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特許7328338グリセリドポリマーを含む布地ケア組成物
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  • 特許-グリセリドポリマーを含む布地ケア組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】グリセリドポリマーを含む布地ケア組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/507 20060101AFI20230808BHJP
   C11C 3/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
D06M15/507
C11C3/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021539116
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 US2020018938
(87)【国際公開番号】W WO2020172350
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】19158415.0
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ナラシムハン、カルナカラン
(72)【発明者】
【氏名】ホタレン、アリッサ・キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】フェアウェザー、ニール・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ザノニ、リュク・アンドルー
(72)【発明者】
【氏名】シュバート、ベス・アン
(72)【発明者】
【氏名】ダネンバーグ、アンドレア
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00 - 15/715
C07C 69/52 - 69/606
C10N 20/02 - 20/04
C11C 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地ケア組成物であって、
補助材料と、
グリセリドポリマーであって、
(a)不飽和天然油グリセリド及び任意に初期オリゴマー化不飽和天然油グリセリドを含む反応混合物を準備する工程と、
(b)第1の量の第1のオレフィンメタセシス触媒を前記反応混合物に導入して、前記不飽和天然油グリセリド及び任意に前記初期オリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、未反応不飽和天然油グリセリド、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第1のオレフィン副生成物を含む第1の生成物混合物を形成する工程と、
(c)第2の量の第2のオレフィンメタセシス触媒を前記第1の生成物混合物に導入して、前記未反応不飽和天然油グリセリド及び前記第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第2のオレフィン副生成物を含む第2の生成物混合物を形成する工程と、を含む方法によって得ることができ、
この方法が、前記第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程を含み、
前記異性化工程が、前記第1の生成物混合物を、10~300mmHg(1333.22~39996.7Pa)の真空条件下で、少なくとも150℃の温度に加熱する工程を含む、グリセリドポリマーと、
を含む、布地ケア組成物。
【請求項2】
第2の生成物混合物が、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第3の量の第3のオレフィンメタセシス触媒を前記第2の生成物混合物に導入して、前記未反応不飽和天然油グリセリド及び前記第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第3のオレフィン副生成物を含む第3の生成物混合物を形成する工程を更に含み、
任意に、前記第3の生成物混合物が、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第4の量の第4のオレフィンメタセシス触媒を前記第3の生成物混合物に導入して、前記未反応不飽和天然油グリセリド及び前記第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第4のオレフィン副生成物を含む第4の生成物混合物を形成する工程を更に含み、
任意に、前記第4の生成物混合物が、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第5の量の第5のオレフィンメタセシス触媒を前記第4の生成物混合物に導入して、前記未反応不飽和天然油グリセリド及び前記第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第5のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第5のオレフィン副生成物を含む第5の生成物混合物を形成する工程を更に含む、
請求項1に記載の布地ケア組成物。
【請求項3】
前記不飽和天然油グリセリドが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、バクセン酸、9-デセン酸、9-ウンデセン酸、9-ドデセン酸、9,12-トリデカジエン酸、9,12-テトラデカジエン酸、9,12-ペンタデカジエン酸、9,12,15-ヘキサデカトリエン酸、9,12,15ヘプタデカトリエン酸、9,12,15-オクタデカトリエン酸、11-ドデセン酸、11-トリデセン酸及び11-テトラデセン酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸のグリセリドを含む、請求項1又は2に記載の布地ケア組成物。
【請求項4】
前記第1のオレフィンメタセシス触媒、前記第2のオレフィンメタセシス触媒、存在する場合は前記第3のオレフィンメタセシス触媒、存在する場合は前記第4のオレフィンメタセシス触媒及び/又は存在する場合は前記第5のオレフィンメタセシス触媒のうち少なくとも2つが、同じ触媒である、請求項1~3のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項5】
前記不飽和天然油グリセリドが、天然油から誘導される、請求項1~4のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項6】
前記グリセリドポリマーが、4,000~150,000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項7】
前記第1の生成物混合物から前記第1のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、
前記第2の生成物混合物から前記第2のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、
存在する場合は前記第3の生成物混合物から前記第3のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、
存在する場合は前記第4の生成物混合物から前記第4のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、及び/又は
存在する場合は前記第5の生成物混合物から前記第5のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程
のうち1つ以上を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項8】
前記第1の生成物混合物、前記第2の生成物混合物、存在する場合は前記第3の生成物混合物、存在する場合は前記第4の生成物混合物及び/又は存在する場合は前記第5の生成物混合物を生成する前記オレフィンメタセシス反応が、180℃以下の温度で、かつ10~300mmHg(1333.22~39996.7Pa)の真空条件で実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項9】
前記方法が、
前記第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程、
存在する場合は前記第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程、及び/又は
存在する場合は前記第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程
のうち少なくとも1つを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項10】
前記異性化工程が、前記第2の生成物混合物、存在する場合は前記第3の生成物混合物及び/又は存在する場合は前記第4の生成物混合物を、10~300mmHg(1333.22~39996.7Pa)の真空条件下で、少なくとも150℃の温度に加熱する工程を含む、請求項9に記載の布地ケア組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記組成物の0.1重量%~50重量%の前記グリセリドポリマーを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項12】
前記補助材料が、漂白活性化剤、界面活性剤、送達改善剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定化剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地コンディショニング活性物質(FCA)、アニオン性界面活性剤スカベンジャー、担体、ヒドロトロープ、処理助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、顔料、付着助剤、乳化剤又はこれらの混合物から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項13】
前記補助材料が、
a)布地コンディショニング活性物質(FCA)、
b)香料及び/若しくは香料送達系、並びに/又は
c)構造化剤、
のうち少なくとも1つから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項14】
前記布地ケア組成物が、液体組成物、顆粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、香錠剤、繊維状物品、錠剤、バー、フレーク、発泡体、不織布シート又はこれらの混合物の形態である、請求項1~13のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【請求項15】
前記布地ケア組成物が、布地向上剤組成物である、請求項1~14のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定のグリセリドポリマーを含む布地ケア組成物に関する。本開示はまた、このような組成物の製造方法及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
分岐鎖ポリエステルは、多種多様な用途を有する。これらは分子量が高く結晶化度が低いことから、布地ケア組成物での使用において魅力的なものとなっている。このような化合物は、典型的には、アジピン酸などの特定の短鎖ジカルボン酸から誘導される。したがって、このような化合物は、特定の用途、特にポリエステルが長鎖疎水性部分を含有することが望ましい場合には、好適でないことがある。
【0003】
大豆油などの天然油(不飽和脂肪酸グリセリド)の自己メタセシスを含む特定の既知の方法は、より長鎖の疎水性部分を有する分岐鎖ポリエステルを製造する1つの手段を提供する。しかし、このような方法を使用すると、平均で約5~6個以上のトリグリセリドを含有するオリゴマーに相当する分子量のように、より高分子量の分岐鎖ポリエステル組成物を得ることは依然として困難である。このような方法を使用してより高分子量のオリゴマーを得るには、より高分子量のオリゴマーを作るための反応を促進するための、生成物のオレフィンを除去するのに必要な時間及び真空の質に対する、実際的な制限などの多くの困難が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、不飽和脂肪酸グリセリドの自己メタセシスを使用することは、分岐鎖ポリエステルを得る有用な手段を提供するが、より高分子量のグリセリドオリゴマーの実用的合成を可能にするような、更なる方法を開発する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、グリセリドコポリマー、例えば、特定の方法に従って作製されたグリセリドコポリマーを含む、布地ケア組成物に関する。
【0006】
例えば、本開示は、補助材料と、下記の工程を含む方法により取得可能なグリセリドポリマーとを含む布地ケア組成物に関し、この工程は、(a)不飽和天然油グリセリドを含む反応混合物を準備する工程と、(b)第1の量の第1のオレフィンメタセシス触媒をこの反応混合物に導入して、この不飽和天然油グリセリドを反応させ、未反応不飽和天然油グリセリド、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第1のオレフィン副生成物を含む第1の生成物混合物を形成する工程と、(c)第2の量の第2のオレフィンメタセシス触媒を第1の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第2のオレフィン副生成物を含む第2の生成物混合物を形成する工程と、を含む。
【0007】
本開示はまた、補助材料と、下記の工程を含む方法により取得可能なグリセリドポリマーとを含む布地ケア組成物に関し、この工程は、(a)不飽和天然油グリセリド及び任意に初期オリゴマー化不飽和天然油グリセリドを含む反応混合物を準備する工程と、(b)第1の量の第1のオレフィンメタセシス触媒を反応混合物に導入して、この不飽和天然油グリセリド及び任意に初期オリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、未反応不飽和天然油グリセリド、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第1のオレフィン副生成物を含む第1の生成物混合物を形成する工程と、(c)第2の量の第2のオレフィンメタセシス触媒を第1の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第2のオレフィン副生成物を含む第2の生成物混合物を形成する工程と、を含み、この方法は、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程を含む。
【0008】
