(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】弾性粒子を視覚的に検査するための検査装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20230808BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G01N21/85 A
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2020500807
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2018068382
(87)【国際公開番号】W WO2019011809
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-05-12
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516112462
【氏名又は名称】アランセオ・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-インゴルフ・パウル
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・ベンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒー・フェルカンメン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ファン・ローク
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-044634(JP,A)
【文献】特開平08-117692(JP,A)
【文献】米国特許第06305551(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0039856(US,A1)
【文献】実開昭59-124347(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
B07C 1/00 - B07C 99/00
B65G 47/00 - B65G 47/20
B65G 47/80
B65G 47/84 - B65G 47/86
B65G 47/90 - B65G 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒子を、水平方向に送り込むためのコンベアベルト(12)と、
前記コンベアベルト(12)の下流に配置され、重力により前記粒子を下方に落下させるための落下溝(14)と、
前記コンベアベルト(12)の下流に配置され、前記コンベアベルト(12)を離れる前記粒子の移動の水平方向の部分を止めるための少なくとも
2つのフラップ(16)と、
前記落下溝(14)の中に前記粒子が存在する場合に前記粒子の色および/またはサイズを検出するための検出システム(24)と、
を備え、
前記フラップ(16)は、水平方向に整列した前記粒子の運動エネルギーの少なくとも一部を消失させるために水平方向において弾性があり、弾性のある
少なくとも2つの前記フラップ(16)は、
前記粒子が少なくとも2つの前記フラップ間で跳ね返ることができるように、前記落下溝(14)に沿って延在する、弾性粒子を視覚的に検査するための検査装置。
【請求項2】
前記フラップ(16)は、鋼よりも高い弾性率を有する弾性材料から作製され、前記フラップ(16)は、張力がかけられたシート材料を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記フラップ(16)および/または前記落下溝(14)の内面は、非付着性材料および/または弾性材料を含むコーティングで被覆される、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検出システム(24)は、前記粒子を片側のみから検査するように適合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記落下溝(14)の溝壁(26)の少なくとも一部は、前記検出システム(24)から提供される検査光(20)に対して反射性があり、前記反射性の溝壁(26)は、前記落下溝(14)への前記検査光(20)の入口に対向するように設けられる、請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検出システム(24)から提供される検査光(20)は、放出開口を通って光生成器(22)を出て行き、前記放出開口と、前記検査光(20)が前記落下溝(14)へ入る際に通る入口と、の間の前記検査光(20)の光路は、前記放出開口への粒子の侵入を阻止するためのダストシールド(36)によって少なくとも部分的に覆われる、請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
