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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】内視鏡及び医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230808BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20230808BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61B1/00 630
A61B1/00 680
A61B1/045 610
G02B23/24 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019163376
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021040756
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 尊正
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/144330(WO,A1)
【文献】特開昭61-116317(JP,A)
【文献】実開昭61-089177(JP,U)
【文献】特開2011-167502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/045
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子を実装する先端部を有し、被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部に接続する操作部と、
前記操作部から延設され、前記撮像素子から帯びるケーブルが挿通されるコード部と、
前記コード部の前記操作部側と反対側の端部に設けられるコネクタ部と、
前記先端部に設けられる第1抵抗、及び前記操作部に設けられる第2抵抗に接続する検出用信号線であって、前記撮像素子から延びて信号を伝送する信号線を含む伝送部材よりも折れに対する強度が小さい検出用信号線と、
前記検出用信号線から取得した信号に基づいて、当該検出用信号線の断線を検出するためのパラメータを生成するパラメータ生成部と、
前記パラメータ生成部が生成した前記パラメータを用いて、前記検出用信号線に断線が生じているか否かを検出する検出部と、
前記検出部が前記検出用信号線に断線が生じていると検出した場合に、当該検出用信号線の断線部位を判定する判定部と、
を備え
前記パラメータは、前記第1及び第2抵抗に基づく合成抵抗によって変化する電圧値又は電流値であり、
前記判定部は、前記電圧値又は前記電流値に基づいて前記断線部位を判定する、
内視鏡。
【請求項2】
前記判定部の判定結果に関する情報を生成する情報生成部、
をさらに備える請求項に記載の内視鏡。
【請求項3】
被写体を撮像する撮像素子を実装する先端部を有し、被検体内に挿入される挿入部、前記挿入部に接続する操作部、前記操作部から延設され、前記撮像素子から帯びるケーブルが挿通されるコード部、及び、前記コード部の前記操作部側と反対側の端部に設けられるコネクタ部を備える内視鏡と、前記内視鏡に接続し、当該内視鏡を制御する制御装置とを備える医療用観察システムにおいて、
前記内視鏡に延設され、前記先端部に設けられる第1抵抗、及び前記操作部に設けられる第2抵抗に接続する検出用信号線であって、前記撮像素子から延びて信号を伝送する信号線を含む、当該内視鏡に延設される伝送部材よりも折れに対する強度が小さい検出用信号線と、
前記検出用信号線から取得した信号に基づいて、当該検出用信号線の断線を検出するためのパラメータを生成するパラメータ生成部と、
前記パラメータ生成部が生成した前記パラメータを用いて、前記検出用信号線に断線が生じているか否かを検出する検出部と、
前記検出部が前記検出用信号線に断線が生じていると検出した場合に、前記内視鏡における当該検出用信号線の断線部位を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に関する情報を生成する情報生成部と、
を備え
前記パラメータは、前記第1及び第2抵抗に基づく合成抵抗によって変化する電圧値又は電流値であり、
前記判定部は、前記電圧値又は前記電流値に基づいて前記断線部位を判定する、
医療用観察システム。
【請求項4】
前記検出用信号線は、前記コネクタ部に設けられる第3抵抗とさらに接続する、
