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特許7328227画像処理方法、画像処理装置、表示装置及び記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】画像処理方法、画像処理装置、表示装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/246 20170101AFI20230808BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20230808BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G06T7/246
G09G5/10 Z
G09G5/37 320
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020536561
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2019080153
(87)【国際公開番号】W WO2019196667
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】201810317032.2
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512282165
【氏名又は名称】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI XINSHENG OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xinzhan Industrial Park,Hefei,Anhui,230012,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ シァォロン
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-038229(JP,A)
【文献】特開2016-212378(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107016961(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G09G 5/00 - 5/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像表示領域内の表示画像の処理方法であって、前記画像表示領域の一部又は全部は、残像を回避するための画像回転動作を行う画像移動可能領域であり、
前記画像移動可能領域が第1位置から第2位置までに移動した場合、
前記画像移動可能領域が前記第1位置にあるときの前記画像表示領域に表示された表示画像の第1画像特徴値を取得するステップと、
前記画像移動可能領域が前記第2位置にあるときの前記画像表示領域に表示された表示画像の第2画像特徴値を取得するステップと、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するステップと、を含む表示画像の処理方法。
【請求項2】
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するステップは、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とが等しいか否かを判断するステップと、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とが等しい場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定するステップと、を含む、請求項1に記載の表示画像の処理方法。
【請求項3】
しきい値パラメータを設定するステップをさらに含み、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するステップは、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値との差の絶対値を計算するステップと、
前記差の絶対値が前記しきい値パラメータよりも大きい場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が非静止画であると決定するステップと、
前記差の絶対値が前記しきい値パラメータ以下である場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定するステップと、を含む、請求項1に記載の表示画像の処理方法。
【請求項4】
前記画像移動可能領域が前記第1位置から前記第2位置までに移動することは、
前記画像移動可能領域を前記第1位置から第1方向においてM個の画素歩幅で移動させるステップを含み、
Mは0より大きい整数である、請求項3に記載の表示画像の処理方法。
【請求項5】
前記画像移動可能領域は前記第1方向に沿って移動する最大歩幅がn行又はn列の画素である場合、前記しきい値パラメータは、前記最大歩幅と前記画像表示領域内の各行又は各列の画素における平均画像特徴値との積であり、
nは0より大きい整数である、請求項4に記載の表示画像の処理方法。
【請求項6】
少なくとも2つの移動周期を含み、
第Nの移動周期及び第N+1の移動周期のそれぞれは、1対1に対応するXフレームの表示画像を含み、
前記第N+1の移動周期内の第xのフレームの表示画像が位置される画像表示領域の位置と前記第Nの移動周期内の第xのフレームの表示画像が位置される画像表示領域の位置とが同じであり、xは0より大きく且つX以下の整数であり、Nは0より大きい整数であり、Xは0より大きい整数である、請求項1に記載の表示画像の処理方法。
【請求項7】
前記第1画像特徴値は前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値であり、
前記第2画像特徴値は前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値である、請求項6に記載の表示画像の処理方法。
【請求項8】
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するステップは、
前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とが1対1に対応して等しいか否かを判断するステップと、
前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とが1対1に対応して等しい場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定するステップと、
前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とがいずれも1対1に対応して等しいのではない場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が非静止画であると決定するステップと、を含む、請求項7に記載の表示画像の処理方法。
【請求項9】
前記移動周期は、前記画像移動可能領域が前記第1位置から移動し再び前記第1位置に戻るのにかかる時間である、請求項6~8のいずれか1項に記載の表示画像の処理方法。
