(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】様々な厚さのワークピースのための把持システム
(51)【国際特許分類】
B41F 15/26 20060101AFI20230808BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230808BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20230808BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20230808BHJP
H05K 3/34 20060101ALN20230808BHJP
H05K 3/12 20060101ALN20230808BHJP
【FI】
B41F15/26 A
H01L21/68 N
B41F15/08 303E
B41M1/12
H05K3/34 505D
H05K3/12 610N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021173820
(22)【出願日】2021-10-25
【審査請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514153171
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・エスエムティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・マーク・ミルナー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・チーズマン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ウェストレイク
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-116584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0041851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/26
H01L 21/683
B41F 15/08
B41M 1/12
H05K 3/34
H05K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平面状のワークピースを把持する方法であって、
i)ワークピース支持および把持アセンブリを提供するステップであって、前記ワークピース支持および把持アセンブリは、以下の構成要素:
ツーリングテーブルと少なくとも1つの係合部材とを備えるツーリングであって、前記少なくとも1つの係合部材は、ワークピースの下側を支持するように適合される上面を有する、ツーリングと、
輸送システムからのワークピースを受容するための、それぞれの第1のコンベヤおよび第2のコンベヤを備える、第1のレールおよび第2のレールと、
把持力を前記ワークピースに付加するためのそれぞれの第1の接触端部および第2の接触端部を備える、第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットと、を含み、
これらの構成要素の全ては、他の構成要素に対して垂直に移動可能である、ステップと、
ii) 前記ワークピースを、前記ツーリングが前記ワークピースの下にある状態で前記第1のコンベヤおよび前記第2のコンベヤ上に配置するステップと、
iii) 前記ワークピースが前記第1のコンベヤおよび前記第2のコンベヤから持ち上げられて前記接触端部の下側と接触するように前記ツーリングテーブルを上昇させるステップと、
iv) 前記第1の接触端部および前記第2の接触端部を介して前記ワークピースに下向きの力を付加するステップと、
を含み、
ステップiii)では、前記ワークピースと前記接触端部との接触に続いて、前記ツーリングテーブルが上方向に過駆動され、前記第1のレールおよび前記第2のレールから離れて前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットを持上げ
、
当該方法が、
前記第1のレールおよび前記第2のレールを基準位置まで上昇させる後続のステップであって、前記上昇は、前記第1のレールおよび前記第2のレールと前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットとの相対垂直位置を測定することによって少なくとも部分的に制御される、ステップを
さらに備える、方法。
【請求項2】
ステップiii)では、前記ツーリングテーブルは、予め決定された距離だけ上方向に過駆動される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め決定された距離の前記過駆動は、前記第1のレールおよび前記第2のレールと前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットとの相対垂直位置を測定することによって制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記下向きの力は、空気圧的に付加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記下向きの力は、前記第1のレールおよび前記第2のレールと前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットとの相対垂直位置を測定することによって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
