(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 24/44 20060101AFI20230808BHJP
B01D 29/94 20060101ALI20230808BHJP
B01D 29/33 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B01D29/42 520
B01D29/32 A
(21)【出願番号】P 2019070722
(22)【出願日】2019-04-02
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591006003
【氏名又は名称】株式会社トリケミカル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【氏名又は名称】畠山 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】230116296
【氏名又は名称】薄葉 健司
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正幸
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-089375(JP,A)
【文献】特表2015-525666(JP,A)
【文献】米国特許第05916442(US,A)
【文献】特開2002-233712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04、35/08-37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体内に設けられたフィルタユニットと、前記容器本体内に供給された液体が前記フィルタユニットで濾過された後に容器本体外に排出される排出部と、前記容器本体内に濾過後に残った残分が溜まる堆積部とを具備する濾過装置であって、
前記堆積部の上方で前記容器本体の下方部の側壁の内側に沿って略一周に亘って設けられた内壁と、
前記内壁と該内壁の外側に在る前記容器本体の下方部の側壁との間に構成された空隙部と、
前記空隙部および前記容器本体外部に通じる洗浄液注入用のポート
とを具備する濾過装置。
【請求項2】
前記内壁と、前記空隙部とは、前記容器本体と前記堆積部との間に設けられたアタッチメントによって構成されてなり、
前記アタッチメントは、
前記内壁に相当する内壁と、
前記空隙部および前記容器本体外部に通じる洗浄液注入用のポートと
を具備してなり、
前記アタッチメントを前記容器本体の下方部の側壁の内側に配置することによって、前記空隙部が構成されてなる
請求項1の濾過装置。
【請求項3】
前記内壁と、前記空隙部と、前記ポートとは、前記容器本体と前記堆積部との間に設けられたアタッチメントによって構成されてなり、
前記アタッチメントは、
内壁および外壁と、
前記内壁と前記外壁との間に存する前記空隙部に相当する空隙部と、
前記空隙部および前記容器本体外部に通じる洗浄液注入用のポート
とを具備してなる
請求項1の濾過装置。
【請求項4】
内壁と該内壁の外側に在る側壁とは二重筒状である
請求項1~請求項3いずれかの濾過装置。
【請求項5】
前記内壁の内面と該内壁より上方に在る容器本体の
上部体の側壁の内面とがほぼ同一面上に在るか、前記内壁の内面と該内壁より上方に在る容器本体の
上部体の側壁の内面とがほぼ漸近的に変化している面上に在るか、前記内壁の内面が該内壁より上方に在る容器本体の
上部体の側壁の内面より外側に位置しているかである
請求項1~請求項4いずれかの濾過装置。
【請求項6】
前記ポートは複数個設けられてなる
請求項1~請求項5いずれかの濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
濾過システムが提案(特開2014-233717)されている。
