(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】保冷車両
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20230808BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20230808BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
F25B1/00 331Z
F25B1/00 101E
F25B1/00 304P
F25B27/00 A
F25D11/00 101D
(21)【出願番号】P 2019118507
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 泰
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 政和
(72)【発明者】
【氏名】丸田 洋輔
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-002576(JP,A)
【文献】特開2012-093048(JP,A)
【文献】特開2011-242048(JP,A)
【文献】特開2012-193897(JP,A)
【文献】特開2008-275249(JP,A)
【文献】特表2008-510953(JP,A)
【文献】特開2008-032305(JP,A)
【文献】特開昭63-251760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 27/00
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物を収容する保冷庫と、
走行用エンジンと、
輸送用冷凍機ユニットと、
を備え、
前記輸送用冷凍機ユニットは、
前記走行用エンジンと直結されており、前記走行用エンジンにより駆動され、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を生成するとともに、吐出口から前記高温高圧のガス冷媒を吐出する圧縮機と、
前記高温高圧のガス冷媒と室外空気とを熱交換させることで、前記ガス冷媒を凝縮して液冷媒を生成する凝縮器と、
膨張弁を介して、供給された前記液冷媒を蒸発させて前記低温低圧のガス冷媒を生成するとともに、被冷却物を冷却する蒸発器と、
前記低温低圧のガス冷媒と前記液冷媒とを熱交換させるとともに、熱交換後の前記低温低圧のガス冷媒を前記圧縮機の吸入口に供給する気液熱交換器と、
前記蒸発器の下流側でかつ前記気液熱交換器のガス入口の上流側において、前記ガス入口に供給される前記低温低圧のガス冷媒に前記液冷媒の一部を混入させる液バイパス配管と、
前記低温低圧のガス冷媒に混入させる前記液冷媒の時間平均流量を連続的又は間欠的に調整する流量調整機構と、
前記圧縮機の吐出温度を検知する温度センサと、
前記温度センサ及び前記流量調整機構と電気的に接続され、前記温度センサが検知した前記吐出温度が所定温度よりも高い場合に前記ガス冷媒への前記液冷媒の混入量が多くなるように前記流量調整機構を制御する制御部と、
を備える
保冷車両。
【請求項2】
前記輸送用冷凍機ユニットは、
前記凝縮器の出口と前記気液熱交換器の液入口とを接続する第1の液配管と、
前記蒸発器の出口と前記気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と、
を備え、
前記液バイパス配管は、前記第1の液配管から分岐され、前記第1のガス配管と接続されている請求項1記載の
保冷車両。
【請求項3】
前記輸送用冷凍機ユニットは、
前記気液熱交換器の液出口と前記蒸発器の入口とを接続するとともに、前記膨張弁が設けられた第2の液配管と、
前記蒸発器の出口と前記気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と、
を備え、
前記液バイパス配管は、前記膨張弁の上流側に位置する前記第2の液配管から分岐され、前記第1のガス配管と接続されている請求項1記載の
保冷車両。
【請求項4】
前記流量調整機構は、前記液バイパス配管に設けられ、前記制御部により開度又は開閉時間が制御される時間平均流量用調整弁である
請求項1から3のいずれか一項に記載の
保冷車両。
【請求項5】
前記流量調整機構は、前記液バイパス配管に設けられるとともに、開閉弁及びキャピラリーチューブからなるユニットが並列に複数配置された構成を含み、
複数の前記開閉弁は、前記制御部により開閉が制御される
請求項1から3のいずれか一項に記載の
保冷車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷車両に関する。
【背景技術】
【0002】
保冷車両に適用される輸送用冷凍機ユニットでは、大型の構造物である放熱用のクーリングタワーを設けることが困難である。このため、蒸発温度と凝縮温度との温度差が大きくなり、圧縮機の圧縮比が大きくなってしまう。これにより、圧縮機の吐出温度が高くなる傾向にある。
【0003】