【請求項10】
前記第1画像特徴値は、前記画像表示領域に表示された表示画像の輝度値又はグレースケール値であり、前記第2画像特徴値は、前記画像表示領域に表示された表示画像の輝度値又はグレースケール値である、請求項1~9のいずれか1項に記載の表示画像の処理方法。
【請求項11】
前記画像表示領域は、前記画像移動可能領域の、画像回転中においてディスプレイからはみ出ない部分である、請求項1~10のいずれか1項に記載の表示画像の処理方法。
【請求項12】
前記表示画像が前記静止画であると決定された場合、前記画像表示領域の表示輝度を低下させるステップをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の表示画像の処理方法。
【請求項13】
表示画像処理装置であって、
プロセッサと、
メモリと、
1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールと、を備え、
前記1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールは、前記メモリに記憶されており、前記プロセッサにより実行されるように構成され、前記1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールは前記プロセッサにより実行されて請求項1~12のいずれか1項に記載の表示画像の処理方法を実現するための指令を含む、表示画像処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の表示画像処理装置を備える、表示装置。
【請求項15】
記憶媒体であって、
コンピュータ読み取り可能な指令が非一時的に記憶されており、前記コンピュータ読み取り可能な指令がコンピュータにより実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の表示画像の処理方法を実現する、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年4月10日に提出された中国特許出願第201810317032.2号の優先権を主張し、上記中国特許出願に開示される全内容は本願の一部として援用されている。
【0002】
本開示の実施例は、画像表示領域に表示された表示画像の処理方法、表示画像処理装置、表示装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイは、全固体で、アクティブ発光型ディスプレイである。OLEDディスプレイは、高輝度、高コントラスト、超薄型および超軽量、低消費電力、視野角制限なし、広い動作温度範囲などの特性を有するので、新興の次世代ディスプレイとして期待される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の少なくとも一実施例は、一部又は全部が移動可能領域である画像表示領域内の表示画像の処理方法を提供し、
前記移動可能領域が第1位置から第2位置までに移動した場合、
前記移動可能領域が前記第1位置にあるときの前記画像表示領域に表示された表示画像の第1画像特徴値を取得するステップと、
前記移動可能領域が前記第2位置までにあるときの前記画像表示領域に表示された表示画像の第2画像特徴値を取得するステップと、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するステップと、を含む。
【0005】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断する前記ステップは、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とが等しいか否かを判断するステップと、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とが等しい場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定するステップと、を含む。
【0006】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、しきい値パラメータを設定するステップをさらに含む。前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断する前記ステップは、
前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値との差の絶対値を計算するステップと、
前記差の絶対値が前記しきい値パラメータよりも大きい場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が非静止画であると決定するステップと、
前記差の絶対値が前記しきい値パラメータ以下である場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定するステップと、を含む。
【0007】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記移動可能領域が前記第1位置から前記第2位置までに移動することは、
前記移動可能領域を前記第1位置から第1方向に沿ってM個の画素歩幅(画素ステップ)で移動させるステップを含み、
Mは0より大きい整数である。
【0008】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記移動可能領域は前記第1方向に沿って移動する最大歩幅(最大ステップ)がn行又はn列の画素である場合、前記しきい値パラメータは、前記最大歩幅と前記画像表示領域内の各行又は各列の画素における平均画像特徴値との積であり、
nは0より大きい整数である。
【0009】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、少なくとも2つの移動周期を含み、
第Nの移動周期及び第N+1の移動周期はそれぞれ1対1に対応するXフレームの表示画像を含み、
前記第N+1の移動周期内の第xフレームの表示画像が位置される画像表示領域の位置と前記第Nの移動周期内の第xフレームの表示画像が位置される画像表示領域の位置とが同じであり、
xは0より大きく且つX以下の整数であり、Nは0より大きい整数であり、Xは0より大きい整数である。
【0010】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記第1画像特徴値は前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値であり、
前記第2画像特徴値は前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値である。
【0011】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記第1画像特徴値と前記第2画像特徴値とに基づいて、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断する前記ステップは、
前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とが1対1に対応して等しいか否かを判断するステップと、
