(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】スペクトルドップラーイメージングを実行するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/06 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
A61B8/06
(21)【出願番号】P 2021514125
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 US2019050664
(87)【国際公開番号】W WO2020056032
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519019791
【氏名又は名称】フジフイルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】バンジャニン ゾラン
(72)【発明者】
【氏名】ランドバーグ アンドリュー
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-239988(JP,A)
【文献】特開2009-136446(JP,A)
【文献】特開2014-073273(JP,A)
【文献】特表2008-511367(JP,A)
【文献】特開平10-080424(JP,A)
【文献】特開2004-242986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0196237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトルドップラーイメージングを実行するための超音波イメージングシステムであって、
超音波信号を対象の関心領域に伝達し、対応するエコー信号する構成されたトランスデューサであって、伝達された超音波信号が、他のイメージングモードのための信号に対してインターリーブされたスペクトルドップラーイメージングのための信号であるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されたプロセッサであって、前記プロセッサが、前記他のイメージングモードによって引き起こされる第1のギャップおよび第2のギャップを含む受信されたスペクトルドップラー信号をコピーし、
前記第1のギャップの前、前記第1のギャップの後、または前記第1のギャップの前後の、受信された前記スペクトルドップラー信号の第1の平均周波数を決定し、前記第2のギャップの前、前記第2のギャップの後、または前記第2のギャップの前後の、受信された前記スペクトルドップラー信号の第2の平均周波数を決定し、前記第1の平均周波数を使用して、受信された前記スペクトルドップラー信号における前記第1のギャップが位置する前記対象の生理学的サイクルの第1の部分を決定する、ように構成され、前記生理学的サイクルが、前記第1の部分と前記第1の部分に結合された第2の部分とを含み、受信された前記スペクトルドップラー信号における前記第2のギャップが位置する前記対象の前記生理学的サイクルの前記第2の部分が、前記第2の平均周波数を使用して決定され、前記プロセッサが、コピーされた前記スペクトルドップラー信号の1以上の信号特性を、
前記対象の前記生理学的サイクルの前記第1の部分に基づいて、前記
第1のギャップを埋めるように調整
するように構成され、
コピーされた前記スペクトルドップラー信号の前記
1以上の信号特性が
、前記対象の
前記生理学的サイクル
の前記第2の部分に基づいて、前記第2のギャップを埋めるように調整される、プロセッサと、
を備える、超音波イメージングシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは
、コピーされた
前記スペクトルドップラー信号
の平均周波数を
、受信された
前記スペクトルドップラー信号の前記
第1の平均周波数に基づいて前記
第1のギャップを埋めるようにスケーリングす
るように構成されている、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、受信された
前記スペクトルドップラー信号の一部について
前記第1の平均周波数を決定し、決定された前記
第1の平均周波数に基づいて、コピーされた
前記スペクトルドップラー信号の平均周波数を調整す
るように構成されている、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記受信されたスペクトルドップラー信号のピーク周波数、低周波数、平均周波数、中央周波数、分散およびパワーから選択される1以上のパラメータを解析し、解析された前記1以上のパラメータに基づいて、前記コピーされたスペクトルドップラー信号の対応するパラメータを調整す
るように構成されている、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記
第1のギャップの前および後に受信された
前記スペクトルドップラー信号のピーク周波数、低周波数、平均周波数、中央周波数、分散、およびパワーから選択される1以上のパラメータを解析し、調整されたパラメータが前記
第1のギャップの前および後の前記スペクトルドップラー信号の前記パラメータの値の間にあるように前記コピーされたスペクトルドップラー信号の対応するパラメータを調整す
るように構成されている、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記調整された信号特性を用いて前記コピーされたスペクトルドップラー信号からプレFFT超音波データを生成し、前記プレFFT超音波データを受信されたプレFFTデータと結びつけ
るように構成されている、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項7】
スペクトルドップラーイメージングを実行するための超音波イメージングシステムであって、