請求項に記載の医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡及び医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野や工業用分野において、撮像素子を用いて被写体像を撮像する内視鏡装置や、医療用顕微鏡装置などの医療装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このうち、内視鏡装置は、例えば、内視鏡と、表示装置と、制御装置と、光源装置とを備える。内視鏡装置では、内視鏡に接続されるライトガイドを介して光源装置から照明光が供給され、照明光を照射して被写体像を撮像する。
【0003】
内視鏡装置のうち、例えば、内視鏡の先端に撮像素子を備える構成では、撮像素子が生成した信号が、信号線によって制御装置まで伝送される。この信号線は、撮像素子から、長尺の挿入部、ケーブル等を経由して制御装置に接続される。
【0004】
ところで、特許文献1は、信号線の断線を事前に予測するための断線検出用の電線を設けている。特許文献1では、断線検出用の電線からの信号に基づいて、信号線の断線を事前予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭61-116317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
断線を修理する際に、断線している位置、例えば、内視鏡や、ケーブル等の部品単位でどこに断線が生じているかが分かれば、効率的に修理することができる。しかしながら、特許文献1は、撮像素子から制御装置までの経路のうち、断線している位置を推定することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、断線しそうな部位を推定することができる内視鏡及び医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる内視鏡は、被写体を撮像する撮像素子を実装する先端部を有し、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部に接続する操作部と、前記操作部から延設され、前記撮像素子から帯びるケーブルが挿通されるコード部と、前記コード部の前記操作部側と反対側の端部に設けられるコネクタ部と、前記先端部に設けられる第1抵抗、及び前記操作部に設けられる第2抵抗に接続する検出用信号線であって、前記撮像素子から延びて信号を伝送する信号線を含む伝送部材よりも折れに対する強度が小さい検出用信号線と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる内視鏡は、上記発明において、前記検出用信号線から取得した信号に基づいて、当該検出用信号線の断線を検出するためのパラメータを生成するパラメータ生成部と、前記パラメータ生成部が生成した前記パラメータを用いて、前記検出用信号線に断線が生じているか否かを検出する検出部と、前記検出部が前記検出用信号線に断線が生じていると検出した場合に、前記内視鏡における当該検出用信号線の断線部位を判定する判定部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる内視鏡は、上記発明において、前記判定部の判定結果に関する情報を生成する情報生成部、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、被写体を撮像する撮像素子を実装する先端部を有し、被検体内に挿入される挿入部、前記挿入部に接続する操作部、前記操作部から延設され、前記撮像素子から帯びるケーブルが挿通されるコード部、及び、前記コード部の前記操作部側と反対側の端部に設けられるコネクタ部を備える内視鏡と、前記内視鏡に接続し、当該内視鏡を制御する制御装置とを備える医療用観察システムにおいて、前記内視鏡に延設され、前記先端部に設けられる第1抵抗、及び前記操作部に設けられる第2抵抗に接続する検出用信号線であって、前記撮像素子から延びて信号を伝送する信号線を含む、当該内視鏡に延設される伝送部材よりも折れに対する強度が小さい検出用信号線と、前記検出用信号線から取得した信号に基づいて、当該検出用信号線の断線を検出するためのパラメータを生成するパラメータ生成部と、前記パラメータ生成部が生成した前記パラメータを用いて、前記検出用信号線に断線が生じているか否かを検出する検出部と、前記検出部が前記検出用信号線に断線が生じていると検出した場合に、前記内視鏡における当該検出用信号線の断線部位を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に関する情報を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、前記検出用信号線は、前記コネクタ部に