粒子を偏向させるための保護偏向手段(30)が、前記検査装置の高さ方向において前記放出開口と収集容器(28)との間に設けられる、請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
少なくとも1つの収集容器(28、34)が前記落下溝(14)の下流に設けられ、前記収集容器(28、34)の最大充填レベルと前記収集容器(28、34)の上縁との間の距離は、前記落下溝(14)の全高の距離を落下し前記最大充填レベルまで到達した後、前記最大充填レベルにおける粒子の配置から跳ね返る粒子の最大の高さより大きい、請求項1から7のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項9】
前記最大充填レベルと前記上縁との間の前記収集容器(28、34)の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜される、請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記コンベアベルト(12)は、前記コンベアベルト(12)上で前記粒子を揺するための振動ユニットを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項11】
大きすぎる粒子を分離するための選り分けグリッドが設けられ、前記選り分けグリッドは、前記コンベアベルト(12)の上流に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の検査装置(24)に弾性粒子が送り込まれ、
前記弾性粒子の形状および/または色が前記落下溝(14)の内部で検査され、
一セットの所定のパラメータの範囲内にある、または前記所定のパラメータの範囲外の形状および/または色の粒子は、前記粒子の落下経路からこれら粒子を偏向させることによって選り分けられる、弾性粒子を検査するための方法。
【請求項13】
前記粒子は、ブチルゴムで作製される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子は、DIN ISO 7619-1に従って23℃で40≦h≦85のショアAの硬度hを有する、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に粒子の特有の形状および/または色を守るために、弾性粒子を視覚的に検査することができる検査装置および方法を対象とする。粒子は、表面汚染がないか検査されてもよい。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、望ましくない製品を取り除くために、グリーンビーンズまたはナッツなどの食品を視覚的に検査することができる検査装置を開示している。検査装置は、食品を落下溝に移動させるコンベアベルトを備え、この落下溝で食品の形状および色を検出するために、2つの対向する側から食品がスキャンされる。望ましくない製品は、排除システムを利用して取り除かれる。
【0003】
ブチルゴムが製造される際、ブチルゴムは、重合プロセスの後、異なるサイズの小片の形態で存在する。このようなブチルゴム粒子は粘着性であるため、複数の粒子が凝塊して極めて大きな粒子になり、このような大きな粒子は、その後の処理工程において問題につながる可能性がある。さらに、一部の粒子が正しく重合化されない場合もあり、これもまたその後の処理工程において問題につながる可能性がある。正しく重合化されなかった粒子は、正しく重合化された粒子とは異なる色を有する。よって、複数のブチルゴム粒子から望ましくないブチルゴム粒子を選り分ける永続的な要望がある。
【0004】