v)前記ワークピースを予め決定された高さに運ぶために、前記ツーリングテーブルを上昇させるまたは下降させるステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ツーリングテーブルの前記上昇または前記下降は、ステップii)とステップiv)とに続いて、前記第1のレールおよび前記第2のレールと前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットとの相対垂直位置を測定し、得られた測定値を比較し、前記測定値の差に応じて前記ツーリングテーブルを上昇させるまたは下降させることによって制御される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップii)の最後に、前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットが、前記第1のレールおよび前記第2のレールのそれぞれの部分に載る、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のクランプブラケットおよび前記第2のクランプブラケットをそれぞれ前記第1のレールおよび前記第2のレールに向かって下向きに付勢するステップを含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップiv)で付加される前記下向きの力は、前記ワークピースを把持するためにステップiv)に続いて維持される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップiv)の後続のステップであって、前記ワークピースを把持するために、前記第1のレールおよび前記第2のレールの少なくとも一方を介して前記ワークピースの横方向端部に水平な把持力を付加するステップを含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
印刷機械の中で実質的に平面状のワークピースを把持して前記印刷機械で印刷動作を実行するための、
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法を実行するための印刷機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に平面状のワークピースを把持する方法と、印刷動作において実質的に平面状のワークピースに印刷媒体を塗布するための印刷機械と、に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用スクリーン印刷機械は、典型的には、角度を付けられたブレードまたはスキージを使用して、張力をかけられた(時にマスクまたはステンシルと称される)印刷スクリーンの開口部のパターンを介して導電性印刷媒体を塗布することにより、はんだペースト、銀ペーストまたは導電性インクなどの導電性印刷媒体を回路基板などの平面状のワークピースに塗布する。同じ機械は、グルーまたは他の接着剤などの特定の非導電性媒体をワークピースに印刷するためにも使用され得る。
【0003】
ワークピースを固定して印刷中の移動を最小化するために、ワークピースは、コンベヤシステム内のトッププレートに組み込まれたばね鋼箔により前端部と後端部とが把持されるように「トップクランプ」され得る。
【0004】
通常、空気圧シリンダは、トッププレートをワークピースの頂部へと下向きに局所的に作動させるために採用され、電子圧力調整は、それに付加されるクランプ圧力を制御するために採用される。
【0005】
次に、ワークピースは、ワークピースが印刷スクリーンの下側に接触するように、印刷高さまで上向きに駆動され、次に、印刷媒体が印刷スクリーンを介してワークピースに塗布される印刷動作が開始し得る。
【0006】
しかしながら、このような既知のシステムには、ワークピース厚さのばらつきが印刷プロセスに悪影響を与え得るという問題が存在する。例として、基板サプライヤーは、典型的には、製造公差による公称厚さについて±10%のばらつきを見積もる。この公称厚さより薄いワークピースは、最終的に最適な印刷高さよりわずかに下の垂直位置にあり、一般に「印刷ギャップ」として知られるものを引き起こす可能性がある。公称厚さより厚いワークピースは、最終的に最適な印刷高さよりわずかに高い垂直位置にあり、一般に「負の印刷ギャップ」として知られるものを引き起こす可能性がある。一般的には、負の印刷ギャップにおいてはワークピースと印刷スクリーンとの間に少なくとも接触があるため、「負の印刷ギャップ」の存在は、印刷ギャップより好ましい。しかしながら、印刷品質と歩留まりとに悪影響を与えない負の印刷ギャップの大きさには制限があり、ワークピースおよび印刷スクリーンの少なくとも一方に損傷を与える可能性がある。
【0007】
ワークピース厚さの小さいばらつきは、負の印刷ギャップを促進するようにオフセットを使用して吸収され得、これにより、ワークピースは、ガスケットが印刷スクリーンの下側とワークピースの(「頂面」として知られる)上面との間に形成されることを確保するように、ステンシルに少量過駆動される。例えば、1.0mmの公称ワークピース厚さは、おそらくこのような負の印刷ギャップを使用して適合させられる±0.1mmのばらつきのみを被るであろう。