前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とが1対1に対応して等しい場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定するステップと、
前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と前記第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とがいずれも1対1に対応して等しいのではない場合、前記画像表示領域に表示された表示画像が非静止画であると決定するステップと、を含む。
【0012】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記移動周期は、前記移動可能領域が前記第1位置から移動し、再び前記第1位置に戻るのにかかる時間である。
【0013】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記第1画像特徴値前記画像表示領域に表示された表示画像の輝度値又はグレースケール値であり、前記第2画像特徴値は、前記画像表示領域に表示された表示画像の輝度値又はグレースケール値である。
【0014】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記画像表示領域は、前記移動可能領域の、画像回転中に表示画面からはみ出ない部分である。
【0015】
たとえば、本開示の一実施例による表示画像の処理方法において、前記表示画像が前記静止画であると決定する場合、前記画像表示領域の表示輝度を低下させるステップをさらに含む。
【0016】
本開示の少なくとも一実施例は、プロセッサと、メモリと、1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールと、を備える表示画像処理装置をさらに提供する。前記1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールは、前記メモリに記憶されており、前記プロセッサにより実行されるように構成され、前記1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールは、前記プロセッサにより実行されて本開示のいずれかの実施例による表示画像の処理方法を実現するための指令を含む。
【0017】
本開示の少なくとも一実施例は、本開示のいずれかの実施例による表示画像処理装置を備える表示装置をさらに提供する。
【0018】
本開示の少なくとも一実施例は、コンピュータ読み取り可能な指令を非一時的に記憶しており、前記非一時的なコンピュータ読み取り可能な指令は、コンピュータにより実行されると、本開示のいずれかの実施例による表示画像の処理方法を実現する記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明するが、明らかなように、以下説明される図面は、本開示を限定するのではなく、本開示のいくつかの実施例に関するものに過ぎない。
図1A図1Aはディスプレイに表示された画像1の模式図である。
図1B図1Bはディスプレイが表示すべき画像2の模式図である。
図1C図1Cはディスプレイに実際に表示された画像2の模式図である。
図2図2は本開示のいくつかの実施例による画像表示領域に表示された表示画像の処理方法のフローチャートである。
図3図3は一OLEDの画像表示領域の模式図である。
図4A図4Aは本開示のいくつかの実施例による表示画像の処理方法における移動軌跡の模式図である。
図4B図4Bは本開示のいくつかの実施例による表示画像の処理方法において表示画像が第1位置にある場合の模式図である。
図4C図4Cは本開示のいくつかの実施例による表示画像の処理方法において表示画像が図4Aに示す移動軌跡に従って第2位置に移動された場合の模式図である。
図5図5は表示画像の処理方法における図2に示すステップS140の一例のフローチャートである。
図6図6は表示画像の処理方法における図2に示すステップS140の別の例のフローチャートである。
図7図7は表示画像の処理方法における図2に示すステップS140のさらに別の例のフローチャートである。
図8A-8D】図8A図8Dは画像回転中において表示画像が4つの限界位置に移動された模式図である。
図9図9は本開示のいくつかの実施例による表示画像処理装置の模式図である。
図10図10は本開示のいくつかの実施例による表示装置の模式図である。
図11図11は本開示のいくつかの実施例による記憶媒体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照して、本開示の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。もちろん、説明される実施例は、本開示の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本開示の説明される実施例に基づいて、創造的な努力を必要とせずに当業者によって得られる他の実施例はすべて、本開示の特許範囲に属する。
【0021】
特に定義されていない限り、ここで使用される技術用語又は科学用語は、当業者によって理解される通常の意味を持つものである。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似の用語は、順序、数量又は重要性を示さず、異なる構成要素を区別するために使用される。同様に、「1つ」、「一」や「該」などのような用語は、数量を制限するものではなく、少なくとも1つが含まれることを意味する。「含む」又は「備える」などのような用語は、この用語の前に記載される要素又は物品が、この用語の後に挙げられる要素又は物品及びその同等物をカバーするが、他の要素又は物品を除外しないことを意味する。「接続」又は「繋がる」などのような用語は、物理的又は機械的接続に限定されず、直接又は間接にかかわらず、電気的接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対的な位置関係を示すためにのみ使用され、説明される対象の絶対位置が変化すると、相対的な位置関係もその分変化する場合がある。
【0022】
以下、図面を参照しながら本開示の各実施例を詳細に説明する。なお、図面において、基本的に同一又は同等の構造及び機能を有する構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0023】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)表示技術は、表示残像という問題がある。ディスプレイが長時間にわたって同一の画像を表示する場合、現在の表示画像が次の画像に切り替えられる時、元の画像が部分的に次の画像に残留されるという現象は、残像と呼ばれる。残像が生じる理由の1つは、OLED画素におけるトランジスタのしきい値電圧(Vth)のドリフトにある。異なる表示段階において異なる表示グレースケールによりトランジスタのドレインを流れる電流が異なるため、OLED画素におけるトランジスタのしきい値電圧(Vth)にはさまざまな程度のドリフトが発生することにより、表示画面に残像が発生しまう。軽微な場合においてこの残像が経時的になくなるが、静止画像が長時間にわたって表示される又は長期的に蓄積されると、ディスプレイへの不可逆的な損傷をもたらすことがある。