本開示はまた、布地を処理する方法にも関し、この方法は、任意に水の存在下で、本開示による組成物(例えば、開示されるグリセリドコポリマーを含む)に布地を接触させる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書の図面は、事実上例示的なものであり、限定的であることを意図したものではない。
図1】本開示によるグリセリドコポリマーを作製するための例示的なプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、グリセリドポリマーを含む布地ケア組成物に関する。そのような組成物は、布地改善効果(例えば布地の柔軟性)などの有用な布地ケア効果を提供することができる。
【0011】
グリセリドポリマーは、本開示の方法によって作製され得る。本開示の方法は、特に高分子量でグリセリドポリマーを作製するための、改善された、より効率的な方法を提供すると考えられる。更に、本明細書に記載される方法から作製されるグリセリドポリマーは、既知の方法から作製されたグリセリドポリマーと比較して、改善された臭気プロファイルを有する可能性があり、これは、布地ケア組成物などの消費者製品に使用するのにより魅力的になり得る。更に、本開示のグリセリドポリマーは、天然原料から作製することができ、これは、持続可能性/環境上の理由から望ましい場合がある。
【0012】
本開示の組成物及び方法については、以下でより詳細に記載する。
【0013】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される際の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、用語「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」は、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなることができる。
【0014】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が意図的に含まれる他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する組成物を含むことを意味する。指示される材料は、あったとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の濃度で存在してもよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、語句「布地ケア組成物」は、布地処理用に設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物は、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化/改善組成物、布地消臭組成物、予洗い用洗剤(laundry prewash)、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔性基材若しくは不織布シート上又は中に含有される組成物、及び本明細書の教示を考慮すると当業者に明白であり得るその他の好適な形態を含むが、これらに限定されない。このような組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよく、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加してもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「ポリマー」は、ポリマーの分子量に対して比較的低い相対分子量の物質から形成される構成単位の複数の繰り返しを含む化学構造を有する物質を指す。用語「ポリマー」は、繰り返し単位の鎖を有する可溶性及び/又は可融性の分子を含み、不溶性及び不融性ネットワークも含む。本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、少数(例えば、3~100)の構成単位のみを有するオリゴマー材料を含み得る。
【0017】
本明細書で使用するとき、「天然油」は、植物性又は動物性の供給源から得られた油を指す。これらの用語には、特に断らない限り、改変された植物性又は動物性供給源も含まれる(例えば、遺伝子組み換えされた植物性又は動物性供給源)。天然油の例としては、これらに限定されるものではないが、植物油、藻類油、魚油、動物脂、トール油、これらの油の誘導体、これらの油のいずれかの組み合わせなどが挙げられる。植物油の代表的な非限定例としては、ナタネ油(キャノーラ油)、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、カラシ油、ペニークレス油、カメリナ油、麻実油、及びヒマシ油が挙げられる。動物脂の代表的な非限定例としては、ラード、獣脂、家禽油、黄色油脂、及び魚油が挙げられる。トール油は、木材パルプ製造の副生成物である。いくつかの実施形態では、天然油又は天然油原料は、1つ以上の不飽和グリセリド(例えば、不飽和トリグリセリド)を含む。いくつかのかかる実施形態では、天然油は、天然油の総重量に基づいて少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97重量%、又は少なくとも99重量%の1つ以上の不飽和トリグリセリドを含む。
【0018】
「天然油グリセリド」なる用語は、天然油から得られた脂肪酸のグリセリルエステルを指す。このようなグリセリドとしては、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、及びトリアシルグリセリド(トリグリセリド)が挙げられる。いくつかの実施形態では、天然油グリセリドは、トリグリセリドである。類似的に、「不飽和天然油グリセリド」なる用語は、天然油グリセリドを指し、その脂肪酸残基のうちの少なくとも1つは、不飽和を含む。例えば、オレイン酸のグリセリドは、不飽和天然油グリセリドである。「不飽和アルケニル化天然油グリセリド」なる用語は、短鎖オレフィン(以下で定義する)とのメタセシス反応により誘導体化された不飽和天然油グリセリド(上記で定義した)を指す。ある場合には、オレフィン化プロセスは、化合物中の脂肪酸鎖のうちの1つ以上を短縮する。例えば、9-デセン酸のグリセリドは、不飽和アルケニル化天然油グリセリドである。同様に、ブテニル化(例えば、1-ブテン及び/又は2-ブテンでの)キャノーラ油は、メタセシスにより改変されて、いくつかの短鎖不飽和C10~C15エステル基を含有する天然油グリセリドである。
【0019】
「オリゴマーグリセリド部分」という用語は、天然油グリセリド及び/又はアルケニル化天然油グリセリドからオレフィンのメタセシスを介して形成された2つ以上の(最大10個、又は最大20個の)構成単位を含む部分である。
【0020】
本明細書で使用するとき、「メタセシス」は、オレフィンのメタセシスを指す。本明細書で使用するとき、「メタセシス触媒」には、オレフィンメタセシス反応を触媒するあらゆる触媒又は触媒系が含まれる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「メタセシス化」又は「メタセシス化する」は、メタセシス触媒の存在下で原料を反応させて新規なオレフィン性化合物を含む「メタセシス化生成物」、すなわち「メタセシス化」化合物を形成することを指す。メタセシス化する、とは、いかなる特定の種類のオレフィンのメタセシスにも限定されず、交差メタセシス(すなわち共メタセシス)、自己メタセシス、開環メタセシス、開環メタセシス重合(「ROMP」)、閉環メタセシス(「RCM」)、及びアクリルジエンメタセシス(「ADMET」)のことを指し得る。いくつかの実施形態では、メタセシス化する、とは、メタセシス触媒の存在下で天然原料(セルフメタセシス)中に存在する2つのトリグリセリドを反応させることを指し、各トリグリセリドは、不飽和炭素-炭素二重結合を有し、それによってトリグリセリドダイマーを含み得るオレフィンとエステルとの新規な混合物を形成する。このようなトリグリセリドダイマーは、2つ以上のオレフィン結合を有していてもよく、したがってより高次のオリゴマーも形成され得る。また、いくつかの他の実施形態では、メタセシス化する、とは、エチレンなどのオレフィン、及び少なくとも1つの不飽和炭素-炭素二重結合を有する天然原料中のトリグリセリドを反応させて、それによって新規なオレフィン性分子及び新規なエステル分子を形成すること(交差メタセシス)を指し得る。
【0022】
本明細書で使用するとき、「オレフィン」(複数可)は、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素二重結合を有する化合物を指す。特定の実施形態では、「オレフィン」なる用語は、炭素長の異なる不飽和炭素-炭素二重結合化合物の群を指す。特に断らない限り、「オレフィン」(複数可)なる用語は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する「多価不飽和オレフィン」又は「ポリオレフィン」を包含する。本明細書で使用するとき、「一価不飽オレフィン」又は「モノオレフィン」なる用語は、1つの炭素-炭素二重結合のみを有する化合物を指す。末端炭素-炭素二重結合を有する化合物は「末端オレフィン」又は「αオレフィン」と称されることがあり、非末端炭素-炭素二重結合を有するオレフィンは「内部オレフィン」と称されることがある。いくつかの実施形態では、αオレフィンは、末端炭素-炭素二重結合を有するアルケン(以下で定義する)である末端アルケンである。追加の炭素-炭素二重結合が存在することがある。
【0023】
任意の基又は化合物中の炭素原子の数を用語によって表すことができ、「C」は、z個の炭素原子を有する化合物群を指し、「Cx~y」は、x~y個の炭素原子を含む基又は化合物を指す。例えば、「C1~6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル鎖を表し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、及びn-ヘキシル基を含むがこれらに限定されない。更なる例として、「C4~10アルケン」は、4~10個の炭素原子を有するアルケン分子を指し、例えば、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-ヘキセン、1-ヘプテン、3-ヘプテン、1-オクテン、4-オクテン、1-ノネン、4-ノネン、及び1-デセンを含むがこれらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用するとき、「短鎖アルケン」又は「短鎖オレフィン」なる用語は、C2~14の範囲、C2~12の範囲、又はC2~10の範囲、又はC2~8の範囲の不飽和の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素類のいずれか1つ又は組み合わせを指す。このようなオレフィン類としては、化合物の一端に不飽和炭素-炭素結合が存在するα-オレフィンが挙げられる。このようなオレフィン類としては、ジエン類又はトリエン類も挙げられる。このようなオレフィン類としては、内部オレフィン類も挙げられる。C2~6範囲の短鎖アルケンの例としては、エチレン、プロピレン、
1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン、シクロペンテン、1,4-ペンタジエン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、
2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-メチル-2-ペンテン、
3-メチル-2-ペンテン、4-メチル-2-ペンテン、2-メチル-3-ペンテン、及びシクロヘキセンが挙げられるがこれらに限定されない。C7~9の範囲の短鎖アルケンの非限定的な例としては、1,4-ヘプタジエン、1-ヘプテン、3,6-ノナジエン、3-ノネン、1,4,7-オクタトリエンが挙げられる。
特定の実施形態では、オレフィン類の混合物を使用するのが好ましく、混合物は、C4~10の範囲の直鎖及び分岐鎖の低分子量オレフィン類を含む。一実施形態では、直鎖及び分岐鎖のCオレフィン(すなわち、1-ブテン、2-ブテン、及び/又はイソブテンの組み合わせ)の混合物を使用することが好ましいことがある。他の実施形態では、C11~14というより高い範囲を使用してもよい。
【0025】
本明細書で使用するとき、「アルキル」は、1~30個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素を指し、本明細書で更に説明するように、これは、任意に置換されていてもよく、複数度の置換が許容される。本明細書で使用するとき、「アルキル」の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられるがこれらに限定されない。アルキル基中の炭素原子の数は、本明細書で定義するように、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を指す「Cx~yアルキル」という文言によって表される。したがって、「C1~6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル鎖を表し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、及びヘキシル基を含むがこれらに限定されない。いくつかの例では、「アルキル」基は二価であってもよく、その場合、この基は、代替的に「アルキレン」基と称されることがある。
【0026】
本明細書で使用するとき、「アルケニル」は、2~30個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状の非芳香族炭化水素を指し、本明細書で更に説明するように、これは、任意に置換されていてもよく、複数度の置換が許容される。本明細書で使用するとき、「アルケニル」の例としては、エテニル、2-プロペニル、2-ブテニル、及び3-ブテニルが挙げられるがこれらに限定されない。アルケニル基中の炭素原子の数は、本明細書で定義するように、x~y個の炭素原子を含むアルケニル基を指す「Cx~yアルケニル」という文言によって表される。したがって、「C2~6アルケニル」は、2~6個の炭素原子を有するアルケニル鎖を表し、例えば、エチニル、2-プロペニル、2-ブテニル、及び3-ブテニルを含むがこれらに限定されない。いくつかの例では、「アルケニル」基は二価であってもよく、その場合、この基は、代替的に「アルケニレン」基と称されることがある。
【0027】
本明細書で使用するとき、「混合」又は「混合された」又は「混合物」は、2つ以上の組成物の任意の組み合わせを広く指す。2つ以上の組成物は、同じ物理的状態を有する必要はない。したがって、固体は、液体と「混合」して、例えば、スラリー、懸濁液、又は溶液を形成することができる。更に、これらの用語は、組成物の何らかの程度の均質性又は均一性を必要としない。これにより、このような「混合物」は、均質又は不均質であってよく、また均一であっても不均一であってもよい。更に、この用語は、工業用ミキサーなどの混合を実行するための何らかの特定の設備の使用を必要としない。
【0028】