【0008】
しかしながら、公差はパーセンテージの表現で見積もられるので、公称ワークピース厚さが増加するにつれて変動量が増加する。例えば、6.0mmの公称ワークピース厚さは、負の印刷ギャップを使用して適合させられ得ない±0.6mmの比較的大きいばらつきを被るであろう。
【0009】
したがって、ワークピース厚さの大きいばらつきは、印刷ギャップにおいて不十分な制御をもたらし得、結果として不十分な制御は、不十分な歩留まりを導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、この問題に対処し、したがって、ばらつきのある厚さのワークピースに適応し得る印刷プロセスを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、従来のワークピースクランププロセスを、クランププロセス中のクランプブラケットとレールブラケットとの相対的な高さの測定を通して制御される「過駆動する」ステップを含むように適合させることにより達成される。
【0012】
本発明の第1の態様によると、実質的に平面状のワークピースを把持する方法であって、
i)ワークピース支持および把持アセンブリを提供するステップであって、ワークピース支持および把持アセンブリは、以下の構成要素:
ツーリングテーブルと少なくとも1つの係合部材とを備えるツーリングであって、少なくとも1つの係合部材は、ワークピースの下側を支持するように適合される上面を有する、ツーリングと、
輸送システムからのワークピースを受容するための、それぞれの第1のコンベヤおよび第2のコンベヤを備える、第1のレールおよび第2のレールと、
把持力をワークピースに付加するためのそれぞれの第1の接触端部および第2の接触端部を備える、第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットと、を含み、
これらの構成要素の全ては、他の構成要素に対して垂直に移動可能である、ステップと、
ii)ワークピースを、ツーリングがワークピースの下にある状態で第1のコンベヤおよび第2のコンベヤ上に配置するステップと、
iii)ワークピースがコンベヤから持ち上げられて接触端部の下側と接触するようにツーリングテーブルを上昇させるステップと、
iv)第1の接触端部および第2の接触端部を介してワークピースに下向きの把持力を付加するステップと、
を含み、
ステップiii)では、ワークピースと接触端部との接触に続いて、ツーリングテーブルが上方向に過駆動され、レールから離れてクランプブラケットを持上げる、方法が提供される。
【0013】
本発明の第2の態様によると、第1の態様による方法を実行するための印刷機械が提供される。
【0014】
本発明の第3の態様によると、印刷動作において実質的に平面状のワークピースに印刷媒体を塗布するための印刷機械であって、ワークピースは、互いに反対側の第1の主面および第2の主面を有し、使用中には、第1の主面は上向きであり、第2の主面は下向きであり、印刷機械は、
ワークピースを印刷機械の中に輸送するためのレールユニットと、
使用中にワークピースの第1の主面と接触するための、それぞれの第1の接触端部および第2の接触端部と、使用中に印刷スクリーンの下側と接触するための、水平なX-Y平面内に配置される実質的に平面状の上面を含むトッププレートと、を備える、第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットと、
使用中に輸送システムからのワークピースを受容するための、それぞれの第1のコンベヤおよび第2のコンベヤを備える、第1のレールおよび第2のレールと、
使用中にツーリング係合部材をその上に支持するためのツーリングテーブルと、
第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットを、第1のレールおよび第2のレールに対してX-Y平面に直交するZ軸に沿って移動させるように動作可能であるZ軸アクチュエータと、
第1のレールおよび第2のレールに対する第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットのZ軸に沿った位置を測定するための測定装置と、を備える印刷機械が提供される。
【0015】
本発明の他の具体的な態様および特徴は、添付の特許請求の範囲に述べられている。
【0016】
次に、本発明は、添付の図面(原寸比でない)を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図2】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図3】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図4】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図5】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図6】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図7】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【
図8】Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスのステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記のように、