しかしながらブチルゴム粒子は極めて弾性であるため、ブチルゴム粒子に力が加わったとき、ブチルゴム粒子が跳ね返って予測できない方向にそれることが多い。そのような理由のために、特許文献1および特許文献2に開示されるような検査装置は、弾性のブチルゴム粒子がスキャン工程中に予想外に跳ね返ってスキャン軌道からそれることで、排除システムが要求される正確な回収率で特定の粒子を取り除くことができないため、望ましくない弾性のブチルゴム粒子を選り分けるのには適さないと分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第2 671 651号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2 468 426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた精度で視覚的検査において複数の弾性粒子から望ましくない粒子を選り分けることを可能にする方策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的の解決策は、本発明によれば、請求項1の特徴による検査装置によって、ならびに請求項13による方法によって提供される。本発明の好ましい実施形態は、独立クレームおよび以下の説明によって提供され、これらは、各々単独で、または組み合わせて本発明の態様を構成することができる。
【0008】
本発明によって、複数の粒子を主に水平方向に送り込むためのコンベアベルトと、コンベアベルトの下流に配置され、重力により粒子を下方に落下させる落下溝と、コンベアベルトの下流に配置され、コンベアベルトを離れる粒子の移動の水平方向の部分を止めるための少なくとも1つのフラップとを備え、少なくとも1つのフラップは、水平方向に整列した粒子の運動エネルギーの少なくとも一部を、特にその大半を消失させるために水平方向に弾性である、弾性粒子を視覚的に検査するための検査装置が提供される。
【0009】
粒子は、コンベアベルトを利用して移動される。粒子の勢いが理由で、粒子がコンベアベルトの端部に達したとき、粒子は、コンベアベルトから離れ、フラップにぶつかる。特に少なくとも1つのフラップが落下溝の上流に配置され、特に、少なくとも落下溝の大部分の上流に、または好ましくは落下溝の出口の上流に配置される。フラップのその弾性挙動により、そのフラップは、粒子の運動エネルギーによって弾性的に変形されてよく、その結果粒子の運動エネルギーの少なくとも一部は、変形するフラップによって消失されてよい。弾性フラップは、粒子の移動を減衰させる、および/またはコンベアベルトの移動によって活発になった粒子の勢いを抑えることができる。それぞれの粒子は、水平方向に著しく跳ね返ることなく、主に垂直方向にフラップから滴るように落ちてよい。好ましくは、複数のフラップが設けられることで、それぞれの粒子は、2つのフラップおよび/または落下溝壁と、同一のまたは少なくとも1つの別のフラップとの間をジグザグのコースで跳ね返ってよい。粒子がフラップに接触する度に、水平方向に向けられた粒子の運動エネルギーの少なくとも一部を消失させることができ、その結果粒子は、少なくとも1つのフラップまたは複数のフラップのシケインを離れるとき、主に垂直方向に下方に落下してよい。特に落下溝の少なくとも1つの壁、好ましくは全ての壁は、水平方向に整列した粒子の運動エネルギーの少なくとも一部を、特にその大半を消失させるために、水平方向に弾性である、および/または弾性材料を含んでおり、その結果、落下溝自体も、水平方向の粒子の跳ね返りを減衰させてよい。フラップを利用して、弾性粒子、特にブチルゴム粒子は、予測不能な跳ね返りを生じることなく主たる水平方向の移動から主たる垂直方向の移動への曲線を成し遂げることが可能であり、その結果、粒子が跳ね返って検出システムのスキャン軌道からそれることはない。排除システムを備えてもよい偏向手段が、検出システムによって識別された特定の粒子をより高い精度で取り除いてもよい。偏向手段、特にエアガンが識別された粒子を見落としたり、さらには間違った粒子に命中したりするリスクが低下する。検査装置は、その内容が本発明の一部としてここに組み込まれる特許文献1および特許文献2に記載されるようにさらに設計されてもよい。弾性の伸縮性フラップのおかげで、極めて弾性の、および/または粘着性の粒子に対して、剛体の非粘着性の非伸縮性の粒子のみに適した検査装置を利用することが可能である。弾性フラップにより、弾性粒子の水平方向の跳ね返りが抑えられ、その結果、優れた精度で視覚的検査において複数の弾性粒子から望ましくない粒子を選り分けることが可能になる。
【0010】
特に、フラップに対する粒子の非弾性衝突の分量は、フラップに対する粒子の弾性衝突の分量を上回る。弾性粒子とフラップの衝突は、弾性衝突と非弾性衝突が混ざったものであってもよい。非弾性衝突がより大きいことに起因して、粒子の運動エネルギーの大半をフラップによって吸収することができる。例えば、粒子の運動エネルギーのかなりの量は、フラップのひずみエネルギーおよび/または摩擦に変換されてよい。
【0011】