超音波信号を対象の関心領域に伝達し、対応するエコー信号する構成されたトランスデューサであって、伝達された超音波信号が、他のイメージングモードのための信号に対してインターリーブされたスペクトルドップラーイメージングモードのための信号であるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されたプロセッサであって、前記プロセッサが、前記他のイメージングモードによって引き起こされる第1のギャップおよび第2のギャップを含む前記スペクトルドップラー信号を受信し、前記第1のギャップの前、前記第1のギャップの後、または前記第1のギャップの前後の、受信された前記スペクトルドップラー信号の第1の平均周波数を決定し、前記第2のギャップの前、前記第2のギャップの後、または前記第2のギャップの前後の、受信された前記スペクトルドップラー信号の第2の平均周波数を決定し、前記第1の平均周波数を使用して、受信された前記スペクトルドップラー信号における前記第1のギャップが位置する前記対象の生理学的サイクルの第1の部分を決定する、ように構成され、前記生理学的サイクルが、前記対象の前記生理学的サイクルの前記第1の部分と前記第1の部分に結合された第2の部分とを含み、受信された前記スペクトルドップラー信号における前記第2のギャップが位置する前記対象の前記生理学的サイクルの前記第2の部分が、前記第2の平均周波数を使用して決定され、前記プロセッサが、前記スペクトルドップラーイメージングモードおよび前記他のイメージングモード
をインターリーブするために使用される駆動信号を、前記対象の
前記生理学的サイクルの
前記第1の部分および前記第2の部分において、スペクトルドップラーイメージングが
前記他のイメージングモードとインターリーブされず
、前記他のイメージングモードが使用されないように調整す
るように構成された
、プロセッサと、
を備える、超音波イメージングシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記対象の生理学的信号を感知するセンサから信号を受信し、前記センサにより感知された
前記対象の生理学的信号に基づいて、前記生理学的サイクルの
第1の部分および前記第2の部分において、前記スペクトルドップラーイメージングモードが
前記他のイメージングモードとインターリーブされないように前記駆動信号を調整するように構成されている、
請求項7に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは
、前記センサ
により感知された前記対象の生理学的信号から
、スペクトルドップラー処理が前記他のイメージとインターリーブされない時間を予測す
るように構成されている、
請求項8に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは
、前記センサからの
前記対象の生理学的信号を解析し、解析された
前記対象の生理学的信号から
、スペクトルドップラー処理が
前記他のイメージングモードとインターリーブされるべきではない
前記対象の生理学的信号の部分がいつ発生するかを予測す
るように構成されている、
請求項8に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記スペクトルドップラーイメージングモードが
前記他のイメージングモードとインターリーブされない時間中に前記他のイメージングモードが使用されないように、前記他のイメージングモードに使用される前記信号
のタイミングを調整す
るように構成されている、
請求項7に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項12】
前記他のイメージングモードは、いくつかのビームラインに沿って
前記超音波信号が送信されるBモード処理であり、前記プロセッサは、前記Bモード中に使用され
るビームライン
の数を、前記生理学的サイクルの
前記第1の部分および前記第2の部分においてスペクトルドップラー処理が前記Bモードとインターリーブされないように調整す
るように構成されている、
請求項7に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項13】
前記生理学的
サイクルは、心周期である、
請求項7に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項14】
前記生理学的
サイクルは、呼吸周期である、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、スペクトルドップラー処理が
他のイメージングモードとインターリーブされるべきではない前記生理学的
サイクルの
前記第1の部分および前記第2の部分に関するユーザからの入力を受信するインストラクションを実行するように構成されている、
請求項7に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項16】
前記スペクトルドップラー信号を表示するためのディスプレイ
をさらに備え、
前記プロセッサは、前記スペクトルドップラー信号を解析し、トリガの発生時の前記スペクトルドップラー信号の前記表示を開始するインストラクションを実行するように
さらに構成され
ている、
請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項17】
前記トリガは、前記スペクトルドップラー信号における周波数閾値である、
請求項16に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項18】
前記トリガは、生理学的信号のセンサからの信号である、
請求項16に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項19】
前記センサは、EKGセンサである、
