(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)の選択的阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07H 19/14 20060101AFI20230808BHJP
C07H 19/167 20060101ALI20230808BHJP
A61K 31/7064 20060101ALI20230808BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20230808BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230808BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230808BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230808BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230808BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230808BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
C07H19/14 CSP
C07H19/167
A61K31/7064
A61K31/7076
A61K45/00
A61P7/00
A61P7/06
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020523354
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 US2018057813
(87)【国際公開番号】W WO2019084470
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520047554
【氏名又は名称】プレリュード セラピューティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】フアン ルエンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ホン リン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ホーキンズ
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/032840(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/135582(WO,A1)
【文献】特表2006-503020(JP,A)
【文献】国際公開第2017/153186(WO,A1)
【文献】HERFORTH, C. et al.,Antimalarial Activity of N6-Substituted Adenosine Derivatives (Part 2),Journal of Combinatorial Chemistry,2002年,Vol.4, No.4,pp.302-314
【文献】JI, X. et al.,Expanding Radical SAM Chemistry by Using Radical Addition Reactions and SAM Analogues,Angewandte Chemie International Edition,2016年,Vol.55, No.39,pp.11845-11848
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/00
A61K 31/00
A61P 35/00
A61P 43/00
A61P 7/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I
の化合物:
【化1】
{式中、
AはN、C-HまたはC-R
4であり、ここで、R
4はハロまたはC
1-C
6ハロアルキルであり;
R
2はハロ、-C
1-C
6アルキル、-C
2-C
4アルケニル、-C
1-C
6alk-OH、-C
1-C
6alk-ハロ、-C
1-C
6alk-O-C
1-C
6アルキル、-C
1-C
6alk-O-C
1-C
6alk-アリール、-O-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHC(O)NR
5R
5’、-NHC(S)NR
5R
5’、-NH-O-R
5、または-NH-NR
5R
5’であり;
R
3はH、ハロ、NH
2、または-C
1-C
6アルキルであり;
R
5とR
5’はそれぞれ独立に、H、C
1-C
6アルキル、または-C
1-C
6alk-OC
1-C
6アルキルであるか;または
R
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキル環を形成し;および
R
6はHまたは-C
1-C
6アルキルであ
り;
R
1
は、-CH
2
-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH
2
-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH
2
-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH
2
)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH
2
)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH
2
)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH
2
-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH
2
-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH
2
-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH
2
-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH
2
-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH
2
-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(F)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(F)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(F)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(F)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(NH
2
)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH
2
)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH
2
)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(NH
2
)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(NH
2
)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6)
,2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(NH
2
)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(Me)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(Me)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(Me)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(Me)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であるか;または
R
1
は、-CH
2
-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(OH)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(F)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(NH
2
)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(Me)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)であるか、または
R
1
は、-CH
2
-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(F)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(NH
2
)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(Me)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)である}、または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物。
【請求項2】
R
2が
-Clであるか、または
R
2が
メチル、ブチル、またはイソプロピルであるか、または
R
2が
ビニルまたはイソプロペニルであるか、または
R
2が
-CH
2OHまたは-CH
2CH
2OHであるか、または
R
2が
-CH
2Clまたは-CH
2Fであるか、または
R
2が
-CH
2-O-CH
2CH
3または-CH
2CH
2-O-CH
3であるか、または
R
2が
-CH
2CH
2-O-CH
2-フェニルであるか、または
R
2が
-OCH
3であるか、または
R
2が-NR
5R
5’であり、かつ、R
5とR
5’が共にHであるか、または
R
2が-NR
5R
5’であり、ならびにR
5がメチルでありおよびR
5’がHであるか、または
R
2が-NH-O-R
5であり、かつ、R
5がHまたはC
1-C
6アルキルであるか、または
R
2が-NHC(O)NR
5R
5’であり、かつ、R
5とR
5’がそれぞれC
1-C
6アルキルであるか、または
R
2が-NHC(O)NR
5R
5’であり、かつ、R
5とR
5’が、それらが結合されている原子と一緒にC
2-C
6ヘテロシクロアルキル環を形成する、
請求項1
に記載の化合物。
【請求項3】
R
3がHである、請求項1
または2に記載の化合物。
【請求項4】
AがNであるか、または
AがC-Hであるか、または
AがC-R
4であり、かつ、R
4がFまたは-CF
3である、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
6がHであるか、または
R
6が-CH
3である、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)酵素を阻害する方法において使用するための、請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物であって、前記方法が、PRMT5酵素を、有効量の請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物と接触させることを含む、医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象の異常なPRMT5活性に関連する疾患または障害を治療する方法において使用するための、請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項9】
異常なPRMT5活性に関連する前記疾患または障害が、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、白血病、
急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞性白血病、骨髄形成異常、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、マスト細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)
、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、類表皮癌、または異常ヘモグロビン症、
b-サラセミアや鎌状赤血球貧血(SCD)
;CDKN2A欠失癌、9P欠失癌、MTAP欠失癌、多形膠芽腫(GBM)、
非小細胞肺癌(NSCLC
)、頭頚部癌、膀胱癌、または肝細胞癌腫である、請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記化合物が、1もしくは複数の他の剤と組み合わせて投与される、請求項
8または
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物が、以下の化合物:
【化2】
または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、以下の化合物:
【化3】
または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物である、請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記化合物が、以下の化合物:
【化4】
または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物である、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記化合物が、以下の化合物:
【化5】
または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物である、請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記化合物が、以下の化合物:
【化6】
または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物である、請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/577,448号および2018年5月4日に出願された米国仮特許出願第62/666,724号に対する優先権の利益を主張する。これらの出願のそれぞれを全体として参照により本明細書に援用する。
技術分野
【0002】
本開示は、PRMT5阻害剤およびその利用方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
背景
タンパク質アルギニンメチル化は、遺伝子転写、mRNAスプライシング、DNA修復、タンパク質の細胞局在、細胞運命決定、およびシグナル伝達を含めた多数の細胞プロセスを調整する一般的な翻訳後修飾である。3種類のメチルアルギニン種:ωNGモノメチルアルギニン(MMA)、ωNG,NG非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)およびωNG,N’G対称性ジメチルアルギニン(SDMA)が存在している。メチル化アルギニンの形成は、メチルトランスフェラーゼのタンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ(PRMT)ファミリーによって触媒される。現在、ヒトゲノム内には注釈を付されている9種類PRMTが存在する。これらの酵素の大部分は、メチル基供与体としてS-アデノシルメチオニン(SAM)を用いたアルギニンのモノ-および非対称性ジメチル化が可能であるI型酵素(PRMT1、-2、-3、-4、-6、-8)である。PRMT-5、-7および-9は、アルギニンの対称性ジメチル化を触媒するII型酵素であると考えられる。それぞれのPRMT種が、7つのβ鎖メチルトランスフェラーゼ(Katz et al., 2003)、ならびにPRMTサブファミリーに固有の追加の「ダブルE」および「THW」配列モチーフを担持している。
【0004】
PRMT5は、BRG1と、hBRM、Blimp1およびSnailを含めた多数の転写因子とレプレッサ複合体と共に機能する一般的な転写レプレッサとして存在している。この酵素は、プロモーターに一旦動因され、H3R8およびH4R3を対称的にジメチル化する。重要なことには、H4R3部位は、PRMT1メチル化(ADMA)のための主な対象であり、かつ、転写活性化マークと一般的に見なされる。よって、H4R3me2s(抑制;me2sはSDMA修飾を示す)とH4R3me2a(活性;me2aはADMA修飾を示す)マークの両方が生体内で産生される。H3R8およびH4R3に対するPRMT5の特異性は、COPR5との相互作用によって変更され得、そして、このことは恐らく、PRMT5のコリプレッサー状況を測定する際に重要な役割を果たす可能性がある。
癌におけるPRMTの役割
【0005】
PRMTの異常な発現がヒト癌において同定されたので、PRMTが治療標的であると考えられる。前立腺癌におけるヒストン修飾に関する大域解析は、ヒストンH4R3のジメチル化が増強されたグレードと正に相関したので、これらの変化が臨床成果を予測することを示した。
【0006】
PRMT5レベルは、リンパ系癌細胞株ならびにマントル細胞リンパ腫臨床サンプルのパネルにおいて高められることが示された。PRMT5は、RNAプロセシング、シグナル伝達、および転写制御を含めたさまざまな細胞プロセスに関与する多くの基質と相互作用する。PRMT5はヒストンH3およびH4を直接修飾し、そして、遺伝子発現抑制をもたらすことができる。PRMT5過剰発現は、細胞増殖を刺激し、そして、癌抑制遺伝子を直接抑制することによって形質転換を引き起こすことができる。Pal et al., Mol. Cell. Biol. 2003, 7475; Pal et al. Mol. Cell. Biol. 2004, 9630; Wang et al. Mol. Cell. Biol. 2008, 6262; Chung et al. J Biol Chem 2013, 5534。詳しく記録された転写および翻訳における発癌機能に加えて、転写因子MYCもまた、リンパ腫発生における必須段階としての正確なプレ-メッセンジャーRNAスプライシングを保護している。Koh et al. Nature 2015, 523 7558; Hsu et al. Nature 2015 525, 384。
【0007】
癌の依存関係の発見には、治療戦略に関する情報を提供する、および推定される薬物標的を同定する可能性がある。癌細胞株の広範囲のゲノムプロファイリングおよび癌細胞依存関係の機能的特徴づけからのデータを統合することで、酵素メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)の喪失が、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)とその結合パートナーWDR77に対する選択依存性を与えることが、最近発見された。MTAPは、よく欠失される癌抑制遺伝子、CDKN2Aに対するその近さに起因して失われることが多い。MTAP欠失を抱えている細胞は、メチルチオアデノシン(MTA、MTAPによって切断された代謝産物)の高い細胞内濃度を有する。さらに、MTAは、PRMT5酵素活性を特異的に阻害する。MTAまたは小分子PRMT5阻害剤のいずれかの投与は、同質遺伝子のMTAP発現性対照株と比較して、MTAP-ヌル癌細胞株の細胞生存率の選択的機能障害を示す。同時に、これらの知見は、共通の「パッセンジャー」ゲノム変化によって増加した、複数の癌系統にわたる潜在的脆弱性としてのPRMT5を明らかにする。
異常ヘモグロビン症におけるPRMT5の役割
【0008】
出産時に始まり胎児から成人までのヒトグロビン遺伝子サブタイプにおける発症スイッチは、異常ヘモグロビン症、b-サラセミアおよび鎌状赤血球貧血(SCD)を発症する前兆である。高い成人グロビン遺伝子発現(遺伝性高胎児ヘモグロビン血症[HPFH]突然変異の家系における)がサラセミアおよびSCDの臨床的悪性度を有意に改善するという観察は、γ-グロビン遺伝子サイレンシングを覆すような治療戦略の探索を誘発した。γ-遺伝子のサイレンシングにとって重要なことはDNAメチル化であり、そしてそれは、成人骨髄赤血球系細胞における遺伝子転写開始部位の両側に配置された重要なCpGジヌクレオチドにマークを付した。これらのマークがタンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼPRMT5によるγ-プロモーターへのDNAメチルトランスフェラーゼ、DNMT3Aの動員の結果として確定されることが示された。Zhao et al. Nat Struct Mol Biol. 2009 16, 304。ヒストンH4R3のPRMT5媒介性メチル化は、DNMT3Aを動員し、そして、遺伝子サイレンシングにおいてヒストンとDNAメチル化をつなぎ合わせる。
【0009】
PRMT5は、抑制ヒストンマーク、H4R3me2s(そしてそれは、DNMT3Aの直接結合のための鋳型としての役割を果たす)、およびその後のDNAメチル化を誘発する。PRMT5結合またはその酵素活性の喪失はCpGジヌクレオチドの脱メチル化および遺伝子活性化につながる。H4R3me2sマークおよびDNAメチル化に加えて、γ-プロモーターに結合するPRMT5、およびその酵素活性は、γ-プロモーター上の多タンパク質複合体の集合に不可欠であり、そしてそれが、さまざまな協調的な抑制性後生的マークを誘発する。この複合体の破壊はγ遺伝子発現の再活性化につながる。これらの試験は、サラセミアおよびSCDに関する標的化療法としてのPRMT5阻害剤の開発のための基礎を提供する。
【発明の概要】
【0010】
概要
本開示は、式Iおよび式IIの化合物:
【化1】
{式中、
AはN、C-HまたはC-R
4であり、ここで、R
4はハロまたはC
1-C
6ハロアルキルであり;
R
1は-C
1-C
6alk-縮合アリール、または-C
1-C
6alk-縮合ヘテロアリールであり;
R
2はハロ、-C
1-C
6アルキル、-C
2-C
4アルケニル、-C
1-C
6alk-OH、-C
1-C
6alk-ハロ、-C
1-C
6alk-O-C
1-C
6アルキル、-C
1-C
6alk-O-C
1-C
6alk-アリール、-O-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHC(O)NR
5R
5’、-NHC(S)NR
5R
5’、-NH-O-R
5、または-NH-NR
5R
5’であり;
R
3はH、ハロ、NH
2、または-C
1-C
6アルキルであり;
R
5とR
5’はそれぞれ独立に、H、C
1-C
6アルキル、または-C
1-C
6alk-OC
1-C
6アルキルであるか;または
R
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキル環を形成し;および
R
6はHまたは-C
1-C
6アルキルである}、または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物を対象とする。
【0011】
式Iおよび式IIの化合物の立体異性体、またその医薬剤の塩および溶媒和物もまた記載する。式Iおよび式IIの化合物、ならびに式Iおよび式IIの化合物を含む医薬組成物を使用する方法を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例11に記載の化合物のORTEP表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の詳細な説明
例示的実施形態の詳細な説明
本開示は、以下の定義および実施例を含めた以下の説明を参照することによって、より完全に理解され得る。明確にするために本明細書で別々の態様の文脈で説明する、本開示の組成物および方法に関する特定の特徴はまた、単一の態様において組み合わせて提供されてもよい。あるいは、簡潔にするために単一の態様の文脈で説明する、本開示の組成物および方法の種々の特徴が、別々に若しくは任意のサブコンビネーションとして提供される場合もある。
【0014】
単独で、または置換基の一部として使用されるとき、「アルキル」という用語は、その基内に1~12個の炭素原子(「C1-C12」)、好ましくは1~6個の炭素原子(「C1-C6」)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、C1アルキル)、エチル(Et、C2アルキル)、n-プロピル(C3アルキル)、イソプロピル(C3アルキル)、ブチル(C4アルキル)、イソブチル(C4アルキル)、sec-ブチル(C4アルキル)、tert-ブチル(C4アルキル)、ペンチル(C5アルキル)、イソペンチル(C5アルキル)、tert-ペンチル(C5アルキル)、ヘキシル(C6アルキル)、イソヘキシル(C6アルキル)などが挙げられる。
【0015】
「アルケニル」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、その基内の2~12個の炭素原子(「C2-C12アルケニル」)、好ましくは2~4個の炭素原子(「C2-C4アルケニル」)を有する直鎖または分岐鎖基を指し、ここで、その基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。アルケニル基の例としては、ビニル(-CH=CH2;C2アルケニル)、アリル(-CH2-CH=CH2;C3アルケニル)、プロペニル(-CH=CHCH3;C3アルケニル);イソプロペニル(-C(CH3)=CH2;C3アルケニル)、ブテニル(-CH=CHCH2CH3;C4アルケニル)、sec-ブテニル(-C(CH3)=CHCH3;C4アルケニル)、イソブテニル(-CH=C(CH3)2;C4アルケニル)、2-ブテニル(-CH2CH=CHCH3;C4アルキル)、ペンテニル(CH=CHCH2CH2CH3;C5アルケニル)などが挙げられる。
【0016】
「ハロ」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、クロロ、フルオロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0017】
「ハロアルキル」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、1もしくは複数の水素原子が1もしくは複数のハロゲン原子で置換されているアルキル基を指す。ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。本開示のハロアルキル基の例としては、例えば、トリフルオロメチル(-CF3)、クロロメチル(-CH2Cl)などが挙げられる。
【0018】
「シクロアルキル」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、3~10個の炭素原子(「C3-C10」)、好ましくは3~6個の炭素原子(「C3-C6」)を有する、環を含有している、非芳香族炭化水素基を指す。シクロアルキル基の例としては、例えば、シクロプロピル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロプロピルメチル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6)、1-メチルシクロプロピル(C4)、2-メチルシクロペンチル(C4)、アダマンタニル(C10)などが挙げられる。
【0019】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、O、N、およびSから成る群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、任意の3~10員単環式、または二環式飽和環構造を指す。Nがヘテロシクロアルキル基内のヘテロ原子である場合、そのNはH、-C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキルまたはC3-C6シクロアルキルで置換され得る。ヘテロシクロアルキル基は、結果として安定した構造になるように、環の任意のヘテロ原子または炭素原子に結合されてもよい。好適なヘテロシクロアルキル基の例としては、これだけに限定されるものではないが、アゼパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、オキサゼパニル、オキシラニル、オキセタニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニルなどが挙げられる。
【0020】
「アリール」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、その環内に6または10個の炭素原子を有する単環又は二環式芳香族炭化水素環構造を指し、ここで、その環内の1もしくは複数の炭素原子は任意選択で、ハロゲン原子、-C1-C3アルキル基、アミノ置換C1-C3アルキル基、C1-C3ハロアルキル基、アミノ基(すなわち、-NH2)、または置換アミノ基で置換される。好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0021】
「縮合アリール」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、6~10個の炭素原子を有する縮合環の二環式基を指し、ここで、その環の一方が完全共役π電子系を有し、かつ、もう一方の環が完全共役π電子系を有しておらず、およびここで、1もしくは複数の炭素原子が任意選択で、ハロゲン原子、-C
1-C
3アルキル基、アミノ置換C
1-C
3アルキル基、C
1-C
3ハロアルキル基、アミノ基(すなわち、-NH
2)、または置換アミノ基で置換される。加えて、完全共役π電子系を有していない環の1もしくは複数の炭素原子もまた任意選択で、ヒドロキシ基(-OH)、ケト基(C=O)、またはシアノ基(-CN)で置換され得る。ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。アミノ置換-C
1-C
3アルキル基としては、-CH
2-NH
2、-CH
2CH
2-NH
2などが挙げられる。C
1-C
3ハロアルキル基としては、例えば、-CF
3、-CH
2CF
3などが挙げられる。置換アミノ基としては、例えば、-NH-C(O)-NH
2が挙げられる。縮合アリール基の例としては、以下:
【化2】
(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、
【化3】
(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、
【化4】
(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、
【化5】
(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、
【化6】
(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、
【化7】
(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、
【化8】
(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、
【化9】
(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、
【化10】
(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)などが挙げられる。
【0022】
「縮合ヘテロアリール」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、炭素原子、ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される最大4つのヘテロ原子を含んでいる縮合環の二環式基を指し、ここで、その環の一方が完全共役π電子系を有し、かつ、もう片方の環が完全共役π電子系を有していない。縮合ヘテロアリール環は、合計8、9、または10個の環原子を含み得る。ヘテロ原子は、完全共役π電子系を有している環、または完全共役π電子系を有しない環のいずれか、あるいはその環の両方に存在し得る。縮合ヘテロアリール部分は非置換であり得るか、または環内の1もしくは複数の原子は、ハロゲン原子;アミノ基;-C
3-C
6シクロアルキル基もしくは-C
1-C
6アルキル基で置換されたアミノ基を含めた置換アミノ基;または-C
1-C
3アルキル基で置換され得る。ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。縮合ヘテロアリール基の例としては、以下:
【化11】
(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、
【化12】
(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)などが挙げられる。
【0023】
本明細書中で炭素原子の範囲が使用されるとき、例えば、C1-C6は、すべての範囲、ならびに個々の炭素原子数が包含される。例えば、「C1-C3」はC1-C3、C1-C2、C2-C3、C1、C2、およびC3を含む。
【0024】
「C
1-C
6alk」という用語は、単独で、または置換基の一部として使用されるとき、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する脂肪族リンカーを指し、例えば、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-CH(CH
3)-CH
2-、および-C(CH
3)
2-を含む。「-C
0alk-」という用語は結合を指す。いくつかの態様において、C
1-C
6alkは、1もしくは複数の-OH、-NH
2、またはハロ(例えば、-F、-Cl、-Br、さらに、-Fが好まれる)置換基で置換される。例えば、C
1alk基としては、以下:
【化13】
などが挙げられる。
【0025】
「医薬的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制当局または米国以外の国の該当する当局により承認されたまたは承認可能であること、あるいは動物における、例えば、ヒトにおける使用について米国薬局方または他の一般的に認知されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0026】
