(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】薄膜キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20230808BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 547
H01G4/30 541
(21)【出願番号】P 2021101327
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2023-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中家 勇人
(72)【発明者】
【氏名】仁井 善浩
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲平
(72)【発明者】
【氏名】山本 龍治
(72)【発明者】
【氏名】松山 洋平
(72)【発明者】
【氏名】坂根 正恭
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508672(JP,A)
【文献】特表2020-501337(JP,A)
【文献】特開2002-243689(JP,A)
【文献】特開2002-083892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材と、
前記フィルム基材の一方の面に、溝または貫通するスリットによって隔てられた一対の櫛歯パターンを有するように形成された、フォトレジスト材料からなる絶縁パターン層と、
前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットが有する対向した内壁のうち、一方の内壁にのみ全面的に形成された第一電極と、
前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットが有する対向した内壁のうち、他方の内壁にのみ全面的に形成され、前記第一電極と対向する第二電極と、
前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットに充填され、前記第一電極と前記第二電極との間に介在する誘電体とを備える薄膜キャパシタ。
【請求項2】
前記第一電極および前記第二電極が無電解メッキ層であり、
前記第一電極および前記第二電極が、前記絶縁パターン層の前記フィルム基材側とは反対側の面にも連続して形成されている、請求項1記載の薄膜キャパシタ。
【請求項3】
前記フィルム基材の前記絶縁パターン層側の面または反対側の面に、遮光パターン層をさらに備え、
前記遮光パターン層の設けられていない透光領域が、前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットに対応し且つ前記溝または前記スリットよりも細幅である、請求項2記載の薄膜キャパシタ。
【請求項4】
前記遮光パターン層が銅からなり、前記フィルム基材と前記スリットを有する前記絶縁パターン層との間に存在し、
当該銅からなる前記遮光パターン層と前記絶縁パターン層との間に層間絶縁膜を更に備える、請求項3記載の薄膜キャパシタ。
【請求項5】
前記遮光パターン層が銅からなり、前記フィルム基材と前記溝を有する前記絶縁パターン層との間に存在する、請求項3記載の薄膜キャパシタ。
【請求項6】
前記遮光パターン層が銅からなり、前記フィルム基材の前記絶縁パターン層側とは反対側の面に形成された、請求項3記載の薄膜キャパシタ。
【請求項7】
前記第一電極および前記第二電極が電気メッキパターン層であり、
前記フィルム基材の前記スリットを有する前記絶縁パターン層側の面に、前記第一電極および前記第二電極と各々導通している導電パターン層をさらに備える、請求項1記載の薄膜キャパシタ。
【請求項8】
前記フィルム基材の他方の面にも、前記絶縁パターン層、前記第一電極、前記第二電極および前記誘電体が各々設けられた、請求項1記載の薄膜キャパシタ。
【請求項9】
フィルム基材の一方の面にフォトレジスト材料からなる絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜をフォトリソ法にてパターニングし、溝または貫通するスリットによって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層を形成する工程と、
前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットが有する対向した内壁のうち、一方の内壁にのみ第一電極を全面的に形成するとともに、他方の内壁にのみ前記第一電極と対向する第二電極を全面的に形成する工程と、
前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットに誘電体を充填し、当該誘電体を前記第一電極と前記第二電極との間に介在させる工程とを備える薄膜キャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記第一電極および前記第二電極を形成する工程が、
前記フィルム基材および前記櫛歯パターンを有する前記絶縁パターン層を備えた積層体について、前記絶縁パターン層側の全面に感光性プライマー膜を形成する工程と、
前記感光性プライマー膜の露光および現像により、前記溝の底面に存在するまたは前記スリットより露出する前記感光性プライマー膜を除去してプライマーパターン層とする工程と、
無電解メッキにより、現像後の前記プライマーパターン層の表面に金属を析出させて前記第一電極および前記第二電極とする工程とを備える、請求項9の薄膜キャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記絶縁膜を形成する工程の前に、
前記フィルム基材の前記絶縁パターン層を形成する側の面または反対側の面に、前記絶縁パターン層の前記溝または前記スリットに対応し且つ前記溝または前記スリットよりも細幅の透光領域を有するようなパターンで遮光パターン層を形成する工程をさらに備え、
前記感光性プライマー膜の露光を、前記フィルム基材の前記絶縁パターン層側とは反対側の面から行う、請求項10の薄膜キャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記遮光パターン層が銅からなり、前記フィルム基材と前記スリットを有する前記絶縁パターン層との間に存在し、
当該銅からなる前記遮光パターン層と前記絶縁パターン層との間に層間絶縁膜を更に形成する、請求項11記載の薄膜キャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記遮光パターン層が銅からなり、前記フィルム基材と前記溝を有する前記絶縁パターン層との間に存在する、請求項11記載の薄膜キャパシタ。
【請求項14】
前記遮光パターン層が銅からなり、前記フィルム基材の前記絶縁パターン層側とは反対側の面に存在する、請求項11記載の薄膜キャパシタ。
【請求項15】
前記絶縁膜を形成する工程の前に、
前記フィルム基材の前記スリットを有する前記絶縁パターン層を形成する側の面に、前記第一電極および前記第二電極と各々導通可能なパターンで、導電パターン層を形成する工程をさらに備え、
前記第一電極および前記第二電極を形成する工程が、
前記フィルム基材および前記櫛歯パターンを有する前記絶縁パターン層を備えた積層体について、メッキ槽に漬けて前記導電パターン層に電流を流す電気メッキにより、前記絶縁パターン層のスリット内に金属を析出させて電気メッキ膜を形成する工程と、
レーザーにより不要な電気メッキ膜を除去して前記第一電極および前記第二電極を形成する工程とを備える、請求項9の薄膜キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い電極面積を容易に取ることができ、製品間で電極面積にムラがでない薄膜キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化・薄型化に伴い、キャパシタも小型化・薄型化が進んでいる。