請求項18に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項20】
前記センサは、呼吸センサである、
請求項18に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項21】
スペクトルドップラーイメージングを実行するための超音波イメージングシステムであって、
超音波信号を対象の関心領域に伝達し、対応するエコー信号するためのトランスデューサであって、伝達された超音波信号が、他のイメージングモードのための信号に対してインターリーブされたスペクトルドップラーイメージングのための信号であるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されたメモリであって、前記他のイメージングモードによって引き起こされる第1のギャップおよび第2のギャップを含む記録されたスペクトルドップラー信号を記憶する
ように構成されたメモリと、
前記メモリに結合されたプロセッサであって、前記プロセッサが、前記第1のギャップの前、前記第1のギャップの後、または前記第1のギャップの前後の、記録された前記スペクトルドップラー信号の第1の平均周波数を決定し、前記第2のギャップの前、前記第2のギャップの後、または前記第2のギャップの前後の、記録された前記スペクトルドップラー信号の第2の平均周波数を決定し、前記第1の平均周波数を使用して、受信された前記スペクトルドップラー信号における前記第1のギャップが位置する前記対象の生理学的サイクルの第1の部分を決定する、ように構成され、前記生理学的サイクルが、前記第1の部分と前記第1の部分に結合された第2の部分とを含み、記録された前記スペクトルドップラー信号における前記第2のギャップが位置する前記対象の前記生理学的サイクルの前記第2の部分が、前記第2の平均周波数を使用して決定され、前記プロセッサが、所定の数の生理学的サイクル
についての記録された前記スペクトルドップラー信号を解析
し、前記所定の数の生理学的サイクルを含む
記録された前記スペクトルドップラー信号を前記メモリに記憶する
ように構成された、プロセッサと、
を備える、超音波イメージングシステム。
【請求項22】
前記生理学的サイクルは、心周期である、
請求項21に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項23】
前記生理学的サイクルは、呼吸周期である、
請求項21に記載の超音波イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、特に超音波イメージングおよびスペクトルドップラーイメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
スペクトルドップラーは、心臓および血管の健康に関する有用な情報を医師および医療提供者に提供するイメージングモードである。従来のドップラー処理では、超音波信号が関心領域に向けられ、移動する組織または血流からの反射によって引き起こされるドップラーシフトが検出される。スペクトルドップラー処理は、検出されたドップラー信号の周波数成分を解析する追加のステップを実行する。
図1は、典型的なスペクトルドップラー信号を示す。横軸は時間を表し、縦軸は任意の時点で検出されたドップラー信号に存在する周波数を表す。ドップラー周波数は、ほとんどの場合、送信キャリア周波数、音速、および伝搬方向を考慮して、速度(たとえばcm毎秒)として示される。
【0003】
心周期の収縮期の間(すなわち心臓が血液を排出するために収縮しているとき)、移動する血液の検出された速度に大きなスパイクがある。心周期の拡張期の間(心臓が血液で満たされているとき)、移動する血液の速度が非常に遅くなる。心周期に伴って速度がどのように変化するかは、病気またはその他の生理学的状態を示す可能性がある。
【0004】
スペクトルドップラーモード検査を実行するために、ユーザは、超音波エネルギーを所望の関心領域に向けるように超音波プローブを操作する。そして、ユーザは、反射されたエコー信号のドップラーシフトが測定される関心領域の小さなサブセットを定義するレンジゲートの深さを調整するように超音波イメージング機に制御を設定する。複数の心周期にわたって一貫した結果を得るためには、レンジゲートが同じ場所で存続するべきである。ユーザが誤ってプローブを動かすと、スペクトルドップラー信号が変化する。プローブを所望の向きに保つために、多くの超音波イメージングシステムは、1以上の他のモードをスペクトルドップラー処理にインターリーブする。たとえば、Bモードイメージングは、関心領域全体に音波を当てる(insonify)ようにいくつかのビームライン上で超音波信号を発射した後、レンジゲートのビームライン上にドップラー発射し、そしてBモードイメージング信号の別のセットを発射することなどにより、スペクトルドップラー処理にインターリーブされうる。関心領域のBモード画像は、レンジゲートが所望の場所にあるかどうかをユーザが確認できるようにビデオモニタに表示される。いくつかの条件下において、インターリーブは、
図2に示されるようにイメージングシステムがBモードイメージングを実行している間にドップラー信号が検出されない場合に、スペクトルドップラー信号にギャップ10a、10b、10cなどを持たせる。スペクトルドップラー信号のギャップは、有用な情報を含まず、医師が信号を見たいときに発生する可能性がある。
【0005】
ロビンソンの米国特許第5,476,097号によって提案されるように、隣接するドップラーデータをコピーし、インターリーブドドップラー信号(interleaved Doppler signal)のギャップにそれを貼り付けることによって、スペクトルドップラー信号のギャップ部分を埋める既知の技術がある。隣接するドップラーデータの移動平均(MA)モデリング(クリストファーセン、米国特許第4,559,952号)または自己回帰(AR)モデリング(ワン、米国特許第5,642,732号)を実行する他のアプローチがある。これらのモデルは、ギャップを埋めるための隣接するドップラーデータの「クローン」を生成するのに使用される。
