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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】抗菌カップ及びその生産プロセス
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20230808BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20230808BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20230808BHJP
   A41C 5/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A41C3/12 A
C08G18/00 F
C08G18/48
A41C5/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021134230
(22)【出願日】2021-08-19
(65)【公開番号】P2022117923
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】202110139027.9
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/078636
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521367846
【氏名又は名称】騰飛科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TENGFEI TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】South Of Dongqiu Road, ZhangPu Town Kunshan, Jiangsu 215300 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】叶 剛
(72)【発明者】
【氏名】梅 先明
(72)【発明者】
【氏名】呉 弋凱
(72)【発明者】
【氏名】羅 萌
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111374355(CN,A)
【文献】特開平10-114812(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109485819(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105614973(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112063161(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C3/00-3/14
A41C 5/00
C08G18/00-18/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌カップであって、
裏弾性生地、表弾性生地、前記裏弾性生地と前記表弾性生地との間に設けられた抗菌スポンジを含み、前記抗菌スポンジと、前記裏弾性生地及び前記表弾性生地との間には、通気間隙を備えるホットメルト接着剤層がそれぞれ設けられており、
前記抗菌スポンジには、質量部比で、PPG500~1000部、POP100~600部、界面活性剤6~14部、水15~38部、トリエチレンジアミン2~5部、有機スズ触媒1~3部、黄変防止剤20~60部、抗菌剤10~30部、ポリウレタン群500部が含まれ、
前記PPGは、分子量3000~4000、水酸基価46~56の3官能のポリエーテルポリオールであり、前記POPは、水酸基価28~36、固形分30~50%の3官能のグラフトポリオールであり、前記ポリウレタン群には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのうち、少なくとも1つが含まれ、前記抗菌剤は、ナノ亜鉛抗菌剤であり、
前記ホットメルト接着剤層は、ベース接着剤液を用いて前記裏弾性生地及び表弾性生地に成形されたマトリックス型点接着層であり、前記ベース接着剤液には、一定の質量部に従って、ヒドロキシシリコーンオイル100部、ビニルトリエトキシシラン2~4部、アルカン溶媒35~50部、チタン酸エステルキレート0.2~1部、シリカ増粘剤4~5部、AZOナノ導電性粉末0.1~0.3部が含まれ、前記ヒドロキシシリコーンオイルは、水酸基含有量が3%~4%で、周囲温度25℃での粘度≦20mPa・sであり、