一方、蒸発温度と凝縮温度との温度差が大きいため、凝縮後の液冷媒に蒸発後のガス冷媒を用いて大きな過冷却を付与し、能力を向上させることが可能である。
このため、輸送用冷凍機ユニットには、凝縮器を通過後の高温高圧の液冷媒と蒸発器を通過後の低温低圧のガス冷媒とを熱交換させる気液熱交換器を備えたものがある。
【0004】
ところで、上記気液熱交換器を用いる場合、圧縮機の吐出温度がさらに高くなる可能性がある。このため、圧縮機の吐出温度を低くする観点から、気液熱交換後の低温低圧のガス冷媒に凝縮器から抜き出した高温高圧の液冷媒を混入(以下、「液バイパス」という)させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の液バイパスを採用した場合、気液熱交換器では、気相のみのガス冷媒と液冷媒とが熱交換する。この場合、気液熱交換器の熱交換は、顕熱の熱伝達のみで行われるため、熱交換の効率を向上させることが困難であった。また、液バイパスを圧縮機吸入口の直前に入れるため、液バイパスの量を多くしすぎると、圧縮機の信頼性に悪影響を与える湿り蒸気吸入状態になる可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、圧縮機の吐出温度を低くした上で、気液熱交換器における熱交換の効率を向上させることの可能な保冷車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る保冷車両は、貨物を収容する保冷庫と、
走行用エンジンと、輸送用冷凍機ユニットと、を備え、前記輸送用冷凍機ユニットは、前記走行用エンジンと直結されており、前記走行用エンジンにより駆動され、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を生成するとともに、吐出口から前記高温高圧のガス冷媒を吐出する圧縮機と、前記高温高圧のガス冷媒と室外空気とを熱交換させることで、前記ガス冷媒を凝縮して液冷媒を生成する凝縮器と、膨張弁を介して、供給された前記液冷媒を蒸発させて前記低温低圧のガス冷媒を生成するとともに、被冷却物を冷却する蒸発器と、前記低温低圧のガス冷媒と前記液冷媒とを熱交換させるとともに、熱交換後の前記低温低圧のガス冷媒を前記圧縮機の吸入口に供給する気液熱交換器と、前記蒸発器の下流側でかつ前記気液熱交換器のガス入口の上流側において、前記ガス入口に供給される前記低温低圧のガス冷媒に前記液冷媒の一部を混入させる液バイパス配管と、前記低温低圧のガス冷媒に混入させる前記液冷媒の時間平均流量を連続的又は間欠的に調整する流量調整機構と、前記圧縮機の吐出温度を検知する温度センサと、前記温度センサ及び前記流量調整機構と電気的に接続され、前記温度センサが検知した前記吐出温度が所定温度よりも高い場合に前記ガス冷媒への前記液冷媒の混入量が多くなるように前記流量調整機構を制御する制御部と、を備える。
【0009】
本発明によれば、蒸発器の下流側でかつ気液熱交換器のガス入口の上流側において、ガス入口に供給される低温低圧のガス冷媒に液冷媒の一部を混入させる液バイパス配管を備えることで、気液熱交換器のガス入口に導入される冷媒の温度を低く又は乾き度を小さく(湿り状態に)して、気液熱交換器のガス出口から導出される熱交換後の冷媒の温度を低くすることが可能となる。
これにより、圧縮機の吸入口に導入されるガス冷媒の温度が低くなるため、圧縮機の吐出口から吐出されるガス冷媒の温度(吐出温度)を低くすることができる。
【0010】
また、蒸発器の下流側でかつ気液熱交換器のガス入口の上流側において、ガス入口に供給される低温低圧のガス冷媒に液冷媒の一部を混入させる液バイパス配管を備えることで、気液熱交換器内において、ガス冷媒及び液冷媒を含む気液2相冷媒と液冷媒とを熱交換させて、蒸発熱伝達(冷媒が蒸発しながら温度伝達)により熱交換を行うことが可能となる。
これにより、ガス冷媒のみと液冷媒とを熱交換させる場合と比較して、気液熱交換器における熱交換効率を向上させることができる。
また、上記構成とすることで、液バイパス配管から圧縮機の吸入口までの間に疑似的に大きな熱容量を持つことになる。これにより、液バイパスを行った際に急激に圧縮機の吸入口が湿り蒸気吸入状態となることを抑制できる。
つまり、本発明によれば、圧縮機の吐出温度を低くした上で、気液熱交換器における熱交換の効率を向上させることができるとともに、圧縮機の吸入口において急激な湿り蒸気吸入状態が発生することを抑制できる。
また、低温低圧のガス冷媒に混入させる液冷媒の時間平均流量を連続的又は間欠的に調整する流量調整機構を有することで、圧縮機の吐出温度が所定温度となるように、液冷媒の流量を調整することができる。
さらに、圧縮機の吐出温度を検知する温度センサと、温度センサ及び流量調整機構と電気的に接続され、温度センサが検知した吐出温度に応じて、流量調整機構を制御する制御部と、を備えることで、圧縮機の吐出温度が所定温度となるように、液冷媒の時間平均流量を自動で調整することができる。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る保冷車両において、前記輸送用冷凍機ユニットは、
