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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】同期方法、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/033 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
H04L7/033 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019145463
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021027512
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】名嘉眞 朝将
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/155706(WO,A1)
【文献】特開平08-278828(JP,A)
【文献】特開2015-226117(JP,A)
【文献】特開2006-349364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるクロックで動作する基本タイミング信号生成回路と通信制御回路とを含む制御装置と、少なくとも1つの外部機器との間におけるリアルタイム通信の同期方法であって、
前記基本タイミング信号生成回路が前記制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成する基本タイミング信号生成ステップと、
前記通信制御回路が前記外部機器との通信周期を示す第1の通信周期タイミング信号を生成する第1の通信周期タイミング信号生成ステップと、
前記通信制御回路が前記基本タイミング信号に対する所定の前記第1の通信周期タイミング信号の入力差を測定する入力差ステップと、
前記通信制御回路が前記入力差ステップで測定された前記入力差に応じた補正量を前記基本タイミング信号の間隔において生成される前記第1の通信周期タイミング信号の数で除算し、除算された値を前記通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値以上となるタイミングで前記第1の通信周期タイミング信号の生成のタイミングを補正する補正タイミング平均化ステップと、
前記通信制御回路が前記第1の通信周期タイミング信号の生成に対するタイミングの補正を示すタイミング補正データを含むパケットを、前記通信周期毎に前記外部機器に送信する送信ステップと、
前記外部機器が前記制御装置との通信周期を示す第2の通信周期タイミング信号を生成する第2の通信周期タイミング信号生成ステップと、
生成された前記第2の通信周期タイミング信号から前記パケットの前記タイミング補正データを受信するまでの予め測定された時間と前記外部機器が前記パケットの前記タイミング補正データを受信したタイミングとの比較に基づいて前記第2の通信周期タイミング信号を生成するタイミングを補正し、前記第1の通信周期タイミング信号と同期させる同期ステップと、
を備える、同期方法。
【請求項2】
前記補正量に対する上限値を設定する上限値設定ステップと、
前記補正量と前記上限値とを比較し、前記補正量が前記上限値以下の場合に前記補正量を出力し、前記補正量が前記上限値より大きい場合に前記上限値を前記補正量として出力する比較ステップと、を備える、請求項1に記載の同期方法。
【請求項3】
前記基本タイミング信号の間隔において生成される前記第1の通信周期タイミング信号の数が2のべき乗である、請求項1又は請求項2に記載の同期方法。
【請求項4】
互いに異なるクロックで動作する基本タイミング信号生成回路と通信制御回路とを含み、少なくとも1つの外部機器とリアルタイム通信を行う制御装置であって、
前記基本タイミング信号生成回路は、前記制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成し、
前記通信制御回路は、
前記外部機器との通信周期を示す通信周期タイミング信号を生成する通信周期タイミング信号生成回路と、
前記基本タイミング信号に対する所定の前記通信周期タイミング信号の入力差を測定する入力差カウンタと、
前記入力差カウンタにより測定された前記入力差に応じた補正量を前記基本タイミング信号の間隔において生成される前記通信周期タイミング信号の数で除算し、除算された値を前記通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値以上となるタイミングで前記通信周期タイミング信号生成回路が前記通信周期タイミング信号を生成するタイミングを補正する補正タイミング平均化回路と、
を備え、
前記通信制御回路は、前記通信周期タイミング信号の生成に対するタイミングの補正を
示すタイミング補正データを含むパケットを、前記通信周期毎に前記外部機器に送信する、制御装置。
【請求項5】
前記補正量に対する上限値を設定する上限値設定レジスタと、
前記補正量と前記上限値とを比較し、前記補正量が前記上限値以下の場合に前記補正量を前記補正タイミング平均化回路に出力し、前記補正量が前記上限値より大きい場合に前記上限値を前記補正量として前記補正タイミング平均化回路に出力する比較回路と、を備える、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記基本タイミング信号の間隔において生成される前記通信周期タイミング信号の数が2のべき乗である、請求項4又は請求項5に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期方法、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置は、リアルタイム通信で工作機械やロボット等に含まれるサーボモータ等の複数のモータの各々の位置や速度等を制御することにより、複雑な形状の加工等を行っている。このため、数値制御装置に含まれる通信制御回路が通信周期毎に発生する通信周期タイミング信号と、各モータのアンプが発生する通信周期タイミング信号とは高精度な同期が必要である。また、通信制御回路の通信周期タイミング信号は、数値制御装置に含まれる基本タイミング信号生成回路が生成する数値制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号と同期させる必要がある。
