IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-移動体検知システム 図1
  • 特許-移動体検知システム 図2
  • 特許-移動体検知システム 図3
  • 特許-移動体検知システム 図4
  • 特許-移動体検知システム 図5
  • 特許-移動体検知システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】移動体検知システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020049234
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149567
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 領
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】礒野 友輔
(72)【発明者】
【氏名】亢 健
(72)【発明者】
【氏名】夏目 充啓
(72)【発明者】
【氏名】神田 規史
(72)【発明者】
【氏名】田村 亮
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188820(WO,A1)
【文献】特開2007-300572(JP,A)
【文献】特開2012-221291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサユニットと、前記センサユニットと通信可能な第1サーバと、前記第1サーバと通信可能な第2サーバと、を備える移動体検知システムであって、
前記センサユニットは、車両に搭載されるか、道路に面した固定物に取り付けられ
前記センサユニットは、
移動体の位置を検出し、前記移動体の位置を表す位置情報を生成するように構成されたセンサと、
前記位置情報と、前記位置情報を生成した前記センサが有する識別情報とを含むセンサ情報を前記第1サーバに送信するように構成されたセンサ情報送信ユニットと、を備え、
前記第2サーバは、前記識別情報と、前記識別情報を有する前記センサの誤差の大きさを表す誤差情報とを対応付けた第2サーバデータベースを備え、
前記第1サーバは、
複数の前記センサユニットから複数の前記センサ情報を受信するように構成された第1サーバ受信ユニットと、
前記第1サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報のそれぞれについて、前記センサ情報に含まれる前記識別情報に対応する前記誤差情報を、前記第2サーバデータベースを用いて取得するように構成された誤差情報取得ユニットと、
前記第1サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報に含まれる複数の前記位置情報のそれぞれに重み付けを行い、重み付けされた複数の前記位置情報に基づき、前記移動体の位置を推定するように構成された位置推定ユニットと、を備え、
前記位置推定ユニットは、前記誤差情報取得ユニットが取得した前記誤差情報が表す前記誤差が小さいほど、前記誤差情報に対応付けられた前記識別情報を有する前記センサが生成した前記位置情報の重み付けを大きくするように構成された、
移動体検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体検知システムであって、
前記第1サーバは、前記第1サーバ受信ユニットが受信した前記センサ情報に含まれる前記識別情報と、前記誤差情報取得ユニットが前記第2サーバデータベースを用いて取得した前記誤差情報とを対応付けた第1サーバデータベースを作成するデータベース作成ユニットをさらに備え、
前記第1サーバ受信ユニットが受信した前記センサ情報に含まれる前記識別情報に対応付けられた前記誤差情報が前記第1サーバデータベースに存在する場合、前記誤差情報取得ユニットは、前記誤差情報を、前記第1サーバデータベースを用いて取得する、
移動体検知システム。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体検知システムであって、
前記誤差情報取得ユニットは、前記第1サーバデータベースに含まれる前記誤差情報のうち、前記第1サーバデータベースに加えられてからの期間が閾値以下である前記誤差情報を取得するように構成された、
移動体検知システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の移動体検知システムであって、
前記誤差情報取得ユニットは、前記第1サーバデータベースに含まれる前記誤差情報のうち、前記誤差情報取得ユニットによって取得された回数が閾値以下である前記誤差情報を取得するように構成された、
移動体検知システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の移動体検知システムであって、
前記第1サーバは、前記位置推定ユニットが推定した前記移動体の位置と、前記移動体の位置の推定に使用した前記位置情報の1つである特定位置情報との差に基づき、前記特定位置情報を生成した前記センサが有する前記識別情報に対応する前記誤差情報を作成するように構成された誤差情報作成ユニットをさらに備え、
前記第2サーバは、前記誤差情報作成ユニットが作成した前記誤差情報を用いて、前記第2サーバデータベースのうち、前記特定位置情報を生成した前記センサが有する前記識別情報に対応する前記誤差情報を更新するように構成されたデータベース更新ユニットをさらに備える、
移動体検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動体検知システムであって、