一般的な薄膜キャパシタは、誘電率の高い可撓性フィルムの両面に、印刷やエッチングにより、一対の電極を形成した、単純な積層構造である。薄膜キャパシタの容量は、可撓性フィルムの誘電率と、厚み(電極間距離)と面積によって決まる。そのため、配置されるスペースが限られる薄膜キャパシタにおいては、最大容量を向上させるにも限界がある。
【0003】
そこで、最近では、一般的な薄膜キャパシタよりも高容量を得られる薄膜キャパシタ101が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、
図38に示すように、フィルム基材102と、フィルム基材102の一方の面に、通常はU字形、V字形または半球形のエンボス溝131を有するようにエンボス加工された絶縁膜130と、絶縁膜130の上面およびエンボス溝131の内壁に蒸着法にて形成された電極104,105と、内壁に電極104,105を有するエンボス溝131に充填された誘電体106とを備える薄膜キャパシタ101である。
電極をエンボス溝131内に形成することによって、電極面積を広くできるので、薄膜キャパシタの容量を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された薄膜キャパシタ101は、エンボス溝131を有する絶縁膜130の上面およびエンボス溝131の内壁の電極104,105を蒸着法にて作製するため、気化された蒸着材料がエンボス溝131の深部まで届かず、電極面積を十分に広くは形成できない。しかも、エンボス加工で形成されるエンボス溝131の精度が低く、エンボス溝131内に蒸着可能な深度も均一でないため、これらによって製品間で電極面積にムラが生じる。また、蒸着法およびエンボス加工を適用できる溝パターンにも制約がある。
【0006】
したがって、本発明は、広い電極面積を容易に取ることができ、製品間で電極面積にムラがでない薄膜キャパシタおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0008】
本発明に係る薄膜キャパシタは、フィルム基材と、絶縁パターン層と、第一電極と、第二電極と、誘電体とを備えている。絶縁パターン層は、フィルム基材の少なくとも一方の面に、溝または貫通するスリットによって隔てられた一対の櫛歯パターンを有するように形成され、フォトレジスト材料からなる。第一電極は、絶縁パターン層の溝またはスリットが有する対向した内壁のうち、一方の内壁にのみ全面的に形成されている。第二電極は、絶縁パターン層の溝またはスリットが有する対向した内壁のうち、他方の内壁にのみ全面的に形成され、第一電極と対向する。誘電体は、絶縁パターン層の溝またはスリットに充填され、第一電極と第二電極との間に介在する。
なお、フィルム基材の一方の面にのみ、絶縁パターン層、第一電極、第二電極および誘電体が設けられてもよい。また、フィルム基材の両面に、絶縁パターン層、第一電極、第二電極および誘電体が各々設けられてもよい。
【0009】
また、上記構成の薄膜キャパシタを製造するには、基本の製造方法として下記の工程を備えると好適である。
まず、フィルム基材の少なくとも一方の面にフォトレジスト材料からなる絶縁膜を形成する工程である。次に、絶縁膜をフォトリソ法にてパターニングし、溝または貫通するスリットによって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層を形成する工程である。次いで、絶縁パターン層の溝またはスリットが有する対向した内壁のうち、一方の内壁にのみ第一電極を全面的に形成するとともに、他方の内壁にのみ第一電極と対向する第二電極を全面的に形成する工程である。最後に、絶縁パターン層の溝またはスリットに誘電体を充填し、当該誘電体を第一電極と第二電極との間に介在させる工程である。
【0010】
これらの構成により、絶縁パターン層がフォトレジスト材料からなるので、フォトプロセスにて容易にパターン形成が可能である。したがって、溝単独、または、フィルム基材と貫通するスリットとによって構成される凹部の対向する内壁が、従来のエンボス加工と比べて精度よく形成できるため、製品間で電極面積にムラがでない。
また、溝またはスリットが有する対向した内壁に電極が全面的に形成されているため、従来の薄膜キャパシタと比べて電極面積が広い。したがって、薄膜キャパシタの容量を向上させることができる。さらに、フィルム基材の両面に、絶縁パターン層、第一電極、第二電極および誘電体が各々設けられる場合には、電極面積が増えるため、薄膜キャパシタの容量をより向上させることができる。
【0011】
1つの態様として、第一電極および第二電極が無電解メッキ層であり、第一電極および第二電極が、絶縁パターン層のフィルム基材側とは反対側の面にも連続して形成されていると好適である。
【0012】
また、上記無電解メッキ層を有する構成の薄膜キャパシタを製造するには、前述の基本の製造方法における第一電極および第二電極を形成する工程が、さらに詳しくは、下記の工程を備えると好適である。
まず、フィルム基材および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層を備えた積層体について、絶縁パターン層側の全面に感光性プライマー膜を形成する工程である。
次に、感光性プライマー膜の露光および現像により、少なくとも溝の底面に存在するまたはスリットにおいて露出するフィルム基材上の感光性プライマー膜を除去してプライマーパターン層を形成する工程である。
最後に、無電解メッキにより、プライマーパターン層の表面に金属を析出させて第一電極および第二電極とする工程とを備える。
【0013】
これらの構成により、第一電極および第二電極が無電解メッキ層であるため、蒸着層のように気化された蒸着材料が溝の深部まで届かないということは起きない。つまり、溝またはスリットが有する対向した内壁に電極が全面的に形成し、電極面積を十分に広くとることが容易である。
また、第一電極および第二電極が、絶縁パターン層のフィルム基材側とは反対側の面にも連続して形成されているので、薄膜キャパシタの上面に外部端子を設けやすい。
【0014】
1つの態様として、フィルム基材の絶縁パターン層側の面または反対側の面に、溝またはスリットに対応し且つ溝またはスリットよりも細幅の透過領域を有する遮光パターン層をさらに備えると好適である。
【0015】
上記遮光パターン層を有する構成の薄膜キャパシタを製造するには、フィルム基材の絶縁パターン層を形成する側の面または反対側の面に、溝またはスリットに対応し且つ溝またはスリットよりも細幅の透過領域を有する遮光パターン層を形成する工程をさらに備え、感光性プライマー膜の露光を、フィルム基材の絶縁パターン層側とは反対側の面から行うのが好適である。
【0016】
これらの構成により、遮光パターン層無電解メッキの前工程である感光性プライマー膜の露光が精度よくできる。何故ならば、露光に用いる遮光パターン層が、フィルム基材表面に直接設けられている為、フォトマスクを配置するよりも、感光性プライマー膜に近いからである。とくにフィルム基材の絶縁パターン層側の面の方が近い。
【0017】
1つの態様として、上記した遮光パターン層が銅からなり、フィルム基材とスリットを有する絶縁パターン層との間に存在し、当該銅からなる遮光パターン層と絶縁パターン層との間に層間絶縁膜を更に備えると好適である。
また、上記した遮光パターン層が銅からなり、フィルム基材と溝を有する絶縁パターン層との間に存在してもよい。
さらに、上記した遮光パターン層が銅からなり、フィルム基材の絶縁パターン層側とは反対側の面に形成されもよい。
【0018】
これらいずれの構成でも、遮光パターン層が銅からなるので、遮光性が高い。
【0019】
1つの態様として、第一電極および第二電極が電気メッキパターン層であり、フィルム基材のスリットを有する絶縁パターン層側の面に、第一電極および第二電極と各々導通している導電パターン層をさらに備えると好適である。
