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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】サポートカテーテル用トルク付属品
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20230808BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20230808BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61M25/092 510
A61M25/09 530
A61M25/01
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021576549
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020040322
(87)【国際公開番号】W WO2021003169
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/869,531
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バダダマス、シャラス
(72)【発明者】
【氏名】ダノティヤ、アディティア
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0259200(US,A1)
【文献】特開2010-057900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0262432(US,A1)
【文献】特表2017-532133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/01
A61M 25/09
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤを受け入れるための通路を有するハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記通路に配置された前記ガイドワイヤを選択的に把持し解放するように作動可能なクラッチと、
前記ハウジングに回転可能に接続され、カテーテルハブを受け取り、前記カテーテルハブにトルクをかけるように構成されたインタフェースと
とを備えるガイドワイヤ制御装置。
【請求項2】
前記クラッチは、前記ガイドワイヤを把持するとともに、前記インタフェースが回転している間、前記ガイドワイヤの回転を防止するように構成された係合部材を含む、請求項1に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項3】
前記係合部材は、互いに向かって移動して前記ガイドワイヤと接触するように構成された第1及び第2の対向パッドを含む、請求項2に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項4】
前記クラッチは、前記第1及び第2の対向パッドにそれぞれ取り付けられた第1及び第2の対向グリップをさらに含み、前記第1及び第2の対向グリップは、解放構成と把持構成の間で動くように構成され、前記解放構成にあるときには、前記第1及び第2の対向グリップは前記ハウジングの外面から半径方向外側に延び、前記把持構成にあるときには、前記第1及び第2の対向グリップは前記通路に向かって半径方向内側に配置される、請求項3に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の対向グリップは、前記解放構成にバイアスされる、請求項4に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項6】
前記インタフェースは、前記ガイドワイヤを受け入れるためのルーメンを画定する近位端を含み、前記近位端は、前記ハウジングの前記通路の内面にある少なくとも1つのチャネル内で回転するように構成された少なくとも1つの突起を有する、請求項1に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項7】
前記インタフェースは遠位端を含み、該遠位端は、前記カテーテルハブの雄ねじ付き近位端を受け入れるように構成された雌ねじを有するキャビティを画定する、請求項6に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項8】
カテーテルを受け入れるように構成されたルーメンを有するアクチュエータを含む付属装置をさらに備え、前記アクチュエータは、前記カテーテルを係合するように構成された作動可能クランプを画定する遠位端を有し、前記付属装置は、前記作動可能クランプを作動するように構成されたスリーブをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項9】
前記作動可能クランプが複数の偏向可能アームを含み、該偏向可能アームは、前記カテーテルが前記ルーメンを通って摺動する解放構成と、前記複数の偏向可能アームが前記カテーテルと係合して当該カテーテルが軸方向又は回転方向に移動することを防止する把持構成との間で動くことが可能である、請求項8に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項10】
前記スリーブは、前記解放構成において前記複数の偏向可能アームを受け入れるように構成された近位チャンバと、前記把持構成において前記複数の偏向可能アームを受け入れるように構成された中央チャンバと、前記カテーテルを受け入れるように構成されたルーメンとを画定し、前記アクチュエータの前記複数の偏向可能アームが前記近位チャンバから前記中央チャンバ内に移動された場合に、前記複数の偏向可能アームが半径方向内側に圧縮されて前記カテーテルと係合する請求項9に記載のガイドワイヤ制御装置。
【請求項11】
ガイドワイヤ制御アセンブリであって、
ガイドワイヤクランプ装置を備え、該ガイドワイヤクランプ装置は、
ガイドワイヤを受け入れるための通路を有する近位ハウジングと、
前記近位ハウジングに接続されるとともに、前記通路に配置された前記ガイドワイヤを選択的に把持し解放するように作動可能なクラッチと、
前記近位ハウジングに回転可能に接続され、カテーテルハブを受け入れるように構成された遠位ハウジングと、
を含み、
本ガイドワイヤ制御アセンブリはカテーテルクランプ装置を備え、該カテーテルクランプ装置は、カテーテルを受け入れるように構成されたルーメンと、前記カテーテルに係合するように構成された作動可能クランプを画定する遠位端とを有する第1の部材を含み、前記カテーテルクランプ装置は、作動可能クランプを受け入れるとともに前記作動可能クランプを作動するように構成されたキャビティを有する第2の部材をさらに含む、