図1から
図8は、Y-Z平面で得られた断面側面図において、本発明の実施形態によるトップクランププロセスの一連のステップを概略的に示す。
【0019】
i)初期設定
【0020】
初めに、
図1を見ると、ワークピース支持および把持アセンブリ1が示され、アセンブリ1は、例示のみのために、(印刷機械の大部分が図示されない)印刷機械内に配置され得る。示されるワークピースWは、実質的に平面状であり、例えば、回路基板またはウェーハを含み得る。この実施形態では、ワークピース支持および把持アセンブリ1は、以下の構成要素を含む。
i) ツーリングテーブル2を備えるツーリング(tooling)であって、ツーリングテーブル2が、垂直方向(Z方向)に駆動可能であり、ワークピースWの下に配置され、かつ平坦な上面を有する、ツーリング。ツーリングは、また、ワークピースWの下側を支持するように適合される上面4を有する少なくとも1つの係合部材3を含む。示されるように、係合部材3は、ツーリングブロックであって、例えば前もって配置されていた電子構成要素(図示されず)などのワークピースWの下側の任意の突出部品が、続く動作中に損傷されることを回避するためにツーリングブロック内の適切な寸法および形状とされた凹部内に受容され得るように、その上面4が輪郭付けられ得る、ツーリングブロック、すなわちモノリシックブロックを備える。先行技術で知られるように、例えば複数のツーリングピンまたは(出願人の「GridLok」システムなどの)高さ調整ピンのマトリクスアレイなど、ツーリングテーブル2上に配置される様々な種類の係合部材がある。この実施形態では、ツーリングは、また、以下でより詳細に説明されるようにクランププレートとして作用しかつワークピースWの横方向端部と直接係合する第1の支持ブラケット5Aおよび第2の支持ブラケット5Bを備える。係合部材3および以下で説明される他の構成要素の設計に応じて、例えば仮に、ワークピースWが係合部材3に適切にクランプされ得るように係合部材3がワークピースWの横方向端部に十分近い上端部面を有するとき、これらの支持ブラケット5A,5Bは、選択的なものであり得る。
ii) 印刷機械内の印刷エリアへと示されるX方向にワークピースを移送するそれ自体先行技術でよく知られているような輸送コンベヤなどの輸送システム(図示されず)の投入部からのワークピースWを受容するための、それぞれの第1のコンベヤ7Aおよび第2のコンベヤ7Bを備える、第1のレール6Aおよび第2のレール6B。コンベヤ7A,7Bは、例えばベルトまたはローラーを備え得、輸送システムからのワークピースWをその上に受容するように動作可能であり、ワークピースWをツーリングの上に位置付け、かつ印刷動作の完了に続いて、示されるX方向に輸送システムの排出部へと印刷されたワークピースWを再び移動させる。第1のレール6Aおよび第2のレール6Bは、ハードストップ8を含み、ハードストップ8は、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bと、それぞれの第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9B(以下参照)と、の間の垂直または示されるZ方向の最小距離を物理的に区切る。
iii) 把持力をワークピースWに付加するためのそれぞれの第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bを備える、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9B。示されるように、第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bは、比較的薄く、ばね鋼箔などの弾性的に変形可能な材料から形成される。第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bは、それぞれの対応するトッププレート10A,10Bからカンチレバー方式で支持され、接触端部11A,11Bの薄さは、それぞれのトッププレートの上面と実質的に同一平面である程度であり、その結果、印刷動作中に、印刷ヘッドは、印刷動作に悪影響を与え得る著しい高さの不連続性を経ることなく、トッププレートと接触端部との上を通過し得る。示されている実施形態では、トッププレート10A,10Bは、支承部13を介してクランプブラケット9A,9Bのそれぞれの第1の中間ブロック17Aおよび第2の中間ブロック17Bに接続され、その結果、トッププレート10A,10Bは、中間ブロック17A,17Bに対して横方向に(すなわち示されるY軸に沿って)移動し得る。以下でより詳細に説明されるように、この横方向の移動は、ワークピース支持および把持アセンブリ1が、第1のスナッグ(snugging)面および第2のスナッグ面を介してワークピースの側端部に横方向(すなわち示されるようにY軸に沿った)力を付加することによってワークピースが把持されるスナッグ機能を有する場合に有用である。しかしながら、ワークピース支持および把持アセンブリ1が、第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bを介してワークピースの頂面に下向きクランプ力を付加することによってワークピースが把持されるトップクランプ機能のみを有する場合、トッププレート10A,10Bおよびそれぞれの中間ブロック17A,17Bは、一体的に、または少なくともこのような横方向移動を可能にすることなく形成され得る。