「医薬的に許容される塩」は、医薬的に許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する、本開示の化合物の塩を指す。特に、そのような塩は、非毒性であり、無機または有機酸付加塩および塩基付加塩であり得る。具体的には、斯かる塩として、(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などと形成された、若しくは、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などと形成された、酸付加塩、または、(2)どちらかの親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンで置換されると形成された、若しくは、有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどと配位された、塩が挙げられる。更なる塩類としては、あくまで例示にすぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、化合物が塩基性官能基を含有する場合は、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩のような非毒性の有機酸または無機酸の塩が挙げられる。
【0027】
「医薬的に許容される賦形剤」は、薬理学的組成物に添加されるか、あるいは薬剤の投与を容易にする賦形剤、担体または希釈剤として用いられかつ当該薬剤と相溶する、例えば、不活性な物質のような、毒性を有しないか、生物学的に許容されるか、あるいは患者に投与するうえで生物学的に適した物質を指す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプンの種類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物、油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0028】
「溶媒和物」とは、1もしくは複数の溶媒分子と、式Iの化合物との物理的会合を指す。
【0029】
「対象」には、ヒトが含まれる。「ヒト」、「患者」、および「対象」という用語は、本明細書において互換可能に使用される。
【0030】
任意の疾患または障害を「治療する」またはそれらの「治療」は、一実施形態において、疾患または障害を寛解させること(すなわち、疾患または少なくとも1つのその臨床症状の進展を阻止または低減すること)を指す。別の実施形態において、「治療する」または「治療」とは、対象によって認識されない場合がある少なくとも1つの身体的パラメータを寛解させることを指す。更に別の実施形態において、「治療する」または「治療」とは、身体的(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、身体的パラメータの安定化)のいずれかまたはその両方において、疾患または障害を調節することを指す。更に別の実施形態において、「治療する」または「治療」とは、疾患または障害の発症を遅延させることを指す。
【0031】
「本開示の化合物」および同等な表現は、本明細書中に記載した式Iまたは式IIの化合物、ならびにそれらの亜属を包含することを意味し、そしてその表現は、その文脈がそう認める場合、式Iまたは式IIの化合物、ならびに医薬的に許容される塩の立体異性体(例えば、エナンチオマー(entaniomers)、ジアステレオマー)および構造異性体(例えば、互変異性体)を含む。
【0032】
本明細書で使用するとき、「同位体変種」という用語は、斯かる化合物を構成する1もしくは複数の原子が天然の存在比より高い同位体の割合を含有する化合物を指す。例えば、化合物の「同位体変種」を放射標識することができる、すなわち、1もしくは複数の放射性同位体を含むか、または、例えば、重水素(2HまたはD)、炭素-13(13C)、窒素-15(15N)などのような非放射性同位体などの非放射性同位体で標識されることもできる。斯かる同位体置換が行われる化合物において、存在する場合は以下の原子は、例えば、任意の水素が2H/Dであり得るか、任意の炭素が13Cであり得るか、または任意の窒素が15Nであり得るように、変わり得ること、および斯かる原子の存在または配置は、当業者によって決定され得ることが理解される。
【0033】
同じ分子式を有するが、性質またはその原子の結合の配列または空間におけるその原子の配置が異なる化合物を、「異性体」と呼ぶことも、理解される。空間におけるその原子の配置において異なる異性体、例えば、ジアステレオマー、エナンチオマー、およびアトロプ異性体を、「立体異性体」と呼ぶ。本開示の化合物は、1もしくは複数の不斉中心を有する場合があるので、斯かる化合物が、各不斉中心における個々の(R)-若しくは(S)-立体異性体として、またはこれらの混合物として生成する可能性がある。別段の指示がない限り、明細書および特許請求の範囲における特定の化合物の記載または命名は、すべての立体異性体および混合物、そのラセミ体または他のものを含むことを意図する。構造内に一つのキラル中心が存在するが、しかし、その中心に関して特定の立体化学が示されない場合、個別のまたはエナンチオマーの混合物としての、両エナンチオマーがこの構造により包含される。構造内に2以上のキラル中心が存在するが、しかし、その中心に関して特定の立体化学が示されない場合、個別のまたは混合物としての、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマーがその構造に包含される。立体化学の決定および立体異性体の分離の方法は、当該技術分野で周知である。
【0034】
本開示は、以下の式Iの化合物を対象とする:
【化14】
【0035】
本開示によると、式I内のAは、N、C-H、またはC-R
4である。いくつかの態様において、AはNであり、そして、式Iの化合物は、以下の構造IAを有する:
【化15】
【0036】
他の態様において、AはC-Hであり、式Iの化合物は、以下の構造IBを有する:
【化16】
【0037】
他の態様において、AはC-R
4であり、式Iの化合物は、以下の構造ICを有する:
【化17】
【0038】
いくつかの態様において、式ICの化合物内のR4はハロである。他の態様において、式ICの化合物内のR4は、ハロまたはC1-C6ハロアルキルである。
【0039】
いくつかの実施形態において、R4はハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIである。いくつかの実施形態において、R4はFである。他の実施形態において、R4はBrである。さらに他の実施形態において、R4はIである。
【0040】
いくつかの実施形態において、R4はC1-C6ハロアルキル、例えば、C6ハロアルキル、C5ハロアルキル、C4ハロアルキル、C3ハロアルキル、C2ハロアルキル、C1ハロアルキル、-CF3などである。いくつかの実施形態において、R4は-CF3である。
【0041】
本開示は、以下の式IIの化合物を対象とする:
【化18】
【0042】
本開示によると、式II内のAは、N、C-H、またはC-R
4である。いくつかの態様において、AはNであり、そして、式IIの化合物は、以下の構造IIAを有する:
【化19】
【0043】
他の態様において、AはC-Hであり、式IIの化合物は、以下の構造IIBを有する:
【化20】
【0044】
他の態様において、AはC-R
4であり、そして、式IIの化合物は、以下の構造IICを有する:
【化21】
【0045】
いくつかの態様において、式IICの化合物内のR4はハロである。他の態様において、式IICの化合物内のR4は、ハロまたはC1-C6ハロアルキルである。
【0046】
いくつかの実施形態において、R4はハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIである。いくつかの実施形態において、R4はFである。他の実施形態において、R4はBrである。さらに他の実施形態において、R4はIである。
【0047】
いくつかの実施形態において、R4はC1-C6ハロアルキル、例えば、C6ハロアルキル、C5ハロアルキル、C4ハロアルキル、C3ハロアルキル、C2ハロアルキル、C1ハロアルキル、-CF3などである。いくつかの実施形態において、R4は-CF3である。
【0048】
いくつかの態様において、式Iおよび式IIの化合物内のR1は、-C1-C6alk-縮合アリール、例えば、-C1alk-縮合アリール、-C2alk-縮合アリール、-C3alk-縮合アリール、-C4alk-縮合アリール、-C5alk-縮合アリール、-C6alk-縮合アリール、-CH2縮合アリール、-CH(OH)-縮合アリール、-CH(F)-縮合アリール、-CH(NH2)-縮合アリール、-CH(Me)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリールなどである。いくつかの実施形態において、式中、R1は、-C1-C6alk-縮合アリールであり、その-縮合アリールは、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルである。よって、いくつかの実施形態において、R1は、-CH2-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH2-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH2-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH2)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH2)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH2)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)である。
【0049】
他の実施形態において、式中、R1は、-C1-C6alk-縮合アリールであり、その-縮合アリールは、7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル、7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル、または2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルである。よって、いくつかの実施形態において、R1は、-CH2-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH2-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH2-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH2-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH2-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH2-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(F)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(F)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(F)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(F)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(F)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(NH2)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH2)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(NH2)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(NH2)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(NH2)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(NH2)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-CH(Me)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(Me)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(Me)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(Me)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、-CH(Me)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)である。
【0050】
いくつかの態様において、式Iおよび式IIの化合物内のR1は、-C1-C6alk-縮合ヘテロアリール、例えば、-C1alk-縮合ヘテロアリール、-C2alk-縮合ヘテロアリール、-C3alk-縮合ヘテロアリール、-C4alk-縮合ヘテロアリール、-C5alk-縮合ヘテロアリール、-C6alk-縮合ヘテロアリール、-CH2-縮合ヘテロアリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、-CH(F)-縮合ヘテロアリール、-CH(NH2)-縮合ヘテロアリール、-CH(Me)-縮合ヘテロアリール、-C(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールなどである。いくつかの実施形態において、式中、R1は、-C1-C6alk-縮合ヘテロアリールであり、その-縮合ヘテロアリールは、2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルである。よって、いくつかの実施形態において、R1は、-CH2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(OH)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(F)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(NH2)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、-CH(Me)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)である。
【0051】
いくつかの実施形態において、式中、R1は、-C1-C6alk-縮合ヘテロアリールであり、その-縮合ヘテロアリールは、5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イルである。よって、いくつかの実施形態において、R1は、-CH2-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(F)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(NH2)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、-CH(Me)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)、または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)である。
【0052】
本開示における式Iおよび式IIの化合物において、R3は、H、ハロ、-C1-C6アルキル、またはNH2である。よって、いくつかの実施形態において、R3はHである。他の実施形態において、R3はハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIである。他の実施形態において、R3は、-C1-C6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチルなどである。よって、いくつかの実施形態において、R3はメチル(Me)である。さらに他の実施形態において、R3はNH2である。最も好ましい実施形態において、R3はHである。
【0053】
いくつかの態様において、本開示における式Iまたは式IIの化合物において、R2は、ハロ、-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、NHC(S)NR5R5’、-NH-O-R5、または-NH-NR5R5’である。他の態様において、式Iまたは式IIの化合物内のR2は、ハロ、-C1-C6アルキル、-C2-C4アルケニルである、-C1-C6alk-OH、-C1-C6alk-ハロ、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C6alk-アリール、-O-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHC(O)NR5R5’、-NHC(S)NR5R5’、-NH-O-R5、または-NH-NR5R5’である。
【0054】
いくつかの態様において、R2はハロ、例えば、クロロ、フルオロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの実施形態において、R2はクロロである。
【0055】
いくつかの態様において、R2は-C1-C6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチルなどである。いくつかの実施形態において、R2はメチルである。他の実施形態において、R2はn-ブチル(-CH2CH2CH2CH3)である。さらに他の実施形態において、R2はイソプロピル(-CH(CH3)2)である。
【0056】
いくつかの態様において、R2は-C2-C4アルケニル、例えば、-C4アルケニル、-C3アルケニル、-C2アルケニル、ビニル、アリル、イソプロペニルなどである。いくつかの実施形態において、R2はビニル(-CH=CH2)である。他の実施形態において、R2はイソプロペニル(-C(CH3)=CH2)である。
【0057】
いくつかの態様において、R2は-C1-C6alk-OH、例えば、C6alk-OH、C5alk-OH、C4alk-OH、C3alk-OH、C2alk-OH、C1alk-OH、-CH2-OH、-CH2CH2-OHなどである。いくつかの実施形態において、R2は-CH2-OHである。他の実施形態において、R2は-CH2CH2-OHである。
【0058】
いくつかの態様において、R2は-C1-C6alk-ハロ、例えばC6alk-ハロ、C5alk-ハロ、C4alk-ハロ、C3alk-ハロ、C2alk-ハロ、C1alk-ハロ、-CH2-ハロ、-CH2CH2-ハロなどである。いくつかの実施形態において、R2は-CH2-Clである。他の実施形態において、R2は-CH2-Fである。
【0059】
いくつかの態様において、R2は-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、例えば、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C5alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C4alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C3alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C2alk-O-C1-C6アルキル、-C1alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C5アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C4アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C3アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C2アルキル、または-C1-C6alk-O-C1アルキルである。いくつかの実施形態において、R2は-CH2CH2-O-CH3である。他の実施形態において、R2は-CH2-O- CH2CH3である。
【0060】
いくつかの態様において、R2は-C1-C6alk-O-C1-C6alk-アリール、例えば、-C1alk-O-C1alk-アリール、-C2alk-O-C1alk-アリール、-C3alk-O-C1alk-アリール、-C4alk-O-C1alk-アリール、-C5alk-O-C1alk-アリール、-C6alk-O-C1alk-アリール、-C1alk-O-C2alk-アリール、-C2alk-O-C2alk-アリール、-C3alk-O-C2alk-アリール、-C4alk-O-C2alk-アリール、-C5alk-O-C2alk-アリール、-C6alk-O-C2alk-アリール、-C1alk-O-C3alk-アリール、-C2alk-O-C3alk-アリール、-C3alk-O-C3alk-アリール、-C4alk-O-C3alk-アリール、-C5alk-O-C3alk-アリール、-C6alk-O-C3alk-アリール、-C1alk-O-C4alk-アリール、-C2alk-O-C4alk-アリール、-C3alk-O-C4alk-アリール、-C4alk-O-C4alk-アリール、-C5alk-O-C4alk-アリール、-C6alk-O-C4alk-アリール、-C1alk-O-C5alk-アリール、-C2alk-O-C5alk-アリール、-C3alk-O-C5alk-アリール、-C4alk-O-C5alk-アリール、-C5alk-O-C5alk-アリール、-C6alk-O-C5alk-アリール、-C1alk-O-C6alk-アリール、-C2alk-O-C6alk-アリール、-C3alk-O-C6alk-アリール、-C4alk-O-C6alk-アリール、-C5alk-O-C6alk-アリール、-C6alk-O-C6alk-アリールである。いくつかの実施形態において、R2は-C2alk-O-C1alk-アリールである。いくつかの実施形態において、R2は-CH2CH2-O-CH2-フェニルである。
【0061】
いくつかの態様において、R2は-O-C1-C6アルキル、例えば、-O-C6アルキル、-O-C5アルキル、-O-C4アルキル、-O-C3アルキル、-O-C2アルキル、-O-C1アルキル、-O-CH3、-O-CH2CH3などである。いくつかの実施形態において、R2は-O-CH3である。
【0062】
いくつかの態様において、R2は-NR5R5’である。よって、いくつかの実施形態において、R5とR5’は共にHであり、R2は-NH2である。いくつかの実施形態において、式中、R5とR5’は共にメチルであり、R2は-N(CH3)2である。実施形態において、式中、R5はHであり、およびR5’はメチルであり、R2は-NH(CH3)である。
【0063】
いくつかの態様において、R2は-NHCONR5R5’である。よって、いくつかの実施形態において、R5とR5’は共にHであり、R2は-NHCONH2である。実施形態において、式中、R5とR5’は共にメチルであり、R2は-NHCON(CH3)2である。実施形態において、式中、R5はHであり、およびR5’はメチルであり、R2は-NHCONHCH3である。
【0064】
いくつかの態様において、R2はNHC(S)NR5R5’である。よって、いくつかの実施形態において、式中、R5とR5’は共にHであり、R2は-NHC(S)NH2である。実施形態において、式中、R5とR5’は共にメチルであり、R2は-NHC(S)N(CH3)2である。実施形態において、式中、R5はHであり、およびR5’はメチルであり、R2は-NHC(S)NHCH3である。
【0065】
いくつかの態様において、R2は-NH-O-R5である。いくつかの実施形態において、式中、R5はC1-C6アルキル、例えば、メチルであり、R2は-NH-OCH3である。いくつかの実施形態において、R5はC1-C6アルキル、例えば、エチルであり、R2は-NH-OCH2CH3である。いくつかの実施形態において、式中、R5はHであり、R2は-NH-OHである。
【0066】
いくつかの態様において、R2は-NH-NR5R5’である。いくつかの実施形態において、式中、R5とR5’は共にHであり、R2は-NH-NH2である。実施形態において、式中、R5とR5’は共にC1-C6アルキル、例えば、メチルであり、R2は-NH-N(CH3)2である。実施形態において、式中、R5はHであり、およびR5’がC1-C6アルキル、例えば、メチルであり、R2は-NH-NHCH3である。
【0067】
R
2が-NH-O-R
5または-NH-NR
5R
5’であるときに、式Iと式IIの化合物は、環外炭素-窒素二重結合における(E)-または(Z)-構造を有する互変異性体として存在してもよいことが明らかになる。本明細書中に記載および主張する式Iと式IIの化合物が、斯かる互変異性体および幾何異性体、ならびにその混合物のすべてを包含することを意味する。特定の互変異性体または幾何異性体の描写が制限されることを意図しない。例えば、R
2が-NH-O-R
5であるときに、式Iの化合物は、以下の等価構造のいずれかによって表され得る:
【化22】
【0068】
同様に、R
2が-NH-NR
5R
5’であるときに、式Iの化合物は、以下の等価構造のいずれかによって表され得る:
【化23】
【0069】
同様に、R
2が-NH-O-R
5であるときに、式IIの化合物は、以下の等価構造のいずれかによって表され得る:
【化24】
【0070】
同様に、R
2が-NH-NR
5R
5’であるときに、式IIの化合物は、以下の等価構造のいずれかによって表され得る:
【化25】
【0071】
本開示の化合物において、R5とR5’はそれぞれ独立に、H、C1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチルなど)、または-C1-C6alk-OC1-C6アルキル(例えば、C1-C6alk-OC1-C6アルキル、C1-C5alk-OC1-C6アルキル、C1-C4alk-OC1-C6アルキル、C1-C3alk-OC1-C6アルキル、C1-C2alk-OC1-C6アルキル、C1alk-OC1-C6アルキル、C1-C6alk-OC1-C5アルキル、C1-C6alk-OC1-C4アルキル、C1-C6alk-OC1-C3アルキル、C1-C6alk-OC1-C2アルキル、またはC1-C6alk-OC1アルキル)である。
【0072】
いくつかの実施形態において、R5はHまたはC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R5’はHまたはC1-C6アルキルである。
【0073】
いくつかの実施形態において、R5とR5’はそれぞれHである。
【0074】
他の実施形態において、R5とR5’はそれぞれ独立にC1-C6アルキルである。よって、いくつかの実施形態において、R5はメチルであり、かつ、R5’はメチルである。
【0075】
いくつかの態様において、R5はC1-C6アルキルであり、かつ、R5’はHである。よって、いくつかの実施形態において、R5はメチルであり、かつ、R5’はHである。
【0076】
他の態様において、R5とR5’はそれぞれ独立に-C1-C6alk-OC1-C6アルキルである。
【0077】
他の態様において、R5は-C1-C6alk-OC1-C6アルキルであり、かつ、R5’はHである。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態において、R5とR5’は、それらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキル、例えば、アゼパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゼパニル、ピペラジニルなどを形成する。
【0079】
本開示の化合物において、R6はHまたはC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R6はHである。他の実施形態において、R6はC1-C6アルキル、例えば、メチルである。
【0080】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IA-1の化合物:
【化26】
{式中、R
1は、-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は、-NH
2または-CH
3である}を対象とする。
【0081】
式IA-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0082】
式IA-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0083】
式IA-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0084】
式IA-1の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0085】
式IA-1の化合物の他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0086】
式IA-1の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0087】
式IA-1の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0088】
式IA-1の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0089】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IA-2の化合物:
【化27】
{式中、R
1は、-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は、-NH
2または-CH
3である}を対象とする。
【0090】
式IA-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0091】
式IA-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0092】
式IA-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0093】
式IA-2の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0094】
式IA-2の化合物の他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0095】
式IA-2の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0096】
式IA-2の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0097】
式IA-2の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0098】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IB-1の化合物:
【化28】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0099】
式IB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0100】
式IB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0101】
式IB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2はハロ、-C1-C6アルキル、-C2-C4アルケニル、-C1-C6alk-OH、-C1-C6alk-ハロ、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C6alk-アリール、または-O-C1-C6アルキルである。
【0102】
式IB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2はハロ、-C1-C6アルキル、-C2-C4アルケニル、-C1-C6alk-OH、-C1-C6alk-ハロ、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C6alk-アリール、または-O-C1-C6アルキルである。
【0103】
式IB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化29】
である。
【0104】
式IB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)であり;およびR2はハロ、-C1-C6アルキル、-C2-C4アルケニル、-C1-C6alk-OH、-C1-C6alk-ハロ、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C6alk-アリール、または-O-C1-C6アルキルである。
【0105】
式IB-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化30】
である。
【0106】
式IB-1の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)であり;およびR2はハロ、-C1-C6アルキル、-C2-C4アルケニル、-C1-C6alk-OH、-C1-C6alk-ハロ、-C1-C6alk-O-C1-C6アルキル、-C1-C6alk-O-C1-C6alk-アリール、または-O-C1-C6アルキルである。
【0107】
式IB-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化31】
である。
【0108】
式IB-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化32】
である。
【0109】
式IB-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化33】
である。
【0110】
式IB-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化34】
である。
【0111】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IB-2の化合物:
【化35】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0112】