ガイドワイヤ制御アセンブリ。
【請求項12】
前記クラッチは、前記遠位ハウジングが回転している間、前記ガイドワイヤを把持して当該ガイドワイヤの回転を防止するように構成された係合部材を含み、前記係合部材は、互いに向かって移動して前記ガイドワイヤと接触するように構成された第1及び第2の対向パッドを含む、請求項11に記載のガイドワイヤ制御アセンブリ。
【請求項13】
前記クラッチは、前記第1及び第2の対向パッドにそれぞれ取り付けられた第1及び第2の対向グリップをさらに含み、前記第1及び第2の対向グリップは、解放構成と把持構成との間で動くように構成され、前記解放構成にあるときには、前記第1及び第2の対向グリップは、前記近位ハウジングの外面から半径方向外側に延び、前記把持構成にあるときには、前記第1及び第2の対向グリップは、前記通路に向かって半径方向内側に配置される、請求項12に記載のガイドワイヤ制御アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、より具体的には、動脈又は血管介入技術のための装置、及びそのような医療装置を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な医療装置が、例えば、慢性完全閉塞症(CTO)及び末梢動脈疾患(PAD)を治療するために利用される医療装置を含む医療用途のために開発されてきた。そのような処置では、ガイドワイヤを支え、柱の強度を高めるためにサポートカテーテルが使用される場合がある。処置中、使用者の利き手でサポートカテーテルのハブを保持し、使用者が同時に小指でガイドワイヤを掴んでガイドワイヤにトルクがかからないようにしつつ、サポートカテーテルのハブにトルクをかけることがしばしばある。使用者は、反対の手でピンチグリップを使用してカテーテルシャフトにトルクをかける。小指でガイドワイヤを掴むことは、ガイドワイヤの直径が小さくてガイドワイヤが親水性であることから難しく、処置時間が15~20分であることから、筋肉の緊張を来すことが多い。このようにガイドワイヤを保持すると、ガイドワイヤ及び/又はカテーテルシャフトがねじれる可能性がある。これらの処置に代わる医療装置や、医療装置を製造・使用するための代替方法を提供することが継続的に必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、代替的な医療装置のためのデザイン、材料、製造方法、及び用途を提供する。
第1の実施態様において、ガイドワイヤ制御装置は、ガイドワイヤを受け入れるための通路を有するハウジングと、ハウジングに接続され、通路内に配置されたガイドワイヤを選択的に把持し、解放するように作動可能なクラッチと、ハウジングに回転可能に接続されたインタフェースとを備え、インタフェースは、カテーテルハブを受け入れ、カテーテルハブにトルクをかけるように構成される。
【0004】
追加的に又は代替的に、また別の例において、クラッチは、インタフェースが回転している間、ガイドワイヤを把持してガイドワイヤの回転を防止するように構成された係合部材を含む。
【0005】
追加的に又は代替的に、また別の例において、係合部材は、互いに向かって移動し、ガイドワイヤと接触するように構成された第1及び第2の対向パッドを含む。
追加的に又は代替的に、また別の例において、クラッチは、第1及び第2の対向パッドにそれぞれ取り付けられた第1及び第2の対向グリップをさらに含み、第1及び第2の対向グリップは、解放構成と把持構成との間で動くように構成され、解放構成にあるときは、第1及び第2の対向グリップは、ハウジングの外面から半径方向外側に延び、把持構成にあるときは、第1及び第2の対向グリップは、通路に向かって半径方向内側に配置される。
【0006】
追加的に又は代替的に、また別の例において、第1及び第2の対向グリップは、解放構成においてバイアスがかけられている。
追加的に又は代替的に、また別の例において、インタフェースは、ガイドワイヤを受け入れるためのルーメンを画定する近位端を含み、近位端は、ハウジングの通路の内面上の少なくとも1つのチャネル内で回転するように構成された少なくとも1つの突起を有する。
【0007】
追加的又は代替的に、また別の例において、インタフェースは遠位端を含み、該遠位端は、カテーテルハブの雄ねじ付き近位端を受け入れるように構成された雌ねじを有するキャビティを画定する。
【0008】
追加的に又は代替的に、また別の例において、ガイドワイヤ制御装置は、付属装置をさらに備え、付属装置はカテーテルを受け入れるように構成されたルーメンを有するアクチュエータを含み、アクチュエータは、カテーテルと係合するように構成された作動可能クランプを画定する遠位端を有し、付属装置は、作動可能クランプを作動させるように構成されたスリーブをさらに含む。
【0009】
追加的に又は代替的に、また別の例において、作動可能クランプは、複数の偏向可能アームを含み、該複数の偏向可能アームは、カテーテルがルーメン内を摺動する解放構成と、複数の偏向可能アームがカテーテルに係合してカテーテルの軸方向又は回転方向の移動を防止する把持構成との間で動くことが可能である。
【0010】
追加的に又は代替的に、また別の例において、スリーブは、解放構成において複数の偏向可能アームを受け入れるように構成された近位チャンバと、把持構成において複数の偏向可能アームを受け入れるように構成された中央チャンバと、カテーテルを受け入れるように構成されたルーメンとを画定し、アクチュエータの複数の偏向可能アームが近位チャンバから中央チャンバの中に移動されると、複数の偏向可能アームが半径方向の内側へ圧縮されてカテーテルの係止部と係合する。
【0011】
別の例において、ガイドワイヤ制御アセンブリは、
ガイドワイヤを受け入れるための通路を有する近位ハウジングと、
近位ハウジングに接続され、通路内に配置されたガイドワイヤを選択的に把持し解放するように作動可能なクラッチと、
近位ハウジングに回転可能に接続され、カテーテルハブを受け入れるように構成される遠位ハウジングと
を含むガイドワイヤクランプ装置と、
カテーテルを受け入れるように構成されたルーメンと、
カテーテルに係合するように構成された作動可能クランプを画定する遠位端と
を有する第1の部材
を含むカテーテルクランプ装置と、を備え、該カテーテルクランプ装置は、作動可能クランプを受け取り、作動させるように構成されたキャビティを有する第2の部材とをさらに含む。
【0012】
追加的に又は代替的に、また別の例において、クラッチは係合部材を含み、該係合部材は、遠位ハウジングが回転している間、ガイドワイヤを把持してガイドワイヤの回転を防止するように構成され、係合部材は、互いに向かって移動してガイドワイヤと接触するように構成された第1及び第2の対向パッドを含む。
【0013】
追加的に又は代替的に、また別の例において、クラッチは、第1及び第2の対向パッドにそれぞれ取り付けられた第1及び第2の対向グリップをさらに含み、第1及び第2の対向グリップは、解放構成と把持構成との間を動くように構成され、解放構成においては、第1及び第2の対向グリップは、近位ハウジングの外面から半径方向外側に延び、把持構成では、第1及び第2の対向グリップは、通路に向かって半径方向内側に配置される。
