(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】電子装置の製造方法、電子装置及びその製造ツール
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20230808BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230808BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H05K3/00 Z
H05K1/02 B
H05K3/46 B
H05K3/46 L
(21)【出願番号】P 2020534182
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2019072715
(87)【国際公開番号】W WO2019237741
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】201810621420.X
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤンポン
(72)【発明者】
【氏名】シェ フージォン
(72)【発明者】
【氏名】フー イャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ヂェンファ
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-228347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0192082(US,A1)
【文献】特開2004-260146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315291(US,A1)
【文献】特開平07-050454(JP,A)
【文献】特開2014-067609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 3/46
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き伸ばし領域及び前記引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を備える電子装置の製造方法であって、
引き伸ばし部及び前記引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、前記引き伸ばし部及び前記非引き伸ばし部がそれぞれ前記引き伸ばし領域及び前記非引き伸ばし領域に対応するフレキシブル基板を提供するステップと、
前記引き伸ばし部の長さ方向に垂直に前記引き伸ばし部を引き伸ばさせて固定し、且つ前記引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持するステップと、
前記非引き伸ばし部上に回路構造を形成するステップと、
前記引き伸ばし部に対する固定を解除して、引き伸ばされた前記引き伸ばし部を復元させるステップと、を含
み、
前記引き伸ばし部を引き伸ばさせる前に、前記引き伸ばし部を変性処理して、その引き伸ばし性能を前記非引き伸ばし部よりも高くするステップをさらに含む、電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記引き伸ばし部を引き伸ばさせるステップは、前記引き伸ばし部と前記非引き伸ばし部との境界に沿って前記非引き伸ばし部を固定し、前記境界位置で前記引き伸ばし部を引き伸ばさせることを含む請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記引き伸ばし部を引き伸ばさせた後、前記フレキシブル基板をリジッド基板と固定し、前記引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持する請求項1又は2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記回路構造を形成した後、前記フレキシブル基板と前記リジッド基板を分離して前記引き伸ばし部に対する固定を解除する請求項3に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記リジッド基板上に犠牲層を形成して前記フレキシブル基板と前記リジッド基板を接着固定し、前記フレキシブル基板と前記リジッド基板を分離する際に前記犠牲層を除去する請求項4に記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記引き伸ばし部の両側の前記非引き伸ばし部上に前記回路構造を同時に作製する請求項1~5のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記回路構造を同時に作製するプロセスでは、遮蔽部を備えるマスクを用いて前記フレキシブル基板を被覆し、前記遮蔽部が前記引き伸ばし部に対応して前記引き伸ばし部を遮蔽する請求項6に記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記フレキシブル基板上に前記回路構造を備える構造層を形成し、その後、前記引き伸ばし領域中の構造層を除去して前記引き伸ばし部を露出させる請求項6に記載の電子装置の製造方法。
【請求項9】
前記引き伸ばし部に配線を形成して前記引き伸ばし部の両側の前記回路構造を接続するステップをさらに含む請求項6に記載の電子装置の製造方法。
【請求項10】
前記回路構造を形成した後、前記方法は、
前記引き伸ばし領域において、前記回路構造の側縁に第1封止層を形成するステップをさらに含む請求項6に記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記引き伸ばし部を復元させた後、前記方法は、
前記回路構造の前記フレキシブル基板から離れた一方側にフレキシブルカバープレートを形成して前記回路構造を被覆するステップをさらに含む請求項1~10のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
引き伸ばし領域及び前記引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を有する電子装置であって、
引き伸ばし部及び前記引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、前記引き伸ばし部及び前記非引き伸ばし部がそれぞれ前記引き伸ばし領域及び前記非引き伸ばし領域に位置するフレキシブル基板と、
前記非引き伸ばし部上に設けられる回路構造と、を備え、
前記引き伸ばし部は前記電子装置の製造中に引き伸ばし可能であり、前記電子装置は前記引き伸ばし領域によって折り曲げ可能であ
り、
前記引き伸ばし部は、前記引き伸ばし部が引き伸ばされる前、前記非引き伸ばし部の引き伸ばし性能よりも高い引き伸ばし性能を有するように、変性処理が施される、電子装置。
【請求項13】
前記回路構造の前記フレキシブル基板から離れた一方側に設けられ、前記回路構造を被覆するフレキシブルカバープレートをさらに備える請求項1
2に記載の電子装置。
【請求項14】
それぞれ前記引き伸ばし領域の両側の前記非引き伸ばし領域に設けられ、それぞれ前記非引き伸ばし領域中の前記回路構造に駆動信号を提供する少なくとも2セットの駆動回路をさらに備える請求項1
2又は1
3に記載の電子装置。
【請求項15】
前記引き伸ばし領域に設けられ、前記引き伸ばし領域の両側の前記回路構造を接続する配線をさらに備える請求項1
2~1
4のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項16】