【0021】
これらの構成要素の3つすべては、他の構成要素に対して垂直に(すなわち、示されるZ軸に沿って)移動可能であり、第1の支持ブラケットおよび第2の支持ブラケットは、支承部16を介して第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに接続され、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bは、支承部15を介して第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bに接続される。ツーリングテーブル2および係合部材3は、第1の支持ブラケット5Aおよび第2の支持ブラケット5B、第1のレール6Aおよび第2のレール6B、または第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bに、直接接続されない。好ましくは電気モーターを含むが代替的には空気圧アクチュエータも使用され得る、アクチュエータ(図示されず)が、垂直方向に、すなわち示されているZ軸に沿って独立してツーリングテーブル2を駆動するために提供される。好ましくは1つ以上であり電気モーターを含むが代替的には1つ以上の空気圧アクチュエータも使用され得る、少なくとも1つの他のアクチュエータ(図示されず)が、垂直方向に、すなわち示されているZ軸に沿って独立して第1のレール6Aおよび第2のレール6Bを駆動するために提供される。さらに、ワークピース支持および把持アセンブリ1は、以下でより詳細に説明されるように、第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットに下方向にトップクランプ力を提供するように動作可能であるそれぞれの空気圧アクチュエータ(図示されず)を含む。これらの空気圧アクチュエータは、都合よくは、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに配置され得る。加えて、スナッグ動作中に横方向に接触端部11A,11Bを移動させるアクチュエータ(図示されず)もまた提供される。これらのアクチュエータのすべては、適切な組み込みまたはダウンロード可能なソフトウェアを実行するコンピュータ、プロセッサ、または他の処理手段によって構成され得る制御システム(図示されず)によって制御される。
【0022】
第1のレール6Aおよび第2のレール6Bと、それぞれの第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bと、の間に示される垂直またはZ方向の最小距離を制限するハードストップ8に加えて、圧縮ばね14が、それぞれの第1のレール6Aおよび第2のレール6Bの各々と、それぞれの第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bと、の間に配置され、圧縮ばね14は、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bを第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに対して下向きに付勢するように作用する。
【0023】
これまでに説明されたように、装置は、出願人によって製造された印刷機械で現在使用されているものと同様である。
【0024】
本発明によれば、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに対する第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9BのZ軸に沿った位置を測定するための測定装置が提供される。示されるように、測定装置は、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bの各々に設けられる磁気エンコーダ12を備える。これは、制御システムへ位置フィードバックを提供し、したがって、Z軸に沿った接触端部11A,11Bの位置の制御を提供するように動作可能である。
【0025】
図1では、ワークピース支持および把持アセンブリ1は、ワークピースWが投入輸送システムから第1のコンベヤ7Aおよび第2のコンベヤ7Bに丁度装填された、初期構成で示される。ツーリングテーブル2およびその上に支持された係合部材3は、続く把持プロセス全体を通して最も低い垂直位置である後退垂直位置にある。第1の支持ブラケット5Aおよび第2の支持ブラケット5Bは、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bによって支持されているが、ツーリングテーブル2とは接触しない。第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bは、圧縮ばね14によって、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bのハードストップ8上に下向きに付勢される。
【0026】
ii)支持ブラケットをピックアップする持上げ
【0027】
図2に概略的に示される把持プロセスの次の段階では、ツーリングテーブル2が、制御システムによって上向きに、すなわち矢印で示されるように正のZ方向に移動させられ、ツーリングテーブル2が上向きに駆動するにつれて、第1の支持ブラケット5Aおよび第2の支持ブラケット5Bに接触し、次に持上げる。
【0028】
iii)ワークピースをピックアップする持上げ
【0029】