【0020】
上記電気メッキパターン層を有する構成の薄膜キャパシタを製造するには、下記の工程を備えると好適である。
すなわち、絶縁パターン層を形成する工程の前に、フィルム基材の絶縁パターン層を形成する側の面に、導電パターン層を形成する工程をさらに備える。
また、第一電極および第二電極を形成する工程が、次の各工程を備える。
まず、フィルム基材および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層を備えた積層体について、メッキ槽に漬けて導電パターン層に電流を流す電気メッキにより、絶縁パターン層側の全面に金属を析出させる工程である。
その後、レーザーにより、スリットより露出する金属析出層を除去して第一電極および第二電極を形成するとともに、スリットを有する絶縁パターン層のフィルム基材側の面に、第一電極と電気的に接続された第三電極と、第二電極と電気的に接続された第四電極とを形成する工程である。
【0021】
これらの構成により、無電解メッキで電極を軽々するよりもメッキ厚を厚く高速で形成することができる。すなわち低抵抗な金属膜からなる電極を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、広い電極面積を容易に取ることができ、製品間で電極面積にムラがでない薄膜キャパシタおよびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図2】本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す平面図
【
図3】本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図4】本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図5】本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図6】本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図7】本発明の第2実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図8】本発明の第2実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図9】本発明の第2実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図10】本発明の第2実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図11】本発明の第2実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図12】本発明の第3実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図13】本発明の第3実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図14】本発明の第3実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図15】本発明の第3実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図16】本発明の第3実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図17】本発明の第4実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図18】本発明の第4実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図19】本発明の第4実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図20】本発明の第4実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図21】本発明の第4実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図22】本発明の第5実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図23】本発明の第5実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図24】本発明の第5実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図25】本発明の第5実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図26】本発明の第5実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図27】本発明の第6実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図28】本発明の第7実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図29】本発明の第8実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図30】本発明の第9実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図31】本発明の第9実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図32】本発明の第9実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図33】本発明の第9実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図34】本発明の第9実施形態に係わる薄膜キャパシタの製造工程の一例を示す断面図
【
図35】本発明の第10実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図36】本発明の第11実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図37】本発明の第12実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図
【
図38】従来技術に係わる薄膜キャパシタを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を示して説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す平面図である。なお、
図1の断面図は、
図2中のAA線において切断したものである。
【0026】
(薄膜キャパシタの構造1)
第1実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図1、
図2に示すように、フィルム基材2の一方の面である第一面2aに、絶縁パターン層3が形成されている。
絶縁パターン層3は、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有するように形成されている。この絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ全面的に第一電極4が形成されている。また、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、他方の内壁31bにのみ全面的にも第二電極5が形成され、第一電極4と対向している。さらに、絶縁パターン層3のスリット31には誘電体6が充填されており、この誘電体6が第一電極4と第二電極5との間に介在する。