別途記載のない限り、全ての構成成分又は組成物の濃度は、当該構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる構成成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0029】
本明細書における全ての温度は、別途記載のない限り、摂氏(℃)である。別途指示のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で行われる。
【0030】
本開示の全ての実施形態において、全ての比率(%)は、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比は重量比である。
【0031】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0032】
布地ケア組成物
本開示は、特定のグリセリドポリマーを含む布地ケア組成物に関し、これは、以下に記載される方法に従って作製され得る。
【0033】
この布地ケア組成物は、布地改善組成物であってもよい。このような組成物は、布地に柔軟性、コンディショニング、及び/又は消臭効果をもたらすことができる。この組成物は、自動洗濯機の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルの間、好ましくはすすぎサイクルの間、布地を処理することが意図され得る。この布地ケア組成物は、組成物の5重量%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は約0.1%未満のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、又は更にはアニオン性界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。
【0034】
本開示の布地ケア組成物は、任意の好適な形態であってよい。この組成物は、液体組成物、顆粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、香錠剤若しくはビーズ、繊維状物品(これは水溶性又は水中分散性、あるいは実質的に不溶性/非分散性であってもよい)、錠剤、バー、フレーク、発泡体/ムース、不織布シート(例えば乾燥機用シート)又はこれらの混合物の形態であってもよい。この組成物は、液体、固体又はこれらの組み合わせから選択することができる。この組成物は、液体布地改善剤、発泡体/ムース、乾燥機用シート、又は香錠剤/ビーズの形態であってもよい。
【0035】
本開示の組成物は、約2~約12、又は約2~約7、又は約2~約5のpHを有し得る。この組成物のpHを、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって求める。
【0036】
グリセリドポリマー
本開示の布地ケア組成物は、特定のグリセリドポリマーを含有する。本開示のグリセリドポリマーは、柔軟性効果などの布地ケア効果を提供するのに役立ち得ると考えられる。本開示のグリセリドポリマーはまた、他のグリセリドポリマーと比較して、改善された臭気プロファイルにより特徴付けられると考えられる。理論に束縛されるものではないが、複数の触媒の添加が、グリセリドコポリマーの多価不飽和脂肪酸から、より短鎖の一価不飽和脂肪酸及び低分子量オレフィンへの変換に有利となると考えられる。温度サイクルによって異性化が誘発され、この異性化は、複数の触媒添加と共に行うと、多価不飽和脂肪酸から、より短鎖の一価不飽和脂肪酸及び低分子量オレフィンへの変換への変換に有利となる。次いで、これらの低分子量オレフィンは、反応プロセス中に比較的容易に除去され、より高分子量のグリセリドコポリマーが得られる。これらの低分子オレフィンは、存在する場合、材料に不快な臭いを与える可能性があり、反応プロセス中及び/又は反応プロセス後により容易に除去され、したがって、グリセリドコポリマーと、得られる布地ケア組成物中の臭気プロファイルが改善される。
【0037】
本開示の布地ケア組成物は、組成物の約0.1重量%~約50重量%、又は約0.5重量%~約25重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約2重量%~約5重量%のグリセリドポリマーを含んでもよい。
【0038】
本開示のグリセリドポリマーは、特定の方法及び/又は特定の原料から得ることができる。これらの方法及び原料については、以下でより詳細に記載する。
【0039】
1.バッチ触媒導入を含む方法
少なくとも1つの態様では、本開示は、グリセリドポリマーを形成する方法を提供し、この方法は、(a)不飽和天然油グリセリドを含む反応混合物を準備する工程と、(b)第1の量のオレフィンメタセシス触媒をこの反応混合物に導入して、この不飽和天然油グリセリドを反応させ、未反応不飽和天然油グリセリド、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第1のオレフィン副生成物を含む第1の生成物混合物を形成する工程と、(c)第2の量のオレフィンメタセシス触媒を第1の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第2のオレフィン副生成物を含む第2の生成物混合物を形成する工程と、を含む。
【0040】
このような方法の特徴は、オレフィンメタセシス触媒を2つ以上のバッチで導入することである。したがって、いくつかの実施形態では、オレフィンメタセシス触媒の追加のバッチが、添加され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2の生成物混合物は、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第3の量のオレフィンメタセシス触媒を第2の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第3のオレフィン副生成物を含む第3の生成物混合物を形成する工程を更に含む。
【0041】
同様に、第4の触媒バッチを添加することができる。したがって、いくつかの更なる実施形態では、第3の生成物混合物は、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第4の量のオレフィンメタセシス触媒を第3の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第4のオレフィン副生成物を含む第4の生成物混合物を形成する工程を更に含む。
【0042】
同様に、第5の触媒バッチを添加することができる。したがって、いくつかの更なる実施形態では、第4の生成物混合物は、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第5の量のオレフィンメタセシス触媒を第4の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第5のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第5のオレフィン副生成物を含む第5の生成物混合物を形成する工程を更に含む。
【0043】
前述の項に記載された実施形態において、オレフィンメタセシス触媒の量は、あるバッチとその次のバッチとで異なり得る(又は同じであってもよい)。したがって、前述の実施形態のいくつかの実施形態では、第1の量のオレフィンメタセシス触媒、第2の量のオレフィンメタセシス触媒、第3の量のオレフィンメタセシス触媒、第4の量のオレフィンメタセシス触媒、第5の量のオレフィンメタセシス触媒のうち、任意の2つの重量比は、1:10~10:1、又は1:5~5:1、又は1:3~3:1、又は1:2~2:1の範囲である。
【0044】
概ね、不飽和天然油グリセリドは、1種以上の天然油から誘導される。いくつかの更なる実施形態では、不飽和天然油グリセリドは、種子油などの1種以上の植物油から誘導される。任意の好適な植物油を使用してよく、これには、ナタネ油、キャノーラ油(低エルカ酸ナタネ油)、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、カラシ油、ペニークレス油、カメリナ油、麻実油、ヒマシ油又はこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、この植物油はキャノーラ油である。
【0045】
このような種子植物油は、脂肪酸グリセリドであってもよく、グリセリン上のヒドロキシル基のうちの少なくとも1つが、不飽和脂肪酸とのエステルを形成する。このようなグリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。不飽和脂肪酸部分は、天然(例えばオレイン酸)で生じるものであってもよく、又はいくつかの他の例では、不飽和脂肪酸をアルケニル化することにより形成されるものであってもよい(例えば9-デセン酸であり、これはα-オレフィンを天然脂肪酸(オレイン酸など)と反応させることによって形成され得る)。したがって、いくつかの実施形態では、この不飽和天然油グリセリドは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、バクセン酸、9-デセン酸、9-ウンデセン酸、9-ドデセン酸、9,12-トリデカジエン酸、9,12-テトラデカジエン酸、9,12-ペンタデカジエン酸、9,12,15-ヘキサデカトリエン酸、9,12,15ヘプタデカトリエン酸、9,12,15-オクタデカトリエン酸、11-ドデセン酸、11-トリデセン酸及び11-テトラデセン酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸のグリセリドを含む。
【0046】
上述のように、不飽和天然油グリセリドは、いくつかの実施形態では、不飽和アルケニル化天然油グリセリドを含むことができる。不飽和アルケニル化天然油グリセリドは、第2のメタセシス触媒の存在下で第2の不飽和天然油グリセリドと短鎖アルケンとの反応から形成される。いくつかのかかる実施形態では、不飽和アルケニル化天然油グリセリドは、第2の不飽和天然油グリセリドより低い分子量を有する。上記の実施形態に従って、任意の好適な短鎖アルケンを使用することができる。いくつかの実施形態では、短鎖アルケンは、C2~8オレフィン又はC2~6オレフィンである。いくつかのかかる実施形態では、短鎖アルケンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、又は3-ヘキセンである。いくつかの更なるかかる実施形態では、短鎖アルケンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、又はイソブテンである。いくつかの実施形態では、短鎖アルケンはエチレンである。いくつかの実施形態では、短鎖アルケンはプロピレンである。いくつかの実施形態では、短鎖アルケンは1-ブテンである。いくつかの実施形態では、短鎖アルケンは2-ブテンである。
【0047】
不飽和天然油グリセリドが不飽和アルケニル化天然油グリセリドを含む実施形態では、この不飽和アルケニル化天然油グリセリドは、任意の好適な量の組成物を製造することができる。いくつかの実施形態では、不飽和天然油グリセリドは、総重量に対して、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも25重量%、それぞれ最大50重量%、又は60重量%、又は70重量%の不飽和天然油グリセリドが組成物中に含まれる。
【0048】
任意の好適なオレフィンメタセシス触媒を使用することができる。いくつかの実施形態では、オレフィンメタセシス触媒は、有機ルテニウム化合物、有機オスミウム化合物、有機タングステン化合物、有機モリブデン化合物、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、オレフィンメタセシス触媒は、有機ルテニウム化合物を含む。
【0049】
任意の好適な分子量を、プロセスの各段階で達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、4,000~150,000、又は5,000~130,000、又は6,000~100,000、又は7,000~50,000、又は8,000~30,000、又は9,000~20,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかのかかる実施形態では、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドよりも高い分子量(Mw)を有する。
【0050】
いくつかの更なる実施形態では、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、グリセリドコポリマーは、4,000~150,000、又は5,000~130,000、又は6,000~100,000、又は7,000~50,000、又は8,000~30,000、又は9,000~20,000の範囲の分子量(Mw)である。いくつかのかかる実施形態では、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドより高い分子量(Mw)を有する。
【0051】
いくつかの更なる実施形態では、第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、4,000~150,000、又は5,000~130,000、又は6,000~100,000、又は7,000~50,000、又は8,000~30,000、又は9,000~20,000の範囲の分子量(Mw)である。いくつかのかかる実施形態では、第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドよりも高い分子量(Mw)を有する。
【0052】
いくつかの更なる実施形態では、第5のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、グリセリドコポリマーは、4,000~150,000、又は5,000~130,000、又は6,000~100,000、又は7,000~50,000、又は8,000~30,000、又は9,000~20,000の分子量(Mw)である。いくつかのかかる実施形態では、第5のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドは、第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドより高い分子量(Mw)を有する。
【0053】
上述のように、オリゴマー化プロセスは、オレフィン副生成物をもたらす。場合によっては、例えば反応を完了させるため、又は望ましくない副反応の危険性を軽減するためなどの理由で、この副生成物の少なくとも一部を除去することが望ましい場合がある。したがって、前述の実施形態の任意のいくつかの実施形態では、以下の追加の工程のうちの1つ以上を組み込むことができる:第1の生成物混合物から第1のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、第2の生成物混合物から第2のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、第3の生成物混合物から第3のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、第4の生成物混合物から第4のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、及び第5の生成物混合物から第5のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程。