前記凝縮器の出口と前記気液熱交換器の液入口とを接続する第1の液配管と、前記蒸発器の出口と前記気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と、を備え、前記液バイパス配管は、前記第1の液配管から分岐され、前記第1のガス配管と接続されていてもよい。
【0012】
このように、凝縮器の出口と気液熱交換器の液入口とを接続する第1の液配管から分岐され、蒸発器の出口と気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と接続された液バイパス配管を備えることで、液バイパス配管を介して、ガス入口に供給される低温低圧の冷媒に液冷媒の一部を混入させることができる。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係る保冷車両において、輸送用冷凍機ユニットは、前記気液熱交換器の液出口と前記蒸発器の入口とを接続するとともに、前記膨張弁が設けられた第2の液配管と、前記蒸発器の出口と前記気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と、を備え、前記液バイパス配管は、前記膨張弁の上流側に位置する前記第2の液配管から分岐され、前記第1のガス配管と接続されていてもよい。
【0014】
このように、気液熱交換器の液出口と蒸発器の入口とを接続する第2の液配管から分岐され、蒸発器の出口と気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と接続された液バイパス配管を備えることで、液バイパス配管を介して、ガス入口に供給される低温低圧の冷媒に液冷媒の一部を混入させることができる。
また、凝縮器の出口と気液熱交換器の液入口とを接続する第1の液配管から液バイパス配管を分岐させるとともに、蒸発器の出口と気液熱交換器のガス入口とを接続する第1のガス配管と液バイパス配管とを接続させた場合と比較して、エンタルピーが低下した液冷媒を低温低圧の冷媒に混入させることが可能となる。これにより、低温低圧の冷媒に混入させる液冷媒の流量を少なくすることができる。
【0019】
また、上記本発明の一態様に係る保冷車両において、前記流量調整機構は、前記液バイパス配管に設けられ、前記制御部により開度又は開閉時間が制御される時間平均流量用調整弁であってもよい。
【0020】
このように、流量調整機構として、液バイパス配管に設けられ、制御部により開度又は開閉時間が制御される時間平均流量用調整弁を用いてもよい。
【0021】
また、上記本発明の一態様に係る保冷車両において、前記流量調整機構は、前記液バイパス配管に設けられるとともに、開閉弁及びキャピラリーチューブからなるユニットが並列に複数配置された構成を含み、複数の前記開閉弁は、前記制御部により開閉が制御されてもよい。
【0022】
このように、液バイパス配管に設けられ、開閉弁及びキャピラリーチューブからなるユニットが並列に複数配置された構成を含む流量調整機構を用いることで、吐出温度に応じて複数の開閉弁の開閉を制御することで、圧縮機の吐出温度が所定温度となるように、液冷媒の流量を自動で調整することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、圧縮機の吐出温度を低くした上で、気液熱交換器における熱交換の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニットを備えた保冷車両の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す輸送用冷凍機ユニットの概略構成を示す系統図である。
【
図3】比較例の輸送用冷凍機ユニットの概略構成を示す系統図である。
【
図4】
図3に示す比較例の輸送用冷凍機ユニットを用いた場合のモリエル線図を模式的に示す図である。
【
図5】
図2に示す第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニットを用いた場合のモリエル線図を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニットの概略構成を示す系統図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニットの概略構成を示す系統図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニットの概略構成を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
図1及び
図2を参照して、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15を備えた保冷車両10について説明する。
図1において、X方向は保冷車両10の長さ方向、Y方向はX方向に対して直交する保冷車両10の幅方向、Z方向はX方向及びY方向に対して直交する保冷車両10の高さ方向をそれぞれ示している。
【0030】
図2において、aは第3のガス配管45のうち、吸入口24Aの直前に位置する部分、bは第2のガス配管34のうち、吐出口24Bの近傍に位置する部分、cは第2の液配管39のうち、蒸発器42の入口42Aの近傍に位置する部分をそれぞれ示している。