式IB-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0113】
式IB-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0114】
式IB-2の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化36】
である。
【0115】
式IB-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化37】
である。
【0116】
式IB-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化38】
である。
【0117】
式IB-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化39】
である。
【0118】
式IB-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化40】
である。
【0119】
式IB-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化41】
である。
【0120】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IC-1の化合物:
【化42】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0121】
式IC-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0122】
式IC-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0123】
式IC-1の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化43】
である。
【0124】
式IC-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化44】
である。
【0125】
式IC-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化45】
である。
【0126】
式IC-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化46】
である。
【0127】
式IC-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化47】
である。
【0128】
式IC-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化48】
である。
【0129】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IC-2の化合物:
【化49】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0130】
式IC-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0131】
式IC-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0132】
式IC-2の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化50】
である。
【0133】
式IC-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化51】
である。
【0134】
式IC-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化52】
である。
【0135】
式IC-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化53】
である。
【0136】
式IC-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化54】
である。
【0137】
式IC-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化55】
である。
【0138】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IIA-1の化合物:
【化56】
{式中、R
1は、-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は、-NH
2または-CH
3である}を対象とする。
【0139】
式IIA-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0140】
式IIA-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0141】
式IIA-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0142】
式IIA-1の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0143】
式IIA-1の化合物の他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0144】
式IIA-1の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0145】
式IIA-1の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0146】
式IIA-1の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0147】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IIA-2の化合物:
【化57】
{式中、R
1は、-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は、-NH
2または-CH
3である}を対象とする。
【0148】
式IIA-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0149】
式IIA-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0150】
式IIA-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0151】
式IIA-2の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0152】
式IIA-2の化合物の他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0153】
式IIA-2の化合物の他の実施形態において、R1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0154】
式IIA-2の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0155】
式IIA-2の化合物のさらに他の実施形態において、R1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR2は-NH2または-CH3である。
【0156】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IIB-1の化合物:
【化58】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0157】
式IIB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0158】
式IIB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0159】
式IIB-1の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化59】
である。
【0160】
式IIB-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化60】
である。
【0161】
式IIB-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化61】
である。
【0162】
式IIB-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化62】
である。
【0163】
式IIB-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化63】
である。
【0164】
式IIB-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化64】
である。
【0165】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IIB-2の化合物:
【化65】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0166】
式IIB-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0167】
式IIB-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0168】
式IIB-2の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化66】
である。
【0169】
式IIB-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化67】
である。
【0170】
式IIB-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化68】
である。
【0171】
式IIB-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化69】
である。
【0172】
式IIB-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化70】
である。
【0173】
式IIB-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化71】
である。
【0174】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IIC-1の化合物:
【化72】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0175】
式IIC-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0176】
式IIC-1の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0177】
式IIC-1の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化73】
である。
【0178】
式IIC-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化74】
である。
【0179】
式IIC-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化75】
である。
【0180】
式IIC-1の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化76】
である。
【0181】
式IIC-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化77】
である。
【0182】
式IIC-1の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化78】
である。
【0183】
いくつかの態様において、本開示は、以下の式IIC-2の化合物:
【化79】
{式中、R
1は-CH(OH)-縮合アリール、-C(Me)(OH)-縮合アリール、-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR
2は-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHCONR
5R
5’、または-NH-O-R
5であり;ならびにR
5とR
5’は独立に、H、C
1-C
6アルキルであるか;またはR
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキルを形成する}を対象とする。
【0184】
式IIC-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合アリール、または-C(Me)(OH)-縮合アリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0185】
式IIC-2の化合物のいくつかの実施形態において、R1は-CH(OH)-縮合ヘテロアリール、またはC(Me)(OH)-縮合ヘテロアリールであり;およびR2は-C1-C6アルキル、-NR5R5’、-NHCONR5R5’、または-NH-O-R5であり;ならびにR5とR5’は独立に、H、C1-C6アルキルであるか;または、R5とR5’はそれらが結合されている原子と共に、C2-C6ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0186】
式IIC-2の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化80】
である。
【0187】
式IIC-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化81】
である。
【0188】
式IIC-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-CH(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-CH(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-CH(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化82】
である。
【0189】
式IIC-2の化合物の他の実施形態において、R
1は-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7,7-ジメチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オール-3-イル)、-C(Me)(OH)-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-オン-3-イル)、-C(Me)(OH)-(7-メチルビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-7-カルボニトリル-3-イル)、または-C(Me)(OH)-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化83】
である。
【0190】
式IIC-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルであり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化84】
である。
【0191】
式IIC-2の化合物のさらに他の実施形態において、R
1は-CH(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)または-C(Me)(OH)-(5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル)であり;およびR
2は-NH
2、-CH
3、-NH-O-CH
3、-NH-O-CH
2CH
3、-NHCON(CH
3)
2、または
【化85】
である。
【0192】
本明細書における式Iへの言及はまた、式IA、IA-1、IA-2、IB、IB-1、IB-2、IC-1、およびIC-2も指す。本明細書における式IIへの言及はまた、式IIA、IIA-1、IIA-2、IIB、IIB-1、IIB-2、IIC-1、およびIIC-2も指す。
【0193】
式Iと式IIの化合物の立体異性体もまた、本開示によって企図される。よって、本開示は、すべての立体異性体および構造異性体を包含した、本明細書中に開示または主張されるあらゆる化合物のすべてのエナンチオマーおよびジアステレオマーを網羅する。
【0194】
式Iと式IIの化合物の医薬的に許容される塩および溶媒和物もまた、本開示の範囲内にある。
【0195】
式Iと式IIの化合物の同位体的変異体もまた、本開示によって企図される。
医薬組成物と投与方法
【0196】
対象医薬組成物は、一般に、活性成分としての治療有効量の本開示の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは誘導体を提供するために製剤化される。望ましい場合、医薬組成物は、薬学的に許容されるその塩および/または配位錯体、ならびに1もしくは複数の薬学的に許容される賦形剤、不活性な固体希釈剤および充填剤を含む担体、滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む希釈剤、透過促進剤、可溶化剤ならびにアジュバントを含有する。
【0197】
対象医薬組成物は、単独で、またはやはり一般に医薬組成物の形態で投与される1つもしくは複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。望ましい場合、本発明の(単数もしくは複数の)化合物および(単数もしくは複数の)他の薬剤は、調製物に混合することができ、または両方の成分を別個の調製物に製剤化して、それらを組み合わせて別々にもしくは同時に使用することができる。
【0198】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物において提供される化合物の1もしくは複数の濃度は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%または0.0001%(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)w/w、w/vまたはv/v未満である。
【0199】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1もしくは複数の濃度は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、1.25%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%または0.0001%(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)w/w、w/vまたはv/vを超える。
【0200】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1もしくは複数の濃度は、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%w/w、w/vまたはv/vの範囲である。
【0201】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1もしくは複数の濃度は、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/vまたはv/vの範囲である。
【0202】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1もしくは複数の量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002gまたは0.0001g(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)以下である。
【0203】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1もしくは複数の量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5gまたは10g(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)を超える。
【0204】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1もしくは複数の量は、0.0001~10g、0.0005~9g、0.001~8g、0.005~7g、0.01~6g、0.05~5g、0.1~4g、0.5~4gまたは1~3gの範囲である。
【0205】
本発明の化合物は、広範な用量範囲にわたって有効である。例えば、成人ヒトの治療において、1日当たりの用量0.01~1000mg、0.5~100mg、1~50mgおよび1日当たり5~40mgが、使用できる用量の例である。例示的用量は、1日当たり10~30mgである。正確な用量は、投与経路、化合物の投与形態、治療を受ける対象、治療を受ける対象の体重、ならびに担当医の選好および経験に応じて変わることになる。
【0206】
本発明の医薬組成物は、典型的には、本発明の有効成分(すなわち、本開示の化合物)または医薬的に許容されるその塩、および/または配位錯体、ならびにこれだけに限定されるものではないが、不活性な固形希釈剤および増量剤、希釈剤、無菌の水性溶液および様々な有機溶媒、透過性促進剤、可溶化剤およびアジュバントを含めた1もしくは複数の医薬的に許容される賦形剤、担体を含む。
【0207】
非限定的な例示的医薬組成物およびその調製方法を、以下に記載する。
経口投与のための医薬組成物
【0208】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物および経口投与に適した医薬賦形剤を含有する、経口投与のための医薬組成物を提供する。
【0209】
いくつかの実施形態において、本発明は、(i)有効量の本発明の化合物、場合によって(ii)有効量の第2の薬剤、および(iii)経口投与に適した医薬賦形剤を含有する、経口投与のための固体医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物はさらに、(iv)有効量の第3の薬剤を含有する。
【0210】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口消費に適した液体医薬組成物であってよい。経口投与に適した本発明の医薬組成物は、所定量の活性成分を、散剤として、または顆粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液剤もしくは懸濁剤、水中油乳剤、または油中水液体乳剤中にそれぞれ含有するカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤、または液剤もしくはエアロゾルスプレー剤などの別個の剤形として提供することができる。斯かる剤形は、調剤法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1もしくは複数の必須成分を構成する担体と組み合わせるステップを含む。一般に組成物は、活性成分を、液体担体と、または微粉砕した固体担体と、またはその両方と均質に、密接に混合し、次いで必要に応じてその生成物を所望の提示物に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、場合によって1もしくは複数の必須の成分と共に圧縮または成型することによって調製できる。圧縮錠剤は、適切な機械内で、場合によってこれだけに限定されるものではないが、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤および/または界面活性剤もしくは分散化剤などの賦形剤と混合した粉剤または顆粒剤などの自由に流れる形態の活性成分を圧縮することによって調製できる。成型錠剤は、適切な機械内で、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化化合物の混合物を成型することによって製造できる。
【0211】
本発明はさらに、水がいくつかの化合物の分解を容易にし得ることから、活性成分を含む無水医薬組成物および剤形を包含する。例えば、有効期限または経時的な製剤の安定性などの特徴を決定するために長期保存をシミュレートする手段として、薬剤分野では水を添加することができる(例えば5%)。本発明の無水医薬組成物および剤形は、無水または低含水成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。ラクトースを含有する本発明の医薬組成物および剤形は、製造、パッケージングおよび/または保存中に、水分および/または湿度との十分な接触が予想される場合に、無水で製造することができる。無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように調製し、保存することができる。したがって、無水組成物は、水への曝露を防止することが知られている材料を使用してパッケージして、それらが適切な製剤キットに含まれ得るようにすることができる。適切なパッケージの例としては、これだけに限定されるものではないが、密封ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパックおよびストリップパックが含まれる。
【0212】
活性成分は、従来の医薬配合技術に従って、密接な混合物として薬学的な担体と組み合わせることができる。担体は、投与に望ましい調製形態に応じて多種多様な形態をとることができる。経口剤形のための組成物の調製において、例えば経口液体調製物(懸濁剤、溶液剤およびエリキシル剤)またはエアロゾルの場合、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などの通常の薬学的媒体はいずれも担体として使用することができ、あるいは経口固体調製物の場合には、いくつかの実施形態においてラクトースを使用せずに、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤などの担体を使用することができる。例えば、適切な担体には、固体経口調製物の場合、散剤、カプセル剤および錠剤が含まれる。所望に応じて、錠剤は、標準の水性または非水性技術によってコーティングすることができる。
【0213】
医薬組成物および剤形における使用に適した結合剤には、これだけに限定されるものではないが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末化トラガカント、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)などの天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、事前に糊化したデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロースならびにそれらの混合物が含まれる。
【0214】
本明細書に開示の医薬組成物および剤形における使用に適した充填剤の例としては、これだけに限定されるものではないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒剤または散剤)、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、事前に糊化したデンプンおよびそれらの混合物が含まれる。
【0215】
崩壊剤は、水性環境に曝露された場合に崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物において使用することができる。多過ぎる崩壊剤は、瓶内で崩壊し得る錠剤を生成するおそれがある。少な過ぎると、崩壊が生じるのに不十分であり、こうして剤形からの(単数もしくは複数の)活性成分の放出速度および度合いを変えることができる。したがって、(単数もしくは複数の)活性成分の放出を有害に変える程には少な過ぎず多過ぎない十分な量の崩壊剤を使用して、本明細書に開示の化合物の剤形を形成することができる。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類および投与方法に応じて変わり得、これは当業者に容易に認識され得る。崩壊剤約0.5~約15重量パーセントまたは崩壊剤約1~約5重量パーセントを、医薬組成物に使用することができる。本発明の医薬組成物および剤形を形成するために使用できる崩壊剤には、これだけに限定されるものではないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、事前に糊化したデンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガムまたはそれらの混合物が含まれる。
【0216】
本発明の医薬組成物および剤形を形成するための使用できる滑沢剤には、これだけに限定されるものではないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天またはそれらの混合物が含まれる。さらなる滑沢剤には、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾルまたはそれらの混合物が含まれる。場合によって、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量の滑沢剤を添加することができる。
【0217】
水性懸濁剤および/またはエリキシル剤が経口投与にとって望ましい場合、本明細書の活性成分を、様々な甘味剤または香味剤、着色物質または染料と混合することができ、また望ましい場合には、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの様々な組み合わせなどの希釈剤と一緒に、乳化剤および/または懸濁化剤と混合することができる。
【0218】
錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または消化管における崩壊および吸収を遅延するための公知の技術によってコーティングすることができ、それによってより長期にわたって持続作用をもたらすことができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。経口使用の製剤は、硬質ゼラチンカプセル剤として提供することもでき、この場合、活性成分は不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合され、あるいは軟質ゼラチンカプセル剤として、活性成分は、水または油性媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合される。
【0219】
本発明の医薬組成物および剤形を形成するために使用できる界面活性剤には、これだけに限定されるものではないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤およびそれらの混合物が含まれる。即ち、親水性界面活性剤の混合物を使用することができ、親油性界面活性剤の混合物を使用することができ、または少なくとも1種の親水性界面活性剤および少なくとも1種の親油性界面活性剤の混合物を使用することができる。
【0220】
適切な親水性界面活性剤は、一般に、少なくとも10以下のHLB値を有することができ、適切な親油性界面活性剤は、一般に約10以下のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的親水性および疎水性を特徴付けるために使用される実験的パラメータは、親水性-親油性平衡(「HLB」値)である。低HLB値を有する界面活性剤は、より親油性または疎水性であり、油への可溶性がより高く、高HLB値を有する界面活性剤は、より親水性であり、水溶液への可溶性がより高い。
【0221】
親水性界面活性剤は一般に、約10を超えるHLB値を有する化合物、ならびにHLB尺度が一般に適用できないアニオン性、カチオン性または双性化合物であるとみなされる。同様に、親油性(即ち疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかし界面活性剤のHLB値は、工業的、薬学的および化粧用乳剤の製剤化を可能にするために一般に使用される大まかな指針であるにすぎない。
【0222】
親水性界面活性剤は、イオン性また非イオン性のいずれかであってよい。適切なイオン性界面活性剤には、これだけに限定されるものではないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素化レシチン;リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;硫酸アルキルの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルラクチレート;モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0223】
前述の群の中で、イオン性界面活性剤には、例えばレシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;硫酸アルキルの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0224】
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸塩、テラセシル(teracecyl)硫酸塩、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンならびにそれらの塩および混合物のイオン化形態であってよい。
【0225】
親水性非イオン性界面活性剤には、これだけに限定されるものではないが、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体および類似体;ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;およびそれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルならびにポリオールと、トリグリセリド、植物油および水素化植物油からなる群の少なくとも1つのメンバーの親水性エステル交換生成物が含まれ得る。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールまたはサッカライドであってもよい。
【0226】