【0054】
この除去の工程は、反応器の通気、ストリッピング手順などの任意の好適な手段によって行うことができる。オレフィン副生成物を除去する様々な手段が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0344012号に記載されている。
【0055】
オレフィンメタセシス反応は、任意の好適な温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、第1の生成物混合物、第2の生成物混合物、第3の生成物混合物、第4の生成物混合物、又は第5の生成物混合物を生成するオレフィンメタセシス反応は、150℃以下、又は140℃以下、又は130℃以下、又は120℃以下、又は110℃以下、又は100℃以下の温度で実施される。いくつかのこのような実施形態では、反応器の温度は、1つのバッチから次のバッチへの移行時に維持される。しかしながら、いくつかの他の例では、反応器は、工程の間でより低い温度(例えば室温)に冷却されてもよい。
【0056】
本明細書に開示される方法は、得られるグリセリドコポリマーの追加的な化学的及び物理的処理を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、得られるグリセリドコポリマーは、ジエン選択的水素化などの、完全又は部分的水素化に供される。
【0057】
2.異性化を含む方法
少なくとも1つの態様では、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド、又は第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドのうちの任意の1つ以上が、異性化工程を経る。
【0058】
異性化は、不飽和生成物中のオレフィン結合を異性化するための任意の好適な手段によって行うことができる。好適な方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,382,502号に記載されている。例えば、この異性化工程は、第1の生成物混合物、第2の生成物混合物、第3の生成物混合物及び/又は第4の生成物混合物を、少なくとも150℃、又は少なくとも155℃、又は少なくとも160℃、又は少なくとも165℃、又は少なくとも170℃の温度まで加熱する工程を含んでもよい。
【0059】
3.再生可能資源からの誘導
本明細書で開示される任意の態様又は実施形態で用いられる化合物は、特定の実施形態では、様々な天然油又はそれらの誘導体などの再生可能資源から誘導することができる。任意の好適な方法を使用して、このような再生可能資源からこれらの化合物を作製することができる。
【0060】
オレフィンのメタセシスは、特定の天然油原料を、様々な用途で使用することができる、又は更に化学修飾して様々な用途で使用することができる、オレフィン及びエステルへと変換する1つの可能な手段を提供する。いくつかの実施形態では、組成物(又は組成物の成分)は、天然油及び/又はその脂肪酸若しくは脂肪酸エステル誘導体のメタセシス反応を通じて形成される再生可能原料などの再生可能原料から形成されてもよい。炭素-炭素二重結合を含む化合物がメタセシス触媒の存在下でメタセシス反応すると、元の炭素-炭素二重結合の一部又は全部が破壊され、新規な炭素-炭素二重結合が形成される。このようなメタセシス反応の生成物としては、有用な化学的性質を有する不飽和有機化合物を提供することができる、異なる場所の炭素-炭素二重結合が挙げられる。
【0061】
このようなメタセシス反応では、広範な天然油又はその誘導体を使用することができる。好適な天然油の例としては、植物油、藻類油、魚油、動物性脂肪、トール油、これらの油の誘導体、これらの油のいずれかの組み合わせなどが挙げられるがこれらに限定されない。植物油の代表的な非限定例としては、ナタネ油(キャノーラ油)、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、カラシ油、ペニークレス油、カメリナ油、麻実油、及びヒマシ油が挙げられる。動物脂の代表的な非限定例としては、ラード、獣脂、家禽油、黄色油脂、及び魚油が挙げられる。トール油は、木材パルプ製造の副生成物である。いくつかの実施形態では、天然油又は天然油原料は、1つ以上の不飽和グリセリド(例えば、不飽和トリグリセリド)を含む。いくつかのかかる実施形態では、天然油原料は、天然油原料の総重量に基づいて少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97重量%、又は少なくとも99重量%の1つ以上の不飽和トリグリセリドを含む。
【0062】
天然油は、精製、漂白、及び脱臭大豆油(すなわち、RBD大豆油)などのキャノーラ又は大豆油を含み得る。大豆油は、典型的に、約95重量%(wt%)以上(例えば、99重量%以上)の脂肪酸のトリグリセリドを含む。大豆油のポリオールエステル中の主な脂肪酸としては、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)及びステアリン酸(オクタデカン酸)などの飽和脂肪酸、並びにオレイン酸(9-オクタデセン酸)、リノール酸(9,12-オクタデカジエン酸)、及びリノレン酸(9,12,15-オクタデカトリエン酸)などの不飽和脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
このような天然油又はその誘導体は、トリグリセリドなどの、様々な不飽和脂肪酸のエステルを含む。このような脂肪酸の種類及び濃度は、油源によって、かつある場合には種類によって、様々である。いくつかの実施形態では、天然油は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸の1つ以上のエステル、又はこれらの任意の組み合わせを含む。このような脂肪酸エステルをメタセシス化すると、新規な化合物が形成される。例えば、メタセシスが特定の短鎖アルケン、例えばエチレン、プロピレン又は1-ブテンを使用し、天然油がオレイン酸のエステルを含む実施形態では、数ある生成物の中でも、ある量の1-デセン及び1-デセノイド酸(又はこれらのエステル)が形成される。
【0064】
いくつかの実施形態では、天然油は、様々な前処理プロセスに供することができ、これは、特定のメタセシス反応での使用に関して天然油の有益性を促進することができる。有用な前処理方法が、米国特許出願公開第2011/0113679号、同第2014/0275595号、同第2014/0275681号に記載されており、これら3つは全て、本明細書に完全に述べられているかのごとく、ここに参照により組み込まれる。
【0065】
いくつかの実施形態では、天然油原料の任意の前処理の後に、メタセシス反応器内でメタセシス触媒の存在下で天然油原料を反応させる。いくつかの他の実施形態では、メタセシス反応器内でメタセシス触媒の存在下で不飽和エステル(例えば、不飽和トリグリセリドなどの不飽和グリセリド)を反応させる。これらの不飽和エステルは、天然油原料の成分であってもよく、又は他の源から、例えば、先に行われたメタセシス反応で発生したエステルから誘導されてもよい。
【0066】
このようなメタセシス反応のための条件、及び反応器設計、及び好適な触媒は、オレフィン系エステルのメタセシスに関して後述するとおりである。この議論は、本明細書に完全に述べられているかのごとく、参照により組み込まれる。
【0067】
4.オレフィンのメタセシス
いくつかの実施形態では、不飽和モノマーの1つ以上は、天然油又は天然油誘導体をメタセシス化することによって作製することができる。「メタセシス」又は「メタセシス化」なる用語は、交差メタセシス、自己メタセシス、開環メタセシス、開環メタセシス重合(「ROMP」)、閉環メタセシス(「RCM」)、及び非環式ジエン系メタセシス(「ADMET」)を含むがこれらに限定されない様々な異なる反応を指すことができる。所望の生成物又は生成物混合物に応じて任意の好適なメタセシス反応を使用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、天然油原料の任意の前処理の後に、メタセシス反応器内でメタセシス触媒の存在下で天然油原料を反応させる。いくつかの他の実施形態では、メタセシス反応器内でメタセシス触媒の存在下で不飽和エステル(例えば、不飽和トリグリセリドなどの不飽和グリセリド)を反応させる。これらの不飽和エステルは、天然油原料の成分であってもよく、又は他の源から、例えば、先に行われたメタセシス反応で発生したエステルから誘導されてもよい。特定の実施形態では、メタセシス触媒の存在下で、天然油又は不飽和エステルは、それ自体との自己メタセシス反応を行うことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、メタセシスは、メタセシス触媒の存在下で天然油原料(又は別の不飽和エステル)を反応させることを含む。いくつかのかかる実施形態では、メタセシスは、メタセシス触媒の存在下で天然油原料中の1つ以上の不飽和グリセリド(例えば、不飽和トリグリセリド)を反応させることを含む。いくつかの実施形態では、不飽和グリセリドは、オレイン酸、リノール酸、リノール酸の1つ以上のエステル又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの他の実施形態では、不飽和グリセリドは、別の不飽和グリセリド(上記)の部分水素化及び/又はメタセシスの生成物である。
【0070】
メタセシスプロセスは、所望のメタセシス生成物を生成するのに適切な任意の条件下で行うことができる。例えば、当業者は、所望の生成物を生成し、望ましくない副生成物を最小限に抑えるために、化学量論、雰囲気、溶媒、温度、及び圧力を選択することができる。いくつかの実施形態では、メタセシスプロセスは、不活性雰囲気下で行われてもよい。同様に、試薬が気体として供給される実施形態では、不活性ガス状希釈剤をガス流内で使用することができる。このような実施形態では、不活性雰囲気又は不活性ガス状希釈剤は典型的には不活性ガスであるが、これは、触媒作用を相当程度に阻害するようにはガスはメタセシス触媒と反応しないことを意味する。例えば、不活性ガスの非限定的な例としては、個別に使用されるか、又は一緒に、及び他の不活性ガスと共に使用されるヘリウム、ネオン、アルゴン、メタン、窒素が挙げられる。
【0071】
メタセシス反応用の反応器設計は、反応規模、反応条件(熱、圧力等)、触媒の同一性、反応器内で反応させられる材料の同一性、及び用いられる原料の性質等が挙げられるが、これらに限定されない、様々な要素に応じて異なり得る。当業者は、好適な反応器を関連する要因に応じて設計することができ、好適な反応器は、本明細書で開示するものなどの精錬プロセスに組み込むことができる。
【0072】
本明細書で開示されるメタセシス反応は、概ね、1つ以上のメタセシス触媒の存在下で起こる。このような方法は、任意の好適なメタセシス触媒を用いることができる。この反応におけるメタセシス触媒は、メタセシス反応を触媒する任意の触媒又は触媒系を含んでもよい。任意の既知のメタセシス触媒を、単独で、又は1つ以上の更なる触媒と組み合わせて使用することができる。メタセシス触媒及びプロセス条件の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0160472号に記載されているが、ただし本明細書とは矛盾する開示又は定義がある場合、本明細書中の開示又は定義が優先すると見なされるものとする。米国特許出願公開第2011/0160472号に記載されているいくつかのメタセシス触媒は、Materia,Inc.(Pasadena,Calif.)から現在入手可能である。
【0073】
いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、グラブス型オレフィンメタセシス触媒及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、第1世代のグラブス型オレフィンメタセシス触媒及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、第2世代のグラブス型オレフィンメタセシス触媒及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、第1世代のホベイダ-グラブス型オレフィンメタセシス触媒及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、第2世代のホベイダ-グラブス型オレフィンメタセシス触媒及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、Materia,Inc.(Pasadena,Calif.)によって販売される1つ若しくは複数のルテニウムカルベンメタセシス触媒及び/又はそのような触媒に由来する1つ以上のエンティティを含む。本教示に従って使用するためのMateria,Inc.の代表的なメタセシス触媒としては、以下の製品番号及びそれらの組み合わせの下で販売されるものを含むがこれらに限定されない。製品番号C823(CAS番号172222-30-9)、製品番号C848(CAS番号246047-72-3)、製品番号C601(CAS番号203714-71-0)、製品番号C627(CAS番号301224-40-8)、製品番号C571(CAS番号927429-61-6)、製品番号C598(CAS番号802912-44-3)、製品番号C793(CAS番号927429-60-5)、製品番号C801(CAS番号194659-03-9)、製品番号C827(CAS番号253688-91-4)、製品番号C884(CAS番号900169-53-1)、製品番号C833(CAS番号1020085-61-3)、製品番号C859(CAS番号832146-68-6)、製品番号C711(CAS番号635679-24-2)、製品番号C933(CAS番号373640-75-6)。
【0074】
いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、モリブデン及び/若しくはタングステンカルベン錯体並びに/又はこのような錯体に由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、Schrock型オレフィンメタセシス触媒及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、モリブデンの高酸化状態のアルキリデン錯体及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、タングステンの高酸化状態のアルキリデン錯体及び/又はそれに由来するエンティティを含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒はモリブデン(VI)を含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒はタングステン(VI)を含む。いくつかの実施形態では、メタセシス触媒は、(a)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,2003,42,4592-4633;(b)Chem.Rev.,2002,102,145-179、及び/又は(c)Chem.Rev.,2009,109,3211-3226のうちの1つ以上に記載されている種類のモリブデン含有及び/又はタングステン含有アルキリデン錯体を含み、それらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれるが、ただし本明細書とは矛盾する開示又は定義がある場合、本明細書中の開示又は定義が優先すると見なされるものとする。