また、マスタユニットの数値制御装置とスレーブユニットの数値制御装置とが接続される場合にも、マスタユニットの基本タイミング信号と、スレーブユニットの基本タイミング信号とを同期させる必要がある。
この点、マスタユニットの数値制御装置とスレーブユニットの数値制御装置との間の通信異常等により、マスタユニットとスレーブユニットとの基本タイミング信号にズレが生じた場合でも、前記ズレを修正し同期させる技術が知られている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-244264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、数値制御装置には、基本タイミング信号生成回路が生成する基本タイミング信号と通信制御回路が生成する通信周期タイミング信号との元となるクロックが異なるものがある。この場合、通信制御回路は、リアルタイム通信を行うにあたり、基本タイミング信号に通信制御回路の通信周期タイミング信号を追従させる必要がある。しかしながら、例えば、4ms間隔の基本タイミング信号の間に、通信制御回路が256回の通信を行う場合、通信周期タイミング信号の間隔(1通信周期)は15.625usとなるが、元となるクロックが異なることから、前記クロックの精度誤差により基本タイミング信号と通信周期タイミング信号との間にはずれが生じる可能性がある。
【0005】
図9は、制御装置1の一例を示す図である。
図9に示すように、制御装置1は、基本タイミング信号生成回路2、及び通信制御回路3を有する。また、制御装置1の通信制御回路3は、n個のアンプ10(1)-10(n)と接続される(nは、1以上の整数である)。
なお、制御装置1は、当業者にとって公知の数値制御装置であり、図示しない工作機械の動作を制御する。また、図示しない工作機械がロボットの場合、制御装置1は、ロボット制御装置等を含んでもよい。
また、アンプ10(1)-10(n)は、制御装置1の制御対象の図示しない工作機械やロボット等に含まれてもよい。以下、アンプ10(1)-10(n)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「アンプ10」ともいう。
【0006】
基本タイミング信号生成回路2は、制御装置1の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成する。
通信制御回路3は、図10Aに示すように、通信周期(15.625us)毎に通信周期タイミング信号(以下、「タイミング信号EXSYN」ともいう)を生成する。また、通信制御回路3は、1通信周期毎に発生するタイミング信号EXSYNにより、各アンプ10に対するモータの制御データとともに、ヘッダ部分に格納されたタイミング補正データを含むパケットPKを1通信周期毎に送信する。
【0007】
例えば、アンプ10(1)は、図10Bに示すように、1通信周期毎に発生するアンプ10(1)の通信周期タイミング信号(以下、「タイミング信号EXSYN1」ともいう)からパケットPKのタイミング補正データを受信するまでの時間Tを予め測定する。アンプ10(1)は、アンプ10(1)に含まれるクロック(図示しない)のクロック信号に基づいて、タイミング補正データを受信するまでの予め測定された時間Tのタイミングと、実際にパケットPKのタイミング補正データを受信したタイミングとを比較する。アンプ10(1)は、比較結果に基づいて、次のタイミング信号EXSYN1をずらすか否かを決定し、制御装置1とアンプ10(1)とのずれを補正することができる。
なお、アンプ10(2)-10(n)の同期処理についても、アンプ10(1)の同期処理と同様である。
【0008】
制御装置1の通信制御回路3と各アンプ10では高精度な同期が必要である。一方、通信制御回路3は、基本タイミング信号生成回路2で生成される基本タイミング信号とタイミング信号EXSYNを同期する必要がある。しかしながら、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とが異なるクロックで動作する場合、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3との間で同期させる同期回路が必要となる。
【0009】
しかし、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3との間で同期させるための補正中には、実質的に制御装置1とアンプ10(1)とのずれを補正することができず、同期精度が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本開示の同期方法の一態様は、互いに異なるクロックで動作する基本タイミング信号生成回路と通信制御回路とを含む制御装置と、少なくとも1つの外部機器との間におけるリアルタイム通信の同期方法であって、前記基本タイミング信号生成回路が前記制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成する基本タイミング信号生成ステップと、前記通信制御回路が前記外部機器との通信周期を示す第1の通信周期タイミング信号を生成する第1の通信周期タイミング信号生成ステップと、前記通信制御回路が前記基本タイミング信号に対する所定の前記第1の通信周期タイミング信号の入力差を測定する入力差ステップと、前記通信制御回路が前記入力差ステップで測定された前記入力差に応じた補正量を前記基本タイミング信号の間隔において生成される前記第1の通信周期タイミング信号の数で除算し、除算された値を前記通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値以上となるタイミングで前記第1の通信周期タイミング信号の生成のタイミングを補正する補正タイミング平均化ステップと、前記通信制御回路が前記第1の通信周期タイミング信号の生成に対するタイミングの補正を示すタイミング補正データを含むパケットを、前記通信周期毎に前記外部機器に送信する送信ステップと、前記外部機器が前記制御装置との通信周期を示す第2の通信周期タイミング信号を生成する第2の通信周期タイミング信号生成ステップと、前記外部機器が前記パケットの前記タイミング補正データを受信したタイミングに基づいて前記第2の通信周期タイミング信号を生成するタイミングを補正し、前記第1の通信周期タイミング信号と同期させる同期ステップと、を備える。