他の親水性非イオン性界面活性剤には、これだけに限定されるものではないが、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、ラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸PEG-32、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、ジステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ジラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、ジオレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG-6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG-8グリセリド、ポリグリセリル-10ラウリン酸、PEG-30コレステロール、PEG-25植物ステロール、PEG-30大豆ステロール、トリオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリル酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリールエーテル、コハク酸トコフェリルPEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween 40、Tween 60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリル酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10-100ノニルフェノールの一連、PEG15-100オクチルフェノールの一連およびポロキサマーが含まれる。
【0227】
適切な親油性界面活性剤には、一例として、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノおよびジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;ならびにそれらの混合物が含まれる。この群の中でも、好ましい親油性界面活性剤には、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそれらの混合物が含まれ、またはそれらは、ポリオールと、植物油、水素化植物油およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバーの疎水性エステル交換生成物である。
【0228】
一実施形態において、組成物は、本発明の化合物の良好な可溶性および/または溶解性を確実にし、本発明の化合物の沈殿を最小限に抑えるための可溶化剤を含むことができる。これは特に、非経口使用のための組成物、例えば注射用組成物にとって重要となり得る。可溶化剤はまた、親水性薬物および/または界面活性剤などの他の成分の可溶性を増大させ、あるいは組成物を安定なまたは均質な溶液剤または分散剤として維持するために添加することができる。
【0229】
適切な可溶化剤の例としては、これだけに限定されるものではないが、以下の、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびそれらの異性体などのアルコールおよびポリオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール(transcutol)、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEGなどの約200~約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;アミドならびに2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミドおよびポリビニルピロリドンなどの他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、一酢酸プロピレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、ε-カプロラクトンおよびその異性体、δ-バレロラクトンおよびその異性体、β-ブチロラクトンおよびその異性体などのエステル;ならびにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水などの当技術分野で公知の他の可溶化剤が含まれる。
【0230】
可溶化剤の混合物を使用することもできる。それらの例としては、これだけに限定されるものではないが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコールおよびジメチルイソソルビドが含まれる。特に好ましい可溶化剤には、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロールおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0231】
含まれ得る可溶化剤の量は、特に制限されない。所与の可溶化剤の量は、生物学的に許容される量に制限することができ、これは当業者によって容易に決定され得る。いくつかの場合、はるかに過剰の生物学的に許容される量の可溶化剤を入れて、例えば薬物濃度を最大限にし、対象に組成物を提供する前に、蒸留または蒸発などの従来の技術を使用して過剰の可溶化剤を除去することが有利になり得る。したがって存在する場合には、可溶化剤は、薬物および他の賦形剤の組み合わせの重量に対して、10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、または最大約200重量%>の重量比であってよい。所望に応じて、5%>、2%>、1%またはさらに少量などの非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。一般に、可溶化剤は、約1%>~約100%の量で、より一般的には約5重量%>~約25重量%>で存在することができる。
【0232】
組成物はさらに、1もしくは複数の薬学的に許容される添加剤および賦形剤を含むことができる。斯かる添加剤および賦形剤には、これだけに限定されるものではないが、脱粘着剤、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、保存剤、キレート剤、粘度調節剤、等張化剤、香味剤、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、充填剤、可塑剤、滑沢剤およびそれらの混合物が含まれる。
【0233】
さらに、処理を容易にし、安定性を増大させ、または他の目的のために、酸または塩基を組成物に組み込むことができる。薬学的に許容される塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが含まれる。また、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの薬学的に許容される酸の塩である塩基が適している。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムなどの多塩基酸の塩を使用することもできる。塩基が塩である場合、カチオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの任意の好都合な薬学的に許容されるカチオンであってよい。その例としては、これだけに限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが含まれ得る。
【0234】
適切な酸は、薬学的に許容される有機または無機酸である。適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが含まれる。適切な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが含まれる。
注射のための医薬組成物
【0235】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物および注射に適した医薬賦形剤を含有する、注射のための医薬組成物を提供する。組成物中の成分および薬剤の量は、本明細書に記載の通りである。
【0236】
本発明の新規な組成物が、注射による投与に組み込まれ得る形態は、水性またはゴマ油、トウモロコシ油、綿実油もしくはピーナッツ油を伴う油性懸濁剤または乳剤、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液および類似の医薬ビヒクルを含む。
【0237】
食塩水中水溶液も、従来注射に使用されている。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(および適切なそれらの混合物)、シクロデキストリン誘導体および植物油を使用することもできる。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合には必要な粒径を維持するために、レシチンなどのコーティングを使用することによって、また界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。
【0238】
滅菌注射溶液は、必要な量の本発明の化合物を、先に列挙した様々な他の成分と共に適切な溶媒に組み込み、必要に応じてその後滅菌濾過することによって調製される。一般に、分散剤は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒および先に列挙したものから必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。注射可能な滅菌溶液剤の調製のための滅菌散剤の場合、いくつかの望ましい調製方法が真空乾燥および冷凍乾燥技術であり、これは活性成分と、予め滅菌濾過したその溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末を生成するものである。
局所(例えば経皮)送達のための医薬組成物
【0239】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物および経皮送達に適した医薬賦形剤を含有する、経皮送達のための医薬組成物を提供する。
【0240】
本発明の組成物は、ゲル剤、水溶性ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、懸濁剤、発泡剤、散剤、スラリー剤、軟膏、溶液剤、油剤、ペースト剤、坐剤、スプレー剤、乳剤、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)系溶液剤などの、限局(local)または局所(topical)投与に適した固体、半固体または液体形態としての調製物に製剤化することができる。一般に、高密度の担体によって、領域に活性成分を長期曝露することができる。その一方、溶液製剤は、選択領域に対して活性成分をより即時的に曝露することができる。
【0241】
医薬組成物はまた、皮膚の角質層透過性障壁を通る治療分子の浸透を増大させ、またはその送達の一助となる化合物である、適切な固体またはゲル相担体または賦形剤を含むことができる。局所製剤分野の業者に公知のこれらの浸透促進分子の多くが存在する。
【0242】
斯かる担体および賦形剤の例としては、これだけに限定されるものではないが、湿潤剤(例えば尿素)、グリコール(例えばプロピレングリコール)、アルコール(例えばエタノール)、脂肪酸(例えばオレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、テルペン(例えばメンソール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0243】
本発明の方法において使用するための別の例示的製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。斯かる経皮パッチは、制御量の本発明の化合物を、別の薬剤を伴って、または伴わずに連続的または非連続的に注入するために使用することができる。
【0244】
医薬品の送達のための経皮パッチの構造および使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号および第5,001,139号を参照のこと。斯かるパッチは、医薬品の連続的、拍動的送達または要求に応じた送達に合わせて構成することができる。
吸入のための医薬組成物
【0245】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液剤および懸濁剤、ならびに散剤が含まれる。液体または固体組成物は、前述の適切な薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。好ましくは、組成物は、限局性または全身性作用のために、経口または鼻による呼吸経路によって投与される。好ましくは薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性なガスを使用することによってネブライザ投与することができる。ネブライザ投与される溶液剤は、ネブライザデバイスまたはフェイスマスクテントに取り付けることができるネブライザデバイス、または間欠的陽圧呼吸機から直接吸入することができる。溶液剤、懸濁剤または散剤組成物は、適切なやり方で製剤を送達するデバイスから、好ましくは経口または経鼻投与することができる。
他の医薬組成物
【0246】
医薬組成物はまた、本明細書に記載の組成物および舌下、経頬、直腸、骨内、眼内、鼻腔内、硬膜外または髄腔内投与に適した1もしくは複数の薬学的に許容される賦形剤から調製することができる。斯かる医薬組成物の調製は、当技術分野で周知である。例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 20037ybg; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001 ; Remingtons Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition(The Pharmaceutical Press, London, 1999)を参照のこと;それらのすべてを全体として参照により本明細書に援用する。
【0247】
本発明の化合物または医薬組成物の投与は、化合物を作用部位に送達できる任意の方法によって行うことができる。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内または注入を含む)、局所(例えば経皮適用)、直腸投与、カテーテルもしくはステントによる限局送達による、または吸入によるものが含まれる。化合物は、脂肪内または髄腔内投与することもできる。
【0248】
投与される化合物の量は、治療を受ける哺乳動物、障害または状態の重症度、投与率、化合物の性質および処方医師の裁量に依存して決まることになる。しかし有効量は、単回用量または分割用量で、1日につき体重1kg当たり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトについては、この量は約0.05~7g/日、好ましくは約0.05~約2.5g/日の量になろう。いくつかの場合、前述の範囲の下限未満の投与レベルで十分なことがあり、他の場合には、例えば1日を通して投与するために多用量をいくつかの少用量に分割することによって、任意の有害な副作用を生じることなく、斯かるさらなる多用量を使用することもできる。
【0249】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、単回用量で投与される。
【0250】
一般に、斯かる投与は、薬剤を急速に導入するために注射によって、例えば静脈内注射によって行われることになる。しかし、必要に応じて他の経路を使用することができる。本発明の化合物の単回用量は、急性状態の治療のために使用することもできる。
【0251】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、複数回用量で投与される。投与は、1日当たりおよそ1回、2回、3回、4回、5回、6回または7回以上行うことができる。投与は、およそ1カ月1回、隔週に1回、週1回、または1日おきに1回行うことができる。別の実施形態において、本発明の化合物および他の薬剤は、1日当たりおよそ1回~1日当たりおよそ6回、一緒に投与される。別の実施委形態では、本発明の化合物および薬剤の投与は、約7日未満継続する。さらに別の実施形態において、投与は、およそ6日、10日、14日、28日、2カ月、6カ月、または1年を超えて継続する。いくつかの場合、連続投与は、必要な限り実現し維持される。
【0252】
本発明の化合物の投与は、必要な限り継続することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、1、2、3、4、5、6、7、14または28日を超えて投与される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、28、14、7、6、5、4、3、2または1日未満投与される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、例えば慢性作用の治療のために、継続的に慢性的に投与される。
【0253】
有効量の本発明の化合物は、単回または複数回用量で、直腸、経頬、鼻腔内および経皮経路を含む、類似の利用性を有する薬剤の許容される投与方法のいずれかによって、動脈内注射によって、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所的に、または吸入剤として投与することができる。
【0254】
本発明の組成物はまた、例えばステントなどの含浸またはコーティング済みデバイス、または動脈挿入型円筒ポリマーによって送達することができる。斯かる投与方法は、例えばバルーン血管形成術などの術後の再狭窄の予防または緩和の一助になり得る。理論に拘泥するものではないが、本発明の化合物は、再狭窄に寄与する動脈壁内の平滑筋細胞の遊走および増殖を遅延または阻害することができる。本発明の化合物は、例えばステントの支柱(strut)から、ステントグラフトから、グラフトから、またはステントのカバーもしくは外筒からの限局送達によって投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、マトリックスと混合される。斯かるマトリックスは、ポリマーマトリックスであってよく、これは化合物をステントに結合する働きをし得る。斯かる使用に適したポリマーマトリックスには、例えば、ポリラクチド、ポリカプロラクトングリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、多糖、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル-エステル)コポリマー(例えばPEO-PLLA)などのラクトン系ポリエステルまたはコポリエステル;ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、アクリレート系ポリマーまたはコポリマー(例えばポリヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリマーおよびセルロースエステルが含まれる。適切なマトリックスは、非分解性であってよく、または経時的に分解して、1もしくは複数の化合物を放出することができる。本発明の化合物は、浸漬/スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、および/またははけ塗りなどの様々な方法によって、ステントの表面に塗布することができる。化合物を溶媒に加えることができ、その溶媒を蒸発させることによって、化合物の層をステント上に形成することができる。あるいは、化合物を、ステントまたはグラフト本体内に、例えばマイクロチャネルまたは細孔内に置くこともできる。埋め込まれる場合、化合物は、ステント本体から拡散して動脈壁に接触する。斯かるステントは、斯かる細孔またはマイクロチャネルを含有するように製造されたステントを、適切な溶媒中、本発明の化合物の溶液に浸漬し、その後溶媒を蒸発することによって調製できる。ステント表面上の過剰薬物は、追加の簡単な溶媒洗浄によって除去することができる。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、ステントまたはグラフトに共有結合することができる。インビボで分解し、本発明の化合物を放出する共有結合のリンカーを使用することができる。斯かる目的のために、エステル、アミドまたは無水結合などの生体内で不安定な任意の結合を使用することができる。本発明の化合物はさらに、血管形成術中に使用するバルーンから経脈管的に投与することができる。本発明の製剤の心膜または外膜適用を介する化合物の血管外投与も、再狭窄を低減するために実施することができる。
【0255】
記載の通りに使用できる様々なステントデバイスは、例えば、以下の参考文献、米国特許第5451233号、米国特許第5040548号、米国特許第5061273号、米国特許第5496346号、米国特許第5292331号、米国特許第5674278号、米国特許第3657744号、米国特許第4739762号、米国特許第5195984号、米国特許第5292331号、米国特許第5674278号、米国特許第5879382号、米国特許第6344053号に開示されており、それらのすべてを全体として参照により本明細書に援用する。
【0256】
本発明の化合物は、複数投与量で投与することができる。化合物の薬物動態の被験者間変動により、最適治療のためには投与レジメンの個別化が必要であることが、当技術分野では公知である。本発明の化合物の投与は、本開示に照らして通例の実験によって見ることができる。
【0257】
本発明の化合物が、1もしくは複数の薬剤を含む組成物として投与され、その薬剤が、本発明の化合物よりも短い半減期を有する場合、該薬物および本発明の化合物の単位剤形は、それに応じて調節することができる。
【0258】
対象医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、徐放製剤、溶液剤、懸濁剤として経口投与に適した、滅菌溶液剤、懸濁剤または乳剤として非経口注射に適した、軟膏剤またはクリーム剤として局所投与に適した、あるいは坐剤として直腸投与に適した形態であってよい。医薬組成物は、正確な用量を単回投与するのに適した単位剤形であってよい。医薬組成物は、従来の医薬担体または賦形剤および活性成分としての本発明の化合物を含むことになる。さらに医薬組成物は、他の医薬または医薬品、担体、アジュバントなどを含むことができる。
【0259】
例示的非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えばプロピレングリコール水溶液またはデキストロース溶液中の活性化合物の溶液剤または懸濁剤が含まれる。斯かる剤形は、所望に応じて、適切に緩衝化されることができる。
使用の方法
【0260】
典型的には、方法は、治療的有効量の本発明の化合物を対象に投与することを含む。対象となる化合物の組み合わせの治療的有効量は、意図される適用(インビトロまたはインビボ)、または治療される対象と病状、例えば、対象の体重と年齢、病状の重症度、投与様式などによって異なる可能性があるが、それは、当業者によって容易に決定される。その用語はまた、標的細胞における特定の応答、例えば、増殖の低減または標的タンパク質の活性の下方制御、を引き起こす用量にも当てはまる。具体的な用量は、選択された特定の化合物、従うべき投薬計画、それが他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織、およびそれが担持される物理的送達システムによって異なる。
【0261】
本明細書で使用されるとき、「IC50」という用語は、生物学的または生化学的機能を阻害することにおける、阻害剤の最大半量の阻害濃度を指す。この定量的尺度は、所与の生物学的プロセス(またはプロセスの構成要素、すなわち酵素、細胞、細胞受容体、もしくは微生物)を半分阻害するために、特定の阻害剤のうちのどれほどが必要とされるかを示す。言い換えれば、それは、物質の最大半量の(50%)阻害濃度(IC)(50%IC、またはIC50)である。EC50は、生体内で50%の最大効果を得るために要求される、血漿中濃度を指す。
【0262】
いくつかの実施形態において、主題の方法は、生体外キナーゼアッセイにおいて確認されるとき、およそ既定値またはそれ未満のIC50値を有する、PRMT5阻害剤を利用する。いくつかの実施形態において、PRMT5阻害剤は、約1nM以下、2nM以下、5nM以下、7nM以下、10nM以下、20nM以下、30nM以下、40nM以下、50nM以下、60nM以下、70nM以下、80nM以下、90nM以下、100nM以下、120nM以下、140nM以下、150nM以下、160nM以下、170nM以下、180nM以下、190nM以下、200nM以下、225nM以下、250nM以下、275nM以下、300nM以下、325nM以下、350nM以下、375nM以下、400nM以下、425nM以下、450nM以下、475nM以下、500nM以下、550nM以下、600nM以下、650nM以下、700nM以下、750nM以下、800nM以下、850nM以下、900nM以下、950nM以下、1μM以下、1.1μM以下、1.2μM以下、1.3μM以下、1.4μM以下、1.5μM以下、1.6μM以下、1.7μM以下、1.8μM以下、1.9μM以下、2μM以下、5μM以下、10μM以下、15μM以下、20μM以下、25μM以下、30μM以下、40μM以下、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、200μM、300μM、400μM、もしくは500μM、またはそれ未満(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)のIC50値でPRMT5を阻害する。
【0263】
いくつかの実施形態において、PRMT5阻害剤は、1、2、または3個の他のPRMT5に対するそのIC50値よりも、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、または1000倍(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)低いIC50値でPRMT5を選択的に阻害する。
【0264】
いくつかの実施形態において、PRMT5阻害剤は、約1nM、2nM、5nM、7nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、120nM、140nM、150nM、160nM、170nM、180nM、190nM、200nM、225nM、250nM、275nM、300nM、325nM、350nM、375nM、400nM、425nM、450nM、475nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1μM、1.1μM、1.2μM、1.3μM、1.4μM、1.5μM、1.6μM、1.7μM、1.8μM、1.9μM、2μM、5μM、10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、200μM、300μM、400μM、または500μM未満(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)であるIC50値でPRMT5を選択的に阻害し、該IC50値は、1、2、または3個の他のPRMT5に対するそのIC50値よりも、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、または1000倍(あるいは、上記のうちの任意の2つの数値を含めた、それらによって規定される範囲内の数値)低い。
【0265】
主題の方法は、PRMT5に関連する病状を治療するのに有用である。PRMT5の異常な活性または発現レベルから直接または間接的にもたらされる任意の病状が、対象とする病状であり得る。
【0266】
PRMT5に関連する様々な病状が報告されている。PRMT5は、例えば、多様なヒト癌に関連付けられている。
【0267】
斯かる病態の限定されることのない例としては、これだけに限定されるものではないが、棘細胞腫、腺房細胞癌、聴神経腫瘍、末端黒子型黒色腫、先端汗腺腫、急性好酸球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単球性白血病、成熟急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄樹状細胞白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄原性白血病(Acute myelogenous leukemia)、急性前骨髄球性白血病、アダマンチノーマ、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺様歯原性腫瘍、副腎皮質癌、成人T細胞白血病、侵攻性NK細胞白血病、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮線維腫、肛門癌、未分化大細胞リンパ腫、未分化甲状腺癌、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管筋脂肪腫、血管肉腫、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫様 横紋筋様腫瘍、基底細胞癌、基底細胞様癌腫、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、ベリニ管癌、胆道癌、膀胱癌、芽細胞腫、骨肉腫、骨腫瘍、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、ブレンナー腫瘍、気管支腫瘍、細気管支肺胞癌腫、褐色腫、バーキットリンパ腫、未知の原発部位の癌、カルチノイド腫瘍、癌腫、上皮内癌、陰茎癌、未知の原発部位の癌腫、癌肉腫、キャッスルマン病、中枢神経系胚芽腫、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫、子宮頸癌、胆管癌、軟骨腫、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛腫、脈絡叢乳頭腫、慢性リンパ球性白血病、慢性単球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、慢性好中球性白血病、透明細胞腫瘍、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、デゴス病、隆起性皮膚線維肉腫、皮様嚢腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、胎生期癌、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜癌、子宮内膜子宮癌、子宮内膜性腫瘍、腸疾患関連T細胞リンパ腫、上衣芽細胞腫、上衣細胞腫、扁平上皮癌、類上皮肉腫、赤白血病、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング腫瘍ファミリー、ユーイング肉腫ファミリー、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、乳房外ページェット病、卵管癌、封入奇形、線維腫、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性甲状腺癌、胆嚢癌、胆嚢癌、神経節膠腫、神経節細胞腫、胃癌、胃リンパ腫、消化管癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、胚細胞腫、妊娠性絨毛癌、妊娠性絨毛腫瘍、骨巨細胞腫、多形性膠芽腫、神経膠腫、大脳膠腫症、グロムス腫瘍、グルカゴン産生腫瘍、性腺芽細胞腫、顆粒膜細胞腫、有毛細胞性白血病、頭頸部癌、心臓癌、異常ヘモグロビン症、例えば、b-サラセミアや鎌状赤血球貧血(SCD)など、血管芽細胞腫、血管周囲細胞腫、血管肉腫、血液学的悪性腫瘍、肝細胞癌、肝脾T細胞リンパ腫、遺伝性乳癌卵巣癌症候群、ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部膠腫、炎症性乳癌、眼内黒色腫、島細胞癌、島細胞腫、若年性骨髄単球性白血病、カポジ肉腫、カポジ肉腫、腎臓癌、クラッキン腫瘍、クルッケンベルグ腫瘍、喉頭癌、喉頭癌、悪性黒子型黒色腫、白血病、口唇癌及び口腔癌、脂肪肉腫、肺癌、黄体腫、リンパ管腫、リンパ管肉腫、リンパ上皮腫、リンパ性白血病、リンパ腫、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、悪性線維性組織球腫、骨悪性線維性組織球腫、悪性神経膠腫、悪性中皮腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性横紋筋様腫瘍、悪性トリトン腫瘍、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、マスト細胞白血病、マスト細胞症、縦隔胚細胞腫瘍、縦隔腫瘍、甲状腺髄様癌、髄芽細胞腫、髄様上皮腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、転移性尿路上皮癌、ミュラー管混合腫瘍、単球性白血病、口腔癌、粘液性腫瘍、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成疾患、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄性肉腫、骨髄増殖性疾患、粘液腫、鼻腔癌、上咽頭癌、鼻咽腔癌、新生物、神経線維腫症、神経芽細胞腫、神経繊維腫、神経腫、結節型黒色腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌、眼癌、乏突起星細胞腫、乏突起膠腫、好酸性顆粒細胞腫、視神経鞘髄膜腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、乳房パジェット病、パンコースト腫瘍、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、血管周囲類上皮細胞腫瘍、咽頭癌、褐色細胞腫、中間分化型松果体実質腫瘍、松果体芽細胞腫、下垂体細胞腫、下垂体腺腫、下垂体部腫瘍、形質細胞腫、胸膜肺芽腫、多胚芽腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、原発性肝細胞癌、原発性肝臓癌、原発性腹膜癌、原始神経外胚葉腫瘍、前立腺癌、腹膜偽粘液腫、直腸癌、腎細胞癌、第15染色体上のNUT遺伝子に関連する気道癌、網膜芽細胞腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、リヒタートランスフォーメーション、仙尾部奇形腫、唾液腺癌、肉腫、シュワン細胞腫、脂腺癌、続発性腫瘍、精上皮腫、漿液腫、セルトリライディッヒ細胞腫瘍、性索間質腫瘍、セザリー症候群、印環細胞癌、皮膚癌、小青色円形細胞腫瘍、小細胞癌腫、小細胞肺癌、小細胞リンパ腫、小腸癌、軟部組織肉腫、ソマトスタチン産生腫瘍、煤煙性疣贅、脊髄腫瘍、脊髄腫瘍、脾性辺縁帯リンパ腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、表在拡大型黒色腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、表層上皮性間質性腫瘍、滑膜肉腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、T細胞大型顆粒リンパ球性白血病、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、T細胞前リンパ球性白血病、奇形腫、末端リンパ腺癌、精巣癌、莢膜細胞腫、咽喉癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行上皮癌、移行上皮癌、尿膜管癌、尿道癌、泌尿生殖器腫瘍、子宮肉腫、ブドウ膜黒色腫、膣癌、ヴァーナーモリソン症候群、疣状癌、視経路神経膠腫、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ワルチン腫瘍、ウィルムス腫瘍、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0268】