【0027】
(フィルム基材)
フィルム基材2は、
図1に示すように、2つの主面2a,2bを有し、後述する絶縁パターン層3などを支持する層である。また、フィルム基材2は、ロール状に巻取り可能である。
フィルム基材2の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0028】
(絶縁パターン層)
絶縁パターン層3は、フィルム基材の第一面2aにおいて、誘電体6を第一電極4と第二電極5で挟んだキャパシタ構造の形状を規定するものである。
具体的には、絶縁パターン層3は、貫通するスリット31を有している。この絶縁パターン層3のスリット31の対向した内壁31a,31bとスリット31において露出するフィルム基材2の第一面2aとによって、凹部が構成される。
【0029】
絶縁パターン層3の材料としては、フォトレジスト材料が用いられる。フォトレジスト材料としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプなどで露光し、後述するアルカリ性水溶液又は水などで現像が可能な各種系統のフォトレジスト材料などで構成する。
【0030】
絶縁パターン層3を貫通するスリット31は、
図2に示すように、絶縁パターン層3がスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有するように形成されている。
各々の櫛歯パターンは、平面視で所定間隔をあけて並列された複数の櫛歯が根元側で繋がった形状をしており、櫛歯が噛み合うように配置して対となっている。
【0031】
絶縁パターン層3の厚さは、5~100μmとするのが好ましい。5μmに満たないと、十分な容量を確保できなくなる。また、100μmを超えると、電極間距離を一定に保てなくなる。より好ましくは、5~50μmである。
【0032】
(第一電極)
第一電極4は、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ全面的に形成されている。
【0033】
本実施形態において、第一電極4は、無電解メッキ層8として構成される。
また、第一電極4は、
図1および
図2に示すように、絶縁パターン層3のフィルム基材2側とは反対側の面にも連続して形成されている
無電解メッキ層8の材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)やパラジウム(Pd)の貴金属のほか、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)などの卑金属を適用することができるが、安価な銅(Cu)が好ましい。
【0034】
(第二電極)
第二電極5は、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、他方の内壁31bにのみ全面的に形成され、第一電極4と対向している。
【0035】
第二電極5の材料としては、第一電極4と同じ材料が用いられる。
また、第二電極5は、
図1および
図2に示すように、絶縁パターン層3のフィルム基材2側とは反対側の面にも連続して形成されている
【0036】
(誘電体)
誘電体6は、キャパシタ構造において電荷を蓄える役割を担うものである。誘電体6は、絶縁パターン層3のスリット31に充填されており、第一電極4と第二電極5との間に介在する。
【0037】
誘電体6の材料としては、一般的にキャパシタとして利用できる金属酸化物材料、樹脂材料、マイカ(雲母)、セラミックなどを用いることができる。金属酸化物材料としては、例えば、誘電体6は、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)、などから成る群から選択される少なくとも1種から成るものであってもよい。また、樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフテレート樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などから成る群から選択される少なくとも1種から成っていてもよい。この中でもキャパシタ容量を増やす事ができる高誘電率のチタン酸バリウムを用いるのが好ましい。
【0038】
(薄膜キャパシタの製造方法1)
本実施形態の薄膜キャパシタの製造方法について、
図3~
図6および
図1を参照して以下に説明する。
【0039】
(ア)まず、
図3に示すように、フィルム基材2の第一面2aにフォトレジスト材料からなる絶縁膜30を形成した。
絶縁膜30の材料としては、既に絶縁パターン層3の説明で述べた通りである。
絶縁膜30の形成方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法、CVD法などの各種方法が挙げられる。
【0040】
(イ)次に、
図4に示すように、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30をフォトリソ法にてパターニングし、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を形成した。
本工程では、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を所定のパターンに露光(
図4(a)参照)した後、現像することによって、絶縁膜30から不要な部分を除去する(
図4(b)参照)。
【0041】
絶縁膜30の露光手段としては、
図4(a)に示すように、フォトマスク17を通してUV光19を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。UV光19の光源18としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプなどの紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザーなどの紫外線を有効に放射するものも用いられる。また、レーザー露光法などを用いた直接描画法によりUV光19を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0042】
露光後の絶縁膜30の現像方法としては、ウェット現像により絶縁膜30の硬化部以外の部分が完全に除去される。これにより、所定のパターンを有する絶縁パターン層3が形成される(
図4(b)参照)。ウェット現像は、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液などの感光性樹脂に対応した現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピングなどの公知の方法により行われる。
なお、
図4に示す例では、いわゆるネガ型のフォトレジスト材料が用いられている。すなわち、絶縁膜30の露光された部分が架橋により硬化し、現像液に対して溶解性から不要性に変化する。
【0043】
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0044】
また、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1、3-プロパンジオール、1、3-ジアミノプロパノール-2、モルホリンが挙げられる。有機溶剤としては、例えば、3アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1~4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
【0045】
このように、フォトリソ法にて貫通するスリット31を有する絶縁パターン層3を得ることにより、絶縁パターン層3の厚み方向と垂直な方向にキャパシタ構造の形成を可能とする。
【0046】
(ウ)次に、
