IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7328281ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法及びシステム
<>
  • 特許-ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法及びシステム 図1
  • 特許-ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法及びシステム 図2
  • 特許-ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法及びシステム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/04 20060101AFI20230808BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B60W40/04
G08G1/16 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021107495
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2022013848
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】10 2020 117 004.1
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グロスマン
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-212872(JP,A)
【文献】特開2014-067169(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024284(WO,A1)
【文献】特開2006-209333(JP,A)
【文献】特表平09-506698(JP,A)
【文献】特開2018-039285(JP,A)
【文献】特開2004-322916(JP,A)
【文献】特開2018-083610(JP,A)
【文献】特開2019-106049(JP,A)
【文献】特開2014-019433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法において、
a)カメラ型捕捉機器(2)により、前記標的車両の状態を捕捉し、前記車両の前記環境中の他の車両物体の状態を捕捉し、路面標示を捕捉するステップと、
b)ステップa)で取得したデータを前処理するステップであって、前記標的車両の状態及び前記他の車両物体の状態から外れ値が除外され、欠如した状態が計算されるステップと、
c)ステップb)で前処理した前記データに基づいて物理モデルによる前記標的車両の推定軌道を計算するステップと、
d)ステップb)で前処理した前記データ及びドライバの挙動を表す挙動カテゴリに基づいて、ドライバ挙動に基づく前記標的車両の推定軌道を計算するステップと、
e)ステップc)及びd)で計算した前記軌道を結合して、前記標的車両の予測軌道を形成するステップと、を含み、
前記ステップb)~前記ステップe)は演算機器(3)により実行する方法。
【請求項2】
前記路面標示から道路のコースを推定するステップと、前記標的車両および前記他の車両物体の記録された位置から前記標的車両および前記他の車両物体の実際の軌道を推定するステップと、前記道路のコース並びに前記標的車両および前記他の車両物体の前記実際の軌道からドライバの基本的真実挙動を特徴付けるステップと、をさらに備え、
ステップc)で計算された前記軌道と前記ドライバの基本的真実挙動との間のエラーが計算され、ステップc)及びd)で計算された前記軌道は、最適化アルゴリズム(52)によって前記エラーが最小となるように最適化された後で結合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最適化アルゴリズム(52)としてシミュレーションによる焼きなましアルゴリズムが使用されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)で取得された前記データを前処理するためにRANSACフィルタアルゴリズム(401)が使用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で取得された前記データからノイズ成分を除去するためにアルファ-ベータフィルタアルゴリズム(403)が使用されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)で取得された前記データを前処理する際に、道路のコースと車線のコースが、前記環境中の前記標的車両の、及び他の車両物体の、並びに前記車両自体の測定された状態に基づいて、並びに前記カメラ型捕捉機器(2)により捕捉された車線標示及び静止物体に基づいて推定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップc)で前記物理モデルによって前記推定軌道を計算するために、改良CYRAモデルが使用され、このモデルの個々の軌道は、複数の物理モデルによって並行して計算され、前記個々の軌道の重み付き結合が計算されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行するシステム(1)において、ステップa)にしたがって前記標的車両の状態を捕捉し、前記車両の前記環境中の他の車両物体の状態を捕捉し、路面標示を捕捉するように設計されたカメラ型捕捉機器(2)と、少なくとも、前記方法のステップb)~e)を実行する手段が実装される演算機器(3)と、を含むシステム(1)。