好ましくは、フラップは、鋼よりも高い弾性を有する弾性材料から作製され、フラップは特に、張力がかけられたシート材料を含み、特に、織物に提供されるゴム材料および/またはプラスチック材料を含む。フラップは、粒子の運動エネルギーのかなりの量を消失させるために十分に柔軟であってよい。フラップは、互いから離れるように向いている2つの端部においてピンと張られてよく、特定の弾性挙動および/または減衰挙動は適用される張力によって調節されてよい。
【0012】
特に好ましいフラップおよび/または落下溝の内面は、非付着性材料および/または弾性材料、特にシリコンワニスを含むコーティングで被覆される。このようなコーティングのおかげで、粘着性の粒子でも検査装置によって処理することができる。特にフラップおよび/または落下溝壁における粘着性の粒子の凝塊が阻止されてよく、その結果、装置の詰まりが回避される。特に好ましいコーティングは、シリコン層で被覆されたクロム層を含む。このようなコーティングは、ブチルゴム粒子が検査装置に送り込まれる場合、テフロン(登録商標)コーティングと比べてより優れたテスト結果を示す。非付着性材料は、例えばプラズマ溶射を利用して、落下溝壁などの指定された基板に塗布されるNi-Cr合金を含んでよい。合金および/またはフラップの材料の上にセラミックプライマーが形成される場合もあり、その場合、多層の非付着性材料を形成するために、セラミックプライマーの上に剥離材、特に熱架橋シリコーンが提供される。セラミックプライマーは、Ni-Cr合金と剥離材との間、またはフラップの材料と剥離材との間に接着剤を提供し得る。Ni-Cr合金、セラミックプライマーおよび/または剥離材のコーティングの厚さは、100μm~175μmであってよい。
【0013】
特に落下溝の中で粒子の色および/またはサイズを検出するための検出システムが設けられ、検出システムは、粒子を片側のみから検査するように適合されている。検出システムは、粒子をスキャンするためのレーザまたは他の光生成器と、粒子によって反射される光を検出するための光検出器とを備えてよい。光検出器の信号は、画像評価システムで分析されてよく、それによって粒子のサイズおよび/または色が判定されてよい。分析されたデータが一セットの事前定義された範囲外にあるパラメータを示した場合、それぞれの粒子は、残りの粒子から選り分ける必要がある望ましくないものとして制限されてよい。このようなケースでは、偏向手段、特にエアガンは、望ましくない粒子に対して水平方向の力を加えてよく、その結果望ましくない粒子を残りの粒子と異なる場所に集めることができる。フラップが、弾性粒子の予測不能な跳ね返りを阻止するため、弾性粒子の別の軌道を検出システムによって容易に計算することができ、その結果、偏向手段が、より高い精度で正確な粒子を見つけることができる。弾性粒子の別の軌道を特定するための検出システムの計算作業が軽減されてよく、その結果より短い応答時間が可能である。このことにより、望ましくない粒子が選り分けられるまでの弾性粒子に関して落下の高さをより短くすることが可能になる。驚くべきことに、落下する弾性粒子を片側のみから検査するだけで十分であり、そのため反対側から粒子を検査するための第2のシステムを省略することができる。ブチルゴム粒子が、正しく重合化されなかった場合、この粒子の色は主に均一であり、そのため、片側で色を検出するだけで十分である。1つの粒子のうちで2つの側に異なる色がついた事例は、通常は起こらない。さらにブチルゴム粒子は、プレート状の形状ではなく、より球体形状に基づいている。よって、1つの粒子の全体の三次元形状を求める必要はない。代わりに、十分な精度で全体の粒子のサイズを推定するために、1つのスキャン面の中の粒子のサイズを求めるだけで十分である。2つ以上の異なる画像の比較を省略することができるため、粒子のサイズおよび/または色の判定は、かなり容易になり、促進される。このことにより、望ましくない粒子が選り分けられるまでの弾性粒子に関する落下の高さをより短くすることが可能になる。必要な落下の高さが縮小されることで、弾性粒子がその下方移動の終わりに地面にぶつかる際、弾性粒子の意図しない場所への跳ね返りを阻止するために使用することができる追加の構築スペースが与えられる。
【0014】
好ましくは、落下溝の溝壁の少なくとも一部は、検出システムから提供される検査光に対して反射性であり、反射性の溝壁は、落下溝への検査光の入口に対向するように設けられる。粒子は片側のみから検査されるため、対向する側は、検出システムによる光に対してミラーのように設計されてよい。検出は、粒子のサイズおよび/または色を判定するために、粒子によって反射される光を溝壁から反射される光と比較することが可能である。溝壁から反射される光は、基準光として使用されてもよく、その結果検出システムは、異なる、および/または変化する照明状況でも十分に動作可能であってよい。検出システムによって行われるエラーのリスクが低減されてよい。
