(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20230808BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230808BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230808BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G05F1/56 320H
H01L27/04 H
H01L21/82 Z
(21)【出願番号】P 2019100029
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪上 浩樹
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
H01L21/82
H01H21/822
H01L27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路を含む半導体装置において、
前記半導体集積回路内の互いに異なる第1及び第2対象位置に配置された第1及び第2温度検出素子を有し、前記第1及び第2温度検出素子を用いて前記第1対象位置における温度と前記第2対象位置における温度との温度差に応じた温度差保護信号を出力する温度差保護信号出力回路と
、前記半導体集積回路内における第1特定位置の温度に応じた第1温度保護信号を出力する第1温度保護信号出力回路と、前記半導体集積回路内における第2特定位置の温度に応じた第2温度保護信号を出力する第2温度保護信号出力回路と、を有する温度保護回路を備えるとともに、
発熱源としての対象素子と、
制御回路と、
外部装置から入力電圧を受ける入力端子と、
出力端子と、を備え、
前記第1温度検出素子と前記対象素子との距離は、前記第2温度検出素子と前記対象素子との距離よりも短
く、
前記入力端子と前記出力端子との間に介在する素子として前記対象素子が前記半導体集積回路内に設けられ、
前記入力電圧に基づく電流が前記入力端子、前記対象素子及び前記出力端子を経由する対象電路を流れることで前記対象素子が発熱し、
前記制御回路は、前記温度差保護信号、前記第1温度保護信号及び前記第2温度保護信号に基づき、前記対象素子を制御することで前記対象電路の形成又は遮断を行い、
前記温度差保護信号出力回路は、前記第2対象位置における温度から見て前記第1対象位置における温度が所定の差分保護温度以上高くなったとき、前記温度差保護信号をアサート状態とし、
前記第1温度保護信号出力回路は、前記第1特定位置の温度が所定の第1保護温度以上となったとき、前記第1温度保護信号をアサート状態とし、
前記第2温度保護信号出力回路は、前記第2特定位置の温度が前記第1保護温度よりも高い所定の第2保護温度以上となったとき、前記第2温度保護信号をアサート状態とし、
前記制御回路は、前記温度差保護信号及び前記第1温度保護信号が共にアサート状態であるとき、又は、前記第2温度保護信号がアサート状態であるとき、前記対象電路を遮断する
、半導体装置。
【請求項2】
前記対象素子はトランジスタであり、
前記制御回路は、前記温度差保護信号、前記第1温度保護信号及び前記第2温度保護信号に基づき、前記トランジスタの状態を制御することで前記対象電路の形成又は遮断を行う
、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体集積回路が形成された半導体チップと、
前記半導体チップを収容する筐体と、
前記筐体に取り付けられた複数の外部端子と、を備え、
前記複数の外部端子に前記入力端子及び前記出力端子が含まれ、
前記半導体チップにおける所定の対象領域に前記対象素子が形成され、
前記半導体チップ上には複数の金属パッドが設けられ、
各金属パッドは金属ワイヤを介して対応する外部端子に接続され、
前記第1温度検出素子と前記対象領域との距離は、前記第2温度検出素子と前記対象領域との距離よりも短く、
前記第2温度検出素子と前記複数の金属パッドとの距離の内の最小距離は、前記第1温度検出素子と前記複数の金属パッドとの距離の内の最小距離よりも短い
、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップにおける所定の辺に沿って、前記複数の金属パッドに含まれる第1~第k金属パッドが配置され(kは2以上の整数)、
前記第1~第k金属パッドと前記対象領域との距離の内、前記第k金属パッドと前記対象領域との距離が最も長く、
前記第1~第k金属パッドと前記第2温度検出素子との距離の内、前記第k金属パッドと前記第2温度検出素子との距離が最も短い
、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1温度検出素子は、前記第1対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する素子であり、前記第2温度検出素子は、前記第2対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する素子であり、
前記温度差保護信号出力回路は、前記第1対象位置の温度に応じた前記第1温度検出素子の電気的特性の変化と前記第2対象位置の温度に応じた前記第2温度検出素子の電気的特性の変化とを利用して、前記温度差に応じた前記温度差保護信号を生成する
、請求項1~4の何れかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアレギュレータ又はスイッチングレギュレータを形成する電源ICを含む各種ICでは、自己発熱や外気による熱から自身を保護することを目的として温度保護回路が内蔵されていることが多い。温度保護回路は、熱保護回路やサーマルシャットダウン回路などと称されることもある。
【0003】
この種の温度保護回路は、一般的に、IC内の対象位置の温度が所定の保護温度以上となったときに、ICの動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記温度保護回路は有益な回路であるものの、IC(半導体装置)内に熱のばらつきが発生する場合にあっては、熱からの保護が不十分になることがありえる。
【0006】
本発明は、熱からの保護機能の向上に寄与する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置は、半導体集積回路を含む半導体装置において、前記半導体集積回路内の互いに異なる第1及び第2対象位置に配置された第1及び第2温度検出素子を有し、前記第1及び第2温度検出素子を用いて前記第1対象位置における温度と前記第2対象位置における温度との温度差に応じた温度差保護信号を出力する温度差保護信号出力回路と、発熱源としての対象素子と、前記温度差保護信号に基づいて前記対象素子を制御する制御回路と、を備え、前記第1温度検出素子と前記対象素子との距離は、前記第2温度検出素子と前記対象素子との距離よりも短い構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成に係る半導体装置において、外部装置から入力電圧を受ける入力端子と、
出力端子と、を備え、前記入力端子と前記出力端子との間に介在する素子として前記対象素子が前記半導体集積回路内に設けられ、前記入力電圧に基づく電流が前記入力端子、前記対象素子及び前記出力端子を経由する対象電路を流れることで前記対象素子が発熱し、前記制御回路は、前記温度差保護信号に基づき前記対象素子を制御することで前記対象電路の形成又は遮断を行う構成(第2の構成)であっても良い。
【0009】
上記第2の構成に係る半導体装置において、前記対象素子はトランジスタであり、前記制御回路は、前記温度差保護信号に基づき前記トランジスタの状態を制御することで前記対象電路の形成又は遮断を行う構成(第3の構成)であっても良い。
【0010】
上記第2又は第3の構成に係る半導体装置において、前記温度差保護信号出力回路と、前記半導体集積回路内における第1特定位置の温度に応じた第1温度保護信号を出力する第1温度保護信号出力回路と、前記半導体集積回路内における第2特定位置の温度に応じた第2温度保護信号を出力する第2温度保護信号出力回路と、を有する温度保護回路を備え、前記制御回路は、前記温度差保護信号、前記第1温度保護信号及び前記第2温度保護信号に基づいて、前記対象電路の形成又は遮断を行う構成(第4の構成)であっても良い。
【0011】
上記第4の構成に係る半導体装置において、前記温度差保護信号出力回路は、前記第2対象位置における温度から見て前記第1対象位置における温度が所定の差分保護温度以上高くなったとき、前記温度差保護信号をアサート状態とし、前記第1温度保護信号出力回路は、前記第1特定位置の温度が所定の第1保護温度以上となったとき、前記第1温度保護信号をアサート状態とし、前記第2温度保護信号出力回路は、前記第2特定位置の温度が前記第1保護温度よりも高い所定の第2保護温度以上となったとき、前記第2温度保護信号をアサート状態とし、前記制御回路は、前記温度差保護信号及び前記第1温度保護信号が共にアサート状態であるとき、又は、前記第2温度保護信号がアサート状態であるとき、前記対象電路を遮断する構成(第5の構成)であっても良い。
【0012】
上記第2又は第3の構成に係る半導体装置において、前記温度差保護信号出力回路と、前記半導体集積回路内における特定位置の温度に応じた温度保護信号を出力する温度保護信号出力回路と、を有する温度保護回路を備え、前記制御回路は、前記温度差保護信号及び前記温度保護信号に基づいて、前記対象電路の形成又は遮断を行う構成(第6の構成)であっても良い。
【0013】