【0014】
追加的に又は代替的に、また別の例において、第1及び第2の対向グリップは、解放構成においてバイアスがかけられている。
追加的に又は代替的に、また別の例において、遠位ハウジングは、ガイドワイヤを受け入れるためのルーメンを画定する近位端を含み、近位端は、遠位ハウジングの通路の内面上の少なくとも1つのチャネル内で回転するように構成された少なくとも1つの突起を有する。
【0015】
追加的又は代替的に、また別の例において、遠位ハウジングは遠位端を含み、該遠位端は、カテーテルハブの雄ねじ付き近位端を受け入れるように構成された雌ねじを有するキャビティを画定する。
【0016】
追加的に又は代替的に、また別の例において、作動可能クランプは、複数の偏向可能アームを含み、該複数の偏向可能アームは、カテーテルがルーメン内を摺動する解放構成と、複数の偏向可能アームがカテーテルに係合してカテーテルの軸方向又は回転方向の移動を防止する把持構成との間で動くことが可能である。
【0017】
追加的又は代替的に、また別の例において、第2の部材は、ルーメンを画定し、該ルーメンは、解放構成において複数の偏向可能アームを受け入れるように構成された近位領域と、把持構成において複数の偏向可能アームを受け入れるように構成された中間領域と、カテーテルを受け入れるように構成された遠位領域を有し、作動可能クランプの複数の偏向可能アームが近位領域から中間領域へ移動すると、複数の偏向可能アームは半径方向の内側に圧縮されてカテーテルに係止される。
【0018】
別の例において、ガイドワイヤに被せて配置されたカテーテルにトルクをかける方法は、ガイドワイヤに被せたカテーテルハブに取り付けられたカテーテルシャフトを装填することと、ガイドワイヤにガイドワイヤ制御装置を装填することと、を備え、ガイドワイヤ制御装置はガイドワイヤを受け入れるための通路を有するハウジングと、ハウジングに接続されたクラッチであって、ガイドワイヤが通路内を自由に移動可能な解放構成とガイドワイヤがハウジングに対して相対的に回転方向及び軸方向に移動することを防止されるクラッチと、回転可能にハウジングに接続されるインタフェースとを含み、クラッチが開放構成にあるときには、カテーテルハブをインタフェースに取り付け、クラッチを把持構成に作動させ、それによってハウジングに対するガイドワイヤの回転及び軸方向の移動を防止し、インタフェースを回転することによってカテーテルにトルクをかける。
【0019】
追加的に又は代替的に、また別の例において、ガイドワイヤにカテーテルシャフトを装填する前に、本方法は、カテーテルシャフト上に付属装置を装填することをさらに備え、付属装置は、カテーテルシャフトを受け入れるように構成されたルーメンを有するアクチュエータを含み、アクチュエータは、作動可能クランプを画定する遠位端部を有し、該作動可能クランプは、ルーメン内でカテーテルシャフトが自由に移動可能な解放構成と、カテーテルシャフトが付属装置に対して回転及び軸方向の移動を防止される把持構成とを有し、付属装置は作動可能クランプを作動するように構成されたスリーブをさらに含み、作動可能クランプが解放構成にあり、スリーブを作動可能クランプの上で動かすことによって付属装置を作動させ、それによって作動可能クランプを把持構成に動かすとともに、カテーテルにトルクをかけることは、インタフェース及び付属装置を同じ方向に回転させることを含む。
【0020】
いくつかの実施形態、態様、及び/又は実施例の上記概要は、本発明の各実施形態又はすべての実施形態を説明することを意図するものではない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0021】
本発明は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】カテーテルハブに接続された例示的なガイドワイヤ制御装置の斜視図。
図2図1のガイドワイヤ制御装置及びカテーテルハブの分解図。
図3A】クラッチメカニズムが解放構成になっている、図1のガイドワイヤ制御装置及びカテーテルハブの断面図。
図3B】クラッチメカニズムが把持構成になっている、図1のガイドワイヤ制御装置及びカテーテルハブの断面図。
図4】解放構成でカテーテルハブに接続されている図1のガイドワイヤ制御装置を示す図。
図5】把持構成における図1のガイドワイヤ制御装置を示す図。
図6】解放構成における例示的な付属装置の斜視図。
図7図6の付属装置の分解図。
図8図6の付属装置の断面図。
図9】把持構成における図6の付属装置の断面図。
図10図1のガイドワイヤ制御装置と図6の付属装置とをカテーテルに組み付け、各装置を解放構成にしたアセンブリの図。
図11】各装置を把持構成にした図10のアセンブリを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の態様は、様々な修正及び代替形態に適応可能であるが、その具体的な内容は、図面に例として示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明の態様を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。そうではなく、その意図は、本発明の精神及び範囲に含まれるすべての修正、同等物、及び代替物を網羅することにある。
【0024】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用される。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定される。「約」という用語は、数値の文脈では、一般に当業者が記載された値と同等であると考える(例えば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に丸められた数値が含まれる場合がある。「約」という用語の他の用法(例えば、数値以外の文脈で)は、特に明記されていない限り、明細書の文脈から理解され、それと一貫する通常の慣習的な定義(又は複数の定義)を持っていると仮定し得る。
【0025】