また、
図2において、dは第2の液配管39のうち、気液熱交換器38の液出口38D、Dの近傍に位置する部分、eは第1のガス配管44のうち、気液熱交換器38のガス入口38Aの近傍に位置する部分をそれぞれ示している。
図1及び
図2において、同一構成部分には同一符号を付す。
【0031】
保冷車両10は、運転席であるキャブ17及び走行用エンジン18を有するトラック11に保冷庫22及び輸送用冷凍機ユニット15を設けた構成とされている。
【0032】
保冷庫22は、貨物(図示せず)を収容する。保冷庫22は、キャブ17側に配置された前壁22Aを有する。前壁22Aは、保冷庫22の外側に配置された前面22aを有する。
【0033】
輸送用冷凍機ユニット15は、圧縮機24と、冷凍機ユニット本体25と、を有する。
圧縮機24は、走行用エンジン18と直結されており、走行用エンジン18により駆動される場合や、冷凍機に内蔵したエンジンで駆動される場合、その他のモーター等で駆動される場合もある。
【0034】
圧縮機24は、吸入口24Aと、吐出口24Bと、を有する。吸入口24Aには、低温低圧のガス冷媒が導入される。圧縮機24は、低温低圧のガス冷媒を圧縮することで、高温高圧のガス冷媒を生成する。吐出口24Bは、高温高圧のガス冷媒を吐出する。
冷媒としては、例えば、HFC系や地球温暖化係数の低い冷媒であるHFO系又はCO2等の自然冷媒、又はこれらの混合冷媒等を用いることが可能である。
【0035】
冷凍機ユニット本体25は、箱体31と、凝縮器33と、第2のガス配管34と、室外熱交ファン35と、第1の液配管36と、レシーバ37と、気液熱交換器38と、第2の液配管39と、膨張弁41と、蒸発器42と、ファン43と、第1のガス配管44と、第3のガス配管45と、アキュムレータ47と、液バイパス配管51と、流量調整機構52と、温度センサ55と、制御部56と、を有する。なお、箱体31は、室外と室内又はその他の事情により複数に分割してもよい。
【0036】
箱体31は、前壁22Aの前面22aの上部に設けられている。箱体31は、外気取り込み口31Aと、収容空間31Bと、を有する。
外気取り込み口31Aは、箱体31の前面側に形成されている。外気取り込み口31Aは、箱体31の外側の外気を収容空間31B内に取り込む。収容空間31Bは、箱体31の内側に区画された空間である。
【0037】
凝縮器33(コンデンサ)は、箱体31内に収容されている。凝縮器33は、外気取り込み口31Aから導いた外気が通過するように配置されている。
凝縮器33は、入口33Aと、出口33Bと、を有する。凝縮器33の入口33Aには、圧縮機24で生成された高温高圧のガス冷媒が導入される。
凝縮器33は、高温高圧のガス冷媒と外気との熱交換により、高温高圧のガス冷媒を冷却(凝縮)することで、高温高圧の液冷媒を生成する。
凝縮器33の出口33Bは、高温高圧の液冷媒を導出する。
【0038】
第2のガス配管34は、一部が箱体31内に収容されており、残部が箱体31の外側に配置されている。
第2のガス配管34は、一方の端が吐出口24Bと接続されており、他方の端が凝縮器33の入口33Aと接続されている。第2のガス配管34は、圧縮機24で生成された高温高圧のガス冷媒を凝縮器33に供給する。
【0039】
室外熱交ファン35は、箱体31内に収容されている。室外熱交ファン35は、収容空間31B内に箱体31の外部の空気(凝縮器33での熱交換で使用する室外空気)を取り込む。
【0040】
第1の液配管36は、箱体31内に収容されている。第1の液配管36は、第1の配管部36Aと、第2の配管部36Bと、を有する。
第1の配管部36Aは、一方の端が凝縮器33の出口33Bと接続されており、他方の端がレシーバ37内の上部に配置されている。第1の配管部36Aは、凝縮器33で生成された高温高圧の液冷媒をレシーバ37内に供給する。
【0041】
第2の配管部36Bは、一方の端がレシーバ37内の底部に配置されており、他方の端が気液熱交換器38の液入口38Cと接続されている。第2の配管部36Bは、レシーバ内に貯留された高温高圧の液冷媒を気液熱交換器38の液入口38Cに供給する。
【0042】
レシーバ37は、箱体31内に収容されている。レシーバ37は、レシーバ37内に導入された高温高圧の液冷媒を一時的に貯留する。
【0043】
気液熱交換器38は、箱体31内に収容されている。気液熱交換器38は、ガス入口38Aと、ガス出口38Bと、液入口38Cと、液出口38Dと、を有する。
気液熱交換器38のガス入口38Aには、蒸発器42の出口42Bから供給された低温低圧のガス冷媒に、液バイパス配管51により供給される高温高圧の液冷媒が混入された気液2相冷媒が供給される。
ガス出口38Bは、気液熱交換後のガス冷媒を導出する。液入口38Cには、高温高圧の液冷媒が導入される。液出口38Dは、気液熱交換後の液冷媒を導出する。
気液熱交換器38は、上記気液2相冷媒と高温高圧の液冷媒とを熱交換させる。
【0044】
このように、気液熱交換器38において、ガス冷媒及び液冷媒を含む気液2相冷媒と高圧高温の液冷媒とを熱交換させることで、蒸発熱伝達(冷媒が蒸発しながら温度伝達)による熱交換を行うことが可能となる。