【0011】
(2)本開示の制御装置の一態様は、互いに異なるクロックで動作する基本タイミング信号生成回路と通信制御回路とを含み、少なくとも1つの外部機器とリアルタイム通信を行う制御装置であって、前記基本タイミング信号生成回路は、前記制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成し、前記通信制御回路は、前記外部機器との通信周期を示す通信周期タイミング信号を生成する通信周期タイミング信号生成回路と、前記基本タイミング信号に対する所定の前記通信周期タイミング信号の入力差を測定する入力差カウンタと、前記入力差カウンタにより測定された前記入力差に応じた補正量を前記基本タイミング信号の間隔において生成される前記通信周期タイミング信号の数で除算し、除算された値を前記通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値以上となるタイミングで前記通信周期タイミング信号生成回路が前記通信周期タイミング信号を生成するタイミングを補正する補正タイミング平均化回路と、を備え、前記通信制御回路は、前記通信周期タイミング信号の生成に対するタイミングの補正を示すタイミング補正データを含むパケットを、前記通信周期毎に前記外部機器に送信する。
【発明の効果】
【0012】
一態様によれば、基本タイミング信号生成回路と通信制御回路とが異なるクロックで動作する場合でも、通信制御回路と外部機器との間の同期精度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基本タイミング信号生成回路と通信制御回路との間を同期させる同期回路の概略を例示する図である。
図2】基本タイミング信号と通信周期タイミング信号との関係の一例を示す図である。
図3図1の同期回路の詳細な回路図を例示する図である。
図4】通信制御回路とアンプとの間の周波数偏差について説明する一例の図である。
図5】第1実施形態に係る制御装置の通信制御回路に含まれる同期回路の一例を示す図である。
図6】基本タイミング信号、通信制御回路の通信周期タイミング信号、及びアンプの通信周期タイミング信号の関係の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る制御装置が他の制御装置との間で基本タイミング信号のイーサネット同期を行っている場合の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る制御装置の通信制御回路に含まれる同期回路の一例を示す図である。
図9】制御装置の一例を示す図である。
図10A】通信制御回路により生成される通信周期タイミング信号及びパケットの一例を示す図である。
図10B】アンプにおける同期処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1実施形態を説明する前に、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とのクロックが異なる場合において基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3との間を同期させる同期回路の基本的な構成について説明する。
以下、特に断らない限り、図9に示した要素と同様の機能を有する要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0015】
図1は、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3との間を同期させる同期回路50の概略を例示する図である。なお、同期回路50は、通信制御回路3に含まれるものとする。
以下の説明では、基本タイミング信号2は、例えば、4ms毎に生成されるものとする。また、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNは、基本タイミング信号間の4msの間に256回の通信を行うように、15.625us毎に生成される。なお、基本タイミング信号は、例えば、4ms以外の時間間隔で生成されてもよく、タイミング信号EXSYNは、15.625us以外の時間間隔で生成されてもよい。
【0016】
図1に示す同期回路50は、入力差カウンタ30、加算器31、LPF(Low-Pass Filter)32、及び補正カウンタ33を含む。
入力差カウンタ30は、図示しないクロックからのクロック信号に基づいて、図2に示すように、基本タイミング信号と256番目のタイミング信号EXSYNとの入力差を測定し、クロック数としてカウントする。
加算器31は、入力差カウンタ30からのクロック数ΔtとLPF32からのフィードバック値とを加算した値を補正カウンタ33に出力する。
補正カウンタ33は、加算器31から受け取った値が示す数のタイミング信号EXSYNを、1クロック前又は1クロック後ろにずらし、基本タイミング信号に追従させる。
【0017】
ここで、加算器31が入力差カウンタ30からのクロック数ΔtにLPF32からのフィードバック値を加算する理由は次の通りである。前述したように、通信制御回路3は、カウントしたクロック数と同じ数のタイミング信号EXSYNの各々を1クロックずつ前、又は1クロックずつ後ろにずらすことで基本タイミング信号に追従させている。しかしながら、入力差カウンタ30からのクロック数Δtのみの場合、基本タイミング信号と256個目のタイミング信号EXSYNとのずれは永遠に出続けることになる。このため、加算器31は、入力差カウンタ30からのクロック数ΔtにLPF32からのフィードバック値を加算することで、基本タイミング信号と256個目のタイミング信号EXSYNとが同時になるようにしている。