端点による数値範囲の記載は、端点を含むその範囲内の全ての数値を含む(例えば、1~5は、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5を含む)。様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関連するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値が開示されているが、本発明によって刺激される当業者は、所望の寸法、範囲、及び/又は値がそれらの明示的な開示から逸脱する可能性があることを理解するであろう。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に使用される。理解を容易にするために、本発明の特定の特徴は、開示された実施形態内において、それらの特徴が複数形又は繰り返しであっても、単数形で記述され得ることに留意されたい。諸特徴の各実例(インスタンス)は、明示的に反対の記載がない限り、単数の開示を含み得る、及び/又は単数形の開示に包含され得る。簡略化と明確化とを目的のため、本発明のすべての要素は必ずしも各図に示されているわけではなく、又は以下で詳細に説明されているわけでもない。しかしながら、以下の説明は、明確に反対のことを述べていない限り、複数の構成要素のいずれか及び/又はすべてに等しく適用される場合があることを理解されたい。さらに、明確性のために、一部の要素又は機能のすべての実例が各図に示されているわけではない。
【0027】
「近位」、「遠位」、「前進」、「退避」、これらの変形などの相対的な用語は、装置の使用者/操作者/操縦者に対する様々な要素の位置、方向、及び/又は動作に関して一般的に考慮される場合があり、「近位」及び「退避」は、使用者により近い又は使用者に向かうことを示し又は参照し、「遠位」及び「前進」は、使用者からより遠い又は使用者から離れることを示し又は参照する。いくつかの例において、「近位」及び「遠位」という用語は、本発明の理解を容易にするために任意に割り当てることができ、そのような場合は、当業者には容易に明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管などの管腔内、又は装置内の流体の流れの方向を指す。
【0028】
「範囲」という用語は、記載された又は識別された寸法の最大の測定値を意味すると理解し得る。ただし、件の範囲又は寸法が「最小」で修飾される場合、又は「最小」として識別される場合は、記載された又は識別された寸法の最小の測定値を意味すると理解し得る。例えば、「外側の範囲」は最大の外側の寸法を意味すると理解し得るとともに、「半径方向の範囲」は最大の半径方向の寸法を意味すると理解され得、「長手方向の範囲」は最大の長手方向の寸法を意味すると理解され得る。「範囲」の各実例は異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。一般に、「範囲」とは、意図された使用目的に従って測定されたとり得る最大の寸法と考えられ、「最小範囲」は、使用目的に従って測定されたとり得る最小の寸法と考えられる。いくつかの実例において、「範囲」は一般に、平面及び/又は断面内で直交して測定される場合があるが、特定の文脈から明らかなように、角度、半径方向、円周方向(例えば、円弧に沿って)など、異なる方法で測定される場合がある。
【0029】
「モノリシック」及び「ユニタリ」という用語は、一般に、単一の構造又は基本ユニット/構成要素から作成された、又はそれらから構成される要素を指すものとする。モノリシック及び/又はユニタリ要素は、複数の個別の要素を組み立てる、又はその他の方法で結合して作成された構造及び/又は機能を除外するものとする。
【0030】
本明細書における「一実施形態」、「一実施例」、「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施例」、「他の実施形態」、「他の実施例」などへの言及は、記載された(1又は2以上の)実施形態又は(1又は2以上の)実施例が、特定の特徴、構造、又は特性を含む可能性があるが、すべての実施形態又は実施例が、必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らないことを示していることに留意されたい。さらに、このような表現は、必ずしも同じ実施形態又は実施例を指すわけではない。しかも、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態又は実施例に関連して説明される場合、明確に反対の記載がない限り、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態又は実施例に関連して特定の特徴、構造、又は特性を達成することは当業者の知識の範囲内である。すなわち、以下に記載される様々な個々の要素は、たとえ特定の組み合わせで明示的に示されていない場合でも、それにもかかわらず、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態又は実施例を形成するために、あるいは説明された実施形態又は実施例を補完し及び/又は強化するために、互いに組み合わせ可能又は配置可能であることが想定される。
【0031】
明確にするために、特定の識別用の数値の命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を、明細書及び/又は特許請求の範囲全体にわたって使用して、様々に記載され、及び/又はクレームされた特徴に名前を付け、及び/又は区別することができる。数値命名法は、限定することを意図するものではなく、単なる例示であることが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、簡潔で明確にするために、以前に使用された数値の命名法を変更したり及び逸脱したりすることができる。すなわち、「第1の」要素として特定される特徴は、後に「第2の」要素、「第3の」要素などと呼称されたり、又は完全に省略されたりすることがあり、及び/又は別の特徴が「第1の」要素として呼称され得る。それぞれの実例の意味及び/又は呼称は、熟練した当業者には明らかであろう。
【0032】
以下の説明は、必ずしも縮尺通りではない図面を参照して読む必要があり、異なる図面の同様の要素には同じ番号が付けられている。詳細な説明及び図面は、本発明を説明することを意図しており、限定することは意図していない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、記載及び/又は図示された様々な要素を様々な組み合わせ及び構成で配置し得ることを認識するであろう。詳細な説明及び図面は、本発明の例示的な実施形態を示している。しかしながら、明快性と理解容易性のために、すべての特徴及び/又は要素が各図面に示されているわけではないが、特に明記しない限り、特徴及び/又は要素は関係なく存在すると理解され得る。
【0033】
動脈疾患のある患者の治療には、しばしは閉塞部をガイドワイヤと交差させることが含まれる。ガイドワイヤにカラムサポートを提供するために、サポートカテーテルが使用され得る。処置中、使用者の利き手でサポートカテーテルのハブを保持し、同時に利き手の小指でガイドワイヤを掴んでガイドワイヤにトルクがかからないようにしつつ、サポートカテーテルのハブにトルクをかけることがしばしばある。次いで、使用者は別の手でピンチグリップを使用してカテーテルにトルクをかけ得る。この処置には、小指で小径のガイドワイヤをつかむのが難しいなどの欠点がある。特に、ガイドワイヤには親水性のコーティングが施されていることが多く、通常は濡れているためである。処置は15~20分続くことが多く、両手を使っての処置の間、ガイドワイヤをつかんだり、及び/又はカテーテルにトルクを複数回かけたりすると、筋肉に負担がかかることが多い。カテーテルシャフトとハブは一般に直径が異なり、両者に同時にトルクをかけると、直径の違いにより差動トルクが伝達される可能性があり、これによりカテーテルシャフトがよじれたり損傷したりする可能性がある。カテーテルシャフトにトルクを与えながら、同時にガイドワイヤを把持してガイドワイヤを静止状態に保つ装置が必要である。