図5、
図6に示すように、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ第一電極4を全面的に形成するとともに、他方の内壁31bにのみ第一電極4と対向する第二電極5を全面的に形成した。
【0047】
この第一電極4および第二電極5を形成する工程についてさらに細かく説明すると、まず、
図5(a)に示すように、フィルム基材2および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を備えた積層体について、絶縁パターン層3側の全面に感光性プライマー膜70を形成する。
【0048】
感光性プライマー膜70は、絶縁パターン層3との密着性が良好であり、かつ、感光性プライマー膜70表面では無電解メッキが可能な組成物からなるものである。
感光性プライマー膜70の材料としては、従来の周知の材料を用いることができる。例えば、パラジウムや銀、金などの金属ナノ粒子を触媒成分とし感光性樹脂(バインダー)や溶剤等を加えインキ化したものが挙げられる。
感光性プライマー膜70の形成方法としては、特に限定されず、たとえば、スプレー、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター、フローコーターなどを用いて、印刷またはコーティングすることができる。
このとき、 感光性プライマー膜70は、絶縁パターン層3のスリット31を埋めることなく、スリット31が有する対向した内壁31a,31bおよびスリット31において露出するフィルム基材2表面に沿って薄く形成される。形成される感光性プライマー膜70の厚みは、10nm~2μmの範囲とするのが好ましい。
【0049】
次に、感光性プライマー膜70の露光(
図5(b)参照)および現像により、スリット31において露出するフィルム基材2の第一面2a上の感光性プライマー膜70を除去してパターニングし、プライマーパターン層7とする。(
図6(a)参照)。なお、感光性プライマー膜70は、光可塑性(ポジ型)であり、光の当たった部分が現像により除去される。
【0050】
感光性プライマー膜70の露光手段としては、
図5(a)に示すように、フォトマスク17を通してUV光19を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。UV光19の光源18としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプなどの紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザーなどの紫外線を有効に放射するものも用いられる。また、レーザー露光法などを用いた直接描画法によりUV光19を画像状に照射する方法を採用してもよい。
感光性プライマー膜70の現像では、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ化合物などが現像液として用いられる。
【0051】
最後に、絶縁パターン層3のスリット3の内壁31a,31bおよび絶縁パターン層3のフィルム基材2側の面とは反対側の面にプライマーパターン層7を有するフィルムを、金属を析出させるための無電解メッキ液に浸漬する。これによりプライマーパターン層7のパターンに沿った無電解メッキ層8が形成される。
この無電解メッキ層8のうち、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bにプライマーパターン層7を介して形成された部分を第一電極4および第二電極5とする(
図6(b)参照)。
【0052】
無電解メッキに使用できる金属は、既に第一電極4および第二電極5の説明で述べた通りである。
なお、金属の析出工程においては、無電解メッキのみで厚膜化して形成してもよいし、無電解メッキにより形成した無電解メッキ層8を導電性シードとして、さらに電気メッキを実施することで厚膜化してもよい。電解メッキを併用すると、メッキ析出速度を大きくすることができるため、製造効率が高くなり有利である。
【0053】
(エ)以上のようにして第一電極4および第二電極5を形成した後、絶縁パターン層3のスリット31に誘電体6を充填し、当該誘電体6を第一電極4と第二電極5との間に介在させて、
図1に示す薄膜キャパシタ1が完成する。
【0054】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0055】
(薄膜キャパシタの構造2)
第2実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図7に示すように、フィルム基材2とスリット31を有する絶縁パターン層3との間に存在し、絶縁パターン層3のスリット31に対応し且つスリット31よりも細幅の透過領域を有し、着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9をさらに備えている点において第1実施形態と異なる。
【0056】
(遮光パターン層)
本実施形態における着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9は、感光性プライマー膜70の露光に用いるものである。
着着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9が、フィルム基材2の第一面2aに直接設けられている為、感光性プライマー膜70の露光時に、第1実施形態のようにフォトマス17クを配置する(第1実施形態の
図5(b)参照)よりもフィルム基材2の第一面2aに設けられた感光性プライマー膜70に近い。そのため、感光性プライマー膜70の露光が精度よくできる。
着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9の形成に用いる材料は、遮光性のある着色インキであれば、特に限定されない。遮光性のある着色インキは、例えば、遮光性が高い墨系の顔料を用いた墨インキが好ましく、このような墨系の顔料として、例えば、カーボンブラックが挙げられる。
【0057】
(薄膜キャパシタの製造方法2)
本実施形態の薄膜キャパシタの製造方法について、
図8~
図11及び
図7を参照して以下に説明する。
【0058】
(ア)まず、
図8(a)に示すように、フィルム基材2の第一面2aに着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9を形成した。
遮光パターン層9は、絶縁パターン層3のスリット31に対応し且つスリット31よりも細幅の透過領域を有している。遮光パターン層9の形成方法としては、公知の印刷法、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0059】
(イ)次に、
図8(b)に示すように、フィルム基材2の遮光パターン層9が形成された面に、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を形成した。
【0060】
(ウ)次に、
図9に示すように、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30をフォトリソ法にてパターニングし、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を形成した。
本工程では、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を所定のパターンに露光(
図9(a)参照)した後、現像することによって、絶縁膜30から不要な部分を除去し(
図9(b)参照)、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3が形成される(
図9(b)参照)。
【0061】
(エ)次に、