図3は、そのようなギャップ埋め技術の例を示しており、これにより、ギャップの左側または右側のドップラー信号の一部がギャップにコピーまたは複製(clone)される。以前の技術は、ドップラー信号を滑らかにするために、左右のコピーまたはクローンがオーバーラップし、ギャップの中央で混ざる、ということを示唆する。このアプローチは、信号が急速に変化していないときにスペクトルドップラー信号をより滑らかに見せることができますが、そのようなアプローチは、大きな変化が発生している信号の近い部分にあるギャップにはうまく機能しない。
【0006】
これらの問題を考えると、スペクトルドップラーイメージングを実行するためのより良い方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
上記の問題に対処するために、開示された技術は、対象の生理機能を解析することによってスペクトルドップラー処理を実行する超音波イメージングシステムに関する。一実施形態において、インターリーブドスペクトルドップラー信号のギャップを埋めるために使用されるデータは、ギャップが生理学的サイクルのどこにあるかに基づいてスケーリングまたは調整される。一実施形態において、ギャップの前後に発生するスペクトルドップラー信号のセグメントの平均周波数は、ギャップを埋める隣接するスペクトルドップラーデータのコピーまたはクローンを修正するために決定および使用される。一実施形態において、ギャップの前および/または後のスペクトルデータの平均周波数は、スペクトルドップラー信号の隣接部分の平均周波数の間に適合する平均周波数のスペクトルドップラー信号を生成するように、隣接するドップラーデータのコピーまたはクローンの平均周波数をシフトするために使用される。
【0008】
一実施形態において、システムは、対象の生理学的サイクル中の1以上の予め定義された時間中にスペクトルドップラー処理を実行する。一実施形態において、スペクトルドップラー処理は、ピークの収縮時または心周期の拡張期部分の終わりにおいて中断されない。プロセッサは、被験者の心周期においてイベントがいつ発生するかを推定し、他のイメージングモードが心周期における予め定義されたまたはユーザが選択したポイントで使用されないように、他のイメージングモードに対するスペクトルドップラー処理の発射順序(firing order)を修正する。
【0009】
一実施形態において、ビデオモニタ上でのスペクトルドップラー信号の表示は、スペクトルドップラー信号の閾値に基づいてまたは外部センサから受信された信号からトリガされる。トリガ閾値が定義されると、表示されたスペクトルドップラー信号がビデオモニタ上で静止して見える。
【0010】
別の実施形態において、超音波イメージングシステムのプロセッサは、予め定義された数の生理学的サイクルを含むスペクトルドップラーデータの長さを記録および記憶する。異なる時間に実行される調査は、常に同じ数のサイクルを含むことができ、そのためより簡単に比較できる。さらに、導出された波形(たとえばピーク、平均波形など)は、さまざまな調査からより簡単に比較できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、従来の連続的スペクトルドップラー信号を示す。
【0012】
【
図2】
図2は、インターリーブドイメージングモードによって引き起こされるギャップを伴うスペクトルドップラー信号を示す。
【0013】
【
図3】
図3は、ギャップに隣接する領域からのスペクトルドップラーデータでスペクトルドップラー信号のギャップを埋めるための既知の技術を示す。
【0014】
【
図4A】
図4Aは、開示技術の実施形態にかかる、スペクトルドップラー信号のギャップを埋めるための1つの技術を示す。
【
図4B】
図4Bは、開示技術の実施形態にかかる、スペクトルドップラー信号のギャップを埋めるための1つの技術を示す。
【0015】
【
図5】
図5は、開示技術の実施形態にかかる、対象の検出または予測された生理学的サイクルに従って超音波イメージング信号の発射順序を調整する超音波イメージングシステムのブロック図である。
【0016】
【
図6】
図6は、開示技術の実施形態にかかる、予め定義されたまたはユーザが選択した値でトリガされるスペクトルドップラー信号のトレースである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記のように、記載された技術は、超音波イメージングシステムで使用されるスペクトルドップラー(パルス波(PW:Pulse wave)または連続波(CW:Continuous wave))イメージングモードの改善に関する。一実施形態において、インターリーブドイメージングモードによって引き起こされるドップラー信号のギャップは、対象の生理機能(たとえば心周期)に従って調整される実際のまたは複製されたドップラーデータで埋められる。一実施形態において、ドップラーデータは、コピーまたは複製されたデータの平均周波数がギャップの前および後のドップラーデータの平均周波数の間に収まるように、ギャップの前または後の領域からコピーされるとともにミックス(たとえば周波数でスケーリング)される。
【0018】
図4Aは、対象の単一の心周期にわたって記録されたスペクトルドップラー信号を示している。スペクトルドップラー信号は、いくつかのギャップで区切られたドップラーデータのセクションを含んでいる。この図では、心周期の拡張期の終わりに2つのドップラーデータセクション100、104が記録されている。ドップラーデータセクション108は、心周期の収縮期のピークへの上昇の途中で記録され、ドップラーデータセクション112は、収縮期のピークで記録される。ギャップ106は、収縮期の初期に発生し、ギャップ110は、収縮期のピークの直前に発生する。
【0019】