設けられる第3抵抗とさらに接続することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、前記パラメータ生成部は、前記検出用信号線を流れる信号の電圧値を前記パラメータとして生成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる医療用観察システムは、上記発明において、前記パラメータ生成部は、前記検出用信号線を流れる信号の電流値を前記パラメータとして生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内視鏡を構成する伝送部材において断線しそうな部位を推定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかる医療用観察システムを示す図である。
図2図2は、図1に示したシステムの内部構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1にかかる医療用観察システムが行う検出用信号線の断線検出処理を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施の形態2にかかる医療用観察システムの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態3にかかる医療用観察システムの構成を示すブロック図である。
図6図6は、本発明の実施の形態4にかかる医療用観察システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本発明にかかる医療用観察システムの一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡を備えたシステムについて説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる医療用観察システムを示す図である。医療用観察システム1は、生体内に挿入部21を挿入することによって観察部位の体内画像を撮像して画像信号を出力する内視鏡2と、当該内視鏡2の先端から出射する照明光を生成する光源装置3と、当該内視鏡2から出力された画像信号を処理する制御装置4と、制御装置4にて処理された表示用の映像信号に基づく撮像画像を表示する表示装置5とを備える。
【0019】
内視鏡2は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部21と、挿入部21の基端側に接続され、各種の操作を受け付ける操作部22と、操作部22から挿入部21が延びる方向と異なる方向に延び、光源装置3及び制御装置4に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード23とを備える軟性内視鏡である。ユニバーサルコード23は、コード部に相当する。
挿入部21は、先端部24と、当該先端部24の基端側に接続され、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部25と、当該湾曲部25の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部26とを備える。
そして、先端部24内部には、撮像素子が内蔵されている。そして、先端部24からの画像信号は、操作部22及びユニバーサルコード23を介して、制御装置4に出力される。
ユニバーサルコード23には、光源装置3及び制御装置4にそれぞれ着脱自在なコネクタ部27が設けられる。コネクタ部27は、光源装置3に接続する第1コネクタ部27aと、制御装置4に着脱自在な第2コネクタ部27bを有する。第1コネクタ部27aと第2コネクタ部27bとは、例えばコイル状をなすケーブルによって接続される。
【0020】
光源装置3は、生体内を照明するための白色光を出射する光源と、光源が出射した白色光をユニバーサルコード23に導光する光学系とを有する。なお、光源装置3と制御装置4とは、図1に示すように別体とし相互に通信する構成としてもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0021】
制御装置4は、内視鏡2からユニバーサルコード23を経由して入力された撮像信号を処理し、表示装置5へ画像信号を出力するとともに、内視鏡2や表示装置5の動作を統括的に制御する。また、制御装置4は、外部から電源が供給される。
【0022】
表示装置5は、制御装置4による制御のもと、制御装置4により生成された画像を表示する。表示装置5は、観察時の没入感を得やすくするために、表示部が55インチ以上を有するものが好ましいが、これに限らない。
【0023】
