのため、PLMシステムにおいて、モデル化オブジェクトは、物理的なオブジェクトの製造に適しているデータによって定義される。これらは典型的には、寸法値および/または公差値であってもよい。オブジェクトの正確な製造のために、そのような値を有する方がもちろんよい。
CAMソリューションは、製品の製造データの管理に適している、ハードウェアのソフトウェア、任意のソリューションをさらに意味する。製造データは、通常、製造される製品、製造工程、および要求されるリソースに関するデータを含む。CAMソリューションは、製品の製造工程全体を計画し最適化するために使用される。例えば、それは、CAMユーザに、実現可能性、製造工程の期間、または、製造工程の特定のステップで使用されてもよい特定のロボットのようなリソースの数についての情報を提供することができ、その結果、管理または要求される投資に関する決定を可能にする。CAMは、CAD工程および潜在的なCAE工程の後に続く工程である。そのようなCAMソリューションは、登録商標DELMIAのもとでダッソー・システムズによって提供されている。
【0025】
CAEソリューションは、モデル化オブジェクトの物理的な振る舞いの分析に適した、ハードウェアのソフトウェア、任意のソリューションをさらに意味する。周知且つ広く使用されているCAE技術は、物理的な振る舞いを式によって計算しシミュレートできる、要素へのモデル化オブジェクトの分割を典型的に含む、有限要素法(FEM)である。そのようなCAEソリューションは、登録商標SIMULIAのもとで、ダッソー・システムズによって提供されている。別の成長しているCAE技術は、CAD形状データなしで、物理学の異なる分野からの複数の構成要素からなる複合システムの分析およびモデリングを含む。CAEソリューションは、シミュレーションを可能にし、従って、製造される製品の、最適化、改良および評価を可能にする。そのようなCAEソリューションは、登録商標DYMOLAのもとで、ダッソー・システムズによって提供されている。
【0026】
PDMは、製品データ管理(Product Data Management)を表す。PDMソリューションは、特定の製品に関するすべてのタイプのデータの管理に適した、ハードウェアのソフトウェア、任意のソリューションを意味する。PDMソリューションは、製品のライフサイクルに関与するすべての関係者(主としてエンジニアであるがプロジェクトマネージャ、財務関係者、販売員、およびバイヤーを含む)によって使用されてもよい。PDMソリューションは、通常、製品指向のデータベースに基づく。それは、関係者が彼らの製品についての一貫したデータを共有することを可能にし、従って、相違するデータを関係者が使用することを防止する。そのようなPDMソリューションは、登録商標ENOVIAのもとで、ダッソー・システムズによって提供されている。
【0027】
図13は、システムのGUIの一例を示し、そのシステムはCADシステムである。
【0028】
GUI2100は、底部およびサイドのツールバー2140,2150だけでなく標準的なメニューバー2110,2120を有する、典型的なCADのようなインタフェースであってもよい。そのようなメニューバーおよびツールバーは、ユーザが選択可能なアイコンの集合を含み、それぞれのアイコンは、当該技術分野において知られているように、1つ以上のオペレーションまたは機能に関係している。これらのアイコンのうちのいくつかは、GUI2100に表示された3Dモデル化オブジェクト2000を編集および/または作業することに適したソフトウェアツールに関係している。ソフトウェアツールは、ワークベンチに分けられてもよい。それぞれのワークベンチは、ソフトウェアツールのサブセットを含む。特別には、ワークベンチの1つは、モデル化された製品2000の幾何学的特徴を編集するのに適している編集ワークベンチである。オペレーションにおいて、設計者は、例えば、オブジェクト2000の一部を予め選択し、次に、適切なアイコンの選択によって、幾何学的制約を編集するか、オペレーション(例えば、次元、色などを変更する)を始める。例えば、典型的なCADオペレーションは、スクリーンに表示された3Dモデル化オブジェクトの穴あけまたは折り曲げのモデリングである。GUIは、例えば、表示された製品2000に関する表示データ2500を表示してもよい。図の例において、データ2500(「特徴ツリー」として表示されている)およびそれらの3D表現2000は、ブレーキキャリパおよびディスクを含むブレーキ組立体に関する。GUIは、例えば、オブジェクトの3D配向を容易化するため、編集された製品のオペレーションのシミュレーションを開始するため、または、表示された製品2000の様々な属性を与えるための、様々なタイプのグラフィックツール2130,2070,2080をさらに示してもよい。ユーザがグラフィックツールと対話することを可能にするように、カーソル2060は触覚デバイスによってコントロールされてもよい。
【0029】
図14は、クライアントコンピュータシステム(例えばユーザのワークステーション)システムの一例を示す。
【0030】
本例のクライアントコンピュータは、内部通信バス(BUS)1000に接続された中央処理装置(CPU)1010、同じくBUSに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)1070を含む。クライアントコンピュータは、BUSに接続されたビデオランダムアクセスメモリ1100に関係するグラフィック処理装置(GPU)1110をさらに備える。ビデオRAM1100は、この技術分野において、フレームバッファとしても知られている。大容量記憶装置コントローラ1020は、ハードドライブ1030のような大容量メモリ装置へのアクセスを管理する。コンピュータプログラムの命令およびデータを明確に包含するのに適した大容量メモリ装置は、すべての形式の不揮発性メモリ(EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置のような半導体メモリ装置を例えば含む)、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、および、CD-ROMディスク1040を含む。前記のいずれかは、特別に設計されたASICs(特定用途向け集積回路)によって補足されるか、それに組み込まれてもよい。ネットワークアダプタ1050は、ネットワーク1060へのアクセスを管理する。また、クライアントコンピュータは、カーソル制御装置、キーボードなどのような触覚デバイス1090を含んでもよい。ディスプレイ1080上の任意の所望の位置にユーザが選択的にカーソルを置くことを可能にするために、クライアントコンピュータにおいてカーソル制御装置が使用される。さらに、カーソル制御装置は、ユーザが、様々なコマンドを選択し、制御信号を入力することを可能にする。カーソル制御装置は、システムに制御信号を入力するための複数の信号生成装置を含む。典型的には、カーソル制御装置は、マウスであってもよく、マウスのボタンは信号を生成するために使用される。あるいはまたはさらに、クライアントコンピュータシステムは、感知可能なパッドおよび/または感知可能なスクリーンを含んでもよい。