図10に示すように、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ第一電極4を全面的に形成するとともに、他方の内壁31bにのみ第一電極4と対向する第二電極5を全面的に形成した。
この第一電極4および第二電極5を形成する工程についてさらに細かく説明すると、まず、
図10(a)に示すように、フィルム基材2および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を備えた積層体について、絶縁パターン層3側の全面に感光性プライマー膜70を形成した。
次に、感光性プライマー膜70の露光(
図10(b)参照)および現像により、スリット31において露出するフィルム基材2の第一面2a上の感光性プライマー膜70を除去してパターニングし、プライマーパターン層7を形成した
図11(a)参照)。
最後に、
図11(b)に示すように、無電解メッキにより、現像後のプライマーパターン層7の表面金属を析出させて無電解メッキ層8を形成し、これを第一電極4および第二電極5とする。
【0062】
(オ)以上のようにして第一電極4および第二電極5を形成した後、絶縁パターン層3のスリット31に誘電体6を充填し、当該誘電体6を第一電極4と第二電極5との間に介在させて、
図7に示す薄膜キャパシタ1が完成した。
【0063】
その他の点については、第1実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0064】
[第3実施形態]
図12は、本発明の第3実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0065】
(薄膜キャパシタの構造3)
第3実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、フィルム基材2とスリット31を有する絶縁パターン層3との間に存在し、絶縁パターン層3のスリット31に対応し且つスリット31よりも細幅の透過領域を有する遮光パターン層90が銅からなり、
図12に示すように、遮光パターン層90とスリット31を有する絶縁パターン層3との間に層間絶縁膜10を更に備える点において第2実施形態と異なる。
【0066】
(遮光パターン層)
本実施形態において遮光パターン層90に用いる銅層は、第2実施形態に比べて、遮光性が高い。
【0067】
(層間絶縁膜)
本実施形態における層間絶縁膜10は、銅からなる遮光パターン層90と無電解メッキ層8との絶縁を得るものである。
層間絶縁膜10の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂 、ビニル樹脂、フェーノル樹脂などの絶縁樹脂が挙げられる。但し、絶縁膜30のフォトプロセスで一緒にパターニングされてしまうので、層間絶縁膜10の材料としてフォトレジスト材料を用いることはできない。
【0068】
(薄膜キャパシタの製造方法3)
次に、本実施形態の薄膜キャパシタの製造方法について、
図13~
図16および
図12を示して説明する。
【0069】
(ア)まず、
図13(a)に示すように、フィルム基材2の第一面2aに銅からなる遮光パターン層90を上記したパターンに形成した。
銅からなる遮光パターン層90の形成方法としては、銅箔を用いてラミネートした後にエッチングによりパターニングする方法が用いられる。銅箔の他にも、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などの公知の金属薄膜形成法を用いてもよい。
【0070】
(イ)次に、
図13(b)に示すように、フィルム基材2の遮光パターン層90が形成された面に、層間絶縁膜10を形成した。
【0071】
(ウ)次に、
図13(c)に示すように、フィルム基材2の遮光パターン層90および層間絶縁膜10が形成された面に、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を形成した。
【0072】
(工)次に、
図14に示すように、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30をフォトリソ法にてパターニングし、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を形成した。
本工程では、第1、第2実施形態と同様に、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を所定のパターンに露光(
図14(a)参照)した後、現像することによって、絶縁膜30から不要な部分を除去する(
図14(b)参照)。
【0073】
(オ)次に、
図15に示すように、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ第一電極4を全面的に形成するとともに、他方の内壁31bにのみ第一電極4と対向する第二電極5を全面的に形成した。
この第一電極4および第二電極5を形成する工程についてさらに細かく説明すると、まず、
図15(a)に示すように、フィルム基材2および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を備えた積層体について、絶縁パターン層3側の全面に感光性プライマー膜70を形成した。
次に、感光性プライマー膜70の露光(
図15(b)参照)および現像により、スリット31において露出するフィルム基材2の第一面2a上の感光性プライマー膜70を除去してパターニングし、プライマーパターン層7を形成した(
図16(a)参照)。
最後に、
図16(b)に示すように、無電解メッキにより、現像後のプライマーパターン層7の表面に金属を析出させて無電解メッキ層8を形成し、これを第一電極4および第二電極5とする。
【0074】
(カ)以上のようにして第一電極4および第二電極5を形成した後、絶縁パターン層3のスリット31に誘電体6を充填し、当該誘電体6を第一電極4と第二電極5との間に介在させて、
図12に示す薄膜キャパシタ1が完成した。
【0075】
その他の点については、第2実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0076】
[第4実施形態]
図17は、本発明の第4実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0077】
(薄膜キャパシタの構造4)
第4実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図17に示すように、銅からなる遮光パターン層90がフィルム基材2の絶縁パターン層3側とは反対側の面に形成され、層間絶縁膜を有しない点において第3実施形態と異なる。
【0078】
本実施形態の薄膜キャパシタ1は、層間絶縁膜を有しないため、第3実施形態と比べて部品数や工程数が少なくて済む。また、層間絶縁膜を有しないため、遮光パターン層90と層間絶縁膜との密着性を考慮した材料選択をしなくても済む。
ただし、感光性プライマー膜70の露光時に、銅からなる遮光パターン層90との間にフィルム基材2を挟んで露光を行なうため、第3実施形態よりもフィルム基材2の第一面2aに設けられた感光性プライマー膜70から銅からなる遮光パターン層90が遠い。そのため、感光性プライマー膜70の露光の精度という点では、第3実施形態の方が好ましい。
【0079】
(薄膜キャパシタの製造方法4)
次に、本実施形態の薄膜キャパシタの製造方法について、
図18~
図22および
図17を示して説明する。
【0080】
(ア)まず、
図18(a)に示すように、フィルム基材2の第一面2aとは反対の面である第二面2bに銅からなる遮光パターン層90を形成した。
遮光パターン層90の形成方法としては、第3実施形態と同様である。
【0081】
(イ)次に、
図18(b)に示すように、フィルム基材2の第一面2aに、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を形成した。
【0082】
(ウ)次に、