【0075】
特定の実施形態では、メタセシス触媒は、メタセシス反応を行う前に溶媒に溶解されている。特定のかかる実施形態では、選択される溶媒として、メタセシス触媒に対して実質的に不活性であるものを選択することができる。例えば、実質的に不活性な溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン及びジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素化アルカンが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンを含む。
【0076】
他の実施形態では、メタセシス触媒は、メタセシス反応を行う前に溶媒に溶解されない。その代わりに、触媒は、例えば、天然油又は不飽和エステルでスラリー化することができ、天然油又は不飽和エステルは液体状態にある。これらの条件下では、溶媒(例えば、トルエン)をプロセスから排除し、溶媒を分離するときの下流オレフィン損失を無くすことが可能である。他の実施形態では、メタセシス触媒は、固体形態(スラリー化されていない)で天然油又は不飽和エステルに添加されてもよい(例えば、オーガフィードとして)。
【0077】
メタセシス反応温度は、いくつかの例では、律速変数であり得、温度は所望の生成物を許容される速度で提供するように選択される。特定の実施形態では、メタセシス反応温度は、-40℃よりも高く、-20℃よりも高く、0℃よりも高く、又は10℃よりも高い。特定の実施形態では、メタセシス反応温度は、200℃よりも低く、150℃よりも低く、又は120℃よりも低い。いくつかの実施形態では、メタセシス反応温度は、0℃~150℃、又は10℃~120℃である。
【0078】
5.グリセリドコポリマーを作製する例示的なプロセス
図1は、本開示によるグリセリドコポリマーを作製するための例示的なプロセスを示す。プロセス100は、約1.4kgのキャノーラ油1を提供することから開始する。油1に前処理工程2を行う。この工程では、油1を窒素ガス(N)で200℃で約2時間処理する。前処理された油は、第1のメタセシス工程3を経る。この工程では、触媒4が、95℃で2時間、約25ppm/時間で添加される。第1のメタセシス工程3の後、部分的オレフィンストリッピング工程5が行われる。この工程では、この材料が約180℃の温度及び約20torrの圧力で約1時間保持される。オレフィン6が約1時間除去される。残った材料は第2のメタセシス工程7を経る。この工程では、触媒8が、95℃で2時間、約25ppm/時間で添加される。第2のメタセシス工程7の後、触媒1モル当たり約5モルのトリスヒドロキシメチルホスフィン(「THMP」)9を添加し、これにより触媒を抑制/不活性化する。結果として得られた材料は、別のオレフィンストリッピング工程10を経る。この工程で、材料は真空下で約220~245℃に保持され、更なるオレフィン11の除去を可能にする。プロセス100は、約1kgのグリセリドコポリマー12をもたらす。
【0079】
補助材料
開示される組成物は、追加の補助材料、すなわち、漂白活性化剤、界面活性剤、送達改善剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定化剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地コンディショニング活性物質(FCA)、アニオン性界面活性剤スカベンジャー、担体、ヒドロトロープ、処理助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、付着助剤、乳化剤、顔料又はこれらの混合物を含み得る。本出願人らの組成物の他の実施形態は、列挙された補助材料のうちの1つ以上を含有しない。これらの追加の構成成分の正確な性質及びそれらを組み込む濃度(又は更にはそれらの欠如)は、組成物の物理的形態及び使用される作業の性質に依存する。
【0080】
この組成物は、約0.01%~約50%の布地コンディショニング活性物質、約0.001%~約15%のアニオン性界面活性剤スカベンジャー、約0.01%~約10%の送達改善剤、約0.005%~約30%の香料、約0.005%~約30%の香料送達系、約0.01%~約20%の汚れ分散ポリマー、約0.001%~約10%の増白剤、約0.0001%~約10%の色相染料、約0.0001%~約10%の移染防止剤、約0.01%~約10%の酵素、約0.01%~約20%の構造化剤、約0.1%~約80%のビルダー、約0.1%~約99%の担体、及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0081】
本開示の布地処理組成物は、布地コンディショニング活性物質(FCA)を含み得る。FCAは、組成物の約1重量%~約99重量%のレベルで存在し得る。布地処理組成物は、組成物の重量に対して、約1重量%以上、又は約2重量%以上、又は約3重量%以上、約99重量%以下、又は約75重量%以下、又は約50重量%以下、又は約40重量%以下、又は約30重量%以下、又は約25重量%以下、又は約20重量%以下、又は約15重量%以下、又は約10重量%以下のFCAを含み得る。布地処理組成物は、組成物の約5重量%~約30重量%のFCAを含み得る。
【0082】
本開示の組成物に好適な布地コンディショニング活性物質(FCA)としては、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟オイル若しくはコンディショニングオイル、ポリマーラテックス又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0083】
この組成物は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はこれらの複数組の組み合わせ、好ましくは一組の組み合わせを含んでもよい。四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを組み合わせた総量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。この組成物は、四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。
【0084】
この組成物は、様々な種類のFCAの混合物を含有し得る。本開示の組成物は、ある特定のFCAを含有してもよく、他のFCAを実質的に含まなくてもよい。例えば、組成物は、四級アンモニウムエステル化合物若しくはシリコーン又はその両方を含まなくてもよい。組成物は、四級アンモニウムエステル化合物を含んでもよいが、シリコーンを実質的に含まなくてもよい。組成物はシリコーンを含んでもよいが、四級アンモニウムエステル化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0085】
この組成物は、香料及び/又は香料送達系を含み得る。好適な香料送達系には、ポリマー支援型送達(PAD)系、分子支援型送達(MAD)系、シクロデキストリン(CD)系、デンプン封入アコード(SEA)系、ゼオライト及び無機担体(ZIC)系、並びにこれらの混合物が含まれ得る。PAD系は、香料を含む貯蔵(resevoir)系を含んでもよい。このような系は、シェル材料及びコア材料を含み得る香料送達粒子を含んでもよく、該シェル材料は、香料を含み得る該コア材料を封入してもよい。このシェルは、ポリエチレン;ポリアミド;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アミノプラスト(ポリ尿素(ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含む)、ポリウレタン、及び/又はポリ尿素ウレタンなど);ポリオレフィン;多糖類(例えば、アルギン酸及び/又はキトサン)、ゼラチン;シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機材料;シリコーン;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。粒子は、例えばコーティングとしての付着助剤を含んでよく、この付着助剤は、カチオン性ポリマーを含み得る。
【0086】
本開示の布地処理組成物は、構造化剤を含み得る。構造化剤は、例えば、粒子(例えばFCA液滴又はカプセル化有益剤)を懸濁させること、及び/又はそのような材料の弱凝集/強凝集を阻害することによって、容器内の組成物の物理的安定性を促進し得る。好適な構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(水素添加ヒマシ油由来のものなど)、ポリマー構造化剤(ポリアクリレートから誘導されるものと、比較的直鎖又は架橋であってもよいポリマーとを含み、これらは塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムアクリレート、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性モノマー、並びに、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性モノマーから誘導される)、セルロース繊維(例えば、ミクロフィブリル化セルロースを含み、これは細菌、真菌、又は木材を含む植物起源から誘導され得る)、ジアミドゲル化剤又はこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0087】
組成物の製造方法
本発明の組成物は、任意の好適な形態に配合することができ、配合者によって選択される任意の方法によって調製することができ、その非限定例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,879,584号に記載されている。例えば、グリセリドコポリマーを予備乳化及び/又は予備混合なしで組成物の他の成分と直接組み合わせて、最終製品を形成することができる。あるいは、最終製品を化合する前に、グリセリドコポリマーを界面活性剤若しくは乳化剤、溶媒、好適な補助剤、及び/又は任意のその他の好適な成分と組み合わせてエマルションを調製してもよい。
【0088】
本明細書で開示される方法で使用するのに好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げることができる。かかる装置は、Lodige GmbH(Paderborn,Germany)、Littleford Day,Inc.(Florence,Kentucky,U.S.A.)、Forberg AS(Larvik,Norway)、Glatt Ingenieurtechnik GmbH(Weimar,Germany)、Niro(Soeborg,Denmark)、Hosokawa Bepex Corp.(Minneapolis,Minnesota,U.S.A.)、Arde Barinco(New Jersey,U.S.A.)から入手可能である。
【0089】
使用方法及び処理される布地
本明細書に開示される組成物は、布地をきれいにし、かつ/又は処理するために使用することができる。したがって、本開示は更に、布地を処理する方法にも関し、この方法は、任意に水の存在下で、本開示による組成物に布地を接触させる工程を含む。概ね、布地の少なくとも一部分を、無希釈形態で、又は溶液(例えば、洗浄液又はすすぎ液)で希釈して、本出願人らの組成物の実施形態と接触させた後、任意に布地を洗浄し、及び/又はすすいでもよい。
【0090】
本発明の目的に関して、洗浄は、こすり洗い及び機械的撹拌を含むが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な、ほとんどいずれの布地を含んでもよい。開示される組成物を含み得る液体は、約3~約12のpHを有し得る。かかる組成物は、典型的には、溶液中約500ppm~約15,000ppmの濃度で用いられる。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、通常約5~約90℃の範囲であり、布地が1つの布地からなるとき、水対布地の比は、通常約1:1~約30:1である。この接触工程は、自動洗濯機の洗浄及び/又はすすぎサイクル中に、好ましくはすすぎサイクル中に生じ得る。
【0091】
本開示は更に、本明細書に開示される任意の組成物及び/又はグリセリドポリマーで処理された布地に関する。
【0092】
組み合わせ
本開示の具体的に想到される組み合わせを、ここで以下のアルファベットを付した項に記載する。これらの組み合わせは、事実上例示的なものであり、限定的であることを意図したものではない。
【0093】
A.補助材料と、下記の工程を含む方法によって取得可能なグリセリドポリマーとを含む布地ケア組成物であって、この工程が、(a)不飽和天然油グリセリドを含む反応混合物を準備する工程と、(b)第1の量の第1のオレフィンメタセシス触媒を該反応混合物に導入して、該不飽和天然油グリセリドを反応させ、未反応不飽和天然油グリセリド、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第1のオレフィン副生成物を含む第1の生成物混合物を形成する工程と、(c)第2の量の第2のオレフィンメタセシス触媒を該第1の生成物混合物に導入して、該未反応不飽和天然油グリセリド及び該第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第2のオレフィン副生成物を含む第2の生成物混合物を形成する工程と、を含む、布地ケア組成物。
【0094】
B.補助材料と、下記の工程を含む方法によって取得可能なグリセリドポリマーとを含む布地ケア組成物であって、この工程が、(a)不飽和天然油グリセリド及び任意に初期オリゴマー化不飽和天然油グリセリドを含む反応混合物を準備する工程と、(b)第1の量の第1のオレフィンメタセシス触媒を反応混合物に導入して、この不飽和天然油グリセリド及び任意に初期オリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、未反応不飽和天然油グリセリド、第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第1のオレフィン副生成物を含む第1の生成物混合物を形成する工程と、(c)第2の量の第2のオレフィンメタセシス触媒を第1の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第2のオレフィン副生成物を含む第2の生成物混合物を形成する工程と、を含み、この方法が、該第1のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程を含む、布地ケア組成物。
【0095】