【0031】
コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行可能な命令を含んでもよく、命令は、上記のシステムに本方法を行わせるための手段を含む。プログラムは、任意のデータ記憶媒体(システムのメモリを含む)に記録可能であってもよい。プログラムは、例えば、デジタル電子回路において、または、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、もしくはそれらの組み合わせにおいて、実行されてもよい。プログラムは、装置として、例えばプログラム可能なプロセッサによる実行のための機械可読の記憶装置に明確に組み込まれた製品として、実行されてもよい。方法ステップは、入力データを処理し出力を生成することによって本方法の機能を行う命令のプログラムを実行するプログラム可能なプロセッサによって行われてもよい。このように、プロセッサは、プログラム可能であってもよく、且つ、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置、からデータおよび命令を受け取るように、およびそれへデータおよび命令を送るように、つながれていてもよい。望むのであれば、アプリケーションプログラムは、ハイレベルの手続き型またはオブジェクト指向のプログラミング言語で、または、アセンブリ言語もしくは機械語で実行されてもよい。いずれの場合も、言語は、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語であってもよい。プログラムは、完全なインストールプログラムまたはアップデートプログラムであってもよい。システムへのプログラムの適用は、いずれの場合も、本方法を行うための命令をもたらす。
【0032】
本方法は、製造工程に含まれてもよく、製造工程は、本方法を行った後に、位相的に最適化された3Dモデル化部品に対応する物的製品を生産することを含んでもよい。いずれの場合も、本方法によって得られるモデル化オブジェクトは、フライス加工ブロック上で行われるフライス作業の結果として製造される部品を表してもよい。従って、部品は、モデル化された固体(すなわち固体を表すモデル化オブジェクト)であってもよい。フライス作業によって製造可能な部品の設計を本方法が改善するので、本方法はさらに、製品の製造を改善し、従って、製造工程の生産性を増大させる。
【0033】
再び図1を参照して、位相的に最適化された3Dモデル化部品が供給される(S10)。位相的に最適化された3Dモデル化部品は、位相最適化工程を経た3Dモデル化部品で且つそのボリューム表現の少なくとも一部が位相最適化工程の結果として生じる3Dモデル化部品である。位相最適化工程の結果として完全なボリューム表現を得ることができることが、理解されるべきである。位相最適化は、この技術分野において知られているように行われてもよい。ステップS10における供給することは、モデル化オブジェクトについて作業する設計者に起因してもよく、当該モデル化オブジェクトは、最適化されてもよいし、されなくてもよく、このことは、図1の例の方法は、3Dモデル化部品、または、位相的に最適化された3Dモデル化部品に対して実施されてもよい、ということを含む。ステップS10における供給することは、既に既存の位相的に最適化された3Dモデル化部品(例えばデータベースに記憶された既存のライブラリで検索される)に本方法が適用されてもよい、という事実に起因してもよい。位相的に最適化された3Dモデル化部品は、形状を表現するためにメッシュを用いるフォーマットの形式(境界表現またはBレップなど)であってもよい。境界表現は、3Dオブジェクトを、その囲い(すなわちその外側表面)でモデル化するための周知のフォーマットである。位相的に最適化された3Dモデル化部品は、部品(例えばフライス作業を用いて製造される機械部品)を表現する。
【0034】
次に、ステップS20において、位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含する境界ボリュームが計算される。境界ボリュームは、ステップS10で供給された位相的に最適化された3Dモデル化部品を囲む3Dモデル化オブジェクトである。境界ボリュームは、透明度レベルを備える、ユーザへのシーンにおいて表されてもよい(それはさらに、包含された位相的に最適化された3Dモデル化部品を示してもよい)。シーンは、シーン内のすべての3Dモデル化オブジェクトに共通する全軸系(global axis system)を有してもよい。境界ボリュームはさらに、フライス作業に用いられる材料のブロックを表してもよく、材料の当該ブロックは、フライス加工ブロックとも呼ばれる。境界ボリュームの形状は、任意の幾何学的形状(平行六面体、立方体、球体などを含むが、これらには限定されない)であってもよい。境界ボリュームの形状は、ユーザによって選択されてもよいし、または、自動的に決定されてもよい。ユーザはさらに、例えばすべてのサイドにおいて境界ボリュームを拡張するためのオフセット値を選択することによって、境界ボリュームを修正してもよい。
【0035】
「境界ボリュームは位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含する」とは、部品に属するいかなる点も境界ボリューム内にあることを意味し、部品の点は、境界ボリュームに接してもよいし、そうでなくてもよい。境界ボリュームは、部品の点が、位相的に最適化された3Dモデル化部品と交差しない(または接しない)ような大きさ(dimension)を有してもよい。通常、境界ボリュームは、フライス加工ブロックから製造される部品よりも大きいフライス加工ブロックを表す。
【0036】