上記第6の構成に係る半導体装置において、前記温度差保護信号出力回路は、前記第2対象位置における温度から見て前記第1対象位置における温度が所定の差分保護温度以上高くなったとき、前記温度差保護信号をアサート状態とし、前記温度保護信号出力回路は、前記特定位置の温度が所定の保護温度以上となったとき、前記温度保護信号をアサート状態とし、前記制御回路は、前記温度差保護信号及び前記温度保護信号の内、少なくとも一方がアサート状態であるとき、前記対象電路を遮断する構成(第7の構成)であっても良い。
【0014】
上記第2又は第3の構成に係る半導体装置において、前記温度差保護信号出力回路は、前記第2対象位置における温度から見て前記第1対象位置における温度が所定の差分保護温度以上高くなったとき、前記温度差保護信号をアサート状態とし、前記制御回路は、前記温度差保護信号がアサート状態であるとき、前記対象電路を遮断する構成(第8の構成)であっても良い。
【0015】
上記第1~第8の構成の何れかに係る半導体装置において、前記半導体集積回路が形成された半導体チップと、前記半導体チップを収容する筐体と、前記筐体に取り付けられた複数の外部端子と、を備え、前記複数の外部端子に前記入力端子及び前記出力端子が含まれ、前記半導体チップにおける所定の対象領域に前記対象素子が形成され、前記半導体チップ上には複数の金属パッドが設けられ、各金属パッドは金属ワイヤを介して対応する外部端子に接続され、前記第1温度検出素子と前記対象領域との距離は、前記第2温度検出素子と前記対象領域との距離よりも短く、前記第2温度検出素子と前記複数の金属パッドとの距離の内の最小距離は、前記第1温度検出素子と前記複数の金属パッドとの距離の内の最小距離よりも短い構成(第9の構成)であっても良い。
【0016】
上記第9の構成に係る半導体装置において、前記半導体チップにおける所定の辺に沿って、前記複数の金属パッドに含まれる第1~第k金属パッドが配置され(kは2以上の整数)、前記第1~第k金属パッドと前記対象領域との距離の内、前記第k金属パッドと前記対象領域との距離が最も長く、前記第1~第k金属パッドと前記第2温度検出素子との距離の内、前記第k金属パッドと前記第2温度検出素子との距離が最も短い構成(第10の構成)であっても良い。
【0017】
上記第1~第10の構成の何れかに係る半導体装置において、前記第1温度検出素子は、前記第1対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する素子であり、前記第2温度検出素子は、前記第2対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する素子であり、前記温度差保護信号出力回路は、前記第1対象位置の温度に応じた前記第1温度検出素子の電気的特性の変化と前記第2対象位置の温度に応じた前記第2温度検出素子の電気的特性の変化とを利用して、前記温度差に応じた前記温度差保護信号を生成する構成(第11の構成)であっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱からの保護機能の向上に寄与する半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の外観斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電源ICの概略構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係り、電源ICの半導体チップに形成される複数の領域を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_1に係り、温度差検出回路の回路図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_2に係り、温度検出回路の回路図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_3に係り、温度保護回路の構成図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_4に係り、温度保護回路の構成図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_5に係り、温度保護回路の構成図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_6に係り、温度差検出回路の回路図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_7に係り、半導体チップの概略レイアウト図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る車両の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“Rt1”によって参照される第1温度検出領域は(
図3参照)、第1温度検出領域Rt1と表記されることもあるし、温度検出領域Rt1、又は、単に領域Rt1と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0021】
まず、本発明の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。
本発明の実施形態においてICとは集積回路(Integrated Circuit)の略称である。
グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。0Vの電位をグラント電位と称することもある。本発明の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。
レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。或る任意の注目した信号について、注目した信号がハイレベルであるとき、当該注目した信号の反転信号はローレベルをとり、注目した信号がローレベルであるとき、当該注目した信号の反転信号はハイレベルをとる。
FET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通状態となっていることを指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通状態(遮断状態)となっていることを指す。FETに分類されないトランジスタ(バイポーラトランジスタ等)についても同様である。以下、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。任意のトランジスタについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解して良い。
【0022】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の外観斜視図である。半導体装置1は、半導体集積回路が形成された半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体に取り付けられた複数の外部端子と、を備えた電子部品であり、半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成される。半導体装置1の筐体に複数の外部端子が露出して設けられている。尚、
図1に示される半導体装置1の外部端子の数及び半導体装置1の外観は例示に過ぎず、それらを任意に設計可能である。
【0023】
図2に半導体装置1の例としての電源IC10の概略構成を示す。電源IC10は、上記複数の外部端子に含まれる入力端子TM1と、出力端子TM2と、グランド端子TM3と、イネーブル端子TM4と、を備える。上記複数の外部端子には、端子TM1~TM4以外の端子も含まれ得るが、ここでは、それらの4つの端子に注目する。
【0024】
電源IC10は、リニアレギュレータを構成するための半導体装置であり、出力トランジスタ(パワートランジスタ)11、制御回路12、温度保護回路13並びに帰還抵抗14及び15を含む回路を、半導体集積回路として備える。電源IC10は、正の入力電圧Vin(例えば5V~45V)を受け、入力電圧Vinを降圧することで所望の正の直流電圧である出力電圧Vout(例えば3.3V又は5V)を生成する。入力電圧Vinは入力端子TM1に加わり、出力電圧Voutは出力端子TM2に加わる。グランド端子TM3はグランドに接続される。電源IC10はLDO(Low Drop Out)レギュレータに分類される電源装置であって良い。
【0025】
入力端子TM1には、電源IC10にとっての外部装置である電圧源VSから、直流の正の入力電圧Vinが供給される。出力トランジスタ11はPチャネル型のMOSFETとして構成されている。入力端子TM1は出力トランジスタ11のソースに接続され、出力端子TM2は出力トランジスタ11のドレインに接続される。
【0026】
帰還抵抗14及び15から成る帰還回路は、出力端子TM2とグランドとの間に設けられ、出力電圧Voutに応じたフィードバック電圧Vfbを生成する。具体的には、帰還抵抗14の一端は出力端子TM2に接続され、帰還抵抗14の他端は帰還抵抗15を介してグランドに接続される。帰還抵抗14及び15間の接続ノードに出力電圧Voutに比例する電圧としてフィードバック電圧Vfbが生じる。フィードバック電圧Vfbは制御回路12に伝達される。
【0027】
制御回路12は、フィードバック電圧Vfbが所定の基準電圧と一致するように出力トランジスタ11のゲート電圧を制御する。結果、帰還抵抗14及び15の抵抗値の比と基準電圧とで定まる電圧が目標電圧Vtgとして設定され、制御回路12は、出力電圧Voutが目標電圧Vtgと一致するように出力トランジスタ11のオン抵抗値を連続的に制御することになる。