前記データベース更新ユニットは、前記誤差情報作成ユニットが作成した前記誤差情報のうち、前記誤差の大きさが閾値以下である前記誤差情報を用いて、前記第2サーバデータベースを更新するように構成された、
移動体検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は移動体検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に測距システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-258009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測距システムにおいて、以下の方法で移動体の位置を推定することが考えられる。複数のセンサでそれぞれ移動体の位置を検出する。複数のセンサの検出結果から、移動体の位置を推定する。
【0005】
センサの誤差の大きさはセンサごとに異なることがある。全てのセンサの検出結果を常に対等に扱うと、移動体の位置の推定精度が不十分になることがある。本開示の1つの局面では、移動体の位置の推定精度を向上させることができる移動体検知システムを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、複数のセンサユニットと、前記センサユニットと通信可能な第1サーバと、前記第1サーバと通信可能な第2サーバと、を備える移動体検知システムである。前記センサユニットは、道路上又は道路に面した位置に配置される。
【0007】
前記センサユニットは、移動体の位置を検出し、前記移動体の位置を表す位置情報を生成するように構成されたセンサと、前記位置情報と、前記位置情報を生成した前記センサが有する識別情報とを含むセンサ情報を前記第1サーバに送信するように構成されたセンサ情報送信ユニットと、を備える。
【0008】
前記第2サーバは、前記識別情報と、前記識別情報を有する前記センサの誤差を表す誤差情報とを対応付けた第2サーバデータベースを備える。
前記第1サーバは、複数の前記センサユニットから複数の前記センサ情報を受信するように構成された第1サーバ受信ユニットと、前記第1サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報のそれぞれについて、前記センサ情報に含まれる前記識別情報に対応する前記誤差情報を、前記第2サーバデータベースを用いて取得するように構成された誤差情報取得ユニットと、前記第1サーバ受信ユニットが受信した複数の前記センサ情報に含まれる複数の前記位置情報のそれぞれに重み付けを行い、重み付けされた複数の前記位置情報に基づき、前記移動体の位置を推定するように構成された位置推定ユニットと、を備える。
【0009】
前記位置推定ユニットは、前記誤差情報取得ユニットが取得した前記誤差情報が表す前記誤差が小さいほど、前記誤差情報に対応付けられた前記識別情報を有する前記センサが生成した前記位置情報の重み付けを大きくするように構成されている。
【0010】
本開示の1つの局面である移動体検知システムは、移動体の位置の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】移動体検知システムの構成を表すブロック図である。
図2】第1サーバの制御部の機能的構成を表すブロック図である。
図3】第2サーバの制御部の機能的構成を表すブロック図である。
図4】第1サーバが実行する処理を表すフローチャートである。
図5】第1サーバが実行する誤差情報取得処理を表すフローチャートである。
図6】第2サーバが実行する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.移動体検知システム1の構成
移動体検知システム1の構成を、図1図3に基づき説明する。図1に示すように、移動体検知システム1は、複数のセンサユニット3と、第1サーバ5と、第2サーバ7と、を備える。それぞれのセンサユニット3は、第1サーバ5と通信可能である。第2サーバ7は、第1サーバ5と通信可能である。
【0013】
センサユニット3は、道路上又は道路に面した位置に配置される。センサユニット3は、例えば、車両に搭載される。車両に搭載されることは、道路上に配置されることに対応する。センサユニット3は、例えば、道路に面した固定物に取り付けられる。道路に面した固定物に取り付けられることは、道路に面した位置に配置されることに対応する。
【0014】
図1に示すように、センサユニット3は、センサ9と、制御部11と、送受信機13と、を備える。センサ9は、移動体の位置を検出し、位置情報IAを生成する。移動体として、例えば、車両、歩行者、自転車等が挙げられる。センサ9として、例えば、カメラ、ライダー、レーザレーダ、ソナー等が挙げられる。位置情報IAは、検出した移動体の位置を表す情報である。制御部11は、センサユニット3が実行する処理を制御する。詳しくは後述する。送受信機13は、第1サーバ5と通信を行う。通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。制御部11及び送受信機13は、センサ情報送信ユニットに対応する。
【0015】
図1に示すように、第1サーバ5は、制御部15と、第1サーバデータベース17と、送受信機19と、を備える。制御部15は、CPU21と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ23とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0016】
制御部15の各機能は、CPU21が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ23が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部15は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0017】