境界ボリュームの計算中に、機械加工するブランクに必要な材料の量を削減するため、または、フライス加工方向に応じたそのポジショニングを容易にするために、境界ボリュームの向きが規定される。向きに応じて、境界ボリュームは、位相的に最適化された3Dモデル化部品を包含するためのより大きいボリュームを必要としてもよい。より大きい境界ボリュームは、部品の製造中におけるより大きいフライス加工ブロックを表してもよい。従って、位相的に最適化された3Dモデル化部品を製造するために、より多量の材料が必要であろう。そのため、境界ボリュームの削減は、部品を製造するために必要とされる材料の量における効率の向上を可能にする。向きは、ユーザ選択に由来してもよいし、位相的に最適化された3Dモデル化部品が置かれるシーンの全軸系に由来してもよいし、位相的に最適化された3Dモデル化部品の1つの軸系に由来してもよいし、位相的に最適化された3Dモデル化オブジェクトの特性に由来してもよい。位相的に最適化された3Dモデル化オブジェクトの特性は、物理的性質(例えば、この技術分野において知られている専用ツールによって計算された、位相的に最適化されたモデル化部品の慣性行列)であってもよい。慣性行列は、部品に加えられる慣性運動を記述するために使用される、部品の嵩の修復にリンクされる慣性モーメントおよび慣性乗積によって規定される数学的なツールである、慣性行列から、主な慣性軸に基づいて慣性軸系を規定することが可能である。慣性軸系に基づいて規定される境界箱は、通常、他の軸を用いて規定された境界箱と比較して、より小さいボリュームを有する。境界ボリュームの計算は、境界ボリュームのボリュームをさらに最小化する他の方法を用いて行われてもよい。
【0037】
次に、ステップS30において、位相的に最適化された3Dモデル化部品に対するフライスツールのフライス加工方向が規定される。
【0038】
フライス加工方向は、部品を製造するために用いられてもよいフライスツールの回転の軸の方向を表す。例えば、フライス加工方向は、5軸または3軸のフライスツールの回転軸と平行な方向を表してもよい。このように、フライス加工方向は、位相的に最適化された3Dモデル化部品が表現されるシーンにおける方向である。フライス加工方向は、キーボード、マウス、スタイラスなどのような触覚デバイスを介して、ユーザによって規定できる。あるいは、位相的に最適化された3Dオブジェクトが計算される設計空間を用いて、フライス加工方向をユーザに提案できる。設計空間は、部品が機能を果たすときにその中に存在することが可能な、割り当てられたボリュームである。それは、他の部品とのクラッシュの回避、アクセスの容易さ、取り扱いおよび製造の制約などの、外部の仕様を考慮に入れる。従って、フライス加工方向は、位相的に最適化された3Dオブジェクトが計算される設計空間において、設計意図に含まれる方向を特定することによって、ユーザによって提案されてもよい。設計意図は、例えば、設計空間において規定された機械加工特性である場合があり、機械加工特性は、穴、ポケットおよびノッチのような形状と関係がある場合がある。あるいは、フライス作業における材料削除を最大化するために、または逆に材料削除を最小化するために、ユーザに提案されたフライス加工方向を計算することができる。材料除去を最大化することは、フライス作業で製造される部品が、位相的に最適化された3Dモデル化部品にできるだけ近づくことを可能にする。
【0039】
図5は、境界ボリューム(102)の内側の、位相的に最適化された3Dモデル化部品(100)の一例を示す。境界ボリューム(直方体である)は、境界ボリューム(102)の内側の位相的に最適化された3Dモデル化部品(100)をユーザが見ることを可能にする透明度を有する。境界ボリュームは本例において直方体であるため、境界箱と称されてもよい。フライスツール(104,106および108)の3つのフライス加工方向が規定されており、それらは、位相的に最適化された3Dモデル化部品(100)の中心を通る直線によって表される。位相的に最適化された3Dモデル化部品の中心は、その部品の重心であってもよい。別の一例において、フライス加工方向は境界ボリュームの中心に置かれる。図5において、フライス加工方向は、直方体の3つの面に対して垂直である。境界ボリュームは、フライス加工方向と平行なその面のうちの1つについての法線ベクトルを有するように調整されてもよい。
【0040】
図1に戻って、ステップS40において、部品を機械加工するために用いられるフライスツールのパラメータが供給される。フライスツールのパラメータは、ユーザの行為(例えば、キーボード、マウス、スタイラスなどのような触覚デバイスによる選択)によって供給されてもよい。あるいは、フライスツールのパラメータは、自動的に供給されてもよい(例えば、デフォルトのパラメータはシステムによって供給される)。パラメータを供給することは、パラメータのリストの中からパラメータを選択すること、および/または、パラメータ値を選択すること、を含んでもよい。フライスツールのパラメータは、フライスツールの直径、フライスツールの種類、フライスツールのモデル、フライス盤のフライスツールの直径を決定する他の任意のパラメータであってもよい(ただしこれらに限定されない)。例において、設計者は、フライスツールの直径の値を選択する(例えば、ユーザは、直径の数値を入力する)。
【0041】
次に、ステップS50において、位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエットが、フライス加工方向に従って計算される。シルエットは、位相的に最適化された3Dモデル化部品の、平面上への、S30において規定されたフライス加工方向に沿った投影である。平面は、2D平面であってもよい。例として、シルエットは、位相的に最適化された3Dモデル化部品の表面の法線ベクトルとフライス加工方向との間で内積を行い、次に、内積が符号を変えるかゼロになる点を特定し、それらを、フライス加工方向と同じ方向を有するベクトルに対して垂直な平面にプロットすることによって計算されてもよい。特定する、とは、計算機システムによって1つ以上の点を知ることを可能にする計算工程を意味する。
【0042】
例において、シルエットの計算は、1つ以上の輪郭をシルエット上で特定することを含み、シルエットの輪郭は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面と、位相的に最適化された3Dモデル化部品中の空のボリュームを表す表面とを分離する。計算されるシルエットは、位相的に最適化された3Dモデル化部品の平面上への投影の外形を画定する少なくとも1つの輪郭を含む。輪郭は、閉じた形状を画定することによって表面を規定する。閉じた形状とは、点と、頂点と、閉じたチェーン状に点を接続する線との集合によって規定できる形状(例えば多角形または円)を意味する。特別には、位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエットは、フライス加工方向の視点から見たときの、部品の穴を画定する輪郭を含んでもよい。これらの穴は、典型的には、モデル化部品において材料がないところを表す。例えば、シルエット中の円は、位相的に最適化された3Dモデル化部品の、貫通する穴を表すことができる。そのため、シルエット中に1つ以上の輪郭が存在し、それぞれの輪郭は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面と、位相的に最適化された3Dモデル化部品中の空のボリュームを表す表面とを分離する。位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームは、その部品によって物理的に占められるボリュームを表し、換言すれば、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームは、材料で満たされている部品のボリュームである。