【0024】
LCD(Liquid Crystal Display)表示技術にも残像の問題がある。その残像が生じる理由の1つは、液晶層における不純物イオン(たとえば、シーラントなどから由来)が液晶層の一方側に集まることによる分極にある。この分極は、液晶分子の偏向方向に影響して、対応する画素のグレースケールに影響を与えることにより、残像を引き起こしまう。
【0025】
たとえば、図1Aはディスプレイに表示された画像1の模式図であり、図1Bはディスプレイが表示すべき画像2の模式図であり、図1Cはディスプレイに実際に表示された画像2の模式図である。ディスプレイには画像1たとえば図1Aに示す市松模様の画像が長時間表示された後に、ディスプレイに表示されている画像が新しい画像2たとえば図1Bに示すグレーが127とされた画像に切り替えられたとしても、図1Aに示された画像1である市松模様の画像が部分的に残留され、図1Cに示すように、それは表示残像である。
【0026】
画像を回転させることは残像をなくすために一般的に使用される方法であるが、画像の過度の回転による表示効果への損傷を回避するために、通常、画像の回転範囲があまり大きくない。しかし、静止画を表示する画像表示領域のサイズが一般的に画像の回転範囲よりも大幅に大きく、且つ多数の応用シナリオ(たとえば待機画面、メインログインページなどの表示)において表示画像の隣り合う画素同士の内容が類似するため、場合によっては画像を回転させることによっても静止画による残像という問題を効果的に解決できない。したがって、画像の回転状態で存在している静止画に対して判断を行い、判断結果に応じて残像を回避するための取り組みをする必要がある。
【0027】
本開示の一実施例は、画像表示領域内の表示画像の処理方法を提供し、該画像表示領域の一部又は全部は移動可能領域である。該表示画像の処理方法は、移動可能領域が第1位置から第2位置までに移動された場合、移動可能領域が第1位置にあるときの、画像表示領域に表示された表示画像の第1画像特徴値を取得するステップと、移動可能領域が第2位置にあるときの、画像表示領域に表示された表示画像の第2画像特徴値を取得するステップと、第1画像特徴値と第2画像特徴値とに基づいて、画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するステップと、を含む。
【0028】
本開示の少なくとも一実施例は、該表示画像の処理方法に対応する表示画像処理装置、表示装置及び記憶媒体をさらに提供する。
【0029】
該表示画像の処理方法は、静止画を判断するための領域を合理的に選択することによって、画像の回転状態で存在している静止画に対して判断することができるため、画像の回転状態でディスプレイに現れる残像を回避できる。これにより、残像によるディスプレイへの損傷を回避し、ディスプレイの耐用年数を延ばすことができる。
【0030】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を詳細に説明する。
【0031】
本開示の一実施例は、画像表示領域内の表示画像の処理方法を提供し、該表示画像の処理方法は、たとえばOLED表示装置に適用できる。図2に示すように、該表示画像の処理方法は、ステップS110~ステップS140を含む。たとえば、該画像表示領域の一部又は全部は、残像を回避するための画像回転動作を行う移動可能領域である。以下、図2を参照しながら本開示の実施例による表示画像の処理方法を説明する。
【0032】
ステップS110では、移動可能領域は第1位置から第2位置までに移動する。
【0033】
該ステップは画像を回転させる過程である。たとえば、この過程は、上記移動可能領域が移動する過程であってもよい。たとえば、上記移動可能領域は、上記画像表示領域の全部又は一部であってもよい。
【0034】
表示装置の表示画面は表示の出力に用いられ得る。上記方法では、該表示画面の全体を画像表示領域となり、又は必要に応じて表示画面の一部を画像表示領域となる。表示装置の表示画面は、たとえばさまざまな解像度、たとえば640×480、1024×768、1600×1200などを使用できるように構成される。本開示の実施例では、画像表示領域は、全体として処理されてもよく、複数の領域に分けられて複数の領域のうち一つを選択して処理されてもよい。
【0035】
たとえば、OLEDディスプレイの画像表示領域200は、図3に示すように、3×3に配列される、それぞれがA、B、C…H、Iとする9個の画像表示領域に分けられる。たとえば、OLEDディスプレイの表示画面が開始ウェルカムインターフェースに留まる場合、画像表示領域200の全体は一つの静止画像を表示する。この場合、静止画像を長時間にわたっても変化させなく、所定時間、たとえば10~30分間過ぎても表示画像に対する何らかの操作が行われないと、表示画面には残像が発生しやすくなり、その結果、ディスプレイへの損傷をもたらす。この場合、画像表示領域の全体を移動可能領域とすることができる。
【0036】
また、たとえば、図3に示すように、OLEDディスプレイの表示画面がアプリケーションインターフェース、たとえばナビゲーションアプリケーションインターフェースに切り替えられると、この時、ナビゲーション操作のインジケータ画像を固定的に表示するための画像表示領域A、B、C、D、Gには固定的な静止画像が表示され、その他の領域E、F、H、Iには、位置情報に応じて表示画像をリアルタイムに更新するナビゲーションマップ情報、すなわち、動画が表示されている。この場合、残像を回避するために、領域A、B、C、D、Gのうち1つ又は全部を本例による表示画像の処理方法に操作される移動可能領域とすることができる。
【0037】
なお、画像表示領域内の移動可能領域は、外形が規則的なものに制限されず、外形が規則的ではないものとしてもよい。本開示の実施例では、画像表示領域の全体を上記方法における移動可能領域とする場合を例にして説明するが、以下の実施例においても同様であるため、重複する説明を省略する。たとえば、図4Bに示すように、移動可能領域102は、画像回転操作前の表示画面101の全体に表示された全画面である画像表示領域の全体とされてもよい。なお、説明の便宜上、図4Bに示す移動可能領域102のサイズは表示画面101のサイズよりもわずかに小さい。
【0038】
本開示の実施例による表示画像の処理方法では、たとえば、上記第1位置は画像回転前の位置であり、上記第2位置は画像回転後の位置である。なお、上記第2位置は、移動可能領域が第1位置から一回移動した位置、即ち第1位置に隣接する位置であってもよく、複数回移動した位置であってもよく、たとえば、複数回移動して第1位置に戻ってもよく、本開示の実施例では、それについて制限しない。
【0039】
たとえば、図4B及び図4Cに示す画像表示領域103は、移動可能領域102の、画像回転中に表示画面101から終始はみ出ない部分であり、該画像表示領域に表示された表示画像に対して静止画であるか否かが判断される。たとえば、一例では、図4Bにおける該画像表示領域103の位置を移動可能領域102の第1位置とされ、図4Cにおける該画像表示領域103の位置を移動可能領域102の第2位置とされる。なお、画像回転中において、移動可能領域102が移動すると、該画像表示領域103のサイズが一定に維持されるが、その位置が対応して変化する。
【0040】