制御部15は、図2に示すように、第1サーバ受信ユニット25と、誤差情報取得ユニット27と、位置推定ユニット29と、データベース作成ユニット31と、誤差情報作成ユニット33と、送信ユニット35と、を備える。
【0018】
第1サーバデータベース17は、識別情報IBと、誤差情報ICとを対応付けて記憶している。識別情報IBとは、センサ9を識別するための情報である。それぞれのセンサ9は、センサ9に固有の識別情報IBを有する。誤差情報ICとは、対応する識別情報IBを有するセンサ9の誤差を表す情報である。誤差情報ICは、例えば、誤差の大きさ等を含む。なお、第1サーバデータベース17は、後述するように、第1サーバ5が作成する。初期状態において、第1サーバデータベース17は、例えば、情報を記憶していなくてもよい。
【0019】
送受信機19は、センサユニット3と通信を行う。通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
第2サーバ7は、例えば、クラウドサーバである。図1に示すように、第2サーバ7は、制御部41と、第2サーバデータベース43と、を備える。制御部41は、CPU45と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ47とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0020】
制御部41の各機能は、CPU45が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ47が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部41は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。制御部41は、図3に示すように、誤差情報検索ユニット49と、データベース更新ユニット51と、を備える。
【0021】
2.センサユニット3が実行する処理
センサユニット3が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を説明する。複数のセンサユニット3は、それぞれ、同様の処理を実行する。センサユニット3は、センサ9を用いて移動体の位置を検出し、位置情報IAを生成する。センサユニット3は、位置情報IAと識別情報IBとを含むセンサ情報ISを生成する。センサ情報ISに含まれる識別情報IBは、同じセンサ情報ISに含まれる位置情報IAを生成したセンサ9が有する識別情報IBである。センサユニット3は、送受信機13を用いて、センサ情報ISを第1サーバ5に送信する。
【0022】
センサユニット3は、第1サーバ5から、移動体の位置を取得する。取得する移動体の位置は、後述する方法で第1サーバ5が推定したものである。センサユニット3は、取得した移動体の位置に応じて、所定の処理を実行する。例えば、センサユニット3が車両に搭載されている場合、センサユニット3は、車両に対し、移動体から退避する制御を指示する。また、センサユニット3は、車両のドライバに対し、移動体の存在を報知する。
【0023】
3.第1サーバ5が実行する処理
第1サーバ5が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を、図4図5に基づき説明する。図4のステップ1では、第1サーバ受信ユニット25が、複数のセンサユニット3から複数のセンサ情報ISを受信する。
【0024】
ステップ2では、誤差情報取得ユニット27が、番号iを初期化して1とする。番号iは、前記ステップ1で取得したセンサ情報ISに付ける番号である。ここでは、前記ステップ1でN個のセンサ情報ISを受信したとする。Nは2以上の自然数である。
【0025】
ステップ3では、誤差情報取得ユニット27が、番号iのセンサ情報ISについての誤差情報取得処理を実行する。この処理を、図5に基づき説明する。なお、以下では、番号iのセンサ情報ISを、センサ情報IS(i)とする。また、センサ情報IS(i)に含まれる位置情報IAを、位置情報IA(i)とする。また、センサ情報IS(i)に含まれる識別情報IBを、識別情報IB(i)とする。
【0026】
図5のステップ21では、識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが第1サーバデータベース17に存在するか否かを、誤差情報取得ユニット27が判断する。識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが第1サーバデータベース17に存在する場合、本処理はステップ22に進む。識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが第1サーバデータベース17に存在しない場合、本処理はステップ24に進む。
【0027】
ステップ22では、識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが、以下の取得条件J1及びJ2を充足するか否かを、誤差情報取得ユニット27が判断する。
J1:識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが第1サーバデータベース17に加えられた時点から現時点までの期間が閾値以下である。
【0028】
J2:識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが第1サーバデータベース17に加えられた時点以降に、識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICが後述するステップ23の処理で取得された回数が閾値以下である。
【0029】