【0028】
但し、フィードバック電圧Vfbが所定の基準電圧と一致するように出力トランジスタ11のゲート電圧を制御する動作(以下、通常動作と称する)は、イネーブル信号SENが“1”の論理値を有し且つサーマルシャットダウン信号STSDが“0”の論理値を有しているときにのみ実行される。従って、イネーブル信号SENが“0”の論理値を有しているとき、又は、サーマルシャットダウン信号STSDが“1”の論理値を有しているとき、制御回路12は通常動作を実行せず、出力トランジスタ11のゲート電圧を十分に高めることで出力トランジスタ11をオフ状態に維持する。
【0029】
イネーブル信号SEN及びサーマルシャットダウン信号STSDは、夫々に、“0”又は“1”の論理値をとる二値化信号である。イネーブル信号SENは電源IC10の上位システム(不図示)からイネーブル端子TM4に供給される。サーマルシャットダウン信号STSDは温度保護回路13から制御回路12に供給される。
【0030】
尚、出力電圧Voutそのものがフィードバック電圧Vfbであっても良い。何れにせよ、フィードバック電圧Vfbは出力電圧Voutに応じた電圧である。また、帰還抵抗14及び15は電源IC10の外部に設けられていても良い。この場合、帰還抵抗14及び15にて生成されたフィードバック電圧Vfbを受けるフィードバッグ端子が電源IC10の外部端子の1つとして設けられる。
【0031】
電源IC10において、出力トランジスタ11は入力端子TM1と出力端子TM2との間に介在する対象素子に相当し、対象素子は主たる発熱源として機能する。入力電圧Vinに基づく電流が入力端子TM1、出力トランジスタ11及び出力端子TM2を経由する電路(以下、対象電路と称することがある)を流れることで対象素子が発熱する。対象素子を含む電源IC10の温度が異常に高まると、電源IC10が破壊される又は熱暴走するおそれがある。温度保護回路13は、異常温度による電源IC10の破壊等を防止すべくサーマルシャットダウン信号STSDの生成及び出力を行う。サーマルシャットダウン信号STSDは通常動作の停止を要求するための信号として機能し、“1”の論理値を有するサーマルシャットダウン信号STSDはアサート状態(即ち有効な状態)にあり、“0”の論理値を有するサーマルシャットダウン信号STSDはネゲート状態(即ち無効な状態)にある。
【0032】
制御回路12は、サーマルシャットダウン信号STSDに基づいて対象電路の形成又は遮断を行う。即ち、サーマルシャットダウン信号STSDが“1”の論理値を有するとき、制御回路12は、出力トランジスタ11をオフ状態に維持することで対象電路を遮断し、出力トランジスタ11に電流が流れることによる出力トランジスタ11の発熱を停止させる。イネーブル信号SENが“1”の論理値を有していることを前提に、サーマルシャットダウン信号STSDが“0”の論理値を有するときにおいては、制御回路12は、対象電路を形成することで上記通常動作を行う。
【0033】
電源IC10では、半導体チップ内の複数の位置における複数の温度に基づいてサーマルシャットダウン信号S
TSDを生成する。
図3を参照して半導体チップにおける温度の検出位置を説明する。
図3には、半導体基板上に電源IC10を構成する各素子が集積化された半導体チップCPの概略平面図が示されている。電源IC10における半導体集積回路が半導体チップCPに実装されている。説明の明確化及び具体化のため、ここでは、
図3に示す如く、半導体チップCPが長方形(正方形を含む)の外形形状を有していることを想定する。但し、半導体チップCPの外形形状は長方形に限定されない。
【0034】
半導体チップCPは、互いに異なる領域として、領域Rpow、Rcnt、Rt1及びRt2を備える。領域Rpowは、出力トランジスタ11が形成及び配置される出力トランジスタ領域(パワートランジスタ領域)である。領域Rcntは、制御回路12が形成及び配置される制御系領域である。電源IC10には、制御回路12とは異なる様々な制御系回路(
図2において不図示)が設けられていて良く、当該制御系回路も領域Rcntに形成及び配置される。温度保護回路13を構成する回路の一部又は全部も領域Rcntに配置されて良い。
【0035】
領域Rt1は第1温度検出素子が形成及び配置される第1温度検出領域であり、領域Rt2は第2温度検出素子が形成及び配置される第2温度検出領域である。領域Rt1及びRt2は互いに異なる位置に配置されるため、第1及び第2温度検出素子は、半導体チップCP内の(故に半導体集積回路内の)互いに異なる第1及び第2対象位置に配置されていると言え、第1、第2温度検出領域は、夫々、第1、第2対象位置に相当する、と言える。
【0036】
第1温度検出素子は、出力トランジスタ11の温度(特に例えば出力トランジスタ11のジャンクション温度)の検出を主目的として配置される温度検出素子であり、出力トランジスタ領域Rpowの近傍に形成及び配置される。これに対し、第2温度検出素子は、第1温度検出素子と比べて、相対的に出力トランジスタ領域Rpowから離れた位置に形成及び配置される。従って、半導体チップCPにおいて、第1温度検出素子と出力トランジスタ11との距離は、第2温度検出素子と出力トランジスタ11との距離よりも短い。換言すれば、半導体チップCPにおいて、第1温度検出領域Rt1と出力トランジスタ領域Rpowとの距離は、第2温度検出領域Rt2と出力トランジスタ領域Rpowとの距離よりも短い。
【0037】
第1温度検出素子と出力トランジスタ11との距離とは第1温度検出領域Rt1と出力トランジスタ領域Rpowとの最短距離を指し、且つ、第2温度検出素子と出力トランジスタ11との距離とは第2温度検出領域Rt2と出力トランジスタ領域Rpowとの最短距離を指す。或いは、第1温度検出素子と出力トランジスタ11との距離とは第1温度検出領域Rt1の中心又は重心位置と出力トランジスタ領域Rpowの中心又は重心位置との距離を指すと解しても良く、同様に、第2温度検出素子と出力トランジスタ11との距離とは第2温度検出領域Rt2の中心又は重心位置と出力トランジスタ領域Rpowの中心又は重心位置との距離を指すと解しても良い。
【0038】
図3に示す如く、第1温度検出領域Rt1は、出力トランジスタ領域Rpowの近傍にあって、且つ、出力トランジスタ領域Rpowと制御系領域Rcntとの間に配置される。これに対し、第2温度検出領域Rt2は制御系領域Rcntの近傍にある。例えば、
図3に示す如く、第2温度検出領域Rt2と出力トランジスタ領域Rpowとの間に制御系領域Rcntが存在する。ここでは、第2温度検出領域Rt2が制御系領域Rcntとは別に設けられていると考えているが、第2温度検出領域Rt2は制御系領域Rcnt内の領域であっても良い。また、以下では、第1温度検出素子にて検出されるべき、第1温度検出領域Rt1における温度を符号“T[Rt1]”にて表し、第2温度検出素子にて検出されるべき、第2温度検出領域Rt2における温度を符号“T[Rt2]”にて表す。
【0039】
第1実施形態は以下の実施例EX1_1~EX1_8を含む。実施例EX1_1~EX1_8の中で、第1及び第2温度検出素子を含む温度保護回路13の具体的構成例などを説明する。第1実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の実施例EX1_1~EX1_8に適用され、各実施例において、第1実施形態での上述事項と矛盾する事項については各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、実施例EX1_1~EX1_8の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0040】
[実施例EX1_1]
実施例EX1_1を説明する。
図4は温度保護回路13に設けることのできる温度差検出回路20の回路図である。温度差検出回路20は温度差保護信号S
DELTAを出力する回路であることから、当該回路20を温度差保護信号出力回路と称することもできる。
【0041】
温度差検出回路20は、トランジスタTr1~Tr7と、定電流回路CC1~CC3と、温度検出用ダイオードD1及びD2と、抵抗R1と、インバータ回路INV1と、を備えて構成される。トランジスタTr1及びTr2はNPN型のバイポーラトランジスタとして構成されている。トランジスタTr3~Tr5はPチャネル型のMOSFETとして構成されている。トランジスタTr6及びTr7はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。定電流回路CC1~CC3は、夫々、内部電源電圧Vregに基づき一定の電流値を有する定電流ICC1、ICC2、ICC3を生成する。内部電源電圧Vregは、電源IC10に対する入力電圧Vinに基づいて生成される正の直流電圧である。入力電圧Vinそのものが内部電源電圧Vregで有り得ても良い。以下、内部電源電圧Vregが加わる端子を内部電源端子と称する。
【0042】
定電流回路CC1は、内部電源端子とノードND1との間に配置され、内部電源端子からノードND1に向けて定電流ICC1を流すよう動作する。定電流回路CC2は、内部電源子とノードND2との間に配置され、内部電源端子からノードND2に向けて定電流ICC2を流すよう動作する。ここでは、定電流ICC1及びICC2の値は互いに一致しているものとする。
【0043】
温度検出用ダイオードD1は第1温度検出素子に相当し、温度検出用ダイオードD2は第2温度検出素子に相当する。故に、温度検出用ダイオードD1は第1温度検出領域Rt1に形成及び配置され、温度検出用ダイオードD2は第2温度検出領域Rt2に形成及び配置される(