【0018】
図2は、図1の同期処理による基本タイミング信号とタイミング信号EXSYNとを同期させる処理について説明する一例を示す図である。
図1に示すように、入力差カウンタ30は、通信制御回路3に含まれるクロック(図示しない)からのクロック信号に基づいて、基本タイミング信号生成回路2からの基本タイミング信号と256個目のタイミング信号EXSYNとの入力差をクロック数Δtとしてカウントする。補正カウンタ33は、加算器31からの加算した値が-3クロックの場合、図2に示す256個目のタイミング信号EXSYNの後の1個目、2個目、及び3個目の連続する3つのタイミング信号EXSYNを1クロック前にずらすことで、基本タイミング信号に追従させる。これにより、通信制御回路3は、基本タイミング信号生成回路2と同期させることができる。
【0019】
図3は、図1の同期回路50の詳細な回路図を例示する図である。
図3に示す同期回路50は、例えば、入力差カウンタ30、加算器31、LPF32、補正カウンタ33とともに、通信周期タイミング信号生成回路110、256カウンタ120、動作タイミング回路130、及び補正方向決定回路140を有する。
なお、Latch、絶対値、及び符号の各要素については公知のものを用いることができ、詳細な説明は省略する。
【0020】
通信周期タイミング信号生成回路110は、通信制御回路3に含まれるクロック(図示しない)からのクロック信号に基づいて、例えば、「+」及び「-」の端子に後述する補正方向決定回路140から「1」の信号の入力がない場合、1通信周期(例えば1296クロック)毎にタイミング信号EXSYNを生成する。一方、通信周期タイミング信号生成回路110は、後述する補正方向決定回路140から「+」の端子に「1」の信号の入力があった場合、1297クロックで1通信周期とするタイミング信号EXSYNを生成する。すなわち、通信周期タイミング信号生成回路110は、1クロック後ろにずらしたタイミングでタイミング信号EXSYNを生成する。また、通信周期タイミング信号生成回路110は、後述する補正方向決定回路140から「-」の端子に「1」の信号の入力があった場合、1295クロックで1通信周期とするタイミング信号EXSYNを生成する。すなわち、通信周期タイミング信号生成回路110は、1クロック前にずらしたタイミングでタイミング信号EXSYNを生成する。
なお、1通信周期は、1296クロックとしたが、他のクロック数に設定されてもよい。
【0021】
256カウンタ120は、通信周期タイミング信号生成回路110により生成されたタイミング信号EXSYNの数をカウントし、256個毎(すなわち4ms毎)に1つの信号を後述する入力差カウンタ30及び動作タイミング回路130に出力する。
【0022】
入力差カウンタ30は、前述したように、基本タイミング信号と所定のタイミング信号EXSYNとしての256番目のタイミング信号EXSYNとの入力差を測定する。
より具体的には、入力差カウンタ30は、通信制御回路3の図示しないクロックからのクロック信号に基づいて、基本タイミング信号と256個目のタイミング信号EXSYNとの入力差をクロック数としてカウントする。入力差カウンタ30は、端子Aの入力(256個目のタイミング信号EXSYN)より端子Bの入力(基本タイミング信号)が早い場合、マイナスのクロック数のカウント値を加算器31に出力する。一方、入力差カウンタ30は、端子Aの入力(256個目のタイミング信号EXSYN)より端子Bの入力(基本タイミング信号)が遅い場合、プラスのクロック数のカウント値を加算器31に出力する。
【0023】
補正カウンタ33は、後述する動作タイミング回路130からの信号が「Load」の端子に入力されるタイミングで、入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算器31により加算された値の絶対値がセットされる。補正カウンタ33は、通信周期タイミング信号生成回路110からのタイミング信号EXSYNが「-1」の端子に入力される度に、セットされた値を1ずつ減算する。補正カウンタ33は、セットされた値が1以上の場合、セットされた値が1つ減るタイミングで、後述する補正方向決定回路140に「1」の信号を出力する。
【0024】
動作タイミング回路130は、256個目のタイミング信号EXSYNと基本タイミング信号とのうち、遅い方の信号が入力したタイミングで信号を、LPF32、Latch、及び補正カウンタ33の各要素に出力する。これにより、LPF32、Latch、及び補正カウンタ33の各要素は、動作タイミング回路130からの信号を受信したタイミングで動作する。
【0025】
補正方向決定回路140は、補正カウンタ33から「1」の信号が端子Aに入力され、かつ端子Signに「0」の信号(すなわち加算器31のカウント値がプラス)が入力された場合、端子「+」から「1」の信号を出力する。この場合、通信周期タイミング信号生成回路110は、1297クロックで1通信周期とする1クロック後ろにずらしたタイミング信号EXSYNを生成する。一方、補正方向決定回路140は、補正カウンタ33から「1」の信号が端子Aに入力され、かつ端子「Sign」に「1」の信号(すなわち加算器31のカウント値がマイナス)が入力された場合、端子「-」から「1」の信号を出力する。これにより、通信周期タイミング信号生成回路110は、1295クロックで1通信周期とする1クロック前にずらしたタイミング信号EXSYNを生成する。
【0026】