図3は濾過システム100の概略的な接続関係の説明図である。濾過システム100は、原液槽102と、ポンプ104と、濾過装置110と、濾液槽106と、バルブ108a~108iとを具備する。原液槽102は、固液混合液SL(被処理液)を貯留する槽である。ポンプ104は、原液槽102に貯留された固液混合液SLを濾過装置110へ送出する。濾過装置110は、固液混合液SLを固液分離(濾過)して、濾液FLと固体残渣SRとを生成する。濾液槽106は、濾過装置110によって生成された濾液FLを貯留する槽である。バルブ108a~108iは制御部(図示せず)によって制御される。制御部は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して濾過システム100全体を管理・制御する。バルブ108aは、濾過装置110のベッセル112に形成された被処理液導入口120とポンプ104とを接続する配管ラインL1に設けられる。バルブ108bは、ベッセル112に設けられた抜液配管170に接続される配管ラインL2(配管ラインL1から分岐)に設けられる。バルブ108cは、配管ラインL2におけるバルブ108bの下流側から分岐された配管ラインL3に設けられる。バルブ108dは、ベッセル112に形成された流通口130と原液槽102とを接続する配管ラインL4に設けられる。バルブ108eは、圧縮気体(例えば、圧縮窒素)供給源と流通口130とを接続する配管ラインL5に設けられる。バルブ108fは、濾過装置110に設けられたレジスタパイプ150の第1の出口150aと原液槽102とを接続する配管ラインL6に設けられる。配管ラインL7は、レジスタパイプ150の第2の出口150bと圧縮気体供給源と濾液槽106とを接続する配管ラインL8とを接続する配管である。バルブ108gは、圧縮気体供給源と濾液槽106とを接続する配管ラインL8における配管ラインL7の接続点の下流側に設けられる。バルブ108hは、配管ラインL8における配管ラインL7の接続点の上流側に設けられる。配管ラインL9は、配管ラインL8における配管ラインL7の接続点とバルブ108hとの間から分岐された配管であり、配管ラインL8と洗浄液供給源とを接続する。バルブ108iは、配管ラインL9に設けられる。濾過装置110の具体的な構成が説明される。
図4は、濾過システム100を構成する濾過装置110の説明図であり、
図5は
図4のIII-III線における鉛直断面(YZ断面)の概略図であり、
図6は
図4のIV-IV線における水平断面(XY断面)の概略図である。
図4,5,6では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義する。これらの図に示される通り、濾過装置110は、ベッセル112と、被処理液導入口120と、流通口130と、フィルタユニット140と、レジスタパイプ150と、固体残渣排出口160と、排出弁162と、抜液配管170とを具備する。ベッセル112は、金属で構成された容器であり、固液混合液SL(被処理液)が導入される。ベッセル112の内面にはゴムやフッ素樹脂等のライニング加工が施されている。被処理液導入口120は、ベッセル112の下部(フィルタユニット140の下方)に設けられた開口であって、ベッセル112内に固液混合液SLを導入する開口である。被処理液導入口120にはポンプ104が接続されており、ポンプ104が駆動されることによって、固液混合液SLがベッセル112内に導入される。流通口130は、ベッセル112における被処理液導入口120よりも上方、又、フィルタユニット140よりも上方に設けられた開口であって、固液混合液SLや気体をベッセル112外に排出したり、圧縮気体をベッセル112内に導入する開口である。流通口130には圧縮気体供給源が接続されており、バルブ108eが開かれると、圧縮気体がベッセル112内に導入される。フィルタユニット140は、軸心方向(長手方向)が鉛直方向に配されるようにベッセル112内に複数設けられており、濾過機能を有するフィルタを含んで構成されるユニットである。レジスタパイプ150は長手方向が水平方向(Y軸方向)に配されるようにベッセル112内に複数設けられ、複数のフィルタユニット140が連結され、フィルタユニット140の外方から内方に液体が圧入されることで、当該フィルタユニット140によって濾過された液体(濾液FL)が連通口152aを通じて導入され、導入された濾液FLを濾液槽106に送出する管である。レジスタパイプ150には、ベッセル112内の気体や液体を排出する第1の出口150aと、第1の出口150aとは異なる出口であって主に濾液FLを送出する第2の出口150b(濾液送出口)とが設けられている。一つのレジスタパイプ150には複数のフィルタユニット140が軸心方向を鉛直方向に沿わせるように吊り下げられて連結されている。レジスタパイプ150は、複数のフィルタユニット140が水平面(XY平面)上で格子状に配されるように、フィルタユニット140を連結する。
