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特許7328249開放パネルを開けるための装置およびこのような装置を備える車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】開放パネルを開けるための装置およびこのような装置を備える車両
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20230808BHJP
   E05B 85/12 20140101ALI20230808BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20230808BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
E05B81/90
E05B85/12 Z
E05B81/76
B60J5/00 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020555406
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019058983
(87)【国際公開番号】W WO2019197416
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】1853102
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャプロン, ティボー
(72)【発明者】
【氏名】ピント, セルジョ
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227760(JP,A)
【文献】特開平09-144407(JP,A)
【文献】特開2001-311337(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006027473(DE,A1)
【文献】特開2003-221960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両の開放パネル(2)を開けるための装置(1)であって、前記開放パネルと前記車両の車体との間の接続を機械的に解除するように構成された解錠手段(3)と、前記開放パネルの開放および/または閉鎖操作用の把持手段(4)と、前記開放パネルと前記車両の前記車体との間の接続の状態の変更を制御するために前記解錠手段(3)に接続された主制御手段(5)とを備え、前記装置(1)が、前記主制御手段(5)が故障のときに、前記主制御手段(5)に取って代わって前記解錠手段(3)を制御することができるように構成された緊急制御手段(6)を備え、前記緊急制御手段(6)が、前記開放パネル(2)のドアパネル(21)上で初期休止位置と最終作動位置との間で可動な可動要素を備え、前記可動要素が、閉じた前記開放パネル(2)が前記車両の前記車体の定位置に固定された施錠位置から、前記開放パネル(2)を前記車体に対して動かすことができる解錠位置へ、前記解錠手段(3)の状態を機械的に制御することによって変更を実行する、装置(1)において、前記緊急制御手段(6)が、手動で作動させることができる回転する傾動パレット(620)を有するタイプの可動要素を備え、前記傾動パレットは、前記傾動パレットを非作動位置に固定する保持/解除手段(7)に接続され、前記傾動パレットは、前記保持/解除手段を作動位置に傾けたとき、前記ドアパネルの内装トリム(22)から完全にまたは部分的に突出するように配置され、これによって掴みやすくする傾向になり、前記保持/解除手段は、前記傾動パレットを押すための押しボタンを備えることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記解錠手段(3)が、電気アクチュエータ(32)に接続された錠(31)を備え、前記電気アクチュエータ(32)の制御が、閉じた前記開放パネル(2)が前記車両の前記車体の定位置に固定された施錠位置と、前記開放パネルを前記車体に対して動かすことができる解錠位置との間で、前記錠の状態の変更をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記把持手段(4)が、前記ドアパネル(21)および/または前記ドアパネル前記内装トリム(22)によって生成されたフラッシュハンドル(41、42)タイプであることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記フラッシュハンドルが、前記ドアパネル(21)の壁によって形成されたフラッシュハンドルタイプであり、前記ドアパネルが開口(23)を備え、前記開口(23)の周囲の縁のうちの少なくとも1つが、前記ドアパネルの内部空間(210)からアクセス可能な前記フラッシュハンドルを画定することを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記把持手段(4)が、前記内部空間(210)へのアクセスフラップ(43、44)を備え、前記アクセスフラップ(43、44)を前記開口(23)の閉位置から開位置に動かすことによって、前記フラッシュハンドル(41、42)を掴むことを可能にすることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記主制御手段(5)が、前記把持手段(4)の少なくとも近くに位置する手および/または指の存在を検出することができるセンサを備え、前記センサが、前記解錠手段(3)の前記電気アクチュエータ(32)に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記緊急制御手段(6)が備える別の可動要素が、少なくとも1つのケーブルまたはリンク機構によって前記錠(31)に機械的に接続され、前記別の可動要素が、
前記錠(31)の解錠に機械的に作用させるために、非作動状態と作動状態との間で、傾けることによって、手動で作動させることができるバレル(61)、また
回転ボタン(63)であって、前記回転ボタンへの作用が前記錠(31)の解錠をもたらすように手動で作動させることができる回転ボタン(63)
を含むタイプであることを特徴とする、請求項2または6に記載の装置(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)を備える開放パネル(2)であって、前記開放パネル(2)が、前記ドアパネル(21)および/または前記ドアパネルの前記内装トリム(22)に配置された把持手段(4)を備え、前記把持手段(4)が、前記主制御手段(5)を介して前記錠手段(3)に電気的に接続され、前記緊急制御手段(6)を介して前記錠手段(3)に機械的に接続されていることを特徴とする、開放パネル(2)。
【請求項9】
前記ドアパネル(21)、または前記ドアパネルの前記内装トリム(22)が、前記主制御手段(5)と前記緊急制御手段(6)とを隣接して受け入れるように、前記主制御手段(5)および前記緊急制御手段(6)が、前記開放パネル(2)の前記ドアパネル(21)または前記開放パネル(2)の前記内装トリム(22)とそれぞれ面一で配置されるように構成された、単一のハウジングを備えることを特徴とする、請求項8に記載の開放パネル(2)。
【請求項10】
請求項8または9に記載の開放パネル(2)を少なくとも1つ備えることを特徴とする自動車タイプの車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、より詳細には自動車に関する。本発明は、非常に詳細には、車両の設計、特に開放パネルの設計に使用される。
【0002】
本発明は、車体への固定のためのシステム、貨物空間を乗員空間から分離するための装置を備える車両の車室の構成に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術
新しいタイプの開扉装置が知られており、これは、洗練されたドアのスタイルと実用的な開扉とを同時に組み合わすことを可能にしている。今日の車両のなかには、ハンドルが非作動の状態では、ハンドルの領域にいかなる窪みも見ることができない外側ドアハンドルを有するものがある。このような設計によって、外側ドアハンドルの領域に滑らかなドア表面の外観を提供することができ、これは、使用者による評価が比較的良くて成功を確実にする新しい定義を車両のスタイルに与える。ハンドルは、作動状態では、解錠してドアを動かすために掴むことができるように、ドアの外側パネルの外側に突出する位置に動かされる。
【0004】
このようなハンドルは、斬新ではあるが、実装するには複雑で高価な機械装置が必要であり、その結果、高級車の範囲の車両用に留まっている。さらに、車両の電気的な故障の際には、ハンドルを外側に引き出すために使用される手段は作動しなくなり、その結果、これもまた高級車の範囲の車両用で、特にコストにつながる比較的複雑で高価なデータ処理および通信手段を使用しなければ車両の内部にアクセスすることが不可能になることが見出された。知られているシステムの不利な点は、これらを世界的な大量販売の自動車の設計にあまねく使用することができるようにするには困難が伴うことである。