ところで、例えば、図3の加算器31が入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算した値が「-32」クロックの場合、図4に示すように、通信制御回路3は、基本タイミング信号に追いつくために、1クロック前にずらした(-1クロック補正した)タイミング信号EXSYNを1個目から連続して32個生成する。この場合、図4に示すように、アンプ10も、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNと同期させるために、-1クロック補正したタイミング信号EXSYN1を2個目から連続して32個生成する。
【0027】
通信制御回路3のタイミング信号EXSYNは、基本タイミング信号の方向に向かって補正されるので、アンプ10のタイミング信号EXSYN1も追っていくことになる。しかしながら、図4に示すように、例えば、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNがマイナス方向に補正される場合で、アンプ10のタイミング信号EXSYN1を生成するクロック周波数が精度誤差によりタイミング信号EXSYNを生成するクロック周波数より低い場合、1クロック前にずらした32個のタイミング信号EXSYNが生成される間では、タイミング信号EXSYN、及びアンプ10のタイミング信号EXSYN1は常に補正される。これにより、制御装置1とアンプ10との間では補正ができなくなり、周波数偏差による同期誤差がたまることがある。
【0028】
同様に、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNがプラス方向に補正される場合で、アンプ10のタイミング信号EXSYN1を生成するクロック周波数が精度誤差により通信制御回路3のタイミング信号EXSYNを生成するクロック周波数より高い場合、通信制御回路3がタイミング信号EXSYNをプラス方向に補正している間は、周波数偏差による同期誤差がたまる可能性がある。
このように上述した基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3との間を同期させる同期回路においては、周波数偏差による同期誤差がたまるというリスクを含む。
【0029】
<第1実施形態>
そこで、第1実施形態では、通信制御回路3の同期回路100は、例えば、基本タイミング信号と256番目のタイミング信号EXSYNとのずれが256クロックより小さい場合、前記ずれを解消するのに補正タイミング平均化回路を有する。これにより、基本タイミング信号の間隔(4ms)で平均的にタイミング信号EXSYNの補正を行うことができる。
【0030】
まず、本実施形態の概略を説明する。本実施形態では、通信制御回路3の同期回路100は、入力差カウンタにより測定された入力差に応じた補正量を基本タイミング信号の間隔において生成されるタイミング信号EXSYNの数で除算し、除算された値を通信周期毎に加算し、加算した値が所定値以上となるタイミングで通信周期タイミング信号生成回路110がタイミング信号EXSYNを生成するタイミングを補正する補正タイミング平均化回路を有する。同期回路100は、補正タイミング平均化回路により、タイミング信号EXSYNのうち、所定値以上となるタイミング、すなわち間引いた間隔で生成されるタイミング信号EXSYNを1クロックずつ前、又は1クロックずつ後ろにずらして生成する。そして、アンプ10は、通信制御回路3がタイミング信号EXSYNを補正しないタイミングで、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNとアンプ10のタイミング信号EXSYN1との間の周波数偏差による同期誤差を補正することができる。
【0031】
これにより、本実施形態によれば、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とが異なるクロックで動作する場合でも、通信制御回路3とアンプ10との間の同期精度を保つことができる。
【0032】
次に、第1実施形態の構成について図面を用いて詳細に説明する。
<同期回路100>
図5は、本実施形態に係る制御装置1の通信制御回路3に含まれる同期回路100の一例を示す図である。なお、図3の同期回路50の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
図5に示す同期回路100は、例えば、通信周期タイミング信号生成回路110、256カウンタ120、入力差カウンタ30、加算器31、LPF32、除算回路200、加算回路210、動作タイミング回路130、及び補正方向決定回路140を有する。ずなわち、同期回路100は、図3の補正カウンタ33に換えて、除算回路200及び加算回路210を有する。そして、除算回路200と加算回路210とは、協働により補正タイミング平均化回路として機能する。
【0034】
除算回路200は、入力差カウンタ30により測定された入力差に応じた補正量を基本タイミング信号の間隔において生成されるタイミング信号EXSYNの数で除算する。
一例として、除算回路200は、例えば、入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算器31により加算された値が補正量として「-64」クロックの場合、「64」の値を「256」の値で除算する。除算回路200は、除算された値「0.25」を加算回路210に出力する。
なお、基本タイミング信号の間隔において生成されるタイミング信号EXSYNの数が「256」等の2のべき乗の場合、除算回路200はシフト回路でもよい。
【0035】
加算回路210は、除算された値を通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値となるタイミングで通信周期タイミング信号生成回路110がタイミング信号EXSYNを生成するタイミングを補正する。
より具体的には、加算回路210は、通信周期タイミング信号生成回路110からタイミング信号EXSYNを受信する毎に、除算された値「0.25」を加算し、「0.25」、「0.5」、「0.75」、「1.0」の値を得る。加算回路210は、例えば、所定値が「1」に予め設定され、加算した値が「1.0」以上になったタイミングで、「一の位」の端子から「1」の信号を補正方向決定回路140に出力し、加算した値の一の位を「0」にする。その後、加算回路210は、通信周期タイミング信号生成回路110からタイミング信号EXSYNを受信する毎に、除算された値「0.25」を加算する。