前記回路構造の前記引き伸ばし領域に近い側縁に設けられる第1封止層をさらに備える請求項1
2~1
5のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項17】
電子装置の製造ツールであって、
引き伸ばし部の両側に引き伸ばし部および非引き伸ばし部を含むフレキシブル基板を載置する載置台と、
前記フレキシブル基板を前記載置台に着脱可能に固定する少なくとも1つの固定部と、を備え、
前記載置台は少なくとも2つの部分を備え、且つ隣接する2つの部分間の隙間が調整可能であり、前記少なくとも1つの固定部は、固定された前記フレキシブル基板を前記隙間のみで引き伸ばさせることを可能にするように、それぞれ前記2つの部分の前記隙間に近いエッジ位置に設けられ
、
前記フレキシブル基板が引き伸ばされる前、前記製造ツールは、その引き伸ばし性能が前記非引き伸ばし部よりも高くなるように、前記引き伸ばし部に変性処理を行う手段をさらに備える、電子装置の製造ツール。
【請求項18】
前記載置台に駆動接続され、前記載置台の隣接する2つの部分間の隙間の大きさを調整して、固定された前記フレキシブル基板を引き伸ばし又は復元させる駆動装置をさらに備える請求項1
7に記載の電子装置の製造ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2018年6月15日に提出した中国特許出願第201810621420.X号に基づき優先権を主張し、ここで、上記中国特許出願に開示された全内容は引用により本願の一部として組み込まれている。
【0002】
本開示の実施例は電子装置の製造方法、電子装置及びその製造ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、表示デバイスは大画面化が進んでいるが、携帯型電子デバイスの場合、大画面表示デバイスは占用スペースが大きく、持ち運びにくい。従って、折り曲げ可能又は折り畳み可能な表示デバイスを使用することで、携帯型電子デバイスの小型化に寄与する。折り畳み型表示デバイスは大画面化及び優れた携帯性等の利点のため、ますます多くの注目を集めている。折り畳み型表示デバイスは、例えば、移動通信端末、タブレットコンピュータ、電子書籍、ナビゲーション機器等の多くの電子デバイスに適用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の少なくとも一実施例は、引き伸ばし領域及び前記引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を備える電子装置の製造方法を提供する。前記方法は、引き伸ばし部及び前記引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、前記引き伸ばし部及び前記非引き伸ばし部がそれぞれ前記引き伸ばし領域及び前記非引き伸ばし領域に対応するフレキシブル基板を提供するステップと、前記引き伸ばし部の長さ方向に垂直に前記引き伸ばし部を引き伸ばさせて固定し、且つ前記引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持するステップと、前記非引き伸ばし部上に回路構造を形成するステップと、前記引き伸ばし部に対する固定を解除して、引き伸ばされた前記引き伸ばし部を復元させるステップと、を含む。
【0005】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記引き伸ばし部を引き伸ばさせるステップは、前記引き伸ばし部と前記非引き伸ばし部との境界に沿って前記非引き伸ばし部を固定し、前記境界位置で前記引き伸ばし部を引き伸ばさせることを含む。
【0006】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記引き伸ばし部を引き伸ばさせた後、前記フレキシブル基板をリジッド基板と固定し、前記引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持する。
【0007】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記回路構造を形成した後、前記フレキシブル基板と前記リジッド基板を分離して前記引き伸ばし部に対する固定を解除する。
【0008】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記リジッド基板上に犠牲層を形成して前記フレキシブル基板と前記リジッド基板を接着固定し、前記フレキシブル基板と前記リジッド基板を分離する際に前記犠牲層を除去する。
【0009】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記引き伸ばし部の両側の前記非引き伸ばし部上に前記回路構造を同時に作製する。
【0010】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記回路構造を同時に作製するプロセスでは、遮蔽部を備えるマスクを用いて前記フレキシブル基板を被覆し、前記遮蔽部が前記引き伸ばし部に対応して前記引き伸ばし部を遮蔽する。
【0011】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記フレキシブル基板上に前記回路構造を備える構造層を形成し、その後、前記引き伸ばし領域中の構造層を除去して前記引き伸ばし部を露出させる。
【0012】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法は、前記引き伸ばし部に配線を形成して前記引き伸ばし部の両側の前記回路構造を接続するステップをさらに含む。
【0013】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記回路構造を形成した後、前記方法は、前記引き伸ばし領域において、前記回路構造の側縁に第1封止層を形成するステップをさらに含む。
【0014】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記引き伸ばし部を復元させた後、前記方法は、前記回路構造の前記フレキシブル基板から離れた一方側にフレキシブルカバープレートを形成して前記回路構造を被覆するステップをさらに含む。
【0015】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造方法では、前記引き伸ばし部を引き伸ばさせる前、前記方法は、前記引き伸ばし部を変性処理して、その引き伸ばし性能を前記非引き伸ばし部よりも高くするステップをさらに含む。
【0016】
本開示の少なくとも一実施例は、引き伸ばし領域及び前記引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を有する電子装置を提供する。該電子装置は、引き伸ばし部及び前記引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、前記引き伸ばし部及び前記非引き伸ばし部がそれぞれ前記引き伸ばし領域及び前記非引き伸ばし領域に位置するフレキシブル基板と、前記非引き伸ばし部上に設けられる回路構造と、を備え、前記引き伸ばし部は前記電子装置の製造中に引き伸ばし可能であり、前記電子装置は前記引き伸ばし領域によって折り曲げ可能である。
【0017】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置は、前記回路構造の前記フレキシブル基板から離れた一方側に設けられ、前記回路構造を被覆するフレキシブルカバープレートをさらに備える。