図3参照)。温度差検出回路20において、温度検出用ダイオードD1のアノードはノードND1に接続され、温度検出用ダイオードD2のアノードはノードND2に接続される。温度検出用ダイオードD1及びD2の各カソードはグランドに接続される。ノードND1における電圧を電圧V1と称し、ノードND2における電圧を電圧V2と称する。温度検出用ダイオードD1及びD2は、互いに共通の構造及び共通の電気的特性を有するダイオードであると良い。
【0044】
トランジスタTr3~Tr5の各ソースは内部電源端子に接続される。トランジスタTr3のゲート及びドレインと、トランジスタTr4のゲートと、トランジスタTr1のコレクタは互いに共通接続される。トランジスタTr4のドレインと、トランジスタTr2のコレクタと、トランジスタTr5のゲートは互いに共通接続される。トランジスタTr1及びTr2のエミッタはノードND3に共通接続される。定電流回路CC3は、ノードND3とグランドとの間に配置され、ノードND3からグランドに向けて定電流ICC3を流すよう動作する。トランジスタTr1のベースはノードND1に接続され、トランジスタTr2のベースはノードND2に接続される。
【0045】
トランジスタTr5のドレインと、トランジスタTr6のドレイン及びゲートと、トランジスタTr7のゲートは互いに共通接続される。トランジスタTr6及びTr7の各ソースはグランドに接続される。トランジスタTr7のドレインは抵抗R1を介して内部電源端子に接続される。インバータ回路INV1にはトランジスタTr7のドレインに生じる信号(電圧信号)が入力される。インバータ回路INV1は、トランジスタTr7のドレインに生じる信号の反転信号を温度差保護信号SDELTAとして出力する。
【0046】
今、トランジスタTr1及びTr2のベース電流は十分に小さいとして無視する。そうすると、温度検出用ダイオードD1、D2には、夫々、定電流ICC1、ICC2が流れる。温度検出用ダイオードD1の温度(即ち領域Rt1の温度)が増大すると温度検出用ダイオードD1の順方向電圧が低下するので電圧V1が低下し、温度検出用ダイオードD1の温度(即ち領域Rt1の温度)が低下すると温度検出用ダイオードD1の順方向電圧が増大するので、電圧V1が上昇する。同様に、温度検出用ダイオードD2の温度(即ち領域Rt2の温度)が増大すると温度検出用ダイオードD2の順方向電圧が低下するので電圧V2が低下し、温度検出用ダイオードD2の温度(即ち領域Rt2の温度)が低下すると温度検出用ダイオードD2の順方向電圧が増大するので、電圧V2が上昇する。
【0047】
温度差検出回路20はコンパレータを内包しており、当該コンパレータにて電圧V1及びV2が比較されて比較結果が温度差保護信号SDELTAとして出力される。但し、温度差検出回路20におけるコンパレータでは、トランジスタTr1及びTr2のサイズ比が“m:1”とされることで、コンパレータの入力端子(反転入力端子又は非反転入力端子)に対しオフセット電圧VOFFSETが付与される。ここで、“m>1”且つ“VOFFSET>0”である。
【0048】
このため、温度差検出回路20のコンパレータでは、電圧(V1+VOFFSET)と電圧V2とが比較されることになる。そして、“V1+VOFFSET>V2”であるときには、トランジスタTr5がオフとなることで温度差保護信号SDELTAの信号レベルはローレベルとなる。これに対し、“V1+VOFFSET<V2”であるときには、トランジスタTr5がオンとなることで温度差保護信号SDELTAの信号レベルはハイレベルとなる。
【0049】
温度差保護信号SDELTAにおいて、ハイレベルの信号レベルは“1”の論理値を有し、ローレベルの信号レベルは“0”の論理値を有する。“1”の論理値を有する温度差保護信号SDELTAはアサート状態にあり、“0”の論理値を有する温度差保護信号SDELTAはネゲート状態にある。そして、第2温度検出領域Rt2の温度T[Rt2](即ち第2対象位置における温度)から見て第1温度検出領域Rt1の温度T[Rt1](即ち第1対象位置における温度)が所定の差分保護温度ΔTREF以上高くなったときに、即ち“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”が成立したときに温度差保護信号SDELTAは“1”の論理値を有するようになる(即ちアサート状態となる)。このため、“1”の論理値を有する温度差保護信号SDELTAは、“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”が成立したことを表すことになる。これに対し、“T[Rt1]<T[Rt2]+ΔTREF”が成立するときには、温度差保護信号SDELTAが“0”の論理値を有することになる。ΔTREFは温度を単位とする正の値を有し、例えば30℃である。
【0050】
“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”の成否に応じて温度差保護信号SDELTAの論理値が切り替わるよう、温度検出用ダイオードD1及びD2の電気的特性を考慮して、上記オフセット電圧VOFFSETが設定される(換言すれば、トランジスタTr1及びTr2のサイズ比 “m:1”が決定される)。
【0051】
“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔT
REF”の成立時に温度差保護信号S
DELTAの論理値が“1”となり、且つ、“T[Rt1]<T[Rt2]+ΔT
REF”の成立時に温度差保護信号S
DELTAの論理値が“0”となるという信号生成条件CND1を満たすために、
図4の構成ではトランジスタTr1及びTr2のサイズ比 を“m:1”としているが、信号生成条件CND1が満たす方法はこれに限定されない。
例えば、定電流I
CC1及びI
CC2の値の比を適切に設定することで信号生成条件CND1を満たしても良い。トランジスタTr1及びTr2のサイズ比が “1:1”であっても、定電流I
CC1及びI
CC2の値を異ならせることで、オフセット電圧V
OFFSETを付与するのと同等の作用が得られる。
或いは例えば、温度検出用ダイオードD1及びD2の夫々を複数のダイオードの並列接続回路にて構成しておき、温度検出用ダイオードD1を構成するダイオードの並列接続数と温度検出用ダイオードD2を構成するダイオードの並列接続数を適切に設定することで信号生成条件CND1を満たしても良い。トランジスタTr1及びTr2のサイズ比が “1:1”であって且つ定電流I
CC1及びI
CC2の値が同じであっても、温度検出用ダイオードD1を構成するダイオードの並列接続数と温度検出用ダイオードD2を構成するダイオードの並列接続数とを異ならせることで、オフセット電圧V
OFFSETを付与するのと同等の作用が得られる。
【0052】
尚、トランジスタTr1及びTr2はMOSFET等の電界効果トランジスタとして構成されていても良い。例えば、トランジスタTr1及びTr2をNチャネル型のMOSFETとして構成する場合、トランジスタTr1及びTr2について上述したコレクタ、エミッタ、ベースが、夫々、ドレイン、ソース、ゲートに相当する。
【0053】
また、“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”が成立しない状態から“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”が成立する状態へと移行して温度差保護信号SDELTAの論理値が“0”から“1”に切り替わった後には、 “T[Rt1]+THYSA<T[Rt2]+ΔTREF” が成立しない限り温度差保護信号SDELTAの論理値を“1”に保つヒステリシス回路(不図示)を温度差検出回路20に付与しても良い。THYSAは正の値を有するヒステリシス温度であり、例えば10℃である。
【0054】
温度保護回路13(
図2参照)は、
図4の温度差保護信号S
DELTAに基づいてサーマルシャットダウン信号S
TSDを生成することができる。この際、温度差保護信号S
DELTAそのものをサーマルシャットダウン信号S
TSDとして利用することもできるし、温度差保護信号S
DELTAと他の信号とに基づいてサーマルシャットダウン信号S
TSDを生成しても良いが、これについては後述される。
【0055】
[実施例EX1_2]
実施例EX1_2を説明する。
図5は温度保護回路13に設けることのできる温度検出回路30の回路図である。温度検出回路30は温度保護信号S
ABSを出力する回路であることから、当該回路30を温度保護信号出力回路と称することもできる。
【0056】
温度検出回路30は、トランジスタTr11~Tr14と、抵抗R11~R16と、インバータ回路INV11及びINV12と、を備えて構成される。トランジスタTr11は、温度検出用トランジスタであって、NPN型のバイポーラトランジスタとして構成されている。トランジスタTr12はPチャネル型のMOSFETとして構成されている。トランジスタTr13及びTr14はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。トランジスタTr14はヒステリシス形成用のトランジスタである。
【0057】
抵抗R11の一端は内部電源端子(即ち内部電源電圧Vregが加わる端子)に接続され、抵抗R11の他端は抵抗R12の一端に接続される。抵抗R12の他端は、抵抗R13の一端に接続されると共にトランジスタTr14のドレインに接続される。抵抗R13の他端はグランドに接続され、トランジスタTr14のソースもグランドに接続される。
【0058】