図19に示すように、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30をフォトリソ法にてパターニングし、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を形成した。
本工程では、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を所定のパターンに露光(
図19(a)参照)した後、現像することによって、絶縁膜30から不要な部分を除去する(
図19(b)参照)。露光・現像については、第1~第3実施形態と同様である。
【0083】
(エ)次に、
図20に示すように、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ第一電極4を全面的に形成するとともに、他方の内壁31bにのみ第一電極4と対向する第二電極5を全面的に形成した。
この第一電極4および第二電極5を形成する工程についてさらに細かく説明すると、まず、
図20(a)に示すように、フィルム基材2および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を備えた積層体について、絶縁パターン層3側の全面に感光性プライマー膜70を形成した。
次に、感光性プライマー膜70の露光(
図20(b)参照)および現像により、スリット31において露出するフィルム基材2の第一面2a上の感光性プライマー膜70を除去してパターニングし、プライマーパターン層7を形成した
図21(a)参照)。
最後に、
図21(b)に示すように、無電解メッキにより、現像後のプライマーパターン層7の表面に金属を析出させて無電解メッキ層8を形成し、これを第一電極4および第二電極5とする。この無電解メッキ工程は、第1~第3実施形態と同様である。
【0084】
(オ)次に、絶縁パターン層3のスリット31に誘電体6を充填し、当該誘電体6を第一電極4と第二電極5との間に介在させて、
図17に示す薄膜キャパシタ1が完成した。
【0085】
その他の点については、第3実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0086】
[第5実施形態]
図22は、本発明の第5実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0087】
(薄膜キャパシタの構造5)
第5実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図22に示すように、第一電極4および第二電極5が電気メッキパターン層であり、フィルム基材2のスリット31を有する絶縁パターン層3側の面に、第一電極4および第二電極5と各々導通している導電パターン層13を備えている点において第1実施形態と異なる。
また、第1実施形態では、第一電極4および第二電極5が絶縁パターン層3のフィルム基材2側とは反対側の面にも連続して形成されていたが(
図1および
図2参照)、本実施形態では、
図22に示すようにスリット31内だけである点においても第1実施形態と異なる。
【0088】
(第一電極および第二電極)
本実施形態において、第一電極4および第二電極5は、電気メッキパターン層16として構成される。
電気メッキパターン層16の材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)やパラジウム(Pd)の貴金属のほか、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの卑金属を適用することができるが、安価な銅(Cu)が好ましい。
【0089】
(導電パターン層)
本実施形態における導電パターン層13は、電気メッキを行なう際に、通電による還元反応でスリット31の内壁31a,31bおよびフィルム基材2の露出面に沿って金属を析出させ、メッキ膜として成長させる役割を担うものである。
導電パターン層13は、一対の櫛歯パターンである。なお、導電パターン層13は、スリット31の内壁31a,31bに電気メッキパターン層16を形成しやすいように、絶縁パターン層3のスリット31内に僅かに露出しているのが好ましい(
図22参照)。
導電パターン層13の形成に用いる材料は、例えば、銅、金、銀、錫、ニッケルやニッケル・ボロン(Ni―B)の複合メッキなどが挙げられる。
【0090】
(薄膜キャパシタの製造方法5)
次に、本実施形態の薄膜キャパシタの製造方法について、
図23~
図26および
図22を示して説明する。
【0091】
(ア)まず、
図23(a)に示すように、フィルム基材2の第一面2aに導電パターン層13を形成した。
導電パターン層13の形成方法としては、金属箔を用いてラミネートした後にエッチングによりパターニングする方法が用いられる。金属箔の他にも、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などの公知の金属薄膜形成法を用いてもよい。
【0092】
(イ)次に、
図23(b)に示すように、フィルム基材2の導電パターン層13を有する面に、絶縁膜30を形成した。
【0093】
(ウ)次に、
図24(a)に示すように、絶縁膜を30フォトリソ法にてパターニングし、貫通するスリット31によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を形成した(
図24(b)参照)。
【0094】
(エ)次に、
図25、
図26に示すように、絶縁パターン層3のスリット31が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ第一電極4を全面的に形成するとともに、他方の内壁31bにのみ第一電極4と対向する第二電極5を全面的に形成した。
この第一電極4および第二電極5を形成する工程についてさらに細かく説明すると、まず、
図25(a)に示すように、フィルム基材2、導電パターン層13および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を備えた積層体について、メッキ槽に漬けて導電パターン層13に電流を流す電気メッキにより、絶縁パターン層3のスリット31内に金属を析出させて電気メッキ膜160を形成した。
次に、
図25(b)に示すように、レーザー20により不要な電気メッキ膜160を除去して第一電極4および第二電極5を形成する(
図26参照)。使用するレーザー20は、公知のレーザーパターニング技術を用いることができる。
【0095】
(オ)次に、絶縁パターン層3のスリット31に誘電体6を充填し、当該誘電体6を第一電極4と第二電極5との間に介在させて、
図22に示す薄膜キャパシタ1が完成した。
【0096】
その他の点については、第1実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0097】
[第6実施形態]
図27は、本発明の第6実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0098】
(薄膜キャパシタの構造6)
第6実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図27に示すように、着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9が、フィルム基材2のスリット31を有する絶縁パターン層3側とは反対側の面に形成されている点において第2実施形態と異なる。
その他の点については、第2実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0099】
[第7実施形態]
図28は、本発明の第7実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0100】
(薄膜キャパシタの構造7)