【0018】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置は、それぞれ前記引き伸ばし領域の両側の前記非引き伸ばし領域に設けられ、それぞれ前記非引き伸ばし領域中の前記回路構造に駆動信号を提供する少なくとも2セットの駆動回路をさらに備える。
【0019】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置は、前記引き伸ばし領域に設けられ、前記引き伸ばし領域の両側の前記回路構造を接続する配線をさらに備える。
【0020】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置は、前記回路構造の前記引き伸ばし領域に近い側縁に設けられる第1封止層をさらに備える。
【0021】
本開示の少なくとも一実施例は電子装置の製造ツールを提供し、フレキシブル基板を載置する載置台と、前記フレキシブル基板を前記載置台に着脱可能に固定する少なくとも1つの固定部と、を備え、前記載置台は少なくとも2つの部分を備え、且つ隣接する2つの部分間の隙間が調整可能であり、前記少なくとも1つの固定部は、固定された前記フレキシブル基板を前記隙間のみで引き伸ばさせることを可能にするように、それぞれ前記2つの部分の前記隙間に近いエッジ位置に設けられる。
【0022】
例えば、本開示の少なくとも一実施例に係る電子装置の製造ツールは、前記載置台に駆動接続され、前記載置台の隣接する2つの部分間の隙間の大きさを調整して、固定された前記フレキシブル基板を引き伸ばし又は復元させる駆動装置をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の実施例の技術案をさらに明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明し、明らかなように、以下で説明される図面は単に本開示のいくつかの実施例に関するが、本開示を限定するものではない。
【0024】
【
図1】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造方法のフローチャートである。
【
図2A】本開示のいくつかの実施例に係るフレキシブル基板の引き伸ばし前の平面模式図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施例に係るフレキシブル基板の引き伸ばし前の平面模式図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施例に係るフレキシブル基板の引き伸ばし後の平面模式図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施例に係るフレキシブル基板を引き伸ばし状態に維持した断面模式図である。
【
図5A】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図5B】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置に備えられる薄膜トランジスタの断面模式図である。
【
図6A】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図6B】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置に備えられる発光構造の断面模式図である。
【
図7A】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図7B】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置に備えられる第2封止層の断面模式図である。
【
図7C】本開示のいくつかの実施例に係る第1封止層を形成した電子装置の断面模式図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造中の断面模式図である。
【
図12A】本開示のいくつかの実施例に係る配線を用いて非折り曲げ領域の回路構造を接続する3つの平面模式図である。
【
図12B】本開示のいくつかの実施例に係る配線を用いて非折り曲げ領域の回路構造を接続する3つの平面模式図である。
【
図12C】本開示のいくつかの実施例に係る配線を用いて非折り曲げ領域の回路構造を接続する3つの平面模式図である。
【
図13】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の平面模式図である。
【
図14A】
図14Aは本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造ツールの2つの平面模式図である。
【
図14B】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造ツールの2つの平面模式図である。
【
図15】本開示のいくつかの実施例に係る電子装置の製造ツールの別の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をさらに明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら本開示の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は本開示の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。説明される本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力をせずに想到し得るほかの実施例はすべて本開示の保護範囲に属する。
【0026】
特に断らない限り、本開示に使用される技術用語又は科学用語は当業者が理解する一般的な意味を有するべきである。本開示に使用される「第1」、「第2」及び類似する用語は順序、数量又は重要性を示すものではなく、単に異なる構成要素を区別する。「備える」又は「含む」等の類似する用語は、該用語の前にある素子又は物品が該用語の後に列挙される素子又は物品及びその同等のものをカバーするが、他の素子又は物品を除外しないという意味を有する。「接続」又は「連結」等の類似する用語は物理的又は機械的接続に限定されないが、直接及び間接を問わず電気的接続を含んでもよい。「上」、「下」、「左」、「右」等は相対位置関係のみを示し、説明対象の絶対位置が変わると、該相対位置関係もその分変わる可能性がある。
【0027】
現在、折り畳み型ディスプレイスクリーンは一般に、2つ又は複数のディスプレイスクリーンを接合してなり、このような製造方法は簡単であるが、折り畳み型ディスプレイスクリーンに備えられる複数のディスプレイスクリーン間の隙間が大きいことが多く、画面を共同表示する際に、複数のディスプレイスクリーン間の隙間位置に大きなブラインドゾーン(例えば、表示情報を提供できない領域)が生じ、折り畳み型ディスプレイスクリーンの全体的な表示効果に大きな影響を与えてしまう。また、折り畳み型ディスプレイスクリーンはさらにフレキシブルディスプレイスクリーンを使用してもよく、それによってフレキシブルスクリーンの可撓性を利用して折り畳み機能を実現する。この場合、フレキシブルディスプレイスクリーンの各層の機能構造は所定の可撓性を有する必要があるため、各層の機能構造の材料選択範囲が狭くなり、さらにフレキシブルディスプレイスクリーンの性能のさらなる向上が制限され、また、各機能層の折り畳み時の受力状況が異なる可能性があるため、例えば、各機能層の受力状況を模擬し精密に設計する必要があり、さもないと、折り畳み中、これらの機能層に破断や剥離等の現象が生じやすく、最終製品の信頼性を損なってしまう。
【0028】