【請求項9】
前記演算機器(3)は、特に、運転行動検出システムに加えてマルコフ状態機械を有するドライバ挙動分類モジュール(42)が実装された予測モジュール(4)を含むことを特徴とする、請求項8に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車は、車両の衝突リスクを減らし、走行の快適性を向上させるために、ドライバ支援システム(「先進運転支援システム」:ADAS(Advanced Driver Assistance Systems))、例えば、車間距離制御装置、衝突警告システム、緊急制動支援手段、高速道路走行支援手段、又は渋滞時走行支援手段等を有していることが多い。このようなドライバ支援システムは、半自律的又は自律的に動作し、当該車両の環境中の標的車両の軌道を予測する必要がある。このような軌道予測は、例えば機能的決定、ルート計画、又は制動介入のための根拠として使用される。予測される軌道は典型的に、2次元での標的車両のN個の予測状態、例えば位置、速度、ヨー、及びヨーレートからなる。
【0003】
先行技術から知られている、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法は、大きく異なる物理モデル又は運転行動に基づくモデルを用いており、これらの適応は比較的複雑な方法で行わなければならない。
【0004】
(特許文献1)は、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法を開示しており、この方法では、道路の車線に沿って移動中の車両の種類が捕捉され、ある項目の移動予測情報が生成されることによって、標的車両の移動が標的車両の種類に基づいて予測される。この場合、移動は車線に関連付けられる。
【0005】
標的車両の軌道を予測する際の課題には、とりわけ、カメラ型捕捉機器により提供されるセンサ信号又は測定データに基づいて、最大5秒間の標的車両の状態、特に位置、速度、ヨー及びヨーレートを事前に予測することが関わる。ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測するためのこの方法はまた、例えば測定された状態、特に標的車両の位置と速度における偶発的又は体系的なエラーに起因する外れ値の影響を最小にするために、できるだけロバストでもあるべきである。これに基づき、本発明の目的は、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測するための、さらに改良された方法及びシステムを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第3 467 799 A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許請求項1の特徴を有する、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法と、特許請求項8の特徴を有するシステムは、上記の目的を達成する。従属項は本発明の有利な発展形に関する。
【0008】
本発明による、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法は、
a)カメラ型捕捉機器により、標的車両の状態を捕捉し、当該車両の環境中の他の車両物体の状態を捕捉し、路面標示を捕捉するステップと、
b)ステップa)で取得したデータを前処理するステップであって、外れ値が除外され、欠如した状態が計算されるステップと、
c)ステップb)で前処理したデータに基づいて物理モデルによる推定軌道を計算するステップと、
d)ステップb)で前処理したデータに基づいてドライバ挙動に基づく軌道を計算するステップと、
e)ステップc)及びd)で計算した軌道を結合して、標的車両の予測軌道を形成するステップと、
を含む。
【0009】
本発明による方法により、好ましくは最大5秒間の、標的車両の状態、特に位置、速度、ヨー、及びヨーレートを、カメラ型捕捉機器により提供されるデータに基づいて事前に予測することが可能となる。ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測するロバストな方法もまた、例えば標的車両の測定された状態、特に位置及び速度における偶発的又は体系的なエラーに起因し得る外れ値の影響を最小にするために提供される。この場合、標的車両の軌道の予測では、有利な点として、それぞれの走行状況の物理的及び環境的局面が考慮されてよく、それらが相応に重み付けされてよい。
【0010】
1つの好ましい実施形態において、ステップc)及びd)で計算した軌道を最適化アルゴリズムによって最適化してから結合することが提案される。最適化アルゴリズムとしては、好ましくはシミュレーションによる焼きなましアルゴリズムが使用されてよい。
【0011】
1つの好ましい実施形態において、RANSACフィルタアルゴリズムを使って、ステップa)で取得したデータを前処理することが可能である。これによって、測定データにおける考え得る外れ値を確実に捕捉し、排除することが可能となる。
【0012】
現実的な問題は、カメラ型捕捉機器のカメラセンサが通常、標的車両のヨー及びヨーレートの信頼できる推定を提供できないという点であることが多い。これは、カメラ型捕捉機器により捕捉される標的車両の標的位置が典型的に、白色ガウスノイズと非白色非ガウスノイズの両方を伴っているからである。したがって、1つの有利な実施形態においては、アルファ-ベータフィルタアルゴリズムを使って、ステップa)で取得したデータからノイズ成分を除去することが提案される。
【0013】