【0036】
図6は、基本タイミング信号、通信制御回路3のタイミング信号EXSYN、及びアンプ10(1)のタイミング信号EXSYN1の関係の一例を示す図である。
前述したように、加算回路210は、4つのタイミング信号EXSYNを受信することで、「一の位」の端子から「1」の信号を補正方向決定回路140に出力する。このため、図6に示すように、通信周期タイミング信号生成回路110は、256個のタイミング信号EXSYNのうち、4回中1回の4個目や8個目等の間引きした64個のタイミング信号EXSYNを生成するタイミングを補正することで、基本タイミング信号と同期させることができる。
【0037】
また、アンプ10(1)は、通信制御回路3から1通信周期毎に受信するパケットPKに基づいて、4回中1回の5個目や9個目等の間引きした64個のタイミング信号EXSYN1を生成するタイミングを補正することで、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNと同期させることができる。
一方、通信制御回路3は、4回中3回タイミング信号EXSYNを補正しない。そこで、アンプ10(1)は、通信制御回路3がタイミング信号EXSYNを補正しない期間に、通信制御回路3から1通信周期毎に受信するパケットPKに基づいて、タイミング信号EXSYN1を生成するタイミングを補正することができる。これにより、アンプ10(1)は、周波数偏差による同期誤差がたまることを抑制することができ、制御装置1との同期精度を保つことができる。
【0038】
以上により、第1実施形態の通信制御回路3の同期回路100は、入力差カウンタ30により測定された入力差に応じた補正量を基本タイミング信号の間隔において生成されるタイミング信号EXSYNの数で除算し、除算された値を通信周期毎に加算する。同期回路100は、加算した値が所定値以上となるタイミングで通信周期タイミング信号生成回路110がタイミング信号EXSYNを生成するタイミングを補正する。これにより、同期回路100は、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とが異なるクロックで動作する場合でも、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とを同期させることができる。
また、アンプ10は、通信制御回路3がタイミング信号EXSYNを補正しないタイミングで、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNとアンプ10のタイミング信号EXSYN1との間の周波数偏差による同期誤差を補正する。これにより、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNとアンプ10のタイミング信号EXSYN1との間で周波数偏差による同期誤差がたまることを抑制することができる。
すなわち、同期回路100は、例えば、基本タイミング信号と256番目のタイミング信号EXSYNとのずれが256クロックより小さい場合、前記ずれを解消するのに補正タイミング平均化回路を有する。これにより、基本タイミング信号の間隔(4ms)で平均的にタイミング信号EXSYNの補正を行うことができる。
以上、第1実施形態について説明した。
【0039】
<第2実施形態>
これに対して、例えば、制御装置1Aが他の制御装置1Bとの間で基本タイミング信号のイーサネット(登録商標)同期を行っている場合、基本タイミング信号を他の制御装置1Bの基本タイミング信号と合わせようとした結果、通信制御回路3に入力される基本タイミング信号が、256番目のタイミング信号EXSYNに対して大幅なずれで入力されることがある。この場合、通信制御回路3の同期回路100は、前記ずれを解消するのに基本タイミング信号の間隔(4ms)以上の時間が必要になることがある。そこで、同期回路100は、第1実施形態の補正タイミング平均化回路(除算回路200及び加算回路210)を備えたとしても、常に基本タイミング信号に追従するため、通信制御回路3とアンプ10とのクロックの精度誤差による同期誤差がたまってしまう。
【0040】
そこで、第2実施形態では、通信制御回路3の同期回路100Aは、第1実施形態の機能に加えて、補正量に対する上限値を設定する上限値設定レジスタ300と、補正量と上限値とを比較し、補正量が上限値以下の場合に補正量を補正タイミング平均化回路に出力し、補正量が上限値より大きい場合に上限値を補正量として補正タイミング平均化回路に出力する比較回路310とをさらに備える。
これにより、同期回路100Aは、256番目のタイミング信号EXSYNに対して基本タイミング信号が大幅なずれで通信制御回路3に入力される場合で、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とが異なるクロックで動作する場合でも、通信制御回路3とアンプ10との間の同期精度を保つことができる。
以下に、第2実施形態について説明する。
【0041】
図7は、第2実施形態に係る制御装置1Aが他の制御装置1Bとの間で基本タイミング信号のイーサネット同期を行っている場合の一例を示す図である。なお、図9の制御装置1の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、制御装置1Aの基本タイミング信号生成回路2と、制御装置1Bの基本タイミング信号生成回路2とは、互いに接続され基本タイミング信号のイーサネット同期を行っている。この場合、制御装置1Aは、基本タイミング信号を制御装置1Bの基本タイミング信号と合わせようとした結果、通信制御回路3に入力される基本タイミング信号が256番目のタイミング信号EXSYNに対して大幅なずれで入力されることがある。前記ずれを解消するのに、制御装置1Aの通信制御回路3は、基本タイミング信号の間隔(例えば4ms)以上の時間が必要となることがある。