本開示の少なくとも一実施例は、引き伸ばし領域及び引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を備える電子装置の製造方法を提供する。該製造方法は、引き伸ばし部及び引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、引き伸ばし部及び非引き伸ばし部がそれぞれ引き伸ばし領域及び非引き伸ばし領域に対応するフレキシブル基板を提供するステップと、引き伸ばし部の長さ方向に垂直に引き伸ばし部を引き伸ばさせて固定し、且つ引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持するステップと、非引き伸ばし部上に回路構造を形成するステップと、引き伸ばし部に対する固定を解除して、引き伸ばした引き伸ばし部を復元させるステップと、を含む。
【0029】
本開示の少なくとも一実施例は、引き伸ばし領域及び引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を有する電子装置を提供する。該電子装置は、引き伸ばし部及び引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、引き伸ばし部及び非引き伸ばし部がそれぞれ引き伸ばし領域及び非引き伸ばし領域に位置するフレキシブル基板と、非引き伸ばし部上に設けられる回路構造と、を備え、引き伸ばし部は電子装置の製造中に引き伸ばし可能であり、電子装置は引き伸ばし領域によって折り曲げ可能である。
【0030】
本開示の少なくとも一実施例は電子装置の製造ツールを提供し、フレキシブル基板を載置する載置台と、フレキシブル基板を載置台に着脱可能に固定する少なくとも1つの固定部と、を備え、載置台は少なくとも2つの部分を備え、且つ隣接する2つの部分間の隙間が調整可能であり、少なくとも1つの固定部は、固定されたフレキシブル基板を隙間のみで引き伸ばさせることを可能にするように、それぞれ2つの部分の隙間に近いエッジ位置に設けられる。
【0031】
以下、いくつかの具体的な実施例によって、本開示に係る電子装置の製造方法、電子装置及びその製造ツールを説明する。
【0032】
本開示の一実施例は電子装置の製造方法を提供し、該電子装置はフレキシブル基板、及びフレキシブル基板上に製造される様々な回路構造を備え、且つ互いに折り畳み可能な複数の部分を有し、複数の部分のうち隣接する2つの部分(例えば、隣接する2つの部分ごと)の間は折り曲げ可能領域である。例えば、電子装置は引き伸ばし領域及び引き伸ばし領域の両側に位置する非引き伸ばし領域を備え、引き伸ばし領域は折り曲げ可能領域である。例えば、折り曲げ可能領域は該領域の両側の非引き伸ばし領域が少なくとも部分的に重なることを可能にする。例えば、
図16に示すように、折り曲げ可能領域300によって、隣接する2つの非引き伸ばし領域20が互いに積層している(例えば、互いに平行である)。
【0033】
図1に示すように、該電子装置の製造方法は、ステップS101~ステップS104を含む。
【0034】
ステップS101では、引き伸ばし部及び引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備えるフレキシブル基板を提供する。
【0035】
例えば、
図2Aに示すように、フレキシブル基板は引き伸ばし部101及び引き伸ばし部101の両側に位置する非引き伸ばし部を備え、該非引き伸ばし部は、例えば、
図2Aに示される第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bを備える。該引き伸ばし部101は製造される電子装置の引き伸ばし領域10、すなわち折り曲げ可能な領域に対応し、非引き伸ばし部102A及び102Bはそれぞれ電子装置の非引き伸ばし領域20に対応する。フレキシブル基板の製造材料は、例えば、ポリイミド(PI)、ポリジメチルシロキサン(PMDS)又はポリウレタン(PU)等のフレキシブル材料を含んでもよいが、本開示の実施例ではそれを特に限定しない。例えば、引き伸ばされるため、引き伸ばし部101は弾性復元力を有し、外力を受けていない場合、上記弾性復元力は第1非引き伸ばし部102Aと第2非引き伸ばし部102Bとの並列配置方向における引き伸ばし部101のサイズを小さくすることを可能にする。
【0036】
ステップS102では、引き伸ばし部の長さ方向に垂直に引き伸ばし部を引き伸ばさせて固定し、且つ引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持する。
【0037】
例えば、
図2Aでは、鉛直方向は引き伸ばし部101の長さ方向であり、従って、水平方向(すなわち、図中の矢印で示される方向)に引き伸ばし部101を引き伸ばさせて固定し、且つ引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持する。
【0038】
例えば、引き伸ばし部101を引き伸ばさせる時、非引き伸ばし部102A及び102Bをそれぞれ引き伸ばし部101と非引き伸ばし部102A及び102Bとの境界に沿って固定し、境界位置で引き伸ばし部101を引き伸ばさせ、それによって非引き伸ばし部102A及び102Bに影響を与えることなく引き伸ばし部101のみを引き伸ばさせる。
【0039】
例えば、
図2Aに示すように、引き伸ばし部101と非引き伸ばし部102A及び102Bとの境界の四隅をそれぞれ載置台(図示せず)に固定し(例えば、治具103で固定し、且つ治具103のサイズは引き伸ばし部101の長さ未満である)、それによって非引き伸ばし部102A及び102Bの固定(例えば、非引き伸ばし部102A及び102Bと載置台との間の固定)を実現する。その後、引き伸ばし部101を引き伸ばさせる。例えば、引き伸ばし部101の引き伸ばし中、引き伸ばし部101と非引き伸ばし部102A及び102Bとの境界の四隅に引き伸ばし力を施すことで、引き伸ばし力(例えば、引き伸ばし力は
図2A中の矢印方向に沿う)を、非引き伸ばし部102A及び102Bに施すことなく引き伸ばし部101のみに施す。
【0040】
例えば、引き伸ばし部101の引き伸ばし中、治具による引き伸ばし部101と非引き伸ばし部102A及び102Bとの境界の四隅への固定を一時的に解除する。また、例えば、まず、引き伸ばし部101を引き伸ばさせ、引き伸ばし部101を適切に引き伸ばさせた後、治具を用いて引き伸ばし部101を固定する。さらに、例えば、引き伸ばし前、治具を用いて引き伸ばし部101と非引き伸ばし部102A及び102Bとの境界の四隅を固定し、且つ引き伸ばし中、引き伸ばし力を治具に付加し、それによって治具を経由して引き伸ばし部101を引き伸ばさせることができる。
【0041】
また、例えば、
図2Bに示すように、引き伸ばし部101と非引き伸ばし部102A及び102Bとの境界線全体を載置台(図示せず)に固定し(例えば、治具103で固定し、且つ治具103のサイズは引き伸ばし部101の長さよりも大きい)、この場合も、非引き伸ばし部102A及び102Bの固定(例えば、非引き伸ばし部102A及び102Bと載置台との間の固定)を実現でき、その後、引き伸ばし部101を引き伸ばさせる。例えば、この場合、引き伸ばし部101の受力がさらに均一になる。例えば、
図2Bに示される例については、具体的な引き伸ばし方法は
図2Aに示される例を参照すればよいため、ここでは重複説明を省略する。
【0042】