【0005】
このような外側ハンドルには、特に内部機構の深さに関して広い空間が必要であり、その結果、一体化することは、ハンドルの領域のドアのスタイルに影響を及ぼすという制限をもたらすことがあり、ドアボックスの製造コストを上昇させる可能性があり、スタンピングされる構成部品の深さがより深くなる結果、スタンピング加工はより複雑になることが見出された。さらに、空間的な要件のため、内側からの開扉を制御するためのハンドルの機械装置を車両内に一体化することは、特別な開発が必要となり、したがって、このような開発はより下の領域の車両用に行うことができないほど高価であり、一様に行うことは不可能であることが見出された。
【0006】
特にドアに関する車両の室内設計は、ドアの制御手段を開いて引っ張ることに大きく依存し、その結果、異なる車両の領域に対して共通の構成部品を使用することは常に困難であることもまた見出された。ドアの内装に対しても、特に、ドアを閉じるためにドアを引っ張る手段だけでなく開扉制御手段も含めて、ドアの開閉手段を標準化することもまた非常に有利である。車両の内装に影響を与えないために、これらの手段をドアの内側に隠す必要性が生じた。
【0007】
本書で述べる発明は、内側および外側両方のスタイルに関して特に有利であるが、簡単で安全を考慮した設計を提供する、車両の開放パネルを開くための装置を提供することによって、従来技術の解決策の不利な点を克服する。
【発明の概要】
【0008】
発明の目的
このために、本発明は、車両、特に自動車の開放パネルを開けるための装置に関する。本装置は、開放パネルと車両の車体との間の接続を機械的に解除するように構成された解錠手段と、開放パネルの開放および/または閉鎖操作用の把持手段と、開放パネルと車両の車体との間の接続の状態の変更を制御するために解錠手段に接続された主制御手段とを備える。本装置は、主制御手段が故障のときに、主制御手段に取って代わって解錠手段を制御することができるように構成された緊急制御手段を備え、緊急制御手段は、ドアパネル上で初期休止位置と最終作動位置との間を動くことができる要素を備え、可動要素は、閉じた開放パネルが車両の車体の定位置に固定された施錠位置から、開放パネルを車体に対して動かすことができる解錠位置へ、解錠手段の状態を機械的に制御することによって変更を実行する。本装置は、緊急制御手段が、バレルを有するタイプ、回転ボタンを有するタイプ、または回転する傾動パレットを有するタイプの可動要素を備えることを特徴とする。
【0009】
他の特徴によれば、本発明が関係する装置は、以下の特徴を別々に、または互いに組み合わせて備えることができる。
解錠手段が、電気アクチュエータに接続された錠を備え、電気アクチュエータの制御が、閉じた開放パネルが車両の車体の定位置に固定された施錠位置と、開放パネルを車体に対して動かすことができる解錠位置との間で、錠の状態の変更をもたらす。
把持手段が、ドアパネルおよび/またはドアの内装トリムによって生成されたフラッシュハンドルタイプである。
ハンドルが、ドアパネルの壁によって形成されたフラッシュハンドルタイプであり、ドアパネルが開口を備え、開口の周囲の縁のうちの少なくとも1つが、パネルの内部空間からアクセス可能なハンドルを画定する。
把持手段が、内部空間へのアクセスフラップを備え、アクセスフラップを開口の閉位置から開位置に動かすことによって、ハンドルを掴むことを可能にする。
ドアパネルおよび/またはドアの内装トリムが凹所を備え、凹所へのアクセスが開口によって可能になる。
主制御手段が、把持手段の少なくとも近くに位置する手および/または指の存在を検出することができるセンサを備え、センサが、解錠手段の電気アクチュエータに電気的に接続され、可動要素が、並進運動、または特に、開放パネルに対して横方向の軸線を有する回転運動が可能である。
可動要素が、少なくとも1つのケーブルまたはリンク機構によって錠に機械的に接続され、可動要素が、
錠の解錠に機械的に作用させるために、非作動状態と作動状態との間で、特に傾けることによって、手動で作動させることができるドアバレル、または
手動で作動させることができるパレットであって、パレットを非作動位置に固定する保持/解除手段に接続され、保持/解除手段を作動位置に傾けたとき、ドアの内装トリムから完全にまたは部分的に突出するように配置され、これによって掴みやすくする傾向になる、パレット、または