【0043】
図6は、図5の位相的に最適化された3Dモデル化部品100の、フライス加工方向(106)に対して得られたシルエット(110)の一例を示す。シルエット(110)は、位相的に最適化された3Dモデル化部品100の形状のアウトラインを画定する1つの外側輪郭(109)を含み、且つ、位相的に最適化された3Dモデル化部品100の穴を表す8つの内側輪郭を含む。8つの内側輪郭は、外側輪郭によって画定された表面の内側の輪郭であり、それらは、空のボリュームを表す表面を画定する。輪郭の特定は、輪郭内の表面も特定されることを含んでいることが、理解されるべきである。例えば、外側輪郭109の特定は、外側輪郭109によって囲まれた表面111を特定することと等しい。さらに、シルエットが投影される(2D)平面の表面であって外側輪郭によって包含されない表面も、特定される。シルエットが投影される(2D)平面の全表面は、フライス加工方向に従った境界ボリュームの、前記平面上への投影によって限定されてもよい。
【0044】
図2は、シルエット上における1つ以上の輪郭の特定の一例を示す。シルエットの輪郭が、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面と、位相的に最適化された3Dモデル化部品中の空のボリュームを表す表面とを分離するということに注意する。
【0045】
最初に、位相的に最適化された3Dモデル化部品の表面のテッセレーション(S502)が行われる。テッセレーションは、互いに密接に適合された形状の配置であり、特に、隙間またはオーバーラップがない繰り返しパターンにおける多角形の配置である。テッセレーションのパターンは、好ましくは三角形であるが、任意の幾何学的形状でありうる。有利なことに、テッセレーションのパターンを三角形にすることは、GPUを用いて行われる計算を最適化する。
【0046】
次に、テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品の点が、フライス加工方向に沿って、平面上のセルのグリッドに投影される(S504)。投影点は、フライス加工方向に面する、テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品の頂点を含む。
【0047】
セルのグリッドは、パターンを形成する、互いに密接に適合された形状の配置であり、1つのセルはそのような形状のうちの1つである。グリッドのサイズは、ユーザによって選択されてもよいし、例えば境界ボリュームを用いて、自動的に決定されてもよい。グリッドのサイズは、テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエット全体をカバーするのに少なくとも充分である。グリッドを含むセルは、任意の幾何学的形状(例えば正方形)であってもよい。
【0048】
図7は、図5および図6のテッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品100のシルエット(112)の一例を示す。シルエット112は、正方形の形状であるセル(114)で構成されたグリッド上に投影を行うことによって得られる。グリッド114は、シルエット112の全体をカバーし、S20において計算された境界箱102の、フライス加工方向に沿った投影のサイズの表面を有する。
【0049】
図2に戻って、セルの第1のグループは、シルエットをカバーするグリッドにおいて特定されてもよい。第1のグループのセルのそれぞれは、少なくとも1つの投影点を含み、投影点(S506)を有さない少なくとも1つのセルを隣接セルとして有する。2つのセルは、それらが頂点または線分を共有する場合、隣接するものである。例えば、図7において、セルは、8つまでの隣接セルを有することができる。点を含むセルであって、投影点を備えない隣接セルを有さないがグリッドのエッジにあるセルも、セルの第1のグループに属するとみなされてもよい。投影点を含むセルは、投影点を囲むセルである。点が、2つ以上のセルのエッジまたは頂点に位置する場合、前記点は、両方のセルへ割り当てられるであろう。第1のグループのセルに属する投影点は、1つ以上の輪郭を規定する(S508)。
【0050】
図7において、第1のグループの点117は、グリッドの内側において青で描かれる。第1のグループの点は、例えば、他の輪郭のうちの、テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエットの周囲の輪郭と同様に、シルエットの内側の円形の輪郭(116)を規定する。
【0051】
シルエットの輪郭は、第1のグループのセルから得ることができる。第1の例において、輪郭は、輪郭を規定するすべての点を結合する線(その開始点および終了点は同一である)を計算することによって計算されてもよく、線は、正方形または円または多くの幾何学的図形の組み合わせといった、既存の幾何学的図形に基づいて計算されてもよい。線の計算は、この技術分野において知られているように行われてもよい。
【0052】
第2の例において、輪郭は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表すか、または、空のボリュームを表す1つ以上の輪郭によって画定される1つ以上の表面に対応する1つ以上の表面を特定することによって計算されてもよい。換言すれば、輪郭は、シルエット上の表面の特定によって得られる。これについて、ここで、図2のステップ510および512を参照して説明する。
【0053】
ステップS510において、セルの第2のグループがグリッド中で特定される。第2のグループのセルのそれぞれは、少なくとも1つの投影点を含み、少なくとも1つの投影点をそれぞれ備える隣接セルを有する。すなわち、すべての隣接セルは、少なくとも1つの投影点を含む。さらに、(第2のグループのセルのそれぞれに対する)隣接セルの少なくとも1つは、セルの第1のグループに属する(S510)。そのため、第2のグループのセルは、第1のグループのセルに隣接する。図7において、第2のグループに属するセルは、黒い三角形115によって特定される。これらのセルは、隣接セルとして青い点を含む少なくとも1つのセルを有する。