例えば、本開示の実施例では、引き伸ばし部101を引き伸ばさせる前(例えば、引き伸ばし部を形成した後、引き伸ばさせる前、又は、引き伸ばし部の形成中)、さらに引き伸ばし部101を変性処理して、その引き伸ばし性能を非引き伸ばし部102A及び102Bよりも高くし、それによって、引き伸ばし部101を引き伸ばしやすくして且つ引き伸ばしの長さを大きくすることができる。例えば、化学変性の方法を用いてもよく、フレキシブル基板の材料に応じて所定の組成の変性剤を選択してフレキシブル基板の引き伸ばし部101を変性処理して、引き伸ばし部101の引き伸ばし性能を向上させ、例えば、物理変性の方法を用いてもよく、フレキシブル基板の材料に応じて所定の組成のプラズマを選択してフレキシブル基板の引き伸ばし部101を変性処理し、又はフレキシブル基板の材料に応じて所定の組成のイオン源を選択してフレキシブル基板の引き伸ばし部101をイオン注入して変性処理し、それによって、引き伸ばし部101の引き伸ばし性能を向上させる。該処理は、後続の引き伸ばし中に引き伸ばし部101のみを引き伸ばさせることに有利である。例えば、引き伸ばし部101がポリイミドからなる場合、以下の方法のうちの少なくとも1つを用いて引き伸ばし部101の引き伸ばし性能を向上させることができる。(1)製造された引き伸ばし部101を高温(例えば、250度~350度)熱処理する(例えば、1時間処理する)。(2)ポリイミドの形成前又は形成中、ポリイミドを形成する材料に有機リン酸エステル(例えば、リン酸トリフェニル)を添加する。(3)ポリイミドの形成中、ポリイミドを形成する材料をゲル化してゲル膜を形成し、上記ゲル膜を引き伸ばし処理する。例えば、
図3及び
図4(
図4は
図3のA-A線断面模式図である)に示すように、引き伸ばし部101を引き伸ばさせた後、フレキシブル基板をリジッド基板104と固定し、例えば、接着固定し、引き伸ばし部101を引き伸ばし状態に維持する。例えば、リジッド基板104上に犠牲層105を形成してフレキシブル基板とリジッド基板104を接着固定し、固定後、治具103を取り外してもよい。該犠牲層105は、例えば、後続のフレキシブル基板とリジッド基板104との分離時に除去される。犠牲層105の材料は、例えば、接着性を有する光学的に透明な材料等であってもよく、リジッド基板はガラス基板、セラミック基板、ステンレス鋼基板等であってもよいが、本開示の実施例ではそれを限定しない。例えば、フレキシブル基板とリジッド基板104を固定した後、リジッド基板104は(リジッド基板104は犠牲層105を経由して)引き伸ばし部101に引き伸ばし力(例えば、引き伸ばし力の方向は
図2A中の矢印方向であってもよい)を連続的に付加して、引き伸ばし部101の弾性復元力に抵抗し、さらに引き伸ばし部101を引き伸ばし状態に維持する。
【0043】
ステップS103では、非引き伸ばし部上に回路構造を形成する。
【0044】
例えば、引き伸ばし部101の両側の非引き伸ばし部102A及び102B上に回路構造を同時に作製し、又は回路構造をそれぞれ作製する。
【0045】
例えば、回路構造をそれぞれ作製するプロセスでは、まず、第1非引き伸ばし部102A上に回路構造を形成し、その後、第2非引き伸ばし部102B上に回路構造を形成し、又は、まず、第2非引き伸ばし部102B上に回路構造を形成し、その後、第1非引き伸ばし部102A上に回路構造を形成する。
【0046】
例えば、回路構造を同時に作製するプロセスでは、遮蔽部を備えるマスクを用いてフレキシブル基板をカバーし、該遮蔽部は引き伸ばし部101に対応して引き伸ばし部101を遮蔽し、それによって引き伸ばし部101の両側の第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に回路構造を同時に形成することを実現する。又は、回路構造を備える構造層をフレキシブル基板上に直接形成し、その後、引き伸ばし領域10中の、すなわち引き伸ばし部101上に形成された構造層を除去して引き伸ばし部101を露出させ、それによって引き伸ばし部101の両側の第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に回路構造をそれぞれ形成することを実現する。
【0047】
本開示の実施例では、回路構造は、例えば、表示用の回路構造を備え、例えば、薄膜トランジスタ(スイッチングトランジスタ、駆動トランジスタ等を含む)、発光構造、蓄積コンデンサ等の機能部材を備える。以下、表示用の回路構造を製造することを例にして、本開示の実施例に係る製造方法を詳細に説明する。
【0048】
例えば、非引き伸ばし部102A上の回路構造は複数の表示画素に対応し、非引き伸ばし部102B上の回路構造は複数の表示画素に対応する。
【0049】
例えば、
図5Aに示すように、パターニング等の方法を用いて、まず、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に薄膜トランジスタ層106を形成する。該パターニング方法は、例えば、フォトレジストの塗布、露光、現像及びエッチング等の工程を含む。例えば、薄膜トランジスタ層106は複数の薄膜トランジスタを備える。
図5Bに示すように、形成される薄膜トランジスタは、例えば、ゲート1061、ソース1062、ドレイン1063及び活性層1064等の構造を備える。該薄膜トランジスタは、例えば、トップゲート型又はボトムゲート型等として形成され、その活性層はアモルファスシリコン、多結晶シリコン、酸化物半導体(例えば、IGZO等)等であってもよいが、本開示の実施例ではそれを特に限定しない。該薄膜トランジスタは後続で形成される発光構造を駆動制御することができる。
【0050】
例えば、
図6Aに示すように、薄膜トランジスタ層106を形成した後、パターニング等の方法を用いて発光構造107を形成する。発光構造107は、例えば、複数の画素単位を備え、各画素単位は薄膜トランジスタに対応して形成される。
図6Bに示すように、発光構造107の各画素単位は、例えば、有機発光ダイオードを備え、該有機発光ダイオードは第1電極1071、第2電極1072、及び第1電極1071と第2電極1072との間に設けられる発光層1074、正孔輸送層1073及び電子輸送層1075等を備え、該有機発光ダイオードは赤色光、緑色光、青色光等を発してもよいが、本開示の実施例ではそれを限定しない。第1電極1071と第2電極1072との間に電圧を印加すると、電子及び正孔が発光層内に注入され複合して励起され、それによって発光層1074は発光可能になる。例えば、各画素単位の第1電極1071が対応する薄膜トランジスタのソース1062又はドレイン1063に接続され、それによって薄膜トランジスタによる発光構造107への駆動制御を実現する。例えば、
図5Bは一例における第1電極1071が薄膜トランジスタのドレイン1063に接続される場合を示す。
【0051】
例えば、
図7Aに示すように、上記回路構造を形成した後、発光構造107上に第2封止層108Bを形成する。
図7Bに示すように、第2封止層108Bは、例えば、第1無機封止層1081、第2有機封止層1082及び第3無機封止層1083を備える。例えば、第1無機封止層1081及び第2有機封止層1082に使用される無機材料は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、酸化ネオジム、酸窒化アルミニウム、酸窒化ジルコニウム、酸窒化タンタル、酸窒化イットリウム又は酸窒化ネオジム等の適切な材料を含む。該無機封止材料は優れた撥水特性を有し、各機能層の製造時に導入される水分や空気中の水分が回路構造に侵入することを効果的に回避できる。第2有機封止層1082に使用される有機材料は、例えば、ポリイミド(PI)、エポキシ樹脂等の適切な材料であってもよい。該3層の封止構造は回路構造を効果的に封止して保護することができる。
【0052】
例えば、本開示の実施例の別の例では、
図7Cに示すように、上記回路構造を形成した後、さらに電子装置の引き伸ばし領域10において、回路構造の側縁に第1封止層108Aを形成する。例えば、第1封止層108Aは回路構造の側縁200(
図7A参照)に直接接触し、