前記黄変防止剤は、耐高温熱圧酸化防止剤、耐水洗酸化防止剤、耐UV助剤を含み、
前記耐高温熱圧酸化防止剤は、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)であり、
前記耐水洗酸化防止剤は、テトラキス(β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)ペンタエリスリトールエステルであり、
前記耐UV助剤は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート又は4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジノールのポリマーである
ことを特徴とする抗菌カップ。
【請求項2】
前記ナノ亜鉛抗菌剤の分子式は、

である
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌カップ。
【請求項3】
前記ポリウレタン群には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが含まれ、前記トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートの質量比は、20:10~12:3~5である
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌カップ。
【請求項4】
前記裏弾性生地は、経方向及び緯方向の開度が210~220%で、且つ回復率が98%超であり、
前記表弾性生地は、経方向及び緯方向の開度が225~240%で、且つ回復率が98%超であ
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌カップ。
【請求項5】
請求項1~の何れか一項に記載の抗菌カップの生産プロセスであって、
PPG、POP、水、トリエチレンジアミンを十分に撹拌混合するとともに、撹拌中に抗菌剤を徐々に加えて混合液を得て、混合液を85~95℃に昇温し、15~30分間維持して抗菌混合液を得て、抗菌混合液、界面活性剤、有機スズ触媒、黄変防止剤、ポリウレタン群をリアクターに投入して発泡処理させて、前記抗菌スポンジを得るステップS1と、
抗菌スポンジをカップ体にカットするステップS2と、
裏弾性生地及び表弾性生地にベース接着剤液のマトリックス型点接着層を成形させるステップS3と、
カップ体を裏弾性生地と表弾性生地との間に挟持して熱間プレス複合成形して、カップ体を形成するステップS4と、
カップ体の外縁を成形させて抗菌カップを形成するステップS5とを包含する
ことを特徴とする抗菌カップの生産プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌カップ及びその生産プロセスに関し、下着カップの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
カップという言葉は、フランス人によって決定されたものである。ブラジャーは、1920年代にフランス人によって発明されたものであるため、以前の名前はコルセット(Corset)であった。ブラジャーは、ブラ(bra)と略され、この言葉は、フランス語に由来したものである。フランス人は、ブラジャーを発明すると同時に、そこから派生したバスト又は乳房のサイズの単位も決定した。カップという言葉は、中国人によって非常にイメージ的に捉え易く翻訳されている。というのは、ブラジャーは、ストラップを除いて、カップのようにバストを覆う2つのカバーとなっているからであり、更にカップのサイズによって乳房のサイズを測定すれば、シンプルで分かり易い。
【0003】
カップは、モールドカップとクリップカップに分けられており、ブラジャーのスポンジカップとなるモールドカップは、1枚のスポンジを高温のモールドで成形させてなる固定カップであり、一度のプレスで成形される。モールドカップに対するのは、クリップカップであり、クリップとは、スポンジの両面に布を貼り、スポンジを中間に挟んでから、同様のスポンジを用いてブラカップの模様を切り取り、最後に縫い合わせてカップとすることである。
【0004】
公開番号CN109043683Aの中国特許出願には、抗菌ヘルスケア機能に基づく下着カップが開示されており、当該下着カップでは、溶融混紡された中間織物を用いてクリップカップの中間層を形成し、ポリエステルマスターペレット中の無機抗菌粒子によって抗菌の役割を果たしているが、ポリエステルマスターペレットの糸形成中には、無機抗菌粒子と熱融着糸との間の結合力が不足し、熱融着糸の表面の無機抗菌粒子が脱落し易く、また、当該中間織物の弾性及び弾性復元性が悪く、着心地に影響を与えてしまう。