J1及びJ2を充足する場合、本処理はステップ23に進む。J1又はJ2を充足しない場合、本処理はステップ24に進む。
ステップ23では、誤差情報取得ユニット27は、識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICを、第1サーバデータベース17を用いて取得する。
【0030】
ステップ24では、誤差情報取得ユニット27は、誤差情報要求を第2サーバ7に送信する。誤差情報要求は、識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICを送信することを要求するものである。第2サーバ7は、誤差情報要求に応じて、後述する処理により、誤差情報ICを送信する。誤差情報取得ユニット27は、誤差情報ICを受信する。上記の処理は、識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICを、第2サーバデータベース43を用いて取得することに対応する。
【0031】
ステップ25では、データベース作成ユニット31が、識別情報IB(i)と、前記ステップ24で取得した誤差情報ICとを、対応付けて第1サーバデータベース17に記憶する。ステップ25の処理は、第1サーバデータベース17を作成することに対応する。
【0032】
図4に戻り、ステップ4では、番号iがNであるか否かを誤差情報取得ユニット27が判断する。番号iがNではない場合、本処理はステップ5に進む。番号iがNである場合、本処理はステップ6に進む。
【0033】
ステップ5では、誤差情報取得ユニット27が、番号iを1だけ増す。その後、本処理はステップ3に進む。
ステップ6では、位置推定ユニット29が、以下のようにして移動体の位置Pを推定する。位置推定ユニット29は、位置情報IA(1)~IA(N)のそれぞれに、重み付けを行う。位置情報IA(i)に付けられる重みは、前記ステップ3の処理で取得された、対応する誤差情報ICが表す誤差が小さいほど、大きい。対応する誤差情報ICとは、位置情報IA(i)を生成したセンサ9の識別情報IB(i)に対応する誤差情報ICである。なお、iは1~Nのいずれかの自然数である。
【0034】
位置推定ユニット29は、重み付けされた複数の位置情報IA(1)~IA(N)に基づき、移動体の位置Pを推定する。位置推定ユニット29は、例えば、三点測量等の方法により、移動体の位置Pを推定する。
【0035】
ステップ7では、誤差情報作成ユニット33が、番号iを初期化して1とする。
ステップ8では、誤差情報作成ユニット33が、移動体の位置Pと、位置情報IA(i)との差に基づき、識別情報IB(i)に対応する新たな誤差情報IDを作成する。
【0036】
誤差情報IDは、位置情報IA(i)を生成したセンサ9の誤差の大きさを表す。誤差情報IDは、例えば、移動体の位置Pと、位置情報IA(i)との差に比例する誤差の大きさを表す。
【0037】
なお、識別情報IB(i)は、位置情報IA(i)を生成したセンサ9が有する識別情報IBである。位置情報IA(i)は、移動体の位置Pの推定に使用した位置情報IA(1)~IA(N)の1つである。位置情報IA(i)は特定位置情報に対応する。
【0038】
ステップ9では、番号iがNであるか否かを誤差情報作成ユニット33が判断する。番号iがNではない場合、本処理はステップ10に進む。番号iがNである場合、本処理はステップ11に進む。
【0039】
ステップ10では、誤差情報作成ユニット33が、番号iを1だけ増す。その後、本処理はステップ8に進む。ステップ8~10の処理のループにより、識別情報IB(1)~IB(N)のそれぞれについて、誤差情報IDが作成される。
【0040】
ステップ11では、送信ユニット35が、前記ステップ8~10の処理のループにより作成した誤差情報IDを、第2サーバ7に送信する。
ステップ12では、ステップ8~10の処理のループにより作成した誤差情報IDの中に、誤差の大きさが閾値より大きいものが存在するか否かを、誤差情報作成ユニット33が判断する。誤差の大きさが閾値より大きい誤差情報IDが存在する場合、本処理はステップ13に進む。誤差の大きさが閾値より大きい誤差情報IDが存在しない場合、本処理はステップ14に進む。
【0041】
ステップ13では、位置推定ユニット29が、位置情報IA(1)~IA(N)から、誤差の大きさが閾値より大きい誤差情報IDに対応するものを除外する。例えば、識別情報IB(j)に対応する誤差情報IDが表す誤差が閾値より大きい場合、位置推定ユニット29は、位置情報IA(1)~IA(N)から、位置情報IA(j)を除外する。jは1~Nのうちのいずれかの自然数である。
【0042】
次に、位置推定ユニット29は、除外されずに残った位置情報IAを用いて、前記ステップ6と同様の方法で移動体の位置Pを推定する。
ステップ14では、送信ユニット35が、移動体の位置Pをセンサユニット3に送信する。前記ステップ13の処理を実行した場合、送信する移動体の位置Pは、前記ステップ13の処理で推定したものである。前記ステップ13の処理を実行しなかった場合、送信する移動体の位置Pは、前記ステップ6の処理で推定したものである。
【0043】
4.第2サーバ7が実行する処理
第2サーバ7が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を、図6に基づき説明する。図6のステップ31では、誤差情報要求を受信したか否かを、誤差情報検索ユニット49が判断する。誤差情報要求は、前記ステップ24において第1サーバ5が送信するものである。誤差情報要求を受信した場合、本処理はステップ32に進む。誤差情報要求を受信しなかった場合、本処理はステップ34に進む。
【0044】
ステップ32では、誤差情報検索ユニット49が、前記ステップ31で受信した誤差情報要求に含まれる識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICを、第2サーバデータベース43において検索し、取得する。