回転ボタンであって、ボタンへの作用が錠の解錠をもたらすように手動で作動させることができる回転ボタン
を含むタイプである。
パレットが、特に、中空の平行6面体の枠と、関節接続されたフラップと、枠に対してフラップを回転させるための手段とを備える。
フラップが、休止状態では、パレットによって境界が定められた枠内に、実質的に面一の状態で配置される。
初期位置では、パレットとフラップがそれぞれドアの内装トリムと面一に延在するように、ドアの内装トリムに設けられた開口の周縁に沿って枠が延在するようにパレットがドアトリムの開口に設けられる。
フラップの回転軸線が、特に、ドアの内装トリムのパレットの回転軸線に垂直であるように、関節接続のフラップが、パレットに回転可能に取り付けられる。
保持/解除手段が、押しボタンの止め部と、押力を発生する、特に弾力式の飛出し手段とを備える。
【0010】
本発明はまた、上記の特徴を有する装置を備える開放パネルに関し、開放パネルは、外側車体パネルおよび/またはドアの内装トリムに配置された把持手段を備え、把持手段が、主制御手段を介して施錠手段に電気的に接続され、緊急制御手段を介して施錠手段に機械的に接続されていることを特徴とする。
【0011】
詳細には、開放パネルは、パネル、またはドアの内装トリムが、主制御手段と緊急制御手段とを隣接して受け入れるように、特に、主制御手段および緊急制御手段が、ドアのパネルまたはドアの内装トリムとそれぞれ面一で配置されるように構成された単一のハウジングを備える特徴を備えてもよい。
【0012】
本発明はまた、上記の特徴を有する開放パネルを少なくとも1つ備える車両、特に自動車タイプの車両に関する。
【0013】
本発明のいくつかの目的、特徴、および利点は、単なる非限定的な例として与えられ、また、添付の図を参照して与えられた以下の説明を読めば理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による、ドアの外側からアクセス可能な、開放パネルを開けるための装置の概略部分図である。
図2】本発明による、車両の外側からドアを開けることを可能にする把持手段および主制御手段を示す、図1のA-A断面の図である。
図3】本発明による、使用者の手が外側開扉装置と係合して動いている、開扉操作状態の、図1のドアの概略部分斜視図である。
図4】本発明による、車両の使用者によって開扉操作を含む状態の、車室からアクセス可能な、開放パネルを開けるための装置の第1の実施形態を備えるドア1の概略部分斜視図である。
図5】本発明による、図4のドアの内側からアクセス可能な開扉装置の変形の概略部分斜視図である。
図6】本発明による、内側開扉装置と外側開扉装置の両方を備えるドアの概略図である。
図7】本発明による、内側開扉装置の緊急制御手段の概略正面図である。
図8】本発明による、内側開扉装置の緊急制御手段の概略断面図である。
図9】本発明による、緊急制御手段を解除するステップによる緊急開扉操作状態の図4のドアの概略部分斜視図である。
図10】本発明による、図9のステップに続いて緊急制御手段を把持するステップによる緊急開扉操作状態の図4のドアの概略部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の好ましい実施形態の説明
本記述の全てにおいて、前方および後方は、自動車の移動方向で規定される。直線で前方に移動するとき、車両はX軸に沿って後方から前方へ進む。一方、車両は、X軸およびY軸を有する水平基面に載っていると考えられる。用語「下方」および「上方」は鉛直軸線Zについて言っている。
【0016】
図1は、開放パネル2、より詳細には、前部左側ドアを概略的に示すが、外側車体パネル21を備える後部左側ドア、または前部もしくは後部右側ドア、またはテールゲートであってもよいことは理解されよう。ドアの後縁は解錠手段3を備え、反対側の縁は、実質的に軸線Zを有する鉛直軸の周りをドアが回転することを可能にする関節接続ヒンジ(図示せず)を備える。
【0017】
他の構造変形例によれば、開放パネルはまた、横方向にスライドするドア、トランクドア、バタフライ形式の開放動作を有し、X軸の周りを回転可能に取り付けられた側方ドア、または反対向きの開放動作を有する側方ドアであってもよい。
【0018】
非作動状態の解錠手段3は、車両の車体に閉じた状態にドアを保持する。解錠手段の作動状態では、解錠手段を構成する可動要素が動かされ、それは、開放パネルと車両の車体との間の接続の状態の変化として表れ、開放パネルが開く動きを可能にする。
【0019】