【0034】
以下でより詳細に説明するように、図1は、ハウジング110と、付属のクラッチメカニズム130と、ハウジング110に回転可能に結合されたインタフェース150とを含む例示的なガイドワイヤ制御装置100を示す。ハウジング110は、ガイドワイヤ105を受け入れるように構成され、インタフェース150は、カテーテルハブ170とカテーテルシャフト107とを受け入れるように構成される。インタフェース150は、インタフェース150の回転がカテーテルハブ170及びカテーテルシャフト107の回転を引き起こすように、カテーテルハブ170及びカテーテルシャフト107と係合するように構成され得る。クラッチメカニズム130は、ガイドワイヤ105を選択的に把持し解放するように作動可能であり得る。ガイドワイヤ制御装置100は、クラッチメカニズム130がガイドワイヤ105を把持すると、ガイドワイヤ105の回転方向及び軸方向の移動が阻止される一方、インタフェース150と付属のカテーテルハブ170とカテーテルシャフト107とがハウジング110に対して相対的に自由に回転するように構成される。
【0035】
ガイドワイヤ制御装置100の詳細を図2に示す。ハウジング110は、図示されるように2つの部品で形成され得るか、又は1つの部品として形成され得る。ハウジング110が2つの部品で形成される場合、これらの部品は、摩擦嵌合、スナップフィット、接着剤、溶接、又は他の任意の適切な接続によって接続され得る。ハウジング110は、ガイドワイヤ105を受け入れるために、ハウジング110を通って長手方向に延びる通路114を画定し得る。通路114は、ガイドワイヤ105が障害物なく自由に前後に摺動できるように構成され得る。
【0036】
通路114は、ハウジング110の遠位端にチャンバ116を含み得る。チャンバ116は、インタフェース150がハウジング110に対して自由に回転できるような回転可能な接続で、インタフェース150の近位領域156を受け入れるようなサイズ及び形状にし得る。チャンバ116の内面は、インタフェース150の近位領域156の外面上の1つ以上の突起152を受け入れるように構成された1つ以上のチャネル112を有し得る。他の例において、チャンバ116の内面は、1つ以上の突起を有し得、インタフェース150の近位領域156の外面は、1つ以上のチャネルを有し得る。図示の例において、チャンバ116は、複数の円周方向チャネル112を有するとともに、インタフェース150の近位領域156上の突起152は、チャネル112内で回転するように構成された複数の円周方向隆起部152を含む。他の例において、突起152は、チャネル112内で摺動するように構成された1つ以上のピン、ペグ、又はバンプであり得る。代替的に、インタフェース150の近位領域156は、ハウジング110に対して相対的にインタフェース150の自由な回転を可能にするスナップフィットでチャンバ116の内面と係合し得る。
【0037】
ハウジング110は、対向する側に一対の凹部118を有し得る。凹部118は、クラッチメカニズム130を受け入れるように構成され得る。該クラッチメカニズム130は、一対の係合部材132に接続された一対のクラッチグリップ134を含み得る。各凹部118は、クラッチグリップ134を受け入れるように構成された第1の部分117と、通路114内に延びるとともに係合部材132を受け入れるように構成された第2の部分119とを有し得る。
【0038】
インタフェース150は、カテーテルハブ170の近位端172を受け入れるように構成された遠位端にキャビティ154を有し得る。カテーテルハブ170は、カテーテルシャフト107に取り付けられた従来のハブであり得る。カテーテルハブ170の近位端172は、図3Aに示されるように雄ねじ178を有し得る。雄ねじ178は、インタフェース150のキャビティ154の内面の雌ねじ158と係合するように構成される。インタフェース150の近位領域156は、ガイドワイヤ105がハウジング110、インタフェース150、及びカテーテルハブ170を通って延びることができるように、ガイドワイヤ105を受け入れるように構成されたルーメン151を画定し得る。インタフェース150とカテーテルハブ170との間の螺合により、2つの部分が一緒に回転することになる。インタフェース150の回転により、カテーテルハブ170とカテーテルシャフト107が均等に回転する。インタフェース150とハウジング110との間の回転可能な接続により、ハウジング110が静止したままでインタフェース150を回転させることが可能になる。
【0039】
クラッチメカニズム130は、図3Aに示される解放構成と図3Bに示される把持構成との間で作動可能である。図3Aに示される解放構成では、クラッチグリップ134は、ハウジング110の外面から半径方向外向きに延び、係合部材132はガイドワイヤ105から離間され、ガイドワイヤ105がハウジング110の通路114内で回転方向及び軸方向に自由に動くことを可能にする。クラッチグリップ134には解放構成にバイアスがかかり得る。いくつかの例において、ばね要素(図示せず)を凹部118内に配置して、クラッチグリップ134及び接続された係合部材132を解放構成に保持し得る。一例において、ばね要素(図示せず)が、係合部材132の片側又は両側のハウジング110のキャビティ115内に配置されて、解放構成へクラッチグリップ134にバイアスをかけ得る。
【0040】
クラッチメカニズム130を作動させるには、クラッチグリップ134を押し下げることが必要である。該クラッチグリップ134は、図3Bに示すように、係合部材132をガイドワイヤ105と接触するように移動させる。いくつかの例において、係合部材132は、ガイドワイヤ105に面する係合面136を備えたパッドであり得る。いくつかの例において、2つの対向する係合部材132は、互いに押し付けられて係合面136の間にガイドワイヤ105を捕捉し、ハウジング110に対するガイドワイヤ105のあらゆる回転方向又は軸方向の動きを防止する。クラッチメカニズム130の作動は、一方の手でハウジング110を把持し、指と手のひらの間で対向するクラッチグリップ134を握ることによって達成し得る。いくつかの例において、以下に説明するように、使用者は、薬指及び/又は中指と手のひらでクラッチグリップ134を圧迫し、親指と人差し指を自由にしてインタフェース150を回転させることができる。使用者がクラッチグリップ134を解放すると、クラッチグリップ134は解放構成に戻り、ガイドワイヤ105がハウジングの通路114内で自由に動くことを可能にする。