図7は、フィルタユニット140およびレジスタパイプ150を説明する図であり、
図7(a)はフィルタユニット140およびレジスタパイプ150の斜視図を、
図7(b)はフィルタユニット140の斜視図を、
図7(c)は上部材250の鉛直断面図を、
図7(d)は下部材260の鉛直断面図を示す。
図7(a)(b)に示される通り、フィルタユニット140はキャンドルユニット210とフィルタ220とを具備する。キャンドルユニット210は上部材250と下部材260とキャンドル本体270とを具備する。上部材250はレジスタパイプ150の連通管152に形成された連通口152aと連通する開口252を有する。上部材250にはキャンドルユニット210をレジスタパイプ150に連結するピン孔250aが設けられている。下部材260はフィルタユニット140の底部を構成する部材であり、有底筒形状の部材である。上部材250、下部材260は、例えばポリプロピレン等の樹脂やステンレス鋼等の金属で構成される。キャンドル本体270は、
図7(b)に示される通り、ライザーパイプ272とキャンドルピース274とを具備し、一方の端部が上部材250に接続され、他方の端部が下部材260に接続される。ライザーパイプ272は筒形状を有する部材であり、ライザーパイプ272の外壁には複数のキャンドルピース274が取り付けられている。キャンドルピース274は筒形状を有する部材であり、複数のスリット274aが設けられている。筒形状を有する濾布からなるフィルタ220は、キャンドルユニット210の外周に配される。フィルタユニット140のレジスタパイプ150への取り付けが説明される。
図8はフィルタユニット140のレジスタパイプ150への取り付けの説明図である。
図8(a)に示される通り、レジスタパイプ150の連通管152に設けられたピン孔152bとキャンドルユニット210の上部材250に設けられたピン孔250aとの位置を合わせ、ピン孔152b、250aにピン154を挿入して、キャンドルユニット210をレジスタパイプ150に吊り下げる。
図8(b)に示される通り、キャンドルユニット210の外周およびレジスタパイプ150の連通管152に筒形状のフィルタ220を被せて、フィルタ220における連通管152に対応する位置とフィルタ220における下部材260に対応する位置とにホースバンド156を巻き回して固定する。ホースバンド156で2箇所(フィルタ220における連通管152に対応する位置、フィルタ220における下部材260に対応する位置)を固定することにより、フィルタユニット140をレジスタパイプ150に強固に取り付けることが出来る。フィルタユニット140内からフィルタユニット140外へ洗浄(逆洗)を行っても、フィルタユニット140がレジスタパイプ150から外れ難い。洗浄回数に制約が少なくなり、フィルタ220の目詰まりが抑制され、フィルタ220の寿命が長くなる。連通管152とフィルタ220の間、下部材260とフィルタ220の間、フィルタ220とホースバンド156の間にクッション材158を介在させている。これにより、キャンドルユニット210とフィルタ220、フィルタ220と連通管152とを密着させることが可能となる。このようにしてフィルタユニット140がレジスタパイプ150に取り付けられる。被処理液導入口120を通じてベッセル112内に固液混合液SLが圧入されると、