【0005】
従来技術には、抗菌機能を備えるポリウレタンスポンジもある。公開番号CN106317496Aの中国特許出願には、高弾性抗菌消臭スポンジが開示されており、当該発明では、茶ポリフェノール、よもぎ粉からなる抗菌剤を添加して、スポンジに良好な抗菌性能を持たせることで、防臭・消臭の目的を実現している。公開番号CN106146960Aの中国特許出願には、通気型抗菌スポンジの製作方法が開示されており、当該発明では、ポリエチレン、加硫活性剤、充填剤、発泡剤及び抗菌剤を添加することで、多孔質のスポンジが細菌を繁殖させ易いという問題を効果的に解決できる。公開番号CN106008915Aの中国特許出願には、光触媒ナノ二酸化チタン抗菌スポンジ及びその生産プロセスが開示されており、当該発明では、光触媒ナノ二酸化チタンと発泡原料とを一定の質量部に従ってミキサーに入れて混合し、均一に撹拌して発泡させる。公開番号CN101139429の中国特許出願には、ナノ抗菌スポンジ及びその加工プロセスが開示されており、当該発明では、ナノ抗菌剤と発泡原料とを一定の重量比に従って撹拌して均一に混合させ、事前に用意した箱体内に注入すると、発泡し始めるが、ポリウレタンスポンジの生産では、高温セットを行う必要があり、一般に、有機抗菌剤は、高温で分解し易く、これに起因して、効果が弱まり、長期効果が不十分になるが、無機抗菌剤は、発泡プロセス中に均一に分散され難く、凝集が発生し易い。
【0006】
また、従来のポリウレタンスポンジのクリップカップは、ホットメルト接着剤による2層生地の複合とされているが、無機抗菌剤は、接触式の抗菌・静菌であり、ホットメルト接着剤複合層は、通気性が悪く、ポリウレタンスポンジの抗菌・静菌効果に影響を与え易いとともに、生地とポリウレタンスポンジとは、弾性復元性に差があり、長期使用及び水洗により、しわが発生して美観が損なわれ易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来のクリップカップに多くの欠陥が存在するという問題に鑑みて、上記従来技術の欠点を解決する抗菌カップ及びその生産プロセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によって採用される技術案は、以下の通りである。
【0009】
抗菌カップであって、
【0010】
裏弾性生地、表弾性生地、前記裏弾性生地と前記表弾性生地との間に設けられた抗菌スポンジを含み、前記抗菌スポンジと、前記裏弾性生地及び前記表弾性生地との間には、通気間隙を備えるホットメルト接着剤層がそれぞれ設けられており、
【0011】
前記抗菌スポンジには、質量部比で、PPG500~1000部、POP100~600部、界面活性剤6~14部、水15~38部、トリエチレンジアミン2~5部、有機スズ触媒1~3部、黄変防止剤20~60部、抗菌剤10~30部、ポリウレタン群500部が含まれ、
【0012】
前記PPGは、分子量3000~4000、水酸基価46~56の3官能のポリエーテルポリオールであり、前記POPは、水酸基価28~36、固形分30~50%の3官能のグラフトポリオールであり、前記ポリウレタン群には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのうち、少なくとも1つが含まれ、前記抗菌剤は、ナノ亜鉛抗菌剤である。
【0013】
好ましくは、前記ナノ亜鉛抗菌剤の分子式は、
である。
【0014】
好ましくは、前記ポリウレタン群には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが含まれ、前記トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートの質量比は、20:10~12:3~5である。
【0015】
好ましくは、前記黄変防止剤は、耐高温熱圧酸化防止剤、耐水洗酸化防止剤、耐UV助剤を含む。
【0016】
好ましくは、前記裏弾性生地は、経方向及び緯方向の開度が210~220%で、且つ回復率が98%超であり、
前記表弾性生地は、経方向及び緯方向の開度が225~240%で、且つ回復率が98%超であり、
前記ホットメルト接着剤層は、ベース接着剤液を用いて前記裏弾性生地及び表弾性生地に成形されたマトリックス型点接着層であり、前記ベース接着剤液には、一定の質量部に従って、ヒドロキシシリコーンオイル100部、ビニルトリエトキシシラン2~4部、アルカン溶媒35~50部、チタン酸エステルキレート0.2~1部、シリカ増粘剤4~5部、AZOナノ導電性粉末0.1~0.3部が含まれ、前記ヒドロキシシリコーンオイルは、水酸基含有量が3%~4%で、周囲温度25℃での粘度≦20mPa・sである。