これにより、ガス冷媒のみと液冷媒とを熱交換させる場合と比較して、気液熱交換器38における熱交換効率を向上させることができる。
【0045】
第2の液配管39は、箱体31内に収容されている。第2の液配管39は、一方の端が気液熱交換器38の液出口38Dと接続されており、他方の端が蒸発器42の入口42Aと接続されている。
【0046】
膨張弁41は、箱体31内に収容されている。膨張弁41は、第2の液配管39に設けられている。膨張弁41は、気液熱交換器38の液出口38Dから導出された高温高圧の液冷媒を膨張させることで、液冷媒の圧力を下げて、低温低圧の液冷媒を生成する。膨張弁41により生成された低温低圧の液冷媒は、入口42Aを介して蒸発器42に供給される。
【0047】
蒸発器42は、箱体31内に収容されている。蒸発器42は、入口42Aと、出口42Bと、を有する。入口42Aには、膨張弁41が開いた際、膨張弁41により生成された低温低圧の液冷媒が供給される。
蒸発器42は、液化冷媒と保冷庫22内の空気(空間Sに存在する空気(被冷却物))とを熱交換させることで、保冷庫22内の空気を冷却する。冷却された空気は、空間Sに供給される。出口42Bは、熱交換後の液冷媒を導出する。
【0048】
ファン43は、箱体31内に収容されている。ファン43は、蒸発器42により冷却された空気を保冷庫22内に供給することで、保冷庫22内を冷却する。
【0049】
第1のガス配管44は、一方の端が蒸発器42の出口42Bと接続されており、他方の端が気液熱交換器38のガス入口38Aと接続されている。第1のガス配管44は、蒸発器42から導出された低温低圧の液冷媒と液バイパス配管51から供給される高温高圧の液冷媒とを混合させ、気液2相とされた冷媒をガス入口38Aに供給する。
【0050】
第3のガス配管45は、第1の配管部45Aと、第2の配管部45Bと、を有する。
第1の配管部45Aは、箱体31内に収容されている。第1の配管部45Aは、一方の端がガス出口38Bと接続されており、他方の端がアキュムレータ47内に配置されている。第1の配管部45Aは、ガス出口から導出された低温低圧のガス冷媒をアキュムレータ47内に供給する。
【0051】
第2の配管部45Bは、一部が箱体31内に収容されており、残部が箱体31の外側に配置されている。第2の配管部45Bは、一方の端がアキュムレータ47内に配置されており、他方の端が圧縮機24の吸入口24Aと接続されている。
第2の配管部45Bは、低温低圧のガス冷媒から液冷媒が除去されたガス冷媒を圧縮機24の吸入口24Aに供給する。
【0052】
アキュムレータ47は、箱体31内に収容されている。アキュムレータ47は、第1の配管部45Aを介して供給された冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離させる。
【0053】
液バイパス配管51は、箱体31内に収容されている。液バイパス配管51は、第2の配管部36Bのうち、レシーバ37の外側に位置する部分から分岐され、第1のガス配管44と接続されている。
液バイパス配管51は、蒸発器42の下流側でかつ気液熱交換器38のガス入口38Aの上流側において、ガス入口38Aに供給される低温低圧のガス冷媒に高温高圧の液冷媒の一部を混入させる。
【0054】
このように、低温低圧のガス冷媒に高温高圧の液冷媒を混入させることで、ガス入口38Aに導入される冷媒の温度を低くすることが可能になるとともに、ガス入口38Aに気液2相冷媒を供給することが可能となる。
【0055】
流量調整機構52は、液バイパス配管51に設けられている。流量調整機構52は、低温低圧のガス冷媒に混入させる液冷媒の時間平均流量を連続的又は間欠的に調整する。
このように、低温低圧のガス冷媒に混入させる液冷媒の時間平均流量を連続的又は間欠的に調整する流量調整機構を有することで、圧縮機24の吐出温度が所定温度となるように、液冷媒の流量を調整することができる。
流量調整機構52は、時間平均流量用調整弁53である。時間平均流量用調整弁53は、第1のガス配管44に供給する高温高圧の液冷媒の流量を調節する。時間平均流量用調整弁53は、制御部56と電気的に接続されており、制御部56により開度又は開閉時間が制御される。
【0056】
温度センサ55は、吐出口24Bの近傍に位置する第2のガス配管34に設けられている。温度センサ55は、吐出口24Bから吐出される高温高圧のガス冷媒の温度(以下、「吐出温度」という)を検知する。
温度センサ55は、制御部56と電気的に接続されている。温度センサ55は、検知した吐出温度に関する情報を制御部56に送信する。
なお、
図2では、一例として、第2のガス配管34に温度センサ55を設けた場合を例に挙げて説明したが、温度センサ55は、例えば、圧縮機24の出口側に設けてもよい。
【0057】
制御部56は、温度センサ55が検知する吐出温度に応じて、時間平均流量用調整弁53の開度又は開閉時間を制御する。
制御部56は、吐出温度が所定温度よりも高い場合には、時間平均流量用調整弁53の開度を大きく又は開時間を長くして、ガス入口38Aに供給する気液2相冷媒の温度を低くする。これにより、ガス出口38Bから導出されるガス冷媒の温度、及び圧縮機24の吸入口24Aに導入されるガス冷媒の温度を低くすることが可能となるので、吐出温度を低くすることができる。