図7(b)に示される通り、固液混合液SLはフィルタ220によって濾過(固液分離)され、固体残渣SR(ケーキ)がフィルタ220の外表面に残留するとともに、濾液FLがスリット274aを通じてキャンドルピース274内に流入する。キャンドルピース274内に流入した濾液FLは、キャンドルピース274内を下方向に流れ、ライザーパイプ272に集まって上方に押し出されて、レジスタパイプ150に回収される。固体残渣排出口160は、ベッセル112における被処理液導入口120の下方、かつ、フィルタユニット140の下方に設けられた開口であって、濾過によって生じた固体残渣SRをベッセル112外に排出する開口である。排出弁162は、固体残渣排出口160を開閉する開閉弁である。抜液配管170の開口170aがベッセル112内における排出弁162の近傍(閉状態にあるときの排出弁162の近傍)に位置し、濾過によって生じた液体残渣LRをベッセル112外に排出する配管である。抜液配管170は、排出弁162の閉弁時に、開口170aが排出弁162に臨むようにベッセル112に設けられる。濾過システム100を用いた固液混合液SLの固液分離方法が説明される。
図9は濾過システム100を用いた固液分離方法の処理の流の説明図であり、
図10は濾過システム100を用いた固液分離方法の各工程におけるバルブ108a~108iの開閉状態、排出弁162の開閉状態、ポンプ104の駆動状態の説明図である。
図10中、バルブ108a~108iの開状態、排出弁162の開状態、ポンプ104が駆動している場合を「○」で示し、バルブ108a~108iの閉状態、排出弁162の閉状態、ポンプ104が停止している場合を「×」で示す。濾過システム100を用いた固液分離方法は、充液工程S310(
図9(a))、循環工程S312(
図9(b))、濾過工程S314(
図9(c))、抜液工程S316(
図9(d))、ブロー工程S318(
図9(e))、ドレン抜き工程S320(
図9(f))、排圧工程S322(
図9(g))、固体残渣排出工程S324(
図9(h))、逆洗工程S326(
図9(i))、バックブロー工程S328(
図9(j))を含む。各工程が説明される。初期状態では、バルブ108d(流通口)は開状態、バルブ108a~108c、108e~108i、排出弁162は全て閉状態にある。 (充液工程S310) 制御部は、バルブ108a(被処理液導入口120)、バルブ108b(抜液配管170)、バルブ108f(レジスタパイプ150の第1の出口150a)を開く。ポンプ104を駆動して、原液槽102から、
図9(a)に示される通り、被処理液導入口120を通じてベッセル112内に固液混合液SL(
図9中、クロスハッチングで示す)を導入し、ベッセル112内を固液混合液SLで充填する。バルブ108bが開放されているから、ポンプ104が液体導入部として機能し、抜液配管170に固液混合液SLを逆流させて、ベッセル112内に固液混合液SLを導入する。バルブ108d、108fは開放されている為、ベッセル112内に固液混合液SLが導入されることによって、流通口130、レジスタパイプ150の第1の出口150aからベッセル112内の空気が押し出される。フィルタユニット140のフィルタ220内には、フィルタ220によって濾過された濾液FLが導入され、レジスタパイプ150に送出される。 (循環工程S312) 制御部は、ポンプ104
の駆動を維持して、被処理液導入口120および抜液配管170を通じたベッセル112内への固液混合液SLの導入を続行する。このようにして、
図9(b)に示される通り、レジスタパイプ150の第1の出口150aから送出される濾液FL(
図9中、ハッチングで示す)を原液槽102に返送して、濾液FLが清澄になるまで、固液混合液SLを循環させる。フィルタ220によって分離された固体残渣SRが沈降しないように、流通口130において、固液混合液SLをオーバーフローさせる。流通口130を通じてオーバーフローされた固液混合液SLは、原液槽102に返送される。 (濾過工程S314) 制御部は、ポンプ104の駆動を維持して、被処理液導入口120および抜液配管170を通じたベッセル112内への固液混合液SLの導入を続行しつつ、バルブ108fを閉じ、バルブ108gを開く。
図9(c)に示される通り、被処理液導入口120から固液混合液SLが圧入されて、レジスタパイプ150の第2の出口150bから濾液FL(