たとえば、図4B及び図4Cに示すように、移動可能領域102は、第1位置から第2位置までに移動し、つまり、図4Bに示す位置から図4Cに示す矢印1の方向に沿って図4Cに示す位置に移動した。たとえば、移動可能領域102を第1位置から第1方向に沿ってM(Mは0より大きい整数である)個の画素歩幅で移動させることにより、画像表示領域103を図4Cに示す第2位置までに移動させるようにする。
【0041】
なお、本開示の各実施例では、たとえば、図4Aに示すように、移動方向の説明の便宜上、移動可能領域の移動開始時の初期位置を表す原点OでX軸とY軸とが交差するデカルト座標系(バーチャル)が作成される。図4Aには、X軸、Y軸に平行する複数の破線がそれぞれ作成され、これら破線は、それぞれ交差して図4Aに示す領域を複数の正方形領域に分割する。これら破線の交差点は、画素点であり、正方形の辺長は、1単位の画素歩幅として定義される。移動可能領域の移動を説明する際には、移動可能領域内の1つのサブ画素を対象として説明するが、その他のサブ画素は同様である。さらに、1つのサブ画素が移動する経路を移動軌跡として定義するが、以下の各実施例も同様である。
【0042】
また、図面には標準マトリックスの画素アレイを例にして説明するが、ほかの画素アレイの形態で配列されてもよく、たとえば三角形の画素アレイ(Δ)である場合、隣接する3つのサブ画素がそれぞれ、たとえば正三角形の3つの頂点に配置されることを当業者に理解すべきである。
【0043】
たとえば、図4A及び図4Bに示すように、図4Bに示す移動可能領域102内の画素点aにあるサブ画素は、X軸の方向に向かって2個の画素歩幅で移動して画素点bに到達する。即ち、X軸の方向は第1方向であり、Mは、M=2であり、移動可能領域102は、図4Bに示す第1位置から図4Cに示す矢印1の方向に沿って図4Cに示す第2位置までに移動する。たとえば、この例では、上記第1位置と第2位置は、隣接する2フレームの表示画像が位置する位置である。なお、上記第1位置は、初期位置であってもよく、ほかの位置であってもよい。もちろん、第1方向は、ほかの方向、たとえば、Y軸の方向などとしてもよい。なお、移動する画素歩幅Mは、ほかの値、たとえば、M=1などであってもよく、本開示の実施例では、それについて限定せず、以下の実施例も同様であるため、重複する説明を省略する。
【0044】
なお、上記移動可能領域は、図4Aに矢印付き破線で示されるab及びabの方向に沿って移動してもよいが、本開示の実施例では、それについて制限しない。
【0045】
たとえば、上記移動可能領域は、初期位置Oから矢印Oaの方向に沿って少なくとも1つの画素歩幅で移動した後、それと交差する矢印ab又は破線矢印ab又はabの方向に沿って少なくとも1つの画素歩幅で移動し、さらに矢印ab又は破線矢印ab又はabと交差し且つ矢印Oaの方向と反対側の方向に沿って少なくとも1つの画素歩幅で移動し、このように続けると、画像を回転させる。
【0046】
ステップS120では、移動可能領域が第1位置にあるときの画像表示領域に表示された表示画像の第1画像特徴値を取得する。
【0047】
たとえば、図5に示す例では、上記画像表示領域は、画像表示領域の全体の一部であってもよく、たとえば、図4B又は図4Cに示す場合、画像表示領域103は移動可能領域102の一部である。図6又は図7に示す例では、上記画像表示領域は、画像表示領域の全体(即ち、表示画面101)であってもよい。
【0048】
たとえば、図5に示す例では、上記第1画像特徴値は、移動可能領域102が第1位置にあるときの画像表示領域103に表示された表示画像の総輝度であり、上記第1位置は、たとえば、画像回転中に移動可能領域102が移動された図4Bに示す位置である。たとえば、図6又は図7に示す例では、上記第1画像特徴値は、移動可能領域102が第1位置にあるときの画像表示領域の全体(即ち、表示画面101)に表示された表示画像の総輝度である。画像表示領域内のサブ画素のそれぞれはその表示グレースケールに対して一つの対応する輝度値があるため、たとえば、対応した画像表示領域内のサブ画素のそれぞれのグレースケールに対応する輝度値の和を計算して第1画像特徴値を取得することができる。なお、第1画像特徴値は、移動可能領域102が第1位置にあるときの画像表示領域に表示された表示画像の総グレースケール値であってもよい。本開示の実施例では、それについて制限せず、同一の方法の各ステップで「画像特徴値」についての定義が同じであればよい。
【0049】
ステップS130では、移動可能領域が第2位置にあるときの画像表示領域に表示された表示画像の第2画像特徴値を取得する。
【0050】
たとえば、図5に示す例では、上記第2画像特徴値は、移動可能領域102が第2位置にあるときの画像表示領域103に表示された表示画像の総輝度であり、上記第2位置は、たとえば、移動可能領域102が画像回転中に移動された図4Cに示す位置である。たとえば、図6又は図7に示す例では、上記第2画像特徴値は、移動可能領域102が第2位置にあるときの画像表示領域の全体に表示された表示画像の総輝度である。同様に、画像表示領域内のサブ画素のそれぞれは表示グレースケールに対して1つの対応する輝度値があるため、たとえば、対応した画像表示領域内のサブ画素のそれぞれのグレースケールに対応する輝度値の和を計算して第2画像特徴値を取得することができる。なお、第2画像特徴値は、移動可能領域102が第2位置にあるときの画像表示領域に表示された表示画像の総グレースケール値であってもよい。本開示の実施例では、それについて制限しない。
【0051】
たとえば、上記第1画像特徴値及び第2画像特徴値は、OLED表示パネルのメモリに記憶されてもよく、必要に応じてOLED表示パネルによって上記メモリから読み取ることができる。メモリは、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含んでもよく、該コンピュータプログラム製品は、さまざまな形態のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。たとえば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリ、たとえば磁気記憶媒体、半導体記憶媒体などであってもよい。上記メモリは単独で提供されてもよいし、たとえばドライバチップに含まれてもよい。
【0052】
ステップS140では、第1画像特徴値と第2画像特徴値とに基づいて、画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断する。
【0053】
たとえば、図5図6及び図7は、それぞれ上記画像表示領域に表示された表示画像が静止画であるか否かを判断するための具体的な方法を示しており、上記判断方法について、以下詳細に説明する。
【0054】
なお、画像回転後において画像表示領域に表示された表示画像が非静止画である場合、残像が生じることがなく、ディスプレイへの損傷をもたらすこともなく、画像回転後において画像表示領域に表示された表示画像が静止画である場合、この画像表示領域の表示輝度を低下させることで残像をなくす又は軽減させて、残像によるディスプレイへの損傷を回避又は軽減させ、ディスプレイの耐用年数を延ばすことができる。以下の実施例では、同様であるため、重複する説明を省略する。
【0055】
