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特許7328301情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20230808BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20230808BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20230808BHJP
【FI】
H04W16/18 110
H04W24/10
H04W64/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021181277
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2023069434
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 祐一
(72)【発明者】
【氏名】金田 麟太郎
(72)【発明者】
【氏名】劉 栩青
(72)【発明者】
【氏名】片山 昌也
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-034103(JP,A)
【文献】特開2015-092685(JP,A)
【文献】特開2017-208717(JP,A)
【文献】特開2006-303788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報として、前記候補ユーザの数に対する前記低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率に基づいて、前記候補エリアのうち、前記低品質ユーザ占有率が、前記候補ユーザに関する前記品質指標値の代表値ごとに異なる第2閾値であって、前記代表値が大きいほど大きい第2閾値以上である当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報として、前記候補ユーザ間の平均距離に基づいて、前記候補エリアのうち、前記平均距離が第3閾値を下回る当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、
前記候補ユーザ情報として、前記候補ユーザに関する前記品質指標値の代表値に基づいて、前記候補エリアのうち、前記代表値が第1閾値を下回る当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する、
請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記代表値は、前記候補ユーザに関する前記品質指標値の中央値、平均値または最頻値である、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、
前記候補ユーザ情報として、前記候補ユーザの数に対する前記低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率に基づいて、前記候補エリアのうち、前記低品質ユーザ占有率が第2閾値以上である当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、
前記候補ユーザに関する前記品質指標値の代表値ごとに異なる前記第2閾値であって、前記代表値が大きいほど大きい前記第2閾値に基づいて、前記候補エリアのうち、前記低品質ユーザ占有率が当該第2閾値以上である当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部は、
前記候補ユーザ情報として、前記候補ユーザ間の平均距離に基づいて、前記候補エリアのうち、前記平均距離が第3閾値を下回る当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推定部は、
前記候補エリアの推定において、前記候補ユーザ情報に係る複数の閾値のうち、前記候補ユーザに関する前記品質指標値の代表値の第1閾値、前記候補ユーザの数に対する前記低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率の第2閾値または前記候補ユーザ間の平均距離の第3閾値のうち少なくともいずれか1つを調整する、
請求項1~のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記抽出部は、
前記端末装置と前記基地局との間の通信に関する電波の電波強度および前記電波の干渉状況を示す指標値に基づく前記品質指標値に基づいて、前記低品質ユーザを抽出する、
請求項1~のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記抽出部は、
前記端末装置と通信する前記基地局の負荷を示す指標値に基づく前記品質指標値に基づいて、前記低品質ユーザを抽出する、
請求項1~のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記抽出部は、
前記候補エリアとして、前記周囲のエリアと比べて前記低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出する、
請求項1~10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記抽出部は、
密度クラスタリングの技術を用いて、前記低品質ユーザの位置をクラスタに分類することにより、前記低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
新規ユーザの位置情報に基づいて、前記新規ユーザが前記推定部によって前記低品質エリアであると推定された前記候補エリアに位置するか否かを判定する判定部をさらに備える、
請求項1~12のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置が実行するプログラムにより実現される情報処理方法であって、
ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報として、前記候補ユーザの数に対する前記低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率に基づいて、前記候補エリアのうち、前記低品質ユーザ占有率が、前記候補ユーザに関する前記品質指標値の代表値ごとに異なる第2閾値であって、前記代表値が大きいほど大きい第2閾値以上である当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する推定工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項15】
情報処理装置が実行するプログラムにより実現される情報処理方法であって、
ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報として、前記候補ユーザ間の平均距離に基づいて、前記候補エリアのうち、前記平均距離が第3閾値を下回る当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する推定工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項16】
ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出手順と、
前記抽出手順によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報として、前記候補ユーザの数に対する前記低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率に基づいて、前記候補エリアのうち、前記低品質ユーザ占有率が、前記候補ユーザに関する前記品質指標値の代表値ごとに異なる第2閾値であって、前記代表値が大きいほど大きい第2閾値以上である当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する推定手順と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項17】
ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出手順と、
前記抽出手順によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報として、前記候補ユーザ間の平均距離に基づいて、前記候補エリアのうち、前記平均距離が第3閾値を下回る当該候補エリアを前記低品質エリアとして推定する推定手順と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信網の通信エリアにおける通信品質を分析する技術が知られている。例えば、通信装置が階層的に接続されている通信網の通信装置の呼処理における処理内容を用いて、通信網の階層ごとの品質劣化量の分布を求め、この分布の偏り度合いを算出する。そして、算出した偏り度合いと各階層を構成する端末、通信装置ならびに通信エリアを示す帰属関係の情報とを用いて、通信品質の劣化原因である端末、通信装置または通信エリアを推定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5267818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周囲のエリアと比べて通信品質が低いエリアを精度よく推定する技術が求められている。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、周囲のエリアと比べて通信品質が低いエリアを精度よく推定することができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提案する。
【0006】
本願に係る情報処理装置は、ユーザの端末装置と基地局との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報に基づいて、前記候補エリアのうち、前記低品質エリアである当該候補エリアを推定する推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、周囲のエリアと比べて通信品質が低いエリアを精度よく推定することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理の概要を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る利用者情報記憶部の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る基地局情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るクラスタ情報記憶部の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る品質指標値について説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係るクラスタ内ユーザに関する品質指標値の中央値に基づいて低品質エリアを推定する処理の一例について説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るクラスタ内ユーザに関する低品質ユーザ占有率に基づいて低品質エリアを推定する処理の一例ついて説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係るクラスタ内ユーザ間の距離に基づいて低品質エリアを推定する処理の一例ついて説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係る品質指標値と低品質ユーザ占有率の組み合わせ方の一例について説明するための図である。
図12図12は、実施形態に係る情報処理手順を示す図である。
図13図13は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔1.情報処理システムの構成例〕
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。情報処理システム1は、端末装置10と、基地局装置20と、情報処理装置100とを備える。端末装置10と、基地局装置20と、情報処理装置100とは、所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、図1に示す情報処理システム1には、任意の数の端末装置10と、任意の数の基地局装置20と、任意の数の情報処理装置100とが含まれてもよい。
【0011】
端末装置10は、基地局装置20による制御に基づいて基地局装置20と無線通信する通信装置である。端末装置10は、ユーザによって使用される。端末装置10は、例えば、通信機能を有するセンサーやカメラデバイス、携帯電話、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末(スマートデバイスともいう)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータである。以下では、端末装置10が、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末である場合について説明する。
【0012】
基地局装置20は、セル(図示略)を運用し、セルのカバレッジの内部に位置する1つ以上の端末装置10へ無線通信サービスを提供する通信装置である。セルは、例えばLTE(Long Term Evolution)またはNR(New Radio)等の任意の無線通信方式にしたがって運用される。以下では、基地局装置20のことを、基地局20と記載する場合がある。
【0013】
情報処理装置100は、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアを推定する情報処理装置である。具体的には、情報処理装置100は、ユーザの端末装置10と基地局装置20との間の通信履歴に関する通信情報を取得する。例えば、情報処理装置100は、各基地局20がカバーするセルに位置する端末装置10と各基地局20との間の通信情報を各基地局20から取得する。なお、情報処理装置100は、各基地局20と接続されるコアネットワーク(図示略)から通信情報を取得してもよい。続いて、情報処理装置100は、通信情報を取得すると、取得した通信情報とユーザの位置情報とに基づいて、低品質エリアを推定する。なお、情報処理装置100による低品質エリアの推定処理については、後述する図2で詳しく説明する。
【0014】
〔2.情報処理の概要〕
図2は、実施形態に係る情報処理の概要を説明するための図である。図2に示す情報処理は、図1で説明した情報処理装置100によって実行される。図2では、同一の地域に対応する3つの地図M1-1~M1-3を示す。なお、地図M1-1~M1-3によって示される地域は一例であり、本実施形態に係る地域は、特定の地域に限定されるものではない。
【0015】
図1で述べたように、情報処理装置100は、ユーザの端末装置10と基地局装置20との間の通信履歴に関する通信情報を取得する。続いて、情報処理装置100は、通信情報を取得すると、取得した通信情報に基づいて、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す品質指標値を算出する。
【0016】
ここで、品質指標値が所定の閾値以上であることは、端末装置10と基地局20との間の通信品質が高い(通信品質が正常である)ことを示す。以下では、ユーザのうち、品質指標値が所定の閾値以上であるユーザのことを「正常ユーザ」と記載する。図2に示す各地図には、各地図に対応する地域に位置する正常ユーザの位置を示す白色の丸印が重畳して表示されている。なお、各ユーザの位置は、例えば、各地図に対応する地域に位置する各ユーザの位置を示す緯度経度の情報によって示される。一方、品質指標値が所定の閾値より低いことは、端末装置10と基地局20との間の通信品質が低い(通信品質が悪い)ことを示す。以下では、ユーザのうち、品質指標値が所定の閾値より低いユーザのことを「低品質ユーザ」と記載する。図2に示す各地図には、各地図に対応する地域に位置する低品質ユーザの位置を示す黒色の丸印が重畳して表示されている。なお、品質指標値については後述する図7で詳しく説明する。