抵抗R11及びR12間の接続ノードはトランジスタ11のベースに接続される。抵抗R11及びR12間の接続ノードにおける電圧を電圧Vaと称する。温度検出用トランジスタTr11のコレクタは、トランジスタTr12のゲートに接続されると共に、抵抗R14を介して内部電源端子に接続される。温度検出用トランジスタTr11のエミッタはグランドに接続される。トランジスタTr12のソースは内部電源端子に接続され、トランジスタTr12のドレインは、トランジスタTr13のゲートに接続されると共に、抵抗R15を介してグランドに接続される。また、トランジスタTr12のドレインと抵抗R15との接続ノードは、インバータ回路INV12の入力端子に接続される。インバータ回路INV12の出力端子はトランジスタTr14のゲートに接続される。トランジスタTr13のドレインは抵抗R16を介して内部電源端子に接続され、トランジスタTr13のソースはグランドに接続される。インバータ回路INV11にはトランジスタTr13のドレインに生じる信号(電圧信号)が入力される。インバータ回路INV11は、トランジスタTr13のドレインに生じる信号の反転信号を温度保護信号SABSとして出力する。
【0059】
温度検出回路30において、温度検出用トランジスタTr11は、半導体集積回路(即ち半導体チップCP)内における特定位置の温度を検出するための温度検出素子として機能し、故に、その特定位置に形成及び配置される。以下、温度検出用トランジスタTr11が形成及び配置される特定位置を、説明の便宜上、特定位置PPと称する(特定位置PPは図示されず)。
【0060】
特定位置PPの温度が十分に低い状態を起点にして温度検出回路30の動作を説明する。特定位置PPの温度が十分に低いとき温度検出用トランジスタTr11のスレッショルド電圧は十分に高く、温度検出用トランジスタTr11はオフ状態となっているため、トランジスタTr12もオフ状態である。トランジスタTr12がオフ状態であると、抵抗R15に電圧が発生しないので、トランジスタTr13もオフ状態であり、インバータ回路INV11からはローレベルの温度保護信号SABSが出力される。また、トランジスタTr12がオフ状態であると、インバータ回路INV12の出力信号はハイレベルとなるので、トランジスタTr14はオン状態となる。トランジスタTr14がオン状態であるとき、電圧Vaは“Va=R12/(R11+R12)”で表される。
【0061】
トランジスタTr12がオフである状態から特定位置PPの温度が上昇すると温度検出用トランジスタTr11のスレッショルド電圧Vth[Tr11]が低下し、“Va≧Vth[Tr11]”となると温度検出用トランジスタTr11がターンオンする。温度検出用トランジスタTr11がターンオンすると、トランジスタTr12もターンオンし、抵抗R15での電圧降下の発生を通じて、トランジスタTr13がターンオンすると共にインバータ回路INV11からはハイレベルの温度保護信号SABSが出力され、且つ、トランジスタTr14がターンオフする。トランジスタTr14がオフ状態であるときの電圧Vaは“Va=(R12+R13)/(R11+R12+R13)”で表される。故に、トランジスタTr14がオフ状態であるときには、トランジスタTr14がオン状態であるときよりも電圧Vaが高くなり、温度検出用トランジスタTr11がターンオフしにくくなる。これにより、特定位置PPの温度と温度保護信号SABSとの関係にヒステリシス特性が付与される。
【0062】
つまり、特定位置PPの温度を“T[PP]”にて表した場合、温度T[PP]が十分に低く温度保護信号SABSがローレベルとなっている状態を起点として、温度T[PP]が上昇して所定の保護温度TTH以上なると温度検出用トランジスタTr11のターンオンを通じて、温度保護信号SABSがローレベルからハイレベルへと切り替わる。その後は、温度T[PP]が所定の保護温度TTHから所定のヒステリシス温度THYSBだけ低い温度“TTH-THYSB”以下とならない限り、温度保護信号SABSはハイレベルに維持され、“T[PP]≦TTH-THYSB”となると温度検出用トランジスタTr11のターンオフを通じて、温度保護信号SABSがハイレベルからローレベルへと切り替わる。
【0063】
温度保護信号SABSにおいて、ハイレベルの信号レベルは“1”の論理値を有し、ローレベルの信号レベルは“0”の論理値を有する。“1”の論理値を有する温度保護信号SABSはアサート状態にあり、“0”の論理値を有する温度保護信号SABSはネゲート状態にある。そして、上述の如く、温度検出用トランジスタTr11にて検出されるべき温度T[PP](即ち特定位置PPにおける温度)が所定の保護温度TTH以上となったときに、即ち“T[PP]≧TTH”が成立したときに温度保護信号SABSは“1”の論理値を有するようになる(即ちアサート状態となる)。このため、“1”の論理値を有する温度保護信号SABSは、“T[PP]≧TTH”が成立したことを表すことになる。
【0064】
保護温度TTHは、温度検出用トランジスタTr11の電気的特性と抵抗R11及びR12の抵抗値とに基づき設定され、例えば、150℃又は175℃である。ヒステリシス温度THYSBは正の値を有する。ヒステリシス温度THYSBは、温度検出用トランジスタTr11の電気的特性と抵抗R11~R13の抵抗値とに基づき設定され、例えば10℃である。
【0065】
尚、温度検出用トランジスタTr11はMOSFET等の電界効果トランジスタとして構成されていても良い。例えば、温度検出用トランジスタTr11をNチャネル型のMOSFETとして構成する場合、温度検出用トランジスタTr11について上述したコレクタ、エミッタ、ベースが、夫々、ドレイン、ソース、ゲートに相当する。
【0066】
温度保護回路13(
図2参照)は、
図5の温度保護信号S
ABSに基づいてサーマルシャットダウン信号S
TSDを生成することができる。この際、温度保護信号S
ABSそのものをサーマルシャットダウン信号S
TSDとして利用することもできるし、温度保護信号S
ABSと他の信号とに基づいてサーマルシャットダウン信号S
TSDを生成しても良いが、これについては後述される。
【0067】
[実施例EX1_3]
実施例EX1_3を説明する。
図6に実施例EX1_3に係る温度保護回路13Aの構成を示す。温度保護回路13Aを
図2の温度保護回路13として用いることができる。温度保護回路13Aは、実施例EX1_1に示した温度差検出回路20を有し、温度差検出回路20から出力される温度差保護信号S
DELTAそのものをサーマルシャットダウン信号S
TSDとして制御回路12に出力する。
【0068】
上述したように、温度差検出回路20は、第2温度検出領域Rt2における温度T[Rt2](即ち第2対象位置の温度)から見て第1温度検出領域Rt1における温度T[Rt1](即ち第1対象位置の温度)が所定の差分保護温度ΔTREF以上高くなったときに、温度差保護信号SDELTAをアサート状態とする(即ち温度差保護信号SDELTAの論理値を“1”とする)。故に、実施例EX1_3に係る制御回路12は、温度差保護信号SDELTAがアサート状態であるとき、出力トランジスタ11をオフして対象電路を遮断することになる。
【0069】
半導体チップCP内で多少の温度のばらつきは発生するが、温度のばらつきが大きい状態は異常であるとも言え、そのような異常を検知して対象電路を遮断することは、回路保護にとって有益となり得る。例えば、フィードバック電圧Vfbが所定の基準電圧と一致するように出力トランジスタ11のゲート電圧を制御する動作(通常動作)の実行中に、出力端子TM2がグランドに短絡したとき、
図3の温度検出領域Rt1及びRt2の温度の双方が上昇するものの、温度検出領域Rt1での温度上昇速度が相対的に大きくなって温度検出領域Rt1及びRt2間の温度差が急激に大きくなることがある。温度差検出回路20により、このような状態を検知することが可能であり、速やかな回路保護が可能となる。
【0070】
[実施例EX1_4]
実施例EX1_4を説明する。
図7に実施例EX1_4に係る温度保護回路13Bの構成を示す。温度保護回路13Bを
図2の温度保護回路13として用いることができる。温度保護回路13Bは、実施例EX1_1に示した温度差検出回路20と、実施例EX1_2に示した温度検出回路30と、OR回路51と、を有する。OR回路51は、温度差検出回路20から出力される温度差保護信号S
DELTAと温度検出回路30から出力される温度保護信号S
ABSとの論理和信号をサーマルシャットダウン信号S
TSDとして制御回路12に出力する。
【0071】
温度保護回路13Bにおいて、
温度差検出回路20は、第2温度検出領域Rt2における温度T[Rt2](即ち第2対象位置の温度)から見て第1温度検出領域Rt1における温度T[Rt1](即ち第1対象位置の温度)が所定の差分保護温度ΔTREF以上高くなったときに、温度差保護信号SDELTAをアサート状態とし(即ち温度差保護信号SDELTAの論理値を“1”とし)、
温度検出回路30は、特定位置PPの温度T[PP]が所定の保護温度TTH以上となったときに、温度保護信号SABSをアサート状態とし(即ち温度保護信号SABSの論理値を“1”とし)、
温度差保護信号SDELTA及び温度保護信号SABSの内、少なくとも一方がアサート状態であるときに、サーマルシャットダウン信号STSDがアサート状態となる(“1”の論理値を有する)。
【0072】
故に、実施例EX1_4に係る制御回路12は、温度差保護信号SDELTA及び温度保護信号SABSの内、少なくとも一方がアサート状態であるときに、出力トランジスタ11をオフして対象電路を遮断することになる。
【0073】
温度保護回路13Bにおいて、温度検知用トランジスタTr11(