ギャップ(たとえばギャップ106、110)を埋めるために、プロセッサは、ギャップの前および/または後にドップラーデータの1以上のセクションを解析する。ギャップを埋めるためのドップラーデータは、解析に基づいてスケーリングされ、ギャップを埋めるために使用される。一実施形態において、プロセッサは、セクション100、104、108および112のようないくつかの記録されたセクションのドップラーデータの平均周波数を決定し、ギャップを埋めるために使用されるデータをどのように作成するかを決定する。
【0020】
一実施形態において、ギャップに隣接する(または1~3ギャップ内のような略隣接する)ドップラーデータは、コピーまたは複製され、ミックス/スケーリングされる。ギャップのどちら側からデータが取得されるかは、記録されたドップラーデータの解析から決定することもできる。示されている例では、112でピークを迎える前およびピークの途中で記録された実際のドップラーデータ108の1セットでピークを迎える前に、心周期の収縮期部分において発生しているギャップ106、110がある。一実施形態において、ドップラーデータ108は、スケーリングされたデータの平均周波数が隣接する実際のドップラーデータの平均周波数の間に収まり、ギャップ106および110を埋めるためにコピーされるように、周波数の上および下の両方でスケーリングされる。
【0021】
一実施形態において、コピーされたドップラーデータは、データをミックスすることによって(たとえば異なる平均周波数を有する正弦波をデータに乗じることによって)、時間領域(time domain)でスケーリングされる。たとえば、ドップラーデータ108の平均周波数が1500Hzであり、ピーク収縮でのドップラーデータ112の平均周波数が2000Hzである場合、ドップラーデータ108のコピーは、1750Hzまで変化する平均周波数をデータが有するように上方にミックスされ、ギャップ110を埋めるために使用されうる。同様に、ドップラーデータ104の平均周波数が1000Hzである場合、ドップラーデータ108のコピーは、1250Hzの平均周波数を有するように下方にミックスされ、ギャップ106を埋めるために使用される。ミックス周波数は、一定である必要がない。いくつかの実施形態において、ミックス周波数は、一定ではなく、ギャップの端に隣接する実際のドップラーデータの周波数によって決定できる。このようにして、コピーされたデータは、実際のデータにスムーズにフィットし、周波数の不連続を回避する。
【0022】
一実施形態において、隣接するものの平均周波数の間の平均周波数を有する受信ドップラーデータは、ギャップを埋めるために選択およびスケーリングされる(たとえば、ドップラーデータ108は、ドップラーデータセクション104および112の平均周波数の間の平均周波数を有し、ギャップ106および110を埋めるために使用される)。別の実施形態では、ギャップの前に発生するドップラーデータが使用されうるか、またはギャップの後のドップラーデータが使用されうる。
【0023】
開示技術は、1つの平均周波数のみを使用することに限定されない。いくつかの実施形態において、複数の平均周波数は、5マイクロ秒ごとの平均周波数のような、隣接するドップラーデータのサブセクションから計算することができる。隣接するドップラーデータのサブセクションから複数の平均周波数を計算することは、ドップラーデータの傾向を予測し、これによりドップラーデータをより正確にスケーリングすることに活用できる。いくつかの実施形態において、ドップラーデータの2つの隣接するセクション(
図4Aのセクション100、112)以外のドップラーデータからの追加の平均周波数は、ギャップ106を埋めるために使用できる。いくつかの実施形態において、追加セクションからの追加の平均周波数の活用は、ギャップが収縮期のピークまたは拡張期の底にあるか否かのような、心周期のどこでギャップが発生しているかを予測するために使用できる。
【0024】
いくつかの実施形態において、ギャップは、コピーまたは複製されたドップラーデータで埋まらない。代わりに、プレFFTエコーデータ(pre-fast Fourier transformed echo data)が、生成されたエコーデータのFFTがギャップをスムーズに埋めるために必要な信号特性を持つように生成される。たとえば、ギャップに隣接するドップラーデータの平均周波数に基づいてデータがスケーリングされると、プレFFTエコーデータが、生成されたエコーデータのFFTの平均周波数が所望の平均周波数になるように生成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、プレFFTエコーデータを生成するために、x(t)=IFFT(X(f))、ここでX(f)は周波数領域(frequency domain)における所望のドップラーデータである、のような逆FFTを使用できる。
【0026】
合成プレFFTエコーデータが生成されると、それらは、実際に記録されたエコーデータに追加され、連続スペクトルドップラー信号を生成するために周波数領域で解析される。一実施形態において、スペクトルドップラーデータは、コピーされ、所望の周波数にミックスされる。スペクトルドップラー信号の逆FFTは、プロセッサによって計算され、合成されたプレFFTデータは、ギャップの時に受信されたプレFFTデータと組み合わされ、ギャップのないスペクトルドップラー信号を生成するために合わせて処理される。
【0027】
開示された実施形態は、ギャップに隣接するドップラーデータの検出された平均周波数に基づいてギャップにコピーされるドップラーデータをスケーリングするが、中央周波数、ピーク周波数、最小周波数、周波数の分散などのような、スペクトルドップラー信号の他の測定を使用しうることは理解されよう。また、ギャップを埋めるためにスケーリングが線形(たとえば隣接するもの同士の中間)である必要はない。スケーリングは、周波数測定のプロットまたはスケーリングに使用される他のパラメータが心周期または他の生理学的サイクルにスムーズに従うように実行できる。このようなスケーリングは、滑らかな曲線を実現するためにスプラインなどによる。