いくつかの実施形態において、該方法は、腫瘍血管新生、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患等の慢性炎症性疾患、乾癬、湿疹、及び強皮症等の皮膚病、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣、乳房、肺、膵臓、前立腺、結腸、及び類表皮癌からなる群から選択される疾患を治療するためのものである。
【0269】
いくつかの実施形態において、前記方法は、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞性白血病、骨髄形成異常、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、マスト細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)など、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、類表皮癌、または異常ヘモグロビン症、例えば、b-サラセミアや鎌状赤血球貧血(SCD)など、から選択される疾患を治療するためのものである。
【0270】
他の実施形態において、前記方法は、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、子宮癌、または子宮頚癌から選択される疾患を治療するためのものである。
【0271】
他の実施形態において、前記方法は、白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞性白血病、骨髄形成異常、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、マスト細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)など、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、類表皮癌、または異常ヘモグロビン症、例えば、b-サラセミアや鎌状赤血球貧血(SCD)など、から選択される疾患を治療するためのものである。
【0272】
さらに他の実施形態において、前記方法は、CDKN2A欠失癌、9P欠失癌、MTAP欠失癌、多形膠芽腫(GBM)、NSCLC、頭頚部癌、膀胱癌、または肝細胞癌腫から選択される疾患を治療するためのものである。
【0273】
本開示の化合物、ならびにそれらを含んでいる医薬組成物は、単独で、または薬物療法と組み合わせて、記載した疾患のいずれかを治療するために投与され得る。薬物療法としては、例えば、手術および放射線療法(例えば、γ放射線、中性子線放射線療法、電子ビーム放射線療法、陽子治療、小線源療法、全身的放射性同位体)が挙げられる。
【0274】
他の態様において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、単独で、または1もしくは複数のその他の剤と組み合わせて、記載した疾患のいずれかを治療するために投与され得る。
【0275】
他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、核内受容体剤の作動薬と組み合わせて投与され得る。
【0276】
他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、核内受容体剤の拮抗薬と組み合わせて投与され得る。
【0277】
他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、抗増殖剤と組み合わせて投与され得る。
【0278】
他の態様において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、単独で、または1もしくは複数のその他の化学療法薬と組み合わせて、記載した疾患のいずれかを治療するために投与され得る。その他の化学療法薬の例としては、例えば、アバレリクス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、オールトランス型レチノイン酸、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾムビ、ボルテゾミブ、ブスルファン静脈内、ブスルファン経口、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトクス、デキサラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロンプロピオネート、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、クエン酸フェンタニル、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸リュープロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロンフェノプロピオネート、ネララビン、ノフェツモマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パノビノスタット、パニツムマブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタット、およびゾレドロネート、ならびに任意のそれらの組み合わせが挙げられる。
【0279】
他の態様において、もう片方の剤は、後生的調節物質を標的化する治療薬である。後生的調節薬の例としては、例えば、ブロモドメイン阻害剤、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアルギニンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、およびDNAメチルトランスフェラーゼ、ならびに任意のそれらの組み合わせが挙げられる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、いくつかの態様において好まれ、それとしては、例えば、ボリノスタットが挙げられる。
【0280】
治療される疾患が、癌または別の増殖性疾患である他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、標的療法剤と組み合わせて投与され得る。標的療法としては、例えば、JAKキナーゼ阻害剤(例えば、Ruxolitinib)、PI3キナーゼ阻害剤(PI3K-デルタ選択的および広域PI3K阻害剤を含む)、MEK阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、CDK4/6阻害剤)、BRAF阻害剤、mTOR阻害剤、プロテアソーム阻害剤(例えば、Bortezomib、Carfilzomib)、HDAC阻害剤(例えば、パノビノスタット、ボリノスタット)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、デキサメタゾン、ブロモおよび付加端末ファミリーメンバー、BTK阻害剤(例えば、イブルチニブ、アカラブルチニブ)、BCL2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)、MCL1阻害剤、PARP阻害剤、FLT3阻害剤、およびLSD1阻害剤、ならびに任意のそれらの組み合わせが挙げられる。
【0281】
治療される疾患が、癌または別の増殖性疾患である他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて投与され得る。免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、PD-1の阻害剤、例えば、抗PD-1モノクローナル抗体が挙げられる。抗PD-1モノクローナル抗体の例としては、例えばニボルマブ、ペムブロリズマブ(MK-3475としても知られている)、ピジリズマブ、SHR-1210、PDR001、およびAMP-224、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、抗PD1抗体はニボルマブである。いくつかの態様において、抗PD1抗体はペムブロリズマブである。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られている)、またはMSB0010718C、あるいはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280AまたはMEDI4736である。他の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、例えば、CTLA-4の阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体である。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体はイピリムマブである。
【0282】
治療される疾患が、癌または別の増殖性疾患である他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド(CY)、メルファラン(MEL)、およびベンダムスチン)、プロテアソーム阻害剤剤(例えば、カーフィルゾミブ)、コルチコステロイド剤(例えば、デキサメタゾン(DEX))、免疫調節薬(例えば、レナリドミド(LEN)またはポマリドミド(POM))、あるいは任意のそれらの組み合わせと組み合わせてを投与され得る。
【0283】
いくつかの実施形態において、治療される疾患は、自己免疫性条件または炎症状態である。これらの態様において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、例えば、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニソロン、またはフルメトロンなどのコルチコステロイド剤、あるいは任意のそれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。
【0284】
治療される疾患が、自己免疫性病態または炎症性病態である他の方法において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、免疫抑制薬剤、例えば、フルオシノロンアセトニド(RETISERT(商標))、リメキソロ(AL-2178、VEXOL(商標)、ALCO(商標))、またはシクロスポリン(RESTASIS(商標))など、あるいは任意のそれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。
【0285】
いくつかの実施形態において、治療される疾患は、β-サラセミアまたは鎌状赤血球貧血である。これらの態様において、本開示の化合物、ならびにそれらを含む医薬組成物は、1もしくは複数の剤、例えば、HYDREA(商標)(ヒドロキシウレア)などと組み合わせて投与され得る。
【0286】
以下に提供する実施例および調製物は、本発明の化合物および斯かる化合物の調製方法をさらに示し、かつ、例示するものである。本発明の範囲は、以下の実施例および調製物の範囲によっていかなる制限も受けないことを理解されたい。以下の実施例では、単一のキラル中心を有する分子は、別段示されない限りラセミ混合物として存在する。二つ以上のキラル中心を有する分子は、別段示されない限りジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に公知の方法によって得ることができる。
【0287】
本開示の化合物は、例えば、以下のスキームを参照することによって調製できる。
【化86】
【化87】
【0288】
本開示の化合物としては、例えば、表Aに定義される化合物が挙げられる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【実施例】
【0289】
実験手順
実施例1.(2R,3R,4S,5S)-2-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((R)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル)-1-ヒドロキシエチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(1)
【化88】
ステップ1.ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル(3aS,4S,6R,6aR)-6-(4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メタノン(1b)の合成
マグネシウム(208mg、8.56mmol)を入れた50mLのセプタム付RBFを高真空下、ヒートガンで乾燥させ、そして、Ar下で冷やした。フラスコに室温にてTHF(3.4mL)、4/10部の4-ブロモビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン(1.01mL、8.11mmol)、およびトルエン中1Mのジイソブチルアルミニウム水素化物(20μL、0.0200mmol)を加えた。マグネシウムの開始を、撹拌の1分後に反応溶液の自己発熱によって観察した。反応混合物を、更に10分間撹拌し、THF(3mL)で希釈し、次に、10分間かけて2部の残りの4-ブロモビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエンを加え、そして、室温にて更に30分間(または反応混合物が室温に戻るまで)撹拌した。マグネシウム切削物の大部分はGrignard試薬形成によって消費された。1aの溶液、THF(18mL)中の(3aR,4R,6S,6aS)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-N-メトキシ-N,2,2-トリメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-カルボキサミド(2.21g、5.77mmol)を、熱乾燥RBF内で調製した。ケトン材料を、高真空下、ヒートガンで前もって徹底的に乾燥させて、残留EtOAc溶媒の大部分を取り除いた。Grignard試薬溶液を、0℃にてケトン溶液に、2分間かけてカニューレによって滴下して移し、THF(2mL)ですすいだ。溶液を、0℃にて5分間撹拌し、次に、室温にて30分間撹拌した。反応混合物を、氷浴内で0℃に冷やし、EtOAc(1mL)でクエンチし、室温に置き、そして、5分間撹拌した。次に、反応混合物を、飽和NH
4Cl(10mL)で中和し、水(80mL)で希釈し、EtOAc(100mL)で抽出した。有機層を分離し、飽和ナトリウム酒石酸カリウム(10mL)、水(2x80mL)、塩水(40mL)で洗浄し、Na
2SO
4およびMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、そして、黄色のフォームに濃縮した。未精製の混合物を、FCC(40gのSiO
2、ヘキサン中の0→30%のEtOAc、DCM+ヘキサン中で湿式添加した)によって精製して、黄色のフォームとして1b[(3aR,4R,6S,6aS)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエニル)メタノン(2.32g、5.45mmol、94.4%の収率)を得た。Rf = 0.53 (1:2 EtOAc:ヘキサン); 1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.48 (s, 1H), 7.68 (dd, J = 1.4, 7.7 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.35 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 1.0, 7.6 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.45 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 5.61 (dd, J = 2.1, 6.1 Hz, 1H), 5.48 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 5.42 (dd, J = 1.3, 6.0 Hz, 1H), 3.21 - 3.14 (m, 4H), 1.70 (s, 3H), 1.44 (s, 3H); LRMS (ESI) m/z [M+H]
+ C
22H
21ClN
3O
4について計算値: 426.12/426.12. 実測値: 426.0/428.0。
ステップ2.(R)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル)-1-(3aR,4S,6R,6aR)-6-(4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)エタン-1-オール(1cおよび1d)の合成
【0290】
1b、[(3aR,4R,6S,6aS)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノン(442.5mg、1.04mmol)を入れた25mLのセプタム付RBFを、空にし、Arを再充填した(×3)。フラスコにTHF(6mL)を加え、室温の水浴中に置き、そしてMeTHF中のメチルマグネシウム臭素、3.2M(0.81mL、2.6mmol)を10分間かけて滴下して加えた。反応物を室温にて1時間撹拌した。反応をTLCおよびLCMSによって完了し、そして、LCMSによって~5:1の比のジアステレオマーが示された。反応混合物を飽和NH4Cl(2mL)で慎重にクエンチし(警告:ガス放出)、水(40mL)で希釈し、EtOAc(40mL)で抽出し、水(40mL)、塩水(20mL)で洗浄し、そしてNa2SO4上で乾燥させた。混合物を濾過し、減圧下で濃縮し、そしてFCC(40gのSiO2、ヘキサン中の0→30%のEtOAc、DCM中で湿式添加した)によって精製して、白色のフォームとして1c(1R)-1-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)エタノール(349.7mg、0.7913mmol、76.2%の収率)および透明なピンク色のガラスとして1d(1S)-1-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)エタノール(46.4mg、0.105mmol、10.1%の収率)を得た。
(1c) Rf = 0.58 (1:2 EtOAc:ヘキサン); 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.74 (s, 1H), 7.41 (dd, J = 1.5, 7.7 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.09 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.38 (bs, 1H), 5.85 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.17 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 4.72 (dd, J = 1.2, 6.0 Hz, 1H), 4.64 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 3.23 - 3.16 (m, 4H), 1.58 (s, 3H), 1.51 (s, 3H), 1.21 (s, 3H); LRMS (ESI) m/z [M+H]+ C23H25ClN3O4について計算値: 442.15/444.15. 実測値: 442.0/444.0。
(1d) Rf = 0.48 (1:2 EtOAc:ヘキサン); 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.73 (dd, J = 2.4, 6.8 Hz, 1H), 7.29 - 7.25 (m, 1H), 7.22 (bs, 1H), 7.17 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 6.95 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.31 (dd, J = 2.4, 6.5 Hz, 1H), 5.14 (dd, J = 4.6, 6.7 Hz, 1H), 4.71 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 3.12 - 3.03 (m, 4H), 1.66 (s, 3H), 1.61 (s, 3H), 1.41 (s, 3H); LRMS (ESI) m/z [M+H]+ C23H25ClN3O4について計算値: 442.15/444.15. 実測値: 442.1/444.1。
ステップ3.(R)-1-(3aR,4S,6R,6aR)-6-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル)エタン-1-オール(1e)の合成
【0291】
1c(1R)-1-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)エタノール(132.5mg、0.300mmol)を入れた5mLのセプタム付電子レンジ用バイアルを空にし、そしてArで再充填した(×3)。バイアルに1,4-ジオキサン(1mL)および水酸化アンモニウム(2mL、30mmol)を加え、均一な溶液が形成されるまで短時間加熱した。次に、反応混合物を120℃にて12時間電子レンジ処理した。混合物を減圧下で濃縮し、すべての揮発物を除去し、そして未精製物を次の反応に使用した。LRMS (ESI) m/z [M+H]+ C23H27N4O4について計算値: 423.20. 実測値: 423.1。
ステップ4.(2R,3R,4S,5S)-2-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((R)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル)-1-ヒドロキシエチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.1)の合成
【0292】
メタノール(2mL)中の未精製の1e((1R)-1-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)エタノール)(0.30mmol)の溶液を入れた100mLのセプタム付RBFを、Arで1分間パージした。反応混合物に塩酸、1M(2.mL、2mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。次に、反応混合物に塩酸、1M(2.mL、2mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、そしてFCC(30gのC18、H2O中の5→40%のMeCN、DMSO中で湿式添加した)によって精製した。生成物を含有している1つの画分を凍結乾燥して、綿毛状の白色の固体としてEx.1のTFA塩、(2R,3R,4S,5S)-2-(4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-[(1R)-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)-1-ヒドロキシ-エチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール;2,2,2-トリフルオロ酢酸(34.4mg、93.8%の純度、0.0650mmol、2ステップを通じて21.7%の収率)を得た。生成物を含有している別の画分を減圧下で濃縮し、MeOHで希釈し、アンバーライトIRA-67樹脂で中和し、酢酸セルロースフリットを通して濾過し、そして減圧および加熱(50℃)下で濃縮して、ベージュ色の粉末としてEx.1(2R,3R,4S,5S)-2-(4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-[(1R)-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)-1-ヒドロキシ-エチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(51.2mg、95.5%の純度、0.128mmol、2ステップを通じて42.6%の収率)を得た。
【0293】
(Ex.1のTFA塩)1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.23 - 8.00 (m, 3H), 8.36 (s, 1H), 7.75 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 1.5, 7.8 Hz, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.05 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.86 (bs, 1H), 5.19 (bs, 1H), 4.87 (bs, 1H), 4.47 (dd, J = 5.0, 7.9 Hz, 1H), 4.09 (s, 1H), 3.73 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 3.12 (s, 4H), 1.41 (s, 3H); LRMS (ESI) m/z [M+H]+ C20H23N4O4について計算値: 383.17. 実測値: 383.1。
【0294】
(Ex.1)1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.09 (s, 1H), 7.39 (dd, J = 1.4, 7.8 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.29 (bs, 2H), 7.25 (s, 1H), 7.04 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.86 (bs, 1H), 6.61 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.81 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.72 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 4.65 (td, J = 5.0, 7.6 Hz, 1H), 4.11 (s, 1H), 3.68 (dd, J = 3.2, 5.0 Hz, 1H), 3.12 (s, 4H), 1.37 (s, 3H); LRMS (ESI) m/z [M+H]
+ C
20H
23N
4O
4について計算値: 383.17. 実測値: 383.1。
実施例2.(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(2)
【化89】
ステップ1.(R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル((3aR,4R,6R,6aR)-6-(4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メタノール(2a)および(R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル(3aR,4R,6R,6aR)-6-(4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メタノール(2b)の合成
【0295】
アルゴン下、トルエン(25mL)中の[(3aR,4R,6S,6aS)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノン(1200.mg、2.82mmol)の溶液を入れた100mLのセプタム付RBFを、アセトン/ドライアイス浴中で-76℃に冷やした。トルエン(5.4mL、5.4mmol)中の水素化ジイソブチルアルミニウム;DIBAL、1Mを4分間かけて滴下して加えた。反応混合物を-76℃にて1時間撹拌し、そしてTLC(ヘキサン/EtOAc 70:30)が完了したことを示した。反応物を0℃の氷浴中に置き、水(0.04×5.4mL)15%のNaOH(0.04×5.4mL)および水(0.1×5.4mL)の慎重な添加でクエンチし、そして15分間撹拌した。反応混合物にNa2SO4を加え、さらに5分間撹拌し、そしてセライトのパッドを通して濾過した。未精製物を減圧下で濃縮し、ヘキサン/EtOAcを使用して40gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2a)(800mg、1.87mmol、66.4%の収率)および(S)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2b)(370mg、0.86mmol、30.7%の収率)を得た。
【0296】
化合物2aに関して、1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.71 (s, 1H), 7.35 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 1.3, 7.8 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.09 - 7.05 (m, 1H), 6.65 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 5.86 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.26 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 5.08 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.02 (dd, J = 1.4, 6.1 Hz, 1H), 4.59 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 3.18 (s, 4H), 1.58 (s, 3H), 1.29 (s, 3H)。
ステップ2.(R)-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル)メタノール(2c)の合成
【0297】
メタノール(5mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(600.mg、1.4mmol)に、水酸化アンモニウム(1.mL、2.8mmol)を加えた。反応物を120℃にて16時間加熱した。反応混合物を濃縮し、そして、未精製物を酢酸エチルで抽出し、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。未精製物をDCM中の0-30%のEtOAcを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2c)(320mg、0.78mmol、55.9%の収率)および(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-メトキシピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(140mg、0.33mmol、23.6%の収率)を得た。
ステップ3.(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(2)の合成
【0298】
メタノール(2mL)中の未精製物(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(122mg、0.300mmol)の撹拌溶液に塩酸、1M(4.mL、4mmol)を加え、そして、反応物を室温にて4時間撹拌した。LCMSが完了したことを示したので、反応物を0℃に冷やし、そして、アンバーライトIRA-67の慎重な添加によって中和した。反応物を、濾紙を通して濾過し、そして、減圧下で濃縮した。未精製物を、セライト上に乾式添加し、CH
2Cl
2/CH
2Cl
2:MeOH 20%を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex2)(70mg、0.18mmol、59%の収率)を得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.09 (s, 1H), 7.33 - 7.24 (m, 1H), 7.21 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.03 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.60 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.89 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.81 (dd, J = 5.2, 7.7 Hz, 1H), 4.25 (s, 1H), 4.24 - 4.23 (m, 1H), 3.17 (s, 4H). LCMS: [M+H] 369.0。
実施例6.(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-フルオロ-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオールヒドロクロリド(Ex.6)
【化90】
a)(S)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(6a)の合成