第1~第6実施形態では、絶縁パターン層3は、いずれも貫通するスリット31を有している。すなわち、この絶縁パターン層3のスリット31の対向した内壁31a,31bとスリット31において露出するフィルム基材2の第一面2aとによって、凹部が構成されている。しかし、本発明はこれに限定されない。
第7実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図28に示すように、絶縁パターン層3が溝部32を有しているものである。
絶縁パターン層3に溝部32を形成するには、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30をフォトリソ法にてパターニングする際に、エッチング液の濃度、エッチング時間、温度などの条件を調整することによって、絶縁膜30の除去を貫通しない程度に留める。
その他の点については、第1実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0101】
[第8実施形態]
図29は、本発明の第8実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0102】
(薄膜キャパシタの構造8)
第8実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図29に示すように、着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9を備えている第2実施形態において、第7実施形態と同様にスリット31を有する絶縁パターン層3を溝部32を有する絶縁パターン層3に変更したものである。
その他の点については、第2実施形態や第7実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0103】
[第9実施形態]
図30は、本発明の第9実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0104】
(薄膜キャパシタの構造9)
第9実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図30に示すように、銅からなる遮光パターン層90を備えている第3実施形態において、第7実施形態と同様にスリット31を有する絶縁パターン層3を溝部32を有する絶縁パターン層3に変更したものである。
なお、溝部32を有する絶縁パターン層3は、銅からなる遮光パターン層90と無電解メッキ層8との絶縁をとる必要がないので、第3実施形態のような層間絶縁膜10は不要である。
【0105】
(薄膜キャパシタの製造方法)
次に、本実施形態の薄膜キャパシタの製造方法について、
図31~
図34および
図30を示して説明する。
【0106】
(ア)まず、
図31(a)に示すように、フィルム基材2の第一面2aに銅からなる遮光パターン層90を上記したパターンに形成した。
【0107】
(イ)次に、
図31(b)に示すように、フィルム基材2の遮光パターン層90が形成された面に、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を形成した。
【0108】
(ウ)次に、
図32に示すように、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30をフォトリソ法にてパターニングし、溝32によって隔てられた一対の櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を形成した。
本工程では、第7実施形態と同様に、フォトレジスト材料からなる絶縁膜30を所定のパターンに露光(
図32(a)参照)した後、現像することによって、絶縁膜30から貫通しないように不要な部分を除去する(
図32(b)参照)。
【0109】
(オ)次に、
図33~
図34に示すように、絶縁パターン層3の溝部32が有する対向した内壁31a,31bのうち、一方の内壁31aにのみ第一電極4を全面的に形成するとともに、他方の内壁31bにのみ第一電極4と対向する第二電極5を全面的に形成した。
この第一電極4および第二電極5を形成する工程についてさらに細かく説明すると、まず、
図33(a)に示すように、フィルム基材2および櫛歯パターンを有する絶縁パターン層3を備えた積層体について、絶縁パターン層3側の全面に感光性プライマー膜70を形成した。
次に、感光性プライマー膜70の露光(
図30(b)参照)および現像により、溝部32の底から感光性プライマー膜70を除去してパターニングし、プライマーパターン層7を形成した(
図34(a)参照)。
最後に、
図34(b)に示すように、無電解メッキにより、現像後のプライマーパターン層7の表面に金属を析出させて無電解メッキ層8を形成し、これを第一電極4および第二電極5とする。
【0110】
(カ)以上のようにして第一電極4および第二電極5を形成した後、絶縁パターン層3の溝部32に誘電体6を充填し、当該誘電体6を第一電極4と第二電極5との間に介在させて、
図30に示す薄膜キャパシタ1が完成した。
【0111】
その他の点については、第3実施形態や第7実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0112】
[第10実施形態]
図35は、本発明の第10実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0113】
(薄膜キャパシタの構造10)
第10実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図35に示すように、銅からなる遮光パターン層90をフィルム基材2の絶縁パターン層3側とは反対側の面に備えている第4実施形態において、第7実施形態と同様にスリット31を有する絶縁パターン層3を溝部32を有する絶縁パターン層3に変更したものである。
【0114】
その他の点については、第4実施形態や第7実施形態と重複するため、説明を省略する。
[第11実施形態]
図36は、本発明の第11実施形態に係わる薄膜キャパシタの一例を示す断面図である。
【0115】
(薄膜キャパシタの構造11)
第10実施形態に係わる薄膜キャパシタ1は、
図36に示すように、着色剤を含む樹脂層からなる遮光パターン層9をフィルム基材2の絶縁パターン層3側とは反対側の面に備えている第6実施形態において、第7実施形態と同様にスリット31を有する絶縁パターン層3を溝部32を有する絶縁パターン層3に変更したものである。
【0116】
その他の点については、第6実施形態や第7実施形態と重複するため、説明を省略する。
【0117】
[その他]
上記した実施形態では、フィルム基材2の第一面2aにしか絶縁パターン層3、第一電極4、第二電極5および誘電体6が設けられていないが、本発明はこれに限定されない。フィルム基材2の第一面2a、第二面2bともに、絶縁パターン層3、第一電極4、第二電極5および誘電体6が各々設けられていてもよい。
図37にその一例を示す。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の薄膜キャパシタは、電源回路、太陽光発電、車載インバータ回路、鉄道車両、家庭機器、産業機器、パワーエレクトロニクス、サーバー電源、無線通信機器など多様な用途に利用できる。
【符号の説明】
【0119】
1,101:薄膜キャパシタ
2,102:フィルム基材
2a :第一面
2b :第二面
3 :絶縁パターン層
30,130:絶縁膜
31 :スリット
32 :溝
31a,31b,32a,32b:内壁
131 :エンボス溝
4,104:第一電極
5,105:第二電極
6,106:誘電体
7 :プライマーパターン層
70 :感光性プライマー膜
8 :無電解メッキ層
9,90 :遮光パターン層
10 :層間絶縁膜
13 :導電パターン層
16 :電気メッキパターン層
160 :電気メッキ膜
17 :フォトマスク
18 :光源
19 :光
20 :レーザー光