この場合、制御装置1Aの通信制御回路3は、図5の補正タイミング平均化回路を有したとしても、常に基本タイミング信号に追従することになる。また、通信制御回路3とアンプ10とのクロック(図示しない)の精度誤差による同期誤差がたまってしまう。
【0042】
<同期回路100A>
図8は、第2実施形態に係る制御装置1Aの通信制御回路3に含まれる同期回路100Aの一例を示す図である。なお、図5の同期回路100の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
図8に示すように、同期回路100Aは、通信周期タイミング信号生成回路110、256カウンタ120、入力差カウンタ30、加算器31、LPF32、除算回路200、加算回路210、動作タイミング回路130、補正方向決定回路140、上限値設定レジスタ300、及び比較回路310を有する。そして、上限値設定レジスタ300と比較回路310とは、協働により上限値設定回路として機能する。
【0044】
上限値設定レジスタ300は、加算器31が入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算した値である補正量に対する上限値を設定する。
例えば、上限値設定レジスタ300は、「128」を上限値として設定してもよい。
なお、上限値は、基本タイミング信号の間隔に生成されるタイミング信号EXSYNの数より小さい値であれば「128」以外の値でもよい。
【0045】
比較回路310は、補正量と上限値とを比較し、補正量が上限値以下の場合に補正量を補正タイミング平均化回路に出力し、補正量が上限値より大きい場合に上限値を補正量として補正タイミング平均化回路に出力する。
例えば、比較回路310は、端子Aに入力される加算器31が入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算した値の補正量と、端子Bに入力される上限値設定レジスタ300の上限値「128」とを比較する。比較回路310は、加算器31が入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算した値の補正量が「-64」クロックの場合、「64」の値を除算回路200に出力する。
【0046】
一方、比較回路310は、加算器31が入力差カウンタ30のクロック数ΔtとLPF32のフィードバック値とを加算した値の補正量が「-300」クロックの場合、上限値「128」の値を除算回路200に出力する。この場合、加算回路210は、除算回路200により除算された値が「0.5」(=128/256)のため、通信周期タイミング信号生成回路110は、2回に1回タイミング信号EXSYNを生成するタイミングを補正することができる。
【0047】
この場合、通信制御回路3は2回中1回タイミング信号EXSYNを補正しない。そこで、アンプ10(1)は、通信制御回路3がタイミング信号EXSYNを補正しない期間に、通信制御回路3から1通信周期毎に受信するパケットPKに基づいて、タイミング信号EXSYN1を生成するタイミングを補正することができる。これにより、アンプ10(1)は、周波数偏差による同期誤差がたまることを抑制することができ、制御装置1Aとの同期精度を保つことができる。
【0048】
以上により、第2実施形態の通信制御回路3の同期回路100Aは、例えば、他の制御装置1Bとの間で基本タイミング信号のイーサネット同期を行っている場合、入力差カウンタ30により測定された入力差に応じた補正量と、上限値設定レジスタ300に設定された上限値とを比較する。同期回路100Aは、補正量が上限値以下の場合に補正量を除算回路200に出力し、補正量が上限値より大きい場合に上限値を補正量として除算回路200に出力する。
これにより、同期回路100Aは、256番目のタイミング信号EXSYNに対して基本タイミング信号が大幅なずれで通信制御回路3に入力される場合で、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とが異なるクロックで動作する場合でも、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とを同期させることができる。
また、アンプ10は、通信制御回路3がタイミング信号EXSYNを補正しないタイミングで、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNとアンプ10のタイミング信号EXSYN1との間の周波数偏差による同期誤差を補正する。これにより、通信制御回路3のタイミング信号EXSYNとアンプ10のタイミング信号EXSYN1との間で周波数偏差による同期誤差がたまることを抑制することができる。
以上、第2実施形態について説明した。
【0049】
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、制御装置1、1Aは、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0050】
<変形例1>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、基本タイミング信号は4ms毎に生成され、タイミング信号EXSYNは基本タイミング信号の間隔4msに256個生成されるように15.625us毎に生成されるとしたが、これに限定されない。例えば、基本タイミング信号は4ms以外の時間間隔で生成され、タイミング信号EXSYNは基本タイミング信号の間隔に256個以外の数が生成されるように生成されてもよい。
また、基本タイミング信号の間隔に生成されるタイミング信号EXSYNの数が「128」や「512」等の2のべき乗の場合、除算回路200はシフト回路でもよい。
【0051】
<変形例2>
また例えば、上述の第2実施形態では、制御装置1Aは、他の制御装置1Bとの間で基本タイミング信号のイーサネット同期を行っているとしたが、他の制御装置1Bとの間でイーサネット同期以外の基本タイミング信号の同期を行ってもよい。
また、制御装置1Aは、複数の他の制御装置1Bとの間で基本タイミング信号のイーサネット同期等を行ってもよい。
【0052】