【0299】
トルエン(90mL)中の4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニルボロン酸(3500.0mg、23.65mmol)の溶液に、ジエチル亜鉛(23.74mL、47.48mmol)を25℃にてゆっくり加えた。混合物を60℃にて1時間撹拌した。トルエン(40mL)中の(3aR,4R,6S,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-カルバルデヒド(3200.0mg、15.83mmol)を60℃にてゆっくり加えた。混合物を60℃にて2時間撹拌した。TLC(PE/EA=5/1)は、反応が完了したことを示した。水(10ml)を加えて、反応をクエンチした。混合物を濾過した。濾液を濃縮し、そして、5/95から85/15へのCH3CN/H2O(中性条件)で溶出するコンビ-フラッシュによって精製して、白色の固体として(S)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2900mg、9.466mmol、55.8%の収率)(6a)を得た。
b) [(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]4-フェニルベンゾアート(6b)の合成
【0300】
トルエン(50mL)中の(S)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(6a)(2900mg、9.47mmol)、4-フェニル安息香酸(2815mg、14.2mmol)およびトリフェニルホスフィン(3724mg、14.2mmol)の混合物に、0℃にてDIAD(2.8mL、14.2mmol)を加えた。混合物を25℃にて3時間撹拌した。混合物を濃縮し、5/95から95/5へのCH3CN/H2O(中性)を用いて溶出するコンビ-フラッシュによって精製して、白色の固体として[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]4-フェニルベンゾアート(6b)(3700mg、7.604mmol、80.33%の収率)を得た。
c)[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(2S,3S,4R)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル]メチル]4-フェニルベンゾアート(6c)の合成
【0301】
水(30.0mL、1664.8mmol)およびTFA(30.0mL、405.19mmol)中の[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]4-フェニルベンゾアート(2421.41mg、4.98mmol)(6b)の混合物を40℃まで加熱し、そして、36時間撹拌した。TLC(PE/EA=1/1、Rf=0.3)は所望の生成物を示した。混合物を濃縮し、5/95から95/5へのCH3CN/H2O(中性)で溶出するコンビ-フラッシュによって精製して、白色の固形物として[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(2S,3S,4R)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル]メチル]4-フェニルベンゾアート(6c)(1600mg、3.700mmol、74.34%の収率)を得た。
d)[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(2S,3S,4R,5R)-5-(4-クロロ-5-フルオロ-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]メチル]4-フェニルベンゾアート(6d)の合成
【0302】
乾燥THF(10mL)中の4-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(79.34mg、0.46mmol)の溶液に、ピリジン(0.04mL、0.46mmol)を加え、次に、トリブチルホスファン(0.23mL、0.92mmol)およびDIAD(0.2mL、1.02mmol)を25℃にて加え、乾燥THF(5mL)中の[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(2S,3S,4R)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル]メチル]4-フェニルベンゾアート(6c)(200.0mg、0.46mmol)を一度に加えた。反応混合物を25℃にて2時間撹拌した。反応混合物を、90:10から5:95へのH2O:CH3CNで溶出する逆相コンビ-フラッシュ(中性条件)によって精製して、淡黄色の固形物として[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(2S,3S,4R,5R)-5-(4-クロロ-5-フルオロ-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]メチル]4-フェニルベンゾアート(6d)(111mg、0.189mmol、41.0%の収率)を得た。
e)(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-フルオロ-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオールヒドロクロリド(Ex.6)の合成
【0303】
1,4-ジオキサン(3mL)中の[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(2S,3S,4R,5R)-5-(4-クロロ-5-フルオロ-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]メチル]4-フェニルベンゾアート(6d)(111.0mg、0.19mmol)の混合物に、水酸化アンモニウム(3.0mL、77.89mmol)は加えた。混合物を120℃にて16時間撹拌した。LCMS(SYZ003-81-R1)は反応が完了したことを示した。混合物を濃縮し、そして、5/95から95/5へのCH
3CN/H
2O(0.1%のTFA)で溶出する、調製用HPLCによって精製し、2MのHCl(4mL)を加えた所望の生成物の溶液を得、そして、凍結乾燥して、白色の固体として(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-フルオロ-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオールヒドロクロリド(Ex.6)(24.9mg、0.056mmol、69.7%の収率)を得た
1H NMRおよび
19F NMRにより生成物を確認した。1H NMR (400 M Hz, DMSO-d6): δ 8.65 (brs, 2 H), 8.35 (s, 1 H), 7.63 (s, 1 H), 7.20 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.10 (s, 1 H), 7.01 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.11 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 4.71 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.39-4.43 (m, 1 H), 4.09 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.99 (d, J = 4.4 Hz, 1 H), 3.09 (s, 4 H). 1H NMR (400 M Hz, DMSO-d6+D
2O ): δ 8.33 (s, 1 H), 7.60 (d, J = 1.6 Hz, 1 H), 7.20 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.10 (s, 1 H), 7.02 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.12 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 4.71 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.39-4.43 (m, 1 H), 4.10 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 4.01 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.10 (s, 4 H). 19F NMR (376 M Hz, DMSO-d6): δ -164.51 (s, 1 F)。
実施例11.(2R,3S,4R,5R)-2-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(11)
【化91】
ステップ1.[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエニル)メチル]ベンゾアート(11a)の合成
【0304】
イソプロピル(NE)-N-イソプロポキシカルボニルイミノカルバマート(0.31mL、1.55mmol)を、室温にてTHF(5mL)中の(S)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエニル)メタノール(2b)(368.mg、0.86mmol)およびトリフェニルホスフィン(345mg、1.29mmol)の溶液に滴下して加えた。反応物は暖かくなった。反応混合物を室温にて一晩撹拌した。TLC(3:1ヘキサン:EA)は、2bが消費されたことを示した。反応物を減圧下で濃縮し、そして、未精製の生成物を20gのカラムにより精製して、白色のフォーム状の固形物として[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエニル)メチル]ベンゾアート(11a)(290mg、0.545mmol、63.4%の収率)を得た。
ステップ2.(R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル((3aR,4R,6R,6aR)-2,2-ジメチル-6-(4-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)安息香酸メチル(11b)の合成
【0305】
Ar下、[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(272mg、0.51mmol)およびパラジウム;トリフェニルホスファン(30mg、0.030mmol)を入れた100mLのセプタム付RBFを、THF(4mL)を加え、Arで1分間パージした(明黄色の溶液)。次に、バイアルにジメチル亜鉛(1.0mL、2.0mmol)(空気との接触を避けるように細心の注意をして、容器間の移動前にAr/N2で針内容積を満たすようにシリンジで引き戻し、シリンジ内の過剰/残留試薬を、ヘキサンを入れた試験管内で希釈し、そして、空気によってクエンチする)を加え、そして、70℃にて2.5時間加熱した。LCMS分析によって完了する。反応混合物を、激しく撹拌しながら、Ar下、室温にて飽和NaHCO3(2mL)を滴下して添加することによってクエンチした。反応混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、そして、セルロースアセテートフィルタを通して真空濾過した。塩を、水(20mL)とEtOAc(20mL)で激しくすすいだ。濾液を水(30mL)で希釈し、EtOAc(50mL)で抽出した。有機物画分を、水(70mL)、塩水(40mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、そして、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、FCC(20gのSiO2、ヘキサン中の0→60%のEtOAc、DCM中で湿式添加した)によって精製した。生成物を含有している画分を合わせ、減圧下かつ加熱(50℃)で濃縮して、黄色のフォーム/ゴムとして[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-2,2-ジメチル-4-(4-メチルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(197mg、0.381mmol、74.6%の収率)を得た。Rf = 0.55 (2:1 EtOAc:ヘキサン); LCMS 実測値: 512.1; 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.72 (s, 1H), 8.02 - 7.94 (m, 2H), 7.55 (tt, J = 1.4, 7.5 Hz, 1H), 7.39 (tt, J = 1.3, 7.6 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.08 - 7.01 (m, 1H), 6.97 - 6.91 (m, 2H), 6.46 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.23 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.19 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 5.49 (dd, J = 2.6, 6.4 Hz, 1H), 5.21 (dd, J = 3.0, 6.4 Hz, 1H), 4.68 (dd, J = 3.0, 5.9 Hz, 1H), 3.13 - 3.04 (m, 4H), 2.67 (s, 3H), 1.63 (s, 3H), 1.40 (s, 3H)。
ステップ3.(R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル(3aR,4R,6R,6aR)-2,2-ジメチル-6-(4-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メタノール(11c)の合成
【0306】
メタノール(3mL)中の[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-2,2-ジメチル-4-(4-メチルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(11b)(197.mg、0.39mmol)の溶液を入れた100mLのRBFを、Arで2分間パージした。溶液に、MeOH(2.mL、1mmol)中のナトリウムメトキシド、0.5Mを加え、そして、室温にて3日間撹拌した。反応混合物を、NH4Cl(20mL)で中和し、水(30mL)で希釈し、そして、EtOAc(50mL)で抽出した。有機物画分を、塩水(25mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、そして、減圧下かつ加熱(50℃)で濃縮して、257mgの未精製の生成物(11c)を得た。Rf = 0.51 (2:1 EtOAc:ヘキサン)。LCMS: [M+H] 408.1。
ステップ4.(2R,3S,4R,5R)-2-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)-5-(4-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(11)の合成
【0307】
Ar下、(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-2,2-ジメチル-4-(4-メチルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(11c)(156.9mg、0.39mmol)の入った100mLのセプタム付RBFに、メタノール(3mL)を加えた。溶液をArで1分間パージし、次に、1Mの塩酸(aq)(3mL、3mmol)を加え、そして、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を、飽和重炭酸ナトリウム(3mL)でクエンチし、次に、水(20mL)および塩水(40mL)で希釈した。混合物をDCM(2x50mL)で抽出し、次に、DCM中の20%のMeOH(2x50mL)で抽出した。有機物画分を合わせ、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、そして、FCC(20gのSiO
2、DCM中の0→8%のMeOH、DCM中で湿式添加した)によって精製した。純粋な生成物をいれた画分を合わせ、そして、減圧下かる加熱(50℃)で濃縮して、白色のフォーム/粉末として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-メチルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex11)(150mg、100%の収率)を得た。顕微鏡下で結晶性。1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.65 (s, 1H), 7.77 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 1.3, 7.6 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.14 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.07 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 4.74 (t, J = 4.5 Hz, 1H), 4.58 (td, J = 5.0, 7.5 Hz, 1H), 4.10 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 4.00 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 3.08 (s, 4H), 2.66 (s, 3H); 1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6+D2O) δ 8.58 (s, 1H), 7.62 (t, J = 4.1 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.03 (s, 1H), 6.97 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.10 - 6.04 (m, 1H), 4.68 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 4.54 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1H), 4.02 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 3.03 (s, 4H), 2.63 (s, 3H)。LCMS [M+H]: 368.1。
実施例20.7-((2R,3R,4S,5R)-5-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンO-メチルオキシム(20)
【化92】
ステップ1.(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[(4E)-4-メトキシイミノ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(20a)の合成
【0308】
1-ブタノール(2.7mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2a)(138.mg、0.320mmol)に、N-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(0.40mL、2.26mmol)およびO-メチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(135mg、1.61mmol)を加えた。反応物を120℃にて加熱した。24時間後に、LCMSは、出発物質と生成物に関して1:1の比を示した。O-メチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(135mg、1.61mmol)とN-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(0.40mL、2.26mmol)の別の一部を加え、そして、反応物を120℃にて更に16時間撹拌した。LCMSがほぼ完了を示したので、反応物を減圧下で濃縮し、EtOAcで溶解し、そして、水で洗浄した。水性物をEtOAcで逆抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、そして、減圧下で濃縮した。未精製物を、CH2Cl2中のEtOAcを使用した(最初の1分間はDCMのみ、続いて11分間40%のEtOAcまで上昇させ、そして、40%で5分間)12gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、11mgの回収された出発物質および(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[(4E)-4-メトキシイミノ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(20a)(50mg、0.11mmol、35%の収率)を得た。
ステップ2.7-((2R,3R,4S,5R)-5-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンO-エチルオキシム(20)の合成
【0309】
メタノール(0.70mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[3-[(Z)-メトキシイミノメチル]ピロール-1-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(20a)(40.mg、0.090mmol)の溶液を入れた100mLのセプタム付RBFに、塩酸、1M(1.4mL、1.4mmol)を滴下して加え、そして、反応混合物を室温にて3時間撹拌した。反応物を0℃(氷浴)に冷やし、NaHCO3水溶液で中和し、減圧下で濃縮し、そして、CH2Cl2で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、そして、減圧下で濃縮した。未精製物を、CH2Cl2/CH2Cl2:MeOH 20%を使用した(1分間はCH2Cl2のみ、次に、7分間50%の溶媒Bまで上昇させる)4gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[(4Z)-4-メトキシイミノ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex20)(12.9mg、0.0323mmol、38.0%の収率)を得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.38 (br s, 1H), 7.57 (br s, 1H), 7.26 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.02 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.43 ( br s, 1H), 5.87 (br s, 1H), 4.93 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 4.65 (br, 1H), 4.22 (m, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.15 (s, 4H)。LCMS [M+H]: 399.04。
実施例21.7-((2R,3R,4S,5R)-5-((R)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル(ヒドロキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンO-エチルオキシム(21)
【0310】
実施例21を、O-エチルヒドロキシルアミンヒドロクロリドでO-メチルヒドロキシルアミンヒドロクロリドを置換することを除いて、Ex20を調製する手順と同様の手順によって調製した。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4)(予想される互変異性体)δ 8.19 (br s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.28 - 7.04 (m, 3H), 6.66 (br s, 0.4H), 6.42 (br s, 0.6H), 5.9 (br s, 0.4H), 5.85 (d, J=7.6 Hz, 0.6H), 4.9 (br s, 1H), 4.82 (br s, 0.4H), 4.64 (br s, 0.6H), 4.25 (m, 2H), 4.07 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.18 (s, 4H), 1.35 (m, 3H)。LCMS [M+H]: 413.1。
実施例22.7-((2R,3R,4S,5S)-5-((R)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)-1-ヒドロキシエチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンO-エチルオキシム(22)
【化93】
ステップ1.7-((3aR,4R,6S,6aR)-6-((R)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-3-イル)-1-ヒドロキシエチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンO-エチルオキシム(22a)の合成
【0311】
1-ブタノール(4mL)中の(1R)-1-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)エタノール(1c)(210.mg、0.48mmol)に、エトキシアミンヒドロクロリド(239mg、2.38mmol)、およびN-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(0.59mL、3.33mmol)を加えた。反応物を120℃にて16時間加熱した。反応混合物を濃縮し、そして、未精製物を、酢酸エチルによって抽出し、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。未精製物を、DCM中の0-30%のEtOAcを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、125mgのアセタールオキシム生成物を得た(22a)。
ステップ2.7-((2R,3R,4S,5S)-5-((R)-1-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル)-1-ヒドロキシエチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンO-エチルオキシム(22)の合成
【0312】
アセタール22aを、2mLのメタノールで溶解し、そして、2mLの1N HClで処置し、16時間撹拌した。反応混合物を、氷水浴中で冷やし、pH8までの飽和重炭酸ナトリウムの滴下による添加で処置した。反応物を酢酸エチルによって抽出し、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。未精製物を、12gのAgelaカラムによる、DCM中の0-10%のメタノールを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(2S,3S,4R,5R)-2-[(1R)-1-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)-1-ヒドロキシ-エチル]-5-[4-(エトキシアミノ)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex22)(94mg、0.22mmol、46%の収率)を得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4)(予想される互変異性体)δ 8.22 (br s, 1H), 7.60 (s, 0.6H), 7.39 - 7.13 (m, 3.4H), , 6.64 (br s, 0.4H), 6.40 (d, J = 3.4 Hz, 0.6H), 5.87 (d, J = 8.0, 0.4H), 5.75 (d, J=8.0 Hz, 0.6H), 4.83 (m, 0.4H), 4.64 (m, 0.6H), 4.29-4.25 (m, 1H), 4.05 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.92 (m, 1H), 3.16 (s, 4H), 1.51 (s, 3H), 1.33 (m, 3H)。
実施例23.3-[7-[(2R,3R,4S,5R)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1,1-ジメチル-ウレア(Ex.23)
【化94】
a)[(R)-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メトキシ]-トリエチル-シラン(23a)の合成
【0313】
DMF(5mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2a)(400.0mg、0.93mmol)およびイミダゾール(636.44mg、9.35mmol)の溶液に、TESCl(704.5mg、4.67mmol)を加え、反応混合物を25℃にて18時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したこと、および所望の生成物が主要ピークであることを示した。反応混合物を、40:60から0:100へのH2O:CH3CNで溶出する逆相コンビ-フラッシュ(中性条件)によって精製して、[(R)-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メトキシ]-トリエチル-シラン(オイルとして23a)(0.8749mmol、484mg、93.588%の収率)を得た。
b)3-[7-[(3aR,4R,6S,6aR)-6-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(トリエチルシリルオキシ)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1,1-ジメチル-ウレア(23b)
【0314】
1,4-ジオキサン(30mL)中の[(R)-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メトキシ]-トリエチル-シラン(23a)(3.77g、6.81mmol)、1,1-ジメチルウレア(1.2g、13.63mmol)およびK2CO3(2.35g、17.04mmol)の溶液に、N2下でPd2(dba)3(249.62mg、0.27mmol)およびキサントホス(591.48mg、1.02mmol)を加え、反応混合物を、80℃まで加熱し、そして、18時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示し、反応混合物を、セライトを通して濾過し、そして、濾液を減圧下で濃縮して、未精製の生成物を得、そしてそれを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=2:1)によって精製して、固形物として3-[7-[(3aR,4R,6S,6aR)-6-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(トリエチルシリルオキシ)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1,1-ジメチル-ウレア(23b)(3.2g、4.3mmol、63%の収率)を得た。
c)3-[7-[(2R,3R,4S,5R)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1,1-ジメチル-ウレア(Ex.23)の合成
【0315】
水(12mL)およびTFA(8.0mL、107.7mmol)中の3-[7-[(3aR,4R,6S,6aR)-6-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(トリエチルシリルオキシ)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1,1-ジメチル-ウレア(23b)(1.6g、2.16mmol)の溶液を、25℃にて1.5時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をDMSOで溶解し、そして、
90:10から5:95へのH
2O:CH
3CNで溶出する調製用HPLC(0.1%のNH
3・H
2O)によって精製して、白色の固体として3-[7-[(2R,3R,4S,5R)-5-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1,1-ジメチル-ウレア(Ex.23)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.45 (s, 1 H), 8.39 (s, 1 H), 7.53 (d, J =3.6 Hz, 1 H), 7.21 (d, J =8.0 Hz, 1 H), 7.10 (s, 1 H), 7.00 (d, J =7.2 Hz, 1 H), 6.57 (d, J =3.2 Hz, 1 H), 6.10 (d, J =7.6 Hz, 1 H), 6.00 (s, 1 H), 5.22 (d, J =7.2 Hz, 1 H), 5.01 (d, J =3.6 Hz, 1 H), 4.72 (t, J =4.0 Hz, 1 H), 4.53-4.56 (m, 1 H), 4.09 (t, J =4.4 Hz, 1 H), 3.99 (d, J =4.4 Hz, 1 H), 3.09 (s, 4 H), 2.99 (s, 6 H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6+D