【0054】
位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面および空のボリュームの表す表面の決定は、セルの第1および第2のグループを用いて行われてもよい(S512)。第2のグループのセルの一部内に含む1つ以上の輪郭によって規定される第1のタイプの表面は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す。第2のグループのセルのいかなる部分も有さない1つ以上の輪郭によって規定される第2のタイプの表面は、空のボリュームを表す。例えば、図7において、赤いドットを含むセルは、位相的に最適化された3Dモデル化部品によって占められる表面の部分を表す。赤いドットを含むセルは、輪郭116のような、青い点117によって規定された輪郭によって規定された表面内にある。輪郭によって規定され且つ赤いドットを有するセルを含む表面はさらに、第2のグループのセル、すなわち三角形を有するセルを有する。図7におけるドットおよび点の特定のために、赤いドット113はセルの中央に置かれ、青い点117は、セルの中央に限定されずにクラスタを形成する。図7がグレーのレベルで表現される場合、赤いドットは、青い点よりも濃い。
【0055】
輪郭は、閉じた形状を画定することによって表面を規定する。閉じた形状とは、点と、頂点と、閉じたチェーン状に点を接続する線との集合によって規定できる形状(例えば多角形または円)を意味し、形状が平面内にある場合、閉じた形状において内側表面および外側表面を規定できる。内側表面とは、閉じた形状の内側の表面を意味する。外側表面とは、閉じた形状の外側の表面を意味する。
【0056】
例において、位相的に最適化された3Dモデル化部品のテッセレーションを形成する形状は、ステップS40において供給されるフライスツールの直径のサイズ以下となるように計算されてもよい。例えば、テッセレーションは、直径がS40において供給されるフライスツールの直径のサイズ以下である外接円を有する三角形に基づいてもよい。さらに、セルのグリッドは、隣接する2つのセルの2つの点の間の最大距離がステップS40において供給されるフライスツールの直径よりも小さいセルを含んでもよい。これは、空のボリュームを表す表面として特定される表面が、テッセレーションの結果として生成されないことを確実にする。距離は、この技術分野において知られているように計算された、2つの点の間のユークリッド距離であってもよい。
【0057】
図1に戻って、ステップS60において、新しい輪郭が、S40において供給されたフライスツールのパラメータに基づいて、シルエット(ステップS50において計算された)上で計算される。新しい輪郭は少なくとも外側輪郭に対応し、これは、内側輪郭がない場合に典型的なことである。さらにまたはあるいは、1つ以上の新しい内側輪郭が、このステップにおいて計算されてもよい。新しい輪郭は、空のボリュームを表す表面を、それらがフライス作業を用いて再現できない形状を有する場合に、削減してもよい。空のボリュームを表す表面は、フライス作業を用いて再現できる形状を有する場合には、変更されなくてもよいことが理解されるべきである。
【0058】
例において、1つ以上の新しい輪郭を計算することは、フライスツールを用いて再現するには小さすぎる空のボリュームを表す表面を画定する輪郭を除去することを含んでもよい。そのような表面は、テッセレーションされた位相的に最適化された3Dモデル化部品のシルエット上で計算されるドロネー三角形分割を用いて決定されてもよい。ドロネー三角形分割は、S506およびS510において決定された第1および第2のグループに属するセルの内側の点と、シルエットを含む平面上にあり且つそれを囲む、シルエットの外側に位置する1つ以上の追加の点119とだけを用いて計算される。シルエットの外側に位置する追加の点の数は、4つ(例えば境界箱102の平面上への投影の4つの頂点)であってもよい。
【0059】
ドロネー三角形分割の後、3つのタイプの三角形を規定できる。三角形の第1のタイプは、その3つの頂点が、セルの第1のグループに含まれる投影点であるかまたはシルエットの外側に位置する追加の点の1つである、テッセレーションされたシルエットの三角形を含む。第1のタイプの三角形によってカバーされる第1の表面は、空のボリュームを表す表面として特定される。
【0060】
第2のタイプの三角形は、その3つの頂点が第2のグループのセルの点である三角形を含む。第2のタイプの三角形によってカバーされる第2の表面は、位相的に最適化された3Dモデル化部品によって占められる表面を表すものとして特定される。
【0061】
第3のタイプの三角形は、その頂点が第1および第2のグループのセルの点を含む三角形を含む。第3のタイプの三角形によってカバーされる第3の表面は、位相的に最適化された3Dモデル化部品によって占められる表面を表すものとして特定される。
【0062】
次に、第1のタイプのそれぞれの三角形に対して、三角形の外接円の直径が、S40において供給されたフライスツールの直径と比較される。
【0063】
第1のタイプの三角形の外接円の直径がS40において供給されたフライスツールの直径よりも小さい場合、三角形は、第2または第3のタイプの三角形とみなされる。従って、ここで第2または第3のタイプの三角形とみなされた三角形によってカバーされるシルエットの表面は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面となる。
【0064】
次に、第2および第3のタイプの三角形のエッジ(第1のタイプの三角形と共有される。すなわち、第2および第3のタイプの三角形と第1のタイプの三角形との共通のエッジ。)は、シルエット上の新しい1つ以上の輪郭となり、以前の輪郭に取って代わる。シルエットの外側の追加の点は、第1のタイプの三角形が、シルエットの外側輪郭の外側に計算されることを可能にする。シルエットの外側輪郭も計算されることを確実にする。
【0065】
ドロネー三角形分割は、有利なことに、減少した数の点を用いて行われ、三角形化の計算コストを最小化する。
【0066】
例において、位相的に最適化された3Dモデル化部品のテッセレーションを形成する形状は、ステップS40において供給されるフライスツールの直径のサイズ以下となるように計算されてもよい。これは、ドロネー三角形分割の三角形が、フライスツールの直径より大きい直径を備える外接円を有し且つ空のボリュームを表す表面上にある場合に、フライスツールが、製造される部品において空のボリュームを再現するために材料を除去できるであろうことを、確実にする。