【0017】
また、情報処理装置100は、ユーザの品質指標値を算出すると、ユーザの中から低品質ユーザを抽出する。続いて、情報処理装置100は、低品質ユーザを抽出すると、抽出した低品質ユーザの位置情報を取得する。例えば、情報処理装置100は、位置情報として、低品質ユーザの住所に対応する緯度経度の情報を取得する。
【0018】
また、周囲のエリアと比べて低品質ユーザが密集しているエリアは、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアである可能性が高いと考えられる。そこで、情報処理装置100は、低品質ユーザの位置情報を取得すると、低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補(以下、候補エリアともいう)として、周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出する。例えば、情報処理装置100は、密度クラスタリングの技術を用いて、低品質ユーザの位置を低品質ユーザの密度に応じたクラスタに分類する。図2の中央の地図M1-2に示す例では、情報処理装置100は、密度クラスタリングの技術を用いて、黒色の丸印で示す低品質ユーザの位置を、周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高い3つのクラスタCL1~CL3に分類する。続いて、情報処理装置100は、候補エリアとして、3つのクラスタCL1~CL3それぞれに対応するエリアを抽出する(ステップS1)。
【0019】
また、周囲のエリアと比べて低品質ユーザが密集している候補エリアであっても、例えば、低品質ユーザと同程度以上に正常ユーザが密集している候補エリアは、低品質エリアではない可能性が高いと考えられる。例えば、候補エリア内に一定数の正常ユーザが位置するため、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値(例えば、中央値)がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアが存在する。このような候補エリアは、候補エリア全体の通信品質が低いとは言えないため、低品質エリアではない可能性が高いと考えられる。
【0020】
また、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値が一定よりも低く、一見すると低品質エリアであると思われる候補エリアであっても、低品質ユーザの割合がそれほど高くない(つまり、低い)候補エリアが存在する。このような候補エリアは、候補エリア全体の通信品質が低いとは言えないため、低品質エリアではない可能性が高いと考えられる。
【0021】
また、候補エリア内の人口密度が低いため、低品質ユーザ間の距離が一定よりも大きく、サイズが大きすぎる候補エリアが存在する。このような候補エリアは、低品質ユーザが位置しないエリアの面積が大きく、低品質ユーザが位置しない候補エリアの大部分における通信品質が不明である。したがって、このような候補エリアは、候補エリア全体の通信品質が低いとは必ずしも言えないため、低品質エリアであると推定するのは適切ではないと考えられる。
【0022】
上述したように、候補エリアの中から低品質エリアを適切に推定するには、候補エリアにおける低品質ユーザの密度に加えて、候補エリアに位置する正常ユーザと低品質ユーザの両方(つまり、ユーザ全体)の通信品質に関する統計情報を考慮する必要がある。このように、候補エリアに位置するユーザ全体の通信品質に関する統計情報を考慮することにより、候補エリア全体の通信品質を適切に推定することができるようになる。
【0023】
そこで、情報処理装置100は、候補エリアを抽出すると、候補エリアに位置する正常ユーザと低品質ユーザの両方を含むユーザ(以下、候補ユーザともいう)に関するユーザ情報に基づいて、候補エリアの中から、低品質エリアである候補エリアを推定する。図2の右端の地図M1-3に示す例では、情報処理装置100は、3つのクラスタCL1~CL3に位置する候補ユーザに関するユーザ情報に基づいて、3つのクラスタCL1~CL3それぞれに対応する候補エリアのうち、クラスタCL1~CL2それぞれに対応する候補エリアを低品質エリアでないと推定する。また、情報処理装置100は、3つのクラスタCL1~CL3それぞれに対応する候補エリアのうち、クラスタCL3に対応する候補エリアを低品質エリアであると推定する(ステップS2)。
【0024】
上述したように、情報処理装置100は、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する。また、情報処理装置100は、抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報に基づいて、候補エリアのうち、低品質エリアである候補エリアを推定する。これにより、情報処理装置100は、例えば、低品質エリアの候補である候補エリアに位置するユーザ全体の通信品質に関する統計情報を考慮した上で、候補エリアの中から、低品質エリアである候補エリアを適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、周囲のエリアと比べて通信品質が低いエリアを精度よく推定することができる。
【0025】
〔3.情報処理装置の構成例〕
図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、制御部150とを有する。
【0026】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、例えば、端末装置10や基地局装置20との間で情報の送受信を行う。
【0027】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)を記憶する。図3に示すように、記憶部120は、利用者情報記憶部121と、基地局情報記憶部122と、クラスタ情報記憶部123を有する。
【0028】
(利用者情報記憶部121)
図4は、実施形態に係る利用者情報記憶部121の一例を示す図である。利用者情報記憶部121は、ユーザに関する各種情報を記憶する。図4に示した例では、利用者情報記憶部121は、「端末ID」、「緯度経度」、「基地局ID」、「電波指標値」、「品質指標値」、「クラスタID」といった項目を有する。
【0029】
「端末ID」は、ユーザによって使用される端末装置10を識別するための識別情報を示す。「緯度経度」は、端末IDにより識別される端末装置10を使用するユーザの位置情報を示す。例えば、「緯度経度」は、端末IDにより識別される端末装置10を使用するユーザの住所の位置情報(例えば、緯度経度を示す情報)を示す。なお、「緯度経度」は、ユーザの住所に限らず、例えば時間帯に応じたユーザの位置情報であってもよい。例えば、「緯度経度」は、平日の日中はユーザが職場に位置する頻度が高い場合、平日の日中はユーザの職場の住所の位置情報であってよい。また、「緯度経度」は、ユーザの住所に限らず、例えば、端末装置10に搭載されたGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等を用いて測位された各時刻におけるユーザの位置情報であってもよい。なお、図4に示す例では、「緯度経度」は、「LL11」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報、地域名または住所を示す情報(文字列など)であってもよい。
【0030】