一方、制御部56は、吐出温度が所定温度よりも低い場合には、時間平均流量用調整弁53の開度を小さく又は開時間を短くする。
【0058】
上述した圧縮機24の吐出温度を検知する温度センサ55と、温度センサ55及び流量調整機構52と電気的に接続され、温度センサ55が検知した吐出温度に応じて、流量調整機構52を制御する制御部56と、を備えることで、圧縮機24の吐出温度が所定温度となるように、液冷媒の時間平均流量を自動で調整することができる。 なお、「時間平均流量」とは、液冷媒が流れている時間、及び液冷媒が流れていない時間も含めた平均の量値である。
【0059】
以上、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15の構成について説明したが、ここで、
図3を参照して、比較例の輸送用冷凍機ユニット200の構成について説明する。
図3において、
図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0060】
比較例の輸送用冷凍機ユニット200は、輸送用冷凍機ユニット15を構成する構成要素から液バイパス配管51、流量調整機構52、温度センサ55、及び制御部56を除いたこと以外は、輸送用冷凍機ユニット15と同様に構成されている。
【0061】
ここで、
図3及び
図4を参照して、比較例の輸送用冷凍機ユニット200のモリエル線図について説明する。
図4に示すa~eは、
図3に示すa~eに対応している。
図4において、Aは飽和液線(以下、「飽和液線A」という)、Bは飽和蒸気線(以下、「飽和蒸気線B」という)、Cは臨界点(以下、「臨界点C」という)をそれぞれ示している。
【0062】
比較例の輸送用冷凍機ユニット200の場合、吸入口24Aの近傍に位置するaにおけるガス冷媒の温度が高いため、吐出口24Bの近傍に位置するbにおけるガス冷媒の温度(吐出温度)は、aにおけるガス冷媒の温度が高くなると、これに伴い高くなる。
また、輸送用冷凍機ユニット200は、液バイパス配管51を備えていないため、ガス入口38Aには、ガス冷媒のみが導入される。このため、ガス入口38Aの上流側に位置するeは、モリエル線図において飽和蒸気線Bの外側に位置する。
ガス入口38Aの上流側に位置するeを流れるガス冷媒の温度は、気液熱交換後のガス冷媒の温度(aの位置のガス冷媒に近い温度)よりも低くなる。
【0063】
次に、
図2及び
図5を参照して、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15のモリエル線図について説明する。
図5に示すa~eは、
図2に示すa~eに対応している。
図5において、Aは飽和液線(以下、「飽和液線A」という)、Bは飽和蒸気線(以下、「飽和蒸気線B」という)、Cは臨界点(以下、「臨界点C」という)をそれぞれ示している。
【0064】
第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15の場合、液バイパス配管51を有するため、ガス入口38Aには、ガス冷媒と液冷媒とが混合された気液2相冷媒が導入される。
これにより、
図5に示すeを流れる気液2相冷媒の温度は、
図4に示すeよりも低くなる。このため、モリエル線図において、
図5に示すeは、
図4に示すeよりも比エンタルピーが小さく、かつ飽和蒸気線B及び飽和液線Aの内側に位置する。
これにより、
図5に示すaを流れるガス冷媒(吸入口24Aに導入されるガス冷媒)の温度も
図4に示すaのガス冷媒の温度よりも低くなる。
そして、吸入口24Aに導入されるガス冷媒の温度が低くなることで、
図5に示すbを流れるガス冷媒の温度(吐出温度)も
図4に示すbの温度よりも低くなる。
【0065】
また、
図5に示すeを流れる気液2相冷媒の温度が、
図4に示すeを流れるガス冷媒の温度よりも低くなる。ことで、
図5に示すdを流れる液冷媒の温度も
図4に示すdを流れるガス冷媒の温度よりも低くなる。
また、
図5に示すdにおける吐出温度が低くなることで、
図5に示すcを流れる液冷媒の比エンタルピも
図4に示すcを流れる液冷媒の比エンタルピよりも小さくなる。
【0066】
第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15によれば、蒸発器42の下流側でかつ気液熱交換器38のガス入口38Aの上流側において、ガス入口38Aに供給される低温低圧のガス冷媒に高温高圧の液冷媒の一部を混入させる液バイパス配管51を備えることで、気液熱交換器38のガス入口38Aに導入される冷媒の温度を低く又は乾き度を小さく(湿り状態に)して、気液熱交換器38のガス出口38Bから導出される熱交換後のガス冷媒の温度を低くすることが可能となる。
これにより、圧縮機24の吸入口24Aに導入されるガス冷媒の温度が低くなるため、圧縮機24の吐出口24Bから吐出される冷媒の温度(吐出温度)を低くすることができる。
【0067】