【0067】
図3で図示されるような例において、新しい輪郭の計算S60は、S40において供給されたフライスツールの直径と等しい直径を備える円を計算すること(S601)を含んでもよい。一例において、円の直径は、フライスツールの直径よりもわずかに大きくてもよく、例えば、円は、0~25パーセントの間に含まれる許容範囲内でより大きい直径を有してもよい。
【0068】
与えられた輪郭に対して、計算された円の位置の集合が決定される(S602)。位置の集合中の位置のそれぞれについて、円と輪郭との少なくとも1つの接触点がある。位置の集合中の位置のそれぞれについて、円の点は輪郭の外側にない。位置の集合中の位置のそれぞれについて、円は、空のボリュームを表す表面の内側にある。計算された位置の集合は、部品を製造するときにフライスツールが材料を除去する場所を表す。
例において、輪郭に沿った円の途切れのない変位に対応する円の位置が決定されてもよい(S604)。これらの位置は、ステップS602において計算された位置の集合から決定される。円の途切れのない変位は、円が常に輪郭と接触する状態で、空のボリュームを表す表面の内側の閉じた軌道をなぞる。円の変位が、閉じた軌道をなぞるので、円の最初の位置と最後の位置とが互いに一致する。従って、輪郭に沿った円の途切れのない変位に対応する位置の集合は、位相的に最適化された3Dモデル化部品の構造を変更することなくフライス加工できる輪郭の境界を表す。
【0069】
輪郭を回る途切れのない変位に対応する円の位置は、空のボリュームを表す表面における円の中心の軌道として記憶されてもよい。円の中心の軌道は、機械加工中におけるフライスツールの最も端の軌道であってもよい。
【0070】
決定された位置(S604)のそれぞれに対して得られる輪郭と円との接触点は、接触点の集合を形成する。接触点の集合によって、1つ以上の線が計算されてもよい(S606)。円の位置の決定された集合は、輪郭に沿った円の途切れのない変位に対応するため、接触点の集合に属する点は、新しい輪郭の少なくとも一部を規定する1つ以上の線にグループ化できる。線は、円と輪郭との途切れのない一連の接触点をグループ化する。線によってグループ化された接触点の途切れのない連続は、連続する輪郭の点とオーバーラップする。連続する、とは、輪郭をなぞるときに、2つの点が順々に位置することを意味する。線は、例えば鋭く狭いエッジを輪郭が含む場合、1つの点を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0071】
図8は、図5および図6に示される位相的に最適化された3Dモデル化部品のテッセレーションされたシルエットの一例を示し、ステップS601において円が計算される例において、ステップS60における新しい輪郭の計算における異なる状況を図示する。図8の濃いエリアは、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表し、薄い色のエリアは、空のボリュームを表す。破線で表された円の位置118において、空のボリュームを表す表面は、ステップS601において計算された円によってカバーされる表面よりも小さく
【0072】
前記表面を画定した輪郭が除去され、その表面は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面として特定されるであろう。輪郭121にある円120の位置は、ステップS604の決定された位置のうちの1つに対応する。輪郭の曲率は円のそれと同じであるため、円120を備える輪郭121の接触点は多数ある。円と輪郭との間の位置120の多数の接触点は、途切れがなく、且つ、ステップS606の間、同じ線中にあるであろう。確かに、接触点は、輪郭の連続する点にオーバーラップする。円122の位置も、ステップS604の決定された位置のうちの1つに対応する。円と輪郭との2つの異なる接触点AおよびBが存在する。これらの2つの点は、途切れがない連続ではなく、ステップS606の間、2つの異なる線に属するであろう。
【0073】
図3に戻って、ステップS601~S606の結果として得られた線から完全な輪郭を計算する一例について、ここで述べる。確かに、輪郭の最小曲率が、ステップS601において計算された円の曲率よりも小さい状況は起こりうる。この状況は、図8の円122で図示される。
【0074】
ステップS608において、計算された1つ以上の線の終点が特定される。線の終点は、線の端を示す線の2つの点のうちの1つである。
【0075】
次に、ステップS610において、必要に応じて、新しい輪郭の少なくとも一部を規定する1つ以上の線が接続される。すなわち、与えられた線の2つの終点は一致せず、線の第1の終点が第2の終点に接続される。第2の終点は、第1の終点に最も近い終点である。例えば新しい輪郭の一部を規定する線が1つだけ存在する場合、第1および第2の終点は同じ線に属してもよい。例えば新しい輪郭の一部を規定する線が複数ある場合、第1および第2の終点は異なる線に属してもよい。
【0076】
第1の終点と第2の終点との接続は、ステップS601において計算された円(円は、第1および第2の終点が円と輪郭との接触点であるステップS604において決定された位置に対応する)の弧を用いてなされる。接続された線は、空のボリュームを表す表面の内側の輪郭である。終点を接続する弧は、接続された線の内側表面を最大化するものである。
【0077】
すべての終点が接続されるまで、2つの終点を接続することが繰り返される。
【0078】
1つ以上の接続された線が、ステップS602~S606において用いられた輪郭に取って代わってもよく、それらは新しい輪郭を形成する。取って代わられる輪郭と接続された線との間の表面は、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面となり、一方で、空のボリュームを表す残りの表面は変わらないままである。ステップ602~610は、シルエットの輪郭のそれぞれに対して繰り返される。
【0079】
ステップS610の結果、接続された線だけが、シルエットの新しい輪郭として保持される。図8を参照して説明したように、S601において計算された円よりも小さい空のボリュームを表す表面は、もはや輪郭によって画定されず、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面として規定されるであろう。従って、フライスツールでフライス作業を行うには小さすぎる空のボリュームを表す表面は、除去される。これは、フライスツールのサイズよりも小さな表面を有する穴を、ユーザが穴を捜すか選択するかする必要なしに、位相的に最適化された部品の3Dモデルから除去することを可能にする。