【0041】
いくつかの例において、係合面136は、ガイドワイヤ105に対して係合面136を一緒に圧迫することにより、ガイドワイヤ105を損傷することなく、ガイドワイヤ105の回転方向又は軸方向の移動を防止するようなテクスチャに加工され得る。他の例において、係合面136は、シリコーンなどのポリマーで作成され得る。いくつかの例において、係合面136は、親水性及び/又は湿潤ガイドワイヤ105を保持するための強化された把持面を提供する材料を含み得る。そのような材料の例には、エラストマー又は粘着性シリコーンなどの粘着性材料が含まれる。
【0042】
操作中、使用者は、最初に、カテーテルハブ170に取り付けられたサポートカテーテルシャフト107をガイドワイヤ105に被せて装填することができる。次に、図4に示すように、クラッチメカニズム130を解放構成にしたガイドワイヤ制御装置100を、ガイドワイヤ105の近位端からガイドワイヤ105に装填することができる。次に、ガイドワイヤ制御装置100は、近位端172がインタフェース150のキャビティ154に挿入された状態で、カテーテルハブ170に被さって前進され得る。次に、インタフェース150を回転させ、インタフェース150をカテーテルハブ170の近位端172に螺合させることにより、インタフェース150をカテーテルハブ170に取り付けることができる。次に、クラッチメカニズム130は、図4及び図5に示されるように、矢印320の方向に力を加えることによってガイドワイヤ105を把持するように作動され得る。ガイドワイヤ制御装置100がガイドワイヤ105を把持した状態で、インタフェース150は、カテーテルシャフト107にトルクをかけるべく、図5の矢印350によって示されるように回転され得る。いくつかの例において、図3Bに示される把持構成でクラッチメカニズム130を維持するためには、矢印320の方向に加えられる力が、一般的にはハウジング110を保持する使用者によって維持されなければならない。使用者がクラッチメカニズム130を解放すると、図3Aに示される解放構成に戻る。他の例において、クラッチメカニズムを一度押すとガイドワイヤが把持され、クラッチメカニズムをもう一度押すとガイドワイヤが解放される。さらに他の例において、クラッチメカニズムを把持構成から解放構成に移動させるために解放メカニズムが提供され得る。
【0043】
図6図9に示されるように、付属装置200は、ガイドワイヤ制御装置100と組み合わせて使用されて、カテーテルシャフトに追加のトルクを提供し得る。付属装置200は、アクチュエータ210とスリーブ250とを含み得る。スリーブ250は、図6に示されるリッジ259などの1つ以上の突起を含み得る。リッジ259は、スリーブ250に強化された把持面を提供し得る。図7に示されるように、アクチュエータ210の遠位端は、コレット型構造を含み得る。該コレット方構造は、カテーテルシャフトを受け入れるように構成された作動可能なクランプ211を含む。いくつかの例において、作動可能なクランプ211は、ルーメン214を囲繞する複数の偏向可能アーム212を含み得る。各偏向可能アーム212は、アクチュエータ210の長手方向軸と概ね整合する遠位領域216と、遠位領域216の近位にある傾斜領域218とを含み得る。図7に示される例において、アクチュエータ210は3つの偏向可能アーム212を有するが、アクチュエータ210は、2つ以上の偏向可能アーム212を含み得ることが理解されるであろう。スリーブ250は、偏向可能アーム212をルーメン214に向かって内側に移動させてカテーテルシャフトの周りの把持構成にするために、作動可能なクランプ211に被さって摺動可能に構成され得る。複数の偏向可能アーム212は、カテーテルがルーメン214を通って自由に摺動する解放構成と、複数の偏向可能アーム212がカテーテルシャフトに係合して把持し、カテーテルシャフトが付属装置200に対して軸方向又は回転方向に移動することを防止する把持構成との間で移動可能であり得る。把持構成にある場合、アクチュエータ210又はスリーブ250の回転は、付属装置200内に保持されたカテーテルシャフトの同時かつ均等な回転をもたらす。
【0044】
図8及び図9の断面図は、アクチュエータ210及びスリーブ250の詳細を示している。スリーブ250は、拡張又は解放構成で偏向可能アーム212を受け入れるように構成された近位チャンバ252と、収縮又は把持構成で偏向可能アーム212を受け入れるように構成された中央チャンバ254とを有し得る。スリーブ250は、ルーメン256を画定し得る。該ルーメン256は、スリーブ250の遠位端から中央チャンバ254と近位チャンバ252とを通って延び、それによって、スリーブ250がアクチュエータ210に被さって配置されたときに、ルーメン256、中央チャンバ254、近位チャンバ252、及びルーメン214が、アクチュエータ210を通るカテーテルシャフト(図示せず)を受け入れるための経路を画定する。いくつかの例において、偏向可能アーム212及び/又はアクチュエータ210のルーメン214の内面は、カテーテルシャフトを把持することを助けるためにエラストマーライニング(図示せず)を有し得る。近位チャンバ252は第1の内径を有し得るとともに、中央チャンバ254は第2の内径を有し得る。図8に示されるように、近位チャンバ252の第1の内径は、中央チャンバ254の第2の内径よりも大きくてもよい。肩部258が中央チャンバと近位チャンバとの間の移行部に形成され得る。スリーブ250は、アクチュエータ210の偏向可能アーム212に被さって摺動するように構成され得る。各偏向可能アーム212の遠位領域216が近位チャンバ252から中央チャンバ254に移動すると、偏向可能アーム212の傾斜領域218が肩部258と係合し、偏向可能アーム212の角度付き領域218が半径方向内側に押圧され、図9に示されるようにアーム212を圧縮して、アクチュエータ210のルーメン214内に配置されたカテーテルシャフトをクランプする。アクチュエータ210及びスリーブ250の詳細を不明瞭にしないように、カテーテルシャフトは図8及び図9には示されていない。しかしながら、(カテーテルシャフトが)あるならば、当該カテーテルシャフトは、スリーブ250のルーメン256と中央チャンバ254とアクチュエータ210のルーメン214とを通って延びることになる。
【0045】
アクチュエータ210は、スリーブ250と同じ外径を有し得る。その結果、カテーテルシャフトの周りに結合されると、付属装置200が図9に示されるように把持及びトルク付与のための同じ外径を提供する。いくつかの例において、スリーブ250及びアクチュエータ210の一方又は両方は、使用者が付属装置200を把持し、トルクをかけることを助けるために、図6のスリーブ250に示されるリッジ259などの1つ以上の突起を含み得る。いくつかの例において、付属装置200は、カテーテルハブ170又はインタフェース150の外径と同じ又は同等の外径を有しており、付属装置200がガイドワイヤ制御装置100と同じカテーテルシャフト上に配置されている場合、使用者がガイドワイヤ制御装置100を一方の手で保持し、付属装置200を他方の手で保持し、両手でカテーテルシャフトに等しいトルクをかけることが可能になる。