図7Aに示すように、隣接する回路構造の側縁200は互いに対向している。例えば、回路構造の側縁200はフレキシブル基板104に交差する(例えば、垂直である)。第1封止層108Aは非引き伸ばし領域20中に位置する回路構造の側縁を封止して保護することができる。該第1封止層108Aは、例えば、非常に薄い1層として形成され、例えば、単層封止層であり、例えば、無機材料から形成される単層封止層であり、それによって引き伸ばし部を復元させた場合にも、第1非引き伸ばし部102Aと第2非引き伸ばし部102Bとの間に明らかな間隔が発生することがない(例えば、ユーザーは第1非引き伸ばし部102Aと第2非引き伸ばし部102Bとの間の間隔に気づくことがない)。
【0053】
例えば、
図8に示すように、第2封止層108Bを形成した後、第2封止層108B上にタッチ層109を形成し、タッチ層109は、例えば、単層タッチパターン、双層タッチパターン又はブリッジ型タッチパターン等の様々なタッチパターンを含んでもよいが、本開示の実施例ではそれを限定しない。
【0054】
本開示の実施例の別の例では、該タッチ層109は、例えば、独立して形成され、その後、第2封止層108Bに貼着される。又は、タッチ層109は第2封止層108B内に形成され、それによって第2封止層108Bはタッチ層109を封止して保護することもできる。本開示の実施例では、タッチ層109の形成方式を特に限定しない。また、タッチ層109は任意の適切なタイプのタッチ構造、例えば、抵抗型、容量型等であってもよく、容量型の場合はさらに自己容量型又は相互容量型等であってもよい。
【0055】
ステップS104では、引き伸ばし部に対する固定を解除して、引き伸ばした引き伸ばし部を復元させる(すなわち、戻す)。
【0056】
例えば、上記構造を形成した後、レーザー照射(ガラス又は透明セラミック等の材質からなるリジッド基板に対応する)又は機械的方法(例えば、加熱が挙げられ、非透明セラミック又はステンレス鋼等の材質からなるリジッド基板に対応する)を用いて、フレキシブル基板とリジッド基板を分離し、それによって引き伸ばし部に対する固定を解除する。
【0057】
例えば、
図9及び
図10に示すように、フレキシブル基板104の表面にレーザーを照射し、犠牲層105の接着性を低下させ、それによってフレキシブル基板とリジッド基板104を分離し、引き伸ばし部101に対する固定を解除し、それと同時に、犠牲層105の接着性が低下するため、フレキシブル基板及びリジッド基板104の表面から剥離しやすい。
【0058】
例えば、引き伸ばし部に対する固定を解除した後、引き伸ばし部に対する引き伸ばし力がなくなり、このとき、引き伸ばし部の弾性復元力は第1非引き伸ばし部102Aと第2非引き伸ばし部102Bとの並列配置方向における引き伸ばし部101のサイズを小さくすることを可能にし、それによって引き伸ばし部の両側の第1非引き伸ばし部102Aと第2非引き伸ばし部102Bとの間の間隔、及び引き伸ばし部の両側の回路構造の間隔を小さくすることができ、それによって電子装置のブラインドゾーンのサイズを小さくし、電子装置の性能を向上させることができる。
【0059】
例えば、本開示の実施例の一例では、
図11に示すように、引き伸ばし部101を復元させた後、引き伸ばし部101の両側に位置する非引き伸ばし部である第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bの回路構造は互いに接し(且つ、例えば、互いに絶縁する)、又は非常に小さい間隔だけを有し、該間隔は、例えば、回路構造中の発光構造107の隣接する画素単位間の間隔以下であり、従って、該間隔は電子装置の引き伸ばし部の両側に位置する発光構造107の全体的な表示効果を損なうことがない。
【0060】
例えば、さらに
図11に示すように、引き伸ばし部101を復元させた後、本開示の実施例に係る製造方法は、例えば、回路構造を形成したフレキシブル基板をフレキシブルカバープレート110と接着して回路構造を被覆するステップをさらに含む。例えば、回路構造のフレキシブル基板から離れた一方側にフレキシブルカバープレートを形成する。該フレキシブルカバープレート110は透明であり、且つ可撓性を有し、フレキシブル基板の引き伸ばし部101とともに折り畳み可能であり、且つフレキシブルカバープレート110の透明性はフレキシブル基板上に形成された発光構造107の表示効果を損なうことがない。例えば、フレキシブルカバープレート110が有する可撓性は、第1非引き伸ばし部102Aと積層しているフレキシブルカバープレート110の第1領域と、第2非引き伸ばし部102Bと積層しているフレキシブルカバープレート110の第2領域と、が互いに積層することを可能にする。
【0061】
例えば、本開示の実施例の一例では、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に回路構造を形成するプロセスでは、例えば、それぞれ第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に駆動回路を形成して、それぞれ第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造を制御する。この場合、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造は相互に独立し、且つ個別制御される。
【0062】
例えば、本開示の実施例の別の例では、
図12A、
図12B及び
図12Cに示すように、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に回路構造を形成するプロセスでは、フレキシブル基板の引き伸ばし部101上に第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bの回路構造を接続する配線1011を形成し、それによって第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bのうちの一方のみに駆動回路を形成する場合であっても、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bの回路構造に対する制御を同時に実現できる。この場合、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造は電気的に接続され、且つ同一駆動信号により同時に制御される。
【0063】
例えば、該例では、フレキシブル基板の引き伸ばし部101上に形成された配線1011は、例えば、折り線状(
図12Aに示される場合)、S状(
図12Bに示される場合)であってもよく、又は透かし処理されてもよく(
図12Cに示される場合、無色の円は透かしである)、それによって、引き伸ばし部101の復元中、配線1011の折り線形状、S形状又は透かしの形状は引き伸ばし部101の縮小に応じて変化し、配線1011による第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造への電気的接続効果を損なうことがない。
【0064】
本開示のいくつかの例では、引き伸ばし部101の復元後、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造は接合し、且つ第1非引き伸ばし部102Aの回路構造と第2非引き伸ばし部102Bの回路構造との間は非常に小さい間隔(すなわち、継ぎ目のサイズが非常に小さい)を有し、該間隔は、例えば、回路構造中の発光構造107の隣接する画素単位間の間隔以下であり、従って、複数の回路構造が表示に用いられる時、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の表示用の回路構造間にはユーザーが視認可能なギャップがなく、このとき、電子装置は、例えば、ブラインドゾーンを有さず、従ってシームレス表示を実現でき、それによって電子装置はより優れた表示効果を有する。また、電子装置が引き伸ばし領域(すなわち、フレキシブル基板の引き伸ばし部101に対応する部分)のみで折り曲げられるため、電子装置の非引き伸ばし領域に形成される回路構造(すなわち、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に形成される回路構造)等の機能部材の材料に対する柔軟性要件を低下させ(例えば、非フレキシブル材料を使用できる)、従って、材料の適用範囲を拡張し、且つ回路構造等の機能部材の設計難度及び製造プロセスを簡素化し、それによって電子装置のデバイス性能を向上させることができる。