続いて、医療用観察システム1の内部構成について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示したシステムの内部構成を示すブロック図である。
【0024】
先端部24には、集光用の光学系(図示せず)と、撮像素子241と、E/O変換部242とが設けられる。また、先端部24には、光源装置3が発光した光を導光するライトガイドや、ライトガイドの先端に設けられる照明レンズが設けられる(図示せず)。なお、内視鏡2には、撮像素子244が各種動作を実行するための実行プログラム及び制御プログラムを記憶するメモリ(図示せず)が設けられる。
【0025】
撮像素子241は、受光した光を光電変換して電気信号(撮像信号)を生成する。撮像素子241は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサや、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いて構成される。
【0026】
E/O変換部242は、撮像素子241が生成した電気信号を光信号に変換する。E/O変換部242が変換した光信号は、光ファイバ243によって操作部22に導光される。
【0027】
操作部22は、各種の操作を受け付けるほか、先端部24から出力された光信号を中継するO/O変換部221と、制御用ドライバ222と、同期信号用ドライバ223と、電源IC224とを有する。
【0028】
O/O変換部221は、先端部24から出力された光信号を、光強度等を調整した光信号に再変換する。O/O変換部221が変換した光信号は、光ファイバ225によって制御装置4に導光される。
【0029】
制御用ドライバ222及び同期信号用ドライバ223は、入力された信号の強度や振幅等が予め設定されている条件を満たすように調整して、出力する。制御用ドライバ222は、制御信号が入力され、この制御信号を調整して先端部24又は制御装置4(コネクタ部27)に出力する。同期信号用ドライバ223は、同期信号が入力され、この同期信号を調整して先端部24に出力する。
【0030】
電源IC224は、制御装置4から入力される電源電圧及び電力を、内視鏡2が正常に動作する電源電圧範囲の電源電圧及び電力に調整して、先端部24に供給する。
【0031】
ユニバーサルコード23は、上述したライトガイドや、一または複数の信号線を少なくとも内蔵している。一または複数の信号線は、撮像信号を伝送するための信号線や、撮像素子241を駆動するための駆動信号を伝送するための信号線などを含む。複数の信号線は、集合ケーブルとして、一まとめにして束ねられている。
【0032】
第2コネクタ部27bは、制御用ドライバ271と、同期信号用ドライバ272と、電源IC273とを有する。
【0033】
制御用ドライバ271及び同期信号用ドライバ272は、入力された信号の強度や振幅等が予め設定されている条件を満たすように調整して、出力する。制御用ドライバ271は、制御信号が入力され、この制御信号を調整して操作部22又は制御装置4に出力する。同期信号用ドライバ272は、同期信号が入力され、この同期信号を調整して操作部22に出力する。
【0034】
電源IC273は、制御装置4から入力される電源電圧及び電力を、内視鏡2が正常に動作する電源電圧範囲の電源電圧及び電力に調整して、操作部22に出力する。
また、ユニバーサルコード23及び第2コネクタ部27bには、上述した光ファイバ225が挿通される。
【0035】
ここで、内視鏡2から制御装置4にかけて、検出用信号線28と、グラウンド線29とが延設される。検出用信号線28は、内視鏡2から制御装置4に挿通される信号線や各種ケーブルの断線の可能性を部位単位で推定するためのものである。検出用信号線28には、予め設定された電圧Vが印加される。検出用信号線28は、光ファイバ225、243や、グラウンド線29、制御信号を伝送する信号線、同期信号を伝送する信号線、電源を供給するための信号線等の、内視鏡2に延設され、信号を伝送する伝送部材よりも、折れに対する強度が小さい。この伝送部材としては、例えば、信号伝送ケーブル(光ファイバ225、243)や、後述する制御信号伝送線、同期信号伝送線、電源供給線、グラウンド線が挙げられる。検出用信号線28は、これらすべての伝送部材の強度よりも小さいことが好ましいが、少なくとも、信号伝送ケーブル、制御信号伝送線、同期信号伝送線、電源供給線よりも強度が小さければよい。強度は、例えば屈曲寿命試験や捻回寿命試験の結果に基づいて設定される。
検出用信号線28は、先端部24から操作部22にかけて延びる信号線、操作部22から第2コネクタ部27bにかけて延びる信号線、及び制御装置4に設けられる信号線を接続してなる。この際、各信号線の折れに対する強度は、各信号線が属する部位に挿通される伝送部材の折れに対する強度のうち最小の強度よりも小さく設定される。なお、部位ごとに折れの強度が調整できれば、内視鏡2から制御装置4にかけて延びる一本の信号線を用いてもよい。