図9中、ハッチングで示す)が濾液槽106へ送出されると共に、フィルタユニット140の外表面に固体残渣SR(
図9中、黒い塗り潰しで示される)が残留する。 (抜液工程S316) 濾過工程S314が終了すると、制御部は、ポンプ104の駆動を停止すると共に、バルブ108a,108b,108d,108gを閉じ、バルブ108c,108e,108fを開く。
図9(d)に示される通り、流通口130から圧縮気体(圧縮窒素)をベッセル112内に逆流させ、ベッセル112内を加圧状態とする。ベッセル112内に残留した固液混合液SLが抜液配管170を通じて、外部に排出され、レジスタパイプ150の第1の出口150aから濾液FLおよび気体が放出される。ベッセル112内から固液混合液SLが排出される。バルブ108aは、抜液工程S316の初期のみ開状態としてもよい。ベッセル112外に排出された固液混合液SLおよび濾液FLは、原液槽102に返送される。 (ブロー工程S318) 制御部は、バルブ108c(抜液配管170)を閉じる。
図9(e)に示される通り、流通口130から導入される圧縮気体によって、フィルタユニット140に残留した固体残渣SRの脱水を行うことが出来る。ブロー工程S318は、レジスタパイプ150毎に順次行う。 (ドレン抜き工程S320) 制御部は、バルブ108cを開く。
図9(f)に示される通り、流通口130から導入される圧縮気体によって、ベッセル112内に残留した固液混合液SLを、抜液配管170を通じて、ベッセル112外に排出する。ベッセル112外に排出された固液混合液SLは、原液槽102に返送される。 (排圧工程S322) 制御部は、ドレン抜き工程S320が終了すると、バルブ108c,108eを閉じ、バルブ108dを開く。
図9(g)に示される通り、流通口130およびレジスタパイプ150の第1の出口150aを通じてベッセル112内の窒素を排出でき、ベッセル112内を大気圧と同等にし、排出弁162を開く際の安全性を確保できる。 (固体残渣排出工程S324) 制御部は、バルブ108fを閉じて、バルブ108h、排出弁162を開く。
図9(h)に示される通り、レジスタパイプ150の第2の出口150bから圧縮気体をバックブローする(逆流させる)。固体残渣SRをフィルタユニット140から脱離させ、固体残渣排出口160からベッセル112外に排出できる。流通口130からは窒素が排出される。 (逆洗工程S326) 固体残渣排出工程S324が終了すると、制御部は、バルブ108h、排出弁162を閉じて、バルブ108iを開く。
図9(i)に示される通り、レジスタパイプ150の第2の出口150bから洗浄液WSを導入する。フィルタユニット140のフィルタ220の逆洗(洗浄)を行える。流通口130からは窒素が排出される。 (バックブロー工程S328) 制御部は、バルブ108iを閉じて、バルブ108hを開く。
図9(j)に示される通り、レジスタパイプ150の第2の出口150bから圧縮気体を導入する。フィルタユニット140のフィルタ220の逆洗(洗浄)を行える。逆洗工程S326、バックブロー工程S328は、レジスタパイプ150毎に順次行う。制御部はバルブ108cを開いて洗浄液WSをベッセル112外に排出して、固液分離方法の一連の工程が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2014-233717が提案した前記装置(システム)にあっては、抜液配管170が、流路において、邪魔になっていた。排出弁162のシート面の洗浄が局所的にしか出来なかった。固体残渣SRの沈降によって、抜液配管170の開口170aが閉塞される事も起きた。
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は前記問題点を解決する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
容器本体と、前記容器本体内に設けられたフィルタユニットと、前記容器本体内に供給された液体が前記フィルタユニットで濾過された後に容器本体外に排出される排出部と、前記容器本体内に残された前記液体残分が溜まる堆積部とを具備する濾過装置であって、
前記堆積部の上方で前記容器本体の下方部の側壁に沿って設けられた内壁と、