【0015】
検出システムから提供される特に好ましい検査光は、放出開口を通って光生成器を出て行き、放出開口と落下溝への入口との間の検査光の光路は、放出開口への粒子の侵入を阻止するためのダストシールドによって少なくとも部分的に覆われる。例えば粒子の摩耗により、極めて微細な塵粒がフラップ上に発生する場合がある。塵粒は、検出システムによって放出される検査光の熱によって生成される熱を上昇させる風を利用して重力に逆らうように塵粒を運ぶことができるような低重量を有してよい。ダストシールドは、塵粒が放出開口を通って検出システムの光学系に侵入するのを阻止する。さらに、検査光の光路を横断する塵粒のシャドウイング作用が阻止されることで、塵粒の発生によって検出システムの精度が低下することはない。万一そうなった場合、ダストシールドの外面が粘着性の塵粒の凝塊によって詰まる可能性はあるが、放出開口および/または落下溝への検査光の入口が、粘着性の塵粒の凝塊によって著しく狭くなることはない。検査装置を清掃するための2回のメンテナンスの間の期間は間を空けることができ、このことは、検査装置の稼働時間を増加させる。
【0016】
特に、粒子を偏向させるための保護偏向手段、特にエアガンが放出開口とダストシールドとの間に設けられる。保護偏向手段は、塵粒を放出開口から離して、および/または落下溝への検査光の入口から離して維持してよい。保護偏向手段は、検査光のための照明条件を光学的に妨害することなく、塵粒を離すように偏向させるための力を提供するように適合されている。
【0017】
好ましくは少なくとも1つの収集容器が落下溝の下流に設けられ、収集容器の最大充填レベルと収集容器の上縁との間の距離は、落下溝の全高の距離を落下し最大充填レベルまで到達した後、最大充填レベルにおける粒子の配置から跳ね返る粒子の最大の高さより大きい。弾性粒子の高い弾性により、弾性粒子は地面にぶつかったとき跳ね返る可能性があるという見識が利用される。最大充填レベルに比べて有意にサイズが大きい収集容器のおかげで、収集容器に落下する弾性粒子は、収集容器から再度流出したり、収集容器の上縁を越えて跳ね返ることはない。通常、望ましい粒子を収集するための収集容器と、望ましくない粒子を収集するための収集容器が、横並びに、特に、分割壁を介して配置される。収集容器のうちの少なくとも一方の高さにより、一方の収集容器の粒子が跳ね返って他方の収集容器に入る可能性が阻止される。検出システムおよび偏向手段の下流の位置での望ましくない粒子を選り分けるための精度の低下が回避される。収集容器はその底部に、特にコンベアを送り込むための開口を備えてよく、そこで粒子は別の処理ステップへと運ばれる。
【0018】
特に好ましい最大充填レベルと上縁との間の収集容器の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜される。収集容器は、湾曲したコースを有してよく、その結果、跳ね返る弾性粒子は、収集容器の上部壁にぶつかってよい。弾性粒子は、収集容器の傾斜した部分の上部壁と下部壁との間をジグザグのコースを形成するように跳ね返ることで、弾性粒子が、最大充填レベルを通過する前に収集容器の壁にぶつかった場合でも跳ね返って収集容器から外に出ることはない。
【0019】
特に、コンベアベルトは、コンベアベルト上で粒子を揺するための振動ユニットを備える。コンベアベルトの振動は、コンベアベルト上に配置された粘着性の弾性粒子の凝塊を阻止してよい。凝塊した粒子は、意図したサイズを有し得るより小さい粒子になるように砕かれてよい。凝塊した粒子をより小さい粒子に砕くことができない場合、この凝塊した粒子は選り分けられてよい。但し、振動ユニットが凝塊を阻止する場合、または凝塊した粒子を砕く場合、望ましくない粒子の総数および排除される廃棄物の総数が削減されてよい。
【0020】
好ましくは、大きすぎる粒子を分離するための選り分けグリットが設けられ、特に、選り分けグリットは、コンベアベルトの上流に配置される。選り分けグリットは、くっつき合う弾性粒子のより大きな凝塊粒子を、選り分けグリットを通過することができるより小さい粒子になるように砕いてよい。大きな粒子をより小さい粒子に砕くことができない場合、このような粒子は、検出システムを利用してこの粒子を取り除く必要なしに、選り分けグリットを利用して取り除くことができる。偏向システムに極めて大きな重い粒子を選り分けるために十分な力がない場合のリスクが回避される。極めて大きな粒子が主に垂直方向の落下溝を塞ぐ、および/または閉鎖するリスクが回避され、これによりメンテナンス間隔の間の検出デバイスの連続稼働時間を増大させる。