【0046】
図10及び図11は、ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200が同じカテーテルシャフト107に取り付けられて、使用者がガイドワイヤ105を容易に静止させながら両手でカテーテルシャフト107にトルクをかけることを可能にすることを示す。付属装置200は、解放構成にある間、カテーテルシャフト107に装填し得る。付属装置200は、カテーテルシャフト107をガイドワイヤ105に装填する前に、カテーテルシャフト107の遠位端からカテーテルハブ170が取り付けられた状態でカテーテルシャフト107に装填し得る。付属装置200は、ガイドワイヤ制御装置100が取り付けられる前後に、把持構成に作動させ得る。カテーテルシャフト107、カテーテルハブ170、及び付属装置200がガイドワイヤ105に装填されると、ガイドワイヤ制御装置100は、ガイドワイヤ105の近位端からガイドワイヤ105に装填され、既述のように解放構成のクラッチメカニズム130を用いて、カテーテルハブ170にねじ込まれ得る。カテーテルシャフト107を患者に挿入する際に、クラッチメカニズム130は、既述のように矢印320の方向に力を加えることによって作動されて、ガイドワイヤ105を把持し、ガイドワイヤ制御装置100に対するガイドワイヤ105の相対的な回転方向及び軸方向の動きを防止することができる。付属装置200が事前に把持構成に作動されていなかった場合、使用者は、矢印300で示されるように、アクチュエータ210をスリーブ250内に移動させることによって、アクチュエータ210と付属装置200のスリーブ250との間のギャップを閉じることができる。これにより、偏向可能アーム212のコレットデザインを作動させて、把持構成でカテーテルシャフト107を把持することになる。
【0047】
図11に示されるように、カテーテルハブ170と取り付けられたカテーテルシャフト107とは、矢印350によって示されるようにインタフェース150を回転させることによってトルクをかけ得る。カテーテルシャフト107は、矢印352によって示されるように付属装置200を回転させることによってトルクをかけ得る。使用者は、親指と第1指などでインタフェース150を回転させることによってカテーテルシャフト107にトルクを加える間、ガイドワイヤ105を静止させるために、矢印320で示すように圧力をかけることによってクラッチグリップ134を把持構成に保持し、ハウジング110を利き手に握り得る。反対の手は、付属装置200をつかんで回転させるために使用され得る。ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200の組み合わせは、ガイドワイヤ105の回転方向及び軸方向の動きを防止しつつ、改善されたカテーテルシャフト107のトルク付与能力を使用者に提供する。インタフェース150と付属装置200の外径は、2つの装置による差動トルク伝達を最小化するために同じであり得る。ガイドワイヤ制御装置100をガイドワイヤ105に対して相対移動させる必要がある場合、使用者は、クラッチグリップ134を解放して、クラッチグリップ134をバイアスされた解放構成に移動させ得る。
【0048】
いくつかの例において、ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200は、ポリマー、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)又は医療用カテーテルで一般的に使用される他のポリマーから作られ得る。
【0049】
ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200(及び/又は本明細書に開示される他のシステム又は構成要素)の様々な構成要素、及び本明細書に開示されるその様々な要素に使用できる材料は、医療装置に一般的に関連するものを含み得る。簡略化のために、以下の説明は、ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200(及び本明細書に開示される変形、システム又は構成要素)を参照する。しかしながら、これは、本明細書に開示される他の要素、部材、構成要素、又は装置に説明が適用され得るので、本明細書に記載された装置及び方法を限定することを意図するものではない。
【0050】
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200(及び本明細書に開示されるその変形、システム、又は構成要素)は、金属、金属合金、セラミック、ジルコニア、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、それらの組み合わせ等、又は他の適切な材料から作製され得る。適切な金属及び金属合金のいくつかの例には、444V、444L、及び314LVステンレス鋼等のステンレス鋼、軟鋼、線弾性及び/又は超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金、コバルトクロム合金、チタン及びその合金、アルミナ、ダイヤモンド状コーティング(DLC)若しくは窒化チタンコーティングを有する金属、ニッケル-クロム-モリブデン合金等のその他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625等のUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)等のUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)等のUNS:N10276、その他のHASTELLOY(登録商標)合金等)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R44035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、ハステロイ(登録商標) ALLOY B2(登録商標)等のUNS:N10665)、その他のニッケルクロム合金、その他のニッケルモリブデン合金、その他のニッケルコバルト合金、その他のニッケル鉄合金、その他のニッケル銅合金、その他のニッケルタングステン若しくはタングステン合金等、コバルトクロム合金、コバルトクロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R44003)、白金濃縮ステンレス鋼、チタン、白金、パラジウム、金、これらの組み合わせ等、又はその他の任意の適切な材料が挙げられる。
【0051】