【0080】
さらに、新しい輪郭によって画定される表面はすべて、フライス作業によって再現できるボリュームを表す。空のボリュームを表すそれぞれの表面に対して、輪郭と交差することなくフライスツールがなぞることができる少なくとも1つの軌道が表面の内側にある。これは、シルエットにおいて表されるように、製造される部品中の空のボリュームをフライスツールが再現することを可能にする。空のボリュームを表す表面において計算される新しい輪郭は、フライス作業中において、オリジナルの位相的に修正された3Dモデル化部品で占められるボリュームもすべて、製造される部品で占められるであろうことを確実にする。
【0081】
さらに、新しい輪郭は、S40において供給されたフライスツールの直径と等しい直径を備える円を用いて計算される。従って、輪郭の形状は、フライスツールの円形の切削モーションを考慮に入れる。輪郭は、空のボリューム(換言すれば、部品を製造するときに除去されるボリューム)を表す表面を画定してもよい。従って、新しい輪郭の計算はさらに、フライス作業を用いて製造可能な部品の、より現実的な設計をもたらす。
【0082】
先の例において、明確さのために、与えられた輪郭に対して、ステップS601~S610が、連続するものとして示されることが理解されるべきである。ステップは、多数の輪郭に対して、連続して行われてもよいし、同時に実行されてもよい。
図9は、ステップS601~S610によって計算された新しい輪郭を有する、図8からのシルエットの一例を示す。図8の円122も、図9において同じ位置で表される。新しい輪郭123は、接触点Aと接触点Bとの間において、円122の弧と同じ曲率を有する。この例において、AおよびBは、異なる2つの線の終点である。図8における位置118の空のボリュームを表す表面も、図9において除去される。
【0083】
図3に戻って、ステップS612において、1つのまたは接続された線に対して、ポリラインが計算されてもよい。計算された1つ以上のポリラインは、シルエットの新しい輪郭になるであろう。
【0084】
ポリラインの計算は、シルエット上の1つ以上の輪郭をなぞることによって計算されてもよい。例えば、ポリラインは、ステップ610において計算された、1つ以上の接続された線をなぞってもよい。ポリラインは、空のボリュームを表す表面に関して計算される。これは、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームを表す表面を維持することを可能にする。
【0085】
ポリラインは、1つ以上の線分からなる連続的な線である。計算されたポリラインは、接続された線をなぞる。ポリラインの計算は、この技術分野において知られているように行われる。
【0086】
ここで、図4を参照して、ポリラインの計算の一例について述べる。
【0087】
ステップS6120において、ユーザは、ポリラインと輪郭との間の最大距離を選択する。選択は、距離についてのユーザの仕様を受け取ることによって行われてもよいし、メニューの中の所定の距離を選択することによって行われてもよい。計算されるポリラインのいかなる点に対しても、ユーザによって選択された最大距離よりも短い距離にある少なくとも1つの点(例えば接続された線の中の点)が輪郭中に必ず存在する。ポリラインは、この技術分野において知られているように、例えばDouglas-Peuckerアルゴリズムを用いて(ただしこれには限定されない)、計算されてもよい。ポリラインは、部品を製造するときに、フライスツールが限られた回数だけ方向を変えることを可能にし、部品の製造を容易にする。
【0088】
これは、ユーザが、自身のニーズに応じて、ポリラインと輪郭との間の最大距離を選択することを可能にする。短い最大距離は、多くの線分(それぞれの線分は部品の製造中におけるフライスツールの方向転換を表す)によって形成されたポリラインをもたらすであろう。多くの線分によって、フライスツールは、製造工程において部品の形状をより正確に再現できるであろう。一方、より長い最大距離は、より少ない線分によって形成されたポリラインをもたらすであろう。部品の製造中において、フライスツールが必要とする方向転換がより少なくなり、フライス盤によって部品が製造される速度を増加させるであろう。
【0089】
最大距離の選択の後に、ステップS6122において、空のボリュームを表す表面においてポリラインが計算される。
【0090】
次に、ステップS6124において、ポリラインの線分の凸角が丸められる。ポリラインは、1つ以上の内角の凸角を含んでもよい形状を規定する。内角の凸角は、180°未満の角度を有する、ポリラインによって画定された表面の角度である。これらの凸角は、フライスツールに適合する形状をポリラインに与えるために、S601において計算された円の曲率を用いて丸められる。角を丸めた後に計算されるポリラインは、位相的に最適化された3Dモデル化部品で占められるボリュームの表面の一部にオーバーラップしないことが理解されるべきである。
【0091】
図1に戻って、3Dボリュームは、新しい輪郭を有するシルエットから計算されてもよい(S70)。例えば、ステップS610またはS612の結果として得られる新しい輪郭の計算の後で、3Dボリュームが計算されてもよい。
【0092】
例において、3Dボリュームは、新しい輪郭を有する複数のシルエットから計算されてもよい。これは、位相的に最適化された3Dモデル化部品のより正確な表現を作成することを可能にする。一例において、これは、境界ボリュームと、異なるフライス加工方向から計算された新しい輪郭を有する1つ以上のシルエットとを用いて行われる。3Dボリュームは、典型的には、フライス作業に適合する位相的に最適化された部品の表現である。フライス作業に適合する、とは、フライスツールの与えられたパラメータ(例えばフライス加工の直径)に対して、フライス作業を用いて部品を製造できる、ということを意味する。フライス作業は、フライス加工方向を含んでもよい。
【0093】
図10は、ステップS610またはステップS612の後に、図5に示されるフライス加工方向104を用いて計算されたシルエット(124)の一例を示す。このシルエットは、少なくとも1つの新しい輪郭を含む。位相的に最適化された3Dモデル化部品を囲む図5および図6の境界ボリュームも表される。シルエット124は、シルエット124を計算するために用いられたフライス加工方向に従って、境界ボリュームに位置揃えされる。その方向は、図10において矢印125によって表される。位置揃えは、シルエット(S50)の計算のために用いられたものと同じであり、換言すれば、シルエットと境界ボリュームとの相対位置は、ステップS50におけるものと同じである。