図3に概略的に示される把持プロセスの次の段階では、ツーリングテーブル2が引き続き上向きに駆動され、その結果、ワークピースWは、第1の支持ブラケット5Aおよび第2の支持ブラケット5Bならびに係合部材3によって、第1のコンベヤ7Aおよび第2のコンベヤ7Bから持上げられる。
【0030】
iv)接触端部への持上げ
【0031】
図4に概略的に示される把持プロセスの次の段階では、ツーリングテーブル2が引き続き上向きに駆動され、次に、ワークピースWの上面を第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bの下側へと駆動する。磁気エンコーダ12は、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに対する第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bの位置を監視するために使用され、この位置情報は、制御システムへ渡される。
【0032】
v)過駆動と位置測定
【0033】
図5に概略的に示される把持プロセスの次の段階では、ツーリングテーブル2の上向きの駆動が継続し、その結果、ワークピースWは、第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bへと過駆動される。過駆動距離、すなわちワークピースWが第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bと(
図4に示されるように)隣接した後にツーリングテーブル2が上昇させられる距離は、ワークピースW厚さ公差に基づいて予め決定される。より詳細には、過駆動距離は、ハードストップ8の上のギャップ(すなわち「クランプギャップ」)を第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bに対して残しながら、「最も薄い許容ワークピース」をクランプするのに十分な距離に設定される。「最も薄い許容ワークピース」は、公称厚さから厚さ公差を引いたものの1つであり、すなわちワークピースの基板材料に応じてIPC仕様4101Cまたはその後継に則った公称厚さの10%である。示されるように、過駆動によって第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bは、持上げられ、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bから離れ、ハードストップ8の上に第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bとのギャップが生じる。過駆動自体は、磁気エンコーダ12から取得した位置情報を使用して制御システムによって制御され、磁気エンコーダ12は、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに対する第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bの新しい位置、すなわち移動距離を監視し、この位置情報が制御システムへ渡される。
【0034】
vi)トップクランプ圧力および位置の再測定
【0035】
図6に概略的に示される把持プロセスの次の段階では、トップクランプ圧力が付加される。空気圧アクチュエータは、制御システムによって作動させられて、第1のクランプブラケットおよび第2のクランプブラケットを下向きに、すなわち矢印によって示される負のZ方向に駆動し、その結果、ワークピースWは、第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bと、第1の支持ブラケット5Aおよび第2の支持ブラケット5Bと、の間でしっかりと把持またはクランプされる。このトップクランプ圧力の付加後、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bは、ハードストップ8ではなく、ワークピースWを介して支持される、すなわちハードストップ8と第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bとの間にギャップが存在することに留意されるべきである。磁気エンコーダ12は、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに対する第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bの新しい位置、すなわち移動距離を監視するために再び使用され、この位置情報は制御システムへ渡される。付加される下向きの圧力は、把持される各ワークピースに対して予め決定されかつ一定であり、正確なまたは最適な厚さのワークピースに最適なクランプを提供する圧力に設定されることに留意されるべきである。ワークピースWと第1の接触端部11Aおよび第2の接触端部11Bとの間の相互作用により、クランプされるワークピースWが最適よりも薄い場合、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bの結果として生じる下向きの移動は予想よりも大きくなり、一方で、ワークピースWが最適よりも厚い場合、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bの結果として生じる下向きの移動は予想よりも小さくなる。
【0036】
vii)ツーリングテーブルの補償移動
【0037】