【0028】
開示技術の別の実施形態において、超音波システムの発射順序は、スペクトルドップラーイメージングが生理学的サイクルの1以上の所望の期間中に中断されないように変更される。多くの臨床医は、拡張期の終わりおよび心周期の収縮期部分のピークでのスペクトルドップラー信号の特性に興味を持っている。いくつかの実施形態では、合成ではなく実際のスペクトルドップラー信号データがこれらの時間中に得られるのを確実にするために、超音波イメージングシステムのプロセッサが、インターリーブ発射モードで動作する超音波イメージングシステムの送信信号の発射順序を、スペクトルドップラーイメージングがこれらの時間中に中断されないように変更できる。
【0029】
図5は、送信された超音波信号の発射順序を、スペクトルドップラーイメージングが1以上の対象期間中に中断されないように変更するように構成されたプロセッサまたはプログラムされたロジックを含む超音波イメージングシステムの簡略化されたブロック図を示す。超音波イメージングシステム200は、受信したアナログエコー信号を処理し、1以上のビデオモニタ216に表示するためのデジタルエコーデータを生成するイメージングトランスデューサ210および受信(RX)電子装置214(たとえば増幅器、フィルタ、A/D変換器、デジタル信号プロセッサ、およびグラフィックプロセッサなど)を含む。RX電子装置214は、トランスデューサが超音波信号を対象領域に向けているときに開き、RX電子装置214が対応するエコー信号を受信しているときに閉じる送信/受信スイッチ212を介してトランスデューサ210に結合される。
【0030】
送信側において、専用論理回路、プロセッサ、またはFPGAのような送信論理回路220は、トランスデューサ210内の個々の圧電素子の駆動信号を生成するように構成される。生成される駆動信号は、使用されているイメージングモードのタイプに依存する。たとえば、Bモードイメージングでは、領域全体に音波を当てるように、送信された超音波を対象領域の隅々まで向ける駆動信号が生成される。スペクトルドップラーイメージングでは、レンジゲートの領域でのリターンエコーの周波数のシフトが検出できるように同じビームラインに沿って超音波パルスを生成する駆動信号が生成される。送信回路224は、送信論理回路220によって生成された駆動信号の電圧を、トランスデューサ210内の圧電素子を振動させて対応する音響信号を生成させるのに十分なレベルまでブーストするための回路を含む。
【0031】
本発明の一実施形態において、送信論理回路220によって生成される駆動信号の発射順序は、スペクトルドップラーイメージングが対象の生理学サイクルにおける1以上の指定された時間中に中断されないことを確実にするように、プログラムされたプロセッサ250または他の論理回路によって制御される。一実施形態において、プロセッサ250は、対象の生理学的サイクルを監視する、対象に結合された1以上のセンサ260から信号を受信する。一実施形態において、生理学的周期は、心周期であり、センサ260は、EKGセンサ、SPO2センサ、ペースメーカー、またはドップラー超音波信号それ自体を含む対象の心拍または脈拍を検出可能な任意の他のセンサである。プロセッサ250は、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された、またはセンサ260から信号を受信するようにハードコードされたインストラクションを実行するように構成される。信号から、プロセッサ250は、過去の生理学的サイクルを解析し、次の生理学的サイクルにおいてイベントが発生するタイミングを予測するようにプログラムされる。たとえば、心拍数が比較的安定している場合、次の収縮期の時間は、以前の収縮期の時間から外挿法で推定することによって決定できる。他の場合において、身体の電気信号(たとえばEKG信号)は、スペクトルドップラーイメージングモードが中断されるべきではない生理学的サイクルにおける特別なポイントの前に送信論理回路220によって生成される駆動信号の順序をプロセッサ250が調整することを可能にするのに十分な時間だけ実際の物理的応答に先行する。いくつかの実施形態において、収縮期および拡張期を予測するためのロジックは、以前の周期または検出された生物学的信号から測定された予測時間に基づく。他の実施形態では、機械学習、人工知能、またはニューラルネットワークが履歴データ(たとえばEKGまたは呼吸信号のシーケンス、ペースメーカー信号など)でトレーニングされ、心周期の収縮期および拡張期を予測するために活用されうる。予測されたフェーズにより、超音波イメージングシステムの発射順序は、生理学的サイクルのこれらの部分の間でのスペクトルドップラーイメージングを確実にするように調整される。
【0032】
送信論理回路220によって生成される駆動信号の修正は、Bモードフレームレートを遅くすること、Bモードイメージングのためにフレーム内で送信または受信されるラインの数を変更すること、またはスペクトルドップラーモードおよびBモードイメージングが実行される時間を変更することによって制御されうる。一実施形態において、プロセッサ250は、スペクトルドップラーイメージングモードが収縮期のピークまたは拡張期の終わりで中断されないように、生成された駆動信号の発射順序を修正する。他の実施形態において、ユーザは、スペクトルドップラーイメージングが中断されない生理学的サイクルの1以上の部分を指定できる入力ユーザ制御270(キーボード、タッチスクリーン、トラックボール、トラックパッド、音声コマンド、ボタン、ノブなど)を使用して1以上の期間を選択することができる。
【0033】
上記の生理学的サイクルは心周期であるが、呼吸サイクルなどのような他の生理学的サイクルも使用されうることは理解されよう。呼吸サイクルは、サイクルを示す信号をプロセッサ250に提供する呼吸センサで監視または検出することができる。送信ロジック220からの駆動信号の順序/タイミングは、呼吸サイクルの予め定義されたまたはユーザが選択した部分の間でスペクトルドップラーイメージングが中断されないように調整される。