【0017】
本発明は、抗菌カップの生産プロセスを更に提供しており、当該生産プロセスは、
PPG、POP、水、トリエチレンジアミンを十分に撹拌混合するとともに、撹拌中に抗菌剤を徐々に加えて混合液を得て、混合液を85~95℃に昇温し、15~30分間維持して抗菌混合液を得て、抗菌混合液、界面活性剤、有機スズ触媒、黄変防止剤、ポリウレタン群をリアクターに投入して発泡処理させて、前記抗菌スポンジを得るステップS1と、
抗菌スポンジをカップ体にカットするステップS2と、
裏弾性生地及び表弾性生地にベース接着剤液のマトリックス型点接着層を成形させるステップS3と、
カップ体を裏弾性生地と表弾性生地との間に挟持して熱間プレス複合成形して、カップ体を形成するステップS4と、
カップ体の外縁を成形させて抗菌カップを形成するステップS5とを包含する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は、主に以下の通りである。
【0019】
1.抗菌スポンジは、非常に優れた抗菌・静菌効果を有し、長寿命が効果的に維持される。
【0020】
2.特定の成分比により、抗菌剤は、発泡基材において均一に分布するとともに、抗菌スポンジは、非常に優れた高反発特性、耐疲労性及び耐酸化性を備える。
【0021】
3.クリップカップ構造の抗菌カップを用いることで、抗菌カップの構造安定性を向上させることができ、水洗後、表面にしわが発生し難くなると同時に、カップの弾性復元率及び着心地を向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、抗菌カップ及びその生産プロセスを提供する。以下、本発明の技術案をより理解及び把握し易くするために詳述する。
【0023】
抗菌カップは、裏弾性生地、表弾性生地、裏弾性生地と前記表弾性生地との間に設けられた抗菌スポンジを含み、抗菌スポンジと、前記裏弾性生地及び表弾性生地との間には、通気間隙を備えるホットメルト接着剤層がそれぞれ設けられている。
【0024】
抗菌スポンジには、質量部比で、PPG500~1000部、POP100~600部、界面活性剤6~14部、水15~38部、トリエチレンジアミン2~5部、有機スズ触媒1~3部、黄変防止剤20~60部、抗菌剤10~30部、ポリウレタン群500部が含まれる。
【0025】
PPGは、分子量3000~4000、水酸基価46~56の3官能のポリエーテルポリオールであり、POPは、水酸基価28~36、固形分30~50%の3官能のグラフトポリオールであり、ポリウレタン群には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのうち、少なくとも1つが含まれ、抗菌剤は、ナノ亜鉛抗菌剤である。
【0026】
当該ナノ亜鉛抗菌剤の分子式は、
である。
【0027】
ポリウレタン群を最適化すると、当該ポリウレタン群には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが含まれ、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートの質量比は、20:10~12:3~5である。
【0028】
黄変防止剤は、精製されており、耐高温熱圧酸化防止剤、耐水洗酸化防止剤、耐UV助剤を含む。当該耐高温熱圧酸化防止剤は、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)であり、耐水洗酸化防止剤は、テトラキス(β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)ペンタエリスリトールエステルであり、耐UV助剤は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート又は4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジノールのポリマーである。
【0029】
実施例一
【0030】
PPG600部、POP100部、界面活性剤6部、水24部、トリエチレンジアミン2部、有機スズ触媒1部、黄変防止剤20部、抗菌剤15部、ポリウレタン群500部を量り取り、
【0031】
PPG、POP、水、トリエチレンジアミンを十分に撹拌混合し、高速撹拌中に抗菌剤を加え、85℃に昇温して反応を15分間維持し、最後に反応液、界面活性剤、有機スズ触媒、黄変防止剤、ポリウレタン群をリアクターに投入して発泡反応させ、従来の発泡プロセスに従った発泡によって抗菌スポンジ試料1を得た。
【0032】