図5参照)が配置される特定位置PPは、電源IC10の半導体集積回路の形成領域の内、温度検出領域Rt1及びRt2の何れにも属さない位置(即ち第1及び第2対象位置の何れとも異なる位置)であっても良い。但し、発熱源としての出力トランジスタ11(
図2参照)の温度検出及び保護の観点からすれば、出力トランジスタ11の形成領域である出力トランジスタ領域Rpow(
図3参照)の近傍に温度検出用トランジスタTr11を配置することが好ましい。故に、特定位置PPは温度検出領域Rt1内の位置又は温度検出領域Rt1に隣接する位置であっても良い。特定位置PPが温度検出領域Rt1内の位置であるとき、特定位置PPは第1対象位置と一致していると言える。
【0074】
温度差検出回路20では、第1対象位置の温度を検出するための温度検出素子(第1対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する温度検出素子)として温度検出用ダイオードD1が用いられ(
図4参照)、温度検出回路30では、特定位置PPの温度を検出するための温度検出素子(特定位置PPの温度に応じて電気的特性が変化する温度検出素子)として温度検出用トランジスタTr11が設けられている。但し、特定位置PPを第1対象位置と一致させる場合にあっては、第1対象位置の温度を検出するための温度検出素子及び特定位置PPの温度を検出するための温度検出素子として、共通の温度検出素子を兼用するようにしても良い。但し、この兼用は必須では無い。
【0075】
温度保護回路13Bにおいて、保護温度TTHは、主として出力トランジスタ11の最大定格温度(最大定格における最高接合部温度)に基づいて設定され、例えば、175℃に設定される。
【0076】
温度検出回路30により一般的なサーマルシャットダウン機能を実現することができる。温度保護回路13Bでは、一般的なサーマルシャットダウン機能に加えて、上記温度差に基づく保護動作も可能となり、安全性が増すと考えられる。
【0077】
[実施例EX1_5]
実施例EX1_5を説明する。
図8に実施例EX1_5に係る温度保護回路13Cの構成を示す。温度保護回路13Cを
図2の温度保護回路13として用いることができる。温度保護回路13Cは、実施例EX1_1に示した温度差検出回路20を備えると共に、AND回路61及びOR回路62を備え、更に実施例EX1_2に示した温度検出回路30を2つ備える。
【0078】
温度保護回路13Cに設けられる2つの温度検出回路30の内、一方を符号“30[1]”にて表し、他方を符号“30[2]”にて表す。
温度検出回路30[1]の温度検出用トランジスタTr11が配置される位置、即ち、温度検出回路30[1]にとっての特定位置PPを特定位置PP[1]と称する。同様に、温度検出回路30[2]の温度検出用トランジスタTr11が配置される位置、即ち、温度検出回路30[2]にとっての特定位置PPを特定位置PP[2]と称する。
また、温度検出回路30[1]における保護温度TTHを保護温度TTH[1]と称し、温度検出回路30[2]における保護温度TTHを保護温度TTH[2]と称する。後述されるように、保護温度TTH[2]は保護温度TTH[1]よりも高いと良い。
また、温度検出回路30[1]から出力される温度保護信号SABSを温度保護信号SABS[1]と称し、温度検出回路30[2]から出力される温度保護信号SABSを温度保護信号SABS[2]と称する。
【0079】
AND回路61は、温度差保護信号SDELTAと温度保護信号SABS[1]との論理積信号を出力する。OR回路62は、AND回路61の出力信号と温度保護信号SABS[2]との論理和信号をサーマルシャットダウン信号STSDとして制御回路12に出力する。
【0080】
温度保護回路13Cにおいて、
温度差検出回路20は、第2温度検出領域Rt2における温度T[Rt2](即ち第2対象位置の温度)から見て第1温度検出領域Rt1における温度T[Rt1](即ち第1対象位置の温度)が所定の差分保護温度ΔTREF以上高くなったときに、温度差保護信号SDELTAをアサート状態とし(即ち温度差保護信号SDELTAの論理値を“1”とし)、
温度検出回路30[1]は、特定位置PP[1]の温度が所定の保護温度TTH[1]以上となったときに、温度保護信号SABS[1]をアサート状態とし(即ち温度保護信号SABS[1]の論理値を“1”とし)、
温度検出回路30[2]は、特定位置PP[2]の温度が所定の保護温度TTH[2]以上となったときに、温度保護信号SABS[2]をアサート状態とする(即ち温度保護信号SABS[2]の論理値を“1”とする)。
【0081】
そして、AND回路61及びOR回路62の機能により、実施例EX1_5に係る制御回路12は、温度差保護信号SDELTA及び温度保護信号SABS[1]が共にアサート状態であるとき、又は、温度保護信号SABS[2]がアサート状態であるときに、出力トランジスタ11をオフして対象電路を遮断することになる。“温度差保護信号SDELTA及び温度保護信号SABS[1]が共にアサート状態であるとき、又は、温度保護信号SABS[2]がアサート状態であるとき”とは、当然、“信号SDELTA、SABS[1]及びSABS[2]が全てアサート状態であるとき”を含む概念であり、故に、“信号SDELTA、SABS[1]及びSABS[2]が全てアサート状態であるとき”にも対象電路は遮断される。
【0082】
温度検出回路30[1]の温度検出用トランジスタTr11が配置される特定位置PP[1]、及び、温度検出回路30[2]の温度検出用トランジスタTr11が配置される特定位置PP[2]は、夫々に、温度検出領域Rt1及びRt2の何れにも属さない位置(即ち第1及び第2対象位置の何れとも異なる位置)であっても良い。但し、発熱源としての出力トランジスタ11(
図2参照)の温度検出及び保護の観点からすれば、出力トランジスタ11の形成領域である出力トランジスタ領域Rpow(
図3参照)の近傍に各温度検出用トランジスタTr11を配置することが好ましい。
【0083】
故に、特定位置PP[1]は温度検出領域Rt1内の位置又は温度検出領域Rt1に隣接する位置であって良く、特定位置PP[2]も温度検出領域Rt1内の位置又は温度検出領域Rt1に隣接する位置であって良い。特定位置PP[1]が温度検出領域Rt1内の位置であるとき、特定位置PP[1]は第1対象位置と一致していると言える。同様に、特定位置PP[2]が温度検出領域Rt1内の位置であるとき、特定位置PP[2]は第1対象位置と一致していると言える。
【0084】
特定位置PP[1]及びPP[2]の内、特定位置PP[1]だけが温度検出領域Rt1内の位置であっても良い。この際、特定位置PP[2]は、温度検出領域Rt2内の位置とされる、或いは、温度検出領域Rt1及びRt2の何れにも属さない位置とされる。或いは、特定位置PP[1]及びPP[2]の内、特定位置PP[2]だけが温度検出領域Rt1内の位置であっても良い。この際、特定位置PP[1]は、温度検出領域Rt2内の位置とされる、或いは、温度検出領域Rt1及びRt2の何れにも属さない位置とされる。
【0085】
温度差検出回路20では、第1対象位置の温度を検出するための温度検出素子(第1対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する温度検出素子)として温度検出用ダイオードD1が用いられ(
図4参照)、温度検出回路30[1]、30[2]では、特定位置PP[1]、PP[2]の温度を検出するための温度検出素子(特定位置PP[1]、PP[1]の温度に応じて電気的特性が変化する温度検出素子)として温度検出用トランジスタTr11が設けられている。
但し、特定位置PP[1]を第1対象位置と一致させる場合にあっては、第1対象位置の温度を検出するための温度検出素子及び特定位置PP[1]の温度を検出するための温度検出素子として、共通の温度検出素子を兼用するようにしても良い。但し、この兼用は必須では無い。
同様に、特定位置PP[2]を第1対象位置と一致させる場合にあっては、第1対象位置の温度を検出するための温度検出素子及び特定位置PP[2]の温度を検出するための温度検出素子として、共通の温度検出素子を兼用するようにしても良い。但し、この兼用は必須では無い。
更に、特定位置PP[1]及びPP[2]を共に第1対象位置と一致させる場合にあっては、第1対象位置の温度を検出するための温度検出素子、特定位置PP[1]の温度を検出するための温度検出素子及び特定位置PP[2]の温度を検出するための温度検出素子として、共通の温度検出素子を兼用するようにしても良い。但し、この兼用は必須では無い。
【0086】
温度検出回路30[2]により一般的なサーマルシャットダウン機能を実現することができる。温度保護回路13Cでは、一般的なサーマルシャットダウン機能に加えて、上記温度差に基づく保護動作も可能となり、安全性が増すと考えられる。但し、上記温度差が大きいという条件の成立だけで対象電路の遮断判断を行うと、保護が過剰になるおそれも生じる。例えば、温度差が規定された差分保護温度ΔTREF(例えば30℃)を超えていたとしても温度検出回路30[1]で検出されるべき温度が十分に低ければ(例えば40℃であれば)対象電路の遮断は必要ない。これを考慮して、温度保護回路13Cでは、信号SDELTA及びSABS[1]の論理積信号を利用するようにしている。これにより、適正な保護動作を実現することが可能となる。
【0087】