【0094】
位置揃えの後、シルエットの空のボリュームを表す表面に位置揃えされた境界ボリュームのボリュームが除去される。除去されたボリュームは、フライス加工方向を用いた、境界ボリュームにおける、シルエットの空のボリュームを表す表面の押し出し(extrusion)に対応する。3Dボリュームをメモリに記憶する前に、図11に示されるように、対応するシルエットと共に、得られる3Dボリュームのプレビューがユーザに示されてもよい。
【0095】
図11は、シルエット124から計算された3Dボリューム(126)のプレビューの一例を示す。図11において、境界ボリュームは、フライス加工方向125に従って、シルエット124において空のボリュームを表す表面に位置揃えされたボリュームを除去することによって修正される。シルエット124の外側輪郭を囲む平面の表面に位置揃えされた境界ボリュームのボリュームも、除去される。除去されたボリュームは、フライス加工方向を用いた、境界ボリュームにおける、シルエットの、空のボリュームを表す表面の押し出しに対応する。
【0096】
さらなるフライス加工方向がS30において規定されてもよく、対応する新しいシルエットが、続くステップS40~S60で計算されてもよい。新しいシルエットは、少なくとも1つの新しい輪郭を備えるシルエットである。新しいシルエットは、次に、3Dボリュームを計算するために用いることができる。例えば、新しいシルエットは、図11の3Dボリューム126を修正するために用いることができる。新しいシルエットは、それぞれのシルエットの各々のフライス加工方向に従って、3Dボリュームに位置揃えされてもよい。次に、空のボリュームを表す、任意のシルエットの、表面に位置揃えされた3Dボリュームのボリュームが除去される。
【0097】
2つ以上の新しいシルエットを用いる3Dボリュームの計算は、それぞれの新しいシルエットに対して順に行われてもよいし、利用可能なすべてのシルエットを同時に用いて行われてもよい。
【0098】
図12は、図5に示されたフライス加工方向104,106および108に対応する3つのシルエットから計算された3Dボリューム(128)の一例を示す。3Dボリュームは、フライス作業に適合し且つフライスツールを用いて製造できる位相的に最適化された部品(S10)を表す。ボリュームの表面は、フライスツールの直径よりも大きいかそれと等しく、計算された3Dボリュームを再現するフライス作業中において、ボリュームを除去するためにフライスツールがなぞることができる少なくとも1つの経路が常に存在する。
【0099】
3Dボリュームの計算において除去されるボリュームは常に、ステップS10において供給された位相的に最適化された3Dモデル化部品の、対応する空のボリュームと等しいかそれ以下である。S60において計算される1つ以上の新しい輪郭は、常に、空のボリュームを表す表面に対して計算される。そのため、計算された3Dボリュームを再現するフライス作業によって製造される部品は、ステップS10において供給された位相的に最適化された3Dモデル化部品について予期される耐性以上の耐性を有するはずである。
【0100】
ステップS10~ステップS70のうちの1つ以上は、図13に図示されたもののようなグラフィカルインタフェース(GUI)を用いて実行されてもよく、それは、上記方法の実行においてアシストするためのツールを含む。例えば、S40において、フライスツールのパラメータが、ダイアログボックスを介して提供されてもよい。別の例として、位相的に最適化された3次元(3D)モデル化部品が、GUIを介してユーザによって選択されてもよい。フライス加工方向に従ったシルエットの計算のプレビュー、または、シルエットから計算された3Dボリュームのプレビューが、本方法の対応するステップにおいて提供されてもよい。都合がよいことに、与えられたシルエットで得られた3Dボリュームにユーザが満足しない場合、グラフィックツールボックスを用いてナビゲートすることによって、ユーザは、以前のステップに戻ってもよい。
【0101】
本方法の1つ以上の例に従って設計された部品は、フライス盤によって製造できる。フライス盤は、フライス作業を実行できる工作機械である。フライス作業(フライス機能とも称される)は、正面削り、端面削り、タッピング、ドリル加工などであってもよい(ただしそれらには限定されない)。フライス作業は、3つ~6つの軸について行われてもよい。フライス盤には、本発明の方法によって得られた部品の設計が供給され、次に、フライス盤は、供給された設計部品を製造の指令に翻訳する。製造の指令はCAMソフトウェアによって計算されてもよい。次に、指令は、一般に特定のフライス盤モデルに特有のコマンドに変換される。従って、部品を生産するために必要とされる一連のフライス作業は高度に自動化され、設計された部品に細密にマッチする。
【0102】
境界ボリュームは、部品の製造のためにフライス作業が材料を除去する材料のブロックである、フライス加工ブロックを表す。そのため、境界ボリュームは、フライス作業の結果として設計部品に変換される、機械加工されていない原料のボリュームを表す。実際上、フライス加工ブロックは正平行六面体である。
【0103】
1つ以上のフライス加工方向(S30)が、フライス盤の機械加工の制約に従って決定されてもよい。例えば、3軸フライス盤は通常、3D部品を製造するために、フライス作業中にフライス加工ブロックが回転されることを必要とする。従って、フライス加工ブロックは、製造工程中において、多方向でフライスツールに面する。設計部品のフライス加工方向は、機械加工操作中において、フライス加工ブロックがとるそれぞれの方向ごとに決定されてもよい。例えば、材料の立方体に対するフライス作業が、立方体の3つの異なる面上の3つの貫通する穴を再現することを含む場合、3つの面のそれぞれの1つがフライスツールの前に確実にあるように、立方体は3回回転される。
【0104】
本発明の好ましい実施形態について記載した。本発明の趣旨および範囲からはずれることなく、様々な変更がなされてもよいことが理解されるであろう。従って、他の実施は、以下の請求項の範囲内である。例えば、本発明は、一方向に材料を除去する任意の機械(例えば、ドリル、プラズマ切断、ウォータージェット切断、レーザー切断など)とともに用いられてもよい。
図1
図2
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図8
図9
図10
図11
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