図1のドアは、開放パネルの開放および/または閉鎖操作用の把持手段4を備える開扉装置1を備える。これは、外側ドア制御装置である。把持手段4は、ドアパネル21によって直に生成され、破線として示され、実質的に矩形で、パネル21に形成された開口23の下を延在する領域にわたって延在する。この領域は外側ドアハンドル41である。主制御手段5は、この領域で、パネル21の内面に配置される。これは、解錠手段3の可動要素、すなわち錠31に接続された電気アクチュエータ32を備えた解錠手段3を電気的に作動させることができる静電容量センサまたは押しボタンであってもよい。主制御手段5は、電線51によって電気アクチュエータ32に接続されて、センサに圧力がかけられると、錠31の状態を変化させるように電気的に制御する。
【0020】
開口23は、主制御手段5だけでなく、把持手段4を形成するパネル21の内側領域にも届くように、手が通ることができるような大きさである。主制御手段5のセンサが、このように把持手段4を形成するパネル21の内側領域の部分に配置されているという事実によって、解錠に次いで、ドアを開ける方向に傾けることを事実上同時に実行することができる。
【0021】
開口23は、実質的に鉛直方向の閉位置と、図2に破線で示された傾いた開位置との間を回転可能にパネル21に取り付けられたフラップ43によって閉じることができる。
【0022】
フラップ43は、図1および図2の破線で示された回転軸431の周りを回転させることで動かされる。
【0023】
支持部430は、開口23の範囲に延在する。支持部430は、フラップ43の関節接続手段だけでなく、例えば、戻しばねと、支持部430によって直に生成された止め部とによって構成することができる実質的に鉛直方向の閉位置(図示せず)に固定するための手段も備える。支持部430は、フラップ43の輪郭と開口23の輪郭との間の接続部を生成するように、フラップ43のための枠を形成することができる。取り囲んでいるこのような支持部430はプラスチック材料から生成されてもよい。支持部430は、開口23の縁に手が触れることから生じることがある怪我をしないように使用者を保護することができる。開口23は、鋼から生成することができるドアパネル21を打抜きによって切り抜くことによって生成することができる。
【0024】
制御手段5のセンサは、パネル21の内面に配置される。
【0025】
開放パネル2は、開口23を通ってアクセスすることができるハウジングを備え、このようなハウジングは、開放パネルの内部空間210の境界を定める。
【0026】
このハウジングは、横方向を内側基壁部211によって、およびフラッシュハンドル41を形成する把持領域によって境界が定められる。
【0027】
内部空間210は、2つの領域に分割され、上部領域では、フラップ43が回転して動くことができ、他方の下部領域では、制御手段5のセンサが配置される。
【0028】
下部領域は、基部が内壁211に接続された横断壁によって生成された凹所410を画定する。
【0029】
支持部430と内壁とが互いに重なるように、支持部430は、内壁211の上部の形状に従った形状であり、この例では、実質的に湾曲している。これは、組立に役立つことがある。
【0030】
図1の開放パネル2は、リンク機構またはケーブル62によって機械的に錠31に接続された緊急制御手段6を備える。この緊急制御手段6は、可動要素、例えば、ドアバレル61を有するタイプの制御手段を備え、これは、機械的に解錠する指令を錠31に伝達するために鍵によって操作されるように構成されたものである。
【0031】
バレル61は、外側から見た際に洗練された連続したスタイルのドアを保つために、バレルカバーで覆われてもよい。
【0032】
バレル61は、初期休止位置または最終作動位置のどちらかにあり、可動要素は、解錠手段3の状態を機械的な制御によって、閉じた開放パネル2が車両の車体の定位置に固定された施錠位置から、開放パネル2を車体に対して動かすことができる解錠位置への変更を実行する。
【0033】
図3は、開扉操作中の状態の開扉装置1を示す。使用者の手がフラップ43を傾けており、これは、図2で破線として示した位置をほぼ想定している。手の指が、内部空間210内の先端部によって、主制御手段5のセンサ、およびパネル21によって生成されたハンドル41に達するように位置している。
【0034】
図4図10は、車両の車室からアクセス可能な開放パネルを開けるための装置1を説明している。これは、ドアの内装トリム22の範囲に配置されていることを除けば、上記の装置と実質的に同じ特徴を有する内側ドア制御装置である。