1つの有利な発展形において、ステップa)で取得したデータを前処理する際に、環境中の標的車両の、及び他の車両物体の、並びに当該車両自体の測定された状態に基づいて、並びにカメラ型捕捉機器により捕捉される車線標示及び静止物体に基づいて、道路のコースと車線のコースが推定されるようになされてよい。
【0014】
1つの好ましい実施形態において、ステップc)で、改良CYRAモデルを使って、物理モデルによる推定軌道を計算することが可能であり、このモデルでは、個々の軌道が複数の物理モデルによって並列に計算され、個々の軌道を結合することによって重み付き軌道が計算される。この場合、改良CYRAモデルは、一定のヨーレート及び一定の加速度の前提に基づく(CYRA=“Constant Yaw Rate and Acceleration”)。
【0015】
特許請求項1~7のうちの1項に記載の方法を実行するための本発明によるシステムは、ステップa)にしたがって標的車両の状態を捕捉し、当該車両の環境中の他の車両物体の状態を捕捉し、路面標示を捕捉するように設計されたカメラ型捕捉機器と、少なくとも、方法のステップb)~e)を実行するための手段が実装された演算機器と、を含む。
【0016】
1つの実施形態において、演算機器が、特にドライバ挙動分類モジュールが実装され、運転行動検出システムに加えてマルコフ状態機械を有する予測モジュールを含むようになされてよい。これによって挙動分類を改良することが可能となる。この場合、標的車両の挙動は、標的車両の正規化された走行車線割当、標的車両の正規化された走行車線割当の逸脱、及び速度ベクトルに基づいて、複数のカテゴリ、例えば「車線変更」、「車線維持」、「加速」、「制動」、「速度保持」に分類される。ドライバ挙動分類モジュールの入力変数は好ましくは、標的車両のN個の推定状態履歴、他の車両物体のN個の推定状態履歴、及び道路の推定コースを形成する。
【0017】
本発明のその他の特徴と利点は、下記のような添付の図面に関する好ましい例示的実施形態の以下の説明に基づいて明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの好ましい例示的実施形態による、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法を実行するように設計されたシステムの略図を示す。
図2】システムのカメラ型捕捉機器により捕捉されたデータの前処理の詳細を図解する略図を示す。
図3】最適化アルゴリズムの詳細を示す略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に関して、ある車両の環境中の標的車両の軌道を予測する方法を実行するシステム1は、特に当該車両の環境中の標的車両及び他の車両物体を捕捉して追跡し、車線標示を検出するように設計されたカメラ型捕捉機器2を含む。
【0020】
システム1はまた演算機器3も含み、そこに軌道予測モジュール4が実装され、このモジュールは、カメラ型捕捉機器2からの測定データを入力変数として受け取り、当該車両の環境中の標的車両の軌道を、コンピュータ実装方法によって後述する方法でこれらの測定データに基づいて予測するように設計される。この目的のために、複数のソフトウェアモジュール40、41、42、43、44が軌道予測モジュール4の内部に実装されており、これらの機能については後でより詳しく説明する。
【0021】
予測モジュール4は、データを前処理するように設計された前処理モジュール40を有し、このデータは、カメラ型捕捉機器2により捕捉され、さらに処理するために予測モジュール4にとって利用可能とされる。前処理モジュール40は、標的車両の、及び他の車両物体の測定された状態に外れ値があれば、相応に設計されたデータ処理アルゴリズムによってこれを測定データから除去し、標的車両の、及び他の車両物体の、欠如している状態を計算するように構成される。
【0022】
多くの状況において、その場合は後に処理することができるものの、当該車両の走行中に車線標示がカメラ型捕捉機器2によって必要な信頼性をもって捕捉されないかもしれない。したがって、あるアルゴリズムも前処理モジュール40に実装され、これは環境中の標的車両の、及び他の車両物体の、並びに当該車両自体の測定された状態に基づいて、並びにカメラ型捕捉機器2により捕捉される車線標示及び静止物体、例えばガードレール、勾配等に基づいて、道路のコースと車線のコースを推定するように設計される。
【0023】
物理的軌道計算モジュール41も予測モジュール4に実装され、当該車両の環境中の標的車両の軌道を、物理的軌道計算モデルに基づいて前処理モジュール40により提供されるデータから計算することができる。この場合、好ましくは改良CYRAモデルが使用され、このモデルでは、標的車両の個々の軌道が複数の物理モデルによって並行して計算され、これらの個々の軌道の重み付き結合が計算される。この場合、改良CYRAモデルは、標的車両の一定のヨーレートと一定の加速度の前提に基づく(“Constant Yaw Rate and Acceleration”、略してCYRA)。
【0024】
ドライバ挙動分類モジュール42もまた予測モジュール4に実装され、挙動分類を改善するために、運転行動検出システムに加えてマルコフ状態機械を有する。この場合、標的車両の挙動は、標的車両の正規化された車線割当、標的車両の正規化された車線割当の逸脱、及び速度ベクトルに基づいて、複数のカテゴリ、例えば「車線変更」、「車線維持」、「加速」、「制動」、「速度保持」に分類される。ドライバ挙動分類モジュール42の入力変数は、標的車両のN個の推定状態履歴、その他の車両物体のN個の推定状態履歴、及び道路の推定コースを形成する。
【0025】
パスプラニングモジュール43も予測モジュール4に実装され、このパスプラニングモジュールは、ドライバ挙動分類モジュール42から入力データを受け取り、標的車両の挙動に基づく軌道を予測して出力するように設計される。パスプラニングモジュール43は、標的車両のドライバ挙動に基づく軌道を、ドライバの挙動を表す挙動カテゴリに基づき、及び標的車両の状態と標的車両の履歴に基づいて計算するように構成される。