本明細書で示唆されているように、市販のニッケルチタン又はニチノール合金のファミリーの中には、「線形弾性」又は「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがあり、化学的には従来の形状記憶及び超弾性品種と類似し得るが、明確で有用な機械的特性を発揮し得る。線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは、超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」をその応力/ひずみ曲線に示さないという点で超弾性ニチノールと区別され得る。その代わりに、線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、応力は、塑性変形が始まるまで、実質的に線形、若しくは、幾何か、しかし必ずしも完全に線形な関係ではなく、あるいは、少なくとも超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形な関係で増加し続ける。このように、本発明の目的のために、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールと呼ばれ得る。
【0052】
いくつかの例において、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールが実質的に弾性を維持しながら最大約2~5%のひずみを受け入れることができる(例えば、塑性変形する前に)一方、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れ得るという点で、超弾性ニチノールと区別され得る。これらの材料は両方とも、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみしか受け入れ得ないステンレス鋼等の他の線形弾性材料(その組成に基づいて区別することも可能である)と区別可能である。
【0053】
いくつかの実施形態において、線状弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたって示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を全く示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態において、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金において、摂氏約-60度(℃)から約120℃の範囲で、DSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がない場合がある。従って、そのような材料の機械的曲げ特性は、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して一般に不活性であり得る。いくつかの実施形態において、周囲温度又は室温における線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、それらが超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と概ね同じである。例えば、広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性の特性及び/又は性質を維持する。
【0054】
いくつかの実施形態において、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50から約60重量パーセントのニッケルの範囲にあり得、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態において、その組成物は、約54から約57重量パーセントのニッケルの範囲にある。適切なニッケルチタン合金の一例は、日本国神奈川県の古川テクノマテリアル株式会社から市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料には、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)及びGUM METAL(商標)(トヨタから入手可能)が含まれ得る。いくつかの他の実施形態において、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して、所望の特性を達成することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ制御装置100及び付属装置200(及び本明細書に開示されるその変形、システム又は構成要素)及び/又はその一部は、ポリマー又は他の適切な材料から作製されるか、又はそれらを含み得る。適切なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plastics社から入手できるARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)などのポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社から入手可能なDURETHAN(登録商標)又はエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標))、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(REXELL(登録商標)等)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(例えばEMSアメリカグリロン社から入手できるGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、Aortech Biomaterials社のElastEon(登録商標)又はAdvanSource Biomaterials社のChronoSil(登録商標))、生体適合性ポリマー、その他の適切な材料、又はその混合物、組み合わせ、それらのコポリマー、ポリマー/金属複合材料等が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0056】
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本発明の範囲を超えることなく、詳細、特に形状、サイズ、及びステップの配置に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。もちろん、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現されている言語で定義されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11