また、「基地局ID」は、端末IDにより識別される端末装置10と無線通信する基地局20を識別するための識別情報を示す。また、「電波指標値」は、端末装置10と基地局20との間の通信に関する電波の電波強度および電波の干渉状況を示す指標値である。また、「品質指標値」は、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す指標値である。「クラスタID」は、端末IDにより識別される端末装置10を使用するユーザの位置情報が分類されたクラスタを識別するための識別情報を示す。なお、「クラスタID」には、ユーザの位置情報がどのクラスタにも分類されなかった場合は、どのクラスタにも属さないことを示す情報が格納されてよい。
【0031】
(基地局情報記憶部122)
図5は、実施形態に係る基地局情報記憶部122の一例を示す図である。基地局情報記憶部122は、基地局20に関する各種情報を記憶する。図5に示した例では、基地局情報記憶部122は、「基地局ID」、「緯度経度」、「基地局負荷」といった項目を有する。
【0032】
「基地局ID」は、基地局20を識別するための識別情報を示す。「緯度経度」は、基地局20の位置情報(例えば、緯度経度を示す情報)を示す。「基地局負荷」は、端末装置10と通信する基地局20の負荷を示す指標値である。
【0033】
(クラスタ情報記憶部123)
図6は、実施形態に係るクラスタ情報記憶部123の一例を示す図である。クラスタ情報記憶部123は、クラスタに関する各種情報を記憶する。図6に示した例では、クラスタ情報記憶部123は、「クラスタID」、「クラスタ情報」といった項目を有する。
【0034】
「クラスタID」は、クラスタを識別するための識別情報を示す。「クラスタ情報」は、クラスタIDによって識別されるクラスタに関する各種情報を示す。「クラスタ情報」は、例えば、クラスタIDによって識別されるクラスタに対応するエリアの位置情報(例えば、緯度経度を示す情報)であってよい。
【0035】
図7は、実施形態に係る品質指標値について説明するための図である。品質指標値は、電波指標値および基地局負荷に基づいて算出されてよい。例えば、品質指標値は、電波指標値と基地局負荷とを加算した値であってよい。図7は、電波指標値と基地局負荷との関係性を示すグラフである。図7に示すグラフの横軸は、図4で説明した電波指標値である。図7では、電波指標値が低い(高い)ほど、通信品質が低い(高い)ことを示す。また、図7に示すグラフの縦軸は、図5で説明した基地局負荷である。図7では、基地局負荷が高い(低い)ほど、通信品質が低い(高い)ことを示す。また、通信品質が低い(高い)ことは、品質指標値が低い(高い)ことを示す。すなわち、図7では、グラフの左下に行くほど通信品質が低く(つまり、品質指標値が低く)、グラフの右上に行くほど通信品質が高い(つまり、品質指標値が高い)ことを示す。例えば、グラフの左下に位置する領域SC1は、品質指標値が低い領域に相当する。また、グラフの右上に位置する領域SC4は、品質指標値が高い領域に相当する。
【0036】
例えば、品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザは、電波指標値がDS1~DS2の範囲内の値をとり、基地局負荷がBS1~BS2の範囲内の値をとるユーザ(図7に示す領域SC1の値をとるユーザ)であってよい。このように、低品質ユーザを抽出する際の品質指標値に関する所定の閾値は、電波指標値の範囲と基地局負荷の範囲に基づいて定められてよい。なお、低品質ユーザは、図7に示す領域SC1の値をとるユーザに限られない。例えば、低品質ユーザは、電波指標値がDS1~DS2の範囲内の値をとり、基地局負荷がBS2~BS3の範囲内の値をとるユーザ(図7に示す領域SC2の値をとるユーザ)であってよい。例えば、基地局負荷の高さよりも、電波指標値の低さを重視して通信品質を分析する目的の場合には、図7に示す領域SC1および領域SC2の値をとるユーザ(電波指標値がDS2より低いユーザ)を低品質ユーザとして抽出してよい。また、低品質ユーザは、電波指標値がDS2~DS3の範囲内の値をとり、基地局負荷がBS1~BS2の範囲内の値をとるユーザ(図7に示す領域SC3の値をとるユーザ)であってよい。例えば、電波指標値の低さよりも、基地局負荷の高さを重視して通信品質を分析する目的の場合には、図7に示す領域SC1および領域SC3の値をとるユーザ(基地局負荷がBS2より低いユーザ)を低品質ユーザとして抽出してよい。このように、通信品質を分析する目的に応じて、低品質ユーザを抽出する際の品質指標値の閾値を変更することができる。
【0037】
(入力部130)
図3の説明に戻る。入力部130は、情報処理装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力装置である。例えば、入力部130は、キーボードやマウスや操作キー等によって実現される。例えば、入力部130は、情報処理装置100の管理者等から、新たに地図上にプロットされるユーザやクラスタリングの対象になっていないユーザの位置情報の入力を受け付けてよい。
【0038】
(出力部140)
出力部140は、各種情報を表示するための表示装置である。例えば、出力部140は、情報処理装置100の画面であり、液晶ディスプレイ等によって実現される。出力部140は、出力制御部155の制御に従って、例えば、ユーザの位置情報が重畳して表示された地図情報(図2に示す例では、M1-1)を表示してよい。また、出力部140は、出力制御部155の制御に従って、例えば、クラスタに対応する候補エリアを示す情報が重畳して表示された地図情報(図2に示す例では、M1-2)を表示してよい。また、出力部140は、出力制御部155の制御に従って、低品質エリアを示す情報が重畳して表示された地図情報(図2に示す例では、M1-3)を表示してよい。
【0039】
(制御部150)
制御部150は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報処理装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
【0040】
図3に示すように、制御部150は、取得部151と、抽出部152と、推定部153と、判定部154と、出力制御部155とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部150の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0041】
(取得部151)
取得部151は、各種情報を取得してよい。具体的には、取得部151は、ユーザの端末装置10と基地局装置20との間の通信履歴に関する通信情報を取得してよい。例えば、取得部151は、所定時間ごとに定期的に通信情報を取得してよい。例えば、取得部151は、各基地局20がカバーするセルに位置する端末装置10と各基地局20との間の通信情報を各基地局20から取得してよい。なお、取得部151は、各基地局20と接続されるコアネットワークから通信情報を取得してもよい。
【0042】
続いて、取得部151は、通信情報を取得すると、取得した通信情報に基づいて、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す品質指標値を算出してよい。例えば、取得部151は、取得した通信情報に基づいて、電波指標値および基地局負荷を算出してよい。続いて、取得部151は、算出した電波指標値および基地局負荷に基づいて、品質指標値を算出してよい。例えば、取得部151は、算出した電波指標値および基地局負荷を加算することで、品質指標値を算出してよい。
【0043】
また、取得部151は、算出した電波指標値および品質指標値を端末IDと対応付けて利用者情報記憶部121に格納してよい。また、取得部151は、算出した基地局負荷を基地局IDと対応付けて基地局情報記憶部122に格納してよい。
【0044】
(抽出部152)
抽出部152は、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出してよい。具体的には、抽出部152は、取得部151がユーザの品質指標値を算出すると、利用者情報記憶部121を参照して、ユーザの中から品質指標値が所定の閾値より低いユーザを低品質ユーザとして抽出してよい。続いて、抽出部152は、低品質ユーザを抽出すると、抽出した低品質ユーザの位置情報を取得してよい。例えば、抽出部152は、低品質ユーザの位置情報として、利用者情報記憶部121を参照して、低品質ユーザの位置(例えば、住所)を示す緯度経度の情報を取得してよい。