【0021】
本発明は、視覚的検査において複数の弾性粒子から望ましくない粒子を選り分けるために、先に説明したように設計され得る検査装置の利用をさらに対象とする。弾性フラップにより、弾性粒子の水平方向の跳ね返りが抑えられ、その結果、優れた精度で視覚的検査において複数の弾性粒子から望ましくない粒子を選り分けることが可能になる。
【0022】
本発明は、弾性粒子を検査するための方法をさらに対象とし、そこでは、先に説明したように設計され得る検査装置に弾性粒子が送り込まれ、弾性粒子の形状および/または色が落下溝の内部で検査され、一セットの所定のパラメータの範囲内にある、またはそれを超える形状および/または色の粒子は、粒子の落下経路からこのような粒子を偏向させることによって選り分けられる。弾性フラップのおかげで、弾性粒子の水平方向の跳ね返りが抑えられ、その結果、優れた精度で視覚検査において複数の弾性粒子から望ましくない粒子を選り分けることが可能になる。
【0023】
特に粒子は、ブチルゴム(IIR)で作製され、特にハロゲン化ブチルゴムで作製される。代替形態では、粒子は、BR、SSBR、NdBR、LiBR、EPDMまたは同様の弾性材料および/または粘着性材料および/または吸湿性材料から作製されてもよい。特に特有の非付着性コーティングと組み合わせたフラップの特有の設計のおかげで、そのような弾性粒子および/または粘着性の粒子でも、短い期間の中で詰まるリスクなしに検査装置に送り込むことができる。
【0024】
好ましくは粒子は、DIN ISO 7619-1に従って23℃で40≦h≦85のショアAの硬度hを有する。フラップの特有の設計により、そのような弾性粒子の落下溝の内部での跳ね返りは有意に抑えられ、その結果、検査装置のスキャン軌道から外れる粒子の跳ね返りが阻止されてよい。
【0025】
本発明のこのようなおよび他の態様は、以下に説明する実施形態から明白であり、そのような実施形態を参照して解明されるようになり、記載される特徴は、単独で、または組み合わせて本発明の独立した態様を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に例示されるような検査装置10は、弾性粒子を落下溝14に送り込むコンベアベルト12を備える。落下溝14は、複数の弾性フラップ16を備え、これらは、弾性粒子が跳ね返って水平方向にそれることなく、少なくともフラップ16の一部に接触した後、下方に落下するような方法で弾性粒子を停止させるために水平方向に弾性である。弾性粒子の軌道18は、弾性フラップ16を利用してコンベアベルト12上の水平方向から落下溝14の内部の概ね垂直方向に曲げることができる。
【0028】
弾性粒子は、レーザ検査光20によって落下溝14の内部で、または落下溝14を離れた後、片側のみからスキャンされる。検査光20は、検出システム24の光生成器22内で生成される。検査光20は、弾性粒子によって、および/または落下溝14の反射性の溝壁26によって反射される。反射された光は、例えば光電池および/またはカメラを利用して検出システム24によって検出することができ、その結果、弾性粒子の色および/または形状を判定することができる。検査後の弾性粒子が許容可能である場合、弾性粒子は、許可された弾性粒子を収集するための収集容器28の中へとさらに落下する。検査後の弾性粒子が許容できない場合、エアガンの形態の偏向手段30が、水平方向に力を与え、弾性粒子の軌道18を偏向された軌道32に変更し、その結果、排除された弾性粒子は、許容された弾性粒子から取り除く必要のある排除された弾性粒子を収集するための別の収集容器34の中に落下する。収集容器28、34は、その底部において開放することで、収集された粒子は、粒子を別の処理ステップに運ぶための別のコンベアの上に落下してよい。
【0029】
例えば弾性粒子の摩耗により、極めて微細な塵粒がフラップ16上に発生する場合がある。光生成器22ならびに検出システム24の検出手段は、検査光20より上に配置されたダストシールド36を利用して、このような塵粒の侵入から保護される。特にダストシールド36は、検査光20の光路に沿って突き出してよい。
【符号の説明】
【0030】
10 検査装置
12 コンベアベルト
14 落下溝
16 フラップ
18 粒子の軌道
20 レーザ検査光
22 光生成器
24 検出システム
26 溝壁
28 収集容器
30 偏向手段
32 偏向された粒子の軌道
34 収集容器
36 ダストシールド