【0036】
検出用信号線28は、第1抵抗281、第2抵抗282、第3抵抗283及び第4抵抗284と接続する。第1抵抗281は、先端部24に設けられる。第2抵抗282は、操作部22に設けられる。第3抵抗283は、第2コネクタ部27bに設けられる。第4抵抗284は、制御装置4に設けられる。各抵抗は、それぞれが属する部位に設けられる基板に実装される。例えば、第2抵抗282は、O/O変換部221、制御用ドライバ222、同期信号用ドライバ223及び電源IC224を実装する基板に実装される。また、各抵抗は、検出用信号線28自体の抵抗を相対的に無視できる程度の大きさに設定される。例えば、検出用信号線28自体の抵抗が10Ω程度である場合、各抵抗は、数キロΩ程度に設定される。各抵抗は、一端が検出用信号線28に接続し、他端がグラウンドに接続する。なお、第2コネクタ部27bに設けられる第3抵抗283は、制御装置4が内視鏡2の接続を検知したり、内視鏡2の種別を検知したりする回路に実装される抵抗と共用してもよい。
【0037】
次に、制御装置4の構成について説明する。制御装置4は、O/E変換部41と、画像処理部42と、A/D変換部43と、制御部44とを備える。A/D変換部43は、パラメータ生成部に相当する。
【0038】
O/E変換部41は、撮像素子241が生成した撮像信号であって、光ファイバ225を介して入力される光信号を電気信号に変換する。O/E変換部41が変換した電気信号は、画像処理部42に出力される。
【0039】
画像処理部42は、内視鏡2から、O/E変換部41を介して撮像信号を受信する。画像処理部42は、入力された撮像信号をもとに、表示装置5が表示する表示用の画像信号を生成する。画像処理部42は、撮像信号に対して、所定の信号処理を実行して被写体画像を含む表示用の画像信号を生成する。ここで、画像処理部42は、検波処理や、補間処理、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等の各種画像処理等の公知の画像処理を行う。画像処理部52は、生成した画像信号を表示装置5に出力する。
【0040】
A/D変換部43は、検出用信号線28が接続され、検出信号を流れる信号に基づいてパラメータを生成する。A/D変換部43は、検出用信号線28から入力されたアナログの信号をデジタル信号に変換する。本実施の形態1において、A/D変換部43は、A/D変換によって、入力された信号の電圧値(デジタル信号)をパラメータとして生成する。A/D変換部43は、生成した電圧値を制御部44に出力する。
【0041】
制御部44は、内視鏡2および光源装置3を含む各構成部の駆動制御、および各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。また、制御部44は、制御装置4の動作の基準となるクロック信号(同期信号)を生成するとともに、生成した同期信号を光源装置3や、内視鏡2へ出力する。
【0042】
また、制御部44は、検出部441と、判定部442と、情報生成部443とを有する。
検出部441は、A/D変換部43から取得した電圧値に基づいて、検出用信号線28の断線の有無を検出する。ここで、検出用信号線28が断線すると、その断線位置によって検出用信号線28の抵抗値が変化し、その結果、A/D変換部43から出力される電圧値が変化する。例えば、図2の位置P1(可撓管部26と操作部22との間)において検出用信号線28が断線した場合、第1抵抗281との接続が切断され、検出用信号線28における検出用の合成抵抗は、第2抵抗282及び第3抵抗283に基づくものとなる。これに対し、図2の位置P2(ユニバーサルコード23と第2コネクタ部27bとの間)において検出用信号線28が断線した場合、第1抵抗281及び第2抵抗282との接続が切断され、検出用信号線28における検出用の合成抵抗は、第3抵抗283に基づくものとなる。このように、断線によって合成抵抗が変化すると、A/D変換部43によって出力される電圧値も変化する。検出部441は、この断線状態によって変化する電圧値と、電圧Vから算出される基準電圧値とに基づいて、検出用信号線28における断線の有無を検出する。検出部441は、基準電圧値との差分や比と、閾値とを比較して、断線の有無を検出する。この閾値は、例えば合成抵抗の変化による電圧値の変化のうち、最小の変化量に基づいて設定される。
【0043】