【0045】
続いて、抽出部152は、低品質ユーザの位置情報を取得すると、低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアとして、周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出してよい。例えば、抽出部152は、密度クラスタリングの技術を用いて、低品質ユーザの位置を低品質ユーザの密度に応じたクラスタに分類することにより、低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出してよい。例えば、抽出部152は、密度クラスタリングのアルゴリズムであるHDBSCANを用いて、低品質ユーザの位置を低品質ユーザの密度に応じたクラスタに分類してよい。なお、抽出部152は、密度クラスタリングのアルゴリズムとして、HDBSCANの他にも、DBSCANやOPTICSなどを用いることができる。抽出部152は、例えば、これらの密度クラスタリングの技術を用いて、低品質ユーザの位置を周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高い複数のクラスタに分類してよい。続いて、抽出部152は、候補エリアとして、複数のクラスタそれぞれに対応するエリアを抽出してよい。
【0046】
なお、上述した例では、抽出部152が、密度クラスタリングの技術を用いて、低品質ユーザの位置をクラスタに分類する場合について説明したが、抽出部152は、密度クラスタリング以外のクラスタリング手法を用いて低品質ユーザの位置をクラスタに分類してよい。例えば、抽出部152は、k-meansなどの通常の階層的でないクラスタリングアルゴリズムを用いて低品質ユーザの位置をクラスタに分類してよい。
【0047】
(推定部153)
推定部153は、抽出部152によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報に基づいて、候補エリアのうち、低品質エリアである候補エリアを推定してよい。以下では、図8図11を用いて、推定部153が、候補エリアの中から低品質エリアである候補エリアを推定する処理のバリエーションについて説明する。
【0048】
図8は、実施形態に係るクラスタ内ユーザに関する品質指標値の中央値に基づいて低品質エリアを推定する処理の一例について説明するための図である。推定部153は、候補ユーザ情報として、候補ユーザに関する品質指標値の中央値に基づいて、候補エリアのうち、中央値が第1閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。例えば、推定部153は、利用者情報記憶部121を参照して、各候補ユーザの品質指標値を取得する。続いて、推定部153は、取得した各候補ユーザの品質指標値に基づいて、候補ユーザに関する品質指標値の中央値を算出してよい。続いて、推定部153は、算出した中央値が第1閾値を下回るか否かを判定してよい。推定部153は、算出した中央値が第1閾値を下回ると判定した場合、中央値が第1閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。なお、第1閾値は、情報処理装置100の管理者等によって決定される。
【0049】
図8では、第1閾値が30であるものとする。図8の左側は、抽出部152によって候補エリアとして抽出されたクラスタCL11を示す。推定部153が算出したクラスタCL11内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値は40台である。このとき、推定部153は、算出した中央値(40台)が第1閾値である30を上回るので、クラスタCL11に相当する候補エリアを低品質エリアでないと推定してよい。図8の右側は、抽出部152によって候補エリアとして抽出されたクラスタCL12を示す。推定部153が算出したクラスタCL12内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値は20台である。このとき、推定部153は、算出した中央値(20台)が第1閾値である30を下回るので、クラスタCL12に相当する候補エリアを低品質エリアであると推定してよい。
【0050】
図8では、推定部153が、候補ユーザに関する品質指標値の中央値に基づいて低品質エリアを推定する場合について説明したが、推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の中央値以外の代表値に基づいて低品質エリアを推定してよい。例えば、推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の代表値として、候補ユーザに関する品質指標値の平均値または最頻値に基づいて、候補エリアのうち、平均値または最頻値がそれぞれについて設定された閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。
【0051】
これにより、情報処理装置100は、候補エリアの中から、例えば、候補エリア内に一定数の正常ユーザが位置するため、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアを低品質エリアから除外する(つまり、低品質エリアではないと推定する)ことができる。すなわち、情報処理装置100は、候補エリアの中から、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値が一定よりも低い候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。
【0052】
図9は、実施形態に係るクラスタ内ユーザに関する低品質ユーザ占有率に基づいて低品質エリアを推定する処理の一例ついて説明するための図である。推定部153は、候補ユーザ情報として、候補ユーザの数に対する低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率に基づいて、候補エリアのうち、低品質ユーザ占有率が第2閾値以上である候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。例えば、推定部153は、クラスタ情報記憶部123を参照して、各クラスタの位置情報を取得してよい。また、推定部153は、利用者情報記憶部121を参照して、低品質ユーザおよび正常ユーザの位置情報を取得してよい。続いて、推定部153は、各クラスタの位置情報と低品質ユーザおよび正常ユーザの位置情報とに基づいて、各クラスタに位置する低品質ユーザの数および正常ユーザの数を算出してよい。続いて、推定部153は、各クラスタに位置する低品質ユーザの数および正常ユーザの数に基づいて、各クラスタに位置する候補ユーザの数に対する低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率を算出してよい。続いて、推定部153は、算出した低品質ユーザ占有率が第2閾値以上であるか否かを判定してよい。推定部153は、算出した低品質ユーザ占有率が第2閾値以上であると判定した場合、低品質ユーザ占有率が第2閾値以上である候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。なお、第2閾値は、情報処理装置100の管理者等によって決定される。
【0053】