温度保護回路13Cにおいて、保護温度TTH[2]は、主として出力トランジスタ11の最大定格温度(最大定格における最高接合部温度)に基づいて設定される。保護温度TTH[1]に対しては保護温度TTH[2]よりも低い温度が設定される。例えば、保護温度TTH[1]、TTH[2]に対して、夫々、150℃、175℃が設定される。この場合、通常のサーマルシャットダウン機能を実現するための温度保護信号SABS[2]が“0”であっても(175℃に達していなくても)、温度検出回路30[1]による検出温度が或る程度高く(例えば150℃に達し)且つ上記温度差が差分保護温度ΔTREF以上(例えば30℃以上)であれば、異常な温度上昇があるとして対象電路が遮断されることになり、安全性が増す。
【0088】
[実施例EX1_6]
実施例EX1_6を説明する。温度差検出回路において、コンパレータの中に温度検出素子を組み込んでも良い。即ち例えば、
図9に示すような温度差検出回路20Aを利用しても良い。
図9は実施例EX1_6に係る温度差検出回路20Aの回路図である。上述の各実施例において、温度差検出回路20Aを上述の温度差検出回路20の代わりに温度保護回路13に組み込んでも良い。
【0089】
温度差検出回路20Aは、トランジスタTr21~Tr26と、定電流回路CC21と、抵抗R21~R25と、インバータ回路INV21と、を備えて構成される。
【0090】
トランジスタTr21及びTr22は温度検出用トランジスタであって、PNP型のバイポーラトランジスタとして構成されている。温度検出用トランジスタTr21及びTr22の内、トランジスタTr21が上述の第1温度検出素子に相当し、トランジスタTr22が第2温度検出素子に相当する。故に、温度検出用トランジスタTr21は第1温度検出領域Rt1に形成及び配置され、温度検出用トランジスタTr22は第2温度検出領域Rt2に形成及び配置される(
図3参照)。トランジスタTr23~Tr25はNPN型のバイポーラトランジスタとして構成されている。トランジスタTr26は、ヒステリシス形成用のトランジスタであって、Nチャネル型のMOSFETとして構成されている。
【0091】
抵抗R21の一端は内部電源端子に接続され、抵抗R21の他端は抵抗R22の一端とノードND22にて接続される。抵抗R22の他端は抵抗R23の一端とノードND21にて接続される。抵抗R23の他端は抵抗R24を介してグランドに接続される。以下、ノードND21、ND22における電圧を、夫々、電圧V21、V22と称する。
【0092】
温度検出用トランジスタTr21のベースはノードND21に接続され、温度検出用トランジスタTr22のベースはノードND22に接続される。定電流回路CC21は、内部電源端子と、温度検出用トランジスタTr21及びTr22のエミッタ同士が共通接続されるノードとの間に設けられ、内部電源端子から、温度検出用トランジスタTr21及びTr22のエミッタ同士が共通接続されるノードに向けて定電流を流すよう動作する。トランジスタTr22のコレクタと、トランジスタTr24のコレクタ及びベースと、トランジスタTr23のベースは互いに共通接続される。トランジスタTr23及びTr24の各エミッタはグランドに接続される。
【0093】
トランジスタTr21及びTr23の各コレクタはトランジスタTr25のベースに接続される。トランジスタTr25のコレクタは抵抗R25を介して内部電源端子に接続され、トランジスタTr25のエミッタはグランドに接続される。インバータ回路INV21にはトランジスタTr25のコレクタに生じる信号(電圧信号)が入力される。インバータ回路INV21は、トランジスタTr25のコレクタに生じる信号の反転信号を温度差保護信号SDELTAとして出力する。上述したように、温度差保護信号SDELTAにおいて、ハイレベルの信号レベルは“1”の論理値を有し、ローレベルの信号レベルは“0”の論理値を有する。“1”の論理値を有する温度差保護信号SDELTAはアサート状態にあり、“0”の論理値を有する温度差保護信号SDELTAはネゲート状態にある。
【0094】
温度差保護信号SDELTAはトランジスタTr26のゲートに供給される。トランジスタTr26のドレインは抵抗R23及びR24間の接続ノードに接続され、トランジスタTr26のソースはグランドに接続される。
【0095】
温度差検出回路20Aでは、電圧V21及びV22を比較するコンパレータが形成されており、温度検出用トランジスタTr21及びTr22のサイズ比が“1:n”とされることで、比較されるべき電圧にオフセット電圧が付与されている(ここで“n>1”)。温度差検出回路20Aのコンパレータでは、第1温度検出領域Rt1の温度T[Rt1]が第2温度検出領域Rt2の温度T[Rt2]よりも高かったとしても、それらの温度差が、上記オフセット電圧に対応する温度差よりも小さいならばトランジスタTr25はオフに維持され、温度差保護信号SDELTAがローレベルとなる。第2温度検出領域Rt2の温度T[Rt2]から見て第1温度検出領域Rt1の温度T[Rt1]が十分に高まり、それらの温度差が、上記オフセット電圧に対応する温度差以上となると、温度検出用トランジスタTr21のコレクタ電流の増大を通じてトランジスタTr25がオンとなり、温度差保護信号SDELTAがハイレベルとなる。
【0096】
つまり、
図4の温度差検出回路20と同様、温度差検出回路20Aにおいても、温度T[Rt2](即ち第2対象位置における温度)から見て温度T[Rt1](即ち第1対象位置における温度)が所定の差分保護温度ΔT
REF以上高くなったときに、即ち“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔT
REF”が成立したときに温度差保護信号S
DELTAは“1”の論理値を有するようになる(即ちアサート状態となる)。このため、“1”の論理値を有する温度差保護信号S
DELTAは、“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔT
REF”が成立したことを表すことになる。ΔT
REFは温度を単位とする正の値を有し、例えば30℃である。
【0097】
“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”が成立しない状態から“T[Rt1]≧T[Rt2]+ΔTREF”が成立する状態へと移行して温度差保護信号SDELTAの論理値が“0”から“1”に切り替わった後には、 “T[Rt1]+THYSA<T[Rt2]+ΔTREF” が成立しない限り温度差保護信号SDELTAの論理値が“1”に保たれるヒステリシス特性が、温度差検出回路20Aには付与されている。当該ヒステリシス特性はトランジスタTr26のオン/オフにより実現される。THYSAは正の値を有するヒステリシス温度であり、例えば10℃である。
【0098】
尚、温度検出用トランジスタTr21及びTr22はMOSFET等の電界効果トランジスタとして構成されていても良い。例えば、温度検出用トランジスタTr21及びTr22をPチャネル型のMOSFETとして構成する場合、温度検出用トランジスタTr21及びTr22について上述したコレクタ、エミッタ、ベースが、夫々、ドレイン、ソース、ゲートに相当する。
【0099】
[実施例EX1_7]
実施例EX1_7を説明する。実施例EX1_7では、温度検出領域Rt1及びRt2の配置の具体例を説明する。
図10に、実施例EX1_7に係る半導体チップCPの概略レイアウト図を示す。上述したように、説明の明確化及び具体化のため、半導体チップCPが長方形(正方形を含む)の外形形状を有していることを想定する。更に、半導体チップCPとの関係において、互いに直交するX軸及びY軸を以下のように定義する。
【0100】
半導体チップCPの外形形状としての長方形の4辺は、互いに対向し合う辺L1及びL2と、互いに対向し合う辺L3及びL4と、から成る。辺L1及びL2はY軸に平行であって、辺L3及びL4はX軸に平行である。
【0101】
図10には、上述の出力トランジスタ領域Rpowと温度検出領域Rt1及びRt2とが示されていると共に、半導体チップCPの表面に形成された金属パッドPAD1~PAD5が示されている。
図10では制御系領域Rcnt(
図3参照)の図示が省略されている。半導体チップCPの表面には金属パッドPAD1~PAD5を含む複数の金属パッドが形成されている。電源IC10にて例示される半導体装置1は、上述の如く、筐体から露出した複数の外部端子が設けられている。半導体チップCP上の各金属パッドは、何れかの外部端子にワイヤ配線を介して接続される。このような接続は一般的にワイヤボンディングと称される。
【0102】
例えば、ワイヤボンディングによって、金属パッドPAD1及びPAD2は入力端子TM1に接続され、金属パッドPAD3はイネーブル端子TM4に接続され、金属パッドPAD4はグランド端子TM3に接続され、金属パッドPAD5は出力端子TM2に接続される。勿論、これらの接続関係は一例に過ぎず、様々に変更可能である。尚、複数の外部端子が共通の機能を有する端子に割り当てられることもある。例えば、2つの外部端子が入力端子TM1に割り当てられることもある。
【0103】
各金属パッドは、ワイヤボンディングの容易化等を目的として、半導体チップCPの何れかの辺の近傍に設けられる。一例に過ぎないが、
図10において、金属パッドPAD1~PAD3は辺L2に近傍に設置される。換言すれば、金属パッドPAD1の配置位置と辺L1~L4との距離の内、金属パッドPAD1の配置位置と辺L2との距離が最も短い。金属パッドPAD2及びPAD3についても同様である。金属パッドPAD4は辺L3に近傍に設置される。換言すれば、金属パッドPAD4の配置位置と辺L1~L4との距離の内、金属パッドPAD4の配置位置と辺L3との距離が最も短い。金属パッドPAD5は辺L1に近傍に設置される。換言すれば、金属パッドPAD5の配置位置と辺L1~L4との距離の内、金属パッドPAD5の配置位置と辺L1との距離が最も短い。
【0104】