前記内壁と該内壁の外側に在る外壁との間に構成された空隙部と、
前記空隙部に通じるポート
とを具備する濾過装置を提案する。
【0007】
本発明は、前記濾過装置であって、前記堆積部の上方で前記容器本体の下方部の側壁に沿って設けられた内壁と、前記内壁と該内壁の外側に在る外壁との間に構成された空隙部とは、前記容器本体と前記堆積部との間に設けられたアタッチメントによって構成されてなり、前記アタッチメントは、前記内壁に相当する内壁と、前記空隙部に通じるポートとを具備してなり、前記アタッチメントを前記容器本体の下方部の外壁の内側に配置することによって、前記空隙部が構成されてなる濾過装置を提案する。
本発明は、前記濾過装置であって、前記堆積部の上方で前記容器本体の下方部の側壁に沿って設けられた内壁と、前記内壁と該内壁の外側に在る外壁との間に構成された空隙部と、前記空隙部に通じるポートとは、前記容器本体と前記堆積部との間に設けられたアタッチメントによって構成されてなり、前記アタッチメントは、前記内壁と前記外壁とに相当する内壁と外壁と、前記内壁と前記外壁との間には前記空隙部に相当する空隙部と、前記空隙部に通じるポートとを具備してなる濾過装置を提案する。
【0008】
本発明は、前記濾過装置であって、前記内壁と前記外壁とは二重筒状であり、前記内壁は略一周に亘って設けられている濾過装置を提案する。
【0009】
本発明は、前記濾過装置であって、前記内壁の内面と前記容器本体の下方部の内面とがほぼ同一面上に在る濾過装置を提案する。
【0010】
本発明は、前記濾過装置であって、前記内壁の内面と前記容器本体の下方部の内面とがほぼ漸近的に変化している面上に在る濾過装置を提案する。
【0011】
本発明は、前記濾過装置であって、前記内壁の内面が前記容器本体の下方部の内面より外側に位置している濾過装置を提案する。
【0012】
本発明は、前記濾過装置であって、前記ポートは複数個設けられてなる濾過装置を提案する。
【発明の効果】
【0013】
固液分離(濾過)後の固形分が堆積部上に堆積しても、ポートに繋がる空隙部面積(開口面積)が、
図3~
図10で説明された抜液配管170の開口170aに比べたならば、広いことから、固液分離(濾過)後の固形分によって封鎖され難い。ポートから洗浄液を注入して洗浄した場合、洗浄液は略360°一周に亘って空隙部から内部に注入される。従って、堆積部の表面が全面的に洗浄される。
図3~
図10で説明された抜液配管170の開口170aから洗浄液が注入された場合には、開口170aの近傍個所の洗浄は期待できても、開口170aから遠い個所の洗浄は期待でき難い。特に、ポートから供給された洗浄液は円周方向の流を期待できるから、洗浄効果がより期待できる。又、
図3~
図10で説明された抜液配管170が設けられていると、抜液配管170は容器本体内に突出している構造であり、この個所の上面に堆積した固形分の除去は困難である。かつ、液体の流の邪魔にもなる。斯かる問題点も本発明では改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態になる装置の要部の概略水平断面図
【
図2】本発明の一実施形態になる装置の要部の概略垂直断面図
【
図3】従来の濾過システムの概略的な接続関係を説明する図
【
図7】フィルタユニットおよびレジスタパイプの説明図
【
図8】フィルタユニットのレジスタパイプへの取付説明図
【
図9】濾過システムを用いた固液分離方法の処理説明図
【
図10】濾過システムを用いた固液分離方法の各工程におけるバルブの開閉状態、排出弁の開閉状態、ポンプの駆動状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態が説明される。
【0016】
本発明は装置である。前記装置は濾過装置である。
図4に相当する濾過装置であると考えることも出来る。勿論、これに限られない。本発明の特徴の理解には
図3~
図10は参考になる。前記装置は容器本体(
図3~
図10にあっては、ベッセル)を具備する。前記装置はフィルタユニットを具備する。前記フィルタユニットは前記
図3~