図9では、第2閾値が20%(0.2)であるものとする。図9の左側は、抽出部152によって候補エリアとして抽出されたクラスタCL21を示す。推定部153が算出したクラスタCL21内の低品質ユーザ占有率は30%(0.3)である。また、推定部153が算出したクラスタCL21内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値は30台である。このとき、推定部153は、算出した低品質ユーザ占有率(30%)が第2閾値である20%以上であるので、クラスタCL21に相当する候補エリアを低品質エリアであると推定してよい。図9の右側は、抽出部152によって候補エリアとして抽出されたクラスタCL22を示す。推定部153が算出したクラスタCL22内の低品質ユーザ占有率は10%(0.1)である。また、推定部153が算出したクラスタCL22内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値は30台である。このとき、推定部153は、算出した低品質ユーザ占有率(10%)が第2閾値である20%未満であるので、クラスタCL22に相当する候補エリアを低品質エリアでないと推定してよい。
【0054】
これにより、情報処理装置100は、例えば、品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアについては、低品質ユーザ占有率が一定よりも高い候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。すなわち、品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアの中から、低品質エリアである候補エリアを適切に推定することができる。
【0055】
図10は、実施形態に係るクラスタ内ユーザ間の距離に基づいて低品質エリアを推定する処理の一例ついて説明するための図である。推定部153は、候補ユーザ情報として、候補ユーザ間の平均距離に基づいて、候補エリアのうち、平均距離が第3閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。例えば、推定部153は、クラスタ情報記憶部123を参照して、各クラスタの位置情報を取得してよい。また、推定部153は、利用者情報記憶部121を参照して、低品質ユーザの位置情報を取得してよい。続いて、推定部153は、各クラスタの位置情報と低品質ユーザの位置情報とに基づいて、各クラスタに位置する各低品質ユーザの位置を特定してよい。続いて、推定部153は、各クラスタに位置する各低品質ユーザの位置に基づいて、各クラスタに位置する低品質ユーザ間の平均距離を算出してよい。続いて、推定部153は、算出した低品質ユーザ間の平均距離が第3閾値を下回るか否かを判定してよい。推定部153は、算出した低品質ユーザ間の平均距離が第3閾値を下回ると判定した場合、低品質ユーザ間の平均距離が第3閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。なお、第3閾値は、情報処理装置100の管理者等によって決定される。
【0056】
図10では、第3閾値が5(km)であるものとする。図10の左側は、抽出部152によって候補エリアとして抽出されたクラスタCL31を示す。推定部153が算出したクラスタCL31内の低品質ユーザ間の平均距離は6(km)である。このとき、推定部153は、算出した低品質ユーザ間の平均距離(6(km))が第3閾値である5(km)を上回るので、クラスタCL31に相当する候補エリアを低品質エリアでないと推定してよい。図10の右側は、抽出部152によって候補エリアとして抽出されたクラスタCL32を示す。推定部153が算出したクラスタCL32内の低品質ユーザ間の平均距離は4(km)である。このとき、推定部153は、算出した低品質ユーザ間の平均距離(4(km))が第3閾値である5(km)を下回るので、クラスタCL32に相当する候補エリアを低品質エリアであると推定してよい。
【0057】
これにより、情報処理装置100は、候補エリアの中から、人口密度が低いため、ユーザ間の距離が一定よりも大きく、ユーザが位置しないエリアの大部分における通信品質が不明であるような候補エリアを低品質エリアから除外する(つまり、低品質エリアではないと推定する)ことができる。すなわち、情報処理装置100は、候補エリアの中から、候補エリアに位置するユーザ間の距離が一定よりも低く、サイズが大きすぎない候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。
【0058】
図11は、実施形態に係る品質指標値と低品質ユーザ占有率の組み合わせ方の一例について説明するための図である。推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の中央値ごとに異なる第2閾値であって、中央値が大きいほど大きい第2閾値に基づいて、候補エリアのうち、低品質ユーザ占有率が第2閾値以上である候補エリアを低品質エリアとして推定してよい。なお、品質指標値の中央値ごとに異なる第2閾値は、情報処理装置100の管理者等によって決定される。
【0059】
例えば、図11の上段は、推定部153が算出したクラスタ内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値が20台であるクラスタの数とクラスタ内の低品質ユーザ占有率との関係を示すグラフGH1を示す。図11の上段では、品質指標値の中央値が20台であり、品質指標値の中央値が十分に低いので、低品質ユーザ占有率の第2閾値は存在しない。推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の中央値が20台である候補エリアについては、低品質ユーザ占有率に関わらず、全ての候補エリアを低品質エリアであると推定してよい。
【0060】
また、図11の中段は、推定部153が算出したクラスタ内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値が30台であるクラスタの数とクラスタ内の低品質ユーザ占有率との関係を示すグラフGH2を示す。図11の中段では、品質指標値の中央値が30台であり、品質指標値の中央値が十分低いとは言えないので、低品質ユーザ占有率の第2閾値が20%(0.2)に設定されている。推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の中央値が30台である候補エリアについては、低品質ユーザ占有率が20%(0.2)以上である候補エリアのみを低品質エリアであると推定してよい。
【0061】
また、図11の下段は、推定部153が算出したクラスタ内の候補ユーザに関する品質指標値の中央値が40台であるクラスタの数とクラスタ内の低品質ユーザ占有率との関係を示すグラフGH3を示す。図11の下段では、品質指標値の中央値が40台であり、品質指標値の中央値が高いので、低品質ユーザ占有率の第2閾値が30%(0.3)に設定されている。推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の中央値が40台である候補エリアについては、低品質ユーザ占有率が30%(0.3)以上である候補エリアのみを低品質エリアであると推定してよい。
【0062】
これにより、情報処理装置100は、例えば、品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアについては、低品質ユーザ占有率が一定よりも高い候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。すなわち、品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアの中から、低品質エリアである候補エリアを適切に推定することができる。
【0063】
(判定部154)
判定部154は、新規ユーザの位置情報に基づいて、新規ユーザが推定部153によって低品質エリアであると推定された候補エリアに位置するか否かを判定してよい。例えば、判定部154は、推定部153によって低品質エリアであると推定された候補エリアの位置情報と新規ユーザの位置情報とに基づいて、新規ユーザが低品質エリアであると推定された候補エリアに位置するか否かを判定してよい。判定部154は、新規ユーザが低品質エリアであると推定された候補エリアに位置すると判定した場合、新規ユーザが低品質ユーザであると判定してよい。また、判定部154は、新規ユーザが低品質エリアであると推定された候補エリアに位置すると判定した場合、新規ユーザの端末装置の端末IDと低品質エリアであると推定された候補エリアに対応するクラスタIDとを対応付けて利用者情報記憶部121に格納する。一方、判定部154は、新規ユーザが低品質エリアであると推定された候補エリアに位置しないと判定した場合、新規ユーザが正常ユーザであると判定してよい。