2O) δ 8.39 (s, 1 H), 7.50 (d, J =3.6 Hz, 1 H), 7.21 (d, J =7.6 Hz, 1 H), 7.10 (s, 1 H), 7.02 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 6.60 (d, J =4.0 Hz, 1 H), 6.09 (d, J =7.6 Hz, 1 H), 4.73 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.55-4.58 (m, 1 H), 4.12 (d, J = 5.6 Hz, 1 H), 4.03-4.04 (m, 1 H), 3.10 (s, 4 H). 3.00 (s, 6 H)。
実施例40.(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.40)
【化95】
a)(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(40a)の合成
【0316】
1,1’-Bis(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン複合体(95.43mg、0.12mmol)、炭酸カリウム(403.76mg、2.92mmol)、(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(2a)(500.0mg、1.17mmol)、1,4-ジオキサン(30mL)および水(6mL)の混合物をN2で脱気し、加えた。混合物を90℃にて16時間撹拌した。LCMSは、所望の質量が検出されたことを示した。混合物を、濾過し、濃縮し、残渣を5/95から95/5へのCH3CN/H2O(中性)で溶出するコンビ-フラッシュによって精製して、黄色の固形物として(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(40a)(440mg、1.02mmol、86.9%の収率)を得た。
b)(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.40)
【0317】
CH
3CN(2mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(90.0mg、0.21mmol)の溶液に、TFA(0.8mL、11.6mmol)および水(1.2mL、66.59mmol)を加えた。混合物を40℃にて1時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。混合物を、5/95から95/5へのCH
3CN/H
2O(0.1%のTFA)で溶出する調製用HPLCによって精製して、白色の固体として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.40)(44.5mg、0.1116mmol、53.755%の収率)を得た。
1H NMRでは生成物について確認した。1H NMR (400 M Hz, DMSO-d6): δ 8.82 (s, 1 H), 7.92 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.11 (s, 1 H), 7.00 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.93 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 6.23 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.04 (s, 1 H), 5.74 (s,1 H), 4.75 (d, J = 4.4 Hz, 1 H), 4.56-4.60 (m,1 H), 4.14 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.03 (d, J = 4.4 Hz, 1 H), 3.09 (s, 4 H), 2.28 (s,3 H). 1H NMR (400 M Hz, DMSO-d6+D
2O ): δ 8.84 (s, 1 H), 7.91 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.17 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.07 (s, 1 H), 6.97-7.01 (m, 2 H), 6.21 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.03 (s, 1 H), 5.82 (s,1 H), 4.71 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.53-4.56 (m,1 H), 4.14 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 4.05 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.06 (s, 4 H), 2.28 (s, 3 H)。
実施例41.(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-イソプロピルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.41)
【化96】
a)(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロピルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(41a)の合成
【0318】
メタノール(50mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロペニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(40a)(340.0mg、0.78mmol)の溶液に、Pd/C(340.0mg、0.32mmol)を加えた。混合物をH2バルーン下で25℃にて16時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、次のステップにそのまま使用される、未精製物(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロピルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(41a)(340mg、0.781mmol、99.5%の収率)を得た。
b)(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-イソプロピルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.41)
【0319】
CH
3CN(3mL)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-イソプロピルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(41a)(340.0mg、0.78mmol)の溶液に、TFA(1.2mL、17mmol)および水(1.8mL)を加えた。混合物を40℃にて1時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。混合物を、5/95から95/5へのCH
3CN/H
2O(0.1%のTFA)で溶出する調製用HPLCによって精製して、白色の固体として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-(4-イソプロピルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.41)(167.2mg、0.416mmol、53.3%の収率)を得た。
1H NMRでは生成物について確認した。1H NMR (400 M Hz, DMSO-d6): δ 8.87 (s, 1 H), 7.94 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.22 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.12 (s, 1 H), 6.99-7.02 (m,2 H), 6.21 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 4.75 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.56-4.60 (m,1 H), 4.14 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.03 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.49-3.56 (m,1 H), 3.09 (s, 4 H), 1.38 (d, J = 6.8 Hz, 6 H). 1H NMR (400 M Hz, DMSO-d6+D
2O ): δ 8.96 (s, 1 H), 8.03 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.22 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.17 (d, J = 4.0 Hz, 1 H), 7.11(s, 1 H), 7.02 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.25 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 4.75 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.56-4.59 (m,1 H), 4.17 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.08 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.56-3.63 (m,1 H), 3.10 (s, 4 H), 1.43 (d, J = 7.2 Hz, 6 H)。
実施例43.(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.43)
【化97】
a)メチル7-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-[(R)-ベンゾイルオキシ(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-カルボキシラート(43b)の合成
【0320】
メタノール(250mL)中の[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-(4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(43a、11aの手順に類似した手順によって調製した)(1.0g、1.88mmol)の溶液に、CO(5000mg、188mmol)下でPd(dppf)2Cl2(153.51mg、0.19mmol)を加え、反応混合物を50℃にて18時間撹拌した。LCMSは、出発物質が消費されたこと、および所望の生成物が主要なピークであることを示した。反応混合物を先の反応物と合わせ、精製した。溶媒を真空中で取り除いた。反応混合物をH2O(100mL)で希釈し、そして、混合物をEAで抽出し(150mLおよび回数;3)、次に、有機層を飽和NaCl(100mL)で洗浄した。得られた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、そして、溶媒を真空中で取り除いた。未精製の生成物を、溶出液として石油エーテル/EtOAc(50:1-1:1)を使用したシリカゲル(100~200メッシュサイズ)によるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色のオイルとしてメチル7-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-[(R)-ベンゾイルオキシ(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]にジオキソール-4-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-カルボキシラート(1.52mmol、900mg、80.7%の収率)を得た。LCMS [M+H]: 556.2。
b)[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(43c)の合成
【0321】
THF(20mL)中のメチル7-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-[(R)-ベンゾイルオキシ(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-カルボキシラート(43b)(200.0mg、0.36mmol)の溶液に、N2下でLiAlH4(20.49mg、0.54mmol)を加え、反応混合物を0℃にて2時間撹拌した。LCMSは、出発物質が消費されたこと、および所望の生成物が主要なピークであることを示した。反応混合物を、先の反応物と合わせ、そして、精製した。反応物をNH4Cl(aq、20.0mL)および水(20.0mL)でクエンチした。水層をEAで抽出した(200.0mL×3)。有機層を真空下で濃縮した。未精製の生成物を、溶出液として石油エーテル/EtOAc(50:1-10:1)を使用したシリカゲル(100~200メッシュサイズ)によるカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色の固形物として[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(43c)(100mg、0.190mmol、52.7%の収率)を得た。
c)(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(43d)の合成
【0322】
エタノール(3.5mL)および水酸化ヒドラジニウム(3.0mL、0.13mmol)中の[(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メチル]ベンゾアート(43c)(70.0mg、0.13mmol)の溶液を、25℃にて1時間撹拌した。LCMSは、出発物質が消費されたこと、および所望の生成物が主要なピークであることを示した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(C-18による10-90%のH2O/CH3CNの溶出液)によって精製した。次に、得られた生成物を真空中で濃縮して、淡黄色の固形物として(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(43d)(35mg、0.083mmol、62%の収率)を得た。
d)(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.43)の合成
【0323】
水(2mL)およびTFA(2.0mL、22.21mmol)中の(R)-[(3aR,4R,6R,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メタノール(43d)(35.0mg、0.08mmol)の溶液を25℃にて2時間撹拌した。LCMSは、出発物質が消費されたこと、および所望の生成物が主要なピークであることを示した。溶媒を真空中で取り除き、そして、未精製の生成物を(90:10から5:95へのH2O:CH3CN(1%のNH3・H2O)で溶出する)調製用HPLCによって精製して、白色の固体として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.43)(18.3mg、0.0460mmol、55.6%の収率)を得る。LCMS [M+H]: 384.2。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.69 (s, 1 H), 7.76-7.77 (d, J =3.6 Hz, 1 H), 7.20-7.22 (m, 1 H), 7.11 (s, 1 H), 6.99-7.01 (s, 1 H), 6.89-6.90 (d, J =3.6 Hz, 1 H), 6.17-6.19 (d, J =7.6 Hz, 1 H), 5.90-5.91 (d, J =4.0 Hz, 1 H), 5.58-5.61 (m, 1 H), 5.22-5.24 (d, J =7.2 Hz, 1 H), 5.04-5.05 (d, J =4.0 Hz, 1 H), 4.82-4.83 (d, J =6.0 Hz, 2 H), 4.73-4.75 (m, 1 H), 4.57-4.58 (m, 1 H), 4.11-4.13 (m, 1 H), 4.01-4.02 (m, 1 H), 3.09 (s, 4 H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6+D2O) δ 8.69 (s, 1 H), 7.74-7.75 (d, J =4.0 Hz, 1 H), 7.20-7.22 (m, 1 H), 7.10 (s, 1 H), 7.00-7.02 (s, 1 H), 6.89-6.90 (d, J =3.6 Hz, 1 H), 6.17-6.19 (d, J =7.6 Hz, 1 H), 4.83 (s, 2 H), 4.73-4.74 (m, 1 H), 4.56-4.59 (m, 1 H), 4.12-4.13 (m, 1 H), 4.02-4.03 (m, 1 H), 3.09 (s, 4 H)。
実施例48.(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(2-メトキシエチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.48)
【0324】
メタノール(3mL)中の[(R)-[(3aR,4R,6S,6aR)-2,2-ジメチル-4-(4-ビニルピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メトキシ]-トリエチル-シラン(40aのものと同様に調製)(50.0mg、0.09mmol)の溶液に、硫酸水素カリウム(63.78mg、0.47mmol)を加えた。混合物を80℃にて4時間撹拌した。LC-MSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を濾過し、濾液を、5.0%から95.0%へのH
2O(0.1%のNH
4OH)中のCH
3CNで溶出する調製用HPLCによって精製して、白色の固体として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(2-メトキシエチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.48)(10mg、0.024mmol、26%の収率)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6+D2O): δ 8.69 (s, 1H), 7.75-7.76 (m, 1H), 7.20-7.22 (m, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00-7.01 (m, 1H), 6.81-6.82 (m, 1H), 6.15-6.17 (m, 1H), 4.72-4.74 (m, 1H), 4.56-4.60 (m, 1H), 4.11-4.12 (m, 1H), 4.01-4.03 (m, 1H), 3.80-3.83 (m, 2H), 3.20-3.24 (m, 5H), 3.06-3.10 (m, 4H)。
実施例49.(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(フルオロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.49)
【化98】
a)[(R)-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メトキシ]-トリエチル-シラン(49b)の合成
【0325】
DCM(20mL)中のN’-[1-[(3aR,4R,6S,6aR)-6-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(トリエチルシリルオキシ)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-3-(2-ヒドロキシエチル)ピロール-2-イル]-N-メチレン-ホルムアミジン(49a)(150.0mg、0.27mmol)の溶液に、DAST(218mg、1.35mmol)を加え、反応混合物を25℃にて2時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応物を、別のバッチと合わせ、そして、水(10ml)に加え、DCMで抽出した(20ml*2)。DCMのすべてを濃縮し、そして、残渣を、ゲルクロマトグラフィー(SiO2 200~300メッシュ、PE:EA=10:1から3:1まで)によって精製して、黄色のオイルとして[(R)-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(ヒドロキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]-(4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)メトキシ]-トリエチル-シラン(49b)(55mg、0.096mmol、35%の収率)を得た;LCMS M+H+ 540.3。
b)(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(フルオロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.49)の合成
【0326】
TFA(1.0mL、13.46mmol)および水(1.5mL)の溶液に、N’-[1-[(3aR,4R,6S,6aR)-6-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(トリエチルシリルオキシ)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-3-(2-フルオロエチル)ピロール-2-イル]-N-メチレン-ホルムアミジン(55.0mg、0.10mmol)を加え、反応混合物を40℃にて1時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。混合物を濃縮し、そして、5/95から95/5へのCH
3CN/H
2O(0.1%のTFA)で溶出する調製用HPLCによって精製して、調製溶液を得、そしてそれを凍結乾燥して、白色の固体として(2R,3S,4R,5R)-2-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]-5-[4-(フルオロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.49)(21.7mg、0.0557mmol、56.3%の収率)を得た。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.82 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.21 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.23 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.87 (s, 1H), 5.76 (s, 1H), 4.74-4.75 (m, 1H), 4.56-4.59 (m, 1H), 4.13-4.14 (m, 1H), 4.01-4.03 (m, 1H), 3.08 (s, 4H). 1H NMR (DMSO-d6+D
2O, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.85 (s, 1H), 6.23 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.80 (d, J = 44 Hz, 2H), 4.73-4.75 (m, 1H), 4.56-4.59 (m, 1H), 4.13-4.14 (m, 1H), 4.02-4.04 (m, 1H), 3.08 (s, 4H)。
実施例50および51.(2R,3R,4S,5R)-2-[4-(エトキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-5-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.50)、(2R,3R,4S,5R)-2-[4-(クロロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-5-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.51)
【化99】
a)トリエチル[(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(クロロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]メトキシ]シラン(50a)の合成
【0327】
DCM(10mL)中のN’-[1-[(3aR,4R,6S,6aR)-6-[(R)-4-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(トリエチルシリルオキシ)メチル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-3-(2-ヒドロキシエチル)ピロール-2-イル]-N-メチレン-ホルムアミジン(49a)(100.0mg、0.18mmol)の溶液に、TsCl(68.86mg、0.36mmol)、DMAP(4.41mg、0.04mmol)およびトリエチルアミン(0.08mL、0.54mmol)を加えた。反応混合物を25℃にて2時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したが、トシレートが形成されなかったことを示した。混合物を濃縮し、残渣をプレ-TLC(PE:EA=2:1)によって精製して、黄色オイルとして、トリエチル-[(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(クロロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]メトキシ]シラン(50a)(30mg、0.05394mmol、29.871%の収率)を得た。LCMS M+H+ 556.3/558.3。
b)トリエチル-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[rac-(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(エトキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]メトキシ]シラン(50b)の合成
【0328】
50% エタノール(10mL)に、Naが溶解されるまで、Na(2.49mg、0.11mmol)を加えた。溶液を、0℃下、50%エタノール(10mL)中のトリエチル[(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(クロロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]メトキシ]シラン(50a)(30.0mg、0.05mmol)に加えた。その混合物を25℃にて1時間撹拌した。その混合物を、水(20ml)およびEA(20ml)の混合物に加えた。EA(15ml*2)で抽出し、塩水(5ml)で洗浄し、Na2SO4によって乾燥させ、濃縮して、反応を起こしていない50aと一緒に、黄色のオイルとしてトリエチル[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル-[rac-(3aR,4R,6S,6aR)-4-[4-(エトキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-6-イル]メトキシ]シラン(30mg、0.053mmol、98%の収率)を得た。
c)(2R,3R,4S,5R)-2-[4-(エトキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-5-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.50)、(2R,3R,4S,5R)-2-[4-(クロロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-5-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.51)の合成
【0329】
TFA(1.0mL、13.46mmol)および水(1.5mL)の溶液に、50aと50bの混合物(30.0mg、0.05mmol)を加え、反応混合物を40℃にて1時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。混合物を濃縮し、5/95から95/5へのCH
3CN/H
2O(0.1%のNH
4OH)で溶出する調製用HPLCによって精製して、調製溶液を得、そしてそれを凍結乾燥して、白色の固体として(2R,3R,4S,5R)-2-[4-(エトキシメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-5-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(Ex.50)(2mg、0.0048mmol、8.9%の収率)および黄色の固形物として(2R,3R,4S,5R)-2-[4-(クロロメチル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-5-[rac-(R)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(ヒドロキシ)メチル]テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(10.1mg、0.024mmol、45%の収率)を得た。
Ex.50:1HNMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.75 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.85 (s, 1H), 6.20 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.83 (s, 2 H), 4.73-4.74 (m, 1H), 4.56-4.59 (m, 1H), 4.12-4.13 (m, 1H), 4.01-4.02 (m, 1H),3.56-3.61 (m, 2H), 3.08 (s, 4H), 1.19-1.23 (m, 3H); (DMSO-d6+D2O, 400 MHz) δ 8.77 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.20 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.85 (s, 2 H), 4.73-4.74 (m, 1H), 4.56-4.59 (m, 1H), 4.12-4.13 (m, 1H), 4.02-4.03 (m, 1H),3.57-3.62 (m, 2H), 3.09 (s, 4H), 1.20-1.23 (m, 3H)。
Ex.51:1HNMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.80 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.93 (s, 1H), 6.20 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.01-5.05 (m, 2 H), 4.73-4.75 (m, 1H), 4.56-4.59 (m, 1H), 4.12-4.14 (m, 1H), 4.01-4.02 (m, 1H), 3.08 (s, 4H); 1H NMR (DMSO-d6+D2O, 400 MHz) δ 8.80 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.00 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.93 (s, 1H), 6.20 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.01-5.05 (m, 2 H), 4.73-4.74 (m, 1H), 4.56-4.59 (m, 1H), 4.12-4.14 (m, 1H), 4.02-4.03 (m, 1H), 3.08 (s, 4H)。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0330】
実施例11のX線構造決定
実施例11の化合物をエタノールから再結晶化した。X線回折研究に好適な結晶を、透明な無色のプリズムとして得た。C20H21N3O4の透明な無色のブロック様標本(大体の大きさ0.071mm×0.081mm×0.353mm)をX線結晶解析に使用した。表1は結晶データの詳細を示す。
【0331】
総曝露時間は20.12時間であった。フレームを、ナロウフレームアルゴリズムを使用したBruker SAINTソフトウェアパッケージを用いて統合した。
斜方晶ユニットセルを使用したデータの統合は、75.42°(0.80Åの分解能)の最大θ角度に対する合計20159回の回折をもたらし、そのうちの3565回が独立していて(平均冗長度5.655、完全性=99.8%、Rint=5.73%、Rsig=5.24%)かつ3401回(95.40%)が2σ(F2)超であった。aの最終的なセル定数=7.7138(3)Å、b=13.4258(6)Å、c=16.6573(7)Å、体積=1725.10(13)Å3は、