なお、本開示の各実施例における各ステップは、中央処理装置(CPU)、又はデータ処理能力及び/又は指令実行能力を有するほかの形態の処理ユニットによって実現されてもよい。たとえば、上記処理ユニットは、汎用プロセッサ又は専用プロセッサであってもいし、X86又はARMアーキテクチャに基づくプロセッサなどであってもよい。以下の実施例では、同様であるため、重複する説明を省略する。
【0056】
図5は、本開示の一実施例の一例による静止画の判断方法のフローチャートである。つまり、図5は、図2に示すステップS140の一例の操作フローチャートである。たとえば、この例では、画像表示領域は、移動可能領域102の、画像回転中に表示画面101から終始はみ出ない部分、即ち、図4B又は図4Cに示す画像表示領域103である。
【0057】
図5に示すように、この静止画の判断方法は、ステップS1411及びステップS1412を含む。
【0058】
ステップS1411では、第1画像特徴値と第2画像特徴値とが等しいか否かを判断する。第1画像特徴値と第2画像特徴値とが等しい場合、ステップS1412を実行する。
【0059】
たとえば、上記第1画像特徴値は、移動可能領域102が第1位置にあるときの画像表示領域103に表示された表示画像の総輝度であり、上記第2画像特徴値は、移動可能領域102が第2位置にあるときの画像表示領域103に表示された表示画像の総輝度である。たとえば、この例では、第1画像特徴値及び第2画像特徴値は、それぞれ隣接する2フレームの表示画像の画像表示領域103での総輝度である。
【0060】
たとえば、第1画像特徴値と第2画像特徴値とが等しいことは、回転後において前後2フレームの表示画像の輝度値が完全に同じであることを意味するため、画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定する。
【0061】
ステップS1412では、画像表示領域に表示された表示画像を静止画であると決定する。
【0062】
たとえば、第1画像特徴値と第2画像特徴値とが等しい場合、画像表示領域103に表示された表示画像が静止画であると決定する。このような場合、上記画像表示領域の表示輝度を低下させることで、残像をなくす又は軽減させることができる。
【0063】
したがって、この例では、静止画を判断するための領域が合理的に選択されること、及び画像の回転状態で存在している静止画が判断されることで、画像の回転状態でディスプレイに現れる残像を回避して、残像によるディスプレイへの損傷を回避し、ディスプレイの耐用年数を延ばすことができる。
【0064】
図6は、本開示の一実施例の別の例による静止画の判断方法のフローチャートである。つまり、図6は、図2に示すステップS140の別の例の操作フローチャートである。たとえば、この例では、第1画像特徴値と第2画像特徴値はそれぞれ隣接する2フレームの表示画像の総輝度であり、即ち、移動可能領域102における第1位置及び第2位置は隣接する位置である。たとえば、この例では、上記画像表示領域は、画像表示領域の全体(即ち、表示画面101)として示される。
【0065】
図6に示すように、この静止画の判断方法は、ステップS1421~ステップS1425を含む。
【0066】
ステップS1421では、しきい値パラメータを設定する。
【0067】
たとえば、移動可能領域102が第1方向に沿って移動する最大歩幅がn(nは0より大きい整数である)行又はn列の画素である場合、しきい値パラメータは、最大歩幅と画像表示領域内の各行又は各列の画素の平均画像特徴値との積である。たとえば、画像表示領域内の表示画像のヒストグラムを統計して画像表示領域の全体内の各行又は各列の画素の平均画像特徴値を取得することができる。たとえば、上記平均画像特徴値は、表示画像の平均輝度値である。たとえば、移動可能領域102は、回転するたびに第1方向に沿って移動する最大歩幅が2行の画素であり、また、上記画像表示領域の全体には、たとえば合計2160行の画素があり、この場合、この2行の画素の平均輝度値をしきい値パラメータとすることができる。たとえば、上記しきい値パラメータAは、以下のように表され得る。
【数1】
Lum1は、移動可能領域102が第1位置にあるときの画像表示領域の全体に表示された表示画像の総輝度であり、即ち、移動可能領域102が第1位置にあるときの画像表示領域の全体に表示された表示画像の第1画像特徴値である。
【0068】
なお、移動可能領域102が第1方向に沿って移動する最大歩幅がn行又はn列の画素である場合、上記移動可能領域102の移動したn行又はn列の画素の輝度値をしきい値パラメータAとしてもよい。たとえば、上記n行又はn列の画素の輝度値は、元の表示画像における上記n行又はn列の画素のグレースケールに対応する輝度値を合計して取得することができる。たとえば、移動可能領域102が回転するたびに第1方向に沿って移動する最大歩幅が2行の画素である場合、元の表示画像におけるこの2行の画素の輝度値をしきい値パラメータAとすることができる。本開示の実施例では、それについて制限しない。
【0069】
なお、フレームによって表示画像の総輝度が異なる場合があるため、しきい値パラメータAを計算するための第1画像特徴値Lum1が小さくなることを回避するために、しきい値パラメータを計算する際には、たとえば、2/2160<1/1024のため、このしきい値パラメータAをA=Lum1(1/1024)としてもよい。それにより、静止画に対する判断の正確性が確保される。なお、移動可能領域102が回転するたびに第1方向に沿って移動する最大歩幅は、状況に応じて決定されるので、本開示の実施例では、それについて制限しない。
【0070】
ステップS1422では、第1画像特徴値と第2画像特徴値との差の絶対値を計算する。
たとえば、第1画像特徴値と第2画像特徴値との差の絶対値は、以下のように表され得る。
【数2】
Lum2は、移動可能領域102が第2位置にあるときの画像表示領域の全体に表示された表示画像の総輝度であり、即ち、移動可能領域102が第2位置にあるときの画像表示領域の全体に表示された表示画像の第2画像特徴値である。
【0071】
たとえば、上記第1画像特徴値と第2画像特徴値との差Bは、移動可能領域102が図4Bに示す第1位置から図4Cに示す第2位置までに回転する場合の画像表示領域の全体における表示画像の輝度の変化である。
【0072】
ステップS1423では、この差の絶対値がしきい値パラメータよりも大きいか否かを判断する。この差の絶対値がしきい値パラメータよりも大きい場合、ステップS1424を実行し、この差の絶対値がしきい値パラメータよりも大きくない場合、ステップS1425を実行する。
【0073】
たとえば、ステップ1422で取得した第1画像特徴値と第2画像特徴値との差の絶対値Bを、ステップS1421で取得したしきい値パラメータAと比較する。
【0074】
たとえば、差の絶対値Bがしきい値パラメータAよりも大きいことは、移動可能領域102が第1位置から第2位置までに回転する場合の表示画像に生じる輝度の変化が、回転前において表示画像内の最大歩幅(たとえば回転移動時の最大歩幅)の画素における輝度値よりも大きいと意味する。すなわち、画像回転後において前後2フレームの表示画像には大きな変化が生じる。そのため、前記画像表示領域103に表示された表示画像が非静止画であると決定する。
【0075】