【0064】
(出力制御部155)
出力制御部155は、抽出部152によって抽出された情報を出力部140に表示してよい。例えば、出力制御部155は、抽出部152によって抽出された低品質ユーザの位置情報が重畳して表示された地図情報を出力部140に表示してよい。また、出力制御部155は、抽出部152によって抽出された候補エリアに対応するクラスタを示す情報が重畳して表示された地図情報を出力部140に表示してよい。
【0065】
また、出力制御部155は、推定部153によって推定された情報を出力部140に表示してよい。例えば、出力制御部155は、推定部153によって低品質エリアであると推定された候補エリアを示す情報が重畳して表示された地図情報を出力部140に表示してよい。
【0066】
また、出力制御部155は、判定部154によって判定された判定結果を出力部140に出力してよい。例えば、出力制御部155は、推定部153によって低品質エリアであると推定された候補エリアを示す情報および新規ユーザの位置情報が重畳して表示された地図情報を出力部140に表示してよい。
【0067】
〔4.情報処理手順〕
図12は、実施形態に係る情報処理手順を示す図である。図12に示すように、情報処理装置100の抽出部152は、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザを抽出する(ステップS101)。続いて、抽出部152は、低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する(ステップS102)。情報処理装置100の推定部153は、抽出部152によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報に基づいて、候補エリアのうち、低品質エリアである候補エリアを推定する(ステップS103)。
【0068】
〔5.変形例〕
一般的に、マーケティングにおける顧客ターゲティングにおいて、商品またはサービスあたりの収益性が高い場合は、顧客の数よりも、ターゲットとなる顧客を精度よく推定したい場合がある。一方、商品またはサービスあたりの収益性が低い場合は、最低限の精度を担保しつつ、ターゲットとなる顧客の数をより多く推定したい場合がある。そこで、本願発明では、情報処理装置100による候補エリアの推定において、候補ユーザ情報に係る複数の所定の閾値を調整してよい。例えば、推定部153は、前出の第1閾値~第3閾値を調整してよい。例えば、推定部153は、候補エリアの推定において、候補ユーザ情報に係る第1閾値、第2閾値または第3閾値のうち少なくともいずれか1つを調整してよい。これによれば、一実施形態に係る情報処理装置100は、低品質エリアにおける低品質の度合いと、抽出される低品質エリアおよび低品質ユーザの数を調整することができる。より具体的には、本願発明においては、低品質の度合いを厳しくするほど、低品質ユーザの抽出精度が高くなるが、抽出される低品質ユーザの数が少なくなる。例えば、候補ユーザに関する品質指標値の中央値に関する第1閾値を低く、低品質ユーザ占有率に関する第2閾値を高く、または候補ユーザ間の平均距離に関する第3閾値を低くするほど、低品質ユーザの抽出精度が高くなるが、抽出される低品質ユーザの数が少なくなる。一方、本願発明においては、低品質の度合いを緩くするほど、低品質ユーザの精度が低くなるが、低品質ユーザの数が多くなる。例えば、候補ユーザに関する品質指標値の中央値に関する第1閾値を高く、低品質ユーザ占有率に関する第2閾値を低く、または候補ユーザ間の平均距離に関する第3閾値を高くするほど、低品質ユーザの抽出精度が低くなるが、抽出される低品質ユーザの数が多くなる。すなわち、本願発明は、第1閾値~第3閾値のうち少なくともいずれか1つを調整することによって、低品質エリアおよび低品質ユーザの精度を重視するか、または、精度は一定レベルを満たしつつも抽出される低品質エリアおよび低品質ユーザの数を多く取りたいかといったビジネスの用途の違いに対応することができる。なお、上記第1閾値~第3閾値の調整は、情報処理装置100の管理者等によって任意になされてよい。
【0069】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、抽出部152と推定部153を備える。抽出部152は、ユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を示す品質指標値が所定の閾値より低いユーザである低品質ユーザの位置情報に基づいて、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアの候補である候補エリアを抽出する。推定部153は、抽出部152によって抽出された候補エリアに位置する候補ユーザに関する候補ユーザ情報に基づいて、候補エリアのうち、低品質エリアである候補エリアを推定する。
【0070】
これにより、情報処理装置100は、例えば、低品質エリアの候補である候補エリアに位置するユーザ全体の通信品質に関する統計情報を考慮した上で、候補エリアの中から、低品質エリアである候補エリアを適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、周囲のエリアと比べて通信品質が低いエリアを精度よく推定することができる。
【0071】
また、推定部153は、候補ユーザ情報として、候補ユーザに関する品質指標値の代表値に基づいて、候補エリアのうち、代表値が第1閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定する。
【0072】
これにより、情報処理装置100は、候補エリアの中から、例えば、候補エリア内に一定数の正常ユーザが位置するため、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアを低品質エリアから除外する(つまり、低品質エリアではないと推定する)ことができる。すなわち、情報処理装置100は、候補エリアの中から、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値が一定よりも低い候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。
【0073】
また、代表値は、候補ユーザに関する品質指標値の中央値、平均値または最頻値である。
【0074】
これにより、情報処理装置100は、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の中央値、平均値または最頻値といった異なる種類の統計指標のうち少なくともいずれか1つまたは異なる種類の統計指標の組み合わせに基づいて、候補エリアに位置するユーザ全体の通信品質に関する統計情報を適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、周囲のエリアと比べて通信品質が低いエリアをより精度よく推定することができる。
【0075】
また、推定部153は、候補ユーザ情報として、候補ユーザの数に対する低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率に基づいて、候補エリアのうち、低品質ユーザ占有率が第2閾値以上である候補エリアを低品質エリアとして推定する。
【0076】
これにより、情報処理装置100は、例えば、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値が一定よりも低く、低品質エリアであるように見える候補エリアの中から、低品質ユーザの割合が低い候補エリアを低品質エリアから除外する(つまり、低品質エリアではないと推定する)ことができる。すなわち、情報処理装置100は、候補エリアに位置するユーザ全体の品質指標値の代表値が一定よりも低い候補エリアの中から、さらに低品質ユーザの割合が一定よりも高い候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。