実施例二
【0033】
PPG900部、POP200部、界面活性剤8部、水20部、トリエチレンジアミン3部、有機スズ触媒2部、黄変防止剤60部、抗菌剤20部、ポリウレタン群500部を量り取り、
PPG、POP、水、トリエチレンジアミンを十分に撹拌混合し、高速撹拌中に抗菌剤を加え、90℃に昇温して反応を30分間維持し、最後に反応液、界面活性剤、有機スズ触媒、黄変防止剤、ポリウレタン群をリアクターに投入して発泡反応させ、従来の発泡プロセスに従った発泡によって抗菌スポンジ試料2を得た。
【0034】
実施例三
【0035】
PPG800部、POP600部、界面活性剤11部、水38部、トリエチレンジアミン5部、有機スズ触媒3部、黄変防止剤45部、抗菌剤30部、ポリウレタン群500部を量り取り、
PPG、POP、水、トリエチレンジアミンを十分に撹拌混合し、高速撹拌中に抗菌剤を加え、95℃に昇温して反応を30分間維持し、最後に反応液、界面活性剤、有機スズ触媒、黄変防止剤、ポリウレタン群をリアクターに投入して発泡反応させ、従来の発泡プロセスに従った発泡によって抗菌スポンジ試料3を得た。
【0036】
実施例一~実施例三の出発原料は、市場から購入するか、又は従来の技術手法に従って調製することができる。
【0037】
抗菌スポンジ試料1~抗菌スポンジ試料3に対して抗菌及び静菌試験を行った。抗菌性能については、GB/T20944.2-2007吸収法を採用した。
【0038】
抗菌スポンジ試料1に対する抗菌テスト:
【0039】
抗菌スポンジ試料2に対する抗菌テスト:
【0040】
抗菌スポンジ試料3に対する抗菌テスト:
【0041】
以上より、本願は、抗菌スポンジの配合を最適化しているため、その抗菌・静菌効果が満たされ、3つの試料は、純水に浸して乾燥させた後の静菌再テストでも、96%以上の静菌率を維持している。
【0042】
抗菌カップの耐水洗性及び表面弾性を維持するために、以下の特定の設計が採用されている。即ち、
裏弾性生地は、経方向及び緯方向の開度が210~220%で、且つ回復率が98%超であり、
表弾性生地は、経方向及び緯方向の開度が225~240%で、且つ回復率が98%超であり、
ホットメルト接着剤層は、ベース接着剤液を用いて裏弾性生地及び表弾性生地に成形されたマトリックス型点接着層であり、ベース接着剤液には、一定の質量部に従って、ヒドロキシシリコーンオイル100部、ビニルトリエトキシシラン2~4部、アルカン溶媒35~50部、チタン酸エステルキレート0.2~1部、シリカ増粘剤4~5部、AZOナノ導電性粉末0.1~0.3部が含まれ、ヒドロキシシリコーンオイルは、水酸基含有量が3%~4%で、周囲温度25℃での粘度≦20mPa・sである。
【0043】
つまり、裏弾性生地と表弾性生地との差異化特性を利用することで、裏表の締め付け力の調整のニーズを満たすとともに、特定成分のホットメルト接着剤層を用いることで、強固な複合のニーズを満たすだけではなく、しわ防止及び表面接触静菌・抗菌のニーズを満たしている。
【0044】
1つの具体的な実施例において、裏弾性生地の経方向及び緯方向の開度は、215±3%とされ、表弾性生地の経方向及び緯方向の開度は、230±3%とされ、ホットメルト接着剤層は、ベース接着剤液を用いて裏弾性生地及び表弾性生地に印刷成形されたマトリックス型点接着層とされることで、非常に優れた通気性を提供できる。ベース接着剤液には、一定の質量部に従って、ヒドロキシシリコーンオイル100部、ビニルトリエトキシシラン2部、アルカン溶媒42部、チタン酸エステルキレート0.3部、シリカ増粘剤4.5部、AZOナノ導電性粉末0.2部が含まれる。
【0045】
当該ベース接着剤液を用いれば、裏弾性生地及び表弾性生地の優れた弾性復元性を維持でき、裏弾性生地及び表弾性生地の過度の弾性減衰を引き起こすことなく、剥離力は、信頼性が高く安定している。
【0046】
以上の記載から分かるように、本発明に係わる抗菌カップ及びその生産プロセスによれば、抗菌スポンジは、非常に優れた抗菌・静菌効果を有し、長寿命が効果的に維持される。特定の成分比により、抗菌剤は、発泡基材において均一に分布するとともに、抗菌スポンジは、非常に優れた高反発特性、耐疲労性及び耐酸化性を備える。クリップカップ構造の抗菌カップを用いることで、抗菌カップの構造安定性を向上させることができ、水洗後、表面にしわが発生し難くなると同時に、カップの弾性復元率及び着心地を向上させる。
【0047】
以上、本発明の技術案を十分に説明したが、留意されたいのは、本発明の具体的な実施形態は、上記の説明に制限されず、当業者が本発明の精神本質に従い、構造、方法や機能等の面で、同等又は等価の置換によって形成される技術案は、全て本発明の保護範囲内に含まれることである。