【0034】
開示技術の別の実施形態によれば、スペクトルドップラー信号は、信号が特定の周波数または速度閾値のような検出された特性を有する点から開始して、ビデオモニタ上に表示される。現代の超音波システムは、任意のポイントでスペクトルドップラー信号を表示し、このことは、波形(たとえば以前に表示された波形を上書きする新しい波形)間の同期の欠如に起因してスペクトルドップラーのトラッキング変更を難しくする。任意の時点で信号の表示を開始するのではなく、イメージングシステムのプロセッサ250は、スペクトルドップラー信号の特性(平均周波数/速度またはピーク周波数/速度、パワーまたはその他の属性など)が予め定義されたまたはユーザが選択した値をもつときに、信号を解析し、信号の表示を開始する。これは、対象の現在の生理機能に関係なく、スイープの開始時にディスプレイの水平軸上の比較的同じ場所に信号を常に整列させるという効果がある。別の実施形態において、EKGセンサのような外部センサは、検出された生理学的信号の測定を提供し、トリガは、受信された信号のイベントによって定義される。たとえば、EKG信号のQRS波は、スペクトルドップラー信号の表示を開始するために使用できる心周期の繰り返し点(repeating point)を定義する。いくつかの実施形態において、スペクトルドップラー信号の表示は、センサ信号内のトリガイベントの検出の後にプロセッサによって計時される可変的な遅延の後に開始されることができる。遅延は予めプログラムされるか、ユーザにより設定されるか、またはセンサからの信号の解析に基づいて可変的であることができる。
【0035】
図6は、ドップラー信号が特定のピーク周波数値トリガポイント330のような定義された基準を満たすときにディスプレイを横切ってスウィープし始めるスペクトルドップラー信号320の典型的な表示を示す。効果は、電気オシロスコープと同様の方法で達成され、これにより、プロセッサは、信号が定義されたトリガ基準を満たすポイントを特定するように信号を解析し、そのポイント以降の信号の表示を開始する。信号は、リアルタイムで記録されたスペクトルドップラー信号、または以前に記録されてメモリ280に格納されたスペクトルドップラー信号でありうる。いくつかの実施形態において、スペクトルドップラーは、トリガの前にある信号の一部が表示されることができるようにバッファリングされる。たとえば、
図6Bに示されるようなトリガポイント330に先行する信号の初期の収縮期部分は、メモリに格納され、必要に応じてオペレータに表示されることができる。さらに、「トリガされた」、このため時間調整された信号は、信号対雑音比(SNR)を向上させるために、以前にトリガされたドップラー信号と組み合わされることができる。たとえば、整列された信号は、信号の品質を向上させるために、平均化されるか、またはエンベロープ検出されることができる。心拍周期は、周期ごとに約10%変動する可能性があり、それらを平均化または相互処理するために、それらの長さは、平均化または結合する前に同じ長さになるように長くしたり短くしたりすることで調整されうる。
【0036】
開示技術の別の実施形態によれば、プロセッサ250は、現今のほとんどの超音波イメージングシステムで行われるような秒単位の所定の時間ではなく、記録された超音波信号における一貫した数の生理学的イベントを格納するように動作する。一実施形態において、プロセッサは、4、8心拍などのような定義されたサイクル数をカバーするドップラー信号を記憶するようにプログラムされる。プロセッサは、生理学的サイクルにおける定義されたポイント(たとえばピーク速度ポイント)の標示のために生成されている信号を解析し、定義された数のポイントが検出されるまで信号を記録する。たとえば、スペクトルドップラーイメージングにおいて、プロセッサは、患者の心拍数とは無関係に4つの心拍イベントを含むドップラー信号を記録および記憶することができる。さらに、
図6に示されるように、所定の心拍数を反映したこの信号は、所望のトリガポイントから開始して示されることができる。プロセッサ250は、ドップラー信号を解析し、ドップラー信号の長さが生理学的イベントの予め定義された数よりも多いか少ないか否かを決定するようにプログラムされる。決定された数より少ない生理学的イベントが信号内にある場合、追加の信号が記録される。より多い数の生理学的イベントが信号内にある場合、記録された信号は、決定された数の生理学的イベントのみを含むようにトリミングされる。このように、異なる時間に被験者に対して実行された研究は、常に同じ数の生理学的イベントを含み、比較が容易である。記憶される生理学的イベントの数は、ユーザが定義するものであってもよいし、専門家委員会により、保険会社により、または一般的な業務慣行に基づいて定義されてもよい。
【0037】
この明細書に記載される主題事項および動作の実施形態は、この明細書に開示される構造およびそれらの構造的同等物を含む、デジタル電子回路によって、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアによって、またはそれらの1以上の組み合わせによって実装されることができる。この明細書に記載される主題事項の実施形態は、1以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のためまたはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化されるコンピュータプログラムインストラクションの1以上のモジュールとして実装することができる。