図10と同様なフィルタユニットであっても、異なる構造のフィルタユニットであっても良い。前記フィルタユニットは、前記
図3~
図10と同様、前記容器本体内に設けられている。前記フィルタユニットは1個でも複数個でも良い。通常は複数個であろう。前記装置は排出部を具備する。前記排出部は、前記容器本体内に供給された液体が前記フィルタユニットで濾過された後に、液体分が前記容器本体外に排出されるものである。前記装置は堆積部を具備する。前記堆積部に前記容器本体内に残された前記液体残分(固形分:固体残渣)が溜まる。前記液体は液分と固形分とを含有する。前記固形分は、濾過作業中に、前記フィルタユニット表面に付着したり、或いは沈降して堆積部に溜まる。又は、前記フィルタユニットの表面に付着した固形分が洗浄によって剥がれ、沈降して堆積部に溜まる。早いか遅いかの違いが有れども、何れにせよ、前記固形分は前記堆積部に溜まる。前記堆積部は、前記
図3~
図10にあっては、排出弁162と称されている。前記堆積部は、前記容器本体の下方部に構成されている。前記堆積部は、例えば前記容器本体の下方の開口部(前記
図3~
図10にあっては、排出弁162が相当)に設けられた開・閉弁である。前記容器本体の下部には外壁が有る。前記外壁の内側には内壁が有る。例えば、前記装置は内壁を具備する。前記外壁と内壁との間には空隙部が構成されている。恰も、二重筒構造の如きである。前記内壁は前記外壁の内側に前記外壁に沿って設けられている。前記内壁は略一周に亘って設けられている。ここで、「略」とは、一部が欠けていても良いからである。例えば、300°以上の角度に亘って設けられておれば良い。好ましくは、330°以上の角度に亘って設けられておれば良い。例えば、一個所または複数個所の位置で、内壁が途切れ、その途切れた個所では空隙部が潰れた構造でも良い。つまり、独立した空隙部が複数個有っても良い。勿論、内壁を斯かる構造にすることは、複雑化・コストアップに至る。前記内壁は前記堆積部の上方で前記容器本体の下方部の側壁に沿って設けられている。前記内壁と該内壁の外側に在る外壁との間には空隙部が構成されている。前記装置はポートを具備する。前記ポートは前記空隙部に通じる。前記ポートは1個でも複数個でも良い。
【0017】
前記内壁などは、前記濾過装置の容器本体に対して、一体的に構成されていても良い。しかし、後から、付随的な装置(アタッチメント)を取り付けることによって、構成されるようにしても良い。例えば、前記内壁に相当する内壁と前記空隙部に通じるポートとを具備したアタッチメントを、前記容器本体の下方部の外壁の内側に配置することによって、前記空隙部が構成される形態のものでも良い。すなわち、内壁とポートとを具備したアタッチメントを前記容器本体の下方部の外壁の内側に配置すれば、前記容器本体の下方部の外壁と前記内壁との間には空隙が出来ており、この空隙に前記ポートが繋がるようになっておれば良い。このようなアタッチメントを用いたならば、従来の濾過装置に対しても使用可能になる。アタッチメントは前記構造のものに限られない。例えば、前記内壁と、前記外壁と、前記空隙部と、前記ポートとを全て備えタイプのものであっても良い。この構造アタッチメントを、前記容器本体部の下端と前記堆積部との間に配置すれば良い。
【0018】
前記内壁の内面と前記容器本体の下方部の内面とがほぼ同一面上に在ったり、前記内壁の内面と前記容器本体の下方部の内面とがほぼ漸近的に変化している面上に在ったり、前記内壁の内面が前記容器本体の下方部の内面より外側に位置している場合が有る。何れであっても良い。
【0019】
以下、具体的な実施例が挙げられる。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
【0020】
本発明にあっては、前述の通り、容器本体は
図3~
図10で説明されたベッセル112でも代用でき、容器本体内に設けられたフィルタユニットは
図3~
図10で説明されたフィルタユニット140でも代用でき、前記容器本体内に供給された液体が前記フィルタユニットで濾過された後に容器本体外に排出される排出部は
図3~
図10で説明された第1の出口150a及び/又は第2の出口150bでも代用でき、前記容器本体内に残された前記液体残分が溜まる堆積部は
図3~