【0035】
内装トリム22は、実質的に水平面を有する肘掛24を備えてもよい。内装トリム22はまた、図4から判るようにラウドスピーカー25を備えてもよい。
【0036】
図4の開放パネル2は前部左側ドアであるが、内装トリム22を備える後部左側ドア、または後部もしくは前部右側ドア、またはテールゲートであってもよいことは理解されよう。ドアの後縁は、図5で見ることができる解錠手段3を備え、反対側の縁は、実質的に鉛直方向のZ軸線の周りをドアが回転することを可能にする関節接続ヒンジ(図示せず)を備える。
【0037】
非作動状態の解錠手段3は、車両の車体に閉じた状態にドアを保持する。解錠手段の作動状態では、解錠手段を構成する可動要素が動かされ、それは、開放パネルと車両の車体との間の接続の状態の変化として表れ、開放パネルが開く動きを可能にする。
【0038】
図4および図6図10は、開扉装置の実施形態を示す。図5は、下記のように緊急制御手段6が設計に関して異なる、開扉装置の構造変形例を示す。
【0039】
開扉装置1は、開放パネルの開放および/または閉鎖操作用の把持手段4を備える。把持手段4は、ドアトリム22によって直に生成され、破線で示され、実質的に矩形で、トリムに形成された開口23の下を延在する領域にわたって延在する。この領域は内側ドアハンドル42である。主制御手段5は、この領域で、内装トリム22の外面に配置される。これは、解錠手段3の可動要素、すなわち錠31に接続され、主制御手段5に圧力がかけられると、電気アクチュエータ32を備えた解錠手段3を電気的に作動させることができる静電容量センサまたは押しボタンであってもよい。
【0040】
開口23は、主制御手段5に届くだけでなく、確実にハンドル42を掴むことができるように、手が通ることができるような大きさである。
【0041】
開口23は、この例では、実質的に鉛直方向の閉位置と、図4に示された傾いた開位置との間を回転可能に内装トリム22に取り付けられたフラップ44によって閉じることができる。フラップ44は、図5図6、および図7の破線で示され、実質的に水平方向に延在する回転軸441の周りを回転させることで動かされる。
【0042】
内装トリムは、フラップ44の関節接続用の手段だけでなく、例えば、戻しばねと止め部とによって構成することができる実質的に鉛直方向の閉位置(図示せず)に固定するための手段も備えることができる。
【0043】
制御手段5のセンサは、開口23を通ってアクセスすることができるハウジングの境界も定める内装トリム22の外面に配置され、このようなハウジングは内部空間210の境界を定める。このハウジングは、横方向を内側基壁部221によって、およびフラッシュハンドル42を形成する把持領域によって境界が定められる。
【0044】
内部空間210は、2つの領域に分割され、上部領域では、フラップ44が回転して動くことができ、別の下部領域では、制御手段5のセンサが配置される。下部領域は、基部が内壁221に接続された横断壁によって生成された凹所420を画定する。
【0045】
図5では、開放パネル2は、リンク機構またはケーブル64によって機械的に錠31に接続された緊急制御手段6を備える。この緊急制御手段6は、可動要素、例えば、押すまたは回すようにするボタン63を備え、これは、機械的に解錠する指令を錠31に伝達するために操作されるように構成されたものである。
【0046】
押される、または回されるボタン63は、初期休止位置または最終作動位置のどちらかにあり、可動要素は、解錠手段3の状態を機械的な制御によって、閉じた開放パネル2が車両の車体の定位置に固定された施錠位置から、開放パネル2を車体に対して動かすことができる解錠位置への変更を実行する。
【0047】
図4および図6図10では、緊急制御手段6はパレット620を備え、その横方向の縁の一方は、実質的に鉛直方向の軸621の周りを回転可能に取り付けられている。この軸線の周りにパレットを傾けるとドアが解錠されるように、このパレット620は、リンク機構またはケーブル64によって機械的に錠31に接続される。
【0048】
パレット620は、開放パネル2の解錠を実行し、次いで、開放パネル2を車体に対して動かすことができる最終作動位置に、初期休止位置から手動で作動させることができる。
【0049】