8.458°<2θ<150.7°の20σ(I)を上回る9173回の回折のXYZ重心の精密化に基づいている。データを、マルチ走査法(SADABS)を使用して、吸収効果に関して補正した。視極小透過対視極大透過の比は0.843であった。算出した最小および最大透過係数(結晶サイズに基づく)は0.7600および0.9440である。
【0332】
図1は実施例11の化合物のORTEP表示を示す。構造を、式ユニットC
20H
21N
3O
4に関してZ=4を用いた空間群P21 21 21を使用した、Bruker SHELXTLソフトウェアパッケージを使用して解明および精密化した。328の変数を用いたF
2における最終的な異等方性最小二乗法精密化は、観察データに関してR1=3.27%およびすべてのデータに関してwR2=9.03%にて収束した。適合度は1.113であった。最終的な差分電子密度合成の最大ピークは0.235e
-/Å
3であり、および最大正孔は-0.165e
-/Å
3であり、0.039e
-/Å
3のRMS偏差を伴った。最終的なモデルに基づいて、算出した密度は1.415g/cm
3であり、F(000)、776 e
-であった。
【表3】
【0333】
実施例11の化合物の結晶構造に関する補助情報を、表3~6に列挙する。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0334】
生化学分析プロトコル
ホットスポットアッセイ。化合物を可溶化し、そして、100%のDMSOで3倍希釈した。これらの希釈済み化合物を、所望のアッセイ濃度より10倍高い濃度での10用量のIC50モード向けにアッセイバッファー(50mMのTris HCl、pH8.5、50mMのNaCl、5mMのMgCl2、0.01%のBrij35、1mMのDTT、1%のDMSO)でさらに希釈した。標準的な反応を、基質としてヒストンH2A(5μMの終濃度)を含んでいるアッセイバッファー中、50μlの全容積で実施した。これに5 nMの最終的なアッセイ濃度を提供するように希釈したPRMT5/MEP50複合体を加え、そして、その化合物を室温にて15~20分間プレインキュベートした。反応を、1μMの終濃度までS-[3H-メチル]-アデノシル-L-メチオニン(PerkinElmer)を加えることによって開始した。30℃にて60分間のインキュベーションに続いて、100μLの20% TCAを加えることによって、反応を止めた。各反応物を、濾板(MultiScreen FB Filter Plate, Millipore)上にスポットし、PBSバッファーで5回洗浄し、シンチレーション流体を濾板に追加し、そして、シンチレーションカウンターで読出した。IC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用してHill Slopeを有する標準的な4つのパラメーターにデータを当てはめることによって決定した。この手順で表7のホットスポットデータを作成した。
【0335】
フラッシュアッセイ。化合物を可溶化し、そして、100%のDMSOで3倍に希釈した。これらの希釈済み化合物を、所望のアッセイ濃度より10倍高い濃度での10用量のIC50モード向けにアッセイバッファー(20mMのTris HCl、pH8.0、50mMのNaCl、0.002%のTween20、1mMのTCEP、1%のDMSO)でさらに希釈した。標準的な反応を、基質として300nMのヒストンH4ベースのAcH4-23(Anaspec:AS-65002)を含んでいるアッセイバッファー中、30μlの全容積で実施した。これに2.5nMの最終的なアッセイ濃度を提供するように希釈したPRMT5/MEP50複合体を加え、そして、その化合物を37℃にて20分間プレインキュベートした。反応を、1μMの終濃度までS-[3H-メチル]アデノシル-L-メチオニン(PerkinElmer:NET155001MC)を加えることによって開始した。37℃にて30分間のインキュベーションに続いて、25μLの8M グアニジンHClを加えることによって、反応物を止めた。アッセイバッファー中、0.3mg/mLにてストレプトアビジンYSI SPAビーズ(Perkinelmer:RPNQ0012)を調製する。各反応物に、150μLのSPAビーズ懸濁液を加え、振盪しながら室温にて30分間インキュベートした。プレートを、100xgにて30秒間遠心分離し、その後、シンチレーションカウンターで読み取った。IC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを使用してHill Slopeを有する標準的な4つのパラメーターにデータを当てはめることによって決定した。この手順で表7のフラッシュプレートデータを作成した。
細胞アッセイプロトコル
対称性ジメチルアルギニン(sDMA)およびヒストンH3R8ジメチル対称性(H3R8me2s)マークを検出するための細胞処理およびウエスタンブロッティング
【0336】
A549細胞における初期の化合物のスクリーニング:化合物は、DMSOで溶解され、10mMの原液を作成され得、さらに0.1および1mMにさらに希釈され得る。A549細胞を、10% v/vのFBS(カタログ番号:GE Healthcare, SH30910.03)を補ったPRMI1640(Cellgro Cellgro、カタログ番号:10-040CV)培地中で継続培養する。実験の1日前に、1.25x105細胞を、3mLの培地により6穴プレート内に播種し、一晩インキュベートする。翌日、培地を交換し、3μLの化合物溶液を加え(1:1,000希釈、0.1および1μΜの終濃度、DMSO濃度:0.1%)、そして、3日間インキュベートする。DMSOと共にインキュベートした細胞を、溶媒対照として使用する。細胞を、PBSで1回洗浄し、150μLの0.25% トリプシン(Corning、カタログ番号:25-053CI)でトリプシン処理し、1mLの完全培地で中和し、微量遠心管に移し、回収する。次に、細胞ペレットを、15μLのPBSで再懸濁し、4%のSDSで溶解し、そして、ホモジナイザカラム(Omega Biotek、カタログ番号:HCR003)によって均質化した。総タンパク質量濃度を、BCAアッセイ(ThermoFisher Scientific、カタログ番号:23225)によって測定する。溶解物を、5xLaemmliバッファーと混合し、5分間煮沸する。40μgの総タンパク質を、SDS-PAGEゲル(Bio-Rad、カタログ番号:4568083、4568043)により分離し、PVDF膜に移し、室温にて(RT)1時間、0.1% v/vのTween20(TBST)を含んだTBS中の5%のドライミルク(Bio-Rad、カタログ番号:1706404)でブロッキングし、そして、TBST中の5%のドライミルク中の一次抗体(sDMA:Cell signaling、カタログ番号:13222、1:3,000;H3R8me2s:Epigentek、カタログ番号:A-3706-100、1:2,000;β-アクチン:Abcam、カタログ番号:ab8227、1:10,000)と共に4℃にて一晩インキュベートする。翌日、膜をTBSTで5×5分間洗浄し、HRP結合二次抗体(GE Healthcare;カタログ番号:NA934-1ML;1:5,000)と共に室温にて2時間インキュベートし、続いてTBSTで5×5分間洗浄し、そして、ECL基質(Bio-Rad、カタログ番号:1705061、1705062)と共にインキュベートする。化学発光シグナルを、Fluochem HD2画像表示装置(Proteinsimple)を用いてキャプチャーし、ImageJによって分析する。
【0337】
ウエスタンブロット分析を使用して酵素阻害IC50値を測定するために、Granta細胞を3mLの培地(PRMI+10% v/vのFBS)中に5×105細胞/mLの密度で播種した。化合物の9点の3倍連続希釈物を細胞に加え(3μl、1:1,000希釈、DMSO濃度は0.1%;化合物の効力によって、最終的な最高濃度は10μΜまたは1μΜ)、3日間インキュベートする。DMSOと共にインキュベートした細胞を、溶媒対照として使用する。細胞を採収し、先に記載したようにウエスタンブロット分析にかける。SmD3me2sおよびH3R8me2sバンドはImageJによって定量化できる。シグナルを、β-アクチンおよびDMSO対照に対して正規化し得る。IC50値を、Graphpad Prismを使用して計算し得る。
(Granta-519およびU-87MG細胞株において)対称性ジメチルアルギニン(sDMA)マークを検出するための細胞処理およびウエスタンブロッティング
【0338】
化合物力価と細胞培養:化合物は、DMSOで溶解され、10mMの原液を作成され得、さらに3倍連続希釈を実施して、1mMが最も高い作業用原液をさらに作成した。Granta-519細胞を、10% v/vのFBS(GE Healthcare、カタログ番号:SH30910.03)を補ったPRMI1640(Cellgro Cellgro、カタログ番号:10-040CV)中で継続培養し、およびU-87MG細胞を10%のFBSおよび2mMのグルタミン(Corning Cellgro、カタログ番号:25005CV)を含んでいるDMEM(Cellgro Cellgro、カタログ番号:10-013CV)中で継続培養した。
【0339】
Granta-519およびU-87MG細胞における酵素阻害IC50値を測定するためのウエスタンブロット分析の使用。実験の1日前に、Granta-519細胞を、0.5×106細胞/mlの密度で継代培養した。U-87MG細胞をトリプシン処理し、4×105個の細胞を6ウェルプレートに播種し、一晩増殖させた。翌日、Granta-519細胞を1,500rpmにて4分間遠心沈殿させ、0.5×106細胞/mlで新しい培地で再懸濁し、そして、3mLの培養物(1.5×106個の細胞)を6穴プレートに播種した。化合物の作業用原液の8点の3倍連続希釈物を、細胞に加え(3μl、1:1,000希釈、DMSO濃度は0.1%;最終的な最高濃度は1μM)、3日間インキュベートした。DMSOと共にインキュベートした細胞を、溶媒対照として使用した。
【0340】
3日後に細胞を採収し、15μLのPBSで再懸濁し、4%のSDSで溶解し、そして、ホモジナイザカラム(Omega Biotek、カタログ番号:HCR003)によって均質化した。総タンパク質量濃度を、BCAアッセイ(ThermoFisher Scientific、カタログ番号:23225)によって測定した。溶解物を、5xLaemmliバッファーと混合し、5分間煮沸した。40μgの総タンパク質を、SDS-PAGEゲル(Bio-Rad、カタログ番号:4568083、4568043)により分離し、PVDF膜に移し、室温にて(RT)1時間、0.1% v/vのTween20(TBST)を含んだTBS中の5%のドライミルク(Bio-Rad、カタログ番号:1706404)でブロッキングし、そして、TBST中の5%のドライミルク中の一次抗体(sDMA:Cell signaling、カタログ番号:13222、1:3,000;β-アクチン:sigma、カタログ番号:1:5,000)と共に4℃にて一晩インキュベートした。翌日、膜をTBSTで5×5分間洗浄し、HRP結合二次抗体(GE Healthcare;カタログ番号:NA934-1ML、NA931-1ML;1:5,000)と共に室温にて2時間インキュベートし、続いてTBSTで5×5分間洗浄し、そして、ECL基質(Bio-Rad、カタログ番号:1705061、1705062)と共にインキュベートした。化学発光シグナルを、Fluochem HD2画像表示装置(Proteinsimple)を用いてキャプチャーした。SmD3me2sバンドをImageJによって定量化した。シグナルを、β-アクチンおよびDMSO対照に対して正規化した。IC50値を、Graphpad Prismを使用して計算した([阻害剤]対正規化した応答-変動勾配)。
【0341】
sDMAのインセルウエスタン手順(ICW):実験の1日前に、Granta-519細胞を0.5×106細胞/mlの密度まで継代培養し、一晩増殖させた。次の日(0日目)に、細胞を1,500rpmにて4分間遠心沈殿させ、0.2×106細胞/mlで新しい培地で再懸濁し、そして、100μLの細胞をMultidrop Combi Dispenser(ThermoFisher)を使用して384ウェルプレートに加えた。化合物の一連の9点の3倍連続希釈物を調製し、TECANのデジタルディスペンサー(D300e)を使用して1mMの原液からウェルに分配し、DMSO%濃度を0.1%に各ウェルで正規化した。DMSOおよび3μMの基準化合物を、それぞれ陰性(最小阻害)および陽性(最大阻害)の対照として使用した。3日間のインキュベーションの後に、最初に、細胞を再懸濁し、次に、80μlの細胞をPoly-D-lysine384ウェルプレート(Corning、カタログ番号354663)に移し、続いて、室温(RT)にて30分間インキュベートし、そして、37℃にてさらに5時間インキュベートした。次に、細胞を、
4%のパラホルムアルデヒド(Electron Microscopy、カタログ番号15710)で室温にて30分間固定し、プレートを50μl/ウェルの洗浄バッファー(0.1%のTriton X-100を含んでいる1×PBS)で5回洗浄することによって透過処理し、30μl/ウェルのOdysseyブロッキングバッファー(Li-COR、カタログ番号:927-40000)でゆるやかに振盪しながら室温にて1時間ブロッキングし、20μl/ウェルの一次抗体(sDMA:Cell signaling、カタログ番号:13222、Odysseyブロッキングバッファー中に1:800)と共に4℃にて一晩インキュベートした。翌日、細胞を、50μl/ウェルの洗浄バッファーで5回洗浄し、20μl/ウェルの二次抗体(800CWヤギ抗ウサギIgG(H+L)、Li-COR、カタログ番号926-32211、1:500;DRAQ5(Abcam、カタログ番号ab108410)、Odysseyブロッキングバッファー中に1:1000)と共に室温にて1時間インキュベートし、50μl/ウェルの洗浄バッファーで再び5回洗浄し、続いて、水で最後に1回洗浄した。プレートを室温にて乾燥したままにし、LicorOdysseyCLx画像システムにより走査して、700nmおよび800nmのチャンネルにおける積分強度を得た。
【0342】
U87-MG細胞を、実験前日にトリプシン処理し、Multidrop Combi Dispenser(ThermoFisher)を使用して384ウェルプレートに2500細胞/ウェルにて播種し、そして、一晩増殖させた。次の日(0日目)に、化合物の一連の9点の3倍連続希釈物を調製し、TECANのデジタルディスペンサー(D300e)を使用して1mMの原液からウェルに分配し、DMSO%濃度を0.1%に正規化した。3日後に、培地を取り除き、そして、細胞を先に記載したように加工した。
【0343】
IC50値を測定するために、各ウェルの比(sDMAの800nm値/DRAQ5の700nm値)を計算した。各プレートは、28の陰性対照ウェル(DMSOのみ、最小阻害)および最大の阻害に関する18の陽性対照ウェル(3μMの基準化合物で処理、バックグラウンドウェル)を含有した。最小および最大阻害対照の平均比を計算し、そして、プレート内の各ウェルに関して、DMSOに対するsDMAのパーセンテージを決定した。
【0344】
これらの手順が表7のsDMAデータをもたらした。
Granta-519およびU-87MG細胞におけるIC50を決定するための細胞増殖アッセイ
Granta-519細胞におけるIC50を決定するための細胞増殖アッセイ-手順1
【0345】
Granta-519細胞を、10% v/vのFBS(GE Healthcare、カタログ番号:SH30910.03)を補ったPRMI1640(Cellgro Cellgro、カタログ番号:10-040CV)培地中で継続培養した。化合物をDMSOで溶解して、10mMの原液を作製し、-20℃にて保存した。1mMの最高濃度を有する9点の3倍連続希釈物を、DMSOを用いて作製した(作業用原液)。
【0346】
実験当日に、化合物の作業用原液を、96ウェルプレート内で新しい培地を用いて1:50にさらに希釈し、そして、10μLの希釈した薬物を、増殖アッセイのために新しい96ウェルプレートに加えた。対数期で増殖する細胞を、1500rpmにて4分間遠心沈殿させ、新しい培地で再懸濁すると、0.5×106細胞/mlの密度に達した。200μlの細胞を、希釈した薬物の入った96ウェルプレートに加え、そして、3日間インキュベートした。DMSOをビヒクル対照として使用した。
【0347】
3日目に、10μLのCell Counting Kit-8(CCK-8、Jojindo、CK04-13)溶液を新しい96ウェルプレートに加えた。3日間薬物と共にインキュベートした細胞を、ピペットによる吸排操作によって再懸濁し、そして、100μLの細胞を、CCK-8試薬の入った96ウェルプレートに移して、生存細胞を計測した。プレートをCO2インキュベーター内で2時間インキュベートし、そして、OD450値を、マイクロプレートリーダー(iMarkマイクロプレートリーダー、Bio-Rad)を用いて計測した。
【0348】
再プレーティングのために、化合物の作業用原液を、新しい培地を用いて1:50に希釈し、そして、10μLの希釈した薬物を新しい96ウェルプレートに加えた。3日目のプレートからの細胞(50μl)を、新しい薬物の入った96ウェルプレートに加え、そして、さらに150μLの新しい培地を加えて、200μLの体積に達した。プレートを、CO2インキュベータ内に戻し、もう3日間インキュベートした。6日目に、生存細胞計測および再プレーティングを繰り返し、そして、最終的な生存細胞計測を10日目におこなった。
【0349】
DMSO溶媒対照に対する、生存細胞のパーセンテージを算出し、Graphpad Prismにプロットして、10日目の増殖IC50値を決定した([阻害剤]対正規化した応答-変動勾配)。
Granta-519およびU-87MG細胞におけるIC50を決定するための細胞増殖アッセイ-手順2
【0350】
実験の1日前、Granta-519細胞を、0.5×106細胞/mlの密度まで継代培養した。U-87MG細胞をトリプシン処理し、2,000個の細胞を96ウェルプレート内に播種し、そして、一晩増殖させた。実験の日(0日目)に、Granta-519細胞を1,500rpmにて4分間遠心沈殿させ、0.5×106細胞/mlで新しい培地で再懸濁し、そして、190μlの細胞を96ウェルプレートに加えた。U-87MG細胞に関して、古い培地を除去し、190μLの新しい培地で置換した。化合物の作業用原液を、最初に96ウェルプレート内において新しい培地で1:50に希釈し、10μLの希釈した薬物を、細胞の入った96ウェルプレートに加え、そして、3日間インキュベートした。DMSOをビヒクル対照として使用した。
【0351】
3日目に、50μLのGranta-519細胞を新しい96ウェルプレートに移し、そして、140μLの新しい培地を加えた。U-87MG細胞に関しては、古い培地を除去して、190μLの新しい培地に置換した。化合物の作業用原液を培地で1:50に新たに希釈し、10μLの希釈した薬物を細胞に加え、そして、さらに3日間培養した。同じプロセスを6日目に繰り返した。細胞をさらに4日間増殖させた。
【0352】
10日目に、100μLのGranta-519の細胞を新しい96ウェルプレートに移し、そして、10μLのCell Counting Kit-8(CCK-8、Jojindo、CK04-13)溶液を加えた。U-87MG細胞に関しては、古い培地を除去し、100μLの新しい培地に置換し、そして、10μLのCCK-8溶液を加えた。プレートを、CO2インキュベーター内で2時間(Granta-519細胞)または30分間(U-87MG細胞)インキュベートし、そして、OD450値をマイクロプレートリーダー(iMarkマイクロプレートリーダー、Bio-Rad)を用いて計測した。DMSO溶媒対照に対する、生存細胞のパーセンテージを算出し、Graphpad Prismにプロットして、10日目の増殖IC50値を決定した([阻害剤]対正規化した応答-変動勾配)。
【0353】
これらの細胞増殖手順は表7のデータをもたらした。
【表8】
【0354】
実施例1、6および11のインビボにおける薬物動態学的特性
ラット(SD、雄、絶食なし)非交差カセット(n=2)PK試験において、実施例1は、i.v.投与により別の化合物と共に0.5mg/kg(DMA:20%のHPBCD=5:95、溶液)(N=3)にて、および経口ゲージ(p.o.)により別の化合物と共に2mg/kg(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80、懸濁液)(N=3)にて投与された。それは、i.v.群において0.35時間の平均T1/2、1.36L/kgのVss、56.2mL/分/kgの血液クリアランスを示した;それは、p.o.群において145ng*h*kg/mL/mgの平均投与量正規化AUCおよび48%の経口の生物学的利用能を示した。
【0355】
ラット(SD、雄および雌、絶食なし)非交差カセット(n=4)PK試験において、実施例6は、i.v.投与により他の3つの化合物と共に0.2mg/kg(DMA:20%のHPBCD=5:95、溶液)(性別ごとにN=2)にて、および経口ゲージ(p.o.)により他の3つの化合物と共に2mg/kg(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80、懸濁液)(性別ごとにN=2)にて投与された。それは、i.v.雄群において0.46時間の平均T1/2、1.81L/kgのVss、59.2mL/分/kgの血液クリアランスを示した;それは、i.v.雌群において1.69時間の平均したT1/2、1.91L/kgのVss、21.6mL/分/kgの血液クリアランスを示した;それは、雄p.o.群において144ng*h*kg/mL/mgの平均投与量正規化AUCおよび51.1%の経口生物学的利用能を示した;それは、雌p.o.基群において1143ng*h*kg/mL/mgの平均投与量正規化AUCおよび>100%の経口生物学的利用能を示した。
【0356】
ラット(SD、雄および雌、絶食なし)非交差PK試験において、実施例11は、i.v.投与により1mg/kg(DMA:20%のHPBCD=5:95、溶液)(性別ごとにN=3)にて、および経口ゲージ(p.o.)により3mg/kg(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80、懸濁液)(性別ごとにN=3)にて投与された。それは、i.v.雄群において1.06時間の平均T1/2、2.85L/kgのVss、77.5mL/分/kgの血液クリアランスを示した;それは、i.v.雌群において1.84時間の平均したT1/2、2.71L/kgのVss、37.2mL/分/kgの血液クリアランスを示した;それは、雄p.o.群において33ng*h*kg/mL/mgの平均投与量正規化AUCおよび13%の経口生物学的利用能を示した;それは、雌p.o.基群において434ng*h*kg/mL/mgの平均投与量正規化AUCおよび97%の経口生物学的利用能を示した。
実施例2、6および11のインビボにおける脳曝露
【0357】
マウス(CD-1、雄)脳曝露カセット試験において、実施例2および6は、経口ゲージ(p.o.)を介してそれぞれ10mg/kg(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80、溶液)にて一緒に投与された。3つの時点(N=3)、2時間、4時間および8時間において、血漿および脳サンプルを、平均薬物濃度について分析した。
【表9】
【0358】
マウス(CD-1、雄)脳曝露試験では、実施例11は、経口ゲージ(p.o.)を介してそれぞれ10mg/kg(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80、溶液)にて投与された。3つの時点(N=3)、1時間、2時間および4時間において、血漿および脳サンプルを、平均薬物濃度について分析した。
【表10】
【0359】
Granta-519細胞を、大気中に5% CO2の雰囲気下、37℃にて10%のウシ胎仔血清および2mMのL-グルタミンを補ったDMEM培地中で継続培養した。指数増殖期の細胞を採収し、そして、Matrigel(1:1)と共に0.1mLのPBS中の1×107個の細胞を、腫瘍発生のためにそれぞれのマウスの右下側腹領域に皮下注射した。処置を、平均腫瘍サイズが約300~400mm3に達したときに開始した。マウスを、StudyDirector(商標)ソフトウェア(Studylog Systems, Inc.CA、USA)を使用して群に割り付け、そして、腫瘍体積において最小の群間変動を示す1つの最適無作為化デザイン(Matched分布またはStratified法のいずれかによって作成される)を群割り付けのために選択する。実施例1またはビヒクル(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80、懸濁液)を、それぞれ、16および20日間にわたり、25mg/kg BIDおよび50mg/kg QDの用量にて経口的に(実施例1向けにBIDまたはQD、ビヒクル向けにQD)投与した。体重および腫瘍サイズを、無作為化後3~4日毎に計測した。動物を、最後の投薬の12時間後に安楽死させ、そして、血液および腫瘍サンプルを分析のために採取した。
【0360】
このプロトコールに続いて、実施例1は、6.75%の体重減少を伴った、25mg/kgのBIDでの平均76.7%(N=5)の腫瘍増殖阻害;10.1%の体重増加に伴った、50mg/kgのQDでの平均5.8%の腫瘍増殖阻害を示した。
U87 MGマウス同所モデルにおける実施例11のインビボにおける腫瘍増殖阻害
【0361】
U87MG-luc3ヒト神経膠芽腫細胞を、10%のウシ胎仔血清、2mMのグルタミン、1×非必須アミノ酸、0.075%の重炭酸ナトリウム、1mMのピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mLのペニシリンGナトリウム、25μg/mLのゲンタマイシン、および100μg/mLの硫酸ストレプトマイシンを含有するEagle’s Minimum Essential Medium中で対数期中期まで増殖させた。腫瘍細胞を、5%のCO2および95%の空気から成る雰囲気下、37℃の加湿インキュベータ内の組織培養フラスコ内で培養した。細胞を、2μg/mLのピューロマイシン中で2回~移植前の継代培養まで培養し、対数期中期まで増殖させ、そして、採収した。ルシフェラーゼ発現細胞の移植後検定を、安定した倍加時間を確実にするために、移植後の3回の継代にわたり培養中の細胞を維持することによって実施した。限界希釈を、ルシフェリンの存在下での光生成を確認および定量するのに使用した。細胞を対数期中期にて採収し、そして、PBS中の1×108細胞/mLの濃度にて再懸濁した。各マウス(雌無胸腺症ヌードマウス(Crl:NU(NCr)-Foxn1nu、Charles River))は、1×106個のU87MG-luc3細胞(0.01mLの細胞懸濁液)の頭蓋内注射を受け、そして、腫瘍増殖を、全身の生物発光画像化を通して観察した。試験の1日目として示される細胞移植の4日後に、動物を、処置開始前にフラックス値に基づいて5つの群に選別した。Ex.11またはビヒクル(0.5%のNa CMC+0.5%のTween80)を、BIDを経口的に投与した。Ex.11を、7日間オン/7日間オフで22日間にわたり10、20mg/kgのBIDおよび50mg/kgのBIDにて投与した。動物を、全生存データを得るために観察し続けた。
【0362】
インビボにおける生物発光画像(背側)をキャプチャーして、癌の進行を観察した。ルシフェラーゼ活性を、遮光試料チャンバー内に備え付けたCCDカメラ(-90℃に冷却)を備えたIVIS SpectrumCT(Perkin Elmer, MA)を使用して、生きた動物で計測した。着目の領域を、それぞれのマウス画像の周りに描写し、そして、フラックスを定量化し、毎秒106光子(p/s)と報告した。全生存期間に関して、動物を、全身性リンパ腫の進行に起因する瀕死の終点まで個別に観察した。
完全な後脚麻痺症、重篤な眼球突出症または瀕死はすべて安楽死を必要とした。
【0363】
Ex.11は、29日目の10、20、および50(7日間オン/7日間オフ)mg/kgのBIDにて10%、61%、および85%の腫瘍増殖阻害の平均(N=6~8)を示した。ビヒクルおよび3つの投与群に関する生存期間中央値はそれぞれ31.5日、41日、37.5日、および39日である。
【0364】
本開示はまた、以下の態様を対象とする:
態様1.本開示は、式Iまたは式IIの化合物:
【化100】
{式中、
AはN、C-HまたはC-R
4であり、ここで、R
4はハロであり;
R
1は-C
1-C
6alk-縮合アリール、または-C
1-C
6alk-縮合ヘテロアリールであり;
R
2はハロ、-C
1-C
6アルキル、-C
1-C
6alk-O-C
1-C
6アルキル、-NR
5R
5’、-NHC(O)NR
5R
5’、-NHC(S)NR
5R
5’、-NH-O-R
5、または-NH-NR
5R
5’であり;
R
3はH、ハロ、NH
2、または-C
1-C
6アルキルであり;
R
5とR
5’はそれぞれ独立に、H、C
1-C
6アルキル、または-C
1-C
6alk-OC
1-C
6アルキルであるか;または
R
5とR
5’は、それらが結合されている原子と共に、C
2-C
6ヘテロシクロアルキル環を形成し;および
R
6はHまたは-C
1-C
6アルキルである}、または医薬的に許容されるその塩または溶媒和物。
態様2.R
1が-C
1-C
6alk-縮合アリールである、態様1に記載の化合物。
態様3.前記縮合アリールが、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルである、態様2に記載の化合物。
態様4.R
1が、-CH
2-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH
2-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH
2-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(F)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(F)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(F)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(NH
2)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(NH
2)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(NH
2)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(Me)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(Me)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-CH(Me)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、-C(Me)(OH)-7-フルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イル、または-C(Me)(OH)-7,7-ジフルオロビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-3-イルである、態様2に記載の化合物。
態様5.R
1が-C
1-C
6alk-縮合ヘテロアリールである、態様1に記載の化合物。
態様6.前記縮合ヘテロアリールが、2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イルである、態様5に記載の化合物。
態様7.
態様5に記載の化合物。R
1は-CH(OH)-2,3の-CH(NH
2)(ジヒドロベンゾフラン-6-イル、-CH(Me)-、2)2,3-の-CH
2-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、-CH(F)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、ジヒドロベンゾフラン-6-イル、または-C(Me)(OH)である-(それにおける2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)
態様8.R
2が-C
1-C
6アルキルであり、好ましくはメチルである、態様1~7のいずれか一項に記載の化合物。
態様9.R
2が-NR
5R
5’であり、かつ、R
5とR
5’が共にHである、態様1~7のいずれか一項に記載の化合物。
態様10.R
2が-NH-O-R
5であり、かつ、R
5がHまたはC
1-C
6アルキルである、態様1~7のいずれか一項に記載の化合物。
態様11.R
2が-NHC(O)NR
5R
5’であり、かつ、R
5とR
5’がそれぞれC
1-C
6アルキルである、態様1~7のいずれか一項に記載の化合物。
態様12.R
2が-NHC(O)NR
5R
5’であり、かつ、R
5とR
5’が、それらが結合されている原子と一緒にC
2-C
6ヘテロシクロアルキル環を形成する、態様1~7のいずれか一項に記載の化合物。
態様13.R
3がHである、態様1~12のいずれか一項に記載の化合物。
態様14.AがNである、態様1~13のいずれか一項に記載の化合物。
態様15.AがC-R
4であり、かつ、R
4がHまたはFである、態様1~13のいずれか一項に記載の化合物。
態様16.R
6がHである、態様1~15のいずれか一項に記載の化合物。
態様17.R
6が-CH
3である、態様1~15のいずれか一項に記載の化合物。
態様18.式Iの化合物である、態様1~17のいずれか一項に記載の化合物。
態様19.式IIの化合物である、態様1~17のいずれか一項に記載の化合物。
態様20.態様1~19のいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
態様21.タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)酵素を阻害する方法であって、以下:
PRMT5酵素を、有効量の態様1~19のいずれか一項に記載の化合物と接触させること、
を含む方法。
態様22.態様1~19のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象の異常なPRMT5活性に関連する疾患または障害を治療する方法。
態様23.異常なPRMT5活性に関連する前記疾患または障害が、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞性白血病、骨髄形成異常、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、マスト細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)など、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、類表皮癌、または異常ヘモグロビン症、例えば、b-サラセミアや鎌状赤血球貧血(SCD)などである、態様22に記載の方法。
態様24.前記化合物が、1もしくは複数の他の剤と組み合わせて投与される、態様22または態様23に記載の方法。