C.A項又はB項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物であって、第2の生成物混合物が、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第3の量の第3のオレフィンメタセシス触媒を該第2の生成物混合物に導入して、該未反応不飽和天然油グリセリド及び該第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第3のオレフィン副生成物を含む第3の生成物混合物を形成する工程を更に含み、任意に、該第3の生成物混合物が、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第4の量の第4のオレフィンメタセシス触媒を第3の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第4のオレフィン副生成物を含む第4の生成物混合物を形成する工程を更に含み、任意に、該第4の生成物混合物は、未反応不飽和天然油グリセリドを更に含み、第5の量の第5のオレフィンメタセシス触媒を第4の生成物混合物に導入して、未反応不飽和天然油グリセリド及び第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを反応させ、第5のオリゴマー化不飽和天然油グリセリド及び第5のオレフィン副生成物を含む第5の生成物混合物を形成する工程を更に含む、布地ケア組成物。
【0096】
D.不飽和天然油グリセリドが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、バクセン酸、9-デセン酸、9-ウンデセン酸、9-ドデセン酸、9,12-トリデカジエン酸、9,12-テトラデカジエン酸、9,12-ペンタデカジエン酸、9,12,15-ヘキサデカトリエン酸、9,12,15ヘプタデカトリエン酸、9,12,15-オクタデカトリエン酸、11-ドデセン酸、11-トリデセン酸及び11-テトラデセン酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸のグリセリドを含む、A~C項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0097】
E.第1のオレフィンメタセシス触媒、第2のオレフィンメタセシス触媒、存在する場合は第3のオレフィンメタセシス触媒、存在する場合は第4のオレフィンメタセシス触媒及び/又は存在する場合は第5のオレフィンメタセシス触媒のうち少なくとも2つが、同じ触媒である、A~D項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0098】
F.不飽和天然油グリセリドが、天然油、好ましくは植物油から誘導され、より好ましくは、ナタネ油、キャノーラ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、カラシ油、ペニークレス油、カメリナ油、麻実油、ヒマシ油又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される植物油から誘導される、A~E項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0099】
G.グリセリドポリマーが、4,000~150,000、又は5,000~130,000、又は6,000~100,000、又は7,000~50,000、又は8,000~30,000、又は9,000~20,000の重量平均分子量(Mw)を有する、A~F項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0100】
H.第1の生成物混合物から第1のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、第2の生成物混合物から第2のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、第3の生成物混合物から第3のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、第4の生成物混合物から第4のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程、及び/又は第5の生成物混合物から第5のオレフィン副生成物の少なくとも一部を除去する工程のうち1つ以上を更に含む、A~G項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0101】
I.第1の生成物混合物、第2の生成物混合物、第3の生成物混合物、第4の生成物混合物及び/又は第5の生成物混合物を生成するオレフィンメタセシス反応が、180℃以下、又は170℃以下、又は160℃以下、又は150℃以下、又は140℃以下、又は130℃以下、又は120℃以下、又は110℃以下、又は100℃以下の温度で、かつ約10~約300mmHg(約1333.22~約39996.7Pa)の真空条件で実施される、A~H項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0102】
J.方法が、第2のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程、第3のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程、及び/又は第4のオリゴマー化不飽和天然油グリセリドを異性化する工程のうち少なくとも1つを更に含む、A~I項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0103】
K.異性化工程が、第1の生成物混合物、第2の生成物混合物、第3の生成物混合物及び/又は第4の生成物混合物を、約10~約300mmHg(約1333.22~約39996.7Pa)の真空条件下で、少なくとも150℃、又は少なくとも155℃、又は少なくとも160℃、又は少なくとも165℃、又は少なくとも170℃、又は少なくとも180℃の温度に加熱する工程を含む、A~J項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0104】
L.組成物が、該組成物の約0.1重量%~約50重量%、又は約0.5重量%~約25重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約2重量%~約5重量%のグリセリドポリマーを含む、A~K項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0105】
M.補助材料が、漂白活性化剤、界面活性剤、送達改善剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定化剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地コンディショニング活性物質(FCA)、アニオン性界面活性剤スカベンジャー、担体、ヒドロトロープ、処理助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、顔料、付着助剤、乳化剤又はこれらの混合物から選択される、A~L項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0106】
N.補助材料が、a)布地コンディショニング活性物質(FCA)であって、好ましくは、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟オイル若しくはコンディショニングオイル、ポリマーラテックス又はこれらの組み合わせ、より好ましくは、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はこれらの組み合わせから選択されるFCA、b)香料及び/若しくは香料送達系、好ましくは、シェル材料及びコア材料を含む香料送達粒子であって、該シェル材料が該コア材料を封入し、好ましくは該コア材料が香料を含み、該シェル材料が、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、アミノプラスト、ポリオレフィン、多糖類、ゼラチン、シェラック、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、水不溶性無機材料、シリコーン及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、香料送達粒子、並びに/又はc)構造化剤であって、好ましくは非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤、ポリマー構造化剤、セルロース繊維、ジアミドゲル化剤若しくはこれらの組み合わせから選択される構造化剤、のうち少なくとも1つから選択される、A~M項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0107】
O.布地ケア組成物が、液体組成物、顆粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、香錠剤、繊維状物品、錠剤、バー、フレーク、発泡体、不織布シート又はこれらの混合物の形態であり、好ましくは液体組成物の形態である、A~N項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0108】
P.布地ケア組成物が、布地向上剤組成物、好ましくは液体布地向上剤組成物である、A~O項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0109】
Q.方法が、補助材料とグリセリドポリマーとを合わせる工程を含む、A~P項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物。
【0110】
R.任意に水の存在下で、A~P項のいずれか一項に記載の布地ケア組成物に布地を接触させる工程を含む、布地を処理する方法。
【0111】
試験方法
LFEヘッドスペースのz-Nose測定
全てのz-Nose実験は、Electronic Sensor Technology(Newbury Park,CA)のモデル4200蒸気分析システムを使用して実施される。z-Noseは、電子鼻の速度で動作しながら、GCの精度及び正確さを提供する。z-Noseは、小さなキャリーケース内に収容されたセンサヘッド、支持シャーシ、及びシステムコントローラからなる。センサヘッドは、分析物中の化合物を分離及び検出するために必要なハードウェアを含む。支持シャーシは、適切な制御システムを使用してシステムを作動させるための小型ヘリウムガスタンク、電源、及び電子機器を含む。この分析器は、基本周波数で振動する、コーティングなしの圧電石英結晶を備えた、単一のコーティングなし石英式の表面弾性波センサ(SAW)に基づく。この結晶は熱電素子と接触しており、この熱電素子が、蒸気吸着中の冷却温度と洗浄中の加熱温度を制御し、その表面上で500MHzの高集束かつ共振の表面弾性波を維持することによって動作する。物質を吸着すると、表面弾性波の周波数は吸着物質に比例して変化する。
【0112】
z-Nose測定では、2.00g+/-0.01gの液体布地向上剤(LFE)を40mLのバイアル瓶(長さ98mm及び外径28mm)に移し、セプタムを有するスクリューキャップ(EP Scientific,VWRカタログ番号EP 140-CEP)で密封する。このバイアル瓶を室温(約22℃)に維持して、試料の臭気をバイアル瓶のヘッドスペース内に、20.5時間(±0.1時間)にわたって平衡化させる。平衡化後、試料をz-Noseで1つずつ測定する。z-Noseは、入口の5cmの針を使用する。これは、バイアル瓶のセプタムを通してサンプリングするために使用される。入口温度は200℃、バルブ温度は165℃、初期のカラム温度は40℃である。分析中、カラム温度を10℃/秒の速度で、最終カラム温度200℃まで上昇させる。SAWセンサは温度50℃で操作される。トラップは、温度250℃で操作される。DB-5カラムは、3cm/分のヘリウム流量で使用される。サンプリングモード(ポンピング時間)は10秒に設定され、続いて0.5秒の注入、2秒の待機時間が設定される。トラップを発射し、続いて1秒間待機し、その後、カラム温度を10℃/秒で200℃まで上昇させる。次いで、データを20秒間取得する。このデータサンプリング時間の後、システムは20秒の焼成期間を必要とする。この間、センサが短時間150℃に加熱され、その後、入口、カラム、及びセンサの温度条件がそれぞれの初期状態にリセットされる。各試料測定の間に、少なくとも1つのメタノールブランクを実行して、システム及び安定したベースラインの適切な洗浄を確実にする。各LFEについて、2つの複製試料バイアルを調製して、LFE当たり合計2つの測定値を得る。
【0113】
ガス試料中の異なる化学成分は、それらの分子量に基づいて分離され、それらの周波数シフトを通じてSAW検出器によって連続的に検出される。これらの異なる保持時間は、Kovats指数(KI)によって特徴付けられる。理論に束縛されるものではないが、Kovats指数は、同一条件下で分析されたときに、対象となるピークの保持体積(時間)と同一である仮想的なノルマルアルカンの炭素原子数(100を乗じたもの)を表す。Kovats指数に関して、標準的な相同体n-アルカン(ここではC6~C14)は、z-Nose較正手順の一部として、使用日毎の開始時に実行される。これらの標準アルカンは、アルカン中の炭素数に100を乗じることによって指数化される。例えば、ヘキサンのKovats指数は600である。Kovats指数が低いほど、分子が小さくなり、分子の揮発性がより大きくなる。
【0114】
摩擦測定
摩擦測定は、処理された布地(例えば、LFE製品で処理された布地)で行われる。摩擦測定については、布地の乾燥が完了したら、70±3.6°F及び相対湿度50%±5%で、全てのタオル地ウォッシュクロスを最低8時間平衡化させる。処理及び平衡化した布地ウォッシュクロスを、処理の2日間以内に測定する。処理した布地を平らに置き、平衡化しながらウォッシュクロス15枚以下の高さで重ねる。摩擦測定は、全て、コンディショニング/平衡化工程の際に用いるのと同じ環境条件下で実施する。
【0115】
2キログラムのフォースロードセルを有するThwing-Albert FP2250/FP2255摩擦/剥離試験機を使用して、タオル地ウォッシュクロス(Thwing Albert Instrument Company,West Berlin,NJ)上で、布地対布地の摩擦を測定する。スレッドは、設置面積6.4×6.4cm及び200gの重量を有するクランピング式スレッドである(Thwing Albert Model Number 00225-218)。布地と布地の摩擦を測定するのに見合う装置は、水平表面の摩擦特性を測定することができる装置であり得る。設置面積6.4cm×6.4cmを有し、かつ、布地を引っ張ることなく布地を固定する経路を有する、200グラムのスレッドが見合うものであり得る。しかしながら、スレッドが、測定時に布地に対して平行を保ち、かつ布地に接触することが重要である。ロードセルとスレッドとの間の距離を10.2cmに設定する。試料ステージまでのクロスヘッドアームの高さを25mm(クロスアームの底面からステージの上面まで測定)に調整して、測定中にスレッドが布地に対して平行を維持しかつ布地と接触することを保証する。以下の設定を使用して測定を実施する:
- T2(動態測定):10.0秒
- 合計時間:20.0秒
- 試験速度:20.0cm/分
【0116】
11.4cm×6.4cmに切断したタオル地ウォッシュクロス片をクランピングスレッドに取り付け、試料プレート上のタオル地ウォッシュクロス面全体にスレッド上の布地面が引っ張り広げられるようにする。スレッドを布地上に配置し、ロードセルに取り付ける。ロードセルが約1.0~2.0gfを記録するまで、クロスヘッドを移動させる。次いで、ロードが0.0gfと読み取られるまで後方に移動させる。この点において測定を行い、動摩擦係数(kCOF)を記録する。この時点でスレッドの引っ張りが開始され、スレッド引っ張り中は少なくとも毎秒、動摩擦係数(kCOF)が記録される。動摩擦係数は、20.0cm/分に設定されたスレッド速度に関して、10秒の開始点から20秒の終了点までの時間枠にわたって平均する。各処理について、少なくとも10枚の複製布地を測定する。
【0117】
分子量
以下の実施例では、グリセリドコポリマーを含有する特定の組成物について、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量の測定を報告する。重量平均分子量(M)値を、ポリスチレン較正曲線を使用して得られた試料のHPLC分析を使用して求める。概ね、クロロホルムが移動相として使用される。
【0118】
表1は、ポリスチレン標準の分子量及び保持時間を示す。
【0119】
【表1】
【実施例
【0120】
以下の実施例は、本明細書に開示される化合物、組成物、及び方法の特定の例示的な実施形態を示す。これらの実施例は、いかなる意味でも限定するものとして解釈されるべきではない。また、これらの実施例は、任意の好ましい実施形態を発現するものとして解釈されるべきではなく、また更なる研究のための任意の方向を示すものとして解釈されるべきではない。特に明記しない限り、使用される化学物質は、ACS、試薬、又はSigma-Aldrichから入手可能な標準グレードであった。
【0121】
実施例A-バッチ触媒導入を伴う自己メタセシス-30Lスケール
実施例A1-バッチプロセス(一晩保持あり、THMPなし)
30リットルのガラス反応器にキャノーラ油(23kg)を充填することにより、自己メタセシス化グリセリドコポリマーを調製した。キャノーラ油を、2時間の保持時間にわたって200℃に加熱しながら窒素をスパージすることによって前処理した。キャノーラ油を室温に冷却し、窒素スパージしながら一晩撹拌した。次いで、前処理したキャノーラ油を窒素スパージ下で95℃に加熱し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して20ppmの触媒)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した。C827メタセシス触媒(油の重量に対して20ppmの触媒、触媒合計量40ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、更に1時間撹拌した。C827メタセシス触媒(油の重量に対して10ppmの触媒、触媒合計量50ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した。反応の5時間後の分子量(50ppm触媒)は11,013であった。窒素スパージ下で、反応物を95℃で一晩保持した。翌朝、C827メタセシス触媒(油の重量に対して10ppmの触媒、合計量60ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、更に1時間撹拌した。次いで、THMPを添加していないグリセリドコポリマーの3.5kgの試料を採取した。反応物を冷却し、排出させた。更なる詳細を以下の表2に記載する。
【0122】
実施例A2-バッチプロセス(一晩保持あり、THMPあり)
実施例A1のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、最後の排出の前に、反応混合物を80℃に冷却し、続いてTHMP(3.5kgの試料と共に除去される触媒を差し引き、触媒合計量に対して5モル当量)を添加し、2時間撹拌した。更なる詳細を以下の表2に記載する。
【0123】
実施例A3-バッチプロセス(一晩保持あり、THMPなし)
実施例A1のプロセスを実施したが、ただしTHMPの添加を実施しなかった。窒素ブランケット下で反応を実施した。合計50ppmの触媒を添加して1時間後、C827メタセシス触媒(油の重量に対して10ppmの触媒、触媒合計量60ppm)の追加のトルエン溶液を添加した。反応6時間後(触媒60ppm)の分子量は10,912Daであった。反応物を窒素ブランケット下で95℃で一晩放置した。翌朝、C827メタセシス触媒(油の重量に対して10ppmの触媒、合計量70ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、更に1時間撹拌した。次いで、THMPを添加していないグリセリドコポリマーの2.0kgの試料を採取した。この反応混合物を80℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応物を冷却し、排出させた。更なる詳細を以下の表2に記載する。
【0124】
実施例A4-バッチプロセス(一晩保持あり、THMPあり)
実施例A3のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、最後の排出の前に、反応混合物を80℃に冷却し、続いてTHMP(3.5kgの試料と共に除去される触媒を差し引き、触媒合計量に対して5モル当量)を添加し、2時間撹拌した。更なる詳細を以下の表2に記載する。
【0125】
実施例A5-バッチプロセス(一晩保持あり、THMPなし)
C827メタセシス触媒のトルエン溶液を、30分毎に20ppm/20ppm/10ppm(油の重量に対して)添加した。1時間撹拌した後、C827メタセシス触媒(油の重量に対して10ppmの触媒、触媒合計量60ppm)の追加のトルエン溶液を添加した。反応8時間後の分子量は11,106であった。反応物を窒素スパージ下で95℃で一晩放置した。翌朝、C827メタセシス触媒(油の重量に対して10ppmの触媒、合計量70ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、更に1時間撹拌した。反応物を冷却し、排出させた。収量は、キャノーラ油1kg当たりグリセリドコポリマー0.77kgであった(取り扱い損失後)。
【0126】
【表2】
ワイプフィルム蒸発器を介したオレフィンストリッピングに関する詳細は、以下の実施例D2及びD3に提供される。
【0127】
実施例B-異性化及びバッチ触媒導入を伴う自己メタセシス
実施例B1-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
2リットルのガラス反応器にキャノーラ油を充填することにより、自己メタセシス化グリセリドコポリマーを調製した。キャノーラ油を、2時間の保持時間にわたって200℃に加熱しながら窒素をスパージすることによって前処理した。キャノーラ油を室温に冷却し、窒素スパージしながら一晩撹拌した。次いで、前処理したキャノーラ油を95℃に加熱し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒)のトルエン溶液を添加した。1時間撹拌しながら、20torrの真空を適用した。真空を開放して、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量50ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、続いて真空下で1時間撹拌した。反応の温度を180℃に上げ、真空下で1時間撹拌した。反応物を真空下で95℃に冷却し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量75ppm)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した後、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量100ppm)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した。窒素スパージ下で反応を維持しながら、室温まで冷まし、一晩置いた。反応混合物を85℃に加温し、続いてTHMP(添加した合計触媒量に対して5モル当量)を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、バケツに排出させた。更なる情報を表3に示す。
【0128】
実施例B2-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
実施例B1のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、合計触媒量100ppmを目標として、触媒を滴下漏斗によって約25ppm/時間で滴下した。更なる情報を表3に示す。
【0129】
実施例B3-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
実施例B1のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、2Lの丸底の代わりに2Lのケトルフラスコ内で実験を実施した。更なる情報を表3に示す。
【0130】
実施例B4-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
10リットルのガラス反応器にキャノーラ油(7500g)を充填することにより、自己メタセシス化グリセリドコポリマーを調製した。キャノーラ油を、2時間の保持時間にわたって200℃に加熱しながら窒素をスパージすることによって前処理した。キャノーラ油を室温に冷却し、窒素スパージしながら一晩撹拌した。次いで、前処理したキャノーラ油を95℃に加熱し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒)のトルエン溶液を添加した。1時間撹拌しながら、20torrの真空を適用した。真空を開放して、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量50ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、続いて真空下で1時間撹拌した。反応の温度を180℃に上げ、真空下で1時間撹拌した。反応物を真空下で95℃に冷却し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量75ppm)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した後、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量100ppm)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した。窒素スパージ下で反応を維持しながら、室温まで冷まし、一晩置いた。反応混合物を85℃に加温し、続いてTHMP(添加した合計触媒量に対して5モル当量)を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、バケツに排出させた。
【0131】
【表3】
【0132】
実施例B6-バッチプロセス(一晩保持あり、THMPあり)
2リットルのガラス反応器にキャノーラ油(1000g)を充填することにより、自己メタセシス化グリセリドコポリマーを調製した。次いで、キャノーラ油を95℃に加熱し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒)のトルエン溶液を添加した。1時間撹拌しながら、20torrの真空を適用した。真空を開放して、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量50ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、続いて真空下で1時間撹拌した。反応の温度を180℃に上げ、真空下(20torr)で1時間撹拌した。反応物を真空下で95℃に冷却し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量75ppm)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した後、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量100ppm)のトルエン溶液を添加し、20torrの真空下で1時間撹拌した。窒素スパージ下で反応物を95℃で一晩保持した。反応混合物を80℃まで冷まし、続いてTHMP(添加した合計触媒量に対して25モル当量)を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、排出させた。更なる情報を表4に示す。
【0133】
実施例B7-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
実施例B6のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、最初の75ppm触媒添加の際に真空の代わりにNスパージを用いた。温度を180℃に上昇させながら20Torrの真空を使用し、25ppmの触媒を最後に添加した(合計触媒添加量100ppm)。更なる情報を表4に示す。
【0134】
実施例B8-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
実施例B6のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、2Lのケトルフラスコで実験を実施し、追加の触媒25ppmを添加し(合計触媒量125ppm)、続いて1時間撹拌した。更なる情報を表4に示す。
【0135】
実施例B9-バッチプロセス(加熱/冷却あり)
実施例B6のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、2Lのケトルフラスコで実験を実施し、温度を180℃ではなく200℃まで上げ、続いて1時間撹拌した。更なる情報を表4に示す。
【0136】
【表4】
【0137】
実施例C-バッチ触媒導入を伴う自己メタセシス-2Lスケール
実施例C1-バッチプロセス(一晩保持なし)
2リットルのガラス反応器にキャノーラ油(1000g)を充填することにより、自己メタセシス化グリセリドコポリマーを調製した。次いで、キャノーラ油を窒素流下で95℃に加熱し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した。触媒を、1時間増分(25ppm)で添加し、合計100ppmの触媒添加とした。反応物を冷却し、排出させた。更なる詳細を表5に提供する。
【0138】
実施例C2-バッチプロセス(一晩保持なし)
実施例C1のプロセスを上述のとおり実施したが、ただし、1時間間隔ではなく30分間隔で、25ppmの触媒を添加した。更なる情報を表5に示す。