【0065】
本開示の別の実施例は電子装置を提供し、
図13に示すように、該電子装置は引き伸ばし領域10及び引き伸ばし領域10の両側に位置する非引き伸ばし領域20を有し(図示される引き伸ばし領域10は引き伸ばし状態ではないため、その幅が非常に小さい)、且つ、該電子装置はフレキシブル基板及び回路構造を備える。該フレキシブル基板は引き伸ばし部101及び引き伸ばし部101の両側に位置する非引き伸ばし部(例えば、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bを備える)を備え、引き伸ばし部101及び非引き伸ばし部はそれぞれ引き伸ばし領域10及び非引き伸ばし領域20に位置する。回路構造30A及び30Bはそれぞれ非引き伸ばし部102A及び102B上に設けられ、引き伸ばし部101は電子装置の製造中に引き伸ばされ、電子装置は引き伸ばし領域10(すなわち、フレキシブル基板の引き伸ばし部101に対応する位置)によって折り曲げ可能である。電子装置の非折り曲げ状態では、該引き伸ばし部101は非引き伸ばし状態である。例えば、表示時、電子装置は非折り曲げ状態であり、輸送及び収納時、電子装置は折り曲げ状態であり、それによって電子装置の占用スペースを小さくする。例えば、電子装置は複数の折り曲げ領域、複数の第1非引き伸ばし部102A及び複数の第2非引き伸ばし部102Bを有し、それによって電子装置の輸送及び収納時の占用スペースをさらに小さくする。
【0066】
例えば、本開示の実施例に係る電子装置は、回路構造のフレキシブル基板から離れた一方側に設けられ、回路構造を被覆するフレキシブルカバープレートをさらに備える。該フレキシブルカバープレートは回路構造を保護することができ、電子装置の折り畳み時に折り曲げ可能である。
【0067】
例えば、本開示の実施例では、非引き伸ばし部102A及び102B上に位置する回路構造30A及び30Bはそれぞれ、順にフレキシブル基板上に設けられる発光回路層(すなわち、発光構造層)及びタッチ層を備える。発光回路層は表示に用いられ、タッチ層は発光回路層等の回路構造に対してタッチ操作を行う。
【0068】
例えば、本開示の実施例では、回路構造30A及び30Bは発光回路層とタッチ層との間に位置する第2封止層をさらに備える。第2封止層は、例えば、第1無機封止層、第2有機封止層及び第3無機封止層を備える。第2封止層の形成材料及びタッチ層との位置関係は前の実施例を参照すればよいため、本開示の実施例では重複説明を省略する。該3層の封止構造は回路構造を効果的に封止して保護することができる。
【0069】
例えば、本開示の実施例では、電子装置は、それぞれ電子装置の引き伸ばし領域の両側の非引き伸ばし領域(例えば、フレキシブル基板の引き伸ばし部の両側の非引き伸ばし部上)に設けられ、それぞれ引き伸ばし領域の両側の回路構造に駆動信号を提供する少なくとも2セットの駆動回路をさらに備える。この場合、引き伸ばし領域の両側の回路構造は独立して制御可能であり、例えば、引き伸ばし領域の左側に位置する回路構造は引き伸ばし領域の左側に位置する1セットの駆動回路により駆動されて電子装置から出力された画像の一部のサブ画像を表示し、引き伸ばし領域の右側に位置する回路構造は引き伸ばし領域の右側に位置する1セットの駆動回路により駆動されて電子装置から出力された画像の一部のサブ画像を表示する。
【0070】
例えば、
図13に示すように、電子装置は、それぞれ電子装置の非引き伸ばし領域、すなわちフレキシブル基板の引き伸ばし部の両側の第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に設けられ、それぞれ第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造30A及び30Bに駆動信号を提供する2セットの駆動回路を備える。例えば、第1セットの駆動回路は、第1データ駆動IC111Aと、第1非引き伸ばし部102A上の回路構造30A及び第1データ駆動IC111Aを電気的に接続する第1配線領域112Aと、第1信号線(例えば、VSS信号線)113Aと、第1ゲートドライバ114A等とを備える。第2セットの駆動回路は、第2データ駆動IC111Bと、第2非引き伸ばし部102B上の回路構造30B及び第2データ駆動IC111Bを電気的に接続する第2配線領域112Bと、第2信号線(例えば、VSS信号線)113Bと、第2ゲートドライバ114B等とを備える。従って、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造30A及び30Bはそれぞれ第1セットの駆動回路及び第2セットの駆動回路によって独立して制御され、例えば、一例では、第1セットの駆動回路及び第2セットの駆動回路は同一タイミングコントローラ(T-con)からのクロック信号等によって同期を実現できる。例えば、VSS信号線は電源電圧(VSS電圧、通常、低電圧である)を伝送し、また、電子装置は別の電源電圧(VDD電圧、通常、高電圧である)を伝送するためのVDD信号線をさらに備えてもよい。
【0071】
例えば、本開示の実施例の別の例では(
図12A、
図12B及び
図12C参照)、引き伸ばし領域、すなわちフレキシブル基板の引き伸ばし部101上に、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造を接続する配線1011が形成され、それによって第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102Bのうちの一方のみに1つの駆動回路が設けられる場合であっても、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造に対する制御を同時に実現できる。この場合、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造は同一駆動信号により同時に制御される。
【0072】
該例では、フレキシブル基板の引き伸ばし部101上に設けられる配線1011は、例えば、折り線状(
図12Aに示される場合)、S状(
図12Bに示される場合)であってもよく、又は透かし処理されてもよく(
図12Cに示される場合、無色の円は透かしである)、それによって、引き伸ばし部101の折り曲げ中、配線1011の折り線形状、S形状又は透かしの形状は引き伸ばし部101の引き伸ばし又は復元に応じて変化し、配線1011による第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造への接続効果を損なうことがない。
【0073】
本開示の実施例では、電子装置は、例えば、第1封止層をさらに備え、
図7Cに示すように、第1封止層108Aは回路構造の引き伸ばし領域10に近い側縁に設けられる。第1封止層108Aは回路構造の側縁を封止して保護することができる。
【0074】