【0077】
また、推定部153は、候補ユーザに関する品質指標値の代表値ごとに異なる第2閾値であって、代表値が大きいほど大きい第2閾値に基づいて、候補エリアのうち、低品質ユーザ占有率が第2閾値以上である候補エリアを低品質エリアとして推定する。
【0078】
これにより、情報処理装置100は、例えば、品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアについては、低品質ユーザ占有率が一定よりも高い候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。すなわち、品質指標値の代表値がそれほど低くない(つまり、高い)候補エリアの中から、低品質エリアである候補エリアを適切に推定することができる。
【0079】
また、推定部153は、候補ユーザ情報として、候補ユーザ間の平均距離に基づいて、候補エリアのうち、平均距離が第3閾値を下回る候補エリアを低品質エリアとして推定する。
【0080】
これにより、情報処理装置100は、候補エリアの中から、人口密度が低いため、ユーザ間の距離が一定よりも大きく、ユーザが位置しないエリアの大部分における通信品質が不明であるような候補エリアを低品質エリアから除外する(つまり、低品質エリアではないと推定する)ことができる。すなわち、情報処理装置100は、候補エリアの中から、候補エリアに位置するユーザ間の距離が一定よりも低く、サイズが大きすぎない候補エリアのみを低品質エリアとして推定することができる。
【0081】
また、推定部153は、候補エリアの推定において、候補ユーザ情報に係る複数の閾値のうち、候補ユーザに関する品質指標値の代表値の第1閾値、候補ユーザの数に対する低品質ユーザの数の割合を示す低品質ユーザ占有率の第2閾値または候補ユーザ間の平均距離の第3閾値のうち少なくともいずれか1つを調整する。
【0082】
これにより、情報処理装置100は、低品質エリアおよび低品質ユーザの精度を重視するか、または、精度は一定レベルを満たしつつも抽出される低品質エリアおよび低品質ユーザの数を多く取りたいかといったビジネスの用途の違いに対応することができる。
【0083】
また、抽出部152は、端末装置10と基地局20との間の通信に関する電波の電波強度および電波の干渉状況を示す指標値に基づく品質指標値に基づいて、低品質ユーザを抽出する。
【0084】
これにより、情報処理装置100は、端末装置10と基地局20との間の通信に関する電波の電波強度および電波の干渉状況に基づいて、例えば、電波強度が低いユーザまたは電波の干渉状況が高いため、通信品質が低いユーザを低品質ユーザとして適切に抽出することができる。
【0085】
また、抽出部152は、端末装置10と通信する基地局20の負荷を示す指標値に基づく品質指標値に基づいて、低品質ユーザを抽出する。
【0086】
これにより、情報処理装置100は、端末装置10と通信する基地局20の負荷に基づいて、例えば、基地局20の負荷が高いため、通信品質が低いユーザを低品質ユーザとして適切に抽出することができる。
【0087】
また、抽出部152は、候補エリアとして、周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出する。
【0088】
一般的に、周囲のエリアと比べて低品質ユーザが密集しているエリアは、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアである可能性が高いと考えられる。したがって、情報処理装置100は、周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出するため、周囲のエリアと比べて通信品質が低い低品質エリアである可能性が高いエリアを候補エリアとして適切に抽出することができる。
【0089】
また、抽出部152は、密度クラスタリングの技術を用いて、低品質ユーザの位置をクラスタに分類することにより、低品質ユーザの密度が高いエリアを抽出する。
【0090】
これにより、情報処理装置100は、密度クラスタリングの技術を用いることで、周囲のエリアと比べて低品質ユーザの密度が高いエリアを適切に抽出することができる。例えば、情報処理装置100は、密度クラスタリングの技術を用いることで、局地的に通信品質が低いエリアを適切に抽出することができる。
【0091】
また、情報処理装置100は、判定部154をさらに備える。判定部154は、新規ユーザの位置情報に基づいて、新規ユーザが推定部153によって低品質エリアであると推定された候補エリアに位置するか否かを判定する。
【0092】
これにより、情報処理装置100は、新たに地図上にプロットされるユーザやクラスタリングの対象になっていないユーザの通信品質を適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、任意のユーザの端末装置10と基地局20との間の通信品質を適切に推定することができる。
【0093】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば図13に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図13は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0094】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0095】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0096】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0097】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0098】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部150の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0099】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0100】
〔8.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0101】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0102】
また、上述した情報処理装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットホーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0103】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0104】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、抽出部は、抽出手段や抽出回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 情報処理システム
10 端末装置
20 基地局装置
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 利用者情報記憶部
122 基地局情報記憶部
123 クラスタ情報記憶部
130 入力部
140 出力部
150 制御部
151 取得部
152 抽出部
153 推定部
154 判定部
155 出力制御部
図1
図2
図3
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図13