図10で説明された排出弁162で代用できる。従って、下記においては、前記堆積部の上方で前記容器本体の下方部の側壁に沿って設けられた内壁、前記内壁と該内壁の外側に在る外壁、前記内壁と前記外壁とで構成された空隙部、及び前記空隙部に通じるポートの個所における構成が詳細に説明される。それ以外の個所の構成は前記
図3~
図10での説明を参考に出来る。
【0021】
前記内壁や前記外壁は前記容器本体の下方部において一体的に構成することも可能である。しかし、下記ではアタッチメントを用いた例で説明される。例えば、前記アタッチメントを前記
図3~
図10での説明におけるベッセル112の下端(但し、排出弁162の上方)に結合することによって、一体的に構成された場合と同様な構成に出来る。
【0022】
図1は本発明の一実施形態になる装置の要部の概略水平断面図、
図2は本発明の一実施形態になる装置の要部の概略垂直断面図である。
【0023】
各図中、1はアタッチメントである。このアタットメント1は、フィルタユニット等を内蔵した容器本体2に連結される。例えば、前記容器本体2の上部体(この上部体に濾過装置の殆どの構成部品(フィルタユニット等)が内蔵されている。但し、前記堆積部(前記排出弁162が相当:本実施形態では符号3)は上部体に内蔵されていない。))2aと、下部体(堆積部3が配設されている)2bとの間に、前記アタットメント1が配置されて連結される。例えば、前記上部体2aの下端にはフランジ4aが設けられており、前記下部体2bの上端にはフランジ4bが設けられている。前記フランジ4aと前記フランジ4bとの間に、アタットメント1のフランジ1aを配置し、例えばボルトとナットとで締付けることによって、前記上部体2aと前記アタットメント1と前記下部体2bとは、一体のものとなる。
【0024】
アタッチメント1は一周に亘って円筒状の壁(内壁)5を具備する。この内壁5の内径は、
図1,2から判る通り、前記上部体2aの外壁6aの下方側の内径と、略同じである。前記上部体2aの外壁6aの下方側の内径は前記下部体2bの外壁6bの内径よりも小さい。前記内壁5と前記上部体2aの外壁6aと前記下部体2bの外壁6bとは、同心状である。前記内壁5と前記下部体2bの外壁6bとは、恰も、二重筒状である。従って、前記アタッチメント1が配置された状態にあっては、前記アタッチメント1の内壁5の外面と前記下部体2bの外壁6bの内面との間には、隙間(空隙部)7が出来ている。この空隙部7は、一周に亘って出来ている。
【0025】
8はポートである。前記ポート8は前記フランジ1aに形成された貫通孔(連通孔)である。前記ポート8は等間隔で4個設けられている。前記ポート8は前記空隙部7に繋がっている。
【0026】
上記の如くに構成させた場合、仮に、固液分離(濾過)後の固形分が堆積部3上に堆積しても、ポート8に繋がる空隙部7は360°一周に亘って存在しているから、中々、封鎖され難い。空隙部7は、
図3~
図10で説明された抜液配管170の開口170aに比べたならば、その開口面積が広い。かつ、360°に亘って広がっている。従って、固液分離(濾過)後の固形分によって空隙部7全てが封鎖され難いことは容易に理解できるであろう。又、前記ポート8から洗浄液を注入して洗浄した場合、洗浄液は360°一周に亘って空隙部7から内部に注入される。従って、堆積部3の表面が全面的に洗浄される。
図3~
図10で説明された抜液配管170の開口170aから洗浄液が注入された場合には、開口170aの近傍個所の洗浄は期待できても、開口170aから遠い個所の洗浄は期待できないであろう。特に、ポート8から供給された洗浄液は円周方向の流を期待できるから、洗浄効果はより期待できる。又、
図3~
図10で説明された抜液配管170が設けられていると、抜液配管170は容器本体内に突出している構造であり、この個所の上面に堆積した固形分の除去は困難である。かつ、液体の流の邪魔にもなる。斯かる問題点も上記実施形態のものでは改善されている。
【符号の説明】
【0027】
1 アタッチメント
1a フランジ
2 容器本体
2a 上部体
2b 下部体
3 堆積部
4a,4b フランジ
5 内壁
6a,6b 外壁
7 隙間(空隙部)
8 ポート