判定部442は、検出部441によって断線が生じていることが検出されると、断線部位を判定する。判定部442は、基準電圧値との差分や比をもとに、断線部位を判定する。例えば、差分や比に基づいて、合成抵抗が第2抵抗282及び第3抵抗283からなる場合の電圧値に相当する場合、判定部442は、断線が、位置P1よりも下流(先端部24側)で生じていると判定する。このように、制御部44では、検出部441及び判定部442によって、検出用信号線の断線の有無、及びその断線部位を判定する。検出用信号線が断線すると、撮像素子241と制御装置4との間に延びる信号伝送ケーブル(光ファイバ225、243)や、制御信号伝送線、同期信号伝送線、電源供給線、シールドを含むグラウンド線が、検出用信号線28に続いて断線する可能性が高い。
【0044】
情報生成部443は、判定部442による判定結果に関する情報を生成したり、判定結果を表示装置5に表示させる情報を生成したりする。例えば、情報生成部443は、メンテナンス担当者向けの、推定される断線部位を示す情報を生成したり、検出用信号線28の断線部位や、将来断線が生じ得る旨を示す画像データを生成し、制御部44がこの画像データを表示装置5に表示させて、内視鏡2を使用するユーザに機器のメンテナンスを促したりする。これらの処理は、予め設定されている条件に基づいて実施される。
【0045】
上述した画像処理部42、A/D変換部43及び制御部44は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0046】
なお、制御装置4には、医療用観察システム1の動作を指示する動作指示信号等の各種信号の入力を受け付ける入力部や、各種情報を出力する出力部、並びに、医療用観察システム1を動作させるための各種プログラム、及び医療用観察システム1の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する記憶部が設けられる。
【0047】
続いて、制御部44が行う検出用信号線の断線検出処理について、図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる医療用観察システムの制御部が行う検出用信号線の断線検出処理を示すフローチャートである。制御部44は、A/D変換部43から電圧値を取得すると、断線検出処理を開始する(ステップS101)。この断線検出処理は、例えば、装置起動時や、起動後、予め設定された間隔で実施される。
【0048】
ステップS102において、検出部441は、A/D変換部43から取得した電圧値と、基準電圧値とに基づいて、検出用信号線28の断線の有無を検出する。制御部44は、検出部441が、検出用信号線28に断線が生じていないと判断した場合(ステップS102:No)、今回取得した電圧値における断線検出処理を終了する。これに対し、制御部44は、検出部441が、検出用信号線28に断線が生じていると判断した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に移行する。
【0049】
ステップS103において、判定部442は、検出部441によって断線が生じていることが検出されると、断線部位を判定する。判定部442は、基準電圧値との差分や比をもとに、断線部位を判定する。
【0050】
情報生成部443は、判定部442による断線部位判定後、判定結果に関する情報を生成する(ステップS104)。制御部44は、上述したように、情報生成部443が生成した判定部442による判定結果に関する情報を記憶部に格納したり、判定結果を表示装置5に表示させたりする。
【0051】
上述した実施の形態1は、撮像素子241と制御装置4との間に延びる信号伝送ケーブル(光ファイバ225、243)や、制御信号伝送線、同期信号伝送線等の、内視鏡2に延設される伝送部材よりも断線しやすい検出用信号線28を設け、判定する推定部位に応じて複数の抵抗を接続し、合成抵抗の変化による電圧値の変化から、検出用信号線28の断線部位を推定するようにしたので、検出用信号線28の断線の判定結果から、内視鏡2に延設される伝送部材において断線しそうな部位を事前に推定することができる。伝送部材において断線部位を把握することによって、断線部位に応じて無駄に装置を分解せずにメンテナンスを実施することができる。
【0052】
また、本実施の形態1で説明した断線の判定処理を、システム起動時に実施すれば、外乱等による環境に異常が生じ難い状況で処理を実行することができ、その結果、高精度に断線の判定を行うことができる。
【0053】
なお、本実施の形態1において、第3抵抗483を有しない構成としてもよい。抵抗は、断線を検出したい箇所に応じて適宜設けることが可能である。
【0054】