なお、第1実施形態及び第2実施形態に係る制御装置1、1Aに含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0053】
制御装置1、1Aに含まれる各構成部は、電子回路等を含むハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。また、ハードウェアで構成する場合、上記の装置に含まれる各構成部の機能の一部又は全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0054】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0055】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0056】
以上を換言すると、本開示の同期方法、及び制御装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)本開示の同期方法は、互いに異なるクロックで動作する基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とを含む制御装置1と、少なくとも1つの外部機器(アンプ10)との間におけるリアルタイム通信の同期方法であって、基本タイミング信号生成回路2が制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成する基本タイミング信号生成ステップと、通信制御回路3が外部機器との通信周期を示す第1の通信周期タイミング信号を生成する第1の通信周期タイミング信号生成ステップと、通信制御回路3が基本タイミング信号に対する所定の第1の通信周期タイミング信号の入力差を測定する入力差ステップと、通信制御回路3が入力差ステップで測定された入力差に応じた補正量を基本タイミング信号の間隔において生成される第1の通信周期タイミング信号の数で除算し、除算された値を通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値以上となるタイミングで第1の通信周期タイミング信号の生成のタイミングを補正する補正タイミング平均化ステップと、通信制御回路3が第1の通信周期タイミング信号の生成に対するタイミングの補正を示すタイミング補正データを含むパケットPKを、通信周期毎に外部機器に送信する送信ステップと、外部機器が制御装置との通信周期を示す第2の通信周期タイミング信号を生成する第2の通信周期タイミング信号生成ステップと、外部機器がパケットPKのタイミング補正データを受信したタイミングに基づいて第2の通信周期タイミング信号を生成するタイミングを補正し、第1の通信周期タイミング信号と同期させる同期ステップと、を備える。
この同期方法によれば、基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とが異なるクロックで動作する場合でも、通信制御回路3とアンプ10(1)との間の同期精度を保つことができる。
【0057】
(2)補正量に対する上限値を設定する上限値設定ステップと、補正量と上限値とを比較し、補正量が上限値以下の場合に補正量を出力し、補正量が上限値より大きい場合に上限値を補正量として出力する比較ステップと、を備えてもよい。
そうすることで、制御装置が他の制御装置との間でイーサネット同期を行っている場合でも、通信制御回路3とアンプ10(1)との間の同期精度を保つことができる。
【0058】
(3)基本タイミング信号の間隔において生成される第1の通信周期タイミング信号の数が2のべき乗であってもよい。
そうすることで、除算に必要となる演算量を削減することができる。
【0059】
(4)本開示の制御装置1は、互いに異なるクロックで動作する基本タイミング信号生成回路2と通信制御回路3とを含み、少なくとも1つの外部機器(アンプ10)とリアルタイム通信を行う制御装置であって、基本タイミング信号生成回路2は、制御装置の動作の基本単位時間を示す基本タイミング信号を生成し、通信制御回路3は、外部機器との通信周期を示す通信周期タイミング信号を生成する通信周期タイミング信号生成回路110と、基本タイミング信号に対する所定の通信周期タイミング信号の入力差を測定する入力差カウンタ30と、入力差カウンタ30により測定された入力差に応じた補正量を基本タイミング信号の間隔において生成される通信周期タイミング信号の数で除算し、除算された値を通信周期毎に加算することにより、加算した値が所定値以上となるタイミングで通信周期タイミング信号生成回路110が通信周期タイミング信号を生成するタイミングを補正する補正タイミング平均化回路と、を備え、通信制御回路3は、通信周期タイミング信号の生成に対するタイミングの補正を示すタイミング補正データを含むパケットPKを、通信周期毎に外部機器に送信する。
この制御装置によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0060】
(5)補正量に対する上限値を設定する上限値設定レジスタ300と、補正量と上限値とを比較し、補正量が上限値以下の場合に補正量を補正タイミング平均化回路に出力し、補正量が上限値より大きい場合に上限値を補正量として補正タイミング平均化回路に出力する比較回路310と、を備えてもよい。
そうすることで、(2)と同様の効果を奏することができる。
【0061】
(6)基本タイミング信号の間隔において生成される通信周期タイミング信号の数が2のべき乗であってもよい。
そうすることで、(3)と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0062】
1、 1A 制御装置
2 基本タイミング信号生成回路
3 通信制御回路
10(1)-10(n) アンプ
30 入力差カウンタ
100、100A 同期回路
110 通信周期タイミング信号生成回路
200 除算回路
210 加算回路
300 上限値設定レジスタ
310 比較回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B