たとえば、差の絶対値Bがしきい値パラメータA以下であることは、画像表示領域103に表示された表示画像が第1位置から第2位置までに回転する場合の表示画像に生じる輝度の変化が、回転前において表示画像の最大歩幅(たとえば回転移動時の最大歩幅)の画素における輝度値以下であると意味する。すなわち、画像回転後において、前後2フレームの表示画像にはほぼ大きな変化がない。そのため、前記画像表示領域103に表示された表示画像が静止画であると決定され、前記画像表示領域の輝度を低下させることで、画像の回転状態でディスプレイに現れる残像を回避することができる。それにより、残像によるディスプレイへの損傷が回避され、ディスプレイの耐用年数を延ばさせることができる。
【0076】
ステップS1424では、画像表示領域に表示された表示画像が非静止画であると決定する。
【0077】
ステップS1425では、画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定する。
【0078】
たとえば、上記しきい値パラメータA及び差の絶対値Bは、OLED表示パネルのメモリに記憶されてもよいが、必要に応じてOLED表示パネルによって上記メモリから読み取ることができる。メモリは、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含んでもよく、前記コンピュータプログラム製品は、さまざまな形態のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、たとえば揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリ、たとえば磁気記憶媒体、半導体記憶媒体などであってもよい。
【0079】
図7は、本開示の一実施例の別の例による静止画の判断方法のフローチャートである。つまり、図7は、図2に示すステップS140の別の例の操作フローチャートである。たとえば、この例では、少なくとも2つの移動周期を含む。たとえば、上記移動周期は、移動可能領域102が第1位置から移動され再びこの第1位置に戻るのにかかる時間を含む。たとえば、この例では、第N(Nは0より大きい整数である)の移動周期と第N+1の移動周期とを含む。たとえば、各移動周期は、X(Xは0より大きい整数である)フレームの表示画像、即ち、移動可能領域102がそれぞれX個の異なる位置にあるときの画像表示領域に表示された表示画像を含む。たとえば、第N+1の移動周期内の第x(xは0より大きく且つX以下の整数である)フレームの表示画像が位置される移動可能領域の位置と第Nの移動周期内の第xフレームの表示画像が位置される移動可能領域の位置とが同じである。たとえば、この例では、画像表示領域は、画像表示領域の全体(即ち、表示画面101)として示される。
【0080】
この例では、第Nの移動周期内の第xフレームの表示画像が位置される移動可能領域の位置は、移動可能領域が位置する第1位置を示し、第N+1の移動周期内の第xフレームの表示画像が位置される移動可能領域の位置は、移動可能領域が位置する第2位置を示す。また、この例では、第Nの移動周期において移動可能領域102が位置する第1位置と、第N+1の移動周期において移動可能領域102が位置する第2位置とは、同じである。この例では、第1画像特徴値は、第Nの移動周期内の第xフレームの表示画像の輝度値を示し、第2画像特徴値は、第N+1の移動周期内の第xフレームの表示画像の輝度値を示す。
【0081】
なお、各周期内に複数のフレームの表示画像が含まれているため、計算の便宜上、1つの周期内から複数のフレームの表示画像を任意に選択して画像特徴値を計算することができ、たとえばX=4の場合、第Nの移動周期と第N+1の移動周期とからそれぞれ4フレームの表示画像が選択され、たとえば、各周期からそれぞれ図8A図8Dに示す4つの限界位置にある表示画像が選択される。たとえば、図8Aは、移動可能領域102が表示画面の左上隅に移動した模式図であり、図8Bは、移動可能領域102が表示画面の左下隅に移動した模式図であり、図8Cは、移動可能領域102が表示画面の右下隅に移動した模式図であり、図8Dは、移動可能領域102が表示画面の右上隅に移動した模式図である。
【0082】
図7に示すように、この静止画の判断方法は、ステップS1431~ステップS1433を含む。
【0083】
ステップS1431では、第Nの移動周期内の各フレ ームの表示画像の画像特徴値と第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値とが1対1に対応して等しいか否かを判断する。等しい場合、ステップS1432を実行し、等しくない場合、ステップS1433を実行する。
【0084】
たとえば、前記第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値は、フレーム輝度キューに格納され、第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値は、別のフレーム輝度キューに格納される。たとえば、上記同じ仕様である2つのフレーム輝度キューにおける画像特徴値を1つずつ比較することにより、第Nの移動周期と第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値が1対1に対応して等しいか否かを判断する。
【0085】
たとえば、第Nの移動周期の各フレームの表示画像の画像特徴値と第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値が1対1に対応して等しい場合、該表示画像が前後2つの移動周期内において変化しないことを示すので、静止画であると決定する。第Nの移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値と第N+1の移動周期内の各フレームの表示画像の画像特徴値がいずれも1対1に対応して等しいのではない場合、たとえば第N+1の移動周期内の第xフレームの表示画像の画像特徴値と第Nの移動周期内の第xフレームの表示画像の画像特徴値が等しくない場合、該表示画像が前後2つの移動周期内においてに変化したことを示すので、非静止画であると決定する。
【0086】
たとえば、画像表示領域に表示された表示画像が静止画である場合、該画像表示領域の輝度を低下させることで残像をなくす。そして、残像によるディスプレイへの損傷を回避し、ディスプレイの耐用年数を延ばす。
【0087】
ステップS1432では、画像表示領域に表示された表示画像が静止画であると決定する。
【0088】
ステップS1433では、画像表示領域に表示された表示画像が非静止画であると決定する。
【0089】
本開示の一実施例は、本開示の実施例の上記表示画像処理方法を実行するように構成される表示画像処理装置をさらに提供する。たとえば、該表示画像処理装置10は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組み合わせにより実現できる。図9は、本開示の一実施例による表示画像処理装置10の一例の模式的なブロック図である。たとえば、図9に示す表示画像処理装置10は、プロセッサ11、メモリ12及び1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュール121を含み得る。たとえば、プロセッサ11とメモリ12とは、バスシステム13を介して接続される。たとえば、1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュール121は、メモリ12に記憶され得る。たとえば、1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュール121は、上記表示画像処理方法を実現することを実行するための指令を含む。たとえば、1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュール121に含まれる指令は、プロセッサ11により実行され得る。たとえば、バスシステム13は、公知のシリアル通信バスやパラレル通信バスなどであってもよく、本開示の実施例では、それについて制限しない。なお、図9に示す表示画像処理装置10の構成要素及び構造は、例示的なものに過ぎず、限定するものではなく、必要に応じて表示画像処理装置10はほかの構成要素や構造を有してもよい。