また、蒸発器42の下流側でかつ気液熱交換器38のガス入口38Aの上流側において、ガス入口38Aに供給される低温低圧のガス冷媒に液冷媒の一部を混入させる液バイパス配管51を備えることで、気液熱交換器38において、ガス冷媒及び液冷媒を含む気液2相冷媒と液冷媒とを熱交換させて、蒸発熱伝達(冷媒が蒸発しながら温度伝達)により熱交換を行うことが可能となる。 また、上記構成とすることで、液バイパス配管51から圧縮機24の吸入口24Aまでの間に疑似的に大きな熱容量を持つことになる。これにより、液バイパスを行った際に急激に圧縮機24の吸入口24Aが湿り蒸気吸入状態となることを抑制できる。
つまり、本発明によれば、圧縮機24の吐出温度を低くした上で、気液熱交換器38における熱交換の効率を向上させることができるとともに、圧縮機24の吸入口24Aにおいて急激な湿り蒸気吸入状態が発生することを抑制できる。
【0068】
また、上記構成とされた輸送用冷凍機ユニット15を備えた保冷車両10は、冷却性能を向上させることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニット60について説明する。
図6において、
図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0070】
輸送用冷凍機ユニット60は、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15を構成する液バイパス配管51の分岐位置を異ならせたこと以外は、輸送用冷凍機ユニット15と同様に構成されている。
第2の実施形態において、液バイパス配管51は、液出口38Dの近傍に位置する部分から分岐されている。このように、液バイパス配管51は、液出口38Dの近傍に位置する部分から分岐させてもよい。
【0071】
第2の実施形態の輸送用冷凍機ユニット60によれば、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15よりもエンタルピが小さい液冷媒を分岐させることが可能となるので、第1のガス配管44に供給する液冷媒の量を少なくすることができる。
また、第2の実施形態の輸送用冷凍機ユニット60は、先に説明した第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15と同様な効果を得ることができる。
【0072】
(第3の実施形態)
図6を参照して、本発明の第3の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニット70について説明する。
図6において、
図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0073】
輸送用冷凍機ユニット70は、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15を構成する液バイパス配管51を2つに分割するとともに、流量調整機構52に替えて流量調整機構71を有すること以外は、輸送用冷凍機ユニット15と同様に構成されている。
【0074】
液バイパス配管51は、第1のバイパス配管部51Aと、第2のバイパス配管部51Bと、を有する。
第1のバイパス配管部51Aの一端は、第2の配管部36Bと接続されている。第1のバイパス配管部51Aの他端は、流量調整機構71を介して、第2のバイパス配管部51Bの一端と接続されている。
第2のバイパス配管部51Bの他端は、第1のガス配管44と接続されている。
上記構成とされた液バイパス配管51は、流量調整機構71を介して、第1のガス配管44に高温高圧の液冷媒を供給する。
【0075】
流量調整機構71は、配管73,74と、キャピラリーチューブ76,77と、電磁弁である開閉弁81,82と、を有する。
配管73,74の一端は、第1のバイパス配管部51Aの先端とそれぞれ接続されている。配管73,74の他端は、第2のバイパス配管部51Bの一端とそれぞれ接続されている。配管73,74は、第1及び第2のバイパス配管部51A,51Bに対して並列に接続されている。
【0076】
キャピラリーチューブ76は、配管73に設けられている。キャピラリーチューブ77は、配管74に設けられている。
キャピラリーチューブ77の内径は、キャピラリーチューブ76の内径と同じ大きさでもよいし、異なる大きさにしてもよい。
キャピラリーチューブ76,77の内径を異ならせることで、キャピラリーチューブ76を流れる液冷媒の流量とキャピラリーチューブ77を流れる液冷媒の流量とを異ならせることができる。
【0077】
開閉弁81は、キャピラリーチューブ76の上流側に位置する配管73に設けられている。開閉弁81が開くことで、開閉弁81の下流側に位置するキャピラリーチューブ76に液冷媒が供給される。開閉弁81は、制御部56と電気的に接続されており、制御部56により開閉が制御される。
【0078】
開閉弁82は、キャピラリーチューブ77の上流側に位置する配管74に設けられている。開閉弁82が開くことで、開閉弁82の下流側に位置するキャピラリーチューブ77に液冷媒が供給される。開閉弁82は、制御部56と電気的に接続されており、制御部56により開閉が制御される。
【0079】
ここで、一例として、キャピラリーチューブ77の内径がキャピラリーチューブ76の内径よりも大きい場合を例に挙げて、制御部56による流量調整機構71の制御の一例について説明する。