出力トランジスタ領域Rpowは、X軸方向に長手方向を有する概略長方形領域であり、辺L3よりも辺L4に近い位置に配置される。Y軸方向において、辺L3と出力トランジスタ領域Rpowとの間に第1温度検出領域Rt1が配置され、第1温度検出領域Rt1と辺L4の間に出力トランジスタ領域Rpowが配置される。
【0105】
以下では、説明の具体化のため、半導体チップCPの表面に、金属パッドとして、金属パッドPAD1~PAD5のみが設けられていると考える。
【0106】
上述したように、半導体チップCPにおいて、第1温度検出領域Rt1と出力トランジスタ領域Rpowとの距離は、第2温度検出領域Rt2と出力トランジスタ領域Rpowとの距離よりも短くなっている。即ち、半導体チップCPにおいて、第1温度検出素子(
図4ではダイオードD1)と出力トランジスタ領域Rpow(対象領域)との距離は、第2温度検出素子(
図4ではダイオードD2)と出力トランジスタ領域Rpow(対象領域)との距離よりも短くなっている。更に、半導体チップCPにおいて、第2温度検出領域Rt2(換言すれば第2温度検出素子)と金属パッドPAD1~PAD5との距離の内の最小距離d
MIN2は、第1温度検出領域Rt1(換言すれば第1温度検出素子)と金属パッドPAD1~PAD5との距離の内の最小距離d
MIN1よりも短くなっている。
【0107】
図10の例では、第2温度検出領域Rt2(換言すれば第2温度検出素子)が金属パッドPAD3に近接して配置され、領域Rt2及び金属パッドPAD3間の距離が上記最小距離d
MIN2となる。これに対し、第1温度検出領域Rt1(換言すれば第1温度検出素子)は何れの金属パッドからもなるだけ離して配置され、
図10の例では、領域Rt1及び金属パッドPAD1間の距離が上記最小距離d
MIN1となるが、“d
MIN1>d
MIN2”である。或る領域と或る金属パッドとの距離とは、当該領域の中心又は重心位置と当該金属パッドの中心又は重心位置との距離を指すと解しても良いし、当該領域と当該金属パッドとの最短距離を指すと解しても良い。
【0108】
ワイヤボンディングによって外部端子に接続される金属パッドの近傍では、他の箇所よりも放熱効果が大きい。故に、上記のような領域Rt1及びRt2の配置を実現することで領域Rt1及びRt2間の温度差が生じ易くなり、温度差によって熱に関する異常を検知しようとする主旨に沿う。
【0109】
更に、
図10に示す如く、金属パッドPAD1~PAD3は辺L2に沿って並べて配置され、出力トランジスタ領域Rpowから辺L3に向けて、金属パッドPAD1、PAD2、PAD3が、この順番で並んでいる。即ち、金属パッドPAD1~PAD3と出力トランジスタ領域Rpowとの距離の内、金属パッドPAD1及び領域Rpow間の距離が最も短く、金属パッドPAD3及び領域Rpow間の距離が最も長い。そして、金属パッドPAD1~PAD3と第2温度検出領域Rt2との距離の内、金属パッドPAD3と第2温度検出領域Rt2との距離が最も短くなっている。つまり、集中して並べられた複数の金属パッドの中で、最も出力トランジスタ領域Rpowから離れた金属パッドの近傍に第2温度検出領域Rt2が配置されている。
【0110】
図10の例では、辺L2に沿って3つの金属パッドが並べて配置されているが、或る辺に沿って並べられる金属パッドの個数は2以上であれば任意である。即ち、2以上の整数kを用いて一般化すると、以下のような配置を実現すると良い。
半導体チップCPにおける所定の辺に沿って第1~第k金属パッドが配置される。第1~第k金属パッドは、半導体チップCPに設けられる複数の金属パッドの一部又は全部である。
図10の例では、“k=3”であって、金属パッドPAD1~PAD3が、夫々、第1~第3金属パッドに相当する。
そして、第1~第k金属パッドと出力トランジスタ領域Rpow(対象領域)との距離の内、第k金属パッドと出力トランジスタ領域Rpow(対象領域)との距離が最も長いと良い。
加えて、第1~第k金属パッドと第2温度検出領域Rt2(即ち第2温度検出素子)との距離の内、第k金属パッドと第2温度検出素子との距離が最も短いと良い。
【0111】
このような配置により、領域Rt1及びRt2間の温度差が生じ易くなり、温度差によって熱に関する異常を検知しようとする主旨に沿う。
【0112】
[実施例EX1_8]
実施例EX1_8を説明する。第1対象位置に相当する第1温度検出領域Rt1に配置される第1温度検出素子は、第1対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する素子(例えば
図4のダイオードD1又は
図9のトランジスタTr21)である。第2対象位置に相当する第2温度検出領域Rt2に配置される第2温度検出素子は、第2対象位置の温度に応じて電気的特性が変化する素子(例えば
図4のダイオードD2又は
図9のトランジスタTr22)である。
【0113】
図4の温度差検出回路20や
図9の温度差検出回路20Aは、本発明に係る温度差保護信号出力回路の例に過ぎず、それらを様々に変形可能である。本発明に係る温度差保護信号出力回路は、第1対象位置の温度に応じた第1温度検出素子の電気的特性の変化と第2対象位置の温度に応じた第2温度検出素子の電気的特性の変化とを利用して、第1及び第2対象位置間の温度差に応じた温度差保護信号(S
DELTA)を生成できる回路であれば任意である。
【0114】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2実施形態にも適用される。第2実施形態の記載を解釈するにあたり、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い。
【0115】
第2実施形態は以下の実施例EX2_1~EX2_3を含む。矛盾無き限り、実施例EX2_1~EX2_3の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0116】
[実施例EX2_1]
実施例EX2_1を説明する。上述の電源IC10の出力電圧Voutを任意の負荷装置に供給することができ、電源IC10及び負荷装置を含む任意の電気機器を構成して良い。電源IC10及び負荷装置を含む電気機器は、自動車等の車両に搭載される機器(即ち車載機器)であっても良いし、産業機器、事務機器、家電機器、情報端末を含むポータブル機器などであっても良い。
【0117】
図11に、電源IC10及び負荷装置LDを含む電気機器が搭載された自動車である車両310の概略構成を示す。車両310において、車両310に設けられたバッテリが電圧源VSとして機能し、電圧源VSからの入力電圧Vinが電源IC10に供給される。負荷装置LDは電源IC10の出力電圧Voutに基づいて駆動する。負荷装置LDは車両310に設けられた任意の負荷であって良い。例えば、負荷装置LDはECU(Electronic Control Unit)であって良い。当該ECUは、車両310の走行制御、車両310に設けられた空調機、ランプ、パワーウィンドウ、エアバッグの駆動制御などを行う。或いは例えば、それらの空調機、ランプ、パワーウィンドウ又はエアバッグが負荷装置LDであっても良い。
【0118】
[実施例EX2_2]
実施例EX2_2を説明する。電源IC10がリニアレギュレータとして機能することを想定して電源IC10の構成を説明したが、電源IC10は、スイッチングレギュレータを構成する電源ICであっても良い。電源IC10がスイッチングレギュレータを構成する電源ICである場合、入力電圧Vinが出力トランジスタ11にてスイッチングされることで出力電圧Voutが生成されることになる。
【0119】
本発明は、リニアレギュレータやスイッチングレギュレータ等の電源ICに分類されないICに適用されても良い。即ち例えば、上述の半導体装置1は、入力端子TM1及び出力端子TM2間の導通/非導通を単に切り替えるスイッチICであっても良いし、発光ダイオード等の発光素子やモータを駆動するためのドライバICであっても良い。
【0120】
[実施例EX2_3]
実施例EX2_3を説明する。
【0121】
上述の主旨を損なわない形で、任意の信号又は電圧に関して、ハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。また、上述の主旨を損なわない形で、FET(電界効果トランジスタ)又はバイポーラトランジスタの型を任意に変更可能である。
【0122】
上述の各トランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述されたトランジスタを、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。同様に例えば、バイポーラトランジスタとして上述されたトランジスタを、接合型FET、MOSFET又はIGBTに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0123】
本発明において、発熱源としての対象素子はトランジスタ以外の素子であっても良い。
【0124】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 半導体装置
10 電源IC
11 出力トランジスタ(対象素子)
12 制御回路
13 温度保護回路
20、20A 温度差検出回路(温度差保護信号出力回路)
30、30[1]、30[2] 温度検出回路(温度保護信号出力回路)
D1、D2 温度検出用ダイオード(温度検出素子)
Tr11、Tr21、Tr22 温度検出用トランジスタ(温度検出素子)
SDELTA 温度差保護信号
SABS 温度保護信号
CP 半導体チップ
Rpow 出力トランジスタ領域(対象領域)
Rcnt 制御系領域
Rt1 第1温度検出領域(第1対象位置)
Rt2 第2温度検出領域(第2対象位置)