本開示のいくつかの例では、電子装置の第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の回路構造は接合され、又は非常に小さい間隔だけを有し、該間隔は、例えば、回路構造中の発光構造107の隣接する画素単位間の間隔以下であり、回路構造が表示に用いられる時、第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上の表示用の回路構造はシームレス表示を実現でき、ブラインドゾーンが生じることがないため、より優れた表示効果を有する。また、電子装置が引き伸ばし領域、すなわちフレキシブル基板の引き伸ばし部101に対応する部分のみで折り曲げられるため、電子装置の非引き伸ばし領域に形成される回路構造、すなわち第1非引き伸ばし部102A及び第2非引き伸ばし部102B上に形成される回路構造等の機能部材の材料に対する柔軟性要件がないため、材料の適用範囲を拡張し、且つ回路構造等の機能部材の設計難度及び製造プロセスを簡素化する。
【0075】
本開示の実施例では、該電子装置は、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲーター等の電子製品又は部材であってもよいが、本開示の実施例ではそれを限定しない。
【0076】
本開示のさらに別の実施例は電子装置の製造ツールを提供し、
図14Aに示すように、該製造ツールは載置台(11A/11B)及び少なくとも1つの固定部12を備える。載置台(11A/11B)はフレキシブル基板を載置し、固定部12はフレキシブル基板を載置台(11A/11B)に着脱可能に固定する。載置台(11A/11B)は並列に設けられる少なくとも2つの部分、すなわち第1部分11A及び第2部分11Bを備え、且つ隣接する2つの部分である第1部分11Aと第2部分11Bとの間の隙間Dの大きさは調整可能であり、少なくとも1つの固定部12(例えば、2つ又は4つ)は固定されたフレキシブル基板を隙間Dのみで引き伸ばさせることを可能にするように、それぞれ第1部分11A及び第2部分11Bの隙間Dに近いエッジ位置に設けられる。
【0077】
例えば、フレキシブル基板が引き伸ばし部及び引き伸ばし部の両側に位置する非引き伸ばし部を備える場合、
図14Aに示すように、固定部12は、例えば、第1部分11A及び第2部分11Bの隙間Dに近い隅位置に設けられ、それによって引き伸ばし部と非引き伸ばし部との境界位置に沿って非引き伸ばし部を固定し、さらに引き伸ばし部を隙間Dに配置する。水平方向に沿ってそれぞれ載置台に引っ張り力を施すと、引き伸ばし部が引き伸ばし可能である。本開示の実施例では、製造ツールは、例えば、非引き伸ばし部の他方側のエッジを固定する補助固定部12Bをさらに備える。固定部12及び補助固定部12Bは、例えば、適切なタイプの治具であり、引き伸ばし性能付き治具、ねじ治具等を含む。
【0078】
例えば、
図14Bに示すように、固定部12は、例えば、第1部分11A及び第2部分11Bの隙間Dに近いエッジ全体の位置に設けられ、それによって引き伸ばし部と非引き伸ばし部との境界全体の位置に沿って非引き伸ばし部を固定する。水平方向に沿ってそれぞれ載置台に引っ張り力を施すと、このように設けられることで、フレキシブル基板の非引き伸ばし部に影響を与えることなく(すなわち、引き伸ばさせない)、フレキシブル基板の引き伸ばし部を隙間Dのみで引き伸ばさせることに有利である。
【0079】
例えば、
図15に示すように、本開示の実施例に係る製造ツールは駆動装置13をさらに備え、該駆動装置13は載置台に駆動接続されて(例えば、載置台に接続され、載置台を移動駆動する)、載置台の隣接する2つの部分、すなわち図示される11Aと11Bとの間の隙間Dの大きさを調整し、それによって、固定されたフレキシブル基板の隙間Dに対応する引き伸ばし部を引き伸ばし又は復元させる。
【0080】
例えば、駆動装置13は動力源及び伝動構造を備え、該動力源は、例えば、モータ(例えば、ステッピングモータ等)、シリンダー、オイルシリンダ等を含み、伝動部材は、スクリュー、ベルト、歯車、タービン等を含んでもよく、駆動装置13は載置台の第1部分11A及び/又は第2部分11Bに駆動接続され、且つ所定の命令に応じて動作して、第1部分11A及び/又は第2部分11Bを駆動することができ、それによって第1部分11Aと第2部分11Bとの間の隙間Dの大きさを調整する。本開示の実施例に係る製造ツールは、駆動装置13に信号接続(例えば、有線又は無線接続)され、それによって所定の命令を駆動装置13に送信する制御装置14をさらに備える。また、該制御装置14はさらに入力装置(例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等)、出力装置(例えば、ディスプレイ)等に接続され、それによって操作者による設定、監視制御等の操作が容易になる。該制御装置14は制御機能を有する任意の電子装置であってもよく、例えば、中央処理装置(CPU)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラ等が挙げられる。
【0081】
例えば、駆動装置13は、まず、11Aと11Bとの間の隙間Dを第1所定長さに調整し、フレキシブル基板の引き伸ばし部を第1所定長さに引き伸ばさせ、その後、薄膜成長プロセス、パターニングプロセス等を含む半導体製造プロセスを用いてフレキシブル基板上に回路構造等の機能部材を製造した後、駆動装置13は11Aと11Bとの間の隙間Dを第2所定長さに再調整し、該第2所定長さは、例えば、ゼロであり、又はゼロに近く、引き伸ばし部を復元させ、その後、フレキシブル基板に対して後続の製造工程を行う。
【0082】
また、例えば、駆動装置13は、まず、11Aと11Bとの間の隙間Dを第1所定長さに調整し、フレキシブル基板の引き伸ばし部を第1所定長さに引き伸ばさせ、その後、フレキシブル基板をリジッド基板104と固定し、リジッド基板104を用いて引き伸ばし部を引き伸ばし状態に維持し、続いて、補助固定部12Bを除去し、薄膜成長プロセス、パターニングプロセス等を含む半導体製造プロセスを用いてフレキシブル基板上に回路構造等の機能部材を製造し、最後に、リジッド基板104を除去し、引き伸ばし部を復元させ、フレキシブル基板に対して後続の製造工程を行う。
【0083】
該電子装置の製造ツールは電子装置を製造することに適用でき、製造された電子装置はより優れた性能(例えば、表示効果)を有する。例えば、従来の接合式電子装置に比べて、本開示のいくつかの例に係る電子装置はブラインドゾーンが小さく、それによってデバイス性能(例えば、表示効果)を向上させることができる。また、例えば、フルフレキシブル電子装置に比べて、本開示のいくつかの例に係る電子装置は折り曲げ領域だけでフレキシブル材料を使用すればよく、且つ非フレキシブル材料又は可撓性が相対的に小さい材料で非折り曲げ領域に位置する回路構造を作製でき、それによって材料の適用範囲を拡張し、さらに回路構造等の機能部材の設計難度及び製造プロセスを簡素化し、電子装置のデバイス性能を向上させることができる。
【0084】
なお、以下の点について説明する。
【0085】
(1)本開示の実施例の図面は本開示の実施例に関する構造のみを示しており、ほかの構造は通常の設計を参照すればよい。
【0086】
(2)分かりやすくするために、本開示の実施例を説明するための図面では、層又は領域の厚さが拡大又は縮小されており、すなわち、これらの図面は実際の縮尺で作成されるものではない。層、膜、領域又は基板のような素子が別の素子の「上」又は「下」に位置する場合、該素子は別の素子の「上」又は「下」に「直接」位置してもよく、中間素子が介在してもよいと理解できる。
【0087】
(3)矛盾しない限り、本開示の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせて新たな実施例を得ることができる。
【0088】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎないが、本開示の保護範囲を限定するものではなく、当業者が本開示に係る技術範囲内を逸脱せずに容易に想到し得る変更や置換はすべて本開示の保護範囲に属する。従って、本開示の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。