上で述べられるように、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bに対する第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bの位置情報は、過駆動と続くクランプとの両方の後に得られる。ワークピース厚さが判定されるように、次にこれらの得られた測定値の間の差が制御システムによって判定され得る。制御システムが、ワークピースが厚すぎてまたは薄すぎて良好な印刷ができないと判定した場合、次にワークピースWはこの時点で廃棄され得るが、以下のステップviii)に対して述べられるように、このようなワークピースは、プロセス中の追加の選択的なステップを通して引き続き対応し得る場合がある。しかしながら、ワークピースWがこれらの両極端な厚さの間の厚さを有する場合、ばらつきを補償しかつ後続の印刷動作のためにワークピースWの上面を第1のトッププレート10Aおよび第2のトッププレート10Bに対して予め決定された最適な高さに運ぶために、次にその公称厚さから離れた厚さの任意のばらつきは、ツーリングテーブル2をZ軸に沿って上にまたは下にばらつきに対応する量だけ移動させることによって補償され得る。
【0038】
viii)選択的なレールの持ち上げ
【0039】
図8に概略的に示される把持プロセスの次の段階は、選択的であり、前のステップに続くプロセス状態が不十分なクランプギャップをもたらす場合にのみ実行され、これは、ワークピースWの厚さが制御システムによって前のステップの説明で述べられるような良好な印刷のためには厚すぎるまたは薄すぎると判定された場合であり得る。この選択的なステップでは、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bは、既知の基準位置まで、矢印によって示されるように正のZ方向に沿って垂直に上向きに駆動され、その結果、ハードストップ8は、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bのより近傍に、しかし接触しないように移動される。これは、第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bが、その後の印刷動作中にごく少量だけ下向きに偏向され得、印刷ヘッドがトッププレート10A,10Bにかなりの下向きの力を及ぼし得ることを保証するので有利である。この駆動は、磁気エンコーダ12からのフィードバックを使用する制御システムによって制御される。
【0040】
ワークピース厚さ公差に基づいて予め決定された距離だけツーリングテーブル2を過駆動し、過駆動および後続のトップクランプ圧力の付加に続いて、第1のレール6Aおよび第2のレール6Bと第1のクランプブラケット9Aおよび第2のクランプブラケット9Bとの相対位置を測定し、次にこれらの測定位置に応じて第1のレール6Aおよび第2のレール6Bの持上げを制御するという上で概説されたステップが、ワークピースの厚さのばらつきを把持プロセス内で補償することを可能にすることは、当業者によって理解されるであろう。
【0041】
上で説明されるプロセスは、トップクランプのみを使用する。しかしながら、スナッグのみのシステム、または実際に組み合わせられたトップクランプおよびスナッグシステムもまた、本発明に従って同様の方法で動作し得る。例えば、スナッグのみのプロセスでは、
図1~
図6に関して上で概説されたステップは変更されておらず、その結果、ワークピースWの厚さは、同様の方法で測定されかつ補償される。しかしながら、これらのステップに続いて、少なくとも一方のレール6A,6Bが他方のレール6B,6Aに向かって移動し、第1のスナッグ面18Aおよび第2のスナッグ面18Bがワークピースの側壁と接触して、側部からワークピースWに水平な把持力を付加する。一方で、第1のトッププレート10Aおよび第2のトッププレート10Bは、ワークピースWに摩擦による損傷を引き起こすことを回避するために、選択的にトッププレート10A,10Bの正のZ方向への持ち上げと組み合わせて、後続の印刷動作との干渉を防ぐために、次に横方向に(すなわちY軸に沿ってワークピースWから離れる方向に)後退される。
【0042】
上で説明される実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲内の他の可能性および代替案は、当業者には明らかであろう。例えば、本発明は、特に印刷プロセスに関して上で説明されてきた一方で、本発明はそのように限定されない。例えば、上で説明されるクランププロセスは、他のプロセス、例えば、いわゆるピックアンドプレース機械の構成要素配置プロセスで使用するためにワークピースをクランプするプロセス、または実際にさまざまな他の実質的に平面状のワークピースのクランプが必要であるプロセスで使用され得る。
【符号の説明】
【0043】
1…ワークピース支持および把持アセンブリ、2…ツーリングテーブル、3…係合部材、4…係合部材上面、5A…第1の支持ブラケット、5B…第2の支持ブラケット、6A…第1のレール、6B…第2のレール、7A…第1のコンベヤ、7B…第2のコンベヤ、8…ハードストップ、9A…第1のクランプブラケット、9B…第2のクランプブラケット、10A…第1のトッププレート、10B…第2のトッププレート、11A…第1の接触端部、11B…第2の接触端部、12…磁気エンコーダ、13…支承部、14…圧縮ばね、15…支承部、16…支承部、17A…第1の中間ブロック、17B…第2の中間ブロック、18A…第1のスナッグ面、18B…第2のスナッグ面、W…ワークピース