【0045】
ステップ33では、誤差情報検索ユニット49が、誤差情報要求に含まれる識別情報IB(i)に対応付けられた誤差情報ICを、第1サーバ5に送信する。
ステップ34では、誤差情報IDを受信したか否かを、データベース更新ユニット51が判断する。誤差情報IDは、前記ステップ11において第1サーバ5により送信されたものである。誤差情報IDを受信した場合、本処理はステップ35に進む。誤差情報IDを受信しなかった場合、本処理は終了する。
【0046】
ステップ35では、受信した誤差情報IDが表す誤差の大きさが閾値以上であるか否かを、データベース更新ユニット51が判断する。閾値は、例えば、対応する識別情報IBが誤差情報IDと同じである誤差情報ICに基づき設定される。受信した誤差情報IDが表す誤差の大きさが閾値以下である場合、本処理はステップ36に進む。受信した誤差情報IDが表す誤差の大きさが閾値を超える場合、本処理は終了する。
【0047】
ステップ36では、データベース更新ユニット51が、受信した誤差情報IDを用いて、第2サーバデータベース43のうち、その誤差情報IDに対応する誤差情報ICを更新する。受信した誤差情報IDに対応する識別情報IBと、更新される誤差情報ICに対応する識別情報IBとは同じである。データベース更新ユニット51は、例えば、誤差情報ICを誤差情報IDにより置換する。置換後、誤差情報IDは、更新後の誤差情報ICとなる。前記ステップ34において複数の誤差情報IDを受信した場合、前記ステップ35~36の処理を、受信した誤差情報IDの数だけ繰り返す。
【0048】
5.移動体検知システム1が奏する効果
(1A)第1サーバ5は、複数の位置情報IAのそれぞれに重み付けを行い、重み付けされた複数の位置情報IAに基づき、移動体の位置Pを推定する。第1サーバ5は、誤差情報ICが表す誤差が小さいほど、位置情報IAの重み付けを大きくする。そのため、移動体検知システム1は、移動体の位置Pの推定精度を向上させることができる。
【0049】
(1B)第1サーバ5は、センサユニット3から受信したセンサ情報ISに含まれる識別情報IBと、第2サーバデータベース43を用いて取得した誤差情報ICとを対応付けた第1サーバデータベース17を作成する。
【0050】
第1サーバ5は、センサユニット3から受信したセンサ情報ISに含まれる識別情報IBに対応付けられた誤差情報ICが第1サーバデータベース17に存在する場合、誤差情報ICを、第1サーバデータベース17を用いて取得する。そのため、移動体検知システム1は、第1サーバ5と第2サーバ7との通信量を抑制できる。
【0051】
(1C)第1サーバ5は、第1サーバデータベース17に含まれる誤差情報ICのうち、第1サーバデータベース17に加えられてからの期間が閾値以下である誤差情報ICを取得する。そのため、移動体検知システム1は、第1サーバデータベース17に含まれる古い誤差情報ICを移動体の位置Pの推定に使用してしまうことを抑制できる。
【0052】
(1D)第1サーバ5は、第1サーバデータベース17に含まれる誤差情報ICのうち、前記ステップ23の処理で取得された回数が閾値以下である誤差情報ICを取得する。そのため、移動体検知システム1は、第1サーバデータベース17に含まれる古い誤差情報ICを移動体の位置Pの推定に使用してしまうことを抑制できる。
【0053】
(1E)第1サーバ5は、誤差情報IDを作成する。第2サーバ7は、誤差情報IDを用いて、第2サーバデータベース43に含まれる誤差情報ICのうち、誤差情報IDに対応する誤差情報ICを更新する。そのため、移動体検知システム1は、第2サーバデータベース43に含まれる誤差情報ICを一層正確なものにすることができる。
【0054】
(1F)第2サーバ7は、誤差情報IDのうち、誤差の大きさが閾値以下である誤差情報IDを用いて、第2サーバデータベース43を更新する。そのため、移動体検知システム1は、不正確な誤差情報IDが第2サーバデータベース43に影響を及ぼすことを抑制できる。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0055】
(1)本開示に記載の制御部15、41及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部15、41及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部15、41及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。制御部15、41に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0057】
(3)上述した移動体検知の他、当該移動体検知を構成要素とするさらに上位のシステム、当該制御部15、41としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、移動体検知方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1…移動体検知システム、3…センサユニット、5…第1サーバ、7…第2サーバ、
9…センサ、11…制御部、13…送受信機、15…制御部、17…第1サーバデータベース、19…送受信機、21…CPU、23…メモリ、25…第1サーバ受信ユニット、27…誤差情報取得ユニット、29…位置推定ユニット、31…データベース作成ユニット、33…誤差情報作成ユニット、35…送信ユニット、41…制御部、43…第2サーバデータベース、45…CPU、47…メモリ、49…誤差情報検索ユニット、51…データベース更新ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6