【0038】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、あるいはそれらの1以上の組み合わせでありうるか、またはそれらに含まれうる。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号に符号化されたコンピュータプログラムインストラクションの送信元または送信先でありうる。また、コンピュータ記憶媒体は、1以上の別々の物理的構成要素または媒体(たとえば複数のCD、ディスク、または他の記憶装置)でありうるか、またはそれに含まれうる。この明細書に記載される動作は、1以上のコンピュータ可読記憶装置に記憶されているか、または他の送信元から受信されたデータに対してデータ処理装置によって実行される動作として実施されることができる。
【0039】
「プロセッサ」および「論理回路」という用語は、たとえばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システム・オン・チップ、またはこれらのうち複数のものあるいは組み合わせを含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイス、およびマシンを包含する。装置は、特別な目的の論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)またはハードワイヤード論理回路、を含むことができる。
【0040】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られている)は、コンパイルまたはインタプリットされた言語、宣言型または手続型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述されることができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとして、を含む任意の形式で展開されることができる。コンピュータプログラムは、必要ではないが、ファイルシステム内のファイルに対応しうる。
【0041】
この明細書に記載されるプロセスおよび論理フローは、入力データを操作し、出力を生成することによってアクションを実行するために1以上のコンピュータプログラムを実行する1以上のプログラマブルプロセッサによって実行されることができる。プロセスおよび論理フローは、特別な目的の論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)、によって実行されることができ、装置も、特別な目的の論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)、として実装されることができる。
【0042】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、一般的および特別な目的の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータのうち任意の1以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、リードオンリーメモリまたはランダムアクセスメモリあるいはその両方からインストラクションおよびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、インストラクションに従ってアクションを実行するためのプロセッサと、インストラクションおよびデータを記憶するための1以上のメモリデバイスである。また、一般に、コンピュータは、データを格納するための1以上の大容量記憶デバイス、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、またはそれらからデータを受信するか、またはそれらにデータを転送するか、あるいはその両方のために動作可能に結合される。コンピュータプログラムインストラクションおよびデータを記憶するのに適したデバイスは、半導体記憶デバイス、たとえばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、たとえば内臓ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;およびCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを例として含む全ての形式の不揮発性メモリ、媒体および記憶デバイス、を含む。プロセッサおよびメモリは、特別な目的の論理回路によって補完されるまたは特別な目的の論理回路内に組み込まれることができる。
【0043】
ユーザとの相互作用を提供するために、この明細書に記載される主題事項の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、たとえばLDC(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、またはOLED(有機発光ダイオード)モニタと、ユーザがコンピュータにインプットを提供することが可能なキーボードおよびポインティングデバイス、たとえばマウスまたはトラックボールと、を有するイメージングシステム上に実装されうる。いくつかの実装において、タッチスクリーンは、情報を表示し、ユーザからの入力を受け取るために使用されることができる。他の種類のデバイスは、ユーザとの対話を提供するために使用されることができ、たとえばユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚的フィードバック、たとえば視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバック、でありうるし、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚の入力を含む任意の形式で受け取ることができる。
【0044】
上記のことから、発明の特定の実施形態は、例示の目的でここに記載されているが、発明の本質および範囲から逸脱することなく様々な変形を行うことができることが理解されよう。したがって、発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。