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図4は、本発明の実施の形態2にかかる医療用観察システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態2は、上述した実施の形態1の制御装置4に代えて制御装置4Aを備える。制御装置4Aは、上述した制御装置4のA/D変換部43に代えて電流検出回路45を備えること以外は、制御装置4と同じ構成である。以下、実施の形態1とは異なる電流検出回路45とその処理について説明する。電流検出回路45は、パラメータ生成部に相当する。
【0055】
電流検出回路45は、第4抵抗484を含んで構成され、第4抵抗484を流れる電流I1を検出し、その電流値をパラメータとして検出部441に出力する。ここで、例えば、位置P1において検出用信号線28が断線すると、第1抵抗281には電流が流れなくなり、電流値が変化する。
【0056】
本実施の形態2において、検出部441は、電流検出回路45から取得した電流値に基づいて、検出用信号線28の断線の有無を検出する。その後、判定部442は、検出部441によって断線が生じていることが検出されると、断線部位を判定する。この際、検出部441及び判定部442の処理は、上述した実施の形態1の電圧値を電流値に読み替えた処理となる。基準電流値や、断線の有無を判定する閾値は、合成抵抗が第1抵抗481~第3抵抗483によって決まる場合の電流値や、その変化量に基づいて設定される。
【0057】
上述した実施の形態2は、撮像素子241と制御装置4との間に延びる信号伝送ケーブル(光ファイバ225、243)や、制御信号伝送線、同期信号伝送線等の、内視鏡2に延設される伝送部材よりも断線しやすい検出用信号線28を設け、判定する推定部位に応じて複数の抵抗を接続し、合成抵抗の変化による電流値の変化から、検出用信号線28の断線部位を推定するようにしたので、検出用信号線28の断線の判定結果から、内視鏡2から制御装置4にかけて延設される伝送部材において断線しそうな部位を事前に推定することができる。伝送部材において断線部位を把握することによって、断線部位に応じて無駄に装置を分解せずにメンテナンスを実施することができる。
【0058】
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3について説明する。図5は、本発明の実施の形態3にかかる医療用観察システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態3は、上述した実施の形態1の制御装置4に代えて制御装置4Bを備える。制御装置4Bは、上述した制御装置4の構成に加え、電流検出回路45をさらに備えること以外は、制御装置4と同じ構成である。以下、実施の形態1、2で説明したA/D変換部43と電流検出回路45との両方を備える構成における処理について説明する。
【0059】
A/D変換部43及び電流検出回路45は、上述したように、電圧値及び電流値をそれぞれ出力する。
検出部441は、電圧値又は電流値を用いて、検出用信号線28の断線の有無を検出する。また、判定部442は、検出部441によって断線が生じていることが検出されると、断線部位を判定する。この際、検出部441及び判定部442が使用するパラメータは、予め設定される。例えば、処理を実施する際の状態や、使用環境等によって、ユーザが適宜設定するようにしてもよい。また、装置起動時や、起動後によって、使用するパラメータを変更するように設定してもよい。また、一方のパラメータをメインの判定処理用のパラメータとして設定し、その判定の確認(再現)用の処理に用いるパラメータとして他方のパラメータを設定してもよい。
【0060】
上述した実施の形態3は、実施の形態1、2と同様に、撮像素子241と制御装置4との間に延びる信号伝送ケーブル(光ファイバ225、243)や、制御信号伝送線、同期信号伝送線等の、内視鏡2に延設される伝送部材よりも断線しやすい検出用信号線28を設け、判定する推定部位に応じて複数の抵抗を接続し、合成抵抗の変化によるパラメータ(電圧値又は電流値)の変化から、検出用信号線28の断線部位を推定するようにしたので、検出用信号線28の断線の判定結果から、内視鏡2から制御装置4にかけて延設される伝送部材において断線しそうな部位を事前に推定することができる。伝送部材において断線部位を把握することによって、断線部位に応じて無駄に装置を分解せずにメンテナンスを実施することができる。
【0061】
また、上述した実施の形態3は、電圧値及び電流値を取得するため、断線以外の要因を想定することができる。本実施の形態3において、例えば、電圧値が高いものの、電流値が低い場合、断線以外の故障要因を想定し、その想定結果を出力してもよい。このように、断線以外の要因判定にも適用することができる。
【0062】
(実施の形態4)