【0139】
【表5】
【0140】
実施例C3-バッチプロセス(一晩保持あり)
1リットルのガラス反応器にキャノーラ油(500g)を充填することにより、自己メタセシス化グリセリドコポリマーを調製した。次いで、キャノーラ油を窒素流下で95℃に加熱し、続いてC827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した。C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量50ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、更に窒素下で95℃で一晩撹拌した。C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量75ppm)の追加のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した後、C827メタセシス触媒(油の重量に対して25ppmの触媒、触媒合計量100ppm)のトルエン溶液を添加し、1時間撹拌した(合計反応時間は約24時間)。反応物を冷却し、排出させた。更なる情報を表6に示す。
【0141】
実施例C4-バッチプロセス(一晩保持なし)
実施例C1のプロセスを上述のとおり実施した。更なる情報を表6に示す。
【0142】
【表6】
【0143】
実施例D-オレフィンストリッピング
粗グリセリドコポリマーをWFE供給フラスコに充填し、完全真空(Welchベルト駆動ポンプ)で180℃、200℃、230℃、又は245℃の温度設定値で処理して、所望のグリセリドコポリマーから反応オレフィンを分離する。
【0144】
実施例D1-ワイプフィルム蒸発器(WFE)を使用して、実施例B1のコポリマーをストリッピングする。粗グリセリドコポリマーをWFE供給フラスコに充填し、完全真空(Welchベルト駆動ポンプ)で温度設定値180℃、流量約3.5mL/分で処理し、所望のグリセリドコポリマーから反応オレフィンを分離する。ストリッピングされたグリセリドコポリマーは、冷却され、バケツ内に排出される。
【0145】
実施例D2-ワイプフィルム蒸発器(WFE)を使用して、実施例A2のグリセリドコポリマーをストリッピングする。粗グリセリドコポリマーをWFE供給フラスコに充填し、完全真空(Welchベルト駆動ポンプ)で温度設定値245℃、流量約3.5mL/分で処理し、所望のグリセリドコポリマーから反応オレフィンを分離する。ストリッピングされたグリセリドコポリマーは、冷却され、バケツ内に排出される。
【0146】
実施例D3-ワイプフィルム蒸発器(WFE)を使用して、実施例A4のグリセリドコポリマーをストリッピングする。粗グリセリドコポリマーをWFE供給フラスコに充填し、完全真空(Welchベルト駆動ポンプ)で温度設定値230℃、流量約3.5mL/分で処理し、所望のグリセリドコポリマーから反応オレフィンを分離する。ストリッピングされたグリセリドコポリマーは、冷却され、バケツ内に排出される。
【0147】
実施例D4-ワイプフィルム蒸発器(WFE)を使用して、実施例B3のグリセリドコポリマーをストリッピングする。粗グリセリドコポリマーをWFE供給フラスコに充填し、完全真空(Welchベルト駆動ポンプ)で温度設定値200℃、流量約3.5mL/分で処理し、所望のグリセリドコポリマーから反応オレフィンを分離する。ストリッピングされたグリセリドコポリマーは、冷却され、バケツ内に排出される。
【0148】
比較実施例
比較例グリセリドコポリマー#1
キャノーラ油(3000g、カタログ番号S1100-P、ロット#30315、J.Edwards International,Inc.(Braintree,MA))を、機械式オーバーヘッド撹拌、熱電対、及び窒素ガススパージ管を装備した5Lのフラスコに添加する。表面下スパージを行いながら油を30分間混合した後、200℃で2時間加熱する。窒素ブランケットを維持しながら、油を一晩冷却する。
【0149】
油を60℃に加熱し、0.15g(50ppm、触媒重量/合計油重量)のジクロロ[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン](3-メチル-2-ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)(CAS#[253688-91-4]、C827、ロット#2812、Materia Inc.(Pasadena,CA))(20mLのトルエン(CAS#[108-88-3]、EMDMILLIPORE Inc.(Burlington,MA))に溶かし、モレキュラーシーブを入れて乾燥/保管)を含む触媒溶液を、加熱し撹拌している油に添加する。4時間後、0.22g(10X mol/ルテニウムmol)のトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(CAS#[2767-80-8]、カタログ#177881,ロット#BGBC5027V、Sigma-Aldrich Inc.、Milwaukee WI)を添加し、更に1時間撹拌する。油を冷却し、バッチ式で(3回に分けて)ワイプフィルム蒸発器に移し、ここで、送達流量約110~160g/時で、オレフィンを180℃、0.13~0.14Torr、110rpmで除去する。3つの部分全ての複合材料は、2650gである。
【0150】
比較例グリセリドコポリマー#2
キャノーラ油(1700g、カタログ番号S1100-P、ロット#30315、J.Edwards International,Inc.,Braintree,MA)及びブテノライズドキャノーラ油(Butenolyzed Canola Oil)(800g)が提供される。
【0151】
ブテノライズドキャノーラ油は、以下のように調製される。キャノーラ油(8.24kg)を20リットルのステンレス鋼Parr反応器に入れ、表面下窒素スパージにより前処理し、25℃で15分間撹拌し、次いで200℃で2時間撹拌する。前処理したキャノーラ油を65℃に冷却し、表面下で窒素スパージを行いながら一晩保持する。窒素スパージを停止し、1-ブテン(2.08kg、Mattheson Lot# 1023110467A)を、前処理したキャノーラ油に65℃で添加する。C827メタセシス触媒(332mg、60mLのp-キシレンに溶解)を添加することで反応を開始させ、撹拌しながら65℃で反応を3時間継続させる。次に、65℃で1時間、表面下窒素スパージによって、軽質オレフィンを反応物から除去する。スパージから得た軽質オレフィンは、ドライアイス/イソプロパノールによって冷却されたインライントラップ内で凝縮される。回収された軽質オレフィンの量は0.54kgである。反応器の内容物を35℃に冷却してから、別個の回収容器に排出させる。粗ブテノライズドキャノーラ油の収量は8.78kgである。
【0152】
前工程からの粗ブテノライズドキャノーラ油(7.41kg)を、オーバーヘッド機械式撹拌器、サーモウェル、及び単純蒸留ヘッドを装備した12Lの四口丸底フラスコに入れる。THMP水溶液(0.12M、84mL)を添加し、混合物を70℃に加熱し、1時間撹拌してから、クエンチして触媒を止める。フラスコに真空を徐々に適用し、次いで混合物を撹拌しながらゆっくりと温度を上昇させることによって、水及びオレフィンを除去する。最終温度210℃、圧力15torrを1時間維持する。ブテノライズドキャノーラ油の収量は5.08kgである。留出物は、2.02kgの混合オレフィン及び67gの水からなる。
【0153】
キャノーラ油及びブテノライズドキャノーラ油を、機械式オーバーヘッド撹拌、熱電対、及び窒素ガススパージ管を装備した5Lのフラスコに入れる。油混合物を表面下スパージを行いながら1時間混合し、次いで200℃で2時間加熱する。窒素ブランケットを維持しながら、油混合物を一晩冷却する。
【0154】
油混合物を84℃に加熱し、0.125g(50ppm、触媒重量/合計油重量)のジクロロ[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン](3-メチル-2-ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)(CAS#[253688-91-4]、C827、ロット#2812、Materia Inc.(Pasadena,CA))(15mLのトルエン(CAS#[108-88-3]、EMDMILLIPORE Inc.(Burlington,MA))に溶かし、モレキュラーシーブを入れて乾燥/保管)を含む触媒溶液を、加熱し撹拌している油に添加する。450Torrの真空をフラスコに適用する。5時間後、0.55g(25X mol/ルテニウムmol)のトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(CAS#[2767-80-8]、カタログ#177881,ロット#BGBC5027V、Sigma-Aldrich Inc.、Milwaukee WI)を添加し、80℃で1~2時間撹拌する。油を冷却し、ワイプフィルム蒸発器で処理するまで保管する。
【0155】
メタセシス化油はワイプフィルム蒸発器を通して処理される。ここで、送達流量180g/時で、オレフィンを179~181℃、10~12Torr、110rpmで除去する。
【0156】
実施例E-例示的な液体布地向上剤配合物
表7の以下の実施例による液体布地向上剤(LFE)製品を調製することができる。実施例E1、E2、E5、E6、及びE7は本開示による組成物であり、実施例E3及びE4は比較組成物である。実施例E1~E4は、以下に記載されるz-Nose試験で使用され、実施例E5~E7は、以下に説明する摩擦試験で使用される。
【0157】
【表7】
Evonikから入手可能な、IV値が約20、アルキルが主にC16~C18のアルキル鎖からなる、N,N-ジ(アルカノイルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド。微量のヤシ油を含有する。
エタノール又はイソプロパノールなどの低分子量アルコール
BASF(Ludwigshafen)よりRheovis CDXの商品名で販売される、アクリルアミド/[2-(アクリロイルアミノ)エチル]トリ-メチルアンモニウムクロリド(四級化ジメチルアミノエチルアクリレート)のコポリマーなどのカチオン性ポリアクリルアミドポリマー。
商品名Bardac(登録商標)2280としてジデシルジメチルアンモニウムクロリド、又は商品名Arquad(登録商標)HTL8-MSとしてAkzo Nobelから入手可能な水素添加タローアルキル(2-エチルヘキシル)ジメチルアンモニウムメチルサルフェート
元Appleton Papers,Inc.から入手可能な香料マイクロカプセル。
【0158】
実施例F-強度低下
4つの無香料液体布地向上剤(LFE)製品を調製する。実施例E1及びE2はそれぞれ、本開示によるグリセリドコポリマーを含む。実施例E3及びE4はそれぞれ、比較例グリセリドコポリマーを含む。存在する場合、特定のKovats指数(KI)値又は間隔におけるピークのヘッドスペース強度は、上記で提供されたz-Nose法に従って、未希釈液体布地向上剤製品上で測定される。結果を表8に提供する。所与のKI又は所与のKI間隔で検出されないピークは、ゼロ強度として表に示される。全てのピークの合計も計算し、表8に提供する。JMP(登録商標)Proソフトウェア(SAS Institute Inc.から入手可能なバージョン13.2.1)を使用したstudentのt検定により、括弧内に示される文字報告の文字と値とを比較する。同じ文字で結び付けられていない値は、有意に異なる。
【0159】
【表8】
【0160】
表8に示す結果によると、実施例E1又はE2に従って作製された布地組成物は、提供されたKI値又はKI間隔での強度がより低いか、又は更にはゼロを示すピークとなっている。(存在する場合、他のKI値又はKI間隔でのピークは、実験の両群について実質的に同じであった。)この差は、試験材料が化学的に異なることを示し、本開示による材料は、比較例材料と比較して少なくともある程度の間隔でより低い強度を提供することを示す。理論に束縛されるものではないが、比較例グリセリドコポリマーを含有する布地組成物は、低分子量オレフィンに対応するKI値におけるピーク強度を示すが、低分子量オレフィンに対応するこれらのピークは、本開示の材料で作製された布地組成物には存在しない。このことは、本開示の材料が全体的により低い強度を提供することを示唆しており、芳香製品又は無香料製品に組み込むためにより望ましい可能性があることを示唆する。
【0161】
実施例G-柔軟性試験
理論に束縛されるものではないが、布地摩擦は、布地の柔軟性の技術的測定値であると考えられる。本開示による材料が布地に柔軟性効果を提供するかどうかを試験するために、綿100%のタオル地ウォッシュクロス(China 2、Standard Textilesから入手可能)を、トップロード式自動洗濯機(Kenmore 600シリーズ)及び電気乾燥機(Maytag業務用積み重ね型ドライヤー)を使用して洗濯する。水温は、洗浄サイクル中は90°F、すすぎサイクル中は60°Fに設定される。それぞれ約56.5gの綿100%タオル地ウォッシュクロス10枚(China 2、Standard Textilesから入手可能)を、枕カバー(綿60%/ポリエステル40%)、Tシャツ(綿、ポリエステル、及びポリコットン)、並びに布地見本(綿及びポリコットン)のバラストと共に洗濯機に入れる。洗濯機に入れる布地の総重量は、2500±20グラムである。49.6グラム用量の液体洗剤(TIDE(登録商標)Original Scent、元The Procter & Gamble Company)を8~9GPG(グレイン/ガロン)の水17ガロンに入れ、洗浄時間を12分に設定する。
【0162】
洗浄処理後、すすぎ時間にわたって、布地を25.5gの液体布地向上剤製品で処理する。すすぎ時間を2分に設定し、布地を高温で50分間回転乾燥させる。この洗浄、すすぎ、及び乾燥手順は、この布地量に対して3回繰り返される。
【0163】
実施例G1、G2、及びG3では、液体布地向上剤製品は、本開示による組成物である(上記の実施例E5、E6、及びE7を参照)。
【0164】
比較例(G4)として、タオル地ウォッシュクロスは同様に処理されるが、液体布地向上剤製品として代わりに液体DOWNY(登録商標)(元The Procter & Gamble Company)をすすぎ中に加えて使用する。
【0165】
処理後、処理されたウォッシュクロスの動摩擦係数を、上記の摩擦方法に従って求める。結果を表9に示す。比較的低い動摩擦係数は、より滑らかな/より柔軟な表面であることを示し、同じ文字によって接続されていない値は、有意に異なっている。
【0166】
【表9】
【0167】
表9に示すように、実施例G1、G2、又はG3による組成物で処理されたタオル地ウォッシュクロスは、液体DOWNY(登録商標)で処理された同様のタオルよりも有意に低い摩擦係数を有し、実施例G1、G2、及びG3の優れた柔軟性性能を示す。
【0168】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0169】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0170】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1