【0026】
軌道結合モジュール44も予測モジュール4に実装される。この軌道結合モジュール44は、物理的軌道計算モジュール41により計算される軌道のパラメータとパスプラニングモジュール43によって計算される軌道のパラメータを、最適化アルゴリズムに基づいて結合するように設計される。この目的のために、最適化モジュール5は演算機器3に実装され、物理的軌道計算モジュール41、ドライバ挙動分類モジュール42、及びパスプラニングモジュール43により取得された標的車両の軌道の全パラメータを適切な最適化技術によって共同で適応するように設計される。
【0027】
図2に関して、前処理モジュール40によるカメラ型捕捉機器2により捕捉されたデータの前処理のさらに詳細な事柄を以下により詳しく説明する。この場合、標的車両の過去のN個(バッファ400)の標的位置(x,y位置)に基づいて標的車両のヨー及びヨーレートを推定する新規な方法を採用する。
【0028】
実質的な課題は、カメラ型捕捉機器2のカメラセンサが通常、標的車両のヨー及びヨーレートの信頼できる推定を提供できないという点である。これは、カメラ型捕捉機器2により捕捉される標的車両の標的位置が白色ガウスノイズと非白色非ガウスノイズの両方を伴うからである。
【0029】
ここで用いられる方法において、標的ヨー及び標的ヨーレートは、ヨー計算モジュール402によってカメラによる測定に基づいて推定され、好ましくは適応型RANSACアルゴリズム401により捕捉される外れ値は無視され、好ましくはノイズの影響がアルファ-ベータフィルタアルゴリズム403によって排除される。バッファ400からの標的車両のN個の過去の標的位置(x,y位置)に加えて、x方向への標的車両の速度もRANSACアルゴリズム401に含められる。
【0030】
カメラ型捕捉機器2は、標的車両の車両状態を車両のx-y座標系内の位置として出力し、x軸は車両の前進走行方向を表す。ヨー及びヨーレートを推定する新規なアルゴリズムは、改良RANSACフィルタアルゴリズム401及びアルファ-ベータフィルタ403に基づく。この場合、標的車両の標的位置のN個の測定値が記録される。標的車両の位置は、RANSACアルゴリズム401を利用して線にフィッティングされ、そのパラメータは標的位置及び標的速度に基づいてオンラインで適応される。フィッティングされた線と標的車両のx座標との間の角度はごく容易に計算でき、標的車両のヨーの測定値を形成する。このようにして計算されたヨーは、フィルタ処理されたヨー及び推定されたヨーレートを出力するように設計されたアルファ-ベータアルゴリズム403にとって利用可能とされる。
【0031】
さらに図3に関して、最適化モジュール5により実行される最適化方法のさらに詳細な事柄を以下により詳しく説明する。
【0032】
標的車両に関する、並びに当該車両の環境中の他の車両物体及び検出された路面標示に関するオブジェクトデータは、カメラ型捕捉機器2によって記録される。この場合、各標的車両及び各他の車両物体は、二次元ボックス及びそれらの対応する共分散行列と共に、カメラ型捕捉機器2のカメラインタフェースによって提供される。捕捉された各路面標示は、カメラインタフェースを介してクロソイドとして提供される。
【0033】
最適化モジュール5は参照抽出モジュール50を有し、これは、カメラ型捕捉機器2から上述の方法で取得されたデータを以下のように処理する:
・クロソイドとして記録された、記録済みの路面標示(道路上の線)が三次多項式にフィッティングされる。
・路面標示(道路上の線)が、道路のコースを抽出するために新規なアルゴリズムに供給され、それによって道路のコースの推定が計算される。
・標的車両の、及び他の車両物体の記録された位置が平滑化関数によって処理される。この平滑化の結果は、標的車両の、及び他の車両物体の実際の軌道の推定である。
・ドライバの基本的真実挙動(basic truth behavior)が道路のコースの推定並びに標的車両及び他の車両物体の軌道に基づいて特徴付けられる。
【0034】
これらのデータは、評価モジュール51にとって利用可能とされる。予測モジュール4は、カメラ型捕捉機器2により記録されたデータを読み込み、これらのデータを前処理した後、特定の標的車両の軌道の予測を提供する。この予測と推定されたドライバの基本的真実挙動との間のx及びy座標内のエラーが、評価モジュール51によって計算される。ドライバ挙動分類モジュール42によって分類されたドライバ挙動との違いは、特徴付けられたドライバの基本的真実挙動と比較される。
【0035】
好ましくはシミュレーションによる焼きなまし法に基づく最適化アルゴリズム52は、予測モジュール4のための更新されたパラメータを計算して、x及びy方向へのエラーとドライバ挙動分類モジュール42内のエラーを最小にする。
【0036】
道路のコースを抽出するアルゴリズムは、路面標示の不正確な測定を用いて、道路の実際のコースの推定をカメラ型捕捉機器2のカメラ記録から抽出する新規な方法を提供する。このアルゴリズムは、記録された不正確な比較的短い路面標示(線)のウィンドウを使用し、そこからヒストグラム推定を使って路面標示の実際の位置を特定する。ヒストグラム推定に加えて、このアルゴリズムは好ましくは、道路の合流及び連絡点を検出するために発見的方法も使用する。このアルゴリズムの出力は、道路の推定コースである。
【符号の説明】
【0037】
1 システム
2 カメラ型捕捉機器
3 演算機器
4 予測モジュール
42 ドライバ挙動分類モジュール
52 最適化アルゴリズム
401 RANSACフィルタアルゴリズム
403 アルファ-ベータフィルタアルゴリズム
図1
図2
図3