続いて、本発明の実施の形態4について説明する。図6は、本発明の実施の形態4にかかる医療用観察システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態4は、上述した実施の形態1のA/D変換部43、検出部441、判定部442及び情報生成部443が、内視鏡2側に設けられ、検出用信号線28に代えて検出用信号線28Aを備える。本実施の形態4に係る制御部44は、上述した断線判定処理を実行するブロックを有しない構成となる。
【0063】
検出用信号線28Aは、A/D変換部43、検出部441、判定部442及び情報生成部443が、内視鏡2側に設けられることによって、上述した第3抵抗483及び第4抵抗484は有しない構成となる。
【0064】
また、A/D変換部43、検出部441、判定部442及び情報生成部443の処理は、上述した実施の形態1と同様である。具体的には、A/D変換部43は、検出用信号線28Aから入力されたアナログの信号をデジタル信号に変換し、入力された信号の電圧値(デジタル信号)を生成する。検出部441は、A/D変換部43から入力された電圧値又は電流値を用いて、検出用信号線28Aの断線の有無を検出する。また、判定部442は、検出部441によって断線が生じていることが検出されると、検出用信号線28Aにおける断線部位を判定する。情報生成部443は、判定部442の判定結果に基づいて、断線に関する情報を生成する。
【0065】
上述した実施の形態4は、実施の形態1と同様に、撮像素子241と制御装置4との間に延びる信号伝送ケーブル(光ファイバ225、243)や、制御信号伝送線、同期信号伝送線等の、内視鏡2に延設される伝送部材よりも断線しやすい検出用信号線28Aを設け、判定する推定部位に応じて複数の抵抗を接続し、合成抵抗の変化によるパラメータ(電圧値)の変化から、検出用信号線28Aの断線部位を推定するようにしたので、検出用信号線28の断線の判定結果から、内視鏡2から制御装置4にかけて延設される伝送部材において断線しそうな部位を事前に推定することができる。伝送部材において断線部位を把握することによって、断線部位に応じて無駄に装置を分解せずにメンテナンスを実施することができる。
【0066】
また、上述した実施の形態4は、内視鏡2側において、合成抵抗の変化によるパラメータ(電圧値)の変化から、検出用信号線28Aの断線部位を推定するようにしたので、制御装置4側の負荷を軽減することができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態4は、上述した実施の形態2、3とも組み合わせて構成することができる。また、実施の形態4において、情報生成部443を制御装置4(制御部44)側に配置してもよいし、判定部442及び情報生成部443を制御装置4(制御部44)側に配置してもよいし、検出部441、判定部442及び情報生成部443を制御装置4(制御部44)側に配置してもよい。
【0068】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態1~3では、軟性の内視鏡を例に説明したが、硬性の内視鏡に適用してもよいし、所定の視野領域を拡大して撮像し、撮像した画像を表示する機能を有する手術用顕微鏡システム(医療用画像取得システム)にも適用できる。硬性の内視鏡の場合、内視鏡が挿入部21に、カメラヘッドが操作部22にそれぞれ相当する。
【0069】
なお、本実施の形態1~4では、撮像素子241から出力された信号を光信号に変換し、光ファイバを介して伝送する構成を例に説明したが、これに限らず、例えば電気信号を伝送する構成としてもよい。電気信号を伝送する場合は、光ファイバに代えて、電気信号を伝送する信号線が設けられる。
【0070】
また、本実施の形態1~4にかかる制御装置、並びに、他の構成部で実行される各処理に対する実行プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0071】
以上のように、本発明にかかる内視鏡及び医療用観察システムは、断線しそうな部位を推定するのに有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 医療用観察システム
2 内視鏡
3 光源装置
4 制御装置
5 表示装置
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 先端部
25 湾曲部
26 可撓管部
27 コネクタ部
27a 第1コネクタ部
27b 第2コネクタ部
28、28A 検出用信号線
41 O/E変換部
42 画像処理部
43 A/D変換部
44 制御部
45 電流検出回路
281 第1抵抗
282 第2抵抗
283 第3抵抗
284 第4抵抗
441 検出部
442 判定部
443 情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6