この片620は、既定では、非作動位置に配置され、この位置では、内装トリムと連続し、トリムの内面と面一の状態で延在するように内装トリム22に沿っている。パレット620は、掴むことができるように、ドアの内装トリム22から完全にまたは部分的に突出するように配置される。このために、内装トリム22は、パレットを非作動位置に保持することができる、またはパレット620を作動位置に傾けて、作動位置にすることができる保持/解除手段7を備え、これによって、主制御手段5を使っての緊急事態において、パレットを掴みやすくする傾向になる。
【0050】
パレットの保持/解除手段7は、押しボタン71の形態の取外し可能な止め部71を備える。パレットの保持/解除手段7は、押力を発生する飛出し手段72、特に弾力式の飛出し手段72を備えてもよい。保持/解除手段7は、非作動位置のパレット62に対して同じ平面で隣接して配置される。保持/解除手段7は、パレットがドアの内装トリム22に対して回転可能に取り付けられた縁とは反対側の縁によって、パレット620を横方向に延長する。図9に示すように、押しボタン71を押すと、パレット620が押されることが有利である。使用者は、パレット620を掴んで、パレット620を使用者の方へ引っ張ることによって回転させ、Z軸線の周りに枢動するだけでよい。このようにパレット620を傾けることによって、錠31との機械的な接続が解錠作用を制御して、ドアを解錠して開けることができる。
【0051】
図4および図6図10の実施形態では、フラップ44は、フラップ44を取り囲むような形状のパレット620に回転可能に取り付けられる。したがって、フラップ44は、パレット620によって支持された軸441の周りを回転可能に取り付けられる。内装トリム22は、ハウジングを形成する内部空間210を備えるように構成され、フラップ44を支持するパレット620はハウジング内を動くことができる。フラップ44およびパレット62をそれぞれ動かすように構成された軸441および軸621は、互いに対して垂直である。パレット620は、特に、中空の平行6面体の枠を備え、フラップは、組立のための遊びを除いて実質的に相補的な形態のものである。
【0052】
図6では、開放パネルは、上記のような開扉装置1を同時に複数備えるドアであり、その一方は、外側の開指令を実行することができ、他方は内側の開指令を実行することができ、これらの指令のそれぞれは、センサによって電気的に実行される。
【0053】
電気的な接続部51は、共通のプロセッサに接続されてもよい。
【0054】
機械的な接続部62、64は、使用される構成部品の数を最適にするために互いに接続されてもよい。
【0055】
センサは、パネル21の裏側、または内装トリム22の裏側に配置されたハウジングを形成する内部空間210に配置されることが好ましい。
【0056】
パネル21または内装トリム22に直に形成された開口23によって、電気的な解錠制御センサにアクセスするために、手がパネル21または内装トリム22を通り抜けることができる。
【0057】
主制御手段5は、錠または車載コンピュータに一体化されたプロセッサを介して直接的または間接的に錠31のアクチュエータ32に電気的に接続される。
【0058】
フラップ44は、パレット620によって形成されたより大きな構造体に取り付けられる。これは、「緊急ハンドル」とも呼ばれる。
【0059】
保持/解除手段7は、緊急パレット620の使用後に再度、操作可能であることが有利である。
【0060】
内側の指令および外側の指令に対して装置1を使用することによって、スタイルの一貫性を比較的引き立たせることができる。さらに、共通の構成部品の使用は、このような開扉装置1を備える開放パネルの製造コストを同じ量だけ削減する。
【0061】
ハンドル41、42は、フラッシュハンドルタイプであり、開口23が生成されたドアパネル21またはドアトリムの壁によって形成され、開口23の周囲の縁のうちの少なくとも1つ、好ましくは、下縁が、パネルまたは内装トリムの内部空間210からアクセス可能なハンドルを画定する。この縁は、ハンドル41、42を形成するパネル21または内装トリム22のいかなる局所的な変形も防ぐために強化されてもよい。
【0062】
上記の開扉装置を有するパネル21または内装トリム22を備える開放パネル2は、主制御手段5および緊急制御手段6を隣接して受け入れるように構成された単一のハウジングを備え、特に、主制御手段5および緊急制御手段6は、確実に目立たないように一体化されて、ドア2のパネル21または内装22に沿って配置される。
【0063】
図2および図8から判るように、開扉装置1の空間的な要件は限定されており、これは、異なる範囲の車両への容易な組込みを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10