【0090】
表示画像処理装置10の技術的効果については、本開示の実施例における表示画像の処理方法の技術的効果を参照すればよく、ここで重複する説明を省略する。
【0091】
本開示の一実施例は、表示装置1をさらに提供する。該表示装置1は、本開示の実施例による表示画像処理装置10のいずれか、たとえば、図9に示す表示画像処理装置10を備える。図10は、本開示の一実施例による表示装置1の模式的なブロック図である。たとえば、表示装置1は、図10に示すように、プロセッサ11、メモリ12及び表示画像処理装置10を備える。
【0092】
たとえば、前記表示画像処理装置10は、画像の回転状態で静止画が存在しているか否かを判断し、表示画面の輝度値を調整することができる。
【0093】
たとえば、前記表示装置1は、OLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、シリコンベース液晶(LCOS)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)、電子ペーパーディスプレイなどであってもよく、本開示の実施例では、それについて制限しない。
【0094】
たとえば、これらの構成要素は、バスシステム13及び/又はほかの形態の結合機構(未図示)を介して相互接続される。たとえば、バスシステム13は、公知のシリアル通信バス、パラレル通信バスなどであってもよく、本開示の実施例では、それについて制限しない。なお、図10に示す表示装置1の構成要素及び構造は、例示的なものに過ぎず、限定するものではなく、必要に応じて表示装置1はほかの構成要素や構造を有してもよい。
【0095】
たとえば、前記プロセッサ11は、中央処理装置(CPU)やデータ処理能力及び/又は指令実行能力を有するほかの形態の処理ユニットであってもよく、汎用プロセッサ又は専用プロセッサであってもよく、所望の機能を実現するように表示装置1のほかの構成要素を制御してもよい。メモリ12は、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含んでもよく、前記コンピュータプログラム製品は、さまざまな形態のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、たとえば揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。前記揮発性メモリは、たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び/又はキャッシュメモリ(cache)などを含んでもよい。前記不揮発性メモリは、たとえば、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含んでもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、1つ又は複数のコンピュータプログラム指令が記憶されており、プロセッサ11は、このプログラム指令を実行することで、本開示の実施例(プロセッサ11により実現される)に要求される機能及び/又はほかの所望の機能、たとえば静止画に対する判断及び表示画像に対する処理などを実現できる。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、各種のアプリケーションプログラムやデータ、たとえばしきい値パラメータ及びアプリケーションプログラムにより使用される及び/又は生成される各種のデータなどが記憶されてもよい。
【0096】
なお、明瞭さの点から、前記表示装置は、その構成要素の全部を示していない。表示装置の必須な機能を実現するために、必要に応じてほかの未図示の構成要素を改良したり設置したりすることができ、本開示では、それについて制限しない。
【0097】
表示装置1の技術的効果については、本開示の実施例による表示画像の処理方法の技術的効果を参照すればよく、ここで重複する説明を省略する。
【0098】
本開示の一実施例は、記憶媒体20をさらに提供する。たとえば、前記記憶媒体20は、図11に示すように、コンピュータ読み取り可能な指令を非一時的に記憶する。非一時的なコンピュータ読み取り可能な指令がコンピュータ(プロセッサを含む)により実行されると、本開示のいずれかの実施例による表示画像の処理方法が実行される。
【0099】
たとえば、前記記憶媒体は、1つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が任意に組み合わせられてもよい。たとえば、そのうち1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、輝度を調整するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含むが、別のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、静止画が存在しているか否かを判断するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む。たとえば、上記プログラムコードがコンピュータにより読み取られると、上記コンピュータ記憶媒体に記憶されたプログラムコードがコンピュータにより実行されることで、たとえば本開示のいずれかの実施例による表示画像の処理方法、たとえば静止画の判断及び輝度値の調整などの操作方法が実現される。
【0100】
たとえば、記憶媒体は、スマートフォンのメモリカード、タブレットパソコンの記憶部材、パソコンのハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、フラッシュメモリ、やこれらの任意の組み合わせを含むが、ほかの適用できる記憶媒体も含んでもよい。
【0101】
以下、注意すべき点がある。
(1)本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に関する構造のみを示しており、ほかの構造は通常の設計を参照すればよい。
(2)矛盾しない限り、本開示の実施例及び実施例の構成要素を互いに組み合わせて新たな実施例を得ることができる。
【0102】
以上、本願の例示的な実施形態を説明したが、本願の特許範囲を限定するものではなく、本願の特許範囲は、添付の特許請求の範囲を準じて決められる。
【符号の説明】
【0103】
1 表示装置
10 表示画像処理装置
11 プロセッサ
12 メモリ
13 バスシステム
20 記憶媒体
101 表示画面
102 移動可能領域
103 画像表示領域
121 コンピュータプログラムモジュール
200 画像表示領域
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11