【0080】
吐出温度が所定温度よりもかなり高い場合、制御部56は、開閉弁81,82を開状態にして、より多くの液冷媒を第1のガス配管44に供給することで、吐出温度が所定温度となるように制御する。
吐出温度が所定温度よりも高い場合、制御部56は、開閉弁81を閉じ、開閉弁82のみを開く制御を行う。
これにより、キャピラリーチューブ76の内径よりも大きな内径とされたキャピラリーチューブ77のみに液冷媒が流れるため、両方の電磁弁は、81,82を開いた場合よりも少ない流量の液冷媒が第1のガス配管44に供給することができる。
【0081】
吐出温度が所定温度よりも少し高い場合には、制御部56は、開閉弁82を閉じ、開閉弁81のみを開く制御を行う。
これにより、キャピラリーチューブ77の内径よりも小さい内径とされたキャピラリーチューブ76のみに液冷媒が流れるため、開閉弁82のみを開いた場合よりも少ない流量の液冷媒が第1のガス配管44に供給することができる。
【0082】
なお、時間平均流量の調節は、開閉弁の開閉時間比で行う構成を採用してもよい。この場合、流量調節機構内のキャピラリを有する流路の本数は、本実施形態のように、必ずしも2本である必要はなく、例えば、単数でもよい。
【0083】
また、第2の実施形態の輸送用冷凍機ユニット60と第3の実施形態で説明した流量調整機構71とを組み合わせてもよい。
【0084】
(第4の実施形態)
図8を参照して、本発明の第4の実施形態に係る輸送用冷凍機ユニット90について説明する。
図8において、
図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0085】
輸送用冷凍機ユニット90は、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15の構成要素から流量調整機構52、温度センサ55、及び制御部56を除くとともに、流量調整機構91を設けたこと以外は、輸送用冷凍機ユニット15と同様に構成されている。
【0086】
流量調整機構91は、吐出口24B側に位置する第2のガス配管34に設けられ、高温高圧のガス冷媒を通過させる開口部(図示せず)を有する温度変形部92である。該開口部の入口及び出口は、第2のガス配管34に連通している。
【0087】
温度変形部92は、圧縮機24の吐出口24Bから吐出される高温高圧のガス冷媒の吐出温度に応じて開口部の流路断面積を変える。
具体的には、温度変形部92は、吐出温度が高くなるにつれて流路断面積を大きくするように変形し、吐出温度が下がると開口部の流路断面積を小さくするように変形する。
【0088】
このように、吐出温度に応じて開口部の流路断面積が変化することで、液バイパス配管51を介して、第1のガス配管44に供給される液冷媒の流量を吐出温度に応じて調整することが可能となる。
これにより、吐出温度に応じて、圧縮機24に供給される冷媒の温度を低くして、吐出温度を低くすることができる。
上記温度変形部92は、例えば、バイメタルや形状記憶合金等で構成することが可能である。
【0089】
第4の実施形態の輸送用冷凍機ユニット90によれば、温度変形部92を有することで、時間平均流量用調整弁53(或いは流量調整機構71)、温度センサ55、及び制御部56を設けることなく、吐出温度に応じて、第1のガス配管44に供給する液冷媒の流量を調整することができる。
【0090】
なお、第4の実施形態の輸送用冷凍機ユニット90は、第1の実施形態の輸送用冷凍機ユニット15と同様な効果を得ることができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0092】
なお、第1乃至第4の実施形態では、一例として、冷凍機ユニット本体25が箱体31を有する場合を例に挙げて説明したが、箱体31は必要に応じて設ければよく、必須の構成ではない。
また、少なくとも圧縮機24、凝縮器33、膨張弁、蒸発器、気液熱交換器、及び液バイパス配管51を備えていればよく、他の構成は、必要に応じて設ければよい。
【符号の説明】
【0093】
10…保冷車両
11…トラック
15,60,70,90…輸送用冷凍機ユニット
17…キャブ
18…走行用エンジン
22…保冷庫
22A…前壁
22a…前面
24…圧縮機
24A…吸入口
24B…吐出口
25…冷凍機ユニット本体
31…箱体
31A…外気取り込み口
31B…収容空間
33…凝縮器
33A,42A…入口
33B,42B…出口
34…第2のガス配管
35…室外熱交ファン
36…第1の液配管
36A,45A…第1の配管部
36B,45B…第2の配管部
37…レシーバ
38…気液熱交換器
39…第2の液配管
38A…ガス入口
38B…ガス出口
38C…液入口
38D…液出口
41…膨張弁
42…蒸発器
43…ファン
44…第1のガス配管
45…第3のガス配管
47…アキュムレータ
51…液バイパス配管
51A…第1のバイパス配管部
51B…第2のバイパス配管部
52,71,91…流量調整機構
53…時間平均流量用調整弁
55…温度センサ
56…制御部
73,74…配管
76,77…キャピラリーチューブ
81,82…開閉弁
92…温度変形部